本発明の第1実施形態に係る撮像装置100を、図1を用いて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る撮像装置100の概略システム構成図である。
撮像装置100は、光学系106、撮像センサ101、信号処理部102、フラグ付加回路(フラグ付加部)103、TG104、及びCPU105を備える。
光学系106は、撮像センサ101の撮像面(画素配列)に被写体の像を形成する。
撮像センサ101は、画素配列に形成された被写体の像を画像信号に変換する。撮像センサ101は、その画像信号を画素配列から読み出して出力する。撮像センサ101は、例えば、図2に示すように、CMOSイメージセンサーである。
図2は、撮像センサ101の概略の回路構成例を示す図である。撮像センサ101は、画素配列PA、垂直走査回路(選択部)202、読み出し部204、水平走査回路203、及びバッファアンプ205を含む。
画素配列PAでは、複数の画素201が縦横にマトリクス状に(行に沿った方向及び列に沿った方向に)配列されている。各画素201は、図3に示すように、光電変換部1、電荷電圧変換部3、転送部2、リセット部4、出力部5、及び選択部6を含む。
光電変換部1は、光に応じた電荷を発生させて蓄積する。光電変換部1は、例えば、フォトダイオードである。電荷電圧変換部3は、電荷を電圧に変換する。電荷電圧変換部3は、例えば、フローティングディフュージョンである。転送部2は、光電変換部1の電荷を電荷電圧変換部3へ転送する。転送部2は、例えば、転送MOSトランジスタであり、垂直走査回路202からアクティブな制御信号がゲートに供給された際にオンすることにより、光電変換部1の電荷を電荷電圧変換部3へ転送する。リセット部4は、電荷電圧変換部3をリセットする。リセット部4は、例えば、リセットMOSトランジスタであり、垂直走査回路202からアクティブな制御信号がゲートに供給された際にオンすることにより、電荷電圧変換部3をリセットする。出力部5は、電荷電圧変換部3の電圧に応じた信号を出力する。出力部5は、電荷電圧変換部3がリセット部4によりリセットされたことに対応して、電荷電圧変換部3の電圧に応じたノイズ信号を列信号線SLへ出力する。出力部5は、光電変換部1の電荷が電荷電圧変換部3へ転送された状態で、電荷電圧変換部3の電圧に応じた光信号を列信号線SLへ出力する。出力部5は、例えば、増幅MOSトランジスタであり、列信号線SLに接続された定電流源(図示せず)とともにソースフォロワ動作を行う。選択部6は、画素201を選択状態/非選択状態にする。選択部6は、例えば、選択MOSトランジスタであり、垂直走査回路202からアクティブな制御信号がゲートに供給された際にオンすることにより、画素201を選択状態にする。選択部6は、垂直走査回路202からノンアクティブな制御信号がゲートに供給された際にオフすることにより、画素201を非選択状態にする。
図2に示す垂直走査回路202は、画素配列PAを垂直方向(列方向)に走査することにより、信号を読み出すべき画素の行を選択する。垂直走査回路202は、画素配列PAにおける読み出し行を選択してその読み出し行の画素から信号が読み出されるようにするとともに、非読み出し行をスキップしてその非読み出し行の画素から信号が読み出されないようにする。
具体的には、垂直走査回路202は、読み出し行の各画素における選択部6へアクティブな制御信号を供給することにより、その読み出し行を選択する。これにより、読み出し行の各画素における出力部5は、ノイズ信号と光信号とをそれぞれ互いに異なるタイミングで列信号線SLへ出力する。
読み出し部204は、垂直走査回路202が選択している行の画素から信号(ノイズ信号、光信号)を読み出し、読み出した行の各列の信号を一時的に保持する。
水平走査回路203は、読み出し部204を水平方向(行方向)に走査することにより、読み出し部204により保持された各列の信号(ノイズ信号、光信号)を順次に選択してバッファアンプ205へ転送する。
バッファアンプ205は、転送された信号(ノイズ信号、光信号)に基づいて画像信号を生成して出力する。例えば、バッファアンプ205は、ノイズ信号と光信号との差分をとることにより、画像信号を生成して出力する。
図1に示す信号処理部102は、撮像センサ101から出力された画像信号を受ける。信号処理部102は、受けた画像信号(アナログ信号)に対して所定の信号処理を行うことにより、画像信号(デジタル信号)を生成する。所定の信号処理は、信号のオフセットレベルを調整する処理、ゲインをかける処理、ガンマ変換を行う処理、A/D変換を行う処理を含む。信号処理部102は、処理後の画像信号(デジタル信号)をフラグ付加回路103へ出力する。
フラグ付加回路103は、信号処理部102から出力された画像信号(デジタル信号)を受ける。フラグ付加回路103は、読み出し部204により画素配列PAの全部の行でなく一部の行の画素から信号が読み出される場合に、非読み出し行を示すフラグを、読み出し行の信号に付加する。なお、フラグの具体的な内容や、フラグを付加する必要性については後述する。
TG104は、撮像センサ101、信号処理部102、及びフラグ付加回路103のそれぞれへ駆動用のタイミング信号を供給する。これにより、撮像センサ101、信号処理部102、及びフラグ付加回路103は、タイミング信号に同期して動作する。
CPU105は、撮像装置100の各部を全体的に制御する。CPU105は、例えば、光学系106を駆動制御して、AE/AF処理を行う。CPU105は、例えば、TG104を制御して、撮像センサ101の画素配列PAにおける読み出し行の位置を動的に(時間的に)変える。また、CPU105は、外部制御回路993と通信して、外部制御回路993から指示に従った動作を制御する。すなわち、撮像装置100は、通信によって外部制御回路993から制御可能で、CPU105は、外部制御回路993との通信インターフェースを担い、外部制御回路993の指示に従ってTG104にて生成する駆動タイミングのパターンを決定する。
本実施形態に係る撮像装置では、読み出し部204により画素配列PAの全部の行でなく一部の行の画素から信号が読み出されるフレームにおいて、読み出し行の画素に基づく1行分の信号を出力するとともに非読み出し行を示すフラグを出力する。各行の信号を撮像装置から受けた画像処理部は、不図示の検出部によって各行の信号に付加された行のフラグを参照する。これにより、撮像装置から出力される1フレーム分の画像信号においてどの行の信号が欠けているのかをほぼリアルタイムで容易に把握することができる。すなわち、複数の読み出し行の信号を用いて非読み出し行の信号を補う補間処理を行う際に、1フレーム分の画像信号においてどの行の画素のデータが失われているのかフレーム内の画素を順にチェックする必要がない。このように、画素配列において信号が読み出される行が動的に(時間的に)変わる場合でも、撮像装置から出力される画像信号が効率的に補間処理されるようにすることができる。
なお、撮像センサ101は、TG104で生成される駆動タイミングに応じて、第1の読み出しモードで動作したり、第2の読み出しモードで動作したりできる。第1の読み出しモードでは、画素配列PAから特定の周期(所定行の間隔)で間引かれた画素の信号が読み出し部204により読み出される。第2の読み出しモードでは、画素配列PAにおける一部の切り出された領域の画素の信号が読み出し部204により読み出される。
どちらの読み出しモードも、撮像センサ101の全画素から一部の画素の信号を読み出すことから、間引き読み出しモードと呼ぶこともできる。しかしながら、以下では、便宜上、第1の読み出しモードを間引き読み出しモードと呼び、第2の読み出しモードを部分切り出しモードと呼ぶことにする。
さて、本実施形態では、TG104の工夫によって間引き読み出しフレームと部分切り出しフレームとを同一の撮像センサ101から出力することができるようになっている。ここで、間引き読み出しフレームとは、間引き読み出しモードで読み出される1フレーム分の画像信号を示す。部分切り出しフレームとは、部分切り出しモードで読み出される1フレーム分の画像信号を示す。図6に示すように、間引き読み出しフレームと部分切り出しフレームとは、時系列的に交互に出力される。
次に、各フレームの読み出しの駆動方法を、図4A〜図4Eを用いて説明する。図4A〜図4Eは、各フレームの読み出しの駆動方法を示す図である。図4A〜図4Eでは、撮像センサ101の画素配列PAにおける各画素201を升目によって模式的に示してあり、周囲のV0〜V22及びH0〜H22はそれぞれ行アドレス及び列アドレスを示す。行アドレスは、垂直走査回路202が画素配列PAを走査する際にカウントするアドレスである。列アドレスは、水平走査回路203が読み出し部204を走査する際にカウントするアドレスである。便宜上、行アドレス及び列アドレスともに22番地までしか示していないが、実際にはさらに多くの画素が配列されている。
図4Aは、間引き読み出しフレームの読み出しを行う場合を示しており、読み出し行を斜線で示している。なお、升目内に示された「M」は、その画素が、カラーフィルタなどが積層されていないモノクロの画素であることを示す。図4Aには、ユーザーが、入力デバイス(たとえばPCのマウスやキーボード)及び外部制御回路993を通じて、撮像センサ101へ間引き読み出しの駆動を指定した場合のフレーム読み出しを説明している。垂直走査回路202は、読み出し行V0を読み出したあと、7行おきに(6行間隔で)画素の信号が読み出されるように、画素配列PAを駆動する。これにより、全画素から読み出す画素数を7分の1に減らした間引き読み出しを行う。なお、読み出し部204により保持された各列の画素の信号については、隣接する7画素の信号を加算平均して1画素として出力してもよいし、単純に7画素中の任意の1画素を出力してもよい。あるいは、読み出し部204により保持された全列の画素の信号を順次に出力してもよい。
一方、図4Bは、第1の部分切り出しフレームの読み出しを行う場合を示しており、読み出し領域RR1を太線の枠で示し、読み出し領域RR1における読み出し行を斜線で示している。なお、読み出し領域RR1は、前述の間引き読み出しフレームの場合と同様に、ユーザーが外部制御回路993を通じて撮像センサ101へ指定する。第1の部分切り出しフレームを読み出す場合、垂直走査回路202は、まず、読み出し領域RR1の先頭の読み出し行V2を選択し、その読み出し行V2から読み出し部204により信号が読み出されるようにする。水平走査回路203は、列アドレスを読み出し領域RR1の先頭列(図4Bの場合ではH11)にしてそこから順次読み出しを行う。1つの読み出し行の読み出しが終了すると次の読み出し行へと順次読み出しが進むのであるが、ここで、行V7は、間引き読み出しフレームの読み出し行である(図4A参照)。そのため、第1の部分切り出しフレームでは行V7から信号の読み出しを行わない(非読み出し行とする)。
なお、この読み出しを行わないという判断は、外部制御回路993を通じて伝達された各読み出しフレームの情報をCPU105が解釈し、TG104に駆動方法を指示することで実現している。このような駆動を行うのは、V7が間引き読み出しフレームで読み出しが行われた行であるために、他のV2からV6およびV8からV11とは蓄積時間が違ってくるからである。なお、このフレームにおける非読み出し行V7の信号については、最終的に、外部の画像処理部990における適切な補間処理により補われることになる。
次に、あるタイミングで、第1の部分切り出しフレームにおける読み出し領域RR1の座標が移動し、第2の部分切り出しフレームにおける読み出し領域RR2になったとする。読み出し位置の指定は、前述の各フレームと同様に、ユーザーが外部制御回路993を通じて撮像センサ101へ指定する。その様子を図4Cに示す。このとき、第2の部分切り出しフレームでは、(H3、V5)と(H13、V14)で囲まれる矩形領域(読み出し領域RR2)から信号を読み出すように指定座標が変更されている。ここで、読み出しを行う際の垂直走査回路202および水平走査回路203の基本的な動きは第1の部分切り出しフレームと同様である。しかし、第2の部分切り出しフレームにおける読み出し領域RR2では、間引き読み出しフレームにおける読み出し行V7に加え、V14も重なっているため、V7及びV14を非読み出し行とする。この読み出しを行わないという判断も、外部制御回路993を通じて伝達された各読み出しフレームの情報をCPU105が解釈し、CPU105がTG104に駆動方法を指示することで実現している。
さて、ここで、第1の部分切り出しフレームの読み出し領域RR1と第2の部分切り出しフレームの読み出し領域RR2とにおける非読み出し行に注目する。すると、読み出し領域RR1において先頭から数えて6行目が非読み出し行V7であるのに対して、読み出し領域RR2において先頭から数えて3行目及び10行目が非読み出し行V7,V14である。
このように、部分切り出しフレームにおける読み出し領域の位置がユーザーから指定などによって動的に可変できるようなシステムの場合には、非読み出し行が何行目になるのかを後段の回路ブロック(図1に示す画像処理部990)が知る必要がある。一方で、外部の画像処理部990は、本来の役割である画像処理、例えば、複数の読み出し行の信号を用いて非読み出し行の信号を補うような補間処理も同時に行わなければならない。このとき、もし撮像装置100から外部の画像処理部990へ動画のように次々とフレーム画像データが伝送されており、それを次々と処理しなければならないとすると、次のような問題が生じる。すなわち、前述のような処理を同時に行うことでデータ伝送が滞り、延いては画素データや行データ、フレーム画像データを欠損させてしまう可能性が生じる。
それに対して、本実施形態では、フラグ付加回路103が、非読み出し行を示すフラグを、読み出し行の画素に基づく信号に加えて非読み出し行を示すフラグを出力するので、そのような問題を回避することができる。すなわち、読み出し行の信号は、フラグ付加回路103に送られ、フラグ付加回路103により適切なフラグが付加される。これにより、画像処理部990は、フレームの先頭から行のカウントや演算などを行わなくても、付加されているフラグによって処理の種類および実施有無の判断を行うことができる。フラグは、例えば読み出し行の信号を出力し始めることに先立って出力しても良いし、読み出し行の1行分の信号を出力し終えた後に出力しても良い。
本実施形態の場合、たとえば非読み出し行の1行前の読み出し行に、「本読み出し行と次の読み出し行との間には、非読み出し行が1行以上ある」ことを示すフラグ(以下、間引きフラグ)を付加する。このフラグは、隣接する行が非読み出し行であるか否かを示すフラグである。このようなフラグを参照することにより、画像処理部990は、効率的な補間処理を行うことができる。
さらに、読み出し行の信号に付加されるフラグは、隣り合う2つの読み出し行の間における非読み出し行の数を示す情報を含んでもよい。すなわち、読み出し行の信号に付加されるフラグは、非読み出し行の行数を示すフラグ(以下、間引き行数フラグとする)でもよい。このようなフラグを参照することにより、画像処理部990は、低解像度の領域と高解像度の領域とが混在したフレームの画像信号に対しても、解像度が切り替わる行をフレームの先頭行からチェックする必要がないので、効率的な補間処理を行うことができる。
また、フラグ付加回路103により読み出し行の信号に付加されるフラグは、次のようなフラグであってもよい。
例えば、読み出し行の信号に付加されるフラグは、自身の色配列を示すフラグ(以下、色配列フラグとする)でもよい。画素配列PAにおける各画素がベイヤー配列にしたがったカラーフィルタを含んでいれば、各行の色配列も行の配列の規則性を示すことになる。ここで、カラーフィルタは、可視領域におけるいずれかの色(R,G,B)の光が光電変換部へ入射するように、その色の光を透過する。複数のカラーフィルタは、ベイヤー配列を形成している。
あるいは、例えば、読み出し行の信号に付加されるフラグは、自身がフレームの先頭から数えて偶数目の行か奇数目の行かを示すフラグ(以下、偶奇フラグ)でもよい。
あるいは、例えば、読み出し行の信号に付加されるフラグは、自身の行アドレスを示すフラグ(以下、アドレスフラグ)でもよい。
以下では、これらの代表的なフラグについて個別に説明していく。
まず、色配列フラグについて、図4Dを用いて説明する。第3の部分切り出しフレーム読み出しの場合、撮像センサ101はベイヤー配列のカラーフィルタを備えている。ここで、Rは赤、Gは緑、Bは青の画素を示している。この場合、画像処理部990は、R画素とG画素とを含むRG読み出し行なのか、G画素とB画素とを含むGB読み出し行なのか、さらに読み出し行のどちらの色の画素から読み出しが始まるのかの情報を用いて、適切な色信号処理を行う。
そのため、フラグ付加回路103は、それらの情報、たとえば、読み出し領域RR3における読み出し行V5がGB読み出し行であり、読み出し行V5のB画素から信号の読み出しをはじめることを示す「BG」などの色配列フラグを付加する。色配列フラグは、各読み出し行がRG読み出し行(第1の色配列の行)であるのかGB読み出し行(第2の色配列の行)であるのかを示し、各読み出し行の信号に付加されている。なお、ベイヤー配列では、第1の色配列の行と第2の色配列の行とが繰り返し隣接して配列されている。
画像処理部990は、同じ色配列フラグの読み出し行が続けて読み出された場合、その間に読み出しが行われなかった読み出し行が存在したと判断する。色配列フラグは、第1の色配列の行又は第2の色配列の行が連続した場合に、間の行が非読み出し行であることを示す。なぜなら、読み出し行と読み出し行との間に非読み出し行がなければ、各行のフラグは、図4Dの場合、「BG」と「GR」とが交互に連続するはずだからである。
たとえば、図4Dの第3の部分切り出しフレームを読み出す場合、行V6の次に行V8の信号が読み出されるが、このときの色配列フラグは同じ「GR」になる。そこで画像処理部990は、行V7の信号が読み出されなかったものと推測し、行V7に相当する「BG」行の信号を補間してから色信号処理を行うようにする。
その他に、画像処理部990が色信号処理に必要な情報を受け取る別の方法として、フラグ付加回路103は、先頭の読み出し行の信号に、フレームフラグとしてどの色配列から読み出しがスタートするかの情報を示すフラグを付加する。そして、フラグ付加回路103は、非読み出し行の一行前の読み出し行の信号に、上記の間引きフラグを付加する。画像処理部990は、先頭の読み出し行の指定された色から順に色信号処理を進め、間引きフラグが付加されていた場合のみ非読み出し行の信号を補ってから色信号処理をするように、手順を変更すればよい。
つづいて、偶奇フラグを説明する。偶奇フラグは、自身がフレームの先頭から数えて偶数目の行であるのか奇数目の行であるのかを示すフラグである。フラグ付加回路103は、各読み出し行が偶数目の行であるか、奇数目の行であるかを示すフラグを、書く読み出し行の信号に付加する。画像処理部990は、このフラグを読み出し行ごとにチェックし、同じフラグが連続した場合に、非読み出し行が存在すると判断する。偶奇フラグは、奇数番目の行又は偶数番目の行が連続した場合に、間の行が非読み出し行であることを示す。この場合、画像処理部990は、複数の読み出し行の信号を用いて非読み出し行の信号を補うような補間処理などを行う。
次に、アドレスフラグを説明する。アドレスフラグは、自身の行アドレスを示すフラグである。画像処理部990は、このアドレスフラグを読み出し行ごとにチェックすることで、非読み出し行を知ることができる。たとえば、ある読み出し行まで連続したアドレスフラグであったのに、突然アドレスが1番地抜けるようなことがあった場合、画像処理部990は、その抜けた番地の行が非読み出し行であると認識できる。アドレスフラグは、2以上離れた行アドレスが連続した場合に、間に非読み出し行があることを示す。それに応じて、画像処理部990は、効率的な補間処理などを行うことできる。
ここで、仮に、アドレスフラグがない場合を考える。この場合、画像処理部990は、受け取ったフレームの画像信号に対して、どの行の信号が抜けているのかフレームの先頭からチェックする必要がある。これにより、画像処理部990による補間処理の負荷が増加する。
それに対して、本実施形態では、画像処理部990が、該当読み出し行のアドレスフラグを直前の読み出し行のアドレスフラグと比較することにより、非読み出し行が存在するか否かを判断している。これにより、どの行の信号が抜けているのかフレームの先頭からチェックする必要がなく、画像処理部990による補間処理の負荷が低減している。すなわち、画像処理部990は、効率的な補間処理を行うことができる。
次に、間引き行数フラグを、図4Eを用いて説明する。図4Eは、撮像センサ101がモノクロセンサである場合における第4の部分切り出しフレームの読み出しの様子を示している。この場合、読み出し領域RR4において読み出し行V2,V4,V6,V8,V10,V12,V14が等間隔(1行間隔)で配列されているので、フラグ付加回路103は、各読み出し行の信号に間引き行数フラグとして「1」を付加する。
ここで、画像処理部990により読み出し行の信号に対する補間処理を行わなくても、画像がゆがむなどの影響は出ないと考えられる。しかし、第1の部分切り出しフレームや第2の部分切り出しフレームと比較すると、第4の部分切り出しフレームは解像度が低く、しかも空間サンプリング周期が長いため、モアレの問題が生じる場合がある。そのため、画像処理部990でモアレを低減するような信号処理を追加したい場合もある。その際、適切なモアレ低減フィルタを掛けるために、画像処理部990が受け取る連続した2つの読み出し行の間に、非読み出し行が何行あったかという情報が必要になる。そこで、フラグ付加回路103は、読み出し行の画素に基づく1行分の信号を出力するとともに間引き行数フラグを出力する。
なお、ここでは、部分切り出しの場合で説明したが、図4Aの間引き画像についても、同様にモアレ除去フィルタを入れたい場合などに、この間引き行数フラグを使用することも出来る。
以上、代表的なフラグについて個別に説明してきたが、これら以外であっても勿論よく、また、複数のフラグを組み合わせて使用しても良い。
続いて、ここまで説明してきたフラグをどのように読み出し行データと合わせて送信するのかについて、説明していく。
図5は、信号処理部102の動作を示す図である。
信号処理部102は、図5に示すように、オフセット調整回路401、ゲイン回路402、及びADC(A/D変換器)403を含む。
オフセット調整回路401は、撮像センサ101から出力された画像信号(アナログ信号)を受ける。オフセット調節回路401は、受けた画像信号のDCレベルを調整して、調整後の画像信号をゲイン回路402へ出力する。
ゲイン回路402は、オフセット調整回路401から出力された画像信号を受ける。ゲイン回路402は、受けた画像信号にゲインをかけて増幅し、増幅後の画像信号をADC403へ出力する。
ADC403は、ゲイン回路402から出力された画像信号を受ける。ADC403は、受けた画像信号(アナログ信号)をA/D変換して、画像信号(デジタル信号)を生成する。ADC403は、生成した画像信号(デジタル信号)をフラグ付加回路103へ出力する。
図7は、フラグ付加回路103の動作を示す図である。
フラグ付加回路103は、図7に示すように、ディレイ回路601、フラグ生成回路602、及び付加部(マルチプレクサ)603を含む。
ディレイ回路601は、ADC403から出力された画像信号(デジタル信号)を受ける。ディレイ回路601は、受けた画像信号(デジタル信号)に対して、ある時間分、信号位相を遅らせる。図7では、例として2データ分の時間分だけ位相を遅らせた状態を示していて、ディレイ回路601を通過したあとの信号群では、通過する前の信号群のN+1(N;正の整数)の位置にN−1の信号が出力されるようになっている。ディレイ回路601は、位相を遅らせた信号を付加部603へ出力する。
フラグ生成回路602は、TG104からの制御で、適切なタイミング(該当読み出し行の信号にフラグを付加できるタイミング)で、フラグを示すフラグを生成する。フラグ生成回路602は、生成したフラグを付加部603へ出力する。
付加部603は、ディレイ回路601から画像信号(デジタル信号)を受け、フラグ生成回路602からフラグを受ける。付加部603は、画像信号(デジタル信号)にフラグを付加して、両者をひとつの信号(情報)として出力する。これら一連の処理は、読み出し行ごとに行われる。
なお、図7ではデータの前にフラグを付加する例を示したが、付加する個所に関してはこれに限るものではない。
また、別のフラグ付加方法として、画像信号のデータパスと、フラグのパスを分離する場合も考えられる。この場合、フラグ付加回路103からは、データパスの信号線以外に、フラグ専用線が延びていることが必要になる。フラグ専用線は、1線に1つの状態(たとえば、あるフラグ線は間引きフラグのオンオフを示し、別の信号線はRG読み出し行であることを示す、など)を割り当ててもよいし、シリアル通信のようにして、フラグの内容を通信するものでもよい。画像処理部990は、これらのフラグの状態を読み出し行毎にチェックし、処理を変更する。
以上で説明したように、本実施形態の撮像装置100によれば、間引き読み出しの解像度や部分切り出しの位置など、信号の読み出し位置が変わる場合にも、非読み出し行を示すフラグが付加される。このため、後段の画像処理部では読み出し位置の変化を適切に把握して処理を変化させることができる。そのため、最終的に生成される画像の品質を保つことができる。
このように、画像処理部は、間引きされ失われた行を知ることができるので、それに応じて補間処理や色生成処理などの条件を変更すればよく、本来の役割である画像処理に専念することが可能となる。この結果、画像処理部の負荷が集中することがなくなり、前述のデータの流れが滞りやすくなるなどの不具合を解消することが出来る。
なお、撮像装置100と画像処理部990とを含む撮像システム(カメラ)を構成しても良い。
次に、本発明の第2実施形態に係る撮像装置100iを、図8を用いて説明する。図8は、本発明の第2実施形態に係る撮像装置100iの構成図である。以下では、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
撮像装置100iは、撮像センサ101i及びフラグ付加回路103iを備える点で第1実施形態と異なる。撮像センサ101iは、間引きフラグ又は間引き行数フラグをフラグ付加回路103iへ供給する。
撮像センサ101iは、図9に示すように、間引き判定回路706をさらに含む。図9は、撮像センサ101iの構成図である。
間引き判定回路706は、VSHRシフトパルスとHSHRシフトパルスとをTG104から受ける。
第1実施形態でも、説明していないが、VSHRシフトパルスがTG104から垂直走査回路202へ供給されている。VSHRシフトパルスは、垂直走査回路202が画素配列PAを垂直方向に走査する際に行アドレスをカウントするためのパルスである。同様に、HSHRシフトパルスがTG104から水平走査回路203へ供給されている。HSHRシフトパルスは、水平走査回路203が画素配列PAを水平方向に走査する際に列アドレスをカウントするためのパルスである。なお、図示しないが、TG104からは垂直・水平走査回路をそれぞれ別個にリセットし、アドレスを先頭に戻すためのパルスも入力されている。
間引き判定回路706は、VSHRシフトパルスとHSHRシフトパルスとを用いて、間引きフラグ又は間引き行数フラグを生成する。間引き判定回路706は、生成した間引きフラグ又は間引き行数フラグをフラグ付加回路103iへ出力する。
フラグ付加回路103iは、図10に示すように、フラグ生成回路602i及び付加部603iを含む。フラグ生成回路602iは、間引きフラグ又は間引き行数フラグを生成しない。付加部603iは、間引き判定回路706から出力された間引きフラグ又は間引き行数フラグを受ける。なお、図10は、フラグ付加回路103iの動作を示す図である。
次に、間引き判定回路706の動作を、図11を用いて説明する。図11は、間引き判定回路706の動作を示すフローチャートである。
ステップ800では、間引き判定回路706が、フラグの出力をしていない初期状態にある。
ステップ801では、間引き判定回路706が、VSHRシフトパルスの入力がなければ(No)、VSHRシフトパルスの入力を待つ。間引き判定回路706は、VSHRシフトパルスの入力があると(Yes)、処理をステップ802に進める。
ステップ802では、間引き判定回路706が、VSHRシフトパルスとHSHRシフトパルスとのどちらが先に入力されたかを判断する。
ここで、垂直走査回路202が読み出し行を選択し読み出し行から読み出し部204により信号が読み出され保持されたあと、読み出し部204により保持された各列の信号を水平走査回路203が順次にバッファアンプ205へ転送する。間引き判定回路706は、ステップ801のVSHRシフトパルスのあと、次のVSHRシフトパルスより先にHSHRシフトパルスが入力される場合(No)に、その行の信号の読み出しが行われたと判断する。そこで、間引き判定回路706は、間引きフラグの出力をせず、処理をステップ800に戻す。
一方、間引き判定回路706は、ステップ801のVSHRシフトパルスのあと、HSHRシフトパルスより先に次のVSHRシフトパルスが入力された場合(Yes)、次のように判断する。間引き判定回路706は、ステップ801でのVSHRシフトパルスで選択した行の信号を読み出すことなく、次の行アドレスに進んだと判断する。そこで、間引き判定回路706は、間引きフラグもしくは間引き行数フラグを出力する必要が生じたと判断して、処理をステップ803へ進める。
ステップ803では、間引き判定回路706が、何行が読み出されなかったのかを判断するために、VSHRシフトパルスをカウントする。すなわち、間引き判定回路706は、直前の読み出し行と次に現れる読み出し行との間における非読み出し行の数をカウントする。
ステップ804では、間引き判定回路706が、再び、VSHRシフトパルスとHSHRシフトパルスとのどちらかが先に入力されたかを判断する。間引き判定回路706は、HSHRシフトパルスより先に次のVSHRシフトパルスが入力された場合(Yes)、処理をステップ803に戻す。一方、間引き判定回路706は、次のVSHRシフトパルスより先にHSHRシフトパルスが入力される場合(No)、処理をステップ805に進める。
ステップ805では、間引き判定回路706が、間引きフラグもしくは間引き行数フラグとして、VSHRシフトパルスのカウント値を出力する。間引き判定回路706は、フラグを出力した後、その次以降の読み出しに備え、再び処理をステップ800に戻す。
このように、本第2実施形態によれば、第1実施形態において説明したフラグの内、間引きフラグおよび間引き行数フラグの生成を撮像装置に組み込むことが可能であり、システムのコンパクト化、低コスト化が図れるようになる。また、TG104からみれば、信号を付加するタイミングを制御する必要がなくなり、処理が簡潔になるというメリットがある。
なお、本実施形態では、フラグを画像データとは別の信号線で出力する構成で説明したが、フラグの出力方法はこの限りではなく、マルチプレクサを搭載し、データ中に埋め込んでもよい。また、パラレル信号、シリアル信号のいずれでも構わない。
次に、本発明の第3実施形態に係る撮像装置100jを、図12を用いて説明する。図12は、本発明の第3実施形態に係る撮像装置100jの構成図である。以下では、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
撮像装置100jは、撮像センサ101j及びフラグ付加回路103jを備える点で第1実施形態と異なる。撮像センサ101jは、行偶奇フラグ、列偶奇フラグ、及び色配列フラグをフラグ付加回路103jへ供給する。
撮像センサ101jは、図13に示すように、間引き判定回路706をさらに含む。図13は、撮像センサ101jの構成図である。
撮像センサ101jは、トグルスイッチ906、トグルスイッチ907、及び色配列デコーダ908を備えている。
トグルスイッチ906は、VSHRシフトパルスをTG104から受ける。トグルスイッチ906は、VSHRシフトパルスを用いて行偶奇フラグを生成する。トグルスイッチ906は、生成した行偶奇フラグを色配列デコーダ908及びフラグ付加回路103iへ出力する。
具体的には、トグルスイッチ906は、走査回路リセットパルスで初期化されたあと、VSHRシフトパルスが1回入力される度にその状態を反転させる。たとえば、垂直走査回路202のリセット直後、読み出し行の選択は0行目で、トグルスイッチ906の状態が「0」であったとする。VSHRシフトパルスが入力される毎に、読み出し行は1行目、2行目、3行目・・・とアドレスが進み、トグルスイッチ906の出力は「1」→「0」→「1」・・・、と変化する。すなわち、読み出し行の偶数/奇数と、トグルスイッチ906の出力とを対応させることができる。
トグルスイッチ907は、HSHRシフトパルスをTG104から受ける。トグルスイッチ907は、HSHRシフトパルスを用いて列偶奇フラグを生成する。トグルスイッチ907は、生成した列偶奇フラグを色配列デコーダ908及びフラグ付加回路103iへ出力する。
具体的には、トグルスイッチ907は、走査回路リセットパルスで初期化されたあと、HSHRシフトパルスが1回入力される度にその状態を反転させる。たとえば、水平走査回路203のリセット直後、読み出し列の選択は0行目で、トグルスイッチ907の状態が「0」であったとする。HSHRシフトパルスが入力される毎に、読み出し列は1列目、2列目、3列目・・・とアドレスが進み、トグルスイッチ907の出力は「1」→「0」→「1」・・・、と変化する。すなわち、読み出し列の偶数/奇数と、トグルスイッチ907の出力とを対応させることができる。
色配列デコーダ908は、行偶奇フラグをトグルスイッチ906から受け、列偶奇フラグをトグルスイッチ907から受ける。色配列デコーダ908は、行偶奇フラグと列偶奇フラグとを用いて色配列フラグを生成する。色配列デコーダ908は、生成した色配列フラグをフラグ付加回路103iへ出力する。
具体的には、色配列デコーダ908は、行偶奇フラグと列偶奇フラグとをベイヤー配列規則に従ってデコードすることにより、色配列フラグを生成する。例えば、色配列デコーダ908は、画素のベイヤー配列が、図4Dのようであった場合、行偶奇フラグ「0」(偶数)かつ列偶奇フラグ「0」(偶数)の場合、色配列フラグとして「R画素」を生成する。例えば、色配列デコーダ908は、行偶奇フラグ「1」(奇数)かつ列偶奇フラグ「1」(奇数)の場合、色配列フラグとして「B画素」を生成する。例えば、色配列デコーダ908は、それ以外の場合、色配列フラグとして「G画素」を生成する。
フラグ付加回路103jは、図14に示すように、フラグ生成回路602j及び付加部603jを含む。フラグ生成回路602jは、偶奇フラグ又は色配列フラグを生成しない。付加部603iは、トグルスイッチ906から出力された行偶奇フラグを受け、トグルスイッチ907から出力された列偶奇フラグを受け、色配列デコーダ908から出力された色配列フラグを受ける。なお、図14は、フラグ付加回路103jの動作を示す図である。
このように、本第3実施形態によれば、第1実施形態において説明したフラグの内、色配列フラグおよび偶奇フラグの生成を撮像センサに組み込むことが可能であり、システムのコンパクト化、低コスト化が図れるようになる。
次に、本発明の第4実施形態に係る撮像装置100kを、図15を用いて説明する。図15は、本発明の第4実施形態に係る撮像装置100kの構成図である。以下では、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
撮像装置100kは、撮像センサ101k及びフラグ付加回路103kを備える。撮像センサ101kは、行アドレスフラグ及び列アドレスフラグをフラグ付加回路103kへ供給する。
撮像センサ101kは、図16に示すように、VSHRシフトパルスカウンタ1006及びHSHRシフトパルスカウンタ1007をさらに含む。図16は、撮像センサ101kの概略回路構成図である。
VSHRシフトパルスカウンタ1006は、VSHRシフトパルスをTG104から受ける。VSHRシフトパルスカウンタ1006は、VSHRシフトパルスを用いて行アドレスフラグを生成する。VSHRシフトパルスカウンタ1006は、生成した行アドレスフラグをフラグ付加回路103kへ出力する。
具体的には、VSHRシフトパルスカウンタ1006は、走査回路リセットパルスでカウント値が0に初期化されたあと、VSHRシフトパルスが1回入力される度にそのカウント値をカウントアップする。すなわち、読み出し行の行アドレスと、VSHRシフトパルスカウンタ1006の出力とを対応させることができる。
HSHRシフトパルスカウンタ1007は、HSHRシフトパルスをTG104から受ける。HSHRシフトパルスカウンタ1007は、HSHRシフトパルスを用いて列アドレスフラグを生成する。HSHRシフトパルスカウンタ1007は、生成した列アドレスフラグをフラグ付加回路103kへ出力する。
具体的には、HSHRシフトパルスカウンタ1007は、走査回路リセットパルスでカウント値が0に初期化されたあと、HSHRシフトパルスが1回入力される度にそのカウント値をカウントアップする。すなわち、読み出し行の行アドレスと、HSHRシフトパルスカウンタ1007の出力とを対応させることができる。
フラグ付加回路103kは、図17に示すように、フラグ生成回路602k及び付加部603kを含む。フラグ生成回路602kは、行アドレスフラグを生成しない。付加部603kは、VSHRシフトパルスカウンタ1006から出力された行アドレスフラグを受け、HSHRシフトパルスカウンタ1007から出力された列アドレスフラグを受ける。
このように、本第4実施形態によれば、第1実施形態において説明したフラグの内、行アドレスフラグの生成を撮像装置に組み込むことが可能であり、システムのコンパクト化、低コスト化が図れるようになる。