JP4767192B2 - 射出成形装置、射出成形方法 - Google Patents

射出成形装置、射出成形方法 Download PDF

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Description

本発明は、射出成形技術に関し、たとえば、光学部品等の精密部品等の射出成形等に適用して有効な技術に関する。
通常、射出成形は、溶融樹脂を金型内に設けられたキャビティへ射出し、保圧を行い、その後冷却してから型を開き、成形品を取出すといった工程からなる。その中で保圧を掛ける時間や樹脂を冷却する時間は作業者が条件出し等の作業を行い、目標の成形品の形状や精度を得るために必要十分なある一定の時間を設定する。その中でも冷却時間は品質・サイクルタイムの面から非常に重要な条件である。
この冷却時間は主に金型内に充填される樹脂の温度と物性と金型の温度制御性能で決まり、この金型の温度制御は金型内に温度制御した水や油の温調媒体を通すことで行われている。
しかしながら、この温調媒体の流路は型構造や加工性の制約から必ずしも成形品を得る部分(密閉空間)であるキャビティに対して一様に、そしてキャビティの近くに温調媒体流路を確保することが出来ない。そのため、金型内に充填された樹脂は一様に冷却されず成形品内において温度分布が生じ、その結果として成形品の形状変化や精度の悪化に繋がる。
このような成形品内の温度分布は特に冷却時間が短い場合に顕著に現れ、冷却時間が長くなるにつれて、徐々に解消する傾向があることが知られている。よって、従来では冷却時間を長くとることで上述のような問題に対処しているが、それでは成形サイクルタイムが長くなり結果として、成形コストが上がる。
また、前述のとおりこの冷却時間は一定としているため、連続成形時に外乱等の影響により金型温度等の成形条件がばらついた際、その影響はダイレクトに成形品に現れる。そのため、成形品の精度のバラツキが大きくなることが予想され非常に生産性が悪い。
その中で、成形品の冷却状態を把握しそれに基づいて冷却時間を定めることを目的として、特許文献1においては、金型内の温度を測定し、金型の温度上昇に応じて冷却時間を長くすることが提案されている。
また、特許文献2においては、射出成形品の表面温度を測定するように金型内に埋め込まれた温度センサからの温度出力が、予め設定された成形品温度に達した時に金型を開き、成形品を取出すように冷却時間を制御する方法が提案されている。
しかしながら、これらの特許文献1および特許文献2の方法では、いずれも金型内や成形品表面の温度を代表点の1点でしか測定していないため、成形品全体の冷却状態を完全に捉えているとは言い難く成形品全体に対しての最適な冷却時間で成形されていないことが懸念される。また、温度を測定する場所によって設定する値が変化することが予想され、温度測定場所によっては十分な効果が得られない可能性がある。
特開平6−254929号公報 特開平5−192977号公報
本発明の目的は、射出成形技術において、冷却中の成形品内の温度分布のばらつきに起因する成形精度のばらつきや製品不良を減少させることにある。
本発明の他の目的は、必要以上に長い成形サイクルタイムを設定することなく、冷却中の成形品内の温度分布のばらつきに起因する成形精度のばらつきや製品不良を減少させることにある。
本発明の他の目的は、成形サイクルタイムの短縮、および成形精度のばらつきや製品不良の低減により、射出成形の生産性を向上させることにある。
本発明の第1の観点は、成形型内のキャビティに溶融樹脂を射出し、保圧および冷却後、前記成形型を型開きして成形品を得る射出成形装置であって、
前記成形型の前記キャビティ周りに配置された複数の温度測定手段と、
前記温度測定手段によって検出された温度から前記キャビティの周りの温度幅T2を計算し、予め設定した前記キャビティから前記成形品を取出すときの目標温度幅T1に対し前記温度幅T2が、T1>T2となった時点で前記成形品を取出すために前記成形型を開くように前記射出成形装置を制御する制御手段と、
を含む射出成形装置を提供する。
本発明の第2の観点は、成形型内の複数のキャビティに溶融樹脂を射出し、保圧および冷却後、前記成形型を型開きして複数の成形品を同時に成形する多数個取りの射出成形装置であって、
個々の前記キャビティの周りに一様に配置された複数の温度測定手段と、
個々の前記キャビティに関して、当該キャビティの周りに一様に配置された複数の前記温度測定手段によって検出された温度から平均値を算出し、前記平均値の中の最大値と最小値の差より計算されるキャビティ間温度差T4が、予め設定した前記キャビティから前記成形品を取出すときの目標キャビティ間温度差T3に対し、T3>T4の関係になった時点で前記成形品を取出すために型を開くように前記射出成形装置を制御する制御手段と、
を含む射出成形装置を提供する。
本発明の第3の観点は、成形型内のキャビティに溶融樹脂を射出し、保圧および/または冷却を行う工程と、
前記キャビティ周りに配置された複数の温度測定手段によって検出された温度から前記キャビティの周りの温度幅T2を計算し、前記温度幅T2が、予め設定した前記キャビティから成形品を取出すときの目標温度幅T1に対して、T1>T2となった時点で前記成形型を開く工程と、
を含む射出成形方法を提供する。
本発明の第4の観点は、成形型内の複数のキャビティの各々に溶融樹脂を射出し、保圧および/または冷却を行う工程と、
個々の前記キャビティに対し、当該キャビティの周りに配置された温度測定手段によって検出された温度から平均値を算出し、個々の前記キャビティから計測された複数の前記平均値の中の最大値と最小値の差より計算されるキャビティ間温度差T4が予め設定した前記キャビティから成形品を取出すときの目標キャビティ間温度差T3に対し、T4<T3の関係になった時点で、前記成形型を開く工程と、
を含む射出成形方法を提供する。
本発明によれば、たとえば、キャビティの周りに複数の温度測定手段を設けることで、成形品全体の温度分布を把握し、それらの結果から成形品に対して最適な成形サイクルで成形をすることで、成形バラツキや成形品の不良の混入の確率を小さくし、生産性を向上させることができる。
すなわち、冷却中の成形品内の温度分布の状態を把握して、成形品全体を考慮した最適な冷却時間での成形が可能となり、必要以上に成形サイクルタイムを長く設定することなく、成形品の成形精度のばらつきが小さくなるとともに、製品不良を低減でき、射出成形の生産性が向上する。
本発明によれば、射出成形技術において、冷却中の成形品内の温度分布のばらつきに起因する成形精度のばらつきや製品不良を減少させることができる。
また、必要以上に長い成形サイクルタイムを設定することなく、冷却中の成形品内の温度分布のばらつきに起因する成形精度のばらつきや製品不良を減少させることができる。
また、成形サイクルタイムの短縮、および成形精度のばらつきや製品不良の低減により、射出成形の生産性を向上させることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[実施の形態1]
(構成)
本発明の実施の形態1について、以下、図1Aおよび図1Bを用いて説明する。
図1Aは、本発明の一実施の形態である射出成形方法を実施する射出成形装置の概要を説明するための説明図であり、図1Bは、図1Aにおける線A−Aの部分の断面図である。
本実施の形態の射出成形装置100は、金型1(成形型)、温度検出器8、計算・制御装置9(制御手段)、成形機側制御装置10を含んでいる。
図1Aおよび図1Bに示すように金型1は、固定側金型1a、可動側金型1bからなり、この金型1内には複数のキャビティ4が形成されている。すなわち、本実施の形態の金型1は、一回の射出成形にて複数のキャビティ4から、複数個の成形品11を同時に成形する、いわゆる多数個取りの構成である。
固定側金型1aおよび可動側金型1bには、対向方向に突出入子12がそれぞれ設けられ、その対向端面は、成形面12aおよび成形面12bを備えている。そして、固定側金型1aと可動側金型1bが密着した状態で、この成形面12aおよび成形面12bにより、密閉空間であるキャビティ4が形成される。
固定側金型1aの側には、複数のキャビティ4の配置領域の中央に開口するスプルー5と、このスプルー5から個々のキャビティ4に連通する放射状の複数のランナー6が設けられている。
そして、外部からスプルー5に注入される図示しない樹脂は、ランナー6、このランナー6と各キャビティ4の接続部に設けられた縮径部であるゲート7を経由して、個々のキャビティ4に充填され、成形面12a、成形面12bの形状が転写された外形形状の成形品11に成形される。
金型1には、複数のキャビティ4の周りに、温調媒体流路2が設けられており、外部から、この温調媒体流路2に所望の温度の熱媒体を流通させることで、金型1のキャビティの温度が制御される構成となっている。
本実施の形態の場合、個々のキャビティ4の周りには、複数の温度センサ3(温度測定手段)が埋設されている。この温度センサ3は、温度を検出する機能を備えた検出部3aと、検出結果の情報を外部の温度検出器8に伝達するための導線3bからなる。
この場合、温度センサ3の検出部3aは、たとえば4個のキャビティ4の各々を取り囲むように壁面から同じ距離に3点、合計で12点設けてあり、これらは金型1の可動側金型1b、固定側金型1aの両方に設けてある。
本実施の形態1においては、たとえば、温度センサ3の検出部3aをキャビティの壁面から1.5mm、金型のパーティング面から深さ2mmの場所に、キャビティ4の回りに均等な配置角度(この場合、120°)で一様に配置している。
また、この温度センサ3の検出部3aからの出力は、導線3bを介して温度検出器8に送られ、温度検出器8は温度センサ3からの信号を温度値に変換した結果を温度情報3cとして計算・制御装置9に送る。そして計算・制御装置9において、温度情報3cに基づいて出力された型開閉信号9aは成形機側制御装置10に送られ、射出成形装置100はその型開閉信号9aの如何によって、型開閉動作指令10aを出力することで、金型1の固定側金型1aに対する可動側金型1bの開閉動作等を行う。
なお、本実施の形態において温度センサ3の検出部3aは、一例として、個々のキャビティ4の壁面から1.5mm、金型1のパーティング面から深さ2mmの位置に配置しているが、この距離はキャビティ4の壁面から近いほうが良い。
(作用)
以下、図1A、図1B、図2、図3を用いて本実施の形態の射出成形装置100における成形処理の実施手順の一例を説明する。
図2は、本実施の形態を適用した射出成形装置の機能を説明するためのブロック図である。
個々の温度センサ3は、検出部3aの設置点で検出された個々のキャビティ4の温度の測定値を導線3bを介して、温度情報3cとして計算・制御装置9に伝達する。
計算・制御装置9は、外部から入力された目標温度幅T1、目標キャビティ間温度差T3、冷却上限時間tmax、許容連続不良上限数Nmaxと、温度センサ3から得られた個々のキャビティ4の温度の測定結果である温度情報3cとに基づいて、後述のような判定処理によって型開閉信号9aを成形機側制御装置10に出力する。
成形機側制御装置10は、型開閉信号9aに基づいて、型開閉動作指令10aを金型1に出力して固定側金型1aに対する可動側金型1bの開閉動作を行わせる。
図3は計算・制御装置9内の動作を含む射出成形装置100の作用の一例を示すフローチャートである。
まず、連続不良数nを0に初期化する(ステップ201)。
次に射出成形を開始する。すなわち、射出成形機の可塑化装置(図示せず)によって加熱溶融された樹脂は金型内のスプルー5に圧入され、ランナー6、ゲート7を通過し、成形品を得る部分であるキャビティ4に射出されて充填される(ステップ202)。
キャビティ4周りに埋設された各温度センサ3は樹脂の射出後、徐々に冷却されていく際のキャビティ4付近の温度変化をリアルタイムに検出し、その結果を計算・制御装置9に送る(ステップ203)。
計算・制御装置9では、図3に示すように、まず入力された各温度センサ3の出力温度(温度情報3c)から、各キャビティ周りの温度幅T2(ステップ204)およびキャビティ間温度差T4(ステップ206、ステップ207)を計算する。
ここでステップ204のキャビティ4周りの温度幅T2は、たとえば、一つのキャビティ4に対して、その周りに一様に配置された温度センサ3の出力値の中の最大値と最小値の差をとったものを指す。
また、ステップ207におけるキャビティ間温度差T4は、たとえば、ステップ206において各キャビティ4それぞれに対しその周りに配置された温度センサ3の出力を平均したものを各キャビティの平均温度とし、それらのキャビティ4の平均温度の中の最大値と最小値の差をとったものを指す。
次に、これら計算値と、あらかじめ計算・制御装置9に入力されている目標温度幅T1(ステップ205)および目標キャビティ間温度差T3(ステップ208)を比較し、各キャビティ4に対しT1>T2、なおかつT3>T4となっているかを判定する(ステップ209)。
そして、冷却時間tが冷却上限時間tmaxを超過する前に(ステップ213)、このような関係になった時点で成形機側制御装置10に型を開くように型開閉信号9aを送り(ステップ210)、成形機側制御装置10は型を開き、成形品を良品として取り出し(ステップ211)、ステップ201に戻って、連続不良数nを0に初期化した後、次の成形に進む。
一方、上述のステップ209の判定で条件不成立の場合には、計算・制御装置9には冷却上限時間tmaxを予め入力し(ステップ212)、樹脂射出後の冷却時間tがt<tmaxの間に各キャビティに対しT1>T2、なおかつT3>T4とならない場合は(ステップ213)、連続不良数nを1加算するとともに(ステップ214)、その成形品を不良と判断し(ステップ215)、良品と判断された成形品とは区別して取出し(ステップ218)、ステップ202に戻り次の成形処理を開始する。
また、ステップ218の前に、連続不良数nが、予め入力された一定数である許容連続不良上限数Nmax(ステップ216)だけ連続した場合には(ステップ217)、アラームを出し射出成形を中止する(ステップ219)。
なお、上述の図3では、個々のキャビティ4の回りの温度幅T2と、複数のキャビティ4の間におけるキャビティ間温度差T4の両方の条件によって判定しているが、温調媒体流路2またはキャビティ間温度差T4のいずれか一方のみを用いた判定を行ってもよい。
たとえば、金型1に単一のキャビティ4が設けられた、いわゆる一個取りの成形の場合には、この一つのキャビティ4の周りにおける温度幅T2のみによる判定となる。
また、本実施の形態2のように、金型1に複数のキャビティ4が設けられた多数個取りの場合には、上述のように温度幅T2およびキャビティ間温度差T4の両方を用いた判定に限らず、いずれか一方のみを用いた判定を行うこともできる。
ここで、この目標温度幅T1および目標キャビティ間温度差T3は予備的な実験により求めるか、もしくは要求される成形品の精度を得られるように経験値あるいはシミュレーションにより設定する。一般的な指針としては、目標温度幅T1を小さく設定すると成形品の精度が良好になり、特に成形品のそりや寸法の非対称性を解消できる。また、目標キャビティ間温度差T3が小さいほど、キャビティ間の成形品の精度バラツキが小さくなり、安定した生産をすることが可能となる。
以下、このメカニズムについて図4を用いて説明する。金型1内に充填された樹脂は金型1の温調媒体流路2を流れる熱媒体による温度調節機能により徐々に冷却されていく。この金型1の温度調節は前述の通り金型内に温度制御した水や油の冷却媒体を通すことで行われるが、この温調媒体流路2は金型1の構造や、当該温調媒体流路2の加工上の制約等により成形品、つまりキャビティ4に対して必ずしも均等に配置することができない。そのため、樹脂を均等に冷却できず、成形品11内に温度分布が生じ、これに起因して成形品11内の熱収縮率にも分布が生じる。
たとえば、図4のような複数のキャビティ4の配置では、コ字形の経路の温調媒体流路2に近い右側の3つのキャビティ4の各々では、温調媒体流路2に近い側の冷却すなわち収縮が早く、温調媒体流路2から遠い反対側では、冷却すなわち収縮が遅くなる。
また、温調媒体流路2から最も離間した左側の一つのキャビティ4では、全体が他の3つのキャビティ4よりも冷却(収縮)が遅くなる。
このような成形品11内の温度分布は冷却時間が短い場合に顕著に現れ、冷却時間を長くとることで解消されていく傾向になるが、冷却が不十分な状態、つまり成形品11内の温度分布のばらつきが大きい時点で金型1を開き、成形品11を取り出すと、成形品11はその温度分布に応じて変形し、そりや寸法の非対称性が発生し、結果として要求される精度を満足できなくなる。
このようなことは各キャビティ4の間の目標キャビティ間温度差T3に関しても同様にいえる。温調媒体流路2は、図1A、図1Bのように各キャビティ4に関しても同じような配置をすることができない。そのため、各キャビティ4は同じように冷却されない場合が殆どであり、キャビティ間においても冷却状態がばらつく。その結果として、個々のキャビティ4の位置によって成形品の精度が違ってくる。
図5に実際にキャビティ周りの温度幅T2を測定した結果と成形品(光学素子)の精度の関係を示す。図5中のP−V値とは、レンズ設計形状と成形レンズの実測形状との差を示した値であり、非対称性(As)とはレンズの直交する2方向における形状の非対称性を示した値である。
この図5よりキャビティ周りの温度差である温度幅T2が大きいほど成形品の精度が悪化していることから、この成形品内の温度分布が成形品の精度に与える影響は大きいといえる。
本実施の形態においては、一例として、目標温度幅T1を0.35[℃]、目標キャビティ間温度差T3を0.4[℃]として成形を行った。その際、温度のサンプリング間隔は0.1[s](秒)とし、前の10点の移動平均から各時間におけるT2およびT4を決定した。そして、このような条件の下で成形を行った結果、要求精度を満足する成形品を安定して得ることができた。
本実施の形態においては、一例として、目標温度幅T1を0.35[℃]、目標キャビティ間温度差T3を0.4[℃]として成形を行ったが、これらの値の範囲は成形品11の大きさと要求精度にもよるが、光学レンズの場合はおおよそT1、T2共に0.1[℃]〜0.5[℃]の範囲に、また一般的な構造部品の場合、T1は0.1[℃]〜1[℃]、T2は0.1[℃]〜1[℃]の範囲に設定すると成形品11の形状精度を十分に確保することができる。この範囲よりも低い温度では、温度センサ3の一般的な分解能を越えてしまうため、0.1℃よりも低い温度を設定することはあまり現実的ではない。
また温度のサンプリング間隔は、使用される温度センサ3の最小応答速度〜0.1[s]の範囲で設定するのが望ましい。これよりも大きいサンプリング間隔を設定してしまうと、成形サイクルを秒単位で制御することが難しくなるため現実的ではない。上述の移動平均を計算する点の数に関しては、10点以上でかつ移動平均の計算幅(サンプリング間隔×移動平均の計算点数の値)が1[s]以下になるように設定することが望ましい。10点よりも少ないとサンプリングの際のノイズの影響が大きくなる。また、移動平均の温度幅が1[s]を超えるような値を設定してしまうと、冷却の際の温度変化を十分捉えること難しくなる。
このように、本実施の形態1によれば、キャビティ4の周りの温度差に起因する成形品11の精度悪化を低減するとともにそのような精度悪化を防ぐための最適なサイクルタイムでの成形が可能になる。すなわち、全体が所定の温度以下に均一に冷却されるまで待つために、一律に長いサイクルタイムを設定する必要がない。
また、成形毎に最適なサイクルタイムで成形を行うので外乱等の影響を小さくできるため、連続成形時の品質バラツキも小さい安定した生産が可能となる。
さらには、測定された温度幅に基づいて成形品の良否を判断し、良品と不良品を区別して取出すことにより、成形品の中に成形不良の不良品が混入する確率を小さくすることが可能になる。
[実施の形態2]
(構成)
本発明の実施の形態2について以下、図6A、図6B、図7を用いて説明する。図6Aは実施の形態2における射出成形装置100の構成例の概略図であり、図6Bは、図6Aにおける線B−Bの部分の断面図である。
本実施の形態2において上述の実施の形態1と同様の箇所については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図6Aおよび図6Bにおいて成形品11aは偏肉度(厚肉部11bと薄肉部11cの比)が大きな形状である。また、温度センサ3は実施の形態1と同様に、たとえば、キャビティの壁面から1.5mm、金型のパーティング面から深さ2mmの場所に一様に配置するとともに、突出入子12の中にもキャビティ4の壁面から1.5mmの位置に配置している。
(作用)
成形方法・過程については実施の形態1と基本的には同様であるが、本実施の形態2における成形品11aは偏肉度が大きいため、実施の形態1のような成形品の周囲の冷却状態だけでなく成形品11aの厚肉方向の冷却状態も重要になる。図7に示すように厚肉部11bと薄肉部11cに大きな温度差がある状態で成形品11aを取出すとその温度差および肉厚の違いによって成形品11aの収縮率に差が生じ精度が悪化する。
そのため本実施の形態2においては、その厚肉部11bの温度状態も把握するために成形品11aの周りに加え、キャビティ4の成形面12a、成形面12bを構成する突出入子12の中にも温度センサ3を配置している。
そして、突出入子12に配置された温度センサ3を含む複数の温度センサ3の出力値から各キャビティ周りの温度幅T2およびキャビティ間温度差T4を上述の実施の形態1と同様に計算し、これらが目標温度幅T1と目標キャビティ間温度差T3に対し、各キャビティ4aにおいてT1>T2、なおかつT3>T4となっているかを判定する。
そして、このような関係になった時点で成形機側制御装置10に型を開くように信号を送り、成形機側制御装置10は型を開き、成形品を良品として取り出し次の成形に進む。
目標温度幅T1および目標キャビティ間温度差T3を設定する際の指針としては、上述の実施の形態1の考え方と同様、これらの値が小さいほど成形品の精度が良く、値が大きいほど成形品の精度が悪い。
本実施の形態2においては、一例として、目標温度幅T1を0.5[℃]、目標キャビティ間温度差T3を0.4[℃]として成形を行った。その際、温度のサンプリング間隔は0.1[s]とし、前の10点の移動平均から各時間における温度幅T2およびキャビティ間温度差T4を決定した。そして、このような条件の下で成形を行った結果、要求精度を満足する成形品11aを安定して得ることができた。
(効果)
本実施の形態2によると、キャビティ4の周囲の他に、キャビティ4の成形面12a、成形面12bを構成する突出入子12にも温度センサ3を配置したことにより、厚肉部11bと薄肉部11cの寸法差である偏肉度の大きい成形品11aに対しても要求する精度を満たすための最適なサイクルタイムでの成形が可能となり、成形品11aを安定して生産することができる。
以上説明したように、本発明の上述の各実施の形態によれば、射出成形技術において、冷却中の成形品内の温度分布のばらつきに起因する成形精度のばらつきや製品不良を減少させることができる。
また、必要以上に長い成形サイクルタイムを設定することなく、冷却中の成形品内の温度分布のばらつきに起因する成形精度のばらつきや製品不良を減少させることができる。
また、成形サイクルタイムの短縮、および成形精度のばらつきや製品不良の低減により、射出成形の生産性を向上させることができる。
なお、本発明は、上述の実施の形態に例示した構成に限らず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
本発明を適用した射出成形装置の概要を説明するための説明図である。 図1Aにおける線A−Aの部分の断面図である。 本発明の実施の形態1を適用した射出成形装置の機能を説明するためのブロック図である。 本発明の実施の形態1を適用した射出成形装置の作用の一例を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1を適用した射出成形装置の作用の一例を示す説明図である。 本発明の実施の形態1を適用した射出成形装置の作用の一例を示す線図である。 本発明の実施の形態2における射出成形装置の構成例の説明図である。 図6Aにおける線B−Bの部分の断面図である。 本発明の実施の形態2における射出成形装置の作用を説明する断面図である。
符号の説明
1 金型
1a 固定側金型
1b 可動側金型
2 温調媒体流路
3 温度センサ
3a 検出部
3b 導線
3c 温度情報
4 キャビティ
4a キャビティ
5 スプルー
6 ランナー
7 ゲート
8 温度検出器
9 計算・制御装置
9a 型開閉信号
10 成形機側制御装置
10a 型開閉動作指令
11 成形品
11a 成形品
11b 厚肉部
11c 薄肉部
12 突出入子
12a 成形面
12b 成形面
100 射出成形装置
1 目標温度幅
2 温度幅
3 目標キャビティ間温度差
4 キャビティ間温度差
n 連続不良数
max 許容連続不良上限数
t 冷却時間
max 冷却上限時間

Claims (14)

  1. 成形型内のキャビティに溶融樹脂を射出し、保圧および冷却後、前記成形型を型開きして成形品を得る射出成形装置であって、
    前記成形型の前記キャビティ周りに配置された複数の温度測定手段と、
    前記温度測定手段によって検出された温度から前記キャビティの周りの温度幅T2を計算し、予め設定した前記キャビティから前記成形品を取出すときの目標温度幅T1に対し前記温度幅T2が、T1>T2となった時点で前記成形品を取出すために前記成形型を開くように前記射出成形装置を制御する制御手段と、
    を含むことを特徴とする射出成形装置。
  2. 請求項1記載の射出成形装置において、
    単一の前記キャビティの壁面から同じ距離に2つ以上の前記温度測定手段を、当該キャビティの周りに一様に設けることを特徴とする射出成形装置。
  3. 請求項1記載の射出成形装置において、
    予め設定する冷却上限時間tmaxの間に前記温度幅T2と前記目標温度幅T1がT1>T2の関係とならない場合に、前記成形品を不良と判断することを特徴とする射出成形装置。
  4. 成形型内の複数のキャビティに溶融樹脂を射出し、保圧および冷却後、前記成形型を型開きして複数の成形品を同時に成形する多数個取りの射出成形装置であって、
    個々の前記キャビティの周りに一様に配置された複数の温度測定手段と、
    個々の前記キャビティに関して、当該キャビティの周りに一様に配置された複数の前記温度測定手段によって検出された温度から平均値を算出し、前記平均値の中の最大値と最小値の差より計算されるキャビティ間温度差T4が、予め設定した前記キャビティから前記成形品を取出すときの目標キャビティ間温度差T3に対し、T3>T4の関係になった時点で前記成形品を取出すために型を開くように前記射出成形装置を制御する制御手段と、
    を含むことを特徴とする射出成形装置。
  5. 請求項4記載の射出成形装置において、
    前記制御手段は、前記温度測定手段によって検出された温度から個々の前記キャビティの周りの温度幅T2を計算し、予め設定した前記キャビティから前記成形品を取出すときの目標温度幅T1に対し前記温度幅T2が、T1>T2となり、かつ前記目標キャビティ間温度差T3と前記キャビティ間温度差T4の関係が、T3>T4となった時点で前記成形型を開くように前記射出成形装置を制御することを特徴とする射出成形装置。
  6. 請求項4記載の射出成形装置において、
    複数の前記キャビティの各々に関して、個々の前記キャビティの壁面から同じ距離に2つ以上の前記温度測定手段を、個々の前記キャビティの周りに一様に設けることを特徴とする射出成形装置。
  7. 請求項4記載の射出成形装置において、
    予め設定する冷却上限時間tmaxの間に前記キャビティ間温度差T4と前記目標キャビティ間温度差T3がT3>T4の関係とならない場合に、前記成形品を不良と判断することを特徴とする射出成形装置。
  8. 請求項3または請求項7記載の射出成形装置において、
    前記制御手段は、成形不良と判断された前記成形品を良品と判断された前記成形品とは区別して取出すことを特徴とする射出成形装置。
  9. 請求項3、請求項7または請求項8記載の射出成形装置において、
    前記制御手段は、前記成形不良が一定数連続した場合には成形を中止することを特徴とする射出成形装置。
  10. 成形型内のキャビティに溶融樹脂を射出し、保圧および/または冷却を行う工程と、
    前記キャビティ周りに配置された複数の温度測定手段によって検出された温度から前記キャビティの周りの温度幅T2を計算し、前記温度幅T2が、予め設定した前記キャビティから成形品を取出すときの目標温度幅T1に対して、T1>T2となった時点で前記成形型を開く工程と、
    を含むことを特徴とする射出成形方法。
  11. 成形型内の複数のキャビティの各々に溶融樹脂を射出し、保圧および/または冷却を行う工程と、
    個々の前記キャビティに対し、当該キャビティの周りに配置された温度測定手段によって検出された温度から平均値を算出し、個々の前記キャビティから計測された複数の前記平均値の中の最大値と最小値の差より計算されるキャビティ間温度差T4が予め設定した前記キャビティから成形品を取出すときの目標キャビティ間温度差T3に対し、T4<T3の関係になった時点で、前記成形型を開く工程と、
    を含むことを特徴とする射出成形方法。
  12. 請求項11記載の射出成形方法において、
    前記成形型を開く工程では、
    前記温度測定手段によって検出された温度から個々の前記キャビティの周りの温度幅T2を計算し、予め設定した前記キャビティから前記成形品を取出すときの目標温度幅T1に対し前記温度幅T2が、T1>T2となり、かつ前記目標キャビティ間温度差T3と前記キャビティ間温度差T4の関係が、T3>T4となった時点で前記成形型を開くことを特徴とする射出成形方法。
  13. 請求項10記載の射出成形方法において、
    単一の前記キャビティの壁面から一定の距離に2つ以上の前記温度測定手段を、当該キャビティの周りに一様に設けることを特徴とする射出成形方法。
  14. 請求項11記載の射出成形方法において、
    複数の前記キャビティの各々に関して、個々の前記キャビティ壁面から一定の距離に2つ以上の前記温度測定手段を、個々の前記キャビティの周りに一様に設けることを特徴とする射出成形方法。
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