JP4749637B2 - 画像解析方法、装置、及び記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ほぼ一様な形状及び寸法を有する複数の解析対象物、例えば生物の有核細胞に対する画像解析に関し、特に、環境変異原により誘発された有核細胞中の染色体の異常を解析する画像解析方法、装置、及び記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
染色体を有するあらゆる生物には、遺伝的要因または環境変異原等により、種々の染色体異常が発生し得ることが知られている。染色体異常の検出の多くは、核型(karyotype)の分析に依存している。核型を分析するためには、有核生物の細胞の細胞周期において、分裂中期(metaphase)の細胞を必要とする。
【0003】
分裂中期の細胞の標本を作製する際には、細胞内の個々の染色体群の全てが、重なりが無く分離されるように、且つ、個々の染色体が充分に伸展するように、慎重な調製を必要とする。しかし例えば、24種類の異なる染色体群から成るヒトの染色体について、上述したような完全な標本を多数得ることは困難である。また、核型分析は、細胞内で個々に分かれた染色体の全てを検証し、健常人の正常な核型と異なる核型を染色体異常として、異常の種類を分類するという作業が要求される。
【0004】
一方、分裂中期細胞の染色体に欠失、切断、不分離等の形態的な異常が生じた場合には、その後の間期(interphase)における細胞核の一部が分離して微小な核が形成されることが知られており、このような微小な核を小核(micronucleus)と呼んでいる。これに対して、小核を生じた親の核を主核(main nucleus)と呼んで区別する。従って、小核の出現は、間期細胞における染色体異常の発生を意味するものである。
【0005】
小核の研究には、ヒトでは主に末梢血中のリンパ球が用いられている。正常なリンパ球では、小核の出現頻度は極めて低いが、有害な薬剤等の刺激により、その出現頻度は劇的に増加することが知られている(Heddle,J.A.ら、Mutat.Res.44,63−69,1977)。従って、小核の出現とその頻度は、何らかの遺伝的要素、環境変異原、ウイルス等の影響により、DNA損傷による染色体異常が生じたことを示す指標となり得る。また、今日、げっ歯類や培養細胞を用いる小核試験は、ヒトに対する変異原性の有無や程度を実験的に予測するための研究に寄与している。
【0006】
上述した従来の小核の解析は、顕微鏡観察を基本として行なわれてきた。この場合、観察者の目による小核の出現頻度の判定においては、各人が潜在的にもつ主観による判定であるため、データにバラツキが生じ、必ずしも信頼性のあるデータが得られるとはいえない。また、肉眼による観察には、かなりの労力や工数を必要とする問題がある。従って、細胞中のDNA損傷性を小核出現頻度によって定量的に評価しようとする場合には、より客観的かつ効率的な小核の検出技術、即ち、自動解析技術が必要とされる。
【0007】
これまで、無核細胞であるげっ歯類の赤血球を対象とした小核の自動解析技術としては、特開平9−89886号公報に顕微鏡画像処理を用いる解析法、また特許第2893613号公報にフローサイトメトリを用いる解析法が開示されている。しかしながら、ヒトをはじめとする多くの体細胞は有核であり、このような有核細胞中の小核解析には、上記の無核細胞を対象とした解析技術は適用できない。
【0008】
一方従来では、有核細胞中の小核を肉眼で識別するために、ギムザ染色標本が用いられてきた。こうした標本を対象とした顕微鏡画像解析技術も考案されている(Tates AD.,et al.,Int.J.Radiat.Biol.58:813−825,1990;Castelain PP.,et al.,Mutagenesis 8:285−293,1993,Verhaegen F.,et al.,Cytometry 17:119−127,1994;Bocker W.,et al.,Cytometry 19:283−294,1995;Frieauff W.et al.,MutationRes.,413:57−68,1998)。
【0009】
しかし、今日では、細胞中の細胞質(RNA)/核(DNA)に対して、より特異的な蛍光色素としてアクリジンオレンジ(AO)が好んで採用され、AO染色標本の観察が主流となりつつあり(Matsuoka A.et al.,Mutation Res.,272:223−236,1993)、蛍光染色された有核細胞標本における小核の解析が重要視されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
有核細胞の蛍光顕微鏡画像を対象とした小核自動検出技術に関しては、特開平10−185911号公報に開示されているが、顕微鏡画像がカラー画像で撮り込まれ、その後にDNAとRNAの画像にそれぞれ分割して画像処理を行なうため、著しい画像の劣化が生じ、ごく微細な小核は検出が困難になる。また、蛍光の色度・明度・彩度の定量的解析が、ある一定の閾値を設定した画像を対象として行なわれているため、生物試料特有の蛍光輝度のバラツキを正確に反映できず、結果的に、近接した細胞や主核・小核が正確に分離・認識できないことになる。従って、目視判定結果と比較した場合においても、著しい差異が生じてしまうという大きな問題があった。
【0011】
本発明の目的は、標本にて起こり得る解析対象物同士の重なり(例えば、生物の細胞同士の結合)を画像上で回避し、正確で精度の高い解析対象物(例えば、有核細胞)の画像解析を行なう画像解析方法、装置、及び記録媒体を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
課題を解決し目的を達成するために、本発明の画像解析方法、装置、及び記録媒体は以下の如く構成されている。
【0013】
(1)本発明の画像解析方法は、ほぼ一様な形状及び寸法を有する有核細胞を含む複数の解析対象物を所定の測定視野内に設定する工程と、前記測定視野内で少なくとも一個の測定用画像を得る工程と、前記測定視野中の複数の前記解析対象物を画像解析する工程とを有し、前記画像解析する工程は、第1の基準閾値と、前記第1の基準閾値に対して所定の負の差分を有する第2の基準差分閾値との2段階の基準閾値に設定し、前記測定用画像に対して前記第1の基準閾値による2値化により得た解析対象画像と前記第2の基準差分閾値による2値化により得た解析対象画像との面積の推移を解析し、前記各解析対象画像の面積の推移に応じて前記測定視野内で結合した2以上の前記解析対象物を切り離す工程と、前記切り離した前記解析対象物の少なくとも1個について必要な測定データを得る工程とを有する。
【0014】
(2)本発明の画像解析方法は、顕微鏡で得られた有核細胞の画像を基に、染色体に発生した異常を解析する画像解析方法において、細胞周期が間期に相当する有核細胞の細胞質と核を蛍光色素で標識して観察対象とし、顕微鏡により得られた前記観察対象の蛍光画像に対する基準閾値の設定において、前記核の画像に対して第1の基準閾値と、前記第1の基準閾値に対して所定の負の差分を有する第2の基準差分閾値との2段階の基準閾値の設定を行ない、前記核の画像に対して前記第1の基準閾値による2値化により得た解析対象画像と前記第2の基準差分閾値による2値化により得た解析対象画像との面積の推移を解析し、前記各解析対象画像の面積の推移に応じて前記測定視野内で結合した2以上の前記有核細胞の核を切り離し、前記切り離した前記2以上の核の少なくとも1個について解析する。
【0015】
(3)本発明の画像解析方法は上記(2)に記載の方法であり、前記面積推移の割合は、前記第1の基準閾値と前記第2の基準差分閾値との前記2段階の基準閾値により得た前記核の各2値化像から求められ、前記面積推移の割合が所定値以上である場合は、前記2段階の基準閾値のうち高い基準閾値で解析し、前記面積推移の割合が前記所定値未満である場合は、前記2段階の基準閾値のうち低い基準閾値で解析する。
【0016】
(4)本発明の画像解析方法は上記(2)または(3)に記載の方法であり、前記細胞質の画像中で2以上の前記細胞質が結合している場合、輪郭形状解析により前記2以上の細胞質を分離し、その分離座標を前記核の画像の解析に用いる。
【0017】
(5)本発明の画像解析装置は、顕微鏡で得られた有核細胞を含む解析対象物の画像を基に、ほぼ一様な形状及び寸法を有する複数の解析対象物についての画像解析を行なう画像解析装置において、微小領域に配置された前記複数の解析対象物を拡大された視野内で観察するための顕微鏡と、この顕微鏡から画像を取り込む画像入力手段と、第1の基準閾値と、前記第1の基準閾値に対して所定の負の差分を有する第2の基準差分閾値との2段階の基準閾値に設定し、前記画像入力手段で取り込まれた前記解析対象物の画像に対して前記第1の基準閾値による2値化により得た解析対象画像と前記第2の基準差分閾値による2値化により得た解析対象画像との面積の推移を解析し、前記各解析対象画像の面積の推移に応じて前記測定視野内で結合した2以上の前記解析対象物を切り離し、これら分離した前記解析対象物の少なくとも1個から必要な測定データを得ることにより、測定データに関する解析を実行する解析手段とを具備している。
【0018】
(6)本発明の画像解析装置は、顕微鏡で得られた有核細胞の画像を基に、染色体に発生した異常を解析する画像解析装置において、細胞周期が間期に相当する前記有核細胞の細胞質と核を蛍光色素で標識した観察対象を観察するための顕微鏡と、この顕微鏡から画像を取り込む画像入力手段と、この画像入力手段で取り込まれた前記画像に対して第1の基準閾値と、前記第1の基準閾値に対して所定の負の差分を有する第2の基準差分閾値との2段階の基準閾値の設定を行なう閾値設定手段と、前記画像入力手段で取り込まれた前記画像に対して前記第1の基準閾値による2値化により得た解析対象画像と前記第2の基準差分閾値による2値化により得た解析対象画像との面積の推移を解析し、前記各解析対象画像の面積の推移に応じて前記測定視野内で結合した2以上の前記核を切り離し、前記切り離した前記2以上の核の少なくとも1個について解析する解析手段とを具備している。
【0019】
(7)本発明の記録媒体は、コンピュータに、顕微鏡で得られた有核細胞を含む解析対象物の画像信号にアクセスして測定用の第1の基準閾値と、前記第1の基準閾値に対して所定の負の差分を有する第2の基準差分閾値との2段階の基準閾値を設定する閾値設定機能と、前記画像信号に対して前記第1の基準閾値による2値化により得た解析対象画像と前記第2の基準差分閾値による2値化により得た解析対象画像との面積の推移を解析し、前記各解析対象画像の面積の推移に応じて前記測定視野内で結合した2以上の核を切り離し、前記切り離した前記2以上の核の少なくとも1個について解析を実行する解析機能と、を実現させるためのプログラムを記録している。
【0020】
(8)本発明の記録媒体は、コンピュータに、顕微鏡により得られた細胞周期が間期に相当する有核細胞の細胞質と核を蛍光色素で標識した観察対象の蛍光画像に対して第1の基準閾値と、前記第1の基準閾値に対して所定の負の差分を有する第2の基準差分閾値との2段階の基準閾値の設定を行なう閾値設定機能と、前記核の画像に対して前記第1の基準閾値による2値化により得た解析対象画像と前記第2の基準差分閾値による2値化により得た解析対象画像との面積の推移を解析し、前記各解析対象画像の面積の推移に応じて前記測定視野内で結合した2以上の前記有核細胞の核を切り離し、前記切り離した前記2以上の核の少なくとも1個について解析する解析機能と、を実現させるためのプログラムを記録している。
【0021】
上記手段を講じた結果、以下のような作用を奏する。
【0022】
本発明の画像解析方法によれば、有核細胞の画像解析において、2段階の基準閾値を設定し、核の面積推移の割合を所定値と対比させることで、適切な基準閾値の自動設定を可能としている。これにより、標本にて起こり得る細胞の結合を画像上で回避し、単離されていない細胞に対しても小核を正確に判定でき、有核細胞中の染色体異常を高い精度で自動解析することができる。
【0023】
本発明の画像解析方法によれば、2段階の基準閾値を設定することで得られた各2値化像から求めた核の面積推移の割合を所定値と対比させ、核の占める割合が前記所定値以上の場合は高く設定されている基準閾値を選び、前記所定値未満の場合は低く設定されている基準閾値を選んで計測をする。これにより、細胞の形状変化に適応した基準閾値の設定を行ない、客観的に効率よく解析を行なうことができる。
【0024】
本発明の画像解析方法によれば、蛍光画像中で細胞質同士が接している場合、輪郭形状解析により画像上で細胞質を切り離す座標を得て、その座標を用いて対応する核の面積推移を求める。これにより、単離された細胞ばかりでなく、結合している細胞も有効に計測され、自動解析の精度が向上する。
【0025】
本発明の画像解析装置によれば、標本に起こり得る細胞の結合を画像上で回避し、単離されていない細胞に対しても小核を正確に判定でき、有核細胞中の染色体異常を高い精度で自動解析することができる。
【0026】
本発明の記録媒体によれば、コンピュータにより、標本に起こり得る細胞の結合を画像上で回避し、単離されていない細胞に対しても小核を正確に判定でき、有核細胞中の染色体異常を高い精度で自動解析することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像解析装置の構成を示す図である。図1に示す画像解析装置は、顕微鏡で得られた、細胞周期が間期に相当する有核細胞の画像を基に、染色体に発生した異常を解析するものである。この装置は、主に、細胞を顕微鏡的に画像化する画像入力部をなす蛍光顕微鏡Aと画像解析部をなすパーソナル・コンピュータ(PC)Bとで構成されている。
【0029】
蛍光顕微鏡Aの本体1には、二次元上で自動的に走査されるステージ2が設けられており、このステージ2には蛍光標識(生物学的染色)を施された細胞からなる標本Sが載置されている。また、本体1とステージ2には、標本Sに焦点を合わせるようステージ2を観察光軸a方向へ駆動するオートフォーカス装置3が連結されている。
【0030】
蛍光顕微鏡Aの観察光軸a上には、標本Sが位置するとともに、レボルバー4に取り付けられた対物レンズ5、本体1内に設けられたダイクロイックミラー6、細胞質(RNA)/核(DNA)で発した蛍光を特異的に検出するために、観察光軸a上に配置されるフィルターを変換するフィルター変換部7、鏡筒8内に設けられたハーフミラー9、及び顕微鏡画像の入力用のCCDカメラ10が配置されている。鏡筒8には接眼レンズ11が取り付けられている。また、本体1には、標本S上に励起光を投射するための光源12が設けられている。
【0031】
パーソナル・コンピュータ(PC)Bは、制御部20と細胞質・核計測部30を備えており、細胞質・核計測部30は、閾値設定部31、ブロブ解析部32、輪郭形状解析部33、及び画像判定部34を有している。なお、細胞質・核計測部30はプログラムとして図示しないメモリーに記憶されており、制御部20により実行される。
【0032】
制御部20には、細胞質・核計測部30を記憶した上記メモリーが接続されているとともに、入力部21と表示部22が接続されている。また制御部20には、ステージ2、オートフォーカス装置3、フィルター変換部7、及びCCDカメラ10が接続されている。また、細胞質・核計測部30を記憶した上記メモリーはCCDカメラ10に接続されている。
【0033】
光源12から発した光がダイクロイックミラー6にて反射され、対物レンズ5を介して標本Sを励起すると、標本Sで発せられた蛍光が、対物レンズ5、ダイクロイックミラー6、及びハーフミラー9を介してCCDカメラ10に取込まれる。
【0034】
CCDカメラ10に取り込まれた細胞の画像情報は、細胞質・核計測部30に送られ、後に詳述する解析処理が実行される。閾値設定部31では基準閾値と多段階閾値の設定がなされ、ブロブ解析部32では細胞画像に対して従来から知られているブロブ解析が行なわれ、輪郭形状解析部33では細胞の輪郭形状が解析され、画像判定部34では輪郭形状解析部33で解析された細胞群のうち小核を形成した間期細胞が主核と対応付けて計数される。
【0035】
制御部20はCPUからなり、本画像解析装置の全ての構成ユニットの動作を連続的に実行させるものである。入力部21はキーボード、タッチパネル、マウス等からなり、制御部20に対して、解析したい情報の種類の追加、変更等が行なわれる。表示部22はCRT、プリンタ等からなり、制御部20により統計処理された統計データが表示される。
【0036】
なお、制御部20を、適宜通信回線を介して遠隔地にある検査センター、病院、大学、メーカー等に対して、各種データの送信/受信を行なえる構成とすれば、より高度な解析ソフトウェアの実行や、熟練検査者等による解析方法や情報の交流を迅速に行なうことができ、さらに有効な構成になる。
【0037】
図2及び図3は、上述した構成をなす画像解析装置による画像解析方法の処理手順を示すフローチャートである。また図4は、図2及び図3のフローチャートによる処理工程を模式的に示した図である。
【0038】
以下、本画像解析装置による細胞質(RNA)の画像解析方法を図2を基に説明する。まずステップS1で、制御部20はフィルター変換部7にて、細胞質(RNA)の蛍光波長を特異的に吸収・励起するためのフィルター(赤色用フィルター)を観察光軸a上に配置させる。これにより、標本Sにおける細胞質(RNA)の画像がCCDカメラ10に取込まれ、画像データとして細胞質・核計測部30に入力される。
【0039】
次に細胞質・核計測部30は、入力した細胞質(RNA)画像に対して画像の輝度補正を行ない、ステップS2で、閾値設定部31にて基準閾値(基準輝度)を設定し、図4の画像41に示すように細胞質(RNA)411,412の画像データを2値化することにより、解析対象画像を抽出する。
【0040】
次にステップS3で、ブロブ解析部32は従来のブロブ解析法により、細胞質411,412の画像の重心・面積(ピクセル数の総和)・体積(各ピクセルの蛍光輝度の総和)・真円度・長さと幅の比率などを分析する。ここで、真円度、及び長さと幅の比率から、単独の細胞(細胞質411)ではなく複数の細胞が重なり合った疑いがあるもの(細胞質412)については、ステップS4で、輪郭形状解析部33にて後述する輪郭形状解析を行なう。
【0041】
これにより、ステップS5で、図4の画像42に示すように、近接した複数の細胞が独立した個々の細胞に分離される。例えば、図4にpで示すように、近接した細胞質が輪郭形状解析によって二つの細胞質に分離される。ここで輪郭形状解析部33は、後述するような輪郭形状解析によって検出された2個所のピーク(くびれ)の位置の各座標を、細胞質の分離座標として抽出し、核(DNA)画像に記録する。これにより、解析対象画像中で、近接している細胞内の各核(DNA)の画像が分離処理される。
【0042】
以下、本画像解析装置による核(DNA)の画像解析方法を図3を基に説明する。まずステップS11で、制御部20はフィルター変換部7にて、核(DNA)の蛍光波長を特異的に吸収・励起するためのフィルター(緑色用フィルター)を観察光軸a上に配置させる。これにより、標本Sにおける核(主核・小核:DNA)の画像がCCDカメラ10に取込まれ、画像データとして細胞質・核計測部30に入力される。
【0043】
次にステップS12で、細胞質・核計測部30は、上記ステップS4での細胞質(RNA)画像の輪郭形状解析により、上記ステップS5で近接した細胞質が分離された場合、抽出された分離座標と同じ座標を核(DNA)画像に入力する。
【0044】
次に細胞質・核計測部30は、入力した核(DNA)画像に対して画像の輝度補正を行ない、ステップS13で、閾値設定部31にて第1の基準閾値(輝度)を設定し、図4の画像43に示すように核(DNA)413〜417の画像データを2値化することにより、解析対象画像を抽出する。
【0045】
次にステップS14で、ブロブ解析部32は従来のブロブ解析法により、核413〜417の画像の矩形・面積・体積・真円度・長さと幅の比率などを分析する。ここで、面積比(細胞質/核)を算出して、ある一定の値以上のものを観察対象細胞として分類する。
【0046】
さらにステップS15で、閾値設定部31は、上記第1の基準閾値に対して所定の負の差分を有する第2の基準差分閾値を設定し(第1の基準閾値>第2の基準差分閾値)、核(DNA)の画像データを2値化することにより、解析対象画像を抽出する。次にステップS16で、ブロブ解析部32は上記ステップS14と同様にブロブ解析を行ない、観察対象細胞を分類する。
【0047】
次にステップS17で、画像判定部34は、第1の基準閾値により得た解析対象画像と第2の基準差分閾値により得た解析対象画像の面積の推移(面積比(%)=第1の基準閾値により得た解析対象画像の面積/第2の基準差分閾値により得た解析対象画像の面積×100)を解析する。
【0048】
そして、この面積の推移が所定の判定基準値(例えば80%)以上の場合、ステップS18で、画像判定部34は、2段階閾値のうち第1の基準閾値で得た解析対象画像に対するブロブ解析法による分析から体積比(核/細胞)を算出して、ある一定の値以上のものを主核、前記一定の値未満のものを小核としてラベル化する。これにより、図4の画像44に示すように近接した複数個の主核が分離される。例えば、図4にqで示すように、近接した主核が輪郭形状解析によって二つの主核に分離される。そして細胞質・核計測部30は、主核の個数を認識し、図4の45に示すように主核の数が1個・2個またはそれ以上の細胞を分類し、ステップS19で、それらを観察対象の細胞として決定する。
【0049】
そして、ステップS20で、上述した画像解析処理の結果、小核が存在する場合、図4の45に示すように、画像判定部34はその小核の個数を主核と対応付けるとともに、主核と小核を画像解析された細胞質と対応付け、各観察対象の細胞ごとに小核を計数し、全観察対象の細胞中における小核を保有する間期細胞の出現頻度を集計する。
【0050】
その後、ステップS21で、予め設定されている段階数(例えば5段階)分の画像解析処理が終了するまで、上記第1の基準閾値に対して予め指定されている差分を順次加えて新たな閾値とし、上記ステップS18〜S20の画像解析処理を行なう。以上のような多段階閾値による核の解析が行なわれることで、小核が細胞中により多く存在する結果が取得される。例えば、図4の画像43で検出されなかった小核416が画像44に示すように検出されることになる。
【0051】
一方上記ステップS17で、面積の推移が所定の判定基準値(例えば80%)未満の場合、ステップS22で、画像判定部34は、2段階閾値のうち第2の基準差分閾値で得た解析対象画像に対するブロブ解析法による分析から体積比(核/細胞)を算出して、ある一定の値以上のものを主核、前記一定の値未満のものを小核としてラベル化する。そして細胞質・核計測部30は、主核の個数を認識し、主核の数が1個・2個またはそれ以上の細胞を分類し、ステップS23で、それらを観察対象の細胞として決定する。
【0052】
そして、上述した画像解析処理の結果、小核が存在する場合、ステップS24で、画像判定部34はその小核の個数を主核と対応付けるとともに、主核と小核を画像解析された細胞質と対応付け、各観察対象の細胞ごとに小核を計数し、全観察対象の細胞中における小核を保有する間期細胞の出現頻度を集計する。すなわち、面積の推移が所定値未満の場合は、多段階閾値での画像解析は行なわれない。
【0053】
以上の処理手順のうち、輪郭形状解析について以下に説明する。輪郭形状解析は、対象画像の輪郭形状を解析する方法である。本実施の形態では、この方法を生物試料の画像を対象として、特に細胞質や核の形状認識に応用している。
【0054】
図5は、輪郭形状解析の基本原理を示す図である。輪郭形状解析では、画像51中の解析対象物52の輪郭上のピクセル(図中斜線部分)を追跡し、該輪郭上の座標を示す座標リストを生成する。次に、前記座標リスト中の任意の1点Pi、及びその点Piから前後にそれぞれsだけ離れた2点Pi+s,Pi−sの合計3点を用いて導かれる特徴量を、前記座標リストのすべての座標について算出し、その遷移パターンを求める。
【0055】
ここで特徴量とは、上記した任意の1点Piと2点Pi+s,Pi−sとで形成される3角形の面積であり、2点Pi+s,Pi−sの間を結ぶ直線を底辺とした場合の頂点の向きを正負で定義している。また、上記の遷移パターンとは、上記特徴量の大きさについて閾値Tvを越えている部分の連続数Ttに基づくものであり、パターンの遷移における閾値Tvを越えている部分と下回っている部分の出現順序に基づき、検出部位(複数の細胞質または複数の核の接触部位)の凹凸を判断するための基準となるものである。
【0056】
図6の(a)〜(b)は、主核・小核の輪郭形状解析の結果例を示す図である。図6の(a)に示すように、1個の核を有する細胞61における核の輪郭形状の遷移パターンは、その特徴量が常に閾値Tvを下回るが、図6の(b)に示すように、近接した2個の核を有する細胞62における核の輪郭形状の遷移パターンでは、その特徴量において、閾値Tvを上回るピーク(くびれ)が2個所生じることになる。また、図6の(c)に示すように、近接した3個の核を有する細胞63においては、特徴量が閾値Tvを上回るピーク(くびれ)が3個所生じることになる。
【0057】
この手法を用いれば、図6の(d)に示すように、細胞64における主核に近接した小核についても、その輪郭形状の遷移パターンの特徴によって検出可能となる。この場合、主核と小核で生じる2箇所のピークの間隔は、図6の(b)に示した主核同士で生じる2箇所のピークの間隔より狭くなる。
【0058】
以上のように解析された画像におけるくびれ(欠け)の検出数と主核・小核の存在様式は、例えば、次のように分類することができる。
【0059】
【表1】
【0060】
なお、「くびれの個数」が‘その他’である場合は、その旨を保留としてメモリに記憶しておき、後に操作者が目視により細胞分類の判定を行なう。
【0061】
さらに、本実施の形態においては、主核・小核の画像について多段階閾値を設定し画像解析を実施しているが、これは、細胞間での蛍光輝度のバラツキの問題を解消する手段である。例えば、高い閾値で画像処理を実施した場合には、主核に対して輝度が低い小核は、画像として認識されなくなってしまう。このように、主核・小核の細胞間または細胞内の輝度のバラツキに起因する判定ミスを解消するために、複数の閾値を設定した画像について解析することにより、小核の見落としが非常に少ない結果を得ることが可能となる。
【0062】
なお、本実施の形態では、輪郭形状解析を行なうとともに多段階閾値を設定して画像解析を実施しているが、これらのうち輪郭形状解析のみまたは多段階閾値の設定のみを行なった場合でも、従来の手法に比べて、近接した細胞質や主核・小核の分離・認識を正確に行なうことができる。
【0063】
本実施の形態によれば、第1に、AO染色された有核細胞標本の画像入力時に細胞質(RNA)画像と核(DNA)画像を別々に入力した場合に、従来のような画像の圧縮が避けられるため、画像劣化を低減でき、その後の画像処理をスムーズに行なえる。第2に、画像解析処理により主核や小核を識別する工程において、画像の閾値を可変にすることにより、生物試料がゆえに生じる蛍光のバラツキを解消できる。第3に、画像解析のプロセスの中に細胞質と核の輪郭情報を解析する独自のアルゴリズムを採用することにより、近接した細胞や核を効率よく分離・認識することができる。以上の結果、従来に比べて、小核をより客観的に判定でき、かつ効率の良い計測を実施できる。
【0064】
本発明では、通常の小核解析に用いられるヒトリンパ球以外にも、生体組織や各種細胞株などから得た任意の有核細胞を適用することができる。また、解析対象としては、既に何らかの原因で染色体異常が起こっている可能性のある被検生物由来の細胞であっても、特定の環境変異原に暴露された細胞であってもよい。
【0065】
本発明によれば、観察対象となる有核細胞中の主核が単核・2核・それ以上の核数を有していても、それぞれを識別して、小核保有細胞を計数できる。ヒト末梢血リンパ球を対象とした小核解析には、サイトカラシンBなどの薬剤を培養液中に処理して、誘発された2核細胞を観察対象とする方法がよく用いられており(Fenech M.and Morley AA.,Mutation Res.147:29−36,1985)、特に、ヒト細胞を対象としたモニタリング(健康度や変異原性物質への暴露度を経時的に評価する)を実施する場合に極めて有効である。
【0066】
上述した本実施の形態の画像解析装置による画像解析方法では、顕微鏡で得られた画像を対象としており、ブロブ解析、輪郭形状解析、多段階閾値解析を効果的に組み合わせて、染色された小核を検出している。
【0067】
しかしながら、その計測中の画像を観察していると、細胞同士が結合したところが計測不能になるケースが出現し、観察対象の細胞数が実際の細胞数より減少することが考えられる。すなわち、低い閾値のみの計測では、細胞同士の結合により画像上で核が結合してしまい、その結果として、核が細胞質からはみ出すため、正確に計測されない不具合が生じる。
【0068】
このような問題を解決するために、本実施の形態では2段階の閾値を設定し、得られた各解析対象画像の面積の推移に応じて、結合した細胞を画像上で切り離す操作を自動的に行なっている。本実施の形態による画像解析を行なうことで、核が結合している場合にも的確な解析を行なうことができ、細胞同士の結合により生ずる小核計測の不具合を防止することができる。
【0069】
【実施例】
本発明における画像解析装置による実施例を以下に示す。上記実施の形態による画像解析方法では、顕微鏡で得られた有核細胞の画像を基に、細胞周期が間期にある有核細胞を蛍光色素で標識して観察対象としている。そして、細胞質と核の蛍光画像に対して、特に核の中間輝度あるいは高輝度の分布または核の面積を指標とすることで、有核細胞が細胞毒性を受けているか否かを識別し、その識別の結果に応じて基準閾値を設定し画像解析を行なっている。
【0070】
しかし、細胞同士が接近して結合している場合、その細胞が計測不能と判定されることが考えられる。それは、低い閾値を設定して計測を行なった場合、核同士が画像上で結合してしまい、一つの核であるように観察され、その結果として核が一つの細胞質からはみ出ているように観察されるためである。この場合、結合した細胞に対して小核計測は行なわれない。このような不具合を、上記実施の形態による画像解析方法では防止しており、以下にその実施例を述べる。なお、本実施例では、染色体異常誘発物質で処理したヒト培養細胞を用いて試験を行なった。
【0071】
上記実施の形態で述べたように、本画像解析装置では蛍光標識を施された細胞の細胞質(RNA)画像と核(DNA)画像を撮り込む。そして、核(DNA)画像の第1の基準閾値を200と設定し、これに対する差分を−50として第2の基準差分閾値を150と設定し計測を行なう。また、面積推移の判定基準値を80%と設定する。すなわち、面積推移が80%以上の場合には基準閾値200で、80%未満の場合には基準差分閾値150で計測される。
【0072】
図7は、後述するような核分離をせずに面積推移解析を行なった場合の判定結果を示す画像を写真印刷して示す図である。図7では、単離されていない細胞に対しては、単核細胞として検出されていない(cellNG)。
【0073】
図8は、基準閾値200で得た核(DNA)の2値化像を示す画像を写真印刷して示す図であり、表2は、その2値化画像中の核(DNA)の面積値を示している。図9は、基準差分閾値150で得た核(DNA)の2値化像を示す画像を写真印刷して示す図であり、表2は、その2値化画像中の核(DNA)の面積値を示している。
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
表2では、図8における核(DNA)の像a〜hに付けられたラベルと、像a〜hの面積値が示されている。同様に表3では、図9における核(DNA)の像A〜Eに付けられたラベルと、像A〜Eの面積値が示されている。すなわち図8,図9では、白部の像a〜h,A〜Eが核(DNA)の像であり、各像a〜h,A〜Eに固有のラベルが付けられている。
【0077】
図10は、2段階の基準閾値による図8,図9の二つの画像から得た面積推移画像を示す画像を写真印刷して示す図である。図10における面積推移は、図8,図9の二つの画像においてほぼ同じ位置にある各像(例えば、aとA、dとB、eとC)の面積比(基準閾値200により得た像の面積/基準差分閾値150により得た像の面積×100(%))を示している。すなわち、図9のような接近した核同士が結合している画像から各像の面積推移を求める場合、面積比は低い値になる。これは、結合した核の像の分離をせずに計測することにより出された結果である。
【0078】
そこで結合した核の像を分離するため、上記実施の形態で述べたように、細胞質(RNA)画像の処理において近接する細胞質を分離した際、その分離座標を抽出し、図11に示すように核(DNA)画像にも記録しておく。なお、図11に示す画像の横座標の最大は659で、縦座標の最大は517である。
【0079】
図12は、基準差分閾値150で得た核(DNA)の2値化核分離画像を写真印刷して示す図であり、表4は、その2値化画像中の核(DNA)の面積値を示している。
【0080】
【表4】
【0081】
表4では、図12における核(DNA)の像a’〜h’に付けられたラベルと、像a’〜h’の面積値が示されている。前述した分離座標を用いることにより、図9に対して図12に示すような核を分離した画像が得られる。
【0082】
図13は、2段階の基準閾値による図8,図12の二つの画像から得た面積推移画像を写真印刷して示す図である。図13における面積推移は、図8,図12の二つの画像においてほぼ同じ位置にある各像(例えば、aとa’、bとb’、cとc’)の面積比(基準閾値200により得た像の面積/基準差分閾値150により得た核分離像の面積×100(%))を示している。図13に示すように面積比を計測した結果、図14に示すような面積推移解析の判定結果が得られる。図14では図7と異なり、単離されていない細胞に対しても、単核細胞(1NUC)として検出されている。
【0083】
以上のような計測を行なうことにより、結合している細胞同士に対しても、2段階の基準閾値のうち低い基準差分閾値を設定することで、結合されている核同士を画像上で切り離すことができるため、正しく解析されることになる。
【0084】
なお、本発明は上記実施の形態及び実施例のみに限定されず、要旨を変更しない範囲で適宜変形して実施できる。
【0085】
例えば、上述した実施の形態の説明では、解析対象物として生物の細胞を2色の蛍光色素で染色した場合の標本観察に適用したが、解析対象物として生物以外の物質であってほぼ一様に形状及び寸法が決定しているような他の材料、例えば人口微粒子、血球等に適用してもよい。また、適用する細胞、人口微粒子、血球等の解析対象物を用いて、生物学的な反応(酵素反応、抗原抗体反応、核酸ハイブリダイゼーション反応、核酸合成反応等)による反応結果を所定の微小領域内で測定するために本発明の方法及び装置、及び記憶媒体を適用してもよい。
【0086】
また、本発明によれば、1色の色素を用いた例にも適用できるが、好ましい態様では、異なる種類の色素の色種毎に分別して最適な解析結果を出力する方法も提供するので、3色以上の色素を用いた場合にも有効に適用できる。また、解析に用いる画像は、1個の静止画像である必要は無く、適宜、複数の静止画像ないし所望時間の動画を解析するようにして測定データの信頼性を向上させたり、解析情報の多様性を得てもよい。また、本発明によれば、上述した実施の形態のように、ほぼ一様の形状及び寸法を有する解析対象物が、複数種類(実施の形態では主核と小核の2種類)混在するような標本についての画像解析方法も提供するので、任意の異なる種類の解析対象物を同時に画像解析することもできる。
【0087】
【発明の効果】
本発明の画像解析方法、装置、及び記録媒体によれば、2以上の結合した有核細胞を含む解析対象物を形状に基づいて精度良く分離して選択的に測定データを取得することができるので、多数の密に配置された解析対象物に関する画像解析を無駄にせず、効率良く実行できる。
また、本発明によれば、第1の基準閾値と、前記第1の基準閾値に対して所定の負の差分を有する第2の基準差分閾値との2段階の基準閾値による有核細胞の画像解析により、核の面積推移から適切な基準閾値を自動設定可能とし、標本にて起こり得る細胞同士の結合があっても、画像上でこの結合した2以上の前記有核細胞を含む解析対象物を切り離し、正確で精度の高い画像解析を実現できる。すなわち、細胞間での蛍光輝度のバラツキを解消でき、間期細胞同士が結合している場合にも、画像上効率よく分離、確認して自動解析することで、計測不能な細胞が大幅に減少される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像解析装置の構成を示す図。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像解析装置による画像解析方法の細胞質(RNA)画像処理手順を示すフローチャート。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像解析装置による画像解析方法の核(DNA)画像処理手順を示すフローチャート。
【図4】本発明の実施の形態に係る画像解析装置による画像解析方法の処理工程を模式的に示した図。
【図5】本発明の実施の形態に係る輪郭形状解析の基本原理を示す図。
【図6】本発明の実施の形態に係る主核・小核の輪郭形状解析の結果例を示す図。
【図7】本発明の実施例に係る面積推移解析の判定結果を示す画像を写真印刷して示す図。(核切り離し無し)
【図8】本発明の実施例に係る核部基準閾値200での2値化像を示す画像を写真印刷して示す図。
【図9】本発明の実施例に係る核部基準差分閾値150での2値化像を示す画像を写真印刷して示す図。
【図10】本発明の実施例に係る面積推移画像を写真印刷して示す図。
【図11】本発明の実施例に係る細胞切り離し座標を示す画像を写真印刷して示す図。
【図12】本発明の実施例に係る核部基準差分閾値150での2値化核切り離し像を示す画像を写真印刷して示す図。
【図13】本発明の実施例に係る面積推移画像を写真印刷して示す図。(核切り離し)
【図14】本発明の実施例に係る面積推移解析の判定結果を示す画像を写真印刷して示す図。(核切り離し)
【符号の説明】
A…蛍光顕微鏡
B…パーソナル・コンピュータ(PC)
1…本体
2…ステージ
3…オートフォーカス装置
4…レボルバー
5…対物レンズ
6…ダイクロイックミラー
7…フィルター変換部
8…鏡筒
9…ハーフミラー
10…CCDカメラ
11…接眼レンズ
12…光源
20…制御部
21…入力部
22…表示部
30…細胞質・核計測部
31…閾値設定部
32…ブロブ解析部
33…輪郭形状解析部
34…画像判定部
S…標本
Claims (8)
- ほぼ一様な形状及び寸法を有する有核細胞を含む複数の解析対象物を所定の測定視野内に設定する工程と、
前記測定視野内で少なくとも一個の測定用画像を得る工程と、
前記測定視野中の複数の前記解析対象物を画像解析する工程と、
を有し、
前記画像解析する工程は、第1の基準閾値と、前記第1の基準閾値に対して所定の負の差分を有する第2の基準差分閾値との2段階の基準閾値に設定し、前記測定用画像に対して前記第1の基準閾値による2値化により得た解析対象画像と前記第2の基準差分閾値による2値化により得た解析対象画像との面積の推移を解析し、前記各解析対象画像の面積の推移に応じて前記測定視野内で結合した2以上の前記解析対象物を切り離す工程と、前記切り離した前記解析対象物の少なくとも1個について必要な測定データを得る工程とを有する、
ことを特徴とする画像解析方法。 - 顕微鏡で得られた有核細胞の画像を基に、染色体に発生した異常を解析する画像解析方法において、
細胞周期が間期に相当する有核細胞の細胞質と核を蛍光色素で標識して観察対象とし、
顕微鏡により得られた前記観察対象の蛍光画像に対する基準閾値の設定において、前記核の画像に対して第1の基準閾値と、前記第1の基準閾値に対して所定の負の差分を有する第2の基準差分閾値との2段階の基準閾値の設定を行ない、
前記核の画像に対して前記第1の基準閾値による2値化により得た解析対象画像と前記第2の基準差分閾値による2値化により得た解析対象画像との面積の推移を解析し、前記各解析対象画像の面積の推移に応じて前記測定視野内で結合した2以上の前記有核細胞の核を切り離し、前記切り離した前記2以上の核の少なくとも1個について解析する、
ことを特徴とする画像解析方法。 - 前記面積推移の割合は、前記第1の基準閾値と前記第2の基準差分閾値との前記2段階の基準閾値により得た前記核の各2値化像から求められ、前記面積推移の割合が所定値以上である場合は、前記2段階の基準閾値のうち高い基準閾値で解析し、前記面積推移の割合が前記所定値未満である場合は、前記2段階の基準閾値のうち低い基準閾値で解析することを特徴とする請求項2に記載の画像解析方法。
- 前記細胞質の画像中で2以上の前記細胞質が結合している場合、輪郭形状解析により前記2以上の細胞質を分離し、その分離座標を前記核の画像の解析に用いることを特徴とする請求項2または3に記載の画像解析方法。
- 顕微鏡で得られた有核細胞を含む解析対象物の画像を基に、ほぼ一様な形状及び寸法を有する複数の前記解析対象物についての画像解析を行なう画像解析装置において、
微小領域に配置された前記複数の解析対象物を拡大された視野内で観察するための顕微鏡と、
この顕微鏡から画像を取り込む画像入力手段と、
第1の基準閾値と、前記第1の基準閾値に対して所定の負の差分を有する第2の基準差分閾値との2段階の基準閾値に設定し、前記画像入力手段で取り込まれた前記解析対象物の画像に対して前記第1の基準閾値による2値化により得た解析対象画像と前記第2の基準差分閾値による2値化により得た解析対象画像との面積の推移を解析し、前記各解析対象画像の面積の推移に応じて前記測定視野内で結合した2以上の前記解析対象物を切り離し、これら分離した前記解析対象物の少なくとも1個から必要な測定データを得ることにより、測定データに関する解析を実行する解析手段と、
を具備したことを特徴とする画像解析装置。 - 顕微鏡で得られた有核細胞の画像を基に、染色体に発生した異常を解析する画像解析装置において、
細胞周期が間期に相当する前記有核細胞の細胞質と核を蛍光色素で標識した観察対象を観察するための顕微鏡と、
この顕微鏡から画像を取り込む画像入力手段と、
この画像入力手段で取り込まれた前記画像に対して第1の基準閾値と、前記第1の基準閾値に対して所定の負の差分を有する第2の基準差分閾値との2段階の基準閾値の設定を行なう閾値設定手段と、
前記画像入力手段で取り込まれた前記画像に対して前記第1の基準閾値による2値化により得た解析対象画像と前記第2の基準差分閾値による2値化により得た解析対象画像との面積の推移を解析し、前記各解析対象画像の面積の推移に応じて前記測定視野内で結合した2以上の前記核を切り離し、前記切り離した前記2以上の核の少なくとも1個について解析する解析手段と、
を具備したことを特徴とする画像解析装置。 - コンピュータに、
顕微鏡で得られた有核細胞を含む解析対象物の画像信号にアクセスして測定用の第1の基準閾値と、前記第1の基準閾値に対して所定の負の差分を有する第2の基準差分閾値との2段階の基準閾値を設定する閾値設定機能と、
前記画像信号に対して前記第1の基準閾値による2値化により得た解析対象画像と前記第2の基準差分閾値による2値化により得た解析対象画像との面積の推移を解析し、前記各解析対象画像の面積の推移に応じて前記測定視野内で結合した2以上の核を切り離し、前記切り離した前記2以上の核の少なくとも1個について解析を実行する解析機能と、
を実現させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 - コンピュータに、
顕微鏡により得られた細胞周期が間期に相当する有核細胞の細胞質と核を蛍光色素で標識した観察対象の蛍光画像に対して第1の基準閾値と、前記第1の基準閾値に対して所定の負の差分を有する第2の基準差分閾値との2段階の基準閾値の設定を行なう閾値設定機能と、
前記核の画像に対して前記第1の基準閾値による2値化により得た解析対象画像と前記第2の基準差分閾値による2値化により得た解析対象画像との面積の推移を解析し、前記各解析対象画像の面積の推移に応じて前記測定視野内で結合した2以上の前記有核細胞の核を切り離し、前記切り離した前記2以上の核の少なくとも1個について解析する解析機能と、
を実現させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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