JP3966542B2 - 冷凍魚肉フィレー及びその品質改良方法 - Google Patents

冷凍魚肉フィレー及びその品質改良方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
【0002】
本発明は、冷凍魚肉フィレー及びその品質改良方法に関するものであり、更に詳しくは、魚肉フィレーを糖及び/又は糖アルコールの水溶液に浸漬した後、該水溶液に浸漬した魚肉フィレーを浸漬液から取出して所定時間冷蔵保存することで、冷凍中に生じる魚肉フィレーの冷凍変性を抑え、魚肉フィレーの形態での長期間の冷凍保存を可能とし、解凍時のドリップの発生を抑え、さらに冷凍保存した魚肉フィレーの解凍後においても、良好な味や食感が得ることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
魚肉は日本の食生活を支える重要な食材の一つであり、その用途に応じて様々な形態で流通しているが、時間経過による味質や鮮度の劣化が著しいため、魚肉の形態に応じた保存方法が紹介されている。
【0005】
一方、二次加工が容易なことから様々な分野で使用されている魚肉フィレー(fillet)は、主に白身魚で多く見られる魚肉の加工形態の一つであるが、この魚肉フィレーについて古典的保存方法である凍結保存を採用した場合、凍結保存時に魚肉中の水分が氷結晶を形成し、次いで形成した氷結晶が徐々に成長するため、最終的に魚肉の組織が破壊されて肉質が劣化する、魚肉表面が乾燥し冷凍焼け生じる、油焼けと呼ばれる変色が生じる、などの現象が顕著に現れてしまうことから、その後解凍しても食用に耐え得る製品とはならなかった。
【0006】
また、魚肉フィレーを冷凍保存すると、解凍時にドリップが発生し、肉質、食感、外観の劣化、歩留まりの低下、などを生じるという問題点も有していた。
【0007】
このような理由から、魚肉フィレーについては保存期間が比較的短い冷蔵保存によって流通しており、保存安定性の上で要望されている冷凍された形態での魚肉フィレーの流通は実現していないのが現状である。
【0008】
特開平8−308484号には、生食用魚類の鮮度を保持する目的で、対象となる魚肉を、糖アルコールと塩化ナトリウムを混合した水溶液に浸漬し、そのまま冷蔵保存する方法が紹介されている。しかしながら、この方法による鮮度保持期間は最長でも2週間程度であること、糖アルコールの浸透が魚肉表層部分で止まってしまうため、魚肉の部位によって強い甘みを呈してしまうこと、塩化ナトリウムが魚肉に浸透するため塩化ナトリウムの摂取量が増加しがちになってしまうこと、などが懸念される。
【0009】
特開平9−299062号には、魚畜肉に対してトレハロースと塩類を混合した処理剤を粉末の状態で散布するか又は処理剤の水溶液中に浸漬することで、魚畜肉の冷凍保存による凍結障害を抑制する方法が紹介されている。しかしながら、この方法においても塩類を用いる必要があるため、魚畜肉中に塩類が浸透し、塩分摂取量が増加しがちになってしまうことが懸念される。
【0010】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、前述の課題を解決すべく鋭意検討した結果、塩類を使用することなく、特定の組成を有する糖及び/又は糖アルコールの水溶液に浸漬した後、該水溶液に浸漬した魚肉フィレーを浸漬液から取出して所定時間冷蔵保存することで、魚肉フィレー内部には糖及び/又は糖アルコールが均一に拡散し、魚肉フィレー内部と魚肉フィレー全体とでの糖及び/又は糖アルコールの含有濃度差が小さくなるため、冷凍保存による魚肉フィレーの冷凍変性を抑え、魚肉フィレーの長期間の冷凍保存を可能とし、解凍時のドリップの発生を抑え、冷凍保存した魚肉フィレーの解凍後においても良好な味と食感が保持されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明の課題を解決する手段は以下の通りである。
【0013】
第一に、魚肉フィレーを、糖及び/又は糖アルコールの水溶液に浸漬する第一工程、浸漬液から取り出し冷蔵する第二工程、冷凍する第三工程、の三工程を逐次経由し、魚肉フィレーに含まれる糖及び/又は糖アルコールの平均濃度を〜15重量%とする、冷凍魚肉フィレーの品質改良方法である。
【0014】
第二に、固形分濃度が5〜50%、温度が−5℃〜20℃の、糖及び/又は糖アルコールの水溶液に浸漬する、第一に記載の冷凍魚肉フィレーの品質改良方法である。
【0015】
第三に、温度−5℃〜15℃、6時間以上、の条件で冷蔵する、第一又は第二に記載の冷凍魚肉フィレーの品質改良方法である。
【0016】
第四に、糖及び/又は糖アルコールが、フラクトース、グルコース、マルトース、キシロース、マンノース、スクロース、キシロビオース、ラクトース、トレハロース、重合度2以下の糖類を主成分とする澱粉加水分解物、重合度2以下の糖類を主成分とするキシロオリゴ糖、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、キシロビイトール、重合度2以下の糖類の水素化物を主成分とする還元澱粉加水分解物、重合度2以下の糖類の水素化物を主成分とする還元キシロオリゴ糖、からなる群より選ばれる1種又は2種以上の混合物である、第一から第三の何れか一つに記載の冷凍魚肉フィレーの品質改良方法である。
【0017】
第五に、第一工程終了時に、魚肉フィレーに含まれる糖及び/又は糖アルコールの平均濃度を3〜15重量%に調節する、第一から第四の何れか一つに記載の冷凍魚肉フィレーの品質改良方法である。
【0018】
第六に、第二工程終了時に、魚肉フィレー中心部における糖及び/又は糖アルコールの濃度を3〜15重量%に調節し、かつ魚肉フィレー全体での糖及び/又は糖アルコールの平均濃度を3〜15重量%に調節する、第一から第五の何れか一つに記載の冷凍魚肉フィレーの品質改良方法である。
【0019】
第七に、魚肉フィレーを、糖及び/又は糖アルコールの水溶液に浸漬する第一工程、浸漬液から取り出し冷蔵する第二工程、冷凍する第三工程、の三工程を逐次経由し、魚肉フィレー中心部における糖及び/又は糖アルコールの濃度が3〜15重量%であり、かつ魚肉フィレー全体での糖及び/又は糖アルコールの平均濃度が3〜15重量%である、品質改良された冷凍魚肉フィレーである。
【0020】
本発明で言う魚肉フィレーとは、魚体から、えら、内臓、頭を除去し、それを三枚に下ろし、中骨部分を取り除いた状態のものを指す。
【0021】
本発明は、従来は冷凍耐性が低く、冷凍による長期保存に適さない魚を主要な対象とするものであり、例えば、スズキ目、サケ目、カサゴ目、カレイ目、メダカ目、タラ目、フグ目に属する魚類が挙げられる。また、具体的には、アジ、ブリ、カマス、グチ、サワラ、タイ、シロギス、アユ、サケ、カジカ、カレイ、ヒラメ、サンマ、タラ、カワハギ、フグなどが挙げられる。
【0022】
本発明に用いられる魚肉フィレーは、鮮度の高いものが好ましいことは言うまでもないが、市販されている程度のものであれば問題なく使用することができる。
【0023】
本発明の浸積処理工程で用いられる糖及び/又は糖アルコールの種類及び品質は、医薬品、食品又は食品添加物として市販されている程度の品質で十分であり、フラクトース、グルコース、マルトース、キシロース、マンノース、スクロース、キシロビオース、ラクトース、トレハロース、重合度2以下の糖類を主成分とする澱粉加水分解物、重合度2以下の糖類を主成分とするキシロオリゴ糖、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、キシロビイトール、重合度2以下の糖類の水素化物を主成分とする還元澱粉加水分解物、重合度2以下の糖類の水素化物を主成分とする還元キシロオリゴ糖、からなる群より選ばれる1種または2種以上を組み合わせて使用することが可能である。
【0024】
これらの中でも平均分子量が比較的小さいものや、水に対する溶解度が高く、結晶が析出しにくいもの、又は結晶の析出が生じ難い組み合わせのものが更に有利に採用可能で、そのような性質を備えたものとしてはソルビトール、マルチトールなどが挙げられる。
【0025】
本発明の効果を十分に得るためには、浸積処理工程で用いられる糖及び/又は糖アルコールの水溶液の固形分濃度は、5〜50%の範囲にすることが好ましい。
【0026】
糖及び/又は糖アルコールの水溶液の固形分濃度が50%を超えると、浸漬する水溶液の粘度が高くなり取り扱いが困難になり易く、魚肉フィレーの表面がべたつき商品価値を損なう恐れや、魚肉中に浸透する糖及び/又は糖アルコールの量が増加し魚肉の味が甘くなる、などの影響が現れ易くなる。
【0027】
糖及び/又は糖アルコールの水溶液の固形分濃度が5%未満の場合、糖及び/又は糖アルコールが魚肉フィレー中に十分に浸透するまで、浸漬工程で要する時間が長期化するようになる。
【0028】
上記濃度に調製した糖及び/又は糖アルコールの水溶液は、味付けや風味付けの目的で、種々の甘味料、アミノ酸をはじめとする核酸系調味料、みりん、しょうゆなどの各種調味料、香辛料、リン酸塩など、各種添加剤などを適宜添加混合して用いても良い。
【0029】
魚肉フィレーを糖及び/又は糖アルコールの水溶液に浸漬する時の浸漬液の温度は、−5℃〜20℃の範囲にすることが好ましく、さらに好ましい温度範囲は0℃〜10℃である。
【0030】
浸漬処理時の糖及び/又は糖アルコール水溶液の温度が−5℃より低い場合、浸漬した魚肉フィレー内部で氷結晶が生成する、糖及び/又は糖アルコールが魚肉フィレー内部へ十分に浸透する前に凍結が生じる、などの影響を受け易くなる。
【0031】
浸漬処理時の糖及び/又は糖アルコール水溶液の温度が20℃を超える場合、魚肉組織の自己消化や微生物の繁殖が活発になる、魚肉の変色が進行して褐色又は黒色を帯びる、などの影響を受け易くなる。
【0032】
魚肉フィレーを糖及び/又は糖アルコールの水溶液に浸漬する時間は、浸漬液の固形分濃度や温度、魚肉フィレーの肉質、種類、鮮度、大きさ、などによって適宜変更する必要があるが、最終的に魚肉フィレーに含まれる糖及び/又は糖アルコールの平均濃度が3〜15重量%の範囲内であれば、それらの条件は自由に選択して良い。
【0033】
なお、魚肉フィレーを糖及び/又は糖アルコールの水溶液に浸漬している間は特段の操作を必要としないが、必要に応じて浸漬液をかき混ぜるか、浸漬中の魚肉フィレーを裏返すなどの操作を加えても良い。
【0034】
本発明は、魚肉フィレーを糖及び/又は糖アルコールの水溶液に浸漬した後、浸漬液から魚肉フィレーを取出して一定期間冷蔵保存することにより、浸漬処理で魚肉内部に浸透した糖及び/又は糖アルコールが魚肉フィレー全体に浸透するため、魚肉フィレー中に含有する糖及び/又は糖アルコールの濃度差を小さくすることができる。
【0035】
魚肉フィレー中に含有する糖及び/又は糖アルコールの濃度差を小さくした魚肉フィレーは、全体的に均一な濃度で含有しているため、冷凍保存時において魚肉フィレーの品質を均等に維持することが可能となる。また、含有濃度の低い部分から局所的にドリップが生じることがなく、解凍時におけるドリップ量を低減することが可能となる。
【0036】
浸漬液から取出した魚肉フィレーは、そのまま冷蔵保存しても良いが、簡単に水切りをする、表面に付着した浸漬液を拭き取る、水洗いをするなどの処理を自由に行なっても良い。
【0037】
浸漬液から取出した魚肉フィレーの冷蔵保存は、−5℃〜15℃で行われるのが好ましい。
【0038】
冷蔵時の温度が−5℃より低い場合、冷蔵中に魚肉フィレー内部で氷結晶が生成する、糖及び/又は糖アルコールが魚肉フィレー全体に均一に浸透する前に凍結が生じる、などの影響を受け易くなる。
【0039】
冷蔵時の温度が15℃を超える場合、魚肉組織の自己消化や微生物の繁殖が活発になり肉質部の品質が劣化する、肉質部の着色や変色が進行して褐色又は黒色を帯びる、などの影響を受け易くなる。
【0040】
冷蔵時間は、魚肉フィレーの肉質や種類、大きさによっても異なるが、通常は6時間以上、好ましくは20時間以上、さらに好ましくは40時間以上、最も好ましくは60時間以上である。冷蔵時間が十分でない場合、糖及び/又は糖アルコールが魚肉フィレー全体に均一かつ十分に浸透しにくく、本発明の効果が十分に得られない可能性が有る。
【0041】
本発明の方法に従い、魚肉フィレーを糖及び/又は糖アルコールの水溶液に浸漬し、その後浸漬液から取出して魚肉フィレーを冷蔵保存した後、魚肉フィレー中に含まれる糖及び/又は糖アルコールの濃度は、魚肉フィレー中心部で3〜15重量%、好ましくは5〜14重量%、さらに好ましくは6〜11重量%である。また、魚肉フィレー全体に含まれる糖及び/又は糖アルコールの平均濃度は、3〜15重量%、好ましくは5〜14重量%、さらに好ましくは6〜11重量%である。
【0042】
魚肉フィレー中に含有する糖及び/又は糖アルコールの濃度差は、魚肉フィレー全体に含まれる糖及び/又は糖アルコールの平均濃度と、魚肉フィレー中心部に含まれる糖及び/又は糖アルコールの濃度との差を対比することで、容易に求めることができる。
【0043】
本発明で得られる冷凍魚肉フィレーは、魚肉フィレーの位置に関わらず糖及び/又は糖アルコールが均一に含まれているため、浸漬液との接触面から離れた部位である魚肉フィレー中心部に含有する糖及び/又は糖アルコールの濃度と、魚肉フィレ全体での糖及び/又は糖アルコールの平均濃度とで、両者の濃度差が小さいという特徴を有している。
【0044】
本発明で言う魚肉フィレー中心部とは、魚肉フィレーの表層部から厚さ5mm分の魚肉を取り除いた残りの部分を言う。
【0045】
本発明で得られる冷凍魚肉フィレーは、魚肉フィレー全体に含まれる糖及び/又は糖アルコールの平均濃度と、魚肉フィレー中心部に含まれる糖及び/又は糖アルコールの濃度差が、5重量%以下、好ましくは3重量%以下であり、両者の濃度差が少ないため、冷凍した魚肉フィレーの解凍時のドリップが少なく、魚肉フィレー全体の品質、食感、味質などを均一に維持することができる。
【0046】
魚肉フィレー全体に含まれる糖及び/又は糖アルコールの平均濃度と、魚肉フィレー中心部に含まれる糖及び/又は糖アルコールの濃度差が5重量%を超えると、糖及び/又は糖アルコールの濃度勾配が生じ易く、冷凍した魚肉フィレーの解凍時におけるドリップ量の増加や、魚肉フィレーの部位によって品質、食感、味質などを損なう要因となり易い。
【0047】
本発明における冷凍保存に特段の条件はなく、浸漬した魚肉フィレーが凍結する温度であれば良い。また、魚肉フィレー内部での氷結晶の生長を防ぐため、急速に冷凍することが好ましい。これらの冷凍保存には、通常の家庭用冷凍庫や業務用冷凍庫、液体窒素に代表される液化ガス類による凍結も採用可能であり、好ましい冷凍温度は−10℃以下、さらに好ましくは−20℃以下である。
【0048】
本発明の工程を経ることにより、魚肉フィレー内に均一に糖及び/又は糖アルコールを含有させ、従来不可能であった魚肉フィレーの形態での冷凍保存を可能とし、冷凍状態での長期間の保存が可能であり、解凍後も品質の高い状態を維持した魚肉フィレーを得ることが可能であり、具体的には解凍時のドリップが少なく、食感や味質も良好である等の効果を得ることが出来る。
【0049】
また、本発明に係る冷凍魚肉フィレーは、保存条件や保存する魚肉の種類によって若干異なるものの、1ヶ月以上、好ましくは3ヶ月以上、さらに好ましくは6ヶ月以上冷凍保存されたものでも、例えば、蒸し物、煮物、焼き物、炒め物、干物、油調加工など、各種の用途に好適に使用することができる。
【0050】
以下に、実施例を挙げて本発明の効果を具体的に説明するが、本発明の技術範囲は以下の例に制限されるものではない。また以下の例において、%は特に断りがない限り重量%を表すものとする。
【0051】
【実施例1】
【0052】
1.浸漬液の調製
ソルビトール(商品名:ソルビットD−パウダー、東和化成工業(株)製)36重量部と、水64重量部とからなるソルビトール水溶液を調製し、それを浸漬液として、容積60Lのステンレス容器中に入れた。
2.スケトウダラフィレーの調製
新鮮なスケトウダラの内臓、頭、ヒレ部を除去し、三枚におろして中骨を除去し、スケトウダラフィレーを調製した。
3.スケトウダラフィレーの浸漬
調製したスケトウダラフィレーを、液温4℃に調製した浸漬液中に6時間浸漬した。その後浸漬液から取り出し水切りを行った。
4.冷蔵保存および冷凍保存
浸漬が終了したスケトウダラフィレーを、4℃に調整した冷蔵室内で48時間冷蔵保存した後、−20℃で1ヶ月間冷凍保存し、冷凍スケトウダラフィレーを調製した。
【0053】
【実施例2】
【0054】
スケトウダラフィレーの冷蔵保存を4℃で72時間とした以外は実施例1と同様にし、冷凍スケトウダラフィレーを調製した。
【0055】
【実施例3】
【0056】
スケトウダラフィレーの浸漬を4℃で12時間とした以外は実施例1と同様にし、冷凍スケトウダラフィレーを調製した。
【0057】
【実施例4】
【0058】
スケトウダラフィレーの浸漬を4℃で12時間とし、冷蔵保存を4℃で72時間とした以外は実施例1と同様にし、冷凍スケトウダラフィレーを調製した。
【0059】
【実施例5】
【0060】
スケトウダラフィレーの浸漬を4℃で24時間とした以外は実施例1と同様にし、冷凍スケトウダラフィレーを調製した。
【0061】
【実施例6】
【0062】
スケトウダラフィレーの浸漬を4℃で24時間とし、冷蔵保存を4℃で72時間とした以外は実施例1と同様にし、冷凍スケトウダラフィレーを調製した。
【0063】
【比較例1】
【0064】
新鮮なスケトウダラを実施例1と同様にフィレーとし、浸漬処理及び冷蔵保存を行わずに、直ちに−20℃で1ヶ月間冷凍保存し、冷凍スケトウダラフィレーを調製した。
【0065】
【比較例2】
【0066】
新鮮なスケトウダラを実施例1と同様にフィレーとし、同様の浸漬液に4℃で6時間浸漬した後、冷蔵保存せずに−20℃で1ヶ月間冷凍保存し、冷凍スケトウダラフィレーを調製した。
【0067】
【比較例3】
【0068】
新鮮なスケトウダラを実施例1と同様にフィレーとし、同様の浸漬液に4℃で12時間浸漬し、冷蔵保存せずに−20℃で1ヶ月間冷凍保存し、冷凍スケトウダラフィレーを調製した。
【0069】
【比較例4】
【0070】
新鮮なスケトウダラを実施例1と同様にフィレーとし、同様の浸漬液に4℃で24時間浸漬し、冷蔵保存せずに−20℃で1ヶ月間冷凍保存し、冷凍スケトウダラフィレーを調製した。
【0071】
【比較例5】
【0072】
新鮮なスケトウダラを実施例1と同様にフィレーとし、同様の浸漬液に4℃で48時間浸漬し、続けて4℃で72時間冷蔵保存した後、−20℃で1ヶ月間冷凍保存し、冷凍スケトウダラフィレーを調製した。
【0073】
【表1】
Figure 0003966542
【0074】
魚肉フィレー中心部と魚肉フィレー全体でのソルビトール濃度差の測定
各実施例および比較例における、冷凍保存工程に供する前のスケトウダラフィレーについて、スケトウダラフィレー中心部に含まれるソルビトール濃度と、スケトウダラフィレー全体に含まれる平均のソルビトール濃度を測定し、その差を求めた。
【0075】
スケトウダラフィレー中心部のソルビトール濃度の測定では、冷凍保存工程に供する前のスケトウダラフィレーについて、その表層から5mmを取り除いた残りの部分を取り出し、ソルビトール濃度を測定するサンプルとした。取り出したサンプルはフードプロセッサーでミンチ状にし、ミンチ肉10gを採取した。採取したミンチ肉10gに純水90gを加えた後、ホモジナイザーを用いて10,000rpmで5分間ホモジナイズした。次に5℃で3,500rpmで20分間遠心分離し、その上澄みを0.45μmメンブランフィルターで膜濾過した後、高速液体クロマトグラフィーで分析し、スケトウダラフィレー中心部に含有するソルビトール濃度を測定した。測定結果は表2に示した。
【0076】
スケトウダラフィレー全体に含まれる平均のソルビトール濃度の測定では、スケトウダラフィレー全体をサンプルとして、そのままフードプロセッサーでミンチ状にし、以下、スケトウダラフィレー中心部のソルビトール濃度測定と同様の手順で、高速液体クロマトグラフィーによる分析を行い、スケトウダラフィレー全体に含まれる平均のソルビトール濃度を測定した。測定結果は表2に示した。
【0077】
本発明に係る実施例品は、魚肉フィレー中心部と魚肉フィレー全体の平均とで、ソルビトールの濃度差がいずれも3重量%未満と少なく、ソルビトールが魚肉フィレー内に均一に含有していた。
【0078】
ソルビトール水溶液に浸漬後、冷蔵保存を行なっていない比較例2〜4は、魚肉フィレー内部と魚肉フィレー全体の平均とで、ソルビトールの濃度差が5重量%を超え、ソルビトールが均一な濃度で魚肉フィレー内に含まれていなかった。
【0079】
【表2】
Figure 0003966542
【0080】
ドリップ量の測定
冷凍保存したスケトウダラフィレーを濾紙(品番:No.2、東洋製紙(株)製)上に置き、25℃で4時間、自然解凍した時の濾紙の増加重量をドリップ量として、冷凍魚肉フィレー100gあたりのドリップ量を求めた。測定結果は表3に示した。
【0081】
本発明に係る実施例品は、何も処理を行っていない比較例1や、浸漬液に浸漬した後冷蔵保存を行っていない比較例2の魚肉フィレーと比較して、明らかにドリップ量が低減した。
【0082】
【表3】
Figure 0003966542
【0083】
冷凍保存したスケトウダラフィレーの官能検査
本発明の実施例2,4,6および比較例5で調製した冷凍スケトウダラフィレーを、それぞれ99℃で8分間蒸し、蒸したスケトウダラの甘味に関する官能検査を実施した。なお、対象として、市販のスケトウダラフィレーをそのまま99℃で8分間蒸したものを用いた。評価者として、訓練された7名からなるパネリストを用意した。
【0084】
官能検査では、対象品と比較して甘味の差がなく、美味しく食べられるものを+1、対象品と比較して若干甘みを感じるが、美味しく食べられるものを±0、対象品よりも明らかに甘さを感じ、美味しくないものを−1と評価した。評価結果は表4に示した。
【0085】
本発明に係る実施例品は対象品と同様、美味しく、甘みによる影響も殆ど無かった。一方、比較例品は、魚肉フィレー中にソルビトールが大量に含まれているため、甘さを強く感じ、美味しくなかった。
【0086】
【表4】
Figure 0003966542

Claims (6)

  1. 魚肉フィレーを、糖及び/又は糖アルコールの水溶液に浸漬する第一工程、浸漬液から取り出し冷蔵する第二工程、冷凍する第三工程、の三工程を逐次経由する方法で、第二工程の終了時点において、魚肉フィレー中心部における糖及び/又は糖アルコールの濃度が3〜15重量%であり、かつ、魚肉フィレー全体での糖及び/又は糖アルコールの平均濃度が3〜15重量%であり、かつ両者の濃度差が5重量%以下である、冷凍魚肉フィレーの品質改良方法。
  2. 固形分濃度が5〜50%、温度が−5℃〜20℃の、糖及び/又は糖アルコールの水溶液に浸漬する、請求項1に記載の冷凍魚肉フィレーの品質改良方法。
  3. 温度−5℃〜15℃、6時間以上、の条件で冷蔵する、請求項1又は2に記載の冷凍魚肉フィレーの品質改良方法。
  4. 糖及び/又は糖アルコールが、フラクトース、グルコース、マルトース、キシロース、マンノース、スクロース、キシロビオース、ラクトース、トレハロース、重合度2以下の糖類を主成分とする澱粉加水分解物、重合度2以下の糖類を主成分とするキシロオリゴ糖、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、キシロビイトール、重合度2以下の糖類の水素化物を主成分とする還元澱粉加水分解物、重合度2以下の糖類の水素化物を主成分とする還元キシロオリゴ糖、からなる群より選ばれる1種又は2種以上の混合物である、請求項1から3の何れか一つに記載の冷凍魚肉フィレーの品質改良方法。
  5. 第一工程終了時に、魚肉フィレーに含まれる糖及び/又は糖アルコールの平均濃度を3〜15重量%に調節する、請求項1から4の何れか一つに記載の冷凍魚肉フィレーの品質改良方法。
  6. 魚肉フィレーを、糖及び/又は糖アルコールの水溶液に浸漬する第一工程、浸漬液から取り出し、魚肉フィレー中心部における糖及び/又は糖アルコールの濃度が3〜15重量%であり、かつ魚肉フィレー全体での糖及び/又は糖アルコールの平均濃度が3〜15重量%であり、かつ両者の濃度差が5重量%以下になるまで冷蔵保存する第二工程、冷凍する第三工程、の三工程を逐次経由して得られる、品質改良された冷凍魚肉フィレー。
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