JP2006253231A - 画像形成装置及び画像形成方法、並びにコンピュータ・プログラム - Google Patents

画像形成装置及び画像形成方法、並びにコンピュータ・プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 2成分からなる現像剤を用いる電子写真プロセスにおいて、プリント枚数による現像剤の寿命判定に頼らず、画像ディフェクトの発生を防止する。
【解決手段】 プリント枚数、ピクセル・カウント数、トナー・ディスペンス量及びトナー濃度を検知して、現像プロセスにおいて通過するトナー・スループット量を計算する。トナー・スループット量から、物理モデルを用いてキャリア汚染量を予測し、キャリア汚染量から現像剤時定数及びトナー帯電能力を推定する。現像剤時定数及びトナー帯電能力から作像パラメータをフィードフォワード制御して、TEDやSTVといった画像ディフェクトの発生を防止する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子写真プロセスにおける攪拌、現像、転写などの各プロセスをシミュレーションにより評価する画像形成装置及び画像形成方法、並びにコンピュータ・プログラムに係り、特に、電子写真プロセスのシミュレーションにより画像ディフェクトを予測し、画像ディフェクトの発生を未然に防止する画像形成装置及び画像形成方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
電子写真技術を利用した複写機やプリンタなどの画像形成装置では、電子写真感光体に対する帯電、スキャンした原稿イメージの露光、現像すなわち感光体へのトナー重畳、用紙へのトナー転写及びトナー定着、感光体のクリーニングという複数のプロセスにより画像形成を行なう。
電子写真プロセスでは、画像構成剤としてのトナー及びトナーを搬送するための磁性体からなるキャリアという2成分からなる現像剤を用いている。キャリア粒子とトナー粒子とを混合攪拌し、摩擦帯電により両者を静電吸着させ、これを感光体表面の静電潜像にカスケードさせるか、あるいは磁力でブラシ上に配列させて静電潜像に付着させることにより現像が行なわれる。
ここで、現像剤中のトナー粒子は静電潜像の静電気力により画像部分に付着して消費されるが、キャリア粒子は消費されずそのまま繰り返し使用されることになる。このため、現像剤を長期間に渡って使用すると、キャリアのコート剤の剥離やキャリアの粉砕などにより、現像に寄与しないトナーがキャリア粒子に表面に付着するようになる。この結果、トナー粒子を摩擦帯電するキャリア粒子の能力が低下して、現像剤の寿命を迎えることとなる。
キャリアの能力が低下すると、帯電しないトナーや逆極性に帯電したトナーが増加し、画像濃度の低下や、バックグラウンド部へのトナーの過剰付着(地カブリ)を発生するなど、画像に悪影響を及ぼしたり、装置内へのトナー飛散(トナー・クラウド)を引き起こしたりする。また、画像パターンの後端部で低下するTEDや、先端部が枯渇するSTVといった画像ディフェクトも発生する。
従来、現像剤の寿命は単純にプリント枚数だけで行なうことが多かった(例えば、特許文献1、特許文献2を参照のこと)。この方法によれば、簡易に現像剤の寿命を予測することができるが、キャリアとトナーの攪拌時間や、トナーの滞留時間、トナー消費量など寿命に影響する要因は、プリント枚数以外の使用条件によってまちまちであり、精度がよくない。
また、使用条件による誤差を考慮して、寿命に十分なマージンを与えると、利用可能な状態で廃棄することが多くなり、経済的でない。トナー密度低下、現像量、帯電量、キャリア抵抗値の変化、現像電界強度など、画像ディフェクトの原因を補償する場合もあるが、補償した状態量が不明であると、突然破綻をきたし、トラブルとなる。
特開平6−102743号公報、段落番号0003 特開平6−149040号公報、段落番号0004
本発明の目的は、画像構成剤としてのトナー及びトナーを搬送するための磁性体からなるキャリアという2成分からなる現像剤を用いる電子写真プロセスにおいて、プリント枚数による現像剤の寿命判定に頼らず、画像ディフェクトの発生を未然に防止することができる、優れた画像形成装置及び画像形成方法、並びにコンピュータ・プログラムすることにある。
本発明のさらなる目的は、電子写真プロセスのシミュレーションにより画像ディフェクトを予測し、画像ディフェクトの発生を未然に防止することができる、優れた画像形成装置及び画像形成方法、並びにコンピュータ・プログラムすることにある。
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、その第1の側面は、キャリアとトナーの2成分を攪拌してなる現像剤を用い、感光体に対する帯電、露光、現像、転写を含む電子写真プロセスにより転写体に画像を形成する画像形成装置であって、電子写真プロセスを検知する検知手段と、前記検知手段による検知結果を入力データとして、電子写真プロセスの物理モデルを用いたシミュレーションにより、画像ディフェクトの予測に必要となる物理量を推定する物理モデル・シミュレーション手段と、画像ディフェクト予測モデルに基づくシミュレーションにより、該予測された物理量から画像ディフェクトを予測する画像ディフェクト予測手段とを具備することを特徴とする画像形成装置である。
キャリアとトナーの2成分を攪拌してなる現像剤を用いた電子写真プロセス方式の画像形成装置では、現像剤の寿命により、画像濃度の低下、TED、STVといった画像ディフェクトが発生するという問題がある。プリント枚数による現像剤の寿命判定では精度がよくないため、突然画像ディフェクトが発生しかねない。また、画像ディフェクト補償の状態量が不明であるため、突然破綻をきたしトラブルとなる。
これに対し、本発明によれば、物理モデル・シミュレータが、電子写真プロセスにおける検知結果を入力データとして、画像ディフェクトの予測に必要となる物理量を、電子写真プロセスの物理モデルを用いたシミュレーションにより推定する。そして、画像ディフェクト・シミュレータが、画像ディフェクト予測モデルに基づくシミュレーションにより、予測された物理量から画像ディフェクトを予測する。そして、予測された画像ディフェクトに基づいて選択される最適な作像パラメータを電子写真プロセスにフィードフォワード制御することにより、画像ディフェクトの発生を未然に防止することができる。
前記物理モデル・シミュレーション手段は、キャリア粒子とトナー粒子をスパイラル・オーガにより攪拌する際における回転速度又は粒子の回転速度あるいは移動量の物理モデルや、キャリア粒子とトナー粒子を攪拌する物理モデルを使用することができる。
前記検知手段は、例えば、前記画像形成装置が実行したプリント枚数に代表されるジョブ情報や、画像形成すべき画像のピクセル・カウント数などの画像情報、攪拌乃至現像プロセスにおけるトナー・ディスペンス量及びトナー濃度を検知する。これらの検知結果に基づいて、現像プロセスにおいて通過するトナー・スループット量を計算することができる。前記物理モデル・シミュレーション手段は、算出されたトナー・スループット量から、物理モデルを用いてキャリア汚染量を予測し、このキャリア汚染量から現像剤時定数及びトナー帯電能力を推定することができる。
このような場合、前記画像ディフェクト予測手段は、推定された現像剤時定数及びトナー帯電能力から画像ディフェクトを予測する。そして、現像ACバイアス、現像DCバイアス、現像AC周波数、現像ACデューティといった作像パラメータに関し、予測した画像ディフェクトを防止するための最適なパラメータ値を選択して、現像プロセスへフィードフォワード制御することにより、TEDやSTVといった画像ディフェクトの発生を防止することができる。
あるいは、前記検知手段は、前記画像形成装置が実行したプリント枚数、画像形成すべき画像に関するピクセル・カウント数、ハーフトーン・レベル、画像エッジ量を検知する。前記物理モデル・シミュレーション手段は、トナーの選択現像モデルに基づいて、該検出結果から現像器内のトナー粒度分布を予測することができる。ここで言うトナーの選択現像モデルとは、粒径の大きいトナーの方が現像され易く、ピクセル・カウント数すなわちトナー消費量に応じて残存するトナーの粒度分布を粒径の小さい方に偏らせていく現象を表現した物理モデルである。また、選択現像モデルは、画像エッジでは電界強度が高くなり、粒径の小さなトナーも消耗されるという現象も備えている。そして、このようにして予測した現像器内トナー粒度分布から、トナー帯電量を推定することができる。
このような場合、前記画像ディフェクト予測手段は、推定されたトナー帯電量から画像ディフェクトを予測する。そして、現像ACバイアス、現像DCバイアス、現像AC周波数、現像ACデューティといった作像パラメータに関し、予測した画像ディフェクトを防止するための最適なパラメータ値を選択して、現像プロセスへフィードフォワード制御することにより、画像濃度の低下などの画像ディフェクトの発生を防止することができる。
また、本発明に係る画像形成装置は、前記フィードフォワード制御手段により電子写真プロセスをフィードフォワード制御した状態量を格納又は外部に通知する手段をさらに備えていてもよい。このような場合、画像補償が破綻する前にメンテナンス要求を行なうことができる。
また、予測された画像ディフェクトを現像プロセスにフィードフォワード制御するのではなく、形成すべき画像のパターンに対し、予測される画像ディフェクトを発生させないための画像処理を施すことによって、画像ディフェクトを補償することができる。
また、本発明の第2の側面は、キャリアとトナーの2成分を攪拌してなる現像剤を用い、感光体に対する帯電、露光、現像、転写を含む電子写真プロセスにより転写体に画像を形成するための処理をコンピュータ・システム上で実行するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、前記コンピュータ・システムに対し、電子写真プロセスからの検知結果を入力データとして、電子写真プロセスの物理モデルを用いたシミュレーションにより、画像ディフェクトの予測に必要となる物理量を推定する手順と、画像ディフェクト予測モデルに基づくシミュレーションにより、該予測された物理量から画像ディフェクトを予測する手順と、予測された画像ディフェクトを用いて、電子写真プロセスに対し、画像ディフェクトを防止するためのフィードフォワード制御を行なう手順とを実行させることを特徴とするコンピュータ・プログラムである。
本発明の第2の側面に係るコンピュータ・プログラムは、コンピュータ・システム上で所定の処理を実現するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムを定義したものである。換言すれば、本発明の第2の側面に係るコンピュータ・プログラムをコンピュータ・システムにインストールすることによって、コンピュータ・システム上では協働的作用が発揮され、本発明の第1の側面に係る画像形成装置と同様の作用効果を得ることができる。
本発明によれば、電子写真プロセス方式の画像形成装置における攪拌、現像、転写などの各プロセスをシミュレーションにより評価することができる、優れた画像形成装置及び画像形成方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
また、本発明によれば、画像構成剤としてのトナー及びトナーを搬送するための磁性体からなるキャリアという2成分からなる現像剤を用いる電子写真プロセスにおいて、プリント枚数による現像剤の寿命判定に頼らず、画像ディフェクトの発生を未然に防止することができる、優れた画像形成装置及び画像形成方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
また、本発明によれば、電子写真プロセスのシミュレーションにより画像ディフェクトを予測し、画像ディフェクトの発生を未然に防止することができる、優れた画像形成装置及び画像形成方法、並びにコンピュータ・プログラムすることができる。
本発明によれば、電子写真プロセスにおける検知結果を入力データとする物理モデル・シミュレータから得られる物理量に基づいて画像ディフェクトをより高い精度で予測することができる。そして、予測された画像ディフェクトに応じて作像パラメータや画像データにフィードフォワード制御を掛けることにより、画像ディフェクトの発生を未然に防止することができる。さらに、フィードフォワード制御により画像ディフェクトの発生を防止しているレベルを状態量として格納したり、ネットワーク経由で通知したりすることにより、画像補償が破綻する前にメンテナンス要求を行なうことができる。
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
本発明は、電子写真プロセス方式の画像形成装置に関する。この種の画像形成装置は、画像構成剤としてのトナー及びトナーを搬送するための磁性体からなるキャリアという2成分からなる現像剤を用い、電子写真感光体に対する帯電、スキャンした原稿イメージの露光、現像すなわち感光体へのトナー重畳、用紙へのトナー転写及びトナー定着、感光体のクリーニングという複数のプロセスからなる。
まず、電子写真プロセスについて説明する。図5には、電子写真プロセスの機能的構成を模式的に示している。
感光体の表面を帯電器によって一様な表面電位に帯電させた後、原稿をスキャンして得た画像データに従って感光体表面にレーザ・ビームをスキャンすることによって露光して所望の潜像電位からなる静電潜像を形成する。続いて、攪拌器においてトナー集中度を整えながら、現像器はトナーを静電潜像に重畳してトナー像を形成し、転写器は外部から搬送されてきた印刷用紙上にトナー像を転写する。そして、定着器により加熱溶融・圧着作用によりトナー像を印刷用紙上に定着してから、画像形成装置の外に排紙する。転写後の感光体表面は、残留トナーをクリーナによって除去する。清掃後の感光面には残留電位が残っているが、初期電位を印加してから次の電子写真プロセスに利用される。
図6には、現像プロセスを中心に装置構成を図解している。
感光体13の回りには、回転方向bに沿って順に中間転写ベルト14、ブラシ・ローラ34、帯電ローラ36、現像ユニット12が設けられている。中間転写ベルト14、ブラシ・ローラ34、帯電ローラ36はいずれも感光体13の感光面に当接している。また、帯電ローラ36と現像ユニット12との間には、感光面をライン露光するLEDアレイヘッド40が配置されている。
現像ユニットは、感光体13に相対するように配設された現像ローラ38と、現像ローラ38の下方に位置し、現像ローラ38に2成分系現像剤を供給するスクリュー・フィーダ39A及び39Bと、現像ローラ38とスクリュー・フィーダ39A及び39Bとを収容する筐体37とを備える。2成分系現像剤は、トナーと磁性キャリア粒子とを主用成分として含有している。筐体37の感光体13に相対する部分には開口部37Aが設けられている。
現像ローラ38は、感光体13の感光面との間に間隙即ち現像ギャップが形成されるように配設されている。現像ローラ38は、円柱状のマグネット・ロール38Bと、マグネット・ロール38Bに被せられたスリーブ38Aとを有する。マグネット・ロール38Bは、円柱状であって画像形成装置本体に対して固定され、スリーブ38Aは、マグネット・ロール38Bの軸線の回りを、感光体13の回転方向bと同じ反時計回り方向、すなわち感光体13との対向部において感光体13に相対するアゲインスト方向に回転している。これにより、現像ローラ38から感光体13へのトナーの転移効率が高められている。
マグネット・ロール38Bは、フェライトや希土類磁石合金などの磁性材料の粉末を円柱状又は円筒状に成形したマグローラであり、N極とS極とが所定のパターンで配設されるように着磁しつつ燒結することにより形成される。その着磁パターンとして、感光体13に相対する部分が現像極S1であり、スリーブ38Aの回転方向に沿って現像極S1の隣にピックオフ極N1が位置し、その隣にピックアップ極N2、トリミング極S2、搬送極N3の順で磁極が配置されるパターンなどが挙げられる。なお、現像極S1とトリミング極S2はいずれもS極であり、ピックオフ極N1、ピックアップ極N2、搬送極N3はいずれもN極である。
現像極S1における現像ニップに対応する部分は、法線方向磁束密度Brの変化が±5[mT]になるように着磁されている。ここで、搬送極N3とトリミング極S2との境界部を0度とし、時計回りの方向を正の角度とすると、240〜270度の部分に現像ニップが位置し、前記現像ニップ部を包含するように現像極S1が形成されている。そして、マグネット・ロール38Bにおける角度240〜270度の部分においては法線方向磁束密度Brの変化が±5[mT]である。これは、マグネット・ロール38Bにおける現像ニップの部分における法線方向磁束密度Brの変化が±5[mT]になるように着磁されていることを示す。マグネット・ロール38Bは、さらに法線方向磁気拘束力Frの極小値が現像ニップに位置するように着磁されている。
トリミング極S2の対向部には、トリミング極S2と協働して磁気ブラシの高さを揃えるトリミングブレード41が現像ローラ38に向かって延びている。現像ローラ38には、マイナスの現像バイアス電圧が印加されている。
現像モードにおいて、感光体13は一定速度で反時計回りに回転するので、その感光面は帯電ローラ36によってマイナスに帯電される。次いで、感光面の帯電面がLEDアレイヘッド40によって露光されることにより、帯電面の露光部分の電位が低下して静電潜像が形成される。そして、現像ユニット12において、現像ローラ38によって、感光体13と同様にマイナス電圧に帯電されたトナーが感光面に形成された静電潜像すなわち帯電面の電位低下部に電気的に付着されて現像され、トナー画像が形成される。感光面上に付着したトナーは、トナーと逆極性のプラスの転写電圧が印加された転写ローラ32によって中間転写ベルト14に向かって電気的に引き寄せられる。これによって、感光面13A上のトナー像が、感光体13から中間転写ベルト14へと転写される。
スリーブ38Aが回転すると、スクリュー・フィーダ39A並びに39Bで筐体37内部に供給された現像剤は、ピックアップ極N2によってスリーブ38Aの表面に吸着される。ここで、スリーブ38Aの表面には、搬送極N3から現像極S1に向かう磁界、ピックオフ極N1から現像極S1に向かう磁界、ピックアップ極N2からトリミング極S2に向かう方向の磁界、及び搬送極N3からトリミング極S2に向かう磁界が形成され、しかも現像剤は磁性キャリア粒子の表面にトナーが付着した構造を有している。したがって、図7に示すように、スリーブ38Aの表面に吸着された現像剤は、スリーブ38Aの表面において磁力線の方向に配列され、穂立ちして磁気ブラシを形成する。
ピックアップ極N2の近傍においてスリーブ38Aの表面に形成された磁気ブラシは、図7中において矢印で示すように、スリーブ38Aが回転するのに伴い、トリミング極S2→搬送極N3→現像極S1→ピックオフ極N1へと紙面右から左に向かって搬送される。そして、トリミング極S2を通過するときに磁気ブラシの高さが整えられ、現像極S1近傍で磁気ブラシ上のトナーが感光体13に転移して、スリーブ38Aの表面にはほとんど磁性キャリアだけになった磁気ブラシが残る。ほとんど磁性キャリアだけになった磁気ブラシは、スリーブ38Aの回転に伴い、ピックオフ極N1でスリーブ38Aの表面から脱落して筐体37内に戻る。
現像モードでは、このようにスリーブ38Aが回転することにより、ピックアップ極N2では常に新鮮な現像剤が補充されて現像極S1に搬送され、現像極S1にてトナーが感光体13に転移して感光面13Aの潜像が現像される。
画像形成装置における画像品質の評価は、実機上で画像形成処理を繰り返すことによって、帯電器、露光器、攪拌器、現像器、定着器、転写器など各機能部品の設計仕様や条件パラメータを評価することもできる。この場合、仕様を変更する度に改めて実験しなければならず、時間やコストの面で問題がある。これに対し、攪拌、現像、転写などの各プロセスを物理モデル化し、現像剤の挙動を粉体挙動解析によりシミュレーションすることによって、現実に画像形成実験を行なうことなく、形成される画像の品質を予測し、これに基づいて画像形成装置の構成やそのプロセスを予測し、最適な条件パラメータを設定することができる。
本実施形態では、2成分系現像剤を用いる電子写真プロセスにおいて、攪拌乃至現像プロセスで検知される検知結果を入力データとして、物理モデルを用いたシミュレーションを行なうことで、画像ディフェクトの予測に必要となる物理量を推定するようにしている。さらに、推定された物理量から画像ディフェクト予測モデルを用いてシミュレーションを行なうことによって、予測される画像ディフェクトを防止するための作像パラメータを得るようにしている。
図1には、本実施形態に係る、物理モデル・シミュレーションを用いた画像ディフェクト予測のメカニズムを模式的に示している。
画像判定部101は、感光体の感光面に現像されたトナー増の画像パターンを、意図した画像データ(例えばプラテン上の原稿からスキャンした元画像)と比較判定する。
攪拌部には、トナー集中度(TC)を測定するTCセンサ102と、スパイラル・オーガにおいてディスペンス・モータを回転させてトナーをディスペンスするディスペンサ103が配設されている。ディスペンス・モータ回転数に基づいてトナー・ディスペンス量を計測することができる。
現像ローラ38には、作像パラメータに基づいて、現像ACバイアス、現像DCバイアス、現像AC周波数、現像ACデューティが印加される。
シミュレータ104は、電子写真プロセスにおける検知結果を入力データとして、画像ディフェクトの予測に必要となる物理量を、電子写真プロセスの物理モデルを用いたシミュレーションにより推定する。そして、画像ディフェクト予測モデルに基づくシミュレーションにより、予測された物理量から画像ディフェクトを予測する。予測された画像ディフェクトに基づいて現像プロセスに与えるべき最適な作像パラメータを選択し、これをフィードフォワード制御することにより、画像ディフェクトの発生を未然に防止することができる。
シミュレータ104は、キャリア粒子とトナー粒子をスパイラル・オーガにより攪拌する際における回転速度又は粒子の回転速度あるいは移動量の物理モデルや、キャリア粒子とトナー粒子を攪拌する物理モデルを使用する。
予測結果格納部105は、電子写真プロセスをフィードフォワード制御した状態量を格納又は外部に通知する。このような場合、画像補償が破綻する前にメンテナンス要求を行なうことができる。
また、シミュレータ104は、予測された画像ディフェクトを現像プロセスにフィードフォワード制御するのではなく、形成すべき画像のパターンに対し、予測される画像ディフェクトを発生させないための画像処理を施すことによって、画像ディフェクトを補償することができる。なお、画像データの補正によりTEDに代表される画像ディフェクトを補償する技術に関しては、本出願人に既に譲渡されている特開2000−125135公報に開示されている。
図2には、シミュレータ104において、電子写真プロセスにおける検知結果を入力データとして、画像ディフェクトの予測に必要となる物理量を推定する処理手順の一例を示している。
電子写真プロセスにおける検知結果として、実行したプリント枚数に代表されるジョブ情報、画像形成すべき画像のピクセル・カウント数などの画像情報、攪拌乃至現像プロセスにおけるトナー・ディスペンス量及びトナー濃度を入力し、これらの値を基に、現像プロセスにおいて通過するトナー・スループット量を計算する。
算出されたトナー・スループット量を物理モデル・シミュレーションへの入力データとし、物理モデルを用いてキャリア汚染量を予測し、キャリア汚染量から現像剤時定数及びトナー帯電能力を推定することができる。
また、図3には、シミュレータ104において、電子写真プロセスにおける検知結果を入力データとして、画像ディフェクトの予測に必要となる物理量を推定する処理手順についての他の例を示している。
この場合、電子写真プロセスにおける検知結果として、実行したプリント枚数、画像形成すべき画像に関するピクセル・カウント数、ハーフトーン・レベル、画像エッジ量を物理モデル・シミュレーションへの入力データとする。そして、物理モデルを用いて現像器内のトナー粒度分布を予測することができる。
物理モデルとして用いるトナーの選択現像モデルとは、粒径の大きいトナーの方が現像され易く、ピクセル・カウント数すなわちトナー消費量に応じて残存するトナーの粒度分布を粒径の小さい方に偏らせていく現象を表現した物理モデルである。また、選択現像モデルは、電界強度が高くなり、粒径の小さなトナーも消耗されるという選択的な現像作用も選択現像モデルに含まれている。通常の画像を現像する際には粒径の大きなトナーが消費され、電界が高くなる画像エッジでは粒径の小さなトナーが消費されるので、形成すべき画像に含まれる画像エッジ量に基づいてより正確なトナー粒度分布を予測することができる。
そして、物理モデル・シミュレーションにより予測した現像器内トナー粒度分布から、トナー帯電量を推定することができる。
図4には、物理モデル・シミュレーションにより推定された物理量に基づいて、画像ディフェクト予測モデル・シミュレーションにより画像ディフェクトを予測し、これを防止するための作像パラメータを選択するための処理手順の一例を示している。
図2に示した物理モデル・シミュレーションにより、キャリア汚染量から現像剤時定数及びトナー帯電能力を推定することができる。この場合、現像剤時定数及びトナー帯電能力から、画像ディフェクト予測モデルを用いて画像ディフェクトを予測することができる。
また、図3に示した物理モデル・シミュレーションにより、現像器内トナー粒度分布から、トナー帯電量を推定することができる。この場合、現像剤時定数及びトナー帯電能力から、画像ディフェクト予測モデルを用いて、画像濃度の低下などの画像ディフェクトを予測することができる。
そして、画像ディフェクト予測モデルを用いて、これらの予測された画像ディフェクトの発生を防止するための現像ACバイアス、現像DCバイアス、現像AC周波数、現像ACデューティといった最適な作像パラメータを選択することができる。
選択された最適なパラメータ値を現像プロセスへフィードフォワード制御することにより、TEDやSTV、あるいは画像濃度の低下といった画像ディフェクトの発生を防止することができる。
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
図1は、物理モデル・シミュレーションを用いた画像ディフェクト予測のメカニズムを模式的に示した図である。 図2は、電子写真プロセスにおける検知結果を入力データとして、画像ディフェクトの予測に必要となる物理量を推定する処理手順の一例を示した図である。 図3は、電子写真プロセスにおける検知結果を入力データとして、画像ディフェクトの予測に必要となる物理量を推定する処理手順についての他の例を示した図である。 図4は、画像ディフェクト予測モデル・シミュレーションにより画像ディフェクトを予測し、これを防止するための作像パラメータを選択するための処理手順の一例を示した図である。 図5は、電子写真プロセスの機能的構成を模式的に示した図である。 図6は、現像プロセスまわりの装置構成例を示した図である。 図7は、スリーブ38Aの表面において磁力線の方向に配列され、穂立ちして磁気ブラシを形成する様子を示した図である。
符号の説明
12…現像ユニット
13…感光体
14…中間転写ベルト
32…転写ローラ
34…ブラシ・ローラ
36…帯電ローラ
37…筐体
38…現像ローラ
39…スクリュー・フィーダ
40…LEDアレイヘッド
41…トリミングブレード
101…画像判定部
102…TCセンサ
103…ディスペンサ
104…シミュレータ
105…予測結果格納部

Claims (23)

  1. キャリアとトナーの2成分を攪拌してなる現像剤を用い、感光体に対する帯電、露光、現像、転写を含む電子写真プロセスにより転写体に画像を形成する画像形成装置であって、
    電子写真プロセスを検知する検知手段と、
    前記検知手段による検知結果を入力データとして、電子写真プロセスの物理モデルを用いたシミュレーションにより、画像ディフェクトの予測に必要となる物理量を推定する物理モデル・シミュレーション手段と、
    画像ディフェクト予測モデルに基づくシミュレーションにより、該予測された物理量から画像ディフェクトを予測する画像ディフェクト予測手段と、
    を具備することを特徴とする画像形成装置。
  2. 予測された画像ディフェクトを用いて、電子写真プロセスに対し、画像ディフェクトを防止するためのフィードフォワード制御を行なうフィードフォワード制御手段をさらに備える、
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記物理モデル・シミュレーション手段は、キャリア粒子とトナー粒子をスパイラル・オーガにより攪拌する際における回転速度又は粒子の回転速度あるいは移動量の物理モデルを使用する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  4. 前記物理モデル・シミュレーション手段は、キャリア粒子とトナー粒子を攪拌する物理モデルを使用する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  5. 前記検知手段は、前記画像形成装置が実行したプリント枚数、画像形成すべき画像のピクセル・カウント数、攪拌乃至現像プロセスにおけるトナー・ディスペンス量及びトナー濃度を検知し、
    前記検知手段による検知結果に基づいて現像プロセスにおいて通過するトナー・スループット量を計算する検知結果算出手段をさらに備え、
    前記物理モデル・シミュレーション手段は、トナー・スループット量からキャリア汚染量を物理モデルを用いて予測し、該予測したキャリア汚染量から現像剤時定数及びトナー帯電能力を推定し、
    前記画像ディフェクト予測手段は、該推定された現像剤時定数及びトナー帯電能力に基づいて、TED又はSTVに関する画像ディフェクトを予測する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  6. 予測されたTED又はSTVを防止するための作像パラメータを選択し、現像プロセスへフィードフォワード制御するフィードフォワード制御手段をさらに備える、
    ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
  7. 前記検知手段は、前記画像形成装置が実行したプリント枚数、画像形成すべき画像に関するピクセル・カウント数、ハーフトーン・レベル、画像エッジ量を検知し、
    前記物理モデル・シミュレーション手段は、トナーの選択現像モデルに基づいて、該検出結果から現像器内のトナー粒度分布を予測し、該予測したトナー粒度分布からトナー帯電量を推定し、
    前記画像ディフェクト予測手段は、該推定されたトナー帯電量に基づいて画像濃度の低下に関する画像ディフェクトを予測する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  8. 予測された画像濃度の低下を防止するための作像パラメータを選択し、現像プロセスへフィードフォワード制御するフィードフォワード制御手段をさらに備える、
    ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
  9. 前記フィードフォワード制御手段により電子写真プロセスをフィードフォワード制御した状態量を格納又は外部に通知する手段をさらに備える、
    ことを特徴とする請求項2、6、又は8のいずれかに記載の画像形成装置。
  10. 形成すべき画像に対し、前記画像ディフェクト予測手段により予測される画像ディフェクトを発生させないための画像処理を行なう画像処理手段をさらに備える、
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  11. キャリアとトナーの2成分を攪拌してなる現像剤を用い、感光体に対する帯電、露光、現像、転写を含む電子写真プロセスにより転写体に画像を形成する画像形成方法であって、
    電子写真プロセスを検知する検知ステップと、
    前記検知ステップにおける検知結果を入力データとして、電子写真プロセスの物理モデルを用いたシミュレーションにより、画像ディフェクトの予測に必要となる物理量を推定する物理モデル・シミュレーション・ステップと、
    画像ディフェクト予測モデルに基づくシミュレーションにより、該予測された物理量から画像ディフェクトを予測する画像ディフェクト予測ステップと、
    を具備することを特徴とする画像形成方法。
  12. 予測された画像ディフェクトを用いて、電子写真プロセスに対し、画像ディフェクトを防止するためのフィードフォワード制御を行なうフィードフォワード制御ステップをさらに備える、
    ことを特徴とする請求項11に記載の画像形成方法。
  13. 前記物理モデル・シミュレーション・ステップでは、キャリア粒子とトナー粒子をスパイラル・オーガにより攪拌する際における回転速度又は粒子の回転速度あるいは移動量の物理モデルを使用する、
    ことを特徴とする請求項11に記載の画像形成方法。
  14. 前記物理モデル・シミュレーション・ステップでは、キャリア粒子とトナー粒子を攪拌する物理モデルを使用する、
    ことを特徴とする請求項11に記載の画像形成方法。
  15. 前記検知ステップでは、前記画像形成装置が実行したプリント枚数、画像形成すべき画像のピクセル・カウント数、攪拌乃至現像プロセスにおけるトナー・ディスペンス量及びトナー濃度を検知し、
    前記検知ステップにおける検知結果に基づいて現像プロセスにおいて通過するトナー・スループット量を計算する検知結果算出ステップをさらに備え、
    前記物理モデル・シミュレーション・ステップでは、トナー・スループット量からキャリア汚染量を物理モデルを用いて予測し、該予測したキャリア汚染量から現像剤時定数及びトナー帯電能力を推定し、
    前記画像ディフェクト予測ステップでは、該推定された現像剤時定数及びトナー帯電能力に基づいて、TED又はSTVに関する画像ディフェクトを予測する、
    ことを特徴とする請求項11に記載の画像形成方法。
  16. 予測されたTED又はSTVを防止するための作像パラメータを選択し、現像プロセスへフィードフォワード制御するフィードフォワード制御ステップをさらに備える、
    ことを特徴とする請求項15に記載の画像形成方法。
  17. 前記検知ステップでは、前記画像形成装置が実行したプリント枚数、画像形成すべき画像に関するピクセル・カウント数、ハーフトーン・レベル、画像エッジ量を検知し、
    前記物理モデル・シミュレーション・ステップでは、トナーの選択現像モデルに基づいて、該検出結果から現像器内のトナー粒度分布を予測し、該予測したトナー粒度分布からトナー帯電量を推定し、
    前記画像ディフェクト予測ステップでは、該推定されたトナー帯電量に基づいて画像濃度の低下に関する画像ディフェクトを予測する、
    ことを特徴とする請求項11に記載の画像形成方法。
  18. 予測された画像濃度の低下を防止するための作像パラメータを選択し、現像プロセスへフィードフォワード制御するフィードフォワード制御ステップをさらに備える、
    ことを特徴とする請求項17に記載の画像形成方法。
  19. 前記フィードフォワード制御ステップにおいて電子写真プロセスをフィードフォワード制御した状態量を格納又は外部に通知するステップをさらに備える、
    ことを特徴とする請求項12、16、又は18のいずれかに記載の画像形成方法。
  20. 形成すべき画像に対し、前記画像ディフェクト予測ステップにおいて予測される画像ディフェクトを発生させないための画像処理を行なう画像処理ステップをさらに備える、
    ことを特徴とする請求項11に記載の画像形成方法。
  21. キャリアとトナーの2成分を攪拌してなる現像剤を用い、感光体に対する帯電、露光、現像、転写を含む電子写真プロセスにより転写体に画像を形成するための処理をコンピュータ・システム上で実行するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、前記コンピュータ・システムに対し、
    電子写真プロセスからの検知結果を入力データとして、電子写真プロセスの物理モデルを用いたシミュレーションにより、画像ディフェクトの予測に必要となる物理量を推定する手順と、
    画像ディフェクト予測モデルに基づくシミュレーションにより、該予測された物理量から画像ディフェクトを予測する手順と、
    予測された画像ディフェクトを用いて、電子写真プロセスに対し、画像ディフェクトを防止するためのフィードフォワード制御を行なう手順と、
    を実行させることを特徴とするコンピュータ・プログラム。
  22. キャリアとトナーの2成分を攪拌してなる現像剤を用い、感光体に対する帯電、露光、現像、転写を含む電子写真プロセスにより転写体に画像を形成する画像形成装置であって、
    前記画像形成装置が実行したプリント枚数、画像形成すべき画像のピクセル・カウント数、攪拌乃至現像プロセスにおけるトナー・ディスペンス量及びトナー濃度のうち少なくとも1つを検知する前記検知手段と、
    前記検知手段による検知結果に基づいて現像プロセスにおいて通過するトナー・スループット量を計算する検知結果算出手段と、
    キャリア粒子とトナー粒子をスパイラル・オーガにより攪拌する際における回転速度又は粒子の回転速度あるいは移動量の物理モデル、又はキャリア粒子とトナー粒子を攪拌する物理モデルを用いて、トナー・スループット量からキャリア汚染量を予測する物理モデル・シミュレーション手段と、
    を具備することを特徴とする画像形成装置。
  23. キャリアとトナーの2成分を攪拌してなる現像剤を用い、感光体に対する帯電、露光、現像、転写を含む電子写真プロセスにより転写体に画像を形成する画像形成装置であって、
    前記画像形成装置が実行したプリント枚数、画像形成すべき画像に関するピクセル・カウント数、ハーフトーン・レベル、画像エッジ量を検知する検知手段と、
    トナーの選択現像モデルに基づいて、該検出結果から現像器内のトナー粒度分布を予測し、該予測したトナー粒度分布からトナー帯電量を推定する物理モデル・シミュレーション手段と、
    を具備することを特徴とする画像形成装置。
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