JP4765240B2 - 圧縮符号化方法,圧縮符号化プログラムを記録した記録媒体,および圧縮符号化方法を実施する電子カメラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧縮符号化方法と、圧縮符号化プログラムを記録した記録媒体と、圧縮符号化方法を実施する電子カメラに関する。特に、本発明は、画像データの撮像条件(画像データを撮像した際の設定条件または撮影環境の条件)を有効利用して、画像データを適正に圧縮符号化する技術に関する。
なお、この撮像条件は、文字通り撮像の条件である。したがって、目標圧縮率や目標圧縮符号量のような画像圧縮の条件(いわゆるスーパーファインモード,ファインモード,ノーマルモードなど)や、撮像後の画像データの実状(画像信号の高周波成分など)は撮像条件に一切含まれない。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子カメラやコンピュータなどでは、記録媒体に画像データを効率よく記録するため、画像データに対して圧縮符号化(例えば、DPCMやJPEG圧縮など)の処理を施す。
以下、代表的なJPEG圧縮の手順を下記(1)〜(4)に示す。
【0003】
(1)画像データを、8×8画素程度の画素ブロックに分割する。これらの画素ブロックにDCT変換(離散コサイン変換)などの直交変換を施し、画像データを空間周波数成分に変換する。
【0004】
(2)8×8程度の空間周波数成分に対する量子化の刻みをそれぞれ定義した標準量子化テーブルを用意する。この標準量子化テーブルにスケールファクタSFを乗じて、実際に使用する量子化テーブルを作成する。
【0005】
(3)上記で作成した量子化テーブルを用いて、DCT変換後の変換係数を量子化する。
【0006】
(4)量子化後のデータに対し、可変長符号化やランレングス符号化などの符号化を施す。
ところで、上記のような手順を経た場合、画像データの個体差によって圧縮後の符号量は大きくばらつく。そこで、一般的なJPEG圧縮では、複数回の試し圧縮を行いながらスケールファクタの値を調整して、最終的な符号量を所望の範囲内に納める。
なお、本願では、上記スケールファクタのように、圧縮符号化の処理過程において圧縮符号量の大きさに影響を与える調整可能な要素を総称して、『圧縮パラメータ』と呼ぶ。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、画像データは、撮像時のカメラ設定や撮影環境などの違いによって、空間周波数成分やノイズ量などの特徴が変化する。
しかしながら、従来の圧縮符号化方法では、撮像条件の異なる画像データに対しても、一律に同じ圧縮符号化の処理が施されていた。
【0008】
そのため、特殊な撮像条件の元で撮像した画像データについては、一般的な圧縮符号化がなかなか通用せず、目標の圧縮符号量に圧縮できるまで試し圧縮を何度も繰り返すなどの不具合が生じやすかった。
また、特殊な撮像条件の元で撮像された画像データは、ノイズの空間周波数分布などが特異なため、復号化後にノイズが目立ちやすかったり、画質劣化が著しいなどの不具合が生じやすかった。
【0009】
そこで、本発明では、画像データの圧縮符号化処理に際して、画像データを撮像した際の条件を有効利用することにより、画像データを適正に圧縮符号化することを目的とする。さらに、本発明では、画像データを撮像した際の条件を有効利用することにより、空間周波数領域上での圧縮配分を柔軟に変更することを目的とする。
【0010】
請求項2〜6に記載の発明では、圧縮符号化方法を適正化する上で有効な撮像条件のバリエーションを具体的に示すことを目的とする。
【0011】
請求項7に記載の発明では、請求項1〜6のいずれか一項に記載の圧縮符号化方法をコンピュータ上で実現するための圧縮符号化プログラムを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
【0012】
請求項8に記載の発明では、請求項1〜6のいずれか一項に記載の圧縮符号化方法を実施する電子カメラを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
以下、後述する実施形態のステップ番号および符号を対応付けながら、課題を解決するための手段を説明する。なお、ここでの対応付けは参考のためであり、本発明の内容を特に限定するものではない。
【0014】
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、標準量子化テーブルに試行用のスケールファクタを乗じて得た量子化テーブルを用いて、直交変換後の画像データを量子化および符号化し、画像データの圧縮符号量を求める試行ステップ(S16a,S17)と、試行ステップで求めた画像データの圧縮結果を、撮影条件の異なる複数の画像データを予め試験的に圧縮符号化して得た「圧縮パラメータと圧縮符号量との統計的関係」に当てはめて、画像データを目標の圧縮符号量に圧縮するためのスケールファクタを推定するパラメータ推定ステップ(S18〜S22)と、標準量子化テーブルにパラメータ推定ステップで推定したスケールファクタを乗じて得た量子化テーブルを用いて、直交変換後の画像データを量子化および符号化する圧縮ステップ(S16a,S23〜S26)とを有し、試行ステップおよび圧縮ステップは、撮像条件のバリエーションごとに異なる値が設定された基準量子化テーブルと撮像条件のバリエーションごとに求めた統計的関係とを撮像条件に対応付けて準備しておき、画像データの撮像条件に対応して、基準量子化テーブルおよび統計的関係を選択使用することを特徴とする。
【0015】
請求項1の圧縮符号化方法では、圧縮対象の撮像条件によって、標準量子化テーブルを使い分ける。したがって、撮像条件ごとの画像データの特徴変化に対応して、低域空間周波数成分と高域空間周波数成分との圧縮配分を柔軟に変更することなどが可能となる。
特に、請求項1の圧縮符号化方法では、試行ステップの段階から標準量子化テーブルを使い分ける。したがって、圧縮ステップと同様の条件で試し圧縮を行うことが可能となり、圧縮パラメータの推定をより正確に行うことが可能となる。
【0017】
また、圧縮対象の撮像条件によって、量子化テーブルの量子化係数を変更する。したがって、撮像条件ごとの画像データの特徴変化に対応して、低域空間周波数成分と高域空間周波数成分との圧縮配分を柔軟に変更することなどが可能となる。
【0018】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の圧縮符号化方法において、撮像条件が、画像データを撮像した撮像部の条件である、撮像感度設定、信号ゲイン、ガンマ補正カーブ、電子ズームの有無、電子ズームの倍率、シャッタ速度、ホワイトバランス調整値、特殊撮影効果、階調、エッジ強調、モノクロモード、露出補正値、ノイズリダクションモード、ワイドダイナミックレンジモード、出力画素数の少なくとも一つであることを特徴とする。
【0019】
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の圧縮符号化方法において、撮像条件が、画像データを撮像した撮像部の条件である、撮像感度設定、信号ゲイン、エッジ強調、ノイズリダクションモードの少なくとも一つであることを特徴とする。
【0020】
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の圧縮符号化方法において、撮像条件が、画像データを撮像した撮影環境の条件である、ストロボ使用の有無、スローシンクロ使用の有無、日中シンクロ使用の有無、測光値、マルチパターン測光値、被写体の配光状態、縦位置撮影の有無、カメラブレ量、温度、測光モードの少なくとも一つであることを特徴とする。
【0021】
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の圧縮符号化方法において、撮像条件が、画像データを撮像した撮影レンズの条件である、マクロ撮影の有無、像倍率、被写界深度、絞り値、焦点距離、撮影画角、被写体距離、合焦状況、多点合焦状況、撮影レンズの種別、コンバータレンズの有無、コンバータレンズの種類、光学フィルタの有無、光学フィルタの種類の少なくとも一つであることを特徴とする。
【0022】
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の圧縮符号化方法において、撮像条件が、画像データを撮像した撮影レンズの条件である、像倍率、合焦状況、多点合焦状況の少なくとも一つであることを特徴とする。
【0023】
(請求項7)
請求項7に記載の記録媒体には、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の圧縮符号化方法をコンピュータに実行させるための圧縮符号化プログラムが記録される。
【0024】
(請求項8)
請求項8に記載の電子カメラ(10)は、被写体を撮像して画像データを生成する撮像部(11,13,15,16,17)と、撮像部で生成された画像データに対して、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の圧縮符号化方法を実施する圧縮処理部(18)とを備えたことを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明における実施の形態を説明する。
なお、以下に述べる第1および第2の実施形態は、本願分割前の出願にかかる実施形態である。なお、本願発明の請求項に対応する実施形態は、後述する第3の実施形態およびその補足事項である。
【0026】
<第1の実施形態>
図1は、電子カメラ10の構成を示すブロック図である。
図1において、電子カメラ10には、撮影レンズ11およびストロボ発光部12が装着される。この撮影レンズ11の像空間には、撮像素子13が配置される。
この撮像素子13において生成される画像データは、信号処理部15、A/D変換部16、画像処理部17を順に介して処理された後、デジタルの画像データとして圧縮処理部18に与えられる。
【0027】
圧縮処理部18は、この画像データを圧縮符号化して、記録部19に出力する。記録部19は、圧縮された画像データを、メモリーカードなどの記録媒体(図示せず)に記録する。
また、電子カメラ10には、マイクロプロセッサからなる制御部21、マルチパターン測光を行うマルチ測光部22、焦点検出を行う焦点検出部(または測距を行う測距部)23、カメラ操作やモード設定を行うための操作釦群24などが設けられる。
【0028】
制御部21は、マルチ測光部22、焦点検出部(または測距部)23、および操作釦群24などから、検出情報を取得する。制御部21は、これらの検出情報に基づいて、画像データの撮像条件(例えば、撮像感度設定など)を判断する。
制御部21は、上述した撮影レンズ11、ストロボ発光部12、撮像素子13、信号処理部15、A/D変換部16、画像処理部17をそれぞれ制御して、撮像条件に合った撮像動作を実行させる。
一方、圧縮処理部18は、この撮像条件を制御部21から取得する。圧縮処理部18では、この撮像条件を適正な圧縮符号化を行うための有効情報として利用する。以下、本発明の特徴である、この圧縮処理部18の動作について詳しく説明する。
【0029】
(圧縮符号化の前準備)
図2は、圧縮符号化の前準備の手順を示した流れ図である。このような前準備は、通常、圧縮処理部18の開発者によって実施される。なお、電子カメラ10のユーザーが、撮影頻度の高い画像データを具体的に選んで前準備を実行しても勿論かまわない。
【0030】
この図2を用いて、前準備の手順を説明する。なお、ここでは、説明の都合上、前準備の実行者を開発者と仮定している。
まず、開発者は、電子カメラ10の撮像感度設定を変更しながら、なるべく多種類の被写体やシーンを撮影する。開発者は、このように収集した非圧縮の画像データ(以下「テスト画像」という)に対して、DCT変換を実行する(図2S11)。
【0031】
次に、開発者は、DCT変換を終えた各テスト画像に対して、スケールファクタSFの値を徐々に変えながら量子化および符号化を反復実行し、(スケールファクタSF,圧縮符号量ACVdata)のデータを多数求める(図2S12)。
図4は、撮像感度ISO200のテスト画像について求めた、これらのデータをプロットしたグラフである。また、図5は、撮像感度ISO1600のテスト画像について求めたデータをプロットしたグラフである。
【0032】
これらの図4および図5に示されるように、撮像感度の違いによって、グラフ上のデータ分布には、明確な違いが現れる。このようなデータ分布の違いは、撮像感度設定に依存するノイズ量の違いに起因すると考えられる。
ここで、開発者は、図4および図5のグラフから、目標圧縮率1/4,1/8,1/16を達成する上で標準的と思われるスケールファクタSFをそれぞれ選び出し(図4および図5に示す白丸箇所)、初期スケールファクタISFとする。
【0033】
図3は、このように選ばれた初期スケールファクタISFをデータテーブルに並べたものである。開発者は、このようなデータテーブルを、圧縮処理部18内の書き換え可能なメモリ領域に格納する(図2S13)。
次に、開発者は、図4および図5に示すデータを回帰分析し、
log(ACVdata)=a・log(SF)+b ・・・[1]
に当てはまる未定係数a,bをテスト画像ごとに求める(図2S14)。なお、ここでの回帰分析は、回帰式とデータとの一致度をより高めるため、スケールファクタの範囲を0.1〜1.0に限定して行っている。
【0034】
図6は、このようにして求めた未定係数a,bを、横軸をaとし、縦軸をbとしてプロットしたものである。図6から分かるように、未定係数a,bの分布は、撮像感度設定の違いによって2つに分かれる。
ここで、開発者は、撮像感度設定ごとに分けて、未定係数a,bの回帰分析を行い、
ISO200の場合:b=C1ISO200・a+C2ISO200 ・・・[2]
ISO1600の場合:b=C1ISO1600・a+C2ISO1600 ・・・[3]
に当てはまる係数C1ISO200、C2ISO200、C1ISO1600、C2ISO1600をそれぞれ求める。開発者は、これらの係数を、撮像感度設定に対応付けた状態で、圧縮処理部18内の書き換え可能なメモリ領域に格納する(図2S15)。
以上の手順により、圧縮符号化の前準備を完了する。
【0035】
(圧縮符号化方法の説明)
次に、具体的な圧縮符号化の手順について説明する。
図7は、圧縮処理部18が実行する圧縮符号化方法を説明する流れ図である。
まず、圧縮処理部18は、制御部21から画像データの撮像条件(ここでは撮像感度設定)を取得する。圧縮処理部18は、この撮像感度設定と目標圧縮率とに基づいて、前準備で作成したデータテーブル(図3)を検索し、初期スケールファクタISF(試行用の圧縮パラメータに対応)を決定する(図7S16)。
【0036】
圧縮処理部18は、このように決定した初期スケールファクタISFを標準量子化テーブルに乗じ、試し圧縮に使用する初期量子化テーブルを作成する。圧縮処理部18は、この初期量子化テーブルを用いて公知のJPEG圧縮手順を実行し、画像データの試し圧縮を実行する(図7S17)。
次に、圧縮処理部18は、前準備で用意した係数C1ISO200、C2ISO200、C1ISO1600、C2ISO1600の中から、画像データの撮像感度設定に合致するものを選び出し、係数C1,C2とする(図7S18,S19,S20)。
【0037】
次に、圧縮処理部18は、この係数C1,C2と、試し圧縮後の符号量ACVdataと、初期スケールファクタISFとを下式に代入して、
a={log(ACVdata)−C2}/{log(ISF)+C1}・・[4]
を算出し、未定係数aを確定する(図7S21)。
なお、この[式4]は、[式1〜3]から導出される式であり、スケールファクタと圧縮符号量との統計的関係を表す式である。
【0038】
次に、圧縮処理部18は、目標の圧縮符号量TCV(=画像データの符号量×目標圧縮率)を用いて、
NSF=(ACVdata/TCV)(-1/a)・ISF ・・・[5]
を算出し、目標の圧縮符号量TCVを得る上で適当な目標スケールファクタNSFを求める(図7S22)。
【0039】
なお、[式5]は、[式1〜4]に(目標スケールファクタNSF,目標の圧縮符号量TCV)を代入して整理し、未定係数bを消去した式である。
続いて、圧縮処理部18は、この目標スケールファクタNSFを標準量子化テーブルに乗じて量子化テーブルを作成する(図7S23)。
圧縮処理部18は、この量子化テーブルを用いて、公知のJPEG圧縮手順(S24〜S26)を実行し、画像データを画像圧縮する。
【0040】
ここで、圧縮処理部18は、画像圧縮後の符号量が、目標の圧縮符号量TCVの許容範囲内に入るか否かを判定する(図7S27)。
万一、許容範囲内から外れた場合(図7S27のNO側)、圧縮処理部18は、ステップS22に動作を戻し、目標スケールファクタNSFを更新して画像圧縮を再度繰り返す。
一方、許容範囲内に入った場合(図7S27のYES側)、圧縮処理部18は、所望の画像圧縮が達成されたと判断して、動作を終了する。
【0041】
(第1の実施形態の効果)
以上説明したように、第1の実施形態では、撮像感度設定の情報に基づいて、なるべく正解に近い初期スケールファクタを選択する。したがって、目標の圧縮符号量に到達するまでの試し圧縮の回数を効率的に削減することが可能となる。
また、初期スケールファクタが正解に近いので、試し圧縮の結果は、正解近傍におけるスケールファクタと圧縮符号量との関係を正確に反映する。したがって、目標スケールファクタの推定をより正確に行うことができる。
【0042】
その上、第1の実施形態では、統計的関係(を規定する係数C1,C2)を撮像感度設定ごとに準備する。したがって、一つ一つの統計的関係の信頼性が十分に高い。したがって、この点からも、目標スケールファクタの推定を一段と正確に行うことが可能となる。
ちなみに、図8は、1回の試し圧縮で求めた目標スケールファクタと、圧縮率1/4を得るための正確なスケールファクタ(実測値)との関係を、多数の画像データについてプロットしたグラフである。なお、図8中の◇印は、撮像感度設定を区分せずに目標スケールファクタを算出した場合であり、黒三角印は、撮像感度設定を区分して目標スケールファクタを算出した場合である。
この図8に明示されるように、撮像感度設定を区分した場合(黒三角印)の方が、正解ライン(図8中の点線)に一段と近く、すなわち、より正確な目標スケールファクタであることが分かる。
次に、別の実施形態について説明する。
【0043】
<第2の実施形態>
なお、第2の実施形態における電子カメラの構成については、第1の実施形態(図1)と同じため、ここでの説明を省略する。
以下、第2の実施形態の特徴である、圧縮処理部18の動作について説明する。
【0044】
(圧縮符号化の前準備)
図9は、第2の実施形態における圧縮符号化の前準備の手順を示した流れ図である。この図9を用いて、前準備の手順を説明する。なお、ここでは、説明の都合上、前準備の実行者を開発者と仮定している。
まず、開発者は、ストロボ使用の有無を切り替えながら、なるべく多種類の被写体やシーンを電子カメラ10で撮影する。開発者は、このように収集した非圧縮の画像データ(以下「テスト画像」という)に対して、DCT変換を実行する(図9S31)。
【0045】
次に、開発者は、DCT変換を終えた各テスト画像に対して、スケールファクタSFの値を徐々に変えながら量子化および符号化を反復実行し、(スケールファクタSF,圧縮符号量ACVdata)のデータを多数求める(図9S32)。
図11は、ストロボを使用したテスト画像について、(スケールファクタSF,圧縮符号量ACVdata)のデータをプロットしたグラフである。一方、図4は、ストロボを使用しなかったテスト画像について、(スケールファクタSF,圧縮符号量ACVdata)のデータをプロットしたグラフである。
【0046】
これら図4および図11に示されるように、ストロボ使用の有無によって、グラフ上のデータ分布に違いが生じる。これは、ストロボ使用時において、背景部分などが黒くつぶれ、画像情報量が減少するためと考えられる。
ここで、開発者は、図4および図11のグラフから、目標圧縮率1/4,1/8,1/16を達成する上で標準的と思われるスケールファクタSFをそれぞれ選び出し(図4および図11に示す白丸の位置)、初期スケールファクタISFとする。
【0047】
図12は、このように選んだ初期スケールファクタISFをデータテーブルに並べたものである。開発者は、このようなデータテーブルを、圧縮処理部18内の書き換え可能なメモリ領域に格納する(図9S33)。
次に、開発者は、図4に示すデータを回帰分析し、
log(ACVdata)=a・log(SF)+b ・・・[1]
に当てはまる未定係数a,bを求める(図9S34)。
【0048】
開発者は、このように求めた未定係数a,bについて回帰分析を行い、
b=C1・a+C2 ・・・[6]
に当てはまる係数C1、C2をそれぞれ求める。開発者は、これらの係数を、圧縮処理部18内の書き換え可能なメモリ領域に格納する(図9S35)。
次に、開発者は、この係数C1,C2を使って、ストロボ使用時のテスト画像について、目標スケールファクタを推定する。
【0049】
図13中の◇印は、このように推定した(補正前の)目標スケールファクタをプロットしたものである。この場合、補正前の目標スケールファクタ(◇印)は、正解ライン(図13中の点線)から若干ずれた位置に分布する。
そこで、開発者は、補正前の目標スケールファクタ(◇印)について回帰分析を行い、「補正前の目標スケールファクタ」の回帰直線の式を、正解ラインの式へ補正するための補正式を求める。開発者は、この補正式を、圧縮処理部18内の書き換え可能なメモリ領域に格納する(図9S36)。
以上の手順により、圧縮符号化の前準備を完了する。
【0050】
(圧縮符号化方法の説明)
次に、具体的な圧縮符号化方法について説明する。
図10は、圧縮処理部18が実行する圧縮符号化方法を説明する流れ図である。
まず、圧縮処理部18は、制御部21から画像データの撮像条件(ここではストロボ使用の有無)を取得する。圧縮処理部18は、このストロボ使用の有無と目標圧縮率とに基づいて、前準備で作成したデータテーブル(図12)を検索し、初期スケールファクタISFを決定する(図10S37)。
【0051】
圧縮処理部18は、このように決定した初期スケールファクタISFを標準量子化テーブルに乗じ、試し圧縮に使用する初期量子化テーブルを作成する。圧縮処理部18は、この初期量子化テーブルを用いて公知のJPEG圧縮手順を実行し、画像データの試し圧縮を実行する。(図10S38)。
次に、圧縮処理部18は、前準備で用意した係数C1,C2と、この試し圧縮後の圧縮符号量ACVdataと、初期スケールファクタISFとを下式に代入して、
a={log(ACVdata)−C2}/{log(ISF)+C1}・・[7]
を算出し、未定係数aを確定する(図10S39)。
【0052】
次に、圧縮処理部18は、目標の圧縮符号量TCV(=画像データの符号量×目標圧縮率)を用いて、
NSF=(ACVdata/TCV)(-1/a)・ISF ・・・[5]
を算出し、目標の圧縮符号量TCVを得る上で適当な目標スケールファクタNSFを求める(図10S40)。
【0053】
ここで、圧縮処理部18は、画像データがストロボ使用の状態で撮像されたものか否かを判定する(図10S41)。
ストロボを使用せずに撮像された画像データの場合、圧縮処理部18は補正処理の必要なしと判断して、ステップS43に動作を移行する。
一方、ストロボ使用の状態で撮像された画像データの場合、圧縮処理部18は、前準備で求めた補正式を用いて目標スケールファクタNSFを補正した後(図10S42)、ステップS43に動作を移行する。
【0054】
次に、圧縮処理部18は、目標スケールファクタNSFを用いて、画像データを改めて画像圧縮する(図10S43)。
ここで、圧縮処理部18は、画像圧縮後の符号量が、目標の圧縮符号量TCVの許容範囲内に入るか否かを判定する(図10S44)。
万一、許容範囲内から外れた場合(図10S44のNO側)、圧縮処理部18は、ステップS40に動作を戻し、目標スケールファクタNSFを更新して画像圧縮を再度繰り返す。
一方、許容範囲内に入った場合(図10S44のYES側)、圧縮処理部18は、所望の画像圧縮が達成されたと判断して、動作を終了する。
【0055】
(第2の実施形態の効果)
以上説明したように、第2の実施形態では、ストロボ使用の有無に応じて、正解に近い初期スケールファクタを選択する。したがって、目標の圧縮符号量に到達するまでの試し圧縮の回数を効率的に削減することができる。
また、初期スケールファクタが正解に近いので、試し圧縮の結果は、正解近傍におけるスケールファクタと圧縮符号量との関係を正確に反映する。したがって、目標スケールファクタの推定をより正確に行うことも可能となる。
【0056】
さらに、第2の実施形態では、ストロボ使用の画像データについて、目標スケールファクタを補正するので、目標スケールファクタをより正確に求めることが可能となる。
ちなみに、図13中の黒三角印は、補正後の目標スケールファクタをプロットしたものである。
【0057】
この図13に示されるように、補正後の目標スケールファクタ(黒三角印)の方が、補正前の目標スケールファクタ(◇印)よりも正解ライン(図8中の点線)に近く、すなわち、目標スケールファクタは正確に補正されていることが分かる。
次に、別の実施形態について説明する。
【0058】
<第3の実施形態>
第3の実施形態は、電子カメラの実施形態である。
なお、第3の実施形態における電子カメラの構成については、第1の実施形態(図1)と同じため、ここでの説明を省略する。
以下、第3の実施形態の特徴である、圧縮処理部18の動作について説明する。
【0059】
(圧縮符号化の前準備)
図14は、第3の実施形態における圧縮符号化の前準備の手順を示した流れ図である。
第3の実施形態における前準備の特徴点は、テスト画像の撮像感度設定に応じて、標準量子化テーブルを使い分けている点である(図14S12a)。
【0060】
このとき使用されるISO200専用の標準量子化テーブルを、図15(a)に示す。また、ISO1600専用の標準量子化テーブルを、図15(b)に示す。これらの標準量子化テーブルは、復号化画像の画質評価などにより、撮像条件ごとに決定されたものである。
なお、図14に示すその他の動作(S11、S13〜S15)については、第1の実施形態(図2)と同じため、ここでの説明を省略する。
【0061】
(圧縮符号化方法の説明)
図16は、第3の実施形態における圧縮符号化方法を示した流れ図である。
第3の実施形態における動作上の特徴点は、次の(1),(2)である。
【0062】
(1)圧縮処理部18は、画像データの撮像感度設定に応じて、標準量子化テーブルを選択する(図16S16a)。
【0063】
(2)圧縮処理部18は、選択した標準量子化テーブルを使用して、試し圧縮(図16S17)および本圧縮(図16S23〜26)を実行する。
なお、図16に示すその他の動作については、第1の実施形態(図7)と同じため、ここでの説明を省略する。
【0064】
(第3の実施形態の効果)
上述したISO1600専用の標準量子化テーブルは、高域空間周波数成分の量子化係数が大きめに設定される。したがって、高い撮像感度設定において発生しやすい高域ノイズ成分を効果的に抑圧すると共に、圧縮符号量がノイズによって無意味に増加するのを防ぐことができる。
一方、ISO200専用の標準量子化テーブルは、高域空間周波数成分の量子化係数が比較的小さめに設定される。したがって、高域微小信号の消失やモスキートノイズを抑制し、画質劣化を極力防止することが可能となる。
【0065】
<実施形態の補足事項>
なお、上述した実施形態では、電子カメラに本発明を適用する場合について説明した。この場合には、画像データの撮像条件を電子カメラから直に取得できるという構成上の利点がある。しかしながら、本発明の実施形態は電子カメラに限定されるものではない。
【0066】
例えば、スキャナ装置などに本発明を適用してもよい。この場合、スキャナ装置における撮像条件(例えば、スキャン速度、スキャン方式、スキャンサイズ、スキャン対象物の種類、照明の種類など)を有効に利用して、スキャンされた画像データを適正に圧縮符号化することが可能となる。
さらに、図7、図10または図16の動作手順を、圧縮符号化プログラムとして記録媒体に記録してもよい。この場合、コンピュータ上において、本発明の圧縮符号化方法を実行することが可能となる。
【0067】
また、上述した実施形態では、画像圧縮方式としてJPEG方式を採用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、画像圧縮方式として、MPEG方式、DPCM方式などを採用してもよい。勿論、動画像の圧縮に本発明を適用してもよい。
さらに、上述した実施形態では、圧縮パラメータとしてスケールファクタを使用する場合について説明したが、これに限定されるものではない。一般に、圧縮符号化処理のプロセスにおいて圧縮符号量に影響を及ぼす調節可能な要素であれば、圧縮パラメータとして使用することができる。
【0068】
例えば、量子化テーブルにおける個々の量子化係数を変更するなどにより、空間周波数領域上の圧縮配分を変更しても圧縮符号量を変更することが可能である。したがって、空間周波数領域上の圧縮配分(例えば、量子化テーブル上の個々の量子化係数)を圧縮パラメータとしてもよい。
また、上述した実施形態では、最低1回の試し圧縮でスケールファクタを推定する手順について説明した。この場合、撮像条件の情報を有効利用することにより、最低1回の試し圧縮で目標スケールファクタの推定精度を非常に高いレベルまで高められるという利点がある。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、試し圧縮を複数回繰り返すような公知の圧縮パラメータ推定手順に本発明を適用することも可能である。
【0069】
なお、上述した実施形態では、撮像条件として、『撮像感度設定』または『ストロボ使用の有無』を使用した場合について説明した。特に、このような撮像感度設定を撮像条件として使用した場合、ノイズ量の変化に敏感に対応して、適正な圧縮符号化を実行できるという利点がある。
しかしながら、本発明の撮像条件は、これに限定されるものではない。一般に、撮像条件としては、画像データに有意な(例えば統計的な)差異を生じせしめ、かつその差異が圧縮結果(圧縮符号量や復号化画像の画質など)に影響を及ぼすものであればよい。このような撮像条件であれば、本発明の効果を得ることが可能である。例えば、このような撮像条件としては、撮像部の条件、撮影環境の条件、または撮影レンズの条件などが挙げられる。
【0070】
また、上述した実施形態では、一種類の撮像条件に対応して圧縮符号化を制御しているが、これに限定されるものではない。例えば、複数種類の撮像条件に対応して、圧縮符号化を制御してもよい。この場合、複数種類の撮像条件を論理的に組み合わせることによって飛躍的に細かな場合分けが可能となり、圧縮符号化処理を細かく制御することが可能となる。
【0071】
なお、上述した実施形態では、撮影モード(スーパーファインモードなどの画像圧縮モードは含まない)の各種設定などに基づいて撮像条件を判断しているが、撮像条件を取得する方法はこれに限定されるものではない。例えば、ユーザーが撮像条件を判断して操作釦などを介して情報入力するようにしてもよい。この場合、本発明方法では、被写体の配光状態などの撮像条件をより詳しく取得し、より適正な圧縮符号化を実施することが可能となる。また、電子カメラ内の圧縮処理部などが、マイクロプロセッサ、撮像部、信号処理部、測光部、焦点検出部(測距部)、画像処理部、ストロボ発光部または撮影レンズなどから、撮像条件の情報を取得するようにしてもよい。
以下、請求項2〜6に記載の発明に列挙した、具体的な撮像条件について説明する。
【0072】
[A]撮像感度設定、信号ゲイン、ガンマ補正カーブ
撮像感度を手動もしくは自動で高感度に設定するに従って(撮像部の信号ゲインを上げるに従って)、夜間や日陰などを明るく撮像できる反面、ノイズレベルも増大する。
また、ガンマ補正カーブのγを大きくするに従って、撮像部の微少振幅ゲインが大きくなり、画面暗部のノイズレベルが増大する。
このようにノイズレベルが増大するような撮像条件では、圧縮符号量がノイズ増加分だけ増えるため、次のような圧縮符号化が好ましい。
●試行ステップにおいて、試行用の圧縮パラメータを圧縮度の高いものにする。
●パラメータ推定ステップにおいて、ノイズレベルの大きい画像データに関して求めた統計的関係を用いて、圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、ノイズレベルの大きい画像データに関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータを補正する。
●標準量子化テーブルまたは量子化係数を変更して、ノイズの空間周波数成分を強く抑圧する。
【0073】
[B]電子ズームの有無、電子ズームの倍率
電子ズームを使用したり、あるいは電子ズームの倍率が大きくなるに従って、画像データの実質的な解像度が低くなる。この場合、画像データの高域空間周波数成分が欠落して、圧縮符号量が必然的に少なくなる。そこで、電子ズームを使用する撮像条件の場合には、次のような圧縮符号化が好ましい。
●試行ステップにおいて、試行用の圧縮パラメータを圧縮度の低いものにする。
●パラメータ推定ステップにおいて、上記のような実質的に低解像度の画像データに関して求めた統計的関係を用いて、圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、上記のような実質的に低解像度の画像データに関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータを補正する。
●標準量子化テーブルまたは量子化係数を変更して、欠落している高域空間周波数成分に対する量子化係数を大きくする。
【0074】
[C]シャッタ速度
シャッタ速度が遅くなるに従って、手ブレや被写体ブレによる像流れが生じやすくなる。この場合、信号成分については、高域空間周波数成分が欠落して、圧縮符号量が比較的少なくなる。
そこで、高域空間周波数成分の欠落が顕著な低速シャッタの撮像条件では、次のような圧縮符号化が好ましい。
●試行ステップにおいて、試行用の圧縮パラメータを圧縮度の低いものにする。
●パラメータ推定ステップにおいて、低速シャッタの画像データに関して求めた統計的関係を用いて、圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、低速シャッタの画像データに関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータを補正する。
●画質の主観評価に基づいて、低速シャッタの画像データに適した標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を決定する。低速シャッタの撮像条件に対応して、この標準化量子化テーブルまたは量子化係数の配分を使用する。
一方、ノイズ成分については、シャッタ速度が遅くなってCCDの蓄積時間が長くなる分だけ増える(特に高域空間周波数成分のノイズが増える)。
このようなノイズ量の変化が無視できない場合、シャッタ速度ごとに、これらの作用が重なった、特徴が統計的に現れる。(例えば、1/100秒以下の高速シャッタでは、像流れによる信号成分の変化はさほど生じず、専らノイズ成分の変化が大きく現れる。一方、1/10秒以上の低速シャッタでは、像流れによる信号成分の変化が顕著に現れるようになり、ノイズ成分の変化は無視できる。)
このようなシャッタ速度ごとにおける画像データの特徴に対応して、圧縮符号化を行ってもよい。
なお、このとき、三脚使用の有無を踏まえて、圧縮符号化を行うことが好ましい。
【0075】
[D]ホワイトバランス調整値
撮像部のホワイトバランス調整値により、屋外撮影/室内撮影、晴天撮影/曇天撮影、夕焼け撮影/日中撮影などのように、撮影場所や撮影時刻や色相や彩度などを大まかにグループ分けすることが可能となる。
このように、ホワイトバランス調整値から画像データをグループ分けすることにより、次のような圧縮符号化が可能となる。
●試行ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して予め求めた標準的な圧縮パラメータを、試行用の圧縮パラメータとする。
●パラメータ推定ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して予め求めた統計的関係を用いて、圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータを補正する。
●画質の主観評価などに基づいて、各グループごとに適正な標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を決定する。圧縮符号化時には、画像データのグループ分けに応じて、これらの標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を使い分ける。
【0076】
[E]特殊撮影効果
特殊撮影効果(モノクロ処理、エンボス効果、明暗にじみ効果、ハイキー処理、ローキー処理、クロマキー処理、ノイズ付加効果、モザイク効果など)の種類に基づいて、画像データの特徴を大まかにグループ分けすることができる。
このように、特殊撮影効果の種類ごとに画像データをグループ分けすることにより、次のような圧縮符号化が可能となる。
●試行ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して予め求めた標準的な圧縮パラメータを、試行用の圧縮パラメータとする。
●パラメータ推定ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して予め求めた統計的関係を用いて、圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータを補正する。
●画質の主観評価などに基づいて、各グループごとに適正な標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を決定する。圧縮符号化時には、画像データのグループ分けに応じて、これらの標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を使い分ける。
【0077】
[F]階調
階調補正の程度などにより、画像データのコントラスト、ノイズ量、ディテール、色相、彩度などが変化する。そこで、階調の撮像条件から、画像データの特徴を大まかにグループ分けすることが可能となる。
このように、階調の撮像条件から画像データをグループ分けすることにより、次のような圧縮符号化が可能となる。
●試行ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して予め求めた標準的な圧縮パラメータを、試行用の圧縮パラメータとする。
●パラメータ推定ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して予め求めた統計的関係を用いて、圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータを補正する。
●画質の主観評価などに基づいて、各グループごとに適正な標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を決定する。圧縮符号化時には、画像データのグループ分けに応じて、これらの標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を使い分ける。
【0078】
[G]ストロボ使用の有無
ストロボを使用とすると、ストロボ光の届かない背景が黒くつぶれるため、画面内の一部領域において輝度レベルが欠落しやすい。このような輝度レベルの一部欠落が生じると、画像データの情報量が少なくなり、画像データの圧縮符号量は小さくなる。そこで、ストロボ使用の撮像条件の場合には、次のような圧縮符号化が一般的に好ましい。
●試行ステップにおいて、試行用の圧縮パラメータを圧縮度の低いものにする。
●パラメータ推定ステップにおいて、ストロボ使用の画像データに関して求めた統計的関係を用いて、圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、ストロボ使用の画像データに関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータを補正する。
●画質の主観評価などに基づいて、ストロボ使用の画像データに適した標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を決定する。ストロボ使用の画像データについては、この標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を使用する。
【0079】
[H]スローシンクロ使用の有無
スローシンクロを使用すると、背景が明るく撮影される。そのため、単なるストロボ使用に比べて、輝度レベルの潰れは少ない。したがって、スローシンクロの撮影条件の場合、単なるストロボ撮影の撮像条件とは区別して、圧縮符号化を行うことが好ましい。
【0080】
[I]日中シンクロ使用の有無
日中シンクロを使用すると、背景も被写体も明るく撮影される。そのため、単なるストロボ使用とは異なり、輝度レベルの潰れは極めて少ない。したがって、日中シンクロの撮影条件の場合、単なるストロボ撮影の撮像条件とは区別して、圧縮符号化を行うことが好ましい。
【0081】
[J]測光値
測光値に基づいて、画像データの特徴を大まかにグループ分けすることができる。このように、測光値に応じて画像データをグループ分けすることにより、次のような圧縮符号化が可能となる。
●試行ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して予め求めた標準的な圧縮パラメータを、試行用の圧縮パラメータとする。
●パラメータ推定ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して予め求めた統計的関係を用いて、圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータを補正する。
●画質の主観評価などに基づいて、各グループごとに適正な標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を決定する。圧縮符号化時には、画像データのグループ分けに応じて、これらの標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を使い分ける。
【0082】
[K]マルチパターン測光値
マルチパターン測光値に基づいて、被写体の配光状態(逆光、順光など)をグループ分けすることができる。このように、マルチパターン測光値に応じて画像データをグループ分けすることにより、次のような圧縮符号化が可能となる。
●試行ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して予め求めた標準的な圧縮パラメータを、試行用の圧縮パラメータとする。
●パラメータ推定ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して予め求めた統計的関係を用いて、圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータを補正する。
●画質の主観評価などに基づいて、各グループごとに適正な標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を決定する。圧縮符号化時には、画像データのグループ分けに応じて、これらの標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を使い分ける。
【0083】
[L]被写体の配光状態
被写体の配光状態(例えば、逆光、順光、側光、斜光、半逆光)に基づいて、画像データを大まかにグループ分けすることができる。このように、配光状態に応じて画像データをグループ分けすることにより、次のような圧縮符号化が可能となる。
●試行ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して予め求めた標準的な圧縮パラメータを、試行用の圧縮パラメータとする。
●パラメータ推定ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して予め求めた統計的関係を用いて、圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータを補正する。
●画質の主観評価などに基づいて、各グループごとに適正な標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を決定する。圧縮符号化時には、画像データのグループ分けに応じて、これらの標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を使い分ける。
【0084】
[M]縦位置撮影か否か
縦位置撮影か否かにより、画像データの画面構成を大まかにグループ分けすることができる。このように、縦位置撮影か否かに応じて画像データをグループ分けすることにより、次のような圧縮符号化が可能となる。
●試行ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して予め求めた標準的な圧縮パラメータを、試行用の圧縮パラメータとする。
●パラメータ推定ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して予め求めた統計的関係を用いて、圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータを補正する。
●画質の主観評価などに基づいて、各グループごとに適正な標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を決定する。圧縮符号化時には、画像データのグループ分けに応じて、これらの標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を使い分ける。
【0085】
[N]カメラブレ量
カメラブレ量が大きくなるに従って、像が流れやすくなる。この場合、画像データの高域空間周波数成分が欠落し、圧縮符号量が必然的に少なくなる。そこで、このようなカメラブレ量が大きい撮像条件では、次のような圧縮符号化が好ましい。
●試行ステップにおいて、試行用の圧縮パラメータを圧縮度の低いものにする。
●パラメータ推定ステップにおいて、カメラブレ量の大きな画像データに関して求めた統計的関係を用いて、圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、カメラブレ量の大きな画像データに関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータを補正する。
●画質の主観評価に基づいて、カメラブレ量の大きな画像データに適した標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を決定する。カメラブレ量の大きい撮像条件に対応して、この標準化量子化テーブルまたは量子化係数の配分を使用する。
【0086】
[O]マクロ撮影の有無、像倍率
フラクタル図形の特徴を有さない被写体(人工物など)に対して、マクロ撮影などの高倍率撮影を行った場合、画像データの実質的な解像度は低くなる。この場合、画像データの高域空間周波数成分が欠落し、圧縮符号量が比較的少なくなる。そこで、マクロ撮影のような高倍率撮影では、次のような圧縮符号化が好ましい。
●試行ステップにおいて、試行用の圧縮パラメータを圧縮度の低いものにする。
●パラメータ推定ステップにおいて、上記のような低解像度の画像データに関して求めた統計的関係を用いて、圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、上記のような低解像度の画像データに関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータを補正する。
●標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を変更して、欠落している高域空間周波数成分に対する量子化係数を大きくする。
【0087】
[P]被写界深度
被写界深度が浅くなるに従って、被写体の前後でボケ量が大きくなる。この場合、画像データの高域空間周波数成分が欠落し、圧縮符号量が比較的少なくなる。そこで、被写界深度の浅い撮像条件では、次のような圧縮符号化が好ましい。
●試行ステップにおいて、試行用の圧縮パラメータを圧縮度の低いものにする。
●パラメータ推定ステップにおいて、被写界深度の浅い画像データに関して求めた統計的関係を用いて、圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、被写界深度の浅い画像データに関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータを補正する。
●画質の主観評価に基づいて、被写界深度の浅い画像データに適した標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を決定する。被写界深度の浅い撮像条件に対応して、この標準化量子化テーブルまたは量子化係数の配分を使用する。
【0088】
[Q]絞り値、焦点距離、撮影画角、被写体距離
次のような撮像条件では、画面内の背景部分などがいずれもぼけやすくなる。
・絞り値が解放側。
・撮影レンズの焦点距離が長い(撮影画角が狭い)。
・被写体距離が近い。
このように像がぼけると、画像データの高域空間周波数成分が欠落し、画像データの圧縮符号量は比較的小さくなる。
そこで、このようにボケが大きくなる撮像条件の場合には、次のような圧縮符号化が好ましい。
●試行ステップにおいて、試行用の圧縮パラメータを圧縮度の低いものにする。
●パラメータ推定ステップにおいて、ボケの大きな画像データに関して求めた統計的関係を用いて、適正な圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、ボケの大きな画像データに関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータの補正を行う。
●画質の主観評価に基づいて、ボケの大きな画像データに適した標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を決定する。ボケの大きな撮像条件に対応して、この標準化量子化テーブルまたは量子化係数の配分を使用する。
【0089】
[R]合焦状況
焦点検出ユニットなどから得られる合焦状況に基づいて、画像データのボケ具合をグループ分けすることができる。このように合焦状況に応じて画像データをグループ分けすることにより、次のような圧縮符号化が可能となる。
●試行ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して予め求めた標準的な圧縮パラメータを、試行用の圧縮パラメータとする。
●パラメータ推定ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して予め求めた統計的関係を用いて、圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータを補正する。
●画質の主観評価などに基づいて、各グループごとに適正な標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を決定する。圧縮符号化時には、画像データのグループ分けに応じて、これらの標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を使い分ける。
【0090】
[S]多点の合焦状況
多点焦点検出ユニットなどから得られる多点合焦状況に基づいて、画面内のボケ面積やボケ位置を大まかにグループ分けすることができる。このように多点合焦状況に応じて画像データをグループ分けすることにより、次のような圧縮符号化が可能となる。
●試行ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して予め求めた標準的な圧縮パラメータを、試行用の圧縮パラメータとする。
●パラメータ推定ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して予め求めた統計的関係を用いて、圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータを補正する。
●画質の主観評価などに基づいて、各グループごとに適正な標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を決定する。圧縮符号化時には、画像データのグループ分けに応じて、これらの標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を使い分ける。
【0091】
[T]撮影レンズの種別
撮影レンズの種別データに基づいて、画像データの収差性能、空間周波数特性(MTF特性)、ボケ味などを大まかにグループ分けすることができる。このように撮影レンズの種別に応じて画像データをグループ分けすることにより、次のような圧縮符号化が可能となる。
●試行ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して予め求めた標準的な圧縮パラメータを、試行用の圧縮パラメータとする。
●パラメータ推定ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して予め求めた統計的関係を用いて、圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータを補正する。
●画質の主観評価などに基づいて、各グループごとに適正な標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を決定する。圧縮符号化時には、画像データのグループ分けに応じて、これらの標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を使い分ける。
【0092】
[U]温度
CCDなどの撮像素子温度が上昇するに従って、画像データのノイズレベルが大きくなる。
したがって、温度の高い撮像条件では、圧縮符号量がノイズ増加分だけ増えるため、次のような圧縮符号化が好ましい。
●試行ステップにおいて、試行用の圧縮パラメータを圧縮度の高いものにする。
●パラメータ推定ステップにおいて、ノイズレベルの大きい画像データに関して求めた統計的関係を用いて、圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、ノイズレベルの大きい画像データに関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータを補正する。
●標準量子化テーブルまたは量子化係数を変更して、ノイズの空間周波数成分を強く抑圧する。
なお、温度の検出については、撮像素子に内蔵もしくは近傍配置された温度センタを用いて検出することが好ましい。
【0093】
[V]エッジ強調の有無、エッジ強調の強さ
電子カメラ内の画像処理部や画像処理プログラムでは、画像の鮮明度を上げるため、エッジ強調(シャープネス調整)の処理を施す。このようなエッジ強調により、画像データの高域空間周波数成分は増え、圧縮符号量は大きくなる。また、エッジ強調の程度を強めるに従って、圧縮符号量も大きくなる。
【0094】
そこで、エッジ強調を実行する撮像条件、またはエッジ強調のより強い撮像条件では、次のような圧縮符号化が好ましい。
●試行ステップにおいて、試行用の圧縮パラメータを圧縮度の高いものにする。
●パラメータ推定ステップにおいて、高域空間周波数成分の多い画像データ(より具体的には、エッジ強調を施した画像データ、エッジ強調を強く施した画像データ)に関して求めた統計的関係を用いて、圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、高域空間周波数成分の多い画像データ(より具体的には、エッジ強調を施した画像データ、エッジ強調を強く施した画像データ)に関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータを補正する。
●画質の主観評価に基づいて、高域空間周波数成分の多い画像データ(より具体的には、エッジ強調を施した画像データ、エッジ強調を強く施した画像データ)に適した標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を決定する。エッジ強調を実行する撮像条件、またはエッジ強調のより強い撮像条件に対応して、この標準化量子化テーブルまたは量子化係数の配分を使用する。
【0095】
[W]モノクロモードか否か
電子カメラ内の画像処理部や画像処理プログラムでは、ユーザー選択などにより、カラーの画像データをモノクロ化する処理が施される。このようなモノクロ化された画像データは、色に関する画像情報が欠落するため、圧縮符号量はその分だけ小さくなる。
【0096】
そこで、モノクロモードの撮像条件では、次のような圧縮符号化が好ましい。
●試行ステップにおいて、試行用の圧縮パラメータを圧縮度の低いものにする。
●パラメータ推定ステップにおいて、モノクロの画像データに関して求めた統計的関係を用いて、圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、モノクロの画像データに関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータを補正する。
●画質の主観評価に基づいて、モノクロの画像データに適した標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を決定する。モノクロモードの撮像条件に対応して、この標準化量子化テーブルまたは量子化係数の配分を使用する。
【0097】
[X]露出補正値(露出補正の有無、露出補正の±方向、露出補正の補正幅など)
電子カメラでは、ユーザー選択などにより、撮像時に露出補正が行われる。撮像時の露光補正の情報(露出補正値,露出補正の有無、露出補正の±方向、露出補正の補正幅など)に基づいて、撮像された画像データの絵柄や傾向をグループ分けすることができる。このようなグループ分けにより、次のような圧縮符号化が可能となる。
●試行ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して予め求めた標準的な圧縮パラメータを、試行用の圧縮パラメータとする。
●パラメータ推定ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して予め求めた統計的関係を用いて、圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータを補正する。
●画質の主観評価などに基づいて、各グループごとに適正な標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を決定する。圧縮符号化時には、画像データのグループ分けに応じて、これらの標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を使い分ける。
【0098】
[Y]ノイズリダクションモード
電子カメラ内の画像処理部や画像処理プログラムでは、ノイズの低減を目的として、画像データの微小振幅成分を時間軸方向または空間軸方向に平滑化する。
また、電子カメラや画像処理プログラムでは、ノイズの低減を目的として、撮像素子の固定パターンノイズを画像データから除去する。
【0099】
このようなノイズリダクションを施された画像データは、画像のノイズ量が減少するため、圧縮符号量は小さくなる。
そこで、いずれかのノイズリダクションを実行する撮像条件、またはノイズリダクションを強く施す撮像条件では、次のような圧縮符号化が好ましい。
●試行ステップにおいて、試行用の圧縮パラメータを圧縮度の低いものにする。
●パラメータ推定ステップにおいて、微小振幅成分の平滑化された画像データ(より具体的には、ノイズリダクションを実行した画像データ、ノイズリダクションを強く施した画像データ)に関して求めた統計的関係を用いて、圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、微小振幅成分の平滑化された画像データ(より具体的には、ノイズリダクションを実行した画像データ、ノイズリダクションを強く施した画像データ)に関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータを補正する。
●画質の主観評価に基づいて、微小振幅成分の平滑化された画像データ(より具体的には、ノイズリダクションを実行した画像データ、ノイズリダクションを強く施した画像データ)に適した標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を決定する。ノイズリダクションを実行する撮像条件、またはノイズリダクションを強く施す撮像条件に対応して、この標準化量子化テーブルまたは量子化係数の配分を使用する。
【0100】
[Z]ワイドダイナミックレンジモード
電子カメラは、撮像画像の高階調化を目的として、露出を変えて複数回撮像した画像データを合成するモード(ワイドダイナミックレンジモード)を実行する。このように処理された画像データは、画像の階調情報が増えるため、圧縮符号量は大きくなる。
そこで、ワイドダイナミックレンジモードの選択された撮像条件では、次のような圧縮符号化が好ましい。
●試行ステップにおいて、試行用の圧縮パラメータを圧縮度の高いものにする。
●パラメータ推定ステップにおいて、ワイドダイナミックレンジモードで処理された画像データに関して求めた統計的関係を用いて、圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、ワイドダイナミックレンジモードで処理された画像データに関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータを補正する。
●画質の主観評価に基づいて、ワイドダイナミックレンジモードで処理された画像データに適した標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を決定する。ワイドダイナミックレンジモードの撮像条件に対応して、この標準化量子化テーブルまたは量子化係数の配分を使用する。
【0101】
[α]出力画素数
電子カメラでは、画像データの画素数を変換し、出力画素数を適宜に変更することができる。このように出力画素数を変更した場合、データ量の変化や、空間周波数成分が周波数軸方向にシフトするなどの要因から、圧縮符号量が顕著に変化する。
そこで、出力画素数の撮像条件で画像データをグループ分けすることにより、次のような、より適切な圧縮符号化が可能となる。
●試行ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して予め求めた標準的な圧縮パラメータを、試行用の圧縮パラメータとする。
●パラメータ推定ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して予め求めた統計的関係を用いて、圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータを補正する。
●画質の主観評価などに基づいて、各グループごとに適正な標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を決定する。圧縮符号化時には、画像データのグループ分けに応じて、これらの標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を使い分ける。
【0102】
[β]測光モード
電子カメラは、露出決定のための測光モードとして、マルチパターン測光モード,中央重点測光モード,スポット測光モードなどを選択可能に有する。このうち、スポット測光モードが選択されるケースは、極端な明暗を有するために通常測光の困難な被写体であり、かつ撮像画面内の平均的でない輝度領域に撮影者が意図的に露出を合わせようとしている場合が多い。そのため、スポット測光の測光領域外では、白つぶれまたは黒つぶれを生じる可能性が非常に高くなる。このように白つぶれまたは黒つぶれが生じると、画像情報量が欠落するため、圧縮符号量が小さくなる。
そこで、スポット測光モードが選択される撮像条件では、次のような圧縮符号化が好ましい。
●試行ステップにおいて、試行用の圧縮パラメータを圧縮度の低いものにする。
●パラメータ推定ステップにおいて、スポット測光モードで撮像された画像データ(より具体的には、黒つぶれまたは白つぶれの多い画像データ)に関して求めた統計的関係を用いて、圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、スポット測光モードで撮像された画像データ(より具体的には、黒つぶれまたは白つぶれの多い画像データ)に関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータを補正する。
●画質の主観評価に基づいて、スポット測光モードで撮像された画像データ(より具体的には、黒つぶれまたは白つぶれの多い画像データ)に適した標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を決定する。スポット測光モードが選択される撮像条件に対応して、この標準化量子化テーブルまたは量子化係数の配分を使用する。
なお、スポット測光モードほどではないが、その他の測光モードでも、画像データの明暗分布や絵柄に特有の傾向が現れる。そのため、選択される測光モードの種類によって、画像データの圧縮符号量には有意な変化が生じる。そこで、選択された測光モードの種類で画像データをグループ分けすることにより、次のような、適切な圧縮符号化が可能となる。
●試行ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して予め求めた標準的な圧縮パラメータを、試行用の圧縮パラメータとする。
●パラメータ推定ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して予め求めた統計的関係を用いて、圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータを補正する。
●画質の主観評価などに基づいて、各グループごとに適正な標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を決定する。圧縮符号化時には、画像データのグループ分けに応じて、これらの標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を使い分ける。
【0103】
[γ]魚眼コンバータレンズの有無
電子カメラは、撮影レンズに魚眼コンバータレンズを装着することにより、円形画面の画像データを得ることが可能となる。このような画像データは、円形画面の周囲に画像情報を持たないため、圧縮符号量が小さくなる。
そこで、魚眼コンバータレンズが装着される撮像条件では、次のような圧縮符号化が好ましい。
●試行ステップにおいて、試行用の圧縮パラメータを圧縮度の低いものにする。
●パラメータ推定ステップにおいて、円形画面の画像データ(より具体的には、魚眼コンパータレンズを用いて撮像された画像データ)に関して求めた統計的関係を用いて、圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、円形画面の画像データ(より具体的には、魚眼コンパータレンズを用いて撮像された画像データ)に関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータを補正する。
●画質の主観評価に基づいて、円形画面の画像データ(より具体的には、魚眼コンパータレンズを用いて撮像された画像データ)に適した標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を決定する。魚眼コンバータレンズが使用される撮像条件に対応して、この標準化量子化テーブルまたは量子化係数の配分を使用する。
なお、魚眼コンバータレンズの有無については、例えば、ユーザー入力、電子カメラとコンパータレンズとのデータ交信などによる自動検出、画像データが円形画面か否かの自動識別によって検出すればよい。
【0104】
[δ]テレコンバータレンズの有無
電子カメラは、撮影レンズにテレコンバータレンズを装着することにより、望遠の画像データを得ることが可能となる。このような画像データは、画面内の背景部分などがぼけやすくなる。その結果、画像データの高域空間周波数成分が欠落し、圧縮符号量が小さくなる。
そこで、テレコンバータレンズが装着される撮像条件では、次のような圧縮符号化が好ましい。
●試行ステップにおいて、試行用の圧縮パラメータを圧縮度の低いものにする。
●パラメータ推定ステップにおいて、ボケの大きな画像データ(より具体的には、テレコンバータレンズを用いて撮像した画像データ)に関して求めた統計的関係を用いて、適正な圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、ボケの大きな画像データ(より具体的には、テレコンバータレンズを用いて撮像した画像データ)に関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータの補正を行う。
●画質の主観評価に基づいて、ボケの大きな画像データ(より具体的には、テレコンバータレンズを用いて撮像した画像データ)に適した標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を決定する。テレコンバータレンズが装着される撮像条件に対応して、この標準化量子化テーブルまたは量子化係数の配分を使用する。
なお、テレコンバータレンズの有無については、例えば、ユーザー入力、電子カメラとコンパータレンズとのデータ交信などによる自動検出によって検出すればよい。
【0105】
[ε]ワイドコンバータレンズの有無
電子カメラは、撮影レンズにワイドコンバータレンズを装着することにより、広角の画像データを得ることが可能となる。このような画像データは、画面内の背景部分などがぼけにくい。その結果、画像データの高域空間周波数成分が大きくなり、圧縮符号量が大きくなる。
そこで、ワイドコンバータレンズが装着される撮像条件では、次のような圧縮符号化が好ましい。
●試行ステップにおいて、試行用の圧縮パラメータを圧縮度の高いものにする。
●パラメータ推定ステップにおいて、ボケの小さい画像データ(より具体的には、ワイドコンバータレンズを用いて撮像した画像データ)に関して求めた統計的関係を用いて、適正な圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、ボケの小さい画像データ(より具体的には、ワイドコンバータレンズを用いて撮像した画像データ)に関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータの補正を行う。
●画質の主観評価に基づいて、ボケの小さい画像データ(より具体的には、ワイドコンバータレンズを用いて撮像した画像データ)に適した標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を決定する。ワイドコンバータレンズが装着される撮像条件に対応して、この標準化量子化テーブルまたは量子化係数の配分を使用する。
なお、ワイドコンバータレンズの有無については、例えば、ユーザー入力、電子カメラとコンパータレンズとのデータ交信などによる自動検出によって検出すればよい。
【0106】
[ζ]光学フィルタの有無、光学フィルタの種類
電子カメラは、撮影レンズに光学フィルタを装着することにより、多様な画像データを得ることが可能となる。
例えば、軟焦点系や像流れ系の光学フィルタを装着することにより、幻想的な画像データを得ることができる。このような画像データは高域空間周波数成分が小さく、圧縮符号量が小さくなる。
また例えば、特定色の光学フィルタを装着することにより、色相の偏った画像データを得ることができる。このような画像データは画面全体の色相変化の幅が狭く、圧縮符号量が小さくなる。
また例えば、ND(Neutral Density)フィルタを装着することにより、露光時間を延長し、被写体ブレを強調した画像データを得ることができる。このような画像データは高域空間周波数成分が小さく、圧縮符号量が小さくなる。
そこで、上記の光学フィルタが装着される撮像条件では、次のような圧縮符号化が好ましい。
●試行ステップにおいて、試行用の圧縮パラメータを圧縮度の低いものにする。
●パラメータ推定ステップにおいて、光学フィルタを装着して撮像された画像データに関して求めた統計的関係を用いて、圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、光学フィルタを装着して撮像された画像データに関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータを補正する。
●画質の主観評価に基づいて、光学フィルタを装着して撮像された画像データに適した標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を決定する。上記の光学フィルタが装着される撮像条件に対応して、この標準化量子化テーブルまたは量子化係数の配分を使用する。
なお、コンパータレンズまたは光学フィルタの種類(フィルタ効果の強弱も含む)によっても、画像データの圧縮符号量には有意な変化が生じる。そこで、装着されたコンバータレンズや光学フィルタの種類で画像データをグループ分けすることにより、次のような、より適切な圧縮符号化が可能となる。
●試行ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して予め求めた標準的な圧縮パラメータを、試行用の圧縮パラメータとする。
●パラメータ推定ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して予め求めた統計的関係を用いて、圧縮パラメータを推定する。
●圧縮ステップにおいて、同一グループ内の画像データに関して求めた補正処理を用いて、圧縮パラメータを補正する。
●画質の主観評価などに基づいて、各グループごとに適正な標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を決定する。圧縮符号化時には、画像データのグループ分けに応じて、これらの標準量子化テーブルまたは量子化係数の配分を使い分ける。
【0107】
【発明の効果】
請求項1に記載の圧縮符号化方法では、標準量子化テーブル(スケールファクタ乗算前の量子化テーブル)を画像データの撮像条件に応じて変更する。したがって、撮像条件ごとの画像データの特徴に対応して、各空間周波数成分の圧縮配分を柔軟に変更し、画像データのノイズを目立たなくしたり、画質劣化を抑えることが可能となる。
【0108】
また、量子化テーブルの量子化係数を画像データの撮像条件に応じて変更する。したがって、撮像条件ごとの画像データの特徴に対応して、各空間周波数成分の圧縮配分を柔軟に変更し、画像データのノイズを目立たなくしたり、画質劣化を抑えることが可能となる。
【0109】
請求項2に記載の圧縮符号化方法は、下記撮像条件の少なくとも一つを使用する。
○撮像感度設定・・この撮像条件では、主として画像データのノイズ量が変化する。したがって、ノイズ量の変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
○信号ゲイン・・・この撮像条件では、主として画像データのノイズ量が変化する。したがって、ノイズ量の変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
○ガンマ補正カーブ・・この撮像条件では、主として画像データのノイズ量と輝度階調が変化する。したがって、これらの変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
○電子ズームの有無・・この撮像条件では、主として画像データの実質的な解像度が変化する。したがって、実質的な解像度の変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
○電子ズームの倍率・・この撮像条件では、主として画像データの実質的な解像度が変化する。したがって、実質的な解像度の変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
○シャッタ速度・・この撮像条件では、主として画像のブレ量が変化する。また、撮像部での蓄積時間が長くなることにより、画像データのノイズ量も増大する。したがって、ブレ量およびノイズ量の変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
○ホワイトバランス調整値・・この撮像条件からは、主として画像データの撮影場所や撮影時刻を推定できる。したがって、撮像場所や撮影時刻の変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
○特殊撮影効果・・この撮像条件からは、特殊撮影効果ごとに生じる画像データの特徴を推測できる。したがって、個々の特殊撮影効果に適応した圧縮符号化が可能となる。
○階調・・この撮像条件では、主として画像データのコントラストやディテールが変化する。したがって、これらの変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
○エッジ強調・・この撮像条件では、主として画像データの空間周波数成分が変化する。したがって、空間周波数成分の変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
○モノクロモード・・この撮像条件では、主として色情報の有無が変化する。したがって、色情報の有無に適応した圧縮符号化が可能となる。
○露出補正値・・この撮像条件からは、露出補正される被写体の傾向や特徴を推測できる。したがって、露出補正される被写体の傾向や特徴に適応した圧縮符号化が可能となる。
○ノイズリダクションモード・・この撮像条件では、主として画像データのノイズ量が変化する。したがって、ノイズ量の変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
○ワイドダイナミックレンジモード・・この撮像条件では、主として画像データの階調情報量が変化する。したがって、階調情報量の変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
○出力画素数・・この撮像条件では、主として画像データのデータ量や空間周波数成分が変化する。したがって、これらの変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
【0110】
請求項3に記載の圧縮符号化方法は、撮像条件の少なくとも一つを、撮像感度設定、信号ゲイン、エッジ強調、ノイズリダクションモードのいずれかに特に限定するものである。なお、これら個々の条件が奏する効果については、いずれも請求項2で既に述べているため、ここでの説明を省略する。
【0111】
請求項4に記載の圧縮符号化方法は、下記撮像条件の少なくとも一つを使用する。
○ストロボ使用の有無・・この撮像条件では、背景における黒潰れの発生度合いや画像ブレなどが主として変化する。したがって、これらの変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
○スローシンクロ使用の有無・・この撮像条件では、単なるストロボ使用に比べて黒潰れの発生頻度が低い。したがって、このような変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
○日中シンクロ使用の有無・・この撮像条件では、単なるストロボ使用に比べて黒潰れの発生頻度が極めて低い。したがって、このような変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
○測光値・・・この撮像条件からは、測光値ごとに異なる画像データの特徴を推測できる。したがって、測光値による画像データの変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
○マルチパターン測光値・・この撮像条件からは、主として被写体の配光状態を推測できる。したがって、配光状態による画像データの変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
○被写体の配光状態・・この撮像条件からは、被写体の配光状態が分かる。したがって、配光状態による画像データの変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
○縦位置撮影か否か・・この撮像条件では、主として画面構成が変化する。したがって、画面構成の変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
○カメラブレ量・・この撮像条件では、主として画像のブレ量が変化する。したがって、ブレ量の変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
○温度・・この撮像条件では、主として画像データのノイズ量が変化する。したがって、ノイズ量の変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
○測光モード・・この撮像条件からは、被写体の配光状態の特殊性や、明暗階調のつぶれる可能性などの被写体状況を推測できる。したがって、これらの被写体状況に適応した圧縮符号化が可能となる。
【0112】
請求項5,6に記載の圧縮符号化方法は、下記撮像条件の少なくとも一つを使用する。
○マクロ撮影の有無・・この撮像条件からは、マクロ撮影の有無による画像データの変化を推測できる。したがって、この変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
○像倍率・・この撮像条件からは、像倍率による画像データの変化を推測できる。したがって、この変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
○被写界深度・・この撮像条件では、主として画面内のボケ量が変化する。したがって、ボケ量の変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
○絞り値・・この撮像条件では、主として画面内のボケ量が変化する。したがって、ボケ量の変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
○焦点距離・・この撮像条件では、主として被写界深度や像倍率や構図(遠近感)などが変化する。したがって、これらの変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
○撮影画角・・この撮像条件では、主として被写界深度や像倍率や構図(遠近感)などが変化する。したがって、これらの変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
○被写体距離・・この撮像条件では、主として被写界深度や像倍率や構図(遠近感)などが変化する。したがって、これらの変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
○合焦状況・・この撮像条件からは、主として画面内のボケ量が分かる。したがって、ボケ量の変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
○多点の合焦状況・・この撮像条件からは、画面内を占めるボケ面積やボケ位置が推測できる。したがって、これらの変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
○撮影レンズの種別・・この撮像条件からは、撮影レンズの種別による画像データの変化が分かる。したがって、この変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
○コンパータレンズの有無や種類・・この撮像条件からは、コンバータレンズの有無や種類による画像データの変化が分かる。したがって、この変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
○光学フィルタの有無や種類・・この撮像条件からは、光学フィルタの有無や種類による画像データの変化が分かる。したがって、この変化に適応した圧縮符号化が可能となる。
【0113】
請求項7に記載の記録媒体には、圧縮符号化プログラムが記録される。この圧縮符号化プログラムをコンピュータで実行することにより、請求項1〜6のいずれか1項に記載の圧縮符号化方法をコンピュータ上で実現することができる。
【0114】
請求項8に記載の電子カメラは、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の圧縮符号化方法を、撮像した画像データに施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子カメラの構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態における圧縮符号化の前準備の手順を示す流れ図である。
【図3】初期スケールファクタISFのデータテーブルである。
【図4】(ISO200)および(ストロボ使用せず)の撮像条件で撮像したテスト画像について、スケールファクタと圧縮符号量との関係を示すグラフである。
【図5】ISO1600の撮像条件で撮像したテスト画像について、スケールファクタと圧縮符号量との関係を示すグラフである。
【図6】未定係数a,bをプロットしたグラフである。
【図7】第1の実施形態における圧縮符号化方法を説明する流れ図である。
【図8】1回の試し圧縮から推定した目標スケールファクタと、圧縮率1/4を得るための正確なスケールファクタ(実測値)との相関関係を示すグラフである。
【図9】第2の実施形態における圧縮符号化の前準備の手順を示した流れ図である。
【図10】第2の実施形態における圧縮符号化方法を説明する流れ図である。
【図11】ストロボを使用して撮像されたテスト画像について、スケールファクタと圧縮符号量との関係を示すグラフである。
【図12】初期スケールファクタISFのデータテーブルである。
【図13】1回の試し圧縮から推定した目標スケールファクタと、圧縮率1/4を得るための正確なスケールファクタ(実測値)との相関関係を示すグラフである。
【図14】第3の実施形態における圧縮符号化の前準備の手順を示した流れ図である。
【図15】撮像感度設定に対応する標準量子化テーブルの一例を示す図である。
【図16】第3の実施形態における圧縮符号化方法を示した流れ図である。
【符号の説明】
10 電子カメラ
11 撮影レンズ
12 ストロボ発光部
13 撮像素子
15 信号処理部
16 A/D変換部
17 画像処理部
18 圧縮処理部
21 制御部
22 マルチ測光部
23 焦点検出部
24 操作釦群
Claims (8)
- 標準量子化テーブルに試行用のスケールファクタを乗じて得た量子化テーブルを用いて、直交変換後の画像データを量子化および符号化し、前記画像データの圧縮符号量を求める試行ステップと、
前記試行ステップで求めた前記画像データの圧縮結果を、撮影条件の異なる複数の画像データを予め試験的に圧縮符号化して得た「圧縮パラメータと圧縮符号量との統計的関係」に当てはめて、前記画像データを目標とする符号量に圧縮するためのスケールファクタを推定するパラメータ推定ステップと、
前記標準量子化テーブルに前記パラメータ推定ステップで推定した前記スケールファクタを乗じて得た量子化テーブルを用いて、直交変換後の前記画像データを量子化および符号化する圧縮ステップとを有し、
前記試行ステップおよび前記圧縮ステップは、
前記撮影条件のバリエーションごとに異なる値が設定された前記基準量子化テーブルと前記撮像条件のバリエーションごとに求めた前記統計的関係とを前記撮像条件に対応付けて準備しておき、前記画像データの撮像条件に対応して、前記基準量子化テーブルおよび前記統計的関係を選択使用する
ことを特長とする圧縮符号化方法。 - 請求項1に記載の圧縮符号化方法において、
前記撮像条件は、
前記画像データを撮像した撮像部の条件である、撮像感度設定、信号ゲイン、ガンマ補正カーブ、電子ズームの有無、電子ズームの倍率、シャッタ速度、ホワイトバランス調整値、特殊撮影効果、階調、エッジ強調、モノクロモード、露出補正値、ノイズリダクションモード、ワイドダイナミックレンジモード、出力画素数の少なくとも一つである
ことを特徴とする圧縮符号化方法。 - 請求項1に記載の圧縮符号化方法において、
前記撮像条件は、
前記画像データを撮像した撮像部の条件である、撮像感度設定、信号ゲイン、エッジ強調、ノイズリダクションモードの少なくとも一つである
ことを特徴とする圧縮符号化方法。 - 請求項1に記載の圧縮符号化方法において、
前記撮像条件は、
前記画像データを撮像した撮影環境の条件である、ストロボ使用の有無、スローシンクロ使用の有無、日中シンクロ使用の有無、測光値、マルチパターン測光値、被写体の配光状態、縦位置撮影の有無、カメラブレ量、温度、測光モードの少なくとも一つである
ことを特徴とする圧縮符号化方法。 - 請求項1に記載の圧縮符号化方法において、
前記撮像条件は、
前記画像データを撮像した撮影レンズの条件である、マクロ撮影の有無、像倍率、被写界深度、絞り値、焦点距離、撮影画角、被写体距離、合焦状況、多点合焦状況、撮影レンズの種別、コンバータレンズの有無、コンバータレンズの種類、光学フィルタの有無、光学フィルタの種類の少なくとも一つである
ことを特徴とする圧縮符号化方法。 - 請求項1に記載の圧縮符号化方法において、
前記撮像条件は、
前記画像データを撮像した撮影レンズの条件である、像倍率、合焦状況、多点合焦状況の少なくとも一つである
ことを特徴とする圧縮符号化方法。 - 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の圧縮符号化方法をコンピュータに実行させるための圧縮符号化プログラムを記録した機械読み取り可能な記録媒体。
- 被写体を撮像して画像データを生成する撮像部と、
前記撮像部で生成された前記画像データに対して、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の圧縮符号化方法を実施する圧縮処理部と
を備えたことを特徴とする電子カメラ。
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