JP4764502B2 - プロセスの分析に必要な評価を行うための方法および装置 - Google Patents

プロセスの分析に必要な評価を行うための方法および装置 Download PDF

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Description

本発明は、製造、設計、加工及びプロセス工学に関する。一態様においては、本発明は、製造プロセスやその他各種プロセス等に関連する設計、加工、製造及び測定作業の少なくとも一つを容易にする方法、装置及びシステムに関する。一態様において、本発明は、仕様に則って製造されるあらゆる部品その他物品の設計、開発、加工、試作、品質認定、検証及び製造プロセスのあらゆるフェーズを容易にする、コンピュータソフトウェアアプリケーションにおいて実行される意思決定及び論理構造に関する。
プロセス工学を含む製造の世界は、品質向上とコスト削減という課題を絶えず抱えており、またそれに対する要求は益々高くなってきている。この傾向は、衰えるどころか益々加速する兆候を示している。製造に係る見地からは、品質は、(1)技術的設計目標を満たしているか又はそれに近い部品であって、(2)バラツキが最小となる部品を製造することに関与している。設計工学の分野もまた、品質向上とコスト削減という課題を絶えず抱えている。設計工学は、製造段階において(1)ターゲット(目標)を満たしている部品であって、(2)設計許容誤差限界範囲内にある部品の製造が可能となるような名目上の設計ターゲットを作成し、許容誤差限界を確立しなければならない。換言すれば、技術者は、形状、整合性及び機能に見合う物品を設計するのみならず、生産性を考慮して物品を設計しなければならない。
有益な結果をもたらす工学的法則及び物理的法則に依存するあらゆる製造工程や他の各種工程において、五つの基本要素がある(図1参照)。即ち、(1)製品を作製する工程(A)、(2)工程への入力(B)、(3)工程からの出力(C)、(4)工程出力に影響するよう調整された工程制御因子(D)、及び(5)工程に影響する制御されていない工程因子(E)(例えば、制御不能な因子、あるいは時間、コストその他要因のために制御されないままの因子であり、これらを総称して「ノイズ」と呼ぶ)である。
設計仕様に合致する部品又は他の構成部材などの物品を製造する従来の手法は、因果関係の検索に基づく論理的手法である。この手法は、一の工程に影響を与える因子全体を制御することが、その工程の出力全体を制御することになるという原理に基づいている。換言すれば、原因を制御できるなら、結果も制御できる。図2は、この従来技術の原理を示しており、係る原理の下で制御因子と出力特性(例えば製造される部品)との関係、繋がり、又は相関を決定する試みがなされている。
あいにく、多くの製造工程はブラックボックスの如く作用する。このようなブラックボックスの如く作用する場合においては、工程制御因子と得られる物品特性値との関係を決定することは困難である。更に、そのような決定が技術的に可能であっても、時間や経済的制約によってはそのような決定を非実用的(現実性がない)ものとし得る。
プラスチック射出成形はこのような場合の一例である。少なくとも22の制御因子があり、これらの制御設定が僅か二段階(温度の高低、圧力の高低など)しかなくとも、4百万を超える組合せが考えられる。実際、三段階の制御設定(高中低の設定)を考えると、何十億もの組合せが考えられる。更に、工程因子を変更すると、得られる物品特性に変動を与えることもあり、例えば、圧力設定を大きくすると、第一の物品特性は大きくなり、第二の物品特性は小さくなり、第三の物品特性には影響がでないことも有り得る。単純な相互作用、複雑な相互作用、あるいは非線形性などが事態を更に複雑にしている。更に、一の型に複数のキャビティがあるのが普通である。つまり、満たさなければならないおび
ただしい数の物品特性(寸法や性能やその他条件)がある。これら上述の点を考慮すると、多数の部品設計ターゲット、部品許容誤差限界、型設計特性及び射出成形プレスに関する設定から、許容可能な物品を製造できる要因の組合せを確立することは往々にして非常に困難である。
この点に関しては、多少の進歩がある。実験計画法(DOE:Design Of Experiments)によれば、選択された制御因子サブセットがその結果として得られる工程出力に与える影響を知るために実行されなければならない実験の数を大幅に減少することができる。あいにく、計画された実験を実行した後であっても、得られる物品に影響を与える可能性のある制御因子は未だ多数存在する。いずれの場合であっても、許容可能な物品が製造されていることを確かめるため、製造された部品について、供給者(サプライヤー)及びその顧客であるOEM(Original Equipment Manufacturer)によって膨大な(広範な)測定(計測)が行われている。
加えて、製造品質を向上させるには二つの主要な方法がある。第一の方法は、製造後の部品を測定し、その部品を仕様規格(設計ターゲットや許容誤差)と比較することである。これは、フィードバックを使用する「オンライン」工程である。通常、部品はある程度まで製造者及び顧客双方(例えば、OEM、第一段階製造者、第二段階製造者など)によって測定される。しかしながら、部品の測定やデータの記録及び分析や結果の報告は、非常に高コストであり、資源(人的資源や財源等)を消費する工程である。
品質向上のための試みとして、多くの製造業者は、統計的工程制御(SPC)技術や工程能力指数(PC:Process Capability)の検査・調査を利用し始めている。実際、多くの顧客は、サプライヤーがSPCやそれと同等の他の測定、記録、分析及び報告を行なうことを希望している。この技術によれば、製造ラインからサンプルが採取され、異常な(正常に分布していない)パターンやデータ点群が出現するかどうかを調べるために測定され分析される。そのような異常なデータ点群が検出されると、工程は「異常発生」(即ち、一定の予測される出力をもたらすことができない)とみなされ、製造が直ちに停止され工程が修理・調整される。製造された部品から得られた測定データは、高度なSPC統計学的方法と、専用コンピュータプログラムとして具現される作図ツールとを使用して分析される。殆どの部品が多くの異なる寸法を有するので、測定及びSPC分析は、各部品について多数の部品寸法に適用されるのが通常であり、製造に係る時間と費用が増大する。しかしながら、SPCは、許容し難い部品を出荷したり、許容し難い部品から許容可能な部品を分類したりすることに比べれば、長期的に見てそれほど高価ではない。
また製造業者(及びその顧客)にとって、(1)SPCを使用して、どれくらいの割合の寸法をモニターするのか、(2)全ての寸法をモニターしない場合、どの寸法を測定するのかを決定することが困難であった。通常、設計技師に「重要な(クリティカルな)」寸法と称されるもののうち全てではなくとも殆どが、SPC手法を用いて測定及び分析される。しかしながら、経済的制約によって、測定及び分析される寸法の数が所望数よりも少なくなる場合がある。従ってSPC又は他の分析のためにどの寸法を選択するかについては、当て推量(推測)が必要となることもしばしばである。
製造品質を向上させる第二の方法は、製造される物品における自然変動を減少させることである。工程制御因子を維持する確度を向上させたり、「ノイズ」因子を排除若しくは最小化したりできる。これは、フィードフォワードを使用する「オフライン」工程の改良である。多数の比較的小さな一般的変動原因が存在するので、自然変動を減少させることは高くつく提案でもある。製造される部品における自然変動を減少させるべき程度は、通常、高価な工程能力指数の検査を通じて決定され、通常は、「重要」寸法夫々について実行される。
前述の如く、当該分野においては、設計及び製造工程を容易にし、特に上記問題を解決する方法、装置及びシステムに対する需要が存在する。例えば、当該分野においては、例えば、SPC検査、PC検査、出荷検査及び荷受検査と関連して、上記測定、記録、分析及び報告工程に係る時間及び費用を削減しうる方法及びシステムに対する需要が存在する。当該分野においては、所望の出力を得るため工程への入力をどのように調整するかを決定する方法に対する需要が存在する。当該分野においては、所定工程においてどれだけ多くの物品特性(例えば寸法、性能測定など)を測定するかに関する決定を容易にする方法及びシステムに対する需要が存在する。最後に、当該分野においては、所定の工程に関し、どの物品特性を測定すべきかの評価を可能にする方法及びシステムに対する需要が存在する。以下更に詳細に説明するように、本発明の態様は実質的にこれら需要を満足する。
特開2001−185595号公報 特開2001−75611号公報 特開2001−1018号公報 特開2000−293566号公報 特開2000−252180号公報 特開2000−114338号公報 特開平11−29825号公報 特開平10−228312号公報
本発明は、製造及び他の工程に係る設計、製造及び/又は測定作業を容易にする方法、装置及びシステムを提供するものである。一態様において、本発明は、仕様に合わせて製造される任意の部品又は他の物品の設計、開発、加工、試作、品質認定、検証及び製造工程におけるあらゆるフェーズを容易にする、コンピュータソフトウェアアプリケーションにおいて実行される意思決定及び論理構造に関する。一態様において、本発明は、所定工程出力の多数の特性が、相互に、あるいは仕様限界や予備工程入力に対しどのように関係するかについての知識を提供する。この知識によって、製造前及び製造中両方において、測定、分析及び報告に係るコストの削減が容易になる。また、設計ターゲットを満たす製品を得るため、予備工程入力に必要とされる変化を決定できる。設計許容誤差を緩和する優先順位が提供される。仕様を満たす部品を製造する実現可能性が評価される。性能と生産性とのバランスが評価され、生産性を向上させる設計ターゲットが提供される。工程変動をいつ減少させるかについての決定が提供される。材料の比較及び選択が容易になる。工程技術者やオペレータに改良された操作ガイドラインが提供される。
尚、本出願は、“Manufacturing Design and Process Analysis System”の名称で2002年2月4日に出願された譲受人同一の米国特許出願第10/067,704号(係属中)の一部継続出願(CIP出願)であり、前記出願をここで参照することにより全面的に援用する。
本発明は、分析的手法を使用して、前記目的及び利点を達成する。以下説明するように、一態様において、分析的手法に変わって図式的手法を使用することも可能である。チャート、グラフ及びプロットを含む(但しこれらに限定されない)図式的技法を使用して、分析結果を表示することも可能である。本発明は、一態様において、どの物品特性をどのくらい測定すべきかの決定を可能にし、測定、記録、分析及び報告に係る費用及び資源消費を削減しうる強力な統計学的方法を採用するものである。また本発明の態様は、設計技師が生産性を考慮して物品を設計するのを補助するものである。また本発明の態様は、製
造時において、設計ターゲットを満たし且つ仕様許容誤差限界範囲内に収まることができるための、工程入力に必要な設計規格を修正するため、設計技師及び加工技術者に必要な重要情報を提供するよう構成することも可能である。また本発明の態様を採用すれば、システム工学的手法を使用して、どの物品特性が、最も厳しいターゲット及び仕様許容誤差限界を持つかを識別することも可能である。例えば、このような情報により、許容誤差を増加させるか否かの評価が可能になり、増加させるべき場合は、どの許容誤差をどの物品特性に対して増加させるかを見積もることができる。また本発明を採用すれば、実行すべきPC検査数を、場合によっては大幅に削減することにより、PC検査を実行する費用を減少させることができる。本発明の上記及び他の側面は、発明を実施するための最良の形態についての以下の説明により明らかとなる。
一態様において、本発明は、予測される物品特性と一又は複数の予測の判断材料となる物品特性(予測因子物品特性)との間の関係が、所望の目的(例えば、ターゲット仕様を満たす及び仕様許容誤差範囲内に収まるという2つの条件の少なくとも一方を満たす部品の製造)を達成するための工程能力にどのように反映するかについての理解及び分析を容易にする方法、装置及びシステムを提供する。一態様において、本発明は、一組のグラフ及び/又は表(制限表、オフセット表及び緩和表)を作成する工程分析システムを提供するものであり、それによりユーザは、見込まれる設計若しくは加工、又は予備工程における寸法若しくは工程変化に関して確固たる情報に基づく決定をなすため、物品特性間の関係を理解及び分析することが可能となる。以下、更に詳細に説明するように、予測因子特性と、一又は複数の所定の予測される物品特性との間の関係は、一般に、三つの考えうる状況のうちの一つに分類される。即ち、(1)予測因子特性に係る仕様限界外側の物品を製造することが可能な状況、(2)予測される物品特性が堅牢であり、常に仕様限界の内側にある状況、及び(3)予測される物品特性が、予測因子物品特性を抑制する状況、のいずれか一つに分類される。一態様において、本発明は、例えばどの予測される物品特性を安全に無視しうるのか、どの予測される物品特性が予測因子特性と比較して操作範囲を抑制するのか、どの予測される物品特性が設計仕様限界の外側にある物品を製造することになるのかを決定するため、予測因子特性と残りの物品特性との間の考えうる関係を分析する論理的手法を提供する。予測される物品特性の上記分類によって、ユーザ(例えば設計技師、加工技術者、プロセスエンジニア、検査者など)は、予測される物品特性夫々をどのように扱うかについて決定を下すことができる。例えば、欠陥(欠陥製品)を製造しうる場合、ユーザは、仕様許容誤差を緩和したり、予備工程入力を修正したり、工程因子を抑制したりすることを決定し得る。加えて、予測因子物品特性の採りうる値(少なくとも設計仕様限界を満たす値)全てについて、所定の予測される物品特性が堅牢であるなら(仕様範囲内にあるなら)、例えば予備的品質認証、品質認証、検証及び製造活動に関連する部品測定及び分析のような後工程作業中において、予測される物品特性を無視することができる。また本発明は、予測因子物品特性についての許容範囲を抑制する予測される物品特性の影響の分析を容易にする。以下更に詳細に説明するように、本発明により、ユーザは、所定設計仕様において求められる物品の生産性に対する、抑制的な予測される物品特性の影響や抑制の程度を考慮することができ、また設計仕様/要求を満たす出力を生成するため所定工程の適合性を評価することができる。以下更に詳細に説明するように、本発明態様は、例えば散布図、制限表、オフセット表及び緩和表など、製造及び他の工程に係る分析及び意思決定作業の一助となるグラフ、表及びチャートを作成する機能を有する。
製造工程及び他の工程に広く適用可能な工程フロー図である。 従来の工程制御技術の製造工程への適用に係る概念を示す工程フロー図である。 製造工程に適用された本発明に係る概念を示す工程フロー図である。 二つの物品特性間の回帰モデルを示す散布図である。 工程制御設定変更の工程出力への影響をモデル化した散布図である。 工程入力変更の効果を示す散布図である。 工程制御設定変更及び工程入力変更の組合せ効果を示す散布図である。 回帰モデルに係る予測区間を含む散布図である。 本発明一態様において使用された、物品特性データの入力を容易にするGUIを示す図である。 二つの物品特性についての単一線形回帰モデルを示す散布図である。 本発明における使用に好適なコンピュータハードウェアシステムの一態様を示す機能的ブロック図である。 本発明の一態様に係る概念を示す散布図である。 線形回帰モデル、予測区間、目標交差、並びに仕様上限及び仕様下限を含む散布図である。 予測因子特性についての操作ターゲット値及び許容操作範囲の決定を示す散布図である。 本発明の一態様に係るシステム構造図である。 本発明の一態様に係る方法を示すフローチャートである。 回帰モデルと関連する分析要素とをユーザに表示する方法を示すフローチャートである。 予測因子特性の選択を可能にする方法を示すフローチャートである。 複数の物品特性についての物品特性値、相関係数、及び各物品特性の予測可能性を示す値のセットを含むスプレッドシート表である。 相関係数表の作成を可能にする方法を示すフローチャートである。 一態様における本発明の使用に係る方法を示すフローチャートである。 本発明の一態様に係る制限表を示す図である。 本発明の一態様に係る、制限表を作成する方法を説明したフローチャートである。 予測因子特性と予測される特性とについての回帰モデルを示すグラフであり、回帰モデルに係る境界値を含んでいる。 予測因子特性と予測される特性との間の回帰モデルを示すグラフであり、欠陥状態が存在しうる各種状況を示している。 予測因子特性と予測される特性との間の回帰モデルを示すグラフであり、欠陥状態が存在しうる各種状況を示している。 予測因子特性と予測される特性との間の回帰モデルを示すグラフであり、欠陥状態が存在しうる各種状況を示している。 予測因子特性と予測される特性との間の回帰モデルを示すグラフであり、欠陥状態が存在しうる各種状況を示している。 予測因子特性と予測される特性との間の回帰モデルを示すグラフであり、欠陥状態が存在しうる各種状況を示している。 予測因子特性と予測される特性との間の回帰モデルを示すグラフであり、欠陥状態が存在しうる各種状況を示している。 予測因子特性と予測される特性との間の回帰モデルを示すグラフであり、欠陥状態が存在しうる各種状況を示している。 予測因子特性と予測される特性との間の回帰モデルを示すグラフであり、予測される特性が、予測される特性の仕様上限及び仕様下限内で堅牢である各種状況を示している。 予測因子特性と予測される特性との間の回帰モデルを示すグラフであり、予測される特性が、予測される特性の仕様上限及び仕様下限内で堅牢である各種状況を示している。 仕様限界内にある部品を製造するため、上限、下限又はその両方の予測境界が、最小許容予測因子特性値及び最大許容予測因子特性値の少なくとも一方を抑制している各種状況における回帰モデルを示すグラフである。 仕様限界内にある部品を製造するため、上限、下限又はその両方の予測境界が、最小許容予測因子特性値及び最大許容予測因子特性値の少なくとも一方を抑制している各種状況における回帰モデルを示すグラフである。 仕様限界内にある部品を製造するため、上限、下限又はその両方の予測境界が、最小許容予測因子特性値及び最大許容予測因子特性値の少なくとも一方を抑制している各種状況における回帰モデルを示すグラフである。 仕様限界内にある部品を製造するため、上限、下限又はその両方の予測境界が、最小許容予測因子特性値及び最大許容予測因子特性値の少なくとも一方を抑制している各種状況における回帰モデルを示すグラフである。 仕様限界内にある部品を製造するため、上限、下限又はその両方の予測境界が、最小許容予測因子特性値及び最大許容予測因子特性値の少なくとも一方を抑制している各種状況における回帰モデルを示すグラフである。 仕様限界内にある部品を製造するため、上限、下限又はその両方の予測境界が、最小許容予測因子特性値及び最大許容予測因子特性値の少なくとも一方を抑制している各種状況における回帰モデルを示すグラフである。 本発明の一態様に係るオフセット表を作成する方法を示すフローチャートである。 本発明の一態様に係るオフセット表である。 本発明の一態様に係る緩和表の作成に係る工程全体を示すフローチャートである。 本発明の一態様によって作成された緩和表である。 予測される特性の仕様上限及び仕様下限の一方又は双方を緩和して得られる新しい仕様限界を決定し、その結果、仕様限界内の部品を製造するために必要とされる最小予測因子特性値及び最大予測因子特性値の少なくとも一方を決定する方法を示すフローチャートである。 予測される特性の仕様上限及び仕様下限を緩和することによるPmaxの増加とPminの減少とを示すグラフである。 予測される特性の仕様上限及び仕様下限を緩和することによるPmaxの増加とPminの減少とを示すグラフである。 予測される特性の仕様上限及び仕様下限を緩和することによるPmaxの増加とPminの減少とを示すグラフである。 予測される特性の仕様上限及び仕様下限を緩和することによるPmaxの増加とPminの減少とを示すグラフである。 コンプライアンス領域、回帰領域、区切られた回帰領域、並びに、コンプライアンス領域と区切られた回帰領域との比較を示すグラフである。 コンプライアンス領域、回帰領域、区切られた回帰領域、並びに、コンプライアンス領域と区切られた回帰領域との比較を示すグラフである。 コンプライアンス領域、回帰領域、区切られた回帰領域、並びに、コンプライアンス領域と区切られた回帰領域との比較を示すグラフである。 コンプライアンス領域、回帰領域、区切られた回帰領域、並びに、コンプライアンス領域と区切られた回帰領域との比較を示すグラフである。
1. 背景及び動作原理
A. 原理及び概念
本発明は、新規な設計及び製造プロセス分析システムを提供するために、複数の物品特性の間の関係を分析する目的で、幾つかのグラフィック的手法、統計学的手法及び数学的手法を利用する。とりわけ、散布図、相関係数、決定係数、線形、非線形及び多変量回帰
、予測区間、調整予測区間、回帰を利用する予測、予測区間を利用する予測、DOE、平均並びに加重平均がこれらに含まれる。図3は、本発明の一側面が従来技術とどのように異なるかを示す工程図である。多様な製造工程において、とりわけ射出成形において、ある特定工程から得られる複数の物品特性には往々にして強い関連がある。本発明は、このような関係の統計学的な強度を評価し、それらが十分に強い場合は、それらの存在を十分に利用して、製造工程に関連した多様な設計、製造及び測定作業を容易にしている。
図2で例示される従来技術と、図3で例示される本発明との差を理解するには、図3において最も顕著な点が部品特性同士の関係である点に注目すべきである。射出成形分野において、図3における異なる出力(#1、#2等)とは、典型的には異なる部品寸法のことである。本発明において、異なる部品特性は寸法に限定されず、如何なる部品属性であってもよい。加えて、異なる部品特性は、マルチキャビティ成形の一サイクルにおいて製造された異なる部品間では実際同一寸法となる場合を含む。
図4は、前述の二つの物品特性間の関係を散布図として示すグラフである。ある形態において、図4は、予測因子特性と予測される特性との間の関係を示している。以下に説明するように、回帰モデル作成に使用されるデータ点群は、少なくとも二つの異なる方法を利用して典型的に作成される。
第一の方法は、プロセス設定に対して変更が加えられることなく部品を生成することからなる。これは、概ね通常の製造工程に対応している。全工程は、制御因子、環境条件、磨耗及び裂け、その他多くの因子の変動に影響される。工程へのこのような影響は、工程出力の自然変動を引き起こす。その後、この方法による工程出力が測定される。この方法における問題の一つは、他のあらゆる工程と同様、測定工程自身が測定誤差を招く変動源を有していることである。部品特性における自然変動の大きさが、測定誤差に比べて小さければ、その測定誤差はその自然変動を呑みこむ。この場合、統計学的に有意な相関は部品特性間に確立されそうにない。
典型的に射出成形は、典型的な測定誤差に比べて、比較的小さな自然変動を有する。結局、相関評価に関し、第一の方法により射出成形部品を作製することは、非生産的である。結局、射出成形部品に関しては、部品を作製する第二の方法が、より適している。しかしながら、上記方法を使用するために、他の工程で十分な自然変動を出すようにしてもよい。
第二の方法によれば、部品特性の変動が誘発される。射出成形の場合、工程制御設定を意図的に変化させることによって変動が誘発される。この方法によれば、部品特性値の変動は、測定誤差に比べて大きくなる。相関は、それが存在する限りにおいては、顕著になる。
前述の如く、DOEは、管理しきれない多数の実験条件を、管理できる程度の幾つかの実験条件にまで減少させるのに役立つ一方法である。射出成形分野において変動は必ず生じるので、効率的な実験を設計するのにDOE技法を使用する実益がある。データを効率的に分析し、その分析結果を報告する商業的に入手可能なコンピュータアプリケーションがあることにも、この方法を使用する実益がある。このように、DOEを使用する製品による利点の一つは、一の実験的稼動から有用な情報を抽出しうることである。とりわけ、得られる出力としての部品特性に顕著に影響を与えるために使用され得る少なくとも一つの工程制御設定を識別することが通常可能である。DOEから得られる情報は、以下に説明するように、回帰モデルに則って部品特性値の結合動作点に所望の変化をもたらすよう、一の工程制御設定を調整するために使用され得るという実益がある。
第二の利点は、DOEの使用と関連する効率的な測定と何ら連携していない一の実験において変動を誘発することである。この第二の利点は、本発明が、一態様において、部品特性に大きく影響する工程制御設定を識別することにある。本発明は、一部において、射出成形プレス技術者の経験や、それに関連して、前記の大きな影響(ハイインパクト)を持つ制御設定を選択する製造及び工程要員の経験に拠るところがある。射出成形においては、プレス設定への変更を最小化することが通例であることに注目すべきである。対して、本発明は、更なる分析のために、部品変動を誘発する目的でプレス設定への変更の影響を最大化しようとするものである。換言すれば、変動を誘発する目的で、本発明は、「最悪な」制御設定を見つけようとするものである。製品という観点からは「最悪な」制御設定は、変動の誘発という観点からは「最善な」制御設定になる。
前述のように、射出成形分野には、多数の(典型的には22以上の)工程制御設定が存在する。本発明は、一態様において、高い効果を奏し得るプレス制御を識別するため、「科学的」又は「分離成形(decoupled molding)」原理を取り入れている。DOEを使用する場合、「科学的」又は「分離成形」原理を利用することは不要であるが、補足的な識別という利点を提供しうるものである。このように、実験的稼動において幾つかの(典型的には3乃至5)の高い効果を奏し得る制御設定が変更されると、部品特性において大量の変動が誘発される。この変動には2種類ある。第一は、回帰線沿いの結合動作点の変移である。第二は、回帰線に関してデータ点群の分散が誘発される場合である。堅牢な予測のための回帰モデルを得るには堅牢なデータ群を作成することが重要である。
最後に、DOE技術を使用することによって付加的な情報が得られる。具体的には、部品変動を誘発するためにDOE技術を使用することにより、変更される工程制御因子がどのように部品特性に影響を与えるのか、また潜在的に、これら制御因子が相互にどのように作用するのかを理解することができる。
前述のように、多数の制御因子、潜在的な多数の部品特性、単純な相互作用、複雑な相互作用、非線形性その他作用効果等を含む幾つかの理由により、射出成形制御設定と部品特性との間に関係を確立することは困難である。この発明の大きな実益の一つは、ある部品特性に影響を与える多数の工程制御因子があり、それらの変化が任意の一つの部品特性に対して非常に複雑な態様で影響を与える場合でも、これら因子の変動が、予測因子特性と少なくとも一つの残りの物品特性との間の関係に対し、予測可能な作用効果を呈することにある。従って、以下更に詳細に示すように、本発明方法及びシステムによれば、設計技術者及び工程オペレータは、予測因子特性の値に基づいて、一又は複数の予測された特性が設計仕様に適合するか否かを決定することができる。加えて、本発明方法及びシステムによれば、設計技術者及び工程オペレータは、予測された特性に注目することにより、設計仕様に適合するよう工程出力を調整することができる。上記及び他の利点は、以下の説明により明らかとなる。
図4の回帰モデルは、全てのデータ点群が直線状にある二因子間の直線関係を仮定しているが、現実世界では完全な相関は稀なので完全な線形モデルはめったに得られない。図10は、散布図におけるデータ点群の分散を示している。データ点群は分散しているが、それらは同時に強い傾向又は関係を示している。換言すれば、二つの因子の一方の値を知ることにより、比較的高い確度で他方の因子を予測することが可能となる。本発明に当てはめると、予測因子特性の値を知ることにより、予測された物品特性の値をかなり正確に知ることができる。実際、データ点群間のバラツキは、多数の因子によって引き起こされる。例えば、一般的なノイズによって引き起こされる変動、制御因子の一般的なバラツキ、工程入力の一般的な変動、並びに部品特性の測定に使用される測定システムの一般的な変動などがある。また図10は、回帰モデルの画定に典型的に使用される二つのパラメータを示している。それは回帰線の傾きとY切片であるが、他のパラメータも使用可能であ
る。また図10に示される例は、線形回帰モデルを示している。しかしながら、本発明は、線形モデルの使用に限定されない。例えば多変量モデルのような非線形回帰モデルも本発明において使用可能である。
図8は、回帰モデルに対して上限予測区間及び下限予測区間を付加的に示している。自然変動及び測定誤差が含まれるとき、予測区間で区切られた領域は、x軸及びy軸に関して、工程出力の実現可能領域を表している。換言すれば、工程のあらゆる複雑さは区切られた実現可能な出力領域として現れるため、工程のあらゆる複雑さが「排除」されている。「排除」された複雑さには、前記工程制御因子の単純相互作用、複雑相互作用、非線形性等が含まれる。
この様式における工程出力を分析することによって、設計及び製造工程を容易にする多様な有益情報がもたらされる。例えば、図4などは、予測因子特性としての設計ターゲットと予測される特性との間の交差も示している。ターゲット交差位置により、設計技術者や工程オペレータは多くの有益情報を得ることができ、図4の場合においては、どのように工程制御設定を変更しようともターゲット交差と交わることは不可能であることが分かる。
教訓的な目的で、発明を実施するための最良の形態は、本発明の一態様を射出成形工程へ適用する場合について主として詳述している。しかしながら、本発明は、例えば鍍金(プレーティング)、半導体製造、機械加工、並びに、材料が加えられ、抽出され、あるいはその構造又は形態が変更される任意の他の方法など、多様な製造工程へ適用可能である。加えて、本発明を適用して、製造物品の設計、物品製造工程の開発、及び/又は製造コスト削減を容易にすることができる。更に、本出願は、単独物品(スタンドアローンな物品)のみならず、組合せ部品、要素又は部材としての物品など、多様な物品に適用可能である。従って、ここの説明においては、「物品」及び「部品」について互換可能に言及している。
本発明は、プレス制御設定の変化によって引き起こされる変動以外の他の変動源の影響の分析にも適用可能である。事実上、部品特性値に十分な変動をもたらすものであれば、あらゆる変動源を分析することができる。例えば、セットアップ変動効果の測定、射出成形におけるプレス変動効果の測定、季節効果の影響のような温度効果の測定、並びに、異なる種類の原料の影響の分析、原料又は部材を異なるサプライヤーから購入する影響の分析などを挙げることができる。
加えて、本発明の態様は、例えばパーソナルコンピュータなど、多様な数学的統計学的計算を行なう演算装置を使用することなく実施可能である。物品特性の数が少なければ、手書き及びスプレッドシートの少なくとも一方により、あらゆる分析やグラフ化を行なうことができる。しかしながら、好適な一態様においては、大量のデータと計算条件とが与えられるため、本発明に係る多様な動作は、ここに記載する動作を実行し、得られるデータをユーザインタフェースディスプレイに表示するよう構成されている演算装置によって実行される。
B.システム構成例
図15は、本発明一態様に係るシステム構成を示す簡略化ブロック図である。図2に示すように、システム構成は、工程分析アプリケーション100とオペレーティングシステム130とを備えてなる。工程分析システム100は、データ入力モジュール102、回帰モジュール104、相関モジュール106、表示モジュール108及びインタフェースアプリケーションモジュール110を備えてなる。データ入力モジュール102は、物品特性データを受け取り、工程分析システム100に係る他のモジュールによる動作に好適
な形式に該データをフォーマットし且つ保存する機能を有する。回帰モジュール104は、一連の入力が与えられると、回帰モデルを計算する機能を有する。相関モジュール106は、後に更に詳述する物品特性間の相関に関連する動作を実行する機能を有する。表示モジュール108は、一態様において、与えられたデータ群並びに後に詳述する他のデータ要素に関して回帰及び/又は相関関係グラフィック表示を作成する機能を有する。インタフェースアプリケーションモジュール110は、ユーザから受け取ったコマンドを基づいて、工程分析システム100に係る他のモジュールの動作を調和させる機能を有する。
一態様において、上記システム構成は、図11のコンピュータハードウェアシステム800と連携して機能する。オペレーティングシステム130は、工程分析アプリケーション100並びに他のアプリケーション(非図示)に対するデータの入出力など、コンピュータハードウェアシステム800の動作を管理及び制御する。オペレーティングシステム130は、システムにおいて実行されるソフトウェアアプリケーションとユーザとの間に、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)のようなインタフェースを提供する。本発明一態様によれば、オペレーティングシステム130は、ワシントン州レドモンドのマイクロソフト(登録商標)社から入手可能なWindows95/98/NT/XP(登録商標)オペレーティングシステムである。しかしながら、本発明は、例えばカリフォルニア州クパチーノのアップルコンピュータ社から入手可能なアップルマッキントッシュ(登録商標)オペレーティングシステム、あるいはUNIX(登録商標)オペレーティングシステム、LINUX(登録商標)オペレーティングシステムなどのような他の従来オペレーティングシステムと共に利用してもよい。
図11は、本発明と共に用いるのに好適なコンピュータハードウェアシステムの一態様を示している。図示の態様において、ハードウェアシステム800は、図示の如く互いに接続されたプロセッサ802とキャッシュメモリ804とを有している。更に、ハードウェアシステム800は、高性能I/O(入出力)バス806と、標準I/Oバス808とを有している。ホストブリッジ810は、プロセッサ802と高性能I/Oバス806とを連結し、I/Oバスブリッジ812は高性能I/Oバス806と標準I/Oバス808とを互いに接続し、高性能I/Oバス806には、ネットワーク/コミュニケーションインタフェース824、システムメモリ814及びビデオメモリ816が接続されている。またディスプレイ装置818はビデオメモリ816に接続されている。標準I/Oバス808には、マスストレージ(ストレージ装置)820、キーボード・印刷装置822並びにI/Oポート826が接続されている。総括して、これら要素は、広範なカテゴリにおけるコンピュータハードウェアシステムを示すものであり、例えばカリフォルニア州サンタクララのインテル(登録商標)社によって製造されたペンティアム(登録商標)プロセッサや、他の好適なプロセッサを基調にした汎用コンピュータシステムが含まれるがこれらに限定されない。
コンピュータハードウェアシステム800の要素は、当該分野において知られた従来の機能を実行する。特に、ネットワーク/コミュニケーションインタフェース824は、システム800と、例えばイーサネット(Ethernet:登録商標)、トークンリング(token ring)、インターネット(Internet)など、広範な任意の従来ネットワークとの間で通信を行なうために使用される。マスストレージ820は、データ並びにシステムコントローラで実行される上記機能を実行するプログラム指令を常時保存するために使用され、システムメモリ814は、プロセッサ802による動作がなされるときに、データ及びプログラム指令を一時的に保存するために使用される。I/Oポート826は、一又は複数のシリアル通信ポート及び一又は複数のパラレル通信ポートの少なくとも一つであり、例えばハードウェアシステム800に接続された付加的な周辺装置間で通信を行なうために使用される。
ハードウェアシステム800は、多様なシステム構成を含んでいてもよく、ハードウェ
アシステム800の多様な構成部品を再構築してもよい。例えば、キャッシュメモリ804は、プロセッサ802と共にチップ上に実装されていてもよい(オンチップでもよい)。あるいは、キャッシュメモリ804及びプロセッサ802は、「プロセッサモジュール」として一緒にパッキングされていてもよく、その場合、プロセッサ802は「プロセッサ核」と称される。更に、本発明のある実装は、上記構成部品の全てを必要とせず含まないものであってもよい。例えば、標準I/Oバス808に接続された周辺装置は、高性能I/Oバス806に接続されてもよく、また幾つかの実装においては、単一のバスが該バスに接続されたハードウェア800の構成部品と共に存在していてもよい。更に、付加的なプロセッサ、記憶装置又はメモリなど、付加的な構成部品がハードウェアシステム800に含まれていてもよい。
一態様において、本発明要素は、図11のハードウェアによって実行される一連のソフトウェアルーティンとして実現される。このようなソフトウェアルーティンは、プロセッサ802のようなハードウェアシステム内のプロセッサによって実行される複数又は一連の指令からなる。まず、一連の指令が、マスストレージ820のような記憶装置に保存される。しかしながら、一連の指令は、例えばディスケット、CD-ROM、ROMなど、任意の従来記録媒体に保存することもできる。更に、一連の指令はその場所で保存する必要はなく、例えばネットワーク上のサーバーなど、ネットワーク/通信インタフェース824を介して遠隔位置にある記憶装置から受信することも可能である。指令は、マスストレージ824のような記憶装置からメモリ814にコピーされ、プロセッサ802がそれにアクセスし実行する。一態様において、このようなソフトウェアルーティンはC++プログラム言語で記述され、マスストレージ820上にコンパイルされた形で保存される。しかしながら、このようなルーティンは、Visual Basic(登録商標)やJava(登録商標)など、多様なプログラム言語のうち任意のもので実行されてもよい。代替態様において、本発明は、独立したハードウェア又はファームウェアにおいて実行される。例えば、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)に、上記本発明の機能をプログラムすることも可能である。
II. 代表的態様の動作
A. 複数の物品特性に関して変動幅を有する物品群の作製
上記の如く、本発明は、物品特性に関してある変動幅を有する物品群に関連する物品特性間の関係を評価するものである。本発明の一態様によれば、ユーザは、所定工程に従って、複数の物品特性に関してある変動幅を有する部品群を作製する。例えば、ユーザは、射出成形工具を射出成形装置に取り付けて、物品群を製造してもよい。その後、物品群あるいはそれらのサンプルは、所望の物品特性に関し、測定又は検査若しくは評価される。得られるデータ群は記録され(例えばExcel(登録商標)スプレッドシート表に記録され)、以降の分析に使用される。
様々な物品特性を測定及び分析することができる。例えば、測定又は決定される物品特性は、物品の寸法(例えば物品又はその所定部分の長さ、高さ、幅、周囲、全体直径など)、硬度、空隙率、曲がり、滑らかさ、ボイド特性(ボイドが存在するか否か、またボイドの数)、色、強度、重量、その他ノズルの噴射パターンや液圧レストリクタを介した流量のような性能特性などの物品特性を含む。
上記の如く、本発明は、物品特性の変動が自然に発生するか又は物品を製造する工程に関連する工程制御因子を変化させることによって誘発される物品群に対して適用可能である。工程制御設定を変化させることなく物品が製造されるとき、得られる物品特性には自然変動は殆ど生じないのが普通である。これは射出成形プラスチック部品において特にあてはまる。測定誤差はあいまいであったり、所定物品群から得られる自然変動の信頼性を低下させたりする。より正確な測定機器を使用する費用効果が高くないなら、工程設定を
変更することにより部品に変動を誘発させるべきである。従って、好適な一態様において、測定誤差が部品の自然変動に比べて大きい場合、物品の変動が誘発される。
A.1. 変動の誘発
物品の変動は、オペレータの経験に基づいてプレス設定を選択及び変更することによって誘発することができる。即ち、オペレータは、その経験を生かして、どの工程設定を変更して部品変動を誘発するかを決定することができる。好適な態様で変動を誘発するために、技術者は製造工程の間、工程設定を変更し、測定用の部品を選択する前に設定変更間で工程が落ち着く(均衡する)ようにする。加えて、該方法の好適な一態様において、オペレータは、対象とする物品特性に最大変動を誘発する工程設定群(工程設定セット)又は小群(工程設定サブセット)を選択する。好適な一態様においては、工程設備又は工具を損なうことなく部品を製造できるような、工程設定の仕様上限及び下限が選択される。更に、好適な一態様において、対象とする物品特性夫々についてその物品特性上限と下限との間の範囲一杯に変動を誘発するように、工程設定の変化の大きさが選択される。
射出成形に関し、一態様において、科学的/分離成形技術を使用して、工程制御設定を選択及び変更することにより部品の変動を誘発してもよい。科学的/分離成形技術は、多数のプレス設定を三又は四の主要因子にまで減少させる方法を提供する。更に、科学的/分離成形技術を、成形プレスオペレータの経験と併用して、どのプレス設定を変更すべきかを決定することができる。好適な一態様において、製造された物品群は、工程制御因子群それぞれにおける十分な数の繰り返しによって得られる物品からなる。
好適な一態様においては、DOE(Design of Experiments:実験計画法)を採用して、変動幅を有する物品群を作製する。DOEは、どの工程設定を変更させるかの決定がオペレータの経験を使用してなされるか、科学的/分離成形原理を使用してなされるか、それらの組合せによってなされるかに拘わらず使用することができる。DOEは、比較的少ない実験労力で最大量の情報を引き出しうる効率的な実験条件を画定する。どのプレス設定を変更するか決まると、DOEは比較的少ない実験労力で最大量の情報を引き出しうる効率的な実験条件を画定する。これは、実験計画法(例えば、工程設定の組合せ、個々の組合せにおける繰り返し数など)と、データ解析との両方に適用される。広範な種類の公知DOE技術及び入手可能なソフトウェアツールを使用して、部品の変動を誘発する実験計画を実行することができる。
以下更に詳細に示すように、分析用物品群の製造にDOEを使用することによって、付加的情報がもたらされるが、本発明に係る分析後にこの情報を使用して、所定の物品出力をターゲットに近づけ、物品における変動を減少させることができる。例えば、そのような情報によって、オペレータはプレス設定を調整して、製造中以下の少なくとも一つを達成することができる。即ち、(1)製品出力のターゲットへの移動、(2)製品の変動の最小化、(3)コストの最小化、及び(4)プレスサイクル時間の最小化である。
A.2. 物品特性値の取得
一態様において、ここに記載する機能を実行するよう構成された演算装置(例えば特定用途又は一般用途のコンピュータ)によって本発明は実現される。所定物品群が製造され、物品特性が測定された後、データ入力モジュール102を実現する好適に構成された演算装置は、好適な形式で、物品群に係る物品特性値群を取得し(受け取り)、それらをメモリに保存する。
図9は、ユーザが、物品特性値群を入力することができる本発明の一態様に係るGUIを示している。図9が示すように、本発明の一態様によれば、ユーザは、データ入力データベースを開いて、物品特性群をテーブルに手動で入力することができる。しかしながら、一
態様によれば、ユーザは、例えばエクセル(登録商標)スプレッドシートテーブルやその他好適な任意のファイル形式などの各種ファイル形式で保存された物品特性値データをインポートすることができる。ある形式においては、データ入力モジュール102は、例えばブランクセルのチェックやその他確認方法など、データ群を確認する機能を更に有する。
加えて、以下説明するように、データ入力モジュール102は、本発明の態様における動作に係る他のデータを取得する機能を有する。例えば、データ入力モジュール102は、物品特性の全て又はその小群(サブセット)について、仕様上限及び下限のみならず、ターゲット値を取得する機能を有する。一態様においては、このようなデータを使用することにより、ユーザは、所定の工程入力群について、工程出力と設計仕様との関係を評価することができる。
B. 物品特性間の関係の評価
物品群に係る物品特性間の関係を評価するために、一態様においては、工程分析アプリケーション100は、それぞれが一対の物品特性に基づく散布図群を作成する。図10を参照のこと。散布図群は、物品特性のあらゆる可能な組合せを示すことができ、あるいは、このあらゆる可能な組合せの小群で構成することも可能である。
一態様において、表示モジュール108は、ディスプレイ装置818に表示する散布図を含むグラフ表示を作成し、これによりユーザは物品特性間の相関の程度を視覚的に評価できる。図10を参照のこと。一態様において、ディスプレイ装置818に表示されるGUIによって、ユーザはキーボード及びポインティング装置822を使用してx軸用に第一物品特性を選択でき、続いて、該第一物品特性とy軸上の残りの物品特性とに基づく散布図を見ることができる。ユーザはこの視覚的検査によって収集された情報を使用して、第一特性が残りの物品特性(以下参照)に対し十分な予測因子となりうるかを評価することができる。
B.1. 物品特性間における回帰モデルの決定
工程分析システム100は、選択された物品特性間の回帰モデルを決定する機能を有する回帰モジュール104も含んでいる。上記の如く、表示モジュール108は、回帰モデルのグラフ表示を作成し、それをディルプレイ装置818に表示する機能を有する。図10を参照のこと。図10に示すように、回帰モデルは、その下のデータ点群と共に(或いは、オプションとしてデータ点群を省略して)プロットされて表示されてもよい。好適な一態様において、回帰モジュール104は、「最小二乗」曲線近似法を使用して回帰モデルを計算する。しかしながら、他の方法も使用可能である。各図面は線形回帰モデルを示しているが、回帰モデルは、線形でも非線形(高次多項式)でも多変量でもよい。
このような二つの物品特性間の関係の表示は、工程技術者、設計技術者その他当該物品の設計及び製造に携わる者に有益な情報をもたらす。回帰線の傾き(急勾配)を利用して、工程設定の変化に比較的影響を受け易い物品特性を決定することができる。加えて、回帰線の傾き(急勾配)を利用して、仕様限界を考慮する際に、工程設定の許容範囲に対しより制限的になる(より影響を受け易い)物品特性を識別することができる(以下参照)。
B.1.a ターゲット交差の決定
上記の如く、物品の設計は一般に、物品特性それぞれについて(もしくは少なくとも主要な物品特性について)、仕様上限及び仕様下限と共に、ターゲット値に帰着する。一態様において、工程分析システム100は、対応する回帰モデルに係る一対の物品特性について、ターゲット値の交差を決定する機能を有する。図4は、第一特性(予測因子、以下
参照)及び第二物品特性に係る回帰モデルに対して、ターゲット交差(の位置)が決定される代表的な回帰モデル表示を示している。
図4に示すように、ターゲット交差の位置の決定によって、夫々の物品特性について、回帰線がターゲット交差からずれる方向及び大きさの視覚的決定及び解析的決定の少なくとも一方が可能になる。更に、回帰モデルは本質的に工程設定のあらゆる可能な組合せ(例えば成形キャビティ寸法の変更などの工程入力を変更せず)を示しているので、得られるグラフによって、ターゲット値を満たす所定対の物品特性を有する部品を製造することが可能であるか否かを決定することが可能になる。
加えて、図5及び図6に示すように、図4から得られる情報は、出力を設計ターゲットに近づけるよう工程の一側面(例えば工程入力又は制御設定)を変更する工程を容易にする。例えば、図5に示すように、オペレータは、その結合動作点を、回帰モデルに沿って所望の点に近づけるよう、工程制御設定の組合せを変更できる。本発明の一態様においては、工程制御設定を変更して、二つ以上の物品特性の結合動作点を最適化することができる。加えて、工程入力を変更して、回帰線をターゲット交差により近い位置に移動させることができ、あるいは、回帰線がターゲット交差を通過するような位置に回帰線を移動させることができる。図6参照のこと。本発明の一態様において、工程入力を変更して、一つ以上の回帰線の位置を最適化することができる。最後に、図7に示すように、工程制御設定及び工程入力の両方を変化させることで、部品特性値を、ターゲット交差に近づけることができる。本発明一態様において、工程制御設定及び工程入力両方における変化を変更して、二つ以上の部品特性値を最適化することができる。
一態様において、回帰線が各物品特性についてターゲット交差からどれだけ離れているか(オフセットを有しているか)に基づいて、オフセットテーブルが作成される。オフセットは三つの形式、即ち、x方向、y方向及び回帰線に垂直な方向で表示されている。
B.1.b 仕様限界
工程分析システム100はまた、y軸の物品特性とx軸の物品特性との間の回帰モデルに対するy軸の物品特性の仕様上限及び仕様下限を決定するよう構成されている。図12を参照のこと。このグラフ表示によって、任意のy軸の物品特性が、工程因子の変動に対して堅牢であるかを決定することができる。この場合、回帰線は一般に傾斜が小さく、これに加えて又は代えて、回帰線は一般にy軸の仕様上限及び仕様下限いずれとも交わらない。
加えて、工程分析システム100はまた、回帰モデルに対するx軸の物品特性の仕様上限及び仕様下限を決定する機能も有する。この表示によって、回帰線が、四つの仕様限界によって区切られた許容領域を通過するか否かを決定することができる。換言すれば、この表示によって、現在の工程及び工程入力で、使用限界内の部品を製造することができるか否かを決定することができる。加えて、回帰モデルに対する仕様限界を決定することによって、y軸の特性が仕様限界内にある物品を得ることができるようなx軸の特性の最大値及び最小値を(よって範囲も)決定することができる。この範囲決定により、製造者は、例えばx軸の特性のみを測定することによって、部品がx軸及びy軸の特性両方の仕様限界に適合しているかどうかを決定することができる。x軸の物品特性の最小値を計算するため、工程分析システム100は、回帰モデルがy軸の特性の仕様下限と交差するx軸の物品特性値を計算する。同様に、x軸の物品特性の最大値を計算するため、工程分析システム100は、回帰モデルがy軸の特性の仕様上限と交差するx軸の物品特性値を計算する。いずれの場合も、x軸の特性は、xの仕様上限を超えることはなく、xの仕様下限を下回ることもない。
B.1.c 予測区間
図8に示すように、工程分析システム100は、上限及び下限予測区間を回帰モデル図に加え、回帰モデルの変動の大きさを決定することもできる。一態様において、回帰モジュール104は、公知の統計学的手法を用いて一連の物品特性値対について上限及び下限予測区間を計算する機能を更に有する。図8に示すように、予測区間を決定することによって、ターゲット交差に対する変動性を評価することができる。例えば、ターゲット交差は予測区間の下側か上側いずれか外側にあるかもしれない。この場合、工程入力が同じであれば、ターゲット交差に適合することは実際上不可能である。例えば、図8が、射出成形工程から得られる二つの物品特性間の関係を模していると仮定すると、このようなターゲット交差の位置では、このままの状態で型を使用しても二つの物品特性に関してターゲットを満たす部品を得ることはできないことが分かる。更に、ターゲット交差が予測区間内にあるとき、物品特性がターゲットよりも大きい部品並びにターゲットよりも小さい部品の割合は、公知の統計学的手法を使用して決定することができる。
加えて、予測区間を使用して、x軸の特性の最小値及び最大値を決定してもよい(II.B.1.bの項参照)。図13に示すように、x軸の物品特性の最小値を計算するため、工程分析システム100は、下限予測区間がy軸の特性の仕様限界と交差するx軸の物品特性値を計算する。同様に、x軸の物品特性の最大値を計算するため、工程分析システム100は、上限予測区間がy軸の特性の仕様上限と交差するx軸の物品特性値を計算する。いずれの場合も、x軸の特性は、その仕様下限を下回らず、またその仕様上限を超えない。
本発明の一態様によれば、ユーザは、予測区間内に含ませたい分布面積の割合を入力することによって、予測区間の大きさを決定することができる。
B.2. 予測因子特性
本発明の一態様は、製造工程における予測因子特性の決定に相関及び回帰分析を適用する。一態様において、予測因子特性は、一の部品に係る複数の物品特性から選択されて、単独のx軸の特性として使用される。以下更に詳細に説明するように、予測因子特性は、所定の物品特性が他の物品特性の予測因子となりうるか否かの評価に基づいて選択される。従って、予測因子特性を選択することにより、分析を要する物品特性の組合せ数が比較的小さな小群まで減少する。例えば、31の物品特性を有する部品は、900を超える物品特性間の関係の分析を必要とする。予測因子特性を選択することによって、この数は30の組合せまで減少する。加えて、予測因子の選択を各種方法で使用して、製造に係る設計、製造及び測定作業を容易にすることができる。例えば、予測因子特性を使用すれば、部品測定に係る時間と出費を大幅に減少させることができる。この場合、他の全ての物品特性が仕様内にあるか否かを決定するには、製造中に予測因子特性のみを測定すればよい。
図16は、本発明一態様に係る予測因子特性の選択を伴う方法を示している。上記の如く、データ入力モジュール102は、物品群に係る物品特性データ(例えば物品特性値及び設計ターゲット/仕様限界)を受け取り保存する機能を有している(ステップ202)。一態様において、相関モジュール106は、以下更に詳細に説明するように、物品特性をそれらの相対的予測可能性に従ってランク付けする計算(例えば物品特性の全組合せについての相関係数の決定、各物品特性の全体的予測可能性の計算など)を実行する機能を有している。一態様において、表示モジュール108は、物品特性のランク付け表を表示し、これによって、物品特性を予測因子特性として選択することができる(ステップ204参照)。以下に説明するように、ユーザは、相対的予測可能性や物品特性の測定費用/現実性など、多数の考察に基づいて、予測因子特性を選択してもよい。また更に、予測因子特性の選択は、他の方法に基づいていてもよい(以下参照)。
選択された予測因子特定を使用して、インタフェースアプリケーションモジュール110は、回帰モジュール104に、予測因子特性(一態様においては、x軸の特性)と残りの物品特性の全て又は小群の間の回帰モデルを決定させる(ステップ206、208、210及び211参照)。完了すると、ユーザは、予測される物品特性の選択を促される(ステップ212)。表示モジュール108は、一態様において、回帰モデルを定義する方程式に基づいて、予測因子特性と選択された予測される特性との間の回帰モデルのグラフ表示を作成する(ステップ214)。
回帰モデルに加えて、表示モジュール108は、ユーザに提示されたグラフ表示に付加的な特徴を加える機能を更に有している。図17は、上記付加的特徴を備えた、一の予測される特性と一の予測因子特性との間の関係を示すグラフ表示を作成する方法を示している。表示モジュール108は、選択された予測される特性と予測因子特性との間の回帰モデルを検索する(ステップ302)。図17に示すように、表示モジュール108は、回帰モデルに対して、予測される特性と予測因子とに係るターゲット値の交差を特定する(位置出しする)ものであってもよい(ステップ304)(上記II.B.1.aの項参照)。表示モジュール108は、ディスプレイ上で回帰モデルに係る予測区間を特定する(位置出しする)ものであってもよい(ステップ306)(上記II.B.1.cの項参照)。更にまた、表示モジュール108は、予測因子特性に係る仕様上限及び仕様下限と同様(ステップ310)、予測される特性に係る仕様上限及び仕様下限を特定するものであってもよい(ステップ308)。上記II.B.1.b参照のこと。表示モジュール108は、仕様限界に基づいて、場合によってはそれに加えて予測区間に基づいて、予測される特性に係る最小値及び最大値を図式的に示すものであってもよい(ステップ312)。上記II.B.1.b及びII.B.1.c参照。
多様なインタフェース表示が可能である。例えば、回帰モデルを定義する方程式をユーザに表示してもよい。更に、最大及び最小予測因子特性値、並びに物品特性及びそれらの間の関係に係る他の任意のデータの少なくとも一方をユーザに表示してもよい。一態様においては、表示装置818上に提示されたGUIによって、ユーザは、表示すべき上記グラフィック要素を選択することができる。
B.2.a 予測因子特性の選択
予測因子特性は、発見的(heuristic)又は統計学的手法を用いて選択できる。更に、予測因子特性の選択は、物品特性間の相関の視覚的評価に基づくものであってもよく、分析に基づく評価であってもよい。
B.2.a.1. 図式的選択
一態様において、ユーザは、散布図を使用して相関の程度を視覚的に評価すること、即ち、各散布図について相関係数を視覚的に評価することができる。データ点群周囲の境界又は辺縁が直線に近づくにつれて、相関係数は大きくなる。この一般的ルールの例外は、回帰線が水平若しくはそれに近い場合である。上記II.B参照のこと。ユーザは、物品特性間のあらゆる可能な組合せ散布図を評価できる。しかしながら、他の一態様において、基本因子として機能する一の物品特性を取り上げることによって、使用する散布図の数を大幅に減らすことができる。x軸の因子として基本因子を採用することにより、残りの物品特性それぞれがy軸上にプロットされた一の散布図を作成することができる。「基本」(予測因子に等しい)物品特性を取り上げることは、データの「散布」を見ることによって可能となり、あるいは無作為に取り上げることが可能である。少数の物品特性が関与している場合は視覚的評価が実用的であるが、何千もの組合せになる多数の物品特性の場合は、(少なくとも実用的な目的で)予測因子特性を解析的に選択する演算装置の使用が必要となる。
B.2.a.2. 予測因子特性の解析的選択
一態様において、予測因子特性の選択を容易にするため、相関モジュール108は、あらゆる物品特性間、あるいはその小群間の相関係数を計算し、計算された相関係数に基づいて、第一物品特性の他の物品特性に対する予測可能性を示す値を決定し、物品特性の全部又は小群について、このプロセスを繰り返す。図18は方法を示すものであり、予測因子特性の選択に係る工程の流れを示している。図18に示すように、以下更に詳細に説明する相関モジュール106は、あらゆる物品特性の間のあるいは選択された小群の間の相関係数を計算し(一組の物品特性値に基づいて計算し、図19セクションA参照)、相関係数表(図19セクションB参照)に記載(相関係数表を作成)する(ステップ402)。続いて相関モジュール106は、各物品の相対的予測可能性を示す値を計算する(ステップ404)。一態様において、この値は、所定の物品特性に係る相関係数の絶対値の平均である(図19、セクションC参照)。この値を計算する他の方法、例えば、絶対値を使用しない平均計算や、加重平均の計算など、も勿論使用可能である。
続いて相関モジュール106は、ステップ404で算出された値に従って、物品特性をランク付けする(ステップ406)。続いて表示モジュール108は、ランク付けされた表を表示装置818上に表示し、それによってユーザが物品特性の予測可能性の少なくとも一部に基づいて予測因子特性を選択できる。一態様によれば、ユーザの選択(ステップ410)によってインタフェースアプリケーションモジュール110を介して、回帰モジュール104が、選択された予測因子特性と残りの物品特性(予測された特性)との間の回帰モデルを計算する(上記参照)。
相関係数表は、任意の好適な方法又は技法によって作成することができる。しかしながら、好適な態様において、相関モジュール106は、以下に記載する方法を実行する。
B.2.a.3. 相関係数表の作成
標準的な産業上の慣行によれば、一つの物品特性(例えば一寸法)に係るデータは、一の列に縦に並べられる。このように、各列は、唯一の物品特性を記録する。従って得られる測定データの並びは、物品特性と同数の列を有している。大抵、データはExcelスプレッドシート若しくは他の好適なファイル形式で記録される。
この慣行によれば、各列は異なる物品特性を示している。各行は、一の部品の物品特性データ(複数の物品特性)を示している。射出成形の場合、各行は、一のプレス操作サイクルに係るデータを記録している。型が単一キャビティを有する型の場合、各行は単一部品に係る測定データを含むことになる。しかしながら、型が4キャビティ型の場合、各行は、一の機械サイクルで製造された四つの部品全てに係る測定データを記録することになる。典型的に、マルチキャビティ成形における各部品について同一物品特性が測定されるが、これが要求されるという制約はない。
一態様において、相関モジュール106は、全ての物品特性間の相関係数を(標準的な統計学的手法に従って)決定し、各物品特性の予測可能性を示す値を計算し、物品特性をそれらの相対的な予測可能性に従ってランク付けする機能を含む。
図20は、上記相関係数表を作成する方法を示している。一態様において、図20に示すように、相関モジュール106は、相関係数表を初期化し(ステップ502)、表(A、B)のセルパラメータに係る因子を初期化し(ステップ504)、物品特性を初期化する(ステップ506及び508)。説明のため、相関モジュール106は、図19セクションAの物品特性値に作用すると仮定する。一態様において、相関モジュール106は、対応する列の物品特性値に基づいて、第一物品特性(X=1)と第二物品特性(Y=2)との間の相関係数を計算する。続いて相関モジュール106は、計算された相関係数(この
例では0.999232)を表の上方左側(A=1、B=1)に記録する(ステップ512)。続いて相関モジュール106は、計算と記録を繰り返し行なうごとに行の位置(B)を増加させて、第一物品係数(X=1)と残りの係数(Y)との間の相関係数を計算する(ステップ514、516及び518)。
最後の残りの物品特性まで到達すると(ステップ514)、相関モジュール106は、第一列内の計算された相関係数を取り出し(フェッチし)、該列を行に転置し、相関係数表に対して行を一つずつ移動させて、表の適切なセル内にデータを記録する(ステップ518)。続いて相関モジュール106は、セル列の位置を増分し(A=2)、また物品特性識別子も増分し(X=2)、(Y=3)(ステップ508)、セル行の位置をセル列の位置と等しくする(B=2)(ステップ524)。続いて相関モジュール106は、第二物品特性(X=2)と第三物品特性(Y=3、ステップ508)との間の相関係数を計算し(ステップ510)、それを適切なセル(A=2、B=2)に記録する(ステップ512)。相関モジュール106は、第二乃至最終物品特性値と最終物品特性値との間の相関係数が計算され記録されるまで、この工程を繰り返す(ステップ520)。図19に示すように、得られる相関係数の複数列は、各列が一の物品特性に対応しており、そしてこの複数列によって比較的簡単な計算で物品特性の予測可能性を示す値(例えば平均)を得ることができる(図19セクションC)。
上記説明から明らかなように、相関係数表を作成する方法によれば、全てのXY相関について対応するYX相関があるので、計算しなければならない相関係数の数が50%減少する。また相関係数表の簡潔な表記法によって、表を作成するサブルーチンのプログラミングが大幅に簡略化されることが明らかである。各行において二つの相関のみ(XY及びYX)で計算を行なうとすると、50個の部品特性について600行を超え得る。
相関係数表を作成する前記方法は、表配置/圧縮アルゴリズムの一態様である。上記の如く、産業上の標準でもある通常の慣行的な方法を維持するには、単一の物品特性に係るデータを一の列に縦に配置する。ここに記載する方法は、単一の物品特性に係るデータが一の行に水平に配置され、そのアルゴリズムがそのデータ構造に適用されるとしても等しく良好に機能する。その場合、列ではなく相関係数の行平均を取ることによって平均相関係数が算出される。
B.2.a.4. 代替態様
一態様において、ユーザは上記機能を使用して、予測因子特性の選択を完了し、予測因子特性をx軸因子とし、仕様限界並びに場合によって予測区間を含む散布図の視認を行ってもよい。このような散布図に基づいて、ユーザは、堅牢な(工程設定の変化に影響を受け難い)予測された特性を選択し、そのような物品特性をデータ群から外して「ノイズ」を排除するようにしてもよい。この選択は、回帰モデルの傾き及びy切片、予測区間の位置及び傾き、x軸の因子及びy軸の因子両方に係る仕様上限及び仕様下限の値に基づいて解析的に行なうことも可能である。一態様において、そのような物品特性は、予測される物品特性仕様限界と交差しない予測区間を有する。ここでは、それらは予測因子特性の選択における「ノイズ」となる。続いてユーザは、リバイズされた(削減された)データ群に基づいて、最適予測因子の選択を再び実行する。
B.2.b 予測因子特性の最小値及び最大値
本発明一態様の理解を容易にするためには、二つの物品特性のみを対象とする単純な状況を考えることが役立つ。物品特性の一は、上記方法を用いて予測因子特性として選択される。回帰モデルは、予測因子特性と残りの物品特性又は予測される特性との間の関係を確立する。この状況は、図12に示されている。回帰モデルと予測される特性(Y)の仕様上限及び仕様下限との交差によって、その値を超えると予測された特性は仕様に合致しな
くなる予測因子特性(X)の値が決定される。上記II.B.1.b.を参照のこと。回帰モデルとyの仕様上限との交差はPmaxとして定義される。図12参照のこと。回帰モデルとyの仕様下限との交差はPminとして定義される。予測因子特性(x)がPminとPmaxとの間にある限り、予測される特性は仕様限界内にあることが容易に分かる。予測因子特性と予測される特性との間に完全な相関があるこの回帰モデルにおいては、予測因子特性がPmaxより大きくあるいはPminより小さい場合、予測される特性は仕様限界の外側にあると明言できる。別な言い方をすれば、これは、PminとPmaxとの間の距離をPrangeとして定義することになる。予測因子特性がPrange内にある限り、予測された特性は仕様内にあると言える。
回帰モデルが完全な相関度になることはめったにないので、一の部品特性を利用して他の特性を予測するには不確実性がある。回帰モデルに係る予測区間は、他の部品特性値を与えられて一の部品特性を予測することに伴う不確実性に限界を設けるものである。図13は、回帰モデルに係る予測区間を使用して、上記不確実性の影響を排除することを示している。図13に示すように、回帰線の近傍に回帰線とほぼ平行に二本の線が描かれている。これらの線は、回帰線周囲のデータ点群を大方区切る上限予測区間及び下限予測区間である。説明のため、上限及び下限予測区間は直線として示されているが、実際は曲線をなすのが普通である。図13に示すように、データ点群の散布により、予測因子特性の最大許容範囲はより狭められている。特に、予測因子特性は、上限予測区間と予測される特性の仕様上限又は予測因子特性の仕様上限(いずれか小さいほう)との交差に係る値を超えることはない。同様に、予測因子特性は、下限予測区間と予測される特性の仕様下限又は予測因子特性の仕様下限(いずれか大きいほう)との交差に係る値を下回ることはない。換言すれば、Pmaxは、予測因子特性の仕様上限、並びに上限予測区間と予測される特性の仕様上限との交差のうち、より抑制的な(より小さい)方である。同様に、Pminは、予測因子特性の仕様下限、並びに下限予測特性と予測される特性の仕様下限との交差のうち、より抑制的な(より大きい)方である。予測因子特性がPminとPmaxとの間にある限り、予測される特性はその仕様限界内にある。一態様において、予測区間がどのくらい「広い(wide)」かを判断することができる。一態様において、工程分析アプリケーション100は、典型的な「幅(width)」パラメータをデフォルト設定として使用する。しかしながら、ユーザはこのようなデフォルト設定を無効にすることも可能である。
B.2.c. 予測因子特性の制限表
上記の如く、II.B.2.b.における議論は二つの物品特性のみに係る単純な状況に関するものであった。実際、所定部品において対象とされる物品特性は多数である。一態様において、工程分析システム100は、制限表を作成する機能を更に有する。制限表は、予測される物品特性それぞれについて、上記の如く決定される予測因子特性の最小値(Pmin)及び最大値(Pmax)を含んでいる(II.B.1.b-c.及びII.B.2.b.参照)。
制限表(図22参照)から、最も抑制的な最小値(Pmin*)及び最大値(Pmax*)が、予測因子特性について決定される。図14を参照のこと。即ち、最も抑制的な最小値(Pmin*)は、制限表における最も大きな最小値(Pmin)であり、最も抑制的な最大値(Pmax*)は、制限表において最も小さな最大値(Pmax)である。図22は、本発明の一態様に係る制限表を示しており、表中、「なし(none)」とは予測因子特性の仕様上限及び仕様下限が、対応する物品特性に関して最も抑制的な値であることを意味する。従って、これら最も抑制的な最小値(Pmin*)及び最大値(Pmax*)を識別すれば、製造者は、予測因子特性がその間にある限り残りの予測される特性が仕様限界内にあるという確信を持つことができる。
以下、更に詳細に説明するように、一態様において、工程分析システム100は、予測される物品特性それぞれについて、(1)欠陥が存在するか否かを決定し、(2)予測される物品特性が堅牢であるか否かを決定し、更に(3)上記(1)及び(2)の関係がな
い場合、予測される特性について最大及び最小許容値(それぞれPmax及びPmin)を決定する機能を有する。グラフ表示及び各種コンピュータ表示において、工程分析システム100は、予測因子特性と予測される特性との間の回帰モデル(並びにそれが画定する領域)に対し、予測される物品特性及び予測因子特性両方についての仕様上限及び下限によって区切られた領域からなるコンプライアンス領域を決定する(位置出しする)(図33A参照)。続いて工程分析システム100は、区切られた回帰領域を識別する。前記回帰領域とは、回帰モデルの上限及び下限予測境界と、予測因子特性の仕様上限及び下限とによって区切られた領域である。図33Bに示すように、回帰領域は、予測因子特性と予測される特性との間の、予測区間252及び254を伴う回帰モデルによって区切られた区域である。図33Cは、予測因子特性の仕様下限(LSL(x))及び仕様上限(USL(x))によって区切られた上記定義の回帰領域を示している。
続いて工程分析システム100は、区切られた回帰領域とコンプライアンス領域とを比較し、二つの領域の関係を評価する。区切られた回帰領域が完全にコンプライアンス領域内にあるなら、予測される物品特性は堅牢である。この関係において、工程分析システム100は、第一の残りの物品特性に係る予測因子特性最小値及び予測因子特性最大値を、予測因子特性の仕様下限及び仕様上限にそれぞれ設定する。区切られた回帰領域のいずれかの部分が、予測因子特性の仕様限界を超えてコンプライアンス領域の上側及び下側の少なくとも一方に飛び出ている場合、潜在欠陥が存在し、従って、一態様においては、工程分析システム100が欠陥状態を報告する。図33Dは、潜在欠陥が存在する状況を示している。更に、区切られた回帰領域の任意の水平セグメントが、完全にコンプライアンス領域内にあり、そして、任意の第二の水平セグメントが部分的に又は完全にコンプライアンス領域の外側に飛び出していれば、予測される特性及び予測因子特性は抑制関係を有する。抑制関係において、工程分析システム100は、予測される特性について、予測因子特性最小値及び予測因子特性最大値を計算する。
更に、当業者であれば、(1)上記三つの関係(堅牢、欠陥及び抑制)の内一つが必ず存在し、(2)上記三つの関係が相互に排他的であり、更に(3)二つの条件が存在しないことが分かれば、第三の条件が必ず存在することが分かる筈である。従って、可能性のある関係の内一つが存在すると認識されれば、工程分析システム100は他の関係の存在を調べる必要がない。加えて、工程分析システム100は、任意の所望の順番で上記関係を調べることが可能である。
当業者であれば分かるように、上記関係を調べるには多くの試験方法がある。例えば、工程分析システム100は、区切られた回帰領域の縦方向全断面が完全に又は部分的にコンプライアンス領域の外側にあれば、予測される物品特性に関して潜在欠陥を報告する。予測される物品特性はまた、区切られた回帰領域の縦方向全断面が完全にコンプライアンス領域内にあるなら、堅牢であると決定される。最後に、完全にコンプライアンス領域内部にある区切られた回帰領域の少なくとも一の縦方向断面が存在し、完全に又は部分的にコンプライアンス領域の外側にある区切られた回帰領域の少なくとも一の縦方向断面が存在していれば、予測される特性は予測因子特性を抑制する。
工程分析システム100は、公知の計算方法を使用して、予測領域上限及び下限がコンプライアンス領域と交差するか否かを決定することができる。例えば、区切られた回帰領域の境界上限及び下限がコンプライアンス領域内にあれば、予測される物品特性は、予測因子特性に関しては堅牢である。区切られた回帰領域の境界上限及び下限の双方又はどちらか一方がコンプライアンス領域と交差しない場合、潜在欠陥が存在する。区切られた回帰領域の境界上限がコンプライアンス領域の境界上限と交差し、区切られた回帰領域の境界下限がコンプライアンス領域内部にあれば、抑制関係が存在する。最後に、区切られた回帰領域の境界下限がコンプライアンス領域の境界下限と交差し、区切られた回帰領域の
境界上限がコンプライアンス領域内部にあれば、抑制関係が存在する。
他の一態様において、工程分析システム100は、予測因子特性の仕様上限及び下限において予測境界上限及び下限値を決定し、これら値(座標)がコンプライアンス領域内にあるか否かを決定する検査を行なうことができる。以下、説明のための代表例を挙げる。図23は、本発明の一態様に係る制限表を作成する方法を説明するフローチャートである。一態様において、制限表の計算(作成)に使用される多数の因子及び他の入力は、他の解析工程の出力から得られる。例えば、相関パッケージ及び他の手順により、回帰モデルを計算し、回帰モデルの傾き、切片及び境界オフセット区間を、一態様においては、スプレッドシートファイルなどの配列に入力する。傾き、切片及び境界オフセット区間、並びに予め計算された他の値は、工程分析システム100によって、Pmin及びPmaxの計算に使用され、制限表の作成に使用される。図23に示すように、工程分析システム100は、第一の予測される特性に始まり(ステップ702)、予測因子特性の仕様上限(USL)及び仕様下限(LSL)において、予測された特性について予測区間(境界)上限及び下限値を計算する。説明のため、図24は、左上方の境界値241、右上方の境界値242、左下方の境界値243及び右下方の境界値244を示している。一態様において、方法は、予測区間上限及び下限を含む予測因子特性と予測される特性との間の回帰モデルに基づき、予測因子特性の仕様上限及び下限における境界値を計算する。続いて工程分析システム100は、これら境界値(図24参照)が予測因子特性及び予測される特性の仕様上限及び下限で画定されるコンプライアンス領域250の四隅内にあるか否かを決定する。一態様において、方法又は機能が呼び出され、計算された上記境界値がコンプライアンス領域250の四隅を超えるか否かが決定される。一態様において、この方法は、コンプライアンス領域250の各隅に対応する四つのブーリアン値を返し、境界値が各隅内にあるか否かを示す。一態様において、工程分析システム100は、これらブーリアン値を使用し、潜在欠陥が存在するか否かを決定する(ステップ706)。図25A-Gは、予測因子特性と予測される特性との間の潜在的欠陥状態(即ち、予測される特性が、予測因子特性の仕様限界内にある一の仕様限界を超えている可能性)をグラフによって示している。図25A-Gは、全てコンプライアンス領域250を含んでおり、該コンプライアンス領域は、予測因子及び予測される特性の仕様上限(USL)及び仕様下限(LSL)によって画定される。図25A-Cに示すように、欠陥は、予測区間上限252がコンプライアンス領域250によって区切られた領域内にないことに起因する。図25D-Fは、予測因子と予測される特性との間の回帰モデルに係る予測区間下限254が、コンプライアンス領域250内にない場合の数例を示している。最後に、図25Gは、予測区間上限252も予測区間下限もコンプライアンス領域250と交差しない場合の状況を示している。一態様において、工程分析システムは、上記ブーリアン値を評価し、欠陥状態が存在するか否かを決定する。一態様において、二つの上側隅、二つの下側隅、あるいは四隅全てが超えられている場合、潜在欠陥が存在する。しかしながら、各対の一方の隅のみが超えられている場合、抑制関係が存在する(以下参照)。
潜在欠陥が存在すると、一態様において、工程分析システム100は、当該予測される特性についてPmin及びPmaxを「DEFECT」に設定することにより潜在欠陥を報告する(ステップ708)。欠陥状態が何も検出されなければ、一態様において、工程分析システム100は、予測される特性が、少なくとも仕様限界領域250内において堅牢であるか否かを決定する(ステップ710)。一態様において、独立した方法又は機能は、上記境界値が予測される特性の仕様限界内にあるか否かを決定することにより上記のような堅牢性を検査する。加えて、図26A及び26Bは、予測される特性が予測因子特性に対し堅牢である場合の状況をグラフにより示している。予測される特性が堅牢であるなら、工程分析システム100は、Pminを予測因子特性の仕様下限に設定し、Pmaxを予測因子特定の仕様上限に設定する(ステップ712)。
あるいは、欠陥状態が何も検出されず、予測される特性が堅牢でなければ、工程分析システム100は、一態様において、Pmin及びPmaxを計算する(ステップ714)。上記II.B.2.b.を参照のこと。図23に示すように、続いて工程分析システム100は、残りの予測される特性全てについて、上記工程を繰り返す(ステップ716及び718)。図27A及び27Fは、上限及び/又は下限予測区間が、予測因子特性の仕様上限と仕様下限との間の値にPmin及び/又はPmaxを限定する場合の各種状況をグラフにより示している。図27A及び27Bに示すように、回帰モデルに係る上限及び下限予測区間は両方ともPmin及びPmaxを抑制することができる。図27A及び27Bに更に示すように、回帰モデルの傾きは、上限又は下限予測区間がPmin又はPmaxを確立又は決定するか否かに影響を与えうる。更に、図27C及び図27Dは、上限予測区間が、Pmin又はPmaxを抑制する場合の状況をグラフにより示している。同様に、図27E及び27Fは、下限予測区間が、Pmin又はPmaxを抑制する場合の状況をグラフにより示している。一態様において、工程分析システム100は、まず、回帰モデル予測区間の傾きの符号を決定する。続いて工程分析システム100は、一態様において、予測される特性に係る上限予測区間と仕様上限との交差において、予測因子特性の値を決定する。同様に、工程分析システム100は、一態様において、予測される特性に係る下限予測区間と仕様下限との交差において、予測因子特性の値も計算する。続いて工程分析システム100は、上限及び/又は下限予測区間が、Pmin及び/又はPmaxを抑制するのか否か決定し、もし抑制するなら、Pmin及びPmaxの値を計算する。一態様において、予測区間の傾きが正なら、工程分析システム100は、第一の残りの物品特性に係る予測因子特性最大値を、予測因子特性の仕様上限及び回帰モデルに対応する上限予測区間が第一の残りの物品特性に係る仕様上限と交差するような予測因子特性の夫々の値のうち小さい方の値に設定し、第一の残りの物品特性に係る予測因子特性最小値を、予測因子特性の仕様下限及び回帰モデルに対応する下限予測区間が、第一の残りの物品特性に係る仕様下限と交差するような予測因子特性の夫々の値のうち大きい方の値に設定する。あるいは、予測区間の傾きが負であれば、工程分析システム100は、第一の残りの物品特性に係る予測因子特性最大値を、予測因子特性の仕様上限及び回帰モデルに対応する下限予測区間が第一の残りの物品特性の仕様下限と交差するような予測因子特性の夫々の値のうち小さい方に設定し、第一の残りの物品特性に係る予測因子特性最小値を、予測因子特性の仕様下限及び回帰モデルに対応する上限予測区間が第一の残りの物品特性に係る仕様上限と交差するような予測因子特性の夫々の値のうち大きい方に設定する。
B.2.d. 製造可能なターゲット及び範囲の決定
物品設計及び工程入力を容易にし、工程制御因子の設定に有用な更に別のパラメータをPmin*及びPmax*から派生させることも可能である。最大許容範囲(Prange*)は、最も抑制的な最大値(Pmax*)から最も抑制的な最小値(Pmin*)を引くことにより算出できる。図14は、二つの予測される特性からなる単純化モデルに係る、最も抑制的な最小値及び最大値並びに範囲の決定をグラフにより示している。
加えて、予測因子製造ターゲット(Ptarget*)を決定することができる。Ptarget*は、工程の平均出力に係るターゲットとして選択される点である。一態様において、それは、仕様限界に適合している部品を製造する機会を最大化する「生産性」における最適な点(最適生産点)である。Ptargetは、適切に選択された場合、製造中、Prange*の外側にあるデータ点群の割合を最小化する。
設計ターゲットと予測因子という次元におけるターゲット(Ptarget*)との間で混乱がおきないように、表記上の違いに注意されたい。予測因子特性(P)は殆ど常に、技術的な設計ターゲット(Ptarget)を有している。技術的な設計ターゲット(若しくは公称値)は、設計技術者によって言及される値である(例えば図面若しくは仕様書中の数値)。対して、Ptarget*は、上記の如く、製造出力を最適化する、工程に係るターゲット動作点である。
一態様において、予測因子製造ターゲット(Ptarget*)は、Prange*の中点として選択される。図14参照のこと。これは、製造工程の出力が平均値に対して対称である場合に好適である。典型的工程は、ほぼ正規の対称分布を有している。物品特性の分布が非対称であるなら、ターゲット予測因子特性値は、平均物品特性値に設定可能である。
B.2.e. オフセット表
以下、更に詳細に示すように、工程分析システム100は、一態様において、前工程寸法が所定設計ターゲットに到達するよう調整する量を示すオフセット表を作成する機能を更に有する。換言すれば、オフセット表は、回帰線がターゲット交差を通過するよう移動される距離に対応する値を提供する。例えば、射出成形工程において、オフセット値は、予測因子寸法と所定予測寸法とのターゲット交差に到達するよう、(例えば、溶接によって鋼を加えたり、機械研磨によって鋼を取り除いたりして)所定成形型寸法が変更される量である。これは、例えば成形品が0.001インチ単位で修正されて部品寸法の向上が図られる場合もある医療業界用に製造される部品にとっては重要な情報である。この情報は、成形設計者及び成形技師によって使用可能である。鍍金のような他の工程に関しては、オフセット表によって技師は、部品の予備鍍金寸法に対し必要な変化(変化量)を知ることができる。
本発明の一態様において、オフセット表におけるオフセットの方向及び大きさは、ターゲット交差と回帰モデルとの間の垂直(鉛直)距離を決定することにより算出される。本発明の第二態様において、オフセット表におけるオフセットの方向及び大きさは、ターゲット交差と回帰モデルとの間の水平距離を決定することにより算出される。本発明の第三態様において、オフセット表におけるオフセットの方向及び大きさは、ターゲット交差と回帰モデルとの間の回帰モデルに垂直な方向の距離を決定することにより算出される。
オフセット表に含まれる情報は、更に他の見地からも有用である。予測される特性値がその予測される特性値に係る設計ターゲット値を超えるか下回るかは、工程設定夫々について選択される特定値に依存している。換言すれば、得られた予測値の設計ターゲットからのオフセットは、工程設定に関し選択された値に依存している。一組の工程設定に関し、鋼を取り除くことにより成形品寸法を大きくするような決定を下すことも一応可能である。異なる組の工程設定に関し、鋼を加えることにより同一の成形品寸法を小さくするよう決定を下すことも一応可能である。想像がつくように、これは、好ましくない事態である。ここに記載する新規な技術を使用して、ターゲット交差からの回帰モデルの距離及び方向を決定することによりオフセットが算出される。ここに記載する方法を使用して、工程設定用に選択された値から独立してオフセットを決定することができる。
図28Aは、本発明の一態様に係るオフセット表を作成するための方法を示している。図28Bは、本発明の一態様において得られるオフセット表を示している。図28Aは、工程分析システム100が、一態様において、まずオフセット表配置を初期化すること(ステップ802)を示している。一態様において、オフセット表は二列配置であり、一方の列に物品特性識別子を含み、それに対応するオフセット値を他方の列(第二の列)に含んでいる。オフセット表方法又は機能への入力は、物品特性のターゲット値を含み、予測因子特性と残りの予測される特性との間の各回帰モデルを含んでいる。図28Aに示すように、工程分析システム100は、予測される特性全てについて(ステップ804)、予測因子特性のターゲット値において、回帰モデルから、予測される特性の値を計算する(ステップ806)。続いて工程分析システム100は、予測される特性の計算値と予測される特性のターゲット値(設計仕様)との差を計算して、予測される特性についてオフセット値を決定する(ステップ808)。続いて工程分析システム100は、得られたオフセット値を配置内若しくは他の好適なデータ構造に記録し(ステップ810)、次の予測され
る特性について工程を繰り返す。
B.2.f. 設計許容誤差緩和表
多くの場合、成形品の寸法など、予備工程要素を変更する代わりに、所定部品における設計許容誤差を緩和する方が迅速で廉価である。勿論、設計技術者は、形状、はめあい又は機能における所定物品特性について許容誤差緩和が与える影響を考慮して実現可能であるか否かを決定しなければならない。更に、動作範囲(上記Prange*)が小さすぎて、全ての物品特性が仕様限界内にある部品や組合せ部品を作製することが困難又は不可能な場合もある。許容誤差を緩和することによって動作範囲を広げることで生産性を向上させるよう決定が下されると、設計許容誤差緩和表の一態様によって、許容誤差を緩和させる最適化指令の優先順位リストを提供することで、どの設計許容誤差を緩和するかという評価が容易になり、同様に許容誤差緩和増分毎に到達した動作範囲の増加に関する分析も容易になる。
一態様において、工程分析システム100は、予測される物品特性それぞれの設計許容誤差緩和に係る動作範囲における到達可能な増加の分析を容易にする設計許容誤差緩和表を作成する機能を有している。最も抑制的な予測される特性(即ち、最も大きなPmin又は最も小さなPmaxを有している)がまず初めに緩和されるべきである。別の言い方をすれば、緩和されるべき第一許容誤差は、予測因子特性を最も抑制する物品特性の許容誤差である。また設計許容誤差緩和表によって、技術者は、許容誤差緩和の結果として、動作範囲(PminとPmaxとの差)がどのくらい広がるのかが知ることができる。また設計許容誤差緩和表によって、技術者は、各因子を順に緩和することによって得られる累積増加を知ることができる。
図30は、本発明の一態様に係る設計許容誤差緩和表を示している。図30に示すように、緩和表は、一態様において、二つの主要部、即ち、最も抑制的なPmin値によってランク付けされた物品特性リストと、最も抑制的なPmax値によってランク付けされた同一物品の特性リストとに分けられる。この例において、Var12は、予測因子特性であり、両リストの最終位置に置かれている。Pmin列又はPmax列いずれかにおける各物品特性に関し、緩和表は、以下の場、即ち(1)物品特性識別子、(2)計算されたPmin/Pmax値、(3)対応する物品特性の許容誤差緩和によって達成された動作範囲における個別増加、及び(4)対応する物品特性の許容誤差緩和に係る累積増加を含んでいる。当業者であれば、ここでの記載から、各物品特性に係る個別増加が、Pmin/Pmaxが、次の物品特性に係るPmin/Pmax値まで緩和されているという性質を有していることを理解しうるはずである。所定物品特性に対応する累積増加は、Pmin/Pmaxを次の物品特性に係る値まで緩和することによって達成される動作範囲の総増加を示している。例えば、操作範囲の累積増加0.0030インチを得るには、物品特性Var16、Var13、Var11、Var9及びVar10に対応する仕様限界を、Pminが6.3741インチに等しくなる点まで緩和させる。あるいは、動作範囲の累積増加0.0043インチを得るには、物品特性Var2及びVar4に対応する仕様限界を、Pmaxが6.3819インチに等しくなる点まで緩和させる。あるいは、Var16、Var2及びVar4における適当な許容誤差を緩和することによって、0.0053インチの動作範囲増加が得られる。0.005インチの動作範囲増加は、ある状況においては非常に重要で有用である。例えば、許容誤差緩和の前の操作範囲が0.005インチであるなら、0.005インチの増加は、動作範囲の倍増に等しく、実際、仕様限界内にある物品特性を製造する工程設定への到達し易さも2倍になる。
図29は、本発明の一態様に係る設計許容誤差緩和表を作成するための代表的方法を示している。図29に示すように、工程分析システム100は、一態様において、設計許容誤差緩和表を初期化し(ステップ830)、上記の如く計算されたPmin及びPmax値(上記II.B.2.b.を参照)を緩和表に移植する(ステップ832)。続いて工程分析システム100は、物品特性についてPminの緩和によって得られる個別増加を計算する(ステップ83
4)。一態様において、工程分析システム100は、最も抑制的なPminから最も抑制的ではない(最も大きい)Pminまで物品特性を分類し、予測因子特性識別子及び関連する仕様限界を、分類したリストの末尾に加える。続いて工程分析システム100は、各物品特性についてリスト内の次の物品特性のPminに対応する値まで仕様限界を緩和することによって得られる個別増加を計算する。例えば、Var16の仕様限界を、Var13に対応するPminのレベルまで緩和することによって得られる個別増加は、Var16のPminとVar13のPminとの差である。この場合、この差は0.0005インチであり、図30の表は、Pmin値についてコンピュータスプレッドシートの桁切り機能によって、0.004インチを示している。残りの物品特性についても、最後の(予測因子)特性に到達するまで、同様の方法で続けて個別増加が計算される。
続いて工程分析システム100は、予測される物品特性に係るPmax並びに仕様限界を緩和することにより得られる個別増加を計算する(ステップ836)。一態様において、工程分析システム100は、物品特性を最も抑制的な(最も小さい)Pmax値によって分類し、予測因子特性識別子及び関連する仕様上限を、分類したリストの末尾に加える。続いて工程分析システム100は、所定物品特性の仕様限界を、分類されたリスト内の次の物品特性のPmaxに相当する値まで緩和することにより得られる個別増加を計算する。例えば、Var2の仕様限界を、Var4に対応するPmaxのレベルまで緩和することにより得られた個別増加は、Var2のPmaxとVar4のPmaxとの間の差である。この差は、0.0006インチである(但し、この場合、Pmax値についてコンピュータによる桁切りはない)。残りの物品特性についても、最後の(予測因子)特性に到達するまで、同様の方法で続けて個別増加が計算される。続けて工程分析システム100は、Pmin及びPmax緩和両方について連続する許容誤差緩和に係る累積増加を計算する(ステップ838)。
当業者であれば、設計許容誤差緩和表が、予測される特性についての仕様下限/仕様上限を、所定のPmin又はPmaxまで緩和して得られる上限/下限を表示せず、むしろ、図30に示す設計許容誤差緩和表は、所望の動作範囲増加を得るには、どの物品特性設計許容誤差をどれくらい緩和すべきかの決定を容易にするものであることを理解しうるはずである。
一態様において、工程分析システム100は、どの物品特性を緩和させるかをユーザが選択した後に、得られる仕様上限及び/又は仕様下限を計算する機能を有する。例えば、ユーザは、許容動作範囲(Prange*)を増加させるために、仕様下限のみ、仕様上限のみ、あるいは仕様上限及び仕様下限の双方を緩和することを選択しうる。一態様において、工程分析システム100は、設計許容誤差緩和表のPmin列から一の物品特性を選択し、係る選択と共に又は係る選択に代えてPmax列から一の物品特性を選択するようにユーザを促し、選択された物品特性に至るまで、分類されたリストの各物品特性について新しい仕様下限又は仕様上限を計算する。特に、選択された物品特性に至るまでの分類されたリストの各物品特性について、工程分析システム100は、回帰モデルを使用して、回帰モデルの境界(上限及び下限予測区間)がPmin又はPmaxと適宜交差するような物品特性値を計算する。説明のため、図32A、32B、32C及び32Dは、Pmin及びPmaxの緩和からの新しい仕様上限及び仕様下限の計算をグラフにより示している。これら図面に示されるように、回帰モデルの傾きは、Pmin/Pmaxの緩和が所定物品特性に係る仕様上限及び仕様下限の緩和に帰するか否かを決定する。図32Aに示すように、正の傾きを持つ回帰モデルの場合、USL(y)からUSL’(y)への緩和は、PmaxからPmax’への緩和に帰する。動作範囲は、Pmax'−Pmaxに等しい量だけ増加することになる。同様に、図32Bは、正の傾きを持つ回帰モデルの場合、LSL(y)からLSL’(y)への緩和は、PminからPmin’への緩和に帰することを示している。動作範囲は、Pmin−Pmin'に等しい量だけ増加することになる。負の傾きを持つ回帰モデルについては、USL(y)からUSL’(y)への緩和は、PminからPmin’への緩和に帰し(図32C)、LSL(y)からLSL’(y)への緩和は、Pmax
からPmax’への緩和に帰する(図32D)。
図31に示すように、工程分析システム100は、一態様において、Pmin及び/又はPmax緩和列から選択された予測される特性を受け取る(ステップ850)。ユーザがPminを緩和させるべき予測される物品特性を選択すると(ステップ852)、工程分析システム100は、分類されたリスト中の次の物品特性に対応するPminの値となるようにPminを設定する(ステップ854)。例えば、図30において、Var13が選択された予測因子特性であるなら、Pminは6.3761インチ(Var11に対応)に設定される。工程分析システム100は、選択された物品特性に至るまで各物品特性について(但し選択された物品特性も含む)(ステップ856)、得られる新しい仕様限界を計算する。特に、工程分析システム100は、上限及び下限予測区間を適宜(上記参照)選択するため回帰モデルの傾きを決定し(ステップ857)、予測因子特性と予測される特性との間の回帰モデルの適切な(例えば下限又は上限)予測区間(境界)のPminにおける値を計算し(ステップ858)、対応する予測される物品特性に対応付けて新しい仕様限界を表中に記録し(ステップ860)、最終的にユーザに表示する。
ユーザが、Pmaxを緩和させる予測された物品特性を選択すると、工程分析システム100は、分類された表中の次の物品特性に対応するPmax値となるようにPmaxを設定する(ステップ864)。工程分析システム100は、選択された物品特性に至る各物品特性について(但し、選択された物品特性も含む)(ステップ866)、得られる新しい仕様限界を計算する。特に、工程分析システム100は、下限又は上限予測区間を適宜(上記参照)選択するため回帰モデルの傾きを決定し(ステップ867)、回帰モデルの適切な予測区間(境界)のPmaxにおける値を計算し(ステップ868)、新しい仕様限界を表又は他のデータ構造中に記録し(ステップ870)、最終的にユーザに表示する。当業者であれば、このように設計許容誤差緩和表を利用することが、新しいPmin*及び/又はPmax*値に帰することになることを理解しうる筈である。
C. 最大許容範囲(Prange*)及び予測因子製造ターゲット(Ptarget*)の使用
説明のため、幾つかのパラメータを以下のように定義し明瞭にすることが役立つと思われる。
1. Prangeは、予測因子特性に関する最大許容範囲である。それは、その範囲内の予測因子特性によって、残りの物品特性が仕様限界内にあることが確実となる範囲である。
2. Ptarget*は、予測因子特性製造ターゲット値の値である。Ptarget*は、Prange*内の幾つかの値に設定可能である。Ptarget*は、Prange*の中点に設定されるのが通常である。
3. VARは、製造条件下の実際の工程出力に係る予測因子特性の変動幅の範囲であり、製造出力を評価することにより決定される。
4. X-BARは、製造条件下の予測因子特性の平均値であり、製造出力を評価することにより決定される。
5. Ptargetは、予測因子特性についての技術的設計ターゲットであり、形状、はめあい及び機能を最適化するよう設計技術者によって決定される。
6. USL及びLSLは、技術的設計許容誤差に基づく予測因子特性についての仕様上限及び仕様下限であり、設計技術者によって決定され、通常、機関によって採用された許容誤差履歴、部品臨界、製造機関の能力その他を含む、多数のファクターが考慮される。
予測因子特性について最大許容範囲(Prange*)を知ることは非常に有益である。実際の工程出力は、若干の変動(VAR)を示し、予測因子特性平均工程出力を示す値(X-BAR)が存在する。この情報を得ることにより、その工程が仕様に合致する部品を製造する可能性を最大化するように少なくとも一の工程制御設定を変更することが容易になる。
Prange*が「抑制」され過ぎているとすれば、Prange*への「抑制」を開放するために、第二の物品特性を測定することができる。
予測因子特性についての実際の工程変動(VAR)と、最大許容範囲(Prange*)とを比較することも非常に有益である。以下の状況が考えられる。
1. 実際の工程変動(VAR)が最大許容範囲(Prange*)より大きい場合、該工程により製造される部品の一部は、常にコンプライアンス領域の外側(仕様外)にある。
2. 実際の変動(VAR)が最大許容範囲(Prange*)に等しく、平均工程出力(X-BAR)が最大許容範囲の中央に置かれている場合、当該方法により製造される殆ど全ての部品はコンプライアンス領域内にあるが、工程出力に誤差又はずれを許容する余地はない。
3. 実際の変動(VAR)が、最大許容範囲(Prange*)よりも小さく該範囲内にある場合、殆ど全ての部品はコンプライアンス領域内にあり、工程出力の誤差やずれに対してより大きなマージンが許容される。
本発明は、上記3.の状況において、平均工程出力(X-BAR)を、予測因子部品特性についての技術的設計ターゲット(Ptarget)に近づけるよう検討を行なう有益な機会を工程技術者に与えるものである。
予測因子特性についての平均工程出力(X-BAR)を、その製造ターゲット(Ptarget*)と比較することも非常に有益である。工程出力分布が対称であり、予測因子特性ターゲット値(Ptarget*)がその最大許容範囲の中点に設定されているという仮定の下で、以下の状況が考えられる。
1. 予測因子特性についての平均工程出力(X-BAR)が予測因子製造ターゲット(Ptarget*)に近づくほど、該工程が、コンプライアンス内の部品を製造する可能性が大きくなる。
2. 平均工程出力(X-BAR)が、予測因子製造ターゲット(Ptarget*)に等しい場合、該工程がコンプライアンス内の部品を製造する可能性は最大化される。
工程出力分布が非対称であっても同様の結論が得られる。この場合、Ptarget*は、分布の後尾がPrange*外側で等しい領域を持つ点に設定される。
このように、本発明は、平均工程出力(X-BAR)と予測因子製造ターゲット(Ptarget*)との間の差の決定を容易にする。この差は、平均工程出力(X-BAR)が移動されるべき大きさ及び方向の両方を決定するものである。この知識によって、一又は複数の工程制御設定を調整して、平均工程出力を回帰線に沿って予測因子製造ターゲット(Ptarget*)に近づけるよう移動させることが可能になる。
本発明は、更に有益である。実際の工程変動(VAR)が最大許容範囲(Prange*)に対して大きすぎるか否かを決定することが可能になる。大きすぎる場合の第一選択肢は、工程
変動を減少させることである。第二選択肢は、設計許容誤差を大きくすることである。第三選択肢は、前記二つの選択肢を組み合わせて実行することである。本発明は、全体としては多数の物品特性が関与するものの、ここで議論される各種工程能力分析が30又は40ではなく唯一の予測因子特性について唯一回実行されるよう要求することにより、効率性の向上及び費用削減を非常に容易にするものである。
更に、制限表の値は、設計技術者に他の有益な情報を提供するものである。例えば、設計許容誤差を大きくする決定が下されると、制限表によって、どの物品特性に対するどの仕様限界(上限又は下限)が最も抑制的であり、優先的に緩和しなければならないかについて、優先順位付きの決定を行なうことが容易になる。このステップは、最も抑制的な部品特性から、最も抑制的ではない部品特性に向かって「外向きに」、所望の回数繰り返し可能である。設計技術者は、各許容誤差の緩和が製品性能に与える影響を評価し、この情報を意思決定工程に組み入れることもできる。
本発明は更に有益である。設計技術者は、製品性能と生産性とのバランス評価を行なうための検査を可能にする情報を得ることができる。加えて、状況が許せば、設計技術者は、設計ターゲットを決定された予測因子製造ターゲット(Ptarget*)に変更し、システム内の他所を補償する(設計ターゲット変更をしても係る補償が必要であれば)こともできる。
次の一連の説明を簡潔にするため、Prange*、VAR及びTOL(仕様上限と仕様下限との間の差)を、A、B及びCで表す。同様に、Ptarget*、X-BAR及びPtargetを、X、Y及びZで表す。本発明は以下の比較を容易にする。
1. A対B
2. A対C
3. B対C
4. X対Y
5. X対Z
6. Y対Z
前述の如く、上記比較により得られる非常に貴重な情報がある。
D. アプリケーション概要
図21は、上記概念を要約しており、本発明の一態様に係る方法を示している。説明のため、射出成形について記載する。図21は、例えば物品特性について各種設計ターゲット及び仕様限界を実現する部品設計を示しており(602)、一の部品を画定する少なくとも一のキャビティを含む一の成形品の設計及び製造を許容している(604)。工程への他の入力としては、ノイズ因子(606)や工程制御設定(607)がある。工程(208)は、実験的出力(610)若しくは製品出力(630)をもたらすが、これについては以下で説明する。
図21に示すように、本発明の態様を使用して、設計及び部品設計に係る複数の工程制御、並びに製品出力として許容可能な部品を最終的にもたらす一工程の制御の少なくとも一方を容易にすることができる。上記の如く、一態様において、工程オペレータは、複数の物品特性に関して変動幅を持つ部品群を作製する(実験的出力610)。この実験的出力610に係る物品特性、あるいはそのサンプルは、上記相関及び回帰分析法を使用して評価及び分析される(612)。これら分析法から得られた情報を用いて、また上記の制限表及び緩和表の少なくとも一方を用いて、ユーザは、許容誤差限界の変更(618)及び設計ターゲットの変更(620)の少なくとも一方を決定することができる。加えて、上記オフセット表に記載された情報を使用して、ユーザは、入力の変更(616)及び制
御因子の調整(614)の少なくとも一方を決定することができる。
上記の如く、一態様において、実験的製造運転中、部品特性には変動が見られる。実験的製造運転の副生物の一つは、どのような工程設定が部品特性に大きく影響することをユーザが知見することができることである。この知識により、ユーザは、少数の工程設定を調整して、製品出力を回帰モデル上の任意の所定点に置くことができる。射出成形の場合、例えば、一の圧力設定、一の温度設定、又は一の速度設定を変更するだけで、回帰線沿いに物品特性の結合出力を移動させるに十分なことをユーザは知ることができる。
更に、ユーザは相関及び回帰分析(612)に基づき予測因子特性(636)を選択して、製造出力(630)の測定を容易にすることができる。例えば、予測因子特性に対して残りの物品特性を分析することによって、ユーザは堅牢な予測特性(即ち、常に許容限界内にある物品特性)を識別し、それを測定から除外することができる(ステップ634)。それに代わって、あるいはそれに加えて、ユーザは、予測因子特性について最大許容範囲を決定し、一つの物品特性(予測因子特性)を測定することで、製造出力630が、仕様限界内にあるか否かを決定することができる(632)。
上記の如く、回帰線沿いに出力を移動させるために、射出成形技術者は、圧力、温度、速度など、一又は複数の工程制御因子を変更することができる。説明のため、射出成形産業における工程入力変更の例として、成形キャビティの内部寸法変更を挙げる。回帰線は鉛直(垂直)方向に移動可能である。図6において、これは、残りの物品特性の大きさを変更することにより達成される。物品特性位置で成形型の内側に部材を加えることによってサイズ減少が図られる。これは、製造される物品の大きさを減少させ、回帰線を鉛直方向下向きに移動させることになる。必要とされる移動量は、回帰線がターゲット交差からずれている距離を決定することにより算出される。このように、ターゲット交差に対する回帰線の位置は、回帰線をどの方向に移動させるべきかの決定、またその移動量の決定に使用することのできる情報を与えるものである。
図6における回帰線を移動させる他の方法は、該回帰線を水平方向に移動させるものである。図6において回帰線にターゲット交差を通過させるには、右方向に移動させなければならない。この移動は、予測因子特性について成形(型)寸法を変更することによって達成される。右方向への移動は、予測因子特性の寸法増加を意味している。寸法増加は、予測因子特性(ここでは大きさ)に関し成形型キャビティを大きくすることを必要とする。これは、成形型内部から部材を取り除くことによって達成される。必要とされる移動量は、回帰線とターゲット交差との間の水平距離を計算することによって決定される。
回帰線を移動させる更に他の方法は、予測因子及び少なくとも一の残りの物品特性両方について成形(型)寸法の組合せを変更することによって移動させるものである。図6に示す具体例において、回帰線は、それ自身に垂直な方向に移動する。実際、これは、ターゲット交差を通過するよう回帰線を配置するためになされる最も短い移動となる。この場合、移動は、予測される特性の大きさを小さくし、予測因子特性の大きさを大きくすることによって行なわれる。鍍金部品の場合、例えば二つの物品特性が、その部品の鍍金後の長さ及び幅寸法となる。この場合、その部品の鍍金後の長さ及び幅寸法は、工程入力として考慮される。
図7は、ターゲット交差に重なるか一致する特性を持つ物品を製造するために使用される方法を示している。図7に示す態様は、二段階工程からなっている。第一段階では、ターゲット交差と交わるように回帰線を移動させる。この例においては、下方右側に回帰線を移動する。既に指摘したように、回帰線は水平方向、鉛直方向、あるいはその両方向に移動させることが可能である。第二段階では、特性位置を、この例においては、その位置
がターゲット交差と一致するまで、少しの量だけ回帰線沿いに移動させる。勿論、実際は、特性位置を移動すべき方向は、ターゲット交差に対する初期特性位置と回帰線の傾きとに依存している。
説明のため、本願における用語は、グラフ透視により使用される「位置出し(locate)」又は「配置(position)」又は「交差の決定(determine the intersection)」又は「範囲の決定(determine the range)」、あるいはその他の用語の技術的な使用の態様について言及している。事実上、ここに記載するあらゆる分析的技法は、図式的(グラフ)又は分析的に達成しうる。図式的技法について説明されているときは分析的技法を使用でき、分析的技法について説明されているとき図式的技法を使用できることは明白である。実際、本発明の好適な一態様は、分析的技法を用いて、あらゆる演算、計算、位置出し並びに決定を実行している。グラフ表示は、ユーザの理解及び便宜のために作成されている。
説明のため更に、本願における用語は、回帰線に言及している。上記の通り、回帰「線」は直線である必要はなく、曲線でもよい。また回帰線は、説明のためにしばしば単一線として描かれている。本発明の好適な一態様において回帰線は、予測区間の使用を含んでいる。
また、説明のため、工程制御設定変更の効果は、単一の残りの(予測される)物品特性に対する影響として図示されている。しかしながら、工程制御設定変更の効果は、二以上の物品特性に関し決定することも可能である。同様に、工程制御設定変更の効果は、単一回帰モデルに対する効果として図示されている。しかしながら、工程制御設定変更の効果は、一以上の回帰モデルについて決定することも可能である。
説明のため、工程制御設定及び工程入力の少なくとも一方に変化を取り入れる目的は、結合動作点及び回帰モデルの少なくとも一方を、一又は複数のターゲット交差に近づけるよう移動させることとした。しかしながら、これら変更は、結合動作点及び回帰モデルの少なくとも一方を任意の所望点に移動させるために行なうことも可能である。
説明のため、物品特性に係る仕様上限及び仕様下限は、矩形コンプライアンス領域に帰する一定値として記載した。しかしながら、本発明は、一又は複数の仕様限界を一又は複数の要因に基づいて変化させ、例えば台形又は他の形状を持つコンプライアンス領域を得る状況にも適用可能である。
最後に、説明のため、直前に記載したように、一又は複数の基準に対し物品特性を最適化するため変化を導入すると仮定したが、ここに記載するアルゴリズム、モデル及び概念を使用して上記とは逆の効果を得ることも可能である。例えば、工程設定及び工程入力の少なくとも一方において所望の変化を得るため必要とされる、結合動作点及び回帰モデル位置の少なくとも一方における必要な変化を決定することが可能である。この動作の一の目的は、危険及び有害な事態のうち少なくとも一方を伴う設定から工程制御設定を遠ざけることにある。またこの行為の他の目的は、製造工程及び技術的設計パラメータの少なくとも一方を、予備成形された原料形状のような、特定工程入力に合致させることとしてもよい。
最後に、本発明を、射出成形工程における操作として説明してきたが、上記の通り本発明は、多様な工程に適用可能である。例えば、本発明は、鍍金及び半導体産業に適用可能であり、材料を加えたり、取り除いたり、あるいは材料の形状や構造を変えたりする他の任意の工程に適用可能である。本発明は、その他、複数の出力の特性が関連性を有している非製造工程にも適用可能である。従って、本発明は具体的態様について説明してきたが
、本発明における他の態様も当業者には自明である。従って、以下の請求の範囲は、上記具体的態様に限定されるものではない。

Claims (30)

  1. プロセスから生じる物品群に対応する一組の物品特性の値を統計処理することで当該プロセス分析に必要な評価を行うための方法であって、
    複数の物品特性にバラツキがある、一揃いの単一物品群に関連付けられた、複数の物品特性の値を受けける工程を備え、前記一揃いの単一物品群は、一つ以上の工程設定で前記プロセスを実行することにより生成され、前記複数の物品特性の値は、当該物品群の各々を測定することで取得され、前記方法はさらに、
    前記一組の物品特性のうち、物品特性間の相関関係に依存して、他の物品特性の値を予測するために用いられる物品特性である予測因子特性を選択する工程を備え、前記予測因子特性を選択する工程は、
    前記複数の物品特性に含まれる、任意の2つの前記物品特性の間で相関係数をそれぞれ計算する工程と、
    前記複数の物品特性について予測可能性値をそれぞれ計算する工程とを含み、ある物品特性についての前記予測可能性値は、当該物品特性に対応する相関係数の関数であり、前記選択する工程はさらに、
    前記複数の物品特性のリストグラフィカルユーザインターフェイスに表示する工程と、
    前記グラフィカルユーザインターフェイスに表示された前記複数の物品特性のいずれかから、前記予測因子特性としての選択を、前記グラフィカルユーザインターフェイスを介してユーザから受付ける工程とを含み、前記方法はさらに、
    前記予測因子特性の値と前記複数の物品特性に含まれる残りの物品特性の少なくとも一つの値との間の回帰式を決定する工程と、
    決定した回帰式を用いて、当該プロセスによって生成され得る物品群について、前記回帰式に係る予測因子特性および物品特性の値について評価する工程とを備え、前記評価する工程は、
    (1)当該プロセスによって生成され得る物品群について、予測因子特性に対応するすべての値に関して、前記回帰式に係る物品特性の値がそれぞれの仕様限界に適合しているか否かを判断する処理、
    (2)当該プロセスに対して設定され得る工程設定に従って、前記回帰式に係る予測因子特性および物品特性の値が仕様限界内である物品群を製造できるかを判断する処理、および
    (3)当該プロセスについて、前記回帰式に係る物品特性の値が対応の仕様限界に適合するように、前記予測因子特性の最小値を決定する処理、
    (4)当該プロセスについて、前記回帰式に係る物品特性の値が対応の仕様限界に適合するように、前記予測因子特性の最大値を決定する処理、
    (5)当該回帰式が定義されるグラフ上において、予測因子特性および物品特性に対
    するターゲット仕様値と前記回帰式を示す回帰線との間の距離を決定する処理、のうち少なくとも1つを含む、方法。
  2. 前記予測可能性値をそれぞれ計算する工程は、
    前記複数の物品特性に含まれる一つの物品特性について、前記計算された相関係数から、当該一つの物品特性が他の全ての物品特性に関して予測する能力を示す前記予測可能性値を決定する工程と、
    前記物品特性の全てまたは一部に対して、前記予測可能性値を決定する工程を繰り返す工程とを含む、請求項に記載の方法。
  3. 前記予測可能性値を決定する工程は、前記複数の物品特性に含まれる各物品特性について、算出された相関係数の絶対値の平均を計算する工程を含、請求項に記載の方法。
  4. 前記評価する工程は、
    前記回帰式に係る予測因子特性および物品特性に対するそれぞれのターゲット値を受け取る工程と、
    前記予測因子特性に対するターゲット値と前記物品特性に対するターゲット値との交点が前記回帰式と交わるか否かを評価することで、前記予測因子特性の値および物品特性の値がそれぞれのターゲット値に適合している物品群を製造できるか否かを判断する工程とを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記評価する工程は、
    前記回帰式に係る物品特性の上限予測区間および下限予測区間の夫々を決定する工程と、
    前記回帰式に係る予測因子特性および物品特性に対するそれぞれの仕様下限および仕様上限を受け取る工程と、
    前記回帰式に係る物品特性に対する仕様下限および仕様上限を設定する工程と、
    前記回帰式に係る物品特性の下限予測区間から上限予測区間の範囲が、当該物品特性に対する仕様下限から仕様上限までの範囲内となるように、前記予測因子特性に対する仕様上限および仕様下限を設定する工程とを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記評価する工程は、
    前記回帰式に係る予測因子特性および物品特性に対する仕様下限および仕様上限を受け取る工程と、
    前記回帰式に係る予測因子特性および物品特性に対する仕様下限および仕様上限を設定する工程とを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記評価する工程は、
    前記回帰式と前記回帰式に係る物品特性に対する前記仕様下限との交点、および、前記回帰式と前記回帰式に係る物品特性に対する前記仕様上限との交点を決定することで、前記回帰式に係る物品特性に対する、予測因子特性の最小値および予測因子特性の最大値を計算する工程をさらに含む、請求項に記載の方法。
  8. 前記評価する工程は、
    所望の残りの物品特性の全てについて、前記回帰式を決定する工程を繰り返させる工程と、
    決定される回帰式について、受け取る工程、設定する工程、および計算する工程を繰り返す工程と、
    前記残りの物品特性を、前記残りの物品特性のそれぞれに関連付けられた前記予測因子特性の最小値でソートすることによって、最も制約となっている予測因子特性の最小値についてのリストを作成する工程と、
    前記残りの物品特性を、前記残りの物品特性のそれぞれに関連付けられた前記予測因子特性の最大値でソートすることによって、最も制約となっている予測因子特性の最大値についてのリストを作成する工程とをさらに含む、請求項に記載の方法。
  9. 前記評価する工程は、
    前記回帰式に係る物品特性の上限予測区間および下限予測区間の夫々を決定する工程と、
    前記予測因子特性に対する仕様下限および仕様上限を受け取る工程と、
    前記回帰式に関連付けて、前記予測因子特性に対する仕様下限および仕様上限を設定する工程とを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記評価する工程は、
    前記回帰式に係る物品特性の上限予測区間および下限予測区間の夫々を決定する工程と、
    前記回帰式に係る物品特性に対する仕様下限および仕様上限を受け取る工程と、
    前記回帰式に係る物品特性に対する仕様下限および仕様上限を設定する工程と、
    前記予測因子特性に対する仕様下限および仕様上限を受け取る工程と、
    前記予測因子特性に対する仕様下限および仕様上限を設定する工程と、
    (1)前記予測因子特性に対する仕様上限、および、(2)前記上限予測区間が前記物品特性に対する仕様上限と交差する位置における前記予測因子特性の値、のうち小さい方を選択することによって、前記予測因子特性の最大値を決定する工程とを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記評価する工程は、
    (1)前記予測因子特性に対する仕様下限、および、(2)前記下限予測区間が前記物品特性に対する仕様下限と交差する位置における前記予測因子特性の値、のうち大きい方を選択することによって、前記予測因子特性の最小値を決定する工程とを含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記評価する工程は、
    前記複数の物品特性のうち所望数の残りの物品特性について、前記予測因子特性の最大値を決定する工程を繰り返す工程と、
    前記予測因子特性の最大値のうち最も小さなものを選択することによって、前記予測因子特性の最も制約されている最大値を決定する工程とを含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記評価する工程は、
    前記予測因子特性の最大値から前記予測因子特性の最小値を引くことで、前記予測因子特性に対する許容範囲を決定する工程と、
    最も制約されている物品特性の最小値を選択することによって、前記予測因子特性に対するターゲット製造値を決定する工程をさらに備える、請求項12に記載の方法。
  14. 前記評価する工程は、
    前記予測因子特性の最も制約されている最大値から最も制約されている最小値を引くことで、前記予測因子特性に対する最大許容範囲を決定する工程と、
    前記予測因子特性の最も制約されている最小値と最も制約されている最大値との間の中点を選択することによって、前記予測因子特性に対するターゲット製造値を決定する工程と、
    前記回帰式に係る予測因子特性および物品特性に対するそれぞれのターゲット値を受け取る工程と、
    前記予測因子特性に対するターゲット値と前記物品特性に対するターゲット値との交点が前記回帰式と交わるか否かを評価することで、前記予測因子特性の値が前記ターゲット製造値に適合している物品群を製造できるか否かを判断する決定する工程とを含む、請求項12に記載の方法。
  15. プロセスから生じる物品群に対応する一組の物品特性から、他の物品特性の値を予測するために用いられる物品特性である予測因子特性を選択する方法であって、
    物品特性のバラツキが自然に発生する前記プロセスを実行することにより、あるいは、前記プロセスにおける工程設定を意図的に変化させて前記プロセスを実行することにより、物品特性にバラツキがある一揃いの単一物品群を準備する工程と、
    前記一揃いの単一物品群の各々を測定することで、前記一揃いの単一物品群に関連付けられた、複数の物品特性の値を取得する工程と、
    前記一揃いの単一物品群に関連付けられた複数の物品特性の値をコンピュータ装置に入力する工程と、
    前記複数の物品特性に含まれる、任意の2つの前記物品特性の間で相関係数を前記コンピュータ装置を用いてそれぞれ計算する工程と、
    前記複数の物品特性のうち一つの物品特性を、当該プロセスによって生成され得る物品の他の物品特性の値を予測するために用いられる前記予測因子特性として選択する工程とを備え、
    前記予測因子特性として選択する工程は、
    各物品特性について、計算された他の物品特性に関する相関係数の複数についての絶対値の平均値を計算するとともに、計算された複数の平均値のうち最大値をとる平均値に対応する物品特性を前記予測因子特性として選択する工程とを含む、方法。
  16. 前記予測因子特性に対する最大許容範囲を決定する工程と、
    前記選択する工程に続いて、次に生成される物品群が前記一揃いの単一物品群に関連付けられた少なくとも一つの設計仕様に適合することを、前記予測因子特性の評価に基づいて検証する工程とをさらに備える、請求項15に記載の方法。
  17. 請求項15に記載の方法によって選択された予測因子特性を用いて、予測される他の物品特性の堅牢性を評価する方法であって、
    前記選択された予測因子特性の値と前記複数の物品特性に含まれる残りの物品特性の
    少なくとも一つの値との間の回帰式を決定する工程を備え、前記回帰式は、下限予測境界および上限予測境界を含み、前記方法はさらに、
    前記回帰式に係る予測因子特性および物品特性に対するそれぞれの仕様下限および仕様上限を受け取る工程と、
    前記回帰式について、前記回帰式に係る予測因子特性および物品特性に対するそれぞれの仕様下限および仕様上限によって区切られたコンプライアンス領域を設定する工程と、
    前記回帰式の上限予測限界および下限予測境界と、前記予測因子特性に対する仕様上限および仕様下限とによって定義される、前記回帰式に係る物品特性に対する区切られた回帰領域を設定する工程と、
    前記区切られた回帰領域と前記コンプライアンス領域との間の関係が、潜在欠陥関係、堅牢関係、および抑制関係のいずれであるかを特定する工程とをさらに備える、請求項16に記載の方法。
  18. 所定の設計ターゲットを達成するためにプロセスの前プロセス特性を調整すべき大きさおよび方向を決定することを容易にする方法であって、前記前プロセス特性は、当該プロセスによって生成される物品の物品特性に対応し、
    プロセスから生じる複数の物品特性にバラツキがある一揃いの単一物品群に関連付けられた、複数の物品特性の値を受け取る工程を備え、前記一揃いの単一物品群は、ある工程設定で前記プロセスを実行することにより生成され、前記複数の物品特性の値は、当該物品群の各々を測定することで取得され、
    前記一組の物品特性のうち、物品特性間の相関関係に依存して他の物品特性の値を予測するために用いられる、一つの物品特性である予測因子特性を選択する工程とを備え、前記予測因子特性を選択する工程は、任意の2つの前記物品特性の間で相関係数をそれぞれ計算し、各物品特性について、計算された他の物品特性に関する相関係数の複数についての絶対値の平均値を計算し、計算された複数の平均値のうち最大値をとる平均値に対応する物品特性を前記予測因子特性として決定する工程を含み、さらに、
    前記予測因子特性と前記複数の物品特性のうち残りの物品特性の各々との間でそれぞれの回帰式を決定する工程と、
    前記回帰式の各々に係る予測因子特性および物品特性に対するそれぞれのターゲット値を受け取る工程とを備え、前記ターゲット値の各々は、当該工程設定で前記プロセスにおいて生成される物品が満たすべき設計値であり、
    決定した回帰式のうち1つの回帰式に係る予測因子特性および物品特性について、当該回帰式が定義されるグラフ上において、前記予測因子特性に対するターゲット値と前記物品特性に対するターゲット値とが交差する座標を設定する工程と、
    前記グラフ上において、前記交差する座標からの前記回帰式を示す回帰線までの距離および方向を、対応する物品特性についてのオフセットの大きさおよび方向として計算する工程とを備え、計算する工程は、
    (1)前記グラフ上において、前記交差する座標と前記回帰線との間の垂直方向における距離および方向を計算する工程、
    (2)前記グラフ上において、前記交差する座標と前記回帰線との間の水平方向における距離および方向を計算する工程、および
    (3)前記グラフ上において、前記交差する座標と前記回帰線との間の前記回帰線に垂直な方向における距離および方向を計算する工程、のうちいずれか一つを含み、
    計算された前記オフセットの大きさおよび方向を、対応する物品特性を特定するための識別子と関連付けてデータ構造内に保存する工程と、
    決定した回帰式の全てについて、計算する工程、設定する工程、および保存する工程を繰り返すことでオフセット表を生成する工程と、
    前記オフセット表を参照して、前記複数の物品特性のうち前記前プロセス特性において修正すべき物品特性、および、その修正量を決定する工程とを備える、方法。
  19. 前記オフセットの大きさおよび方向を、対応する物品特性と関連付けて表示する工程を
    さらに備える、請求項18に記載の方法。
  20. 少なくとも一の物品特性に対応する設計許容の緩和に関連付けられたプロセスによって生成される物品の予測因子特性に対して、動作範囲における達成可能な増分に対して最も制約となっている物品特性を判断する方法であって、前記予測因子特性は、物品特性間の相関関係に依存して、他の物品特性の値を予測するために用いられる物品特性であり、
    複数の物品特性にバラツキがある一揃いの単一物品群に関連付けられた、複数の物品特性の値を受け取る工程を備え、前記一揃いの単一物品群は、一つ以上の工程設定で前記プロセスを実行することにより生成され、前記複数の物品特性の値は、前記一揃いの単一物品群の各々を測定することで取得され、
    前記複数の物品特性に含まれる、任意の2つの前記物品特性の間で相関係数をそれぞれ計算する工程と、
    各物品特性について、前記予測因子特性とした場合の能力を示す予測可能性値を計算する工程とを備え、前記予測可能性値は、前記計算された他の物品特性に関する相関係数の絶対値の平均であり、さらに、
    計算された予測可能性値のうち最大値をとる予測可能性値に対応する物品特性を前記予測因子特性として選択する工程と、
    前記予測因子特性の値と前記複数の物品特性のうち残りの物品特性の値との間の回帰式を決定する工程とを備え、
    前記回帰式に係る予測因子特性および物品特性に対するそれぞれの仕様下限および仕様上限を受け取る工程と、
    前記回帰式と前記回帰式に係る物品特性に対する前記仕様下限との交点、および、前記回帰式と前記回帰式に係る物品特性に対する前記仕様上限との交点を決定することで、前記回帰式に係る物品特性に対する、予測因子特性の最小値および予測因子特性の最大値を計算する工程と、
    所望の残りの物品特性の全てについて、決定する工程、受け取る工程、および計算する工程を繰り返す工程と、
    前記残りの物品特性を、前記残りの物品特性のそれぞれに関連付けられた前記予測因子特性の最小値でソートすることによって、最も制約となっている予測因子特性の最小値についてのリストを作成する工程と、
    前記残りの物品特性を、前記残りの物品特性のそれぞれに関連付けられた前記予測因子特性の最大値でソートすることによって、最も制約となっている予測因子特性の最大値についてのリストを作成する工程とを備え、
    前記動作範囲は、最も制約となっている予測因子特性の最小値についてのリストにおける最も大きな予測因子特性の最小値、または、設計許容の緩和の対象となった物品特性に関連付けられた予測因子特性の最小値と、最も制約となっている予測因子特性の最大値についてのリストにおける最も小さな予測因子特性の最大値、または、設計許容の緩和の対象となった物品特性に関連付けられた予測因子特性の最大値との差である、方法。
  21. 前記予測因子特性の最小値のうち最も大きな値を有するものに関連付けられた前記残りの物品特性から、以下のステップを開始する工程をさらに備え、前記以下のステップは、
    前記残りの物品特性の適用可能な仕様限界を、前記ソートされたリストにおいて次に位置している残りの物品特性に関連付けられた予測因子特性の最小値に対応する値まで緩和することによって得られる、動作範囲における個別の増分を計算する工程を含み、前記個別の増分を計算する工程は、対応する回帰式において緩和された仕様限界との交点を判断することで、前記緩和後の仕様限界についての、予測因子特性の最小値および予測因子特性の最大値を算出し、前記緩和後の予測因子特性の最大値に対する前記緩和後の予測因子特性の最小値の比と、前記緩和前の予測因子特性の最大値に対する緩和前の予測因子特
    性の最小値の比との差を、前記個別の増分として算出し、さらに
    前記個別の増分をそれぞれ累積することで、対応する物品特性の適用可能な仕様限界の緩和に関連付けられた累積増分を計算する工程と、
    所望の残りの物品特性の全てについて上記の2つの計算する工程を繰り返す工程とを含む、請求項20に記載の方法。
  22. 前記予測因子特性の最大値のうち最も小さな値を有するものに関連付けられた前記残りの物品特性から、以下のステップを開始する工程をさらに備え、前記以下のステップは、
    前記残りの物品特性の適用可能な仕様限界を、前記ソートされたリストにおいて次に位置している残りの物品特性に関連付けられた予測因子特性の最大値に対応する値まで緩和することによって得られる、動作範囲における個別の増分を計算する前記工程と、
    前記個別の増分をそれぞれ累積することで、対応する物品特性の適用可能な仕様限界の緩和に関連付けられた累積増加を計算する工程と、
    所望の残りの物品特性の全てについて上記の2つの計算する工程を繰り返す工程とを含む、請求項21に記載の方法。
  23. 最も制約となっている予測因子特性の最小値についてのリスト、および、最も制約となっている予測因子特性の最大値についてのリストのうち、一方または双方から少なくとも一つの残りの物品特性の選択を受け取る工程と、
    前記選択が前記最も制約となっている予測因子特性の最小値についてのリストからの前記残りの物品特性の選択を含むなら、前記予測因子特性の最小値を、前記最も制約となっている予測因子特性の最小値についてのリストにおいて次に位置している物品特性に対応する予測因子特性の最小値に設定するとともに、前記最も制約となっている予測因子特性の最小値についてのリストにおいて前記選択された物品特性までの全ての物品特性に対して設定する工程と、
    前記物品特性に対して新たな仕様下限または仕様上限を決定する工程と、
    前記選択が前記最も制約となっている予測因子特性の最大値についてのリストからの前記残りの物品特性の選択を含むなら、前記予測因子特性の最大値を、前記最も制約となっている予測因子特性の最大値についてのリストにおいて次に位置している物品特性に対応する予測因子特性の最大値に設定するとともに、前記最も制約となっている予測因子特性の最大値についてのリストにおいて前記選択された物品特性までの全ての物品特性に対して設定する工程と、
    前記物品特性に対して新たな仕様下限または仕様上限を決定する工程とをさらに備える、請求項22に記載の方法。
  24. プロセスから生じる物品群に対応する一組の物品特性の値を統計処理することで当該プロセス分析に必要な評価を行う装置であって、
    複数の物品特性にバラツキがある一揃いの単一物品群に関連付けられた、複数の物品特性の値を入力するデータインプットモジュールを備え、前記一揃いの単一物品群は、一つ以上の工程設定で前記プロセスを実行することにより生成され、前記複数の物品特性の値は、前記一揃いの単一物品群の各々を測定することで取得され、前記装置はさらに、
    前記一組の物品特性のうち、物品特性間の相関関係に依存して、他の物品特性の値を予測するために用いられる物品特性である予測因子特性を選択する選択モジュールと、
    前記複数の物品特性を表示するとともに、表示された前記複数の物品特性のいずれかに対しての前記予測因子特性としての選択を可能にするグラフィカルユーザインターフェイスと、
    前記予測因子特性の値と前記複数の物品特性に含まれる残りの物品特性の少なくとも一つの値との間の回帰式を決定する回帰モジュールと、
    決定した回帰式を用いて、当該プロセスによって生成され得る物品群について、前記回帰式に係る予測因子特性の値および物品特性の値についての評価を可能にするユーザインターフェイスとを備え、
    前記選択モジュールは、
    前記複数の物品特性に含まれる、任意の2つの前記物品特性の間で相関係数をそれぞれ計算し、
    前記複数の物品特性について予測可能性値をそれぞれ計算し、ある物品特性についての前記予測可能性値は、当該物品特性に対応する相関係数の関数であり、前記選択するモジュールはさらに、
    前記複数の物品特性のリストを前記ユーザインターフェイスに表示し、
    前記ユーザインターフェイスに表示された前記複数の物品特性のいずれかから、前記予測因子特性としての選択を、前記グラフィカルユーザインターフェイスを介してユーザから受付け、
    前記評価する処理は、
    (1)当該プロセスによって生成され得る物品群について、予測因子特性に対応するすべての値に関して、前記回帰式に係る物品特性の値がそれぞれの仕様限界に適合しているか否かを判断する処理、
    (2)当該プロセスに対して設定され得る工程設定に従って、前記回帰式に係る予測因子特性および物品特性の値が仕様限界内である物品群を製造できるかを判断する処理、および
    (3)当該プロセスについて、前記回帰式に係る物品特性の値が対応の仕様限界に適合するように、前記予測因子特性の最小値を決定する処理、
    (4)当該プロセスについて、前記回帰式に係る物品特性の値が対応の仕様限界に適合するように、前記予測因子特性の最大値を決定する処理、
    (5)当該回帰式が定義されるグラフ上において、予測因子特性および物品特性に対するターゲット仕様値と前記回帰式を示す回帰線との間の距離を決定する処理、のうち少なくとも1つを含む、装置。
  25. 前記複数の物品特性に含まれる、任意の2つの前記物品特性の間で相関係数をそれぞれ計算するとともに、前記複数の物品特性の各々について、前記複数の物品特性のうち他の一つに関連して計算された相関係数を前記予測因子特性を生成するために処理することで、前記予測因子特性としての能力を示す予測可能性値を計算する相関モジュールをさらに備え、
    前記ユーザインターフェイスは、さらに、前記予測可能性値に従ってソートされた、前記複数の物品特性のリストを表示する、請求項24に記載の装置。
  26. 前記データインプットモジュールは、さらに、前記回帰式に係る予測因子特性および物品特性に対するそれぞれのターゲット値を受け取るように構成されており、
    前記回帰モジュールは、さらに、
    前記予測因子特性に対するターゲット値と前記物品特性に対するターゲット値との交点が前記回帰式と交わるか否かを評価することで、前記予測因子特性の値および物品特性の値がそれぞれのターゲット値に適合している物品群を製造できるか否かを判断するように構成されている、請求項24に記載の装置。
  27. 前記回帰モジュールは、前記回帰式に係る物品特性の上限予測区間および下限予測区間の夫々を決定するように構成されている、請求項24に記載の装置。
  28. 前記データインプットモジュールは、
    前記回帰式に係る物品特性に対する仕様下限および仕様上限を受け取り、
    前記予測因子特性に対する仕様下限および仕様上限を受け取り、
    前記回帰式に係る物品特性に対する仕様下限および仕様上限を設定し、
    前記予測因子特性に対する仕様下限および仕様上限を設定し、
    (1)前記予測因子特性に対する仕様上限、および、(2)前記上限予測区間が前記物品特性に対する仕様上限と交差する位置における前記予測因子特性の値、のうち小さい方を選択することによって、前記予測因子特性の最大値を決定する、ように構成されている、請求項27に記載の装置。
  29. 前記回帰モジュールは、
    前記複数の物品特性のうち所望数の残りの物品特性について、前記予測因子特性の最大値を決定する工程を繰り返し、
    前記予測因子特性の最大値のうち最も小さなものを選択することによって、前記予測因子特性の最も制約されている最大値を決定するように構成されている、請求項28に記載の装置。
  30. 前記相関モジュールは、前記計算された前記物品特性と残りの物品特性との間の複数の相関係数の絶対値の平均を計算することで、前記物品特性に対する前記予測可能性値を決定するように構成されている、請求項25に記載の装置。
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