JP4764763B2 - 生菌数測定方法、生菌数測定装置、スライムモニター方法およびスライムコントロール剤添加システム - Google Patents
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(1)微生物が消費する酸素消費量から試料中の生菌数を測定する方法であって、クラーク型酸素電極に電圧を印加して酸素濃度信号を検知することにより前記酸素消費量を求めるにあたり、下記(i)〜(viii)の操作をこの順序で行ない、得られた酸素濃度信号(Sam−1)、(Sam−2)、(Cal−1)および(Cal−2)を用いて算出する、ことを特徴とする生菌数測定方法。
(i)無菌水中の溶存酸素濃度を飽和させた後、該無菌水を大気との接触を遮断した状態で測定セル内に満たす操作。
(ii)電圧を印加して無菌水の初期酸素濃度信号(Cal−1)を検知した後、該電圧の印加を停止する操作。
(iii)試料中の溶存酸素濃度を飽和させた後、該試料を大気との接触を遮断した状態で測定セル内に満たす操作。
(iv)電圧を印加して試料の初期酸素濃度信号(Sam−1)を検知した後、該電圧の印加を停止する操作。
(v)所定時間、試料中の微生物に酸素を消費させる操作。
(vi)電圧を印加して酸素消費後の酸素濃度信号(Sam−2)を検知した後、該電圧の印加を停止する操作。
(vii)再び無菌水中の溶存酸素濃度を飽和させた後、該無菌水を大気との接触を遮断した状態で測定セル内に満たす操作。
(viii)電圧を印加して前記試料測定後の無菌水の酸素濃度信号(Cal−2)を検知した後、該電圧の印加を停止する操作。
(2)酸素消費量は、得られた酸素濃度信号(Sam−1)、(Sam−2)、(Cal−1)および(Cal−2)を下記式(1)に代入することにより、酸素消費率として求める、前記(1)記載の生菌数測定方法。
(4)酸素電極への電圧印加時間が1回あたり1〜6分間である、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の生菌数測定方法。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の生菌数測定方法に用いる測定装置であって、密閉可能な測定セルと、該測定セル内の液体に溶存酸素を飽和させる酸素飽和手段と、クラーク型酸素電極に電圧を印加するための電圧印加手段と、電圧印加により生じた酸素濃度信号を検知する検知手段と、前記測定セル内の液温を制御する温度制御手段とを備える、ことを特徴とする生菌数測定装置。
(6)前記試料に代えて無菌水を供給する無菌水供給手段をも備える、前記(5)記載の生菌数測定装置。
(7)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の生菌数測定方法による測定を所定時間ごとに行ない、該測定で得られた酸素消費量の増減によってスライム量を監視する、ことを特徴とするスライムモニター方法。
(8)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の生菌数測定方法において測定された酸素消費量に基づきスライムコントロール剤の添加量を制御する機構を備える、ことを特徴とするスライムコントロール剤添加システム。
本発明の生菌数測定方法は、測定対象である試料中の微生物が消費する酸素消費量から生菌数を測定する方法である。
(i)無菌水中の溶存酸素濃度を飽和させた後、該無菌水を大気との接触を遮断した状態で測定セル内に満たす操作、
(ii)電圧を印加して無菌水の初期酸素濃度信号(Cal−1)を検知した後、該電圧の印加を停止する操作、
(iii)試料中の溶存酸素濃度を飽和させた後、該試料を大気との接触を遮断した状態で測定セル内に満たす操作、
(iv)電圧を印加して試料の初期酸素濃度信号(Sam−1)を検知した後、該電圧の印加を停止する操作、
(v)所定時間、試料中の微生物に酸素を消費させる操作、
(vi)電圧を印加して酸素消費後の酸素濃度信号(Sam−2)を検知した後、該電圧の印加を停止する操作、
(vii)再び無菌水中の溶存酸素濃度を飽和させた後、該無菌水を大気との接触を遮断した状態で測定セル内に満たす操作、
(viii)電圧を印加して前記試料測定後の無菌水の酸素濃度信号(Cal−2)を検知した後、該電圧の印加を停止する操作、
をこの順序で行なうのである。
前記(i)、(iii)および(vii)の操作において、試料もしくは無菌水中の溶存酸素濃度を飽和させる方法、つまり溶存酸素濃度を平衡化する方法としては、例えば、試料もしくは無菌水中に酸素もしくは空気を所定時間バブリングするなどすればよい。
前記(ii)、(iv)、(vi)および(viii)の各操作においては、電圧を印加した後、出力が安定してから、酸素濃度信号を検知することが望ましい。出力が安定するのは、通常、印加を開始してから1分程度後であり、この程度の時間を空けて酸素濃度信号を検知すればよい。また、前記(ii)、(iv)、(vi)および(viii)の各操作における電圧印加時には、測定セル内の試料もしくは無菌水をスターラー等により攪拌しておくことが、より正確な測定結果を得るうえで好ましい。このときの攪拌速度は、特に限定されないが、100〜2000rpmとするのが好ましい。
本発明の生菌数測定装置は、前述した本発明の生菌数測定方法に用いる測定装置であり、そのために、密閉可能な測定セルと、該測定セル内の液体に溶存酸素を飽和させる酸素飽和手段と、クラーク型酸素電極に電圧を印加するための電圧印加手段と、電圧印加により生じた酸素濃度信号を検知する検知手段と、前記測定セル内の液温を制御する温度制御手段とを備えている。
以下、図面を参照しながら、この本発明の生菌数測定装置の一実施形態について具体的に説明する。但し、本発明の生菌数測定装置は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1において、P1は試料を温度制御域31に送るためのポンプであり、P2は試料または無菌水を溶存酸素検出部20に送るためのポンプである。試料や無菌水の送液は、それぞれ無菌水供給バルブ(V1)や試料供給バルブ(V2)の開閉によって制御される。
空気バルブ(V3)は開放することで空気を供給できるようになっており、開放することによって試料もしくは無菌水に空気をバブリングし、その溶存酸素を飽和させることができる。つまり、該実施形態においては、空気バルブ(V3)が酸素飽和手段となる。
P3は、試料または無菌水を系内から排出するためのポンプであり、ドレインバルブ(V4)の開閉によって試料や無菌水の排出が制御される。
溶存酸素検出部20からの酸素濃度信号は演算手段12(例えば、内蔵コンピュータなど)で検知され、演算処理が施される。つまり、該実施形態においては、演算手段12が検知手段となる。
測定セル21には、クラーク型酸素電極22と、該クラーク型酸素電極22に電圧を印加するための電圧印加手段(不図示)とが設けられている。この電圧印加手段(不図示)は、本発明の生菌数測定方法の特徴である断続的な電圧印加が可能となるもの(例えば、オンとオフとが任意に切り替え可能であるもの)であれば特に制限はなく、公知の電圧印加手段を使用することができる。
測定セル21には、攪拌手段として、その底部内側に液体を攪拌するためのスターラーピース23が入れられているとともに、底部外側にスターラーピース23を回転させるためのマグネチックスターラー24が設置されている。なお、測定セル21における攪拌手段は、スターラーピース23およびマグネチックスターラー24に限定されるものではなく、例えば、図4に示すような攪拌羽根25とこれを駆動させるモーター(不図示)などを設けることもできる。
また、攪拌手段を設ける際には、例えば図4に示すように、攪拌手段(攪拌羽根25)が酸素電極22の先端部22aに対向するように(好ましくは、先端部22aの正面に向かい合って位置するように)設置することが望ましい。これにより、酸素電極22の先端部22aが受ける圧が低減され、酸素濃度の測定精度をより向上させることができる。
まず、無菌水供給バルブ(V1)より無菌水を注入して測定セル21および系内各流路を満たし、測定セル21および各流路の洗浄を行う。続いて、ドレインバルブ(V4)より測定セル21および系内各流路から汚れた無菌水を排水する。次に、無菌水供給バルブ(V1)より新たな無菌水を注入して測定セル21および系内各流路を満たし、同時に空気バルブ(V3)を開放して無菌水中の溶存酸素を飽和させた後、該空気バルブ(V3)を閉じて大気との接触を遮断した状態とし、この状態で無菌水を測定セル21内に満たす。次に、酸素電極22にて電圧印加、スターラー攪拌を開始し、出力安定後に前記酸素濃度信号(Cal−1)を記録した後、電圧印加を停止して、無菌水で洗浄する。
本発明のスライムモニター方法は、前述した本発明の生菌数測定方法による測定を所定時間ごとに行ない、該測定で得られた酸素消費量の増減によってスライム量を監視するものである。このような本発明のスライムモニター方法によれば、各種用排水におけるスライムの発生を容易かつ確実に把握することができ、例えば、スライム障害を防止するためにスライムコントロール剤を添加する場合などに利用すれば、確実に効率よくスライム障害を防止することが可能になる。なお、本発明のスライムモニター方法において生菌数測定方法による測定を行なう間隔は、特に限定されるものではなく、対象とする試料の種類等に応じて適宜設定すればよい。
本発明のスライムコントロール剤添加システムは、前述した本発明の生菌数測定方法において測定された酸素消費量に基づきスライムコントロール剤の添加量を制御する機構を備えるものである。以下、本発明のスライムコントロール剤添加システムの一実施形態について図面を用いて説明する。
なお、平板培養法による生菌数の測定は下記のようにして行った。すなわち、まず、用水試料を滅菌水で10倍ずつ段階希釈した。この希釈液を標準寒天培地に0.1mlずつ塗抹接種し、32℃で48時間培養した。そして、形成されたコロニー数より用水試料1mL中の生菌数を求めた。
新聞用紙製造工場にてワイヤー下(セーブオール)の白水を採取し、用水試料とした。この用水試料のpHは4.5であり、平板培養法により生菌数を測定したところ、107オーダーであった。また、その菌種を調査したところ、Pseudomonus属が最も多く107オーダー生息しており、次いでBacillus属が105オーダー生息していることを確認した。なお、これらの菌種はいずれも好気性細菌に属するものである。
実施例と同じ測定装置において、電圧を常時印加した状態としておく(連続印加する)こと以外は、実施例と同様にして(つまり、実施例における一連の操作の中で「電圧印加を停止する」操作を全て省き、電圧を印加した状態のまま続く操作を行なった。)、実施例と同じ測定対象について各試料中の微生物による酸素消費率を測定した。結果を表2に示す。なお、表には、検出感度を比較するため、菌数オーダー103での測定値を1としたときの相対値を併せて示した。
12 演算手段
20 溶存酸素検出部
21 測定セル
22 酸素電極
22a 酸素電極先端部
23 スターラーピース
24 マグネチックスターラー
25 攪拌羽根
31、32 温度制御域
Claims (8)
- 微生物が消費する酸素消費量から試料中の生菌数を測定する方法であって、クラーク型酸素電極に電圧を印加して酸素濃度信号を検知することにより前記酸素消費量を求めるにあたり、下記(i)〜(viii)の操作をこの順序で行ない、得られた酸素濃度信号(Sam−1)、(Sam−2)、(Cal−1)および(Cal−2)を用いて算出する、ことを特徴とする生菌数測定方法。
(i)無菌水中の溶存酸素濃度を飽和させた後、該無菌水を大気との接触を遮断した状態で測定セル内に満たす操作。
(ii)電圧を印加して無菌水の初期酸素濃度信号(Cal−1)を検知した後、該電圧の印加を停止する操作。
(iii)試料中の溶存酸素濃度を飽和させた後、該試料を大気との接触を遮断した状態で測定セル内に満たす操作。
(iv)電圧を印加して試料の初期酸素濃度信号(Sam−1)を検知した後、該電圧の印加を停止する操作。
(v)所定時間、試料中の微生物に酸素を消費させる操作。
(vi)電圧を印加して酸素消費後の酸素濃度信号(Sam−2)を検知した後、該電圧の印加を停止する操作。
(vii)再び無菌水中の溶存酸素濃度を飽和させた後、該無菌水を大気との接触を遮断した状態で測定セル内に満たす操作。
(viii)電圧を印加して前記試料測定後の無菌水の酸素濃度信号(Cal−2)を検知した後、該電圧の印加を停止する操作。 - 前記無菌水は、抗菌剤、または抗菌剤および洗浄剤を精製水に含有させたものである、請求項1または2記載の生菌数測定方法。
- 酸素電極への電圧印加時間が1回あたり1〜6分間である、請求項1〜3のいずれかに記載の生菌数測定方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の生菌数測定方法に用いる測定装置であって、密閉可能な測定セルと、該測定セル内の液体に溶存酸素を飽和させる酸素飽和手段と、クラーク型酸素電極に電圧を印加するための電圧印加手段と、電圧印加により生じた酸素濃度信号を検知する検知手段と、前記測定セル内の液温を制御する温度制御手段とを備える、ことを特徴とする生菌数測定装置。
- 前記試料に代えて無菌水を供給する無菌水供給手段をも備える、請求項5記載の生菌数測定装置。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の生菌数測定方法による測定を所定時間ごとに行ない、該測定で得られた酸素消費量の増減によってスライム量を監視する、ことを特徴とするスライムモニター方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の生菌数測定方法において測定された酸素消費量に基づきスライムコントロール剤の添加量を制御する機構を備える、ことを特徴とするスライムコントロール剤添加システム。
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