JP4761757B2 - 封止材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子部品保護パーケージ等のシール用封止材料の製造方法に関する。
従来、電子機器に使用される水晶発振素子やSAWフィルタ素子は、図6および図7に示す如く、電子部品保護パッケージであるセラミックスパッケージ101内に封入されており、その封入に際して封止板102は低膨張係数を有したコバール材、42アロイ材等の合金板が封止材料104として使用され、封止材料103としてAu−Sn合金が多用されている。
封止材料であるコバール材、42アロイ材等の基板は、所定の形状片に加工後、Niメッキ加工を施し、さらにAuメッキを施して封止材料として構成し、封止材料としてAu−Sn合金板片を電子部品保護パッケージのシール用の封止材料との間に挿入し、加熱溶融して封着させている(例えば、特許文献1参照)。
また、前記封止材料としてAu−Sn部を前記Niメッキ、Auメッキ加工を施し、封止材料の封着面に所定のAu−Sn組成になるようにAuメッキ、Snメッキからなる多層メッキ加工により構成した封止材料を電子部品保護パッケージ上に加熱溶融して封着させる(例えば、特許文献2参照)。
特開2000−31313号公報 特開2002−9186号公報
しかしながら、上述した従来のセラミックスパッケージと封止材料との封着の技術において、その封止材料には基板となるコバール材、42アロイ材等の低膨張係数を有した材料と、Au層との間にNi層が基板へのAu層の過多拡散防止用として設けられている。
しかしながら、そのAu層が薄いためにセラミックスパッケージと封止材料との封着時の加熱により、Au層が拡散消滅し、Au−Sn合金中のSnもしくは所定のAu−Sn組成になるようにAu層およびSn層を多段に積層した層中のSnとNi層との拡散反応により、非常に脆い層が生成されることを見出した。
この非常に脆い層の生成により完全な封止状態が得られないという問題がある。
また、電子回路基板上への実装において、封止状態が破壊され、素子としての機能が損なわれてしまうという問題がある。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、基板に脆い層の生成をなくし、Au−Sn部の十分な溶融、拡がりが得られる封止材料を提供することを目的とする。
本発明は、コバール材、42アロイ材等の低膨張係数を有する封止材料によってセラミックスパッケージ等の電子部品保護パッケージを封着材を介して封着する封止材料において、コバール材、42アロイ材等の低膨張係数を有する基板の両面もしくは封着面となる片面に、厚さ0.02〜20μmのAu層を形成し、そのAu層面に75〜85wt%Au−Sn合金からなる封着層を形成したことを特徴とする。
さらに、低膨張係数を有するコバール材、42アロイ材等の基板の両面もしくは封着面となる片面に、厚さ0.02〜20μmのAu層を形成し、さらに、75〜85wt%Au−Snの組成になるようにAu層およびSn層を多段に積層させた封着層を形成することを特徴とする。
このように構成することにより、脆い層の生成がなく、Au−Sn部の十分な溶融、拡がりが得られ、完全な封止状態が得られることがわかった。
さらに、このような構成の製造方法として、コバール材、42アロイ材等の低膨張係数を有する基板の両面もしくは封着面となる片面に、厚さ0.02〜20μmのAu層をメッキ加工により形成し、100〜400°Cの熱処理を施した後、そのAu層面に75〜85wt%Au−Sn合金からなる封着層を150〜275°Cの温度域でクラッド加工により構成したことを特徴とする。
さらに、低膨張係数を有するコバール材、42アロイ材等の基板の両面もしくは封着面となる片面に、厚さ0.02〜20μmのAu層をメッキ加工により形成し、100〜400°Cの熱処理を施した後、そのAu層面に75〜85wt%Au−Snの組成になるようにAu板およびSn板を多段に積層させた封着層を150〜275°Cの温度域でクラッド加工により構成したことを特徴とする。
なお、上記構成において、Au−Sn組成を75〜85wt%としたのは、75wt%未満だと脆くなり、封止加工に支障をきたし、85wt%を超えると封着温度が上昇し、内部の素子に悪影響をおよぼすからである。
また、Au層の形成はクラッド加工によってもよく、Au層の厚さを0.02〜20μmとした理由は、0.02μm未満だと脆い層の生成制御の効果がなく、20μmを超えると封止加工に悪影響をおよぼすからである。なお、理想的には2μm程度がよい。
また、Au層の形成後の熱処理を100〜400°Cとしたのは、100°C未満ではコバール材、42アロイ材等の基板戸の接合強度増強への効果がなく、400°Cを超えると拡散過多になり、脆い層の生成抑制の効果がなくなるためである。
さらに、クラッド加工の温度域を150〜275°Cとしたのは、150°C未満では十分な接合強度が得られず、275°Cを超えるとAu−Sn部の軟化が著しく、均一な厚さが得られないためである。
このように、基板と封着材料との間にAu層を形成することにより、基板に脆い層の生成をなくすことができ、Au−Sn部の十分な溶融、拡がりが得られ、完全な封止状態を得ることができるという効果がある。
以下に、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
第1実施例 コバール材からなる幅方向断面形状が板厚2mm、幅20mmの基板1に、Auからなる幅方向断面形状が板厚0.04mm、幅20mmの接合材2をクラッド加工により複合後、200°Cの熱処理を施し、幅方向断面形状が板厚0.12mm、幅20mmからなる第1複合材3とした(図1)。
つぎに、この第1複合材3の接合材2面上に80wt%Au−Sn合金からなる幅方向断面形状が板厚0.012mm、幅20mmからなる封着材4を1.5m/分の加工速度で250°Cの温度にてクラッド加工により複合し、幅方向断面形状が板厚0.1mm、幅20mmからなる第2複合材5をつくり(図2)、プレス抜き加工により、板厚0.1mmからなる3mm角の複合封止材料Aを得た。
第2実施例 上記第1実施例の基板1のコバール材を42アロイ材にし、上記と同様の方法で板厚0.1mmからなる3mm角の複合封止材料Bを得た。
第3実施例 Auからなる幅方向断面形状が板厚1mm、幅20mmの条材6に、Snからなる幅方向断面形状が板厚1mm、幅20mmの条材7を用い、板厚方向においてAu/Sn/Au/Sn/Au(図3)の順になるようにクラッド加工により複合し、封着材となるように溶融後の組成が80wt%Au−Snとなる幅方向断面形状が板厚0.012mm、幅20mmの封着材4(図3)とした。
コバール材からなる幅方向断面形状が板厚0.12mm、幅20mmからなる条材8の片面もしくは両面(本実施例では両面を示す。)にAuメッキ加工によりメッキ層厚0.05μmのAu層9を形成後(図4)、200°Cの熱処理を施し、そのAuメッキ面に上記封着材4を2m/分の加工速度で230°Cの温度にてクラッド加工により複合し、幅方向断面形状が板厚0.1mm、幅20mmからなる複合材10をつくり(図5)、プレス抜き加工により、板厚0.1mmからなる3mm角の複合封止材料Cを得た。
第4実施例 上記第3実施例の基板1のコバール材を42アロイ材にし、上記と同様の方法で板厚0.1mmからなる3mm角の複合封止材料Dを得た。
比較例1 コバール材からなる幅方向断面形状が板厚0.07mm、幅20mmからなる条材をプレス抜き加工により、3mm角の基板片とし、Niからなる厚さ0.01mmの層をNiメッキ加工により全面に設け、さらにそのNi層上にAuからなる厚さ0.01mmの層をAuメッキ加工により全面に設け、板厚0.092mmからなる3mm角の複合材を得た。
つぎに、80wt%Au−Sn合金からなる厚さ0.008mm、3mm角の封着材を上記複合材上に融着せしめ、板厚0.1mmからなる3mm角の複合封止材材料Eを得た。
比較例2 上記基板となるコバール材を42アロイ材に換え、複合封止材料Eと同様の方法で板厚0.1mmからなる3mm角の複合封止材料Fを得た。
比較例3 上記複合材の片面へ板厚方向において、Au/Sn/Au/Sn/Auの順で多層を構成し、その各Au層部は厚さ0.002mmからなる層をAuメッキ加工により設け、各Sn層部は厚さ0.002mmからなる層をSnメッキ加工により設け、Au/Sn/Au/Sn/Au部厚さを0.01mmとし、板厚0.1mmからなる3mm角の複合封止材料Gを得た。
比較例4 上記基板のコバール材を42アロイ材にし、上記と同様の方法で板厚0.1mmからなる3mm角の複合封止材料Hを得た。
上記各実施例および各比較例A〜Hをメタライズされたセラミックパッケージ上に封着し、封着強度試験およびヘリウムリーク試験による良品数をもって比較とし、その結果を表1に示す。
また、上記各複合封止材料A〜Hの封着材部について、ワレ、カケの有無を外観評価項目として表1に併記した。
Figure 0004761757
実施例の説明図 実施例の説明図 実施例の説明図 実施例の説明図 実施例の説明図 電子部品パッケージの斜視説明図 電子部品パッケージの断面説明図
符号の説明
1 基板
2 接合材
3 第1複合材
4 封着材
5 第2複合材
6 Au条材
7 Sn条材
8 条材
9 Au層
10 複合材

Claims (1)

  1. コバール材や42アロイ材の低膨張係数を有する封止材料によってセラミックスパッケージによる電子部品保護パッケージを封着材を介して封着する封止材料の製造方法において、
    コバール材や42アロイ材の低膨張係数を有する基板の両面もしくは封着面となる片面に、厚さ0.05μmのAu層をメッキ加工により形成し、100〜400°Cの熱処理を施した後、そのAu層面に75〜85wt%Au−Snの組成になるようにAu板およびSn板を多段に積層させた封着層を150〜275°Cの温度域でクラッド加工することを特徴とする封止材料の製造方法。
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