JP4549902B2 - ポジ型レジスト組成物、積層体、レジストパターン形成方法 - Google Patents
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Description
本発明は、レジストパターン形状およびDOFに優れたポジ型レジスト組成物を提供することを目的とする。
前記(A)成分が、下記一般式(I)で表される構成単位(a1)と、下記一般式(II)で表される構成単位(a2)と、下記一般式(III)で表される構成単位(a3)とを有するシルセスキオキサン樹脂(A1)を含有してなることを特徴とするポジ型レジスト組成物である。
前記下部有機層が、アルカリ現像液に対して不溶性であり、且つドライエッチング可能なものであり、
前記上部レジスト層が、前記第1の態様のポジ型レジスト組成物からなるものであることを特徴とするレジスト積層体である。
本願第3の態様は、前記第2の態様に記載のレジスト積層体を形成する積層体形成工程と、
前記レジスト積層体に対して選択的露光を行い、露光後加熱(PEB)を施し、アルカリ現像して前記上部レジスト層にレジストパターン(I)を形成する第1のパターン形成工程と、
前記レジストパターン(I)をマスクとしてドライエッチングを行い、前記下部有機層にレジストパターン(II)を形成する第2のパターン形成工程と、
前記レジストパターン(I)と(II)をマスクとしてエッチングを行い、前記支持体に微細パターンを形成するエッチング工程を有することを特徴とするレジストパターン形成方法である。
本願第4の態様は、前記第1の態様に記載のポジ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、前記レジスト膜を現像しレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法である。
また、「露光」は電子線等の放射線の照射も含む概念とする。
本発明のポジ型レジスト組成物(以下、「レジスト組成物」という場合がある)は、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含む。
樹脂成分(A)(以下、「(A)成分」という)は、前記シルセスキオキサン樹脂(A1)を含有してなる。(A)成分は、ポジ型レジスト組成物において公知の各種樹脂をさらに含有してもよい。なお、(A)成分中の(A1)成分の割合は好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上であり、100質量%がより好ましい。
構成単位(a1)は、前記一般式(I)で表される。
構成単位(a1)において、R1としては、メチレン基又はエチレン基が好ましい。
構成単位(a1)は1種または2種以上混合して用いることができる。
構成単位(a2)において、R1としては樹脂合成上の点から、炭素数1〜5の低級アルキレン基が好ましく、中でもメチレン基又はエチレン基がより好ましい。
また、置換基(−CH2COOR2)の位置はo位、m位、又はp位のいずれでもよいが、p位が工業的には好ましい。
構成単位(a2)において、R2は第3級炭素原子を有する分岐鎖状のアルキル基、または第3級炭素原子を有する環状アルキル基である。
R2が分岐鎖状のアルキル基の場合は、該アルキル基の炭素数が1〜10であることが好ましい。分岐鎖状のアルキル基としては、例えば、tert−ブチル基、tert−アミル基が挙げられ、tert−ブチル基が最も好ましい。
R2が環状アルキル基の場合は、該環状アルキル基の基本環の炭素数(環を構成する炭素の数)が3〜10であることが好ましく、5または6であることがさらに好ましい。環状アルキル基の場合、該R2としては、下記一般式(i)で表される1−アルキルシクロアルキル基がさらに好ましい。
一般式(i)において、Xの炭素数が4または5(基本環の炭素数が5または6)であることが好ましい。また、R3はメチル基またはエチル基が好ましい。
具体的には、一般式(i)で示される基としては、例えば、1−メチルシクロペンチル基、1−エチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−n−プロピル−シクロヘキシル基、1−イソプロピルシクロヘキシル基等が挙げられる。
R2としては特にtert−ブチル基が好ましい。
構成単位(a2)は1種または2種以上混合して用いることができる。
構成単位(a3)は、下記一般式(III)で表される。
構成単位(a4)は、下記一般式(IV)で表される。
構成単位(a4)において、R1として好ましいものは、構成単位(a2)におけるR1と同様である。R4としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
構成単位(a5)は、下記一般式(V)で表される。
(A1)成分の全構成単位の合計に対して、構成単位(a2)の含有割合が5モル%以上であることが好ましい。この範囲にすることにより本発明の効果が向上する。構成単位(a2)は、(A1)成分の全構成単位の合計に対して、好ましくは5〜50モル%、より好ましくは5〜30モル%であり、最も好ましくは10〜25モル%である。
また、得ようとするレジストパターンの形状が、ホールパターンである場合、(A1)成分における構成単位(a3)の含有割合が多いとホールパターンのエッジラフネスは向上するが、解像性が低下する傾向があるので、前記構成単位(a3)の含有割合は25〜35モル%が好ましく、より好ましくは25〜30モル%である。
(A1)成分に、前記構成単位(a5)を含有させる場合、その含有割合は25モル%以下とすることが好ましく、より好ましくは15モル%以下である。
また、Mw/数平均分子量(Mn)は、特に限定するものではないが、好ましくは1.0〜6.0、さらに好ましくは1.0〜2.0である。この範囲とすることで、解像性やパターン形状が良好となる。
(B)成分としては、従来化学増幅型レジストにおける酸発生剤として公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。
このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類、ジアゾメタンニトロベンジルスルホネート類などのジアゾメタン系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、以下に示す構造をもつ1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(A=3の場合)、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン(A=4の場合)、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(A=6の場合)、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(A=10の場合)、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン(B=2の場合)、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(B=3の場合)、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(B=6の場合)、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(B=10の場合)などを挙げることができる。
(B)成分としてC3〜4オニウム塩を配合する場合、(B)成分中のC3〜4オニウム塩の配合量は、50〜100質量%が好ましい。
また、(B)成分としてC3〜4オニウム塩を配合する場合、さらに、炭素数が1のパーフルオロアルキルスルホネートをアニオンとするオニウム塩系酸発生剤(以下、C1オニウム塩と略記することがある)を併用することが好ましい。
その配合量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部、好ましくは1〜10質量部とされる。0.5質量部以上とすることによりパターン形成が十分に行われ、30質量部以下とすることにより、均一な溶液が得られ、保存安定性が向上する。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いればよいが、脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。脂肪族アミンとしては、アンモニアNH3の水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)が挙げられる。その具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミン等が挙げられる。これらの中でも、アルキルアルコールアミン及びトリアルキルアミンが好ましく、アルキルアルコールアミンが最も好ましい。アルキルアルコールアミンの中でもトリエタノールアミンやトリイソプロパノールアミンが最も好ましい。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらは、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
また、前記(D)成分との配合による感度劣化を防ぎ、またレジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、さらに任意の成分として、有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体(E)(以下、(E)成分という)を含有させることができる。なお、(D)成分と(E)成分は併用することもできるし、いずれか1種を用いることもできる。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り好ましくは0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
溶解抑制剤は必須ではないが、これをポジ型レジスト組成物に含有させることにより、ラインエッジラフネスを効果的に向上させることができる。
なお、ラインエッジラフネスとは、ライン側壁の不均一な凹凸のことである。ラインアンドスペースパターンのラインエッジラフネスを示す尺度である3σを求める。 3σは、例えば、側長SEM(日立製作所社製,商品名「S−9220」)により、試料のレジストパターンの幅を32箇所測定し、その結果から算出した標準偏差(σ)の3倍値(3σ)である。この3σは、その値が小さいほどラフネスが小さく、均一幅のレジストパターンが得られたことを意味する。
また、カルボキシ基が酸解離性溶解抑制基で保護されたカルボキシル化合物としては、例えば、ビフェニルカルボン酸、ナフタレン(ジ)カルボン酸、ベンゾイル安息香酸、アントラセンカルボン酸などが挙げられる。
ポジ型レジスト組成物に溶解抑制剤を含有させる場合、その含有量は(A)成分100質量部に対して1〜40質量部の範囲内が好ましく、10〜30質量部がより好ましい。
溶解抑制剤の使用量を下限値以上にすることにより、添加効果を十分に得ることができる。上限値以下にすることにより、パターン形状が劣化したり、リソグラフィー特性が悪化することを抑制できる。
<有機溶剤(S)>
有機溶剤としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類や、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、またはジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類およびその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
また、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と極性溶剤とを混合した混合溶媒は好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比が好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2であると好ましい。
また、有機溶剤として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
有機溶剤の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
PGMEよりも高沸点の溶剤としては、例えば上に例示した溶剤のうち、沸点が、PGMEの沸点である120℃を超えるもの、好ましくは沸点が20℃以上高いもの、より好ましくは25℃以上高いものが好ましい。また、該沸点の上限値としては、特に制限はないが、およそ200℃以下が好ましい。このような溶剤としては、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点146℃)、EL(沸点155℃)、γ−ブチロラクトン(沸点204℃)等が挙げられる。これらの中でも、ELが好ましい。混合溶剤中のPGMEの配合量は、全混合溶剤中、10〜60質量%が好ましく、20〜40質量%がより好ましい。この範囲内であると、上記効果に優れる。
これは、本発明のポジ型レジスト組成物によって形成されたレジストパターンはコントラストに優れるためではないかと推測される。
そして、コントラストが優れるのは、以下の理由によると推定される。
すなわち、露光部と未露光部との溶解速度の差が大きいほど、より高コントラストのレジストパターンを得ることができるが、本発明のレジスト組成物は、構成単位(a2)において酸解離性溶解抑制基R2が解離してカルボキシ基を生じるため、露光部分のアルカリ溶解性が大きくなる。したがって露光部と未露光部との溶解速度の差が大きくなる。そのためレジストパターンのコントラストが向上すると推定される。
そして、コントラストの向上は、上述の様にレジストの解像性の向上や焦点深度(DOF)の拡張や形状の改善に寄与する。
また、特に構成単位(a1)を含有させることにより露光余裕度が効果的に向上する。
特にホールパターンにあっては、上方から見たときのラフネスが低減され、形状特性(サキュラリティ(circularity))が良好となり、ホール形状のレジストパターン形成に好適である。シルセスキオキサン樹脂(A1)に前記構成単位(a3)を含有させると、該構成単位(a3)を含有しないシルセスキオキサン樹脂に比べて耐熱性が向上し、これによってさらに良好な形状特性が安定して得られるものと考えられる。
本発明のポジ型レジスト組成物は、二層レジストを用いて支持体をパターニングする方法に好適に用いることができる。
以下、二層レジストとして用いられるレジスト積層体について説明する。
本態様のレジスト積層体は、支持体上に、アルカリ現像液に対して不溶性であり、且つドライエッチング可能な下部有機層と、前記本発明のポジ型レジスト組成物からなる上部レジスト層とが積層されているものである。
基板としては、例えばシリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウムなどの金属製の基板や、ガラス基板などが挙げられる。
配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金などが使用可能である。
このような下部有機層を用いることにより、まず、通常のホトリソグラフィーにより上部レジスト層のみ露光・アルカリ現像して、レジストパターンを形成した後、該レジストパターンをマスクとして下部有機層をドライエッチングすることによって、下部有機層に上部レジスト層のレジストパターンが転写される。その結果、レジストパターンのパターン倒れを生じることなく、高アスペクト比のレジストパターンを形成することができる。
下部有機層を形成するための有機膜材料は、上層レジストのような感光性を必ずしも必要とするものではない。半導体素子や液晶表示素子の製造において、下地材として一般的に用いられている、レジストや樹脂を用いればよい。
このような材料としては、酸素プラズマによるエッチングを行いやすいと同時に、後工程でシリコン基板等のエッチングに用いられているフッ化炭素系ガスに対する耐性が強いことなどから、ノボラック樹脂、アクリル樹脂及び可溶性ポリイミドからなる群から選択される少なくとも一種を主成分とするものが好ましく用いられる。
これらの中でも、ノボラック樹脂、及び側鎖に脂環式部位又は芳香族環を有するアクリル樹脂は、安価で汎用的に用いられ、後工程のドライエッチング耐性に優れるので、好ましく用いられる。
ノボラック樹脂は、例えば、フェノール性水酸基を持つ芳香族化合物(以下、単に「フェノール類」という。)とアルデヒド類とを酸触媒下で付加縮合させることにより得られる樹脂である。
付加縮合反応時の触媒は、特に限定されるものではないが、例えば酸触媒では、塩酸、硝酸、硫酸、蟻酸、蓚酸、酢酸等が使用される。
上記ノボラック樹脂は、質量平均分子量(Mw)が3000〜10000、好ましくは6000〜9000、さらに好ましくは7000〜8000の範囲内のものが好ましい。質量平均分子量が3000未満であると、高温でベークしたときに昇華してしまうことがあり、また、質量平均分子量が10000を超えると、ドライエッチングしにくくなる傾向があり、好ましくない。
分子量500以下の低核体の含有量(質量%)は、このGPC法による分析結果を、横軸にフラクション番号、縦軸に濃度をとってグラフとし、全曲線下面積に対する、分子量500以下の低分子フラクションの曲線下面積の割合(%)を求めることにより測定される。
また、分子量500以下の低核体の含有量が1質量%以下であることにより、微細な凹凸を有する基板に対する埋め込み特性が良好になる。低核体の含有量が低減されていることにより埋め込み特性が良好になる理由は明らかではないが、分散度が小さくなるためと推測される。
上部レジスト層の厚さは、好ましくは50〜1000nm、より好ましくは50〜800nm、さらにより好ましくは100〜500nmである。上部レジスト層の厚さをこの範囲内とすることにより、レジストパターンを高解像度で形成できる、ドライエッチングに対する十分な耐性が得られる等の効果がある。
下部有機層の厚さは、好ましくは300〜20000nm、より好ましくは300nm〜8000nm、さらにより好ましくは400〜5000nmである。下部有機層の厚さをこの範囲内とすることにより、高アスペクト比のレジストパターンが形成できる、基板エッチング時に十分なエッチング耐性が確保できる等の効果がある。
そのため、後述する電子線用、磁性膜のパターン形成用や、その他マイクロマシニング用途等、特に微細加工が要求される分野に好適である。
なお、本態様のレジスト積層体には、上部レジスト層や下部有機層にレジストパターンが形成されている積層体も、形成されていない積層体も含まれる。
レジストパターンが形成されたレジスト積層体において、アスペクト比が高いパターンを、パターン倒れ等を起さずに形成できることが好ましい。パターンが高いアスペクト比を有するほど、後述のような支持体への微細パターン形成を、より精度良く行うことができる。
ここでいうアスペクト比とは、レジストパターンのパターン幅xに対する、下部有機層の高さyの比(y/x)である。尚、レジストパターンのパターン幅xは、下部有機層に転写した後のパターン幅と同じである。
パターン幅とは、レジストパターンがラインアンドスペースパターン、孤立ラインパターン等のライン状パターンである場合は、凸条(ライン)の幅をいう。レジストパターンがホールパターンである場合、パターン幅とは、形成された孔(ホール)の内径をいう。
また、レジストパターンが円柱状ドットパターンである場合は、その直径をいう。なお、これらのパターン幅は、いずれもパターン下方の幅である。
本発明のポジ型レジスト組成物によれば、高アスペクト比のパターンを容易に与えることができる。ドットパターン又は孤立ラインパターンの場合、例えば膜厚2.5μmの下部有機層に対して従来のレジスト組成物では達成することができないアスペクト比8以上20以下のドットパターン又は孤立ラインパターンを作成することができる。トレンチパターンの場合、例えば膜厚2.5μmの下部有機層に対して通常のレジスト組成物では達成することができないアスペクト比10以上20以下のトレンチパターンを作成することができる。いずれも、従来のレジスト組成物ではアスペクト比5付近が限界である。
このようなレジスト積層体を用いてレジストパターンを形成する方法は、例えば以下の様にして行うことができる。
まず、シリコンウェーハのような基板上に、下部有機層を形成するためのレジスト組成物や樹脂溶液を、スピンナーなどで塗布し、好ましくは200〜300℃、30〜300秒間、好ましくは60〜180秒間の加熱条件でベーク処理し、下部有機層を形成する。
なお、下部有機層と上部レジスト層の間には、有機系または無機系の反射防止膜が設けられていてもよい。
このレジスト積層体に対し、例えばKrF露光装置などにより、KrFエキシマレーザー光を所望のマスクパターンを介して選択的に露光した後、PEB(露光後加熱)を、70〜130℃の温度条件下、40〜180秒間、好ましくは60〜90秒間施す。
次いで、これをアルカリ現像液、例えば0.05〜10質量%、好ましくは0.05〜3質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて現像処理する。このようにして、上部レジスト層に、マスクパターンに忠実なレジストパターン(I)を形成することができる。
本発明のポジ型レジスト組成物及びこれからなるレジスト層は、微細なレジストパターンが形成された場合にも、レジストパターンのラインエッジラフネスおよび断面形状の矩形性が良好であり、またパターン倒れ等の問題を生じないので、高度の微細加工が図られる、電子線が好適である。
ドライエッチングの方法としては、ダウンフローエッチングやケミカルドライエッチング等の化学的エッチング;スパッタエッチングやイオンビームエッチング等の物理的エッチング;RIE(反応性イオンエッチング)等の化学的・物理的エッチングなどの公知の方法を用いることができる。
このときのエッチング法としてはハロゲン系ガスを用いたエッチング法を好ましく用いることができる。
また特に(A)成分に含まれるシルセスキオキサン樹脂(A1)が、耐熱性に優れるものであるので、加熱工程を経ても断面形状が良好なレジストパターンが得られる。例えば、該シルセスキオキサン樹脂(A1)は、酸解離性溶解抑制基を有する構成単位(a2)を有するので、PEB工程において該酸解離性溶解抑制基が解離する程度に高い加熱を施す必要があるが、かかる加熱を行ってもレジストパターンの熱変形が防止される。
このようにして得られるレジストパターンの形状は、高アスペクト比であり、パターン倒れもなく、垂直性の高い良好なものである。
また、ホワイトエッジの発生を防止するには、プリベークにおける加熱温度を70〜90℃程度とすることが効果的である。
また、本発明のポジ型レジスト組成物は、狭小工程を有するレジストパターンの形成方法にも好適に用いることができる。
狭小工程は、露光、現像工程を経て基板上にレジストパターンを形成した後、該レジストパターンを水溶性樹脂被覆で被覆した後、加熱処理によりレジストパターン間の間隔やホールパターンの孔径を狭小させる工程であり、これによって、よりいっそう微細なレジストパターンを形成することができる。
次いで、得られた被覆レジストパターンに対して熱処理を行って、水溶性樹脂被覆を熱収縮させる。この水溶性樹脂被覆の熱収縮作用により、該水溶性樹脂被覆に接するレジストパターン(I)の側壁同士が互いに引き寄せられ、パターン間の間隔が狭められる。
このホトレジストパターン間の間隔は、最終的に得られるパターンサイズ(ホールパターンの径やラインアンドスペースパターンの幅)を規定することから、水溶性樹脂被覆の熱収縮により、パターンサイズを狭小化させることができ、パターンの微小化を行うことができる。
そして、この後、得られたレジストパターン(I)をマスクパターンとして、上述したように下部有機層のドライエッチングを行い、下部有機層にレジストパターン(II)を形成する。
このような水溶性ポリマーとしては、プロトン供与性を有する少なくとも1種のモノマーから誘導される構成単位と、プロトン受容性を有する少なくとも1種のモノマーから誘導される構成単位とを有する共重合体を含むものであってもよく、また、プロトン供与性を有する少なくとも1種のモノマーから誘導される構成単位を有する重合体と、プロトン受容性を有する少なくとも1種のモノマーから誘導される構成単位を有する重合体との混合物を含むものであってもよいが、相溶性等を考慮すると、共重合体を用いることが好ましい。
このような水溶性ポリマーとしては、特に、工業上の点から、アクリル系重合体、ビニル系重合体、セルロース系誘導体、アルキレングリコール系重合体、尿素系重合体、メラミン系重合体、エポキシ系重合体、アミド系重合体などが好ましく用いられる。
プロトン供与性を有するモノマーとしては、例えば、アクリルアミドやN−ビニルピロリドンが好ましい。
プロトン受容性を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸が好ましい。
そして、プロトン供与性を有するモノマーとしてN−ビニルピロリドン、プロトン受容性を有するモノマーとしてアクリル酸を含む水溶性ポリマーが好ましい。
また、本発明のポジ型レジスト組成物は、ビアファーストのデュアルダマシン法による半導体デバイスの製造に用いられる化学増幅型ポジ型レジストとして好適に用いることができ、特にレジスト残さ(ポイゾニング)の発生防止に効果がある。以下詳述する。
半導体デバイスの微細化に伴って、半導体デバイスの製造プロセスは、これまでの反応性イオンエッチング(RIE)技術によってAl配線を形成する方法から、ダマシン技術によってAl・Cu配線またはCu配線を形成する方法に移行しはじめている。
ダマシン技術において、ビアホールと配線溝という2種類の被エッチング部を形成するものをデュアルダマシン法という。
デュアルダマシン法には、配線溝を先に形成するトレンチファーストとビアホールを先に形成するビアファーストの2種類の手法が存在する(平成10年5月30日、株式会社リアライズ社発行,深水克郎編、「Cu配線技術の最新の展開」、202〜205ページ)。
本発明のポジ型レジスト組成物は、リソグラフィー特性やレジストパターンの形状特性に優れる。したがって、高度の微細加工が要求される磁性膜のパターン形成のためのレジストパターン形成用として、好適に用いられる。
すなわち、本発明のポジ型レジスト組成物は、基板と、当該基板の上に設けられた磁性膜の上側、または、当該磁性膜の上に設けられた金属製の酸化防止膜の上側に設けられるレジスト層の形成用として好適である。
具体的な用途としては、例えば、後述する磁気ヘッドのリード部、あるいはライト部の形成等が挙げられる。
2層レジスト法による磁性膜加工用レジストパターン形成は、上記「レジストパターン形成方法」の項で示した支持体として、磁性膜を設けた磁性膜材料を用い、上記態様のレジスト積層体を形成し、このレジスト積層体にレジストパターン(I)(II)を形成する方法で行うことができる。
磁性膜加工用のレジストパターン形成は、さらに具体的には、下記(1)〜(5)の工程で行うことができる。
(1)基板と、当該基板の上に設けられた磁性膜の上、または、当該磁性膜の上に設けられた金属製の酸化防止膜の上に、下部有機層を形成し、その上に、本発明のポジ型レジスト組成物からなる上部レジスト層を形成し、レジスト積層体を得る工程、(2)当該レジスト積層体に選択的露光を行う工程、(3)当該選択的露光を行ったレジスト積層体に対して、露光後加熱(PEB)を行う工程、(4)当該露光後加熱を行ったレジスト積層体に対して、アルカリ現像を行い、上部レジスト層にレジストパターン(I)を形成する工程、(5)得られたレジストパターン(I)をマスクパターンとして、下部有機層のドライエッチングを行い、下部有機層にレジストパターン(II)を形成する工程。
下部有機層の形成、上部レジスト層の形成、選択的露光、露光後加熱、現像処理、エッチング等の好ましい条件は、上記「レジストパターン形成方法」における例示と同様とできる。
また、前記磁性膜の上に設けられる金属製の酸化防止膜の主成分としては、タンタル、酸化アルミニウム(Al2O3)のうちの1種以上が挙げられる。
なお、主成分とは、例えば50質量%以上、好ましくは80質量%以上をしめる成分を指すものとする。
前記磁性膜、前記酸化膜の主成分以外の成分については、磁性膜またはその上に積層される金属製の酸化防止膜について公知の材料から適宜選択可能である。
なお、基板の上に磁性膜を形成する場合は、基板に直接接触する層として磁性膜が形成されていることが好ましく、金属製の酸化防止膜を形成する場合は、磁性膜の上に直接金属製の酸化防止膜が形成されていることが好ましい。
磁性膜、酸化防止膜の厚さは特に限定されない。
基板は例えばシリコン基板等が用いられる。
本発明のポジ型レジスト組成物は、上記磁性膜を用いる用途を含むマイクロマシニング等の、高アスペクト比のレジストパターンを用いた微細加工への要求が高い分野において好適である。
マイクロマシニングは、リソグラフィー技術を応用した立体的微細加工技術であり、基板上にセンサ、回路、微細構造体等の様々な要素を集積化した高度な小型システム、いわゆるMEMSの製造などに利用される。このようなリソグラフィー技術の応用の1つとして、リフトオフ法がある。リフトオフ法は、例えば、磁気記録媒体の磁気ヘッドのリード部(読み出し用ヘッド部)における微細構造の製造等に用いられている。
本発明のポジ型レジスト組成物からなり、下層に対し積層されたレジスト層は、高アスペクト比のレジストパターン形成に貢献することができるので、本発明のポジ型レジスト組成物は、リフトオフ法にも好適に応用することができる。
合成例1
かきまぜ機、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を備えた500ml三つ口フラスコに、炭酸水素ナトリウム1.00モル(84.0g)と水400mlを投入し、次いで滴下漏斗からp‐メトキシベンジルトリクロロシラン0.32モル(81.8g)とフェニルトリクロロシラン0.18モル(38.1g)とをジエチルエーテル100mlに溶かして2時間にわたってかきまぜながら滴下したのち、1時間還流した。反応終了後、反応生成物をジエチルエーテルで抽出し、抽出液からジエチルエーテルを減圧下に留去した。
このようにして得た加水分解生成物に10質量%−水酸化カリウム水溶液0.33gを加え、200℃で2時間加熱することにより、p‐メトキシベンジルシルセスキオキサン64モル%とフェニルシルセスキオキサン36モル%からなる共重合体A1を製造した。
合成例1で合成した10gの樹脂1をテトラヒドロフランに溶解し、0℃にて水素化ナトリウムを加えて10分攪拌し、ブロモ酢酸-t-ブチルを加えた後、室温で10時間攪拌した後、反応終了させた。これを樹脂2とする。その構造を下記に示す。プロトンNMRの結果より、下記式に示す構成単位の割合は、a:b:c=49:21:30(モル%)であることが確認された。また、質量平均分子量(Mw)8000、分散度(Mw/Mn)2.0)であった。
下記の表1に示す条件でポジ型レジスト組成物を調整した。なお、[]内は配合量(単位:質量部)を示す。
PAG2:ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン
PAG3:ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート
(D1):トリエタノールアミン
EL:乳酸エチル
(E1):マロン酸
(E2):フェニルホスホン酸
DR1:溶解抑制剤
下部有機層上に、前記表1で調整したポジ型レジスト組成物をそれぞれスピンナーを用いて塗布し、100℃で90秒間ベーク処理し、乾燥することにより、膜厚150nmの上部レジスト層を形成し、レジスト積層体を形成した。
ついで、該上部レジスト層に対し、KrF露光装置NSR−S203B(ニコン社製;NA(開口数)=0.68,σ=0.60)により、KrFエキシマレーザー(248nm)を、ハーフトーン型(透過率6%)のマスクパターンを介して選択的に照射した(マスクバイアス40nm)。
そして、100℃、90秒間の条件でPEB処理し、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液で60秒間現像処理することにより、口径160nmのコンタクトホール(CH)パターン(I)(ピッチ320nm)を得た。
このCHパターン(I)に対し、高真空RIE装置(東京応化工業社製)を用いて、酸素プラズマによるドライエッチングを行い、下部有機層にCHパターン(II)を形成した。
得られたCHパターン((I)と(II)の積層体、以下「積層CHパターン」という)の「エッジラフネス」と「断面形状の矩形性」を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察して評価した。
「エッジラフネス」の評価結果については、滑らかな円の場合を○、歪の激しい円の場合を×として示す。「断面形状」の評価結果については、垂直性の高い円筒断面形状の場合を○、円筒断面形状がくずれている場合を×として示す。
また、口径160nmのCHパターン(I)を形成したときに忠実に再現できる露光量(Eop)において、口径160nmの積層CHパターンが良好な形状で得られる焦点深度幅(DOF)を測定した。
これらの結果を表2にまとめた。
Claims (9)
- 前記R2の第3級アルキル基は、第3級炭素原子を有する分岐鎖状のアルキル基、または第3級炭素原子を有する環状アルキル基である請求項1記載のポジ型レジスト組成物。
- 前記(a2)単位において、R2が分岐状のアルキル基の場合は炭素数が4〜8であり、R2が環状アルキル基の場合は、該環状アルキル基の基本環の炭素数が3〜10であることを特徴とする請求項2に記載のポジ型レジスト組成物。
- 前記(a2)単位において、R2がtert−ブチル基又はtert−アミル基であることを特徴とする請求項3に記載のポジ型レジスト組成物。
- さらに、含窒素有機化合物(D)を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
- 支持体上に下部有機層と上部レジスト層とが積層されているレジスト積層体であって、
前記下部有機層が、アルカリ現像液に対して不溶性であり、且つドライエッチング可能なものであり、
前記上部レジスト層が、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物からなるものであることを特徴とするレジスト積層体。 - 前記下部有機層の厚さが300〜20000nmであり、かつ前記上部レジスト層の厚さが50〜1000nmである請求項6記載のレジスト積層体。
- 請求項6または7に記載のレジスト積層体を形成する積層体形成工程と、
前記レジスト積層体に対して選択的露光を行い、露光後加熱(PEB)を施し、アルカリ現像して前記上部レジスト層にレジストパターン(I)を形成する第1のパターン形成工程と、
前記レジストパターン(I)をマスクとしてドライエッチングを行い、前記下部有機層にレジストパターン(II)を形成する第2のパターン形成工程と、
前記レジストパターン(I)と(II)をマスクとしてエッチングを行い、前記支持体に微細パターンを形成するエッチング工程を有することを特徴とするレジストパターン形成方法。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、前記レジスト膜を現像しレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
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