JP4764677B2 - イクラの製造方法 - Google Patents
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ロン酸などのムコ多糖体やその塩類、天然ガム類、キチン、キトサン、カルボキシメチルセルロースをはじめとする合成高分子ポリマー、コラーゲン、ゼラチンなどの増粘剤の何れか1種又は2種以上を添加することができる。とりわけ、食塩、ミネラル、海洋深層水などとの併用が、卵膜の透明度の低下防止、鮮度保持などの点で望ましく、特に食塩が望ましい。この場合の食塩の添加濃度は、通常、0.1%乃至5%程度が望ましく、1%乃至4%程度が特に望ましい。5%を超える量添加して加熱処理すると、卵膜が硬化し過ぎる場合があり、0.1%よりも低い濃度では、イクラが破裂しやすく製品の歩留まりが悪くなることがある。また、特に、卵膜の硬化の抑制の点からは、炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウムなどを併用するなどして、水溶液のpHを、通常、5乃至11に調節すればよく、7乃至10程度に調節することが望ましい。
<イクラの加熱処理に及ぼすα,α−トレハロース及び/又はα,α−トレハロースの糖質誘導体の影響>
イクラの加熱処理に及ぼすα,α−トレハロース及び/又はα,α−トレハロースの糖質誘導体の影響を調べる実験を以下のようにして行った。すなわち、含水結晶α,α−トレハロース(株式会社林原商事販売、商品名「トレハ」)、含水結晶マルトース、及び、α−マルトシルα,α−トレハロース粉末(株式会社林原生物化学研究所製造、純度98%以上)の何れかと、食塩(精製塩)に水を加えて、表1に示す配合組成の水溶液を調製した(糖質の配合量は無水物換算)。予め80℃又は90℃に加熱した各々の水溶液40質量部に対して、イクラ3質量部をザルに入れて60秒間或いは120秒間浸漬して、加熱処理をおこなった。加熱処理後に、このイクラ3質量部を、ザルごと、10℃に冷却した加熱処理に使用したものと同じ組成の水溶液40質量部に、10分間浸漬して、イクラを冷却・洗浄した。イクラを水溶液からあげて、液をきり、常法により、−20℃で凍結して冷凍イクラを調製した。この冷凍イクラを−20℃で一晩保存後、4℃で16時間低温解凍し、さらに4℃で24時間冷蔵保存した。この冷蔵保存後のイクラの透明感を目視により、イクラの食味・食感を試食して検査した。イクラの透明感の評価は、イクラが白濁して、不透明である(×)、イクラの卵膜が白濁して透明感が低下している(△)、イクラの卵膜は透明で濁りがない(○)の3段階とした。イクラの食味・食感の評価は、卵膜が硬く口の中に卵膜が残り、イクラ特有の食味・食感が失われている(×)、卵膜が硬く、イクラ特有の食味・食感が失われている(△)、卵膜は加熱処理前に比べて硬化しているもののイクラ特有の食味・食感がある(○)、卵膜の硬化がほぼ抑制されており、加熱処理前のイクラと同等の食味・食感がある(◎)の4段階とした。イクラの卵膜の透明度及び食味・食感の評価は11名のパネラーにより行い、9名以上のパネラーが同じ評価した段階を、そのイクラの透明感、食味・食感の段階とした。また、低温解凍処理16時間目と、それを、さらに24時間冷蔵保存した卵膜の硬度を測定した。これらの検査及び測定の結果を表1に示す。
<卵膜の硬度の測定>
レオメーター(株式会社レオテック販売、型番「NRM−2010J−CW」)のプレートに、イクラを1粒乗せ、直径2cmのプランジャーを用い、テーブル速度6cm/分、チャートスピード15cm/分で、イクラが潰れるまで加圧し、潰れた強度(破断強度)を卵膜の硬度とした。1試験区につき10粒のイクラを用いて卵膜の硬度を測定し、その値を平均して、その試験区のイクラの硬度とした。
α−トレハロース或いはα,α−トレハロースの糖質誘導体を含有する水溶液中で、90℃で120秒間加熱処理したイクラは、卵膜の硬化は抑制されたものの、蛋白質の熱変性に起因すると思われる透明度の低下が認められた。この結果は、イクラを、糖質を含有していない水溶液或いはマルトースを含有する水溶液中で加熱処理するよりも、α,α−トレハロース或いはα,α−トレハロースの糖質誘導体を含有する水溶液で加熱処理する方が、卵膜の硬化、透明度の低下や白濁を抑制できることを物語っている。
<イクラの加熱処理に及ぼす加熱温度、α,α−トレハロースの影響>
実験1で、α,α−トレハロース或いはα,α−トレハロースの糖質誘導体を含有する水溶液中で、イクラを80又は90℃で加熱処理することにより、透明度の低下及び卵膜の硬化が抑制されたイクラが調製できることが確認されたので、イクラの透明度の低下及び卵膜の硬化に及ぼす、加熱処理の温度、α,α−トレハロースの影響を調べる実験を以下のようにして行った。すなわち、食塩(並塩)と含水結晶α,α−トレハロース(株式会社林原商事販売、商品名「トレハ」)に水を加えて、表2に示すの配合組成の水溶液を調製した(糖質の配合量は無水物換算)。予め60℃、70℃、80℃、90℃、或いは100℃に加熱した各々の水溶液40質量部に対して、イクラ3質量部をザルに入れて30秒間、60秒間又は90秒間浸漬して、加熱処理をおこなった。加熱処理後に、このイクラ3質量部をザルごと10℃に冷却した水溶液40質量部に10分間浸漬して、イクラを冷却・洗浄した。イクラを水溶液からあげて、液をきり、常法により、−20℃で凍結して冷凍イクラを調製した。この冷凍イクラを−20℃で一晩保存後、4℃で16時間低温解凍し、さらに4℃で24時間冷蔵保存した。実験1と同じ、評価方法、評価基準を用いて、冷蔵保存後のイクラの透明感を目視により、イクラの食味・食感を試食して検査した。また、解凍後と、それを冷蔵保存後の卵膜の硬度を測定した。これらの検査及び測定結果を表2に示す。
<イクラの加熱処理に及ぼすα,α−トレハロース又はα,α−トレハロースの糖質誘導体の濃度の影響>
イクラの加熱処理に及ぼすα,α−トレハロース又はα,α−トレハロースの糖質誘導体の濃度の影響を調べる実験を以下のように行った。すなわち、食塩(精製塩)と含水結晶α,α−トレハロース(株式会社林原商事販売、商品名「トレハ」)に、水を加えて表3に示す組成の水溶液を調製した。また、精製塩と含水結晶α,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ(株式会社林原商事販売、商品名「ハローデックス」に、水を加えて、表3に示す配合組成の水溶液を調製した(糖質の配合量は無水物換算)。85℃に加熱した、各々の水溶液40質量部に対して、塩蔵処理した冷凍塩イクラを3%精製食塩水溶液に浸漬して解凍したもの3質量部をザルに入れて90秒間浸漬して、加熱処理をおこなった。加熱処理後に、このイクラ3質量部を、ザルごと、10℃に冷却した加熱処理に使用したものと同じ組成の水溶液40質量部に10分間浸漬して、イクラを冷却・洗浄した。イクラを水溶液からあげて、液をきり、常法により、−20℃で凍結して冷凍イクラを調製した。この冷凍イクラを−20℃で一晩保存後、4℃で16時間低温解凍し、さらに4℃で24時間冷蔵保存した。実験1と同じ、評価方法、評価基準を用いて、冷蔵保存後のイクラの透明感を目視により、イクラの食味・食感を試食して検査した。また、解凍後とそれを冷蔵保存後の卵膜の硬度を測定した。これらの検査或いは測定結果を表3に示す。なお、含水結晶α,α−トレハロースは、α,α−トレハロースが無水物換算で、表3に示す配合量となるように、また、α,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップは、α,α−トレハロースの糖質誘導体が、無水物換算で、表3に示す配合量となるように、それぞれ水溶液に添加した。
Claims (5)
- α,α−トレハロース及び/又はα−グルコシルα,α−トレハロース、α−マルトシルα,α−トレハロース、及びα−マルトトリオシルα,α−トレハロースから選ばれる1種又は2種以上のα,α−トレハロースの糖質誘導体を無水物換算で、合計で、0.1質量%乃至20質量%含有する水溶液中で、イクラを70℃乃至90℃で60秒乃至120秒間加熱処理することを特徴とする透明度の低下及び卵膜の硬化が抑制されたイクラの製造方法。
- α,α−トレハロース及び/又はα−グルコシルα,α−トレハロース、α−マルトシルα,α−トレハロース、及びα−マルトトリオシルα,α−トレハロースから選ばれる1種又は2種以上のα,α−トレハロースの糖質誘導体と共に食塩を共存せしめ、加熱処理することを特徴とする請求項1記載のイクラの製造方法。
- レオメーターを用いて測定した時のイクラの卵膜の硬度が、50g乃至140gであることを特徴とする請求項1又は2記載のイクラの製造方法。
- 請求項1乃至3の何れかに記載の製造方法で製造した加熱処理後のイクラを、さらに、冷却及び/又は冷凍処理する、冷凍イクラの製造方法。
- 請求項1乃至4の何れかに記載の方法により製造されたイクラ。
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