JP4759840B2 - 電磁波遮蔽装置および電子レンジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波を遮蔽する電磁波遮蔽装置に関するものであり、またその中でも特に加熱室とドアの間から外部に伝搬しようとする電磁波を遮蔽するために電磁波遮蔽装置を用いた電子レンジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の第1の方法は、電子レンジ用の電磁波遮蔽装置の最も基本的な考え方としてドアに減衰溝を形成するλ/4インピーダンス反転方法が用いられる。図11は電子レンジ全体の図、図12は図11の加熱室1とドア2に関するA−Aから見た断面図である。電子レンジ内部の電磁波は加熱室1とドア2の隙間3を通って図の右側から左側(z方向)へと伝搬しようとするが、ドア2には導体4を折り曲げて構成した減衰溝5を有し、減衰溝5の深さLを使用周波数における波長λの1/4(=約30mm)にすることで減衰溝5の中をみたインピーダンスZinを無限大にしてz方向への電磁波を減衰させるというものである。これは例えば特開昭59−37692号公報の従来の技術として記載されている。ただし電磁波はz方向を向いているとは限らず、x、y、zの方向成分からなる合成ベクトルと考えた時のz方向成分のみを減衰溝5で減衰させると考えてよい。隙間3は加熱室1本体とドア2とでx―z平面を形成することになり、y成分は隙間3のギャップGが狭いので無視できるが、x成分については十分に考慮しなければならない。図13は図12の減衰溝5をB方向から見た図であり、x成分を減衰させるために幅sで深さLのスリット6を切っている。このため、ピッチPの周期構造により遅波回路を構成し、P、s、L等を適切に選定することでx方向に対する電磁波の伝搬を遮断することができる。
【0003】
次に従来の第2の方法は、λ/4インピーダンス反転方法において減衰溝5全体を誘電体で満たすもので、図14のような構成である。この方法は、同じく特開昭59−37692号公報の従来の技術、あるいは特開昭59−9897号公報に詳細に記載されている。電磁波の伝送線路を比誘電率εrの誘電体7で満たすと、誘電体7内の波長λeはλe=λ/√εrに圧縮され、減衰溝5の深さLeもLe=λe/4=λ/4√εrと浅くすることができる。たとえばεr=3の誘電体の場合、Le=30/√3≒17[mm]である。
【0004】
また従来の第3の方法は、前述の特開昭59−37692号公報に発明として示されたもので、溝の深さLをλ/4よりも浅くする他の方法として、減衰溝5の開口部8側の特性インピーダンスと短絡部9側の特性インピーダンスを異ならせる構成を示している。図15は誘電体7を開口部8側にのみ配置した構成、図16は誘電体7の形状を開口部8側と短絡部9側で異ならせた構成、図17は減衰溝5の幅b1、b2を異ならせた構成である。いずれも減衰溝5の深さ方向のほぼ中央部で開口部8側と短絡部9側とを区分するもので、開口部8側の深さをL1、短絡部9側の深さをL2とするとL1+L2≒20[mm]程度でλ/4よりも浅くなっている。
【0005】
以上、近年の電子レンジでは、電磁波の遮蔽性能を維持したままで、深さを浅くしていかに小型化できるかという検討が進められてきた。そしてその中でも、誘電体を使わずに板金の折り曲げだけで小型化が実現できる図17の構成が、現在の電子レンジでは最も一般的な構成となっている。なぜならば図14から図16に示したような誘電体による波長の圧縮を用いる方法では、誘電体の厚みとして図中のb(約7〜10mm)程度必要となるからである。一般的に樹脂などの誘電体を成型する場合は厚みが厚いほどヒケが生じるので、原材料費の増加分に加えてヒケ対策や寸法管理のために余分なコストがかかってしまうことが知られており、7〜10mmでも随分なコストアップになるからである。一方、図17の方法では減衰溝小型化のための誘電体は不要であるが、開口部8に食品カスやゴミが入るのをふさぐためのカバーとして誘電材料を用いている。これは減衰溝5を小型化する圧縮用の誘電体ではなく、開口部8をふさぐためのカバー10であり、厚みtが最大でも2mm以下であるため成型する場合にヒケは生じにくい。しかし図17の方法では導体4の折り曲げ方が複雑であり、板金をプレスで抜くだけではつくれない。よって曲げ加工費が増えてしまうという欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の構成では、減衰溝の深さをλ/4より浅くしようとすると、誘電体の厚みが厚くなるとか導体の曲げ方が複雑になり、作りにくいがゆえにコストが高くなってしまうものであった。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、減衰溝を浅くするために誘電体を用いても、作りやすい構成で、低コストな電磁波遮蔽装置および電子レンジを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電磁波遮蔽装置および電子レンジは、深さLの減衰溝を有し前記減衰溝の開口部からL/4の位置に誘電体を配置する、または波長λの電磁波に対して減衰溝の開口部からλ/24の位置に誘電体を配置する構成としている。
【0009】
これによって、減衰溝の中で最も波長圧縮の効果の高い部位に誘電体を配置することになるので、誘電体の厚みが薄くても効果的に減衰溝を浅くすることができる。その結果作りやすい構成で、低コストな電磁波遮蔽装置を実現することができる。特に電子レンジの場合、電磁波遮蔽装置を加熱室とドアの対向面上に構成するので、加熱室あるいはドアが作りやすくなり低コスト化できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、波長λの電磁波に対して、深さL(=λ/6)の減衰溝を有し、前記減衰溝の開口部からL/4(=λ/24)の位置に比誘電率が略3の誘電体を配置するので、誘電体の厚みが薄くても効果的に減衰溝を浅くすることができ、また、一般的な低価格の材料が使用可能となり、その結果作りやすい構成で、低コストな電磁波遮蔽装置を実現することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、特に、請求項1に記載の電磁波遮蔽装置において、複数の前記減衰溝を少なくともL/4(=λ/24)離して配置するので、電磁波の遮蔽性能を向上することができ、より誘電体の厚みが薄くても減衰溝を浅くすることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、波長λの電磁波に対して、減衰溝の開口部からλ/24の位置に誘電体を配置するので、誘電体の厚みが薄くても効果的に減衰溝を浅くすることが、その結果作りやすい構成で、低コストな電磁波遮蔽装置を実現することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、特に、請求項1に記載の電磁波遮蔽装置において、複数の減衰溝を少なくともλ/24離して配置するので、電磁波の遮蔽性能を向上することができ、より誘電体の厚みが薄くても減衰溝を浅くすることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、特に、請求項1ないし4に記載の電磁波遮蔽装置において、誘電体は、比誘電率が約3程度のものを用いるので、一般的な低価格の材料が使用可能となり、より低コスト化することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、特に、請求項1または2に記載の電磁波遮蔽装置において、誘電体は、減衰溝の深さ方向に約2mmの厚みとしたので約7〜10mmのものと比べると成型する場合にヒケは生じにくく、ヒケ対策や寸法管理のための余分なコストが発生しないので、より低コスト化することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、特に、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電磁波遮蔽装置において、前記減衰溝を構成する導体と前記誘電体の少なくとも一方に、前記減衰溝の長手方向に対して一定ピッチのスリットを有するので、周期構造により遅波回路を構成し、減衰溝の長手方向に対する電磁波の伝搬を遮断することができる。よって減衰溝が浅くても特に問題は無い。
【0017】
請求項5に記載の発明は、特に電子レンジにおいて、ドアの開閉により食品を出し入れできる加熱室と、前記加熱室内に電磁波を供給して前記食品を加熱する電磁波供給手段と、前記加熱室と前記ドアとの対向面上に請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電磁波遮蔽装置を有する構成としたので、加熱室あるいはドアが作りやすくなり低コスト化できる。
【0018】
【実施例】
以下本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
(実施例1)
図1〜図8は、本発明の第1の実施例における電磁波遮蔽装置および電子レンジについて説明するものである。
【0020】
まず、図1、図2により構成について説明する。電子レンジの概観は従来と同じ図11であるとする。図1は図11の加熱室1とドア2に関してA−Aから見た断面図、図2は斜視図である。
【0021】
電子レンジは、ドア2の開閉により食品を出し入れできる加熱室1と、加熱室1内に電磁波を供給して食品を加熱するための電源やマグネトロンや導波管からなる電磁波供給手段11を有している。ドア2には導体4を折り曲げて構成した深さLの二つの減衰溝5a、5bを構成し、二つの減衰溝5a、5bは導体4により一体に構成され、x方向に一定ピッチPで幅sのスリット6を切っている。二つの減衰溝5a、5bの内部には、波長の圧縮のために厚みtの誘電体7をそのセンターが開口部8からαの位置になるように配置している。そして誘電体7は開口部8を覆うカバーを兼用するよう一体に成型されているが、カバーの部分はt以下の厚みで構成して良い。また2つの減衰溝5a、5bの幅はともにb3、2つの減衰溝5間の距離はβである。図2では見やすくするために誘電体7を上方にずらして記載している。また本実施例では、減衰溝5a、5bを形成する導体4と誘電体7とにより、電磁波遮蔽装置12を構成している。
【0022】
次に動作について説明する。電子レンジは使用者が食品を出し入れしやすいようにするために、ドア2を簡単に開けられる構成としている。このため加熱室1とドア2の対向面の間にはわずかながら隙間3があり、加熱室内の電磁波が外部に伝搬する可能性がある。隙間3の形状は、y方向には狭く、x、z方向には広いので、電磁波をx、y、z方向への合成ベクトルと考えると、x方向成分とz方向成分が大きくなりy方向成分は無視できる。よって外部への電磁波を遮蔽するためには、x方向成分とz方向成分を遮蔽しなければならない。そこで本実施例では、スリット6を設けて形成したピッチPの周期構造でx方向成分を遮蔽し、二つの減衰溝5a、5bでz方向成分を遮蔽している。
【0023】
z方向成分の遮蔽性能に関しては、図3〜図5により説明を加える。図3は導波管を用いた小信号の特性評価装置13の構成図、図4〜図5は特性評価装置13によって評価した遮蔽性能の特性図を示す。
【0024】
特性評価装置13は、導波管14、15の間に評価したい電磁波遮蔽ユニット16を装着し、ネットワークアナライザを用いて伝送特性を示すS21パラメータで評価するものである。具体的には、まず、導波管14、15、電磁波遮蔽ユニット16の図3での奥行き方向の寸法を52mm、送信アンテナ17から放射する電磁波の周波数を3.783GHzとすることで管内波長が約122mmのTE10モードを起こす構成である。参考までに、導波管内の管内波長λgは、真空での波長λ、導波管の奥行き寸法aを用いて
【0025】
【数1】
【0026】
で表される。また光速v=3.0×108[m/sec]、周波数F[Hz]により、λ=v/Fとも表せるので、結果的に導波管の奥行き寸法aと周波数Fによって管内波長λgが決定できる。ちなみに導波管ではλg>λとなる。
【0027】
実際に加熱室内から漏洩しようとする電磁波はTEMモードであるが、TEMモードでz方向成分だけを取り出すということは困難である。一方、導波管のTE10モードでは、電磁波は奥行き方向には伝搬しないので、送受信の位置さえ決めておけば、z方向成分だけを分離して評価できる効果がある。ただし使用周波数の入力信号をそのまま入れると、導波管内の波長が真空の波長より長くなり、実験結果から得られた寸法をそのまま使うことができない問題がある。よって本実施例では、a=52mm、F=3.783GHzを使用することで、管内波長が電子レンジに用いる2.455GHzの真空の波長(122mm)になるようにしている。この結果、電磁波遮蔽ユニット16の減衰溝の深さLや二つの減衰溝5a、5b間の距離βなどの寸法をそのまま電磁波遮蔽装置に用いることが可能となる。
【0028】
さて、送信アンテナ17からの送信電力のうち、電磁波遮蔽ユニット16を通過して受信アンテナ18で検出した電力量により、電磁波遮蔽ユニット16の遮蔽性能を定量的に評価することが可能である。吸収体19は、受信アンテナ18を通過した電磁波が再度受信アンテナ18側に反射しないようにするために、アクリル容器に水を満たして構成したものである。遮蔽性能を評価するための基準値(リファレンスレベル)は、電磁波遮蔽ユニット16の代わりに減衰溝の無い導波管(ギャップG=2mm一定)を装着したときの受信電力を0dBとすることにした。参考までに、電磁波遮蔽ユニット16として従来の図17の構成を装着して測定すると−32dBとなった。
【0029】
一方、電磁波遮蔽ユニット16として図3のような減衰溝5a、5bのうち減衰溝5aのみを一つだけ用いた場合で、寸法b3を10mm、減衰溝の深さLを20mm、誘電体7の材料をPET+PBTアロイとし、誘電体7の厚みtと、誘電体7の開口部からの位置αを変化させた時の受信電力Pを測定すると、図4の特性が得られた。PET+PBTアロイは、従来の図17の構成のカバー10の材質であり、比誘電率が約3である。
【0030】
図4は横軸が誘電体7の開口部からの位置α[mm]、縦軸が受信電力P[dB]、パラメータが誘電体7の厚みt[mm]である。図4においては、Pの値が低い方が、送信アンテナ17から受信アンテナ18へ伝わらないということなので、電磁波の遮蔽性能が良いということを意味している。厚みtが2mm〜10mmの範囲では、いずれもα=5の前後で受信電力Pに極小値が生じていることがわかる。
【0031】
また図4のそれぞれの極小値をPminとし、横軸t、縦軸Pminとすると図5の特性となる。従来の図17の構成での−32dBと比べると、厚み5〜6mmで同等性能が得られることになる。よってb3=10mm、L=20mmの減衰溝5a一つを用いた場合、厚み5〜6mmのPET+PBTアロイからなる誘電体7を開口部からの位置α≒5に配置すれば、従来品同等の性能が得られるわけである。
【0032】
しかし誘電体7を樹脂の注型によって成型する場合、厚みが増えるといわゆるヒケが生じてしまい、それを補うためにはさらなる加工費の増加が発生することが知られている。横軸に厚みt、縦軸に加工費をとると、図6のような特性を示す。よって従来品(厚み最大で2mm)より加工費を増やさないためには、厚み2mm以下で構成しなければならない。厚み2mmでは、図4の特性より、αを最適化しても従来品より性能が悪くなる。
【0033】
そこで減衰溝を2つにすることが考えられる。これが本発明の図1〜図3に示した構成であり、減衰溝5a、5bを距離βだけ離して配置するものである。図3の構成で、横軸に減衰溝間の距離β、縦軸に受信電力Pをとると、図7の特性が得られる。β=5以上に選べば、従来品の−32dBを達成することができる。
【0034】
本実施例の電磁波遮蔽装置12は、図1、図2に示すように、b3=10mm、L=20mmなる二つの減衰溝5a、5bをβ=5mmだけ離して構成し、PET+PBTアロイからなるt=2mmの誘電体7を、開口部8からの位置α=5mmに装着したものである。この構成により、従来品同等の電磁波遮蔽性能を達成するに際し、減衰溝5a、5bを浅くするために誘電体7を用いているが、従来のカバー10と同じ材質と同じ厚みで加工費の上がらない作りやすい構成としていることと、減衰溝5a、5bが図17より曲げやすい構成(導体4をプレスで容易に曲げられる構成)にしていることにより、低コストな電磁波遮蔽装置および電子レンジを実現することができる。
【0035】
特に本実施例においては、減衰溝5a、5bの深さL(=20mm)を基準に考えると、減衰溝の開口部8からα=L/4(=5mm)の位置に誘電体7を配置しているので、誘電体の厚みが薄くても効果的に減衰溝を浅くすることが、その結果作りやすい構成で、低コストな電磁波遮蔽装置を実現することができたと考えられる。
【0036】
また、複数の減衰溝5a、5bを少なくともβ=L/4(=5mm)離して配置するので、電磁波の遮蔽性能を向上することができ、より誘電体7の厚みが薄くても減衰溝を浅くすることができたと考えられる。
【0037】
一方、波長λ(=122mm)を基準に考えると、減衰溝の開口部からα=λ/24(=5mm)の位置に誘電体を配置したので、誘電体の厚みが薄くても効果的に減衰溝を浅くすることが、その結果作りやすい構成で、低コストな電磁波遮蔽装置を実現することができたとも考えられる。
【0038】
また、複数の減衰溝5a、5bを少なくともβ=λ/24(=5mm)離して配置するので、電磁波の遮蔽性能を向上することができ、より誘電体の厚みが薄くても減衰溝を浅くすることができたとも考えられる。
【0039】
また、誘電体7は、比誘電率が約3程度のものを用いるので、PET+PBTアロイだけでなくPPやPEやPSやPPSなど一般的な低価格の樹脂やエンプラが使用可能となり、より低コスト化することができる。
【0040】
また、誘電体7は、減衰溝5a、5bの深さ方向に厚みt=2mmとしたので約7〜10mmのものと比べると成型する場合にヒケは生じにくく、ヒケ対策や寸法管理のための余分なコストが発生しないので、より低コスト化することができる。
【0041】
なお本実施例においては、比誘電率が約3程度の低価格の誘電体7を用いたが、コストに余裕があるならば低価格のものに限定する必要は無く、セラミックやガラスやゴムでも良いし、いくつかを互いに混合したものでも良い。特に従来の図14で述べたように、比誘電率が大きくなるほど減衰溝の深さの圧縮度合いを大きくできるので、比誘電率の大きな誘電体を用いることは有効である。たとえばPPS+チタバリで比誘電率が10以上のものがあるが、このような場合は減衰溝が一つしかなくても従来なみの遮蔽性能が得られる可能性がある。ちなみに図8には、横軸に比誘電率εr、縦軸に材料費の関係を示した。PET+PBTアロイ(εr=3)とPPS+チタバリ(εr=12)では、現在の材料費として5倍程度の差が有る。
【0042】
また本実施例では、図2のように、減衰溝5bの出口側の切片にのみ長手方向に対してピッチPのスリット6を有するので、周期構造により遅波回路を構成し、減衰溝の長手方向に対する電磁波の伝搬を遮断することができる。
【0043】
なおスリットに関しては、減衰溝5bの出口側の切片に限定されるものではなく、減衰溝5aと減衰溝5bの間の導体部分に設けても良いし、減衰溝5aの入口側に設ける場合も考えられる。また誘電体7を周期構造にすることも考えられる。導体、誘電体ともに周期構造とすることも可能である。周期構造に関しては、x方向の遮蔽性能を上げるために最適な構成に変更すればよい。
【0044】
また、本実施例の電子レンジにおいて、加熱室とドアとの対向面上のドア側に電磁波遮蔽装置を構成したので、従来と比較してドアが作りやすくなり低コスト化できる。なお、ドアに構成することに限定する必要は無く、加熱室側に構成しても良いし、たとえば減衰溝をドア側と加熱室側に一つずつ配置しても良い。
【0045】
(実施例2)
図9、図10は、本発明の第2の実施例における電磁波遮蔽装置および電子レンジを示すものである。本実施例では、導体4の内側に導体からなる仕切り板20を装着し、仕切り板20により減衰溝5a、5bを区分している。また仕切り板20は上部にスリット6aを有し、誘電体7をはめ込んだ時に開口部8からの位置αが所望の寸法になるように構成している。誘電体7は厚みtであり、仕切り板20にはめ込むためのスリット6bを有している。この場合スリット6a、6bともにピッチPとなっている。また本実施例においては誘電体7とは別に、厚みの薄い誘電材料からなるカバー10を別部品として用いている。
【0046】
なお、上記各実施例の構成は互いに限定されることなく、各々を組み合わせても良い。
【0047】
なお、上記実施例の電磁波遮蔽装置は、すべて電子レンジに応用した例として説明したが、これに限られるものではない。電磁波を用いた通信機器(携帯電話、無線LANなど)や治療器や計測器や加熱機器やその他の機器の筐体に用いることで外部への電磁波の伝搬を遮蔽することができる。またこれらの機器とは関係の無い機器であっても、電子部品を用いているもので、電磁波による外来ノイズを防止したい場合のシールド装置として使用することも考えられる。さらに他の電磁波遮蔽装置としては、シールドルームなどの設備や建物、あるいは開口部とドアを有するもの全般への応用展開が考えられる。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の発明によれば、深さLの減衰溝を有し前記減衰溝の開口部からL/4の位置に誘電体を配置する、または波長λの電磁波に対して減衰溝の開口部からλ/24の位置に誘電体を配置するので、減衰溝の中で最も波長圧縮の効果の高い部位に誘電体を配置することになるので、誘電体の厚みが薄くても効果的に減衰溝を浅くすることができる。その結果作りやすい構成で、低コストな電磁波遮蔽装置を実現することができる。特に電子レンジの場合、電磁波遮蔽装置を加熱室とドアの対向面上に構成するので、加熱室あるいはドアが作りやすくなり低コスト化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における電磁波遮蔽装置と電子レンジの構成図
【図2】同、電磁波遮蔽装置の斜視構成図
【図3】同、特性評価装置の構成図
【図4】同、誘電体の開口部からの位置αによる遮蔽性能の特性図
【図5】同、誘電体の厚みtによる遮蔽性能の特性図
【図6】同、誘電体の厚みtによる加工費の特性図
【図7】同、減衰溝間の距離βによる遮蔽性能の特性図
【図8】同、比誘電率εrによる材料費の特性図
【図9】本発明の実施例2における電磁波遮蔽装置と電子レンジの構成図
【図10】同、電磁波遮蔽装置の斜視構成図
【図11】従来の電子レンジの構成図
【図12】同電子レンジの図11のA―A線の断面構成図
【図13】同電子レンジの図12のBからみた構成図
【図14】従来の他の電子レンジの構成図
【図15】従来の他の電子レンジの構成図
【図16】従来の他の電子レンジの構成図
【図17】従来の他の電子レンジの構成図
【符号の説明】
1 加熱室
2 ドア
4 導体
5a、5b 減衰溝
6、6a、6b スリット
7 誘電体
8 開口部
11 電磁波供給手段
12 電磁波遮蔽装置
L 減衰溝の深さ
P ピッチ
t 誘電体の厚み
α 誘電体の開口部からの位置
β 減衰溝間の距離
Claims (5)
- 波長λの電磁波に対して、深さL(=λ/6)の減衰溝を有し、前記減衰溝の開口部からL/4(=λ/24)の位置に比誘電率が略3の誘電体を配置した電磁波遮蔽装置。
- 複数の前記減衰溝を少なくともL/4(=λ/24)離して配置した請求項1記載の電磁波遮蔽装置。
- 前記誘電体は、前記減衰溝の深さ方向に略2mmの厚みを有する構成とした請求項1または2に記載の電磁波遮蔽装置。
- 前記減衰溝を構成する導体と前記誘電体の少なくとも一方に、前記減衰溝の長手方向に対して一定ピッチのスリットを有する構成とした請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電磁波遮蔽装置。
- ドアの開閉により食品を出し入れできる加熱室と、前記加熱室内に電磁波を供給して前記食品を加熱する電磁波供給手段と、前記加熱室と前記ドアとの対向面上に請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電磁波遮蔽装置を有する構成とした電子レンジ。
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