JP4764253B2 - インバータ一体型電動圧縮機 - Google Patents
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Description
また、電動圧縮機としては、圧縮機構および電動機をハウジング内に一体的に内蔵した密閉型電動圧縮機が採用され、さらには、空調負荷に応じて圧縮機の回転数を可変制御するため、電源から入力される電力を、インバータを介して電動機に供給するようにしたものが多く採用されている。
しかして、特許文献1に示されたものでは、複数の制御基板をハウジングの外周に沿ってインバータボックス内に設置するようにしているため、インバータボックスがハウジング外周に沿う大きな形状のものとなってしまい、圧縮機の据付スペースがますます狭隘化しつつある車両用空調装置にあって、圧縮機据付上の大きな制約条件となる。
しかし、上方に設置される基板は、下部基板の上方において、基板の4隅をインバータボックスにネジ止め等によって固定するしかなく、このため、上部基板に圧縮機の回転振動やエンジン振動あるいは路面振動等の外部振動がインバータボックスを介して伝達されると、上部基板が固有振動数で共振して大きな振動を引き起こし、故障を誘発するおそれがある。
すなわち、本発明にかかるインバータ一体型電動圧縮機は、ハウジング外周に一体成形されたインバータボックスと、該インバータボックス内に設置されたインバータ制御回路とを備えたインバータ一体型電動圧縮機において、前記インバータ制御回路は、制御基板である上部基板と下部基板とを有し、前記下部基板は、その下面を前記インバータボックスの下部に設けられている基板取り付け部に固定され、前記上部基板は、前記下部基板の上方部位において、前記インバータボックス内に充填されるゲル状樹脂材中に浮かせて設置されていることを特徴とする。
本発明では、更に、上部基板をインバータボックス内に充填されるゲル状樹脂材中に浮かせて設置しているため、上記振動の上部基板への伝達を低減できるとともに、上部基板の固有振動数を高くすることができる。このため、上下に分割して設置した上部基板および下部基板の固有振動数での共振による大きな振動を共に抑制し、両基板の耐振性を向上させることができる。また、インバータボックスをハウジング外周に一体成形しているため、内部に設置される基板を、ハウジング内を流通する低圧冷媒によって強制冷却することができる。
また、電動圧縮機のハウジングに一体成形されたインバータボックス内に、上部基板および下部基板を設置するようにしているため、これら基板に対して、ハウジング内を流通する低圧冷媒による強制冷却機能を確保することができる。
また、下部基板の下面をインバータボックス下部の基板取り付け部にしっかりと固定設置し、上部基板をインバータボックス内に充填されるゲル状樹脂材中に浮かせて設置するようにしているため、これら基板に外部振動が伝わり、両基板が固有振動数で共振することによって生じる両基板の大きな振動を共に抑制することができる。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1ないし図3を用いて説明する。
図1には、本実施形態にかかるインバータ一体型電動圧縮機の一部を破断した側面図が示され、図2には、図1に示すインバータ一体型電動圧縮機のハウジングを構成する電動機側ハウジングの断面図が示され、図3には、インバータボックスを模式的に示した断面図が示されている。
本実施形態にかかるインバータ一体型電動圧縮機1は、圧縮機側ハウジング5と電動機側ハウジング7とを、その間に軸受け部材9を挟んでボルト11により締め付け固定することにより構成される密閉ハウジング3を有する。
インバータ21の制御回路23を構成する制御基板は、上部基板25Aと下部基板25Bとに分割されており、ここでは、上部基板25Aは、CPU等の低電圧で動作する素子を備えたCPU基板とされ、下部基板25Bは、IGBT等のパワー素子を備えたパワー基板とされている。なお、本実施形態においては、インバータ21の構成機器として、インバータ制御回路23を構成する上部基板25Aおよび下部基板25Bのみが示され、他の機器は図示省略されているものとする。
また、インバータボックス27の上部内面には、下部基板25Bに対して所定間隔を保って上部基板25A、すなわちCPU等の低電圧で動作する素子を備えたCPU基板の端部を、載置するための支持突起31が突設されている。この支持突起31は、後述のように、上部基板25Aをインバータボックス27内に充填されるゲル状樹脂材33中に浮かせて設置するため、上部基板25Aを仮置きするものである。
ゲル状樹脂材33は、下部基板25Bを基板取り付け部29に固定設置した後、その上方部位において、上部基板25Aを支持突起31上に仮置きした状態で、インバータボックス27の上面開口から流し込むことにより充填される。これによって、上部基板25Aは、下部基板25Bの上方部位において、インバータボックス27内に充填されるゲル状樹脂材33中に浮かせて設置されることになる。なお、上部基板25Aをゲル状樹脂材33中に浮かせて設置するため、支持突起31に替えて、上部基板25Aを紐状のもので上方から吊った状態で支持し、ゲル状樹脂材33を充填するようにしてもよい。
なお、インバータ制御回路23は、図示省略のインバータ出力端子、リード線、モータ端子等を介して電動機15に電気的に接続されることは言うまでもない。
一方、上部基板25Aは、インバータボックス27内に充填されたゲル状樹脂材33中に浮かせて設置されるため、上記振動の伝達を低減することができるとともに、上部基板25Aは、非拘束状態に置かれることになるため、上部基板25Aには拘束力が発生することがなく、該基板に対する応力を低減することができる。このため、上部基板25Aが上記の振動伝達により固有振動数で共振し、大きく振動するのを抑制することができる。
これによって、両基板25A,25Bの耐振性を向上させることができる。
インバータ制御回路23を構成する制御基板を、上部基板25Aと下部基板25Bとに分割し、これをインバータボックス27内に上下に所定間隔を保って設置するようにしているため、ハウジング3と一体成形するインバータボックス27を小さくして、電動圧縮機1自体をコンパクト化することができる。このため、特にスペース的に厳しい車両用空調装置において、インバータ一体型電動圧縮機1の据付性を改善することができる。
さらには、下部基板25Bの下面をインバータボックス27下部の基板取り付け部29にしっかりと固定設置し、上部基板25Aをインバータボックス27内に充填されるゲル状樹脂材33中に浮かせて設置するようにしているため、これら両基板25A,25Bに外部振動が伝わることに起因する固有振動数での共振による大きな振動を抑制することができ、両基板25A,25Bの耐振性を向上させることができる。
次に、本発明の第2実施形態について、図4を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第1実施形態に対して、上部基板25Aの支持構造が異なるのみである。その他の点については、第1実施形態と同様であるので、説明は省略する。
図4は、インバータボックス27を模式的に示した断面図である。
本実施形態では、インバータボックス27内にゲル状樹脂材33を充填する際に、上部基板25Aを所定の設置位置に位置決めするため、インバータボックス27内の上方部位に上下一対の支持突起131A、131Bが設けられている。上部基板25Aは、その端部がこの一対の支持突起131A、131B間にゴム等の弾性材133を介して弾性支持されるようになっている。
次に、本発明の第3実施形態について、図5を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第2実施形態に対して、上下一対の支持突起131A、131Bの構成が異なるのみである。その他の点については、第2実施形態と同様であるので、説明は省略する。
図5は、インバータボックス27を模式的に示した断面図である。
本実施形態では、上下一対の支持突起のうち、上方側の支持突起131Cをインバータボックス27の蓋部材35側に設けている。
なお、支持突起131Cを設けた蓋部材35を、図3に示された第1実施形態に適用してもよい。
次に、本発明の第4実施形態について、図6を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第1ないし第3実施形態に対して、上部基板25Aの構成が異なるのみである。その他の点については、第1ないし第3実施形態と同様であるので、説明は省略する。
図6は、インバータボックス27の上面斜視図である。
本実施形態においては、上部基板25Aの適所に貫通孔125が少なくとも1個以上設けられている。
なお、貫通孔125は、該貫通孔125を通してゲル状樹脂材33を流動させる機能を有する必要があるため、孔径は、例えば10mm程度とされる。即ち、この孔径は、基板の表裏面間を導通させるために形成されるスルーホールよりも大きなものとされる。
3 ハウジング
7 電動機側ハウジング
13 スクロール圧縮機構
15 電動機
21 インバータ
23 インバータ制御回路
25A 上部基板
25B 下部基板
27 インバータボックス
29 基板取り付け部
31 支持突起
33 ゲル状樹脂材
35 蓋部材
125 貫通孔
131A,131B,131C 支持突起
133 弾性材
Claims (6)
- ハウジング外周に一体成形されたインバータボックスと、該インバータボックス内に設置されたインバータ制御回路とを備えたインバータ一体型電動圧縮機において、
前記インバータ制御回路は、制御基板である上部基板と下部基板とを有し、
前記下部基板は、その下面を前記インバータボックスの下部に設けられている基板取り付け部に固定され、
前記上部基板は、前記下部基板の上方部位において、前記インバータボックス内に充填されるゲル状樹脂材中に浮かせて設置されていることを特徴とするインバータ一体型電動圧縮機。 - 前記下部基板は、パワー素子を備えたパワー基板とされ、前記上部基板は、CPU等の低電圧で動作する素子を備えたCPU基板とされていることを特徴とする請求項1に記載のインバータ一体型電動圧縮機。
- 前記インバータボックス内には、前記ゲル状樹脂材の充填時に前記上部基板の端部を支持する支持突起が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のインバータ一体型電動圧縮機。
- 前記支持突起は、前記インバータボックス内に上下に一対設けられ、
該一対の支持突起間には、前記上部基板の端部を弾性支持する弾性材が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のインバータ一体型電動圧縮機。 - 前記一対の支持突起のうち上方側の支持突起は、前記インバータボックスの上面に取り付けられる蓋部材に設けられていることを特徴とする請求項4に記載のインバータ一体型電動圧縮機。
- 前記上部基板には、前記ゲル状樹脂材が流動可能な少なくとも1つ以上の貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のインバータ一体型電動圧縮機。
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