JP4765249B2 - 情報処理装置およびキャッシュメモリ制御方法 - Google Patents
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Description
キャッシュメモリは、プロセッサによって高速にデータを読み出すことが可能な記憶素子によって構成されている。そして、キャッシュメモリは、メモリデバイスに記憶されているデータ(以下、適宜「メモリデバイスデータ」と言う。)の一部を記憶しておき、プロセッサがメモリデバイスからデータの読み出しを行う場合に、そのデータがキャッシュメモリに記憶されているものであれば、キャッシュメモリから読み出すことによって、データを高速に読み出すことを可能としている。
ライトスルーモードにおいては、プロセッサがキャッシュメモリにデータを書き込んだ場合、キャッシュメモリに書き込んだデータに対し、有効であることを示すフラグを立てると共に、同一のデータがメモリデバイスにも書き出される。それにより、キャッシュメモリ内のデータとメモリデバイス上のデータとの一致性が常に保たれる状態となる。
これらの公報には、キャッシュフラッシュ操作に要する時間を短縮する技術が開示されている。
なお、ライトスルーモードによってメモリデバイスへのデータの書き出しを行う場合には、高いコヒーレンシを確保できるものの、上述のように、キャッシュメモリの性能としては一般にライトバックモードが優れる場合が多い。
読み出し対象となるデータを記憶しているメモリデバイスから、記憶されているデータの少なくとも一部をキャッシュしておくことが可能であり、ライトバックモードあるいはライトスルーモードの少なくともいずれかを含む複数のアクセス方式によってアクセス可能なキャッシュメモリを備える情報処理装置であって、プログラムの実行中に前記複数のアクセス方式を相互に切り替えて、前記キャッシュメモリにアクセス可能であることを特徴としている。
また、データの書き込みを行う場合に、前記キャッシュメモリにおいて、該データが記憶されている領域に書き込みを行うことなく、該領域を開放すると共に、該データを前記メモリデバイスにおける所定アドレスに書き込むライトフラッシュモードを前記アクセス方式に含むことを特徴としている。
また、プログラムの実行中に前記ライトバックモードとライトフラッシュモードとを相互に切り替えて、前記キャッシュメモリにアクセス可能であることを特徴としている。
また、データの読み出しあるいは書き込みを行う場合に、前記キャッシュメモリに記憶された該データを、他のデータと区別して保持するロックモードを前記アクセス方式に含むことを特徴としている。
また、プログラムの実行中に前記ライトバックモードとロックモードとを相互に切り替えて、前記キャッシュメモリにアクセス可能であることを特徴としている。
また、本発明は、
読み出し対象となるデータを記憶しているメモリデバイスから、記憶されているデータの少なくとも一部をキャッシュしておくことが可能であり、ライトバックモードあるいはライトスルーモードの少なくともいずれかを含む複数のアクセス方式によってアクセス可能なキャッシュメモリを備える情報処理装置におけるキャッシュメモリ制御方法であって、プログラムの実行中に前記複数のアクセス方式を相互に切り替えて、前記キャッシュメモリにアクセスすることを特徴としている。
したがって、キャッシュフラッシュを行うことなく、キャッシュメモリのデータとメモリデバイスのデータとの高いコヒーレンシを確保することができるため、情報処理装置の処理速度を向上させることが可能となる。
また、本発明によれば、ロックモードによる読み出しあるいは書き込み命令を実行することが可能であるため、使用頻度が高く固定的な値に保たれるデータ等を、要求に応じてキャッシュメモリ内に保持させることが可能となり、キャッシュのヒット率が向上すると共に、処理速度を向上させることが可能となる。
したがって、プログラムの処理内容に応じて柔軟に命令のモードを変更することが可能となり、処理効率を向上させることが可能となる。
本発明においては、従来のキャッシュメモリにおけるライトバックモードおよびライトスルーモードに加え、新たにライトフラッシュモードを規定することにより、キャッシュフラッシュを実行することなく、キャッシュメモリとメモリデバイスとのコヒーレンシを確保可能なものとしている。さらに、本発明においては、ロックモードを規定することにより、キャッシュのヒット率および処理速度を向上させることを可能としている。
図1は、本発明を適用した情報処理装置1の構成を示す概略図である。
図1において、情報処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)コア10と、キャッシュメモリ20と、DMAC30と、メモリ40a,40bとを含んで構成され、これら各部はバスを介して接続されている。
ライトスルーモードでは、書き込み対象であるデータがキャッシュにヒットした場合、キャッシュメモリ20への書き込みを行うと共に、メモリ40a,40bに対しても書き込みを行い、データを書き込んだキャッシュを有効な状態とする。また、書き込み対象であるデータがキャッシュにミスヒットした場合、メモリ40a,40bにのみデータを書き込み、キャッシュメモリ20への書き込みは行わない。
ロックモードでデータにアクセスすることにより、キャッシュメモリ20内に一旦取り込んだデータは、LRUアルゴリズムによる更新が行われることなく継続して保持される。
ここで、キャッシュメモリの方式には種々のものがあるが、セット・アソシアティブ方式が一般的であるため、ここでは2ウェイ(ウェイA,B)のセット・アソシアティブ方式のキャッシュメモリを例に挙げて説明する。
図2は、キャッシュメモリ20の機能構成を示すブロック図である。
図2において、キャッシュメモリ20は、アドレスデコード部21と、ヒット検出部22と、フラグメモリ23と、タグアドレスメモリ24と、キャッシュ制御部25と、データメモリ26と、メモリインターフェース(I/F)27とを含んで構成される。
キャッシュ制御部25は、CPUコア10からメモリ40a,40b上のデータの読み出しあるいは書き込みを指示する制御信号(以下、「CPU制御信号」と言う。)が入力されると、そのデータがキャッシュにヒットするか否かに応じて、所定の動作を行う。即ち、CPUコア10からデータの読み出しを指示するCPU制御信号が入力された場合、読み出し対象であるデータがキャッシュにヒットした(ヒット検出部22からキャッシュヒット信号が入力された)ときには、データメモリ26から読み出し対象であるデータを読み出し、CPUコア10に対して出力するデータ(以下、「CPU入力データ」と言う。)とする。
また、図2において、データメモリ26は、アクセス頻度の高いデータ等、メモリ40a,40b上の所定データを記憶している。さらに、データメモリ26には、ウェイA,Bそれぞれに対応するデータを記憶することが可能である。
図1に戻り、DMAC30は、メモリ40a,40bにおけるDMAを制御し、DMAの実行中にCPUコア10をウェイト状態とさせたり、DMAの終了をCPUコア10に通知したりする。
また、メモリ40a,40bによって構成されるメモリ空間には、物理的なメモリ空間を示すアドレスと、書き込みあるいは読み込み命令のモードを示すアドレスとが割り当てられている。
図3において、アドレスの最上位は書き込みあるいは読み込み命令のモードを示し、最上位に次ぐ下位のアドレスはメモリ40a,40bの物理的なメモリ空間を示している。
例えば、“0x4”(16進の“4”)で始まるアドレスはライドバックモードであることを示し、“0x5”(16進の“5”)で始まるアドレスはライトスルーモードであることを示している。また、“0x6”(16進の“6”)で始まるアドレスはライトフラッシュモードであることを示し、“0x7”で始まるアドレスはロックモードであることを示している。
次に、動作を説明する。
まず、CPUコア10が、キャッシュメモリ20に対し、図3に示すアドレスを指定して、データの読み出しあるいは書き込み命令を行う。
図4は、読み出し命令が行われた場合の各フラグの状態遷移を示す図であり、図5は、書き込み命令が行われた場合の各フラグの状態遷移を示す図である。図4および図5においては、命令の種類(読み出し命令“Read”あるいは書き込み命令“Write”)、モード(Mode)、キャッシュにヒットしたか否か(hit/miss)、フラグの初期状態(V0,V1:Validフラグ、U:Usedフラグ、L:Lockフラグ)、使用されるウェイ(使用Way)、チェック対象であるDirtyフラグ(DirtyFlagチェック)、更新後のフラグの値(更新後の値)が示されている。なお、図4および図5において、値のない欄“−”は“don’tcare”(不問)であり、“X”は“0”または“1”のどちらかの値が使用されることを示す。
図4において、読み出し命令の場合、ライトスルーモード、ライトバックモードおよびライトフラッシュモードのいずれも同様の状態遷移となる。
例えば、ライトスルーモード、ライトバックモードおよびライトフラッシュモードの読み出し命令が入力され、キャッシュにミスヒットした場合、各フラグの初期状態がV0=0,V1=0のとき、Usedフラグの値に関わらずウェイAが使用され、ウェイAが使用されたときには、ウェイAに有効なデータが書き込まれるため、ValidフラグV0=1となり、さらに、次に更新対象となるウェイはウェイBとなることからUsedフラグはU=1となる(図4における最上段のパターン参照)。
また、例えば、ロックモードの読み出し命令が入力され、キャッシュにミスヒットした場合、各フラグの初期状態がV0=1,L=0であり、ウェイAが既に使用されたときには、ウェイAにデータが書き込まれる(フィルされる)ため、その書き込みに先立ち、DirtyフラグD0がチェックされる。そして、D0=1であれば、キャッシュメモリ20内のデータが書き換えられ、かつ、その内容がメモリ40a,40bには反映されていない状態であることから、キャッシュメモリ20からメモリ40a,40bへの書き出しが行われた上で新たなデータがキャッシュメモリ20内に読み込まれる。一方、D0=0であれば、データを書き出す必要がないことから、そのまま新たなデータがキャッシュメモリ20内に読み込まれる。また、次に更新対象となるウェイはウェイBとなることからUsedフラグはU=1となり、新たに書き込まれたデータについてのDirtyフラグはD0=0となる。さらに、新たに書き込まれたデータは保持されるため、LockフラグはL=1となる(図4における第10段のパターン参照)。
次に、図5を参照して、書き込み命令の場合について概説する。
図5において、書き込み命令の場合、ライトスルーモード、ライトバックモード、ライトフラッシュモードおよびロックモードのいずれも異なる状態遷移となる。
例えば、ライトバックモードの書き込み命令が入力され、キャッシュにミスヒットした場合、各フラグの初期状態がV0=0,V1=0のとき、Usedフラグの値に関わらずウェイAが使用され、ウェイAに有効なデータが書き込まれるため、ValidフラグV0=1、となり、さらに、次に更新対象となるウェイはウェイBとなることからUsedフラグはU=1となる。また、キャッシュメモリ20にはデータが書き込まれたが、メモリ40a,40bにはそのデータが書き込まれていないため、DirtyフラグはD0=1となる。(図5における最上段のパターン参照)。
以下、プログラムの実行中に、モードを切り替える場合の具体的な処理フローについて説明する。
図6において、処理が開始されると、CPUコア10は、メモリ40a,40bにおいて使用するメモリの領域を確保し(ステップS1)、読み出しあるいは書き込み命令における指定アドレスをライトバックモードに対応するアドレス(アドレスの最上位を“0x4”)に設定する(ステップS2)。
ステップS4において、データの局所性を用いる処理の全ては終了していないと判定した場合、CPUコア10は、ステップS3の処理に移行し、データの局所性を用いる処理が全て終了したと判定した場合、読み出しあるいは書き込み命令における指定アドレスをライトフラッシュモードに対応するアドレス(アドレスの最上位を“0x6”)に設定する(ステップS5)。
ステップS7において、メモリ40a,40bへの書き出しを伴う処理の全ては終了していないと判定した場合、CPUコア10は、ステップS6の処理に移行し、メモリ40a,40bへの書き出しを伴う処理が全て終了したと判定した場合、DMAC30による処理(DMA転送等)を実行する(ステップS8)。
このように、DMA等、キャッシュメモリ20が記憶するデータとメモリ40a,40bが記憶するデータとの高いコヒーレンシを要する場合に、プログラムの実行中において、ライトバックモード(あるいは他のモード)からライトフラッシュモードに切り替えることが可能であることにより、キャッシュフラッシュを行う必要がなくなるため、情報処理装置1の処理速度を向上させることが可能となると共に、順次、キャッシュメモリ20のエントリが開放されるため、キャッシュメモリ20を効率的に使用することが可能となる。
図7は、プログラムの実行中にライトバックモードとロックモードとを切り替える場合の処理を示すフローチャートである。
図7において、処理が開始されると、CPUコア10は、メモリ40a,40bにおいて使用するメモリの領域を確保し(ステップS101)、読み出しあるいは書き込み命令における指定アドレスをロックモードに対応するアドレス(アドレスの最上位を“0x7”)に設定する(ステップS102)。
ここで、ステップS103において読み出されるデータは、テーブル形式のデータに限られず、使用頻度が高く固定的な値に保たれるデータであれば良い。
ステップS104において、使用頻度の高いテーブル形式のデータを参照する処理の全ては終了していないと判定した場合、CPUコア10は、ステップS103の処理に移行し、使用頻度の高いテーブル形式のデータを参照する処理が全て終了したと判定した場合、読み出しあるいは書き込み命令における指定アドレスをライトバックモードに対応するアドレス(アドレスの最上位を“0x4”)に設定する(ステップS105)。
ステップS107において、ライトバックモードによる処理の全ては終了していないと判定した場合、CPUコア10は、ステップS106の処理に移行し、ライトバックモードによる処理が全て終了したと判定した場合、ロックモードによって保持されたデータが記憶されている領域(ロック領域)を開放するコマンドを実行する(ステップS108)。
このように、テーブル形式のデータ等、使用頻度が高く固定的な値に保たれるデータを参照する場合に、ロックモードによる読み出しあるいは書き込みを行い、使用頻度が高く固定的な値に保たれるデータを参照する処理が終了した後に、ライトバックモード(あるいは他のモード)に切り替えることが可能であることにより、キャッシュのヒット率を向上させることができるため、情報処理装置1の処理速度を向上させることが可能となる。
したがって、キャッシュフラッシュを行うことなく、キャッシュメモリ20のデータとメモリ40a,40bのデータとの高いコヒーレンシを確保することができるため、情報処理装置1の処理速度を向上させることが可能となる。
また、本実施の形態に係る情報処理装置1は、ロックモードによる読み出しあるいは書き込み命令を実行することが可能である。
また、本実施の形態に係る情報処理装置1は、ライトバックモード、ライトフラッシュモード、ロックモードおよびライトフラッシュモードを、プログラムの実行中に、相互に切り替えることが可能である。
Claims (7)
- 読み出し対象となるデータを記憶しているメモリデバイスから、記憶されているデータの少なくとも一部をキャッシュしておくことが可能であり、ライトバックモードあるいはライトスルーモードの少なくともいずれかを含む複数のアクセス方式によってアクセス可能なキャッシュメモリを備える情報処理装置であって、
データの書き込みを行う場合に、前記キャッシュメモリにおいて、該データが記憶されている領域に書き込みを行うことなく、該領域を開放すると共に、該データを前記メモリデバイスにおける所定アドレスに書き込むライトフラッシュモードを前記アクセス方式に含み、
プログラムの実行中に前記ライトバックモードとライトスルーモードとライトフラッシュモードとを相互に切り替えて、前記キャッシュメモリにアクセス可能であり、
前記ライトフラッシュモードにおいては、データの書き込みを行う場合に、前記キャッシュメモリにおいて、該データが記憶されていない場合に、前記キャッシュメモリへのアクセスを行わず、該データを前記メモリデバイスにおける所定アドレスに書き込むことを特徴とする情報処理装置。 - 前記キャッシュメモリに記憶されているデータと前記メモリデバイスに記憶されているデータとのコヒーレンシを確保した後、前記ライトスルーモードあるいはライトフラッシュモードのいずれかに切り替え可能であることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
- データの読み出しあるいは書き込みを行う場合に、前記キャッシュメモリに記憶された該データを、他のデータと区別して保持するロックモードを前記アクセス方式に含むことを特徴とする請求項1または2記載の情報処理装置。
- 前記キャッシュメモリは、複数ウェイを含むセット・アソシアティブ方式のキャッシュメモリであって、前記ロックモードは、前記複数のウェイにおける特定のウェイを対象として設定可能とされていることを特徴とする請求項3記載の情報処理装置。
- プログラムの実行中に前記ライトバックモードとロックモードとを相互に切り替えて、前記キャッシュメモリにアクセス可能であることを特徴とする請求項3または4記載の情報処理装置。
- 前記複数のアクセス方式は、読み出しあるいは書き込み命令の対象となるメモリ空間におけるアドレスの一部に対応付けられ、前記アクセス方式に対応するアドレスを指定することにより、各命令における前記アクセス方式を設定可能であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
- 読み出し対象となるデータを記憶しているメモリデバイスから、記憶されているデータの少なくとも一部をキャッシュしておくことが可能であり、ライトバックモードあるいはライトスルーモードの少なくともいずれかを含む複数のアクセス方式によってアクセス可能なキャッシュメモリを備える情報処理装置におけるキャッシュメモリ制御方法であって、
データの書き込みを行う場合に、前記キャッシュメモリにおいて、該データが記憶されている領域に書き込みを行うことなく、該領域を開放すると共に、該データを前記メモリデバイスにおける所定アドレスに書き込むライトフラッシュモードを前記アクセス方式に含み、
プログラムの実行中に前記ライトバックモードとライトスルーモードとライトフラッシュモードとを相互に切り替えて、前記キャッシュメモリにアクセス可能であり、
前記ライトフラッシュモードにおいては、データの書き込みを行う場合に、前記キャッシュメモリにおいて、該データが記憶されていない場合に、前記キャッシュメモリへのアクセスを行わず、該データを前記メモリデバイスにおける所定アドレスに書き込むことを特徴とするキャッシュメモリ制御方法。
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