以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る基板保持台を用いた基板検査装置の構成の一例を示す外観斜視図である。図1に示す基板検査装置1は、略箱状の筐体2に収納されている。そして、基板検査装置1の外部には、例えばシリカゲルを用いて空気を乾燥させると共にシリカゲルを加熱して乾燥する空気乾燥機3と、空気乾燥機3で乾燥されると共に加熱されたシリカゲルによって温度が上昇した空気を冷却する空気冷却機4とがダクトによって基板検査装置1と接続されている。また、空気乾燥機6が、ダクトによって基板検査装置1と接続されている。
空気乾燥機3と空気冷却機4とは、筐体2内部の空気を循環させて、例えば零度以下の露点(特に限定されるものではないが、露点温度0℃〜−10℃)となるように乾燥させる。また、空気乾燥機6は、例えば高分子膜に空気を透過させることにより空気を乾燥させる空気乾燥機で、例えば被検査基板の冷却温度より低い露点温度(特に限定されるものではないが、露点温度−10℃〜―70℃)の乾燥した空気を基板検査装置1へ供給する。
筐体2には、操作表示部11,12と、検査対象の基板を受け入れる受入口13と、検査終了後の基板を排出する排出口14と、例えばCRT(Cathode Ray Tube)により構成されたモニタ15と、筐体2内部を目視確認できる窓16,17とが設けられている。操作表示部11,12は、例えばタッチパネル式液晶表示器等から構成され、ユーザーからの検査の実行指示等の操作指示を受け付けたり、被検査基板の検査結果を表示したりする。
図2は、基板検査装置1における筐体2の内部の構造の一例を示す概略構成図である。図3は、基板検査装置1の筐体2内部を上面視した概略構成を示す平面図である。図2、図3には、各図との方向関係を明確にするために、XYZ直交座標軸が示されている。ここで、Y軸は装置の奥行き方向、X軸は被検査基板を各検査ステージに搬送する方向、Z軸は被検査基板の面に垂直な方向である。
図2に示す基板検査装置1は、投入ワークホルダ21(受入部)、冷却保持部22(基板保持台)、予熱保持部23、加熱保持部24(基板保持台)、収納ワークホルダ25(収納部)、蓋体26,27,30、固定蓋体28,29、複数のノズル31(エア吹付部)、搬送部32、カメラ33,34、非接触温度計35,36、移動式プローブ37,38、吸引ポンプ39(吸引部)、ドライエア吹出口51、及びドライエア排出口52を備えている。
ドライエア吹出口51は、ダクトを介して空気冷却機4と接続されており、空気乾燥機3と空気冷却機4とによって、例えば、零度以下の露点(特に限定されるものではないが、露点温度0℃〜−10℃)を有する乾燥空気を筐体2内に供給する。ドライエア排出口52は、ダクトを介して空気乾燥機3と接続されており、筐体2内の空気を空気乾燥機3へ排出して筐体2内部の空気を循環させる。
蓋体26及び蓋体27は、X軸方向にスライド自在に構成され、図略の駆動機構によりスライド移動されて冷却保持部22又は加熱保持部24の上部開口部をそれぞれ開閉可能にされている。また、蓋体30は、Y軸方向にスライド自在に構成され、図略の駆動機構によりスライド移動されて予熱保持部23の上部開口部を開閉可能にされている。吸引ポンプ39は、搬送部32、冷却保持部22、予熱保持部23、及び加熱保持部24に接続された図略のチューブを介して空気を吸引する。
また、基板検査装置1は、Y軸方向に延びるガイドレール41(第1の移送部)及びガイドレール42(第2の移送部)と、X軸方向に延びるガイドレール43と、X軸方向に延びる2本のガイドレール44,44と、ガイドレール44,44間を掛け渡すようにY軸方向に延びるガイドレール45,46とを備えている。そして、図略の駆動機構によって、ガイドレール41に沿って冷却保持部22がスライド自在に構成され、ガイドレール42に沿って加熱保持部24がスライド自在に構成され、ガイドレール43に沿って搬送部32がスライド自在に構成され、ガイドレール44,44に沿ってガイドレール45,46がそれぞれスライド自在に構成されている。
また、ガイドレール45,46には昇降機構47,48がそれぞれ相対向する向きに取り付けられ、昇降機構47,48は、ガイドレール45,46に沿って図略の駆動機構によりスライド自在に構成されている。そして、昇降機構47,48の相対向する位置には、移動式プローブ37,38がそれぞれ取り付けられ、昇降機構47,48によってZ軸方向に昇降自在にされている。これにより、移動式プローブ37,38は、それぞれX,Y,Z軸方向に移動可能にされている。
図4は、投入ワークホルダ21の詳細の一例を示す斜視図である。図4に示す投入ワークホルダ21は、方形の被検査基板8が載置された状態を示している。そして、投入ワークホルダ21の上面には、被検査基板8の四つ角を支持するように形成された凹部211が5つ一列に並べて形成されており、ユーザが凹部211に被検査基板8をはめ込むことにより、被検査基板8が所定位置に位置決めされるようになっている。
投入ワークホルダ21の端部には、取っ手212が取り付けられており、ユーザが取っ手212を引っ張ることにより、投入ワークホルダ21が筐体2から引き出されて被検査基板8を投入ワークホルダ21に載置可能となり、ユーザが投入ワークホルダ21における凹部211に被検査基板8をはめ込んで、投入ワークホルダ21を筐体2に押し込むことにより、被検査基板8が基板検査装置1に受け入れられるようになっている。
図5は、被検査基板8の表裏の一例を示す図である。図5に示す被検査基板8は、例えばBGA(Ball Grid Array)等のICパッケージに用いられるパッケージ基板であり、ダイ82が実装された状態にされている。図5(a)はハンダボールによって回路基板に接続されるパット81等の配線パターンが設けられている側の外観を示し、図5(b)はダイ82が実装された被検査基板8を側面視した図であり、図5(c)は被検査基板8におけるダイ82が実装された側の外観を示す平面図である。
図5に示す被検査基板8において、パット81は被検査基板8の内層に形成された配線パターンやインナーバイア及び基板表面に形成された配線パターン83等の配線を介してそれぞれダイ82に接続され、ダイ82を介して他のパット81に接続されている。なお、被検査基板8は、BGAのパッケージ基板には限られず、ダイ82が実装されていないものの場合もあり、ダイ82を介さず直接パット81等の検査点となる配線パターン同士が導通するものの場合もある。
図6は、本発明の一実施形態に係る基板保持台の一例である冷却保持部22の構成を示す外観斜視図である。図6に示す冷却保持部22は、例えばアルミ等、熱伝導率の高い材料を用いて構成された略板状の冷却プレート221と、冷却プレート221上に列をなして五つ設けられた載置部222a,222b,222c,222d,222e(保持部)と、載置部222a,222b,222c,222d,222eの周囲を囲むように設けられた壁状の側壁部223と、側壁部223により囲まれた空間を載置部222a,222b,222c,222d,222e毎に仕切る複数の仕切板224(隔壁)と、冷却プレート221を冷却する冷却器220(温度付与手段)とを備えて構成されている。冷却器220は、例えば冷却プレート221の下部に配設された図略のペルチェ素子と、当該ペルチェ素子における放熱部を空冷する冷却ファン225とを備えて構成されている。
図7は、載置部222a及び載置部222aを囲む側壁部223と仕切板224とを示す部分拡大図である。図7に示す載置部222aにおいて、側壁部223及び仕切板224により囲まれた載置部222aにおける四辺の近傍に、空気乾燥機6から供給された、被検査基板の冷却温度より露点温度が低い乾燥した空気を放出する孔226(ドライエア供給部)が設けられている。また、載置部222aにおける冷却プレート221の略中央に、ダイ82と略同一形状の凹部227が形成され、凹部227の略中央に、吸引ポンプ39と図略のチューブを介して接続された孔228が設けられている。
また、載置部222aにおける冷却プレート221の上面に、凹部227と孔226とを避けるようにシート部材229が密着して取り付けられている。さらに、凹部227の底部には、凹部227の周囲、及び孔228を中心として十文字すなわち孔228から放射状に溝271を形成するように、四つの小片にされたシート部材272が密着して取り付けられている。すなわち、略方形の四つのシート部材272が、互いに間隔を空けて碁盤の目状に並んで凹部227の底部に取り付けられることにより、当該間隔が溝271を形成するようにされている。そして、シート部材229とシート部材272とによって、ダイ82と嵌合する形状の凹部が形成されるようになっている。
シート部材229,272は、略板状の弾性を有する熱伝導性のシートであり、例えばシリコンゴムを用いて構成されている。シート部材229,272としては、例えば信越化学社製TC50TXEや、3M社製5509S等の熱伝導シートを用いることができる。また、この場合、溝271における十文字の中央部分が請求項における貫通孔に相当している。
なお、溝271は、孔228から放射状に拡がっていればよく、十文字状の溝に限らない。また、冷却プレート221には凹部227が形成されずに平坦にされ、冷却プレート221の平坦な上面にシート部材229が密着して取り付けられ、シート部材229の厚み内で凹部227を形成する構成としてもよい。また、凹部227を設けず、平坦な冷却プレート221の上面にシート部材229を密着して取り付け、平坦なシート部材229を貫通して孔228に達する貫通孔と、その貫通孔から放射状に拡がる溝とを設けてもよい。また、吸引ポンプ39を備えず、基板検査装置1の外部から供給された低圧の空気をチューブ(吸引部)によって孔228に供給する構成としてもよい。
載置部222b,222c,222d,222eの構成は、載置部222aの構成と同様であるのでその説明を省略する。
図8は、本発明の一実施形態に係る基板保持台の一例である予熱保持部23及び加熱保持部24の構成の一例を示す外観斜視図である。図8に示す予熱保持部23は、例えばアルミ等、熱伝導率の高い材料を用いて構成された略板状の予熱プレート231と、予熱プレート231上に列をなして五つ設けられた載置部232a,232b,232c,232d,232e(保持部)と、載置部232a,232b,232c,232d,232eの周囲を囲むように設けられた壁状の側壁部233と、側壁部233により囲まれた空間を載置部232a,232b,232c,232d,232e毎に仕切る複数の仕切板234(隔壁)と、予熱プレート231の下部に配設され、予熱プレート231を加熱する予熱用ヒータ235(温度付与手段)とを備えて構成されている。
また、加熱保持部24は、図8に示す予熱保持部23とほぼ同様の構成にされており、例えばアルミ等、熱伝導率の高い材料を用いて構成された略板状の加熱プレート241と、加熱プレート241上に列をなして五つ設けられた載置部242a,242b,242c,242d,242e(保持部)と、載置部242a,242b,242c,242d,242eの周囲を囲むように設けられた壁状の側壁部243と、側壁部243により囲まれた空間を載置部242a,242b,242c,242d,242e毎に仕切る複数の仕切板244(隔壁)と、加熱プレート241の下部に配設され、加熱プレート241を加熱する加熱用ヒータ245(温度付与手段)とを備えて構成されている。
図9は、加熱保持部24における載置部242a及び載置部242aを囲む側壁部243と仕切板244とを示す部分拡大図である。図9に示す載置部242aにおける加熱プレート241の略中央に、ダイ82と略同一形状の凹部247が形成され、凹部247の略中央に、吸引ポンプ39と図略のチューブを介して接続された孔248が設けられている。
また、載置部242aにおける加熱プレート241の上面に、凹部247を避けるようにシート部材249が密着して取り付けられている。さらに、凹部247の底部には、凹部247の周囲、及び孔248を中心として十文字すなわち孔248から放射状に溝250を形成するように、四つの小片にされたシート部材251が密着して取り付けられている。すなわち、略方形の四つのシート部材251が、互いに間隔を空けて碁盤の目状に並んで凹部247の底部に取り付けられることにより、当該間隔が溝250を形成するようにされている。これにより、シート部材249とシート部材251とによって、ダイ82と嵌合する形状の凹部が形成されるようになっている。
シート部材249,251は、シート部材229,272と同様の略板状の弾性を有する熱伝導性のシートであり、例えばシリコンゴムを用いて構成されている。また、この場合、溝250における十文字の中央部分が請求項における貫通孔に相当している。
なお、溝250は、孔248から放射状に拡がっていればよく、十文字状の溝に限らない。また、加熱プレート241には凹部247が形成されずに平坦にされ、加熱プレート241の平坦な上面にシート部材249が密着して取り付けられ、シート部材249の厚み内で凹部247を形成する構成としてもよい。また、凹部247を設けず、平坦な加熱プレート241の上面にシート部材249を密着して取り付け、平坦なシート部材249を貫通して孔248に達する貫通孔と、その貫通孔から放射状に拡がる溝とを設けてもよい。
加熱保持部24における載置部242b,242c,242d,242eの構成は、載置部242aの構成と同様であるのでその説明を省略する。また、予熱保持部23における載置部232a,232b,232c,232d,232eは、加熱保持部24における載置部242a,242b,242c,242d,242eと同様に凹部247、孔248、シート部材249,251、及び溝250を備えて構成されている。
図10は、蓋体26,27の構成の一例を示す分解斜視図である。蓋体26と蓋体27とは、同様の構成にされており、略板状のシート261が4枚と、冷却保持部22及び加熱保持部24における載置部222a〜222e及び載置部242a〜242eの位置と対応するように板状の部材に開口部が設けられたスペーサ262とが、スペーサ262をシート261の間に挟んで交互に積層されて構成されている。
これにより、蓋体26,27は、4枚のシート261によって3層の空気層を挟んだ断熱構造にされ、冷却保持部22への熱の侵入及び加熱保持部24からの熱の放出を低減するようになっている。
また、蓋体26,27の一方端側には、蓋体26,27の長手方向と垂直な方向に延びる長孔263が設けられている。長孔263は、カメラ33,34による被検査基板8のアライメント及び非接触温度計35,36による温度測定を行うための孔で、アライメントや温度測定の際に、長孔263を介して被検査基板8の画像を撮影したり、被検査基板8から放射される赤外線を検出したりするために必要な最小限の大きさにすることで、アライメントや温度測定を行う際における冷却保持部22及び加熱保持部24に載置された被検査基板8の温度変化を低減するようにされている。
図11は、蓋体30の構成の一例を示す説明図である。図11に示す蓋体30は、略板状のシート301が4枚と、予熱保持部23における載置部232a〜232eの位置と対応するように板状の部材に開口部が設けられたスペーサ302とが、スペーサ302をシート301の間に挟んで交互に積層されて構成されている。これにより、蓋体30は、蓋体26,27と同様にして、予熱保持部23からの熱の放出を低減するようになっている。
図12は、固定蓋体28,29の構成の一例を示す説明図である。固定蓋体28と固定蓋体29とは、略同一の構成にされており、蓋体26,27と同様に略板状のシート281が4枚と、冷却保持部22及び加熱保持部24における載置部222a〜222e及び載置部242a〜242eの位置と対応するように板状の部材に開口部が設けられたスペーサ282とが、スペーサ282をシート281の間に挟んで交互に積層されて構成されている。
これにより、固定蓋体28,29は、4枚のシート281によって3層の空気層を挟んだ断熱構造にされ、冷却保持部22への熱の侵入及び加熱保持部24からの熱の放出を低減するようになっている。
また、固定蓋体28,29の一方端側には、載置部222a〜222e及び載置部242a〜242eにおける載置部一箇所分と同じ又はより小さい大きさにされた開口部283が設けられている。開口部283は、移動式プローブ37,38を用いて冷却保持部22及び加熱保持部24に載置された被検査基板8の配線パターンの導通検査を行うための開口部で、載置部一箇所分の大きさ、すなわち移動式プローブ37,38による被検査基板8の検査のために必要な最小限の大きさにされているので、移動式プローブ37,38による検査中の被検査基板8以外の被検査基板8における温度変化を低減するようにされている。
図2に戻って、収納ワークホルダ25は、略長方形のテーブル状に構成されており、上面に、被検査基板8を五つ載置可能にされている。そして、収納ワークホルダ25の側部には、収納ワークホルダ25の上部に載置された五つの被検査基板8に向けて、空気乾燥機3から供給される常温の乾燥した空気を吹き付ける10本のノズル31が配設されている。収納ワークホルダ25には、加熱保持部24で例えば100°C程度の高温に加熱された被検査基板8が載置されるので、ノズル31によって収納ワークホルダ25上の被検査基板8に常温の空気を吹き付けることにより、被検査基板8を把持した際に人が火傷をすることのない40°C程度の温度まで被検査基板8を冷却する時間を短縮することができる。
収納ワークホルダ25の端部には、取っ手252が取り付けられており、ユーザが取っ手252を引っ張ることにより、収納ワークホルダ25が筐体2から引き出されて収納ワークホルダ25に載置された検査済みの被検査基板8を取り出し可能にされている。
搬送部32の下部には、被検査基板8を吸着するバキュームヘッド321が五つ配設されており、図略の昇降機構により、五つのバキュームヘッド321がZ軸方向に昇降可能にされている。また、五つのバキュームヘッド321は、図略のチューブを介して吸引ポンプ39と接続され、被検査基板8を吸着して保持するようになっている。
そして、搬送部32は、投入ワークホルダ21によって受け入れられ凹部211にはめ込まれた被検査基板8をバキュームヘッド321によって吸着して冷却保持部22における載置部222a〜222eへ搬送し、冷却保持部22に載置された被検査基板8をバキュームヘッド321によって吸着して予熱保持部23における載置部242a〜242eへ搬送し、予熱保持部23に載置された被検査基板8をバキュームヘッド321によって吸着して加熱保持部24における載置部242a〜242eへ搬送し、加熱保持部24に載置された被検査基板8をバキュームヘッド321によって吸着して収納ワークホルダ25へ搬送する。
カメラ33及びカメラ34は、冷却保持部22における載置部222a〜222e及び加熱保持部24における載置部242a〜242eにそれぞれ載置された被検査基板8のアライメントを行うための画像を撮影するカメラである。また、カメラ33,34によって撮影された画像はモニタ15へ出力され、ユーザがカメラ33,34によって撮影された画像を確認できるようになっている。
非接触温度計35,36は、例えば赤外線によって物体の表面温度を測定する非接触の温度計で、冷却保持部22における載置部222a〜222e及び加熱保持部24における載置部242a〜242eにそれぞれ載置された被検査基板8の温度を測定する。
図13は、移動式プローブ37,38の詳細を示す外観図である。移動式プローブ37と移動式プローブ38とは、同様の構成にされており、弾性を有する線状の導電性材料からなる2本のプローブ371と、筒状体の内部に2本のプローブ371を貫通させて被検査基板8の検査点に略垂直に支持する支持部材372とを備えている。そして、2本のプローブ371における検査点と接触する部分である先端部373を除き、2本のプローブ371の表面には絶縁被覆が形成されている。また、2本のプローブ371における先端部373の反対側は、2本の信号線374を介して後述する検査制御部50へそれぞれ接続されている。
これにより、二つの検査点間における導通を検査する場合、一方の検査点に移動式プローブ37の2本のプローブ371を圧接し、他方の検査点に移動式プローブ38の2本のプローブ371を圧接し、移動式プローブ37における一方のプローブ371と移動式プローブ38における一方のプローブ371との間に電流を流し、移動式プローブ37における他方のプローブ371と移動式プローブ38における他方のプローブ371との間に生じた電圧を測定することにより、四端子測定法による高精度の抵抗測定を行うようにされている。
図14は、基板検査装置1の電気的構成の一例を示すブロック図である。図14に示す基板検査装置1は、操作表示部11,12、モニタ15、カメラ33,34、非接触温度計35,36、吸引ポンプ39、移動式プローブ37,38、搬送駆動部40、プローブ駆動部49、検査制御部50、制御部60、温度調節器61,62,63、冷却器220、予熱用ヒータ235、及び加熱用ヒータ245を備えている。
温度調節器61,62,63は、制御部60により設定された設定温度に応じて温度制御を行う制御回路によって構成されており、例えばPID制御等に基づく温度制御を行ういわゆる電子式温度調節器が用いられる。温度調節器61は、冷却プレート221の温度を制御部60により設定された設定温度にさせるべく、冷却器220の動作を制御する。温度調節器62は、予熱プレート231の温度を制御部60により設定された設定温度にさせるべく、予熱用ヒータ235の動作を制御する。温度調節器63は、加熱プレート241の温度を制御部60により設定された設定温度にさせるべく、加熱用ヒータ245の動作を制御する。
搬送駆動部40(蓋体開閉部)は、例えばモータやギア、ベルト等の駆動機構により構成されており、制御部60からの制御信号に応じて、冷却保持部22をガイドレール41に沿ってY軸方向に移送したり、加熱保持部24をガイドレール42に沿ってY軸方向に移送したり、蓋体26をX軸方向にスライドさせて冷却保持部22の上部開口部を開閉したり、蓋体30をY軸方向にスライドさせて予熱保持部23の上部開口部を開閉したり、蓋体27をX軸方向にスライドさせて加熱保持部24の上部開口部を開閉したり、搬送部32をガイドレール43に沿ってX軸方向に移動させたり、バキュームヘッド321をZ軸方向に昇降させたりする。
プローブ駆動部49は、検査制御部50からの制御信号に応じて、移動式プローブ37をガイドレール44,45に沿ってX,Y軸方向に移動させたり昇降機構47によってZ軸方向に昇降させたりする。また、プローブ駆動部49は、検査制御部50からの制御信号に応じて、移動式プローブ38をガイドレール44,46に沿ってX,Y軸方向に移動させたり昇降機構48によってZ軸方向に昇降させたりする。
検査制御部50は、被検査基板8の検査を行う制御回路で、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、所定の制御プログラムが記録されたROM(Read Only Memory)と、データを一時的に記録するRAM(Random Access Memory)と、その周辺回路等とを備えて構成されている。
具体的には、検査制御部50は、制御部60からの制御信号に応じて、プローブ駆動部49へ制御信号を出力して移動式プローブ37,38をそれぞれ被検査基板8におけるパット81等の検査点へ移動させると共に圧接させ、移動式プローブ37,38に接続された信号線374を介して二箇所の検査点間における抵抗値を四端子測定法により測定する。このとき、検査制御部50は、制御部60から得られた検査点の位置のアライメント情報に応じて、移動式プローブ37,38を圧接させる位置を補正するようになっている。
そして、検査制御部50は、被検査基板8において予め設定された全ての検査点間について、抵抗値が予め設定された閾値以下であれば、当該被検査基板8は良品であると判定してその判定結果を示す信号を制御部60へ出力する一方、被検査基板8において予め設定されたいずれかの検査点間について、抵抗値が予め設定された閾値を超えていれば、当該被検査基板8は当該検査点間に導通不良があるものと判定し、その判定結果を示す信号を制御部60へ出力する。
なお、検査制御部50は、被検査基板8の良否判定を行うことなく各検査点間における抵抗測定値を制御部60へ出力してもよい。また、温度ストレスにより各検査点間において生じる抵抗値の変化は微小なものとなるので、高精度の抵抗値測定が可能な四端子測定法が適しているが、基本的には検査制御部50は、検査点間の抵抗測定を行うものであればよい。従って、検査制御部50は、必ずしも四端子測定法による抵抗測定を行うものに限られず、移動式プローブ37,38は、それぞれ一本ずつプローブ371を備えるものであってもよい。
また、移動式プローブ37,38の代わりに複数の検査点に多針状に保持された複数の検査用接触子を同時に押し当てて接触させ、それら複数の検査用接触子との間で選択的に検査用信号を入出力することにより各検査点間の抵抗測定を行うようにしてもよい。あるいは、移動式プローブ37,38の代わりに静電容量やレーザ光等を用いて非接触で配線パターンの検査を行うようにしてもよい。
制御部60は、基板検査装置1における全体の動作を制御する制御回路で、例えば所定の演算処理を実行するCPUと、所定の制御プログラムが記録されたROMと、データを一時的に記録するRAMと、その周辺回路等とを備えて構成されている。
具体的には、制御部60は、操作表示部11,12によって受け付けられたユーザの操作指示を示す信号を受信して、当該操作指示に応じて温度調節器61,62,63へ制御信号を出力し、温度調節器61,62,63の設定温度を設定することにより、温度調節器61,62,63による温度制御を開始させ、被検査基板8の冷却、加熱に先立って、予め冷却保持部22における冷却プレート221を所定の設定温度、例えば0°Cに冷却させ、予熱保持部23及び加熱保持部24における予熱プレート231及び加熱プレート241を所定の設定温度、例えば100°Cに加熱させる。
また、制御部60は、吸引ポンプ39に制御信号を出力して吸引動作を開始させ、被検査基板8を載置部222a〜222e、載置部232a〜232e、載置部242a〜242e、及びバキュームヘッド321に吸着させる。
そして、制御部60は、搬送駆動部40へ制御信号を出力して被検査基板8を冷却保持部22、予熱保持部23、及び加熱保持部24に順次搬送させつつ、検査制御部50に制御信号を出力して被検査基板8が冷却された状態と、加熱された状態とにおいて基板検査を行わせる。また、制御部60は、検査制御部50による被検査基板8の検査に際して、非接触温度計35,36により測定された被検査基板8の温度を取得して予め設定された温度範囲となっていることを確認し、カメラ33及びカメラ34により撮影された被検査基板8の画像から検査位置のアライメント情報を取得して検査制御部50へ送信した後、検査制御部50による被検査基板8の検査を実行させる。
次に、上述のように構成された基板検査装置1の動作について説明する。まず、空気乾燥機3及び空気冷却機4の電源が投入されると、空気乾燥機3及び空気冷却機4によって乾燥空気がドライエア吹出口51から筐体2内に供給されると共に筐体2内の空気がドライエア排出口52から空気冷却機4へ戻されて循環し、筐体2内に乾燥空気が充満する。これにより、冷却保持部22で冷却される被検査基板8の表面や、冷却保持部22の表面、及びその周辺部等、低温になる部分で結露が発生することが抑制される。
次に、空気乾燥機6の電源が投入されると、空気乾燥機6によって例えば露点温度−60°Cの乾燥した空気が冷却保持部22における冷却プレート221に設けられた孔226から載置部222a〜222eへ供給される。これにより、最も低温となる載置部222a〜222eにおいて結露が発生することが抑制される。
図15、図16は、基板検査装置1の動作を説明するための説明図である。以下、図2、図14、図15、図16を参照しつつ、基板検査装置1の動作を説明する。まず、操作表示部11によって、ユーザーからの検査の実行を開始する旨の操作指示が受け付けられると、制御部60からの制御信号に応じて、吸引ポンプ39による吸引が開始され、載置部222a〜222e、載置部232a〜232e、載置部242a〜242e、及びバキュームヘッド321が、被検査基板8を吸引可能な状態にされる。
次に、制御部60によって、温度調節器61の設定温度を例えば0°Cに設定する旨の制御信号が出力され、温度調節器61によって、冷却器220の動作が制御されて冷却保持部22における冷却プレート221の温度が例えば0°Cにされる(ステップS1)。
同様に、制御部60によって、温度調節器62,63の設定温度を例えば100°Cに設定する旨の制御信号が出力され、温度調節器62によって予熱用ヒータ235の動作が制御されて予熱保持部23における予熱プレート231の温度が100°Cにされる(ステップS2)と共に、温度調節器63によって加熱用ヒータ245の動作が制御されて加熱保持部24における加熱プレート241の温度が100°Cにされる(ステップS3)。
これにより、冷却保持部22による被検査基板8の冷却、予熱保持部23による被検査基板8の予熱、及び加熱保持部24による被検査基板8の加熱に先立って、予め冷却プレート221が所定の設定温度に冷却され、予熱プレート231及び加熱プレート241が所定の設定温度に加熱されると共に、冷却プレート221、予熱プレート231及び加熱プレート241の温度がそれぞれ設定温度に維持される。
次に、ユーザが取っ手212を引っ張ることにより投入ワークホルダ21が筐体2から引き出され、ユーザが投入ワークホルダ21の五箇所の凹部211に五つの被検査基板8をはめ込むように載置して投入ワークホルダ21を押し込むことにより、被検査基板8が基板検査装置1に投入され、受け入れられる(ステップS4)。
次に、制御部60からの制御信号に応じて、搬送部32により、投入ワークホルダ21に載置された五つの被検査基板8が冷却保持部22における載置部222a,222b,222c,222d,222eへそれぞれ搬送される(ステップS5)。そうすると、被検査基板8は、図7に示す載置部222aにおいて、ダイ82が凹部227にはめ込まれてダイ82の表面がシート部材272に密着し、被検査基板8におけるダイ82の周囲の基板部分がシート部材229に密着する。この場合、シート部材229,272は弾性を有するので、被検査基板8との密着度が向上する。
そして、吸引ポンプ39によって孔228から空気が吸引されるので、被検査基板8が吸着されてシート部材229,272に押し付けられ、さらに密着度が向上される。この場合、例えば被検査基板8に反りがある等、被検査基板8が平坦でない場合には、被検査基板8を載置部222aに載置しただけでは被検査基板8の表面がシート部材229,272と密着せず、部分的に浮き上がってしまうおそれがある。
しかし、載置部222aにおいては孔228から空気が吸引され、被検査基板8が吸着されてシート部材229,272に押し付けられるので、被検査基板8に反りがある場合であっても被検査基板8とシート部材229,272との密着度を向上させることができる。また、シート部材272には、孔228から放射状に形成された溝271が形成されているので被検査基板8の吸着面積が拡大し、載置部222aにおける被検査基板8の吸着力を向上させることができる。
さらに、被検査基板8がダイ82と逆側に凸に反っている場合、載置部222aにおいてダイ82、すなわち被検査基板8の中央部付近を吸着することにより基板の反りが矯正される。実験によれば、ダイ82と逆側に最大65.2μm凸に反っている場合、載置部222aによって被検査基板8の中央部付近を吸着した後に再度被検査基板8の基板の反りを測定すると反りの最大値が55.0μmとなり、基板の反りが10.2μm改善された。
なお、載置部222aを例に説明したが、載置部222b〜222eにおいても同様に、被検査基板8が吸着されてシート部材229,272と密着される。
そして、制御部60からの制御信号に応じて、搬送駆動部40によって蓋体26が冷却保持部22の上部にスライド移動され、載置部222a〜222eにおける側壁部223及び仕切板224の上端部からなる開口部が蓋体26によって閉蓋される。この場合、側壁部223及び仕切板224からなる上端開口部と、蓋体26とは、スライド可能な程度に微少な間隔を空けて閉蓋されるようになっている。
これにより、載置部222a〜222eにおいて吸着された被検査基板8は、側壁部223,仕切板224、及び蓋体26によって覆われ、外気から略遮断される。また、蓋体26は、4枚のシート261によって3層の空気層を挟んだ断熱構造にされているので、側壁部223,仕切板224、及び蓋体26によって覆われた空間への外部からの熱の侵入や、被検査基板8周辺の気流の乱れが低減される。この場合、側壁部223,仕切板224、及び蓋体26によって、カバー部材が構成されている。
なお、側壁部223,仕切板224、及び蓋体26によってカバー部材を構成する例に限られず、例えば有底筒状のカバー部材を被検査基板8に被せるようにして覆う構成としてもよい。
そして、載置部222a〜222eにおいて、側壁部223,仕切板224、及び蓋体26によって覆われた空間に、孔226から放出された乾燥空気、例えば露点温度−60°Cの空気が充満するので、載置部222a〜222e及び被検査基板8において結露が発生することが抑制される。
さらに、被検査基板8は、予め所定の設定温度、例えば0°Cにされた冷却プレート221によって、熱伝導性のシートであるシート部材229,272を介して冷却されるので、載置部222aに被検査基板8が載置されてから冷却プレート221を冷却する場合よりも被検査基板8の冷却速度を向上させることができる。
また、吸引ポンプ39によって被検査基板8が弾性を有するシート部材229,272に吸着され、密着度が向上されるので、被検査基板8と冷却プレート221との間における熱伝導率が増大され、冷却プレート221による被検査基板8の冷却速度が増大される。そして、シート部材229,272は、被検査基板8における一方表面全体と密着するので、被検査基板8の全体に渡って均一に冷却され、被検査基板8における各部の温度を均一化することができる。さらに、被検査基板8は、側壁部223,仕切板224、及び蓋体26によって覆われ、外部からの熱の侵入や被検査基板8周辺の気流の乱れが低減されるので、被検査基板8における各部の温度の均一性を向上させることができる。
図17、図18は、冷却保持部22により被検査基板8を冷却した場合の被検査基板8上の四隅近傍と中央付近とにおける温度変化を実験的に測定した結果を示すグラフである。図17は蓋体26を開蓋した状態で測定した結果を示すグラフであり、図18は蓋体26を閉蓋した状態で測定した結果を示すグラフである。
図17に示すように、蓋体26を開蓋した状態では、被検査基板8を載置部222aに吸着させ、冷却を開始(T0)してから22秒後(T1)における被検査基板8の温度は、最も温度が高い箇所で4.0℃、最も温度が低い箇所で1.3℃となり、さらに冷却を開始(T0)してから125秒後(T2)における被検査基板8の温度は、最も温度が高い箇所で2.5℃、最も温度が低い箇所で0.6℃となった。
一方、図18に示すように、蓋体26を閉蓋した状態では、被検査基板8を載置部222aに吸着させ、冷却を開始(T0)してから22秒後(T1)における被検査基板8の温度は、最も温度が高い箇所で2.6℃、最も温度が低い箇所で1.0℃となり、さらに冷却を開始(T0)してから125秒後(T2)における被検査基板8の温度は、最も温度が高い箇所で0.6℃、最も温度が低い箇所で−0.1℃となった。
以上のように、図17、図18に示す実験結果から、冷却時間T1において、蓋体26を開蓋した状態では、最高4.0℃、最低1.3℃であるのに対し、蓋体26を閉蓋した状態では、最高2.6℃、最低1.0℃となり、冷却時間T2において、蓋体26を開蓋した状態では、最高2.5℃、最低0.6℃であるのに対し、蓋体26を閉蓋した状態では、最高0.6℃、最低0.1℃となり、時間T1,T2のいずれにおいても蓋体26を閉蓋した場合の方が被検査基板8の温度が低くなり、蓋体26を閉蓋することにより、被検査基板8の冷却速度が増大することが確認できた。
また、同様に、図17、図18に示す実験結果から、冷却時間T1において、蓋体26を開蓋した状態では、最高温度と最低温度との差が2.7℃であるのに対し、蓋体26を閉蓋した状態では、最高温度と最低温度との差が1.7℃となり、冷却時間T2において、蓋体26を開蓋した状態では、最高温度と最低温度との差が1.9℃であるのに対し、蓋体26を閉蓋した状態では、最高温度と最低温度との差が0.6℃となり、蓋体26を閉蓋することにより、温度測定箇所による温度差が縮小し、被検査基板8における温度分布が均一化されることが確認できた。
このようにして、冷却保持部22により被検査基板8の冷却が行われる(ステップS6)。図19、図20、図21は、冷却保持部22による被検査基板8の冷却状態におけるアライメント、温度測定、及び基板検査動作を説明するための説明図である。図19、図20、図21において、後述する加熱保持部24による被検査基板8の加熱状態におけるアライメント、温度測定、及び基板検査動作もほぼ同様であるので、これら加熱状態における動作に関わる構成の符号も併せて記載している。
そして、ステップS6において図19に示すように、蓋体26を閉蓋した状態で冷却プレート221上の被検査基板8が冷却され、予め設定された所定時間、例えば30秒が経過すると、制御部60からの制御信号に応じて搬送駆動部40によって、冷却保持部22がガイドレール41に沿って移送され、図20に示すように、載置部222aに吸着されている被検査基板8が長孔263と対向する位置に位置決めされる。
そして、カメラ33によって、長孔263を介して載置部222aに吸着されている被検査基板8の画像が制御部60へ送信され、制御部60によってその被検査基板8の画像から検査位置のアライメント情報が取得されて検査制御部50へ送信され、検査制御部50によって、制御部60からのアライメント情報に基づいて、被検査基板8を検査するための位置情報が補正される(ステップS7)。また、非接触温度計35によって、長孔263を介して載置部222aに吸着されている被検査基板8の温度が測定されてその測定温度を示す温度データが制御部60へ送信され、制御部60によって、被検査基板8の温度が予め設定された温度範囲、例えば0℃±3℃になっているか否かが確認される(ステップS8)。この場合、長孔263は、カメラ33によって被検査基板8の画像を撮影したり、非接触温度計35によって被検査基板8から放射される赤外線を検出したりするために必要な最小限の大きさにされているので、空気が長孔263を介して出入りすることが低減され、被検査基板8の温度変化が低減される。
そして、被検査基板8の温度が例えば0℃±3℃の範囲に入っていなければ被検査基板8の温度が当該温度範囲となるまで待って、被検査基板8の温度が例えば0℃±3℃の範囲となれば、制御部60からの制御信号に応じて搬送駆動部40によって、冷却保持部22がガイドレール41に沿って載置部一つ分だけ移送され、載置部222bが長孔263と対向する位置に位置決めされ、ステップS7,S8の動作が繰り返される。この場合、載置部222a〜222eはそれぞれ仕切板224によって仕切られているので、アライメント処理中、及び温度測定中の被検査基板8以外の被検査基板8は、長孔263を介して出入りする空気にさらされることがなく、被検査基板8の温度変化が低減される。
このようにして載置部222a〜222eに吸着されている五枚の被検査基板8について、アライメント処理(ステップS7)と温度測定(ステップS8)が繰り返された後、制御部60からの制御信号に応じて搬送駆動部40によって、冷却保持部22がガイドレール41に沿って移送され、図21に示すように、載置部222aに吸着されている被検査基板8が開口部283と対向する位置(第1の検査位置)に位置決めされる。
そして、制御部60からの制御信号に応じて検査制御部50による基板検査が行われる(ステップS9)。具体的には、検査制御部50からの制御信号に応じて、プローブ駆動部49によって、移動式プローブ37,38が移動され、開口部283を介して被検査基板8における二箇所の検査点に移動式プローブ37,38におけるプローブ371の先端部373がそれぞれ圧接され、検査制御部50によって、当該二箇所の検査点間における抵抗値が四端子測定法により測定される。
そして、検査制御部50によって、載置部222aに吸着されている被検査基板8において予め設定された全ての検査点間について、抵抗値が予め設定された閾値以下であれば、当該被検査基板8は良品であると判定されてその判定結果を示す信号が制御部60へ出力される一方、被検査基板8において予め設定されたいずれかの検査点間について、抵抗値が予め設定された閾値を超えていれば、当該被検査基板8は導通不良があるものと判定され、その判定結果を示す信号が制御部60へ出力されることにより、基板検査が行われる。
この場合、開口部283は、載置部一箇所分の大きさにされており、載置部222a〜222eはそれぞれ仕切板224によって仕切られているので、検査制御部50による基板検査処理中の被検査基板8以外の被検査基板8は、開口部283を介して出入りする空気にさらされることがなく、被検査基板8の温度変化が低減される。
このようにして、載置部222aに吸着されている被検査基板8の基板検査が終了すると、制御部60からの制御信号に応じて搬送駆動部40によって、冷却保持部22がガイドレール41に沿って載置部一つ分だけ移送され、以降、検査制御部50による基板検査と搬送駆動部40による載置部一つ分の冷却保持部22の移送動作が繰り返されて、載置部222b〜222eに吸着されている各被検査基板8について基板検査が行われる(ステップS9)。
この場合、冷却プレート221には、五つの載置部222a〜222eが設けられ、同時に五つの被検査基板8を冷却することができるので、被検査基板8を一つずつ冷却する場合と比べて冷却時間を短縮することができる。また、五つの被検査基板8は、搬送部32によってガイドレール43に沿ってX軸方向に搬送されて冷却プレート221に載置され、冷却プレート221が搬送部32による搬送方向と交差するY軸方向に搬送された後に、被検査基板8を移動式プローブ37,38による検査が実行されるので、ガイドレール43に沿ってX軸方向に移動動作を行う搬送部32の移動範囲外に移動式プローブ37,38及びこれらを駆動するガイドレール44,45,46、昇降機構47,48、プローブ駆動部49等の移動式プローブにおける駆動機構を配設して、搬送部32と移動式プローブの駆動機構との干渉を避けることが容易となる。
そして、載置部222a〜222eに吸着されている被検査基板8のすべてについて基板検査が終了すると、制御部60からの制御信号に応じて、搬送駆動部40によって、冷却保持部22がガイドレール41に沿って図2におけるY軸方向手前側に移送され、蓋体26が開蓋され、搬送部32におけるバキュームヘッド321が、載置部222a〜222eにおける各被検査基板8を吸着可能な搬送位置(第1の搬送位置)に位置決めされる。
次に、制御部60からの制御信号に応じて、搬送部32により、冷却保持部22における載置部222a〜222eに載置された五つの被検査基板8が予熱保持部23における載置部232a〜232eへ搬送され、搬送駆動部40によって蓋体30が予熱保持部23の上部にスライド移動され、載置部232a〜232eにおける側壁部233及び仕切板234の上端部からなる開口部が蓋体30によって閉蓋される(ステップS10)。
そうすると、被検査基板8は、図9に示す載置部232aにおいて、ダイ82が凹部247にはめ込まれてダイ82の表面がシート部材251に密着し、被検査基板8におけるダイ82の周囲の基板部分がシート部材249に密着する。この場合、シート部材249,251は弾性を有するので、被検査基板8との密着度が向上する。
そして、上述したステップS5において冷却保持部22における載置部222a〜222eにより被検査基板8が吸着された場合と同様に、予熱保持部23における載置部232a〜232eにより被検査基板8が吸着され、被検査基板8とシート部材249,251とが密着される。これにより、被検査基板8は、予め所定の設定温度、例えば100°Cにされた予熱プレート231によって、熱伝導性のシートであるシート部材249,251を介して加熱されるので、載置部232a〜232eに被検査基板8が載置されてから予熱プレート231を加熱する場合よりも被検査基板8の加熱速度を向上させることができる。
また、吸引ポンプ39によって被検査基板8が弾性を有するシート部材249,251に吸着され、密着度が向上されるので、被検査基板8と予熱プレート231との間における熱伝導率が増大され、予熱プレート231による被検査基板8の加熱速度が増大される。そして、シート部材249,251は、被検査基板8における一方表面全体と密着するので、被検査基板8の全体に渡って均一に加熱され、被検査基板8における各部の温度を均一化することができる。
さらに、被検査基板8は、側壁部233,仕切板234、及び蓋体30によって覆われ、外部への放熱や被検査基板8周辺の気流の乱れが低減されるので、被検査基板8における各部の温度の均一性を向上させることができる。
このようにして、予熱保持部23によって、被検査基板8の加熱が行われる(ステップS11)。一方、ステップS6〜S10の処理が実行されている間、投入ワークホルダ21には被検査基板8が載置されていないので、ユーザは筐体2から投入ワークホルダ21を引き出して、新たな被検査基板8を五つ、投入ワークホルダ21に載置して投入ワークホルダ21を押し込むことにより基板検査装置1に投入することができる(ステップS12)。
これにより、ステップS6〜S10の処理と並行して新たな被検査基板8を基板検査装置1に投入することができるので、見かけ上、新たな被検査基板8を基板検査装置1に投入するために必要な作業時間をゼロにすることができ、被検査基板8の検査時間を短縮することができる。
そして、ステップS5,S6と同様に、ステップS11における被検査基板8の加熱と並行して搬送部32により投入ワークホルダ21に載置された新たな五つの被検査基板8が冷却保持部22における載置部222a〜222eへ搬送され(ステップS13)、冷却保持部22により新たな五つの被検査基板8が設定温度、例えば0℃に冷却される(ステップS14)。
これにより、被検査基板8の加熱と、冷却保持部22への新たな被検査基板8の搬送及び冷却とが並行して行われるので、見かけ上、被検査基板8の搬送及び冷却のための処理時間を短縮することができる。
そして、予熱保持部23による被検査基板8の加熱(ステップS11)の開始から予め設定された所定時間、例えば30秒が経過すると、制御部60からの制御信号に応じて搬送駆動部40によって、蓋体30がスライド移動されて開蓋され、搬送部32におけるバキュームヘッド321が、載置部232a〜232eにおける各被検査基板8を吸着可能な搬送位置に位置決めされる。
次に、ステップS14における新たな被検査基板8の冷却中に、制御部60からの制御信号に応じて、搬送部32により、予熱保持部23における載置部232a〜232eに載置された五つの被検査基板8が加熱保持部24における載置部242a〜242eへ搬送され、搬送駆動部40によって蓋体27が予熱保持部23の上部にスライド移動され、載置部242a〜242eにおける側壁部243及び仕切板244の上端部からなる開口部が蓋体27によって閉蓋される(ステップS15)。
そうすると、被検査基板8は、図9に示す載置部242aにおいて、ダイ82が凹部247にはめ込まれてダイ82の表面がシート部材251に密着し、被検査基板8におけるダイ82の周囲の基板部分がシート部材249に密着する。この場合、シート部材249,251は弾性を有するので、被検査基板8との密着度が向上する。
そして、上述したステップS5において冷却保持部22における載置部222a〜222eにより被検査基板8が吸着された場合と同様に、加熱保持部24における載置部242a〜242eにより被検査基板8が吸着され、被検査基板8とシート部材249,251とが密着される。これにより、被検査基板8は、予め所定の設定温度、例えば100°Cにされた加熱プレート241によって、熱伝導性のシートであるシート部材249,251を介して加熱されるので、載置部242a〜242eに被検査基板8が載置されてから加熱プレート241を加熱する場合よりも被検査基板8の加熱速度を向上させることができる。
また、吸引ポンプ39によって被検査基板8が弾性を有するシート部材249,251に吸着され、密着度が向上されるので、被検査基板8と加熱プレート241との間における熱伝導率が増大され、加熱プレート241による被検査基板8の加熱速度が増大される。そして、シート部材249,251は、被検査基板8における一方表面全体と密着するので、被検査基板8の全体に渡って均一に加熱され、被検査基板8における各部の温度を均一化することができる。
さらに、被検査基板8は、側壁部243,仕切板244、及び蓋体27によって覆われ、外部への放熱や被検査基板8周辺の気流の乱れが低減されるので、被検査基板8における各部の温度の均一性を向上させることができる。
図22、図23は、加熱保持部24により被検査基板8を加熱した場合の被検査基板8上の四隅近傍と中央付近とにおける温度変化を実験的に測定した結果を示すグラフである。図22は蓋体27を開蓋した状態で測定した結果を示すグラフであり、図23は蓋体27を閉蓋した状態で測定した結果を示すグラフである。
図22に示すように、蓋体27を開蓋した状態では、被検査基板8を載置部242aに吸着させ、加熱を開始(T4)してから43秒後(T5)における被検査基板8の温度は、最も温度が高い箇所で96.8℃、最も温度が低い箇所で95.7℃となり、さらに加熱を開始(T4)してから130秒後(T6)における被検査基板8の温度は、最も温度が高い箇所で98.2℃、最も温度が低い箇所で97.0℃となった。
一方、図23に示すように、蓋体27を閉蓋した状態では、被検査基板8を載置部242aに吸着させ、加熱を開始(T4)してから43秒後(T5)における被検査基板8の温度は、最も温度が高い箇所で99.9℃、最も温度が低い箇所で98.8℃となり、さらに加熱を開始(T4)してから130秒後(T6)における被検査基板8の温度は、最も温度が高い箇所で100.9℃、最も温度が低い箇所で100.2℃となった。
以上のように、図22、図23に示す実験結果から、時間T5において、蓋体27を開蓋した状態では最高96.8℃、最低95.7℃であるのに対し、蓋体27を閉蓋した状態では最高99.9℃、最低98.8℃となり、時間T6において蓋体27を開蓋した状態では最高98.2℃、最低97.0℃であるのに対し、蓋体27を閉蓋した状態では最高100.9℃、最低100.2℃となり、時間T5,T6のいずれにおいても蓋体27を閉蓋した場合の方が被検査基板8の温度が高くなり、蓋体27を閉蓋することにより、被検査基板8の加熱速度が増大することが確認できた。
また、同様に、図22、図23に示す実験結果から、時間T5において、蓋体27を開蓋した状態では最高温度と最低温度との差が1.2℃であるのに対し、蓋体27を閉蓋した状態では最高温度と最低温度との差が1.1℃となり、時間T6において、蓋体27を開蓋した状態では最高温度と最低温度との差が1.2℃であるのに対し、蓋体27を閉蓋した状態では最高温度と最低温度との差が0.7℃となり、時間T5,T6のいずれにおいても蓋体27を閉蓋することにより、温度測定箇所による温度差が縮小し、被検査基板8における温度分布が均一化されることが確認できた。
図24は、予熱保持部23及び加熱保持部24によって、被検査基板8を加熱した場合の被検査基板8上の四隅近傍と中央付近とにおける温度変化を測定した実験結果を示すグラフである。まず、時間T7において、予熱保持部23により被検査基板8の加熱を開始し、30秒後(T8)における被検査基板8の温度は、最も温度が高い箇所で99.2℃、最も温度が低い箇所で97.3℃となり、設定温度100℃に対して最大2.7℃の温度差が生じている。次に、予熱保持部23から加熱保持部24へ被検査基板8を搬送した後、時間T9において加熱保持部24により被検査基板8の加熱を開始し、30秒後(T10)における被検査基板8の温度は、最も温度が高い箇所で101.2℃、最も温度が低い箇所で100.0℃となり、設定温度100℃に対する温度差は、最大1.2℃となった。
すなわち、加熱保持部24のみを用いて、設定温度100℃に対する温度差を例えば1.5℃以内にする場合には、およそ、時間T7から時間T8の30秒の予熱時間と時間T9から時間T10の30秒の加熱時間とを合わせた60秒の加熱時間が必要となる。一方、基板検査装置1では、予熱保持部23と加熱保持部24とを用いて予熱保持部23による予熱と加熱保持部24による加熱とを並列して行うことができるので、見かけ上の加熱時間、すなわち被検査基板8の加熱処理におけるタクトタイムが約30秒となり、タクトタイムを約1/2に短縮することができた。
このようにして、加熱保持部24により被検査基板8の加熱が行われる(ステップS16)。そして、ステップS14における冷却保持部22による新たな被検査基板8の冷却開始から予め設定された所定時間、例えば30秒が経過すると、ステップS7,S8と同様に制御部60からの制御信号に応じて、搬送駆動部40によって冷却保持部22がガイドレール41に沿って移送され、冷却プレート221に載置された五つの被検査基板8について、アライメント処理(ステップS17)と温度測定(ステップS18)とが行われた後、ステップS9と同様に、移動式プローブ37,38を用いた基板検査が行われる(ステップS19)。
そして、ステップS19において、載置部222a〜222eに吸着されている被検査基板8のすべてについて基板検査が終了すると、制御部60からの制御信号に応じて、搬送駆動部40によって、冷却保持部22がガイドレール41に沿って図2における手前側に移送され、蓋体26が開蓋され、搬送部32におけるバキュームヘッド321が、載置部222a〜222eに吸着されている各被検査基板8を吸着可能な搬送位置に位置決めされる。
なお、ステップS14における新たな被検査基板8の冷却中に、ステップS15における被検査基板8の搬送動作が並行して実行される例を示したが、ステップS15における搬送動作は、例えばステップS17〜S19の処理中に並行して実行されるようにしてもよい。
次に、ステップS16における被検査基板8の加熱中に、制御部60からの制御信号に応じて、搬送部32により、冷却保持部22における載置部222a〜222eに載置された五つの被検査基板8が予熱保持部23における載置部232a〜232eへ搬送され、搬送駆動部40によって蓋体30が予熱保持部23の上部にスライド移動され、載置部232a〜232eにおける側壁部233及び仕切板234の上端部からなる開口部が蓋体30によって閉蓋され(ステップS20)、ステップS11と同様にして予熱保持部23による被検査基板8の予熱が行われる(ステップS21)。
一方、ステップS14〜S21の処理が実行されている間、投入ワークホルダ21には被検査基板8が載置されていないので、ユーザは筐体2から投入ワークホルダ21を引き出して、さらに新たな被検査基板8を五つ、投入ワークホルダ21に載置して投入ワークホルダ21を押し込むことにより基板検査装置1に投入することができる(ステップS22)。
そして、ステップS5,S6と同様に、ステップS16における被検査基板8の加熱と並行して搬送部32により投入ワークホルダ21に載置されたさらに新たな五つの被検査基板8が冷却保持部22における載置部222a〜222eへ搬送され(ステップS23)、冷却保持部22により新たな五つの被検査基板8が設定温度、例えば0℃に冷却される(ステップS24)。
この場合、冷却保持部22による冷却中の新たな被検査基板8についてアライメント処理(ステップS17)、温度測定(ステップS18)、基板検査(ステップS19)、加熱保持部24から予熱保持部23への被検査基板8の搬送(ステップS20)、被検査基板8の予熱処理(ステップS21)の一部、被検査基板8の投入処理(ステップS22)、及び投入ワークホルダ21から冷却保持部22への被検査基板8の搬送(ステップS23)が、加熱保持部24における被検査基板8の加熱処理(ステップS16)と並行して行われるので、見かけ上、被検査基板8のアライメント、温度測定、基板検査、加熱保持部24から予熱保持部23への搬送、予熱、基板投入、及び投入ワークホルダ21から冷却保持部22への搬送のための処理時間を短縮することができる。
そして、ステップS16において、図19に示すように蓋体27を閉蓋した状態で加熱プレート241上の被検査基板8が加熱され、予め設定された所定時間、例えば30秒が経過すると、制御部60からの制御信号に応じて搬送駆動部40によって、加熱保持部24がガイドレール42に沿って移送され、図20に示すように、載置部242aに吸着されている被検査基板8が長孔263と対向する位置に位置決めされる。
そして、カメラ34によって、長孔263を介して載置部242aに吸着されている被検査基板8の画像が制御部60へ送信され、制御部60によってその被検査基板8の画像から検査位置のアライメント情報が取得されて検査制御部50へ送信され、検査制御部50によって、制御部60からのアライメント情報に基づいて、被検査基板8を検査するための位置情報が補正される(ステップS25)。また、非接触温度計36によって、長孔263を介して載置部242aに吸着されている被検査基板8の温度が測定されてその測定温度を示す温度データが制御部60へ送信され、制御部60によって、被検査基板8の温度が予め設定された温度範囲、例えば100℃±3℃になっているか否かが確認される(ステップS26)。この場合、長孔263は、アライメントや温度測定に必要な最小限の大きさにされているので、空気が長孔263を介して出入りすることが低減され、被検査基板8の温度変化が低減される。
そして、被検査基板8の温度が例えば100℃±3℃の範囲に入っていなければ被検査基板8の温度が当該温度範囲となるまで待って、被検査基板8の温度が例えば100℃±3℃の範囲となれば、制御部60からの制御信号に応じて搬送駆動部40によって、加熱保持部24がガイドレール42に沿って載置部一つ分だけ移送され、載置部242bが長孔263と対向する位置に位置決めされ、ステップS25,S26の動作が繰り返される。この場合、載置部242a〜242eはそれぞれ仕切板244によって仕切られているので、アライメント処理中、及び温度測定中の被検査基板8以外の被検査基板8は、長孔263を介して出入りする空気にさらされることがなく、被検査基板8の温度変化が低減される。
このようにして載置部242a〜242eに吸着されている五枚の被検査基板8について、アライメント処理(ステップS25)と温度測定(ステップS26)とが繰り返された後、制御部60からの制御信号に応じて搬送駆動部40によって、加熱保持部24がガイドレール42に沿って移送され、図21に示すように、載置部242aに吸着されている被検査基板8が開口部283と対向する位置に位置決めされる。
そして、制御部60からの制御信号に応じて検査制御部50による基板検査が行われる(ステップS27)。具体的には、まず、検査制御部50からの制御信号に応じてプローブ駆動部49(検査移送部)によって、移動式プローブ37,38が、固定蓋体28における開口部283と対向する位置、すなわち冷却保持部22に載置された被検査基板8を検査するための検査位置(第1の検査位置)から固定蓋体29における開口部283と対向する位置、すなわち加熱保持部24に載置された被検査基板8を検査するための検査位置(第2の検査位置)へ、ガイドレール44に沿って移送される。
これにより、移動式プローブ37,38を、冷却状態における被検査基板8の基板検査と、加熱状態における被検査基板8の基板検査とに共用して用いることができるので、移動式プローブ37,38を二つずつ備える必要がなく、移動式プローブ37,38の数を減少させて基板検査装置1のコストを低減することができる。
なお、移動式プローブ37,38を、冷却状態における被検査基板8の基板検査と、加熱状態における被検査基板8の基板検査とに共用して用いる例を示したが、固定蓋体28における開口部283と対向する位置に、冷却状態における被検査基板8の基板検査用の移動式プローブ(第1の検査部)を備え、固定蓋体29における開口部283と対向する位置に、加熱状態における被検査基板8の基板検査用の移動式プローブ(第2の検査部)を別途備えてもよい。
なお、制御部60は、ステップS19における検査終了後、ステップS16,S25,S26の処理中にプローブ駆動部49により移動式プローブ37,38を固定蓋体28における開口部283と対向する位置(第1の検査位置)から固定蓋体29における開口部283と対向する位置(第2の検査位置)へ移送させておくようにしてもよい。これにより、ステップS27における移動式プローブ37,38の移送時間が短縮される。
さらに、固定蓋体29における開口部283を介して被検査基板8における二箇所の検査点に移動式プローブ37,38におけるプローブ371の先端部373がそれぞれ圧接され、検査制御部50によって、当該二箇所の検査点間における抵抗値が四端子測定法により測定される。
そして、検査制御部50によって、載置部242aに吸着されている被検査基板8において予め設定された全ての検査点間について、抵抗値が予め設定された閾値以下であれば、当該被検査基板8は良品であると判定されてその判定結果を示す信号が制御部60へ出力される一方、被検査基板8において予め設定されたいずれかの検査点間について、抵抗値が予め設定された閾値を超えていれば、当該被検査基板8は導通不良があるものと判定され、その判定結果を示す信号が制御部60へ出力されることにより、基板検査が行われる。
この場合、固定蓋体29における開口部283は、載置部一箇所分の大きさにされており、載置部242a〜242eはそれぞれ仕切板244によって仕切られているので、検査制御部50による基板検査処理中の被検査基板8以外の被検査基板8は、固定蓋体29における開口部283を介して出入りする空気にさらされることがなく、被検査基板8の温度変化が低減される。
このようにして、載置部242aに吸着されている被検査基板8の基板検査が終了すると、制御部60からの制御信号に応じて搬送駆動部40によって、加熱保持部24がガイドレール41に沿って載置部一つ分だけ移送され、以降、検査制御部50による基板検査と搬送駆動部40による載置部一つ分の加熱保持部24の移送動作が繰り返されて、載置部242b〜242eに吸着されている各被検査基板8について基板検査が行われる(ステップS27)。
この場合、加熱プレート241には、五つの載置部242a〜242eが設けられ、同時に五つの被検査基板8を加熱することができるので、被検査基板8を一つずつ加熱する場合と比べて加熱時間を短縮することができる。また、被検査基板8は、搬送部32によってガイドレール43に沿ってX軸方向に搬送されて加熱プレート241に載置され、加熱プレート241が搬送部32による搬送方向と交差するY軸方向に搬送された後に、被検査基板8を移動式プローブ37,38により検査することができるので、ガイドレール43に沿ってX軸方向に移動動作を行う搬送部32の移動範囲外に移動式プローブの駆動機構を配設して、搬送部32と移動式プローブの駆動機構との干渉を避けることが容易となる。
なお、ステップS16における被検査基板8の加熱中に、ステップS20における新たな被検査基板8の搬送動作及びステップS23におけるさらに新たな被検査基板8の搬送動作が行われる例を示したが、ステップS20,S23における搬送動作は、例えばステップS25〜S27の処理中に並行して実行されるようにしてもよい。
そして、載置部242a〜242eに吸着されている被検査基板8のすべてについて基板検査が終了すると、制御部60からの制御信号に応じて、搬送駆動部40によって、加熱保持部24がガイドレール42に沿って図2における手前側に移送され、蓋体27が開蓋され、搬送部32におけるバキュームヘッド321が、載置部242a〜242eに吸着されている各被検査基板8を吸着可能な搬送位置(第2の搬送位置)に位置決めされる。
次に、ステップS21における新たな被検査基板8の予熱処理中であって、かつステップS24におけるさらに新たな被検査基板8の冷却処理中において、制御部60からの制御信号に応じて、搬送部32により、加熱保持部24における載置部242a〜242eに載置された五つの被検査基板8が収納ワークホルダ25の上面に搬送され、載置される(ステップS28)。
この場合、予熱保持部23における新たな被検査基板8の予熱処理(ステップS21)と、加熱保持部24におけるアライメント処理(ステップS25)、温度測定(ステップS26)、基板検査(ステップS27)、及び被検査基板8の搬送処理(ステップS28)と、冷却保持部22におけるさらに新たな被検査基板8の冷却処理(ステップS24)とは、並行して行われるので、見かけ上の処理時間を短縮し、単位時間当たりの被検査基板8の検査数量を増大させることができる。
また、加熱保持部24から収納ワークホルダ25へ搬送された被検査基板8については、ステップS9における低温状態での基板検査と、ステップS27における高温状態での基板検査とが終了しているので、制御部60によって、収納ワークホルダ25に載置されている五つの被検査基板8についての検査結果を示す信号が操作表示部12へ送信され、操作表示部12によってその検査結果が表示される。
そして、10本のノズル31によって、収納ワークホルダ25に載置された被検査基板8へ、常温の乾燥した空気が吹き付けられる(ステップS29)。これにより、被検査基板8の温度を、40°C程度の温度まで冷却する時間が短縮される。
一方、予熱保持部23による新たな被検査基板8の加熱(ステップS21)の開始から予め設定された所定時間、例えば30秒が経過すると、制御部60からの制御信号に応じて搬送駆動部40によって、蓋体30がスライド移動されて開蓋され、搬送部32におけるバキュームヘッド321が、載置部232a〜232eに吸着されている各被検査基板8を吸着可能な搬送位置に位置決めされる。
そして、ステップS15と同様に、ステップS29における被検査基板8の冷却中に、搬送部32により、予熱保持部23における載置部232a〜232eに載置された新たな被検査基板8が加熱保持部24における載置部242a〜242eへ搬送され(ステップS30)、ステップS16と同様に、加熱保持部24によって新たな被検査基板8が加熱される(ステップS31)。
他方、ステップS24における冷却保持部22によるさらに新たな被検査基板8の冷却開始から予め設定された所定時間、例えば30秒が経過すると、ステップS7,S8と同様に制御部60からの制御信号に応じて、搬送駆動部40によって冷却保持部22がガイドレール41に沿って移送され、冷却プレート221に載置された五つの被検査基板8について、アライメント処理(ステップS32)と温度測定(ステップS33)とが行われた後、検査制御部50からの制御信号に応じてプローブ駆動部49(検査移送部)によって、移動式プローブ37,38がステップS27において過熱状態の被検査基板8を検査した第2の検査位置から固定蓋体28における開口部283と対向する位置(第1の検査位置)へ、ガイドレール44に沿って移送され、ステップS9と同様に、移動式プローブ37,38を用いた基板検査が行われる(ステップS34)。
なお、制御部60は、ステップS27における検査終了後、ステップS28〜33の処理中に、プローブ駆動部49により移動式プローブ37,38を固定蓋体28における開口部283と対向する位置(第1の検査位置)へ移送させておくようにしてもよい。これにより、ステップS34における移動式プローブ37,38の移送時間が短縮される。
また一方、ステップS29における収納ワークホルダ25上の被検査基板8が、所定時間、10本のノズル31により吹き付けられた空気によって冷却された後、ユーザが収納ワークホルダ25の取っ手252を引っ張ることにより、収納ワークホルダ25が筐体2から引き出されて収納ワークホルダ25に載置された検査済みの被検査基板8が取り出され(ステップS35)、ステップS4において基板検査装置1に投入された被検査基板8の検査を終了する。
この場合、収納ワークホルダ25における被検査基板8の冷却処理(ステップS29)及び被検査基板8の取り出し(ステップS35)と、予熱保持部23から加熱保持部24への新たな被検査基板8の搬送(ステップS30)と、加熱保持部24における加熱処理(ステップS31)と、冷却保持部22におけるさらに新たな被検査基板8の冷却処理(ステップS24)、アライメント処理(ステップS32)、温度測定(ステップS33)、及び基板検査(ステップS34)とは、並行して実行されるので、見かけ上の処理時間を短縮し、単位時間当たりの被検査基板8の検査数量を増大させることができる。
なお、ステップS24におけるさらに新たな被検査基板8の冷却中に、ステップS28における被検査基板8の搬送動作が並行して実行される例を示したが、ステップS28における搬送動作は、例えばステップS32〜S34の処理中に並行して実行されるようにしてもよい。
そして、新たな被検査基板8について、ステップS25〜S29、S35と同様の処理がステップS41〜45、S51において繰り返され、ステップS51において、検査済みの新たな被検査基板8が取り出され、検査を終了する。この場合、ステップS35において被検査基板8の基板検査を終了してから、ステップS51において新たな被検査基板8の基板検査を終了するまでの時間、すなわちタクトタイムTが、新たな五つの被検査基板8についての見かけ上の処理時間となる。タクトタイムTは、ステップS31における被検査基板8の加熱時間の一部と、ステップS41〜S45,S51の処理時間とを合わせた時間となる。
一方、上述の投入ワークホルダ21、冷却保持部22、予熱保持部23、加熱保持部24、及び収納ワークホルダ25による並行処理を行わない場合、新たな被検査基板8の検査には、ステップS12〜S14,S17〜S21,S30,S31,S41〜S45,S51における処理時間が必要となるのに対し、基板検査装置1は、投入ワークホルダ21、冷却保持部22、予熱保持部23、加熱保持部24、及び収納ワークホルダ25によって、いわゆるパイプライン動作による並行処理を行うことにより、ステップS12〜S14,S17〜S21,S30における処理時間、及びステップS31における処理時間の一部を見かけ上短縮し、新たな被検査基板8の検査をタクトタイムTで実行することができる。
以降、基板検査装置1によって、タクトタイムT毎に、新たな五つの被検査基板8の検査が繰り返されるので、上述の並列処理を行わない場合に対して単位時間当たりの被検査基板8の検査数量を増大させることができる。
なお、冷却保持部22、予熱保持部23、及び加熱保持部24を備え、まず冷却保持部22で被検査基板8を冷却状態で検査した後、被検査基板8を予熱保持部23で予熱し、加熱保持部24で加熱した状態で検査する構成を示したが、予熱保持部23の代わりに冷却保持部22とほぼ同一の構成にされた予冷部を備え、まず加熱保持部24で被検査基板8を加熱状態で検査した後、被検査基板8を予冷部で予冷し、冷却保持部22で冷却した状態で検査する構成としてもよい。