JP2007280242A - 粒子挙動解析方法および粒子挙動解析装置並びにプログラム - Google Patents

粒子挙動解析方法および粒子挙動解析装置並びにプログラム Download PDF

Info

Publication number
JP2007280242A
JP2007280242A JP2006108325A JP2006108325A JP2007280242A JP 2007280242 A JP2007280242 A JP 2007280242A JP 2006108325 A JP2006108325 A JP 2006108325A JP 2006108325 A JP2006108325 A JP 2006108325A JP 2007280242 A JP2007280242 A JP 2007280242A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
particle
analysis
behavior
particles
virtual
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2006108325A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuyuki Nakayama
信行 中山
Yoichi Watanabe
洋一 渡辺
Hideki Okamoto
英樹 岡本
Nobuyuki Hirooka
信行 廣岡
Takehiro Seko
丈裕 世古
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP2006108325A priority Critical patent/JP2007280242A/ja
Publication of JP2007280242A publication Critical patent/JP2007280242A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Cleaning In Electrography (AREA)
  • Management, Administration, Business Operations System, And Electronic Commerce (AREA)

Abstract

【課題】壁面から受ける作用力を考慮しつつ、壁面に対応する場境界と運動境界の位置ズレの影響を緩和し、高精度の粒子挙動解析を実現する。
【解決手段】場データ解析部310は、解析対象の全領域を離散化して場の特性を近似により数値計算する。仮想粒子配置部330は、解析対象粒子の運動が遮られる壁面に対応する位置に、運動自由度を拘束し固定した複数の仮想粒子を配置し、各仮想粒子に、壁面の表面粗さや壁面の物性などの壁面が持つ種々の物理特性を表現するような諸物理特性値を与える。この際、仮想粒子配置部330は、各仮想粒子の配置中心位置を、元の壁面位置ではなく、場データの近似計算における空間を離散化した位置に整合させて配置する。挙動解析計算部350は、解析対象粒子と仮想粒子との粒子間相互作用を求め、各相互作用力を基に立てた運動方程式を解いて解析対象粒子の挙動を求める。
【選択図】図7

Description

本発明は、粒子挙動解析方法および粒子挙動解析装置並びにプログラムに関する。より詳細には、たとえば、プリンタ装置、ファクシミリ装置、あるいはそれらの機能を有する複合機などの画像形成装置において使用される色材(粉体、現像剤)などにおける、粒子の挙動をシミュレーションにより解析する仕組みに関する。より詳細には、粒子の運動が遮られる壁面からの影響を考慮しながら所定の空間内で運動する粒子の挙動をシミュレーションにより解析する仕組みに関する。
たとえば、プリンタ装置、ファクシミリ装置、あるいはそれらの機能を有する複合機などの画像形成装置において、電子写真方式を利用する場合、一般的には、感光ドラムなどの光導電性絶縁体上に一様な静電荷を与え、様々な手段によりこの光導電性絶縁体上に光像を照射することによって静電潜像を形成し、次いで、形成した潜像を現像器を用いて磁性粉体を用いて現像可視化し、紙等の記録媒体にトナー粉像を転写した後に定着させ、印刷物を得る。
このような電子写真法による画像形成装置においては、容器に収容されている磁性粉体の攪拌や磁性ローラへの搬送、磁性ローラへの吸着、記録画像に応じて帯電され潜像が形成されている感光体への飛翔などの振る舞いが記録画像の画質に影響を与える。そこで、この磁性粉体の挙動の解析が電子写真装置本体や現像装置の開発にとって重要となる。
このため、最近では、粉体や粒体などの粒子の挙動を数式化もしくはモデル化し、ほぼ同じ法則に支配されるシステムの挙動をコンピュータ上で模擬すること、すなわちシミュレーションが広く利用されている。シミュレーション技術を利用することにより、粒子の挙動を現実に体験する前に予測することができる。
また、投入する条件やパラメータを変えて、同じシミュレーション計算を繰り返し行なうことにより、さまざまな粒子組成や装置設計・制御体系の性能を評価することができる。シミュレーションによれば、実験を行なう場合に比較して、より最適な解を低コストで得ることができる。さらに、シミュレーションにより得られたパラメータに基づいてシステムを制御し、システムのエラーを回避することができる。
粉体や粒体などの粒子の挙動シミュレーションについては、たとえば、粒子ごとの挙動を解析する個別要素法あるいは離散粒子法と呼ばれる方法(たとえば特許文献1〜3を参照)がある。
特開2001−141638号公報 特開2003−195642号公報 特開2005−122354号公報
たとえば、特許文献1では、個別要素法による2種類の粒子群の解析方法が提案されており、粒子ごとに接触力算定と運動計算アルゴリズムを異ならせることで計算の効率を上げる仕組みが示されている。
また、特許文献2では、個別要素法による磁性粉体の挙動予測と現像器構成の最適化方法が提案されており、力学的な運動解析と磁界計算に基づく磁気的な運動解析とを組み合わせて解析することで、磁性粉体の挙動予測を行なう仕組みが示されている。
また、特許文献3では、個別要素法による粉体挙動計算の高速化方法が提案されており、機械的相互作用や電磁的相互作用のおよぶ範囲を限定することにより、計算量を削減することで計算処理を高速化する仕組みが示されている。
ここで、これらに示されている個別要素法によれば、すべての粒子に作用するさまざまな力(たとえば、弾性力や粘性力などの接触による作用力、ファンデルワース力や鏡像力、液架橋力などの外力など)を基に運動方程式を立てて、粒子ごとの挙動を解析するので、より現実に近い評価を行なうことができる。
反面、概ね粒子数の2乗で解析負荷が増大するので、粒子数が多くなると、計算量が膨大になり、いくら計算機の性能が向上したとはいっても、実際の系と同等の粒子数での計算を実行することは困難な場合が多い。計算コストが見合わない場合には、たとえば、複数の粉体を等価な物性値を持つ流体モデルに置き換えて解析する方法が適宜採り入れられる。
また、個別要素法では、各粒子に作用する力を考慮して挙動を解析するが、この作用力は解析対象となる粒子の間での機械的相互作用だけでなく、粒子の運動する領域すなわち解析領域の境界となる壁面から受ける機械的作用もある。たとえば、電子写真法による画像形成装置においては、感光体ドラムや、中間転写体や印刷用紙の表面が壁面となる。これらの壁面が持つ表面粗さは同じではなく、境界と衝突もしくは接触する粒子に作用する機械的作用は一律ではない。もちろん、感光体ドラムの表面粗さは一様ではなく、製品仕様に応じて異なることもある。
従来の個別要素法などによる粒子挙動シミュレーションでは、解析対象粒子が運動する空間(場)に存在する電界力や磁界力あるいは重力が解析対象粒子に作用する力も考慮する必要があるので、前処理として、電磁界(静電界や磁界など)などの場の状態をシミュレーション解析し、この解析された場の状態が解析対象粒子に与える作用力を考慮しつつ、粒子挙動解析を行なう。粒子挙動解析計算時には、その場の解析結果に基づく解析対象粒子が受ける粒子間相互作用力を計算することに加えて、壁面との機械的な相互作用力や、他の粒子との間の相互作用力の計算も必要になる。
ここで、場のシミュレーション解析時には、壁面(境界)を直線もしくは平面を表わす数式で表現することになり、境界を数式で表現すると複雑な壁面を表現できず、壁面が持つ表面粗さを精度良く表わすことはできない。つまり、場のシミュレーション解析で設定される場の境界位置と実際の壁面位置とにズレが生じる。
一方、粒子挙動解析計算時に壁面との機械的な相互作用力の計算する際には、従来は、実際の壁面位置に着目して計算を行なっている。この場合、たとえば、場のシミュレーション解析時と同様に、壁面(境界)を直線もしくは平面を表わす数式で表現する、たとえば壁面を多角形で表現するという代替的な手法を採ることが考えられる。
しかしながら、このような仕組みでは、壁面から受ける作用力を考慮しつつ高精度の粒子挙動解析を行なうことが困難である。何故なら、場のシミュレーション解析で設定される場の境界位置と、粒子挙動解析計算時に設定される多角形で表現された壁面に対応する運動境界とのズレが問題となるからである。たとえば、電界や磁界における壁面に対応した場の境界位置と粒子挙動解析計算時の壁面に対応する運動境界位置とがズレることにより、計算の発散や計算精度の低下を招く、あるいは計算量が増大する、といった問題が生じるからである。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、壁面から受ける作用力を考慮しつつ、壁面に対応する各境界の位置ズレの影響を緩和し、より高精度の粒子挙動解析を実現できる仕組みを提供することを目的とする。
本発明に係る仕組みにおいては、場データ解析部により、解析対象粒子が運動する解析領域を要素分割して、解析対象粒子に作用する力と関わりを持つ解析領域の状態をシミュレーションにより解析し、数値演算処理部では、解析された解析領域の状態が解析対象粒子に与える作用力を考慮しつつ、要素分割にて設定される解析領域の場境界と、解析対象粒子の挙動を解析する際の解析領域の運動境界とを整合させて、解析対象粒子の挙動を解析することにした。
つまり、場データ解析部では、解析領域(場)の状態を解析する計算において、解析領域(空間)を直線近似により多数の微小領域に離散化させる。この際、壁面も近似によって、離散化され、壁面に対応する場境界は、必ずしも元の壁面位置には一致しなくなる。
これに対して、数値演算処理部における粒子挙動計算時に、解析対象粒子の運動範囲を元の壁面位置のままとしておいたり、壁面を直線などを表わす数式で表現して壁面に対応する運動境界を設定したりすると、場境界との位置ズレを起因とする解析精度低下が問題となるので、要素分割にて設定される解析領域の場境界と、粒子挙動解析時の運動境界とを整合させることで、解析精度低下の問題を軽減できるようにする。
なお、本発明に係る仕組みは、電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェアで実現することもでき、このためのプログラムやこのプログラムを格納した記録媒体を発明として抽出することも可能である。プログラムは、コンピュータ読取り可能な記憶媒体に格納されて提供されてもよいし、有線あるいは無線による通信手段を介した配信により提供されてもよい。
本発明の仕組みによれば、解析領域(場)の状態を解析する際の場境界と、粒子挙動解析時の運動境界とを整合させるようにしたので、各境界の位置ズレに起因した解析精度低下の問題を軽減でき、壁面から受ける作用力を考慮した粒子挙動解析を、より高精度に実現することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、印刷装置(プリンタ)や複写装置(コピー機)などの電子写真方式の画像形成装置の一構成例を示す図である。図示のように、画像形成装置1は、感光体10を中心として、その近傍に配された直流電源22、交流バイス電源24、および帯電部26を具備した帯電装置20、レーザ光源32やポリゴンミラー34やモータ36を具備した露光装置30、図示しない攪拌機構を備えた現像装置40、直流電源52および転写部54を具備した転写装置50、およびブレード機構を持つクリーニング装置60と、用紙搬送路上の後流側の所定位置に配されたロール機構を具備した定着装置70とを備えている。
画像形成装置1を複写装置として構成する場合、先ず、帯電装置20によって、直流電源22からの直流電圧に交流バイス電源24からの交流バイアス電圧を重畳させて帯電電位(初期電位)を生成し、この帯電電位で、感光体10の表面を一様な表面電位に帯電させる。
この後、原稿を図示しない読取装置によってスキャンして得た画像データに従って感光体10の表面に露光装置30に備えられるレーザ光源32から発せられるレーザ・ビームをモータ36により回転駆動されるポリゴンミラー34でスキャンすることによって、感光体10表面を露光して所望の潜像電位からなる静電潜像を形成する。
続いて、現像装置40は、図示しない攪拌機構において所定色のトナー粒子やキャリア粒子などでなる現像剤102の集中度を整えながら、その現像剤102中のトナー粒子を感光体10の表面に形成されている静電潜像に重畳することでトナー像を感光体10の表面に形成させる。
この後、転写装置50は、感光体10の表面に形成されているトナー像を、外部から搬送されてきた印刷用紙上に転写する。感光体10と転写部54とが対向する所定範囲を転写領域と称し、転写プロセスについての粒子挙動解析では、現像剤102(特にトナー粒子)に作用する電場および重力場を考慮する必要がある。
転写済の用紙は定着装置70側に搬送され、定着装置70にて加熱溶融・圧着作用によりトナー像を転写体としての印刷用紙上に定着する。定着済の用紙は、図示しない排出装置によって、画像形成装置1の外に排紙される。
一方、クリーニング装置60は、転写装置50による転写後の感光体10の表面に残留する残留トナーを除去する。清掃後の感光体10の表面には残留電位が残っているが、帯電装置20で初期電位を印加してから次の電子写真プロセスに利用される。
なお、カラー画像形成用の画像形成装置1を構成する場合、画像形成に関わる主要部の構成としては、たとえば転写装置50にて直接に用紙に感光体10のトナー像を転写体である用紙に転写させるのではなく、たとえば、K(黒),Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)の出力色に対応する複数のエンジンを、たとえばK→Y→M→Cの順にインライン状に配列し、K,Y,M,Cの画像を4つのエンジンで並列的(同時進行的)に処理する、すなわち配置位置に応じた時間を隔てて、1色ずつ中間転写ベルトに感光体10のトナー像を転写(特に1次転写という)させ、その後、中間転写ベルト上のトナー像を用紙に転写(特に2次転写という)させるように構成したタンデム型のカラー画像形成装置にしてもよい。
このような電子写真プロセスでは、感光体10に対する帯電、スキャンした原稿イメージの露光、現像すなわち感光体10へのトナー重畳、用紙へのトナー転写およびトナー定着、感光体10のクリーニングという複数の工程からなる。このような電子写真プロセスでは、たとえば、攪拌、現像、転写などの各プロセスにおいて粉体挙動解析シミュレーションを適用することで、現実に画像形成実験を行なうことなく、形成される画像を予測し評価することができる。
たとえば、転写プロセスでは、感光体表面粗さや、感光体・中間転写ベルトや用紙などの転写体間の速度差、転写体の接触幅などの転写プロセスにおける条件パラメータを変更しながら、粉体挙動解析シミュレーションを繰り返し行なっていくことで、転写プロセスを再現しながら形成される画質の評価を行なうことができる。
<現像装置の概要>
図2は、画像形成装置1に使用される現像装置40の一構成例を示す図である。図2(A)に示すように、現像装置40は、感光体10に対向して配置されており、現像剤102を収納容器101の内部に充填している。収納容器101は、現像剤102を感光体10側に飛翔させるための開口部101aが形成されている。
図2(B)に示すように、現像剤102は、後述する粒子挙動解析の対象となる解析対象粒子302aとして、それぞれ物性や粒径の異なるキャリア粒子102aとトナー粒子102b(たとえば黒色トナー粒子)とを含有して構成された2成分方式のものである。キャリア粒子102aとトナー粒子102bとの対によって、全体として磁性粉体が形成されるようにしている。
すなわち、キャリア粒子102aは磁性体から構成され、マグネットに吸着するようになっている。一方、トナー粒子102bは非磁性トナーであって、所定の色を持つ粉体である。一般的には、キャリア粒子102aの粒径の方がトナー粒子102bの粒径よりも大きい。なお、トナー粒子102bとしては、磁性トナーを使用することも可能である。
収納容器101内には、表面に現像剤102を担持する担持ロールの一例である現像ロール(マグロール、マグネットローラ、磁気搬送ローラとも言われる)140を、周面が開口部101aから少し突き出すように備えている。現像ロール140内には、その内周縁に沿って、所定間隔で所定数のマグネット142が配置されている。
また、現像装置40は、現像ロール140の近傍に、高さ規制部材や層形成部材として機能する規制ブレード(トリマーバー)150を備えており、マグネット142による磁力線に沿ってできた現像剤102の穂立ちの高さを規制するようになっている。この規制ブレード150の攪拌搬送ロール160b側の所定範囲領域を層形成領域と称し、現像プロセスについての粒子挙動解析では、現像剤102に作用する磁場および重力場を考慮する必要がある。
また、収納容器101内には、現像剤102を攪拌するとともに現像ロール140側に搬送する1対の攪拌搬送ロール160(それぞれを160a,160bとする)を備えている。一方の攪拌搬送ロール160aは、収納容器101内の奥の方に配置され、他方の攪拌搬送ロール160bは現像ロール140と対向して配置されている。攪拌搬送ロール160は、その回転動作によって、現像剤102を現像ロール140側に攪拌しながら搬送する。
攪拌搬送ロール160a,160bにより攪拌・搬送される所定範囲領域をオーガ搬送領域と称し、現像プロセスについての粒子挙動解析では、現像剤102に作用する重力場を考慮する必要がある。
現像ロール140は、矢印X方向に回転される感光体10とともに、感光体10と対向する側のその表面の回転移動方向が、感光体10の移動方向Xと同じき(矢印Y方向)に回転される。なお、感光体10の移動方向Xと逆向きに回転駆動するようにしてもよい。
現像ロール140内にはマグネット142を内蔵しており、現像ロール140は、現像剤102を攪拌搬送ロール160bから磁気力により吸着する。現像ロール140に吸着された現像剤102は、規制ブレード150により現像剤102の吸着量が規制される。
すなわち、キャリア粒子102aおよびトナー粒子102bは、攪拌機能を持つ攪拌搬送ロール160により攪拌され摩擦帯電されつつ現像ロール140側に搬送され、規制ブレード150によって一定の高さで、現像ロール140の周縁に付着する。
オーガ搬送領域と層形成領域との間の現像剤102が現像ロール140に磁気吸着される所定範囲領域をピックアップ領域と称し、現像プロセスについての粒子挙動解析では、現像剤102に作用する磁場および重力場を考慮する必要がある。
トナー粒子102bは、キャリア粒子102aに静電力により互いに吸着されている。キャリア粒子102aは、現像ロール140に内蔵されたマグネット142からの磁場により磁気ブラシを構成する。トナー粒子102bはキャリア粒子102aとともに、感光体10に対向する部分まで搬送される。
現像ロール140は、感光体10に対向して設けられており、現像ロール140に吸着された現像剤102のうちトナー粒子102bは、帯電されており、感光体10に吸着される。このとき、感光体10の表面は、記録画像に応じて帯電されることで静電潜像が形成されており、トナー粒子102bは、感光体10に形成された静電潜像に応じて吸着される。
つまり、現像ロール140は、キャリア粒子102aを介して現像ロール140に担持されたトナー粒子102bを感光体10側に飛翔させ、感光体10の表面に形成された潜像を現像化するようになっている。
この、感光体10と現像ロール140の各周縁が対向し現像作用の行なわれる所定範囲領域を現像ニップ領域と称し、現像プロセスについての粒子挙動解析では、現像剤102に作用する電場、磁場、および重力場を考慮する必要がある。
現像処理後のキャリア粒子102aと、感光体10側に飛翔されなかったトナー粒子102bとは、収納容器101内に回収される。この現像剤102の回収される所定範囲領域をピックオフ領域と称し、現像プロセスについての粒子挙動解析では、現像剤102に作用する磁場および重力場を考慮する必要がある。
ここで、図2(B)に示すように、感光体10の表面は、記録画像に応じて帯電されており、トナー粒子102bは、静電力により感光体10の表面に飛翔する。感光体10の表面には、飛翔したトナー粒子102bが付着し、記録画像に応じたトナー像が形成される。このとき、トナー粒子102bの感光体10への吸着のされ方によって、記録画像の画質が左右される。トナー粒子102bは、キャリア粒子102aにより感光体10に搬送されているので、トナー粒子102bの感光体10への吸着のされ方は、現像ロール140と感光体10との間の現像ギャップでのキャリア粒子102aおよびトナー粒子102bの挙動により決定される。このため、キャリア粒子102aおよびトナー粒子102bの挙動の解析が電子写真装置本体や現像装置40の開発にとって重要な要素となる。
<粒子挙動解析システム;第1実施形態>
図3は、本発明に係る粒子挙動解析装置の一構成例である粒子挙動解析システムの第1実施形態を示すブロック図である。第1実施形態の粒子挙動解析システム200は、それぞれ粒子挙動解析機能を有する複数台の粒子挙動解析装置202がネットワーク接続されて構成されている。
各粒子挙動解析装置202は、主要の処理データを相互にネットワーク208を介して伝達し合い、粒子挙動解析処理を並列的に実行可能になっており、粒子挙動解析システム200としては、事実上の並列型計算装置(クラスタ計算機)として構成されている。ネットワーク208は、通信状態がルーティング機能を持つネットワーク管理装置208aで管理されるようになっている。
各粒子挙動解析装置202は、一般の電子計算機と同様のもので構成されている。また、図示した例では、粒子挙動解析システム200を構成する各粒子挙動解析装置202のうちの1台が全体を統括する主粒子挙動解析装置202aとして機能するようになっており、この主粒子挙動解析装置202aに対して残りの粒子挙動解析装置202が、主粒子挙動解析装置202aにより制御される副粒子挙動解析装置202dとしてネットワーク接続されている。
なお、図では便宜的に、ネットワーク管理装置208aから1本のネットワーク線を出し、そのネットワーク線上に主粒子挙動解析装置202aと副粒子挙動解析装置202dとを接続する態様で示しているが、実際には、ネットワーク管理装置208aに備えられる個別のポートに各粒子挙動解析装置202が接続され、各粒子挙動解析装置202間の通信は、このネットワーク管理装置208aを介してなされるようになっている。
主粒子挙動解析装置202aには、粒子挙動解析処理用の各種の操作を行なうためのキーボードやマウスなどの指示入力装置210と、処理結果をユーザに画像情報として提示する表示装置212とが接続されている。
このような第1実施形態のシステム構成を採ることで、複数種類の多体粒子間相互作用がある系について粒子挙動解析処理を行なうに当たり、各粒子の磁気相互作用、静電相互作用、あるいは機械的相互作用(接触力;壁などと粒子間の接触力や粒子間接触)などの各相互作用について、並列処理にて解析を実行できるようになる。なお、機械的相互作用は、たとえば、壁やその他の物体と粒子間の接触力や粒子間接触による接触力である。
たとえば、キャリア粒子102aについてはMaxwell方程式を基礎とした磁場解析法などを利用した磁気的な運動解析を行ない、またトナー粒子102bについては粒子要素法などを利用した純力学的な運動解析やクーロン力に着目した静電界解析を行ない、最終的には、各解析結果を組み合わせて、現像剤102の流動挙動を高精度で予測する。
特に、各粒子挙動解析装置202において各相互作用の解析を行なう際、領域分割法(SD;Spatial Decomposition Method)や粒子分割法(PD;Particle Decomposition Method あるいはRD;Replicated Data Method)ではなく力分割法(力マトリックスを用いたアルゴリズム)を用いて解析すると、全プロセッサ(本実施形態の各粒子挙動解析装置202)間の通信量を低減させることができる。通信量を低減させると、多プロセッサ使用時のプログラムの並列化性能を向上させることができ、計算時間を大幅に短縮することができるのである。
<粒子挙動解析システム;第2実施形態>
図4は、本発明に係る粒子挙動解析装置の一構成例である粒子挙動解析システムの第2実施形態を示すブロック図である。第2実施形態の粒子挙動解析システム201は、それぞれ粒子挙動解析機能を有する複数台の粒子挙動解析装置202がネットワーク208(本構成例では特に第1ネットワーク)にてネットワーク接続されて並列型計算装置として構成されている複数の粒子挙動解析システム200が、さらに、別のネットワーク209で接続されて構成されている点に特徴を有する。
本実施形態では、ネットワーク208を特に第1ネットワーク208と呼び、ネットワーク209を第2ネットワーク209と呼ぶ。第2ネットワーク209は、通信状態がルーティング機能を持つネットワーク管理装置209aで管理されるようになっている。
なお、図では便宜的に、ネットワーク管理装置209aから1本のネットワーク線を出し、そのネットワーク線上に主粒子挙動解析システム200aおよび副粒子挙動解析システム200b(詳細にはネットワーク管理装置208a)を接続する態様で示しているが、実際には、ネットワーク管理装置209aに備えられる個別のポートに各粒子挙動解析システム200のネットワーク管理装置208aが接続され、各粒子挙動解析システム200間の通信は、ネットワーク管理装置209aを介してなされるようになっている。
本実施形態では、第1ネットワーク208と第2ネットワーク209の通信仕様は不問とする。たとえば、通信プロトコルが同じものでもよいし異なるものでもよい。また、通信速度は、同じものでもよいし、異なるものでもよい。
粒子挙動解析システム200は、主要の処理データを相互に外部ネットワーク(本構成例では特に第2ネットワーク209)を介して伝達し合い、それぞれ対象の異なる粒子挙動解析処理を並列的に実行可能になっており、粒子挙動解析システム201としては、事実上の並列型計算装置をネットワーク接続してなるグリッド型計算装置として構成されている。
図示した例では、粒子挙動解析システム201を構成する各粒子挙動解析システム200のうちの1つ(1つの並列計算装置)が全体を統括する主粒子挙動解析システム200aとして機能するようになっており、この主粒子挙動解析システム200aに対して残りの粒子挙動解析システム200が、主粒子挙動解析システム200aにより制御される副粒子挙動解析システム200b1,200b2として第2ネットワーク209で接続されている。
主粒子挙動解析システム200aは、第1実施形態の構成における指示入力装置210および表示装置212を備えた主粒子挙動解析装置202aを備えて構成されている。一方、各副粒子挙動解析システム200bは、全てが副粒子挙動解析装置202dで構成されている。
たとえば、各粒子挙動解析システム200においては、磁気相互作用、静電相互作用、あるいは機械的相互作用(接触力)などの各相互作用の何れかに特化した解析処理を行ない、それぞれ個別の相互作用についての解析処理を並列して実行できるようになる。つまり、複数種類の相互作用を、それぞれ独立して同時に、別の粒子挙動解析システム200を用いて解析することができる。
あるいは、現像剤102を構成するキャリア粒子102aやトナー粒子102bや外添剤102cの別に、磁気相互作用、静電相互作用、あるいは機械的相互作用(接触力)などの各相互作用の解析処理を並列して実行できるようになる。たとえば、磁気力の影響度が大きいキャリア粒子102aについては特に磁気力に特化した粒子挙動解析処理を行ないつつ、磁気力および静電気力の双方の影響度が大きいトナー粒子102bや外添剤102cについては特に磁気力および静電気力に特化した粒子挙動解析処理を行なうなど、粒子種ごとに、別の粒子挙動解析システム200を用いて粒子挙動解析処理を行なうことができる。
各粒子挙動解析システム200は、第1実施形態で説明したように、各相互作用の解析を行なう際、粒子分割法ではなく力分割法を用いて解析する。並列計算装置として構成されている粒子挙動解析システム200同士での通信においても、通信量の少ない力分割並列化法を採用することで、処理速度の面での効果が大きい。
つまり、このような第2実施形態のシステム構成を採ることで、各粒子挙動解析システム200は、それぞれ独立した粒子挙動解析処理をできるので、第1実施形態のシステム構成よりもさらに処理時間の短縮を図ることができるようになる。
また、粒子間相互作用の計算負荷の程度に応じて、使用する粒子挙動解析システム200(事実上の並列計算装置)を、その処理能力を基に選択することもできる。これにより、異種環境(性能など)のシステムが混在する状況においても、効率的に計算機リソースを用いて粒子挙動解析処理を行なうことができる。
<粒子挙動解析装置;機能ブロック>
図5は、各粒子挙動解析装置202の一構成例を示すブロック図である。ここでは、特に主粒子挙動解析装置202aについて示している。
なお、粒子挙動解析装置202による後述する詳細な解析手法の説明では、電子写真プロセス方式の画像形成装置1における、たとえばキャリア粒子102aとトナー粒子102bの攪拌プロセスや、感光体10の表面に形成された静電潜像にトナー粒子102bを重畳する現像プロセスや、感光体10に形成されたトナー像を用紙などの転写体に転写させる転写プロセスなどの所定プロセスでの現像剤102を構成する成分粒子を解析対象として説明するが、この種の画像形成装置1の他に、粒子種や作用力を問わず、あらゆる粒子(粉体)を取り扱うシステムのシミュレーションにも同様に適用できる。
図示のように、主粒子挙動解析装置202aは、指示入力装置210などを利用して処理対象データを取り込むデータ入力部220と、担当する分割部分について力分割法を適用して粒子挙動解析処理を行なうデータ処理部230と、処理結果を表示装置212などを利用してユーザに提示する情報提示部240とを備えている。
指示入力装置210とデータ入力部220と情報提示部240とを取り外してデータ処理部230のみとすることで、副粒子挙動解析装置202dともなるし、データ処理部230を取り外すことで、全体の制御や処理結果のユーザ提示機能を持つ単純な管理計算ノードとして構成することもできる。
データ入力部220は、指示入力装置210を構成するキーボードやマウスを介してユーザより入力されるコマンドやデータを受け付け、データ処理部230に渡す。
データ処理部230は、データ入力部220から入力されたデータに基づいて後述する粒子挙動解析処理を行なう。このデータ処理部230は、より詳細には、データ受付部232、数値演算処理部234、および出力データ処理部236を有している。
データ受付部232は、図示を割愛したデータ記憶部を具備しており、データ入力部220から入力されたデータをデータ記憶部に記憶し、数値計算時に必要なデータを数値演算処理部234に供給する。データ受付部232のデータ記憶部には、たとえば、解析の対象としている現像装置40の構成および現像剤102の物性値に関するデータなどが記憶される。
数値演算処理部234は、データ受付部232から供給されたデータに基づいて、粒子の一例である現像剤102(詳細にはキャリア粒子102aやトナー粒子102b)について、磁気相互作用、静電相互作用、あるいは機械的相互作用(接触力)など、各種の相互作用を考慮した粒子挙動を、所定の分割法を適用してシミュレーション処理にて解析する。数値演算処理部234は、その解析結果を出力データ処理部236に供給する。
出力データ処理部236は、数値演算処理部234での計算結果を受け取り、数値演算処理部234での計算結果を表示データに変換し、表示装置212に供給する。表示装置212は、出力データ処理部236から供給された表示データに基づいた処理結果画像を表示する。現像剤102の挙動予測を可視化して表示装置212上に表示することによって、実際には確認困難な現像剤102の挙動を視覚的に把握することができる。
また、本実施形態の特徴部分として、複数の計算装置にて並列解析処理を実行することで解析計算時間を短縮するべく、処理対象要素を所定の分割法により分割する分散処理部270を備えている。
なお、分散処理部270は、たとえば、静電相互作用、磁気相互作用、機械的相互作用(接触力)、あるいは付着力などの複数種類の粒子間相互作用を考慮する場合や、現像剤102を構成する物性の異なる複数種類の粒子(本例ではキャリア粒子102aやトナー粒子102b)を解析対象とする場合においても、並列解析処理時のプロセッサ間の計算時間差が確実に小さくなるように、解析対象の作用力の相違や粒子種の相違を勘案して解析対象要素を配分する分割処理を行なうのがよい。
また分散処理部270は、粒子挙動解析システム200を構成する各粒子挙動解析装置202や、粒子挙動解析システム201を構成する各粒子挙動解析システム200の処理性能(計算能力)をも勘案して、解析対象要素を配分するのがよい。これにより、他の全てのプロセッサの計算が終了するまでの待機時間を少なくでき、確実に粒子挙動解析を高速に実現できるようになる。
そして、分散処理部270は、分割担当領域や分割担当粒子(のグループ)をそれぞれ複数の計算装置(粒子挙動解析装置202)で構成された計算システム(粒子挙動解析システム200)に割り当てる。データ処理部230では、必要に応じて他の分割部分に関しての処理を担当する他のプロセッサとの間でデータ通信を行ないつつ、分割された担当する分割部分について、領域分割法や粒子分割法や力分割法などによる粒子挙動解析を行なう。
<粒子挙動解析装置;計算機構成>
図6は、各粒子挙動解析装置202の他の構成例を示すブロック図である。ここでは、パーソナルコンピュータなどの電子計算機を利用して、粒子挙動解析をソフトウェアを実行するマイクロプロセッサなどから構築されるより現実的なハードウェア構成を示している。
すなわち、本実施形態において、2種類以上の相互作用力を考慮して、所定の分割並列化アルゴリズムを用いて、粒子の挙動を解析する仕組みは、ハードウェア処理回路により構成することに限らず、その機能を実現するプログラムコードに基づき電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェア的に実現することも可能である。
よって、本発明に係る仕組みを、電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェアで実現するために好適なプログラムあるいはこのプログラムを格納したコンピュータ読取可能な記憶媒体を発明として抽出することもできる。ソフトウェアにより実行させる仕組みとすることで、ハードウェアの変更を伴うことなく、処理手順などを容易に変更できる利点を享受できるようになる。
電子計算機に、所定の分割並列化アルゴリズムを用いて複数種の粒子や複数種の相互作用力を考慮した粒子挙動解析処理機能をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ(組込マイコンなど)、あるいは、CPU(Central Processing Unit )、論理回路、記憶装置などの機能を1つのチップ上に搭載して所望のシステムを実現するSOC(System On a Chip:システムオンチップ)、または、各種のプログラムをインストールすることで各種の機能を実行することが可能な汎用のパーソナルコンピュータなどに、記録媒体からインストールされる。
記録媒体は、コンピュータのハードウェア資源に備えられている読取装置に対して、プログラムの記述内容に応じて、磁気、光、電気などのエネルギの状態変化を引き起こして、それに対応する信号の形式で、読取装置にプログラムの記述内容を伝達できるものである。
たとえば、コンピュータとは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フレキシブルディスクFDを含む)、光ディスク(CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory )、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc )を含む)、または半導体メモリなどよりなるパッケージメディア(可搬型の記憶媒体)により構成されるだけでなく、コンピュータに予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているROMやハードディスクなどで構成されてもよい。
また、ソフトウェアを構成するプログラムは、記録媒体を用いずに、記録媒体を介して提供されることに限らず、有線あるいは無線などの通信網を介して提供されてもよい。
たとえば、所定の分割並列化法を利用し物性の異なる複数種の粒子や複数種の相互作用力を考慮した粒子挙動解析処理機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、ハードウェア処理回路にて構成する場合と同様の効果は達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が所定の分割並列化法を利用した粒子挙動解析処理の機能を実現する。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することで、所定の分割並列化法を利用した粒子挙動解析処理を行なう機能が実現されるだけでなく、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(Operating Systems ;基本ソフト)などが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理により所定の分割並列化法を利用した粒子挙動解析処理を行なう機能が実現される場合であってもよい。
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によって粒子挙動解析処理を行なう機能が実現される場合であってもよい。
なお、粒子挙動解析処理を行なう機能を実現するプログラムコードを記述したファイルとしてプログラムが提供されるが、この場合、一括のプログラムファイルとして提供されることに限らず、コンピュータで構成されるシステムのハードウェア構成に応じて、個別のプログラムモジュールとして提供されてもよい。
たとえば、コンピュータシステム900は、コントローラ部901と、ハードディスク装置、フレキシブルディスク(FD)ドライブ、あるいはCD−ROM(Compact Disk ROM)ドライブ、半導体メモリコントローラなどの、所定の記憶媒体からデータを読み出したり記録したりするための記録・読取制御部902とを有する。
コントローラ部901は、CPU(Central Processing Unit )912、読出専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)913、随時書込みおよび読出しが可能であるとともに揮発性の記憶部の一例であるRAM(Random Access Memory)915、および不揮発性の記憶部の一例であるRAM(NVRAMと記述する)916を有している。
なお、上記において“揮発性の記憶部”とは、装置の電源がオフされた場合には、記憶内容を消滅してしまう形態の記憶部を意味する。一方、“不揮発性の記憶部”とは、装置のメイン電源がオフされた場合でも、記憶内容を保持し続ける形態の記憶部を意味する。記憶内容を保持し続けることができるものであればよく、半導体製のメモリ素子自体が不揮発性を有するものに限らず、バックアップ電源を備えることで、揮発性のメモリ素子を“不揮発性”を呈するように構成するものであってもよい。
また、半導体製のメモリ素子により構成することに限らず、磁気ディスクや光ディスクなどの媒体を利用して構成してもよい。たとえば、ハードディスク装置を不揮発性の記憶部として利用できる。また、CD−ROMなどの記録媒体から情報を読み出す構成を採ることでも不揮発性の記憶部として利用できる。
また、コンピュータシステム900は、ユーザインタフェースをなす機能部としての指示入力部903と、操作時のガイダンス画面や処理結果などの所定の情報をユーザに提示する表示出力部904と、各機能部との間のインタフェース機能をなすインタフェース部(IF部)909とを有する。
なお、解析処理結果を印刷出力してユーザに提示する構成とするべく、処理結果を所定の出力媒体(たとえば印刷用紙)に出力する画像形成部906を設けることもできる。
指示入力部903としては、たとえば、ユーザインタフェース部985の操作キー部985bを利用することができる。あるいは、キーボードやマウスなどを利用することもできる。
表示出力部904は、表示制御部919と表示装置とを備える。表示装置としては、たとえば、ユーザインタフェース部985の操作パネル部985aを利用することができる。あるいは、CRT(Cathode Ray Tube;陰極線管)やLCD(Liquid Crystal Display;液晶)などでなるその他のディスプレイ部を利用することもできる。
たとえば、表示制御部919が、操作パネル部985aやディスプレイ部上に、ガイダンス情報や画像読取部905が取り込んだ全体画像などを表示させる。また、各種の情報をユーザに通知する際の表示デバイスとしても利用される。なお、表示面上にタッチパネルを有するディスプレイ部とすることで、指先やペンなどで所定の情報を入力する指示入力部903を構成することもできる。
インタフェース部909としては、処理データ(画像データを含む)や制御データの転送経路であるシステムバス991の他、たとえば、画像形成部906や他のプリンタとのインタフェース機能をなすプリンタIF部996、およびネットワークとの間の通信データの受け渡しを仲介する通信IF部999を有している。
このような構成において、CPU912は、システムバス991を介してシステム全体の制御を行なう。ROM913は、CPU912の制御プログラムなどを格納する。RAM915は、SRAM(Static Random Access Memory )などで構成され、プログラム制御変数や各種処理のためのデータなどを格納する。また、RAM915は、所定のアプリケーションプログラムに従って演算して得たデータや外部から取得したデータなどを一時的に格納する領域を含んでいる。
たとえば、所定の分割並列化法を利用した粒子挙動解析処理機能をコンピュータに実行させるプログラムは、CD−ROMなどの記録媒体を通じて配布される。あるいは、このプログラムは、CD−ROMではなくFDに格納されてもよい。また、MOドライブを設け、MOに前記プログラムを格納してもよく、またフラッシュメモリなどの不揮発性の半導体メモリカードなど、その他の記録媒体にプログラムを格納してもよい。さらに、他のサーバなどからインターネットなどのネットワークを経由してプログラムをダウンロードして取得したり、あるいは更新したりしてもよい。
なおプログラムを提供するための記録媒体としては、FDやCD−ROMなどの他にも、DVDなどの光学記録媒体、MDなどの磁気記録媒体、PDなどの光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、ICカードやミニチュアカードなどの半導体メモリを用いることができる。記録媒体の一例としてのFDやCD−ROMなどには、所定の分割並列化法を利用した粒子挙動解析処理機能を実現する際の、一部または全ての機能を格納することができる。
また、ハードディスク装置は、制御プログラムによる各種処理のためのデータを格納したり、自装置で取得したデータや外部から取得したデータなどを大量に一時的に格納したりする領域を含んでいる。
このような構成により、操作キー部985bを介した操作者による指令にて、後述する粒子挙動解析方法を実行するプログラムが記憶されているCD−ROMなどの読取可能な記録媒体からRAM915に粒子挙動解析プログラムがインストールされ、また操作キー部985bを介した操作者による指令や自動処理にて粒子挙動解析プログラムが起動される。
CPU912は、この粒子挙動解析プログラムに従って後述する粒子挙動解析方法に伴う計算処理を施し、処理結果をRAM915やハードディスクなどの記憶装置に格納し、必要により操作パネル部985a、あるいはCRTやLCDなどの表示装置に出力する。粒子挙動解析方法を実行するプログラムが記録した記録媒体を用いることにより、既存のシステムを変えることなく、粒子挙動解析システムを汎用的に構築することができる。
なお、このようなコンピュータを用いた構成に限らず、図5を用いて示した各機能部の処理をなす専用のハードウェアの組合せにより、所定の分割並列化法を利用した粒子挙動解析処理を行なう粒子挙動解析システム200や粒子挙動解析装置202を構成することもできる。
たとえば、所定の分割並列化法を利用し複数種の粒子や複数種の相互作用力を考慮した粒子挙動解析処理のための各機能部分の全ての処理をソフトウェアで行なうのではなく、これら機能部分の一部を専用のハードウェアにて行なう処理回路908を設けてもよい。ソフトウェアで行なう仕組みは、並列処理や連続処理に柔軟に対処し得るものの、その処理が複雑になるに連れ、処理時間が長くなるため、処理速度の低下が問題となる。
これに対して、ハードウェア処理回路で行なうことで、高速化を図ったアクセラレータシステムを構築することができるようになる。アクセラレータシステムは、処理が複雑であっても、処理速度の低下を防ぐことができ、高いスループットを得ることができる。
たとえば、所定の分割並列化法を利用し複数種の粒子や複数種の相互作用力を考慮した粒子挙動解析処理機能を実現する場合であれば、処理回路908としては、図5に示したデータ処理部230を構成するデータ受付部232に相当するデータ受付部908a、数値演算処理部234に相当する数値演算処理部908b、出力データ処理部236に相当する出力データ処理部908c、分散処理部270に相当する分散処理部908dなどをハードウェアで構成するとよい。
<データ入力部とデータ処理部>
図7は、データ入力部220およびデータ処理部230の詳細構成例を説明する機能ブロック図である。先ず、データ入力部220は、解析対象の全領域(空間)における静電界や磁界などの場のデータを近似計算で設定するべく、空間を離散化して場の特性を近似により数値計算する場データ解析部310と、解析対象領域内に解析対象粒子を初期配置する粒子初期配置部320と、感光体10や現像ロール140の外周面あるいは収納容器101などの壁面を代表例とする解析対象領域の境界を表わす仮想粒子群データを生成する仮想粒子配置部330とを備えている。
また、データ処理部230は、データ受付部232を介して受け取った場データ解析部310、粒子初期配置部320、および仮想粒子配置部330からの各種データ(場データ、解析対象粒子データ、仮想粒子データ)に基づき、各種粒子の挙動解析計算を行なう挙動解析計算部350と、挙動解析計算部350により求められた各種粒子群の運動の計算結果に基づいて、画像の品質を予測し評価する画像品質評価部380とを備えている。
挙動解析計算部350は、現像プロセスや転写プロセスなどの各種プロセスにおける解析対象粒子302a(たとえばキャリア粒子102aやトナー粒子102bなどの各種粒子)の挙動を、仮想粒子配置部330場データ解析部310による場データの計算結果をもとにしつつ、各種粒子の運動が遮られる壁面からの影響を考慮しながらシミュレーションにより各種粒子の挙動解析計算を行なう。
このため、挙動解析計算部350は、各種粒子の運動が遮られる壁面からの影響を考慮しながらシミュレーションにより各種粒子に作用する静電作用や磁気作用などの各種作用力を求める作用力計算部352と、作用力計算部352により求められた各種作用力に基づいて運動方程式を立てて各粒子の運動を解析する運動計算部354とを有している。
粒子初期配置部320は、たとえば、現像プロセスに着目する場合であれば、解析対象粒子302aをキャリア粒子102aやトナー粒子102bとし、これらキャリア粒子102aやトナー粒子102bが運動する空間として、磁場や重力場を考慮するピックアップ領域や層形成領域やピックオフ領域、電場や磁場や重力場を考慮する現像ニップ領域を取り扱う。また、転写プロセスに着目する場合であれば、解析対象粒子302aをトナー粒子102bとし、このトナー粒子102bが運動する空間として、電場や重力場を考慮する転写領域を取り扱う。すなわち、感光体10の表面に現像されたトナー像を、転写体または中間体(特にカラー画像の場合)に転写する転写プロセスが行なわれる領域を取り扱う。
仮想粒子配置部330は、たとえば感光体10や現像ロール140の表面や紙面など、解析対象粒子の運動が遮られる壁面に対応する位置に、運動自由度を拘束し固定した複数の仮想粒子を配置する。つまり、境界(壁面)を仮想的な粒子集団で表現する。この際、仮想粒子配置部330は、解析領域の境界の壁面が持つ表面粗さなどの物理特性をできるだけ忠実に再現するように仮想粒子を配置する。仮想粒子配置部330は、配置する各仮想粒子に、壁面の表面粗さや壁面の物性(たとえば誘電体であるのかや、磁性体であるのかなど)などの壁面が持つ種々の物理特性を表現するような諸物理特性値を与える。
ここで、本実施形態の仮想粒子配置部330は、“壁面に対応する位置”に仮想粒子を配置するに当り、元の壁面の位置そのものではなく、場データ解析部310による場データの解析時の近似計算により設定される境界位置に配置する点に特徴を有する。
すなわち、仮想粒子配置部330は、解析対象粒子が存在する場データ解析部310による電場や磁場などの場データの近似計算における空間を離散化した位置が、粒子挙動解析精度に影響を与えるほどに元の壁面位置からずれる場合には、各仮想粒子の配置中心位置を、元の壁面位置ではなく、場データの近似計算における空間を離散化した位置に整合させて配置する点に大きな特徴を有する。
これは、粒子挙動解析計算時に壁面との機械的な相互作用力の計算する際には、従来は、実際の壁面位置に着目して計算を行なっている。この場合、たとえば、境界の壁面に与える摩擦特性で表面粗さを代用する、あるいは、場のシミュレーション解析時と同様に、壁面(境界)を直線もしくは平面を表わす数式で表現する、たとえば壁面を多角形で表現するという代替的な手法を採ることが考えられる。
しかしながら、摩擦特性で代用すると、凹凸のある壁面への粒子の接触状態がきちんと再現されない、すなわち付着力などの効果を再現することができないため、精度に問題がある。また、境界の壁面を多角形で表現すると、粒子と壁面間の接触の判定が煩雑となり、計算負荷が増大する。
加えて、場のシミュレーション解析で設定される電界や磁界における場の境界位置と、粒子挙動解析計算時に設定される多角形で表現された壁面位置とがズレることにより、たとえば、計算の発散や計算精度の低下を招く、あるいは計算量が増大する、といった問題が生じる。
これに対して、場のシミュレーション解析で設定される電界や磁界における場の境界位置に壁面に対応する仮想粒子を置いて、この仮想粒子と解析対象粒子との粒子間相互作用を計算することで、前述の位置ズレの影響を受けることなく、また、高精度かつ簡易に壁面と粒子との間の接触力の計算を行なうことができる。
これらの点については、図を参照しつつ詳しく後述するが、概要を説明しておくと、以下の通りである。作用力計算部352と運動計算部354とは、各種プロセスにおける、解析対象粒子の挙動解析を、たとえば個別要素法に基づいて行なう。たとえば、作用力計算部352は、真の解析対象粒子302a(たとえばキャリア粒子102aやトナー粒子102b)だけでなく、仮想粒子配置部330が配置した仮想粒子をも解析対象に加え、真の解析対象粒子302aと仮想粒子とについて、場データ解析部310にて取得される場データを参照しつつ、各粒子同士の相互作用を求める。運動計算部354は、作用力計算部352で求められた各粒子について作用する相互作用を基に立てた運動方程式を解くことで個々の粒子の挙動を解析する。
境界の壁面から粒子が受ける影響を考慮しながら粒子の挙動を解析するに当たり、壁面に相当する境界上に運動自由度を拘束し固定された仮想粒子を配置し、その仮想粒子を含めて、個別要素解析などに基づいて粒子間の機械的相互作用などを求めて解析するので、境界(壁面)に衝突する真の解析対象粒子302aがその壁面が持つ表面粗さなどから受ける効果を再現しながら、真の解析対象粒子302aの挙動を簡単かつ高精度に解析することができる。
壁面の影響を考慮した粒子挙動解析手法として、たとえば境界を直線や曲線もしくは平面や曲面で表現する手法が考えられる。しかしながら、これでは、壁面が持つ表面粗さなど、壁面が持つ物理特性の効果を直接再現することができず、粒子の挙動解析結果は、表面粗さの影響の分だけ精度が低下する。これに対して、表面粗さなどの壁面が持つ物理特性を再現するように仮想粒子を配置することで、壁面から受ける作用力を考慮しながら解析対象粒子302aの挙動をより高精度に解析することができる。
また、境界(壁面)に与える摩擦特性で表面粗さを代用するという代替的な手法も考えられるが、摩擦特性で代用すると、凹凸のある壁面への粒子の接触状態がきちんと再現されない、すなわち付着力などの効果を再現することができないため、精度に問題がある。
また、境界(壁面)を数式で表現、たとえば直線や曲線を用いた多角形で表現するという代替的な手法も考えられるが、複雑な境界を表現できないことも起こり得る。また、粒子と壁面間の接触の判定が煩雑となり計算負荷(処理や計算量)が増大することもある。何故なら、たとえば直線方程式を壁面位置に置いて解析する必要があるので、壁面形状が複雑な場合には、多数の直線方程式をその壁面に沿うように置き、かつ着目対象の直線方程式の範囲を切り分けながら解析しなければならず、複雑な判定処理が必要となるからである。
これ対して、本実施形態では、仮想粒子配置部330により壁面位置に対応する位置に仮想粒子を配置すればよく、複雑な境界を代用表現することは容易である。また、仮想粒子を配置した後には、作用力計算部352や運動計算部354は、真の解析対象粒子302aと仮想粒子とを解析対象として、粒子間相互作用を求めて、この粒子間相互作用に基づく運動方程式を解いて粒子の挙動を解析すればよく、解析処理が簡単である。
また、粒子の挙動を解析する際には、静電界(電場)や磁界(磁場)などの場の計算に基づく作用力の計算も必要になるが、この際、場データ解析部310は、空間を直線や平面で区切って解析する近似計算を行なう。
このため、境界を仮想的な粒子集団で表現する方法と組み合わせたときには、解析対象粒子302aが存在する電場や磁場などの場の近似計算における空間を離散化した位置が、元の壁面位置からズレて、場合によっては、粒子挙動解析精度に影響を与え、たとえば、場計算の発散や計算精度の低下を招くことや計算量を増大させることも起こり得る。
何故なら、詳細は後述するが、近似設定した静電界や磁界における境界と仮想粒子の配置位置とがズレることにより、場の境界を越えて解析対象粒子302aが移動し得るものとして計算することが起こり得るからである。
これに対して、本実施形態では、仮想粒子配置部330は、各仮想粒子の配置中心位置を、元の壁面位置そのものではなく、電場や磁場などの解析対象粒子が存在する場の近似計算における空間を離散化した位置に整合させて配置するので、相互作用力の解析対象範囲、つまり解析対象粒子302aの運動可能範囲を、近似設定された場の境界と整合させることができ、前述の問題を解消することができる(詳細は後述する)。
すなわち、作用力計算部352では、粒子初期配置部320が初期配置した個々の解析対象粒子302aと仮想粒子配置部330が設定した仮想粒子との相互作用力を求め、運動計算部354は、求められた相互作用力に基づいて運動方程式を解いて、各粒子(粒子群)の運動を求める。このような処理を所定の時間ステップで繰り返すことにより、解析領域中を移動する各粒子の挙動をシミュレーションにより解析することができる。
なお、配置する仮想粒子302cの径を小さくし、また密接させて配置することで壁面が持つ表面粗さを精度良く表わすことができるが、反面、解析対象粒子302aの挙動を解析する際には、解析対象粒子302aと仮想粒子とを解析対象として、粒子間相互作用を求める必要が生じるので、仮想粒子の総数を過度に増やすと、計算量が膨大になり、処理そのものは簡易であっても、粒子数の増大による計算負荷の増大が問題となってくる。したがって、壁面が持つ表面粗さの再現具合と計算負荷の増大のバランスを考慮して、適度な粒径(全てを同サイズにしてもよいし、バラバラにしてもよい)の仮想粒子を適度な間隔(均等にしてもよいし、バラバラにしてもよい)で配置するのがよい。
ここで、仮想粒子配置部330によって境界の壁面に対応する位置に配置された仮想粒子は、解析対象粒子302aと接触し相互に接触力を及ぼし合うが、運動計算部354にて運動方程式を解く際には、その変位は強制的にゼロに設定し、常に境界上に固定しておけばよい。したがって、解析対象粒子302aに着目した解析時に仮想粒子に関する運動情報を逐一取得する必要がないし、仮想粒子に着目しての相互作用力を求める処理を割愛することができるし、その仮想粒子についての運動方程式を解く必要がない。何故なら、仮想粒子は、事実上固定されている壁面を仮想的に表わすものだからである。
また、解析対象の各粒子(ここでは解析対象粒子302aと仮想粒子)を所定の分割法により分割し、分割した粒子群を各プロセッサに配分し、複数のプロセッサを用いて並列処理する際には、仮想粒子に関する時系列情報に関しては、その変位を強制的にゼロに設定すればよいので、前述の如く、実際には、その仮想粒子についての運動方程式を解く必要がない。
よって、通常は、相互作用力の計算時に必要となる他の粒子に関する時系列情報(位置情報を始めとする各時点の運動情報)の取得のために、各プロセッサ間でデータ通信を行なう必要があるが、仮想粒子に関する時系列情報の取得は、初期設定時の1回のみでよく、事実上、逐一のデータ通信を割愛する、すなわち仮想粒子データを除外してやりとりすることで、全体の処理時間の短縮化を図るようにする。
たとえば、解析対象粒子302aの解析処理を担当するプロセッサにおいては、解析対象粒子302aと仮想粒子との相互作用力を求める際には、仮想粒子に関する位置情報を始めとする各時点の運動情報や物性データなどは常に初期設定されたデータを使えばよい。また、仮想粒子の解析処理を担当するプロセッサにおいては、事実上、他の粒子との間の相互作用を求める必要がなく、この相互作用力を求めるためのデータ通信を他プロセッサとの間でし合う必要がない。
画像品質評価部380は、運動計算部354による各解析対象粒子302aの運動の計算結果に基づいて、画像の品質を予測し評価する。
<粒子挙動解析処理手順;基本>
図8は、本実施形態の粒子挙動解析処理において適用する所定の分割法を用いた並列化処理手順の基本例を示すフローチャートである。
先ずデータ入力部220は、計算に必要な各種データをデータ処理部230に入力する(S10)。データ処理部230においては、先ず場データ解析部310は、解析対象の全領域(空間)における静電界や磁界などの場の特性を表わす場データを近似計算で求め、求めた場データを、粒子に作用する力を解析する作用力計算部(たとえば転写工程計算部370)に渡す(S12)。
次に、仮想粒子配置部330は、解析対象領域の境界を表わす仮想粒子群データを生成し、この仮想粒子群データを粒子に作用する相互作用力を解析する作用力計算部352に渡す(S14)。
所定の分割法により解析対象粒子を各プロセッサに配分して、複数のプロセッサを用いて並列処理する際には(S16−YES)、分散処理部270は、粒子初期配置部320が設定した解析対象粒子302aと仮想粒子配置部330が設定した仮想粒子とを所定の分割法に従って各プロセッサに配分する(S18)。
次に、作用力計算部352では、真の解析対象粒子302aだけでなく、仮想粒子配置部330が設定した仮想粒子302cをも解析対象に加え、真の解析対象粒子302aと仮想粒子とについて、場データ解析部310にて取得される場データを参照しつつ、機械的相互作用(接触力)、磁気相互作用、あるいは静電相互作用など、各粒子同士の相互作用力を求める(S20)。
次に、運動計算部354では、各相互作用力の全総和値を使用して、加速度、速度、および変位で示される各粒子の運動方程式を解き、位置座標を計算する(S22)。この後、所定の計算ステップに到達するまで同様の処理を繰り返す。
データ処理部230は、粒子挙動解析が完了すると、その解析結果データを表示データに変換し、表示装置212に供給する(S24)。表示装置212は、データ処理部230から供給された表示データに基づいた処理結果画像を表示する。
ここで、複数のプロセッサを用いて並列処理する際には(S16−YES)、たとえば、図中の右側に示すように、先ず、現時点において粒子挙動解析処理に使用可能な粒子挙動解析システム200を構成する粒子挙動解析装置202の数や粒子挙動解析システム201を構成する各粒子挙動解析システム200の数(纏めてプロセッサ数と呼ぶ)を特定する(S82)。この後、計算に必要な各種物理パラメータや粒子の初期配置や適用する分割法(以下力分割法で説明する)で特に必要となる解析対象の粒子数(本例では解析対象粒子302aだけでなく仮想粒子も含む)などの計算条件を読み込む(S84)。
そして、ステップS82にて特定した各プロセッサを、マトリクス配置して、解析対象の粒子(現像剤102を構成するキャリア粒子102aやトナー粒子102b)を割り当てる(S86)。各番号のプロセッサ(各粒子挙動解析装置202もしくは各粒子挙動解析システム200)をノード#Nとも呼ぶ。
次に、複数種類の多体粒子間相互作用力を、力マトリクス中の自身を中心とする行方向および列方向に存在する通信を必要とするプロセッサ(特に特定プロセッサと呼ぶ)に分散して計算する(S90)。
このとき、複数種類の多体粒子間相互作用に対しては、それぞれ別の力マトリックスを用いて計算する。各別の力マトリックスを用いることにより、各々のマトリックスでは必要最小数の粒子のみを計算すればよく、マトリックスによっては計算時間を短縮することができる。
次に、特定プロセッサ間で通信し、機械的相互作用(接触力)、磁気相互作用、あるいは静電相互作用などの各相互作用について、力マトリックスにおける行方向の相互作用同士を足し合わせる、つまり、分散して計算した全ての相互作用力の全総和値SUM_Totalを求める(S92)。全総和値SUM_Totalは、機械的接触力、静電気力、磁気力、あるいは付着力などの複数の相互作用を一括して表わしたものとなる。
次に、複数の相互作用を一括して表している全総和値SUM_Totalを使用して、各粒子の運動方程式を解き、位置座標を計算する(S94)。そして、このようにして求めた各粒子の位置座標を、相互作用マトリクスに関係する特定プロセッサに送り(通信し)、計算情報を更新する(S96)。全ての特定プロセッサ(ノード)との間での通信は不要であるから、通信量を少なくすることができる。
この後、所定の計算ステップに到達するまで、ステップS90に戻り、同様の処理を繰り返す(S98)。ここで“所定の計算ステップ”とは、解析対象の全粒子が、概ね安定した位置に納まった状態(全て流れてしまった状態)となるまでとすればよい。
ここで、キャリア粒子102aやトナー粒子102bなどの複数種の粒子に着目したり、また、機械的相互作用(接触力)、磁気相互作用、あるいは静電相互作用など複数種の相互作用に着目したりして粒子の挙動を複数のプロセッサを用いた並列処理で解析するに当たっては、それぞれを順番に解析処理する手法と、それぞれ複数のプロセッサを備えてなる複数の計算システムを用いることで、それぞれを同時並列的に解析処理する手法の何れかを採用することができる。
たとえば、図3に示した第1実施形態の粒子挙動解析システム200において、現像剤102(詳細にはキャリア粒子102aやトナー粒子102b)について、磁気相互作用、静電相互作用、および機械的相互作用(接触力)を、順番に解析する第1の手法を採ることができる。特に、複数種類の相互作用のある粒子計算の並列処理において、力マトリックスを用いたアルゴリズムを用いることで、プロセッサ間通信量を低減させることができ、高い並列化性能を達成できる。並列計算機同士での通信においては、通信量の少ない力分割並列化法の方が、処理速度の面での効果が大きい。
また、図4に示した第2実施形態の粒子挙動解析システム201において、現像剤102(詳細にはキャリア粒子102aやトナー粒子102b)について、機械的相互作用(接触力)、磁気相互作用、および静電相互作用を、それぞれ別の粒子挙動解析システム200において並行して解析する第2の手法を採ることもできる。
この場合、力分割法を適用すると、機械的相互作用(接触力)、磁気相互作用、あるいは静電相互作用について、それぞれ個別の並列計算装置にて、それぞれ個別の力マトリクスを用いて同時並行的に相互作用の総和値を求めてから、さらに、それぞれの総和値SUMを加算することで、複数の相互作用を一括して表した総和値SUM__Totalを求めるので、第1の手法による順次処理と同様に、複数の相互作用を同時に考慮して挙動解析を行なうことができる。
複数の並列計算装置(本例では粒子挙動解析システム200)にて分散処理により、それぞれ異なる相互作用について同時並行的に解析処理できるので、第1の手法での順次処理よりも、処理時間の短縮を図ることができるようになる。また、複数種類の相互作用を、それぞれ独立して別の並列計算機システムを用いて解析するので、粒子間相互作用の計算負荷の程度に応じて、使用する並列計算装置を、その処理能力を基に選択することができる。
各粒子挙動解析システム200の処理性能が異なる、つまり、異種環境の並列計算装置が混在するシステム環境以下にある場合、機械的相互作用(接触力)、磁気相互作用、あるいは静電相互作用などの各相互作用の解析処理負担の違いを考慮して、担当する相互作用を割り当てることで、各並列計算装置の処理性能を効率的に用いて粒子挙動解析処理を行なうことができる。
また、第2の手法と同様に、図4に示した第2実施形態の粒子挙動解析システム201において、現像剤102を構成するキャリア粒子102aおよびトナー粒子102bの別に、機械的相互作用(接触力)、磁気相互作用、あるいは静電相互作用について、それぞれ個別の並列計算装置にて、それぞれ同時並行的に解析する第3の手法を採ることもできる。
この場合、力分割法を適用すると、現像剤102を構成する粒子種ごとに、それぞれ個別の並列計算装置にて、それぞれ個別の力マトリクスを用いて同時並行的に相互作用の総和値を求めてから、さらに、それぞれの総和値SUMを加算することで、複数の相互作用を一括して表した総和値SUM__Totalを求めるので、第1あるいは第2の手法と同様に、複数の相互作用を同時に考慮して挙動解析を行なうことができる。
また、複数の相互作用を同時に考慮する際には、粒子種の特性に合わせて解析対象の相互作用を簡単に絞ることができる。また、異なる種類の粒子との間での相互作用を考慮する必要もないので、全体的には、解析処理を簡易にすることができる。また、複数種類の相互作用を、粒子種別に独立して別の並列計算機システムを用いて解析するので、粒子間相互作用の粒子種別の計算負荷の程度に応じて、使用する並列計算装置を、その処理能力を基に選択することができる。
各粒子挙動解析システム200の処理性能が異なる、つまり、異種環境の並列計算装置が混在するシステム環境以下にある場合、粒子種別の解析処理負担の違いを考慮して、担当する粒子種を割り当てることで、各並列計算装置の処理性能を効率的に用いて粒子挙動解析処理を行なうことができる。
なお、各相互作用を求めて運動方程式を解く際には、仮想粒子に関する運動情報を逐一取得する必要がないし、仮想粒子に着目した、他の粒子との間の相互作用力を求める処理を割愛することで、全体の処理時間の短縮化を図る。複数のプロセッサを用いて並列処理する際には(S16−YES)、仮想粒子に関する運動情報をデータ通信によって他のプロセッサから逐一取得する処理を割愛したり、仮想粒子に着目した他の粒子との間の相互作用力を求めるためのデータ通信を割愛したりすることで、さらに全体の処理時間の短縮化を図ることができる。
機械的相互作用(接触力)、磁気相互作用、静電相互作用について、それぞれ個別に、力マトリクスを用いて相互作用の総和値を求めてから、さらに、それぞれの総和値SUMを加算することで、複数の相互作用を一括して表した総和値SUM_Totalを求めるようにしたので、複数の相互作用を同時に考慮して粒子挙動解析を行なうことができる。
また、粒子の運動を妨げる壁面(境界)上に、運動自由度を拘束し固定された複数の仮想粒子を配置し、解析対象粒子に現実の諸物理特性値を与えるとともに、仮想粒子には壁面の表面粗さなどの物理特性を表現するような諸物理特性値を与えるので、各種の相互作用力に基づいて運動方程式を計算して粒子の挙動を解析する際には、境界に接触する粒子がその壁面が持つ表面粗さなどから受ける効果を再現することができ、解析対象粒子の挙動を高精度に解析することができる。
たとえば、転写プロセスの解析を行なう場合であれば、感光体10の表面粗さや、感光体10・中間転写体ベルト・用紙間の速度差、あるいは転写体の接触幅などの転写プロセスにおける条件パラメータを変更しながら、上述した粒子挙動解析シミュレーションを繰り返し行なっていくことで、各条件下での転写プロセスを高精度に再現することができる。したがって、画像品質評価部380では再現性のよい転写品質を評価し、転写プロセスの各パラメータについての最適値を得ることができる。
<場データ解析処理>
図9は、場データ解析部310による場特性の解析処理手順の一例を示すフローチャートである。ここでは、電場データを求める事例で示している。また、図10は、要素分割並びに電界計算結果の一例を示す図である。
先ずデータ入力部220は、画像データ、帯電電位、あるいは露光量などの、電場データを求めるための基本情報をデータ処理部230(詳細には数値演算処理部234)の場データ解析部310に入力する(S102)。
場データ解析部310は、これら入力された基本情報に基づいて、解析対象空間を要素分割した要素モデルを作成し(S104)、静電界や磁界を表わすベクトルデータを求める(S106)。なお、要素モデルを作成して、場データを表わすベクトルデータを求める手法は公知のものであるので、ここでは、その詳細説明を割愛する。
簡単に説明すると、場データ解析部310は、たとえば、図10(A)に示すように、電場データを求めるに当り、要素データや節点データを生成する。次に場データ解析部310は、要素データや節点データを元にして、係数マトリクスを算出して電荷ベクトルを算出した後に連立方程式を解くことで、図10(B)に示すベクトル図のように電界を求める。
このようにして、場データを求めた後には、場データ解析部310は、その場データの情報、たとえば静電界の情報であれば電位や電界の情報を、作用力計算部352に出力する(S108)。
作用力計算部352では、場データ解析部310により求められた場データを元にして、粒子個々の位置での電界値を内挿して粒子間相互作用力を算出し、求めた粒子間相互作用力を運動計算部354に出力する。運動計算部354は、各種の粒子間相互作用力に基づいて運動方程式を解法することで個々の粒子の運動を解析する。これにより、画像品質の予測評価(シミュレーションによる解析)ができる。たとえば転写プロセスの解析であれば、用紙に転写されたトナー像の線幅を予測することができる。
<仮想粒子配置処理>
図11は、仮想粒子配置部330による仮想粒子データの設定処理手順、すなわち仮想粒子302を生成し、この生成した仮想粒子302cを壁面に対応する位置に配置するとともに、この仮想粒子302cに、各種の物理特性データを設定する処理手順の一例を示すフローチャートである。
仮想粒子配置部330は先ず、感光体10や現像装置40の収納容器101や現像ロール140などの解析対象粒子302aが接触する壁面材が持つ表面粗さデータやその他の物理特性データ、境界位置、あるいは仮想粒子を配置する範囲などの、仮想粒子データを求めるための基本情報をデータ処理部230(詳細には数値演算処理部234)の仮想粒子配置部330に入力する(S202)。
この後、仮想粒子配置部330は、仮想粒子の粒子径と粒子配置間隔を境界の表面粗さから決定するようにする。具体的には、境界の壁面が持つ評価変数Ra,Rzに基づいて仮想粒子の粒子径を決定し、境界の壁面が持つ評価変数Smに基づいて仮想粒子の粒子配置間隔を決定する。ここで、評価変数Raは算術平均粗さ、Rzは10点平均粗さ(基準長さの粗さ曲線において、その平均線から高い方の5個の山および低い方の5個の谷間での距離をそれぞれ平均した値の差)、評価変数Smは凸凹の平均間隔である。
このため、仮想粒子配置部330は、評価変数Raを仮想粒子平均径に換算するとともに、評価変数Smを仮想粒子平均間隔に換算するというデータ変換処理を行なう(S204)。そして、仮想粒子平均径や仮想粒子平均間隔には標準偏差などによりバラツキを与える。この後、仮想粒子配置部330は、仮想粒子を配置する配置範囲と平均間隔に基づいて、配置した仮想粒子数を算出する(S206)。
さらに仮想粒子配置部330は、各仮想粒子の直径を計算し(S208)、また各仮想粒子を配置する座標位置を計算する(S210)。座標位置の計算時には、場データ解析部310で設定された場データを参照して、場の要素を構成する節点や辺上に仮想粒子を配置することで、場データ解析部310による場の離散化単位に整合させた位置に仮想粒子を配置するようにする。そして最後に、仮想粒子配置部330は、各仮想粒子の直径および座標位置を作用力計算部352に出力する(S212)。
<解析対象粒子と仮想粒子との関係>
図12は、解析対象領域に解析対象粒子302aを配置するとともに、壁面に対応する境界上に運動自由度を拘束し固定された仮想粒子を配置する手法を説明する図である。
キャリア粒子102aやトナー粒子102bなどの解析対象粒子302aの挙動を解析する際、各解析対象粒子302aには、他の解析対象粒子302aとの間での機械的相互作用だけでなく、その解析対象粒子302aの運動する領域の境界となる壁材304の表面(壁面)から受ける機械的作用の影響も受ける。
たとえば、現像プロセスに着目すると、たとえば図12(A1)に示すように(図では収納容器101内の層形成領域に着目して示している)、感光体10や現像装置40の収納容器101の表面が壁面305となる場合もあれば、図12(A2)に示すように(図では現像ニップ領域に着目して示している)、感光体10や現像装置40の現像ロール140の表面が壁面305となる場合もある。また、図12(A3)に示すように、転写プロセスに着目すると、感光体10や中間転写ベルト(特にカラー画像形成の場合)並びに用紙などの転写体の表面が壁面305となる。
これらの壁面305が持つ形状は単一もしくは数種の直線や曲線で表わすことができる場合もあれば多数種の直線や曲線を必要とする複雑な形状を持つ場合もあるし、またその表面粗さは同じではなく、飛散する解析対象粒子302aに作用する機械的作用は一律ではない。境界を直線もしくは平面で表現すると、壁面305が持つ表面粗さの効果を直接再現することができず、その分、挙動解析結果の精度が低下する。
これに対して、本実施形態では、仮想粒子配置部330は、図12(B)に示すように、たとえば壁面305に対応する位置に、運動自由度を拘束定された複数の仮想粒子302cを配置し、この仮想粒子302cに壁面305の表面が持つ表面粗さやその他の物理特性を示す物性データを与えることで、この仮想粒子302cが壁面305の物理特性を表現するようにしている。
解析対象粒子(たとえばトナー粒子102b)に現実の諸物理特性値を与えるとともに、仮想粒子302cには壁面305の表面粗さなどの物理特性を表現するような諸物理特性値を与えることにより、作用力計算部352や運動計算部354で、個別要素解析などに基づいて粒子間の機械的相互作用を求めて運動方程式を立てる際に、境界に衝突する粒子がその壁面305が持つ表面粗さなどの様々な物理特性を持つ壁面305から受ける効果を再現しながら、解析対象粒子302aの挙動を高精度にシミュレーションすることができる。
たとえば、仮想粒子配置部330は仮想粒子302cの物性値を境界の壁面305が持つ物性値に一致させる。具体的には、感光体10などの壁面305が持つヤング率、付着特性(接触角)、摩擦係数などを仮想粒子302cに与えるようにする。
また、仮想粒子配置部330は、仮想粒子302cを配置したときの摩擦特性(もしくは表面粗さ)が境界の壁面305が持つ摩擦特性(もしくは表面粗さ)が一致するような物性値を仮想粒子302cに与えるようにする。
また、さらに好ましくは、仮想粒子配置部330は、仮想粒子302cの粒子径と粒子配置間隔を壁面305の表面粗さから決定するようにする。具体的には、境界の壁面305が持つ評価変数Ra,Rzに基づいて仮想粒子302cの粒子径を決定し、境界の壁面305が持つ評価変数Smに基づいて仮想粒子302cの粒子配置間隔を決定する。ここで、評価変数Raは算術平均粗さ、Rzは10点平均粗さ(基準長さの粗さ曲線において、その平均線から高い方の5個の山および低い方の5個の谷間での距離をそれぞれ平均した値の差)、評価変数Smは凸凹の平均間隔であるものとする。
図示を割愛するが、たとえば、均一に所定径を持つ仮想粒子302cを感光体10の表面上に所定間隔で一様に配置してもよい。また、仮想粒子302cを感光体10の表面上に所定間隔で一様に配置しつつ、仮想粒子302cの直径を所定の分布になるようにバラツキを持たせてもよいし、さらに仮想粒子302cの間隔が所定の分布になるようにバラツキを持たせてもよい。また、現実の感光体10の表面が持つ表面粗さRa,Rzに一致するよう仮想粒子302cの粒子径を与えるとともに、凸凹の平均間隔Smに一致するように仮想粒子302c間の間隔を与えてもよい。
各仮想粒子302cは、各プロセスにおける粒子挙動解析時において、運動自由度を拘束し、壁面上に固定される。すなわち、仮想粒子302cは、仮想粒子302cと接触し相互に接触力を及ぼし合うが、個々の仮想粒子302cの運動方程式を解く際には、その変位は強制的にゼロに設定してもよいので、常に境界上に固定しておく。
このように、空間に存在する多数の粒子(粉体など)を解析の対象として粒子挙動解析を行なう際に、壁面に対応する位置に、その壁面の表面粗さなどの物理特性を表現する仮想粒子302cを配置するようにすると、所定の表面粗さを持つ壁材304(たとえば感光体10や収納容器101や現像ロール140の材料)のせん断作用による現像特性や転写率の変化など、壁面(境界)に接触する解析対象粒子302aが壁面305の表面粗さから受ける効果を取り入れて、より高精度の粒子挙動解析を実現することができる。
ただし、場データ解析部310が設定した場データ上の境界位置(場境界辺308)と、各粒子の相互作用力を求める際の境界位置(運動境界辺)とが整合していないと解析精度が低下することがあり、また、その解決手法として、仮想粒子配置部330が設定する仮想粒子302cの配置位置を、実際の壁面305の位置ではなく、図12(B)に示すように、場データ解析部310が設定した場データ上の境界位置(場境界辺308)にする、つまり、場の計算における空間を離散化した位置に仮想粒子302cの配置位置を整合させる(位置を一致させる、一定距離をおいて配置する)ことが効果的であることが分かった。以下、この点について詳細に説明する。
<境界位置整合化による解析精度向上手法;第1例>
図13および図14は、場データ解析部310による場の計算における空間を離散化した位置に仮想粒子302cの配置位置を整合させることによる効果を説明する図(第1例)である。ここで、図13は、場データ解析部310による壁面近傍における要素分割の状態と、仮想粒子配置部330による仮想粒子の配置の概念を示す図であり、図14の(A)および(B)は、その詳細例を説明する図である。
図14(A)は、仮想粒子302cを壁材304の表面(壁面305)に配置した状態を示し、図14(B)は、仮想粒子302cを、壁材304の表面(壁面305)ではなく、場データ解析部310による場の近似計算において、解析対象空間を、多数の直線を用いて多数の微小領域に分割して離散化させた際に設定した壁面に対応する境界位置(場境界辺308)に配置した状態を示す。
第1例は、たとえば、現像装置40の収納容器101内など、概ね周囲が壁面で仕切られた空間内に電場や磁場や重力場が存在し、その空間内における粒子の挙動を解析する場合に好適な事例である。
基本的な考え方は、“解析対象粒子302aの運動領域を大気中(もしくは空間)に対する電場や磁場の存在位置に一致させる”というものであり、この際、壁面305の形状が凹形状である点と、この凹形状の壁面305に向けて解析対象粒子302aが移動する状態を解析する必要がある点に考慮すればよい。たとえば、導体内の電場はゼロとなるから、壁材304を全て導体であると仮定すれば、電場に関しては、以下のようなことが言える。この点は、後述の第2例や第3例でも同様である。
先ず、解析対象粒子302aが移動可能な運動領域303には、たとえば電場や磁場や重力場が存在する。また、解析対象粒子302aの運動を遮る、所定の物性を持った壁材304が存在する。
ここで、仮想粒子302cを壁材304の表面(壁面305)に配置した状態では、図14(A)に示すように、粒子挙動計算での壁面305に対応する境界位置(運動終了境界辺318)は壁面305に一致する。図では、運動終了境界辺318を円弧で示しているが、凹状をなしたものであればよく、2つの直線で示される隅部の状態であっても同様である。
この場合、場データ解析部310により設定される、解析対象空間を分割した微小領域を画定する節点306を結ぶ場境界辺308、すなわち場データの近似計算で設定される壁面305に対応する境界位置で規定される電場解析対象領域と、粒子挙動解析時に解析対象とする運動領域303とにズレが生じ得る。
たとえば、図13に示すように、場データ解析部310は、処理対象空間(解析領域)を線形近似するべく、所定間隔で多数の節点306を置き、節点306間を直線で結び、所定サイズの微小領域を設定していく。
このとき、壁面305上には、ある節点間ピッチで、節点306が乗るようにするとよい。たとえば、図14(A)に示す状態では、概ね矩形状の所定サイズの領域を画定する4つの節点306のうちの2つが壁面305上に配置されている。実際には、各節点306間には、さらに多数の節点306を配置して、さらに微小領域に要素分割することになる。
これにより、図14(A)に示す状態では、場データ解析部310は、近似解析によって、場境界辺308よりも電場や磁場の存在する側とは反対側の領域303aは、誘電性や磁性などを持つ壁材304が存在するものとして、場データ上は壁材304と同じ物理特性が設定するのに対して、作用力計算部352や運動計算部354は、この領域303aをも運動領域303であるとして挙動解析計算を行なうことになる。
図14(A)に示す状態は、たとえば、現像装置40における収納容器101の隅部に生じ易く、また、収納容器101が複雑な形状をしている場合には様々な面でも起きる。場データの近似計算における微小領域サイズを小さくすることでこのズレを小さくできるが、この場合、場データの解析処理が複雑になるし、自ずと限界がある。
このため、挙動解析計算部350において、このようなズレが存在する状態で、たとえば粒子個々の位置での電界値を内挿して、すなわち粒子周辺電界値から粒子位置電界値を得てから、その環境下での粒子間相互作用力を算出して、各相互作用力に基づいて運動方程式を求めることで粒子挙動解析計算を行なうと、粒子位置が電界計算時の場の条件と整合していないことに起因して相互作用力の計算値が不正確になり、最悪のケースでは、計算継続不能となる。
特に第1例の場合においては、静電力や磁気力の計算に問題が生じる。たとえば、静電力に関する一般的な処理では、1)外部電界による静電力を粒子位置電界値から求める、2)粒子間の静電的相互作用を粒子位置と粒子の帯電量から求める、3)前述の1)と2)の和を求めて静電力とする、という手順を取る。もしくは、粒子の帯電量を含めて電場の計算を行ない、その電場データを用いて粒子位置電界値を得て静電力を求める、という手順を取る。この際、粒子が、場の計算における空間ではなく、誘電体内に存在してしまうことにより、内挿した電界値が不正確となって、静電力が正確に算定されなくなる。
磁気力についても同様のことが言え、粒子が、場の計算における空間ではなく、磁性体内に存在してしまうことにより、内挿した磁界値が不正確となって、磁気力が正確に算定されなくなる。
近似計算される場データの解析対象領域と、粒子挙動計算での運動領域303に相違がある場合、特に、電界解析上の壁面305に対応する境界位置(図の場境界辺308)と、粒子挙動解析計算時の壁面305に対応する境界位置(図の運動終了境界辺318)が一致していない場合に、このようなことが起こり得る。図14(A)に示すように、場データ上は、誘電性や磁性などを持つ壁材304が存在するものとして設定されている領域303aにまで、解析対象粒子302aが移動する状態を解析することが起こり得るからである。
これに対して、仮想粒子302cを、壁材304の表面(壁面305)ではなく、図13や図14(B)に示すように、場データの要素を構成する節点306や場境界辺308上に配置することにすれば、粒子挙動計算での壁面305に対応する境界位置(運動終了境界辺318)は場境界辺308に一致する。
なお、たとえば、図13にて分かるように、壁面305に対応する場境界辺308は、実際の壁面305の位置ではなく、要素分割時に設定される節点306を結ぶ直線上に配置され、これによって、壁面305の形状を近似的に表わすことになる。
この場合、場データ解析部310により設定される、解析対象空間を分割した微小領域を画定する節点306を結ぶ場境界辺308、すなわち場データの近似計算で設定される壁面305に対応する境界位置で規定される電場解析対象領域と、粒子挙動解析時に解析対象とする運動領域303とを整合させることができる。
場データ解析部310による場データの近似計算における空間を離散化した位置に整合させて仮想粒子302cを配置すれば、電界解析上の境界位置(場境界辺308)と粒子挙動解析計算での境界位置(運動終了境界辺318)とを一致させることができるし、解析対象粒子302aの運動領域303を大気中(もしくは空間)に対する電場や磁場の存在位置に一致させることもでき、前述の問題を回避できる。
つまり、粒子挙動解析上の運動領域303が、場境界辺308よりも電場や磁場の存在する側に制限され、場境界辺308よりも電場や磁場の存在する側とは反対側の領域303aは、解析対象粒子302aが移動し得ない領域として取り扱うことができる。これにより、静電力や磁気力の計算が不正確になり、計算継続不能となるようなことは生じない。場の計算値と運動領域の不整合が発生しないため、安定した高精度な粒子挙動解析計算が実現できる。
<境界位置整合化による解析精度向上手法;第2例>
図15は、場データ解析部310による場の計算における空間を離散化した位置に仮想粒子302cの配置位置を整合させることによる効果を説明する図(第2例)である。ここで、図15(A)は、仮想粒子302cを壁材304の表面(壁面305)に配置した状態を示し、図15(B)は、仮想粒子302cを、壁材304の表面(壁面305)ではなく、場データ解析部310による場の近似計算において、解析対象空間を、多数の直線を用いて多数の微小領域に分割して離散化させた際に設定した壁面に対応する境界位置(場境界辺308)に配置した状態を示す。
第2例は、たとえば、現像装置40の現像ニップ領域など、概ね周囲が開かれた空間でかつ対向する2つの壁面間に電場や磁場や重力場が存在し、その空間内における粒子の挙動を解析する場合に好適な事例である。特に、後述する第3例との相違として、解析対象粒子302aは、比較的、2つの壁面間で自由に移動し得る状態での粒子の挙動を解析する場合に好適な事例である。たとえば、現像装置40から供給される現像剤102の内、トナー粒子102bが感光体10の表面に吸着される過程の挙動を解析する場合である。
基本的な考え方は第1例と同様であるが、壁面305の形状が異なる、具体的には凹形状ではなく凸形状であることに対応した解析が必要になる点に考慮すればよい。たとえば、現像ニップ領域に着目した場合、現像装置40から供給されるトナー粒子102bが感光体10の表面に吸着されようとする。この場合、解析対象粒子302aが移動可能な運動領域303には、たとえば電場や磁場や重力場が存在する。また、解析対象粒子302aの運動を遮る、所定の物性を持った壁材304として、感光体10が存在する。
ここで、仮想粒子302cを壁材304の表面(壁面305)に配置した状態では、図15(A)に示すように、粒子挙動計算での壁面305に対応する境界位置(運動終了境界辺318)は円弧で示された壁面305に一致する。図では、運動終了境界辺318を円弧で示しているが、2つの直線で示される凸部の状態であっても同様である。
この場合、場データ解析部310により設定される、解析対象空間を分割した微小領域を画定する節点306を結ぶ場境界辺308で規定される電場解析対象領域と、粒子挙動解析時に解析対象とする運動領域303とにズレが生じ得る。
ここで、この第2例の場合には、図15(A)に示す状態であっても、挙動解析計算部350において、このようなズレが存在する状態で運動方程式を求めて粒子挙動解析計算を行なっても、粒子が誘電体内に存在してしまうという不都合は発生しない。
しかしながら、たとえば、電気的境界の近傍で強く発生する鏡像力を考えた場合には、図15(A)に示す状態では、鏡像力が強く作用する前に機械的な境界(すなわち壁面305上の仮想粒子群)に接触して運動を妨げられるため、粒子の鏡像力を正確に評価できないことになり、境界への付着状態が正確に再現されないという問題が発生する。また、鏡像力によって境界へ付着するべき粒子が、鏡像力が小さく算定されたことにより、仮想粒子との機械的反発力によって跳ね返るという結果も起こり得る。
これに対して、仮想粒子302cを、壁材304の表面(壁面305)ではなく、図15(B)に示すように、場データの要素を構成する節点306や場境界辺308上に配置することにすれば、粒子挙動計算での壁面305に対応する境界位置(運動終了境界辺318)は場境界辺308に一致する。
この場合、場データ解析部310により設定される、解析対象空間を分割した微小領域を画定する節点306を結ぶ場境界辺308で規定される電場解析対象領域と、粒子挙動解析時に解析対象とする運動領域303とを整合させることができる。
場データ解析部310による場データの近似計算における空間を離散化した位置に整合させて仮想粒子302cを配置すれば、機械的な境界(すなわち壁面305上の仮想粒子群)を超えて場境界辺308まで粒子が運動可能であるとして解析できるので、鏡像力に関する前述の問題を回避できる。
ただし、実際には、静電力の一種である鏡像力が電場の計算から求められるという前提が必要であり、そのため、一般的には、電場を解析する際の要素分割を、粒子サイズより十分小さくしておくことが肝要である。
<境界位置整合化による解析精度向上手法;第3例>
図16は、場データ解析部310による場の計算における空間を離散化した位置に仮想粒子302cの配置位置を整合させることによる効果を説明する図(第3例)である。ここで、図16(A)は、仮想粒子302cを壁材304の表面(壁面305)に配置した状態を示し、図16(B)は、仮想粒子302cを、壁材304の表面(壁面305)ではなく、場データ解析部310による場の近似計算において、解析対象空間を、多数の直線を用いて多数の微小領域に分割して離散化させた際に設定した壁面に対応する境界位置(場境界辺308)に配置した状態を示す。
第3例は、たとえば転写装置50に関わる転写ニップ領域など、概ね周囲が開かれた空間でかつ対向する2つの壁面間に電場や磁場や重力場が存在し、さらに、一方の壁面に存在する解析対象粒子302aが他方の壁面側に移動する際の粒子の挙動を解析する場合に好適な事例である。たとえば、感光体10の表面に形成されているトナー像を構成するトナー粒子102bが転写体としての用紙に吸着される過程の挙動を解析する場合である。
基本的な考え方は第1例および第2例と同様であるが、壁面305の形状が第2例と同様に凹形状ではなく凸形状である点と、この凸形状の壁面305上に存在する解析対象粒子302aが他方の壁材304に向けて移動する状態を解析する必要がある点に考慮すればよい。
たとえば、転写領域に着目した場合、現像プロセスにおいて感光体10の凸面(円弧状の表面)にトナー粒子102bが付着される。このトナー粒子102bで現われたトナー像は感光体10が回転することで、転写装置50の転写部54に移動する。転写部54では、この感光体10の表面(一方の壁面305)に付着しているトナー粒子102bを、外部から搬送されてきた印刷用紙(他方の壁面305)側に移動させることで、感光体10上のトナー像を用紙上に転写させる。この場合、解析対象粒子302aが移動可能な運動領域303には、たとえば電場や重力場が存在する。また、解析対象粒子302aの運動を遮る、所定の物性を持った壁材304として、感光体10と用紙とが存在する。
ここで、仮想粒子302cを壁材304の表面(壁面305)に配置した状態では、図16(A)に示すように、粒子挙動計算での壁面305に対応する境界位置(ここでは運動開始境界辺319)は円弧で示された壁面305に一致する。そして、解析対象粒子302aの移動開始時には、解析対象粒子302が壁面305上に存在することになる。なお、図では、運動開始境界辺319を円弧で示しているが、2つの直線で示される凸部の状態であっても同様である。
この場合、場データ解析部310により設定される、解析対象空間を分割した微小領域を画定する節点306を結ぶ場境界辺308で規定される電場解析対象領域と、粒子挙動解析時に解析対象とする運動領域303とにズレが生じ得る。
ここで、この第3例の場合には、前述の第2例の場合と同様に、電気的境界の近傍で強く発生する鏡像力を考えた場合には、図16(A)に示す状態では、鏡像力が強く作用する前に機械的な境界(すなわち壁面305上の仮想粒子群)に接触して運動を妨げられるため、粒子の鏡像力を正確に評価できないことになり、境界への付着状態が正確に再現されないという問題が発生する。
本質的には、前述の第2例と同様であるが、凸形状の壁面305上に存在する解析対象粒子302aが他方の壁材304に向けて移動する状態を解析するものであり、表面的には、第2例とは逆に、粒子の離脱状態が正確に再現できないことにより、たとえば、トナー粒子の用紙への転写状態を正確に再現できないという問題が発生する。
これに対して、仮想粒子302cを、壁材304の表面(壁面305)ではなく、図16(B)に示すように、場データの要素を構成する節点306や場境界辺308上に配置することにすれば、粒子挙動計算での壁面305に対応する境界位置(運動開始境界辺319)は場境界辺308に一致する。
この場合、場データ解析部310により設定される、解析対象空間を分割した微小領域を画定する節点306を結ぶ場境界辺308で規定される電場解析対象領域と、粒子挙動解析時に解析対象とする運動領域303とを整合させることができる。
場データ解析部310による場データの近似計算における空間を離散化した位置に整合させて仮想粒子302cを配置すれば、機械的な境界(すなわち壁面305上の仮想粒子群)を超えた場境界辺308を基点として粒子が他方の壁面側(図では用紙側)に運動可能であるとして解析できるので、鏡像力に関する前述の問題を回避できる。
ただし、実際には、第2例と同様に、静電力の一種である鏡像力が電場の計算から求められるという前提が必要であり、そのため、一般的には、電場を解析する際の要素分割を、粒子サイズより十分小さくしておくことが肝要である。
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
たとえば、場データ解析部310により設定される場データ上の境界位置と挙動解析計算部350による粒子挙動解析時の運動境界辺(運動終了境界辺318や運動開始境界辺319)とを整合させる際の具体的な事例として、電子写真プロセスにおける現像プロセスや転写プロセスについて詳しく説明したが、それ以外のプロセス(たとえばキャリア粒子102aとトナー粒子102bの攪拌プロセスなど)における粒子挙動シミュレーションにも、場データ上の境界位置と粒子挙動解析時の運動境界辺とを整合させるという手法を同様に適用することができる。もちろん、この種の画像形成装置の他に、様々な粒子を取り扱うシステムのシミュレーションに、場データ上の境界位置と粒子挙動解析時の運動境界辺とを整合させるという手法を同様に適用することができる。
また、粒子挙動解析計算時に壁面との機械的な相互作用力の計算する際に、壁面305に対応する位置に仮想粒子302cを配置して、この仮想粒子302cに種々の物理特性データを与え、解析対象粒子302aと仮想粒子302cとの相互作用力を求めることで解析対象粒子302aの挙動を解析するようにしていたが、このような仕組みでの適用に限定されない。
場データ解析部310による場データ取得時に設定される壁面305に対応する場境界(場境界辺308)と挙動解析計算部350による粒子挙動計算時の壁面305に対応する運動境界(運動終了境界辺318や運動開始境界辺319)との「位置ズレ」の問題を解消するという点おいては、粒子挙動計算時の処理をどのように行なうかは問題とならないからである。
たとえば、壁面を直線もしくは平面を表わす数式で表現するという代替的な手法を採る場合にも、同様に適用できる。電界や磁界における壁面に対応した場の境界位置と粒子挙動解析計算時の壁面に対応する多角形で近似設定された運動境界位置とがズレることにより、計算の発散や計算精度の低下を招く、あるいは計算量が増大する、といった問題が生じるからである。
ただし、仮想粒子302cで壁面を代用させる仕組みの方が、直線などで壁面を表現する代替手法に比べて、前述の位置ズレの影響が大きく、この点では、仮想粒子302cで壁面を代用させる仕組みに、場データ上の境界位置と粒子挙動解析時の運動境界辺とを整合させるという手法を適用することの効果が高い。
壁面305(詳しくは、壁面305に対応する場境界辺308)を仮想粒子302cで代用して表わし、専ら粒子間相互作用を求めて運動方程式を立てて解析対象粒子302aの挙動解析を行なうという点では、粒子挙動解析計算時に壁面を多角形で表現しないので粒子と壁面間の接触の煩雑な判定が不要であり、計算負荷を軽減でき処理を簡易にできる。しかしながら、その反面、仮想粒子302cの存在位置が解析対象粒子302aとの相互作用力の計算に影響を与えるので、僅かな 「位置ズレ」が粒子挙動解析計算結果に大きく影響を及ぼすからである。
電子写真方式の画像形成装置の一構成例を示す図である。 画像形成装置に使用される現像装置の一構成例を示す図である。 本発明に係る粒子挙動解析装置の一構成例である粒子挙動解析システムの第1実施形態を示すブロック図である。 本発明に係る粒子挙動解析装置の一構成例である粒子挙動解析システムの第2実施形態を示すブロック図である。 粒子挙動解析装置の一構成例を示すブロック図である。 粒子挙動解析装置を、電子計算機を用いて構成する場合のハードウェア構成の一例を示した図である。 データ入力部およびデータ処理部の詳細構成例を説明する機能ブロック図である。 粒子挙動解析処理において適用する所定の分割法を用いた並列化処理手順の基本例を示すフローチャートである。 場データ解析部による場特性の解析処理手順の一例を示すフローチャートである。 要素分割並びに電界計算結果の一例を示す図である。 仮想粒子配置部による仮想粒子データの設定処理手順の一例を示すフローチャートである。 解析対象領域に解析対象粒子を配置するとともに、壁面に対応する境界上に仮想粒子を配置する手法を説明する図である。 場データ解析部による壁面近傍における要素分割の状態と、仮想粒子配置部による仮想粒子の配置を示す図(概念図)である。 場データ解析部による場の計算における空間を離散化した位置に仮想粒子の配置位置を整合させることによる効果を説明する図(第1例)である。 場データ解析部による場の計算における空間を離散化した位置に仮想粒子の配置位置を整合させることによる効果を説明する図(第2例)である。 場データ解析部による場の計算における空間を離散化した位置に仮想粒子の配置位置を整合させることによる効果を説明する図(第3例)である。
符号の説明
1…画像形成装置、10…感光体、20…帯電装置、30…露光装置、40…現像装置、50…転写装置、60…クリーニング装置、70…定着装置、101…収納容器、101a…開口部、102…現像剤、102a…キャリア粒子、102b…トナー粒子、140…現像ロール、142…マグネット、150…規制ブレード、160…攪拌搬送ロール、200…粒子挙動解析システム、200b…副粒子挙動解析システム、200a…主粒子挙動解析システム、201…粒子挙動解析システム、202…粒子挙動解析装置、202a…主粒子挙動解析装置、202d…副粒子挙動解析装置、208,209…ネットワーク、208a,209a…ネットワーク管理装置、210…指示入力装置、212…表示装置、220…データ入力部、230…データ処理部、232…データ受付部、234…数値演算処理部、236…出力データ処理部、240…情報提示部、270…分散処理部、302a…解析対象粒子、302c…仮想粒子、303…運動領域、304…壁材、305…壁面、306…節点、308…場境界辺、310…場データ解析部、318…運動終了境界辺、319…運動開始境界辺、320…粒子初期配置部、330…仮想粒子配置部、350…挙動解析計算部、352…作用力計算部、354…運動計算部、380…画像品質評価部

Claims (7)

  1. 所定の解析領域内で運動する解析対象粒子に作用する他の物質との間での相互作用力に基づいて、前記解析対象粒子の挙動を解析する粒子挙動解析方法であって、
    前記解析対象粒子が運動する前記解析領域を要素分割して、前記解析対象粒子に作用する力と関わりを持つ前記解析領域の状態をシミュレーションにより解析し、
    前記解析領域の状態が前記解析対象粒子に与える作用力を考慮しつつ、前記要素分割にて設定される前記解析領域の場境界と、前記解析対象粒子の挙動を解析する際の前記解析領域の運動境界とを整合させて、前記解析対象粒子の挙動を解析する
    ことを特徴とする粒子挙動解析方法。
  2. 前記場境界上に、運動を拘束した固定された仮想粒子を配置することで、前記場境界と前記運動境界とを整合させ、
    前記解析対象粒子と前記仮想粒子との間の相互作用力を求めることで、前記解析対象粒子の挙動を解析する
    ことを特徴とする請求項1に記載の粒子挙動解析方法。
  3. 所定の解析領域内で運動する解析対象粒子に作用する他の物質との間での相互作用力に基づいて、前記解析対象粒子の挙動を解析する粒子挙動解析装置であって、
    前記解析対象粒子が運動する前記解析領域を要素分割して、前記解析対象粒子に作用する力と関わりを持つ前記解析領域の状態をシミュレーションにより解析する場データ解析部と、
    前記場データ解析部により解析された前記解析領域の状態が前記解析対象粒子に与える作用力を考慮しつつ、前記要素分割にて設定される前記解析領域の場境界と、前記解析対象粒子の挙動を解析する際の前記解析領域の運動境界とを整合させて、前記解析対象粒子の挙動を解析する数値演算処理部と
    を備えたことを特徴とする粒子挙動解析装置。
  4. 前記数値演算処理部は、
    前記場境界上に、運動を拘束した固定された仮想粒子を配置することで、前記場境界と前記運動境界とを整合させる仮想粒子配置部と、
    前記解析対象粒子と前記仮想粒子配置部により配置された前記仮想粒子との間の相互作用力を求めることで、前記解析対象粒子の挙動を解析する挙動解析計算部と
    を有することを特徴とする請求項3に記載の粒子挙動解析装置。
  5. 前記挙動解析計算部は、前記仮想粒子に着目しての前記相互作用力を求めて当該仮想粒子の挙動を解析する処理を割愛する
    ことを特徴とする請求項3または4に記載の粒子挙動解析装置。
  6. 複数の前記挙動解析計算部がネットワーク接続され、
    全ての解析対象粒子と前記仮想粒子とを所定の分割法により複数のグループに分割し、分割された前記解析対象粒子および前記仮想粒子の各グループを、それぞれ前記複数の挙動解析計算部に割り当てる分散処理部を具備し、
    前記挙動解析計算部が、それぞれの前記計算装置に設けられ、
    それぞれの前記挙動解析計算部は、他のグループの前記解析対象粒子を取り扱う他の前記計算装置の前記挙動解析計算部と間で、前記解析対象粒子に関する運動情報取得のためのデータ通信を行ない、かつ、前記仮想粒子に関する運動情報取得のための前記データ通信を割愛する
    ことを特徴とする請求項5に記載の粒子挙動解析装置。
  7. 計算装置を使用して、所定の解析領域内で運動する解析対象粒子に作用する他の物質との間での相互作用力に基づいて、前記解析対象粒子の挙動を解析するためのプログラムであって、
    前記計算装置を、
    前記解析対象粒子が運動する前記解析領域を要素分割して、前記解析対象粒子に作用する力と関わりを持つ前記解析領域の状態をシミュレーションにより解析する場データ解析部と、
    前記場データ解析部により解析された前記解析領域の状態が前記解析対象粒子に与える作用力を考慮しつつ、前記要素分割にて設定される前記解析領域の場境界と、前記解析対象粒子の挙動を解析する際の前記解析領域の運動境界とを整合させて、前記解析対象粒子の挙動を解析する数値演算処理部と
    として機能させることを特徴とするプログラム。
JP2006108325A 2006-04-11 2006-04-11 粒子挙動解析方法および粒子挙動解析装置並びにプログラム Withdrawn JP2007280242A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006108325A JP2007280242A (ja) 2006-04-11 2006-04-11 粒子挙動解析方法および粒子挙動解析装置並びにプログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006108325A JP2007280242A (ja) 2006-04-11 2006-04-11 粒子挙動解析方法および粒子挙動解析装置並びにプログラム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007280242A true JP2007280242A (ja) 2007-10-25

Family

ID=38681601

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006108325A Withdrawn JP2007280242A (ja) 2006-04-11 2006-04-11 粒子挙動解析方法および粒子挙動解析装置並びにプログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007280242A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010003156A (ja) * 2008-06-20 2010-01-07 Fuji Xerox Co Ltd 粒子挙動解析装置
JP2010186372A (ja) * 2009-02-13 2010-08-26 Fuji Xerox Co Ltd 粒子挙動解析装置、プログラム
JP2021114238A (ja) * 2020-01-21 2021-08-05 住友重機械工業株式会社 シミュレーション装置、シミュレーション方法、及びプログラム

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010003156A (ja) * 2008-06-20 2010-01-07 Fuji Xerox Co Ltd 粒子挙動解析装置
JP2010186372A (ja) * 2009-02-13 2010-08-26 Fuji Xerox Co Ltd 粒子挙動解析装置、プログラム
JP2021114238A (ja) * 2020-01-21 2021-08-05 住友重機械工業株式会社 シミュレーション装置、シミュレーション方法、及びプログラム
JP7285223B2 (ja) 2020-01-21 2023-06-01 住友重機械工業株式会社 シミュレーション装置、シミュレーション方法、及びプログラム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4946069B2 (ja) 粒子挙動解析方法および粒子挙動解析装置並びにプログラム
JP2007280242A (ja) 粒子挙動解析方法および粒子挙動解析装置並びにプログラム
JP2007017380A (ja) 粒子シミュレーション装置及び粒子シミュレーション方法、並びにコンピュータ・プログラム
JP4725189B2 (ja) 粒子挙動解析装置及び粒子挙動解析方法、並びにコンピュータ・プログラム
JP2008176084A (ja) 粒子挙動解析装置、プログラム
JP2009134504A (ja) 粒子挙動解析装置、プログラム
JP2010079493A (ja) 粒子挙動解析装置、プログラム
JP2010198399A (ja) 粒子挙動解析装置、プログラム
JP2011008382A (ja) 粒子挙動解析システム、情報処理装置、粒子挙動解析装置、情報処理システム、プログラム
JP5521346B2 (ja) 粒子挙動解析装置、プログラム
JP5217227B2 (ja) 粒子挙動解析装置、プログラム
JP2009075201A (ja) 粒子挙動解析装置、プログラム
JP2007304904A (ja) 粒子挙動解析方法および粒子挙動解析装置並びにプログラム
JP2007265097A (ja) 粒子挙動解析方法および粒子挙動解析装置並びにプログラム
JP2009075708A (ja) 粒子挙動解析装置、プログラム
JP2008170696A (ja) 粒子挙動解析装置、プログラム
JP2006259393A (ja) シミュレーション装置
JP4760086B2 (ja) シミュレーション装置及びシミュレーション、並びにコンピュータ・プログラム
JP4692031B2 (ja) 粉体挙動解析装置及び粉体挙動解析方法、並びにコンピュータ・プログラム
JP4827427B2 (ja) 粒子挙動解析装置、制御方法、及びプログラム
JP2010072379A (ja) 粒子挙動解析装置、プログラム
JP4967646B2 (ja) 粒子挙動解析装置、プログラム
JP5417865B2 (ja) 粒子挙動解析装置およびプログラム
JP4732105B2 (ja) 解析方法、解析装置及び解析プログラム
JP4692074B2 (ja) 粉体挙動解析装置及び粉体挙動解析方法、並びにコンピュータ・プログラム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090210

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20091008

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20111004