JP4761979B2 - 燃料電池セパレータ用原料組成物および燃料電池セパレータ - Google Patents
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Description
ただし、式中、Rは水素、炭素原子数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基、フェニル基またはナフチル基であり、Grはグリシジル基である。また、nは[ ]内の繰返し単位の平均値であり、0〜10である。
Rは水素、炭素原子数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基、フェニル基またはナフチル基である。Rがこれらの場合には、原料組成物の流れ性の改善が著しく、得られる成形品の表面平滑性がよく、セパレ−タを成形した場合の体積抵抗率が低い。式(1)で示すエポキシ樹脂中に異なるRが混在しても差支えないが、Rが同一であることがエポキシ樹脂の生産性、経済性の点から好ましい。
Rがアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、t−ブチル基等が挙げられる。入手が容易なことから、水素またはメチル基であることが好ましい。
nは[ ]内の繰返し単位の平均値であり、0〜10である。nが0〜10の範囲にあると、原料組成物の流れ性の改善が著しく、得られる成形品の表面平滑性がよく、セパレ−タを成形した場合の体積抵抗率が低い。好ましいnは1〜7である。
硬化剤の含有量は特に制限されないが、式(1)で示すエポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対し0.5〜1.5当量、好ましくは0.7〜1.3当量、さらに好ましくは0.8〜1.2当量である。前記範囲を外れると、未反応のエポキシ樹脂または硬化剤が残存するため、成形品の強度が低下したり、ガス不透過性が悪くなる場合がある。
黒鉛の形状は特に制限されず、鱗片状、針状、球状等のいかなるものも用いることができるが、好ましいのは流れ性の点から、球状または鱗片状である。黒鉛の大きさは、特に限定されないが、平均粒径が5〜100μm、好ましくは10〜80μm、さらに好ましくは20〜60μmである。前記下限値より小さいと、原料組成物の成形時の粘度が増加して、該原料組成物の流れ性が低下する恐れがある。また、前記上限値より大きいと、セパレータの最も薄い部分より、黒鉛の粒径が大きくなる場合があり、成形品のセパレータの表面平滑性が低下する。ここでの平均粒径は、粒度測定装置(Microtrak社製、型式MT3000)を用いて、粒度分布曲線を測定したときの50質量%を示すときの粒子径である。
エポキシ樹脂と硬化剤の合計含有量は、特に制限されないが、原料組成物の全量の5〜30質量%、好ましくは7〜15質量%である。該範囲より多い場合には、セパレータとしての電気抵抗が高くなり、該範囲より少ない場合には、原料組成物の流れ性が低下し、好ましくない。
エポキシ樹脂と硬化剤の割合は、エポキシ樹脂が完全に硬化するような割合であることが好ましい。これは、エポキシ樹脂のエポキシ当量と硬化剤の官能基数に依存するが、質量比で通常は1.8〜2.2であり、好ましくは1.9〜2.1である。該値が大きすぎたり、小さすぎると、未反応のエポキシ樹脂または硬化剤が残存し、セパレ〜タ等に成形した場合、セパレータの機械的強度が低下したり、ガス不透過性が低下する。
硬化触媒は、公知のエポキシ化合物の硬化触媒であれば、特に制限されず、いかなるものも使用することができる。例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール系化合物、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第三級アミン系化合物、トリフェニルホスフィン等のリン系化合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール系化合物が、硬化後の成形品の不純物の量が少ないので、好ましい。硬化触媒の含有量も特に制限されないが、エポキシ樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜15質量部、さらに好ましくは0.1〜10質量部である。
また、エポキシ樹脂が完全硬化しないうちに、成形されたセパレータを金型から取出し、該セパレータの複数枚を加熱炉等を用いて同時に熱処理し、硬化を完結する方法も、圧縮成形、射出成形等において採用することができる。該成形方法は、生産性が向上するので好ましい。
なお、セパレータの厚さ、形状、大きさ等は、適用される燃料電池の要求に従うことはもちろんであるが、例えば、厚さは一般的には1〜3mm、好ましくは1.5〜2.5mmである。
原料組成物の成分である樹脂、硬化剤、硬化触媒および黒鉛を下記する。
実施例1〜3に用いたエポキシ樹脂Aは,式(1)において、RがCH3、nが1.9(平均値)のエポキシ樹脂であり、式(2)に示すエポキシ樹脂(エポキシ当量213g/eq.、軟化点75℃、日本化薬社製)である。なお、式(2)のGrはグリシジル基である。
比較例1で用いたエポキシ樹脂Bは、オルトクレゾール型エポキシ樹脂(エポキシ当量200g/eq.、軟化点67℃、日本化薬社製)である。
比較例2で用いたエポキシ樹脂Cは、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量200g/eq.、軟化点57℃、日本化薬社製)である。
比較例3でエポキシ樹脂の代わりに用いた樹脂は、レゾール型フェノール樹脂(群栄化学社製)である。
フェノールノボラック樹脂(水酸基当量100g/eq.、軟化点84℃、日本化薬社製)。
(3)硬化触媒
2−フェニルイミダゾール(2PZ)。
(4)黒鉛
天然黒鉛(平均粒径60μm)。
表1に示す量と種類の樹脂、硬化剤、硬化触媒と黒鉛をアセトンに溶解して、ミキサーで均一に混合した。該混合液からアセトンを蒸発除去して、樹脂と黒鉛が表1に示す割合で混合した粉末状の原料組成物を得た。なお、混合割合は質量比で、樹脂:硬化剤:硬化触媒=66:33:1である。該原料組成物の硬化時間と流れ性を後記した方法で測定した。結果を表1に示した。
次に、該原料組成物20gを、金型(7cm×7cm角、厚さ2mm)を用いて、180℃、荷重20tonで3分間加圧(圧力40MPa)して、シートを成形した。該シートの体積抵抗率、曲げ強度、ガス透過性を測定した。結果を表1に示した。
(1)原料組成物の硬化時間
原料組成物の硬化の際の反応熱を示差走査熱量計(マックサイエンス社製)を用いて測定し、次式により硬化率を計算した。硬化率が99%となるまでの熱処理時間を完全硬化時間とみなした。
(2)原料組成物の流れ性
180℃に加熱した金型(縦7cm、横7cm、厚さ2mm)に、原料組成物20gを充填し、直ちに荷重20tonで3分間加圧(圧力40MPa)してシートを成形し、金型の隙間に発生した、ばりの割合(充填量に対するバリの割合、質量%)で評価した。
シート(7cm角)から切出した5cm角の試験片を、金めっきを施した電極にカーボンシートを介して挟み、9.8MPa(100kgf/cm2)で加圧しながら、体積方向の貫通抵抗を抵抗率計を用いて測定した。
(4)シートの曲げ強度
JIS K6911(熱硬化性プラスチック一般試験方法)に準拠して、シート(7cm角)から切出した長さ5cm、幅1cmの試験片を、オートグラフ(島津製作所社製)を用い、スパン間隔4.5cmで3点曲げ強度を測定する方法によって行った。
(5)シートのガス透過性
JIS K7126(プラスチックフィルム及びシートの気体透過度試験方法)に準拠して、気体としてHeを用いて、差圧0.1MPa(1気圧)下で、シート(7cm角)のガス透過性を測定した。
一方、比較例1〜2のオルトクレゾール型エポキシ樹脂Bやビフェニル型エポキシ樹脂Cを用いた原料組成物の場合は、硬化時間は短いものの、成形時の流れ性が悪く、成形して得られるシートは、体積抵抗率とガス透過性が高く、燃料電池用セパレータとして劣っていた。また、比較例3のレゾール型フェノール樹脂を用いた原料組成物は、硬化時間が長く、シートのガス透過性が高く、燃料電池用セパレータとしては劣っていた。
Claims (3)
- 前記黒鉛の含有量が、前記原料組成物中の70〜95質量%であり、前記エポキシ樹脂と前記硬化剤の合計量が前記原料組成物中の5〜30質量%であって、エポキシ樹脂/硬化剤の質量比が1.8〜2.2であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池セパレータ用原料組成物。
- 請求項1または2に記載の原料組成物を硬化してなることを特徴とする燃料電池セパレータ。
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