JP4753355B2 - 法枠構築工法 - Google Patents
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Description
このフリーフレーム工法は、吹付用ガン体のタンク内に、セメント、砂(細骨材)および必要により砂利(粗骨材)を水と混練し、タンクの出側に設けたエアガンによるエアの搬送力によりホース内に圧送し、そのホースの先端に連結した吹付ノズルから、対象面にモルタルまたはコンクリートとして吹き付けるものである。この場合、型枠は、クリンプ金網を地山に沿って平行に配設し、その間をスペーサーにより連結して自立させたものを用いて、たとえば格子状に組み上げ、隣接する側型枠内に吹付材料を吹き付けて、法枠を構築するものである。また、隣接する側型枠内には、鉄筋を配筋しておく。
(1)セメント(C):砂(S)の重量比が1:4であり、吹付工法としては、貧配合(単位セメント量の少ない)であるために、強度が充分でない。
(2)型枠内に貧配合材料をエアと共に吹き付けると、大量のリバンドロスが発生し、これを排除しないと、巣ができ、強度の低下をもたらす。
(3)スランプ値が0cmの流動性のない材料を用いると、鉄筋の裏側に回り込み難く、間隙または巣ででき、強度の低下を生じる。
そこで、汎用の(通常配合の)生コンクリートの材料を、横断面の周囲を完全に囲んだ型枠を用い、その型枠内に材料を充填する方法も開発されている。
(イ)通常用いられている2.5 インチのホースを通して、材料を圧送すると、ホースの先端部および吹付ノズルを保持する作業員には、約20kg程度の負荷がかかり、到底、作業員がこれを保持しながら、地山および型枠に沿って移動しながら、打設することは困難であり、このために、コンクリートポンプ車にて、そのブームを法肩まで伸ばし、そのブームに沿って配設した管路を通して打設する必要があり、コンクリートポンプ車を打設個所近傍まで搬入できない、あるいはブームの移動が空間的に規制される山間部の施工には不適当である。
(ロ)型枠内の全体に材料を行き渡らせるためには、あるいはその品質保持のためには、材料に対してバイブレータにより振動を与える必要があり、その手段を採るのが難しく、また作業性にも劣る。
(ハ)法肩から打設した材料を型枠全体に行き渡らせることは至難の技であり、特に横法枠に充填することが困難である。さらに、具体的には、横枠の法肩側上部に未充填空間部が生じてしまう。その結果として、小面積範囲の法枠の構築用に限定されてしまう。
(ニ)バイブレータの不十分な掛け方により、でき上がった法枠の品質にばらつきが発生する。
また、法枠構築用材料として、減水剤のほかセピオライト(昭和鉱業社製「ミルコンSP」)を添加することも提案した(特許文献2)。
<請求項1項記載の発明>
モルタルまたはコンクリートを主体とし、水セメント比W/Cが40〜60%であり、単位セメント量がモルタルの場合で430kg/m3以上、コンクリートの場合で380kg/m3以上である配合材料に対し、界面活性剤をセメント量に対して0.001〜0.5重量%及びセピオライトを0.5〜5.0重量%を添加して分散させた後、圧送前120分以内でのスランプ値が15〜27cmである湿式法枠構築材料を、
ポンプにより管路を介して圧送し、その管路の先端の吹付ノズルから、前記吹付ノズルから吐出された材料の吐出後1分以内でのスランプ値が5〜11cmとした状態で、地山に固定され、鉄筋が配筋された隣接する側型枠内に吹き付けて充填するとともに、
前記ポンプと吹付ノズルとの間の管路の途中であり、かつ吹付ノズルから7〜40m離間した吹き込み位置のみにおいて、空気を吹込み、前記湿式法枠構築材料を前記空気を連行した状態で前記吹付ノズルから吹き付け、いかなる過程においても前記湿式法枠構築材料へ急結剤を添加することなく、法枠を構築するとともに、
前記セピオライトとして、鉱物原石を粗砕し、この粗砕物をこれに対する200〜600重量%の水の存在下で、45μmアンダーが95%以上の粒度に解砕したものを使用する、
ことを特徴とする法枠構築工法。
ここに、前記スランプ値は、JIS A 1101(1998)に基づき測定される。
<請求項2項記載の発明>
ミキサーに前記配合材料を投入するとともに、当該ミキサーに前記セピオライト及び界面活性剤を投入して前記配合材料に対する分散を行い、
前記ミキサーの撹拌軸に設けたトルク検出器からのトルク値に基づき、前記界面活性剤及びセピオライトの投入量を調整し、前記圧送前120分以内でのスランプ値を15〜27cmに調節する、請求項1記載の法枠構築工法。
本出願人が提案した添加剤であるセピオライトは、昭和鉱業社製「ミルコンSP」である(特許文献2参照)。
前記ミキサーは、少なくとも2つの分散槽を有し、前記生コンクリート車のシュートから前記配合材料を一方の分散槽に投入し、前記セピオライト及び前記界面活性剤を投入して前記配合材料に対する分散を行う第1の過程と、その後に前記シュートを移動させて他方の分散槽に前記配合材料を投入し、前記セピオライト及び前記界面活性剤を投入して前記配合材料に対する分散を行う第2の過程とを、交互に行う請求項2記載の法枠構築工法。
このように、第1の過程と第2の過程とを交互に行うことにより、円滑な分散を行うことができ、吹付ノズルからの連続的な吹付けが可能となる。
本発明では、モルタルまたはコンクリートを主体とし、水セメント比W/Cが40〜60%であり、単位セメント量(ここに、空気量を考慮しない値である。配合設計では空気量を4〜6%として仮定して計算するが多い(場合により10%として仮定することもある)ので、その空気量を考慮しないとの意味である。本発明においてすべて同じ意味で使用している。)がモルタルの場合で430kg/m3以上、コンクリートの場合で380kg/m3以上であり、界面活性剤をセメント量に対して0.001〜0.5重量%及びセピオライトを0.5〜5.0重量%を添加し混練し、混練後120分以内でのスランプ値が15〜27cm(特に18〜26cmが最適)である湿式法枠構築材料を、(コンクリート)ポンプにより管路を介して圧送するものである。
図2はコンクリート吹付けの全体図であり、生コンクリート車1から、所定に配合したコンクリートをミキサー2に受け入れ、このミキサー2に、界面活性剤Y及びセピオライトXを投入し、良く分散させる。分散が完了した湿式法枠構築材料Zは、コンクリート圧送用のポンプ3に投入し、これにより、圧送管路5を通して吹付ノズル6に圧送する。
以下実験例を示して本発明の効果を明らかにする。
(実験例1)
前述の装置構成の下で、吹付材料のスランプ値、エア投入位置(Y字管の吹付ノズルからの離間距離)、及びセピオライトの種類を種々変更して、吹付状況を観察するとともに、構築した法枠の物性を調べた。なお、エア圧送圧力(元圧)は6.5kg/cm2、エア流量は4Nm3/分で一定とし、吹付ノズルとしては直管タイプのものを使用した。
使用したコンクリート吹付材料はセメント:砂:水硬性スラグ微粉末:粗骨材=1:3:0.2:1 であり、単位セメント量を402kg/m3、水セメント比W/Cは55%、界面活性剤としては、セメント量に対して0.005重量%にそれぞれ一定とした。
実験に使用したものは、先の表1に示した、従来品セピオライトとして、昭和鉱業社製「ミルコンSP」を、本発明のセピオライトとして、昭和鉱業社製「RSA剤」である。
スランプ値はセピオライト添加量及び分散時間により、前述のトルク検出器により検出したトルク値からせん断抵抗値を求め、所定のせん断抵抗値を指標として、変動させた。セピオライトの添加量は、セメント量に対して1.0〜2.5重量%の範囲内での変化で対応できた。
側型枠としては、開口率が82%のクリンプ金網を使用した。Y字管から先の先端ホースの内径は45mmにした。
また、それぞれ搬送元材料のスランプ値及び吹付ノズルから吐出された材料のスランプ値を測定した。搬送性は、主に吹付ノズルからの吐出状況が安定しているか否かにより、吹付状況は、反発ロス状況、法枠のカット断面状況、採取コアの外観状況を5名の実験者による評価の平均および評価のバラツキにより判断した。この状況観察評価は、「ス」の生成状況、鉄筋の裏への回り状況なども含む。さらに、特にダレについて別評価項目とした。結果を表3に示す。なお、細骨材は鬼怒川産で粗粒率2.9のものを使用した。また、本発明の材料により構築した法枠の28日強度は、35〜39N/mm2であった。
モルタル吹付材料に換えて実験例1と同じ実験を行った。材料は、セメント:砂=1:3であり、単位セメント量を495kg/m3とした。結果は、表3の結果と実質的に同じであるために掲載を省略する。
上記実験結果に基づき、従来品のセピオライトと本発明のセピオライトとの間で顕著な効果の相違を示したので、基礎的な物性に関して研究した。
(1)常温の水を180g、本発明のセピオライト(「RSA剤」)及び、昭和鉱業社から入手したセピオライト(「ミルコンSP」)を20g計量する。
(2)水に各材料を投入後、ケミカルミキサーにより回転数550rpmで3分間撹拌し、10%懸濁液を作成する。
(3)作成した10%懸濁液の粘性を振動式粘度計により測定する。各材料の粘性発現の傾向を知るために経時変化も調べる。
各セピオライトの粘性の経時変化を図6に示した。
測定は3時間後まで行った。本発明の「RSA剤」の懸濁液作成直後の粘性は84.1mPa・sで、これから増加しつづけ、60分後に360.0mPa・s、120分後に591.6mPa・s、180分後に783.3mPa・sとなった。つまり、3時間後には粘度が9.3倍に上昇した。一方、「ミルコンSP」の懸濁液作成直後の粘性は12.4mPa・sで、その後、60分で13.1mPa・s、180分で13.8mPa・sと微増する傾向を示した。
本実験結果より、「RSA剤」は「ミルコンSP」とは粘性の発現に関して大きな違いが見られた。「RSA剤」は、練り上がり直後から大きな値を示し、時間が経過するにつれて粘性がさらに増加する傾向を示した。一方、「ミルコンSP」は、練り上がり直後、「RSA剤」の練り上がり直後の値の約1/7の粘性であり、その後微増する程度で3時間後の両者の粘性を比較すると、57倍の違いが見られる。
本発明に係るセピオライト「RSA剤」が、従来の使用品と異なる挙動を示すであろうことは図6に示す結果からも明らかであろう。
ミキサーにトルク検出器を設けて、検出したトルク値とスランプ値との相関について実験室段階で検討した。
使用した、トルクレンチ東日製作所製「FTD100CN2−S」の軸先端に、図8に示す4枚の撹拌羽根を有する攪拌子を撹拌軸に連結したトルクメータを製作し、種々の配合のものについて、前記相関を調査したところ、図7に示すように、全域にわたり相関性がきわめて高い結果が得られた。ここでの実験におけるトルク値は、材料に対するベーンの剪断抵抗値を意味する。これによって、搬送元側のスランプ値の管理にも有効であることは明らかであり、本発明に従って、ミキサーの撹拌軸に設けたトルク検出器からのトルク値に基づき、界面活性剤及びセピオライトの投入量を調整し、圧送前120分以内でのスランプ値が15〜27cmに調節する方法が有効であることが判明した。なお、吹付ノズルから吐出された材料の吐出後1分以内でのスランプ値の上限値11cmは、ベーンの剪断抵抗値としては、1.2kgN/m2となる。
Claims (2)
- モルタルまたはコンクリートを主体とし、水セメント比W/Cが40〜60%であり、単位セメント量がモルタルの場合で430kg/m3以上、コンクリートの場合で380kg/m3以上である配合材料に対し、界面活性剤をセメント量に対して0.001〜0.5重量%及びセピオライトを0.5〜5.0重量%を添加して分散させた後、圧送前120分以内でのスランプ値が15〜27cmである湿式法枠構築材料を、
ポンプにより管路を介して圧送し、その管路の先端の吹付ノズルから、前記吹付ノズルから吐出された材料の吐出後1分以内でのスランプ値が5〜11cmとした状態で、地山に固定され、鉄筋が配筋された隣接する側型枠内に吹き付けて充填するとともに、
前記ポンプと吹付ノズルとの間の管路の途中であり、かつ吹付ノズルから7〜40m離間した吹き込み位置のみにおいて、空気を吹込み、前記湿式法枠構築材料を前記空気を連行した状態で前記吹付ノズルから吹き付け、いかなる過程においても前記湿式法枠構築材料へ急結剤を添加することなく、法枠を構築するとともに、
前記セピオライトとして、鉱物原石を粗砕し、この粗砕物をこれに対する200〜600重量%の水の存在下で、45μmアンダーが95%以上の粒度に解砕したものを使用する、
ことを特徴とする法枠構築工法。
ここに、前記スランプ値は、JIS A 1101(1998)に基づき測定される。 - ミキサーに前記配合材料を投入するとともに、当該ミキサーに前記セピオライト及び界面活性剤を投入して前記配合材料に対する分散を行い、
前記ミキサーの撹拌軸に設けたトルク検出器からのトルク値に基づき、前記界面活性剤及びセピオライトの投入量を調整し、前記圧送前120分以内でのスランプ値を15〜27cmに調節する、請求項1記載の法枠構築工法。
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