JP4763019B2 - シール装置 - Google Patents

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Description

本発明は、蒸気タービン等の回転軸を有する回転機器に適用されるシール装置に関する。
高負荷条件(高温、高圧、高速)で使用される蒸気タービンは、蒸気の流入口と排出口とを有するハウジングと、このハウジングを貫通するように設けられたロータ軸とを備え、ロータ軸の外周面とハウジングと間には、ハウジング内の高圧の蒸気が外部に漏洩するのを防止するためのシール装置が設けられている。
例えば、下記特許文献1に記載されたシール装置は、回転軸の外周面に対して隙間をもって配置されたラビリンスシールを備えており、このラビリンスシールの内周面には、断面先細り形状の複数の突起が軸方向に並べた状態で形成されている。
また、回転軸の外周面にラビリンスシールの突起の先端部が入り込む凹溝を形成することによって、シール性を向上させる技術も知られている。
特開昭61−171968号公報
しかしながら、特許文献1記載のラビリンスシールは突起を備えた複雑な構造であり、突起の寸法精度が要求されるために製造コストが非常に高くなるという問題がある。また、ラビリンスシールの突起に対応させて回転軸に凹溝を形成した場合、さらに製造コストが高くなるとともに、ハウジングへの組み込みや分解の作業性が悪化し、熱による回転軸の伸びに対応できないという問題がある。
また、ラビリンスシールは回転軸との隙間を小さくし難いため、高圧条件下で蒸気の漏洩を確実に防止するのは困難であり、この漏洩を抑制するためにはラビリンスシールの軸方向長さを長くする必要があり、シール装置全体の大型化につながる。
さらに、回転軸の軸振れによってラビリンスシールの突起先端が回転軸に接触すると、回転軸に傷が付き、この傷が漏れ路となって蒸気の漏洩が生じ易くなる。そして、回転軸に傷が付くと早期の交換が必要となり、交換に要する作業負担やコストが多大となる。
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、回転軸の外周面とハウジングとの間の流体の漏洩を簡素な構造で確実に防止することができるシール装置を提供することを主目的とする。
本発明は、高圧側と低圧側とを区画するハウジングと、このハウジングに形成された貫通孔に挿入される回転軸の外周面との間をシールするシール装置であって、
前記回転軸の外周面に対してシール隙間をあけた状態で配置されるとともに、軸方向に間隔をあけて並設された複数のシールリングと、径方向の移動を許容した状態で前記シールリングを収容する凹溝と、前記シール隙間に連通するように前記複数のシールリング間に形成されたキャビティとを有するとともに、前記貫通孔に装着されるシールケースと、前記シールリングの低圧側の軸方向一端面を前記凹溝の側面に圧接させる付勢部材と、前記キャビティ内の流体を吸引する吸引手段と、を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、回転軸の外周面とシールリングとの間にシール隙間が形成されるので、当該シール隙間によって高圧側から低圧側への流体の流れを制限することができ、ハウジングの外部へ流体が漏洩するのを抑制することができる。また、シールリングの低圧側端面が凹溝の側面に圧接されるので、シールリングとシールケースとの間のシール性を確保することができ、当該間から流体が漏洩するのを防止することができる。そして、複数のシールリングの間にはシール隙間に連通するキャビティが形成され、このキャビティ内の流体が吸引手段によって吸引されるので、シール隙間に存在する流体についてもキャビティ内に導いて吸引することが可能となり、シール隙間からハウジングの外部へ流体が漏洩するのを確実に防止することができる。
以上のような構成によってハウジング内の流体の漏洩を確実に防止できるので、シールリングの形状をラビリンスシールのような複雑な形状にする必要が無く、シールリングの内周面の断面形状を平坦なものとすることが可能となる。したがって、シールリングの構造を簡素化して製造コストを低減でき、ハウジングへの組み込みや分解を容易にすることができる。さらに、熱によって回転軸が伸びたとしてもシール効果を維持することができる。
また、シールリングは、シールケースの凹溝に径方向の移動が許容された状態で収容されるので、いわゆる自動調心機能によって軸振れに対応して径方向に移動することが可能となり、シールリングと回転軸との接触を少なくすることができる。したがって、シールリングや回転軸の摩耗、損傷を抑制することができる。
また、前記シールリングの内周面に対向する前記回転軸の外周面には、前記シールリングよりも硬質のコーティング層を備えているので、シールリングと回転軸とが接触したとしても、コーティング層によって回転軸の摩耗や損傷を防止することができる。したがって、この摩耗や損傷に起因する回転軸の交換を少なくすることが可能となる。
前記吸引手段は、一端が前記キャビティに連通しかつ他端が前記シールケースの外周面で開口するように前記シールケースに形成された連通路を備え、前記シールケースの外周面と前記貫通孔の内周面との間に、前記連通路からの流体の漏洩を防止する膨張黒鉛からなる成形シール部材が設けられていることが好ましい。
膨張黒鉛からなる成形シール部材は耐熱性と耐圧性とに優れるため、高温高圧下においてキャビティから連通路に流れる流体がシールケースの外周面と貫通孔の内周面との間から漏洩するのを確実に防止することができる。
前記シールケースは、前記貫通孔に対して前記ハウジングの外部側から軸方向に挿入され、前記ハウジングに、当該ハウジングの内部側への前記シールケースの軸方向移動を規制する当て止め部が形成され、前記当て止め部と前記シールケースとの当接面の一方に嵌合穴が形成され、他方に、前記嵌合穴に軸方向に嵌合する位置決め突部が形成されていることが好ましい。
この構成によれば、貫通孔に対してハウジングの外部側からシールケースを軸方向に挿入し、このシールケースを当て止め部に当接してハウジングの内部側への軸方向移動を規制し、さらに、嵌合穴に位置決め突部を嵌合させることによってハウジングに対する径方向及び周方向の移動を規制することができる。したがって、シールケースをハウジングの外部側から着脱することが可能となり、ハウジングに対するシール装置の組み付けや分解を容易に行うことができる。
本発明によれば、回転軸の外周面とハウジングとの間の流体の漏洩を簡素な構造で確実に防止することができる。
図1は、本発明のシール装置を適用した蒸気タービンの断面図である。この蒸気タービン1は、ハウジング2と、このハウジング2を貫通するように配置されたロータ軸(回転軸)3とを備えている。ハウジング2の軸方向一方側(右側)には蒸気の流入口21が形成され、軸方向他方側(左側)には蒸気の排出口22が形成されている。ボイラ等により生成された高圧の蒸気は、図示しない流入弁を介して流入口21からハウジング2内に供給される。
ロータ軸3は、図示しない軸受によってハウジング2の外部で回転自在に支持されている。ロータ軸3の外周には、複数の動翼31が軸方向に並べて設けられている。複数の動翼31の各間には、ハウジング2の内周面に取り付けられた仕切り板23が配置されており、仕切り板23に設けられたノズルと動翼31とを流入口21から供給された高圧の蒸気が通過することによって、ロータ軸3が回転駆動される。
ハウジング2の軸方向両端部には、ロータ軸3を貫通させるための貫通孔24,25が形成されている。そして、各貫通孔24,25の内周面には、ハウジング2とロータ軸3との間からハウジング2内の高圧の蒸気が漏洩するのを防止するための第1,第2シール装置4,5が設けられている。この第1,第2シール装置4,5はカートリッジタイプであり、ハウジング2に着脱可能に取り付けられる。
〔第1シール装置の構成〕
図2は、ハウジング2の排出口22側に設けられた第1シール装置4を拡大して示す断面図である。同図において、ハウジング2よりも右側がハウジング2の内部側(高圧側H)であり、左側がハウジング2の外部側(低圧側L(大気側))である。
第1シール装置4は、ハウジング2の貫通孔24の内周面に固定された環状のシールケース41と、このシールケース41の内周側に設けられた2つのシールリング42とを備えている。2つのシールリング42は、シールケース41の内周面に軸方向に間隔をあけて形成された2つの凹溝43の内部に収容されている。
シールケース41はステンレス等の金属製からなり、本体部411と、この本体部411の軸方向両側に固定された側板部412,413とを備えている。左側の側板部412は本体部411の左側面に当接され、軸方向外方(左方)から挿入されたボルト451によって本体部411に固定されている。左側の凹溝43は、本体部411と側板部412との境界(当接面)を軸方向に跨ぐ範囲で形成され、本体部411と側板部412との当接面にはOリングからなるシール部材441が設けられている。
本体部411の内周面の右端部には、内径が拡大されることによって形成された段部411Aが設けられ、この段部411Aに右側の側板部413が嵌合されている。そして、この側板部413は、軸方向外方(右方)から挿入されたボルト452によって本体部411に固定されている。側板部413は、右側の凹溝43の右側面を構成している。
左側の側板部412は、本体部411よりも径方向外方に突出する突出部412Aを有している。一方、ハウジング2の貫通孔24の内周左端部には、内径が拡大されることによって段部24Aが形成され、この段部24Aに側板部412の突出部412Aが嵌合されている。そして、側板部412は、軸方向外方(左方)から突出部412Aに挿入されたボルト453によってハウジング2に固定されている。
貫通孔24の内周面の右端部には、径方向内方に突出する突出部(当て止め部)24Bが形成されており、シールケース41の右側面が突出部24Bの左側面に当接している。これによって、第1シール装置4の右方向(ハウジング2の内部側)への移動が規制されている。また、突出部24Bの左側面には嵌合穴461が形成され、この嵌合穴461には、シールケース41の右側面に螺合されかつ同右側面から突出する位置決めピン(位置決め突部)462が軸方向に嵌合されている。この嵌合穴461と位置決めピン462とは、ハウジング2に対する第1シール装置4の径方向移動及び周方向移動を規制する位置決め手段46を構成している。なお、位置決めピン462は突出部24B側に設けられていてもよく、嵌合穴461はシールケース41側に設けられていてもよい。また、嵌合穴461及び位置決めピン462は、周方向複数箇所に設けられていてもよいし、1箇所に設けられていてもよい。
左右のシールリング42はいずれもカーボン材からなり、断面略矩形状に形成されている。各シールリング42の右側面の周方向複数箇所には凹部421が形成されている。左右の各凹溝43の右側面の周方向複数箇所には支持ピン431が突設されており、この支持ピン431が凹部421に軸方向に遊嵌されている。
また、各凹溝43の右側面の周方向複数箇所には有底の保持穴432が形成され、各保持穴432には付勢部材としての圧縮コイルスプリング47が装入されている。
この圧縮コイルスプリング47は、シールリング42の右側面に当接し、シールリング42を左方向(ハウジング2の外部側)へ付勢している。シールリング42の左端面には、シールリング42の径方向寸法(厚さ)よりも小さい径方向寸法の突部422が突設され、この突部422の先端面が圧縮コイルスプリング47によって凹溝43の左側面に圧接されている。
シールリング42の外周面と凹溝43の底面との間には隙間t1が形成されている。したがって、シールリング42は、シールケース41に対して隙間t1の範囲で径方向に移動可能となっている。また、シールリング42の内周面とロータ軸3の外周面との間には微小な隙間t2が形成され、シールケース41とロータ軸2との間には隙間t3が形成されている。なお、隙間t2は、シールリング42の内周面とロータ軸2の外周面との間の蒸気の流通を制限するシール隙間とされ、その寸法は、例えば約50μmとされる。
隙間t3は、隙間t2よりも大きく隙間t1よりも小さく設定されており、ロータ軸2が軸振れによってシールリング42に接触したとしても、隙間t1の範囲でシールリング42が径方向外側に逃げることによって、シールリング42が摩擦によって損傷し難くなっている。
本体部411の軸方向中間部であって左右の凹溝43の間にはキャビティ414が周方向に亘って形成されている。このキャビティ414は、凹溝43とは独立して形成され、本体部411の内周面で開口することによって隙間t2に連通している。また、本体部411には、キャビティ414から径方向外方に延伸する連通路415が形成されており、この連通路415は、本体部411の外周面で開口している。
連通路415が開口する本体部411の外周面には、連通路415よりも軸方向の寸法が大きく深さの浅い凹所416が周方向に亘って形成されている。また、本体部411の外周面に対向する貫通孔24の内周面には凹所416とほぼ同じ軸方向寸法と深さの凹所24Cが周方向にわたって形成され、両凹所416,24Cによって、ハウジング2とシールケース41との間には空所48が形成されている。そして、ハウジング2には、空所48に連通する吸引路26が形成されている。
図1に示すように、吸引路26には配管7を介してブロア等の吸引装置6が接続されている。そして、この吸引装置6が作動することによって、配管7、吸引路26、空所48、及び連通路415を介してキャビティ414が負圧の状態になり、隙間t1,t2に存在する蒸気がキャビティ414内に吸引され、ハウジング2の外部に排出される。したがって、連通路415,空所48,吸引路26,配管7,吸引装置6等は、キャビティ414内の蒸気を吸引する吸引手段を構成している。
また、図2に示すように、空所48の軸方向両側であって、シールケース41の外周面と貫通孔24の内周面との間には、Oリングからなるシール部材442が設けられている。このシール部材442は、空所48に吸引された蒸気がシールケース41と貫通孔24の隙間からの漏洩するのを防止している。
シールリング42の内周面に対向するロータ軸2の外周面には、コーティング層32が設けられている。このコーティング層32は、シールリング42の素材であるカーボン材よりも硬質であり、タングステンカーバイトやクロムカーバイトの溶射やセラミック溶射、クロムめっき等によって形成されている。コーティング層32は、シールケース41と略同じ軸方向長さに形成されているが、少なくともシールリング42の内周面が対向する範囲又はこの範囲よりもやや広く形成されていればよい。このコーティング層32は、シールリング42よりも硬質である限り、その素材や形成方法について限定されるものではない。
〔第2シール装置の構成〕
次に、第2シール装置5について説明する。図3は、ハウジング2の流入口21側に設けられた第2シール装置5を拡大して示す断面図である。同図において、ハウジング2よりも左側がハウジング2の内部側(高圧側H)であり、右側がハウジング2の外部側(低圧側L(大気側))である。
第2シール装置5は第1シール装置4と概ね同じ構成であるが、第1シール装置4よりも蒸気の流入口21に近く、第1シール装置4よりも高圧に晒されることから、蒸気の漏洩防止機能がより高められている。
具体的に、第2シール装置5は、ハウジング2の貫通孔25の内周面に固定された環状のシールケース51と、このシールケース51の内周側に設けられた2つのシールリング52とを備えている。2つのシールリング52は、シールケース51の内周面に軸方向に間隔をあけて形成された2つの凹溝53の内部に収容されている。
シールケース51は、ステンレス等の金属製からなり、本体部511と、この本体部511の軸方向両側に固定された側板部512,513とを備えている。左側の側板部512は、本体部511の内周面の左端部に形成された段部511Aに嵌合され、軸方向外方(左方)から取り付けられたボルト551によって本体部511に固定されている。側板部512は、左側の凹溝53の左側面を構成している。
右側の側板部513は、本体部511の右端面に当接され、軸方向外方(右方)から取り付けられたボルト552によって本体部511に固定されている。右側の側板部513は、右側の凹溝53の右側面を構成している。
ハウジング2の貫通孔25の内周面の左端部には、径方向内方に突出する突出部(当て止め部)25Bが形成されており、シールケース51の左側面が突出部25Bの右側面に当接している。これによって、第2シール装置5の左方向への移動が規制されている。また、突出部25Bの右側面には嵌合穴561が形成されており、この嵌合穴561には、シールケース51の左側面に螺合されかつ同左側面から突出する位置決めピン(位置決め突部)562が軸方向に嵌合されている。嵌合穴561と位置決めピン562とは、ハウジング2に対する第2シール装置5の径方向移動及び周方向移動を規制する位置決め手段56を構成している。なお、位置決めピン562は突出部25B側に設けられていてもよく、嵌合穴561はシールケース51側に設けられていてもよい。また、嵌合穴561及び位置決めピン562は、周方向複数箇所に設けられていてもよいし、1箇所に設けられていてもよい。
ハウジング2の右側面には、ボルト553によって押さえリング59が固定されている。この押さえリング59は、貫通孔25の内周面よりも径方向内方に突出し、第2シール装置5の右側部に係合している。したがって、押さえリング59によって第2シール装置5の軸方向外方(右方向)への移動が規制されている。
左右のシールリング52は、いずれもカーボン材からなり、断面略矩形状に形成されている。しかし、左側(高圧側H)に配置されたシールリング52は、右側(低圧側L)のシールリング52よりも軸方向の寸法が大きく形成されている。両方のシールリング52の左側面には凹部521が形成され、左右の各凹溝53の左側面には支持ピン531が突設され、この支持ピン531が凹部521に軸方向に遊嵌されている。また、左右の各凹溝53の左側面には有底の保持穴532が形成され、この保持穴532には付勢部材としての圧縮コイルスプリング57が装入されている。
この圧縮コイルスプリング57は、シールリング52の左側面に当接し、シールリング52を右方向(ハウジング2の外部側)へ付勢している。また、シールリング52の右端面には、シールリング52の径方向寸法(厚さ)よりも小さい径方向寸法の突部522が突設され、この突部522の先端面が圧縮コイルスプリング57によって凹溝53の右側面に圧接されている。
シールリング52の外周面と凹溝53の底面との間には隙間t1が形成されている。したがって、シールリング52は、シールケース51に対して隙間t1の範囲で径方向に移動可能となっている。また、シールリング52の内周面とロータ軸3の外周面との間には隙間t2が形成され、シールケース51とロータ軸2との間には隙間t3が形成されている。なお、隙間t2は、シールリング52の内周面とロータ軸2の外周面との間の蒸気の流通を制限するシール隙間とされ、その寸法は、例えば約50μmとされる。
隙間t3は、隙間t2よりも大きく隙間t1よりも小さく設定されており、ロータ軸2が軸振れによってシールリング52に接触したとしても、隙間t1の範囲で径方向外側にシールリング52が逃げることによって、シールリング52が摩擦によって損傷し難くなっている。
本体部511の軸方向中間であって左右の凹溝53の間にはキャビティ514が周方向に亘って形成され、このキャビティ514は、凹溝53とは独立して形成され、本体部511の内周面で開口することによって隙間t2に連通している。また、本体部511には、キャビティ514から径方向外方に延伸する連通路515が形成されており、この連通路515は、本体部511の外周面で開口している。
連通路515が開口する本体部511の外周面には、連通路515よりも軸方向の寸法が大きく深さの浅い凹所516が周方向に亘って形成されている。また、本体部511の外周面に対向する貫通孔25の内周面には凹所516とほぼ同じ軸方向寸法と深さの凹所25Cが周方向にわたって形成され、両凹所516,25Cによって、ハウジング2とシールケース41との間には空所58が形成されている。そして、ハウジング2には、空所58に連通する吸引路27が形成されている。
図1に示すように、吸引路27には配管7を介してブロア等の吸引装置6が接続されており、この吸引装置6が作動することによって、配管7、吸引路27、空所58、及び連通路515を介してキャビティ514が負圧の状態になり、隙間t1,t2に存在する蒸気がこのキャビティ514内に吸引され、ハウジング2の外部に排出される。したがって、連通路515,空所58,吸引路27,配管7,吸引装置6等は、キャビティ514内の蒸気を吸引する吸引手段を構成している。
空所58の軸方向両側であって、シールケース51の外周面と貫通孔25の内周面との間には、膨張黒鉛からなる環状の成形シール部材542が設けられている。具体的には、シールケース51の外周面の軸方向両端部には凹状溝517が形成され、この凹状溝517の軸方向内端部は軸方向内方に向かうに従い径方向外方へ傾斜する傾斜面518に形成されている。そして、この凹状溝517の傾斜面518の部分には、断面略三角形状の成形シール部材542が嵌合されている。
また、左側の成形シール部材542と突出部25Bとの間、及び、右側の成形シール部材542と押さえリング59との間の凹状溝517内にはスペーサ543が設けられている。左側のスペーサ543は、径方向に取り付けられた固定ピン544によってシールケース51に固定されている。
成型シール部材542は所謂ウェッジリングであり、スペーサ543によって軸方向の移動が規制されるとともに、先端部が楔作用によってシールケース51の外周面と貫通孔25の内周面との境界に食い込むように押しつけられ、シールケース51と貫通孔25との間を確実にシールしている。
シールリング52の内周面に対向するロータ軸2の外周面には、コーティング層33が設けられている。このコーティング層33は、シールリング52の素材であるカーボン材よりも硬質であり、タングステンカーバイトやクロムカーバイトの溶射、セラミック溶射、クロムめっき等によって形成されている。コーティング層33は、シールケース51と略同じ軸方向長さに形成されているが、少なくともシールリング52の内周面に対向する範囲又はこの範囲よりもやや広く形成されていればよい。このコーティング層33は、シールリング52よりも硬質である限り、その素材や形成方法について限定されるものではない。
〔本実施の形態の作用効果〕
以下、本実施の形態の作用効果について説明する。
蒸気タービン1のハウジング2の内部は非常に高圧(例えば、約6MPaG)、高温(約250℃〜500℃)となるが、ロータ軸2の外周面と第1,第2シール装置4,5のシールリング42,52との隙間t2によって、ハウジング2の内部から外部への蒸気の流れが制限され、ハウジング2外部へ漏洩することが抑制される。また、吸引装置6によってキャビティ414,514が負圧の状態とされるので、高圧蒸気がキャビティ414,514から連通路415,515,空所48,58,吸引路26,27、及び配管7を介して排出され、隙間t2からハウジング2の外部へ漏洩することはほとんどない。さらに、シールリング42,52の内周面は断面形状が平坦であり、ロータ軸2の外周面も断面形状が平坦であるため、上記のようなシールリング42,52による漏洩防止効果は、ロータ軸2が熱によって延伸したとしても阻害されることはない。
シールリング42,52の低圧側の端面は、圧縮コイルスプリング47,57によって凹溝43,53の側面に圧接されているので、シールリング42,52とシールケース41,51との隙間t1に入り込んだ高圧蒸気が、シールリング42,52の低圧側端面と凹溝43との間を経て隙間t3から漏洩するのを防止することができる。また、シールリング42,52の低圧側端面には突部422,522が形成され、この突部422,522によって凹溝43,53に対する接触面積が小さくされているので、圧縮コイルスプリング47,57による接触圧力を高め、シールリング42,52とシールケース41,51との間のシール効果を高めることができる。
一方、シールリング42,52は、金属に比べて摩擦係数の小さいカーボン材によって形成されているので、凹溝43,53の側面と間に働く摩擦力が低減され、シールリング42,52の径方向の移動が阻害されることはほとんど無い。したがって、次に説明するシールリング42,52の自動調心機能は好適に維持される。
ロータ軸2が軸振れによってシールリング42,52に接近した場合、ロータ軸2とシールリング42,52との間に動圧力が作用することによってシールリング42,52が径方向外方へ移動し、シールリング42,52の中心とロータ軸2の軸心とを一致させるように自動調心機能(フローティング機能)が働く。これによって、ロータ軸2とシールリング42,52との接触が少なくなり、シールリング42,52の損傷を抑制することができる。また、ロータ軸2の外周面にはコーティング層32,33が設けられているので、シールリング42,52とロータ軸2とが接触したとしても、シールリング42,52側が積極的に摩耗し、ロータ軸2が摩耗したり損傷したりすることはほとんど無い。したがって、シールリング42,52との接触による摩耗等に起因してロータ軸2を交換する必要が無く、ロータ軸2の交換に伴う作業負担や作業コストを削減することができる。
シールケース41,51に形成されたキャビティ414,514は、左右の凹溝43,53間(左右のシールリング42,52間)に形成され、左右の凹溝43,53とは独立して形成されている。そのため、キャビティ414,514が、シールリング42,52の自動調心機能の妨げとなることはない。
摩耗等によってシールリング42,52を交換する必要が生じた場合は、以下のように交換作業を行う。
まず、第1シール装置4については、図2に示すように、ボルト453をハウジング2から取り外し、第1シール装置4を貫通孔24からハウジング2の外部側へ軸方向に抜き取る。そして、ボルト451,452を取り外して本体部411と側板部412,413とを分解し、シールリング42を交換する。シールリング42を交換した後、本体部411と側板部412,413をボルト451,452によって連結し、第1シール装置4を貫通孔24に挿入する。そして、嵌合穴461に位置決めピン462を嵌合させながら第1シール装置4の右側面を突出部24Bに当接させて位置決めし、ボルト453によって側板部412をハウジング2に固定する。
第2シール装置5については、図3に示すように、ボルト553を取り外して押さえリング59をハウジング2から分離し、第2シール装置5を貫通孔25からハウジング2の外部側へ軸方向に抜き取る。そして、ボルト551,552を取り外して本体部511と側板部512,513とを分解し、シールリング52を交換する。シールリング52を交換した後、本体部511と側板部512,513をボルト551,552によって連結し、第2シール装置5を貫通孔25に挿入する。そして、嵌合穴561に位置決めピン562を嵌合させながら第2シール装置5の左側面を突出部25Bに当接させて位置決めし、ボルト553によって押さえリング59をハウジング2に固定する。
以上によって、ハウジング2に対して第1,第2シール装置4,5を脱着する作業をハウジング2の外部側から簡単に行うことができ、シールリング42,52の交換を少ない労力で短時間に行うことが可能となる。なお、図2及び図3において、シールケース41,52の外周面は、空所48,58よりも高圧側Hの径が低圧側Lの径よりも小さく形成されており、逆に、貫通孔24,25の内周面は、空所48,58よりも高圧側Hの径が低圧側Lの径よりも大きく形成されている。これによって、貫通孔24,25に対するシールケース41,52の挿入及び離脱が容易に行えるようになっている。
図3に示すように、第2シール装置5は、高圧側H(左側)に配置されたシールリング52が、低圧側L(右側)に配置されたシールリング52よりも軸方向に長く形成されているので、左側のシールリング52によるシール効果が更に高まり、より高圧となる流入口21付近においても好適に蒸気の漏洩を抑制することができる。
また、シールケース51と貫通孔25との間には膨張黒鉛からなる成形シール部材542が設けられ、この成形シール部材542は耐熱性及び耐圧性に優れているので、非常に高温高圧となる流入口21付近においても好適にシール性能を発揮することができる。
本発明は、上記実施の形態に限定されることなく適宜設計変更可能である。例えば、本発明のシール装置4,5は、蒸気タービンに限定されることなく、ガスタービン、ブロワ、ポンプ、圧縮機、撹拌機等の回転軸を有する装置全般、特に、高負荷条件(高温、高圧、高速)で使用される装置に好適に採用することができる。
また、各シール装置4,5において、シールリング42,52は、軸方向に3個以上設けられていてもよく、この場合、全て又は一部のシールリング42,52間にキャビティ414,514を形成することができる。
本発明のシール装置を適用した蒸気タービンの断面図である。 ハウジングの排出口側に設けられた第1シール装置を拡大して示す断面図である。 ハウジングの流入口側に設けられた第2シール装置を拡大して示す断面図である。
符号の説明
1 蒸気タービン
2 ハウジング
24B 突出部(当て止め部)
25B 突出部(当て止め部)
3 ロータ軸
32 コーティング層
33 コーティング層
4 第1シール装置
41 シールケース
414 キャビティ
415 連通路
42 シールリング
461 嵌合穴
462 位置決めピン(位置決め突部)
47 圧縮コイルスプリング(付勢部材)
5 第2シール装置
51 シールケース
514 キャビティ
515 連通路
52 シールリング
542 成形シール部材
561 嵌合穴
562 位置決めピン(位置決め突部)
57 圧縮コイルスプリング(付勢部材)
6 吸引装置

Claims (3)

  1. 高圧側と低圧側とを区画するハウジングと、このハウジングに形成された貫通孔に挿入される回転軸の外周面との間をシールするシール装置であって、
    前記回転軸の外周面に対してシール隙間をあけた状態で配置されるとともに、軸方向に間隔をあけて並設された複数のシールリングと、
    径方向の移動を許容した状態で前記シールリングを収容する凹溝と、前記シール隙間に連通するように前記複数のシールリング間に形成されたキャビティとを有するとともに、前記貫通孔に装着されるシールケースと、
    前記シールリングの低圧側の軸方向一端面を前記凹溝の側面に圧接させる付勢部材と、
    前記キャビティ内の流体を吸引する吸引手段と、を備え、
    前記シールリングの内周面に対向する前記回転軸の外周面に、前記シールリングよりも硬質のコーティング層を備えていることを特徴とするシール装置。
  2. 前記吸引手段が、一端が前記キャビティに連通しかつ他端が前記シールケースの外周面で開口するように前記シールケースに形成された連通路を有しており、
    前記シールケースの外周面と前記貫通孔の内周面との間に、前記連通路からの流体の漏洩を防止する膨張黒鉛からなる成形シール部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシール装置。
  3. 前記シールケースが、前記貫通孔に対して前記ハウジングの外部側から軸方向に挿入され、
    前記ハウジングに、当該ハウジングの内部側への前記シールケースの軸方向移動を規制する当て止め部が形成され、
    前記当て止め部と前記シールケースとの当接面の一方に嵌合穴が形成され、他方に、前記嵌合穴に軸方向に嵌合する位置決め突部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシール装置。
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