JP4757989B2 - 孔版印刷装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は版胴及びこれを回転駆動する版胴駆動手段を有する孔版印刷装置に関し、詳しくは版胴駆動手段からの駆動力を版胴に伝達する駆動力伝達手段の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、簡便な印刷方法としてデジタル式感熱孔版印刷が知られている。これは、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせてなる感熱孔版マスタ(以下「マスタ」という)に微細な発熱素子が1列に並んだサーマルヘッドを接触させ、この発熱素子に対し原稿画像に応じてパルス的に通電を行いつつマスタをプラテンローラー等の搬送手段で搬送することにより、マスタの熱可塑性樹脂フィルムに画像情報に基づいた穿孔画像を熱溶融穿孔製版した後、この穿孔製版されたマスタを多孔性円筒状の版胴に巻装させ、プレスローラー等の押圧部材によって印刷用紙を版胴の外周面に押圧させることで、版胴の開孔部及びマスタの穿孔部から滲出したインキを印刷用紙に転移させて印刷画像を得るものである。
この孔版印刷装置では、図15、図16に示すように、筐体1の後側側板に図示しない版胴を回転駆動させるメインモーター2がブラケット3を介して取り付けられている。メインモーター2としては、版胴を回転させるために出力トルクを高くする都合上、モーター部2aと減速機部2bとを有する減速機付モーターが使用されている。
【0003】
ここで、メインモーター2の構造を簡単に説明する。
図17に示すように、メインモーター2を構成するモーター部2aと減速機部2bとは、複数のねじ2iによって一体化されている。モーター部2aの内部には回転自在なモーター軸2cが配設されており、その先端部にはギヤ部2dが形成されている。減速機部2bの内部には出力軸2eが複数の軸受2f,2gによって回転自在に支持されており、出力軸2eにはギヤ部2dに噛合するプラスチックギヤ2hが一体的に取り付けられている。
上述の構成により、モーター部2a内に電流が流れるとモーター軸2cが回転し、この回転力がギヤ部2d及びプラスチックギヤ2hを介して出力軸2eに伝達される。ここで、プラスチックギヤ2hを使用する理由は、金属製のギヤを用いると面圧不足による耐久性の劣化、加工コストが高い、騒音の増加といった各種の問題点が発生するためである。
【0004】
メインモーター2の出力軸2eの中程には図15、図16、図18に示すように小径のタイミングプーリー4が取り付けられており、その端部寄りの部位は軸受5を介して筐体1に取り付けられたブラケット6に回転自在に支持されている。また、出力軸2eのブラケット6より突出した端部にはギヤ7が取り付けられており、ギヤ7はブラケット6に支持されたギヤ8と噛合して他の部位へ駆動力を伝達している。ブラケット6には2個のテンションプーリー9,10及び排紙用タイミングプーリー11(図18参照)がそれぞれ回転自在に支持されており、テンションプーリー9は取付板12を介してブラケット6に揺動自在に取り付けられている。
タイミングプーリー4及び排紙用タイミングプーリー11にはタイミングベルト13が掛け渡されており、このタイミングベルト13は駆動軸14に固着された大径のタイミングプーリー15に掛け渡されていて、メインモーター2の駆動力が駆動軸14を介して版胴に伝達され、版胴が回転する構造となっている。また、版胴に接離可能に設けられた図示しない圧胴に対してもタイミングプーリー15を介して駆動力が伝達されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述の構成を有する孔版印刷装置では、多種多様な用紙を用いて印刷が行われる。この印刷時において、厚紙を用いた印刷時あるいは重送発生時に用紙搬送ジャムが発生すると、厚紙や重送されて重なった用紙は変形しにくいために版胴あるいは圧胴の回転運動に支障を来し、このときに版胴あるいは圧胴がこれらの用紙を無理矢理押し退けて回転しようとするため、メインモーター2は瞬時に最大トルクを出力する。このトルクは版胴あるいは圧胴に作用した後、タイミングプーリー15、タイミングプーリー4を経由してメインモーター2の減速機部2bに作用することとなる。
【0006】
上述した駆動機構ではこのような急激なトルクを逃がす機構を有していないため、急激なトルクが作用した場合には強度的に一番弱い減速機部2bのプラスチックギヤ2hが破損し、メインモーター2を交換しなくてはならないという問題点が発生していた。また、図示してはいないがタイミングプーリー15から圧胴に駆動力を伝達する部分にもプラスチックギヤが多く使用されており、タイミングによってはプラスチックギヤ2hが破損する前にこのプラスチックギヤが破損する場合もある。この場合でもユーザーサイドでの補修は不可能であり、長時間にわたって印刷作業が中断されてしまうという問題点があった。なお、薄紙が単独でジャムした場合には、用紙が変形し易いために版胴や圧胴のロック状態は発生しにくく、ギヤの破損は起こりにくい。
【0007】
また、版胴や圧胴がロックし、モーターに対して急激なトルクが作用してモーターに異常電流が流れた場合にこれを検知してモーターの作動を停止させる機能を有するものがあるが、発生する電流値とトルクとの関係が正確ではないために検知前にプラスチックギヤ2hが破損してしまい、瞬間的な高トルクの発生には時間的に対応できていなかった。
【0008】
本発明は、上述の問題点を解決し、急激なトルクの発生時においても版胴駆動機構を保護し、高価な部品交換や長時間にわたる補修作業を必要とすることなく、安価でかつ速やかな復旧を行うことが可能な版胴駆動機構を備えた孔版印刷装置を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、版胴と、前記版胴を回転駆動する版胴駆動手段と、前記版胴駆動手段からの駆動力を前記版胴に伝達するベルトまたはチェーンを有する駆動力伝達手段とを有し、前記駆動力伝達手段は前記版胴駆動手段が過負荷状態となったときにこれを逃がすトルクリミッターを有し、前記トルクリミッターは前記版胴駆動手段に接続された内輪と前記ベルトまたはチェーンに接続された外輪とを有し、前記外輪に所定値以上の負荷が作用したときに前記内輪に対して前記外輪が空転する孔版印刷装置において、前記版胴駆動手段の回転数に対する前記版胴の回転数である減速比が整数に0.5を加えた数であって、印圧が負荷されたときに前記トルクリミッターに作用する最大トルクの作用位置が前記版胴の1回転毎に180度ずれる構成であり、前記トルクリミッターは不動部材との相対的な位置を示す指標を前記外輪に有することを特徴とする。
【0016】
【実施例】
図1は、本発明の第1の実施例を採用した孔版印刷装置の要部概略図である。本実施例において、従来技術で示した構成と同様のものには同様の構成を付し、個々の詳細な説明は省略する。同図において、符号16は版胴を、符号17は圧胴をそれぞれ示している。
版胴駆動手段としてのメインモーター2の出力軸2eの中程には図1、図2に示すように過負荷保護装置としての回転力伝達部材18が取り付けられており、出力軸2eの端部には軸受19を介してギヤ7と同様の働きをするギヤ20が取り付けられている。回転力伝達部材18にはタイミングベルト13が巻き掛けられており、タイミングベルト13は排紙用タイミングプーリー11及びタイミングプーリー15に巻き掛けられ、各テンションプーリー9,10によって所定の張力を付与されている。
【0017】
タイミングプーリー15の同軸上には小径のギヤ21が一体的に設けられており、このギヤ21は筐体1に支持されたブラケット22に回転自在に支持されたギヤ23に噛合している。ギヤ23の同軸上にはギヤ23よりも小径のギヤ24が一体的に設けられており、ギヤ24は駆動軸14(図15参照)に回転自在に支持されたギヤ25と噛合している。また、ギヤ25の同軸上にはギヤ25よりも大径のタイミングプーリー27が一体的に取り付けられており、タイミングプーリー27にはタイミングベルト28が巻き掛けられている。またタイミングベルト28は、筐体1の図示しない側板に回転自在に支持された支軸29に取り付けられたタイミングプーリー30にも巻き掛けられ、メインモーター2の回転駆動力は支軸29にタイミングプーリー30と一体的に設けられたギヤ31に伝達される。
【0018】
ギヤ31の近傍には、筐体1の図示しない側板に回転自在に支持され、圧胴17を支持する圧胴駆動軸32が配設されており、その端部にはギヤ31と噛合するギヤ33が取り付けられている。また、ギヤ33の配設位置とギヤ31を介して対向する位置には、ギヤ31に噛合するギヤ34が配設されている。ギヤ34は、筐体1の図示しない側板に回転自在に支持された支軸35の端部に取り付けられており、支軸35には圧胴17に対して所定の印圧を付与するための2個の印圧カム36が取り付けられている。
【0019】
上述の構成より、メインモーター2が回転駆動され回転力伝達部材18が図1において時計回り方向に回転されると、タイミングベルト13により回転力伝達部材18と駆動連結されたタイミングプーリ15が回転することで版胴16が時計回り方向に回転駆動される。また、タイミングプーリー15と一体的に回転するギヤ21に噛合したギヤ23、ギヤ23と一体的に回転するギヤ24に噛合したギヤ25、ギヤ25と一体的に回転するタイミングプーリー27とタイミングベルト28によって駆動連結されたタイミングプーリー30、タイミングプーリー30と一体的に回転するギヤ31に噛合したギヤ33を介して、圧胴17が図1の反時計回り方向に回転駆動される。これらの構成のうち、タイミングベルト13、タイミングプーリー15、回転力伝達部材18、各ギヤ21,23,24,25、各タイミングプーリー27,30、各ギヤ31,33等によって駆動力伝達手段37が構成されている。
【0020】
回転力伝達部材18は、図2、図3、図4に示すように、固定部材38と回動部材39と後述するシヤーピン40とから主に構成されている。
固定部材38は、図4に示すように、ボス部38a、フランジ部38b、摺動部38cを有している。固定部材38の中心部には出力軸2eが嵌合可能な穴38dが穿設されており、ボス部38aには穴38dに向かって形成された2箇所のタップ38eが、それぞれの角度が90度となるように配設されている。フランジ部38bには2箇所のザグリ穴38fが形成され、摺動部38cの端部寄りには止め輪用の切欠38gが形成されている。
【0021】
回動部材39はその中心に摺動部38cに対して嵌合可能な穴39aを有しており、一側面をフランジ部38bに突き当てる態様で固定部材38に嵌合される。回動部材39の一側面側には溝部39bが形成され、他側面側にはフランジ部38bと同じ高さまで突出したフランジ部39cが形成されており、フランジ部39cを除く外周面にはタイミングベルト13を巻き掛けるための複数の歯部39dが形成されている。また一側面には、フランジ部38bに形成された各ザグリ穴38fに対応した位置にそれぞれタップ39eが形成されている。
【0022】
上述の構成をなす回転力伝達部材18は、各ザグリ穴38fと各タップ39eとを合わせた状態で固定部材38と回動部材39とを嵌合させ、各部材38,39を2本のねじによって固定した状態で、シヤーピン40を嵌合させるための同径の嵌合穴38h,39fを、フランジ部38bから軸方向に向けて同時加工で形成する。またフランジ部38bには、穴38dを介して嵌合穴38hと対向する位置に、嵌合穴38hよりも大径であって後述するシヤーピン40の第2嵌合部40bよりも大径に形成された排出穴38iが形成されており、回動部材39の他側面には、嵌合穴39fと貫通する嵌合穴39fよりも大径の穴39gが穿設され、穴39gにはタップ39hが形成されている。各嵌合穴38h,39fの形成後、各部材38,39を固定していた2本のねじは取り外される。
【0023】
図5は、各嵌合穴38h,39fに挿入されるシヤーピン40を示している。シヤーピン40は、嵌合穴38hに挿入される第1嵌合部40a、嵌合穴39fに挿入される第2嵌合部40b、各嵌合部40a,40bを繋ぐ接続部40cを有している。第1嵌合部40aは嵌合穴38hに対してすきまばめとなるように、また第2嵌合部40bは嵌合穴39fに対してしまりばめとなるようにそれぞれの径が設定されている。接続部40cは、所定の剪断荷重以上のトルクが作用したときに切断するよう、くびれた形状を呈している。
【0024】
回転力伝達部材18の組立は、先ず回動部材39の嵌合穴39fにシヤーピン40の第2嵌合部40bを圧入し、この状態で回動部材39を固定部材38に嵌合させる。このときにシヤーピン40の第1嵌合部40aと固定部材38の嵌合穴38hとを位置合わせし、各部材38,39の嵌合時に第1嵌合部40aを嵌合穴38hに嵌合させる。次に、回動部材39の他側面側から、図6に示す抜け止め用ねじ41をタップ39hに螺合させる。抜け止め用ねじ41は、タップ39hに螺合するねじ41cが形成されたねじ部41aと嵌合穴39fに嵌入可能な太さに形成された押さえ部41bとを有しており、ねじ部41aには六角レンチを嵌入可能な六角穴41dが形成されている。抜け止め用ねじ41の長さは穴39gの深さよりも若干短く形成されている。タップ39hに抜け止め用ねじ41を螺合させた後、回動部材39のタップ39h形成位置近傍に形成されているタップ39iになべ小ねじ42(図2参照)を螺合させる。タップ39iの形成位置は、なべ小ねじ42の螺合時にその頭部がねじ部41aの端面の一部を覆う位置に設定されている。最後に切欠38gにE止め輪43(図2参照)を嵌入させることで回転力伝達部材18の組立が完了し(図7参照)、回転力伝達部材18は穴38dに出力軸2eを嵌入された後、2本の図示しない止めねじを各タップ38eに螺合されることでメインモーター2に組み付けられる。
【0025】
上述した回転力伝達部材18を有する駆動力伝達手段37を具備した孔版印刷装置によれば、厚紙あるいは重送用紙のジャム等によってメインモーター2が高トルクを出力した際に、この高トルクに応じた剪断荷重によってシヤーピン40の接続部40cが切断されることにより固定部材38と回動部材39との固定状態が解除され、メインモーター2に取り付けられた固定部材38のみが空転することにより、メインモーター2内部のプラスチックギヤ2hあるいは駆動力伝達手段37に設けられたプラスチックギヤの破損を防止することができる。
【0026】
現場での切断されたシヤーピン40の交換は次の手順で行われる。
先ず、回転力伝達部材18を出力軸2eより抜き取り、なべ小ねじ42及びE止め輪43を取り外した後に固定部材38と回動部材39とを相対的に回転させ(シヤーピン40が切断されているので回転可能である)、切断されて嵌合穴39f内に残っているシヤーピン40の第2嵌合部40bと排出穴38iとを合致させる。この状態で抜け止め用ねじ41をさらにねじ込み、押さえ部41bによって嵌合穴39f内から第2嵌合部40bを押し出すことにより、図8(a)に示すように第2嵌合部40bよりも大径の排出穴38iより第2嵌合部40bを排出することができる。なお、嵌合穴38h内に残っているシヤーピン40の第1嵌合部40aは、第1嵌合部40aの径が嵌合穴38hよりも小径であるため簡単に取り外すことができるが、切断時において接続部40cの破片等が噛み込む等して取り外しが困難である場合には、第2嵌合部40bの除去後に抜け止め用ねじ41を用いて第2嵌合部40bと同様に除去すればよい。なお、回動部材39に溝部39bが形成されているので、接続部40cの破片は主に溝部39b内に貯留され、他の部分には噛み込みにくくなるように構成されている。
【0027】
切断されたシヤーピン40の除去が完了した後、新しいシヤーピン40が装着される。新しいシヤーピン40の装着は、固定部材38と回動部材39とを相対的に回転させ、各嵌合穴38h,39fを一直線上に合致させた状態で行われる。この状態で図8(b)に示すようにタップ39h内にシヤーピン40を挿入すると、シヤーピン40は第1嵌合部40aが嵌合穴39fを通過する位置まで楽に挿入され、この状態から図8(c)に示すように抜け止め用ねじ41をタップ39hに螺合させることにより、第2嵌合部40bが嵌合穴39fに嵌合する手前の位置までシヤーピン40を楽に挿入することができる。このとき、第1嵌合部40aは嵌合穴38h内に入り込んでおり、固定部材38と回動部材39とは相対的に位置決めがなされている。
【0028】
第2嵌合部40bが嵌合穴39fに嵌合した後は、抜け止め用ねじ41の推力によってシヤーピン40が押し込まれ、ねじ部41aの端面が回動部材39の他側面と同一面となるまで抜け止め用ねじ41がねじ込まれると、シヤーピン40の装着が完了する。その後、図8(d)に示すように切欠38gにE止め輪43を嵌合させ、タップ39iになべ小ねじ42を螺合させることでシヤーピン40の交換作業が完了する。この一連の作業時において、タップ39hと抜け止め用ねじ41とによって押し出し機構44が構成されている。
【0029】
このように、本発明による回転力伝達部材18を備えた駆動力伝達手段37を用いることにより、印刷作業現場におけるシヤーピン40の交換作業を簡単に行うことができるため長時間にわたって作業を中断させることがなく、かつメインモーター2内部のプラスチックギヤ2hあるいは駆動力伝達手段37に設けられたプラスチックギヤの破損を防止することができるので、コストダウンと印刷効率の向上とを同時に達成することが可能となる。
【0030】
図9は、本発明の第2の実施例を採用した孔版印刷装置の要部概略図である。本実施例は、第1の実施例と比較すると駆動力伝達手段37のうちの回転力伝達部材18をトルクリミッター45に代えた点においてのみ相違しており、従来技術及び第1の実施例で示した構成と同様のものには同様の符号を付し、個々の詳細な説明は省略する。
【0031】
メインモーター2の出力軸2eの中程には図9、図10に示すように過負荷保護装置としてのトルクリミッター45が取り付けられており、出力軸2eの端部には軸受46及びシールドスリーブ47を介してギヤ48が取り付けられている。シールドスリーブ47は、図9、図11に示すように、ブラケット6に取り付けられたベアリングホルダー49に軸受50を介して回転自在に支持されており、ベアリングホルダー49のブラケット6に取り付けられた一側面と対向する他側面には、ギヤ51及びこれと一体的に設けられたタイミングプーリー52をそれぞれ回転自在に支持するベルト調整板53が取り付けられている。ベルト調整板53はベアリングホルダー49に揺動自在に取り付けられており、ベアリングホルダー49とベルト調整板53との間には引張ばね54が取り付けられている。ギヤ51はギヤ48と噛合しており、タイミングプーリー52には筐体1に回転自在に支持されたタイミングプーリー55との間にタイミングベルト56が掛け渡されていて、回転力を他の部位へ伝達している。
【0032】
トルクリミッター45は、図12に示すように内輪57、外輪58、2本のスプリング59等から主に構成されている。
内輪57は、ボス部57a、胴部57b、摺動部57c、溝部57dを有している。内輪57の中心部には出力軸2eが嵌合可能な穴57eが形成されており、ボス部57aには出力軸2eに固定するための止めねじ用のタップ57fが、90度の相対角度で2箇所形成されている。胴部57bの外周面には各スプリング59が装着される。摺動部57cには外輪58が装着され、溝部57dにはC止め輪60が取り付けられる。
【0033】
各スプリング59は、それぞれの内径が胴部57bの外形よりも僅かに小さくなるように巻成されており、胴部57bの外周面に所定のばね力で圧接している。各スプリング59はそれぞれの一端部が直角に曲げられ、立ち曲げ部59aを形成されている。各スプリング59は、各立ち曲げ部59aを固定して出力軸2eを回転させたときに胴部57bの外周面に対する接触力が緩む向きにそれぞれ取り付けられる。
【0034】
外輪58は、フランジ部58a,58b、摺動部58c、凹部58d、指標58eを有している。各フランジ部58a,58bは外輪58の両端面部に形成されており、フランジ部58aがフランジ部58bよりも大径に形成され、各フランジ部58a,58b間にはタイミングベルトと噛合するための複数の歯部58gが形成されている。外輪58の中心部には各スプリング59が嵌入可能な凹部58dが形成されており、凹部58dには各スプリング59の立ち曲げ部59aがそれぞれ嵌入し、外輪58と各スプリング59とが相対的に回転しないように構成されている。フランジ58bの内径には摺動部58cが形成されており、摺動部58cは摺動部57cに摺接する。フランジ部58a側の端面にはシールドスリーブ47を取り付けるための4個のタップ58fが形成されており、フランジ部58bの外周面の一部には指標58eが形成されている。指標58eは、本実施例において、図13に示すように版胴16がホームポジションで停止しているときに鉛直線から18度傾いた位置にホームポジションを設定されており、ブラケット3には指標58eをホームポジションに合わせるための切欠部3aが形成されている。歯部58gには、図11に示すようにタイミングベルト13が掛け渡される。
【0035】
上述の構成より、メインモーター2が作動して版胴16及び圧胴17が回転駆動されたとき、版胴16あるいは圧胴17に外力が作用してその回転が妨げられるとメインモーター2が高トルクを発生するが、このときに各スプリング59が緩んで胴部57bより離れ、内輪57のみが出力軸2eと共に回転することによりメインモーター2に負荷をかけることが防止され、メインモーター2内部のプラスチックギヤ2hあるいは駆動力伝達手段37に設けられたプラスチックギヤの破損を防止することができ、コストダウンと印刷効率の向上とを同時に達成することが可能となる。
【0036】
ここで、外輪58に指標58eを設ける理由について説明する。
第2の実施例に用いられるトルクリミッター45の歯部58gの歯数は20枚、タイミングプーリー15の歯数は50枚にそれぞれ設定されており、トルクリミッター45とタイミングプーリー15との間の減速比は2.5に設定されている。これらの歯数及び減速比は強度等に基づいて設定されており、簡単には変更できない。
【0037】
上述のように減速比が2.5であるため、トルクリミッター45内に設けられている各スプリング59の立ち曲げ部59aの位置は、図14の分図(a)と分図(b)、あるいは分図(c)と分図(d)に示すように、1回転毎に180度ずれた位置となる。図中、符号Fはタイミングベルト13の張力により発生する力の方向を、符号Tは印圧負荷開始時のトルクの方向をそれぞれ示している。印圧負荷開始時は圧胴17が急激に版胴16に圧接して印圧がかかる位置であり、メインモーター2のトルク変動が一番大きくなることでトルクリミッター45に最大トルクが作用する位置である。また、図中に破線で示す外輪58の摺動部58cは、タイミングベルト13の張力Fによって図の上方に向けて押され、図示するように変形しているものと考えられる。
【0038】
上述の構成から、分図(a)及び分図(b)に示した構成では、張力F及びトルクTが共に上下方向に作用し左右方向の力が作用しないことから、分図(a)に示す状態と分図(b)に示す状態とではあまり差がない。
ところが、分図(c)及び分図(d)に示した構成では、トルクTが左右方向に作用しており、張力Fとは作用方向が異なっている。このため分図(c)に示した状態では、張力FとトルクTの作用位置が離れていることから外輪58がトルクTの作用方向に回転し易くなり位置が不安定となる一方、分図(d)に示した状態では張力FとトルクTの作用位置がほぼ同じであり、外輪58は張力Fで押さえつけられることで回転しにくくなっている。この差により、版胴16の回転毎に用紙の圧胴17への供給位置がばらつくという問題点が発生していた。
これらのことから、版胴16がホームポジションを占めているとき、立ち曲げ部59aの位置が図14の分図(a)または分図(b)に示す状態となるように位置設定することが必要であり、この位置設定のために指標58e及び切欠部3aが設けられている。
【0039】
上記各実施例の変形例として、回転力伝達部材18あるいはトルクリミッター45に代えて、出力軸2eにトレランスリング(ISO9002)を嵌合させ、このトレランスリングを介してタイミングプーリー4を取り付ける構成としても同様の作用効果を得ることができる。
さらに、上記各実施例及び変形例では、メインモーター2の出力軸2eに過負荷保護装置である回転力伝達部材18、トルクリミッター45、トレランスリングを取り付ける構成としたが、過負荷保護装置は駆動力伝達手段37の他の位置、例えばタイミングプーリー15、各ギヤ21,23,24,25、各タイミングプーリー27,30、各ギヤ31,33等に取り付けられていてもよい。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、駆動力伝達手段が過負荷保護装置を有しているので、厚紙あるいは重送用紙のジャム等によって版胴駆動手段が高トルクを出力した際に、過負荷保護装置が高トルクの出力に伴う負荷を逃がす働きをすることにより、駆動力伝達手段あるいは版胴駆動手段の破損を防止することができ、コストダウンと印刷効率の向上とを同時に達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を採用した孔版印刷装置の要部概略斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施例を示すメインモーター周辺の断面図である。
【図3】本発明の第1の実施例に用いられる回転力伝達部材の側面図である。
【図4】本発明の第1の実施例に用いられる回転力伝達部材の正面断面図である。
【図5】本発明の第1の実施例に用いられるシヤーピンを説明する概略図である。
【図6】本発明の第1の実施例に用いられる抜け止め用ねじを説明する概略図である。
【図7】本発明の第1の実施例に用いられる回転力伝達部材の組み付け状態を示す側面図である。
【図8】本発明の第1の実施例に用いられる回転力伝達部材におけるシヤーピンの交換を説明する概略図である。
【図9】本発明の第2の実施例を示すメインモーター周辺の断面図である。
【図10】本発明の第2の実施例に用いられるトルクリミッターの組付けを示す概略図である。
【図11】本発明の第2の実施例における駆動力伝達手段を示す概略斜視図である。
【図12】本発明の第2の実施例に用いられるトルクリミッターの(a)左側面図(b)正面断面図(c)右側面図である。
【図13】本発明の第2の実施例に用いられるトルクリミッターに設けられた指標を説明するための概略図である。
【図14】本発明の第2の実施例に用いられるトルクリミッターに作用する外力を説明するための概略図である。
【図15】従来の孔版印刷装置の版胴駆動機構を示す分解斜視図である。
【図16】従来の孔版印刷装置のメインモーター周辺の断面図である。
【図17】従来の孔版印刷装置のメインモーターの部分断面図である。
【図18】従来の孔版印刷装置の駆動力伝達手段を説明する概略図である。
【符号の説明】
2 版胴駆動手段(メインモーター)
16 版胴
18 過負荷保護装置(回転力伝達部材)
37 駆動力伝達手段
38 固定部材
39 回動部材
40 シヤーピン
44 押し出し機構
45 過負荷保護装置(トルクリミッター)
58e 指標
Claims (1)
- 版胴と、前記版胴を回転駆動する版胴駆動手段と、前記版胴駆動手段からの駆動力を前記版胴に伝達するベルトまたはチェーンを有する駆動力伝達手段とを有し、前記駆動力伝達手段は前記版胴駆動手段が過負荷状態となったときにこれを逃がすトルクリミッターを有し、前記トルクリミッターは前記版胴駆動手段に接続された内輪と前記ベルトまたはチェーンに接続された外輪とを有し、前記外輪に所定値以上の負荷が作用したときに前記内輪に対して前記外輪が空転する孔版印刷装置において、
前記版胴駆動手段の回転数に対する前記版胴の回転数である減速比が整数に0.5を加えた数であって、印圧が負荷されたときに前記トルクリミッターに作用する最大トルクの作用位置が前記版胴の1回転毎に180度ずれる構成であり、前記トルクリミッターは不動部材との相対的な位置を示す指標を前記外輪に有することを特徴とする孔版印刷装置。
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