JP4749343B2 - 情報記録装置及び方法、並びに記録制御用のコンピュータプログラム - Google Patents

情報記録装置及び方法、並びに記録制御用のコンピュータプログラム Download PDF

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Description

本発明は、例えば2層型のDVD、CD(Compact Disc)等の多層型の情報記録媒体に情報を記録するためのDVDレコーダ等の情報記録装置及び方法、並びに、記録制御用のコンピュータプログラムの技術分野に関する。
例えば、CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)、CD−R(Compact Disc−Recordable)、DVD−ROM、DVD−R、DVD−RW、及び、DVD+R等の情報記録媒体では、特許文献1、2等に記載されているように、同一基板上に複数の記録層が積層、または貼り合わされてなる多層型若しくはデュアルレイヤ型の光ディスク等の情報記録媒体も開発されている。そして、このようなデュアルレイヤ型、即ち、2層型の光ディスクに記録を行う、DVDレコーダ等の情報記録装置では、レーザ光の照射側から見て最も手前側(即ち、光ピックアップに近い側)に位置する記録層(本願では適宜「L0層」と称する)に対して記録用のレーザ光を集光することで、L0層に対して情報を加熱などによる非可逆変化記録方式や書換え可能方式で記録し、L0層等を介して、レーザ光の照射側から見てL0層の奥側(即ち、光ピックアップから遠い側)に位置する記録層(本願では適宜「L1層」と称する)に対して該レーザ光を集光することで、L1層に対して情報を加熱などによる非可逆変化記録方式や書換え可能方式で記録することになる。
このような2層型の光ディスクを構成するL1層に情報を記録する際には、図12(a)に示されるように、記録済みのL0層を介してL1層に照射されたレーザ光の最適な記録パワーは、例えば図12(c)の細線(白三角印)の放物線上におけるジッタ値が最小となる44.5(mW:ミリワット)である。他方、図12(b)に示されるように、記録済みのL0層とは光透過率の異なる未記録状態のL0層を介してL1層に照射されたレーザ光の最適な記録パワーは、例えば図12(c)の太線(黒三角印)の放物線上におけるジッタ値が最小となる46(mW:ミリワット)であり、L1層の記録においてはL0層が記録されているか否かを考慮する必要性がある。これに対しては、例えば記録済みの状態のL0層を透過した記録用のレーザ光が照射されなければならないという、所謂、記録要件(Recording Order)を満たす記録方法が考案されている。
この記録要件について説明すると、L1層に情報を記録する際に、例えば記録済みの状態のL0領域で適切な記録が行われるように記録パワーが設定されている時、記録済みの状態のL0層を透過して記録用のレーザ光が照射された領域では、図13の左側部で示されるように、再生HF(High Frequency)信号の振幅が大きく良好な信号品質が得られる、即ちこの信号より得られたアシンメトリ値は適正な値をとなる。他方、図13の右側部で示されるように、記録済みの状態のL0領域で適切な記録が行われるように記録パワーが設定されている時、未記録状態のL0層を透過して記録用のレーザ光が照射された領域では再生信号の振幅が例えば小さくなり良好な信号品質が得られない、即ちこの信号から得られたアシンメトリ値は低くなる等、適正値から離れた値をとる。更に、他方、図13の中央部で示されるように、単一のトラック上において記録済みの状態の領域と未記録状態の領域とが混在するL0層を透過した記録用のレーザ光が照射された領域の再生信号の振幅は偏芯量の大きさにより周内で、記録済み状態のL0領域または未記録状態のL0領域がレーザ光の照射径の中心からどれだけ偏るかに応じて変動する、即ちこの信号から得られたアシンメトリ値は高いレベル及び低いレベルのうち一方から他方へと遷移するような特性となり、このような、レーザ光の照射径が完全に記録済み状態のL0層を透過して記録を行わない場合には、再生において問題が生じる可能性がある。
そのため、レーザ光の照射径が完全に記録済み状態のL0層を透過して記録するためにレーザ照射半径以上離れた位置にL1層の記録端を設定することを記録の条件としたものが、前述した記録要件に基づいた記録方法が考案されている。詳細には、この記録方法は、後述される図4(a)に示されるL0層、及びL1層が夫々保持する寸法誤差、並びに図4(b)に示される、L0層と、L1層との貼り合わせ誤差を加えた、所謂、マージンを考慮した記録方法である。
特開2000−311346号公報 特開2001−23237号公報
しかしながら、L0層を透過したレーザ光によって、L1層に情報を記録する際に、レーザ光が透過するL0層の領域(以下適宜、「透過領域」と称す)の大部分又は小部分が未記録状態である可能性がある。
この場合、L1層に記録される情報の再生品質を均一にするために、L0層において、例えば記録済み状態の領域を必要な広さだけ確保できる場所を検索し、この記録済み状態の領域を透過領域として設定し、L1層に情報が記録される。従って、L0層において、不規則的に発生する記録済み状態又は未記録状態の領域に対応しなければならないため、記録要件を満たした記録領域の迅速且つ適切な確保が困難となってしまうという技術的な問題点を有している。加えて、情報の転送処理のボトルネックとなり、記録動作の所要時間がしてしまうという技術的な問題点を有している。
或いは、この場合、記録済み状態のL0層の領域を透過したレーザ光によって、L1層に記録された情報の再生品質と、未記録状態のL0層の領域を透過したレーザ光によって、L1層に記録された情報の再生品質とを等しくするために、レーザ光の例えば記録パワーが相対的に変更される。従って、例えば記録パワーを頻繁に変更させる等の複雑な記録制御処理が必要となるため、例えば高速記録に、この複雑な記録制御処理が対応できず、L1層に記録された情報の再生品質が不均一になってしまう可能性があるという技術的な問題点を有している。
本発明は、例えば上述した従来の問題点に鑑みなされたものであり、例えば複数の記録層を有する情報記録媒体に対しても、より効率的に且つ迅速に情報の記録を行うことを可能とならしめる情報記録装置及び方法、並びにコンピュータをこのような情報記録装置として機能させるコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
(情報記録装置)
以下、本発明に係る情報記録装置について説明する。
本発明の情報記録装置は上記課題を解決するために、情報を記録可能な第1記録層(L0層)、及び前記情報を記録可能な第2記録層(L1層)を少なくとも備える情報記録媒体に対して、前記第1記録層の透過領域を透過したレーザ光によって、少なくとも前記第2記録層の所定領域に前記情報を記録する情報記録装置であって、(i)前記レーザ光が透過する透過領域が一の状態(記録済み状態)である場合に良好な再生品質(ジッタ値が最小)を取得可能な一の特性を保持する一のレーザ光(44mW)、又は(ii)前記透過領域が他の状態(未記録状態)である場合に良好な再生品質(ジッタ値が最小)を取得可能な他の特性を保持する他のレーザ光(46mW)によって、前記第2記録層の所定領域に前記情報を記録する記録手段と、前記透過領域において前記一の状態の部分、及び前記他の状態の部分が混在することに起因される前記再生品質の変化に基づいて、前記所定領域に、前記一又は他のレーザ光によって前記情報を記録するように、前記記録手段を制御する制御手段とを備える。
本発明の情報記録装置によれば、制御手段の制御下で、記録手段は、第1記録層の透過領域において一の状態(記録済み状態)の部分、及び他の状態(未記録状態)の部分が混在することに起因される再生品質の変化に基づいて、第2記録層の所定領域に、一又は他のレーザ光によって情報を記録する。
具体的には、透過領域において、大部分の一の状態、及び小部分の他の状態が混在しても、透過領域が全て一の状態である場合の再生品質と殆ど又は完全に等しい品質を取得可能であれば、一のレーザ光によって、所定領域に情報を記録することが可能である。他方、透過領域において、小部分の一の状態、及び大部分の他の状態が混在しても、透過領域が全て他の状態である場合の再生品質と殆ど又は完全に等しい再生品質を取得可能であれば、他のレーザ光によって、所定領域に情報が記録することが可能である。従って、第1記録層における一の状態、又は他の状態の領域が不規則的に発生することの影響を殆ど又は完全に無くし、再生品質として許容される領域をより効率的に確保することが可能となる。
その結果、例えば再生品質の変化を示す変化量の許容値に従って決定された所定量に基づいた記録動作において、第1記録層、及び第2記録層における記録領域の無駄が最小限にされ、より効率的に記録領域が利用されることが可能となる。
本発明の情報記録装置は、上記課題を解決するために、前記透過領域における未記録状態の領域の半径方向の大きさを示す未記録量が、例えば、再生品質の変化に基づいて決定される、一又は他の状態(例えば未記録状態)の領域の半径方向の大きさを示す所定量(例えば20trkの未記録領域ならアシンメトリ値の低下を2から3%にすることができる)より小さいか否かを判定する判定手段を更に備え、前記制御手段は、前記未記録量が、前記所定量より小さいと判定された場合、前記所定領域に、レーザ光によって前記情報を記録するように、前記記録手段を制御する。
この態様によれば、判定手段によって、第1記録層の透過領域における、例えば未記録状態の領域の半径方向の大きさが、所定量より小さいか否かが判定される。ここに、本願発明に係る「所定量」とは、透過領域が全て記録済み状態である場合における再生品質と概ね等価である再生品質を確保しつつ、透過領域において存在可能な未記録状態の領域の半径方向の大きさである。
その結果、記録要件を満たすために記録動作を一旦停止する必要がなくなり、記録動作の所要時間を短縮化することが可能となる。例えば記録パワーを頻繁に変更させる等の複雑な記録制御処理を極力、省略できるので、例えば高速記録の際に、第2記録層に記録された情報の再生品質を殆ど又は完全に均一にすることが可能性である。
上述した所定量に係る態様では、前記所定量は、前記第1記録層におけるレーザ照射径よりも充分に小さい量である。
この態様によれば、レーザ照射径に基づいて、所定量を規定可能である。
上述した制御手段に係る態様では、前記制御手段は、前記未記録量が、前記所定量より小さくないと判定された場合、前記透過領域における未記録状態の領域に、前記情報を記録するように、前記記録手段を制御する。
このように構成すれば、記録要件を適切に満たすための記録動作において、第1記録層における記録領域の無駄が最小限にされ、より効率的に記録領域が利用されることが可能となる。
上述した判定手段に係る態様では、前記情報記録媒体は、少なくとも前記第1記録層における領域毎の記録状態を管理する管理情報を記録可能な管理情報記録エリアを有し、前記管理情報記録エリアに記録された前記管理情報を取得する取得手段を更に備え、前記判定手段は、前記取得された管理情報に基づいて、前記未記録量を算出し、前記未記録量が、前記所定量より小さいか否かを判定するように構成してもよい。
このように構成すれば、判定手段は、取得された管理情報に基づいて、より的確且つ迅速に、未記録量が、所定量より小さいか否かを判定することが可能である。
その結果、第2記録層に記録された情報の再生品質を殆ど又は完全に均一にすることが可能性であり、加えて、記録動作の所要時間を短縮化することが可能となる。
更に、上述した管理情報に係る態様では、前記管理情報を記憶する記憶手段と、前記記憶された管理情報を更新する更新手段と、前記更新された管理情報を前記管理情報記録エリアに記録する他の記録手段とを更に備えるように構成してもよい。
このように構成すれば、更新手段によって、記憶手段に記憶された管理情報が更新される。従って、管理情報の更新処理を含む記録動作全体の所要時間を短縮化することが可能となる。そして、他の記録手段によって、更新された管理情報が、更新と同時に又は相前後して、管理情報記録エリアに記録される。従って、管理情報を情報記録媒体に記録する処理を含む記録動作全体の所要時間を短縮化することが可能となる。
上述した所定量に係る態様では、前記所定量(例えば20trk)は、前記第1又は第2記録層における半径位置をパラメータとしたデータ量によって示されるように構成してもよい。
このように構成すれば、例えばディスク形状の情報記録媒体の内周側、及び外周側における、単位長さ当たりのデータ量の変化の影響を殆ど又は完全に無くすことが可能となる。
上述した所定量に係る態様では、前記所定量は、前記情報記録媒体の個体単位の光学特性、及び記録特性、一の前記情報記録媒体の記録領域における光学特性、及び記録特性のばらつき、並びに、当該情報記録装置の各種性能に影響される前記情報記録媒体の光学特性、及び記録特性のうちの少なくとも一つに基づいて決定可能であるように構成してもよい。
このように構成すれば、各種要因に基づいて決定された所定量によって、記録動作をより高精度にすることが可能となる。
更に、上述した光学特性、及び記録特性に係る態様では、前記記録手段又は前記制御手段は、光ピックアップを含み、当該情報記録装置の各種性能に影響される前記情報記録媒体の光学特性、及び記録特性は、(i)前記光ピックアップに有される対物レンズの開口率(NA)、(ii)前記第1記録層と第2記録層との間に存在する中間層の屈折率、並びに、(iii)レーザ光が前記第2記録層に合焦点した場合の、前記第1記録層におけるレーザ照射径に基づいて決定されるように構成してもよい。
このように構成すれば、当該情報記録装置の各種性能に影響される情報記録媒体の光学特性、及び記録特性に基づいて決定された所定量によって、記録動作をより高精度にすることが可能となる。
本発明の情報記録装置の他の態様では、前記情報記録媒体における前記第1記録層では、前記情報を記録するために、螺旋状、又は同心円状の第1トラック(第1記録層におけるアドレスと半径位置との関係を表示可能)が形成され、前記第2記録層では、前記情報を記録するために、前記第1トラックと回転中心を共有する螺旋状、又は同心円状の第2トラック(第2記録層におけるアドレスと半径位置との関係を表示可能)が形成されており、前記制御手段は、更に、前記透過領域の半径位置に所定のマージンを含めて、前記所定領域の半径位置を設定しつつ、前記情報を記録するように、前記記録手段を制御する。
この態様によれば、制御手段の制御下で、記録手段は、第1記録層におけるアドレスと半径位置との関係を表示可能であると共に、螺旋状、又は同心円状の第1トラックに沿って、第1記録層に情報を記録する。と同時に又は相前後して、制御手段の制御下で、記録手段は、第2記録層におけるアドレスと半径位置との関係を表示可能であると共に、第1トラックと回転中心を共有する螺旋状、又は同心円状の第2トラックに沿って、情報を記録する。
詳細には、第1トラックは、情報記録媒体に備えられた、例えばディスク状の第1又は第2記録層の内周側及び外周側のうち一方側から他方側へと向かい、これとは逆に、第2トラックは、他方側から一方側へと向かうように構成してもよい。即ち、当該2層型或いは多層型の情報記録媒体では、記録のためのトラックが2つの記録層の間で逆方向を向いている「オポジット方式」による連続記録が可能とされる。従って、第1記録層の終了端に続いて第2記録層の開始端へと、記録を連続的に行うようにすれば、情報に係る記録処理或いは再生処理の対象としての記録層を切り換える際に、基板面内におけるレーザ光の照射位置を半径方向に殆ど又は全く変えないで済むので、迅速な層間ジャンプ(即ち、層間切替動作)が可能となる。これは、例えば映画などの連続した記録情報を記録する際に、記録層の切り換えのために特別なバッファ機能を必要とすることなく、途切れのない再生を行うことが容易となるという意味で、実践上大変便利である。
或いは、また、第1トラックは、前述した内周側及び外周側のうち一方側から他方側へと向かい、第2トラックも、第1トラックと同様に、一方側から他方側へと向かうように構成してもよい。即ち、当該二層型或いは多層型の情報記録媒体では、トラックが二つの記録層の間で同一方向を向いている「パラレル方式」による連続記録が可能とされる。このパラレル方式では、第1記録層における記録又は再生が終了されると、第2記録層における記録又は再生が開始される時に、例えば、光ディスクの最外周にある光ピックアップが再度、最内周へ向かって移動する必要があるため、前述したオポジット方式と比較して、第1記録層から第2記録層への切り換え時間がその分だけ掛かってしまう。
特に、この態様によれば、制御手段の制御下で、記録手段は、透過領域の半径位置に所定のマージンを含めて、所定領域の半径位置を設定しつつ、情報を記録する。
その結果、記録要件を適切に満たすための所定のマージンを考慮した記録動作において、第2記録層の所定領域における記録領域の無駄が最小限にされ、より効率的に記録領域が利用されることが可能となる。
上述した所定のマージンに係る態様では、前記所定のマージンの大きさを示すマージン量は、(i)前記第1記録層、及び前記第2記録層が夫々保持する寸法誤差、(ii)前記第1記録層と前記第2記録層との貼り合わせ誤差に基づいて生じる偏芯量、並びに(iii)前記第2記録層に対して前記レーザ光が焦点を結ぶように照射される際に、前記焦点の半径位置を示した第2照射位置と、前記レーザ光が焦点を結ばないように照射される前記透過領域の端部の半径位置を示した第1照射位置との差を示した照射位置誤差のうち少なくとも一つに基づいて決定されるように構成してもよい。
このように構成すれば、所定のマージンに基づいて、各種の相対的なずれの影響をより少なくさせることが可能となる。
その結果、記録要件を適切に満たしつつ、第2記録層の所定領域の半径位置をより適切に設定できるので、当該所定領域における記録領域の無駄が最小限にされ、より効率的に記録領域が利用されることが可能となる。
本発明の情報記録装置の他の態様では、前記記録手段は、前記第1記録層の記録済み領域を透過して記録された前記第2記録層の第1記録領域の再生品質と、前記第1記録層の未記録領域を透過して記録された前記第2記録層の第2記録領域の再生品質とを概ね等価にさせる。
この態様によれば、例えばレーザパワーが変化されることで、情報が記録された第1記録領域の再生品質と、情報が記録された第2記録領域の再生品質とが概ね等価であるので、再生処理を、第1記録領域と、第2記録領域とで、概ね同じにさせることが可能である。
本発明の情報記録装置の他の態様では、前記再生品質は、アシンメトリ値、ジッタ値、及び再生エラーレートのうち少なくとも1つによって示される。
この態様によれば、例えばアシンメトリ値等によって、再生品質が示されることによって、より高精度且つ適切に第2記録層の所定領域を設定できる。
その結果、所定領域における記録領域の無駄が最小限にされ、より効率的に記録領域が利用されることが可能となる。
本発明の情報記録装置の他の態様では、前記所定量は、略20トラックである。
この態様によれば、20トラックに基づいて、所定量を高精度に規定可能である。
(情報記録方法)
以下、本発明に係る情報記録方法について説明する。
本発明の情報記録方法は上記課題を解決するために、情報を記録可能な第1記録層、及び前記情報を記録可能な第2記録層を少なくとも備える情報記録媒体に対して、前記第1記録層(L0層)の透過領域を透過したレーザ光によって、少なくとも前記第2記録層(L1層)の所定領域に前記情報を記録する情報記録装置における情報記録方法であって、前記第1記録層又は前記第2記録層に前記情報を記録する工程と、前記透過領域における未記録状態の領域の半径方向の大きさを示す未記録量が、所定量より小さいか否かを判定する判定工程と、前記未記録量が、前記所定量より小さいと判定された場合、前記所定領域に、前記情報を記録するように、前記記録手段を制御する前記制御工程とを備える。
本発明の情報記録方法によれば、上述した本発明の情報記録装置が有する各種利益を享受することが可能となる。
尚、上述した本発明の情報記録装置が有する各種態様に対応して、本発明の情報記録方法も各種態様を採ることが可能である。
(コンピュータプログラム)
以下、本発明に係るコンピュータプログラムについて説明する。
本発明の記録制御用のコンピュータプログラムは上記課題を解決するために、上述した本発明の情報記録装置(但し、その各種態様を含む)に備えられたコンピュータを制御する記録制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記記録手段、前記判定手段、及び、前記制御手段のうち少なくとも一部として機能させる。
本発明に係るコンピュータプログラムによれば、当該コンピュータプログラムを格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを、通信手段を介してコンピュータにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明の情報記録装置を比較的簡単に実現できる。
尚、上述した本発明の情報記録装置における各種態様に対応して、本発明のコンピュータプログラムも各種態様を採ることが可能である。
コンピュータ読取可能な媒体内のコンピュータプログラム製品は上記課題を解決するために、上述した本発明の情報記録装置(但し、その各種形態も含む)に備えられたコンピュータにより実行可能なプログラム命令を明白に具現化し、該コンピュータを、前記記録手段、及び、前記制御手段のうち少なくとも一部として機能させる。
本発明のコンピュータプログラム製品によれば、当該コンピュータプログラム製品を格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラム製品をコンピュータに読み込めば、或いは、例えば伝送波である当該コンピュータプログラム製品を、通信手段を介してコンピュータにダウンロードすれば、上述した本発明の情報記録装置を比較的容易に実施可能となる。更に具体的には、当該コンピュータプログラム製品は、上述した本発明の情報記録装置として機能させるコンピュータ読取可能なコード(或いはコンピュータ読取可能な命令)から構成されてよい。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から明らかにされる。
以上説明したように、本発明の情報記録装置及び方法によれば、記録手段及び工程、並びに、制御手段及び工程を備える。従って、記録要件を適切に満たすための記録動作において、第1記録層、及び第2記録層における記録領域の無駄が最小限にされ、より効率的に記録領域が利用されることが可能となる。
また、本発明のコンピュータプログラムによれば、コンピュータを上述した本発明の情報記録装置として機能させるので、情報記録装置をして、記録要件を適切に満たしつつ、第1記録層、及び第2記録層における記録領域の無駄を最小限にせしめ、より効率的に記録領域を利用せしめることが可能となる。
本発明の情報記録媒体の実施例に係る複数の記録領域を有する光ディスクの基本構造を示した概略平面図(図1(a))、該光ディスクの概略断面図と、これに対応付けられた、その半径方向における記録領域構造の図式的概念図(図1(b))である。 本発明の第1記録層及び第2記録層に係るL0層及びL1層におけるアドレスと半径位置との関係の一具体例を示したグラフ(図2(a))、及び他の具体例を示したグラフ(図2(b))である。 本発明の管理情報の一具体例であるスペースビットマップを図式的に示したテーブルである。 本発明の第1記録層及び第2記録層に係る、L0層及びL1層が夫々保持する寸法誤差を概念的に示した模式図(図4(a))、並びに、L0層とL1層との貼り合わせ誤差に基づいて生じる偏芯量を概念的に示した模式図(図4(b))である。 本発明の第2記録層に係るL1層においてレーザ光が照射される照射位置と、本発明の第1記録層に係るL0層においてレーザ光が照射されるレーザ照射径とを概念的に示した模式図である。 本発明の情報記録装置に係る実施例における情報記録再生装置及び、ホストコンピュータの基本構成を示したブロック図である。 本発明の情報記録装置の実施例に係る情報記録再生装置による記録動作を示したフローチャートである。 本発明の所定量と、L0層及びL1層との位置関係を図式的に示した模式図である。 本発明の所定量と、例えばアシンメトリ値等の再生品質との関係を示した波形図である。 本発明の所定量と、例えばアシンメトリ値等の再生品質との関係の具体例を示したグラフである。 比較例において、L0層に小なる未記録領域がある場合に、記録要件により2つの所定領域12a及び12bが形成された場合の記録領域を図式的に示した模式図(図11(a))、並びに、本発明に係る、再生品質の変化を示す変化量の許容値に従って決定された所定量に基づいて、記録要件により1つの所定領域が形成された場合の記録領域を図式的に示した模式図(図11(b))である。 本発明に係る記録要件を概念的に示した模式図(図12(a)及び図12(b))、並びに数値的に示したグラフ(図12(c))である。 比較例に係る問題点を示した模式図である。
符号の説明
11 透過領域
12 所定領域
100 光ディスク
101 リードインエリア
102 データエリア
103 リードアウトエリア
104 ミドルエリア
300 情報記録再生装置
302 信号記録再生手段
305 CPU(ドライブ制御手段)
LB レーザ光
CDZ コントロールデータゾーン
以下、本発明を実施するための最良の形態について実施例毎に順に図面に基づいて説明する。
(1)情報記録媒体
先ず、図1から図5を参照して、本発明の情報記録媒体の実施例について詳細に説明する。
尚、本実施例に係る光ディスクにおいては、本願発明に係る「第1トラック」の一例を構成するL0層のトラックパスと、本願発明に係る「第2トラック」の一例を構成するL1層のトラックパスとが反対の記録方向であるオポジット方式が記録方式の一具体例として適用されている。更に、本実施例では、パラレル方式にも適用可能であることは言うまでもない。
また、本実施例におけるレーザ光の記録パワーは、当該レーザ光が記録済みのL0層を介してL1層に照射された場合の最適な記録パワーである。しかし、本発明においては、レーザ光の記録パワーは、当該レーザ光が記録済みのL0層とは光透過率の異なる未記録状態のL0層を介してL1層に照射された場合の最適な記録パワーであるようにしてもよいことは言うまでもない。
(1−1)基本構成
先ず図1を参照して、本発明の情報記録媒体の実施例に係る光ディスクの基本構造について説明する。ここに、図1(a)は、本発明の情報記録媒体の実施例に係る複数の記録領域を有する光ディスクの基本構造を示した概略平面図であり、図1(b)は、該光ディスクの概略断面図と、これに対応付けられた、その半径方向における記録領域構造の図式的概念図である。
図1(a)及び図1(b)に示されるように、光ディスク100は、例えば、DVDと同じく直径12cm程度のディスク本体上の記録面に、センターホール1を中心として本実施例に係るリードインエリア101又はリードアウトエリア103、データエリア102、並びに、ミドルエリア104が設けられている。そして、光ディスク100の例えば、透明基板106に、L0層及びL1層等の記録層が積層されている。そして、この記録層の各記録領域には、例えば、センターホール1を中心にスパイラル状或いは同心円状に、例えば、グルーブトラック及びランドトラック等のトラック10が交互に設けられている。また、このトラック10上には、データがECCブロック11という単位で分割されて記録される。ECCブロック11は、記録情報がエラー訂正可能なデータ管理単位である。
特に、リードインエリア101には、本願発明に係る「管理情報記録エリア」の一例を構成するコントロールデータゾーンCDZが設けられている。このコントロールデータゾーンCDZには、本願発明に係る「管理情報」が記録される。尚、この管理情報については、後述される。
尚、本発明は、このような三つのエリアを有する光ディスクには特に限定されない。例えば、リードインエリア101又はリードアウトエリア103、並びにミドルエリア104が存在せずとも、以下に説明するデータ構造等の構築は可能である。また、後述するように、リードインエリア101又はリードアウト103、並びにミドルエリア104は更に細分化された構成であってもよい。
本実施例に係る光ディスク100は、図1(b)に示されるように、例えば、透明基板106に、後述される本発明に係る第1及び第2記録層の一例を構成するL0層及びL1層が積層された構造をしている。このような二層型の光ディスク100の記録再生時には、図1(b)中、下側から上側に向かって照射されるレーザ光LBの集光位置をいずれの記録層に合わせるかに応じて、L0層における記録再生が行なわれるか又はL1層における記録再生が行われる。また、本実施例に係る光ディスク100は、2層片面、即ち、デュアルレイヤに限定されるものではなく、2層両面、即ちデュアルレイヤーダブルサイドであってもよい。更に、上述の如く2層の記録層を有する光ディスクに限られることなく、3層以上の多層型の光ディスクであってもよい。
尚、2層型光ディスクにおけるオポジット方式による記録又は再生手順等については、後述される。
(1−2)アドレスと半径位置
次に、図2を参照して、本発明の情報記録媒体の実施例に係る2層型光ディスクにおけるアドレスと半径位置について説明する。ここに、図2は、本発明の第1記録層及び第2記録層に係るL0層及びL1層におけるアドレスと半径位置との関係の一具体例を示したグラフ(図2(a))、及び他の具体例を示したグラフ(図2(b))である。尚、図2(a)、及び図2(b)中の横軸は半径方向の位置を示し、縦軸はアドレスを示す。
図2(a)、及び図2(b)に示されるように、本発明の第1記録層及び第2記録層に係るL0層及びL1層におけるアドレスと半径位置との関係の一及び他の具体例においては、オポジット方式に基づいてアドレスと半径位置との関係が規定されている。ここに、オポジット方式とは、より詳細には、2層型光ディスクの記録又は再生手順として、後述される情報記録再生装置の光ピックアップが、L0層において、内周側から外周側へ向かって、即ち、図2(a)、及び図2(b)中の矢印AR0の右方向へ移動するのとは逆に、L1層においては、光ピックアップが外周側から内周側へ向かって、即ち、図2(a)、及び図2(b)の矢印AR1の左方向へ移動することによって、2層型光ディスクにおける記録又は再生が行われる方式である。このオポジット方式では、L0層における記録又は再生が終了されると、L1層における記録又は再生が開始される時に、光ディスクの最外周にある光ピックアップが再度、最内周へ向かって移動する必要はなく、L0層からL1層への焦点距離だけを切り替えればよいため、L0層からL1層への切り替え時間がパラレル方式と比較して短いという利点があるため大容量のコンテンツ情報の記録に広く採用されている。
(1−2−1)増加していくアドレスと半径位置
本発明の第1記録層及び第2記録層に係るL0層及びL1層におけるアドレスと半径位置との関係の一の具体例においては、上述したオポジット方式に基づくアドレスの体系において、アドレスが増加していく。尚、一の具体例を示すにあたっては、レーザ光LBは下側から上側に向かって照射され、L0層におけるアドレスの推移は、下側部の直線で示され、L1層におけるアドレスの推移は、上側部の直線で示される。
具体的には、図2(a)に示されるように、先ず、L0層において、光ピックアップから照射されたレーザ光がリードインエリア101−0、データエリア102−0及びミドルエリア104−0を内周側から外周側へ移動するにつれて光ディスク100の記録領域におけるアドレスは増加していく。より具体的には、レーザ光の焦点が、先ず、アドレスが「03000h」(16進数表示)であり、半径位置が「24(mm)」であるL0層のデータエリア102−0の開始位置(図2(a)中のA点)から外周側に向かって移動される。そして、レーザ光の焦点が、アドレスが「22EF6h」であり、半径位置が「58.1(mm)」のデータエリア102−0の終了位置(図2(a)中のB点)まで移動されることによって、L0層のデータエリア102−0に記録された情報の記録又は再生が行われる。
他方、L1層において、レーザ光がミドルエリア104−1、データエリア102−1及びリードアウトエリア103−1を外周側から内周側へ移動するにつれて光ディスク100の記録領域におけるアドレスは増加していく。より具体的には、レーザ光の焦点が、先ず、アドレスが「FDD109h」であり、半径位置が「58.1(mm)」であるL1層のデータエリア102−1の開始位置(図2(a)中のD点)から内周側に向かって移動される。そして、レーザ光の焦点が、アドレスが「FFCFFFh」であり、半径位置が「24mm」のデータエリア102−1の終了位置(図2(a)中のC点)まで移動されることによって、L1層のデータエリア102−1に記録された情報の記録又は再生が行われる。
(1−2−2)減少していくアドレスと半径位置
本発明の第1記録層及び第2記録層に係るL0層及びL1層におけるアドレスと半径位置との関係の他の具体例においては、上述したオポジット方式に基づくアドレスの体系において、アドレスが減少していく。尚、他の具体例を示すにあたっては、レーザ光LBは上側から下側に向かって照射され、L0層におけるアドレスの推移は、上側部の直線で示され、L1層におけるアドレスの推移は、下側部の直線で示される。
具体的には、図2(b)に示されるように、先ず、L0層において、光ピックアップから照射されたレーザ光がリードインエリア101−0、データエリア102−0及びミドルエリア104−0を内周側から外周側へ移動するにつれて光ディスク100の記録領域におけるアドレスは減少していく。より具体的には、レーザ光の焦点が、先ず、アドレスが「FFCFFFh」であり、半径位置が「24(mm)」であるL0層のデータエリア102−0の開始位置(図2(b)中のA点)から外周側に向かって移動される。そして、レーザ光の焦点が、アドレスが「FDD109h」であり、半径位置が「58.1(mm)」のL0層のデータエリア102−0の終了位置(図2(b)中のB点)まで移動されることによって、L0層のデータエリア102−0に記録された情報の記録又は再生が行われる。
他方、L1層において、レーザ光がミドルエリア104−1、データエリア102−1及びリードアウトエリア103−1を外周側から内周側へ移動するにつれて光ディスク100の記録領域におけるアドレスは減少していく。より具体的には、レーザ光の焦点が、先ず、アドレスが「22EF6h」であり、半径位置が「58.1(mm)」であるL1層のデータエリア102−1の開始位置(図2(b)中のD点)から内周側に向かって移動される。そして、レーザ光の焦点が、アドレスが「03000h」であり、半径位置が「24mm」のL1層のデータエリア102−1の終了位置(図2(b)中のC点)まで移動されることによって、L1層のデータエリア102−1に記録された情報の記録又は再生が行われる。
尚、本発明の第1記録層に係るL0層において一の半径位置にある地点のアドレスの値と、本発明の第2記録層に係るL1層において一の半径位置にある地点のアドレスの値とは、互いにビット反転(インバート:invert)させた関係、即ち、補数関係にある。また、本願発明においては、後述されるように補数を示す関数である「Inv(x)」によって補数関係が定義される。更に、また、L0層及びL1層におけるアドレスの一具体例として、例えばランドプリピット(「LPP:Land Pre Pit」)アドレスとして利用されているECCブロックアドレスが適用されているが、所謂、セクタ番号が適用されてもよいことは言うまでもない。
(1−3)管理情報の一具体例
次に、図3を参照して、本発明の管理情報の一具体例について説明する。ここに、図3は、本発明の管理情報の一具体例であるスペースビットマップを図式的に示したテーブルである。
図3に示されるように、本発明の管理情報の一具体例であるスペースビットマップは、アドレスと、記録済み状態、又は未記録状態を示すフラグとによって構成されている。
具体的には、アドレスが「03000h」から「03FFFh」までの領域は、記録済み状態を示すフラグ「1」が立てられている。また、アドレスが「04000h」から「04FFFh」までの領域、及び、アドレスが「21000h」から「21FFFh」までの領域も、記録済み状態を示すフラグ「1」が立てられている。
他方、アドレスが「22000h」から「22FFFh」までの領域、アドレスが「FDE000h」から「FDEFFFh」までの領域、及び、アドレスが「FFC000h」から「FFCFFFh」までの領域は、未記録状態を示すフラグ「0」が立てられている。
(1−4)相対的なずれ
次に、本発明の第1記録層及び第2記録層に係るL0層及びL1層を備えた2層型の光ディスクにおいて生じる相対的なずれの3種類の具体例について、図4、及び図5を参照して説明する。ここに、図4は、本発明の第1記録層及び第2記録層に係る、L0層及びL1層が夫々保持する寸法誤差を概念的に示した模式図(図4(a))、並びに、L0層とL1層との貼り合わせ誤差に基づいて生じる偏芯量を概念的に示した模式図(図4(b))である。図5は、本発明の第2記録層に係るL1層においてレーザ光が照射されるレーザ照射径と、本発明の第1記録層に係るL0層においてレーザ光が照射されるレーザ照射径とを概念的に示した模式図である。
先ず、図4を参照して、本発明に係る「寸法誤差」と「偏芯量」とについて説明する。
(1−4−1)寸法誤差
図4(a)に示されるように、2層型の光ディスクを構成するL0層及びL1層は、相対的なずれとして、寸法誤差を夫々保持している。ここに、「寸法誤差」とは、L0層とL1層とが夫々無関係に保持しているアドレスと半径位置との誤差であり、張り合わされた際に、L0層の基準アドレスにおける絶対的な半径位置と、L1層の基準アドレスにおける絶対的な半径位置との偏差として生じる量である。
詳細には、この寸法誤差は、製造工程に構成する各種工程の夫々に起因して生じている。即ち、L0層及びL1層は、カッティングマシンによって作られた原盤を基にして作製されたスタンパに樹脂材料が射出成型されることによって製造される。従って、(i)原盤を作る際の、カッティングマシンの半径位置の誤差やトラックピッチのばらつき等によって、原盤自体が半径誤差を保持する可能性がある。(ii)光ディスクの射出成型時の熱収縮によって許容範囲以外の個体差が、半径誤差となる可能性がある。(iii)L0層とL1層とが別々のスタンパによって夫々作成されているため、夫々の記録層におけるトラックピッチにおける偏差を含む可能性がある。
具体的には、寸法誤差tolは、前述した図2(a)にも示されたアドレスが「03000h」であるL0層のデータエリア102−0の開始位置(A点)の半径位置と、アドレスが「FFCFFFh」であり、半径位置が「24mm」のL1層のデータエリア102−1の終了位置(C点)の半径位置との差として示される。そして、この寸法誤差tolの許容範囲は、L0層において例えば正負方向へ各々「20μm」以内であり、L1層においても例えば正負方向へ各々「20μm」以内であるので、2層型の光ディスクの個体毎において、合計「40μm」だけ保持することが許容されていることを意味する。
(1−4−2)貼り合わせ誤差(偏芯量)
図4(b)に示されるように、2層型の光ディスクにおいては、相対的なずれとして、L0層とL1層とが貼り合わされる際の誤差、所謂、貼り合わせ誤差に起因する偏芯量が生じてしまう可能性がある。ここに、「偏芯量」とは、L0層とL1層とが夫々保持する寸法誤差とは無関係であり、L0層とL1層とが張り合わされた際に、L0層の基準アドレスにおける絶対的な半径位置と、L1層の基準アドレスにおける絶対的な半径位置との偏差として生じる量である。
具体的には偏芯量roは、前述した図2(a)にも示されたアドレスが「03000h」であるL0層のデータエリア102−0の開始位置(A点)の半径位置と、アドレスが「FFCFFFh」であり、半径位置が「24mm」のL1層のデータエリア102−1の終了位置(C点)の半径位置との差として示される。そして、この偏芯量roの許容範囲は、L0層において例えば正負方向へ各々「20μm(=40/2)」以内であり、L1層において例えば正負方向へ各々「30μm)」以内であるので、2層型の光ディスクの個体毎において、合計「50μm」だけ保持することが許容されていることを意味する。
以上の結果、上述したL0層及びL1層を備えた二層型の光ディスクにおいて生じる2種類の相対的なずれに基づいて、L0層の基準アドレスにおける絶対的な半径位置と、L1層の基準アドレスにおける絶対的な半径位置との偏差は、正負方向へ各々「90μm」の値を取る可能性があると言える。
(1−4−3)レーザ照射径
次に、図5を参照して、本発明に係る「レーザ照射径」について説明する。
図5に示されるように、2層型の光ディスクにおいては、レーザ光のビーム形状が円錐であることに起因しレーザ照射径がL0層とL1層で異なる。ここに、「レーザ照射径db」とは、L1層(C点)にレーザ光がフォーカスしている時、このレーザ光がL0層においてデフォーカスして照射される直径である。尚、合焦点である「C点」の半径位置から「A点」の半径位置までがレーザ照射径にのうち半径を示している。特に、レーザ照射径dbは、次の式(10)によって示される。
db = 2×L ×tan{sin−1(NA/n)} …(10)
但し、L : 中間層(L0層とL1層との間に挿入された層)の厚さ
NA: 光学系の開口率
n : 屈折率。
尚、関数「sin−1」は、関数「sin」の逆関数である。
より詳細には、レーザ照射径dbは、(i)レーザ光の開口率(NA:Numerical Aperture)、(ii)L0層とL1層間に存在する中間層の屈折率、及び(iii)L0層、及びL1層の層間距離を決定する中間層の厚さに基づいて算出される。
(2)本発明に係る情報記録装置
次に、図6から図9を参照して、本発明の情報記録装置の実施例の基本構成及び動作原理について詳細に説明する。特に、本実施例は、本発明に係る情報記録装置を光ディスク用の情報記録再生装置に適用した例である。
(2−1)基本構成
先ず、図6を参照して、本発明の情報記録装置の実施例に係る情報記録再生装置300及び、ホストコンピュータ400の基本構成について説明する。ここに、図6は、本発明の情報記録装置に係る実施例における情報記録再生装置及び、ホストコンピュータの基本構成を示したブロック図である。尚、情報記録再生装置300は、光ディスク100に記録データを記録する機能と、光ディスク100に記録された記録データを再生する機能とを備える。
図6を参照して情報記録再生装置300の内部構成を説明する。情報記録再生装置300は、ドライブ用のCPU(Central Processing Unit)305の制御下で、光ディスク100に情報を記録すると共に、光ディスク100に記録された情報を読み取る装置である。
情報記録再生装置300は、光ディスク100、光ピックアップ301、信号記録再生手段302、アドレス検出部303、アドレス演算部304、CPU(ドライブ制御手段)305、スピンドルモータ306、メモリ307、データ入出力制御手段308、バス309を備えて構成されている。
また、ホストコンピュータ400は、CPU(ホスト制御手段)401、メモリ402、操作制御手段403、操作ボタン404、表示パネル405、データ入出力制御手段406、及びバス407を備えて構成される。
特に、情報記録再生装置300は、例えばモデム等の通信手段を備えたホストコンピュータ400を同一筐体内に収めることにより、外部ネットワークと通信可能となるように構成してもよい。或いは、例えばi−link等の通信手段を備えたホストコンピュータ400のCPU(ホスト制御手段)401が、データ入出力制御手段308、及びバス309を介して、直接情報記録再生装置300を制御することによって、外部ネットワークと通信可能となるように構成してもよい。
光ピックアップ301は光ディスク100への記録再生を行うもので、半導体レーザ装置とレンズから構成される。より詳細には、光ピックアップ301は、光ディスク100に対してレーザービーム等の光ビームを、再生時には読み取り光として第1のパワーで照射し、記録時には書き込み光として第2のパワーで且つ変調させながら照射する。
信号記録再生手段302は、光ピックアップ301とスピンドルモータ306とを制御することで光ディスク100に対して記録再生を行う。より具体的には、信号記録再生手段302は、例えば、レーザダイオードドライバ(LDドライバ)及びヘッドアンプ等によって構成されている。レーザダイオードドライバは、光ピックアップ301内に設けられた図示しない半導体レーザを駆動する。ヘッドアンプは、光ピックアップ301の出力信号、即ち、光ビームの反射光を増幅し、該増幅した信号を出力する。より詳細には、信号記録再生手段302は、OPC(Optimum Power Control)処理時には、CPU305の制御下で、図示しないタイミング生成器等と共に、OPCパターンの記録及び再生処理により最適なレーザパワーの決定が行えるように、光ピックアップ301内に設けられた図示しない半導体レーザを駆動する。特に、信号記録再生手段302は、光ピックアップ301と共に、本発明に係る「記録手段」の一例を構成する。
アドレス検出部303は、信号記録再生手段302によって出力される、例えばプリフォーマットアドレス信号等を含む再生信号から光ディスク100におけるアドレス(アドレス情報)を検出する。また、アドレス検出部303は、例えばコントロールデータゾーンにプリ記録されたオフセット情報を検出可能であるように構成してもよい。
アドレス演算部304は、検出されたアドレスに対して、例えばアドレスオフセット値を加減算する等の演算を施す。
CPU(ドライブ制御手段)305は、バス309を介して、各種制御手段に指示を行うことで、情報記録再生装置300全体の制御を行う。特に、CPU305は、アドレス演算部304によって、演算が施されたアドレスに基づいて、各種記録エリアの配置を決定する。そして、決定された各種記録エリアに対して、各種記録情報を記録するように、信号記録再生手段302を制御する。また、CPU305が動作するためのソフトウェア又はファームウェアは、メモリ307に格納されている。特に、CPU305は、本発明に係る「制御手段」の一例を構成する。また、CPU305は,DSP(Digital Signal Processor)を介して、各種手段を制御するように構成してもよい。
スピンドルモータ306は光ディスク100を回転及び停止させるもので、光ディスクへのアクセス時に動作する。より詳細には、スピンドルモータ306は、図示しないサーボユニット等によりスピンドルサーボを受けつつ所定速度で光ディスク100を回転及び停止させるように構成されている。
メモリ307は、記録再生データのバッファ領域や、信号記録再生手段302で使用出来るデータに変換する時の中間バッファとして使用される領域など情報記録再生装置300におけるデータ処理全般及びOPC処理において使用される。また、メモリ307はこれらレコーダ機器としての動作を行うためのプログラム、即ちファームウェアが格納されるROM領域と、記録再生データの一時格納用バッファや、ファームウェアプログラム等の動作に必要な変数が格納されるRAM領域などから構成される。特に、
上述したオフセット量(ずれ量)や、該オフセット量(ずれ量)に基づいて計算されたアドレスオフセット値等のオフセット情報は、当該メモリ307に保存(記憶)されるように構成していてもよい。特に、メモリ307(402)は、本発明に係る「管理情報」を記憶する「記憶手段」の一例を構成する。
データ入出力制御手段308は、情報記録再生装置300に対する外部からのデータ入出力を制御し、メモリ307上のデータバッファへの格納及び取り出しを行う。情報記録再生装置300と、SCSIやATAPI等のインターフェースを介して接続されている外部のホストコンピュータ400(以下、適宜ホストと称す)から発行されるドライブ制御命令は、当該データ入出力制御手段308を介してCPU305に伝達される。また、記録再生データも同様にして、当該データ入出力制御手段308を介して、ホストコンピュータ400に対して送受信される。
ホストコンピュータ400における、CPU(ホスト制御手段)401、メモリ402、データ入出力制御手段406、及びバス407は、これらに対応される、情報記録再生装置300内の構成要素と、概ね同様である。
特に、操作制御手段403は、ホストコンピュータ400に対する動作指示受付と表示を行うもので、例えば記録又は再生といった操作ボタン404による指示をCPU401に伝える。CPU401は、操作制御手段403からの指示情報を元に、データ入出力手段406を介して、情報記録再生装置300に対して制御命令(コマンド)を送信し、情報記録再生装置300全体を制御するように構成してもよい。同様に、CPU401は、情報記録再生装置300に対して、動作状態をホストに送信するように要求するコマンドを送信することができる。これにより、記録中や再生中といった情報記録再生装置300の動作状態が把握できるためCPU401は、操作制御手段403を介して蛍光管やLCDなどの表示パネル405に情報記録再生装置300の動作状態を出力することができる。
以上説明した、情報記録再生装置300とホストコンピュータ400を組み合わせて使用する一具体例は、映像を記録再生するレコーダ機器等の家庭用機器である。このレコーダ機器は放送受信チューナや外部接続端子からの映像信号をディスクに記録し、テレビなど外部表示機器にディスクから再生した映像信号を出力する機器である。メモリ402に格納されたプログラムをCPU401で実行させることでレコーダ機器としての動作を行っている。また、別の具体例では、情報記録再生装置300はディスクドライブ(以下、適宜ドライブと称す)であり、ホストコンピュータ400はパーソナルコンピュータやワークステーションである。パーソナルコンピュータ等のホストコンピュータとドライブはSCSIやATAPIといったデータ入出力制御手段308(406)を介して接続されており、ホストコンピュータにインストールされているライティングソフトウェア等のアプリケーションが、ディスクドライブを制御する。
(2−2)動作原理
次に、図7に加えて、図8及び図9を適宜参照して、本発明の情報記録装置の実施例に係る情報記録再生装置における動作原理について説明する。ここに、図7は、本発明の情報記録装置の実施例に係る情報記録再生装置による記録動作を示したフローチャートである。
以下、動作手順に従って説明する。
図7に示されるように、先ず、光ディスクがローディング(挿入)されると、CPU305の制御下で、初期動作として、例えばコントロールデータゾーン等の管理情報記録エリアが、光ピックアップによってアクセスされる(ステップS101)。
次に、CPU305の制御下で、例えば記録済み状態、及び未記録状態の領域のアドレスを示した管理情報が読み取られる(ステップS102)。
次に、CPU305の制御下で、読み取られた管理情報が、メモリ307等の記憶手段によって記憶される(ステップS103)。
次に、CPU305の制御下で、L1層に情報を記録するに際して、レーザ光がL0層を透過する透過領域における未記録領域の大きさが、所定量より小さいか否かが、管理情報に基づいて、判定される(ステップS104)。ここに、本願発明に係る「所定量」とは、透過領域が全て一又は他の状態である場合における再生品質と概ね等価である再生品質を確保しつつ、透過領域において存在可能な他又は一の状態の領域の大きさである。この所定量は、再生品質の変化を示す変化量の許容値に基づいて決定することが可能である。この所定量は、例えば、実験的、経験的又は理論的若しくはシミュレーション等により求めることが可能であり、一般的にはL0層におけるレーザ照射径よりも充分小さい。
詳細には、20トラック程度の未記録状態が存在する透過領域12であれば、L1層に記録された情報の再生品質を、全て記録済み状態である透過領域12に対するL1層に記録された情報の再生品質と概ね等価にみなすことが可能である。言い換えると、例えば20トラックの未記録領域を含む透過領域12におけるアシンメトリ値は、全て記録済み状態の透過領域12におけるアシンメトリ値と比較して、2から3%程度の低下に抑制することが可能である。よって、例えば20トラックの未記録領域を含む透過領域12は、全て記録済み状態の透過領域12と概ね等価とみなすことが可能である。
ここで、図8から図10を参照して、本発明に係る「所定量」の一具体例について説明する。ここに、図8は、本発明の所定量と、L0層及びL1層との位置関係を図式的に示した模式図である。図9は、本発明の所定量と、再生HF振幅との関係を示した波形図である。図10は、本発明の所定量と、例えばアシンメトリ値等の再生品質との関係を示したグラフである。
図8、及び図9に示されるように、所定量は、透過領域11における未記録状態のトラック数をパラメータとして、L1層に記録された情報の例えば再生HF信号の振幅より得られるアシンメトリ値等の再生品質の遷移に基づいて決定される。即ち、図9(a)に示されるように、透過領域12が全て記録済み状態である場合、L1層に記録された情報の例えば再生HF信号の振幅は、最大である。他方、図9(f)に示されるように、透過領域12が全て未記録状態である場合、L1層に記録された情報の例えば再生HF信号の振幅は、最小である。そして、図9(b)から図9(e)において、未記録状態のトラック数をパラメータとして、再生HF信号の振幅は、最大から最小へと遷移していく。
加えて、図10に示されるように、未記録状態のトラック数をパラメータとして、L1層に記録された情報の例えばアシンメトリ値等の再生品質の遷移がプロットされている。
以上より、この実験結果に基づくと、20トラック程度の未記録状態が存在する透過領域11であれば、L1層に記録された情報の再生品質を、全て記録済み状態である透過領域11に対するL1層に記録された情報の再生品質と概ね等価にすることができると言える。
尚、所定量は、光ディスクの個体単位の記録特性、一の光ディスクの記録領域における記録特性のばらつき、及び、例えば光ピックアップの各種性能を含む情報記録装置に影響される光ディスクの記録特性に基づいて決定するようにしてもよい。再び、図7に戻る。
続いて、ステップS104の判定の結果、L1層の所定領域12に情報を記録するに際して、レーザ光がL0層を透過する透過領域11における未記録領域の大きさが、例えば20トラック等の所定量より小さい場合(ステップS104:Yes)、CPU305の制御下で、L1層の所定領域12に情報が記録される(ステップS105)。
次に、CPU305の制御下で、記録動作を継続するか否かが判定される(ステップS106)。ここで、記録動作を継続しない場合(ステップS106:No)、L1層等に記録された情報のアドレスが、メモリ上で管理情報に更新されると共に、更新された管理情報が光ディスクのコントロールデータゾーンCDZ等の管理情報記録エリアに記録される(ステップS107)。
次に、光ディスクがアンローディング(排出)される(ステップS108)。
他方、ステップS104の判定の結果、L1層の所定領域12に情報を記録するに際して、レーザ光がL0層を透過する透過領域11における未記録領域の大きさが、例えば20トラック等の所定量より小さくない、即ち大きい場合(ステップS104:No)、CPU305の制御下で、L1層における記録可能な領域へ移動するか否かが判定される(ステップS109)。ここで、L1層における記録可能な領域へ移動しない場合(ステップS109:No)、CPU305の制御下で、L0層の透過領域11において情報が記録される(ステップS110)。
次に、L0層等に記録された情報のアドレスが、メモリ上で管理情報に更新されると共に、更新された管理情報が光ディスクのコントロールデータゾーンCDZ等の管理情報記録エリアに記録される(ステップS111)。そして、再び、L0層の透過領域11における未記録領域の大きさは、所定量より小さいか否かが、管理情報に基づいて、判定される(ステップS104)。
他方、ステップS109の判定の結果、L1層における記録可能な領域へ移動する場合(ステップS109:Yes)、このL1層における記録可能な領域に移動し、情報が記録される(ステップS105)。
(3)本発明に係る情報記録装置の作用効果の一の検討
次に、図11に加えて前述した図8から図10を適宜参照して、本発明に係る情報記録装置の作用効果について一の検討を加える。ここに、図11は、比較例において、L0層に小なる未記録領域がある場合に、記録要件により2つの所定領域12a及び12bが形成された場合の記録領域を図式的に示した模式図(図11(a))、並びに、本発明に係る、再生品質の変化を示す変化量の許容値に従って決定された所定量に基づいて、記録要件により1つの所定領域が形成された場合の記録領域を図式的に示した模式図(図11(b))である。
本発明の情報記録装置に係る実施例によれば、制御手段の制御下で、L0層の透過領域における例えば未記録状態の領域の大きさと、再生品質の変化を示す変化量の許容値に従って決定された所定量との比較判定に基づいて記録が行われる。
仮に、このような所定量に基づいた記録が行われない場合、上述した記録要件を満たすための記録領域の無駄が大きくなってしまう可能性が生じ得る。より具体的には、図11(a)に示されるように、例えば実際の記録動作において、L0層において、小なる未記録領域が偏在する場合が起こり得る。この場合、比較例においては、記録要件を満たすためには、L0層の未記録領域を、レーザ光が透過しないように、L0層の未記録領域を挟んだ記録済み領域を透過したレーザ光によってのみ、L1層に対して記録が行われる。従って、L0層の未記録領域の内周側、及び外周側に位置される領域に対向されるL1層において、記録領域を、所定領域12aと、所定領域12bとに分割して記録しなければならない。このため、両者の間に記録することができない領域が生じてしまい、L1層の記録領域に無駄が生じてしまう。
これに対して、本発明の情報記録装置に係る実施例によれば、制御手段の制御下で、L0層の透過領域における例えば未記録状態の領域の大きさと、再生品質の変化を示す変化量の許容値に従って決定された所定量との比較判定に基づいて記録が行われる。
具体的には、本願発明者らの研究によれば、L0層の未記録領域の大きさがL0層に照射されるレーザ光の径よりも充分に小さく、再生品質の変化を示す変化量の許容値を満たす量であるならば、L0層の未記録領域を透過して記録することが可能であることが分かっている。より具体的には、例えば、前述した図8に示されるように、未記録領域の幅をパラメータとして、L1層に情報が記録された場合、この情報の再生HF波形は、図9に示された波形形状をしている。この再生HF波形より算出されたL1層のアシンメトリ値等の再生特性は、図10に示された値をとる。即ち、L0層において20トラック程度の半径幅を保持する未記録領域であれば、L1層に記録された情報の再生品質は、全て記録済みのL0層を透して記録された情報の再生品質と概ね等価とみなすことができると言える。従って、図11(b)に示されるように、例えば20トラック程度のL0層の小なる未記録領域を透過したレーザ光によっても、L1層に対して記録を行うことができる。この結果、例えばL1層における記録領域の無駄が最小限にされ、より効率的に記録領域が利用されることが可能となる。即ち、図11(b)の所定領域12に示されるように、L1層において、より広い領域において、連続して記録を行うことが可能となり、記録時間、及び記録領域の無駄を最小限にした、より効率的な記録領域の利用が可能となる。
(4)本発明に係る情報記録装置の作用効果の他の検討
次に、前述した図11を参照して、本発明に係る情報記録装置の作用効果について他の検討を、更に加える。
本発明の情報記録装置に係る実施例によれば、制御手段の制御下で、L0層の透過領域における例えば未記録状態の領域の大きさが、所定量より小さいか否かが判定される。
仮に、上述した判定がなされない場合、以下のような不具合が生じてしまう。即ち、L0層を透過したレーザ光によって、L1層に情報を記録する際に、レーザ光が透過するL0層の透過領域の大部分又は小部分が未記録状態である可能性がある。この場合、L1層に記録される情報の再生品質を均一にするために、L0層において、例えば記録済み状態の領域を必要な広さだけ確保できる場所を逐次、または初期動作として検索し、この記録済み状態の領域を透過領域として設定し、L1層に情報が記録される。従って、L0層において、不規則的に発生する記録済み状態又は未記録状態の領域に対応しなければならないため、記録要件を満たした記録領域の迅速且つ適切な確保が困難となってしまう。
或いは、この場合、記録済み状態のL0層の領域を透過したレーザ光によって、L1層に記録された情報の再生品質と、未記録状態のL0層の領域を透過したレーザ光によって、L1層に記録された情報の再生品質とを等しくするために、レーザ光の例えば記録パワーが相対的に変更される。従って、例えば記録パワーを頻繁に変更させる等何らかの複雑な記録制御処理が必要となるため、記録動作の所要時間が増大してしまう。加えて、例えば高速記録の際に、この複雑な記録制御処理が対応できず、L1層に記録された情報の再生品質が不均一になってしまう可能性がある。
これに対して、本発明の情報記録装置に係る実施例によれば、制御手段の制御下で、L0層の透過領域における例えば未記録状態等の他の状態の領域の大きさが、所定量より小さいか否かが判定される。従って、L0層における記録済み状態又は未記録状態の領域が不規則的に発生することの影響を殆ど又は完全に無くし、記録要件を適切に満たす領域をより効率的に確保することが可能となる。加えて、再生品質の変化を示す変化量の許容値に従って決定された所定量を含むL0層の領域を透過したレーザ光による記録動作、即ち、所定量に基づいた記録動作によって、記録可能なL1層の領域をより効率的に確保することが可能となる。
その結果、記録要件を適切に満たすための記録動作、及び、所定量に基づいた記録動作において、L0層、及びL1層における記録領域の無駄が最小限にされ、より効率的に記録領域が利用されることが可能となる。更に、例えば記録パワーを頻繁に変更させる等の複雑な記録制御処理を極力、省略できるので、記録動作の所要時間を短縮化することが可能となる。加えて、例えば高速記録の際に、この複雑な記録制御処理等が必要とならないため、L1層に記録された情報の再生品質を殆ど又は完全に均一にすることが可能性である。
特にこのことは、L0層及びL1層において対向される2つの記録領域において、一定の長さ毎で交互に記録を行うような記録方式においてより効果的である。具体的には、前述した図11(b)に示されるように、L0層の小なる未記録領域を透過してL1層に記録する際に所定領域12aと所定領域12bの間の記録領域の無駄が最小限にされ、より効率的に記録領域が利用されることが可能となる。
上述した実施例では、情報記録装置の一具体例として、例えば、DVD−Rレコーダー又はDVD+Rレコーダー等の追記用の情報記録再生装置について説明したが、本発明は、例えば、DVD−RWレコーダー又はDVD+RWレコーダー等の書き換え用の情報記録再生装置に適用可能である。更に、ブルーレーザーを記録再生に用いる大容量記録用の情報記録再生装置にも適用可能である。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う情報記録装置及び方法、並びにコンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明に係る情報記録装置及び方法、並びに記録制御用のコンピュータプログラムは、例えば、DVD等の多層型光ディスクに利用可能であり、更にDVDレコーダ等の情報記録装置に利用可能である。また、例えば民生用或いは業務用の各種コンピュータ機器に搭載される又は各種コンピュータ機器に接続可能な情報記録装置等にも利用可能である。

Claims (13)

  1. 情報を記録可能な第1記録層、及び前記情報を記録可能な第2記録層を少なくとも備える情報記録媒体に対して、前記第1記録層の透過領域を透過したレーザ光によって、少なくとも前記第2記録層の所定領域に前記情報を記録する情報記録装置であって、
    前記第1記録層又は前記第2記録層に前記情報を記録する記録手段と、
    前記透過領域における未記録状態の領域の半径方向の大きさを示す未記録量が、所定量より小さいか否かを判定する判定手段と、
    前記未記録量が、前記所定量より小さいと判定された場合、前記所定領域に、前記情報を記録するように、前記記録手段を制御し、前記未記録量が、前記所定量より小さくないと判定された場合、前記透過領域における未記録状態の領域に、前記情報を記録するように、前記記録手段を制御する前記制御手段と
    を備え、
    前記所定量は、前記第1記録層の記録済み領域を透過して記録された前記第2記録層の第1記録領域の再生品質と、前記第1記録層の未記録領域を透過して記録された前記第2記録層の第2記録領域の再生品質とを概ね等価とするように予め決定されていることを特徴とする情報記録装置。
  2. 前記所定量は、前記第1記録層におけるレーザ照射径よりも充分に小さい量であることを特徴とする請求項1に記載の情報記録装置。
  3. 前記情報記録媒体は、少なくとも前記第1記録層における領域毎の記録状態を管理する管理情報を記録可能な管理情報記録エリアを有し、
    前記管理情報記録エリアに記録された前記管理情報を取得する取得手段を更に備え、
    前記判定手段は、前記取得された管理情報に基づいて、前記未記録量を算出し、前記未記録量が、前記所定量より小さいか否かを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報記録装置。
  4. 前記管理情報を記憶する記憶手段と、
    前記記憶された管理情報を更新する更新手段と、
    前記更新された管理情報を前記管理情報記録エリアに記録する他の記録手段と
    を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の情報記録装置。
  5. 前記所定量は、前記第1又は第2記録層における半径位置をパラメータとしたデータ量によって示されることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載の情報記録装置。
  6. 前記所定量は、前記情報記録媒体の個体単位の光学特性、及び記録特性、一の前記情報記録媒体の記録領域における光学特性、及び記録特性のばらつき、並びに、当該情報記録装置の各種性能に影響される前記情報記録媒体の光学特性、及び記録特性のうちの少なくとも一つに基づいて決定可能であることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか一項に記載の情報記録装置。
  7. 前記記録手段又は前記制御手段は、光ピックアップを含み、
    当該情報記録装置の各種性能に影響される前記情報記録媒体の光学特性、及び記録特性は、(i)前記光ピックアップに有される対物レンズの開口率、(ii)前記第1記録層と第2記録層との間に存在する中間層の屈折率、並びに、(iii)レーザ光が前記第2記録層に合焦点した場合の、前記第1記録層におけるレーザ照射径に基づいて決定されることを特徴とする請求項6に記載の情報記録装置。
  8. 前記情報記録媒体における前記第1記録層では、前記情報を記録するために、螺旋状、又は同心円状の第1トラックが形成され、前記第2記録層では、前記情報を記録するために、前記第1トラックと回転中心を共有する螺旋状、又は同心円状の第2トラックが形成されており、
    前記制御手段は、更に、前記透過領域の半径位置に所定のマージンを含めて、前記所定領域の半径位置を設定しつつ、前記情報を記録するように、前記記録手段を制御することを特徴とする請求項1から7のうちいずれか一項に記載の情報記録装置。
  9. 前記所定のマージンの大きさを示すマージン量は、(i)前記第1記録層、及び前記第2記録層が夫々保持する寸法誤差、(ii)前記第1記録層と前記第2記録層との貼り合わせ誤差に基づいて生じる偏芯量、並びに(iii)前記第2記録層に対して前記レーザ光が焦点を結ぶように照射される際に、前記焦点の半径位置を示した第2照射位置と、前記レーザ光が焦点を結ばないように照射される前記透過領域の端部の半径位置を示した第1照射位置との差を示した照射位置誤差のうち少なくとも一つに基づいて決定されることを特徴とする請求項8に記載の情報記録装置。
  10. 前記再生品質は、アシンメトリ値、ジッタ値、及び再生エラーレートのうち少なくとも1つによって示されることを特徴とする請求項1から9のうちいずれか一項に記載の情報記録装置。
  11. 前記所定量は、20トラックであることを特徴とする請求項1から10のうちいずれか一項に記載の情報記録装置。
  12. 情報を記録可能な第1記録層、及び前記情報を記録可能な第2記録層を少なくとも備える情報記録媒体に対して、前記第1記録層の透過領域を透過したレーザ光によって、少なくとも前記第2記録層の所定領域に前記情報を記録する情報記録装置における情報記録方法であって、
    前記第1記録層又は前記第2記録層に前記情報を記録する記録工程と、
    前記透過領域における未記録状態の領域の半径方向の大きさを示す未記録量が、所定量より小さいか否かを判定する判定工程と、
    前記未記録量が、前記所定量より小さいと判定された場合、前記所定領域に、前記情報を記録するように、前記記録工程を制御し、前記未記録量が、前記所定量より小さくないと判定された場合、前記透過領域における未記録状態の領域に、前記情報を記録するように、前記記録手段を制御する前記制御工程と
    を備え、
    前記所定量は、前記第1記録層の記録済み領域を透過して記録された前記第2記録層の第1記録領域の再生品質と、前記第1記録層の未記録領域を透過して記録された前記第2記録層の第2記録領域の再生品質とを概ね等価とするように予め決定されていることを特徴とする情報記録方法。
  13. 請求項1に記載の情報記録装置に備えられたコンピュータを制御する記録制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記記録手段、前記判定手段、及び、前記制御手段のうち少なくとも一部として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
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