JP4753270B2 - 浸漬用濾過装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、浸漬用濾過装置に関する。更に詳しくは、槽やタンクに中空糸膜を浸漬し、し尿、下水、生活排水水、又は工場排水等の浄化処理に於いて固液分離を行う浸漬型膜濾過装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の槽やタンクに中空糸膜を浸漬し、中空糸膜下部に散気管を設け、散気管より噴出空気で中空糸膜に付着した不純物を剥離させる浸漬用濾過装置の例としては、特開昭61−107905号公報に示すような、複数の中空糸膜(上部は接着固定し、下部フリー端)の下部が開放され、中空糸膜より長い外壁内に収容され、その下に散気管を設けエアーバブリングを行い、中空糸膜を振動させ中空糸膜面に付着した不純物を剥離させ洗浄する濾過装置が記載されている。しかしながら、中空糸膜の下部はフリー端であるため、濾過中にエアーバブリングを行う場合、空気流量が多くなると中空糸膜が浮上したり、中空糸膜同士がからみあったりし、洗浄が十分に行われないことがある。特にカートリッジの直径が大きくなるとこの現象が顕著であり、長期間にわたって濾過運転を行う場合に支障を来すことがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、中空糸膜の外表面に堆積した懸濁物を剥離しやすくするとともに、剥離した懸濁物を中空糸膜カートリッジの外に容易に排出でき、中空糸膜上下端部への不純物の堆積を防止することが出来る浸漬用濾過装置を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、浸漬用濾過装置として、散気管から噴出させた空気を中空糸膜接着固定下部端部より中空糸膜束内に分散導入し、その時のエアードラフト効果により、原水を下接着固定部上の中空糸膜束外周の外壁開口部より導入し、濃縮液及びエアーを外壁上端と上接着固定部の間の外壁開放部より放出することにより、その目的に適合し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0005】
すなわち、本発明は下記の通りである。
1) 垂直に懸垂された中空糸膜下部に設置された散気管からの噴出空気により中空糸膜面を洗浄しつつ原液を濾過処理する浸漬用膜分離装置において、中空糸膜上下端部が接着固定され、下接着固定部は中空糸束内部に空気を導入出来る構造を有し、上下接着固定部が2本以上の棒又はパイプで連結固定され、中空糸膜が実質的に露出している中空糸膜カートリッジを用い、該中空糸膜カートリッジの中空糸膜束外周側面が、中空糸膜束長より短い、上下が開放された外壁内に、外壁上端と上接着固定部の間及び外壁下端と下接着固定部の間で中空糸膜束が露出するように収納されていることを特徴とする浸漬用濾過装置。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明について、以下図により浸漬濾過装置の実施の形態の一例を具体的に説明する。
図1は本発明に係る浸漬用濾過装置の一実施態様を示す断面説明図、図2は中空糸膜下接着固定部の構成を説明するための要部拡大図である。
図1において、本発明では、束ねられた中空糸膜3の上部はカートリッジヘッド2内に一体的に結合され、接着固定されている。カートリッジヘッド2側の中空糸膜3は端部が開口されている。また、束ねられた中空糸膜3の下部はスカート4内に一体的に接着固定され、スカート4側の中空糸膜3の端部は封止されている。スカート4は、図2に例示するように、散気管より放出された空気を中空糸膜束内部に導入し、各中空糸膜外周面に効果的に接触させるため複数の貫通穴4bが形成されている。
【0007】
本発明に用いられる中空糸膜3としては、孔径の点から、限外濾過膜、及び精密濾過膜が好ましい。
カートリッジヘッド2は、中空糸膜カートリッジを漬浸型濾過装置に懸垂する際の固定部となり、また、原水と濾水を分離するシール部となるため、カートリッジヘッド2は懸垂、固定、シール機能を併せ持った形状となる。例えば、外周部に段差を設けたり、溝を設けたり、径方向外側に突き出したツバ部を設けたりしてもよい。また、カートリッジヘッド2の径方向の断面形状は、円形のほか、四角形、六角形、楕円形等であってもよいが、カートリッジヘッド2と接着固定部とのシール性や濾過タンクの製作の容易さから円形が好ましい。
【0008】
本発明のスカート側の接着固定層4a(下接着固定部)に設けられた貫通穴4bは、接着固定層自体に開けられた穴で、貫通穴の大きさとしては、相当直径2mm〜30mmの範囲が好ましい。ここで相当直径は4×(流路断面積)/(周囲辺長)と定義される。貫通穴の形状としては、三角形、四角形、六角形等の多角形、円形、楕円形、扇型、C字型、又は星形等が挙げられる。また、貫通穴の数は、カートリッジの断面積や糸の本数にもよるが、2〜300個が好ましい。貫通穴の位置は、ある接着固定断面について見れば、例えば多重円と放射状線との交点、格子の交点、又は、多数の正三角形の頂点の位置などに、接着固定断面上に分散するように設けることが好ましく、特に中空糸膜束の中心部に多く設けることが好ましい。
【0009】
本発明では、スカート4は、好ましくは中空糸膜3の端部より突き出して中空糸膜束と接着固定され、接着固定層とスカートで囲まれた空気室4cを形成する。スカート4の中空糸膜端面から突き出した長さは、カートリッジの直径、供給される気体量や、貫通穴の直径と数によるが、気体の散逸を防ぐためには5mm〜200mmであることが好ましい。
スカート4の径方向の断面形状は、円形のほか、四角形、六角形、楕円形等であってもよいが、濾過タンクにカートリッジを装着する場合は、カートリッジヘッドの形状と同じ形状にすることが好ましく、特に円形が好ましい。
【0010】
カートリッジヘッド2接着固定層(上接着固定部)とスカート4接着固定層(下接着固定部)は、横方向への曲げやねじりを抑制するため2本以上の棒又はパイプで連結固定されている。
連結固定用の棒又はパイプの大きさとしては、相当直径2mm〜30mmの範囲が好ましい。ここで相当直径は4×(断面積)/(周囲辺長)と定義される。連結固定用の棒又はパイプの形状としては、三角形、四角形、六角形等の多角形、円形、楕円形、扇型、C字型、又は星形等が挙げられる。特に、円形の形状のものが好ましい。また、その数は、カートリッジの断面積や糸の本数にもよるが、2〜30個が好ましく、位置は特に限定されないが、エアーバブリング時に下からの力を均一に受けられる様に配置されることが好ましい。例えば、糸束の外周部に等間隔に配置したり、糸束中に分散して配置する事が好ましい。
【0011】
本発明に使用される外壁7は中空糸膜カートリッジで露出している中空糸膜より短い。長さとしては中空糸膜カートリッジで露出している中空糸膜長より1〜30cm短い長さが好ましく、2〜10cm短い長さがより好ましい。また、外壁はスカート4の相当直径の1.1〜3倍が好ましく、1.2〜2倍がより好ましい。ここで相当直径は4×(断面積)/(周囲辺長)と定義される。外壁7の断面形状は、円形のほか、四角形、六角形、楕円形等であってもよいが、中空糸膜カートリッジと同じ形状が好ましい。
【0012】
また、中空糸膜カートリッジは、中空糸膜束外周側面が、中空糸膜束長より短い、上下が開放された外壁内に、外壁上端と上接着固定部の間及び外壁下端と下接着固定部の間で中空糸膜束が露出するように収納されている。
また、外壁7は例えばヘッダー配管8や散気管等により固定される。
【0013】
【実施例1】
以下、本発明に係る中空糸膜カートリッジを処理水ヘッダー配管に懸垂、固定した浸漬型濾過装置での運転実施例(図1)を説明する。
図1において、中空糸膜はカートリッジヘッド2により、処理水ヘッダー配管8に、ガスケットを介してクランプにより懸垂し、固定されている。
上記構成において、浸漬型濾過装置による濾過運転時には、ポンプ(図示せず)により漬浸タンク1上部に設けられた供給水入口10から、原水が浸漬タンク1に供給される。
【0014】
中空糸膜へのエアーバブリングは、浸漬タンク1に原水を満たした状態で、下部に設けられた散気管6から浸漬タンク2の内部に気泡状となって流入し、スカート4に集められ、接着固定層4aの貫通穴4bを通過して中空糸膜束内部の中空糸膜3外周側面に導かれることにより行われる。この時に各中空糸膜束内の水を攪拌すると共に各中空糸膜3を振動させて中空糸膜3の表面に付着している懸濁物を剥離する。中空糸膜3を振動させた空気及び剥離した不純物を含む濃縮原水はカートリッジヘッド側の外壁開口部より、浸漬タンク1に排出される。
【0015】
浸漬タンク1の原水は中空糸膜内のエアーバブリングによるエアードラフトにより、スカート4と外壁7下端の開口部より各中空糸膜3に導かれる。各中空糸膜3の外周部近傍の原水は、中空糸膜3の外部から内部に陰圧濾過され、その濾水は中空糸膜3の開口された上端部から処理水ヘッダー配管8に導かれる。処理水ヘッダー配管内の濾水は、浸漬タンク1に設けられた処理水出口から漬浸タンク1の外部に排出される。
【0016】
上記濾過装置において、原水として合成下水を供給し、浸漬タンク内の活性汚泥濃度(MLSS)を8000〜12000mg/Lに維持し、1m3膜面積当たり1Nm3/hrのエアーバブリングを実施、50KPa陰圧濾過運転では、Flux1m/dayで1ヶ月間安定して運転できた。
なお、用いた合成下水の組成は以下の通りである。
ヘプトン 0.35 (g/L)
肉エキス 0.23
尿素 0.05
NaCl 0.05
KCl 0.015
CaCl2 0.015
MgS04 0.012
2HPO4 0.935
KH2PO4 0.117
水道水
【0017】
【発明の効果】
本発明の濾過装置はエアーバブリングにより各中空糸膜を振動させ、中空糸膜の外表面に堆積した懸濁物を剥離しやすくするとともに、エアーバブリングによるエアードラフトにより中空糸膜に原水を導入し、且つ、剥離した懸濁物を中空糸膜カートリッジの外に容易に排出できる。更に、中空糸膜下端部は原水流入により、中空糸膜上端部は空気及び濃縮水の排出により不純物の堆積を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る浸漬用濾過装置の実施形態の一例を示す断面説明図である。
【図2】図1の中空糸膜の下部スカート部の構成を示す要部拡大図である。
【符号の説明】
1 浸漬タンク
2 カートリッジヘッド
3 中空糸膜
4 スカート
4a 接着層
4b 貫通孔
4c 空気室
5 SUSパイプ
6 散気管
7 外壁
8 ヘッダー配管
9 サポートパイプ
10 供給水入口

Claims (1)

  1. 垂直に懸垂された中空糸膜下部に設置された散気管からの噴出空気により中空糸膜面を洗浄しつつ原液を濾過処理する浸漬用膜分離装置において、中空糸膜上下端部が接着固定され、下接着固定部は中空糸束内部に空気を導入出来る構造を有し、上下接着固定部が2本以上の棒又はパイプで連結固定され、中空糸膜が実質的に露出している中空糸膜カートリッジを用い、該中空糸膜カートリッジの中空糸膜束外周側面が、中空糸膜束長より短い、上下が開放された外壁内に、外壁上端と上接着固定部の間及び外壁下端と下接着固定部の間で中空糸膜束が露出するように収納されていることを特徴とする浸漬用濾過装置。
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