JP4758456B2 - タンカー及びケミカルタンカーの液体貨物の荷揚げ・残油抜き取り方法 - Google Patents
タンカー及びケミカルタンカーの液体貨物の荷揚げ・残油抜き取り方法 Download PDFInfo
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Description
この種のタンカー及びケミカルタンカーの類いの船舶(載貨重量5万卜ンクラス)においては、液体貨物槽を10〜12からなる十数個の液体貨物槽(タンク)を有しており、一般的には、4種類の液体貨物をそれぞれの系統別で積降可能な構造を有する。
図3中、符号Cは液体貨物区域で、液体貨物槽8CT、9CT、10CT、・・・であり、液体貨物区域前半の液体貨物槽は省略されて記載されている。また、符号Pはポンプ室であり、V1、V2、V3、・・・は各バルブである。さらに、符号101は、荷油ポンプ、102は、ストレーナ、103は、吸引管、104は、吐出管、105は、マニホールド、106は、張込管、107は、残油ポンプ、108は、残油吸引管、B2、B3、・・・は、ベルマウス、S2、S3、・・・は、各液体貨物槽8CT、9CT、10CT、・・・に設けられるサクションウエルである。
該荷油ポンプ101は、吸引側にストレーナ102を介し、前記液体貨物区域Cの吸引管103に接続され、吐出側は吐出管104に接続され、ポンプ室を立上り、上甲板Uの略中心付近まで導かれ、マニホールド105を形成している。
また、マニホールド105からの分岐管には、張込管106が接続されており、該張込管106は液体貨物槽(例えば、液体貨物槽8CT、10CT)を垂下して前記吸引管103に接続されている。
液体貨物を荷揚げする場合には、該荷油ポンプ101からストレーナ102を介して、液体貨物区域Cに区画された所定の液体貨物槽8CT、10CTから吸引管103を用いて、所定のバルブV2、V3を開放することにより、各ベルマウスB2、B3から吸引し、荷油ポンプ101に液体貨物を吸引する。荷油ポンプ101により吸引された液体貨物は吐出管104を用いマニホールド105まで移送し、陸上に荷揚げする。
この種の荷油管装置としては、従来は、前記荷油ポンプ101の容量の1/10程度の容量の残油ポンプ107を設け、液体貨物槽8CTのサクションウエルS2、吸引管103、吐出管104並びにストレーナ102内及び荷油ポンプ101内の液体貨物の残油を回収していた。
前記残油ポンプ107の容量を小さくすれば、あるいは少量の残油とすることが可能であるかもしれないが、残油ポンプの容量を小さくすることは、その荷役時間(残油回収時間も含む)が長くなり、バースに長時間停泊することとなる結果を招来する。また、残油ポンプ107は、この種の船舶において荷油ポンプ101を含め、渦巻式のポンプが使用されており、機能的には吸引力はゼロであり、他の容積型のポンプを使用したとしても吸引力は最大5mTH程であり、機能的な限界があった。
また、本願請求項2に係る発明は、前記請求項1に記載の貨物の荷揚げ・残油抜き取り方法において、前記ストロー管は、前記吸引管及び吐出管より上部の前記タンクの中央部近傍に配置され、前記各液体貨物槽内のサクションウエル内の残油を当該タンクに吸引可能としたものであることを特徴とする。
さらに、本願請求項3に係る発明は、前記請求項1または請求項2に記載の貨物の荷揚げ・残油抜き取り方法において、前記荷油管装置には、船外空気取込口を備え、船内または船外に配置される圧縮ポンプから当該空気取込口に圧縮空気または加圧N2ガスを各液体貨物槽に張込み可能とする一方、前記タンク内の残油を空気圧またはガス圧により船外に排出可能としたことを特徴とする。
また、本願請求項4に係る発明は、前記請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の貨物の荷揚げ・残油抜き取り方法において、前記タンクは、内部にストレーナを有することを特徴とする。
(1)大きい吸引力(20mTH)を有する荷油ポンプを使用するにも拘わらず、大きな吸引力のポンプが回避できにくかった残油量の軽減を図ることができる。(2)大きな吸引力の荷油ポンプを使用するので、液体貨物の積み込み積み降ろし時間は短縮でき、バースへの停留時間の軽減を図ることができる。
(3)液体貨物を輸送するタンカー及びケミカルタンカー等において、荷油配管の各部装置に残留する残油量を極めて少量とすることができる。これは、上記大きい吸引力を有する荷油ポンプを使用することによっても達成しうる。したがって、最大75L/1TK以下とすべき船級規格に充分耐えうる性能を保つことができる。
(4)このことは、海上汚染の環境問題の解決に役立つ。
(5)残液の回収が早まるので、トータルの荷役時間が短くなり、荷役効率の向上が図れる。
(6)従来の荷油管装置の技術に対して、僅かな変更を加えるだけで、上記性能を達成することができる等の効果を奏する。
図1は、上記一実施例に係る荷油管装置の実施例1の概略を示す図であり、図1中、符号2は、ストレーナ兼圧力タンク(負圧タンクも兼ねる)、3は、ストレーナ、5は、ストロー管、6は、前記張込管106に設けられた空気取込口、10は、残油管、1は、本実施例に係る荷油管装置、VPは、バキユームポンプを示す。また、図1の符号において、図3に示したものと同じ部材は、図3と同じ符号で示す。
このストレーナ兼圧力タンク(負圧タンクも兼ねる)2の作動は大きく分けて次の構成からなる。すなわち、本願実施例1に係る荷油管装置1は、概念的に、荷油ポンプシステム、吸引システム及び加圧システムから構成され、これらの各システムを組み合わせ、かつ、それらを順次作動させることにより、結果的に、船内の各部に少量の残油を残すだけとし、殆どの量の液体貨物を陸揚げでき、また、液体貨物の荷揚げ時間を長時間化せずに、残油の回収も速やかに行なおうとするものである。
荷油ポンプシステムとして使用される場合について説明すると、この機能及びそこで使用される部材は、従来の荷油管装置の技術と略同様であり、前記荷油ポンプ101は、吸引側にストレーナ兼圧力タンク(負圧タンクも兼ねる)2を介し、液体貨物区域の吸引管103に接続され、吐出側は吐出管104に接続され、ポンプ室Pを立上り、上甲板Uの略中心付近まで導かれ、マニホールド105を形成している。また、マニホールド105からの分岐管には、張込管106が接続されており、該張込管106は液体貨物槽8CT、10CT、・・・を垂下して吸引管103に接続されている。
液体貨物を荷揚げする場合には、該荷油ポンプ101からストレーナ兼圧力タンク(負圧タンクも兼ねる)2のストし一ナ3を介して、液体貨物区域Cに区画された所定の液体貨物槽8CT、10CT、・・・から前記吸引管103を用いて、所定のバルブV2,V3を開放することにより、各ベルマウスB2、B3から吸引し、荷油ポンプ101に液体貨物を吸引する。
このように、本実施例に係る荷油管装置1を荷油ポンプシステムとして使用する場合には、当該ストレーナ兼圧力タンク(負圧タンクも兼ねる)2を、図2(a)に示すように、その底部の前記吸引管103と、他方に接続される前記吐出管104だけを開放し、他のバルブは閉鎖しておき、前記荷油ポンプ101を駆動して液体貨物槽8CT、10CT内の液体貨物の陸揚げを行う。前記吸引管103から吸引された液体貨物は、前記ストレーナ3によって、浮遊物が除去され、吐出管104から前記マニホールド105に導かれ、陸揚げされる。
尚、本実施例1に使用したストレ一ナ兼圧力タンク(負圧夕ンクも兼ねる)2は、ストレーナ機能が必須というものではなく、各液体貨物槽の荷揚げ後に各槽内のサクションウエルや荷油ポンプ等の各装置内に残置される残油を収容できる容量の大きさであれば足り、かつ、所定の吸引バキュームに耐えうる負圧タンクとしての機能を有し、また、所定を圧縮空気または加圧N2ガスのガス圧に耐えうる加圧タンクとして機能を備えるものであれば、材質の如何を問わない。
2 ストレーナ兼圧力タンク(負圧タンクも兼ねる)
3 ストレーナ
5 ストロー管
6 圧縮空気取込口
10 残油管
8CT,10CT 荷油槽
101 荷油ポンプ
102 ストレーナ
103 吸引管
104 吐出管
105 マニホールド
106 張込管
107 残油ポンプ
108 残油吸引管
B2、B3、 ベルマウス
C 液体貨物区域
P ポンプ室
S2、S3、・・ サクションウエル
U 上甲板
V1、V2、V3、・・・ バルブ
VP バキユームポンプ
Claims (4)
- タンクの上方からガス抽出管、ストロー管、吸引管及び吐出管、最底部には、残液を吐出する残油管が、それぞれバルブを介して配置接続される唯一のタンクと、
前記吸引管に接続される荷油ポンプと、
前記吐出管に接続され、ポンプ室を立上り、上甲板の略中心付近まで導かれるマニホールドと、
前記ガス抽出管に接続されるバキュームポンプと、
前記ストロー管と、
前記吸引管に圧縮空気を送る空気圧縮ポンプと、からなり、
(1)荷揚げの場合には、前記吐出管のバルブを開とし、他の前記ガス抽出管のバルブ、前記ストロー管のバルブ、前記吸引管のバルブ、前記残油管のバルブを閉として、前記荷油ポンプを作動させ、
(2)残油負圧吸引の場合には、前記ストロー管のバルブ及び前記ガス抽出管のバルブを開とし、他の前記吸引管のバルブ、前記吐出管のバルブ、前記残油管のバルブを閉として、前記バキュームポンプを作動させ、
(3)残油加圧吐出の場合には、前記残油管のバルブ及び前記吸引管のバルブを開とし、他のガス抽出管のバルブ、前記ストロー管のバルブ及び前記吐出管のバルブを閉として、前記空気圧縮ポンプを作動させることを特徴とする
タンカー及びケミカルタンカーの各液体貨物の荷揚げ・残油抜き取り方法。 - 前記ストロー管は、前記吸引管及び吐出管より上部の前記タンクの中央部近傍に配置され、前記各液体貨物槽内のサクションウエル内の残油を当該タンクに吸引可能としたものであることを特徴とする請求項1に記載の貨物の荷揚げ・残油抜き取り方法。
- 前記荷油管装置には、船外空気取込口を備え、船内または船外に配置される圧縮ポンプから当該空気取込口に圧縮空気または加圧N2ガスを各液体貨物槽に張込み可能とする一方、前記タンク内の残油を空気圧またはガス圧により船外に排出可能としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の貨物の荷揚げ・残油抜き取り方法。
- 前記タンクは、内部にストレーナを有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の貨物の荷揚げ・残油抜き取り方法。
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