JP4762139B2 - 液体から磁性粒子または磁化可能粒子を分離する装置および方法 - Google Patents

液体から磁性粒子または磁化可能粒子を分離する装置および方法 Download PDF

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Description

本発明は、1つまたは2つ以上の永久磁石によって生成される磁場によって、液体から磁性粒子または磁化可能粒子を分離する装置に関する。本発明は、さらに、1つまたは2つ以上の永久磁石によって生成される磁場によって、液体から磁性粒子または磁化可能粒子を分離する方法に関する。この装置および方法は、例えば、生化学、分子遺伝学、微生物学、医療診断および法医学における応用に使用することができる。
磁気的に吸引可能な粒子を使用する、特に結合をする、磁気分離に基づく方法は、診断または分析試験用のサンプル製造において重要性を増している。このことは、特に、自動化プロセスについて当てはまり、それは、それによって多数のサンプルを短時間の内に分析し、労働集約的な遠心分離工程を不要にすることができることからである。こうすることで、高いサンプルスループットでの効率的なスクリーニングに対して要求される条件が生成される。このことは、例えば、分子遺伝学研究または医療診断の分野における応用に対して非常に重要であり、それは非常に多数のサンプルを純粋に手作業で対処するのは実際上、不可能であるためである。さらに重要な応用分野は、薬学的な活性物質を特定するための薬学スクリーニング方法に関するものである。
複雑な混合物から物質を磁気分離する基本原理は、意図する分離工程に固有の方法で、磁性粒子(磁化可能または磁気的に吸引可能な粒子)に機能を付与する工程、すなわち、化学処理によって、分離しようとする目的物質に対して固有の結合特性を、磁性粒子に与えることに基づいている。これらの磁性粒子の大きさは、通常、約0.05〜500μmである。ある物質に対して特有の特性を有し、複雑な混合物からこれらの物質を除去するのに使用することのできる、磁性粒子は、例えば、DE19528029A1に記載されており、また(例えば、chemagen Biopolymer-Technologie AG、DE-52499 Baesweilerにより)市販されている。
既知の分離方法においては、第1のステップ(「結合ステップ」において、機能付与された磁性粒子が、清浄化しようとする混合物に添加され、この混合物は、目的物質分子を磁性粒子に結合しやすくする液体(結合バッファ)内に、目的物質(複数を含む)を含有する。これによって、混合物内に存在する目的物質(複数を含む)の、磁性粒子への選択的結合が生じる。続いて、これらの磁性粒子は、磁力を利用して、すなわち、例えば永久磁石(「ペレット(pellet)」)を用いて、反応容器の内壁の部位に固定される。その後に、例えば吸引または傾瀉(decantation)によって、液体上澄みが、分離、廃棄される。磁性粒子は前述のように固定されているので、これらの粒子が上澄みと一緒に分離されることは、おおむね防止される。
引き続いて、固定された磁性粒子は、再び懸濁される。このために、溶出液(eluting liquid)または溶出バッファを使用し、これは目的物質(複数を含む)と磁性粒子の間の結合を破壊するのに適しており、これによって、磁性粒子を磁場の作用によって固定したままで、目的物質分子を磁性粒子から開放して、溶出液とともに分離することができる。1つまたは2つ以上の洗浄ステップを、溶出ステップに先立って実施してもよい。
磁性粒子を用いての分離プロセスを実施するための、様々な種類の装置が記載されている。DE29614623U1には、可動永久磁石を備える磁気分離器が開示されている。代替手法として、磁性粒子を収納する反応容器を、固定装着された永久磁石に対して、機械的駆動手段によって動かすことが提案されている。DE10063984A1に記載の装置は、磁気保持装置および可動反応容器保持器を備え、同様の原理に従って機能する。
上述の装置を使用することによって,磁性粒子を、「ペレット」として反応容器の内壁上または底面上に固定または蓄積することができる。しかしながら、これらの装置は、反応容器から磁性粒子を除去するのには適していない。結果的に、液体と磁性粒子を分離するために、それぞれの個別反応容器から液体を、吸引によって汲み干すことが必要である。これは、大量の材料消費(使い捨てピペットチップ(pipette tip))を伴うので、不利である。さらに、個々の磁性粒子も吸い出されて、誤り率が高くなることが避けられない。液体が滴下して相互汚染を起こすことによって、その他の誤りが生じる可能性がある。
DE10057396C1には、電磁励起コイルによって磁化させることのできる、複数の回転棒材を備える磁気分離装置が提案されている。磁性粒子を包含する液体中にその棒材を浸漬して、磁化状態のその棒材を取り除くことによって、磁性粒子を液体から除去することが可能であり、また、必要な場合には、それを別の反応容器に移して、そこで励起コイルを停止することによって、磁性粒子を液体、例えば洗浄液または溶出液中に放出することができる。
この装置の欠点は、励起コイルによって生成される磁場が、十分に均一ではなく、そのために、個々の棒材が、リング形励起コイル内でのその位置によって、磁化される程度異がなることである。この欠点は、特に、多数の棒材を必要とする場合に、顕著となる。さらに、励起コイルには、比較的大きな空間が必要であり、このことから構造的な制約を生まれる。
とりわけ、既知の装置は、高処理量用途(例えば、364または1536個のウエルを備えるマイクロタイタープレート(microtitre plate))に要求されるような、多数のサンプルを同時処理することには適さない。
したがって、本発明の目的は、上述の欠点を回避しながら、磁性粒子を液体から分離すること、および1つの液体から別の液体に磁性粒子を移すことを可能にする装置および方法を提供することである。より具体的には、この装置および方法は、高処理量プロセスにおいて使用するのに適している。
これらおよびその他の目的は、驚くべきことに、主クレームによる装置によるとともに、クレーム24〜27による方法、および従属クレームに記載された態様によって達成される。
すなわち、磁性粒子または磁化可能粒子を液体から分離するための、本発明の装置は、以下の構造を特徴とする:すなわち、
装置は、軟磁性材料でできた2つのアーム(limb)を備え;これらのアームは、それが適当であれば別の構成要素と一緒に、磁気回路を形成する;
アームの2つの磁極(pole)間には、1つまたは2つ以上の容器を受け入れるのに適した空隙がある;
磁極の一方の上に、ヘッドピースが固定式または着脱式に配設されており;1つまたは2つ以上の磁化可能棒材が、垂直方向に固定式または可動式に前記ヘッドピース上に配置されている;
1つの永久磁石または少なくとも2つの永久磁石の群が、装置の少なくとも1つの位置に配設され;2つの磁極間に磁場を生成することが可能であるとともに、この磁場は磁石(複数を含む)を動かすことによって起動または停止することができるように配設されている;
可動磁石(複数を含む)が磁気回路(鉄芯回路(iron circuit))の内側に配設されている、装置の領域は、少なくとも部分的に、磁場を遮蔽する材質によって包囲されていることである。
2つのアームは、軟磁性材料、例えば、軟鉄(特に、Fe−Ni合金)または磁化可能鋼でできている。アームの横断面は、正方形、長方形、円形または楕円形とし、例えば、横断面積の大きさは、所望の磁場の横断面積に応じて、例えば、20〜100cmとすることができる。さらに、アームを、磁化不能材料でできたフレームまたはハウジングに取り付けることもできる。
2つのアームは、通常は、互いに上下に配設され、ヘッドピースを支持するアームは、他方のアームの液体容器(すなわち、サンプル容器)を受け入れる働きをする領域の上方に位置する。
ヘッドピースの配設は、着脱可能として、それによって、例えば、ヘッドピースを、異なる数または種類(長さ、直径;固定式または可動式)の磁化可能棒材と交換することを可能にすることができる。棒材の数は、サンプル数、したがって、同時に処理しようとする液体容器の数によって決まる。マイクロタイタープレートは、好ましくは、特に96384個または1536個のウエルを備える容器として使用され、それによって、例えば96384個または1536個の磁化可能棒材を備える、適当なヘッドピースが、そのような場合に提供される。さらに、容器として適しているのは、例えば、0.015〜100mlの体積のサンプル管または反応容器であり、これらは、それぞれの場合に、それに適合させた磁化可能棒材と組み合わせて、個々に、または群として処理することができる。
任意選択で、棒材に加えてヘッドピースも、上述のような軟磁石体で構成してもよい。その長さおよび横断面は、意図する応用目的、特に容器の形状寸法および液体の体積に依存し、それに応じて変えることができる。
さらに、異なる液体サンプル間の汚染を回避するために、引き剥がすことのできる、交換式外被(replaceable envelop)が、それぞれの棒材の上にかけられるようにすることができる。この目的で、自動的に使用済みの外被を廃棄して、新しい外被を供給、装着することを可能にする、専用の装置を設けるのが好ましい。
複数の個別の磁石で構成することもできる、永久磁石を配設することによって、アームの磁極間に、実質的に均一な磁場が生成される。このようにして、より多数の棒材を、例えば数行にして配置して、それぞれの棒材の位置で磁場をほぼ同じ大きさにすることが可能であり;このことは、高処理量プロセスの観点では特に有利である。本発明による装置のさらなる利点は、磁性粒子は、起動状態において、実質的に棒材の先端に蓄積されることである。
本発明によれば、永久磁石(複数を含む)は、装置の磁気回路に対して可動式に配設され、それによって、磁石(複数を含む)を動かすことによって、磁極間の磁場を交互に起動、停止させることができる。この目的で、磁石(複数を含む)を、磁気回路の範囲内で動かしたり、または、それぞれ磁気回路の範囲内に移動させたり、そこから外に移動させたりする。このことは、永久磁石(複数を含む)が第1の位置にあるときに磁極間の磁場は起動されること、および永久磁石(複数を含む)が第2の位置にあるときに、磁極間の磁場は停止されることを意味する。前記第2の位置において、磁石(複数を含む)は、磁気回路の外側にあるのが好ましい。
磁場の起動および停止は、好ましくは、磁石(複数を含む)を鉄芯回路(磁気回路)の範囲内で動かす(例えば、回転させる)ことによるか、または磁石(複数を含む)を外側から磁気回路の中に移動させ(「起動」)、その後に再び外に移動させる(「停止」)ことによって行う。
磁場を起動および停止することが可能であることから、この装置を使用して、磁化可能棒材によって第1の液体から磁性粒子を除去し、その粒子を第2または別の液体に移し、その中に粒子を放出することができる。さらに、これによって、例えば攪拌棒材などの他の機能のために、棒材を使用することが可能となる。
基本的に、当業者に知られている任意の硬質磁性材料、特に、フェライト、Al−Ni−Co合金および希土類磁石(好ましくはNdFeB)を使用して、永久磁石を製作することが可能であり、そのような磁性材料および磁石は、様々な製造業者によって市販されている。
鉄芯回路の内側に可動磁石(複数を含む)が配設されている、装置の領域は、少なくとも部分的に、磁場を遮蔽する材質によって包囲されている。軟質磁性材料を遮蔽材料として使用すること、および/または、当業者には知られている、磁場を遮蔽する材料、例えばブリキ板(tin plate)またはミューメタルを使用してもよい。この遮蔽材料は、停止状態において、磁気回路の空隙内に位置する、サンプル液体を含む容器の上に磁力が作用しないように、可動磁石(複数を含む)のまわりに配設される。
永久磁石(複数を含む)の配設されている領域を、完全に包囲する遮蔽が、特に好ましい。より具体的には、この目的で短絡リング(short circuit ring)を設けてもよい。
好ましくは、この装置は、磁石(複数を含む)が磁気回路の範囲内で、またはその中に移動する場合に、磁気回路の範囲内に可動磁石(複数を含む)が配設されている、装置の領域が、磁場を遮蔽する材料によって少なくとも部分的に包囲されるように構成する。
特に好ましい態様によれば、装置の2つのアームは、2つの磁極の反対側で、同様に磁化可能な(軟質磁性)材料によって互いに連結され、それによって、磁極間の空隙を除いて、完全に閉止されている磁気回路または磁化リングが形成される。
永久磁石(複数を含む)は、好ましくは、2つのアームの間、およびその他端(すなわち、磁極と反対側)に配設される。前記のように、2つのアームが互いに連結されている場合には、永久磁石(複数を含む)は、好ましくは、2つのアームを接続する領域の内側、またはその領域に配設される。磁石(複数を含む)は、好ましくは、この目的で一方のアームの中に設けられた凹部内、または2つのアームを連結する区画内に、可動式に装着する。
磁場を起動および停止する目的で、永久磁石(複数を含む)を可動にするために、磁石またはいくつかの磁石の群を、この目的で設けられた凹部内に、回転可能または傾斜可能に配設してもよい。磁石を回転または傾斜させることによって、磁石の磁極、したがってその磁場が、磁気回路の方向を指す位置に、すなわち、アーム(起動状態、アームの磁極間で最大磁場強度)に向かう方向に、磁石を移動させるか、または、そこから発生する磁場が、実質的に前述の方向(停止状態)と直角である別の位置に移動させることができる。また、磁石(複数を含む)を、それらの間の位置に回転または傾斜させることによって、アームの磁極間で、最大値よりも低い、磁場強度を得ることができる。
代替的に、磁石を置き換え可能に装着して、磁石(複数を含む)を置き換えることによって磁気回路の範囲内に移動させること(起動)、またはそれから取り外すこと(停止)ことが可能となる。
運動(例えば、傾斜、回転、置き換え)は、直接または間接的に手操作で達成するか、または1つまたは2つ以上の空気圧式手段または水圧式手段によって達成することが可能であり、これらの手段の組み合わせも可能である。駆動手段は、リンクまたはギアユニットなどの、当業者には知られている、さらに別の手段を含んでもよい。
好ましい態様によれば、永久磁石(複数を含む)の運動の範囲は、事前設定可能である。この方法では、所与の応用目的に応じて,磁場強度を特定の値に設定することが可能である。これは、特に、ある傾斜または回転角度、あるいはある置き換え距離を事前設定して、それを維持ことによって達成することができる。
さらに別の態様によれば、磁化可能棒材を保持するヘッドスペースが、可動式に装着される。特に、ヘッドピースを水平面内で可動式にすることができる。その場合には、駆動手段(電気的、空気圧式および水圧式)、ギアユニット、リンクおよびその他を、ヘッドピースに連結して、それによってヘッドピースを使用して、シェーキング運動(例えば、円形運動または軌道シェーカー(orbital shaker)のもののような運動)を行わせることができる。
さらに好ましくは、前記磁化可能棒材(複数を含む)を、それぞれのヘッドピースに(その縦方向軸のまわりに)回転可能に装着すること、および混合を達成するため、または棒材からの粒子の分離を加速するために、磁性粒子含有液体を処理する間に、その磁化可能棒材を回転できるようにすることが好ましい。回転は、好ましくは、起電力手段によって達成される。
磁性粒子を分離するために,そのような粒子を含有する液体を、磁化可能棒材の下方の、装置の空隙中に導入する。この目的で、上記の種類の容器を使用することができる。好ましくは、少なくとも1つの保持装置を、この目的で備え、それは棒材の下方に配置し、それによって棒材が、容器の開口に向くように配向することができる。この保持装置は、例えば、保持板(holder plate)の形態に構成される。
さらに好ましいのは、保持手段が本質的に水平面で一方向、または複数方向に可動である態様であり、代替的または追加的に、保持装置を垂直方向に可動にしてもよい。この運動は、好ましくは、起電力駆動によるか、または空気圧式手段もしくは水圧式手段によるか、あるいはこれらの手段の組み合わせによって達成される。
特に、保持装置の構成は、それらを、シェーキング運動を実行するために使用できるようにすることもできる。そのために必要となる構造対策は、基本的に、当業者には知れられている。さらに、ヘッドピースおよび保持装置の両方を可動式として、シェーキング運動を実行するために使用できるようにされる。それによって、棒材がその中に浸漬されるときに、サンプル液体の特に効率的な混合を達成することができる。
さらに好ましいのは、開ループ制御装置または閉ループ制御装置を設けて、それによって、保持装置(複数を含む)の垂直移動を調整または制御して、それの上方移動によって、液体で充満した容器(10)内に棒材(7)が浸漬されるようにすることができる。
特に、上述の保持装置は、プログラム制御実験室ロボットシステムの構成要素としてもよく、好ましくは、この保持装置を調整して、前記容器の複数の個別の容器、またはそのような容器の群、特にマイクロタイタープレートが、交代に前記棒材の下方の位置に移動し、続いて、所定の時間間隔後に、再び、棒材の下方の領域外である位置に移動するようにする。これによって高サンプル処理量が達成される。
本発明のさらに好ましい態様によれば、プログラム制御プロセッサが、装置に関連づけられて、それと接続される。このようにして、以下に示す装置の機能の少なくとも1つを、開ループ制御または閉ループ制御することが可能であるか、あるいは以下に示す機能の少なくとも2つを互いに連係して働かせることができる:その機能とは、
磁場を起動および停止するための永久磁石(複数を含む)の運動、特に起動段階および停止段階の持続時間、ならびに磁場強度;
回転棒材の場合の、回転速度および回転持続時間;
水平面でのヘッドの運動、特にシェーキング運動の持続時間、周波数および振幅;
容器(複数を含む)または容器の群を、交代に棒材の下方に配置し、続いてそれらをその位置から取り除く、保持装置(複数を含む)の運動、特に運動の速度および周波数、ならびに棒材の下方での保持装置の滞留時間;
棒材(単数/複数)を容器(複数を含む)内の液体に浸漬し、同棒材をそこから取り除く、保持装置の垂直運動;特に浸漬深さ、持続時間および周波数;
それが備えられている場合には、保持装置(複数を含む)の回転運動またはシェーキング運動、特に回転速度、回転振幅および個々の動作段階間の間隔;である。
本発明による装置は、サンプル材料を自動的に処理するためのその他の装置と有利に組み合わせてもよい。さらに、本発明による装置の2つ以上を、並べて配設して互いに組み合わせてもよい。
したがって、本発明は、以下に示す手段の1つまたは2つ以上がそれに関連付けられている、上記種類の装置も包含し、前記手段の機能は、合同制御によって、装置の機能と連係して作用する:
1つまたは2つ以上のサーモスタット調温可能な加熱手段または冷却手段;
液体、特に試薬を計量添加するための、1つまたは2つ以上のピペットステーション;
液体を容器から排出するための1つまたは2つ以上の吸引手段;
容器に収納された液体をシェークまたは混合するための1つまたは2つ以上の手段;
特に光度測定またはルミネセンス検出のための分析装置。
本発明は、液体形態で存在する物質混合物から目的物質を分離するための方法を含む。これらの方法は、一般的には次の工程を含む:
a)目的物質に関係する固有の結合特性を有する磁性粒子または磁化可能粒子を添加する工程;
b)所定の体積の混合物を、磁気回路の2つの磁極の間の空隙に配置して、磁化可能棒材をその混合物中に浸漬する工程であって、前記棒材は磁気回路の一方に連結して、磁場は最初に停止させておく工程;
c)磁気回路の内側または上側に配設された永久磁石の位置を変化させることによって磁場を起動する工程であって、それによって棒材が磁化されて、粒子が実質的に棒材の下端に蓄積し;続いて、棒材が、それに付着する粒子とともに液体の第1の混合物から除去される工程;
d)それに付着する粒子と一緒に、目的物質を粒子から溶出させる、所定の体積の液体中に、棒材を浸漬する工程;
e)前記棒材を溶出液から取り除く工程であって、それによって粒子は棒材に付着し続けて、それによって液体から分離される工程。
純度および収量を向上させるために、工程d)に続いて、磁場を停止することによって、粒子を液体中に放出し、その液体を混合し、続いて、磁場を起動することによって粒子を棒材上に再蓄積させるのが有利な場合がある。混合は、例えば、棒材の回転によるか、または保持器または/およびヘッドピースを攪拌することによって達成することができる。
さらに、上記の方法には、任意選択で,1つまたは2つ以上の洗浄過程を含めてもよく、そのような洗浄プロセスは、例えば、工程c)に続いて以下の工程で実行することができる:
棒材を、それに付着する粒子と一緒に、所定の体積の洗浄液に浸漬する工程;
永久磁石の位置を反対に変更することによって磁場を停止し、それによって粒子を液体中に放出させる工程;
混合させる工程;
磁気回路の内側または上側に配設された永久磁石の位置を変更することによって磁場を起動し、前記棒材を磁化させて、粒子を実質的に前記棒材の下端に蓄積させる工程。
本発明による上記の装置の1つを使用することによって、上述の方法を特に簡単で迅速に実行することが可能である。本発明による装置および方法は、冒頭に述べた応用分野に対して、特に高処理量の方法に対して、特に有利に使用することができる。
以下では、本発明を、一例として、本明細書に添付する概略図面を用いて説明する。使用した参照番号の意味は、特に断らない限り、すべての図面において同じである。図面は単に概略の表現であるので、実際の寸法比はそれから変わることがある。
図1Aおよび1Bは、本発明による装置の一態様を側面図で示す。装置(1)は、磁気回路の2つの磁化可能アーム(2,3)を有し、前記アームは領域(6)によって互いに連結されている。アームの反対端に、2つの磁極(4,5)があり、空隙(12)がその間に位置する。上方アーム(2)の磁極(4)は、それに棒材(7)が取り付けられたヘッドピース(8)を支持する。その棒材の下方には、保持装置(11)があり、この保持装置(11)は、他方のアーム(3)の磁極(5)に連結されるか、または少なくともそれに接触している。保持装置上に、液体サンプルを受け入れる複数の窪み部分(10)を有する、サンプル容器(9)が、例えば、保持装置(11)上に着脱式に固定されて、配設されている。
空隙(12)の反対側の、2つのアームを連結する領域(6)には、凹部(16)があり、ここには、棒形または立方形の永久磁石(15)が回転可能に配設されている。永久磁石の領域のまわりには、短絡リング(20)が配設されている(後者は回転磁石の領域に破線で表わしてある)。図1Aは、停止状態の装置を示し、永久磁石(15)の位置は、磁気回路の方向に実質的に直角の方向であり、永久磁石の磁場は、短絡リング(20)中へと誘導される。
図1Bは、同じ装置を起動状態で示している。永久磁石(15)の位置は、実質的に、磁気回路の方向を指す。それによって、磁極(4、5)の間に、したがって、棒材(7)の端部にも磁場が形成され、この磁場は、磁性粒子を引きつけるのに使用することができる。
図1Cは、(図1B)面において一点鎖線aで示される、図1A/Bに示す装置の断面を示す。矢印(17)は、起動状態における磁場の方向を図解している。
図1Dおよび図1Eは、同様に、概略側面図であって、本発明による装置のさらに別の実施態様を示しており、使用される磁石は、平坦な直方体形状を有し、その2つの大きな側面に磁極が位置している。図1Dは、起動状態(磁場が鉄芯回路の方向を向く)を示し、図1Eは停止状態を示す。短絡リング(20)の位置は、輪郭だけを示した。図1A、1Bに示すその他の要素は、簡単にするために省略してある。
図2および図3には、本発明による装置のさらに別の構造変形形態を、同様に側面図で示してある。
図4には、図1A/Bの装置(1)を平面図で示してあり、こうすることによって、短絡リング(20)のリング形状を見ることができる。図示した態様においては、短絡リング(20)は、磁気回路とは完全には当接しないで、空所(22)を残すように構成されている。これによって、回転磁石(15)へのアクセスが、容易になるか、または可能となる。短絡回路(20)は、組み立ておよび分解を容易にするために、一点鎖線21で示すように、2つの半体(20a、20b)または複数の部品によって構成してもよい。
図5は、本発明による装置の一態様を(同じく側面図で)示しており、置き換え可能(両向き矢印)永久磁石(15)が凹部(16)内に設けられている。図5は、起動状態を示し、この状態では、永久磁石によって、磁極(4、5)の間に磁場が形成される。停止のためには、磁石を外側に、装置(1)の磁気回路の外に置き換える。
図6は、図1A/Bに示す装置の修正形態を示しており、この場合には、2つのアーム(3、4)は長さが異なっている。
図7A〜7Dは、特に好ましい態様を異なる視野で示してあり、ここで磁石(15)は、水平面内で、軸Yのまわりに回転可能な支持体(40)上に配置されている。磁石(15)は、それによって、支持体(40)を回転させることによって、磁気回路(鉄芯回路)中に移動させる(起動状態、図7C、7D)か、または磁気回路の領域外に、移動させる(図7A、7B)ことができる。短絡リング(20)は、これらの図(図7A〜7D)には示していないが、支持体(40)の領域に適当な凹部が設けられるか、または装置のその側面に、シールド材料が不完全に設けられている。支持体(40)は、好ましくは、既知の駆動手段によって動かされる、回転テーブルの形態、または場合によっては回転アームとして設けられる。任意選択で、2つ以上の磁石を支持体に取り付けることができる。
図7Aおよび図7Cは、回転テーブルYの断面を示しており、図7Bおよび図7Dは、それぞれ平面図で、同じ装置を示している。
図8には、本発明による装置(1)の一態様を側面図で示してあり、この場合には、2つのアーム(2、3)は、共通領域(6)によって、互いに連結されていない。回転磁石(15)は、空隙の反対側で、2つのアーム(2、3)の間に配設されている。短絡リング(20)は、断面で表してある。
図9には、ヘッドピース(8)およびそれに取り付けられた棒材(7)を備える、本発明による装置の上部アーム(4)の正面図を示してある。棒材の下方には、保持装置(8)が配設されており、その上には複数の容器(10)がいくつかの列に配置されている。保持装置は、水平面内を上方および下方(矢印)に加えて、様々な方向に動かすことができる。
図10(a〜d)は、磁化可能棒材(7)の異なる形状の例を、縦方向断面で示している。磁場の影響下で引きつけられた粒子を、(30)で示してある。図9dは、交換式外被(25)を設けた棒材を示している。
本発明による装置の一態様を示す側面図である。 本発明による装置の一態様を示す側面図である。 図1A/Bに示す装置の、一点鎖線で示す(図1B)面における断面図である。 本発明による装置のさらに別の態様を示す、概略側面図である。 本発明による装置のさらに別の態様を示す、概略側面図である。
本発明による装置のさらに別の構造変形形態を示す側面図である。 本発明による装置のさらに別の構造変形形態を示す側面図である。 図1A/Bに示す装置の平面図である。 置き換え可能(両向き矢印)な永久磁石(16)を凹部(15)を設けた、本発明による装置の一態様の側面図である。 図1A/Bに示す装置の変形形態を示す図である。
Y軸のまわりに水平面で回転可能な支持体(40)内に磁石(15)を配置した、本発明の特に好ましい一態様の断面図である。 Y軸のまわりに水平面で回転可能な支持体(40)内に磁石(15)を配置した、本発明の特に好ましい一態様の平面図である。 Y軸のまわりに水平面で回転可能な支持体(40)内に磁石(15)を配置した、本発明の特に好ましい一態様の断面図である。 Y軸のまわりに水平面で回転可能な支持体(40)内に磁石(15)を配置した、本発明の特に好ましい一態様の平面図である。 本発明による装置(1)の一態様の側面図である。 ヘッドピース(8)と棒材(7)がそれに取り付けられた、本発明による一装置の上部アーム(4)の正面図である。 磁化可能棒材(7)の異なる形状例を示す縦断面図である。

Claims (26)

  1. 磁場を使用して磁性粒子または磁化可能粒子(30)を液体から分離するのに使用される装置(1)であって、
    磁気回路の一部を形成する、軟磁性材料でできた2つのアーム(2、3)を含み;
    前記アーム(2、3)の2つの磁極(4、5)の間に、1つまたは2つ以上の容器(9、10)を受け入れるのに適した空隙が(12)があり、
    前記2つの磁極の一方(4)には、ヘッドピース(8)が固定式または着脱式で配設され、前記ヘッドピースには、1つまたは2つ以上の磁化可能棒材(7)が、垂直方向に固定式または可動式に配置されており;
    前記装置の磁気回路内の少なくとも1点に、1つの永久磁石(15)または少なくとも2つの永久磁石の群が可動式に配設されて、それによって、前記2つの磁極(4、5)間に磁場(17)が生成され、前記磁石(15)を移動させることによって、前記磁場を起動または停止させることが可能であり;
    前記可動式磁石が配設されている、装置の領域は、磁場を遮蔽する材質(20)によって少なくとも部分的に包囲されている、前記装置。
  2. 2つのアーム(2、3)が、磁極(4、5)の反対側(6)で互いに連結されて、それによって磁気回路を形成することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
  3. 前記磁石の配設が、前記磁石が磁気回路内で可動するか、回転可能にされているか、または外側から磁気回路中に移動するとともに、次いで再び前記回路から外に移動することができるようにしたことを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
  4. 磁気回路内で前記可動式磁石が配設されている、装置の領域が、磁場を遮蔽する材質によって少なくとも部分的に包囲されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の装置。
  5. 磁気回路の範囲内で移動、またはその中へと移動する前記磁石の場合に、前記可動式磁石が前記磁気回路内に配設されている、装置の領域が、磁場を遮蔽する材質によって少なくとも部分的に包囲されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の装置。
  6. 前記永久磁石が、磁気回路中に設けられた凹部(16)の中に、回転可能または傾斜可能に配設されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の装置。
  7. 前記永久磁石が、磁気回路中に設けられた凹部(16)の中に外から移動するとともに、次いで再び凹部(16)から外に移動することができることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の装置。
  8. 前記永久磁石が、回転支持体(40)に配設されており、この回転支持体(40)を用いて、前記永久磁石を磁気回路の中に移動させ、次いで再び前記回路の外に移動させることができることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の装置。
  9. 前記永久磁石の運動が、電気モータを用いるか、または空気圧式手段もしくは水圧式手段によって達成されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の装置。
  10. 磁場強度を所望の値に設定するために、回転角度または置き換え距離を含む前記永久磁石の移動の範囲が、事前設定可能であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の装置。
  11. 前記可動式磁石が配設されている、磁気回路の領域が、磁場を遮蔽する材質によって完全に包囲されており、前記遮蔽が、短絡リング(20)の形態で設けられていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の装置。
  12. ヘッドピース(8)が、シェーキング運動を実行するために、水平面内で可動であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の装置。
  13. ヘッドピース(8)が、列を成して配置された複数の棒材(7)を支持していることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の装置。
  14. ヘッドピースが交換式に取り付けられていることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の装置。
  15. 棒材(7)が回転式に配設されており、電動駆動によって、縦方向軸のまわりに回転可能であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の装置。
  16. 棒材(7)が、それぞれ、取り外し、交換可能な外被(25)によって覆われていることを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の装置。
  17. 容器(9、10)のための少なくとも1つの保持装置(11)が、ヘッドピースおよびこのヘッドピースに配設された棒材の下方に、容器を位置付けるのに適していることを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の装置。
  18. 保持装置が、電動駆動によるか、または空気圧式手段もしくは水圧式手段によって、水平面内および/または垂直方向に可動であることを特徴とする、請求項17に記載の装置。
  19. 保持装置が、シェーキング運動を実行するように適合されていることを特徴とする、請求項18に記載の装置。
  20. 保持装置がプログラム制御実験室ロボットシステムの構成要素であるとともに、前記容器の複数の個別容器、まはマイクロタイタープレートを含むそのような容器の群が、交代に棒材の下方の位置に移動し、続いて、所定の時間間隔後に、再び前記棒材の下方の領域外にある位置に移動することを特徴とする、請求項17〜19のいずれかに記載の装置。
  21. 保持装置(11)の垂直移動を、上方に移動する場合に、棒材(7)が液体充満容器(10)中に浸漬されるように、開ループ制御ユニットまたは閉ループ制御ユニットによって、開ループ制御または閉ループ制御することが可能であることを特徴とする、請求項17〜20のいずれかに記載の装置。
  22. プログラム制御プロセッサが、装置に関連づけられて、それに接続されており、それを用いて、以下に示す装置の特徴:
    磁場を起動および停止させるための永久磁石の起動段階および停止段階の持続時間、ならびに磁場強度、;
    回転棒材の場合の、回転速度および回転持続時間;
    水平面におけるヘッドのシェーキング運動の持続時間、周波数および振幅;
    容器または容器の群を、棒材の下方に交代に位置決めし、続いて、それらをその位置から取り除く、保持装置の運動の速度および周波数、ならびに前記棒材の下方での前記保持装置の滞留時間;
    前記棒材を前記容器内の液体に浸漬し、同棒材をそこから取り除く、前記保持装置の垂直運動;浸漬深さ、滞留時間および周波数;
    それが提供される場合には、前記保持装置の回転またはシェーキング運動、回転速度、回転振幅および個々の動作段階間の時間間隔;
    の内の少なくとも1つを、開ループ制御または閉ループ制御することが可能であるか、あるいはその少なくとも2つを互いに連係して働かせることができることを特徴とする、請求項17〜21のいずれかに記載の装置。
  23. 液体形態で存在する、物質の混合物から目的物質を分離するための方法であって、
    a)目的物質に関係して特有の結合特性を有する磁性粒子または磁化可能粒子を添加する工程;
    b)所定の体積の混合物を、磁気回路の2つの磁極間の空隙に配置して、磁化可能棒材を前記混合物中に浸漬する工程であって、前記棒材は磁気回路の磁極の一方に接続して、最初に磁場は停止させておく工程;
    c)磁気回路の内側または上側に配設された永久磁石の位置を変化させることによって磁場を起動し、それによって前記棒材を磁化させて、前記粒子を実質的に前記棒材の下端に蓄積させる工程;
    d)前記棒材を、それに付着する粒子と一緒に、目的物質を粒子から溶出させる所定の体積の液体中に、浸漬する工程;
    e)前記棒材を溶出液から引き上げる工程;
    を含む、前記方法。
  24. 工程d)に続いて、
    f)永久磁石の位置を反対に変更することによって磁場を停止し、それによって粒子を液体中に放出させる工程;
    g)混合する工程;
    h)磁気回路の内側または上側に配設された永久磁石の位置を変えることによって磁場を起動する工程であって、それによって棒材を磁化させて、前記粒子を、実質的に前記棒材の下端に蓄積させる工程;
    i)前記棒材を溶出液から引き上げる工程;
    を実行することを特徴とする請求項23に記載の方法。
  25. 工程c)に続き、
    k)棒材を、それに付着する粒子と一緒に、所定の体積の洗浄液に浸漬する工程;
    l)永久磁石の位置を反対に変更することによって磁場を停止し、それによって前記粒子を液体中に放出させる工程;
    m)混合する工程;
    n)磁気回路の内側または上側に配設された永久磁石の位置を変更することによって磁場を起動する工程であって、それによって前記棒材を磁化させて、前記粒子を、実質的に前記棒材の下端に蓄積させる工程;
    o)前記棒材を前記溶出液から引き上げる工程;
    p)請求項23の工程d)およびe)と同様に、または請求項24に従って、目的物質を溶出させる工程;
    を実行することを特徴とする、請求項23または24に記載の方法。
  26. 請求項1〜22のいずれかに記載の装置を使用することによって実行することを特徴とする、請求項2325のいずれかに記載の方法。
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