JP2019204036A - 感光性樹脂組成物、パターン形成方法および電子デバイスの製造方法 - Google Patents

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【課題】ノボラック樹脂のフェノール性水酸基を酸分解性保護基で保護した樹脂を用いて、感度と残膜率が両立された感光性樹脂組成物を得ること。【解決手段】酸分解性樹脂、光酸発生剤および溶剤を含む感光性樹脂組成物であって、酸分解性樹脂は、ノボラック樹脂のフェノール性ヒドロキシ基の少なくとも一部が酸分解性基で保護されたものであり、ノボラック樹脂は、o−クレゾールに由来する構造単位と、アルデヒドに由来する構造単位とを含み、酸分解性基は、1−エトキシエチル基および1−プロポキシエチル基からなる群より選ばれる少なくともいずれかであり、酸分解性樹脂の重量平均分子量は3000〜7000である感光性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、感光性樹脂組成物、パターン形成方法および電子デバイスの製造方法に関する。
電子デバイスの製造において、様々な感光性樹脂組成物が知られている。例えば、電子基板のエッチングやイオンインプランテーション、金属スパッター、金属メッキなどの際に用いられる「フォトレジスト組成物」が知られている。
フォトレジスト組成物には、非化学増幅型のものと化学増幅型のものがある。高性能(高解像度など)が要求される先端分野では、化学増幅型のものが用いられる傾向にある。
化学増幅型のフォトレジスト組成物は、典型的には、酸分解性保護基によりアルカリ可溶性基が保護された樹脂と、光酸発生剤とを含む。
樹脂としては、種々のものが検討されているが、例えばノボラック樹脂(フェノール樹脂)が盛んに検討されている。
例えば、特許文献1には、酸の作用により開裂し得る保護基が導入されたノボラック樹脂(A1)、酸発生剤(B)、防食剤(G)及び溶剤(D)を含有するフォトレジスト組成物が記載されている。
また、特許文献2には、(A)m−クレゾール系繰返し単位を20モル%以上含有し、フェノール性水酸基の一部の水素原子が1−エトキシエチル基で置換されているノボラック樹脂、(B)キノンジアジドエステル化物および(C)1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンを含むフォトレジスト組成物が記載されている。
特開2017−9999号公報 特開2003−149816号公報
上記のように、ノボラック樹脂のフェノール性水酸基を酸分解性保護基で保護した樹脂を含むフォトレジスト組成物が知られている。
フォトレジスト組成物は、半導体の微細構造の形成に用いられることから、種々の性能を高度にバランスさせる必要がある。しかし、本発明者らの知見によれば、従来の、ノボラック樹脂のフェノール性水酸基を酸分解性保護基で保護した樹脂を含むフォトレジスト組成物においては、感度と残膜率の両立という点で、改善の余地があった。感度は、ノボラック樹脂がアルカリ現像液に「良く溶ける」ことが重要である一方、残膜率は、ノボラック樹脂がアルカリ現像液に「溶け過ぎない」ことが重要であり、感度と残膜率の両立は難しかった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものである。本発明は、ノボラック樹脂のフェノール性水酸基を酸分解性保護基で保護した樹脂を用いて、感度と残膜率が両立された感光性樹脂組成物を得ることを目的とする。
本発明者らは、様々な検討の結果、ノボラック樹脂の構造、酸分解性基の種類および樹脂の重量平均分子量が課題解決に重要であるとの知見を得た。この知見に基づき以下に提供される発明をなし、上記課題を達成できることを見出した。
本発明によれば、
酸分解性樹脂、光酸発生剤および溶剤を含む感光性樹脂組成物であって、
前記酸分解性樹脂は、ノボラック樹脂のフェノール性ヒドロキシ基の少なくとも一部が酸分解性基で保護されたものであり、
前記ノボラック樹脂は、o−クレゾールに由来する構造単位と、アルデヒドに由来する構造単位とを含み、
前記酸分解性基は、1−エトキシエチル基および1−プロポキシエチル基からなる群より選ばれる少なくともいずれかであり、
前記酸分解性樹脂の重量平均分子量は3000〜7000である、感光性樹脂組成物
が提供される。
また、本発明によれば、
前記感光性樹脂組成物により感光性樹脂膜を形成する膜形成工程と、
前記感光性樹脂膜を露光する露光工程と、
前記感光性樹脂膜を現像する現像工程と
を含む、パターン形成方法
が提供される。
また、本発明によれば、
前記パターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法
が提供される。
本発明によれば、ノボラック樹脂のフェノール性水酸基を酸分解性保護基で保護した樹脂を含む、感度と残膜率が両立された感光性樹脂組成物を得ることができる。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
本明細書中、数値範囲の説明における「a〜b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。例えば、「1〜5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」の意である。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書における「電子デバイス」の語は、半導体チップ、半導体素子、プリント配線基板、電気回路ディスプレイ装置、情報通信端末、発光ダイオード、物理電池、化学電池など、電子工学の技術が適用された素子、デバイス、最終製品等を包含する意味で用いられる。
<感光性樹脂組成物>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、酸分解性樹脂、光酸発生剤および溶剤を含む。
上記の酸分解性樹脂は、ノボラック樹脂のフェノール性ヒドロキシ基の少なくとも一部が酸分解性基で保護されたものである。
上記のノボラック樹脂は、o−クレゾールに由来する構造単位と、アルデヒドに由来する構造単位とを含む。
上記の酸分解性基は、1−エトキシエチル基および1−プロポキシエチル基からなる群より選ばれる少なくともいずれかである。
上記の酸分解性樹脂の重量平均分子量は3000〜7000である。
このような感光性樹脂組成物により、感度と残膜率が両立される理由については、以下のように説明することができる。なお、以下説明は推測を含み、また、以下説明により本発明が限定されるものでもない。
酸分解性樹脂がo−クレゾールに由来する構造単位を含むことにより、従来のノボラック樹脂(m/p−クレゾール等)に比べ、ノボラック樹脂の構造が適切に制御されると考えられる。そうすると、アルカリ可溶性基(フェノール性水酸基)が、アルカリ現像液とより接触しやすくなり、アルカリ現像液に対する溶解性が上がる(つまり、感度が良化する)と考えられる。
また、酸分解性基である1−エトキシエチル基または1−プロポキシエチル基は、脱保護に必要なエネルギーが非常に小さいため、一旦露光エネルギーを受けたところは速やかに溶け出すことができ、露光部(保護基が脱離した部分)と未露光部(保護基で保護されたままの部分)の溶解速度の「差」が適当になると考えられる。つまり、溶解すべきところは溶解し、溶解すべきではないところは溶解しない、という状態となり、良好な残膜率が実現されるものと考えられる。
感光性樹脂組成物が含む成分や、感光性樹脂組成物の物性などについて具体的に説明する。
(酸分解性樹脂)
酸分解性樹脂は、その元となるノボラック樹脂のフェノール性ヒドロキシ基の少なくとも一部を、酸分解性基で保護したものである。
酸分解性樹脂の元となるノボラック樹脂は、フェノール性ヒドロキシ基を有する構造単位として、o−クレゾールに由来する構造単位以外の構造単位を実質的に含まないことが好ましい。例えば、酸分解性樹脂の元となるノボラック樹脂は、m−クレゾールやp−クレゾールに由来する構造単位を含まないことが好ましい。このことにより、前述の「ノボラック樹脂の構造制御」がより一層適切になされることとなり、更なる高感度化と高残膜率の両立や、理想的な矩形断面が達成されると考えられる。
なお、ここでの「実質的に含まない」とは、酸分解性樹脂の元となるノボラック樹脂において、フェノール性ヒドロキシ基を有する構造単位の全体に対する、o−クレゾールに由来する構造単位以外の構造単位の割合が、例えば5モル%未満、好ましくは3モル%未満、より好ましくは1モル%未満、特に好ましくは0であることを表す。
換言すると、酸分解性樹脂の元となるノボラック樹脂の、フェノール性ヒドロキシ基を有する構造単位の全体に対する、o−クレゾールに由来する構造単位の割合は、例えば95モル%以上、好ましくは97モル%以上、より好ましくは99モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
酸分解性樹脂の元となるノボラック樹脂は、o−クレゾールに由来する構造単位に加え、アルデヒドに由来する構造単位を含む。これら構造単位の比率は特に限定されないが、アルデヒドに由来する構造単位に対する、o−クレゾールに由来する構造単位のモル比(ノボラック樹脂合成時の仕込み比と言うこともできる)は、例えは0.9〜1.1である。
酸分解性樹脂は、1−エトキシエチル基および1−プロポキシエチル基からなる群より選ばれる少なくともいずれかの酸分解性基により保護されている。つまり、元となるノボラック樹脂のフェノール性ヒドロキシ基の少なくとも一部の水素原子が、1−エトキシエチル基および/または1−プロポキシエチル基により置換されている。
酸分解性樹脂は、酸分解性基として、1−エトキシエチル基のみを有していてもよいし、1−プロポキシエチル基のみを有していてもよいし、1−エトキシエチル基とは1−プロポキシエチル基の両方を有していてもよい。
酸分解性樹脂の保護率、すなわち、元のノボラック樹脂が有するフェノール性水酸基のうち、どの程度が酸分解性基により保護されているかは、特に限定されない。
ただし、アルカリ現像液に対する樹脂の溶解速度(すなわち感度)や、残膜率を最適とする観点などから、ノボラック樹脂のフェノール性ヒドロキシ基の好ましくは20〜60モル%、より好ましくは25〜60モル%、さらに好ましくは30〜55モル%が、1−エトキシエチル基および1−プロポキシエチル基からなる群より選ばれる少なくともいずれかの酸分解性基で保護される。
なお、保護率は、樹脂の保護前後のH−NMRのピーク面積から求めることができる。
酸分解性樹脂の重量平均分子量は、3000〜7000であり、好ましくは4000〜7000、より好ましくは4500〜6500である。重量平均分子量を適切に調整することで、アルカリ現像液に対する溶解速度を一層適切とすることができ、感度や残膜率の観点で好ましい。
また、酸分解性樹脂の分散度(重量平均分子量を数平均分子量で割った値)は、好ましくは1.6〜2.3、より好ましくは1.7〜2.3、さらに好ましくは1.8〜2.2である。o−クレゾールノボラック樹脂はm/p−クレゾール等に比べてノボラック樹脂の構造が適切に制御されやすく、よって分散度を比較的小さくしやすい。酸分解性樹脂の分散度が小さいことで、解像度をより高めることなどができる。
なお、重量平均分子量および分散度は、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により求めることができる。
酸分解性樹脂は、任意の方法で製造すればよく、公知の合成方法を適宜適用することができる。
典型的には、まず、付加縮合によりフェノール類(主としてo−クレゾール)とアルデヒド類とからノボラック樹脂を合成し(ノボラック樹脂の合成)、次に、そのノボラック樹脂に保護基を導入すること(保護基の導入)により製造することができる。
ノボラック樹脂の合成に際しては、モノマー原料として、フェノール類(主としてo−クレゾール)およびアルデヒド類を用いることができる。アルデヒド類としては、工業的な入手性やコストなどから、ホルムアルデヒドが好ましい。
合成は、常法に従って、酸触媒を用いるなどして行えばよい。例えば、60〜150℃で2〜30時間の条件で行うことができる。
合成においては、反応溶媒を使用してもよい。溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、エタノ−ル、ブタノ−ルなどのアルコ−ル類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどエステル類、エトキシエチルアルコ−ルなどのエ−テルアルコ−ル類、プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テルアセテ−トのエ−テルエステルなどを挙げることができる。
また、反応終了後、酸触媒を除去するために塩基性化合物を添加して中和し、中和塩を水洗により除去してもよい。
合成で用いることができる触媒としては、塩酸、硫酸、過塩素酸及び燐酸のような無機酸、蟻酸、酢酸、蓚酸、トリクロロ酢酸及びp−トルエンスルホン酸のような有機酸、酢酸亜鉛、塩化亜鉛及び酢酸マグネシウムのような二価金属塩などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2以上を組合せて用いてもよい。
合成後、未反応成分、オリゴマー、不純物の除去などを行うことが好ましい。
保護基の導入方法は特に限定されない。例えば、上記で合成されたノボラック樹脂のフェノール性ヒドロキシ基を1−エトキシエチル基で保護する場合、室温にて、ノボラック樹脂に所定量のエチルビニルエーテルを添加し、酸触媒下で所定時間反応させることで得ることができる。1−プロポキシエチル基で保護する場合には、プロピルビニルエーテルを添加する。
なお、保護基の導入後、樹脂の水洗などを行って、不純物や未反応成分の除去を行ってもよい。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、良好な感度と残膜率を示す限りにおいて、2種以上の酸分解性樹脂を含んでいてもよい。2種以上の酸分解性樹脂を含む場合、(i)全ての酸分解性樹脂が上記の樹脂(つまり、o−クレゾール由来する構造単位を含む、特定の酸分解性基を含む、重量平均分子量が3000〜7000である等)であってもよいし、(ii)一部の樹脂が、上記に該当しない樹脂であってもよい。ただし、良好な感度と残膜率の観点からは、本実施形態の感光性樹脂組成物は、上記(ii)に該当しないことが好ましい。また、さらに良好な感度と残膜率などの観点からは、本実施形態の感光性樹脂組成物は、酸分解性樹脂を1種のみ含むことが好ましい。
感光性樹脂組成物中の酸分解性樹脂の含有量は、特に限定されないが、不揮発成分の全体に対して、例えば50〜99質量%、好ましくは55〜98質量%、より好ましくは65〜97質量%である。
(光酸発生剤)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、光酸発生剤、すなわち、光照射されることで酸を発生する化合物を含む。
光酸発生剤としては、任意のものを用いることができる。例えば、有機ハロゲン化物、スルホネートエステル類(例えば2−ニトロベンジルエステル、芳香族スルホネート、オキシムスルホネート、N−スルホニルオキシイミド、スルホニルオキシケトン、ジアゾナフトキノン4−スルホネート)及びスルホン類(例えば、ジスルホン、ケトスルホン、スルホニルジアゾメタン)等の非イオン系光酸発生剤を用いることができる。また、オニウムカチオンを含むオニウム塩(例えば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩)等のイオン系光酸発生剤を用いることができる。オニウム塩のアニオンとしては、スルホン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、スルホニルメチドアニオン等が挙げられる。
光酸発生剤は、光照射によりフッ素含有酸を発生する化合物を含むことが好ましい。
1−エトキシエチル基および1−プロポキシエチル基は、元来、脱保護しやすく、比較的弱い酸でも十分脱保護すると考えられる。しかしながら、フッ素の如き電子求引性が強い原子で置換された酸を用いることで、感度のより一層の向上効果が得られると考えられる。
より好ましくは、光酸発生剤は、フッ素化アルキルリン酸スルホニウム塩を含む。フッ素化アルキルリン酸スルホニウム塩としてより具体的は以下一般式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2019204036
上記一般式中、
R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子または1価の置換基を表し、
Rfは、フッ化アルキル基を表し
nは、1〜6の整数を表す。
R1、R2およびR3の1価の置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールチオ基などを挙げることができる。
R1、R2およびR3の少なくとも1つは、フェニルチオ基(C−S−)であることが好ましい。また、R1、R2およびR3の少なくとも1つがフェニルチオ基(C−S−)である場合R1、R2およびR3の残りは水素原子であることが好ましい。
Rfのフッ化アルキル基としては、パーフルオロアルキル基が好ましい。Rfの炭素数は例えば1〜10の間である。
感光性樹脂組成物は、光酸発生剤を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでもよい。
感光性樹脂組成物中の光酸発生剤の含有量は、特に限定されないが、不揮発成分の全体に対して、例えば0.1〜10質量%、好ましくは0.3〜8質量%、より好ましくは0.5〜6質量%である。
(溶剤)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、溶剤を含む。
溶剤としては任意のものを用いることができる。溶剤は、典型的には有機溶剤である。
有機溶剤としては、グリコールエーテルエステル類(例えば、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等)、グリコールエーテル類(プロピレングリコールモノメチルエーテル等)、エステル類(乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチル等)、ケトン類(アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン及びシクロヘキサノン等)、ラクトン類(γ−ブチロラクトン等)、これらの混合溶剤などを挙げることができる。
特に、溶剤は環状ケトンを含むことが好ましい。より好ましくは溶剤の全量中の90質量%以上、さらに好ましくは溶剤の全量中の95質量%以上、特に好ましくは溶剤の全量が、環状ケトンである。
溶剤として環状ケトンを用いることで、感光性樹脂組成物の保管時の経時変化を抑えることができる。より具体的には、感光性樹脂組成物を6ヶ月程度かそれ以上の長期間保管した後においても、残膜率の低下を抑えることができる。また、本発明者らの知見によれば、環状ケトン溶剤は、他の溶剤(例えば慣用されているプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)に比べて、感光性樹脂組成物を製膜するときに、膜の内部に残りにくい。このことにより、膜全体としてのアルカリ溶解性をより均一とすることができ、その結果、パターンの矩形性の向上やアスペクト比の一層の向上を図ることができる。環状ケトンの例としては、シクロヘキサノンやシクロペンタノンが挙げられる。
なお、パターンの矩形性の向上やアスペクト比の一層の向上効果については、環状ケトンだけでなく、例えば乳酸アルキル(乳酸エチル等)の溶剤でも得ることができる。
(その他成分)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、酸分解性樹脂、光酸発生剤および溶剤以外の任意の成分を含んでもよい。例えば、露光により酸発生剤から発生する酸を捕捉する作用を有する化合物(クエンチャー)、基板の防食剤、界面活性剤、増感剤、溶解抑止剤、安定剤、酸化防止剤、その他のフォトレジスト分野で公知の添加剤を含んでもよい。
クエンチャーとしては、例えば、アミンやアンモニウム塩などが挙げられる。アミンとしては、脂肪族アミン及び芳香族アミンが挙げられる。脂肪族アミンとしては、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンが挙げられる。脂肪族アミンとしてより具体的には、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン等を挙げることができる。また、芳香族アミンとしてより具体的には、アニリンやアニリン誘導体等を挙げることができる。
脂肪族アミンまたは芳香族アミンの具体例としては、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、アニリン、ジイソプロピルアニリン、2−,3−又は4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、ジブチルメチルアミン、メチルジペンチルアミン、ジヘキシルメチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、ジヘプチルメチルアミン、メチルジオクチルアミン、メチルジノニルアミン、ジデシルメチルアミン、エチルジブチルアミン、エチルジペンチルアミン、エチルジヘキシルアミン、エチルジヘプチルアミン、エチルジオクチルアミン、エチルジノニルアミン、エチルジデシルアミン、トリス〔2−(2−メトキシエトキシ)エチル〕アミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン等が挙げられる。
また、クエンチャーとしては、含窒素複素環化合物のうち、塩基性を示すものなども用いることができる。
(濃度/粘度)
本実施形態の感光性樹脂組成物の濃度や粘度は、例えば前述の溶剤の量や種類を変えるなどして、適切に調整されることが好ましい。
例えば、感光性樹脂組成物の不揮発成分(溶剤以外の成分)の濃度は、スピンコーターにて比較的厚膜でかつ均一に塗布することを考慮すると、30〜60質量%に調整されることが好ましく、45〜60質量%に調整されることがより好ましい。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、比較的厚膜のパターン形成において、良好な性能を奏する。より具体的には、高アスペクト比(アスペクト比とは、パターンの「高さ/線幅」の値である)のパターン形成において、パターンの形状を矩形状にしやすい。
この理由については以下のように考えられる。o−クレゾールノボラック樹脂は、従来のノボラック樹脂(m/p−クレゾール等)に比べ、ノボラック樹脂の構造が適切に制御されている。よって、保護基が一旦脱保護されると、均一なスピードでアルカリ現像液に溶解することになり、脱保護の前後でのアルカリ現像液への溶解スピードが、いわば0か1かのデジタル的に制御できることとなる。これにより、厚膜のパターニングにおいてパターンの形状を矩形状にしやすいものと推測される。
なお、高アスペクト比やパターン形状の矩形性の効果は、溶剤を適切に選択することでより確実に得ることができる。例えば、前述の環状ケトンや乳酸アルキル等を溶剤として用いることで、高アスペクト比やパターン形状の矩形性を得ることができる。
感光性樹脂組成物の不揮発成分(溶剤以外の成分)の濃度を、上述のように高めにすることで、厚い樹脂膜を形成しやすくなり、また、その厚い樹脂膜をパターニングすることで高アスペクト比のパターンを得ることができる。
別観点として、感光性樹脂組成物の25℃での粘度は、50〜10,000mPa・sであることが好ましく、300〜10,000mPa・sであることがより好ましく、500〜4,000mPa・sであることがより好ましい。感光性樹脂組成物の粘度がある程度大きいと、厚い樹脂膜を形成しやすくなり、また、その厚い樹脂膜をパターニングすることで高アスペクト比のパターンを得ることができる。
粘度は、例えば、回転式粘度計や毛細管を使うキャノンフェンスケ粘度計や、音叉型振動式粘度計(エー・アンド・デイ社の装置、型番:SV−10など)により測定することができる。
<パターン形成方法および電子デバイスの製造方法>
上記の感光性樹脂組成物により感光性樹脂膜を形成する膜形成工程と、その感光性樹脂膜を露光する露光工程と、露光された感光性樹脂膜を現像する現像工程とにより、パターン(典型的にはポジ型パターン)を得ることができる。
また、得られたパターンを、ドライエッチングやイオンインプランテーション、あるいは金属スパッターや金属メッキの際のマスクとして用いるなどして、電子デバイスを製造することができる。
上記の膜形成工程、露光工程および現像工程について簡単に説明する。
(膜形成工程)
感光性樹脂膜を形成する基板は特に限定されない。例えばガラス基板、シリコンウエハ、セラミック基板、アルミ基板、SiCウエハー、GaNウエハー、銅基板、銅メッキ基板などを挙げることができる。
基板は、未加工の基板であってもよいし、電極や素子が表面に形成された基板であってもよい。
感光性樹脂膜の形成方法は特に限定されない。電子デバイスの製造分野では、スピナーを用いた回転塗布が一般的だが、他の方法でもよい。例えば、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング、インクジェット法などでもよい。
基板上に塗布された感光性樹脂組成物の乾燥は、典型的には加熱処理により行われる。加熱温度は、通常80〜140℃、好ましくは90〜120℃である。また、加熱の時間は、加熱装置により異なるが、ホットプレートを使用した場合、通常30〜300秒、好ましくは60〜180秒程度、熱風式オーブンを使用した場合、通常5〜60分、好ましくは10〜30分程度である。
感光性樹脂膜の膜厚は、特に限定されず、適用するアプリケーションや最終的に得ようとするパターン等に応じて適宜調整すればよい。例えば、銅のバンプ形成を目指す場合、通常5〜100μm、好ましくは10〜100μm、より好ましくは15〜100μmである。なお、膜厚は、感光性樹脂組成物中の不揮発成分濃度の調整や塗布方法の変更などにより調整可能である。
(露光工程)
露光工程は、通常、適当なフォトマスクを介して活性光線を感光性樹脂膜に当てることで行われる。
活性光線としては、例えばX線、電子線、紫外線、可視光線などが挙げられる。波長でいうと200〜500nmの光が好ましい。パターンの解像度や取り扱い性の点で、光源は水銀ランプのg線、h線又はi線であることが好ましく、特にi線が好ましい。また、2つ以上の光線を混合して用いてもよい。露光装置としては、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパーなどが挙げられる。
露光の光量は、感光性樹脂膜中の感光剤の量などにより適宜調整すればよいが、例えば100〜500mJ/cm程度である。
必要に応じ、露光後かつ現像工程前に、感光性樹脂膜を加熱することも可能である(露光後加熱:Post Exposure Bake)。その温度は、例えば70〜150℃、好ましくは70〜120℃である。また、時間は、例えばホットプレートを使用した場合、通常30〜300秒、好ましくは60〜180秒である。露光後加熱をすることで、脱保護反応を促進できるため、一層の高感度化などを期待することができる。
ただし、1−エトキシエチル基および1−プロポキシエチル基は、比較的脱保護しやすいため、露光後加熱を行わずとも十分な脱保護が可能である(つまり、露光後加熱をせずとも十分高感度である)。このことは後述の実施例でも示される。この「露光後加熱を行わずとも十分な高感度が得られること」は、工程の省略/装置の削減などの点で生産効率上のメリットが大きい。
(現像工程)
露光された感光性樹脂膜を、現像液で現像することで、パターンを得ることができる。現像は、例えば、浸漬法、パドル法、回転スプレー法などの方法を用いて現像を行うことができる。現像により、通常、感光性樹脂膜の露光部が溶出除去され、ポジ型のパターンが得られる。
現像液としては、通常、アルカリ水溶液が用いられる。アルカリ水溶液として具体的には、(i)水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニアなどの無機アルカリ水溶液、(ii)エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなどの有機アミン水溶液、(iii)テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム塩の水溶液などが挙げられる。
現像液としては、特に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液が好ましい。テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの濃度は、好ましくは0.1〜10質量%であり、更に好ましくは0.5〜5質量%である。
以上の工程により、パターンを得ることができるが、現像の後、リンス液によりパターンおよび基板を洗浄することが好ましい。リンス液としては、超純水が好適である。
得られたパターンは、例えば、電子デバイス製造において、ドライエッチング時のマスクや、イオンインプランテーションプロセスにおけるマスク、あるいは金属スパッターや金属メッキ用のマスクとして利用することができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
<保護基で保護する前のノボラック樹脂の合成>
[合成例A(o−クレゾールノボラック樹脂の製造)]
温度計、攪拌機及び還流冷却器を備えたセパラブルフラスコに、o−クレゾール100部、92%パラホルムアルデヒド32.5部、蓚酸1.0部を仕込み、還流させながら4時間反応させた。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50.0部を添加し、120℃まで昇温させた。留出してきた水は取り除いた。更に、120℃で5時間反応させた後、180℃まで加熱し減圧してプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを取り除いた。180℃にて溶融した樹脂を抜き出し、冷却して固形のo−クレゾールノボラック樹脂を得た。
この樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミッションクロマトグラフィー法(ポリスチレン換算)で5,690であった。
[合成例B(o−クレゾールノボラック樹脂の製造)]
92%パラホルムアルデヒドの添加量を33.5部にした以外は、合成例1と同様にしてノボラック樹脂を得た。
この樹脂の重量平均分子量はゲルパーミッションクロマトグラフィー法(ポリスチレン換算)で7,980であった。
[合成例C(o−クレゾールノボラック樹脂の製造)]
92%パラホルムアルデヒドの添加量を30.5部にした以外は、合成例1と同様にしてノボラック樹脂を得た。
この樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミッションクロマトグラフィー法(ポリスチレン換算)で2,410であった。
[合成例D(m−クレゾールノボラック樹脂の製造)]
攪拌機、温度計、熱交換機を備えた3Lの四つ口フラスコに、m−クレゾール100部、37%ホルマリン60部、蓚酸0.2部を仕込み、97〜103℃で4時間還流反応を行った後、常圧下で脱水を行い内温140℃まで上昇させ、次いで70Torrの減圧下で内温200℃まで脱水・脱モノマーを行い、ノボラック型フェノール樹脂90部を得た。
得られた樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミッションクロマトグラフィー法(ポリスチレン換算)で3000であった。
[合成例E(m/p−クレゾールノボラック樹脂の製造)]
攪拌機、温度計、熱交換機を備えた3Lの四つ口フラスコに、m−クレゾール60部、p−クレゾール40部、37%ホルマリン52.5部、蓚酸0.2部を仕込み、97〜103℃で4時間還流反応を行った後、常圧下で脱水を行い内温140℃まで上昇させ、次いで70Torrの減圧下で内温200℃まで脱水・脱モノマーを行い、ノボラック型フェノール樹脂77.2部を得た。
得られた樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミッションクロマトグラフィー法(ポリスチレン換算)で7000であった。
[合成例F(m/p−クレゾール+3,5−キシレノールノボラック樹脂の製造)]
攪拌機、温度計、熱交換機を備えた3Lの四つ口フラスコに、メタクレゾール45部、パラクレゾール25部、3,5−キシレノールを30部、37%ホルマリン37.5部、蓚酸0.2部を仕込み、97〜103℃で4時間還流反応を行った後、常圧下で脱水を行い内温140℃まで上昇させ、次いで70Torrの減圧下で内温200℃まで脱水・脱モノマーを行い、ノボラック型フェノール樹脂90部を得た。
得られた樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミッションクロマトグラフィー法(ポリスチレン換算)で5000であった。
<酸分解性樹脂の合成(フェノール性水酸基の保護)>
[合成例1(アルコキシアルキル基による保護)]
まず、合成例Aで得られたノボラック樹脂を、樹脂含有濃度が15%になるようにシクロペンタノンに溶解した。
次に、フラスコに、上記樹脂溶液を130g及びp−トルエンスルホン酸一水和物3.6mgを仕込んだ。この樹脂溶液に、エチルビニルエーテル7.8gを滴下した後、室温で3時間反応させた。その後、酸触媒を取り除くために、この反応溶液にイオン交換水を加えて攪拌した後、静置し、分液により有機層部分を取り出す洗浄工程を5回繰り返した。最終的に取り出した有機層を、水分除去を兼ね、濃縮した。そして樹脂濃度が59%の樹脂溶液が得られた。
得られた樹脂をH−NMRで分析したところ、ノボラック樹脂のフェノール性水酸基の46.5%が1−エトキシエチル基により保護化されていた。
[合成例2(アルコキシアルキル基による保護)]
保護基の原料物質を、エチルビニルエーテルからNPVE(プロピルビニルエーテル)に変えた以外は合成例1と同様に反応させ、濃縮まで行った。そして樹脂濃度が56%の樹脂溶液を得た。
得られた樹脂をH−NMRで分析したところ、ノボラック樹脂のフェノール性水酸基の55.7%が1−プロポキシエチル基により保護化されていた。
[合成例3(アルコキシアルキル基による保護)](比較用)
使用するノボラック樹脂を、合成例Dで合成したm−クレゾールノボラック樹脂を含有濃度が15%になるようにシクロペンタノンに溶解して使用した以外は合成例1と同様に反応させ、濃縮まで行った。そして樹脂濃度が55%の樹脂溶液を得た。
得られた樹脂をH−NMRで分析したところ、ノボラック樹脂のフェノール性水酸基の43.4%が1−エトキシエチル基により保護化されていた。
[合成例4(アルコキシアルキル基による保護)](比較用)
使用するノボラック樹脂を、合成例Eで合成したm/p−クレゾールノボラック樹脂を含有濃度が15%になるようにシクロペンタノンに溶解して使用した以外は合成例2と同様に反応させ、濃縮まで行った。そして樹脂濃度が57%の樹脂溶液を得た。
得られた樹脂をH−NMRで分析したところ、ノボラック樹脂のフェノール性水酸基の39.8%が1−プロポキシエチル基により保護化されていた。
[合成例5(アルコキシアルキル基による保護)](比較用)
使用するノボラック樹脂を、合成例Fで合成したm/p−クレゾール+3,5−キシレノールノボラック樹脂を含有濃度が15%になるようにシクロペンタノンに溶解して使用した以外は合成例2と同様に反応させ、濃縮まで行った。そして樹脂濃度が56%の樹脂溶液を得た。
得られた樹脂をH−NMRで分析したところ、ノボラック樹脂のフェノール性水酸基の38.6%が1−プロポキシエチル基により保護化されていた。
[合成例6(t−BOC基による保護)](比較用)
保護基の原料物質を、エチルビニルエーテルから二炭酸ジ−tert−ブチルに変えた以外は合成例1と同様に反応させ、濃縮まで行った。そして樹脂濃度が53%の樹脂溶液を得た。
得られた樹脂をH−NMRで分析したところ、ノボラック樹脂のフェノール性水酸基の53.4%がt−ブトキシカルボニル基(t−BOC)により保護化されていた。
[合成例7(THP基による保護)](比較用)
保護基の原料物質を、エチルビニルエーテルからジヒドロピランに変えた以外は合成例1と同様に反応させ、濃縮まで行った。そして樹脂濃度が52%の樹脂溶液を得た。
得られた樹脂をH−NMRで分析したところ、ノボラック樹脂のフェノール性水酸基の50.8%がテトラヒドロピラニル基(THP)により保護化されていた。
[合成例8(アルコキシアルキル基による保護)]
使用したノボラック樹脂が合成例Bである以外は合成例1と同様に反応させ、濃縮まで行った。そして樹脂濃度が57%の樹脂溶液を得た。
得られた樹脂をH−NMRで分析したところ、ノボラック樹脂のフェノール性水酸基の48.3%が1−エトキシエチル基により保護化されていた。
[合成例9(アルコキシアルキル基による保護)]
使用したノボラック樹脂が合成例Cである以外は合成例1と同様に反応させ、濃縮まで行った。そして樹脂濃度が59%の樹脂溶液を得た。
得られた樹脂をH−NMRで分析したところ、ノボラック樹脂のフェノール性水酸基の47.7%が1−エトキシエチル基により保護化されていた。
[合成例10(アルコキシアルキル基による保護)]
溶剤としてメチルイソブチルケトン(MIBK)を使った以外は合成例1と同様にして合成し、洗浄工程を5回繰り返し、最終的に取り出した有機(MIBK)層を、溶剤置換の常法により水分を除去しながら、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶剤へ置換した。このとき、保護基が外れることを防ぐため、100℃以下にて行った。
得られた樹脂のPGMEA溶液の固形分は54%であった。また、得られた樹脂をH−NMRで分析したところ、ノボラック樹脂のフェノール性水酸基の42.5%がエトキシエチルにより保護化されていた。
[合成例11(アルコキシアルキル基による保護)]
溶剤としてメチルイソブチルケトン(MIBK)を使った以外は合成例2と同様にして合成し、洗浄工程を5回繰り返し、最終的に取り出した有機(MIBK)層を、溶剤置換の常法により水分を除去しながら、乳酸エチル(EL)溶剤へ置換した。この時、保護基が外れることを防ぐため、100℃以下にて行った。
得られた樹脂のEL溶液の固形分は53%であった。また、得られた樹脂をH−NMRで分析したところ、ノボラック樹脂のフェノール性水酸基の41.8%がエトキシエチルにより保護化されていた。
<感光性樹脂組成物の調製>
イエローライト下の部屋で、合成例1〜11で得られた保護化されたノボラック樹脂溶液それぞれに、表1に示す光酸発生剤、その他材料を所定量投入し、3時間、室温にて攪拌し溶解させた。溶解させた溶液を、孔径1.0μmのポリプロピレン製メンブランカプセルフィルターにより窒素加圧ろ過し、感光性樹脂組成物を得た。
表1に、感光性樹脂組成物の構成成分、各成分の量、不揮発成分濃度、粘度などをまとめて示す。
なお、表1には記載していないが、実施例1〜4で用いた酸分解性樹脂の分散度(GPC測定に基づく)は、1.9〜2.1程度であった。
Figure 2019204036
表1中、CPI−210Sは、サンアプロ社製の光酸発生剤(フッ素化アルキルリン酸スルホニウム塩、前述の一般式に該当する構造)である。
クエンチャーの「TEA」は、トリエチルアミンを表す。
溶剤の「PGMEA」はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、「EL」は乳酸エチルを表す。
粘度は、音叉型振動式粘度計(エー・アンド・デイ社の装置、型番:SV−10)により測定した値である(粘度については、実施例1〜4の感光性樹脂組成物のみ測定した)。
<評価>
表1に記載の組成物それぞれを、4インチのシリコンウエハ上に滴下し、スピンコ−タ−を使用して塗布後、ホットプレ−ト上で100℃、60秒間プリベークした。プリベーク後のサンプルの膜厚は光学式膜厚計(FILMMETRICS社製、F−20)にて測定した。目標膜厚を15μmとし、スピンスピードを調整しながら、塗布−ベークを数回繰り返して、膜厚15μm±0.5μmの塗布サンプルを得た。
その後、超高圧水銀ランプ(g線、h線、i線混合波長)を光源とした露光装置(ミカサ株式会社製、マスクアライナーMA−20)により、ラインとスペース幅が1:1である種々の線幅がそろったテストパターンマスクを通して露光した。露光後、2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液に浸漬して現像し、その後超純水にて水洗リンスし、レジストパターンを得た。尚、露光後ベーク(PEB)工程は行わなかった。各性能は次のようにして評価した。
[感度]
露光の際、ウエハーの一部にしか露光光があたらないように部分的にマスキングし、その場所を適宜ずらしながら露光量を変化させて露光することを繰り返した。これにより、50mJ/cmのステップで、100〜300mJ/cmの段階的に露光量を増加させた露光済みウエハーを得た。
このウエハーを現像およびリンス後、光学顕微鏡にてパターンを観察し、マスクの10μmライン&スペースのスペース部が正常にオープン(現像)され、下地のSiウエハーが見えている最少露光量(50mJ/cm刻み)を感度とした。そして、以下3段階で評価した。
高:感度150mJ/cm以下
中:感度200mJ/cm以上、250mJ/cm以下
低:感度300mJ/cm以上
[残膜率]
現像−リンス後の未露光部の膜厚を測定し、初期膜厚(15μm)にて除したものを残膜率とした。そして、以下3段階で評価した。
高:90%以上
中:80%以上、90%未満
低:80%未満
[パターンプロファイル]
上述の感度測定した基板で、最少露光量より1ステップ露光量が多い場所(+50mJ/cm)での10μmラインレジストの断面形状を電子顕微鏡(SEM)にて観察し、プロファイル形状を判定した。
なお、最少露光量より1ステップ露光量多い場所で観察した理由は、以下の通りである。
光学顕微鏡で観察した最少露光量ではレジストパターンの裾部分がまだ抜けきれていないことが普通で、レジスト線幅もマスク線幅よりも若干太めであることが多い。そのため、最適露光量は最少露光量の1.1〜2.0倍ぐらいと考えるのが妥当であるため、本プロファイルの観察場所を1ステップ多めの露光量、すなわち最適露光量の点とした。
[解像度およびアスペクト比]
上述のパターンプロファイルと同様、最少露光量から1ステップ露光量多い露光場所、すなわち最適露光量の場所にて、10μmライン&スペースよりもさらに細い部分を観察し、スペース部がオープンしている最小線幅を解像度とした。なお、使用したマスクには、10μm以下は1μmステップ刻みで、最少1μmまでのライン&スペースパターンが存在する。
また、解像度と同様、アスペクト比もレジスト性能の良否を判定する指標となる。アスペクト比とはレジストプロファイルの高さ(膜厚)/線幅の比率である。表中のアスペクト比は、初期膜厚(15μm)を、解像度である最小線幅で除した値である。
[経時安定性(残膜率)]
調製した感光性樹脂組成物を、25℃で6か月間保管した。この組成物を用いて、上記[残膜率]と同様の評価を行った。調製直後の残膜率と比較し、以下2段階で評価した。
良:10ポイント未満の低下しかないもの
悪:10ポイント以上の低下があったもの
評価結果をまとめて表2に示す。
Figure 2019204036
表2に示されるように、o−クレゾールノボラック樹脂のフェノール性水酸基の少なくとも一部が1−エトキシエチル基または1−プロポキシエチル基で保護された、重量平均分子量3000〜7000の酸分解性樹脂を含む感光性樹脂組成物(実施例1〜4)によりパターン形成を行ったところ、感度と残膜率の両方が良好な結果が得られた。
特に、溶剤として環状ケトン(シクロペンタノンまたはシクロヘキサノン)または乳酸アルキル(乳酸エチル)を用いた実施例1、2および4では、パターンプロファイルおよびアスペクト比も良好であった。
また特に、溶剤として環状ケトン(シクロペンタノンまたはシクロヘキサノン)を用いた実施例1および2では、経時安定性も良好であった。
一方、o−クレゾールノボラック樹脂ではないフェノール樹脂のフェノール性水酸基を保護した樹脂を使用した比較例1〜3、1−エトキシエチル基でも1−プロポキシエチル基でもない保護基でフェノール性水酸基を保護したo−クレゾールノボラック樹脂を用いた比較例4および5、樹脂の重量平均分子量が3000〜7000の範囲外にある比較例6および7の感光性樹脂組成物においては、感度と残膜率の両立という効果は得られなかった。
なお、実施例1〜4の感光性樹脂組成物は、露光後加熱を行わずとも十分に高い感度が得られている。これには1−エトキシエチル基および1−プロポキシエチル基の脱保護のしやすさが関係していると考えられる。この「露光後加熱を行わずとも十分に高い感度が得られる」という特性は、装置削減、タクトタイムの短縮など、生産効率上大変好ましいものである。

Claims (9)

  1. 酸分解性樹脂、光酸発生剤および溶剤を含む感光性樹脂組成物であって、
    前記酸分解性樹脂は、ノボラック樹脂のフェノール性ヒドロキシ基の少なくとも一部が酸分解性基で保護されたものであり、
    前記ノボラック樹脂は、o−クレゾールに由来する構造単位と、アルデヒドに由来する構造単位とを含み、
    前記酸分解性基は、1−エトキシエチル基および1−プロポキシエチル基からなる群より選ばれる少なくともいずれかであり、
    前記酸分解性樹脂の重量平均分子量は3000〜7000である、感光性樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の感光性樹脂組成物であって、
    前記ノボラック樹脂は、フェノール性ヒドロキシ基を有する構造単位としてo−クレゾールに由来する構造単位以外の構造単位を実質的に含まない、感光性樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物であって、
    前記ノボラック樹脂のフェノール性ヒドロキシ基の20〜60モル%が、1−エトキシエチル基および1−プロポキシエチル基からなる群より選ばれる少なくともいずれかの酸分解性基で保護されている、感光性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物であって、
    前記光酸発生剤が、光照射によりフッ素含有酸を発生する化合物を含む、感光性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物であって、
    前記溶剤が環状ケトンを含む、感光性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物であって、
    組成物中の不揮発成分の濃度が30〜60質量%である、感光性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物であって、
    25℃での粘度が50〜10,000mPa・sである、感光性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物により感光性樹脂膜を形成する膜形成工程と、
    前記感光性樹脂膜を露光する露光工程と、
    前記感光性樹脂膜を現像する現像工程と
    を含む、パターン形成方法。
  9. 請求項8のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
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