JP4758370B2 - ブームスプレーヤ - Google Patents
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Description
左右のサイドブームは、走行装置の一度の直線走行で大きな面積に対して薬剤を散布可能とするように走行装置の左右幅に対して極めて長いものとされている。
よって、左右のサイドブームおよびセンタブームからなるブームを薬剤が散布される地面(地面上の農作物)に対してほぼ平行に保つように、ブームをローリング制御する必要がある。
前記走行装置に対して前記ブーム(30)を水平に支持するブーム支持装置(1)とを備えたブームスプレーヤであって、
前記ブーム支持装置(1)は、上辺となる節(21)と、下辺となる節(31)と、上辺と下辺とを左右でそれぞれ繋ぐ一対の斜辺となる節(3a,4)とから概略台形となる台形リンク(3)を備え、
上辺となる節(21)が前記走行装置側に固定して設けられ、下辺となる節(31)が前記ブーム(30)側に固定して設けられることにより前記台形リンク(3)を介して前記ブーム(30)が前記走行装置に対して振り子状に揺動自在となっていることを特徴とする。
ここで、本発明のブームスプレーヤには、いわゆる搭載式ブームスプレーヤ、車載式ブームスプレーヤ、自走式ブームスプレーヤのほか、管理作業機等に設置されるブームスプレーヤも含む。
前記台形リンク(3)の一対の斜辺となる節(3a,4)の少なくとも一方に、当該節の長さを伸縮駆動させるアクチュエータ(4)が設けられていることを特徴とする。
前記ブーム(30)は、中央に配置されるセンタブーム(31)と、左に延出する左サイドブーム(32)と、右に延出する右サイドブーム(33)とを備えるとともに、左右の前記サイドブーム(32,33)が起伏および伸縮のうちの少なくとも一方を可能とされ
当該サイドブーム(32,33)を起伏もしくは伸縮させるための操作手段と、
前記センタブーム(31)の傾斜角を検知する傾斜センサ(51)と、
前記操作手段に対する操作に基づいてサイドブーム(32,33)を起伏もしくは伸縮させる制御手段とを備え、
前記制御手段は、左右の前記サイドブーム(32,33)のうちの一方のサイドブーム(32,33)を起伏もしくは伸縮する前記操作手段に対する操作が行われた場合に、前記傾斜センサ(51)に検知された傾斜角度を所定角度とするように前記アクチュエータ(4)を作動させることを特徴とする。
前記走行装置側に固定され、前記ブーム(31)および当該ブーム(30)に固定された部材(5)のうちの少なくとも一方を前後方向から挟み、前記ブーム(31)もしくは当該ブーム(30)に固定された部材(5)に対して相対的に摺動自在な摺動部材(6,7,8)を備えたことを特徴とする。
前記摺動部材(6,7,8)を、左右方向と上下方向とにそれぞれ間隔をあけて複数設けたことを特徴とする。
前記摺動部材(6,7,8)の前記ブーム(30)もしくは当該ブーム(30)に固定された部材(5)に接触する部分(64)を、前記ブーム(30)に比較して耐磨耗性および耐薬品性が高く、かつ、摩擦係数の低い材質で構成していることを特徴とする。
また、振り子状に揺動自在にブームが走行装置に取り付けられるものとしても、ブームの上方の1点でブームを支持するのではなく、4節リンクでブームを支持しているので、安定してブームを振り子状に揺動自在に支持することができる。なお、台形リンクの上辺となる節および下辺となる節は、リンクロッドとしてロッド状の形状を有する必要はなく、左右の斜辺となる節に回転自在に連結される構造ならばよい。
そして、走行装置の直線状の走行において、農地の傾斜角がほとんど変動しないのであれば、1回アクチュエータを作動して左右の斜辺の長さを変更した後には、平地の場合と同様に特に制御せずにブームを傾斜する農地に対して平行に保持することができる。
これにより、傾斜地においても、請求項1に記載の発明と同様の効果を奏することができる。
ここで、サイドブームの伸縮や起伏で重心位置が移動した場合に、ブームを水平にするのに制御が必要となるが、これは、重心位置が移動した際だけに必要となるもので、ブームが水平になれば制御は必要なくなり、薬剤の散布時のブームのローリング制御が煩雑になることはない。また、農地が傾斜地の場合には、傾斜センサに検知される傾斜角を農地の傾斜角(所定角度)に合わせるように制御すればよい。
この場合に、例えば、サイドブームの伸縮もしくは起伏させる操作時、すなわち、伸縮もしくは起伏する直前の傾斜センサに検知された傾斜角を記憶する記憶手段を設け、前記所定角度を記憶手段に記憶されたサイドブームを伸縮もしくは起伏する直前のブームの傾斜角度とし、傾斜センサが検知する傾斜角度がこの所定角度となるように、サイドブームを伸縮もしくは起伏させる操作間にアクチュエータを制御するものとしてもよい。
これにより、ブームが走行装置に対して前後動することにより台形リンク、特に、台形リンクの4つの節の連結部に大きな曲げ応力が発生するのを防止することができる。
図1〜図6は、本発明の実施の形態に係る搭載式ブームスプレーヤのブームおよびブーム支持装置を示す図である。
そして、周知のように、センタブーム31に対して、左右のサイドブーム32,33は水平状態から上側で起伏可能となっている。また、周知のように、左右のサイドブーム32,33は、基端側と先端側とに別れ、基端側に対して先端側が軸方向に沿ってスライド移動自在となっていることにより、伸縮自在となっている。
なお、この実施形態において、ブームスプレーヤのブーム支持装置1を除く部分の構成は、基本的に前記特許文献1,2等の従来のブームスプレーヤと同様もしくは類似する構成となっている。
また、左縦枠材23の下部の左側部および右縦枠材24の下部の右側部には、それぞれ、走行装置に取り付けられる取付部材28,29が設けられている。
また、リンクロッド3aの下端部と、センタブーム31の左端部に固定された連結部材3bの先端部とはピン接合されて互いに回転自在に連結されている。
左の連結部材3bは、センタブーム31の左端部から上に向かうにつれて左に向かうに左斜めに取り付けられている。右の連結部材3cは、センタブーム31の右端部から上に向かうにつれて右に向かうように右斜めに取り付けられている。
すなわち、台形リンク3の左右の斜辺となる一対の節を、走行装置とブーム30との間に配置すればよい。この際に、左右の斜辺となる一対の節は、ハの字状に配置されることで、台形リンク3が構成されることになる。
また、この例の左の斜辺となる節を構成するリンクロッド3aは、長さ調整可能なものが使用されており、ブーム30のバランスの調整が可能となっている。
また、センタブーム31の左右の中央の上面には、傾斜センサ51が取り付けられている。
各摺動部材6,7,8は、それぞれ、前摺動部61と、後摺動部62とからなり、これら前摺動部61と後摺動部62とは、両端部に配置されたスペーサ63を介して間隔をあけて接合されている。
これら前摺動部61と後摺動部62との間には、センタブーム31および固定部材5が挟持された状態となるが、僅かにクリアランスが設けられており、センタブーム31および固定部材5は、前摺動部61と後摺動部62とにそれぞれ前面および後面をほぼ当接させた状態で、上下左右に移動自在となっている。すなわち、センタブーム31および固定部材5は、前摺動部61および後摺動部62に対して相対的に摺動するようになっている。
また、前摺動部61の後面側および後摺動部62の前面側には、それぞれセンタブーム31もしくは固定部材5に当接する当接部材64が設けられており、これらの当接部材64は、センタブーム31や固定部材5よりも耐磨耗性および耐薬品性に優れ、かつ、摩擦係数の低い材料が用いられている。この材料としては、例えば超高分子ポリエチレン等の合成樹脂などが用いられている。
また、上の摺動部材6と固定部材5が接する部位と、左の摺動部材7とセンタブーム31とが接する部位と、右の摺動部材8とセンタブーム31とが接する部位との三つの部位は、正三角形の頂点に配置されており、1つの部位に対する他の2つの部位までの距離がそれぞれ等しくなるように配置されている。
それに対して支持フレーム2に台形リンク3を介して支持されているブーム30は、振り子状に揺動自在に台形リンク3に支持されるとともに、その重心がほぼ中央に配置されていることにより、台形リンク3に揺動自在かつ水平に支持されている。
また、ブーム30は、自然振り子式に振れることで、走行装置が左右に傾いても、水平に維持されることになり、特にブーム30を水平に維持するために制御する必要はなく、制御用プログラムを開発する必要もない。
したがって、複雑な制御用プログラムを開発するための開発コストや開発期間を必要としない。
また、各摺動部材6,7,8は、左右に間隔をあけて配置されるとともに、左右の摺動部材7,8と、上の摺動部材6とは、上下に間隔をあけて配置されており、これにより、ブーム30に前後方向の大きなモーメントが生じても、摺動部材6,7,8と、センタブーム31もしくは固定部材5との接触部分において、面圧が高くなるのを防止している。
農地が全体的に傾斜している場合には、1つには、傾斜方向と走行装置の走行方向とを一致させることで、ブーム30を農地に対して平行とすることが考えられる。
もう1つは、傾斜方向と走行方向が一致していない場合に、傾斜方向に対して走行装置の走行方向を常時一定に保つようにするとともに、予め、その状態で、農地とブーム30とが平行となるようにアクチュエータ4を用いてブーム30を傾けることが考えられる。
基本的には、左右の斜辺のどちらを長くするか、もしくは短くするかで、ブーム30を傾けられるので、アクチュエータ4は、左右の斜辺となる節のどちらか一方に設けられていればブーム30を傾けることが可能であるが、両方の節にアクチュエータ4を設けてもよい。
すなわち、上述のような場合には、基本的にセンタブーム31と、縮小されたり斜めとされたりしなかったサイドブーム32,33とにおいて薬剤の散布を行うか、縮小されたサイドブーム32,33の縮小部分も合わせて薬剤の散布を行うことになるが、これらの部分が、上述の重心位置gの移動により斜めとなり、薬剤散布が難しい状態となる。そこで、上述のアクチュエータ4を用いることで、ブーム30の角度を調整することが可能であることから、斜めとなったブーム30特にセンタブーム31が水平となるようにアクチュエータ4により、左右の斜辺となる節の長さを変更してやればよい。
また、農地が傾斜地の場合には、操作手段の操作時、すなわち、サイドブーム32,33の一方を伸縮もしくは起伏する直前の傾斜センサ51に検知されている傾斜角度を制御装置のメモリに記憶し、サイドブーム32,33を伸縮もしくは起伏させた間に、アクチュエータ4を制御して、傾斜センサ51に検知される傾斜角度がメモリに記憶された傾斜角度となるようにしてもよい。
サイドブーム32,33を伸縮もしくは起伏させるとともにアクチュエータ4を上述のように制御した後には、特に制御することなく、ブーム30は一方のサイドブーム32,33が縮小もしくは斜めに上げられていても、残りの部分が水平(傾斜地の場合に傾斜地の傾斜角度)に維持される。
なお、サイドブーム32,33の起伏は、アクチュエータ4と同様の例えばシリンダ装置により行われ、サイドブーム32,33の伸縮は、モータとワイヤ等を用いて行われる。
また、図示しない制御装置は、操作手段の操作によりサイドブーム32,33が伸縮もしくは起伏される際に、一対のサイドブーム32,33のうちの片方だけが伸縮もしくは起伏される場合に、前記操作手段の操作に対応してアクチュエータ4を制御し、かつ、傾斜センサ51に検知される傾斜角が0となるようにする。なお、薬剤を散布する農地が傾斜地でブーム30をアクチュエータ4を制御して傾斜した状態としている場合には、操作手段の操作時、すなわち、サイドブーム32,33を伸縮もしくは起伏する直前の傾斜センサに検知される傾斜角度を上述のように記憶し、記憶された傾斜センサが検知する傾斜角度を記憶された傾斜角度となるように、サイドブームを伸縮もしくは起伏させる操作間にアクチュエータ4を制御する。
したがって、走行装置が停止した状態で、ブーム30を水平にするようにアクチュエータ4を制御するだけの単純な制御プログラムを開発すればよいので、制御プログラムの開発に大きなコストがかかったり、長い開発期間が必要となることがない。
3 台形リンク
4 アクチュエータ
5 固定部材
6 摺動部材
7 摺動部材
8 摺動部材
30 ブーム
31 センタブーム
32 左サイドブーム
33 右サイドブーム
40 ノズルパイプ
41 ノズル
51 傾斜センサ
64 当接部材
Claims (6)
- 走行装置に備えられるとともに、薬剤を散布する複数のノズル(41)を備えたノズルパイプ(40)を支持し、薬剤を散布するために前記走行装置の左右に延出するブーム(30)と、
前記走行装置に対して前記ブーム(30)を水平に支持するブーム支持装置(1)とを備えたブームスプレーヤであって、
前記ブーム支持装置(1)は、上辺となる節(21)と、下辺となる節(31)と、上辺と下辺とを左右でそれぞれ繋ぐ一対の斜辺となる節(3a,4)とから概略台形となる台形リンク(3)を備え、
上辺となる節(21)が前記走行装置側に固定して設けられ、下辺となる節(31)が前記ブーム(30)側に固定して設けられることにより前記台形リンク(3)を介して前記ブーム(30)が前記走行装置に対して振り子状に揺動自在となっていることを特徴とするブームスプレーヤ。 - 前記台形リンク(3)の一対の斜辺となる節(3a,4)の少なくとも一方に、当該節の長さを伸縮駆動させるアクチュエータ(4)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のブームスプレーヤ。
- 前記ブーム(30)は、中央に配置されるセンタブーム(31)と、左に延出する左サイドブーム(32)と、右に延出する右サイドブーム(33)とを備えるとともに、左右の前記サイドブーム(32,33)が起伏および伸縮のうちの少なくとも一方を可能とされ
当該サイドブーム(32,33)を起伏もしくは伸縮させるための操作手段と、
前記センタブーム(31)の傾斜角を検知する傾斜センサ(51)と、
前記操作手段に対する操作に基づいてサイドブーム(32,33)を起伏もしくは伸縮させる制御手段とを備え、
前記制御手段は、左右の前記サイドブーム(32,33)のうちの一方のサイドブーム(32,33)を起伏もしくは伸縮する前記操作手段に対する操作が行われた場合に、前記傾斜センサ(51)に検知された傾斜角度を所定角度とするように前記アクチュエータ(4)を作動させることを特徴とする請求項2に記載のブームスプレーヤ。 - 前記走行装置側に固定され、前記ブーム(31)および当該ブーム(30)に固定された部材(5)のうちの少なくとも一方を前後方向から挟み、前記ブーム(31)もしくは当該ブーム(30)に固定された部材(5)に対して相対的に摺動自在な摺動部材(6,7,8)を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のブームスプレーヤ。
- 前記摺動部材(6,7,8)を、左右方向と上下方向とにそれぞれ間隔をあけて複数設けたことを特徴とする請求項4に記載のブームスプレーヤ。
- 前記摺動部材(6,7,8)の前記ブーム(30)もしくは当該ブーム(30)に固定された部材(5)に接触する部分(64)を、前記ブーム(30)に比較して耐磨耗性および耐薬品性が高く、かつ、摩擦係数の低い材質で構成していることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のブームスプレーヤ。
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