JP4760086B2 - シミュレーション装置及びシミュレーション、並びにコンピュータ・プログラム - Google Patents

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本発明は、プロセスの挙動解析シミュレーションを行なうシミュレーション装置及びシミュレーション方法、並びにコンピュータ・プログラムに係り、特に、帯電、露光、現像、転写、定着などのプロセスからなる電子写真方式の画像形成装置についての挙動解析シミュレーションを行なうシミュレーション装置及びシミュレーション、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
さらに詳しくは、本発明は、精度を確保しながら実用的な計算時間内で処理を終了させるシミュレーション装置及びシミュレーション、並びにコンピュータ・プログラムに係り、特に、計算対象領域を制限して、計算精度の低下を防ぎながら計算時間の短縮化を実現するシミュレーション装置及びシミュレーション、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
物理的、生態的、あるいは社会的などのシステムの挙動を数式化若しくはモデル化し、ほぼ同じ法則に支配されるシステムの挙動をコンピュータ上で模擬すること、すなわちシミュレーションが広く利用されている。シミュレーション技術を利用することにより、さまざまな局面におけるシステムの挙動を現実に体験する前に予測することができ、得られたパラメータに基づいてシステムを制御し、システムのエラーを予測し、これを防止する制御を行なうことでエラーを回避することができる。
例えば、粉体や粒体などの粒子を取り扱う分野では、粒子の挙動を把握することか必要であるが、このような粒子の挙動を試行錯誤の実験により把握するとなると、時間やコストの面で問題があった。そこで、粉体や粒体などの粒子の挙動を数式化若しくはモデル化し、ほぼ同じ法則に支配されるシステムの挙動をコンピュータ上でシミュレーションすることにより、粒子の挙動を現実に体験する前に予測することができる。また、投入する条件やパラメータを変えて、同じシミュレーション計算を繰り返し行なうことにより、さまざまな粒子組成や装置設計・制御体系の性能を評価することができる。
粉体を取り扱う装置の代表例として、電子写真技術を利用した複写機やプリンタなどの画像形成装置を挙げることができる。この場合、画像構成剤としてのトナー及びトナーを搬送するための磁性体からなるキャリアという2成分からなる現像剤を粉体挙動解析の対象として取り扱う。そして、攪拌器内で混合されオーガで移送されるトナーの帯電量や、マグネット・ローラ表面に形成された磁気ブラシ(穂立ち)から電界による影響を受けて飛翔して現像されるトナーの挙動などを、粉体挙動解析シミュレーションを適用する。これによって、現実に画像形成実験を行なうことなく、形成される画像を予測し評価することができる。
粉体挙動解析の主な手法として、粉体毎の挙動を解析する個別要素法(例えば、非特許文献1を参照のこと)と、複数の粉体を等価な物性値を持つ流体モデルに置き換えて解析する方法などが挙げられる。
前者の個別要素法によれば、すべての粒子に作用するさまざまな力(例えば、弾性力や粘性力などの接触による作用力、ファンデルワース力や鏡像力、液架橋力などの外力)を基に運動方程式を立てて、粒子毎の挙動を解析するので、より現実に近い評価を行なうことができる。反面、取り扱う粒子数が膨大になると計算量が増大するという問題がある。
シミュレーションを実施する場合、精度を確保しながら、実用的な計算時間内で処理を終了させたいという要求がある。このため、計算対象領域の制限若しくは限定を行なうことがある。例えば、注目粒子周囲の特定半径内の電気的相互作用のみを計算する分子動力学シミュレーションにおけるカットオフ法が知られている。
また、計算対象となる反射波の到達可能領域を特定し、この特定領域内に位置する各評価点について反射波の受信強度を計算することにより、移動通信システムにおける電波受信強度を短時間で計算できるシミュレーション方法について提案がなされている(例えば、特許文献1を参照のこと)。
しかしながら、これらの方法では、設定された物理的空間距離に従って一律に計算対象領域を選択するため、対象外の領域との相互作用が完全に打ち切られることになり、シミュレーション計算の精度が不十分となる可能性や、物理特性の不連続かといった打ち切り効果を起こしたりするという問題がある。
特開平8−8846号公報 粉体工学会「粉体シミュレーション入門―コンピュータで粉体技術を創造する―」(産業図書株式会社、1998年3月30日)、第3章「粒子要素法シミュレーション」
本発明の目的は、精度を確保しながら実用的な計算時間内で処理を終了させることができる、優れたシミュレーション装置及びシミュレーション、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
本発明のさらなる目的は、計算対象領域を制限して、計算精度の低下を防ぎながら計算時間の短縮化を実現することができる、優れたシミュレーション装置及びシミュレーション、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、その第1の側面は、複数の計算対象が存在する所定の計算領域内でのシミュレーション計算を行なうシミュレーション装置であって、前記計算領域内において、物理的な作用力に応じて、計算対象の物理量の変化量を算出する変化量算出手段と、該変化量が規定された閾値を超える計算対象のみシミュレーション計算を行なうシミュレーション計算手段とを具備することを特徴とするシミュレーション装置である。
例えば、粉体や粒体などの粒子の挙動を数式化若しくはモデル化し、ほぼ同じ法則に支配されるシステムの挙動をコンピュータ上でシミュレーションするなど、シミュレーション技術が広く採用されている。
シミュレーションを実施する場合、精度を確保しながら、実用的な計算時間内で処理を終了させたいという要求がある。しかしながら、設定された物理的空間距離に従って一律に計算対象領域を選択すると、対象外の領域との相互作用が完全に打ち切られることになり、シミュレーション計算の精度が不十分となる可能性や、物理特性の不連続かといった打ち切り効果を起こしたりするという問題がある。
そこで、本発明に係るシミュレーション装置では、計算領域内において、物理的な作用力(Operator、演算子)に応じて、注目している対象の物理量(function(x)、物理関数)の変化量Δxが規定された閾値を超える場合にのみ、この対象の計算を行なうようにした。
この手法により、限定された計算領域中であっても、物理的影響の高い要素が抽出されるので、計算精度の低下を防ぎながら、計算時間の短縮化を実現することができる。
例えば、露光・帯電、現像、転写、定着を含む電子写真プロセスにおいて、マグネット・ロール上に形成された磁気チェーン中のトナー粒子のシミュレーション計算を行なう場合に、前記変化量算出手段は、計算対象としてのトナー粒子が受ける電界を演算子とし、電界によるトナーの移動度を物理量の変化量として算出する。そして、前記シミュレーション計算手段は、移動度が所定値を超えるトナー粒子のみその挙動の挙動計算を行なうようにしてもよい。この場合、磁気チェーン中のトナー粒子のうち、穂立ちの先端に付着しているトナーは電界による影響を受けて飛翔するので、挙動計算の対象とする一方、穂立ちの根元に付着しているトナー粒子は電界影響受けず運動しないので計算の対象外とする。すなわち、磁気チェーン表面に存在する、電界の影響を受けて現像しうる(感光体側へ移動しうる)トナーのみを粒子運動計算の対象として、計算量を削減することができる。
また、オーガ及びマグネット・ロールによる攪拌及び搬送中のトナー粒子の帯電計算を行なう場合に、前記変化量算出手段は、計算対象としてのトナー粒子の摩擦帯電性を演算子とし、摩擦帯電性による帯電量を物理量の変化量として算出する。そして、前記シミュレーション計算手段は、帯電量が所定値を超えるトナー粒子のみ帯電量のシミュレーション計算を行なうようにしてもよい。この場合、オーガによる攪拌によってトナーが帯電するので、オーガ内のトナーを帯電量計算の対象とする一方、搬送過程ではトナーは帯電しないので磁気チェーン中のトナーを計算の対象から外す。すなわち、オーガによる攪拌プロセスのみを計算の対象として、計算量を削減することができる。
また、本発明の第2の側面は、複数の計算対象が存在する所定の計算領域内でのシミュレーション計算をコンピュータ・システム上で実行するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、前記コンピュータ・システムに対し、前記計算領域内において、物理的な作用力に応じて、計算対象の物理量の変化量を算出する変化量算出手順と、該変化量が規定された閾値を超える計算対象のみシミュレーション計算を行なうシミュレーション計算手順とを実行させることを特徴とするコンピュータ・プログラムである。
本発明の第2の側面に係るコンピュータ・プログラムは、コンピュータ・システム上で所定の処理を実現するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムを定義したものである。換言すれば、本発明の第2の側面に係るコンピュータ・プログラムをコンピュータ・システムにインストールすることによって、コンピュータ・システム上では協働的作用が発揮され、本発明の第1の側面に係るシミュレーション装置と同様の作用効果を得ることができる。
本発明によれば、精度を確保しながら実用的な計算時間内で処理を終了させることができる、優れたシミュレーション装置及びシミュレーション、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
また、本発明によれば、計算対象領域を制限して、計算精度の低下を防ぎながら計算時間の短縮化を実現することができる、優れたシミュレーション装置及びシミュレーション、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
本発明は、複数のプロセスによって構成されるシステムの挙動をシミュレーションして予測若しくは評価するシミュレーション装置に関する。以下では、電子写真技術を利用した複写機やプリンタなどの画像形成装置において、トナーとキャリアからなる2成分系現像剤を解析対象粒子としてその粉体挙動を解析するシミュレーション装置について取り扱う。
電子写真プロセスは、電子写真感光体に対する帯電及びスキャンした原稿イメージの露光、感光体表面の静電潜像へのトナー重畳すなわち現像、転写体へのトナー転写、転写したトナーの定着など複数の工程からなるが、本発明では、露光・帯電、現像、転写などのプロセス毎にシミュレーションをモジュール化し、各シミュレーション・モジュールからのシミュレーション結果を統合して画像形成装置全体の評価を行なうようにする。
まず、電子写真プロセスについて説明する。図5には、電子写真プロセスの機能的構成を模式的に示している。
感光体の表面を帯電器によって一様な表面電位に帯電させた後、原稿をスキャンして得た画像データに従って感光体表面にレーザ・ビームをスキャンすることによって露光して所望の潜像電位からなる静電潜像を形成する。続いて、攪拌器においてトナー集中度を整えながら、現像器はトナーを静電潜像に重畳してトナー像を形成し、転写器は外部から搬送されてきた印刷用紙上にトナー像を転写する。そして、定着器により加熱溶融・圧着作用によりトナー像を転写体(印刷用紙)上に定着してから、画像形成装置の外に排紙する。転写後の感光体表面は、残留トナーをクリーナによって除去する。清掃後の感光面には残留電位が残っているが、初期電位を印加してから次の電子写真プロセスに利用される。
図6には、現像プロセスを中心に装置構成を図解している。
感光体13の回りには、回転方向bに沿って順に中間転写ベルト14、ブラシ・ローラ34、帯電ローラ36、現像ユニット12が設けられている。中間転写ベルト14、ブラシ・ローラ34、帯電ローラ36はいずれも感光体13の感光面に当接している。また、帯電ローラ36と現像ユニット12との間には、感光面をライン露光するLEDアレイヘッド40が配置されている。
現像ユニットは、感光体13に相対するように配設された現像ローラ38と、現像ローラ38の下方に位置し、現像ローラ38に2成分系現像剤を供給するスクリュー・フィーダ39A及び39Bと、現像ローラ38とスクリュー・フィーダ39A及び39Bとを収容する筐体37とを備える。2成分系現像剤は、トナーと磁性キャリア粒子とを主用成分として含有している。筐体37の感光体13に相対する部分には開口部37Aが設けられている。
現像ローラ38は、感光体13の感光面との間に間隙即ち現像ギャップが形成されるように配設されている。現像ローラ38は、円柱状のマグネット・ロール38Bと、マグネット・ロール38Bに被せられたスリーブ38Aとを有する。マグネット・ロール38Bは、円柱状であって画像形成装置本体に対して固定され、スリーブ38Aは、マグネット・ロール38Bの軸線の回りを、感光体13の回転方向bと同じ反時計回り方向、すなわち感光体13との対向部において感光体13に相対するアゲインスト方向に回転している。これにより、現像ローラ38から感光体13へのトナーの転移効率が高められている。
マグネット・ロール38Bは、フェライトや希土類磁石合金などの磁性材料の粉末を円柱状又は円筒状に成形したマグローラであり、N極とS極とが所定のパターンで配設されるように着磁しつつ燒結することにより形成される。その着磁パターンとして、感光体13に相対する部分が現像極S1であり、スリーブ38Aの回転方向に沿って現像極S1の隣にピックオフ極N1が位置し、その隣にピックアップ極N2、トリミング極S2、搬送極N3の順で磁極が配置されるパターンなどが挙げられる。なお、現像極S1とトリミング極S2はいずれもS極であり、ピックオフ極N1、ピックアップ極N2、搬送極N3はいずれもN極である。
現像極S1における現像ニップに対応する部分は、法線方向磁束密度Brの変化が±5[mT]になるように着磁されている。ここで、搬送極N3とトリミング極S2との境界部を0度とし、時計回りの方向を正の角度とすると、240〜270度の部分に現像ニップが位置し、前記現像ニップ部を包含するように現像極S1が形成されている。そして、マグネット・ロール38Bにおける角度240〜270度の部分においては法線方向磁束密度Brの変化が±5[mT]である。これは、マグネット・ロール38Bにおける現像ニップの部分における法線方向磁束密度Brの変化が±5[mT]になるように着磁されていることを示す。マグネット・ロール38Bは、さらに法線方向磁気拘束力Frの極小値が現像ニップに位置するように着磁されている。
トリミング極S2の対向部には、トリミング極S2と協働して磁気ブラシの高さを揃えるトリミング・ブレード41が現像ローラ38に向かって延びている。現像ローラ38には、マイナスの現像バイアス電圧が印加されている。
現像モードにおいて、感光体13は一定速度で反時計回りに回転するので、その感光面は帯電ローラ36によってマイナスに帯電される。次いで、感光面の帯電面がLEDアレイヘッド40によって露光されることにより、帯電面の露光部分の電位が低下して静電潜像が形成される。そして、現像ユニット12において、現像ローラ38によって、感光体13と同様にマイナス電圧に帯電されたトナーが感光面に形成された静電潜像すなわち帯電面の電位低下部に電気的に付着されて現像され、トナー画像が形成される。感光面上に付着したトナーは、トナーと逆極性のプラスの転写電圧が印加された転写ローラ32によって中間転写ベルト14に向かって電気的に引き寄せられる。これによって、感光面13A上のトナー像が、感光体13から中間転写ベルト14へと転写される。
スリーブ38Aが回転すると、スクリュー・フィーダ39A、39Bで筐体37内部に供給された現像剤は、ピックアップ極N2によってスリーブ38Aの表面に吸着される。ここで、スリーブ38Aの表面には、搬送極N3から現像極S1に向かう磁界、ピックオフ極N1から現像極S1に向かう磁界、ピックアップ極N2からトリミング極S2に向かう方向の磁界、及び搬送極N3からトリミング極S2に向かう磁界が形成され、しかも現像剤は、磁性キャリア粒子の表面にトナーが付着した構造を有している。したがって、図7に示すように、スリーブ38Aの表面に吸着された現像剤は、スリーブ38Aの表面において磁力線の方向に配列され、穂立ちして磁気ブラシを形成する。
ピックアップ極N2の近傍においてスリーブ38Aの表面に形成された磁気ブラシは、図7中において矢印で示すように、スリーブ38Aが回転するのに伴い、トリミング極S2→搬送極N3→現像極S1→ピックオフ極N1へと紙面右から左に向かって搬送される。そして、トリミング極S2を通過するときに磁気ブラシの高さが整えられ、現像極S1近傍で磁気ブラシ上のトナーが感光体13に転移して、スリーブ38Aの表面にはほとんど磁性キャリアだけになった磁気ブラシが残る。ほとんど磁性キャリアだけになった磁気ブラシは、スリーブ38Aの回転に伴い、ピックオフ極N1でスリーブ38Aの表面から脱落して筐体37内に戻る。
現像モードでは、このようにスリーブ38Aが回転することにより、ピックアップ極N2では常に新鮮な現像剤が補充されて現像極S1に搬送され、現像極S1にてトナーが感光体13に転移して感光面13Aの潜像が現像される。
画像形成装置の評価は、実機上で画像形成処理を繰り返すことによって、帯電器、露光器、攪拌器、現像器、定着器、転写器など各機能部品の設計仕様や条件パラメータを評価することもできる。この場合、仕様を変更する度に改めて実験しなければならず、時間やコストの面で問題がある。これに対し、帯電・露光、現像、転写、定着などの各プロセスの物理モデルにより、現像剤の挙動を粉体挙動解析によりシミュレーションすることによって、現実に画像形成実験を行なうことなく、形成される画像の品質を予測し、これに基づいて画像形成装置の構成やそのプロセスを評価することができる。
本実施形態では、これらのプロセス毎にシミュレーションをモジュール化し、各シミュレーション・モジュールからのシミュレーション結果を統合して画像形成装置全体の評価を行なうようにしている。
図8には、統合シミュレーション装置の機能構成を模式的に示している。図示の例では、4個のシミュレーション・モジュール#1〜#4で構成される。各シミュレーション・モジュール#1〜#4は、例えば、電子写真プロセスにおける露光・帯電、現像、転写、定着などの各プロセスのシミュレーション・モジュールに相当する。
ここで、シミュレーションを実施する場合、精度を確保しながら、実用的な計算時間内で処理を終了させたいという要求がある。ところが、設定された物理的空間距離に従って一律に計算対象領域を選択すると、対象外の領域との相互作用が完全に打ち切られることになり、シミュレーション計算の精度が不十分となる可能性や、物理特性の不連続かといった打ち切り効果を起こしたりするという問題がある。
そこで、本実施形態に係るシミュレーション装置では、計算領域内において、物理的な作用力(Operator、演算子)に応じて、注目している対象の物理量(function(x)、物理関数)の変化量Δxが規定された閾値を超える場合にのみ、この対象の計算を行なうようにした。これは、下式として表される。
Operator×function(x)=Δx>閾値 →計算の対象とする
Operator×function(x)=Δx<閾値 →計算の対象としない
これは、図1に示すように、元の計算対象領域について物理量の寄与率分布を求め、寄与率が所定の閾値を下回る低い部分を現実の計算対象から外すというものである。すなわち、設定された物理的空間距離に従って一律に計算対象領域を選択するのではなく、打ち切る領域をシミュレーション計算への寄与率に基づいて適応的に判断する。したがって、限定された計算領域中であっても、物理的影響の高い要素が抽出されるので、計算精度の低下を防ぎながら、計算時間の短縮化を実現することができる。
本実施形態では、図8に示したように、トナーの攪拌や現像などプロセス毎にシミュレーションをモジュール化して構成される。図2には、各シミュレーション・モジュール内の構成を模式的に示している。
変化量算出部は、計算領域内において、物理的な作用力に応じて、注目している計算対象の物理量の変化量を算出する。また、シミュレーション計算部は、変化量が規定された閾値を超える計算対象のみシミュレーション計算を行なう。
例えば、トナーをマグネット・ロールから感光体表面の静電潜像へ現像する現像プロセスをシミュレーションするシミュレーション・モジュールにおいては、変化量算出部は、計算対象としてのトナー粒子が受ける電界を演算子とし、電界によるトナーの移動度を物理量の変化量として算出する。そして、シミュレーション計算部は、移動度が所定値を超えるトナー粒子のみその挙動の挙動計算を行なうようにする。
この場合、図3に示すように、磁気チェーン中のトナー粒子のうち、穂立ちの先端に付着しているトナーは電界による影響を受けて飛翔するので、挙動計算の対象とする一方、穂立ちの根元に付着しているトナー粒子は電界影響受けず運動しないので計算の対象外とする。したがって、磁気チェーン表面に存在する、電界の影響を受けて現像しうる(感光体側へ移動しうる)トナーのみを粒子運動計算の対象として、計算量を削減することができる。
また、オーガ内でトナーをキャリアと混合・攪拌してマグネット・ローラまで移送する攪拌プロセスにおけるトナーの帯電量をシミュレーションするシミュレーション・モジュールにおいては、変化量算出部は、計算対象としてのトナー粒子の摩擦帯電性を演算子とし、摩擦帯電性による帯電量を物理量の変化量として算出する。そして、シミュレーション計算部は、帯電量が所定値を超えるトナー粒子のみその挙動のシミュレーション計算を行なうようにする。
この場合、オーガによる攪拌によってトナーが帯電するので、オーガ内のトナーを帯電計算の対象とする一方、搬送過程ではトナーは帯電しないので磁気チェーン中のトナーを計算の対象から外す。したがって、オーガによる攪拌プロセスのみを計算の対象として、計算量を削減することができる。
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
本明細書では、電子写真プロセス方式の画像形成装置における転写プロセスのトナーの挙動解析に本発明に係る粉体挙動解析を適用した場合を例にとって説明してきたが、本発明の要旨はこれに限定されるものではない。物理的、生態的、あるいは社会的などさまざまなシステムの挙動をシミュレーション計算する際に、本発明を適用することによって、計算対象領域を制限して、計算精度の低下を防ぎながら計算時間の短縮化を実現することができる。
要するに、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
図1は、本発明に係るシミュレーション装置において、計算対象領域を限定する仕組みを説明するための図である。 図2は、シミュレーション・モジュール内の構成を模式的に示した図である。 図3は、トナーをマグネット・ロールから感光体表面の静電潜像へ現像する現像プロセスをシミュレーションするシミュレーション・モジュールにおいて、計算対象領域を限定する仕組みを説明するための図である。 図4は、オーガ内でトナーをキャリアと混合・攪拌してマグネット・ローラまで移送する攪拌プロセスにおけるトナーの帯電量をシミュレーションするシミュレーション・モジュールにおいて、計算対象領域を限定する仕組みを説明するための図である。 図5は、電子写真プロセスの機能的構成を模式的に示した図である。 図6は、現像プロセスまわりの装置構成例を示した図である。 図7は、スリーブ38Aの表面において磁力線の方向に配列され、穂立ちして磁気ブラシを形成する様子を示した図である。 図8は、統合シミュレーション装置の機能構成を模式的に示した図である。
符号の説明
12…現像ユニット
13…感光体
14…中間転写ベルト
32…転写ローラ
34…ブラシ・ローラ
36…帯電ローラ
37…筐体
38…現像ローラ
39…スクリュー・フィーダ
40…LEDアレイヘッド
41…トリミング・ブレード

Claims (3)

  1. 露光・帯電、現像、転写、定着を含む電子写真プロセスにおけるトナー粒子の挙動のシミュレーション計算を行なうシミュレーション装置であって、
    物理的な作用力に応じて、各トナー粒子の物理量の変化量を算出する変化量算出手段と、
    トナー粒子のシミュレーション計算を行なうシミュレーション計算手段と、
    を具備
    マグネット・ロール上に形成された磁気チェーン中のトナー粒子の挙動計算を行なう場合に、前記変化量算出手段は、各トナー粒子が受ける電界によるトナーの移動度を算出し、前記シミュレーション計算手段は、移動度が所定値を超えるトナー粒子のみその挙動のシミュレーション計算を行ない、
    オーガ及びマグネット・ロールによる攪拌及び搬送中のトナー粒子の帯電計算を行なう場合に、前記変化量算出手段は、計算対象としてのトナー粒子の摩擦帯電性による帯電量を算出し、前記シミュレーション計算手段は、帯電量が所定値を超えるトナー粒子のみその挙動のシミュレーション計算を行なう、
    ことを特徴とするシミュレーション装置。
  2. 露光・帯電、現像、転写、定着を含む電子写真プロセスにおけるトナー粒子の挙動の複数の計算対象が存在する所定の計算領域内でのシミュレーション計算を、コンピュータを用いて行なうシミュレーション方法であって、
    前記コンピュータが備える変化量算出手段が、物理的な作用力に応じて、各トナー粒子の物理量の変化量を算出する変化量算出ステップと、
    前記コンピュータが備えるシミュレーション計算手段が、トナー粒子のシミュレーション計算を行なうシミュレーション計算ステップと、
    を有し、
    マグネット・ロール上に形成された磁気チェーン中のトナー粒子の挙動計算を行なう場合に、前記変化量算出ステップでは、各トナー粒子が受ける電界によるトナーの移動度を算出し、前記シミュレーション計算ステップでは、移動度が所定値を超えるトナー粒子のみその挙動のシミュレーション計算を行ない、
    オーガ及びマグネット・ロールによる攪拌及び搬送中のトナー粒子の帯電計算を行なう場合に、前記変化量算出ステップでは、計算対象としてのトナー粒子の摩擦帯電性による帯電量を算出し、前記シミュレーション計算ステップでは、帯電量が所定値を超えるトナー粒子のみその挙動のシミュレーション計算を行なう、
    ことを特徴とするシミュレーション方法。
  3. 露光・帯電、現像、転写、定着を含む電子写真プロセスにおけるトナー粒子の挙動のシミュレーション計算をコンピュータ上で実行するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、前記コンピュータを、
    物理的な作用力に応じて、各トナー粒子の物理量の変化量を算出する変化量算出手段、
    トナー粒子のシミュレーション計算を行なうシミュレーション計算手段、
    として機能させ、
    マグネット・ロール上に形成された磁気チェーン中のトナー粒子の挙動計算を行なう場合に、前記変化量算出手段は、各トナー粒子が受ける電界によるトナーの移動度を算出し、前記シミュレーション計算手段は、移動度が所定値を超えるトナー粒子のみその挙動のシミュレーション計算を行ない、
    オーガ及びマグネット・ロールによる攪拌及び搬送中のトナー粒子の帯電計算を行なう場合に、前記変化量算出手段は、計算対象としてのトナー粒子の摩擦帯電性による帯電量を算出し、前記シミュレーション計算手段は、帯電量が所定値を超えるトナー粒子のみその挙動のシミュレーション計算を行なう、
    ことを特徴とするコンピュータ・プログラム。
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