JP4751381B2 - アイドリングストップ車におけるエンジン制御方法およびエンジン制御装置 - Google Patents
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Description
請求項2の発明は、前記電流・電圧の線的関係は、線上の2点を特定すれば得られるところから、任意の異なる2種類の放電電流とそのときの放電電圧との組み合わせから把握するところに特徴を有する。
また、請求項3の発明は、前記電流・電圧の線的関係は、直線の傾きと、直線上の1点とを特定すれば得られるところから、任意の放電電流とそのときの放電電圧の組み合わせと、内部抵抗とから把握するところに特徴を有する。
また、請求項4のアイドリングストップ車におけるエンジン制御装置は、二次電池によって始動用モータを駆動してエンジンのクランキングを行うアイドリングストップ車において前記エンジンを停止させるに際して前記エンジンの再始動のためのクランキングが可能か否かを判断するための装置であって、予め低率放電を一定時間行って放電終期の電圧を測定し、その後引き続き前記クランキングによる放電を想定した所定の大電流による高率放電を短時間行わせて放電終期の電圧を測定し、この測定を繰り返し行うことにより把握された前記二次電池の電流・電圧の線的関係群を記憶する記憶手段と、前記エンジンを停止させる前の電流値及び電圧値から前記電流・電圧の線的関係群を構成するいずれか一つの線的関係を特定することにより前記クランキング時の放電電圧を取得する放電電圧取得手段と、この放電電圧取得手段によって取得された放電電圧が所定値に満たないときに前記エンジンのアイドリングを停止させることを禁止するための信号を出力する演算部とを備えるところに特徴を有する。
この線的関係は、基本的には、その線上の一点により特定される電流・電圧状態から連続して放電電流を変化させた場合に、電池の示す電圧がその上を移動するような線であって、例えば、以下の方法により作成できる。
すなわち、ある一つの電流値(以下、説明上、始点電流という)で放電を行った場合の放電電圧を測定し、次いでこれに続けて予め定めた特定の電流値(以下、説明上、終点電流という)で放電を行い、このときの放電電圧を測定する。これによって、電流と電圧とを軸とするグラフ中に二つの点(以下、説明上、始点電流に対応する点を始点、終点電流に対応する点を終点という)が作成される。同じ測定を種々の充電状態において種々の始点電流で行い、グラフ中にこれらの点をプロットする。これによって、測定数に応じた数の始点と、各始点に対応する終点が得られるが、終点はいくつかが重なり、近似的に同一始点電流において得られた異なる値の電圧値の数と同じ数の終点が得られる。そして、同じ終点にたどり着く各始点を結ぶことで上記特定の電流・電圧線が複数本得られる。
また、ある一つの電流値で放電を行った場合の放電電圧と、このときの電池の内部抵抗を測定し、同様の測定を種々の充電状態と電流値とで行い、これら電流と電圧を軸とするグラフ中にプロットし、同じ内部抵抗を示した各点を結ぶことによっても同様に複数の電流・電圧線が得られる。
そして、これら電流・電圧線群は、電池の温度や劣化状態が同じであれば、ほぼ同じであるため、予めこのような電流・電圧線群を把握しておき、所定の電流での放電を行おうとする前の電流及び電圧から前記電流・電圧の線的関係群を構成するいずれか一つの線的関係を特定することにより、所定電流での放電時の放電電圧を推定することが可能となる。
なお、線的関係の特定は、例えば電池温度や劣化状態を特定した後、これに対応する線的関係群を特定し、続いて、所定電流放電前の電流と放電電圧を測定し、特定された線的関係群の中からこの測定点が乗る線を選び出すことで特定することができる。また、所定電流での放電前の電流と放電電圧、このときの内部抵抗を測定し、予め把握された電流・電圧線群の中から、その測定点が乗り、かつ内部抵抗が一致する線を選び出すことでも一つの線を特定することができる。なお、線を特定する際の所定電流放電前の電流と放電電圧は、できるだけ所定電流での放電に時間的に近い時点のものがよく、間に放電の停止や充電動作が入らずに連続して行われる状態での時点を選ぶのが望ましい。
さらに、所定電流での放電時の放電電圧は、特定された線から所定の電流に対応する電圧を見いだすことで推定され、小電流から大電流に移行する場合であっても、大電流から小電流に移行する場合であっても推定が可能である。
このような予め把握した線的関係に基づく電圧の推定方法は、電圧の推定を行う二次電池が極端に劣化した電池ではなく、推定範囲の放電電流も極端に小さかったり、大きかったりしない場合には、さらに簡略化した方法とすることができる。すなわち、このような場合には、後に述べるように線的関係が直線的関係に近似されるからである。
なお、本発明の推定方法、推定装置は、特に二次電池が鉛電池の場合に精度良く用いることができるものであり、以下に述べる線的関係を用いるのに好ましい放電電流としては、例えば鉛蓄電池において0.1C以上、20C以下である。
さて、直線的関係に近似される場合には、本発明の推定方法は、二次電池を所定の電流で放電させる場合の放電電圧を推定するための方法であって、予め任意の電流で放電させたときの放電電圧に基づき電流・電圧の直線的関係を把握し、前記所定の電流での放電を行おうとする前の電流及び電圧から前記電流・電圧の直線的関係群を構成するいずれか一つの直線的関係を特定することにより前記所定電流での放電時の放電電圧を推定することを特徴とする二次電池の放電電圧推定方法となるのであるが、この方法は低率放電から高率放電に移行する場合に特に好ましいため、この場合に基づいて以下説明する。
そうすると、例えば様々な充電状態における電流・電圧を多数求めて直線的関係を予め把握しておけば、低率放電時の電流・電圧が判れば、その電池が上記直線的関係のうちのいずれに当てはまるかが決定可能であるから、その直線的関係に従って高率放電時の放電電圧を推定することができる。
ところで、直線的関係となる場合には、電圧を予測したい所定電流での放電の前に、異なる2種類の放電電流とその時の放電電圧が判れば、これによりその時点でその電池が何れの直線的関係に従うかが判るため、この場合には多数の直線的関係を把握することができる。すなわち、ある時点における放電電流とこのときの放電電圧が特定されると、直線的関係が一つに決まるのであるが、この状態から引き続いて異なる大きさの放電電流に移行した場合に得られる放電電圧もこの同じ直線的関係の上にあるため、予め直線的関係が把握されていなくとも、これら連続する二点を測定することにより、結果的に直線的関係を特定でき、これに基づいて所定の電流での放電電圧を推定できるのである。従って、二種類の放電電流とその時の放電電圧との組み合わせから把握する場合には、これら二種類の点はできるだけ時間的に近い点で測定するのがよく、さらには連続して測定するのが好ましい。
また、直線的関係が得られる場合の直線の傾きは、電池の内部抵抗に対応していると考えられるから、一つの点とその点が得られた時点での電池の内部抵抗が判れば、直線的関係を一つに特定できる。従って、この場合にも、多数の直線的関係を把握しておく必要はなく、任意の放電電流とその時の放電電圧との組み合わせと電池の内部抵抗とから直線的関係を把握することができる。この場合、内部抵抗は、任意の放電電流とその時の放電電圧との組み合わせを測定した時点にできるだけ近い時点で測定するのが好ましい。
<電流・電圧の線的関係の把握>
本実施形態では、電圧2V、5時間率で定格容量20Ahの密閉式鉛蓄電池を対象としている。
まず、例えば25℃において、ある電流IAで一定時間の低率放電を行い、放電終期の電圧VAを測定し、その後、引き続き電流IB(=200A)の高率放電を1秒間行って放電電圧VBを測定した。ここで、電流IAは、10,40,70,100Aとし、放電電圧VAが10mV刻みで変化するような時間で十数点行った。従って、各放電時の放電容量は様々に異なる。これらの測定結果を横軸を電流、縦軸を電圧としたグラフに(IA,VA),(IB,VB)をプロットし、それらの点を線で結ぶ。
また、0℃、50℃においても同様の測定を行い、その結果を図3及び図4に示し、さらに、JIS D 5301の軽負荷寿命試験を7680サイクル行い、若干劣化した電池についても、上述と同様の測定を25℃で行い、その結果を図5に示した。これらの図では、図2のものと傾きが異なり、それぞれの状態に対応した別の直線群となるものの、各直線がほぼ重なり、直線的関係が得られるのは同じである。
図6はバッテリー容量警告装置の一例を示す。ここで、二次電池10は例えば密閉式鉛蓄電池で、放電電流が小さな低率負荷21と放電電流が大きな高率負荷22とにそれぞれスイッチ23,24を介して接続されている。低率負荷21は自動車のオーディオ装置やエアコン、各種ランプ等の電装品を示しており、負荷電流が例えば10〜100Aの範囲で不規則に変動する。また、高率負荷22はエンジンの始動用モータを意味しており、例えば200Aが1秒程度の短時間流される。
また、例えば放電電圧推定要求が出された時点で、放電電流が100Aで放電電圧が1.9Vであると(この場合には、上述の例に比べて充電状態が高いことになる)、その電流・電圧から特定される一次関数はf1となるから、そのf1に高率放電の放電電流200Aを代入してVB=1.77Vが取得される。すると、この推定電圧は基準値よりも高く、エンジンを停止しても直ちにクランキング可能であるから、演算部36は警告信号を出力せず、警告表示部38には警告表示がされない。
(1)上記実施形態では、関数記憶部37に多数の一次関数を記憶しておき、高率放電時の放電電圧をその一次関数群から特定されたものを利用して演算するようにしたが、これに限られず、図8に示すように関数記憶部37に代えてテーブル記憶部41を設け、電流検出回路32及び電圧検出回路33からの放電電流及び放電電圧に応じて読み取り処理部42がテーブル記憶部41に記憶したテーブルから所定の値を読み出すようにしてもよい。これによれば、演算処理が不要となるから、高速処理が可能となる。
なお、この実施形態で、高率放電時の放電電圧の値自体を必要とする場合には、テーブルは低率放電の放電電圧と放電電流とを列見出し及び行見出しとして高率放電時の放電電圧の値を記入した表を構成すればよい。また、放電電圧の値自体を必要とせず、例えばアイドリングストップ制御のためにアイドリングストップの可否だけを出力すればよい場合には、その表の放電電圧の値に代えてアイドリングストップの可否を記入した表構造とすればよい。
(2)上記実施形態では、低率放電時の電流及び電圧を測定し、それらの双方から一次関数群のうちのいずれかを特定するようにしたが、低率放電の電流が一定である場合には、電圧だけを測定してその値から一次関数群のいずれかを特定するようにしてもよい。
(3)上記実施形態では、二次電池10の内部抵抗を1日に1回測定するようにしたが、測定頻度はこれに限られるものではない。また、測定方法も、異なる2種類の放電電流と放電電圧との組み合わせから求めるに限らず、二次電池10が放電状態にないときに外部電圧を印加し、このときに流れる電流を測定することにより内部抵抗を測定してもよい。
31……電流センサ
34……温度センサー
35……温度測定回路
36……演算部
37……関数記憶部
41……テーブル記憶部
42……処理部
Claims (4)
- 二次電池によって始動用モータを駆動してエンジンのクランキングを行うアイドリングストップ車におけるエンジン制御方法であって、
予め低率放電を一定時間行って放電終期の電圧を測定し、その後引き続き前記クランキングによる放電を想定した所定の大電流による高率放電を短時間行わせて放電終期の電圧を測定し、この測定を繰り返し行うことにより前記二次電池の電流・電圧の線的関係群を把握しておき、
前記エンジンの回転中における電流値及び電圧値に基づいて前記電流・電圧の線的関係群を構成するいずれか一つの線的関係を特定することにより次回のクランキング時の放電電圧を推定し、その放電電圧が所定値に満たない場合に前記エンジンのアイドリングを停止させることを禁止するための信号を出力することを特徴とするアイドリングストップ車におけるエンジン制御方法。 - 前記電流・電圧の線的関係を、任意の異なる2種類の放電電流とそのときの放電電圧との組み合わせから把握することを特徴とする請求項1記載のアイドリングストップ車におけるエンジン制御方法。
- 前記電流・電圧の線的関係を、任意の放電電流とそのときの放電電圧との組み合わせと、二次電池の内部抵抗とから把握することを特徴とする請求項1記載のアイドリングストップ車におけるエンジン制御方法。
- 二次電池によって始動用モータを駆動してエンジンのクランキングを行うアイドリングストップ車において前記エンジンを停止させるに際して前記エンジンの再始動のためのクランキングが可能か否かを判断するための装置であって、予め低率放電を一定時間行って放電終期の電圧を測定し、その後引き続き前記クランキングによる放電を想定した所定の大電流による高率放電を短時間行わせて放電終期の電圧を測定し、この測定を繰り返し行うことにより把握された前記二次電池の電流・電圧の線的関係群を記憶する記憶手段と、前記エンジンを停止させる前の電流値及び電圧値から前記電流・電圧の線的関係群を構成するいずれか一つの線的関係を特定することにより前記クランキング時の放電電圧を取得する放電電圧取得手段と、この放電電圧取得手段によって取得された放電電圧が所定値に満たないときに前記エンジンのアイドリングを停止させることを禁止するための信号を出力する演算部とを備えることを特徴とするアイドリングストップ車におけるエンジン制御装置。
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