JP4761821B2 - 防湿紙およびこれを用いた防湿段ボール紙 - Google Patents

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本願発明は、防湿紙およびこれを用いた防湿段ボール紙に関するものである。
紙又は板紙に防湿性を付与する手段として、合成樹脂をライナーに塗工する方法が一般的に行われている。この方法で防湿性を向上させるためには、合成樹脂の単位面積当たりの塗工量を増やす必要があり、コストアップにつながるとともに、古紙としての離解が困難になるという不具合があった。
これに対して、防湿剤に平均粒子径が5〜50μmの平板状無機粒子を添加する方法が提案されている(特許文献1参照)。この場合、少量の塗工で高い防湿性が得られるという利点があるが、使用する無機粒子が平均粒子径5μm以上のもののみだと、塗工後のライナー表面の平滑度が悪化し、その結果として耐摩耗性が悪化する傾向となる。さらに、塗工面の平滑度が悪くなると、貼合時にコルゲーターの熱版との擦れにより熱版が摩耗する可能性がある。特に、平板状無機粒子として雲母を使用した場合には、その影響が顕著となる。
上記不具合に対処するために、平均粒子径が5〜50μmの平板状の第1の無機粒子と、平均粒子径が0.1〜5μmの第2の無機粒子とを混合してなる防湿剤(平均粒子径=1〜5μm)を添加する方法が提案されている(特許文献2参照)。
特開平9−21096号公報。
特開2004−131865号公報。
ところが、上記特許文献2に開示されているように、平均粒子径が5〜50μmの平板状の第1の無機粒子と、平均粒子径が0.1〜5μmの第2の無機粒子とを混合してなる防湿剤を紙面上に塗工した場合、本来、紙面に対して平行に積層されるべき平板状の第1の無機粒子間に第2の無機粒子(第1の無機粒子より平均粒子径が小さい)が入り込み、結果として、平板状の第1の無機粒子の積層が乱れ、同一塗工量では特許文献1に開示されている防湿紙における透湿度を上回ることができないという不具合がある。さらに、平板状の第1の無機粒子が表面に露出することがあるところから、貼合時にコルゲーターの熱版との擦れにより熱版が摩耗する可能性を完全に解消することが難しい。特に、平板状無機粒子として雲母を使用した場合には、その影響が顕著となる。
本願発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、古紙として離解が可能であって、防湿性に優れ且つ貼合時においてコルゲーターの熱版適性に優れた防湿紙を提供することを目的としている。
本願発明では、上記課題を解決するための第1の手段として、紙又は板紙の少なくとも片面に、平均粒子径が5〜50μmの平板状無機粒子と合成樹脂ラテックスとからなる第1の防湿剤を塗工してなる第1防湿層と、該第1防湿層の上層側に位置して平均粒子径0.1〜5μmの平板状無機粒子と合成樹脂ラテックスとからなる第2の防湿剤を塗工してなる第2防湿層とを形成し且つ前記第1防湿層に含有する平板状無機粒子の平均粒子径よりも、前記第2防湿層に含有する平板状無機粒子の平均粒子径を小さくなるようにし、前記第1防湿層の表層にある平板状無機粒子間に前記第2防湿層の平板状無機粒子が入り込める状態としている。
上記のように構成したことにより、平均粒子径が5〜50μmの平板状無機粒子と合成樹脂ラテックスとからなる第1の防湿剤を塗工してなる第1防湿層により、高い防湿性能を得ることができるとともに、平均粒子径0.1〜5μmの平板状無機粒子と合成樹脂ラテックスとからなる第2の防湿剤を塗工してなる第2防湿層により前記第1防湿層の表層における平板状無機粒子間の隙間が第2防湿層の平板状無機粒子によって埋められることとなり、防湿性能がより向上するとともに、塗工表面の平滑度が向上せしめられる。
なお、第1および第2の防湿剤を構成する平板状無機粒子の平均粒子径は5〜20μmとするのがより好ましく、その平均粒子径が5μmより小さいと、塗工層中での平板状無機粒子の配向が紙又は板紙に対して平行になりにくくなり、防湿性が不足するし、50μmより大きいと、塗工面の平滑性、耐摩耗性が劣り、沈降し易く、防湿剤の安定性も悪化する傾向にある。また、第2の防湿剤を構成する平板状無機粒子の平均粒子径は1〜5μmとするのがより好ましく、0.1μmより小さいと、添加量を多くできなかったり、防湿剤の粘度が上昇したりする傾向にあり、5μmより大きいと、第1の防湿層における隙間を埋める効果が低くなる。
ところで、前記第1の防湿剤を構成する平板状無機粒子としては、フィロケイ酸塩鉱物、天然鱗片状黒鉛などが挙げられる。フィロケイ酸塩鉱物に属するものは、板状または薄片状であって明瞭な劈開性を有する雲母族やタルクが挙げられる。
また、前記合成樹脂ラテックスとしては、スチレンブタジエンラテックス(SBR)、アクリルスチレンラテックス、メタクリレートブタジエンラテックス、アクリルニトリルブタジエンラテックスなどが挙げられる。
また、第1および第2の防湿剤の塗工方法は限定されないが、エアーナイフコーター、バーコーター、ロールコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、フレキソ印刷機等が好ましい。
本願発明の第1の手段からなる防湿紙を用いて防湿段ボール紙を構成することもでき、そのように構成した場合、包装用の用途に最適なものとなる。
本願発明の第1の手段によれば、紙又は板紙の少なくとも片面に、平均粒子径が5〜50μmの平板状無機粒子と合成樹脂ラテックスとからなる第1の防湿剤を塗工してなる第1防湿層と、該第1防湿層の上層側に位置して平均粒子径0.1〜5μmの平板状無機粒子と合成樹脂ラテックスとからなる第2の防湿剤を塗工してなる第2防湿層とを形成し且つ前記第1防湿層に含有する平板状無機粒子の平均粒子径よりも、前記第2防湿層に含有する平板状無機粒子の平均粒子径を小さくなるようにし、前記第1防湿層の表層にある平板状無機粒子間に前記第2防湿層の平板状無機粒子が入り込める状態としているので、下層側に位置する第1防湿層に平均粒子径の大きい平板状無機粒子を、上層側に位置する第2防湿層に平均粒子径の小さい平板状無機粒子を使用することとなり、高い防湿性と平滑性、耐摩耗性を有し、且つコルゲーターの熱版適性に優れた防湿紙が得られるという効果がある。また、平均粒子径0.1〜5μmの平板状無機粒子と合成樹脂ラテックスとからなる第2の防湿剤を塗工してなる第2防湿層により前記第1防湿層の表層における平板状無機粒子間の隙間が第2防湿層の平板状無機粒子によって埋められることとなり、防湿性能がより向上するとともに、塗工表面の平滑度が向上せしめられるという効果もある。
以下、本願発明の好適な実施の形態について説明する。
本願発明の防湿紙は、紙又は板紙の少なくとも片面に、平均粒子径が5〜50μmの平板状無機粒子と合成樹脂ラテックスとからなる第1の防湿剤を塗工してなる第1防湿層と、該第1防湿層の上層側に位置して平均粒子径0.1〜5μmの平板状無機粒子と合成樹脂ラテックスとからなる第2の防湿剤を塗工してなる第2防湿層とを形成して構成されている。
上記のように構成したことにより、平均粒子径が5〜50μmの平板状無機粒子と合成樹脂ラテックスとからなる第1の防湿剤を塗工してなる第1防湿層により、高い防湿性能を得ることができるとともに、平均粒子径0.1〜5μmの平板状無機粒子と合成樹脂ラテックスとからなる第2の防湿剤を塗工してなる第2防湿層により前記第1防湿層の表層における平板状無機粒子間の隙間が埋められることとなり、防湿性能がより向上するとともに、塗工表面の平滑度が向上せしめられる。
なお、第1の防湿剤を構成する平板状無機粒子の平均粒子径は5〜20μmとするのがより好ましく、その平均粒子径が5μmより小さいと、塗工層中での平板状無機粒子の配向が紙又は板紙に対して平行になりにくくなり、防湿性が不足するし、50μmより大きいと、塗工面の平滑性、耐摩耗性が劣り、沈降し易く、防湿剤の安定性も悪化する傾向にある。また、第2の防湿剤を構成する無機粒子の平均粒子径は1〜5μmとするのがより好ましく、0.1μmより小さいと、添加量を多くできなかったり、防湿剤の粘度が上昇したりする傾向にあり、5μmより大きいと、第1の防湿層における隙間を埋める効果が低くなる。
ところで、前記第1および第2の防湿剤を構成する平板状無機粒子としては、フィロケイ酸塩鉱物、天然鱗片状黒鉛などが挙げられる。フィロケイ酸塩鉱物に属するものは、板状または薄片状であって明瞭な劈開性を有する雲母族やタルクが挙げられる。
また、前記合成樹脂ラテックスとしては、スチレンブタジエンラテックス(SBR)、アクリルスチレンラテックス、メタクリレートブタジエンラテックス、アクリルニトリルブタジエンラテックスなどが挙げられる。
また、第1および第2の防湿剤の塗工方法は限定されないが、エアーナイフコーター、バーコーター、ロールコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、フレキソ印刷機等が好ましい。
さらにまた、本願発明の防湿紙を用いて防湿段ボール紙を構成することもでき、そのように構成した場合、包装用の用途に最適なものとなる。
上記構成の防湿紙を製造する場合、紙又は板紙の少なくとも片面に、第1の防湿剤による第1防湿層を形成した後、所定の乾燥工程を実施し、その後第1防湿層の上に、第2の防湿剤による第2防湿層を形成する。なお、乾燥温度は合成樹脂ラテックスが十分に成膜する熱量を与えれば十分であるため一般の塗工紙と同等の乾燥条件でよい。また、片面にのみ防湿層を形成する場合には、塗工面の反対側にカール防止のために水塗りを行う方が好ましい。
ついで、本願発明を、実施例および比較例により、さらに詳述する。
以下に説明する実施例1,2および比較例1,2において使用され板紙、無機粒子、合成樹脂ラテックス、防湿剤および塗工方法は以下の通りである。
<板紙>
ライナー(大王製紙(株)製 JK180g/m2)
<無機粒子>
平板状無機粒子:白雲母(平均粒径:11μm、カナヤ興産製:マイカMK)
無機粒子1:上記白雲母をボールミールで粉砕し、平均粒径を1μmとしたもの
無機粒子2:ゼオライト(平均粒径:2μm、日東粉化工業製:SP600)
<合成樹脂ラテックス>
ジョンクリル741(ジョンソンポリマー製)
<防湿剤>
防湿剤1:上記合成樹脂ラテックスと上記平板状無機粒子とを混合する
防湿剤2:上記合成樹脂ラテックスと上記平板状無機粒子と上記無機粒子1とを混合す る(ここで、平板状無機粒子:無機粒子1=1:2)
防湿剤3:上記合成樹脂ラテックスと上記無機粒子1とを混合する
防湿剤4:上記合成樹脂ラテックスと上記無機粒子2とを混合する
<塗工方法>
165線のハンドプルーフ(塗工量6g/m2)を用いて作製した防湿剤をライナー表面に塗工する。
実施例1
上記防湿剤1を塗工し乾燥した上に上記防湿剤3を塗工し乾燥させたもの(塗工量12g/m2)。
実施例2
上記防湿剤1を塗工し乾燥した上に上記防湿剤4を塗工し乾燥させたもの(塗工量12g/m2)。
比較例1
上記防湿剤1を塗工し乾燥した上にさらに防湿剤1を塗工し乾燥させたもの(塗工量12g/m2)。
比較例2
上記防湿剤2を塗工し乾燥した上にさらに防湿剤2を塗工し乾燥させたもの(塗工量12g/m2)。
<評価方法>
透湿度:上記実施例1,2および比較例1,2で得られた防湿紙を用いてJIS Z 0208に規定するカップ法に従って測定した。
摩耗性:学振型摩擦堅牢度試験機を用いて上記実施例1,2および比較例1,2で得ら れた防湿紙塗工面とポリ袋を加重500gにて接触させ往復500回の摩耗試 験を実施し、以下の評価基準に従い評価した。
○:ポリシートに傷の発生なし
△:ポリシートに傷の発生有り
×:ポリシートに破損有り
Figure 0004761821
上記結果によれば、実施例1,2が、比較例1,2に比べて透湿度および摩耗性において優れていることが分かる。つまり、本願発明により、高い防湿性と平滑性、耐摩耗性を有し、且つコルゲーターの熱版適性に優れた防湿紙が得られることが分かるのである。また、平均粒子径0.1〜5μmの平板状無機粒子と合成樹脂ラテックスとからなる第2の防湿剤を塗工してなる第2防湿層により前記第1防湿層の表層における平板状無機粒子間の隙間が第2防湿層の平板状無機粒子によって埋められることとなり、防湿性能がより向上するとともに、塗工表面の平滑度が向上せしめられることが分かる。

Claims (2)

  1. 紙又は板紙の少なくとも片面には、平均粒子径が5〜50μmの平板状無機粒子と合成樹脂ラテックスとからなる第1の防湿剤を塗工してなる第1防湿層と、該第1防湿層の上層側に位置して平均粒子径0.1〜5μmの平板状無機粒子と合成樹脂ラテックスとからなる第2の防湿剤を塗工してなる第2防湿層とを形成し且つ前記第1防湿層に含有する平板状無機粒子の平均粒子径よりも、前記第2防湿層に含有する平板状無機粒子の平均粒子径が小さくなるようにし、前記第1防湿層の表層にある平板状無機粒子間に前記第2防湿層の平板状無機粒子が入り込める状態となしたことを特徴とする防湿紙。
  2. 請求項1記載の防湿紙を用いた防湿段ボール紙。
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