以下、本発明の遊技機の一実施形態であるパチンコ機について、図面に基づき、次の目次の順序にしたがって、詳細に説明する。
(1)実施例1のパチンコ機の構造
(2)実施例1のパチンコ機の制御機構
(3)実施例1のパチンコ機の作動内容
(4)実施例1のパチンコ機の特徴部分の説明
(5)実施例1のパチンコ機の効果
(6)実施例2のパチンコ機の構成
(7)実施例2のパチンコ機の特徴部分の説明
(8)実施例2のパチンコ機の効果
(9)本発明の変更例の説明
(1)実施例1のパチンコ機の構造
図1は、本発明にかかる第三種のパチンコ機1aの正面を示したものである。パチンコ機1aは、周囲が機枠2で覆われており、前面の中央よりやや上側には、ガラス板を嵌め込んだ幅広な長方形状の前面枠3が、片開き自在に取り付けられている。また、前面枠3の後方には、遊技盤4を嵌め込み設置したミドル枠5が、片開き自在に取り付けられており、その遊技盤4の盤面には、誘導レール6によって、略円形の遊技領域7が区画されている。一方、遊技領域7の下方には、供給皿8と貯留皿9とが、上下に連設されており、貯留皿9の上方には、スピーカ43が設置されている。さらに、貯留皿9の右側には、遊技領域7に遊技球を発射するための発射ハンドル10が突設されている。
図2は、遊技領域7を拡大して示したものであり、遊技領域7のほぼ中央には、普通図柄表示装置11が設けられている。普通図柄表示装置11の内部には液晶画面によって形成された図柄表示画面12が設けられており、種々の図柄(普通図柄)、動画やメッセージ等を表示することができるようになっている。また、普通図柄表示装置11の図柄表示画面12の上方には、普通図柄記憶数表示LED68,68・・が設けられている。
また、普通図柄表示装置11の下側には、図柄始動ゲート13および入賞口14が上下に並んで設けられており、入賞口14には、図柄始動ゲート13を通過した遊技球が、約1/2の確率で入賞するようになっている。さらに、図柄始動ゲート13の下側には、特定入賞口15と、振分入賞装置16とが、上下に一体に連設されている。特定入賞口15は、左右一対の扉部材が開閉するチューリップタイプの入賞装置であり、閉じた状態では遊技球が入賞できないようになっている。また、特定入賞口15は、振分入賞装置16と連通しており、特定入賞口15に入賞した遊技球は、そのまま振分入賞装置16内に流下(入賞)するようになっている。
図3は、振分入賞装置16を示したものであり、振分入賞装置16の略中央には、回転体17が、パチンコ機1aの盤面と平行な面内で回転可能に枢着されており、回転体17の裏側には、略扇形の2つの排出口18,18が穿設されている。また、振分入賞装置16の左下側には特別装置作動領域(以下、単に作動領域という)19が穿設されており、その作動領域19の上方には、排出孔20が設けられている。さらに、振分入賞装置16の左右の上部には、それぞれ、遊技球を排出孔20に導く排出通路22と、遊技球を回転体17と隣接する部位まで導く待機通路21とが設けられている。
また、図4は、振分入賞装置に内蔵された回転体17を拡大して示したものであり、回転体17は、略円柱状の本体部23の周縁に、1つの第1保持部24と、4つの第2保持部25a,25b,25c,25dとが切り欠き形成されている。なお、第1保持部24は、上側保持領域26と下側保持領域27とが繋がった形状を有しており、それぞれに1個ずつ遊技球を保持することができるようになっている。また、第1保持部24の後面側には仕切板28が設けられている。一方、第2保持部25a〜25dは、それぞれ、1個の遊技球を保持することができるようになっている。かかる回転体17は、通常の遊技状態(後述する「権利発生状態」以外の状態)においては、図3に示した位置(すなわち、図3においてA部分が待機通路21に待機中の遊技球と接触する位置)で停止しており、特定入賞口15が開放されてから閉じた後に、2回左回転(反時計回りに回転)するようになっている。また、「権利発生状態」においては、特定入賞口15が開放されてから閉じた後に、2回右回転するようになっている。
一方、図2に示すように、遊技領域7の左サイドには、第三種始動口29が設けられており、回転可能に枢着された回転部材30を介して遊技球が入賞可能になっている。回転部材30は、1つの導球部31を有しており、1回転する毎に遊技球を第三種始動口29に導くことができるようになっている。なお、回転部材30は、「通常状態」においては、60秒で1回転し、「権利発生状態」においては、10秒で1回転するようになっている。
また、第三種始動口29の下側には、特別入賞口である大入賞口32が設けられており、その大入賞口32の下側の左右には、決定回数表示部57と開放回数表示部58とが設けられている。大入賞口32は、左右一対の扉部材が開閉するチューリップタイプの入賞装置であり、閉じた状態では遊技球が入賞できないようになっている。なお、遊技領域7には、上述した特定入賞口15や大入賞口32の他にも種々の入賞口が設けられており、サイドランプ52,52、電飾53,53、風車、および多数の障害釘等が設けられている。
一方、図5は、パチンコ機1aの背面を示したものであり、パチンコ機1aの中央よりやや下側には、パチンコ機1aの作動内容を制御するメイン制御装置35が設置されている。また、メイン制御装置35の上方には、普通図柄表示装置11の表示内容を制御するための図柄変動制御装置36が設置されている。さらに、メイン制御装置35の右側には、遊技領域7に設置されたサイドランプ52,52や電飾53,53・・等の発光部材の発光を制御するための発光制御装置37と、発生させる効果音の内容を制御するための効果音制御装置38とが設置されている。加えて、発光制御装置37、効果音制御装置38の上方には、遊技球払出装置39が設置されている。
パチンコ機1aでは、遊技球が図柄始動ゲート13を通過(入賞)すると、大入賞口32の開閉扉を開放する大入賞口開放遊技状態へ移行可能な権利取得状態へ移行可能な権利取得チャンス状態へ移行するか否かの普通図柄抽選が行われ、普通図柄表示装置11の図柄表示画面12にその結果が表示される。図柄表示画面12に当たり表示がなされた場合には、権利取得チャンス状態へ移行し、特定入賞口15の扉部材が所定の態様(開放パターン)によって開放される。ここで、4個以上の遊技球が特定入賞口15に入球(入賞)し、連通した振分入賞装置16内の作動領域19に遊技球が停留すると、権利取得状態へ移行する。そして、権利取得状態中に第三種始動口29へ遊技球が入賞すると、大入賞口32の開閉扉を所定の回数だけ開放する大入賞口開放遊技状態へ移行する。また、大入賞口開放遊技状態における大入賞口32の開閉扉の開放回数は、作動領域19へ遊技球が入賞するタイミングによって決定される。そして、大入賞口32が所定の回数だけ開放されると、大入賞口開放遊技状態は終了する。また、普通図柄抽選処理中、権利取得状態中、および大入賞口開放遊技状態中に図柄始動ゲート13に入賞した入賞球は保留することができ、その保留球の数を普通図柄記憶数表示LED68の点灯で表示することができる。
また、普通図柄表示装置11の図柄表示画面12には、左からL1,L3,L2の順で3つの普通図柄表示部が横一列に配置されている。この普通図柄表示部L1〜L3には、図柄が上から下方向にスクロールするように変動表示され、最終的には確定図柄が停止表示される。また、図柄表示画面12上には、普通図柄表示部L1〜L3の背景画像やキャラクターやメッセージ等も表示されるようになっている。
普通図柄表示部L1〜L3に表示される図柄は、通常時はそれぞれ縦スクロール(上から下へのスクロール)がなされて、L1,L2,L3の順に停止するようになっている。なお、この普通図柄表示部L1〜L3の配置および停止表示させる順序などは任意に変更しても良い。また、普通図柄表示装置11は、普通図柄表示部L1〜L3に普通図柄が常に表示されているわけではなく、これらの表示に代えて動画やメッセージ等も表示できるようになっている。
また、普通図柄表示部L1〜L3にそれぞれ表示される図柄としては、数字の「0」、「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」、「7」、「8」、「9」の10種類があり、図柄始動ゲート13に遊技球が入賞して権利取得チャンス状態へ移行するか否かの普通図柄抽選が行われると、これら10種類の図柄が原則としてこの順序で順次表示される。当たりであり権利取得チャンス状態へ移行する場合には、横1列に表示された3つの普通図柄が同じ数字や文字の図柄で揃った状態(たとえば、「7」、「7」、「7」のように3つ揃った場合)で当たり図柄が表示され、遊技者に権利取得チャンス状態への移行が報知される。
(2)実施例1のパチンコ機の制御機構
また、図6は、パチンコ機1aの制御機構を示したものである。メイン制御装置35は、メインCPU40、ROM59,RAM60等からなる記憶手段41等を有しており、メインCPU40には、割込リセット回路33が接続されている。さらに、メインCPU40が、インターフェイス42を介して、図柄始動ゲート13や作動領域19への入賞を検出するための各入賞検出装置45、振分入賞装置16、遊技球払出装置39、図柄始動ゲート13に入賞した入賞球を検出する普通図柄始動口スイッチ69、特定入賞口15の開放を行う特定入賞口開放ソレノイド88、第三種始動口29に入賞した入賞球を検出する第三種回転体スイッチ89、振分入賞装置16内の作動領域19に停留した遊技球を検出する停留球スイッチ90、大入賞口32の開放を行う大入賞口開放ソレノイド79、大入賞口32に入賞した入賞球数を計数するためのカウントスイッチ80等と接続されている。また、メイン制御装置35には、図柄変動制御装置36、発光制御装置37、効果音制御装置38が接続されている。
また、図7の如く、メイン制御装置35のRAM60には、初期設定記憶エリア61、入賞球フラグ記憶エリア62、ループカウンタ記憶エリア63、普通図柄乱数記憶エリア64、フラグ記憶エリア65、普通図柄停止図柄記憶エリア66、普通図柄始動入賞数記憶エリア70、普通図柄変動コマンド記憶エリア71、ランプコマンド記憶エリア72、音コマンド記憶エリア73等が設けられており、各種の情報がエリア毎に分類されて記憶されるようになっている。
また、ループカウンタ記憶エリア63には、図示外の普通図柄作成カウンタLC1、普通図柄作成カウンタLC2、普通図柄作成カウンタLC3、当たり判定用ループカウンタLC4、リーチ判定カウンタLC5、リーチパターン決定カウンタLC6、開放パターン決定カウンタLC7等がそれぞれ記憶されている。これらのカウンタは設定された範囲の数値内を循環するように、割込リセット回路33からのリセット信号にしたがって、一定間隔の時間(たとえば、2ms)毎に所定量ずつ増加され、それぞれ設定されている最大値になると、次は、“0”に戻るように構成されている。これらのカウント値は、権利取得状態へ移行可能な権利取得チャンス状態へ移行するか否かの抽選が行われたときに、普通図柄乱数記憶エリア64にそれぞれ取り込まれて格納されるようになっている。
普通図柄作成カウンタLC1のカウント値は、当たりの場合には、当たり図柄を決定するために使用される。また、はずれでリーチ表示される場合には、普通図柄表示部L1、普通図柄表示部L2に表示される図柄を決定するために使用される。さらに、はずれでリーチ表示されない場合には、普通図柄表示部L1に表示される第1停止図柄を決定するために使用される。この普通図柄作成カウンタLC1のカウント値は、電源投入時は“0”からスタートし、1割込毎(2msのリセット毎)に“1”加算され“10”以上で“0”クリアされる。したがって、普通図柄作成カウンタLC1のカウント値は、“0”から“9”までのいずれかの値をとり、1周期は20msとなる。
また、普通図柄作成カウンタLC2のカウント値は、はずれの場合、普通図柄表示部L2に表示される第2停止図柄を決定するために使用される。電源投入時は“0”からスタートし、10割込毎(20ms毎、普通図柄作成カウンタLC1の1周期毎)に“1”加算され、“10”以上で“0”クリアされる。したがって、普通図柄作成カウンタLC2のカウント値は、“0”から“9”までのいずれかの値をとり、1周期は、200msとなる。
さらに、普通図柄作成カウンタLC3のカウント値は、はずれでリーチ表示されない場合、普通図柄表示部L3に表示される第3停止図柄を決定するために使用される。電源投入時は“0”からスタートし、100割込毎(200ms毎、普通図柄作成カウンタLC2の1周期毎)に“1”加算され“10”以上で“0”クリアされる。したがって、普通図柄作成カウンタLC3のカウント値は、“0”から“9”までのいずれかの値をとり、1周期は、2000msとなる。
また、当たり判定用ループカウンタLC4のカウント値は、権利取得状態へ移行可能な権利取得チャンス状態へ移行するか否かの抽選の当たりを判定するために使用される。電源投入時は“0”からスタートし、1割込毎(2ms毎)に“1”加算され“315”以上で“0”クリアされる。したがって、当たり判定用ループカウンタLC4のカウント値は、“0”から“314”までのいずれかの値をとり、1周期は、630msとなる。
一方、リーチ判定カウンタLC5のカウント値は、はずれの場合にリーチ動作を行うかどうか(はずれリーチ)を判定するために使用される。電源投入時は“0”からスタートし、1割込毎(2ms毎)に“1”加算され“200”以上で“0”クリアされる。したがって、リーチ判定カウンタLC5のカウント値は、“0”から“199”までのいずれかの値をとり、1周期は、400msとなる。なお、リーチ判定カウンタLC5のカウント値が、“20”から“39”までの間の場合には、はずれリーチの動作が行われる。このはずれリーチでは、普通図柄表示部L1に停止表示される第1停止図柄(左図柄)と、普通図柄表示部L2に停止表示される第2停止図柄(右図柄)とが、同じ図柄となり、普通図柄表示部L3の図柄が所定時間だけ変動表示され、結局、普通図柄表示部L3に停止表示される第3停止図柄(中図柄)は、第1停止図柄および第2停止図柄とは異なる図柄となるものである。
また、リーチパターン決定カウンタLC6のカウント値は、当たりリーチまたははずれリーチと判定された場合のリーチパターンを決定するために使用される。電源投入時は“0”からスタートし、1割込毎(2ms毎)に“1”加算され“60”以上で“0”クリアされる。したがって、リーチパターン決定カウンタLC6のカウント値は、“0”から“59”までのいずれかの値をとり、リーチのパターンは60通りとなる。なお、1周期は、120msとなる。
さらに、開放パターン決定カウンタLC7のカウント値は、「当たり」生起時における特定入賞口15の開放の態様である「開放パターン」を決定するために使用される。電源投入時は“0”からスタートし、1割込毎(2ms毎)に“1”加算され“3”以上で“0”クリアされる。したがって、開放パターン決定カウンタLC7のカウント値は、“0”から“2”までのいずれかの値をとり、1周期は、6msとなる。
また、ループカウンタ記憶エリア63には、図示外の第一開放時間制御カウンタk、第二開放時間制御カウンタl、第三開放時間制御カウンタm、普通図柄保留球数カウンタi、大入賞口開放回数制御カウンタj等がそれぞれ記憶されている。これらのカウンタのカウント値は、図6に示す割込リセット回路33からのリセット信号にしたがって、一定間隔の時間(たとえば、2ms)毎に実行される作動プログラム(割込プログラム)の指令により、加算、減算されるようになっている。
一方、図8は、普通図柄乱数記憶エリア64の模式図であり、普通図柄乱数記憶エリア64には、図柄始動ゲート13への遊技球の入賞時に、普通図柄作成カウンタLC1,LC2,LC3、当たり判定用ループカウンタLC4、リーチ判定カウンタLC5、リーチパターン決定カウンタLC6のそれぞれのカウント値を乱数として取得して記憶できる記憶エリア1〜記憶エリア4の4つの記憶エリアと、当たりの判定処理を行うために記憶エリア1に記憶された各乱数をシフトして記憶する判定エリアが1つ設けられている。
また、図9は、メイン制御装置35のROM59の記憶エリアの模式図であり、ROM59には、制御プログラム記憶エリア85と、当たり変動パターンテーブル記憶エリア86と、はずれリーチ変動パターンテーブル記憶エリア87等が設けられている。さらに、ROM59には、図示外の各種の記憶エリアが設けられている。加えて、メイン制御装置35のROM59には、図10の如き開放パターン決定カウンタの数値に対応した特定入賞口15の「開放パターン」や、図11の如き各「開放パターン」の作動内容、図12の如き特定入賞口15への入賞タイミングと対応した大入賞口32の開放回数等が記憶されている。
一方、図柄変動制御装置36は、図柄表示CPU46、ROM,RAM等の記憶手段47等を有している。そして、図柄表示CPU46が、インターフェイス48を介して、普通図柄表示装置11と接続されているとともに、メイン制御装置35のメインCPU40と接続されている。また、図13は、図柄変動制御装置36の記憶手段47の記憶エリアの模式図であり、記憶手段47のROMには、制御プログラム記憶エリア75と、はずれリーチ変動パターンテーブル記憶エリア77、普通図柄変動データ記憶エリア78等が設けられている。さらに、記憶手段47のRAMには、ループカウンタ記憶エリア等の記憶エリアが設けられている。
また、発光制御装置37は、発光CPU49、ROM,RAM等の記憶手段50等を有しており、発光CPU49が、インターフェイス51を介して、サイドランプ52,52、電飾53,53等の発光部材と接続されているとともに、メイン制御装置35のメインCPU40と接続されている。
加えて、効果音制御装置38は、効果音CPU54、ROM,RAM等の記憶手段55等を有しており、効果音CPU54が、インターフェイス56を介して、スピーカ43等と接続されているとともに、メイン制御装置35のメインCPU40と接続されている。
(3)実施例1のパチンコ機の作動内容
以下、パチンコ機1の作動内容について、図14、図15に示すフローチャートにしたがって説明する。フローチャートの各ステップについては、以下、「S」と略して示す。なお、図14は、パチンコ機1のメイン制御装置35で行われるメインルーチンの内容を示すフローチャートであり、図15は、メインルーチンの普通図柄処理の中で行われる当たり判定処理の内容を示すフローチャートである。また、図14、図15に示すフローチャートの処理を行うプログラムは、メイン制御装置35のROM59の中に記憶されている。
メインルーチンのフローチャートにおいては、一定間隔の時間(たとえば、2ms)で、メイン制御装置35の割込リセット回路33が発生するリセット信号にしたがって、メイン制御装置35のメインCPU40がスタートから順に処理を行い、スタートから終了までの処理を、2ms以内で行うようになっている。したがって、2ms間隔でリセット信号が入力される毎に、スタートから処理が繰り返し行われる。
そして、最初のリセット信号が入ると、スタックポインタの指定アドレスをセットするためのスタックポインタセット処理を行う(S1)。次いで、記憶手段41のRAM60の記憶内容をチェックするRAMチェック(S2)が行われ、電源投入時の初期設定処理を完了しているか否かが判断される。すなわち、RAM60の初期設定記憶エリア61にS3に示す電源投入時初期設定処理で書き込まれる所定の数値を書き込んだか否かが判断される。そして、初期設定記憶エリア61に所定の数値が書き込まれていないと判断された場合(S2でNOの場合)には、電源投入後の初期処理が行われていない状態であるので、電源投入時初期設定処理が行われる(S3)。この処理では、RAM60の各記憶エリアの記憶値をリセットし、さらに、ループカウンタ記憶エリア63に記憶されている各ループカウンタの値をそれぞれ初期値(たとえば、“0”)にセットし、初期設定記憶エリア61に所定の数値を記憶させる。しかる後、処理を終了する。
次のリセット信号で、再度、スタートから処理が行われる。まず、RAMチェック(S2)では、初期設定記憶エリア61に所定の数値が書き込まれているので、RAM60は正常と判断され(S2でYESと判断され)、次の液晶画面コマンド出力処理(S4)に移行し、図柄変動制御装置36に対して普通図柄表示装置11を制御する信号が送られる。次いで、音コマンド出力処理(S5)に移行し、効果音制御装置38に対してスピーカ43から効果音を発生させるための信号が送られる。さらに、ランプコマンド出力処理(S6)に移行し、発光制御装置37に対して遊技領域7に設けられているサイドランプ52,52、電飾53,53・・等の発光態様を制御する信号が送られる。しかる後、ポート出力処理(S7)に移行し、出力ポート(図示せず)を介して、「当たり」の生起回数等の各種の情報が外部へ出力される。
次いで、スイッチ読込処理(S8)が行われる。このスイッチ読込処理は、第三種始動口29、図柄始動ゲート13、大入賞口32等への遊技球の入賞を検出するものであり、図柄始動ゲート13への入賞を検出した場合には、後述する「抽選」のために入賞信号をメイン制御装置35へ送信する。
スイッチ読込処理(S8)が終了すると、次いで、ループカウンタ更新処理(S9)が行われ、RAM60のループカウンタ記憶エリア63に記憶されている各ループカウンタの数値を上記した所定数だけ増加させる。なお、上記したように、各ループカウンタに設定されている最大値を越える場合には、各ループカウンタの値はクリアされ、“0”に戻るようにプログラムされている。
さらに、ループカウンタ更新処理S9が終了すると、パチンコ機1にエラーが発生しているか否かが判断され(S10)、パチンコ機1にエラーが発生している場合(S10でYESの場合)には、条件装置処理(S11)、普通図柄処理(S12)を飛ばして次の処理を行い、普通図柄表示装置11にエラー表示等をさせる。エラーが発生していないとき(S10でNOの場合)には、条件装置処理(S11)に移行する。
条件装置処理(S11)では、権利取得チャンス状態である場合に特定入賞口15を開放させたり、大入賞口開放遊技状態において大入賞口32を開放させたりする。また、大入賞口32を開放するか否かの判断は、RAM60のフラグ記憶エリア65に記憶されている権利発生フラグがONとなっているかにより行い、特定入賞口15を開放するか否かの判断は、RAM60のフラグ記憶エリア65に記憶されている特定入賞口開放フラグがONであるか否かにより行う。なお、一巡目の処理では、後述する普通図柄処理(S12)における当たり判定処理がまだ行われていないので、条件装置処理(S11)では、何も行われず次の処理に移行する。次いで、普通図柄処理(S12)が行われる。
普通図柄処理(S12)では、後述する当たり判定処理を行い、「当たり」を生起させるか否かの「抽選」を実行する。さらに、普通図柄表示装置11の図柄表示画面12に判定結果を表示する判定結果表示処理等が行われる。
普通図柄処理(S12)が終了すると、次に、賞品球の払い出しを行う払出制御(S13)が行われ、各入賞口への入賞が検出されている場合には、遊技球払出装置39によって、その入賞に対応した所定個数の遊技球(大入賞口32に入賞した場合には15個)が賞品球として供給皿8へ払い出される。しかる後に、機枠2に設けられた枠ランプを点滅させる枠ランプ制御(S14)が行われ、メインルーチンの処理が終了する。
また、このメインルーチンの処理は2ms以内に終了する。そして、割込リセット回路33からのリセット信号により、メインCPU40は、メインルーチンの処理を、スタートから繰り返し行う。したがって、かかるメインルーチンの処理が、2ms単位で繰り返される。
次に、図15を参照して、普通図柄処理(図14、S12)で行われる当たり判定処理についてフローチャートを用いて説明する。まず、大入賞口開放中フラグがONであるか否かを確認する(S11)。大入賞口開放中フラグがONである場合(S11でYESの場合)は、現在「当たり状態」生起中であるため、当たり判定処理は行わないので、何もせずに処理を終了する。次いで、普通図柄報知中フラグがONであるか否かを確認する(S12)。普通図柄報知中フラグがONである場合(S12でYESの場合)は、現在、普通図柄表示装置11にて当たりの判定結果を報知中である。そこで、報知を終了するか否かを確認する(S13)。
ここでは、後述する普通図柄判定処理(図15のS21、図16参照)における長時間ベースまたは短時間ベースの選択、はずれリーチ変動パターンまたは当たり変動パターンの選択により決定された報知時間を経過したか否かにより図柄変動停止を判断する。報知時間の経過は報知時間カウンタが“0”となったかにより判断する。長時間ベースおよび短時間ベースは、図柄の回転時間を決定しており、はずれリーチ変動パターンや当たり変動パターンは、図柄が回転している状態に図柄が停止し始めて、すべての図柄が停止するまでの演出方法を決定している。演出方法は、各普通図柄表示部L1〜L3が変動し始めてから停止するまでの時間や、図柄表示画面12上の普通図柄表示部L1〜L3の背景画像に表示されるアニメーション等であり、予め数種類の演出方法が設定されている。たとえば、長時間ベースおよび当たり変動パターンが選択され、長時間ベースでは10秒間図柄の回転を行い、当たり変動パターンでは全図柄停止までに20秒かかるとすると、合計で30秒の時間が報知にかかることになる。報知時間カウンタはメインルーチンのループカウンタ更新処理で1ずつ減算され、メインルーチンは2ms毎に実施されるので、30秒間にメインルーチンは15000回実施される。そこで、報知時間カウンタに“15000”をセットする。
報知を終了すると判断されなかった場合(S13でNOの場合)には、まだ普通図柄表示装置11は報知中であるので、保留球の普通図柄抽選の判定は行わないため、そのまま処理を終了する。
報知を終了する場合(S13でYESの場合)には、最終図柄を停止する図柄停止コマンドを出力し(S14)、普通図柄報知中フラグをOFFする(S15)。次いで、権利状態フラグが“1”であるか否かを確認する(S16)。この権利状態フラグは、普通図柄抽選が当たりとなり、権利取得状態(第三種始動口29への遊技球の入賞により大入賞口開放遊技状態となる状態)へ移行可能な権利取得チャンス状態である場合に“1”がセットされ、権利取得状態である場合には“2”がセットされ、権利取得チャンス状態や権利取得状態以外の場合は“0”がセットされている。権利状態フラグが“1”である場合、すなわち、普通図柄抽選が当たりであって権利取得チャンス状態である場合(S16でYESの場合)には、S17で、特定入賞口15の「開放パターン」の選択が実行される。「開放パターン」の選択(決定)は、「抽選」において「当たり」が生起した時点でRAM60のループカウンタ記憶エリア63に記憶されている開放パターン決定カウンタの数値に対応した「開放パターン」を、RAM60のループカウンタ記憶エリア63内から呼び出すことによって行われる。たとえば、開放パターン決定カウンタの数値が“0”である場合には、特定入賞口15の「開放パターン」は、5.6秒間の開放を3回断続的に繰り返す「第1パターン」に決定される(図7、図8参照)。また、開放パターン決定カウンタの数値が“1”である場合には、5.6秒間の開放を2回繰り返した後に0.1秒間の開放を行う「第2パターン」に決定され、開放パターン決定カウンタの数値が“2”である場合には、5.6秒間開放した後に0.1秒間の開放を2回繰り返す「第3パターン」に決定される。
さらに、S17で、特定入賞口15の「開放パターン」を決定した後には、特定入賞口開放信号を図柄変動制御装置36へ送信して(S18)、特定入賞口開放中フラグ“1”をセットしてONし(S19)、特定入賞口15の1回目の開放時間を制限(カウント)する第一開放時間制御カウンタkの数値、特定入賞口15の2回目の開放時間を制限(カウント)する第二開放時間制御カウンタlの数値、特定入賞口15の3回目の開放時間を制限(カウント)する第三開放時間制御カウンタmの数値を、それぞれ、“0”にセットして(S23)処理を終了する。
権利状態フラグが“1”でない場合、すなわち普通図柄抽選がはずれである場合(S16でNOの場合)には、何もせずに処理を終了する。
そして、普通図柄報知中フラグがONでない場合(S12でNOの場合)には、権利状態フラグが“0”であるか否かを確認する(S20)。権利状態フラグが“0”である場合には(S20でYESの場合は)、普通図柄判定処理(S21、図16参照)を行い、処理を終了する。この普通図柄判定処理では、普通図柄保留球数がある場合にその保留球が権利取得チャンス状態へ移行するか否かの抽選を行い、その結果を報知する(この処理については、図16を参照して、後に説明する)。また、権利状態フラグが“0”でない場合(S20でNOの場合)には、権利処理(S22、図17〜図20参照)を行い、処理を終了する。この権利処理では、権利取得チャンス状態である場合の権利取得状態へ移行するか否かの判断および権利取得状態である場合の大入賞口開放遊技状態へ移行するか否かの判断を行う(この処理については、図17〜図20を参照して、後に説明する)。
次に、図16を参照して、当たり判定処理の普通図柄判定処理(図15、S21)の説明をする。まず、普通図柄報知中フラグを普通図柄変動中を示す“1”にセットする(S32)。次いで、普通図柄乱数記憶エリア64の記憶エリア1に記憶されている各乱数の値を判定エリアへシフトさせて読み出し、普通図柄乱数記憶エリア64中の記憶エリア2、3および4に記憶されている各乱数の値を、記憶エリア1、2、および3へ、一つずつシフトする(S33)。すなわち、普通図柄乱数記憶エリア64の記憶エリア2の記憶値を記憶エリア1へ、記憶エリア3の記憶値を記憶エリア2へ、記憶エリア4の記憶値を記憶エリア3へ移動させる。そして普通図柄保留球数カウンタiの値を“1”減算する(S34)。
次いで、普通図柄保留球数カウンタiが“3”以上であるか否かを確認する(S35)。普通図柄保留球数カウンタiが“3”以上である場合(S35でYESの場合)には、判定結果を普通図柄表示部L1〜L3に変動表示させる際の変動開始から確定表示までの変動時間を通常よりも短い時間で行う短時間ベース変動コマンドをメイン制御装置35から図柄変動制御装置36に出力する(S37)。ここで、短時間ベース変動で変動する変動時間(たとえば、5秒)にしたがって報知時間カウンタ(2500)をセットする。また、普通図柄保留球数カウンタiが“3”以上でない場合(S35でNOの場合)には、通常の長時間ベースコマンドをメイン制御装置35から図柄変動制御装置36に出力する(S36)。ここで、長時間ベース変動で変動する変動時間(たとえば、10秒)にしたがい報知時間カウンタ(5000)をセットする。図柄変動制御装置36は長時間ベース変動コマンドおよび短時間ベース変動コマンドを受信することにより、普通図柄表示部L1〜L3の回転を開始する。
そして、次に普通図柄抽選の当たり判定を行う(S38)。この判定は、当たり判定用ループカウンタLC4の値により行う。当たり判定用ループカウンタLC4の値は、“0”〜“314”の間をとるので、S33で判定エリアに読み出した当たり判定用ループカウンタLC4の乱数の値も“0”〜“314”のいずれかになっている。ここで、S33で読み出した当たり判定用ループカウンタLC4の値(乱数の値)が当たりの値として決められている特定の値、たとえば、“7”であるか否かが判定される。S33で読み出した当たり判定用ループカウンタLC4の値が“7”である場合(S38でYESの場合)には、権利状態フラグに権利獲得チャンス状態であることを示す“1”をセットする(S39)。
次いで、S33で読み出したリーチパターン決定カウンタLC6の値に基づいて、当たり変動パターン選択処理が行われる(S40)。この当たり変動パターン選択処理では、図9に示す当たり変動パターンテーブル記憶エリア86に記憶されている当たり変動パターンテーブルを参照して、当たり表示の変動パターンコマンドが選択され、その当たり表示の変動パターンコマンドがRAM60の普通図柄変動コマンド記憶エリア71に記憶される。なお、S40の当たり変動パターン選択処理では、変動パターンコマンドの記憶以外に、サイドランプ52,52や、電飾53,53等を点灯または点滅させるランプコマンドをRAM60のランプコマンド記憶エリア72に記憶させ、スピーカー43から発する効果音の音コマンドをRAM60の音コマンド記憶エリア73に記憶させる。さらに、報知時間カウンタに、選択された当たり変動パターンの演出時間を加算する。
次いで、当たり図柄選択処理を行う(S41)。当たり表示を行う場合、普通図柄乱数記憶エリア64の記憶されている普通図柄作成カウンタLC1の値に基づいて当たり図柄を選択する。普通図柄作成カウンタLC1は、“0”〜“9”の間のいずれかの数値である。ここで、普通図柄乱数記憶エリア64に記憶されている普通図柄作成カウンタLC1の値と普通図柄表示部L1に表示される第1停止図柄(左図柄)、普通図柄表示部L2に表示される第2停止図柄(右図柄)、普通図柄表示部L3に表示される第3停止図柄(中図柄)との関係は、0:「0、0、0」、1:「1、1、1」、2:「2、2、2」、3:「3、3、3」、4:「4、4、4」、5:「5、5、5」、6:「6、6、6」、7:「7、7、7」、8:「8、8、8」、9:「9、9、9」となり、それぞれの普通図柄表示部L1、L2、L3に表示される図柄を示すデータは、RAM60の普通図柄停止図柄記憶エリア66に記憶される。
また、S38の判定で、S33で読み出した当たり判定用ループカウンタLC4の乱数の値が、たとえば、当たりとされる“7”以外の場合(S38でNOの場合)には、S33で読み出したリーチ判定カウンタLC5の値によりはずれリーチ動作を行うか否かが判定される(S42)。リーチ判定カウンタLC5の値が、“20”〜“39”の場合には、はずれリーチと判定される(S42でYESの場合)。
はずれリーチと判定された場合(S42でYESの場合)には、はずれリーチ変動パターン処理が行われる(S43)。このはずれリーチ変動パターン処理では、ROM59のはずれリーチ変動パターンテーブル記憶エリア87に記憶されているはずれリーチ変動パターンテーブルを参照して、はずれリーチの変動パターンコマンドが選択され、そのリーチの変動パターンコマンドがRAM60の普通図柄変動コマンド記憶エリア71に記憶される。なお、S43のはずれリーチ変動パターン選択処理では、リーチの変動パターンコマンドの記憶以外に、リーチ時にサイドランプ52,52や、電飾53,53等を点灯または点滅させるランプコマンドをRAM60のランプコマンド記憶エリア72に記憶させ、スピーカー43から発する効果音の音コマンドをRAM60の音コマンド記憶エリア73に記憶させる。さらに、報知時間カウンタに選択されたはずれリーチ変動パターンの演出時間を加算する。
次いで、はずれリーチ図柄選択処理が行われる(S44)。このはずれリーチ図柄選択処理では、S33で読み出した普通図柄作成カウンタLC1、普通図柄作成カウンタLC2に基づいて、はずれリーチの停止図柄をRAM60の普通図柄停止図柄記憶エリア66に記憶される。
また、S42の判断処理でリーチと判定されなかった場合(S42でNOの場合)には、S33で読み出した普通図柄作成カウンタLC1、普通図柄作成カウンタLC2、普通図柄作成カウンタLC3の乱数に基づいて、RAM60の普通図柄停止図柄記憶エリア66に記憶するはずれ図柄選択処理を行う(S45)。
S41またはS44またはS45の処理が終了すると、次に、普通図柄表示部L1〜L3の図柄に確定表示する停止図柄を指定する図柄指定コマンドを図柄変動制御装置36に出力する(S46)。この図柄指定コマンドは、RAM60の普通図柄停止図柄記憶エリア66に記憶している停止図柄に基づいて出力される。
次いで、変動パターンコマンド出力処理を行う(S47)。この変動パターンコマンド出力処理は、メイン制御装置35のRAM60の普通図柄変動コマンド記憶エリア71に記憶した図柄の変動パターンコマンドを図柄変動制御装置36に出力する。RAM60の普通図柄変動コマンド記憶エリア71にリーチの変動パターンコマンドが記憶されている場合には、そのリーチの変動パターンコマンドをメイン制御装置35から図柄変動制御装置36に出力し、リーチの変動パターンコマンドが記憶されていない場合には、通常変動の変動パターンコマンドをメイン制御装置35から図柄変動制御装置36に出力する(S47)。図柄変動制御装置36では、メイン制御装置35から受信した変動パターンコマンドに基づいて、記憶手段47のROMの普通図柄変動データ記憶エリア78に記憶された図柄変動データにしたがって、普通図柄表示装置11の普通図柄表示部L1〜L3の図柄の変動を制御する。そして、処理を終了して図15に示す当たり判定処理に戻る。
上述の如くパチンコ機1では、図柄始動ゲート13に遊技球が入賞すると、メイン制御装置35において「抽選」が行われ、普通図柄表示装置11に、その「抽選」の結果が表示される。なお、その際に、普通図柄表示装置11へ変動表示する表示時間や変動表示態様といった演出方法も決定されるとともに、入賞球の保留管理も行われる。そして、「抽選」において「当たり」と判定されると、当たり作動処理が実行され、特定入賞口15が所定の態様(すなわち、「開放パターン」)によって所定回数だけ開放される。
そして、特定入賞口15が約5.6秒間開放した場合には、遊技領域7に遊技球を打ち込んでいれば、きわめて高い確率で、特定入賞口15に遊技球が4個以上入賞する。特定入賞口15に入賞した遊技球は、特定入賞口15と連通した振分入賞装置16内に流下し、回転体17と隣接する位置から順に、待機通路21に縦列する(図3参照)。なお、この5.6秒間に9個以上入賞した場合には、9個目以降の遊技球は、排出通路22を通って排出孔20から排出される。
また、特定入賞口15が開放された後に閉じると、回転体17は、直ちに左回りに2回転し、再度同じ位置(図3の位置)で停止する。回転体17が左回転を始めると、待機通路21に縦列している1個目の遊技球が、回転体17の第2保持部25c内に導かれる。そして、2個目の遊技球が、第2保持部25d内に導入され、3個目の遊技球が、第1保持部24内に導かれる。第1保持部24の上側保持領域26に導入された遊技球は、そのまま下側保持領域27に落下するため、第1保持部24には、1個の遊技球のみが導入されることとなる。さらに、4個目の遊技球が、第2保持部25aに導かれる。
第1保持部24、第2保持部25c,25d,25a・・に導かれた遊技球は、それらの保持部に保持された状態で、回転体17の回転に伴って移動する(回転体17の中心を軸にして左回りに公転する)。その際に、第2保持部25c,25d,25a・・に導かれた遊技球は、回転体17の裏側に穿設された排出口18から排出される。しかしながら、第1保持部24の後面側には仕切板28が設けられているため、第1保持部24に導かれた遊技球は、排出口18から排出されず、回転体17の回転に伴ってさらに移動し、作動領域19の付近まで到達したときに第1保持部14から落下して、作動領域19内に入賞する。
なお、遊技領域7に遊技球を打ち込んでいれば、特定入賞口15の5.6秒間の開放中に、きわめて高い確率で、4個以上の遊技球が入賞する。したがって、遊技者が意図的に遊技領域7に遊技球を打ち込んでいない場合を除いて、1回目の特定入賞口15の開放時に遊技球が作動領域19に入賞しなかったと判断される事態は、ほとんど起こらない。また、約0.1秒間の開放中に特定入賞口15に4個以上の遊技球が入賞する確率は、きわめて低いため、特定入賞口15の約0.1秒間の開放によって、遊技球が作動領域19に入賞する、という事態は、ほとんど起こらない。
(4)実施例1のパチンコ機の特徴部分の説明
以下、図17〜図19を参照して、当たり判定処理の権利処理(図15、S22)の説明をする。なお、S55,S57,S75,S77,S91,S93,S111,S113,S121,S123を実行するメインCPU40と作動領域19に設置された停留球スイッチ90とによって、「特定入賞口15への遊技球の入賞タイミングを検知する検知手段」が構成されている。また、S65,S67,S69,S85,S87,S89,S101,S103,S105,S115,S117,S119,S125,S127,S129を実行するメインCPU40と記憶手段41(ROM59)とによって、「検知手段によって検知された入賞タイミングに応じて特別入賞口である大入賞口32の開放動作の繰り返し回数を決定する決定手段」が構成されている。
まず、権利状態フラグが“1”であるか否かを確認する(S51)。権利状態フラグが“1”である場合(S51でYESの場合)には、権利取得チャンス状態であるので、開放時間制御カウンタkの数値に“1”を加算する。しかる後に、S55で、開放時間制御カウンタkの数値が“2801”以上であるか否か(特定入賞口15の開放開始から5.6秒より長く経過したか否か、すなわち、特定入賞口15の開放が2回目以降のものであるか否か)判断される。S55で、NOと判断された場合には、S57で、停留球スイッチフラグがONになっているか否かを判断する。停留球スイッチフラグがONになっている場合には、特定入賞口15内の特別装置作動領域に遊技球が停留していることを意味するので、大入賞口32を開放する大入賞口開放遊技状態へ移行可能な権利取得状態へ移行する。そこで、権利状態フラグに権利取得状態を示す“2”をセットする(S65)。さらに、大入賞口開放パターンAを選択し(図12参照)、大入賞口開放回数制御カウンタjを4に設定する。しかる後に、当たり判定処理に戻る。なお、S67で「権利発生状態」における大入賞口32の開放回数が選択されると、その選択された数値が、決定回数表示部57に点灯表示される(すなわち、決定回数表示部57に「04」と表示される)。かかる表示によって、遊技者は、「権利発生状態」における大入賞口32の開放回数が何回であるのかを認識することができる。
一方、S57で、停留球スイッチフラグがONになっていないと判断された場合には、第一開放時間制御カウンタkの数値が“2800”であるか否か(すなわち、特定入賞口15が1回目の開放をした後に5.6秒経過したか否か)判断される。そして、第一開放時間制御カウンタkの数値が“2800”であると判断された場合には、特定入賞口15を再度開放させるために、S61で、特定入賞口2回目開放信号を送信し、特定入賞口開放フラグを“2”にセットする。しかる後に、当たり判定処理に戻る。
また、S58で開放時間制御カウンタkの数値が“2800”でないと判断された場合には、何もせずに当たり判定処理に戻る。
一方、S55で第一開放時間制御カウンタkの数値が“2801”以上であると判断された場合には、S57で、停留球スイッチフラグがONになっているか否かを判断する。停留球スイッチフラグがONになっている場合には、大入賞口開放遊技状態へ移行可能な権利取得状態へ移行する。そこで、権利状態フラグに権利取得状態を示す“2”をセットする(S65)。さらに、大入賞口開放パターンAを選択し(図12参照)、大入賞口開放回数制御カウンタjを4に設定する。しかる後に、当たり判定処理に戻る。
一方、S57で、停留球スイッチフラグがONになっていないと判断された場合には、第二開放時間制御カウンタlの数値に“1”を加算する。しかる後に、S73で、特定入賞口15の開放パターンがパターンCに設定されているか否か判断される。S73でYESと判断された場合(すなわち、特定入賞口15の開放パターンがパターンCである場合)には、特定入賞口15の2回目の開放時間は、0.1秒間であるため、S75で、第二開放時間制御カウンタlの数値が“51”以上であるか否か(すなわち、特定入賞口15の開放開始から0.1秒より長く経過したか否か)判断される。S75で、NOと判断された場合には、S77で、停留球スイッチフラグがONになっているか否かを判断する。停留球スイッチフラグがONになっている場合には、大入賞口開放遊技状態へ移行可能な権利取得状態へ移行する。そこで、権利状態フラグに権利取得状態を示す“2”をセットする(S85)。さらに、大入賞口開放パターンBを選択し(図12参照)、大入賞口開放回数制御カウンタjを8に設定する。しかる後に、当たり判定処理に戻る。
一方、S77で、停留球スイッチフラグがONになっていないと判断された場合には、第二開放時間制御カウンタlの数値が“50”であるか否か(すなわち、特定入賞口15が2回目の開放をした後に0.1秒経過したか否か)判断される。そして、第二開放時間制御カウンタlの数値が“50”であると判断された場合には、特定入賞口15を再度開放させるために、S81で、特定入賞口3回目開放信号を送信し、特定入賞口開放フラグを“2”にセットする。しかる後に、当たり判定処理に戻る。
また、S79で第二開放時間制御カウンタlの数値が“50”でないと判断された場合には、何もせずに当たり判定処理に戻る。
一方、S73で、特定入賞口15の開放パターンがパターンAあるいはパターンBであると判断された場合(S73でNOと判断された場合)には、特定入賞口15の2回目の開放時間は、5.6秒間であるため、S91で、第二開放時間制御カウンタlの数値が“2801”以上であるか否か(すなわち、特定入賞口15の開放開始から5.6秒より長く経過したか否か)判断される。S91で、NOと判断された場合には、S93で、停留球スイッチフラグがONになっているか否かを判断する。停留球スイッチフラグがONになっている場合には、大入賞口開放遊技状態へ移行可能な権利取得状態へ移行する。そして、権利状態フラグに権利取得状態を示す“2”をセットする(S101)。さらに、大入賞口開放パターンBを選択し(図12参照)、大入賞口開放回数制御カウンタjを8に設定する。しかる後に、当たり判定処理に戻る。
一方、S93で停留球スイッチフラグがONになっていないと判断された場合には、S95で、第二開放時間制御カウンタlの数値が“2800”であるか否か(すなわち、特定入賞口15が2回目の開放をした後に5.6秒経過したか否か)判断される。そして、第二開放時間制御カウンタlの数値が“2800”であると判断された場合には、特定入賞口15を再度開放させるために、S97で、特定入賞口3回目開放信号を送信し、特定入賞口開放フラグを“2”にセットする。しかる後に、当たり判定処理に戻る。
また、S95で第二開放時間制御カウンタlの数値が“2800”でないと判断された場合には、何もせずに当たり判定処理に戻る。
一方、S75で第二開放時間制御カウンタlの数値が“51”以上であると判断された場合、および、S91で第二開放時間制御カウンタlの数値が“2801”以上であると判断された場合には、S109で、特定入賞口15の開放パターンがパターンAに設定されているか否か判断される。S109でNOと判断された場合(すなわち、特定入賞口15の開放パターンがパターンBである場合)には、特定入賞口15の3回目の開放時間は、0.1秒間であるため、S111で、第三開放時間制御カウンタmの数値が“51”以上であるか否か(すなわち、特定入賞口15の開放開始から0.1秒より長く経過したか否か)判断される。そして、S111で、NOと判断された場合には、S113で、停留球スイッチフラグがONになっているか否かを判断する。停留球スイッチフラグがONになっている場合には、大入賞口開放遊技状態へ移行可能な権利取得状態へ移行するため、権利状態フラグに権利取得状態を示す“2”をセットする(S115)。さらに、大入賞口開放パターンCを選択し(図12参照)、大入賞口開放回数制御カウンタjを16に設定する。しかる後に、当たり判定処理に戻る。
また、S113で、停留球スイッチフラグがONになっていないと判断された場合には、何もせずに当たり判定処理に戻る。
一方、S109で特定入賞口15の開放パターンがパターンAに設定されていると判断された場合には、特定入賞口15の3回目の開放時間は、5.6秒間であるため、S121で、第三開放時間制御カウンタmの数値が“2801”以上であるか否か(すなわち、特定入賞口15の開放開始から5.6秒より長く経過したか否か)判断される。そして、S121で、NOと判断された場合には、S123で、停留球スイッチフラグがONになっているか否かを判断する。停留球スイッチフラグがONになっている場合には、大入賞口開放遊技状態へ移行可能な権利取得状態へ移行するため、権利状態フラグに権利取得状態を示す“2”をセットする(S125)。さらに、大入賞口開放パターンCを選択し(図12参照)、大入賞口開放回数制御カウンタjを16に設定する。しかる後に、当たり判定処理に戻る。
また、S123で、停留球スイッチフラグがONになっていないと判断された場合には、何もせずに当たり判定処理に戻る。
さらに、S111で第三開放時間制御カウンタmの数値が“51”以上であると判断された場合、および、S121で第三開放時間制御カウンタmの数値が“2801”以上であると判断された場合には、権利取得チャンス状態となり、特定入賞口15が所定の開放パターンで開放したにも拘わらず、特定入賞口15に遊技球が入賞しなかったことを意味する。そのため、通常の遊技状態に戻すために、権利状態フラグに“0”をセットするとともに(S131)、特定入賞口開放フラグに“0”をセットして、当たり判定処理に戻る。
一方、S51で権利状態フラグが“1”でないと判断された場合には、権利取得チャンス状態でなく、権利状態であるため、S135で、第三種回転体スイッチフラグがONになっているか否か判断される。そして、第三種回転体スイッチフラグがONになっていると判断された場合には、S137で、大入賞口開放中フラグがONとされる。しかる後に、S137で、大入賞口開放制御カウンタjの数値から“1”だけ減算される。さらに、S141で、大入賞口開放制御カウンタjの数値が“0”であるか否か判断され、“0”であると判断された場合には、権利状態フラグに“0”をセットした後に(S143)、当たり判定処理に戻る。
また、S141で大入賞口開放制御カウンタjの数値が“0”であると判断された場合には、何もせず当たり判定処理に戻る。
一方、S135で第三種回転体スイッチフラグがONになっていないと判断された場合には、何もせず当たり判定処理に戻る。
権利状態フラグが“2”となっている場合には、遊技球が第三種始動口29に入賞する毎に(第三種回転体スイッチフラグがONとなる毎に)、大入賞口32が9.8秒間あるいは遊技球が10個入賞するまで開放する。そして、そのような第三種始動口29への遊技球の入賞を契機とした大入賞口32の断続的な開放を、S67,S69,S87,S89,S103,S105,S117,S119,S127,S129で選択された開放回数(4回、8回、16回)だけ繰り返す。加えて、「権利発生状態」においては、回転部材30が10秒で1回転するので、短時間の内に頻繁に遊技球が第三種始動口29に入賞する。したがって、大入賞口32は、閉じた後直ちに再度開放されるので、遊技者は、短時間の内に多くの賞品球を獲得することができる。なお、開放回数表示部58は、「権利発生状態」が生起した時点では、“0”を点灯表示しているが、遊技球が第三種始動口19へ入賞することにより大入賞口32が開放する毎に、1ずつ加算した数字を点滅表示する(すなわち、大入賞口32が1回目の開放をすると“1”を点滅表示し、大入賞口32が2回目の開放をすると“2”を点滅表示する)。かかる表示によって遊技者は、その大入賞口32の開放が何回目の開放であるかを認識することができる。
また、S67,S69で大入賞口32の「開放パターン」がパターンAに決定された場合には、遊技者は、最高で15×10×4=600個の遊技球を獲得することができる。さらに、S87,S89,S103,S105で大入賞口32の「開放パターン」がパターンBに決定された場合には、遊技者は、最高で15×10×8=1200個の遊技球を獲得することができる。加えて、S117,S119,S127,S129で大入賞口32の「開放パターン」がパターンCに決定された場合には、遊技者は、最高で15×10×16=2400個の遊技球を獲得することができる。
パチンコ機1aは、上記のように作動するため、特定入賞口15の2回目の開放時に遊技球を作動領域19に入賞させることにより「権利発生状態」を生起させた場合の方が、特定入賞口15の1回目の開放時に遊技球を作動領域19に入賞させることにより「権利発生状態」を生起させた場合よりも多くの賞品球を獲得することができる。さらに、特定入賞口15の3回目の開放時に遊技球を作動領域19に入賞させることにより「権利発生状態」を生起させた場合の方が、特定入賞口15の2回目の開放時に遊技球を作動領域19に入賞させることにより「権利発生状態」を生起させた場合よりも多くの賞品球を獲得することができる。したがって、遊技者は、特定入賞口15の1回目や2回目の開放時には、意図的に遊技球を作動領域19に入賞させず(たとえば、意図的に遊技球を遊技領域7に打ち込まず)、特定入賞口15の3回目の開放時に遊技球を作動領域19に入賞させて「権利発生状態」を生起させることにより、多くの遊技球を得ることもできる。しかしながら、遊技者にとっては、「抽選」において「当たり」が生起した後に決定された大入賞口32の開放パターンが何であるか分からず、大入賞口32が2回目の開放を実行する前には、2回目の開放時間がどれだけであるのか分からず、大入賞口32が3回目の開放を実行する前には、3回目の開放時間がどれだけであるのか分からない。したがって、遊技者が、意図的に、特定入賞口15の3回目の開放時に遊技球を作動領域19に入賞させて「権利発生状態」を生起させようとした結果、「抽選」において「当たり」を生起させることができたにも拘わらず、「権利発生状態」を生起させることができない事態も起こり得る。
(5)実施例1のパチンコ機の効果
パチンコ機1aは、上記の如く、「抽選」において「当たり」が生起した場合に特定入賞口15を複数回(3回)開放するように制御されるとともに、大入賞口32の開放動作の繰り返し回数が、特定入賞口15の複数回の開放のうちの何回目の開放時に遊技球が入賞(4個以上入賞)したかによって異なるように構成されている。したがって、特定入賞口15の何回目の開放において遊技球が入賞したかによって、獲得できる賞品球数が異なるので、遊技内容がエキサイティングであり、非常に趣向性が高い。また、意図的に、多くの賞品球を獲得可能な特定入賞口15の開放時に遊技球を入賞させることができるので、遊技者の遊技に対する意欲を高く維持することができる。
また、パチンコ機1aは、「抽選」において「当たり」が生起した場合に、特定入賞口15の開放の態様が、予め記憶された複数の態様(すなわち、「開放パターン」)の中から選択され、その選択された「開放パターン」にしたがって特定入賞口15を所定回数(3回)だけ開放するように制御されるとともに、予め記憶された複数の態様のうちの一部(すなわち、「第2パターン」や「第3パターン」)において、最後の開放の時間が、他の開放の時間よりも短くなっているとともに、特定入賞口15の最後の開放時に遊技球が入賞した場合に発生する「権利発生状態」における大入賞口32の開放回数が、最後以外の特定入賞口15の開放時に遊技球が入賞した場合に発生する「権利発生状態」における大入賞口32の開放回数よりも多い。したがって、遊技者は、特定入賞口15の最後の短時間の開放時に特定入賞口15へ入賞させることができれば、多くの賞品球を得ることができる反面、特定入賞口15の最後の開放時間が短い場合もあり、その最後の開放時に遊技球を特定入賞口15へ入賞させることができなかった場合には、大入賞口15を連続的に開放させることができない。それゆえ、遊技内容がきわめてスリリングであり、非常に長期間に亘って、遊技者の遊技に対する意欲を高く保持することができる。
(6)実施例2のパチンコ機の構成
実施例2のパチンコ機1bの構成は、実施例1のパチンコ機1aの構成と略同様であるが、「抽選」した後に実行されるプログラムの内容が異なっている。また、パチンコ機1bは、「抽選」において「当たり」が生起した場合には、特定入賞口が約4秒間の開放を2回繰り返すようになっている。さらに、パチンコ機1bのメイン制御装置35のRAM60には、図21の如く、「権利発生状態」における大入賞口32の断続的な開放回数(4種類)が、特定入賞口15の開放開始から遊技球が入賞するまでの時間(以下、単に「入賞タイム」という)と対応付けられて記憶されている。さらに、パチンコ機1bは、特定入賞口15へ入賞した遊技球が振分入賞装置16に流下せず、特定入賞口15に遊技球が入賞すると、特定入賞口15に内蔵された入賞検出装置によって、その入賞が検出されて、直ちに、「権利発生状態」が生起するようになっている。加えて、実施例2のパチンコ機1bは、普通図柄処理(図14、S12)で行われる当たり判定処理の内容、および権利処理の内容が、実施例1のパチンコ機1aと異なっている。
図22は、パチンコ機1bの普通図柄処理(図14、S12)で行われる当たり判定処理についてフローチャートである。パチンコ機1bにおいては、S16で、権利状態フラグが“1”であるか否かが確認され、権利状態フラグが“1”であると判断された場合(S16でYESの場合)には、S17で、特定入賞口開放信号を図柄変動制御装置36へ送信する。しかる後に、特定入賞口開放中フラグ“1”をセットしてONし(S18)、第一開放時間制御カウンタkの数値、第二開放時間制御カウンタlの数値を、それぞれ、“0”にセットして(S19)処理を終了する。
(8)実施例2のパチンコ機の特徴部分の説明
以下、図23〜図25を参照して、パチンコ機1bの当たり判定処理の権利処理(図22、S22)の説明をする。なお、S205,S207,S213,S215,S229,S231,S237,S239を実行するメインCPU40と作動領域19に設置された停留球スイッチ90とによって、「特定入賞口15への遊技球の入賞タイミングを検知する検知手段」が構成されている。また、S211,S225,S235,S249を実行するメインCPU40と記憶手段41(ROM59)とによって、「検知手段によって検知された入賞タイミングに応じて特別入賞口である大入賞口32の開放動作の繰り返し回数を決定する決定手段」が構成されている。
権利処理では、まず、権利状態フラグが“1”であるか否かを確認する(S201)。権利状態フラグが“1”である場合(S201でYESの場合)には、権利取得チャンス状態であるので、開放時間制御カウンタkの数値に“1”を加算する。しかる後に、S205で、開放時間制御カウンタkの数値が“1001”以上であるか否か(すなわち、特定入賞口15が1回目の開放をした後に2秒より長く経過したか否か)判断される。S205で、NOと判断された場合には、S207で、停留球スイッチフラグがONになっているか否かを判断する。停留球スイッチフラグがONになっている場合には、大入賞口開放遊技状態へ移行可能な権利取得状態へ移行する。そこで、権利状態フラグに権利取得状態を示す“2”をセットする(S209)とともに、大入賞口開放回数制御カウンタjを6に設定する。しかる後に、当たり判定処理に戻る。
一方、S207で、停留球スイッチフラグがONになっていないと判断された場合には、何もせずに当たり判定処理に戻る。
また、S205で第一開放時間制御カウンタkの数値が“1001”以上であると判断された場合には、S213で、第一開放時間制御カウンタkの数値が“2001”以上であるか否か(すなわち、特定入賞口15が1回目の開放をした後に4秒より長く経過したか否か)判断される。そして、S213でNOと判断された場合には、S215で、停留球スイッチフラグがONになっているか否かを判断する。停留球スイッチフラグがONになっている場合には、権利状態フラグに権利取得状態を示す“2”をセットする(S223)とともに、大入賞口開放回数制御カウンタjを2に設定する。しかる後に、当たり判定処理に戻る。
また、S215で停留球スイッチフラグがONになっていないと判断された場合には、S217で、第一開放時間制御カウンタkの数値が“2000”であるか否か(すなわち、特定入賞口15が2回目の開放をした後に4秒経過したか否か)判断される。そして、第一開放時間制御カウンタkの数値が“2000”であると判断された場合には、特定入賞口15を再度開放させるために、S219で、特定入賞口2回目開放信号を送信し、特定入賞口開放フラグを“2”にセットする。しかる後に、当たり判定処理に戻る。
また、S217で第一開放時間制御カウンタkの数値が“2000”でないと判断された場合には、何もせずに当たり判定処理に戻る。
一方、S213で第一開放時間制御カウンタkの数値が“2001”以上であると判断された場合には、第二開放時間制御カウンタlの数値に“1”を加算する。しかる後に、S229で、第二開放時間制御カウンタlの数値が“1001”以上であるか否か(すなわち、特定入賞口15が2回目の開放をした後に2秒より長く経過したか否か)判断される。S229で、NOと判断された場合には、S231で、停留球スイッチフラグがONになっているか否かを判断する。停留球スイッチフラグがONになっている場合には、権利状態フラグに権利取得状態を示す“2”をセットする(S233)とともに、大入賞口開放回数制御カウンタjを1に設定する(図25参照)。しかる後に、当たり判定処理に戻る。
一方、S231で停留球スイッチフラグがONになっていないと判断された場合には、何もせずに当たり判定処理に戻る。
また、S229で第二開放時間制御カウンタlの数値が“1001”以上であると判断された場合には、S237で、第二開放時間制御カウンタlの数値が“2001”以上であるか否か(すなわち、特定入賞口15が2回目の開放をした後に4秒より長く経過したか否か)判断される。S237で、NOと判断された場合には、S239で、停留球スイッチフラグがONになっているか否かを判断する。停留球スイッチフラグがONになっている場合には、S247で、権利状態フラグに権利取得状態を示す“2”をセットするとともに、S249で、大入賞口開放回数制御カウンタjを16に設定する(図24参照)。しかる後に、当たり判定処理に戻る。
一方、S241で第二開放時間制御カウンタlの数値が“2000”であると判断された場合には、何もせずに当たり判定処理に戻る。
また、S237で第二開放時間制御カウンタlの数値が“2001”以上であると判断された場合には、権利取得チャンス状態となり、特定入賞口15が約4秒ずつ2回繰り返して開放したにも拘わらず、特定入賞口15に遊技球が入賞しなかったことを意味する。そのため、通常の遊技状態に戻すために、S251で、権利状態フラグに“0”をセットするとともに、S253で、特定入賞口開放フラグに“0”をセットして、当たり判定処理に戻る。
一方、S201で権利状態フラグが“1”でないと判断された場合には、権利取得チャンス状態でなく、権利状態であるため、S255で、第三種回転体スイッチフラグがONになっているか否か判断される。そして、第三種回転体スイッチフラグがONになっていると判断された場合には、S257で、大入賞口開放中フラグがONとされる。しかる後に、S259で、大入賞口開放制御カウンタjの数値から“1”だけ減算される。さらに、S261で、大入賞口開放制御カウンタjの数値が“0”であるか否か判断され、“0”であると判断された場合には、権利状態フラグに“0”をセットした後に(S263)、当たり判定処理に戻る。
また、S261で大入賞口開放制御カウンタjの数値が“0”であると判断された場合には、何もせず当たり判定処理に戻る。
一方、S255で第三種回転体スイッチフラグがONになっていないと判断された場合には、何もせず当たり判定処理に戻る。
パチンコ機1bは、上記の如く、メイン制御装置35の記憶手段41(ROM59)に「権利発生状態」における大入賞口32の繰り返し開放回数が記憶されているとともに、その記憶された繰り返し開放回数が、特定入賞口15の開放開始から遊技球が入賞するまでの時間に対応付けられている。そして、遊技球が特定入賞口15へ入賞するタイミングによって、獲得できる賞品球の個数が大きく変動する。すなわち、S205で特定入賞口15の1回目の開放開始から2秒未満で遊技球が入賞したと判断され、S211で大入賞口32の開放回数が6回に決定された場合には、遊技者の獲得できる遊技球の数は、最高で15×10×6=900個となる。また、S213で特定入賞口15の1回目の開放開始から2秒以上で遊技球が入賞したと判断され、S225で大入賞口32の開放回数が2回に決定された場合には、遊技者の獲得できる遊技球の数は、最高で15×10×2=300個となる。さらに、S229で特定入賞口15の2回目の開放開始から2秒未満で遊技球が入賞したと判断され、S235で大入賞口32の開放回数が1回に決定された場合には、遊技者の獲得できる遊技球の数は、最高で15×10×1=150個となる。加えて、S237で特定入賞口15の2回目の開放開始から2秒以上で遊技球が入賞したと判断され、S249で大入賞口32の開放回数が16回に決定された場合には、遊技者の獲得できる遊技球の数は、最高で15×10×16=2400個となる。
したがって、パチンコ機1bにおいては、遊技者は、意図的に、特定入賞口15へ入賞させるタイミングを調整することにより、多くの遊技球を得ることも可能となる。しかしながら、一番多くの遊技球を獲得し得るタイミングが、特定入賞口15の2回目の開放開始から2秒後以降に設定されているため、そのタイミングに特定入賞口15へ遊技球を入賞させることを狙った結果、特定入賞口15へ遊技球を入賞させることができず、「抽選」において「当たり」を生起させることができたにも拘わらず、「権利発生状態」を生起させることができない事態も起こり得る。
(8)実施例2のパチンコ機の効果
パチンコ機1bは、上記の如く、「抽選」において「当たり」が生起した場合に特定入賞口15を複数回(2回)開放するように制御されるとともに、大入賞口32の開放動作の繰り返し回数が、「当たり」が生起した後の特定入賞口15の最初の開放開始から遊技球が入賞するまでの時間によって異なるように構成されている。したがって、特定入賞口15の最初の開放開始から遊技球が入賞するまでの時間によって、獲得できる賞品球数が異なるので、遊技内容がエキサイティングであり、非常に趣向性が高い。また、特定入賞口15の開放開始後に、意図的に、多くの賞品球を獲得し得る時間の経過を待って特定入賞口15へ遊技球を入賞させることができるので、遊技者の遊技に対する意欲を高く維持することができる。
(9)本発明の変更例の説明
なお、本発明のパチンコ機の構成は、上記した実施例の態様に何ら限定されるものではなく、図柄表示装置、図柄始動ゲート、特定入賞口、振分入賞装置、第三種始動口、大入賞口、決定回数表示装置、開放回数表示装置、メイン制御装置、図柄変動制御装置、発光制御装置、効果音制御装置等の形状・構造や、メインルーチン、当たり判定処理、普通図柄判定処理、権利処理等の内容等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
たとえば、上記実施形態のパチンコ機は、「当たり」の生起後に特定入賞口をどのような「開放パターン」で開放するのか、遊技者に分からないようになっているが、遊技盤面上に、選択された「開放パターン」の報知手段を設けて、どのような「開放パターン」で特定入賞口を開放するのかを遊技者に報知するように構成することも可能である。
また、上記実施例1においては、「当たり」生起によって開放した特定入賞口に4個以上の遊技球が入賞しなければ、「権利発生状態」が生起しないように構成されているが、遊技機は、開放された特定入賞口に1個の遊技球が入賞するだけで「権利発生状態」が生起するように構成することも可能であり、「権利発生状態」の生起に必要な特定入賞口への入賞個数は、特に限定されない。
さらに、特定入賞口に連設する振分入賞装置の構成は、上記実施形態の構成に何ら限定されるものではなく、振り分けの方式や作動領域への入賞確率等を必要に応じて適宜変更することができる。
加えて、遊技機は、「当たり」が生起した場合に3通りの「開放パターン」のうちのいずれかを選択するものに限定されず、2通り以下あるいは4通り以上の「開放パターン」が生起するように構成することも可能である。さらに、「当たり」が生起した場合に特定入賞口が1回のみ開放されるとともに、その開放された特定入賞口への入賞タイミング(開放開始からの経過時間)に応じて「権利発生状態」中に得られる特典(大入賞口の繰り返し開放回数)が異なるように構成することも可能である。また、「開放パターン」の内容も、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、繰り返し開放回数や開放時間等を必要に応じて適宜変更することができる。
また、特定入賞口への入賞(4個以上の入賞)によって得られる「権利発生状態」中の大入賞口の繰り返し開放回数や開放時間も、必要に応じて適宜変更することができる。加えて、遊技機は、「権利発生状態」の生起に伴い第三種始動口への入賞毎に大入賞口を所定回数繰り返して開放するものに限定されず、「権利発生状態」が生起すれば直ちに大入賞口を所定回数繰り返して開放するもの等に変更することも可能である。
加えて、遊技機は、特定入賞口の開放開始から特定入賞口への入賞まで、図柄表示装置で動画を表示するものとし、特定入賞口への入賞タイミングに起因した「権利発生状態」の内容の違いを、図柄表示装置において表示される動画の内容に起因したものであるかの如く演出することも可能である。かかる構成を採用した場合には、遊技機は、より一層趣向性が高いものとなる。
なお、本発明の遊技機は、第三種のパチンコ機ばかりでなく、第一種のパチンコ機やスロットマシーン等の他の遊技機として応用することも可能である。