JP4757532B2 - 電子線用ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 - Google Patents
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Description
微細化の手法としては一般に露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、上述したように、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザー(248nm)が量産の中心となり、さらにArFエキシマレーザー(193nm)が量産で導入され始めている。また、F2エキシマレーザー(157nm)や極端紫外光(EUV)、電子線(EB)等を光源(放射線源)として用いるリソグラフィー技術についても研究が行われている。
近年の露光光源の短波長化および要求される寸法の微細化に伴い、レジスト材料には、これらの光源に対する感度と解像性のさらなる向上が求められており、たとえば特許文献1には、アルカリ可溶性ノボラック樹脂の全水酸基の一部が酸解離性溶解抑制基で保護された樹脂とオキシムスルホネート系酸発生剤とを含む化学増幅型ポジ型レジスト組成物が提案されている(たとえば特許文献1参照)。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、高解像性のレジストパターンを形成できるポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の第一の態様は、酸解離性溶解抑制基を有し、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分(A)、および放射線の照射により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有する電子線用ポジ型レジスト組成物であって、
前記樹脂成分(A)が、アルカリ可溶性ノボラック樹脂の全水酸基の一部が酸解離性溶解抑制基で保護された樹脂であって、アルカリ可溶性ノボラック樹脂と、下記一般式(I)で表される化合物との反応生成物であり、
前記酸発生剤成分(B)が、オキシムスルホネート系酸発生剤(B1)と、オニウム塩系酸発生剤(B2)とを含むことを特徴とする電子線用ポジ型レジスト組成物である。
また、本発明の第二の態様は、前記第一の態様の電子線用ポジ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を選択的に露光する工程、および前記レジスト膜をアルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法である。
また、本発明の第三の態様は、前記第一の態様の電子線用ポジ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を、g線、i線およびKrFエキシマレーザーから選ばれる少なくとも1種と、電子線とを用いて選択的に露光する工程、および前記レジスト膜をアルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法である。
本発明のポジ型レジスト組成物は、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分(A)(以下、(A)成分ということがある)と、放射線の照射(露光)により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分ということがある)とを含むものである。
前記(A)成分においては、露光により前記(B)成分から発生した酸が作用すると、(A)成分全体がアルカリ不溶性からアルカリ可溶性に変化する。そのため、レジストパターンの形成において、該ポジ型レジスト組成物からなるレジスト膜を選択的に露光すると、または露光に加えて露光後加熱すると、露光部はアルカリ可溶性へ転じる一方で未露光部はアルカリ不溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することによりポジ型のレジストパターンが形成できる。
本発明のポジ型レジスト組成物において、(A)成分は、アルカリ可溶性ノボラック樹脂の全水酸基の一部が酸解離性溶解抑制基で保護された樹脂である。
(A)成分において、酸解離性溶解抑制基で水酸基が全く保護されていない状態のアルカリ可溶性ノボラック樹脂(以下、ノボラック樹脂(a)という。)としては、特に制限されるものでなく、従来、ポジ型レジスト組成物において被膜形成物質として通常用いられ得るものとして提案されているものの中から任意に選ぶことができ、好ましくは、芳香族ヒドロキシ化合物と、アルデヒド類および/またはケトン類とを縮合反応させて得られるノボラック樹脂を挙げることができる。
これらのアルデヒド類の中では、入手のしやすさからホルムアルデヒドを用いることが好ましい。特に、耐熱性が良好であることから、ホルムアルデヒドと、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド等のヒドロキシベンズアルデヒド類とを組み合わせて用いるのが好ましい。
さらにまた、上記アルデヒド類とケトン類とを適宜組み合わせて用いてもよい。
ここで、本明細書における低分子量体には、例えばノボラック樹脂(a)の合成に用いた芳香族ヒドロキシ化合物、アルデヒド類、ケトン類等のモノマーのうち、反応せずに残った残留モノマー、該モノマーが2分子結合したダイマー、3分子結合したトリマー等(モノマーおよび2〜3核体等)が含まれる。
低分子量体の分別処理方法としては、特に限定はなく、例えば、イオン交換樹脂を用いて精製する方法や、当該樹脂の良溶媒(アルコールなど)と貧溶媒(水など)とを用いた公知の分別操作を用いることができる。前者の方法によれば低分子量体とともに、酸成分やメタル成分を除去することも可能である。
かかる低分子量体の分別除去処理における収率は50〜95質量%の範囲が望ましい。50質量%以上であると、後述の(B)成分から発生する酸の作用により、アルカリ水溶液に対する溶解性が充分に増大する。そのため、露光部と未露光部との間における溶解速度の差が大きくなり、解像性が良好である。また、95質量%以下であると、分別除去を行うことによる効果が十分に得られる。
また、Mwが500以下の低分子量体の含有量は、GPCチャート上15%以下、好ましくは12%以下であることが好ましい。15%以下とすることにより、レジストパターンの耐熱性向上効果が奏されるのと同時に、加熱処理時の昇華物の発生量を抑制する効果が奏される。
R1のアルキレン基が有していてもよい置換基としては、メチル基またはエチル基等が挙げられる。
また、当該アルキレン基は、主鎖にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。
一般式(II)中、R4は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10の分岐鎖状、直鎖状のアルキレン基であり、当該アルキレン基としては、R1のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
R4としては、特にメチレン基が好ましい。
かかる反応生成物中には、化合物(I)の末端の2つのビニル基のうちの一方がノボラック樹脂(a)中の水酸基に結合して形成される構成単位と、化合物(I)の末端の2つのビニル基の両方がノボラック樹脂(a)中の水酸基に結合して形成される構成単位の少なくとも一方が存在する。
ここで、構成単位とは、樹脂(重合体)を構成するモノマー単位を意味する。
なお、通常は、化合物(I)の片方の末端のみが結合した構成単位(例えば構成単位(1A))と、両方が結合した構成単位(例えば、構成単位(1B))の両方が存在する反応生成物が得られる。
R2は、前記ノボラック樹脂に関する記載の中で説明された芳香族ヒドロキシ化合物が、芳香環としてベンゼン環を有する芳香族ヒドロキシ化合物である場合において、該ベンゼン環に結合した置換基を表し、nは該置換基の数を示す。
R3は、前記ノボラック樹脂に関する記載の中で説明された、アルデヒド類および/またはケトン類に由来する基である。
また、かかる架橋構造は、たとえば上述したような酸解離性溶解抑制基よりも解離しやすく、(B)成分として、発生する酸の強度が強いとされているオニウム塩系酸発生剤に比べて酸の強度が弱いオキシムスルホネート系酸発生剤を用いた場合でも解離反応が進みやすい。そのため、露光部と未露光部との間の溶解コントラストが大きく、さらに高解像性のパターンを形成できる。
さらに、上述のような架橋構造が形成されることにより、(A)成分の分子量が増大し、たとえば架橋がない場合の2〜20倍程度に増大する。そのため、耐熱性がさらに向上し、たとえば形成されるレジストパターンをたとえば130℃以上の温度で加熱した場合でも、熱ダレ等の変形が生じることなく、その形状が維持される。したがって、MEMSの製造に好適に用いることができる。
化合物(I)の使用量は、ノボラック樹脂(a)100質量部に対して、1〜15質量部が好ましく、4〜8質量部がより好ましい。1質量部以上であると、レジストパターン未露光部の膜減りが小さく、レジストパターンのコントラストが大きくなる傾向があり、15質量部以下であると、現像液(アルカリ水溶液)に対する溶解性が良好で、感度に優れ、パターンが解像しやすい等の利点がある。
なお、ノボラック樹脂(a)と化合物(I)との反応においては、酸触媒を用いなくても反応は進行するので、酸触媒を用いることは必須ではなく、むしろ酸触媒等の酸成分が反応系中に存在するとレジスト調製後の保存安定性の点で好ましくない。なお、酸成分は、例えばノボラック樹脂(a)の合成時に用いる酸触媒、反応溶媒中に存在する遊離酸等の有機酸であり、ガスクロマトグラフィー等により分析することができる。
酸成分の除去方法としては、公知の方法を挙げることができ、例えばイオン交換樹脂の使用、純水洗い、アルカリによる中和などの方法を適用することができる。
そして、化合物(I)との反応前において、ノボラック樹脂(a)中の酸成分の濃度は0.1ppm以下、特に0.01ppm以下にしておくことが好ましい。
(A)成分の保護率は、たとえば、プロトンNMRにより測定できる。
低分子量体の分別処理方法、低分子量体の分別除去処理における収率、Mwが500以下の低分子量体の含有量等としては、上記ノボラック樹脂(a)の説明で述べたのと同様である。
(A)成分が、ノボラック樹脂(a)と化合物(I)との反応生成物ではない場合は、(A)成分の質量平均分子量(Mw)は、解像性および耐熱性を考慮すると、3000〜20000がより好ましく、4000〜15000がさらに好ましい。
(A)成分が、ノボラック樹脂(a)と化合物(I)との反応生成物である場合、該反応生成物の質量平均分子量(Mw)は、10000〜100000が好ましく、特には20000〜60000が好ましい。該Mwが10000以上となることにより、レジストパターンの耐熱性の向上効果がさらに向上する。
本発明のポジ型レジスト組成物は、(B)成分として、オキシムスルホネート系酸発生剤(B1)(以下、(B1)成分ということがある)と、オニウム塩系酸発生剤(B2)(以下、(B2)成分ということがある)とを含む必要がある。かかる(B)成分により、高解像性のレジストパターンが形成できる。
(B1)成分としては、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているオキシムスルホネート系酸発生剤のなかから任意に選択して使用することができる。
R21の有機基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
R21としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
R22としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
(B2)成分としては、特に制限はなく、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤のなかから任意に選択して使用することができる。
オニウム塩系酸発生剤としては、下記一般式(b−1)または(b−2)で表される化合物が挙げられる。
R1”〜R3”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n‐ブチル基、tert‐ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
R1”〜R3”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中で、R1”〜R3”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
前記直鎖のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、前記R1”で示したような環式基であって、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また。該フッ化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中のフッ素原子の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
R4”としては、直鎖または環状のアルキル基、またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
R5”〜R6”のアリール基としては、R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
R5”〜R6”のアルキル基としては、R1”〜R3”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R5”〜R6”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR4”としては上記式(b−1)のR4”と同様のものが挙げられる。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
これらは1種または2種以上混合して用いることができる。
また、(B)成分中、(B1)成分と(B2)成分との配合量の比(質量比)は、(B1):(B2)=99:1〜1:99の範囲内であることが好ましく、95:5〜50:50がより好ましく、90:10〜60:40がさらに好ましく、90:10〜70:30が最も好ましい。上記範囲内であると、本発明の効果に優れ、さらには良好なパターン形状、高感度等の利点がある。
本発明のポジ型レジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という)を配合させることが好ましい。
(D)成分としては、当該ポジ型レジスト組成物中の他の成分に対する相容性を有するものであれば良く、特に制限されるものではないが、例えば特開平9−6001号公報に記載の化合物を挙げることができる。
特に、下記一般式(X)で表される比較的嵩高い特定の塩基性化合物(d1)を配合することにより、経時的にポジ型レジスト組成物中に副生成するおそれのある酸成分の量を抑制する効果もあり、ポジ型レジスト組成物の長期保存安定性を向上させることができる。
(1)の炭素数4以上のアルキル基においては、炭素数が4以上であることにより、経時安定性の向上に有効である。炭素数はさらには5以上、特には8以上であることが好ましい。炭素数の上限値は、特に限定しないが、経時安定効果が認められ、また商業的に入手容易である点から、20以下が好ましく、特に15以下が好ましい。なお、20を超えると塩基性強度が弱くなり、保存安定性の効果が充分に得られないおそれがある。
(1)のアルキル基は直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよい。特に直鎖状が好ましく、具体的には、例えばn−デシル基、n−オクチル基、n−ペンチル基等が好ましい。
(2)の炭素数3以上の環状アルキル基においては、特に炭素数4〜8のシクロアルキル基が商業的に入手可能であり、かつ経時安定性を向上させる効果に優れ好ましい。特に炭素数が6であるシクロヘキシル基が好ましい。
(4)のアラルキル基は、側鎖を有する芳香族炭化水素の側鎖から水素原子1個を除いた基であり、一般式−R’−P(R’はアルキレン基、Pはアリール基)で表すことができる。Pのアリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基が好ましい。R’のアルキレン基は、炭素数は1以上であればよく、好ましくは1〜3である。
(4)のアラルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基等が好ましい。
(1’)の炭素数3以下のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよい。特にメチル基、エチル基が好ましい。
中でも、トリ−n−デシルアミン、メチル−ジ−n−オクチルアミン、トリ−n−ペンチルアミンから選ばれる1種以上が好ましく、特にトリ−n−デシルアミンが好ましい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
当該保存安定剤としては、有機溶剤の分解反応を抑制する作用を有するものであれば特に限定されず、例えば、特開昭58−194834号公報に記載されているような酸化防止剤を挙げることができる。酸化防止剤としては、フェノール系化合物とアミン系化合物が知られているが、特にフェノール系化合物が好ましく、中でも2,6−ジ(tert−ブチル)−p−クレゾール及びその誘導体が、エステル系溶剤、ケトン系溶剤の劣化に対して有効であり、商業的に入手可能、かつ安価であって、さらに保存安定効果に優れる点で好ましい。特にプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、2−ヘプタノンに対する劣化防止効果に極めて優れる。
本発明における染料とは、レジストパターンの形成において露光に用いられる放射線(露光光源)に対する吸収を有するものである。かかる染料を配合することにより、露光光源に対する感度を調節することができる。また、露光光源による定在波の影響が低減され、ラインエッジラフネス(LER)の低減、形成されるパターン寸法の面内均一性の向上、焦点深度幅の向上等が達成される。
有機溶剤としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類や、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、またはジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類およびその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
また、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と極性溶剤とを混合した混合溶媒は好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
有機溶剤の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が2〜60質量%、好ましくは5〜50質量%であり、さらに好ましくは5〜40質量%の範囲内となる様に用いられる。
なお、上記分解により副生成する酸成分としては、例えば2−ヘプタノンの場合、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等を生じることが確認されている。
本発明のレジストパターン形成方法は例えば以下の様にして行うことができる。
すなわち、まずシリコンウェーハのような基板上に、上記本発明のポジ型レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、60〜180℃の温度条件下、プレベークを10〜600秒間、好ましくは60〜90秒間施し、レジスト膜を形成する。
レジスト膜の膜厚は、特に制限はない。好ましくはレジスト膜を膜厚100nm〜10μm、さらに好ましくは200nm〜5μmといった厚膜が好ましい。本発明によれば、かかる厚膜のレジスト膜を形成した場合であっても高解像性のレジストパターンを形成できる。そのため、たとえば7以上の高アスペクト比のレジストパターンを得ることができる。かかる高アスペクト比のレジストパターンは、メッキ耐性、イオン性エッチング耐性、ドライエッチング耐性等の種々の耐性に優れるため、たとえば後述するMEMSの製造等において好適に用いられる。
該レジスト膜に対し、電子線描画装置などにより、電子線を所望のマスクパターンを介してまたは介さずに選択的に露光する。すなわちマスクパターンを介して露光する、またはマスクパターンを介さずに電子線を直接照射して描画した後、80〜150℃の温度条件下、加熱処理(ポストエクスポージャーベーク(PEB))を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。次いでこれをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用いて現像処理することによりレジストパターンを形成できる。
なお、基板とレジスト組成物の塗布層との間には、有機系または無機系の反射防止膜を設けることもできる。
まず、ミックスアンドマッチについて説明する。
現在、高解像性のパターンを形成する手段として、上述したような材料の面からだけでなく、プロセスの面からも検討が行われている。
たとえば、基板上に、有機膜と、シリカ系の無機膜からなる中間膜と、レジスト膜とを積層した積層体を用いる3層レジスト法や、3層レジスト法よりも工程数が少ない点で優れた2層レジスト法(例えば、特開平6−202338号公報,特開平8−29987号公報参照)などの多層レジスト法が提案されている。かかる多層レジスト法においては、高解像性を実現できる可能性がある。
しかし、多層レジスト法は、プロセス数の増大、歩留りの悪化等によるスループットの低下やコストの問題がある。
スループットの問題は、電子線を用いたリソグラフィープロセスにおいて特に重大である。かかるリソグラフィープロセスにおいては、高解像性を実現できる可能性があるが、露光は通常、真空中で、所望のマスクパターンを介した露光または直接描画により行われている。そのため、減圧操作やパージ操作等を行う必要があることから、エキシマレーザー等を用いたプロセスに比べて時間がかかる。また、特に電子線による直接描画では、基板全体にパターニングを行うには非常に長い時間がかかってしまう。
そこで、近年注目されているのが、2種以上の光源を用いて露光を行うミックスアンドマッチという方法である。
この方法では、たとえば、通常はパターン全体を、微細パターンの形成に必要な光源、たとえば電子線を用いて形成するところを、微細パターンについては電子線を用い、あまり高解像性が要求されないラフパターンについてはそれ以外の光源、たとえばKrFエキシマレーザーを用い、マスクパターンを介して一括して露光し、ラフパターンの形成に要する時間を短縮することにより、スループットを向上させることができるとされている。
しかし、一般的に、レジスト材料の組成は、上述したように、使用する露光光源の種類によって異なり、複数の光源、たとえば3種以上の光源には感度を有していない。たとえばg線やi線での露光に用いられている非化学増幅型レジストは、通常、KrFエキシマレーザーや電子線に感度を有していないため、これらの光源を用いたミックスアンドマッチに使用できない。そのため、ミックスアンドマッチに使用できる光源の組み合わせには制限がある。
そこで、これらのいずれの光源を用いたミックスアンドマッチにおいても使用可能なレジスト材料に対する要求が高まっている。なかでも、高解像性のパターンを形成できる電子線とそれ以外の光源との組み合わせ、特に一般に広く使用されており低コストのg線および/またはi線との組み合わせでのミックスアンドマッチに使用できるレジスト材料が強く求められている。
本発明のポジ型レジスト組成物は、上述したように、解像性に優れており、しかも、g線、i線、KrFエキシマレーザーおよび電子線の照射により酸を発生しやすいオキシムスルホネート系酸発生剤(B1)を含有することから、g線、i線、KrFエキシマレーザーおよび電子線のいずれに対しても感度を有している。そのため、露光光源として、g線、i線、KrFエキシマレーザーおよび電子線のいずれを選択しても、ミックスアンドマッチを行うことができるが、本発明の電子線用ポジ型レジスト組成物を用いてミックスアンドマッチを行う場合、露光光源として、少なくとも電子線を用いる必要がある。そのため、上記工程は、g線、i線およびKrFエキシマレーザーから選ばれる少なくとも1種と、電子線とを用いて露光する工程であることが好ましい。この場合、微細パターン、たとえば寸法が200nm以下の微細パターンについては電子線を用いて形成し、それよりもラフなパターン、例えば寸法が200nmを越えるパターンについてはg線、i線またはKrFエキシマレーザーを用いて形成する。これにより、たとえば電子線のみを用いる場合に比べ、スループットを大幅に向上させることができる。
さらに、露光装置が安価で、コストが低減できること等を考慮すると、g線および/またはi線を用いることが好ましい。すなわち、上記工程は、g線および/またはi線と、電子線とを用いて露光する工程であることが好ましい。
特に、露光光源として2種の露光光源を用いる場合は、i線と電子線とを用いることが好ましい。
まず、上記と同様にしてレジスト膜を形成する。
該レジスト膜に対し、g線、i線、KrFエキシマレーザーおよび電子線から選ばれる1種(第一の露光光源)を用いて、所望のマスクパターンを介してまたは介さずに選択的に露光する。すなわちマスクパターンを介して露光する、またはマスクパターンを介さずに電子線を直接照射して描画する。
次いで、該レジスト膜に対し、g線、i線、KrFエキシマレーザーおよび電子線から選ばれる、前記第一の露光光源以外の1種(第二の露光光源)を用いて、所望のマスクパターンを介してまたは介さずに選択的に露光する。
選択的露光後、上記と同様にしてPEBを施し、これをアルカリ現像液を用いて現像処理することにより、レジストパターンを形成できる。
第一の露光光源および第二の露光光源の組み合わせとしては、一方が電子線であればよく、他方の光源としては、g線、i線およびKrFエキシマレーザーから任意に選択できる。本発明においては、特に、上述したように、g線および/またはi線と電子線との組み合わせがより好ましく、i線と電子線との組み合わせが最も好ましい。
次に、MEMSの製造プロセスにについて説明する。
MEMSは、立体的微細加工技術であるマイクロマシニング技術により、基板上に様々な微細構造体(センサ等の機能素子、電極、配線、バンプ、リード等の接続端子など)が集積化された高度な小型システムである。MEMSは、磁気記録媒体の磁気ヘッド等の各種センサ等として、情報通信、自動車、医療、バイオなど様々な分野への展開が期待されている。
かかるMEMSの製造に用いられるマイクロマシニング技術には、リソグラフィー技術が利用されている。たとえば、特開2002−110536号公報には、特定の形状のレジストパターンを用いて磁気ヘッド等のマイクロデバイスを製造する方法が記載されている。
MEMSのさらなる微細化が進む中、レジスト材料には、微細加工を施すために、高解像性のレジストパターンを形成できることが求められている。
微細化の手法としては、上述したように、露光光源の短波長化が一般的であり、最近では、電子線を用いたMEMS製造プロセスに適用可能なレジスト材料として、電子線に対して感度を有し、かつ高解像性のパターンを形成できるレジスト材料に対する要求が高まっている。
しかし、たとえば樹脂成分としてPHS系樹脂の水酸基を酸解離性溶解抑制基で保護した樹脂などを用いた従来の化学増幅型のポジ型レジスト組成物は、電子線に対して感度を有するとされているものの、MEMSの製造において必要とされる種々の耐性が充分でないという問題がある。
すなわち、MEMSの製造においては、リソグラフィー工程とともに、メッキ法等により、配線等の導体構造体を形成する工程が行われる。また、ドライエッチング、リンやホウ素などの不純物を真空中でイオン化し、高電界で加速して基板表面に打ち込むイオンインプランテーション(以下、インプラントという)、イオンミリング等のイオン性エッチングなど、様々な工程が行われており、たとえば磁気ヘッドの製造においては、レジストパターンを用いて磁性膜のイオン性エッチングが行われている。また、これらの工程においては、レジストパターンが加熱されることが多い。そのため、MEMSの製造に用いられるレジスト材料には、メッキ耐性、耐熱性、ドライエッチング耐性、インプラント耐性、イオン性エッチング耐性、基板に対する密着性等が良好であることが求められる。
しかし、上述したような従来の化学増幅型のポジ型レジスト組成物を用いた場合、これらの特性は満足できるものではない。たとえばメッキ処理を施した際に、レジストパターン太り等が生じ、メッキが剥がれてしまうなどの問題がある。また、高温、たとえば130℃で加熱した際に、レジストパターンが熱ダレを起こすなど形状が悪化する問題もある。
これに対し、本発明のポジ型レジスト組成物においては、電子線に感度を有し、高解像性のパターンが形成できるだけでなく、(A)成分としてノボラック樹脂を用いていることから、上記の特性に優れていることから、電子線を用いてMEMSを製造するために好適に用いられる。
図1(a)〜図1(e)は、磁気記録媒体の磁気ヘッドのリード部(読み出し用ヘッド部)製造の各工程を示す模式図(側断面図)である。
まず、図1(a)に示す様に、基板1の上に磁性膜2’を積層し、さらにその上にアルカリ現像液に対して可溶性の下地膜3’と、レジスト膜4’とを順次積層する。
ついで、レジスト膜4’の上から、マスクパターンを介してまたは介さずに、電子線を用いて選択的露光を行う。ついで、アルカリ現像を行うと、レジスト膜4’の所定の範囲(ポジであれば露光部、ネガであれば未露光部)がエッチングされて、レジストパターン4が得られる。このとき、レジスト膜4’のエッチングされた部分の下に位置する下地膜3’もアルカリ現像液によって一緒に除去され、下地パターン3が形成されるが、該下地膜3’は、通常、レジスト膜4’よりもアルカリ可溶性が高く、下地パターン3の幅W1はレジストパターン4の幅W2よりも狭くなる。この溶解速度差により、図1(b)に示す様に、幅の狭い下地パターン3と、これより幅広のレジストパターン4からなる、断面羽子板状のパターン5が得られる。
ついで、パターン5をマスクとしてイオン性エッチングを行うと、図1(c)に示す様に、パターン5の周囲の磁性膜2’がエッチングされ、パターン5の下とその周囲に磁性膜パターン2が形成される。イオン性エッチングとしては、イオンミリング(ion milling)が多用されている。
さらに、スパッタリングを行うと、図1(d)に示すように、パターン5の上と、磁性膜パターン2の周囲の基板1の上に、電極膜6が形成される。
最後に、アルカリ現像液等を用いて下地パターン3を溶解してレジストパターン4を除去する等により、パターン5を除去(リフトオフ)する。このようなパターン5のリフトオフにより、図1(e)に示す様に、基板1とその上に形成された所定の幅の磁性膜パターン2と、その周囲に形成された電極膜6とからなる磁気ヘッド10が得られる。
[磁性膜2’の形成工程]
まず、図1(a)に示したように、シリコンウェーハ等の基板1上に、スパッタ装置によって、磁性膜2’を形成する。
基板としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板などを例示することができる。基板の材料としては、例えばシリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウムなどの金属や、ガラスなどが挙げられる。
磁性膜2’に用いられる磁性体としては、Ni,Co,Cr,Pt等の元素を含むものが用いられる。
次いで、形成された磁性膜上2’に、下地膜を形成するためのレジスト組成物や樹脂溶液を、スピンナーなどで塗布し、好ましくは200〜300℃、30〜300秒間、好ましくは60〜180秒間の加熱条件でベーク処理し、下地膜3’を形成する。
下地膜は、露光後の現像の際に用いられるアルカリ現像液に対して不溶性であり、且つ従来のドライエッチング法で可能な有機膜である。
このような下地膜3’を用いることにより、後述するように通常のホトリソグラフィーによりレジスト膜4’のみを露光・アルカリ現像して、レジストパターン4を形成した後、該レジストパターン4をマスクとして下地膜3’をドライエッチングすることによってレジストパターン4が転写され、下地膜3’に下地パターン3が形成される。
下地膜3’を形成するための材料は、レジスト膜4’のような感光性を必ずしも必要とするものではなく、半導体素子や液晶表示素子の製造において、下地材として一般的に用いられているレジストや樹脂を用いればよい。
また、レジストパターン4を下地膜3’へ転写する必要があるので、下地膜3’は、酸素プラズマによるエッチングが可能な材料であることが好ましい。
このような材料としては、酸素プラズマによるエッチングを行いやすいと同時に、後工程で、シリコン等の基板のエッチングに用いられているフッ化炭素系ガスや、基板や磁性膜のエッチングに用いられているイオンミリング等のイオン性エッチングなどのドライエッチングに対する耐性が強いことなどから、ノボラック樹脂、アクリル樹脂及び可溶性ポリイミドからなる群から選択される少なくとも一種を主成分とするものが好ましく用いられる。
アクリル樹脂としては、ポジ型レジスト組成物に一般的に用いられているものが使用可能であり、例えば、エーテル結合を有する重合性化合物から誘導された構成単位と、カルボキシル基を有する重合性化合物から誘導された構成単位を含有するアクリル樹脂を挙げることができる。
エーテル結合を有する重合性化合物としては、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等のエーテル結合及びエステル結合を有する(メタ)アクリル酸誘導体等を例示することができる。これらの化合物は単独もしくは2種以上組み合わせて使用できる。
カルボキシル基を有する重合性化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのジカルボン酸;2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸などのカルボキシル基及びエステル結合を有する化合物等を例示することができ、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸である。これらの化合物は単独もしくは2種以上組み合わせて使用できる。
可溶性ポリイミドとは、上述のような有機溶剤により液状にできるポリイミドである。
これらの中でも、ノボラック樹脂、及び側鎖に脂環式部位又は芳香族環を有するアクリル樹脂は、安価で汎用的に用いられ、後工程のドライエッチング耐性に優れるので、好ましく用いられる。
次いで、本発明のポジ型レジスト組成物の溶液を、上記の下層膜3’上にスピンナーなどで塗布した後、プレベーク(PAB処理)してレジスト膜4’を形成することにより、基板1上の磁性膜2’上に、下地膜3’と、本発明のポジ型レジスト組成物からなるレジスト膜4’とが積層されている積層体を得る。
プレベーク条件は、組成物中の各成分の種類、配合割合、塗布膜厚などによって異なるが、通常は、70〜150℃、好ましくは80〜140℃で、0.5〜60分間程度である。
なお、下地膜とレジスト膜との間には、有機系または無機系の反射防止膜が設けられていてもよい。
下地膜3’の厚さは、好ましくは20〜10000nm、より好ましくは30〜5000nm、さらに好ましくは30〜3000nmである。下地膜3’の厚さをこの範囲内とすることにより、高アスペクト比のレジストパターンが形成できる、基板エッチング時に十分なエッチング耐性が確保できる等の効果がある。
レジスト膜4’の厚さは、好ましくは50〜1000nm、より好ましくは100nm〜800nm、さらに好ましくは100〜500nmである。レジスト膜4’の厚さをこの範囲内とすることにより、レジストパターン4を高解像度で形成できる、アルカリ現像液、イオン性エッチング等に対するエッチング耐性が十分に得られる等の効果がある。
ここでいうアスペクト比とは、レジストパターンのパターン幅xに対する、下地パターン3の高さyの比(y/x)である。尚、レジストパターンのパターン幅xは、下地パターン3に転写した後の下地パターン3の幅と同じである。
パターン幅とは、レジストパターンがラインアンドスペースパターン、孤立ラインパターン等のライン状パターンである場合は、凸条(ライン)の幅をいう。レジストパターンがホールパターンである場合、パターン幅とは、形成された孔(ホール)の内径をいう。また、レジストパターンが円柱状ドットパターンである場合は、その直径をいう。なお、これらのパターン幅は、いずれもパターン下方の幅である。
次いで、レジスト膜4’に対し、上記<レジストパターン形成方法>で説明したように、電子線を所望のマスクパターンを介してまたは介さずに選択的に露光し、PEBを行い、現像処理すると、レジスト膜4’の所定の範囲(露光部)が現像されて、図1(b)に示したように、レジストパターン4が得られる。
次に、得られたレジストパターン4をマスクパターンとして、下地膜3’のドライエッチングを行い、下地膜3’に下地パターン3を形成する。
このとき、下地膜3’のオーバーエッチングを行うことにより、レジストパターン4の下に位置する下地膜3’まで除去され、当該レジストパターン4の中心部付近の下部のみ残存する。その結果、図1(b)に示したような、幅W1の狭い下地膜3’の下地パターン3と、これより広い幅W2のレジスト膜4’のレジストパターン4とからなる、断面羽子板状のパターン5が得られる。
ドライエッチングの方法としては、ダウンフローエッチングやケミカルドライエッチング等の化学的エッチング;スパッタエッチングやイオンビームエッチング等の物理的エッチング;RIE(反応性イオンエッチング)等の化学的・物理的エッチングなどの公知の方法を用いることができる。
最も一般的なドライエッチングは、平行平板型RIEである。この方法では、まず、RIE装置のチャンバーにレジスト積層体を入れ、必要なエッチングガスを導入する。チャンバー内の、上部電極と平行に置かれたレジスト積層体のホルダーに高周波電圧を加えると、ガスがプラズマ化される。プラズマ中では正・負のイオンや電子などの電荷粒子、中性活性種などが存在している。これらのエッチング種が下部有機層に吸着すると、化学反応が生じ、反応生成物が表面から離脱して外部へ排気され、エッチングが進行する。
エッチングガスとしては、酸素、二酸化硫黄等があるが、好ましくは酸素が用いられる。
次に、上記のようにして得られたパターン5を用いて、磁気ヘッドのリード部を製造する。
図1(b)に示したテーパー形状のレジストパターン4と下地パターン3とからなるパターン5をマスクとして、イオン性エッチングを行うと、図1(c)に示したように、パターン5の周辺の磁性膜2’がエッチングされ、パターン5の下部の磁性膜2’が残り、磁性膜パターン2がプリントされる。
この際のイオン性エッチングとしては、イオンミリング等の異方性エッチングが挙げられる。イオンミリングは従来公知の方法を適用でき、例えば、日立製作所社製のイオンビームミリング装置IMLシリーズなどにより行うことができる。
さらにスパッタリングを行うと、図1(d)に示したように、パターン5の上と、磁性膜パターン2の周囲の基板1の上とに電極膜6が形成される。
この際のスパッタリングは従来公知の方法を適用できる。例えば、日立製作所社製のスパッタリング装置ISM−2200やISP−1801などにより行うことができる。
最後に、ドライエッチングにより下地パターン3をエッチングしてパターン5を除去(リフトオフ)することにより、図1(e)に示すように、基板1と、その上に形成された磁性膜パターン2と、その周囲に形成された電極膜6とからなる磁気ヘッドのリード部20が製造される。
図2(a)〜図2(c)は、磁気ヘッドのライト部製造の各工程を示す模式図(側断面図)である。
まず図2(a)に示すように、基板上に所望の積層構造が形成された基材(図示略)上面にメッキシード層11を形成し、その上に上記した従来のリソグラフィーにより、断面がほぼ矩形状の、スリット状のレジストパターン12を得る。
次に、図2(b)に示すように、得られたレジストパターン12で囲まれたトレンチ部(凹部)内にメッキを施して磁性膜13’を形成する。
その後、図2(c)に示すように、レジストパターン12を除去することによって、断面がほぼ矩形状ないし基板方向に向かって幅が狭くなる断面台形(逆テーパー)状の磁性膜パターン13が得られる。
また、本発明のポジ型レジスト組成物は、g線、i線、KrFエキシマレーザーおよび電子線の照射により酸を発生するオキシムスルホネート系酸発生剤(B1)を含有することから、g線、i線、KrFエキシマレーザーおよび電子線のいずれに対しても感度を有している。そのため、g線、i線、KrFエキシマレーザーおよび電子線から選ばれる少なくとも2種の露光光源を用いて露光するミックスアンドマッチ工程に好適に使用できる。
さらに、本発明のポジ型レジスト組成物は、(A)成分としてノボラック樹脂を基本とする樹脂を用いていることから、メッキ耐性、耐熱性、ドライエッチング耐性、インプラント耐性、イオン性エッチング耐性、基板に対する密着性等が良好である。そのため、MEMSの製造、特に電子線を用いたMEMSの製造に好適に用いられる。
以下の実施例および比較例においては、(A)成分として、下記の樹脂(A)−1を用いた。
樹脂(A)−1
m−クレゾール/p−クレゾール=6/4(モル比)の混合フェノール類と、ホルムアルデヒド/サリチルアルデヒド=1/0.3(モル比)の混合アルデヒド類とを用いて、常法により、Mw=5462、Mw/Mn=10のノボラック樹脂1を合成した。
メチルイソブチルケトン(MIBK)溶剤に濃度30質量%になるようにノボラック樹脂1を撹拌溶解し、内温100〜110℃にした後、下記式(I−1)で表される化合物を、樹脂固形分100質量部に対して8質量部に相当する量だけ滴下した。
24時間反応後、12時間以上室温にて後撹拌を行い、その後、MIBKから2−ヘプタノンへの溶剤置換を行った。
その結果、Mw=38200であり、ノボラック樹脂1の水酸基の7.5%が保護された樹脂(A)−1を得た。
(B)−1:上記式(V)で表される化合物
(B)−2:トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート
(D)−1:2,6−ルチジン
(D)−2:トリ−n−デシルアミン
Add1:酸化防止剤(2,6−ジ(tert−ブチル)−p−クレゾール、商品名:BHTスワノックス、精工化学社製)
Add2:界面活性剤(商品名:XR−104、大日本インキ化学工業社製)
Add3:染料(商品名:HHBP、ダイトーケミックス社製)
(S)−1:PGMEA/酢酸ブチル=7/3(質量比)の混合溶剤
下記表1に示す各成分を混合、溶解してポジ型レジスト組成物溶液を調製した。
得られたポジ型レジスト組成物溶液を、ヘキサメチルジシラザン処理を施した8インチシリコン基板上に均一に塗布し、130℃にて90秒間のベーク処理(PAB)を行って成膜し、膜厚500nmのレジスト膜を得た。
該レジスト膜に対し、電子線描画機(日立製HL−800D、70kV加速電圧)にて描画を行った後、110℃にて90秒間のベーク処理(PEB)を行い、2.38質量%TMAH水溶液(23℃)で60秒間現像し、純水にて30秒リンスし、振り切り乾燥を行った後、100℃にて60秒間ポストベーク処理を行った。
該基板を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、幅80nmのトレンチパターンが形成される最適露光量Eopにおける限界解像度(nm)を求めた。その結果を「解像性」として表2に示す。
一方、(B)成分として(B)−1のみを用いた比較例1は、実施例1に比べて解像性が低かった。
下記表3に示す各成分を混合、溶解してポジ型レジスト組成物溶液を調製した。
[電子線に対する感度]
得られたポジ型レジスト組成物溶液を、ヘキサメチルジシラザン処理を施した8インチシリコン基板上に均一に塗布し、130℃にて90秒間のベーク処理(PAB)を行って成膜し、膜厚500nmのレジスト膜を得た。
該レジスト膜に対し、電子線描画機(日立製HL−800D、70kV加速電圧)にて描画を行った後、110℃にて90秒間のベーク処理(PEB)を行い、2.38質量%TMAH水溶液(23℃)で60秒間現像した。
その後、該基板について、パターンが形成されているかどうかを走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した結果、パターンが形成されていた。このことから、(B)−1が電子線の照射により酸を発生したことが確認できた。
上記と同様にして膜厚500nmのレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対し、KrF露光装置FPA3000EX3(Canon社製;NA(開口数)=0.55,σ=0.55)により、KrFエキシマレーザー(248nm)を、マスクパターンを介して選択的に照射した後、110℃にて90秒間のベーク処理(PEB)を行い、2.38質量%TMAH水溶液(23℃)で60秒間現像した。
該基板について、パターンが形成されているかどうかをSEMにより観察した結果、パターンが形成されていた。このことから、(B)−1がKrFの照射により酸を発生したことが確認できた。
上記と同様にして膜厚500nmのレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対し、NSR−1505G7E(ニコン社製)により、g線(436nm)を、マスクパターンを介して選択的に照射した後、110℃にて90秒間のベーク処理(PEB)を行い、2.38質量%TMAH水溶液(23℃)で60秒間現像した。
その結果、パターンが形成されていた。このことから、(B)−1がg線の照射により酸を発生したことが確認できた。
上記と同様にして膜厚500nmのレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対し、NSR2205i14E(Nikon社製)により、i線(365nm)を、マスクパターンを介して選択的に照射した後、110℃にて90秒間のベーク処理(PEB)を行い、2.38質量%TMAH水溶液(23℃)で60秒間現像した。
その結果、パターンが形成されていた。このことから、(B)−1がi線の照射により酸を発生したことが確認できた。
これらの結果から明らかなように、参考例のポジ型レジスト組成物は、g線、i線、KrFエキシマレーザーおよび電子線の全ての露光光源に対する感度を有しており、したがって、これらのうちの2種以上を任意に選択してミックスアンドマッチを行うことができる。
まず、図3に示すように、i線で、5μm角の大面積パターン14,14を1μm間隔で形成した。次いで、図4に示すように、電子線で、前記大面積パターン14,14を繋ぐように幅100nmのトレンチパターン15を形成した。このようにして、大面積パターン14,14がトレンチパターン15で連結された形状のレジストパターン16が形成できた。該レジストパターン16の斜視図を図5に示す。
次いで、形成されたレジストパターン16に対し、ノンシアン系亜硫酸金めっき液を用いた電解めっき法により、65℃、40分間めっき処理を行い、非レジスト部をメッキで埋め込み、メッキパターン17を形成した。この時、図6(a)に示すように、非レジスト部を全部は埋めず、レジスト膜の高さの方が高くなるようにした。図6(b)に、図6(a)中の位置A−A’における縦断面図を示す。最後に、公知の手法でレジスト膜を除去する。
このようにして得られたメッキパターン17は、たとえば磁気ヘッドの製造に用いることができる。
Claims (4)
- 酸解離性溶解抑制基を有し、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分(A)、および放射線の照射により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有する電子線用ポジ型レジスト組成物であって、
前記樹脂成分(A)が、アルカリ可溶性ノボラック樹脂の全水酸基の一部が酸解離性溶解抑制基で保護された樹脂であって、アルカリ可溶性ノボラック樹脂と、下記一般式(I)で表される化合物との反応生成物であり、
前記酸発生剤成分(B)が、オキシムスルホネート系酸発生剤(B1)と、オニウム塩系酸発生剤(B2)とを含むことを特徴とする電子線用ポジ型レジスト組成物。
- さらに、含窒素有機化合物(D)を含有する請求項1記載の電子線用ポジ型レジスト組成物。
- 請求項1または2に記載の電子線用ポジ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を、電子線を用いて選択的に露光する工程、および前記レジスト膜をアルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
- 請求項1または2に記載の電子線用ポジ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を、g線、i線およびKrFエキシマレーザーから選ばれる少なくとも1種と、電子線とを用いて選択的に露光する工程、および前記レジスト膜をアルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
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