JP4753161B2 - 経路探索装置 - Google Patents

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Description

本発明は、経路探索装置に係り、例えば、快適経路の判定に関する。
目的地までの経路を探索し運転者に提供する経路探索装置が広く普及している。この経路探索装置では、交通情報を考慮した経路探索を行うようになっており、最短でいける経路や、走行したい道路を優先(一般道優先、有料道路優先等)した経路を設定することができる。
また、道路条件だけでなく、運転者の生体情報を考慮して、運転難易度を判定し経路探索する技術が特許文献1で提案されている。
特開平7−121800号
しかし、特許文献1記載技術では、走行した道路についてドライバの生理状態から運転負荷量を判定し、その道路に対する運転負荷量を記憶しておき、運転負荷量を記憶した区間が探索した経路中にどれだけ含まれているかに基づいて運転難易度を判定するようにしている。
このため、特許文献記載技術では、過去に走行したことのない経路については、運転者に応じた運転難易度(運転苦手度)を考慮した経路探索を行うことはできなかった。
そこで本発明は、走行経験の有無に関わらず、運転者に応じた運転難易度(運転苦手度)を考慮した快適な走行経路を探索することが可能な経路探索装置を提供することを目的とする。
(1)請求項1に記載の発明では、走行路上の特定の特徴部を示すイベントに対して区分された複数の走行環境毎に、運転者の苦手度を示す苦手コストが対応付けられた苦手度設定テーブルと、前記イベント発生時における運転者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、前記イベント発生時における走行環境を取得する走行環境取得手段を備え、前記生体情報取得手段により取得した生体情報の異常を検出する生体異常検出手段と、前記生体情報取得手段により取得した生体情報に基づいて、前記苦手度設定テーブルの前記苦手コストを変更する変更手段と、目的地を入力する目的地入力手段と、前記苦手度設定テーブルを用いて、運転者の苦手度が小さくなる目的地までの走行経路を探索する経路探索手段と、を備え、前記変更手段は、前記苦手度設定テーブルにおける該当するイベントの、前記取得した走行環境に対応付けられた前記苦手コストを、前記生体異常検出手段により生体情報の異常を検出した場合に上げ、生体情報の異常が検出されない場合に下げる、ことを特徴とする経路探索装置を提供する。
(2)請求項記載の発明では、前記経路探索手段で探索した走行経路に対して、走行経路に含まれる前記イベントを抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出されたイベントに対応する苦手コストの合計値を、該走行経路の苦手度数として算出する苦手度数算出手段と、前記苦手度数算出手段により算出された各走行経路の苦手度数、又は、前記苦手度数に応じた各走行経路の快適度を前記各走行経路とともに表示する度数表示手段と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の経路探索装置を提供する。
(3)請求項記載の発明では、前記イベントは、右折、左折、車線変更の少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項1又は請求項のうちのいずれか1の請求項に記載の経路探索装置を提供する。
(4)請求項4記載の発明では、前記変更手段は、検出された生体情報の異常の程度に応じて予めイベントの走行環境毎に設定されている苦手コストの修正値を用いて、前記苦手度設定テーブルの前記苦手コストを変更する、ことを特徴とする請求1、請求項2又は請求項3に記載の経路探索装置を提供する。
本発明によれば、イベントに対して区分された複数の走行環境毎に、運転者の苦手度を示す苦手コストが対応付けられた苦手度設定テーブルを用いて、運転者の苦手度が小さくなる走行経路を探索すると共に、イベントの走行環境に対応付けられた苦手コストを、生体情報の異常を検出した場合に上げ、異常が検出されない場合に下げる、ように構成したので、走行経験の有無に関わらず、運転者の苦手度を考慮した、より快適な走行経路を探索することができる。
以下、本発明の経路探索装置における好適な実施の形態について、図1から図8を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
本実施形態では、走行中に発生する、右左折や車線変更などの所定のイベントごとに対応付けられた苦手コストを用いて経路探索を行う。この苦手コストは、該当するイベントに対する運転者の苦手と感じる度合い(程度)を数値化したものであり、値が大きくなるほど苦手と感じる度合いが大きくなることを示す。
苦手コストは、コスト設定テーブルにおいて、環境情報(走行環境情報)に基づいて設定される3段階の難易度ごとに設定(定義)されている。
本実施形態では、目的地までの経路探索を行う場合、経路探索用のコスト計算の際に、運転者に適合させたコスト設定テーブル167を用いて、イベントが存在する区間についてのコストを変更して計算を行う。
そして、単純にイベントの数が多い経路を探索対象から外すのではなく、運転者の苦手とするイベント(苦手コストの高いイベント)が探索経路に含まれにくくなるように計算用のコストを変更する。
例えば、500mの区間であっても、運転者にとって特に苦手なイベントが存在する場合には、該当するイベントに対応した苦手コストを考慮する。そして、存在するイベントの苦手コストに応じてコストを2倍にし、1kmの区間として計算することで、選択されにくくする。
しかしながら、コストを変更して探索したとしても、運転者にとって苦手なイベントが完全に無くなるとは限らず、探索した複数の走行経路中には、苦手なイベントが存在する経路を含む場合がある。
そこで、本実施形態では、出発地点から目的地までの各探索経路に含まれる苦手なイベントに対応する苦手コスト合算値(合計値)を難易度として算出し、難易度の低い経路の順に運転者に提供する。
提供の際には、難易度の低い経路(快適度の高い経路)を所定数(例えば、3経路)だけ地図中に表示する。各経路は、イベント発生ポイントや発生イベントに対応する苦手コスト、又は難易度を表示する。
また、本実施形態では、コスト設定テーブルの補正(更新)、即ち設定されている苦手コストの変更を行う。
このコスト設定テーブルの更新処理において、まずECUは、車両の走行中に所定のイベントが発生した場合における、周辺環境(走行環境)を判定する。周辺環境の判定は、車両に設けられた各種センサの検出結果に基づいて行う。
さらに、ECUは、車両の走行中に所定のイベントが発生した場合における、運転者の生体情報(心拍、発汗量、筋電位、脳波、瞳孔等)を測定し、異常状態か否かを判断する。異常状態か否かの判断は、予め判定データ(基準値)が規定されており、例えば、心拍の場合所定基準値を超えた場合に異常と判断し、また瞳孔や脳波などの自律神経系の場合には交感神経系優位の状態を異常と判断する。
そして、イベント発生時において、異常状態を検出した場合、周辺環境(走行環境)の判定結果に基づいて特定される難易度に該当するイベントの苦手コストを所定の数だけアップ(加算)する。
一方、イベント発生時において、異常状態が検出されない場合、周辺環境の判定結果に基づいて特定される難易度に該当するイベントの苦手コストを所定の数だけダウン(減算)する。
このように本実施形態では、イベント発生時における運転者の生体情報に応じて苦手コストを補正し、コスト設定テーブルの内容を更新することで、コスト設定テーブルを運転者に適合させるようにしている。
(2)実施形態の詳細
図1は、本実施形態における経路探索装置の構成を表したものである。
この図1に示すように、経路探索装置は、各種プログラムやデータに従って経路探索装置全体を制御するECU(電子制御装置)10を備えており、ECU10には現在位置検出装置11、生体情報取得装置12、運転操作検出部13、画像入力装置15、データ記憶部16、プログラム記憶部17、入力装置18、音声出力装置19、表示装置20、通信装置22が接続されている。
現在位置検出装置11は、経路探索装置が搭載される車両の現在位置(緯度、経度からなる絶対座標値)を検出する装置である。
現在位置検出装置11は、人工衛星を利用して車両の位置を測定するGPS(Global Positioning Systems)センサ111を備えている。
なお、現在位置検出装置11は、GPSセンサ111による現在位置検出を補足する装置として、車速センサ112、ジャイロセンサ113を備えている。
さらに、地磁気を検出して車両の方位を求める地磁気センサ等を備えるようにしてもよい。
生体情報取得装置12は、運転者の生体情報を取得するセンサとして、心拍センサ121と、発汗センサ122、筋電位センサ123、脳波センサ124、温度センサ125、画像処理装置126を備えている。
本実施形態の経路探索装置では、車両が走行を開始すると、所定時間間隔で心拍数と発汗量等の各センサ121〜125及び画像処理装置126による測定を行い、その結果をECU10に供給するようになっている。
心拍センサ121は、運転者の心拍数を検出するセンサで、運転者の脈拍数から心拍数を検出する。本実施形態における心拍センサ121は、ステアリングに配置された電極により、運転中の運転者の手から心拍信号を採取することで心拍数を検出するようになっている。なお、心拍センサ121は、専用のセンサを手首等の運転者の身体に配置するようにしてもよい。
発汗センサ122は、ステアリングに配置され、発汗状態によって流れる電流値の変化から発汗状態を検出する。
筋電位センサ123は、運転者の腕等に配置され、その筋電位の変化を測定する。
脳波センサ124は、脳波を測定し、何波(ベータ波、アルファ波、デルタ波、シータ波)が出ている状態かを測定する。
温度センサ125は、ステアリング及び運転座席(シート)に配置され、運転者の指先などの末梢部と、胴体部などの中枢部との温度差(体温差)を検出する。
なお、末梢部と中枢部との温度差の検出は、温度センサ125の代わりに、サーモグラフィ装置を用いるようにしてもよい。
画像処理装置126は、後述する画像入力装置15で撮像された運転者の顔画像の画像処理を行い、瞳孔の変化を検出する。即ち、瞳孔が開く方向に変化している場合には、交感神経系優位の状態であると判断する。
なお、生体情報として血圧センサにより運転者の血圧を検出するようにしてもよい。
本実施形態において、血圧センサは、例えば、人体において心臓の収縮に伴う血液の脈波が心臓から指先に到達するまでの脈波伝播時間(PWTT:Pulse Wave Transmit Time)と血圧との相関関係を利用して血圧測定を行うものである。
血圧センサは、心臓の拍動時に発生する電位変化を検知して心臓の収縮タイミングを検知するための電極センサと、指先の血流量の変化を赤外線により検知して脈波が指先に到達したタイミング(脈拍)を捉えるための赤外線センサを備えており、これらセンサにより検知した脈波伝播時間に基づいた演算により血圧を測定する。
なお、特開2000−107141号公報に記載されるように、心臓からの距離の差を利用して、脈拍を計測する脈拍センサを両センサ部に配置するようにしてもよい。
運転操作検出部13は、運転者による運転操作状態を検出するためのアクセルセンサ131、ブレーキセンサ132、及び舵角センサ133を備えている。
アクセルセンサ131は、アクセルを踏み込む速度や、踏力、踏む回数等を検出する。
ブレーキセンサ132は、ブレーキを踏み込む速度や、踏力、踏む回数等を検出する。
舵角センサ133は、ハンドル操作による操舵角を検出する。
画像入力装置15は、車両内に配置されたCCDカメラを備えている。
画像入力装置15で撮像した運転者の顔画像は、画像処理装置126に供給されて、画像処理により瞳孔の変化の検出に使用される。
データ記憶部16と、プログラム記憶部17は、ROM、RAMの他、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ等の磁気記録媒体、メモリチップやICカード等の半導体記録媒体、CD−ROMやMO、PD(相変化書換型光ディスク)等の光学的に情報が読み取られる記録媒体、その他各種方法でデータやコンピュータプログラムが記録される記録媒体が含まれる。
記録媒体には、記録内容に応じて異なる媒体を使用するようにしてもよい。
データ記憶部16は、地図DB(データーベース)161、個人特性DB162、経路コストデータ163、生体情報判定データ164、イベントデータ165、難易度判定要素データ166、コスト設定テーブル167等の本実施形態で使用される各種データ、その他のデータが格納されている。
地図DB161は、地図情報、道路情報等の各種地図に関連した情報が格納されたデーターベースである。
道路情報は、現在位置検出装置11で検出された車両の現在位置と道路情報とのマップマッチングにより現在走行中の道路及び該道路上の位置を検出するのに使用される。また、道路情報のうち、信号の量、道路種別、車線数、右左折の量、カーブ、高低差等は、生体異常が検出された際の走行環境(快適経路判定データ)として記憶される。
なお、地図DB161は、車両の現在地周辺や目的地周辺等の各種地図や道路を表示装置に表示するために地図情報が使用され、目的地までの経路探索に道路情報が使用される。また、各施設に対する情報が格納された施設情報(POI情報)等も格納されている。
個人特性DB162には、イベント発生時における、生体情報取得装置12で取得した各生体情報と環境情報(車両量、信号量、道路種別、車線数等)が格納されるようになっている。
なお、この個人特性DB162の格納領域に、コスト設定テーブル167を格納するようにしてもよい。
図2は、生体情報の状態区分を表したものである。
この生体情報の状態区分に基づく正常か異常かを判断する基準については、生体情報判定データ164に格納されている。
図2に示されるように、心拍については、高、中、低に区分され、高と低の場合に異常と判定される。
心拍は、生体情報判定データ164に基づき、1分当たりの心拍が50未満の場合に低、50以上110未満の場合に中、110以上の場合に高と判定される。
発汗については、多、適量、少に区分され、多と少の場合に異常と判定される。
発汗は、単位面積(1平方センチメートル)当たりの1分間の発汗量で判定され、0.1mg未満の場合に少、0.1mg以上0.5mg未満の場合に適量、0.5mg以上の場合に多と判定される。
筋電位については、強、適度、弱に区分され、強と弱の場合に異常と判定される。
筋電位は、測定電位が50μV未満の場合に低、50μV以上500μV未満の場合に適度、500μV以上の場合に強と判断される。
脳波については、ベータ波の場合には正常、デルタ波、シータ波、アルファ波の場合に異常と判定される。
デルタ波は、0.5〜4Hz未満の脳波で、ぐっすり眠っている場合に現れる。
シータ波は、4〜8Hz未満の脳波で、とろとろと眠くなってきた時に現れる。
アルファ波は、8〜13Hz未満の脳波で、健康な成人の、安静、リラックス、閉眼時に後頭部に現れる。
ベータ波は、13〜40Hz未満の脳波で、精神活動をしている部位に現れる。
瞳孔については、広、通常、狭に区分され、広、狭の場合に異常と判定される。
瞳孔の場合、明るい場所の場合(運転者周辺が明るい場合)、4mm未満の場合に狭、4〜7mm未満の場合に通常、7mm以上の場合に広と判定される。
一方、暗い場所の場合、2mm未満の場合に狭、2〜5mm未満の場合に通常、5mm以上の場合に広と判定される。
そして、明るさに応じた瞳孔変化がない場合にも、異常と判定される。
体温差については、高、適温、低に区分され、高と低の場合に異常と判定される。
体温差は、末梢部−中枢部の温度差で判定され、1℃以上の場合に高、−4℃〜1℃の場合に適温、−4℃以下の場合低と判定される。
図3は、イベントデータ165に格納される、走行路上の特定の特徴部を示すイベントの例を表したものである。
図3に示されるように、走行路上の特定の特徴部を示すイベントとしては、大分類として、右左折、車線変更、交差点、カーブ、踏切、車線数変化、トンネル、高低差などが特定されている。
そして、これら大分類として特定されたイベントは、小分類としてさらに詳細な設定に分けて特定されている。
詳しくは、右左折は、右折と左折に分けられる。
車線変更は、右車線→左車線への変更と、左車線→右車線への変更に分けられている。
交差点は、信号の有無、右折レーンの有無ごと、さらに、交差点の存在する位置の地形に基づいて、上り坂、平坦、下り坂に分けられている。
カーブは、鋭角と鈍角とに分けられる。
踏切は、歩行者の数が多い場合と少ない場合に分けられる。
車線数変化は、車線数が増加する場合と減少する場合とに分けられる。
トンネルは、所定の区間におけるトンネルの数が基準数より多い場合、少ない場合、トンネルが存在しない場合に分けられる。
高低差は、勾配のある走行路において高低差が所定の基準値より大きい場合(高)と、小さい場合(低)に分けられる。
なお、コスト設定テーブル167では、上述した小分類に分けられたイベント単位に対応する苦手コストが設定されている。
図4は、難易度判定要素データ166に格納される、コスト設定テーブル167における各イベントの難易度を判定する際の基準となる難易度判定要素の例を表したものである。
詳しくは、各イベントの難易度を判定する環境情報とその区分について表したものである。
図4に示されるように、各イベントの難易度の判定基準となる環境情報としては、時刻、天気、明るさ、車両量、信号数、道路種別、車線数、障害物(歩行者含む)等がある。
時刻、天気、明るさ、気温については、センサや時計から検出する。
車両量、障害物については、通信装置22から取得するが、撮像装置による撮像画像から画像処理により取得するようにしてもよい。
信号数、道路種別、車線数については、地図DB161の道路情報から取得する。
時刻については、朝、昼、夕、夜に区分され、天気については晴、曇、雨(霧)、雪に区分され、明るさについては明、暗に区分され、気温については、高、適温、低に区分されている。
また、他の項目については図4に示したように区分されている。
そして、コスト設定テーブル167における各イベントの難易度は、環境情報の区分に基づいて対応付けされている。
図5は、コスト設定テーブル167の例を表したものである。
なお、図5には、コスト設定テーブル167の予め設定されている初期値(初期設定)の例を表したものである。
図5に示すようにコスト設定テーブル167は、イベントデータ165に基づいて設定されるイベントと、このイベントに対する運転者の苦手度を示す苦手コストとが対応付けられたテーブルである。
また、苦手コストは、イベントの難易度ごとに異なる値が設定されている。
詳しくは、コスト設定テーブル167では、イベントの難易度(レベル)を、難、中、易の3つ(3段階)に分け、そして、各イベントの難易度別に苦手コストを割り当てている。
なお、後述するコスト設定テーブル167の更新処理時や経路探索処理時における各イベントの難易度の判定は、図4に示す難易度判定要素データ166において定義されている、環境情報の区分情報の条件に基づいて行われる。
各イベントの難易度は、図示しない難易度判定テーブルや難易度判定プログラムを用いて、難易度判定要素における各項目(時刻項目、天気項目など)の判定結果を総合的に判断して特定される。
図1において、経路コストデータ163には、地図DB161に格納されている道路データの各区間に対応するコストが格納されており、このコストを使用して経路探索が行われるようになっている。
経路コストデータ163に格納されるコストは、一般的な基準経路や最短時間経路を算出するためのコストと、上記各経路の所要走行時間を算出するための時間データである。
時間コストは、各区間を走行する場合の所要走行時間である。
一般的な基準経路を計算するために使用する基準コストは、例えば、道路の距離、種別、幅員(片道何車線かを示す値)の各道路の構造データにより次の式(1)で計算される。
基準コスト=距離×種別係数×幅員係数×苦手イベント係数r …式(1)
ここで、種別係数の値としては例えば国道の場合で1.0で、一般道=1.5と規定され、例えば、距離200mの区間に対する基準コストは、次のように計算される。
片側1車線の国道の距離コスト=200×1.5×1.0=300m
苦手イベント係数rは、該当する区間における、コスト設定テーブル167においてイベントの難易度ごとに設定(定義)される苦手コストの値に対応して(基づいて)設定される係数である。
なお、苦手イベント係数rは、基準コストを算出する区間において、複数のイベントが存在する場合、存在する各イベントに対応した苦手コストの合計値に対応して(基づいて)設定される。
この苦手イベント係数rは、時間コストに対しても適用される。
このように本実施形態では、経路探索を行う場合、経路探索用のコスト計算の際に、運転者に適合させたコスト設定テーブル167を用いて、イベントが存在する区間についてのコストを変更して計算を行う。
なお、本実施形態では、後述するコスト設定テーブル167の更新処理により、イベントに対応する苦手コストの値が変更される。このコスト設定テーブル167における苦手コストの変更に伴い、苦手イベント係数rも変化する。これにより、経路探索時に算出される基準コストに対するコストが適宜変更される。
プログラム記憶部17には、本実施形態における快適経路探索プログラム171(図7に従って後述)、コスト設定テーブル更新プログラム172(図6に従って後述)、経路案内プログラム173、その他の各種プログラムが格納されている。
経路案内プログラム173は、本実施形態により探索された快適経路に従って、運転者に経路を表示装置20や音声出力装置19による画像や音声により案内するプログラムである。
入力装置18は、タッチパネル(スイッチとして機能)、キーボード、マウス、ライトペン、ジョイスティック、赤外線等によるリモコン、表示装置の表示画面に取り付けられたタッチパネル、リモコン、音声認識装置などの各種の装置が使用可能であり、各種情報を入力するための入力手段を構成する。
入力装置18は、本実施形態において目的地の設定等に使用される。
音声出力装置19は、車内に配置された複数のスピーカ及び音声制御装置で構成される。この音声出力装置19は、オーディオ用のスピーカと兼用するようにしてもよい。
表示装置20は、液晶表示装置、CRT、ヘッドアップディスプレイ等の各種表示装置が使用される。
経路探索の際には、本実施形態により探索された複数の快適経路とその快適度等が表示される。
また、快適経路に従って走行を開始した場合には、表示装置20には、車両周辺や快適経路周辺の地図や、探索経路、周辺施設案内画面なども表示されるようになっている。
通信装置22は、通信手段として機能し、外部の情報センタやインターネットと接続して各種データの送信及び受信を行う。
本実施形態において通信装置22は、情報センタやVICSセンタ等から渋滞や交通規制などの道路交通情報を取得するようになっている。
通信装置22で取得した渋滞情報については、本実施形態において、渋滞指数を算出する際に使用される。
なお、図示しないが、本実施形態の経路探索装置は、運転者の生体情報異常時における環境情報として、時刻を判断するための時刻センサ、天候を判断するためのセンサとしワイパーの稼働状態を検出するワイパーセンサ、車幅灯のオン状態を検出する車幅灯センサ、ヘッドランプのオン状態を検出するヘッドランプセンサ、明るさを検出するセンサ、温度検出センサ等を備えている。
次に、以上のように構成された経路探索装置における各処理について説明する。
図6は、コスト設定テーブル167の更新処理の動作を表したフローチャートである。
ここでは、図5に示すコスト設定テーブル167において、各イベントの難易度ごとに設定されている苦手コストの値を、実際の運転者の運転状況に応じて変更する処理を行う。
このコスト設定テーブル167の更新処理は、車両の走行開始により実行され走行中実行が継続されるが、イグニッションオンにより実行され、イグニッションオフにより終了するようにしてもよい。
また、コスト設定テーブル167の更新処理が所定期間実行された後は、所定の期間(例えば、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年等、任意の期間Nヶ月))経過するまで、又は/及び、所定距離(例えば、50km、100km等、任意のMkm)走行するまでコスト設定テーブル167の更新処理を停止し、期間が経過等した後に再度データを更新するようにしてもよい。
コスト設定テーブル167の更新処理において、ECU10は、生体情報取得装置12により各生体情報の検出及び画像処理(以下画像処理を含めて検出という)を継続して行う。
ECU10は、現在走行中の走行路がイベントデータ165において定義されているイベントに該当するか否か、即ち、コスト設定テーブル167で定義されているイベントが発生したか否かを判断する(ステップ11)。
なお、イベント発生の有無の判断は、例えば、右左折や車線変更などのイベントの場合、方向指示器の操作信号や舵角センサ133の検知信号に基づいて判定する。
現在走行中の走行路が定義されているイベントのいずれか1以上のイベントに該当する場合、即ち、イベントが検出された場合(ステップ11;Y)、ECU10は、周辺環境を判定する(ステップ12)。
詳しくは、ECU10は、周辺環境として、イベント発生時刻、イベント発生地点の天気、明るさ、車両量などを判定する。ここで判定された周辺環境に基づいて、コスト設定テーブル167における該当する難易度が判定(特定)される。
続いて、ECU10は、イベント発生期間における運転者の生体情報を検出し、検出した生体情報について、生体情報判定データ164に従って、異常となった項目(心拍、発汗等)があるか否かを判断する(ステップ13)。
いずれか1以上の生体情報についての異常が検出されると(ステップ13;Y)、ECU10は、異常となった生体情報の項目(内容)と、異常状態の区分、及び異常状態となったイベントの種別における環境情報(時刻、天気、明るさ、車両量等)を個人特性DB162に格納する。
なお、生体情報が正常か異常かの判断において、所定期間の計測が必要な項目や変化の計測が必要な項目(瞳孔の変化等)の場合には、所定量だけ計測値(取得値)をRAMに格納しておいて判定することになる。
そして、ECU10は、該当するイベントにおける難易度の苦手コストを、所定の数だけアップ(加算)し、コスト設定テーブル167の内容を更新する(ステップ14)。
なお、ここで苦手コストに加算される補正値(修正値)は、検出された生体情報の異常のレベル(程度)に応じて予めイベントごとに設定(定義)されている値を用いる。
ここでは、イベントの発生期間に生体情報の異常が検出されたことから、この運転者は該当するイベントを苦手と感じる、即ち、該当イベントを苦手とする可能性が高いと判断できる。
そのため、該当するイベントにおける苦手コストを上げる処理を行い、より運転者に適合した内容となるようにコスト設定テーブル167の更新を行う。
一方、生体情報の異常が1つも検出されない場合(ステップ13;N)、EUC10は、該当するイベントにおける難易度の苦手コストを、所定の数だけダウン(減算)し、コスト設定テーブル167の内容を更新する(ステップ15)。
なお、ここで苦手コストから減算される補正値(修正値)は、予めイベントごとに設定(定義)されている値を用いる。
ここでは、イベントが発生しているにもかかわらず生体情報の異常が検出されなかったことから、この運転者は該当するイベントを苦手と感じない、即ち、該当イベントを苦手としない可能性を有すると判断できる。
そのため、該当するイベントにおける苦手コストを下げる処理を行い、より運転者に適合した内容となるようにコスト設定テーブル167の更新を行う。
次に、ECU10は、処理を終了するか否か判断する(ステップ16)。
即ち、ECU10は、走行の停止やエンジンがオフされた場合、また、上記したようにコスト設定テーブル167の更新処理が所定期間実行された後停止する場合に(ステップ16;Y)、処理を終了し、それ以外は(ステップ16;N)ステップ11に戻って、イベントの発生の監視を継続する。
このようにして、コスト設定テーブル167は、イベント発生時における運転者の生体情報に基づいて、苦手コストが変更(補正)され、より運転者に適合したものとなる。
次に、運転者の生態情報に基づいて更新処理が実行されたコスト設定テーブル167を利用した利用した快適経路探索処理について説明する。
図7は、快適経路探索処理の動作を表したフローチャートである。
ECU10は、目的地設定において、ユーザが設定した目的地と出発地を取得する(ステップ21)。
次に、ECU10は、設定(算出)された基準コストに従って、ステップ21で設定された目的地までの走行経路を複数探索する(ステップ22)。
この経路探索では、コスト設定テーブル167において、運転者が苦手感じるイベントに対応する苦手コストを高くすることで、即ち、苦手イベント係数rの値を高くすることて、運転者に苦手なイベントが多く存在する経路が選択されにくくなり、より快適な経路が選択されやすくなる。
次に、ECU10は、探索された複数の走行経路におけるイベントデータ165において定義されているイベントを抽出する(ステップ23)。
そして、ECU10は、予測される環境情報に基づいて、抽出されたイベントの難易度を判定し、判定されたイベントの難易度に該当する苦手コストをコスト設定テーブル167から抽出する。
次にECU10は、探索された複数の走行経路の中から快適経路(推奨経路)を判定する(ステップ24)。
快適経路の判定、即ち、走行経路の快適度の判定は、各経路の苦手度(苦手度数)に基づいて行われる。
図8は、各経路の苦手度について説明するための図である。
いま、図8に示されるように、出発地点Sから目的地Gまでの生体情報を考慮した走行経路として、経路a、経路b、経路cの3経路が探索されたものとする。
各経路a、b、cの所要時間については、該当箇所や区間の時間コストに苦手イベント係数rを乗じて計算した値である。
そして、図8では、ステップ23で取得(抽出)したイベント情報が対応する苦手コストと共に表示されている。
なお、図8に示す各経路では、図5に示すコスト設定テーブル167の初期設定値(デフォルト値)から対応する苦手コストを抽出している。実際は、上述した運転者に適合させる更新処理が施されたコスト設定テーブル167から苦手コストを抽出する。
各経路における苦手度は、抽出されたイベントに対応する苦手コストの合計値から求められる。
経路aでは、経路上に発生するイベントが3箇所抽出され、各イベントに対応する苦手コストの合計値が3.9となる。即ち、経路aにおける苦手度は3.9となる。
経路bでは、経路上に発生するイベントが7箇所抽出され、各イベントに対応する苦手コストの合計値が7.7となる。即ち、経路bにおける苦手度は7.7となる。
経路cでは、経路上に発生するイベントが5箇所抽出され、各イベントに対応する苦手コストの合計値が8.2となる。即ち、経路cにおける苦手度は8.2となる。
ECU10は、各経路についての苦手度の値が求まると、探索した各走行経路のうち苦手度が最も低い経路を快適経路に決定し、即ち、最も快適度の高い経路に決定し、地図情報と共に表示装置20に表示する。
ここでは、苦手度が3.9と最も低い経路aが快適経路として決定される。その際、決定した快適経路(経路a)と共に、他の経路b、経路cについても表示装置20に表示することで、ユーザに変更可能な経路として提供する。
表示装置20に表示する各経路については、図8に示されるように、苦手度の情報、イベント情報、苦手コスト情報と、快適経路の適合順位を併せて表示するようにする。なお、本実施形態では、走行経路の快適度を快適経路の適合順位として示す。
また、苦手コストの極めて高いイベントについては、イベント発生ポイントを示すマークを色分け等の手法を用いて強調させて表示するようにしてもよい。
各経路を表示装置20に表示した後ECU10は、表示経路以外の経路への変更をユーザ選択したか否かを監視し(ステップ25)、変更を選択した場合(ステップ25;Y)にはステップ22に戻って、他の経路を探索する。その際、ECU10は、経路変更が選択された際にユーザにより選択された項目を優先して再探索するようにする。
一方、経路が変更されず、表示した経路のいずれかが選択された場合(ステップ25;N)、ECU10は、選択された走行経路に従って経路案内を開始し(ステップ26)処理を終了する。
なお、ユーザが表示した経路のいずれも選択せずに走行を開始した場合、ECU10は、決定した快適経路の案内を開始する。
上述したように本実施の形態では、所定のイベント通過時における運転者の生体情報に基づいて、コスト設定テーブル167における該当する苦手コストの値を更新する。
そして、経路探索を行う場合、経路探索用のコスト計算の際に、運転者に適合させたコスト設定テーブル167を用いて、イベントが存在する区間についてのコストを変更して計算を行う。
このように、経路上に存在(発生)するイベントに対応する苦手コストが小さくなる走行経路を探索するように構成することにより、走行経験の有無に関わらず、運転者に応じた運転難易度(運転苦手度)を考慮した快適な走行経路を探索することができる。
以上、本発明の経路探索装置における1実施形態について説明したが、本発明は説明した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲において各種の変形を行うことが可能である。
例えば、上述した実施形態においては、コスト設定テーブル167の更新処理(図6)のステップ14における苦手コストの加算補正を検出されたイベントの該当する難易度に対して行われる場合について説明した。
しかしながら、生体情報の異常が検知されたイベントに対して、加算補正される苦手コストの範囲はこれに限定されるものではない。
例えば、生体情報の異常が検知されたイベントの全ての難易度に対応する苦手コストに対して加算補正を施すようにしてもよい。
さらに、例えば、該当する難易度から、より高い難易度に渡って対応する苦手コストに対して加算補正を施すようにしてもよく、また、該当する難易度から、より低い難易度に渡って対応する苦手コストに対して加算補正を施すようにしてもよい。
同様に、ステップ15における生体情報の異常が検知されないイベントに対して、減算補正される苦手コストの範囲も、該当する難易度に対して行うことに限定されるものではない。
例えば、生体情報の異常が検知されないイベントの全ての難易度に対応する苦手コストに対して減算補正を施すようにしてもよい。
さらに、例えば、該当する難易度から、より高い難易度に渡って対応する苦手コストに対して減算補正を施すようにしてもよく、また、該当する難易度から、より低い難易度に渡って対応する苦手コストに対して減算補正を施すようにしてもよい。
また、上述した実施形態においては、図5に示すコスト設定テーブル167のように、イベントに対応する苦手コストを、3段階に区分された難易度ごとに設定する場合について説明した。
しかしながら、イベントに対応する苦手コストの設定方法は、これに限定されるものではない。
例えば、各イベントの難易度をより多くの区分に分け、それぞれの難易度ごとに設定すようにしてもよい。
また、例えば、イベントを難易度に区分せず、図4に示す環境情報(時刻、天気、明るさ、車両量、信号数、道路種別、車線数、障害物等)における各区分ごとに対応する苦手コストを設定するようにしてもよい。
なお、複数の環境情報を有する場合には、各環境情報の組合せ(例えば、時刻:朝、天気:雪、車線数:2の組合せ)に対応する苦手コストを設定するようにしてもよい。
このように、イベントを環境情報に基づいてより細かく区分することにより、苦手コストの細かい調整が可能となり、より運転者に適合した快適な経路の探索ができる。
本実施形態における経路探索装置の構成を表したものである。 生体情報の状態区分を表したものである。 イベントデータに格納される、走行路上の特定の特徴部を示すイベントの例を表したものである。 難易度判定要素データに格納される、コスト設定テーブルにおける各イベントの難易度を判定する際の基準となる難易度判定要素の例を表したものである。 コスト設定テーブルの例を表したものである。 コスト設定テーブルの更新処理の動作を表したフローチャートである。 快適経路探索処理の動作を表したフローチャートである。 各経路の難易度について説明するための図である。
符号の説明
10 ECU
11 現在位置検出装置
111 GPSセンサ
112 車速センサ
113 ジャイロセンサ
12 生体情報取得装置
121 心拍センサ
122 発汗センサ
123 筋電位センサ
124 脳波センサ
125 温度センサ
126 画像処理装置
13 運転操作検出部
131 アクセルセンサ
132 ブレーキセンサ
133 舵角センサ
15 画像入力装置
16 データ記憶部
17 プログラム記憶部
18 入力装置
19 音声出力装置
20 表示装置
22 通信装置

Claims (4)

  1. 走行路上の特定の特徴部を示すイベントに対して区分された複数の走行環境毎に、運転者の苦手度を示す苦手コストが対応付けられた苦手度設定テーブルと、
    前記イベント発生時における運転者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、
    前記イベント発生時における走行環境を取得する走行環境取得手段を備え、
    前記生体情報取得手段により取得した生体情報の異常を検出する生体異常検出手段と、
    前記生体情報取得手段により取得した生体情報に基づいて、前記苦手度設定テーブルの前記苦手コストを変更する変更手段と、
    目的地を入力する目的地入力手段と、
    前記苦手度設定テーブルを用いて、運転者の苦手度が小さくなる目的地までの走行経路を探索する経路探索手段と、を備え、
    前記変更手段は、前記苦手度設定テーブルにおける該当するイベントの、前記取得した走行環境に対応付けられた前記苦手コストを、前記生体異常検出手段により生体情報の異常を検出した場合に上げ、生体情報の異常が検出されない場合に下げる、
    ことを特徴とする経路探索装置。
  2. 前記経路探索手段で探索した走行経路に対して、走行経路に含まれる前記イベントを抽出する抽出手段と、
    前記抽出手段により抽出されたイベントに対応する苦手コストの合計値を、該走行経路の苦手度数として算出する苦手度数算出手段と、
    前記苦手度数算出手段により算出された各走行経路の苦手度数、又は、前記苦手度数に応じた各走行経路の快適度を前記各走行経路とともに表示する度数表示手段と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の経路探索装置。
  3. 前記イベントは、右折、左折、車線変更の少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項1又は請求項のうちのいずれか1の請求項に記載の経路探索装置。
  4. 前記変更手段は、検出された生体情報の異常の程度に応じて予めイベントの走行環境毎に設定されている苦手コストの修正値を用いて、前記苦手度設定テーブルの前記苦手コストを変更する、
    ことを特徴とする請求1、請求項2又は請求項3に記載の経路探索装置。
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