JP4763019B2 - シール装置 - Google Patents
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Description
例えば、下記特許文献1に記載されたシール装置は、回転軸の外周面に対して隙間をもって配置されたラビリンスシールを備えており、このラビリンスシールの内周面には、断面先細り形状の複数の突起が軸方向に並べた状態で形成されている。
また、回転軸の外周面にラビリンスシールの突起の先端部が入り込む凹溝を形成することによって、シール性を向上させる技術も知られている。
また、ラビリンスシールは回転軸との隙間を小さくし難いため、高圧条件下で蒸気の漏洩を確実に防止するのは困難であり、この漏洩を抑制するためにはラビリンスシールの軸方向長さを長くする必要があり、シール装置全体の大型化につながる。
さらに、回転軸の軸振れによってラビリンスシールの突起先端が回転軸に接触すると、回転軸に傷が付き、この傷が漏れ路となって蒸気の漏洩が生じ易くなる。そして、回転軸に傷が付くと早期の交換が必要となり、交換に要する作業負担やコストが多大となる。
前記回転軸の外周面に対してシール隙間をあけた状態で配置されるとともに、軸方向に間隔をあけて並設された複数のシールリングと、径方向の移動を許容した状態で前記シールリングを収容する凹溝と、前記シール隙間に連通するように前記複数のシールリング間に形成されたキャビティとを有するとともに、前記貫通孔に装着されるシールケースと、前記シールリングの低圧側の軸方向一端面を前記凹溝の側面に圧接させる付勢部材と、前記キャビティ内の流体を吸引する吸引手段と、を備えていることを特徴とする。
膨張黒鉛からなる成形シール部材は耐熱性と耐圧性とに優れるため、高温高圧下においてキャビティから連通路に流れる流体がシールケースの外周面と貫通孔の内周面との間から漏洩するのを確実に防止することができる。
この構成によれば、貫通孔に対してハウジングの外部側からシールケースを軸方向に挿入し、このシールケースを当て止め部に当接してハウジングの内部側への軸方向移動を規制し、さらに、嵌合穴に位置決め突部を嵌合させることによってハウジングに対する径方向及び周方向の移動を規制することができる。したがって、シールケースをハウジングの外部側から着脱することが可能となり、ハウジングに対するシール装置の組み付けや分解を容易に行うことができる。
図2は、ハウジング2の排出口22側に設けられた第1シール装置4を拡大して示す断面図である。同図において、ハウジング2よりも右側がハウジング2の内部側(高圧側H)であり、左側がハウジング2の外部側(低圧側L(大気側))である。
第1シール装置4は、ハウジング2の貫通孔24の内周面に固定された環状のシールケース41と、このシールケース41の内周側に設けられた2つのシールリング42とを備えている。2つのシールリング42は、シールケース41の内周面に軸方向に間隔をあけて形成された2つの凹溝43の内部に収容されている。
また、各凹溝43の右側面の周方向複数箇所には有底の保持穴432が形成され、各保持穴432には付勢部材としての圧縮コイルスプリング47が装入されている。
隙間t3は、隙間t2よりも大きく隙間t1よりも小さく設定されており、ロータ軸2が軸振れによってシールリング42に接触したとしても、隙間t1の範囲でシールリング42が径方向外側に逃げることによって、シールリング42が摩擦によって損傷し難くなっている。
また、図2に示すように、空所48の軸方向両側であって、シールケース41の外周面と貫通孔24の内周面との間には、Oリングからなるシール部材442が設けられている。このシール部材442は、空所48に吸引された蒸気がシールケース41と貫通孔24の隙間からの漏洩するのを防止している。
次に、第2シール装置5について説明する。図3は、ハウジング2の流入口21側に設けられた第2シール装置5を拡大して示す断面図である。同図において、ハウジング2よりも左側がハウジング2の内部側(高圧側H)であり、右側がハウジング2の外部側(低圧側L(大気側))である。
第2シール装置5は第1シール装置4と概ね同じ構成であるが、第1シール装置4よりも蒸気の流入口21に近く、第1シール装置4よりも高圧に晒されることから、蒸気の漏洩防止機能がより高められている。
隙間t3は、隙間t2よりも大きく隙間t1よりも小さく設定されており、ロータ軸2が軸振れによってシールリング52に接触したとしても、隙間t1の範囲で径方向外側にシールリング52が逃げることによって、シールリング52が摩擦によって損傷し難くなっている。
成型シール部材542は所謂ウェッジリングであり、スペーサ543によって軸方向の移動が規制されるとともに、先端部が楔作用によってシールケース51の外周面と貫通孔25の内周面との境界に食い込むように押しつけられ、シールケース51と貫通孔25との間を確実にシールしている。
以下、本実施の形態の作用効果について説明する。
蒸気タービン1のハウジング2の内部は非常に高圧(例えば、約6MPaG)、高温(約250℃〜500℃)となるが、ロータ軸2の外周面と第1,第2シール装置4,5のシールリング42,52との隙間t2によって、ハウジング2の内部から外部への蒸気の流れが制限され、ハウジング2外部へ漏洩することが抑制される。また、吸引装置6によってキャビティ414,514が負圧の状態とされるので、高圧蒸気がキャビティ414,514から連通路415,515,空所48,58,吸引路26,27、及び配管7を介して排出され、隙間t2からハウジング2の外部へ漏洩することはほとんどない。さらに、シールリング42,52の内周面は断面形状が平坦であり、ロータ軸2の外周面も断面形状が平坦であるため、上記のようなシールリング42,52による漏洩防止効果は、ロータ軸2が熱によって延伸したとしても阻害されることはない。
まず、第1シール装置4については、図2に示すように、ボルト453をハウジング2から取り外し、第1シール装置4を貫通孔24からハウジング2の外部側へ軸方向に抜き取る。そして、ボルト451,452を取り外して本体部411と側板部412,413とを分解し、シールリング42を交換する。シールリング42を交換した後、本体部411と側板部412,413をボルト451,452によって連結し、第1シール装置4を貫通孔24に挿入する。そして、嵌合穴461に位置決めピン462を嵌合させながら第1シール装置4の右側面を突出部24Bに当接させて位置決めし、ボルト453によって側板部412をハウジング2に固定する。
また、シールケース51と貫通孔25との間には膨張黒鉛からなる成形シール部材542が設けられ、この成形シール部材542は耐熱性及び耐圧性に優れているので、非常に高温高圧となる流入口21付近においても好適にシール性能を発揮することができる。
また、各シール装置4,5において、シールリング42,52は、軸方向に3個以上設けられていてもよく、この場合、全て又は一部のシールリング42,52間にキャビティ414,514を形成することができる。
2 ハウジング
24B 突出部(当て止め部)
25B 突出部(当て止め部)
3 ロータ軸
32 コーティング層
33 コーティング層
4 第1シール装置
41 シールケース
414 キャビティ
415 連通路
42 シールリング
461 嵌合穴
462 位置決めピン(位置決め突部)
47 圧縮コイルスプリング(付勢部材)
5 第2シール装置
51 シールケース
514 キャビティ
515 連通路
52 シールリング
542 成形シール部材
561 嵌合穴
562 位置決めピン(位置決め突部)
57 圧縮コイルスプリング(付勢部材)
6 吸引装置
Claims (3)
- 高圧側と低圧側とを区画するハウジングと、このハウジングに形成された貫通孔に挿入される回転軸の外周面との間をシールするシール装置であって、
前記回転軸の外周面に対してシール隙間をあけた状態で配置されるとともに、軸方向に間隔をあけて並設された複数のシールリングと、
径方向の移動を許容した状態で前記シールリングを収容する凹溝と、前記シール隙間に連通するように前記複数のシールリング間に形成されたキャビティとを有するとともに、前記貫通孔に装着されるシールケースと、
前記シールリングの低圧側の軸方向一端面を前記凹溝の側面に圧接させる付勢部材と、
前記キャビティ内の流体を吸引する吸引手段と、を備え、
前記シールリングの内周面に対向する前記回転軸の外周面に、前記シールリングよりも硬質のコーティング層を備えていることを特徴とするシール装置。 - 前記吸引手段が、一端が前記キャビティに連通しかつ他端が前記シールケースの外周面で開口するように前記シールケースに形成された連通路を有しており、
前記シールケースの外周面と前記貫通孔の内周面との間に、前記連通路からの流体の漏洩を防止する膨張黒鉛からなる成形シール部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシール装置。 - 前記シールケースが、前記貫通孔に対して前記ハウジングの外部側から軸方向に挿入され、
前記ハウジングに、当該ハウジングの内部側への前記シールケースの軸方向移動を規制する当て止め部が形成され、
前記当て止め部と前記シールケースとの当接面の一方に嵌合穴が形成され、他方に、前記嵌合穴に軸方向に嵌合する位置決め突部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシール装置。
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