しかし、特許文献1に記載の放射線画像変換パネルの製造方法においては、層厚方向における光透過率(Tth)及び平面方向における光透過率(Tfl)の比を0<Tfl/Tth≦0.7とするために、光の屈折率、あるいは光透過率が輝尽性蛍光体と異なる材料を輝尽性蛍光体層の層厚方向に壁のように形成する工程を必要としている。
また、特許文献2に記載の放射線画像変換パネルの製造方法においては、輝尽性蛍光体層の表面を平坦化処理するため、柱状結晶を気相堆積法により形成する際に、柱状結晶を所定の高さになるまで成長させた後で気相堆積条件を連続膜が形成される条件に変更し、さらに柱状結晶の気相堆積を継続するという連続膜の形成の工程を必要としている。
また、特許文献3に記載の放射線画像変換パネルの製造方法においては、輝尽性蛍光体層における励起光の吸収度と保護フィルムにおける励起光の吸収度との間に差を設けるために、保護フィルムに励起光吸収層を設ける一方で、支持体と輝尽性蛍光体層との間にも輝尽発光と直接関係のない励起光吸収層を形成する工程を必要としている。
このように、特許文献1〜3のいずれの放射線画像変換パネルの製造方法においても、放射線に対する感度を改善し、鮮鋭性に優れた画像を得るために、輝尽性蛍光体層を加工し、あるいは輝尽性蛍光体層に輝尽発光と直接関係のない壁、膜、あるいは層を設ける工程を必要としていた。したがって、そのような膜あるいは層を形成する材料及び製造技術を別途要すると共に、製造工程が複雑化するという問題があった。
本発明は上述した実情に鑑みてなされたものであり、輝尽性蛍光体層を加工し、あるいは輝尽性蛍光体層に輝尽発光と直接関係のない構成部分を設けることなく、放射線に対する感度が高く画質の良い画像を得ることができる放射線画像読取装置及び放射線画像読取方法並びにこれに用いられる輝尽性蛍光体プレートを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、放射線画像読取方法であって、支持体と、この支持体の表面に形成された輝尽性蛍光体の柱状結晶からなる輝尽性蛍光体層と、この輝尽性蛍光体層の表面を覆うように設けられその表面の凹凸が前記柱状結晶表面の凹凸高さの平均よりも小さくなるように形成された保護層とから構成され、前記輝尽性蛍光体層に放射線エネルギーを蓄積した輝尽性蛍光体プレートに、前記柱状結晶の平均面積S2と、光源から発射されて前記保護層を透過した励起光のビームの平均面積S3との相対関係がS3≧10×S2となるようにして走査部により前記励起光を走査する工程と、前記励起光の走査によって前記輝尽性蛍光体層から放出された輝尽光を検出器により検出する工程と、を有することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、輝尽性蛍光体層の表面を覆うように保護層が設けられている場合でも、この保護層を透過した励起光のビームの平均面積S3と柱状結晶の平均面積S2との相対関係がS3≧10×S2とされており、柱状結晶の面積に対して輝尽性蛍光体プレートに走査される励起光の面積が所定比以上に大きくされていることから、励起光の可干渉性によるランダムな光干渉に起因する斑点状などのランダムな画像ノイズの発生は低減される。
また、保護層を輝尽性蛍光体層の表面を覆うように設けることで、一般的に吸湿性が大きい輝尽性蛍光体の吸湿による劣化及び損傷などを防ぐことができるようになる。
請求項2に記載の発明は、上記放射線画像読取方法であって、前記柱状結晶の平均面積S2は1×10-6〜1×10-3mm2であり、前記保護層を透過した励起光のビームの平均面積S3は3×10-4〜3×10-2mm2であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、特に、柱状結晶の平均面積S2及び励起光のビームの平均面積S1がこれらの値をとることで、励起光により柱状結晶を均一に励起することができるため、輝尽光として受光する光の強度のゆらぎを有効に抑えることができる。
請求項3に記載の発明は、上記放射線画像読取方法であって、前記柱状結晶の平均面積S2と前記保護層を透過した励起光のビームの平均面積S3との相対関係が10×S2≦S3≦10000×S2とされていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、上記と同様の作用が得られる他、輝尽性蛍光体プレートに走査される励起光のビームの平均面積S3の大きさに上限が設けられているため、放射線画像読み取り時の絶対的な分解能を低下させることはない。
請求項4に記載の発明は、上記放射線画像読取方法であって、前記保護層の一面又は両面に微小突起が形成されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、保護層の一面又は両面に微小突起が形成されていることから、保護層を透過する励起光のビーム径が広げられて輝尽性蛍光体プレートに走査される励起光のビームの平均面積S3が柱状結晶の平均面積S2の所定比以上となり、上記と同様の作用を得ることができる。
請求項5に記載の発明は、上記放射線画像読取方法であって、前記保護層は光散乱性の微粒子を含むことを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、保護層が光散乱性の微粒子を含むことから、保護層を透過する励起光のビーム径が広げられて輝尽性蛍光体プレートに走査される励起光のビームの平均面積S3が柱状結晶の平均面積S2の所定比以上となり、上記と同様の作用を得ることができる。
請求項6に記載の発明は、上記放射線画像読取方法であって、前記保護層は特定波長の光を選択的に吸収する着色剤により着色処理が施されているフィルム層を一層以上用いた多層フィルムによって構成されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、保護層に特定波長の光を選択的に吸収する着色剤により着色処理が施されているフィルム層によって放射線エネルギーの励起に関係のない不要光を吸収する一方で、励起光及び輝尽光を透過させる特性を持たせることにより、励起光及び輝尽光のスペクトル分離を容易にすることができる。また、励起に関係のない不要光による画像ノイズ、輝尽性蛍光体プレートの損傷を低減することが可能になる。
また、励起光及び輝尽光に加えて所定の可視領域の光を透過させる特性を保護層に持たせることにより、輝尽性蛍光体プレートの生産過程及び繰り返しの使用の際に、輝尽性蛍光体内部及び保護層への損傷、異物の付着あるいは輝尽性蛍光体層と保護層との間へのゴミ付着の視認などによる異常検知、異常判別を容易にすることができるようになる。
請求項7に記載の発明は、放射線画像読取装置であって、支持体と、この支持体の表面に形成された輝尽性蛍光体の柱状結晶からなる輝尽性蛍光体層と、この輝尽性蛍光体層の表面を覆うように設けられその表面の凹凸が前記柱状結晶表面の凹凸高さの平均よりも小さくなるように形成された保護層とから構成され、前記輝尽性蛍光体層に放射線エネルギーを蓄積した輝尽性蛍光体プレートに、励起光のビームを発射する光源と、前記柱状結晶の平均面積S2と、前記保護層を透過した励起光のビームの平均面積S3との相対関係がS3≧10×S2となるようにして前記輝尽性蛍光体層に前記励起光を走査する走査部と、前記励起光の走査によって前記輝尽性蛍光体層から放出された輝尽光を検出する検出器と、を備えることを特徴とする。
請求項7に記載の発明によれば、輝尽性蛍光体プレートの表面を覆うように保護層が設けられている場合でも、この保護層を透過した励起光のビームの平均面積S3と柱状結晶の平均面積S2との相対関係がS3≧10×S2とされており、柱状結晶の面積に対して輝尽性蛍光体プレートに走査される励起光の面積が所定比以上に大きくされていることから、励起光の可干渉性によるランダムな光干渉に起因する斑点状などのランダムな画像ノイズの発生は低減される。
また、保護層を輝尽性蛍光体層の表面を覆うように設けることで、一般的に吸湿性が大きい輝尽性蛍光体の吸湿による劣化及び損傷などを防ぐことができるようになる。
請求項8に記載の発明は、上記放射線画像読取装置であって、前記柱状結晶の平均面積S2は1×10-6〜1×10-3mm2であり、前記保護層を透過した励起光のビームの平均面積S3は3×10-4〜3×10-2mm2であることを特徴とする。
請求項8に記載の発明によれば、特に、柱状結晶の平均面積S2及び励起光のビームの平均面積S1がこれらの値をとることで、励起光により柱状結晶を均一に励起することができるため、輝尽光として受光する光の強度のゆらぎを有効に抑えることができる。
請求項9に記載の発明は、上記放射線画像読取装置であって、前記柱状結晶の平均面積S2と前記保護層を透過した励起光のビームの平均面積S3との相対関係が10×S2≦S3≦10000×S2とされていることを特徴とする。
請求項9に記載の発明によれば、上記と同様の作用が得られる他、輝尽性蛍光体プレートに走査される励起光のビームの平均面積S3の大きさに上限が設けられているため、放射線画像読み取り時の絶対的な分解能を低下させることはない。
請求項10に記載の発明は、上記の放射線画像読取装置であって、前記保護層の一面又は両面に微小突起が形成されていることを特徴とする。
請求項10に記載の発明によれば、保護層の一面又は両面に微小突起が形成されていることから、保護層を透過する励起光のビーム径が広げられて輝尽性蛍光体プレートに走査される励起光のビームの平均面積S3が柱状結晶の平均面積S2の所定比以上となり、上記と同様の作用を得ることができる。
請求項11に記載の発明は、上記放射線画像読取装置であって、前記保護層は光散乱性の微粒子を含むことを特徴とする。
請求項11に記載の発明によれば、保護層が光散乱性の微粒子を含むことから、保護層を透過する励起光のビーム径が広げられて輝尽性蛍光体プレートに走査される励起光のビームの平均面積S3が柱状結晶の平均面積S2の所定比以上となり、上記と同様の作用を得ることができる。
請求項12に記載の発明は、上記放射線画像読取装置であって、前記保護層は特定波長の光を選択的に吸収する着色剤により着色処理が施されているフィルム層を一層以上用いた多層フィルムによって構成されていることを特徴とする。
請求項12に記載の発明によれば、保護層に特定波長の光を選択的に吸収する着色剤により着色処理が施されているフィルム層によって放射線エネルギーの励起に関係のない不要光を吸収する一方で、励起光及び輝尽光を透過させる特性を持たせることにより、励起光及び輝尽光のスペクトル分離を容易にすることができる。また、励起に関係のない不要光による画像ノイズ、輝尽性蛍光体プレートの損傷を低減することが可能になる。
また、励起光及び輝尽光に加えて所定の可視領域の光を透過させる特性を保護層に持たせることにより、輝尽性蛍光体プレートの生産過程及び繰り返しの使用の際に、輝尽性蛍光体内部及び保護層への損傷、異物の付着あるいは輝尽性蛍光体層と保護層との間へのゴミ付着の視認などによる異常検知、異常判別を容易にすることができるようになる。
請求項13に記載の発明は、支持体と、この支持体の表面に形成された輝尽性蛍光体の柱状結晶からなり、放射線エネルギーを蓄積する輝尽性蛍光体層と、この輝尽性蛍光体層の表面を覆うように設けられその表面の凹凸が前記柱状結晶表面の凹凸高さの平均よりも小さくなるように形成された保護層とから構成され、光源から発射されて保護層を透過したビームの平均面積S3が3×10-4〜3×10-2mm2である励起光を前記輝尽性蛍光体層に走査することによって輝尽光が放出される輝尽性蛍光体プレートであって、前記柱状結晶の平均面積S2は1×10-6〜1×10-3mm2であることを特徴とする。
請求項13に記載の発明によれば、柱状結晶の平均面積S2に対して保護層を透過した励起光のビームの平均面積S3が所定比以上に大きくされていることから、励起光の可干渉性によるランダムな光干渉に起因する斑点状などのランダムな画像ノイズの発生は低減される。特に、柱状結晶の平均面積S2及び保護層を透過した励起光のビームの平均面積S3がこれらの値をとることで、励起光により柱状結晶を均一に励起することができるため、輝尽光として受光する光の強度のゆらぎを有効に抑えることができる。
請求項14に記載の発明は、上記輝尽性蛍光体プレートであって、前記保護層の一面又は両面に微小突起が形成されていることを特徴とする。
請求項14に記載の発明によれば、保護層の一面又は両面に微小突起が形成されていることから、保護層を透過する励起光のビーム径が広げられて輝尽性蛍光体プレートに走査される励起光のビームの平均面積S3が柱状結晶の平均面積S2の所定比以上となり、励起光の可干渉性によるランダムな光干渉に起因する斑点状などのランダムな画像ノイズの発生は低減される。
請求項15に記載の発明は、上記輝尽性蛍光体プレートであって、前記保護層は光散乱性の微粒子を含むことを特徴とする。
請求項15に記載の発明によれば、保護層が光散乱性の微粒子を含むことから、保護層を透過する励起光のビーム径が広げられて輝尽性蛍光体プレートに走査される励起光のビームの平均面積S3が柱状結晶の平均面積S2の所定比以上となり、保護層を透過する励起光の可干渉性によるランダムな光干渉に起因する斑点状などのランダムな画像ノイズの発生は低減される。
請求項16に記載の発明は、上記輝尽性蛍光体プレートであって、前記保護層は特定波長の光を選択的に吸収する着色剤により着色処理が施されているフィルム層を一層以上用いた多層フィルムによって構成されていることを特徴とする。
請求項16に記載の発明によれば、特定波長の光を選択的に吸収する着色剤により着色処理が施されているフィルム層によって放射線エネルギーの励起に関係のない不要光を吸収する一方で、励起光及び輝尽光を透過させる特性を持たせることにより、励起光及び輝尽光のスペクトル分離を容易にすることができる。また、励起に関係のない不要光による画像ノイズ、輝尽性蛍光体プレートの損傷を低減することが可能になる。
また、励起光及び輝尽光に加えて所定の可視領域の光を透過させる特性を保護層に持たせることにより、輝尽性蛍光体プレートの生産過程及び繰り返しの使用の際に、輝尽性蛍光体内部及び保護層への損傷、異物の付着あるいは輝尽性蛍光体層と保護層との間へのゴミ付着の視認などによる異常検知、異常判別を容易にすることができるようになる。
請求項1に記載の発明によれば、保護層が設けられた輝尽性蛍光体プレートから放射線画像を読み取る場合でも、励起光の可干渉性によるランダムな光干渉に起因する斑点状などのランダムな画像ノイズの発生を抑えて従来よりも鮮明性に優れた画質の良い放射線画像を読み取ることができる。
請求項2に記載の発明によれば、特に、輝尽光として受光する光の強度のゆらぎを有効に抑えることができる。
請求項3に記載の発明によれば、保護層が設けられた輝尽性蛍光体プレートから放射線画像を読み取る場合でも放射線画像読み取り時の絶対的な分解能を低下させることなく、励起光の可干渉性によるランダムな光干渉に起因する斑点状などのランダムな画像ノイズの発生を抑えて、従来よりも鮮明性に優れた画質の良い放射線画像を読み取ることができる。
請求項4に記載の発明によれば、保護層の一面又は両面に形成された微小突起によって保護層を透過する励起光のビーム径を広げることによって上記と同様の効果を得ることができる。
請求項5に記載の発明によれば、保護層に含まれる光散乱性の微粒子によって保護層を透過する励起光のビーム径を広げることによって上記と同様の効果を得ることができる。
請求項6に記載の発明によれば、保護層によって励起光及び輝尽光のスペクトル分離を容易とし、励起光及び輝尽光の透過特性を励起に関係のない不要光に対して相対的に強大とすることで、放射線画像の鮮鋭性を向上させることができる。
また、輝尽性蛍光体内部及び保護層への損傷、異物の付着、ならびに輝尽性蛍光体層と保護層との間へのゴミ付着の視認などによる異常検知、異常判別を容易にすることで、これらの画質への影響を低減することが容易になる。
請求項7に記載の発明によれば、保護層が設けられた輝尽性蛍光体プレートから放射線画像を読み取る場合でも、励起光の可干渉性によるランダムな光干渉に起因する斑点状などのランダムな画像ノイズの発生を抑えて、従来よりも鮮明性に優れた画質の良い画像を読み取ることができる。
請求項8に記載の発明によれば、特に、輝尽光として受光する光の強度のゆらぎを有効に抑えることができる。
請求項9に記載の発明によれば、保護層が設けられた輝尽性蛍光体プレートから放射線画像を読み取る場合でも、放射線画像読み取り時の絶対的な分解能を低下させることなく、励起光の可干渉性によるランダムな光干渉に起因する斑点状などのランダムな画像ノイズの発生を抑えて、従来よりも鮮明性に優れた画質の良い放射線画像を読み取ることができる。
請求項10に記載の発明によれば、保護層の一面又は両面に形成された微小突起によって保護層を透過する励起光のビーム径を広げることによって、上記と同様の効果を得ることができる。
請求項11に記載の発明によれば、保護層に含まれる光散乱性の微粒子によって保護層を透過する励起光のビーム径を広げることによって、上記と同様の効果を得ることができる。
請求項12に記載の発明によれば、保護層によって励起光及び輝尽光のスペクトル分離を容易とし、励起光及び輝尽光の透過特性を励起に関係のない不要光に対して相対的に強大とすることで、放射線画像の鮮鋭性を向上させることができる。
また、輝尽性蛍光体内部及び保護層への損傷、異物の付着、ならびに輝尽性蛍光体層と保護層との間へのゴミ付着の視認などによる異常検知、異常判別を容易にすることで、これらの画質への影響を低減することが容易になる。
請求項13に記載の発明によれば、保護層が設けられた輝尽性蛍光体プレートから放射線画像を読み取る場合でも、励起光の可干渉性によるランダムな光干渉に起因する斑点状などのランダムな画像ノイズの発生を抑えて、従来よりも鮮明性に優れた画質の良い放射線画像を読み取ることができる。
請求項14に記載の発明によれば、保護層の一面又は両面に形成された微小突起によって保護層を透過する励起光のビーム径を広げることによって、励起光の可干渉性によるランダムな光干渉に起因する斑点状などのランダムな画像ノイズの発生を抑えて、従来よりも鮮明性に優れた画質の良い放射線画像を読み取ることができる。
請求項15に記載の発明によれば、保護層に含まれる光散乱性の微粒子によって保護層を透過する励起光のビーム径を広げることによって、励起光の可干渉性によるランダムな光干渉に起因する斑点状などのランダムな画像ノイズの発生を抑えて、従来よりも鮮明性に優れた画質の良い放射線画像を読み取ることができる。
請求項16に記載の発明によれば、保護層によって励起光及び輝尽光のスペクトル分離を容易とし、励起光及び輝尽光の透過特性を励起に関係のない不要光に対して相対的に強大とすることで、放射線画像の鮮鋭性を向上させることができる。
また、輝尽性蛍光体内部及び保護層への損傷、異物の付着、ならびに輝尽性蛍光体層と保護層との間へのゴミ付着の視認などによる異常検知、異常判別を容易にすることで、これらの画質への影響を低減することが容易になる。
以下、本発明の実施の形態を、図1から図9を参照して説明する。
図1は本実施形態における放射線画像読取装置1の構成を示すブロック図であり、輝尽性蛍光体プレート2に、放射線源3より照射されて被検体4を透過した放射線が照射されて放射線情報としての被検体4の透過放射線画像が蓄積、記録されるようになっている。
放射線画像読取装置1には、輝尽性蛍光体プレート2に記録された放射線情報に基づく潜像画像を読み取るための読取ヘッド5が設けられている。この読取ヘッド5には、輝尽性蛍光体プレート2へ照射する輝尽励起光(以下「励起用レーザ光23」という)を発生させるレーザ光源6と、レーザ光源6より発射された励起用レーザ光23を輝尽性蛍光体プレート2の上を紙面に対して垂直な主走査方向に走査させる光走査部7が備えられている。
図2は、レーザ光源6より発射された励起用レーザ光23が光走査部7によって輝尽性蛍光体プレート2の表面を主走査方向に走査される様子を示すものである。図2に示すように、光走査部7には、周囲に一連の平面反射面を備え、レーザ光源6から発射された励起用レーザ光23を、反射しながら回転することで励起用レーザ光23の反射角度を変えて、輝尽性蛍光体プレート2の表面を主走査方向に走査させるポリゴンミラー8が設けられている。また、レーザ光源6とポリゴンミラー8との間には、レーザ光源6より発射された励起用レーザ光23を平行光束として射出させるコリメータレンズ9が設けられ、コリメータレンズ9とポリゴンミラー8との間には、励起用レーザ光23の平行光束をポリゴンミラー8の回転軸に垂直な方向にのみ線状に収束し、ポリゴンミラー8の表面に入射させるシリンドリカルレンズ10が設けられている。
さらに、ポリゴンミラー8と輝尽性蛍光体プレート2との間には、ポリゴンミラー8により走査された励起用レーザ光23の等角速度運動を等速度運動に変換し、かつ輝尽性蛍光体プレート2の表面における励起用レーザ光23のビーム径を均一にするfθレンズ11が設けられている。これにより、輝尽性蛍光体プレート2の表面に一定のビーム速度かつ一定のビーム径で励起用レーザ光23を走査することが可能となっている。
また、走査線の非画像領域には、光走査の開始タイミングを検知する主走査同期センサ12が備えられており、主走査方向の読み取り位置を算出する基点となっている。
ここで、輝尽性蛍光体プレート2に照射される励起用レーザ光23のビームの平均面積S1について説明する。
レーザ光のビーム面積は、一般的には、レーザの伝播方向(光軸)に対して垂直断面の強度分布を測定した際に、強度のピークに対して1/e2を閾値とした部分をビーム径とし、このビーム径で囲まれた範囲として定義されている。また、レーザ光の光軸が輝尽性蛍光体の表面に垂直に入射しないシステムにおいては、ビームが斜入射されて輝尽性蛍光体面上の面積が実質的に広がる効果、すなわち輝尽性蛍光体の表面上に射影されたビーム径を加味してビーム面積が定義されている。本明細書においては、輝尽性蛍光体プレート2に照射される励起用レーザ光23のビーム面積を平均化したものを、励起用レーザ光23のビームの平均面積S1として定義している。
本実施形態の光走査部7において、輝尽性蛍光体プレート2の表面に走査される励起用レーザ光23のビーム径は、fθレンズ11に入射する励起用レーザ光23のビーム径又はfθレンズ11の焦点距離を調整することにより、その大きさを調整することが可能となっている。すなわち、fθレンズ11を短焦点にすると相対的に結像面でのスポットサイズは小さく、また、fθレンズ11に入射するビームをコリメータレンズ9の焦点距離の調整により大きくすると相対的に結像面でのスポットサイズは小さくできるようになっている。これにより、励起用レーザ光23のビームの平均面積S1を制御することが可能となっている。
なお、fθレンズ11に入射する励起用レーザ光23のビーム径を調整するのは、コリメータレンズ9の焦点距離を調整すること、コリメータレンズ9の開口数を適宜設計すること又はコリメータレンズ9とシリンドリカルレンズ10の間の光路にビームエクスパンダーなどのビーム径を調整する機構を設けることなどによって可能となる。
読取ヘッド5は、図示しない読取ヘッド5の移動手段により副走査方向に移動されるようになっている。このように、光走査部7による励起用レーザ光23の主走査方向への走査と、読取ヘッド5の副走査方向への移動により、励起用レーザ光23を輝尽性蛍光体プレート2の二次元上の全域に照射することが可能となっている。
さらに、図1に示すように、読取ヘッド5には励起用レーザ光23により輝尽性蛍光体プレート2から発生する輝尽発光光(輝尽光24)を検出するための光検出器13が設けられており、光検出器13で検出された輝尽光24は光電変換により光電流に変換されて、光電流電圧変換器14に送られるようになっている。また、光電流電圧変換器14では光電流が光電圧に変換されてアンプ15に送られるようになっており、アンプ15では光電圧が増幅されると共に対数(log)変換されてA/D変換器17に送られるようになっている。
A/D変換器17では、光電圧に基づいたデータ処理を行うことができるように、当該光電圧に関するデータをデジタルデータに変換して放射線情報として画像処理/画像データメモリ19に送られるようになっている。
また、画像処理/画像データメモリ19では、送られてくる放射線情報が主走査毎に蓄積されるようになっている。こうして副走査方向にデータを繰返し取込み、輝尽性蛍光体プレート2の表面全体を読み終えると、この放射線情報は輝尽性蛍光体プレート2の上の潜像画像と同じ二次元画像として取り込まれ、データ要求にしたがってインターフェース(I/F)部20より図示しないモニターなどの表示装置、プリンタなどのハードコピー装置へと送られて、画面表示、印刷がなされるようになっている。
消去用光源16では、励起用レーザ光23によっては放出しきれなかった残存エネルギーを放出させるよう、残存エネルギー分の輝尽光24を放出するのに十分な波長と強度の光を輝尽性蛍光体プレート2に照射するようになっている。消去用光源16としては、ハロゲンランプなどが挙げられる。
コントローラ18では、レーザ光源6、光電流電圧変換器14、A/D変換器17、画像処理/画像データメモリ19及び消去用光源16の動作タイミング、出力などを制御するようになっており、所定の動作プログラムにしたがってレーザ光源6の出力及び点灯タイミング、光電流電圧変換器14や、A/D変換器17の感度や動作範囲及び消去用光源16の強度や照射時間及び動作タイミングが制御されるようになっている。
図3に示すように、輝尽性蛍光体プレート2は、支持体21及びこの支持体21の表面に形成される輝尽性蛍光体22の柱状結晶からなる輝尽性蛍光体層25から形成されている。なお、図3においては説明のため輝尽性蛍光体層25の表面を覆うように設けられている保護層26(図7参照)を省いて図示している。
このような輝尽性蛍光体プレート2は、支持体21の表面上に気相堆積法により輝尽性蛍光体層25を形成して得られる。
本実施形態で用いられる支持体21としては、各種高分子材料,ガラス,セラミックス,金属,カーボン繊維,カーボン繊維を含む複合材料などを用いることができ、例えば石英,ホウ珪酸ガラス,化学的強化ガラス,結晶化ガラスなどの板ガラス;アルミナ,窒素珪素などのセラミックス;セルロースアセテートフィルム,ポリエステルフィルム,ポリエチレンテレフタレートフィルム,ポリアミドフィルム,ポリイミドフィルム,トリアセテートフィルム,ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルム;アルミニウム,鉄,銅,クロムなどの金属シート及び親水性微粒子などの被服層を有する金属シートなどが好ましい。
また、支持体21の表面は滑面であってもよいし、輝尽性蛍光体層25との接着性を向上させる目的でマット面としてもよい。さらに支持体21と輝尽性蛍光体層25との接着性を向上させるために、必要に応じて支持体21の表面に予め接着層を設けてもよい。
本実施形態で用いられる輝尽性蛍光体としては、例えば下記一般式(1)に示したハロゲン化アルカリを母体とする輝尽性蛍光体が好ましい。
一般式(1)
M1X・aM2X′2・bM3X″3:eA
一般式(1)において、M1は、Li,Na,K,Rb及びCsから選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表すが、Rb及びCsから選ばれるアルカリ土類金属が好ましく、更に好ましくはCsである。M2はM1以外のLi,Na,K,Rb及びCsからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表す。M3は、Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luからなる群から選ばれる三価金属を表すが、中でも好ましく用いられるのは、Y,Ce,Sm,Eu,Al,La,Gd,Luからなる群から選ばれる三価金属である。
X、X′及びX″はF,Cl,Br及びIからなる群から選ばれる少なくとも一種のハロゲンであるが、輝尽性蛍光体の輝尽発光光量向上の観点から、F,Cl及びBrから選ばれる少なくとも一種のハロゲンが好ましく、更に好ましく用いられるのは、Br及びIからなる群から選ばれるハロゲンである。
Aは、Eu,Tb,In,Cs,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,Yb,Er,Gd,Lu,Sm,Yからなる群から選ばれる少なくとも1種の希土類元素であり、また、a,b,eはそれぞれ0≦a<0.5,0≦b<0.5,0<e≦0.2の範囲の数値を表す。
また、輝尽性蛍光体層25は、前記の支持体21の表面上に特定の入射角で前述した輝尽性蛍光体又は輝尽性蛍光体原料の蒸気又は当該原料を供給し、結晶を気相堆積法にて気相成長させることにより形成される。こうして得られた輝尽性蛍光体層25は、互いに独立した細長い柱状結晶構造を有しており、個々が面積、形状が揃った柱状結晶であることが好ましい。
柱状結晶は、蒸着時の輝尽性蛍光体の蒸気流の入射角に対し、約半分の成長角で結晶成長する。このように、輝尽性蛍光体又は輝尽性蛍光体原料の蒸気流を支持体21の表面に対しある入射角をつけて供給する方法には、蒸発源を仕込んだルツボに対し、支持体21を互いに傾斜させる配置を取るようにする、あるいは支持体21とルツボとを互いに平行に配置し、蒸発源を仕込んだルツボの蒸発面からスリットなどを用いて支持体21の表面に対して一定の角度を保ちながら供給して蒸着させることが挙げられる。このときの支持体21とルツボとの最短部の間隔は、輝尽性蛍光体の平均飛程に合わせて設定するのが好ましい。
ここで、柱状結晶の平均面積S2について説明する。
図4に示すように、支持体21の表面に形成される柱状結晶の断面形状は全体として多角形から円形(本実施形態においては略五角形)となっており、柱状結晶の先端部分の形状は略円錐形となっている。本明細書においては、柱状結晶の先端部分の略円錐形の底面、すなわち柱状結晶を先端の方向からみたときに最も広くなる断面の面積を、柱状結晶の面積として定義している。
ここで、柱状結晶を先端の方向からみたときに最も広くなる断面の形状は、図5に示すように円や楕円となっており、崩れた不定形の形状も混在している。また、柱状結晶の断面の大きさにもばらつきがある。そこで、本明細書においては、支持体21の表面に形成された各形状又は大きさの柱状結晶の断面の面積を平均化したものを柱状結晶の平均面積S2として定義している。
柱状結晶の平均面積S2は、光学顕微鏡やSEM(走査型電子顕微鏡)によって得られた画像によって柱状結晶の断面の輪郭を検出し、その輪郭に囲まれた面積を算出して、さらに顕微鏡の視野内における柱状結晶の断面の面積を平均化することによって求めることができる。なお、柱状結晶の断面の面積は製造工程において輝尽性蛍光体プレート2の表面上で多少ばらつきがでるため、輝尽性蛍光体プレート2の表面上における任意の数箇所において柱状結晶の平均面積S2を算出し、その平均値をとることがより好ましい。
柱状結晶の平均面積S2は、蒸着時における支持体21の温度、真空度、支持体21の表面粗さ、蒸気流入射角度などによって影響を受けることから、これらを制御することによって所望する平均面積を有する柱状結晶を作製することが可能である。
したがって、輝尽性蛍光体原料を含む蒸気流を支持体21の表面上に入射させ輝尽性蛍光体層25の形成を行う際、支持体21の表面の加熱、冷却により、支持体21の温度を制御することが好ましい。このように、輝尽性蛍光体層25が設けられる支持体21の全体の温度を所定の範囲に調整し、かつ、この所定の温度範囲からの偏差を可能な限り小さくすることにより、柱状結晶の平均面積S2を制御することが可能になる。
このときにおける支持体21の全体の好ましい温度は、蛍光体材料により種々異なるが、上記一般式(1)で挙げた材料を用いる場合は、200℃以下、好ましくは150℃以下、さらに好ましくは50℃〜150℃の範囲であることが好ましい。また支持体21の温度における所定の温度範囲からの偏差としては、±20℃以内であることが好ましく、さらに好ましくは±10℃以内、特に好ましくは±5℃以内である。
また、真空度については、気相堆積を行うための真空容器から脱気するための真空ポンプの出力と供給する不活性ガスにより制御することができ、5×10-5Pa〜1Paの範囲が好ましく、1×10-4Pa〜0.5Paの範囲がさらに好ましい。
また、支持体21の表面粗さについては、平坦性が高くなるにつれて支持体21の上に形成される柱状結晶が細くなる傾向があることが分かった。したがって、支持体21の表面の研磨仕上げ、表面のコーティング材料、コーティング方法などで表面粗さを制御することができる。
次に、気相堆積法として好ましく用いられる蒸着法、スパッタ法、化学蒸着(CVD)法について説明する。
蒸着法にあっては、支持体21を蒸着装置内に設置した後、装置内を排気して1.0×10-4Pa程度の真空とし、次いで、輝尽性蛍光体の少なくとも一つを抵抗加熱法、エレクトロンビーム法などの方法で加熱蒸発させて支持体21の表面に輝尽性蛍光体を所望の厚みに堆積させる。この輝尽性蛍光体の蓄積は、複数回に分けて行うようにしてもよく、また複数の抵抗加熱器又は複数のエレクトロンビームを用いてもよい。また、輝尽性蛍光体原料を抵抗加熱器又はエレクトロンビームを用いて支持体21の上に蒸着させ、この支持体21の上で目的とする輝尽性蛍光体を合成すると共に輝尽性蛍光体層25を形成するようにしてもよい。また、被蒸着物である支持体21を冷却又は加熱してもよく、蒸着後に輝尽性蛍光体層25を加熱処理してもよい。また、蒸着装置の排気バルブの開口の絞りを調節したり、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスを蒸着時に導入して、真空度を5×10-5Pa〜1Pa、好ましくは1×10-4Pa〜0.5Pa程度にして蒸着を行ってもよい。
スパッタ法にあっては、支持体21をスパッタ装置内に設置した後、装置内をいったん排気して1.333×10-4Pa程度の真空とし、次いで、スパッタ用のガスとしてAr,Neなどの不活性ガスを装置内に導入して1.333×10-1Pa程度のガス圧とする。次に、輝尽性蛍光体をターゲットとして用いて、スパッタリングすることにより支持体21表面に輝尽性蛍光体を所望の厚みに堆積させる。この輝尽性蛍光体の蓄積は、複数回に分けて行うようにしてもよく、それぞれを同時あるいは順次に、前記ターゲットをスパッタリングして輝尽性蛍光体層25を形成するようにしてもよい。また、複数の輝尽性蛍光体原料をターゲットとして用いて、これを同時あるいは順次にスパッタリングして、この支持体21の上で目的とする輝尽性蛍光体を合成すると共に輝尽性蛍光体層25を形成するようにしてもよく、また必要に応じてO2,H2などのガスを導入して反応性スパッタを行ってもよい。また、被蒸着物である支持体21を冷却又は加熱してもよく、スパッタ終了後に輝尽性蛍光体層25を加熱処理してもよい。
化学蒸着(CVD:chemical vapor deposition)法にあっては、目的とする輝尽性蛍光体あるいは輝尽性蛍光体原料を含有する有機金属化合物を熱、高周波電力などのエネルギーで分解することにより、支持体21の上に結着剤を含有しない輝尽性蛍光体層25を得ることができる。いずれにおいても、輝尽性蛍光体層25を支持体21の上に独立した細長い柱状結晶に気相成長させることができる。
以上のような方法、条件の組合せにより、輝尽性蛍光体層25の結晶表面の平均面積S2を所望のサイズに制御することが可能になる。
輝尽性蛍光体プレート2に記録された放射線情報に基づく潜像画像を読み取るにあたっては、図3のように輝尽性蛍光体22を励起させるための励起用レーザ光23を輝尽性蛍光体層25の柱状結晶表面に入射させる。これにより、輝尽性蛍光体22に蓄積されたエネルギーに対応する強度で輝尽光24が生じて、この輝尽光24が光検出器13にて検出されるようになっている。
本発明では、輝尽性蛍光体層25の構造に起因する画像ノイズを低減することに着目して本発明者が鋭意検討した結果、潜像画像読取時において励起用光源のビームの平均面積S1と輝尽性蛍光体プレート2の表面に形成された柱状結晶の平均面積S2との関係が、画像品質に大きな影響を与えること、特定の条件によりレーザ光源6の可干渉性によるランダムな光干渉に起因する斑点状などのランダムな画像ノイズなどの影響を少なくすることにより高品質な画像が得られることを見出した。
図5は、輝尽性蛍光体22の上に励起用レーザ光23が走査される様子を示すものであり、励起用レーザ光23は方向Aにて走査される。励起用レーザ光23により発生した輝尽光24を取り込んで光電変換を行う際に、放射線の測定時のノイズ、輝尽性蛍光体層25の構造に起因したノイズ、光を電気信号に変換する際に生じるノイズなどにより、読取画像の品質が低下する虞がある。
まず、放射線照射時の放射線線量に応じて輝尽性蛍光体に放射線に基づくエネルギーが蓄積され、読取時には励起用レーザ光23の輝尽性蛍光体への照射により、このエネルギーに応じた強度の輝尽発光が生じる。
このとき、柱状結晶の一本一本から輝尽光24が生じるが、図5に示したような結晶の面積のばらつきや、結晶の組成のばらつきなどにより、輝尽発光量のゆらぎが生じることがある。
さらに、輝尽性蛍光体に照射された励起用レーザ光23の一部は、反射して、例えば前記光検出部8の導光部などの周辺光学部品に当たって、再度輝尽性蛍光体に入射することがあったり、輝尽性蛍光体の表面にコヒーレント性の高い励起用レーザ光23が当たると光散乱によるランダムな干渉を起こし、レーザスペックルと呼ばれる斑点状の模様や、ムラ状の光強度のノイズが生じることがある。
一方で、輝尽性蛍光体の表面での励起用レーザ光23の反射光の一部は、前記光検出器13に入射してノイズ成分として検出される。これを回避するために、光検出器に励起用レーザ光23が入射しないように、適当な光学フィルタなどで除去するが、フィルタで消光し切れない僅かな光量の光が混入し、この混入した光に前記スペックルなどで生じるゆらぎがある場合に、ランダムな画像ノイズとして読取画像に悪影響を及ぼす。
これらの現象は光検出器13で受光する光強度のゆらぎを誘発し、画像ノイズの増大や鮮鋭性の低下をまねく。こうした輝尽発光量のゆらぎなどが生じるか否かは、輝尽性蛍光体に照射される励起用レーザ光23のビームの平均面積S1と、輝尽性蛍光体の表面に形成された柱状結晶の平均面積S2との相対的な関係により定まるものである。
したがって、励起用レーザ光23のビームの平均面積S1と、輝尽性蛍光体層25の柱状結晶の平均面積S2とを制御することによって、輝尽光24として受光する光の強度のゆらぎを有効に抑えることができる。
図6は、励起用レーザ光23のビームの平均面積S1と輝尽性蛍光体層25の柱状結晶の平均面積S2との比と、各柱状結晶のばらつきによる輝尽光量のゆらぎや光散乱によるランダムな干渉によって生じるノイズ成分の相対値との関係を示すグラフである。
上述したように、柱状結晶の平均面積S2に対して相対的に励起用レーザ光23のビームの平均面積S1を大きくすることで、高品質で再現性のよい読取画像を得ることができる。しかし、その一方で、画像読取装置のビーム面積は画像読み取り時の絶対的な分解能(いわゆるDPIなど)に直接影響するので、ビームの平均面積S1をあまり大きくすると潜像画像読取時の分解能が低下し、また鮮鋭性も低下してしまう。
このように励起用レーザ光23のビームの平均面積S1を大きくすることが好ましい一方で、励起用レーザ光23のビームの平均面積S1に上限を設ける必要がある点を考慮した結果、本実施形態の放射線画像読取装置1においては、励起用レーザ光23のビームの平均面積S1及び柱状結晶の平均面積S2との相対関係(S1/S2)が、10以上(図6の斜線部分参照)、好ましくは10以上10000以下、さらに好ましくは20以上100以下となるように、励起用レーザ光23のビームの平均面積S1又は輝尽性蛍光体層25の柱状結晶の平均面積S2を制御するようになっている。
より具体的には、励起光のビームの平均面積S1は3×10-4〜3×10-2mm2とされている一方で、柱状結晶の平均面積S2は1×10-6〜1×10-3mm2とされている。さらには、励起光のビーム形状におけるアスペクト比(主走査方向対副走査方向)の平均値が0.6〜1.7の範囲とされており、柱状結晶の形状におけるアスペクト比(主走査方向対副走査方向)の平均値が0.3〜3.0の範囲とされていることが好ましい。
ところで、放射線画像変換パネルとして用いられる輝尽性蛍光体プレート2は、放射線の照射(放射線画像の記録),励起用レーザ光23の照射(記録された放射線画像の読み取り),消去光の照射(残存する放射線画像消去)というステップを繰り返して使用される。通常、各ステップへの移行はベルト、ローラ等の搬送手段により行われる。このように放射線画像変換パネルを繰り返し使用する過程で、励起用レーザ光23の照射側における輝尽性蛍光体プレート2の表面に汚れの付着や傷の発生があると、得られる放射線画像の画質に悪影響を及ぼすことになる。
また、輝尽性蛍光体は一般に吸湿性が高く、通常の気候条件の室内に放置すると空気中の水分を吸収し、経時的に著しく劣化することが知られている。例えば、輝尽性蛍光体を高湿度のもとにおくと、吸収した水分の増大にともなって輝尽性蛍光体の放射線感度が低下する。また、一般的には、輝尽性蛍光体に記録された放射線画像の潜像は、放射線照射後の時間の経過にともなって退行するため、再生される放射線画像信号の強度は、放射線照射から励起用レーザ光23による主走査を行う(すなわち読取り)までの時間が長いほど小さくなるという性質を有するところ、輝尽性蛍光体が吸湿すると、この潜像退行が速くなる。このため、吸湿した輝尽性蛍光体を有する輝尽性蛍光体プレート2を用いると、放射線画像の読取り再生信号の再現性が低下することがある。
そこで、本実施形態においては、輝尽性蛍光体層25の汚れや擦り傷に対する耐久性及び防湿性を高めるために、励起用レーザ光23の照射側における輝尽性蛍光体層25の表面を覆うように保護層26が設けられている。
保護層26に用いられる材質としては、ポリアルキレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリメタクリレートフィルム、ニトロセルロースフィルム、セルロースアセテートフィルムなどを使用することができ、例えばポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムなどが透明性、強度の面から好ましい。
また、防湿性を高めるため、保護層26として水蒸気と酸素とを透過しにくい材質、例えばアルミナ、シリカなどを蒸着させたフィルムを用いることがさらに好ましく、さらには保護層26を、防湿性を特に高めたフィルムと後述する励起用レーザ光23のビームの平均面積S1をコントロールすることを可能とするフィルムを積層した多層フィルムで構成することが好ましい。
ここで、本実施形態の保護層26は、特定波長の光を選択的に吸収する着色剤により着色処理が施されているフィルム層を含んでいる。このように保護層26に着色剤により着色処理が施されているフィルム層を一層以上用いることで、波長ごとの光の透過率を所定の特性に制御することが可能となっている。なお、着色剤としては、各種の有機系顔料又は無機系顔料を用いることができる。
本実施形態の保護層26は、この着色剤により着色処理が施されているフィルム層によって、励起用レーザ光23、輝尽光24及び所定の可視領域の光を透過させる一方で、これらの波長域以外の可視域にある波長域の光を吸収して減衰させるようになっている。
図9は、保護層26のスペクトルの透過特性として波長に対する透過した光の相対強度の関係を示すものである。本実施形態において、使用する輝尽性蛍光体の輝尽光24の波長が400〜500nm、励起用レーザ光23の波長が700nm付近であるとき、図9に示すように、保護層26は、400〜500nm及び700nm付近の波長におけるスペクトルを十分に透過する特性を有する構成とされている。すなわち、保護層26の着色剤により着色処理が施されているフィルム層において、励起用レーザ光23、輝尽光24及び所定の可視領域の光を透過させる一方で、これらの波長域以外の可視域にある波長域の光を吸収して減衰させることによって、励起用レーザ光23及び輝尽光24のスペクトルの透過特性は相対的に強大となっている。
このように、保護層26に励起用レーザ光23及び輝尽光24のみをよく透過させる特性を持たせることで、励起用レーザ光23の走査時に輝尽性蛍光体プレート2に励起用レーザ光23以外の光を照射しないようにする、あるいは光検出部13において輝尽光24以外の表面反射による迷光を検出しないようにするというスペクトル分離が容易になると共に、励起には関係のない不要光による画像ノイズ、輝尽性蛍光体の損傷を低減することが可能になる。
また、保護層26は、励起用レーザ光23及び輝尽光24に加えて所定の可視領域(本実施形態においては500nm付近)の光を透過させる特性を持っていることから、生産過程及び繰り返しの使用の際に、輝尽性蛍光体内部及び保護層26への損傷、異物の付着あるいは輝尽性蛍光体層25と保護層26との間へのゴミ付着の視認などによる異常検知、異常判別を容易にすることができるようになり、これらの画質への影響を低減することが容易になる。
図7は、輝尽性蛍光体22の表面を覆うように保護層26を設けた状態を示すものであり、支持体21の表面に輝尽性蛍光体22からなる輝尽性蛍光体層25が形成され、この輝尽性蛍光体層25の表面に保護層26が形成されている。この場合において、保護層26は輝尽性蛍光体層25の表面に保護層用の塗布液を直接塗布あるいは保護層の材料を蒸着して形成してもよいし、予め別途形成した保護層26を輝尽性蛍光体層25に接着させるか密着させてもよい。
なお、保護層26は、図8に示すように輝尽性蛍光体22と保護層26との間に間隙ができるように設けてもよい。この場合は、凹状に形成した支持体21の内部に輝尽性蛍光体22からなる輝尽性蛍光体層25を形成した上で、凹状の支持体21の開口端部に予め別途形成した保護層26を接着するなどして、輝尽性蛍光体層25から一定距離離した位置に保護層26を設ける。
本実施形態の保護層26は、図7に示すように柱状結晶表面を封止するようにして設けられるが、この結晶表面の凹凸高さの平均よりも封止後の結晶表面(保護層26の表面)の凹凸が小さくなるように設けられるのが好ましい。これによって結晶成長のばらつきによる潜像画像読取りへの影響をより低減することが可能になる。また、結晶表面の凹凸が保護層26の表面に現れないようにすることは、封止時の脱気圧などを制御することにより実現することができる。
ここで、上述したように、読取装置に要求される分解能及び鮮鋭性を考慮すると、プレートに照射する励起用レーザ光23の保護層26を透過した後のビーム、すなわち輝尽性蛍光体面上に射影されたビーム面積を加味した範囲の平均ビーム面積S3(例えば図8参照)及び柱状結晶の平均面積S2との相対関係(S3/S2)は、10以上(図6の斜線部分参照)、好ましくは10以上10000以下、さらに好ましくは20以上100以下である。そこで、本実施形態においては、保護層26に、保護層26を透過した励起用レーザ光23のビームの平均面積S3を制御する機能を持たせている。
すなわち、保護層26の一面又は両面に所定の処理を行って光拡散性を調整することにより、保護層26を透過した励起用レーザ光23のビームの平均面積S3を制御することができるようになっている。この所定の処理としては、保護層26の一面又は両面の粗さを調整する方法、保護層26に光散乱性の微粒子を添加する方法、特に保護層26にガラスを用いる場合に保護層26の一面又は両面にスリガラス状の微小突起を持たせる方法などが挙げられる。
保護層26の一面又は両面の粗さを調整する方法としては、保護層26の一面又は両面にエンボス加工を施す、すなわち微小突起を機械加工で設ける方法、保護層26の一面又は両面に四フッ化エチレン樹脂(FTFE)、メチルメタクリレート樹脂(PMMA)、シリカ(無水ケイ酸)などの粒子を散布する方法、保護層26の一面又は両面にPTFE、PMMA、シリカなどの粒子を含む層を塗布する方法などが挙げられる。
また、保護層26は、SiC、SiO2などの無機物質を気相堆積法により輝尽性蛍光体層25の表面に積層することによって形成することもできる。この場合において、積層する厚みや材料などによって光拡散性を調整することができるため、輝尽性蛍光体層25の表面に到達するビームの平均面積S3を制御することができる。また、気相堆積により薄膜の保護層26を形成する場合は、輝尽性蛍光体層表面の柱状結晶の平均面積S2を薄膜の保護層26の表面での面積に置き換えた上で上記の相対関係が成り立つようにすることが好ましい。
続いて、前述の放射線画像読取装置1を用いた本発明の放射線画像読取方法について説明する。
前述の放射線画像読取装置を使用して放射線画像を読み取るには、まず、所定の動作プログラムによるコントローラ18の制御により、光走査部7が励起用レーザ光23を主走査方向へ走査すると共に、読取ヘッド5が副走査方向へ移動して、レーザ光源6より発射された励起用レーザ光23を輝尽性蛍光体プレート2の表面の全域に照射する。
レーザ光源6から励起用レーザ光23が発射されると、コリメータレンズ9が励起用レーザ光23を平行光束として射出し、さらにシリンドリカルレンズ10が励起用レーザ光23の平行光束をポリゴンミラー8の回転軸に垂直な方向にのみ線状に収束し、ポリゴンミラー8の表面に入射させる。ポリゴンミラー8は励起用レーザ光23を反射しながら回転して、励起用レーザ光23の反射角度を変えて輝尽性蛍光体プレート2の表面を主走査方向に走査する。この際、fθレンズ11がポリゴンミラー8により走査された励起用レーザ光23の等角速度運動を等速度運動に変換し、かつ輝尽性蛍光体プレート2の表面における励起用レーザ光23のビーム径を均一にする。こうして、走査部7は輝尽性蛍光体プレート2の表面に一定のビーム速度かつ一定のビーム径で励起用レーザ光23を走査する。
また、主走査同期センサ12は、走査線の非画像領域において、走査部7による光走査の開始タイミングを検知しており、主走査方向の読み取り位置を算出する基点となっている。
ここで、本実施形態においては、励起用レーザ光23のビームの平均面積S1及び柱状結晶の平均面積S2との相対関係(S1/S2)を、10以上、好ましくは10以上10000以下、さらに好ましくは20以上100以下となるようにする。
より具体的には、励起光のビームの平均面積S1を3×10-4〜3×10-2mm2とする一方で、柱状結晶の平均面積S2を1×10-6〜1×10-3mm2とする。さらには、励起光のビーム形状におけるアスペクト比(主走査方向対副走査方向)の平均値を0.6〜1.7の範囲とし、柱状結晶の形状におけるアスペクト比(主走査方向対副走査方向)の平均値を0.3〜3.0の範囲とすることが好ましい。
ビームの平均面積S1は、上述したように、fθレンズ11に入射する励起用レーザ光23のビーム径又はfθレンズの焦点距離を調整することにより、その大きさを調整することができる。すなわち、fθレンズ11を短焦点にすると相対的に結像面でのスポットサイズは小さく、また、fθレンズ11に入射するビームをコリメータレンズ9の焦点距離の調整により大きくすると相対的に結像面でのスポットサイズは小さくすることができる。
なお、fθレンズ11に入射する励起用レーザ光23のビーム径を調整するのは、コリメータレンズ9の焦点距離を調整すること、コリメータレンズ9の開口数を適宜設計すること又はコリメータレンズ9とシリンドリカルレンズ10の間の光路にビームエクスパンダーなどのビーム径を調整する機構を設けることなどによって可能となる。
また、上述したように、保護層26の表面に所定の処理を行って光拡散性を調整することにより、蛍光体表面に照射される励起用レーザ光23の具体的なビームの平均面積S1を制御することも可能である。
一方、柱状結晶の平均面積S2は、上述したように、蒸着時における支持体21の温度、真空度、支持体21の表面粗さ、蒸気流入射角度などによって影響を受けることから、蒸着法、スパッタ法、化学蒸着といった製造方法や条件の組合せにより、所望の面積に制御することが可能である。
次に、コントローラ18の制御により、読取ヘッド5に設けられた光検出器13が励起用レーザ光23により輝尽性蛍光体プレート2にて発生する輝尽発光光(輝尽光24)を検出すると、検出した輝尽光24を光電変換により光電流に変換して、光電流電圧変換器14に送る。また、光電流電圧変換機9は光電流を光電圧に変換してアンプ15に送り、アンプ15は光電圧を増幅すると共に対数(log)変換してA/D変換器17に送る。そして、A/D変換器17が光電圧に関するデータをデジタルデータに変換して放射線情報として画像処理/画像データメモリ19に送ると、画像処理/画像データメモリ19は送られてくる放射線情報を蓄積する。
一方、消去用光源16は、励起用レーザ光23によっては放出しきれなかった残存エネルギーを放出させるよう、残存エネルギー分の輝尽光24を放出するのに十分な波長と強度の光を輝尽性蛍光体プレート2に照射する。
以上のように本実施形態の放射線画像読取装置1又は放射線画像読取方法によれば、励起用レーザ光23のビームの平均面積S1及び柱状結晶の平均面積S2との相対関係(S1/S2)を、10以上、好ましくは10以上10000以下、さらに好ましくは20以上100以下とし、柱状結晶に入射する励起用レーザ光23のビーム面積を柱状結晶の平均面積S2に対して所定の比以上に大きくしていることから、柱状結晶の表面の凸凹における励起用レーザ光23の散乱が抑えられる。これにより、励起用レーザ光23の干渉あるいはレーザスペックルなどにより生じる画像ノイズの発生を低減することができる。
その一方で、本実施形態においては、励起用レーザ光23のビームの平均面積S1に上限を設けており、この範囲内であれば画像読み取り時の絶対的な分解能(いわゆるDPIなど)を低下させることもない。
また、本実施形態においては、励起用レーザ光23と柱状結晶の間に存在する保護層26が励起用レーザ光23に拡散性を持たせる機能を果たすことから、上記と同様の作用が得られる。
さらに、本実施形態においては、保護層に、特定波長の光を選択的に吸収する着色剤により着色処理が施されているフィルム層によって放射線エネルギーの励起に関係のない不要光を吸収する一方で、励起用レーザ光及び輝尽光を透過させる特性を持たせることにより、励起用レーザ光及び輝尽光のスペクトル分離を容易にすることができる。また、励起に関係のない不要光による画像ノイズ、輝尽性蛍光体プレートの損傷を低減することが可能になる。
また、励起用レーザ光及び輝尽光に加えて所定の可視領域の光を透過させる特性を保護層に持たせることにより、輝尽性蛍光体プレートの生産過程及び繰り返しの使用の際に、輝尽性蛍光体内部及び保護層への損傷、異物の付着あるいは輝尽性蛍光体層と保護層との間へのゴミ付着の視認などによる異常検知、異常判別を容易にすることができるようになる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
例えば、読み取りのための励起用レーザ光23の発生源としてレーザ光源を用いる例を説明したが、これに限らず、励起させるのに充分なエネルギーを放出できる光源を用いることが可能である。
以上のように本発明によれば、輝尽性蛍光体層に輝尽発光に直接関係のない構成部分を設けることなく、励起用レーザ光の可干渉性によるランダムな光干渉に起因する斑点状などのランダムな画像ノイズの発生を抑えて、従来よりも鮮明性に優れた画質の良い画像を読み取ることができる。
また、本発明において励起用レーザ光のビームの平均面積S1の大きさに上限を設けることにより、画像読み取り時の絶対的な分解能を低下させることもない。
また、保護層が設けられた輝尽性蛍光体プレートから画像を読み取る場合でも、同様の効果を得ることができる。
さらに、保護層によって励起用レーザ光及び輝尽光のスペクトル分離を容易とし、励起用レーザ光及び輝尽光の透過特性を励起に関係のない不要光に対して相対的に強大とすることで、放射線画像の画像ノイズを低減することができる。
また、輝尽性蛍光体内部及び保護層への損傷、異物の付着、ならびに輝尽性蛍光体層と保護層との間へのゴミ付着の視認などによる異常検知、異常判別を容易にすることで、これらの画質への影響を低減することが容易になる。