JP3513267B2 - 生食用魚類の鮮度保持方法 - Google Patents

生食用魚類の鮮度保持方法

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JP3513267B2 JP14419795A JP14419795A JP3513267B2 JP 3513267 B2 JP3513267 B2 JP 3513267B2 JP 14419795 A JP14419795 A JP 14419795A JP 14419795 A JP14419795 A JP 14419795A JP 3513267 B2 JP3513267 B2 JP 3513267B2
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秀和 木内
明美 大石
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
【0002】本発明は生食用魚類の鮮度保持方法に関す
るものであり、さらに詳しくは、魚類を特定範囲の組成
を有する水溶液に浸漬したのち冷蔵することにより、生
鮮魚類の保存期間中の鮮度低下を抑制する方法に関す
る。
【0003】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
【0004】生食用魚類は刺身や酢の物などとして日本
人の食生活の中で大変大きな位置を占めており、根強い
需要がある。
【0005】しかし、生食用食品としての魚類は、保存
期間が極めて短いことが大きな課題として残されてい
る。
【0006】従来から生食用魚類の鮮度保持方法として
採用されているのは、−5〜15℃の低温下で冷蔵する
ことや−50〜−5℃の温度で凍結保存することであっ
たが、何れも満足な方法とは言い難いものであった。
【0007】例えば、凍結保存する方法には、凍結時に
水分が氷の粒を形成し、その粒が大きくなることにより
魚肉の組織が破壊されて食感が劣化したり、冷凍変性が
起こったり、表面が乾燥したり、いわゆる冷凍焼けや油
焼けと言われる変色が起こったり、解凍後にドリップが
発生して歩留が低下したり、味が変化する等の欠点が指
摘されてきた。
【0008】つまり、肉質の食感や味が変化するなどの
欠点があるので、生食用の品を凍結保存するのは好まし
くないとされてきたのである。
【0009】従って、生食用の魚類を保存する方法とし
ては主に−5〜15℃の低温下で冷蔵する方法が採用さ
れてきたが、この方法を採用した場合にも、蛋白質が変
性して離水により歩留が低下したり、保存期間が最大で
も2〜3日程度と極めて短いなどの課題があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
【0011】本発明者等は、前述の課題を解決するため
に鋭意検討した結果、魚類を特定範囲の組成を有する水
溶液に浸漬したのち冷蔵することにより、生鮮魚類の鮮
度低下を抑制することに成功し、その結果、最大2週間
程度の保存後にも蛋白質の変性度が低い、即ち鮮度が高
い、且つ、透明度の高い外観を有する魚肉を得ることに
成功して本発明を完成するに至った。
【0012】本発明の課題を解決するための手段は、下
記の通りである。
【0013】即ち、本発明は第一に、糖アルコール5〜
40重量%、塩化ナトリウム0.5〜10重量%を含有
する固形分濃度5.5〜50重量%の水溶液に、生食用
魚類を0〜15℃で1分間〜48時間浸漬したのち、−
2〜10℃の範囲で保存することを特徴とする生食用魚
類の鮮度保持方法である。
【0014】また、本発明は第二に、糖アルコールがソ
ルビトール、ラクチトール、マルチトール、還元澱粉糖
化物、還元イソマルトシルオリゴ糖、エリスリトール、
キシリトール、キシロビトール、マンニトールからなる
群から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせである前
記第一の発明に記載の生食用魚類の鮮度保持方法であ
る。
【0015】また、本発明は第三に、生食用魚類が、ス
ズキ目、サケ目、ニシン目、カサゴ目、カレイ目、コイ
目、メダカ目、タラ目、フグ目からなる群から選ばれる
1種である前記第一の発明又は第二の発明の何れか一つ
に記載の生食用魚類の鮮度保持方法である。
【0016】また、本発明は第四に、生食用魚類が、ア
ジ科、カマス科、ニベ科、サバ科、タイ科、メカジキ
科、マカジキ科、キス科、サケ科、キュウリウオ科、ニ
シン科、カタクチイワシ科、カサゴ科、カレイ科、ヒラ
メ科、コイ科、ドジョウ科、サンマ科、タラ科、カワハ
ギ科、フグ科からなる群から選ばれる1種である前記第
一の発明又は第二の発明の何れか一つに記載の生食用魚
類の鮮度保持方法である。
【0017】本発明を実施し、その効果を知るうえで鮮
度を測定することが必要になるが、その指標となるの
は、(1)蛋白質のCa−ATPase活性、(2)蛋
白質の塩化ナトリウム、塩化カリウム等の各種塩溶液に
対する溶解度、(3)生菌の数などであり、それらの測
定はそれぞれ、(1)は加藤らの方法[加藤登、野崎
恒、小松一宮、新井健一:日本水産学会誌45,102
7頁〜1032頁(1979)]及び斉藤らの方法
[(株)恒星社厚生閣、昭和49年10月15日発行、斎
藤恒行他編集、水産生物化学・食品学実験書、189頁
〜194頁]、(2)はラブらの方法[R.M.LOV
E: J.Sci. Food Agric.,B,2
69−278(1962)]、(3)は希釈平板培養法
[(株)恒星社厚生閣、昭和49年10月15日発行、斎
藤恒行他編集、水産生物化学・食品学実験書、404頁
〜464頁]などが採用可能である。
【0018】それらのなかでも、鮮度の比較的高い魚類
を比較する際に指標として重要なものは、蛋白質のCa
−ATPase活性である。
【0019】このようにして測定したCa−ATPas
e活性の数値は単位をマイクロモル無機リン酸/分・m
g蛋白質で表示し、保存前の試料の測定値を100とし
て保存後の試料の測定値を保存前の試料に対する百分率
で表示したものであり、保存後の試料の蛋白質の変性度
が低い場合、即ち、鮮度が保たれている場合には大きな
数値を示す。
【0020】本発明でいう生食用魚類とは、刺身、酢の
物やぬたなどとして、生のままで食用に供し得る魚肉を
有するものを指し、スズキ目、サケ目、ニシン目、カサ
ゴ目、カレイ目、コイ目、メダカ目、タラ目、フグ目か
らなる群から選ばれる1種が挙げられる。
【0021】更に詳しくは、本発明でいう生食用魚類と
は、アジ科、カマス科、ニベ科、サバ科、タイ科、メカ
ジキ科、マカジキ科、キス科、サケ科、キュウリウオ
科、ニシン科、カタクチイワシ科、カサゴ科、カレイ
科、ヒラメ科、コイ科、ドジョウ科、サンマ科、タラ
科、カワハギ科、フグ科からなる群から選ばれる一種が
挙げられるが、具体的には、例えば、アジ、ブリ、カマ
ス、グチ、サバ、サワラ、マグロ、カツオ、タイ、カジ
キ、シロギス、アユ、サケ、シシャモ、イワシ、カジ
カ、カレイ、ヒラメ、コイ、ドジョウ、サンマ、タラ、
カワハギ、フグ等が挙げられる。
【0022】本発明に用いる生食用魚類の鮮度は、高い
方が好ましく、従来から生食用に供していた程度のもの
であれば問題が無いが、従来加熱用に販売していた程度
のものに本発明の方法を適用することは、予め微生物が
繁殖している場合もあり得るので、避けるのが無難であ
る。
【0023】また、魚類の内臓は、一般的に保存時の鮮
度保持に悪影響を及ぼす事が多いので、本発明の適用時
又はその前に除去しておくことが望ましい。
【0024】本発明に用いる塩化ナトリウムの種類や品
質には特別な制約は無く、通常の食用に供する種類や品
質であれば何れも有利に採用することができ、塩化ナト
リウムの形態についても格別の制約は無く、通常流通し
ている結晶性粉末の他、顆粒状、微粉末状、液状、成型
物固体などが何れも有利に採用可能である。
【0025】本発明に用いる糖アルコールの種類及び品
質は、医薬品、食品又は食品添加物として市販されてい
る程度の品質で十分であり、種類はソルビトール、ラク
チトール、マルチトール、還元澱粉糖化物、還元イソマ
ルトシルオリゴ糖、エリスリトール、キシリトール、キ
シロビトール、マンニトールからなる群から選ばれる1
種又は2種以上の組み合わせなどが例示できるが、何れ
も本発明に有利に採用可能であり、それらの中でも平均
分子量が比較的小さいものや、水に対する溶解度が高
く、結晶が出にくいもの、又は結晶が出にくい組み合わ
せ、市販の価格が低いものが更に有利に採用可能で、そ
のような性質を備えたものとしてはソルビトール、マル
チトール、還元澱粉加水分解物などが挙げられる。
【0026】本発明に用いる糖アルコールの濃度は、水
溶液全体の重量に対して5%〜40%の範囲が鮮度の保
持や透明感の維持などの本発明の効果を十分に発揮する
ことができて、更に経済性が高いこと、溶液の粘度が取
り扱い易い程度の高さであること、結晶を生成しにくい
ことなどの理由で好ましい。
【0027】また、本発明に用いる塩化ナトリウムの濃
度は、水溶液全体の重量に対して0.5%〜10%の範
囲が本発明の効果を十分に発揮することができて、更に
経済性が高いこと、温度が多少変化しても溶液が成分の
結晶を発生しない程度であることなどの理由で好まし
い。
【0028】前記の各々の濃度範囲の中でも、本発明を
実施する場合の塩化ナトリウムと糖アルコールとの濃度
の割合は、1:5〜1:30の範囲とすることが、塩味
と甘味とのバランスなどの点や、本発明の特徴であると
ころの、保存後の肉質のCa−ATPase活性が保存
前の肉質中の該酵素活性に対して70%以上に止めるう
えからも更に好ましいが、糖アルコールの濃度割合が前
記の範囲よりも少ない場合、即ち、塩化ナトリウムの濃
度割合が高い場合は、蛋白質の変性防止効果が不十分に
なることがあり、そのため保存後の肉質が、色が白く濁
ったものになってしまうこともある。
【0029】また、糖アルコールの濃度割合が前記の範
囲よりも多い場合、即ち、塩化ナトリウムの濃度割合が
少ない場合は、肉質が透明で軟らかい製品が得られるこ
とが多いが、甘味が強く成り過ぎることがあり、また、
液中の塩化ナトリウムが析出することがあるので、意図
した製造条件を実施することができない場合もある。
【0030】糖アルコールと塩化ナトリウムとの合計濃
度の範囲は5.5%〜50%が好ましく7%〜20%が
更に好ましいが、該合計濃度が5.5%よりも低い場合
は、液の成分が肉質中に十分に浸透せず、本発明の効果
が十分に発揮できないことがあるので好ましくない。
【0031】また、糖アルコールと塩化ナトリウムとの
合計濃度が50%を超えた場合には、製品の表面にベト
つきが残りがちで甘味が強すぎる場合があり、また、外
観も損ねるので商品価値が失われてしまうことがある。
【0032】このような濃度割合に調製した糖アルコー
ルと塩化ナトリウムとの混合液には、これらの2成分の
他に、味つけや風味つけのために甘味料、アミノ酸や核
酸系調味料、みりんなどの各種調味料、香辛料、リン酸
塩等、通常の乾燥畜肉に用いられる各種添加剤などを適
宜添加混合して用いることができるが、保存後の味を変
えることは通常本発明の目的にそぐわないので、あまり
味を変化させない程度に使用量を抑制することが好まし
い。
【0033】次に、本発明を実施する際の具体的な操作
について説明する。
【0034】まず、魚類を、糖アルコール5〜40重量
%、塩化ナトリウム0.5〜10重量%を含有する固形
分濃度5.5〜50重量%の水溶液に、浸漬するが、こ
のときの温度は0〜15℃の範囲にすることが必要であ
る。
【0035】浸漬温度が0℃未満の場合には、氷の結晶
が肉質中に生成したり、肉質の蛋白質が白く濁って商品
価値を減ずることがあるので好ましくなく、15℃を超
える場合には微生物の繁殖速度が加速度的に増大するこ
とが多く、且つ、肉質の変色が進行して褐色又は黒色を
帯びることがあるので好ましくない。
【0036】また、浸漬時間は肉質の種類や鮮度によっ
ても異なるが、1分間〜48時間が好ましく、それ以外
の条件は本発明の効果が十分に期待できなかったり、経
済的な観点や衛生上の観点から好ましくない。
【0037】更に、浸漬中の水溶液は特に撹拌するな
ど、特殊な操作は必要としないが、浸漬している間に液
を一度攪き混ぜるか、均一に水溶液に浸るように肉質を
裏返しする程度の操作を加えることも有利に採用でき
る。
【0038】次に、肉質を該浸漬水溶液から取り出し、
冷蔵するが、その際に採用する温度は−2〜10℃とす
ることが好ましい。
【0039】冷蔵時の温度が−2℃未満の場合には肉質
が凍結して冷凍変性などにより本発明の特徴が損なわれ
ることがあり、10℃を超えた条件で冷蔵した場合に
は、鮮度保持が困難であることが多い。
【0040】また、本発明の効果の一つである保存可能
な期間の延長については、保存条件や保存する動物の種
類によっても異なるが、従来は半日乃至三日程度保存で
きるだけであったものが、前記のような本発明の条件を
満たすことにより、おおよそ一週間〜二週間程度鮮度が
高い状態で保存することが可能になる。
【0041】以上のように、本発明を実施することによ
り、本発明の方法の優れた特徴である、保存後も鮮度の
高い魚肉を得ることが可能になり、更に具体的には、保
存後にも肉質のCa−ATPase活性値が高く、透明
度が高く、食感が良好であるなどの効果を得ることがで
きる。
【0042】また、このようにして保存した魚類から得
られた生食用魚肉は、刺身、酢の物などの生食用食品と
してそのまま食用に供することもできるし、本発明の効
果である新鮮で好ましい食感や色、透明感、食味等を生
かして二次的に利用すること、例えば、煮ることも、調
味料や食塩等を加え、必要に応じて乾燥した後保存する
ことも、軽く焼くことも、油ちょうなどの加工をするこ
とも有利にできる。
【0043】
【実施例】
【0044】以下に試験例、実施例を掲げて更に具体的
に本発明の方法を説明するが、本発明の技術的範囲は以
下の例に制限されるものではない。
【0045】また、以下の例において、%は特に断らな
い限り重量%を表わすものとする。
【0046】
【実施例1】
【0047】新鮮な生食用マダイ(スズキ目タイ科)の
内臓、頭、ヒレ部を除去し、三枚におろした魚肉5.5
kgを試料とし、その中から1kgを取って、(株)恒星
社厚生閣から昭和49年10月15日に発行された斎藤
恒行他編集の水産生物化学・食品学実験書の189頁〜
194頁に記載してある方法で保存前のマダイのCa−
ATPase活性を測定した。
【0048】筋原繊維蛋白質(Mf)の調製法について
以下に説明する。
【0049】温度を0〜5℃に調節した室内で試料の筋
肉部分100gを細かく砕き、その5gを30mlの緩
衝液[0.1モル 塩化カリウム(KCl)−20ミリ
モルトリス−ヒドロキシメチル−アミノメタン・マレイ
ン酸混合液(Tris(hydroxymethyl)
aminomethane maleate=Tris
maleate)]に入れ、毎分16,000回転の
撹拌で1分間ホモジナイズした後30秒間冷却する操作
を6回繰り返した。
【0050】次にホモジネートを毎分3,500回転の
速度で10分間遠心分離して沈殿を集めた。
【0051】更に、沈殿を60mlの前記緩衝液[最初
だけ該緩衝液に1%ポリオキシエチレン(10)オクチ
ルフェニルエーテル(Triton X−100)を添
加した]に溶き、撹拌して毎分3,500回転の速度で
10分間遠心分離して沈殿を集める操作を3回繰り返し
た後、得られた沈殿を20mlの前記緩衝液に溶いてホ
モジナイズし、前記緩衝液で40mlにメスアップして
から2枚重ねのガーゼでろ過してMfを得た。
【0052】次に、MfのCa−ATPase活性の測
定方法について以下に説明する。
【0053】0.1モル塩化カリウム、25ミリモルT
ris maleate(pH7.0)、5ミリモル塩
化カルシウム、1ミリモルアデノシン三リン酸及び0.
1〜0.3mg/mlMfの反応液を調製し、25℃で
反応させて生成した無機リン酸塩を、640nmで比色
定量(640nmでの吸光度=633×10-3/μmo
l 無機リン酸を適用)して、比活性(μmol 無機
リン酸/min・mg蛋白質)を求めた。
【0054】尚、Mf濃度は、該方法で調製したMf懸
濁液をビウレット法により測定した。
【0055】また、Ca−ATPase活性の測定に用
いた試料の残りを用いて保存前の試料の透明度を後述の
方法で測定した。
【0056】透明度の測定方法は、厚さ3mm、縦横1
0mm×45mmの試料片を分光光度計のセルに入れ、
最も薄い3mmの部分を光が通るようにセットして波長
320nmの吸光度を測定することにより実施した。
【0057】次に残りの試料を予め用意しておいた浸漬
液5kgに、5時間に一度天地返しをしながら温度4℃
で15時間浸漬し、浸漬後、試料を水切り用のステンレ
ス網カゴに取り、3分間水切りをした後、浸漬後の試料
5.2kgを得た。
【0058】用いた浸漬液の組成はソルビトール20%
(商品名、ソルビットWP、東和化成工業(株)製)、塩
化ナトリウム2%、水78%である。
【0059】浸漬後の試料全量を2℃に調節した冷蔵室
に10日間冷蔵した後、冷蔵保存後の試料5.2kgを
得た。
【0060】
【実施例2】
【0061】新鮮な生食用ブリ(スズキ目アジ科)3.
5kgを試料とし、その中から0.5kgを取って、実
施例1と同様に保存前の試料のCa−ATPase活性
を測定した。
【0062】次に残りの試料を実施例1と同じ組成の浸
漬液3kgに、5時間に一度液を軽く掻き混ぜながら温
度4℃で24時間浸漬し、浸漬後、試料を水切り用のス
テンレス網カゴに取り、3分間水切りをした後、浸漬後
の試料3.1kgを得た。
【0063】浸漬後の試料全量を4℃に調節した冷蔵室
に10日間冷蔵した後、冷蔵保存後の試料3.1kgを
得た。
【0064】
【実施例3】
【0065】新鮮な生食用マアジ(スズキ目アジ科)
2.5kgを試料とし、その中から0.5kgを取っ
て、実施例1と同様に保存前の試料のCa−ATPas
e活性を測定した。
【0066】次に残りの試料を浸漬液2kg[組成:還
元澱粉糖化物(商品名アマミール、東和化成工業(株)
製)20重量部、食塩2重量部、水84重量部]に、5
時間に一度液を軽く掻き混ぜながら温度2℃で10時間
浸漬し、浸漬後、試料を水切り用のステンレス網カゴに
取り、3分間水切りをした後、浸漬後の試料2.1kg
を得た。
【0067】浸漬後の全量を−1℃に調節した冷蔵室に
14日間冷蔵した後、冷蔵保存後の試料2.1kgを得
た。
【0068】
【実施例4】
【0069】試料としてスケソウダラ(タラ目タラ科)
3.5kgを用い、その中の0.5kgを取って実施例
1と同様に保存前の試料のCa−ATPase活性を測
定した。
【0070】次に残りの試料3.0kgを浸漬液3.0
kg[組成:還元澱粉糖化物(商品名ピーオー60、東
和化成工業(株)製)50重量部、食塩8重量部、水47
重量部]に、温度9℃で7時間浸漬し、浸漬後、試料を
水切り用のステンレス網カゴに取り、3分間水切りをし
た後、浸漬後の試料3.0kgを得た。
【0071】浸漬後の全量を7℃に調節した冷蔵室に1
0日間冷蔵した後、冷蔵保存後の試料3.0kgを得
た。
【0072】
【実施例5】
【0073】試料としてサケ(サケ目サケ科)の肉質
4.5kgを用い、その中の0.5kgを取って実施例
1と同様に保存前の試料のCa−ATPase活性を測
定した。
【0074】次に残りの試料4.0kgを浸漬液4.0
kg[組成:エリスリトール5重量部、食塩0.5重量
部、水94.5重量部]に、温度1℃で40時間浸漬
し、浸漬後、試料を水切り用のステンレス網カゴに取
り、3分間水切りをした後、浸漬後の試料4.3kgを
得た。
【0075】浸漬後の全量を5℃に調節した冷蔵室に1
2日間冷蔵した後、冷蔵保存後の試料4.3kgを得
た。
【0076】
【実施例6】
【0077】試料としてマイワシ(ニシン目ニシン科)
2.3kgを用い、その中の0.5kgを取って実施例
1と同様に保存前の試料のCa−ATPase活性を測
定した。
【0078】次に残りの試料1.8kgを浸漬液1.8
kg[組成:キシリトール35重量部、食塩6重量部、
水59重量部]に、温度5℃で20時間浸漬し、浸漬
後、試料を水切り用のステンレス網カゴに取り、3分間
水切りをした後、浸漬後の試料1.9kgを得た。
【0079】浸漬後の全量を5℃に調節した冷蔵室に7
日間冷蔵した後、冷蔵保存後の試料1.9kgを得た。
【0080】
【実施例7】
【0081】試料として新鮮なサワラ(スズキ目サバ
科)2.1kgを用い、その中の0.4kgを取って実
施例1と同様に保存前の試料のCa−ATPase活性
を測定した。
【0082】次に残りの試料サワラ1.7kgを浸漬液
1.7kg[組成:マルチトール(商品名:アマルティ
MR−20、東和化成工業(株)製)15重量部、食塩1
重量部、水84重量部]に、温度5℃で7時間浸漬し、
浸漬後、試料を水切り用のステンレス網カゴに取り、3
分間水切りをした後、浸漬後の試料1.8kgを得た。
【0083】浸漬後の全量を2℃に調節した冷蔵室に7
日間冷蔵した後、冷蔵保存後の試料1.8kgを得た。
【0084】
【比較例1】
【0085】浸漬液の組成をソルビトール2.5%、塩
化ナトリウム1.5%、水96%とした他は実施例1と
同じ試料5kgを同じ条件で浸漬操作を行った後、5.
6kgの浸漬後試料を得、その全量を実施例1と同じ条
件で保存操作した結果、5.6kgの保存後試料を得
た。
【0086】
【比較例2】
【0087】浸漬液の組成を還元澱粉糖化物(商品名ピ
ーオー60、東和化成工業(株)製)70重量部、食塩5
重量部、水25重量部]とし、浸漬温度を9℃、浸漬時
間を15時間とした他は実施例2と同じ試料同じ条件で
浸漬、水切り操作を行った後、2.9kgの浸漬後試料
を得、その全量を温度5℃で10日間冷蔵して2.9k
gの保存後試料を得た。
【0088】保存後試料は表面にベトつきが残ってお
り、口にしたときに甘さが強く感じられて、刺身等には
不適であった。
【0089】
【比較例3】
【0090】実施例3と同じマアジ2kgを試料とし、
浸漬液の組成を還元澱粉糖化物(商品名アマミール、東
和化成工業(株)製)40重量部、食塩15重量部、水4
5重量部]とし、浸漬温度を4℃、とした他は実施例3
と同じ条件で浸漬、水切り操作を行い、温度10℃で7
日間冷蔵室に保存した後、2kgの保存後試料を得た。
【0091】保存後試料は塩味が強く、刺身や酢の物の
材料としては不適であった。
【0092】
【比較例4】
【0093】実施例4と同じスケソウダラ5kgを試料
とし、実施例4と同じ温度で10日間冷蔵室に保存した
後、4.8kgの保存後試料を得たが、保存後試料の表
面及び表面近傍には肉質の縮みによるシワ及び離水した
痕跡が残っていた。
【0094】
【比較例5】
【0095】試料として実施例2と同様のブリを用い、
浸漬液の組成を還元澱粉糖化物(商品名ピーオー40、
東和化成工業(株)製)2.5%、塩化ナトリウム15
%、水82.5%とし、浸漬温度を4℃とした他は実施
例1と同じ条件で浸漬操作を行った後、水切りをし、
4.8kgの浸漬後試料を得、その全量を実施例1と同
じ条件で10日間保存操作した結果、4.8kgの保存
後試料を得た。
【0096】保存後試料は表面及びその近傍の肉質が乾
いたように縮み、塩味も強く、刺身等として用いるには
外観が著しく劣ったものであった。
【0097】
【比較試験−1】
【0098】各保存後試料のCa−ATPase活性の
測定結果(保存前を100%とした場合の保存後のCa
−ATPaseを%で表示したもの)を表1に示す。
【0099】
【表1】
【0100】
【比較試験−2】各試料の透明度
【0101】各実施例及び各比較例で調製した保存前及
び保存後の試料を用いて、試料の透明度を測定した結果
を表2に示す。
【0102】なお、表2内の数値は厚さ3mm、直径5
mmの円筒形の試料に波長720nmの光を当てたとき
の透過した光の率を表す。従って、数値が大きいと言う
ことは透明度が高いという意味を持つ。
【0103】
【表2】
【0104】
【比較試験−3】官能試験
【0105】各試料の保存前と保存後の甘味及び食感の
官能試験結果を表3に示す。
【0106】表3において、甘味は、口に入れた時に保
存前のサンプルよりも甘いと感じた場合を−値とし、0
に近い値が好ましい。
【0107】また、食感は保存前のサンプルを0とし、
シコシコ感が無いと感じた場合を−値とし、0に近い値
が好ましい。
【0108】
【表3】
【0109】
【発明の効果】
【0110】以上に説明した通り、本発明を実施するこ
とにより、生食用魚類の鮮度低下を抑制し、最大2週間
程度の保存後にも蛋白質の変性度が低い、即ち鮮度が高
い、且つ透明度の高い外観を有する生食用魚類を得るこ
とができるという優れた効果を得ることが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23B 4/00 - 5/06

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 糖アルコール5〜40重量%、塩化ナト
    リウム0.5〜10重量%を含有する固形分濃度5.5
    〜50重量%であって、塩化ナトリウムと糖アルコール
    との濃度の割合が1:5〜1:30の範囲とする水溶液
    に、生食用魚類を0〜15℃で1分間〜48時間浸漬し
    たのち、−2〜10℃の範囲で保存することを特徴とす
    る生食用魚類の鮮度保持方法。
  2. 【請求項2】 糖アルコールがソルビトール、ラクチト
    ール、マルチトール、還元澱粉糖化物、還元イソマルト
    シルオリゴ糖、エリスリトール、キシリトール、キシロ
    ビトール、マンニトールからなる群から選ばれる1種又
    は2種以上の組み合わせである請求項1記載の生食用魚
    類の鮮度保持方法。
  3. 【請求項3】 生食用魚類が、スズキ目、サケ目、ニシ
    ン目、カサゴ目、カレイ目、コイ目、メダカ目、タラ
    目、フグ目からなる群から選ばれる1種である請求項1
    又は2の何れかに記載の生食用魚類の鮮度保持方法。
  4. 【請求項4】 生食用魚類が、アジ科、カマス科、ニベ
    科、サバ科、タイ科、メカジキ科、マカジキ科、キス
    科、サケ科、キュウリウオ科、ニシン科、カタクチイワ
    シ科、カサゴ科、カレイ科、ヒラメ科、コイ科、ドジョ
    ウ科、サンマ科、タラ科、カワハギ科、フグ科からなる
    群から選ばれる1種である請求項1又は2の何れかに記
    載の生食用魚類の鮮度保持方法。
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