本発明は、例えばDVD、CD(Compact Disc)等の情報記録媒体、そのような情報記録媒体に情報を記録するためのDVDレコーダ等の情報記録装置及び方法、並びに、記録制御用のコンピュータプログラムの技術分野に関する。
例えば、CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)、CD−R(Compact Disc−Recordable)、DVD−ROM、DVD−R、DVD−RW、及び、DVD+R等の情報記録媒体では、特許文献1、2等に記載されているように、同一基板上に複数の記録層が積層、または貼り合わされてなる多層型若しくはデュアルレイヤ型の光ディスク等の情報記録媒体も開発されている。そして、このようなデュアルレイヤ型、即ち、2層型の光ディスクに記録を行う、DVDレコーダ等の情報記録装置では、レーザ光の照射側から見て最も手前側(即ち、光ピックアップに近い側)に位置する記録層(本願では適宜「L0層」と称する)に対して記録用のレーザ光を集光することで、L0層に対して情報を加熱などによる非可逆変化記録方式や書換え可能方式で記録し、L0層等を介して、レーザ光の照射側から見てL0層の奥側(即ち、光ピックアップから遠い側)に位置する記録層(本願では適宜「L1層」と称する)に対して該レーザ光を集光することで、L1層に対して情報を加熱などによる非可逆変化記録方式や書換え可能方式で記録することになる。
特開2000−311346号公報
特開2001−23237号公報
特開2001−329330号公報
特開2001−329331号公報
このような2層型の光ディスクにおいては、L1層に記録データ(記録情報)を記録する場合には、L0層を介してレーザ光を照射することになる。この場合、レーザ光を介するL0層には記録データが記録されていることもあるし、或いは記録データが記録されていないことがある。このようにL0層の記録状態は必ずしも統一されておらず、それによってL1層に照射されるレーザ光の状態が変化してしまう。このため、先に、L0層を記録済み状態にすることによって、L1層に適切に記録データを記録するという方法も本願発明者等により考えられている。
しかしながら、DVD−ROMや、DVD−R/RW等の2層型の光ディスクの製造工程においては、解けたポリカーボネート樹脂を、スタンパディスク(以下「スタンパ」と称す)を使って成型することによってL0層とL1層とが別々に形成され、最後にこれらL0層とL1層との基板が貼り合わせられる。よって、L0層及びL1層において、貼り合わせ誤差による位置ずれが生じてしまう可能性がある。或いは、L0層とL1層とが別々のスタンパによって形成されているため、夫々の記録層におけるトラックピッチに偏差が生じてしまう可能性がある。更に、或いは、L0層及びL1層におけるプリフォーマットアドレスとしてLPP(Land Pre Pit)をレーザカッティング等の手法によって夫々作成する場合、L0層及びL1層のLPPの開始位置の違いによって生じるアドレスのずれが生じてしまう可能性がある。これらの原因によって、L0層の一の記録領域に、例えばプリフォーマットアドレス等の位置情報によって対応されるL1層の他の記録領域の位置にズレが生じてしまい、レーザ光が、L0層の記録済み状態である一の記録領域を介して、L1層の他の記録領域に必ず照射されるとは限らないという技術的な問題点を有している。
そこで、製造工程において、例えば、L0層の記録領域の最外周位置と、この最外周位置に対応されるL1層の記録領域の最外周位置との半径位置における差を示すオフセット量(ずれ量)を許容範囲内に収める試みがなされている。しかしながら、このオフセット量(ずれ量)を許容範囲内に収めるために、製造工程における位置精度をより高めるのは技術的に困難であるという問題点を有している。
仮に、オフセット量(ずれ量)の許容範囲を大きくした場合、DVDレコーダー等の情報記録装置は、オフセット量(ずれ量)の大小に関係なく、記録情報が記録済み状態のL0層を介して照射されるレーザ光LBによりL1層に記録情報を記録する必要がある。このため、L1層に記録可能な記録領域が制限されてしまい、この制限された記録領域に相当する記録容量だけ無駄にしてしまうという技術的な問題点も有している。特に、内周側に配置されるRMA(Recording Management Area)の記録領域が制限されるのは光ディスクの記録管理を妨げてしまうという技術的な問題点も有している。
本発明は、例えば上述した従来の問題点に鑑みなされたものであり、例えば複数の記録層を有する情報記録媒体であっても、適切に情報の記録を行うことを可能とならしめる情報記録媒体、情報記録装置及び方法、並びにコンピュータをこのような情報記録装置として機能させるコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
本発明の請求項1に記載の情報記録媒体は上記課題を解決するために、少なくとも記録情報を記録するための第1記録トラックが形成されたディスク状の第1記録層(L0層)と、該第1記録層を介して、前記記録情報を記録するための第2記録トラックが形成されたディスク状の第2記録層(L1層)とを少なくとも備えており、前記第1記録層及び前記第2記録層のうち少なくとも一方は、前記第1及び第2記録層間又は前記第1及び第2記録トラック間の半径方向の相対的なずれによって生じる、前記第1記録層の記録領域の第1所定位置(例えば最外周位置)と、該第1所定位置に対応される前記第2記録層の記録領域の第2所定位置(例えば最外周位置)との差を示すオフセット量(例えばずれ量:規格値30から130マイクロメートル)に関するオフセット情報が記録される管理エリアを備える。
本発明の請求項11に記載の情報記録装置は上記課題を解決するために、請求項1から10のいずれか一項に記載の情報記録媒体に対して、前記記録情報を記録するための情報記録装置であって、前記記録情報を前記第1記録層及び前記第2記録層に書込可能な書込手段と、前記オフセット情報を取得する取得手段と、前記取得されたオフセット情報に基づいて、前記第2記録層において、前記記録情報を記録可能な開始位置の開始アドレス及び終了位置の終了アドレスを算出する算出手段と、前記記録情報を、(i)前記第1記録層に、前記第1記録トラックに沿って書き込み、(ii)前記第2記録層に、前記算出された開始アドレスから前記算出された終了アドレスまで前記第2記録トラックに沿って書き込むように、前記書込手段を制御する制御手段とを備える。
本発明の請求項15に記載の情報記録装置は上記課題を解決するために、請求項1から10のいずれか一項に記載の情報記録媒体に対して、前記記録情報を記録するための情報記録装置であって、前記記録情報を前記第1記録層及び前記第2記録層に書込可能な書込手段と、前記オフセット量を検出する検出手段と、前記検出されたオフセット量に関するオフセット情報を、前記管理エリアに、前記第1又は第2記録トラックに沿って書き込むように、前記書込手段を制御する制御手段とを備える。
本発明の請求項20に記載の情報記録方法は上記課題を解決するために、請求項1から10のいずれか一項に記載の情報記録媒体に対して、前記記録情報を前記第1記録層及び前記第2記録層に書込可能な書込手段を備えた情報記録装置における情報記録方法であって、前記オフセット情報を取得する取得工程と、前記取得されたオフセット情報に基づいて、前記第2記録層において、前記記録情報を記録可能な開始位置の開始アドレス及び終了位置の終了アドレスを算出する算出工程と、前記記録情報を、(i)前記第1記録層に、前記第1記録トラックに沿って書き込み、(ii)前記第2記録層に、前記算出された開始アドレスから前記算出された終了アドレスまで前記第2記録トラックに沿って書き込むように、前記書込手段を制御する制御工程とを備える。
本発明の請求項21に記載の情報記録方法は上記課題を解決するために、請求項1から10のいずれか一項に記載の情報記録媒体に対して、前記記録情報を前記第1記録層及び前記第2記録層に書込可能な書込手段を備えた情報記録装置における情報記録方法であって、前記オフセット量を検出する検出工程と、前記検出されたオフセット量に関するオフセット情報を、前記管理エリアに、前記第1又は第2記録トラックに沿って書き込むように、前記書込手段を制御する制御工程とを備える。
本発明の請求項22に記載のコンピュータプログラムは上記課題を解決するために、請求項11に記載の情報記録装置に備えられたコンピュータを制御する記録制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記書込手段、前記取得手段、前記算出手段、及び、前記制御手段のうち少なくとも一部として機能させる。
本発明の請求項23に記載のコンピュータプログラムは上記課題を解決するために、請求項15に記載の情報記録装置に備えられたコンピュータを制御する記録制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記書込手段、前記検出手段、及び、前記制御手段のうち少なくとも一部として機能させる。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされよう。
(情報記録媒体に係る実施形態)
以下、本発明の実施形態に係る情報記録媒体について説明する。
本発明の情報記録媒体に係る実施形態は、少なくとも記録情報を記録するための第1記録トラックが形成されたディスク状の第1記録層(L0層)と、該第1記録層を介して、前記記録情報を記録するための第2記録トラックが形成されたディスク状の第2記録層(L1層)とを少なくとも備えており、前記第1記録層及び前記第2記録層のうち少なくとも一方は、前記第1及び第2記録層間又は前記第1及び第2記録トラック間の半径方向の相対的なずれによって生じる、前記第1記録層の記録領域の第1所定位置(例えば最外周位置)と、該第1所定位置に対応される前記第2記録層の記録領域の第2所定位置(例えば最外周位置)との差を示すオフセット量(例えばずれ量:規格値30から130μm)に関するオフセット情報が記録される管理エリアを備える。
本発明の情報記録媒体に係る実施形態によれば、この情報記録媒体は、例えば、ディスク状の基板の一方の面上に、少なくとも第1及び第2記録層が積層された二層型或いは多層型のDVD或いは光ディスク等である。第1記録層には、例えばグルーブ(案内溝)から構成された第1記録トラックに沿って、例えば音声、映像情報或いはコンテンツ情報等の記録情報が記録可能とされている。第2記録層には、例えばグルーブ(案内溝)から構成された第2記録トラックに沿って、例えば音声、映像情報或いはコンテンツ情報等の記録情報が記録可能とされている。このように構成されているので、記録又は再生用レーザ光は、基板、第1記録層及び第2記録層の順番に照射される。
より具体的には、特に、第1記録トラックは、前述した基板の内周側及び外周側のうち一方側から他方側へと向かい、第2記録トラックも、第1記録トラックと同様に、一方側から他方側へと向かうように構成してもよい。即ち、当該二層型或いは多層型の情報記録媒体では、記録トラックが二つの記録層の間で同一方向を向いている「パラレル方式」による連続記録が可能とされる。このパラレル方式では、第1記録層における記録又は再生が終了されると、第2記録層における記録又は再生が開始される時に、例えば、光ディスクの最外周にある光ピックアップが再度、最内周へ向かって移動する必要があるため、後述されるオポジット方式と比較して、第1記録層から第2記録層への切り換え時間がその分だけ掛かってしまう。或いは、また、第1記録トラックは、例えば、ディスク状の基板の内周側及び外周側のうち一方側から他方側へと向かい、これとは逆に、第2記録トラックは、他方側から一方側へと向かうように構成してもよい。即ち、当該二層型或いは多層型の情報記録媒体では、記録トラックが二つの記録層の間で逆方向を向いているオポジット方式による連続記録が可能とされる。従って、第1記録層の終了端、即ち、外周側端部等の他方側端部に続いて第2記録層の開始端、即ち、外周側端部等の他方側端部へと、記録を連続的に行うようにすれば、情報に係る記録処理或いは再生処理の対象としての記録層を切り換える際に、基板面内におけるレーザ光の照射位置を半径方向に殆ど又は全く変えないで済むので、迅速な層間ジャンプ(即ち、層間切替動作)が可能となる。これは、例えば映画などの連続した記録情報を記録する際に、記録層の切り換えのために特別なバッファ機能を必要とすることなく、途切れのない再生を行うことが容易となるという意味で、実践上大変便利である。
特に、本発明の情報記録媒体に係る実施形態によれば、第1記録層及び第2記録層のうち少なくとも一方において、オフセット情報が、例えば、レーザ光によってプリ記録される管理エリアを備える。ここに、「オフセット情報」とは、第1及び第2記録層間の又は第1及び第2記録トラック間の半径方向の相対的なずれによって生じる、第1所定位置と、該第1所定位置に対応される第2所定位置との、例えば半径位置における差を示すオフセット量(ずれ量)に関する情報である。尚、本実施形態に係る「対応」とは、一の位置から他の位置を一義的に特定することが可能である関係を意味する。例えば、一の位置のセクタ番号と、他の位置のセクタ番号とが補数の関係にある場合、一の位置と、他の位置とは対応していると言える。また、第1所定位置は、例えば、第1記録層の記録領域の最外周位置であってもよい。他方、第2所定位置は、例えば、第2記録層の記録領域の最外周位置であってもよい。また、このオフセット情報は、アドレスの所定単位であるセクタ数やECCブロック数で示されてもよいし、光ディスクの半径方向の長さ(μm)として示され、例えば、アドレスオフセット値として、セクタ数やECCブロック数に所定線形(1次)関数又は所定ステップ関数等によって、変換可能としてもよい。
以上より、本実施形態によれば、例えば、情報記録媒体の製造メーカーが、例えば、2層型光ディスクの層間の相対的位置の誤差、即ち、オフセット量(ずれ量)に関するオフセット情報を、情報記録媒体の管理エリアにプリ記録する。
この結果、製造工程において生じる相対的なずれに起因するオフセット量(ずれ量)の許容範囲を広げることが可能となる。よって、製造工程において位置精度が低くなることを許容することができる。
他方、後述される情報記録装置によって、このオフセット情報が取得又は検出され、参照されることで、このオフセット情報に基づいて、第1及び第2記録層において、適切な記録動作が行われることが可能となる。より具体的には、オフセット量(ずれ量)に影響されることなく、記録情報が記録済み状態の第1記録層を介して照射されるレーザ光により第2記録層に記録情報を記録することができる。
また、情報記録装置は、例えば、2層型光ディスク等の情報記録媒体の1枚1枚において固有なオフセット量(ずれ量)に関するオフセット情報を把握できる。よって、情報記録媒体の層間の相対的なずれ(言い換えると、個体夫々が有する個体差としての層間の相対的なずれ)に依存することなく、第2記録層等の記録領域をより有効に使用することが可能となる。
本発明の情報記録媒体に係る実施形態の一の態様では、前記管理エリアには、前記オフセット情報として、前記オフセット量が、前記第1記録層の前記第1所定位置と、該第1所定位置に対応される前記第2記録層の前記第2所定位置との半径位置における差で示された情報が記録される。
この態様によれば、管理エリアには、相対的なずれに基づいて、オフセット情報として、オフセット量が、例えば、μm等の長さとして記録される。
この場合、アドレスオフセット値への変換処理を省略することができるので、製造工程をより簡便にすることが可能となる。
本発明の情報記録媒体に係る実施形態の他の態様では、前記管理エリアには、前記オフセット情報として、前記オフセット量が、前記第1記録層の前記第1所定位置に対応される前記第2記録層の前記第2所定位置のアドレスと、前記第1所定位置の直上に位置する前記第2記録層の第3所定位置のアドレスとの差で示された情報が記録される。
この態様によれば、管理エリアには、相対的なずれに基づいて、オフセット情報として、オフセット量が、例えば、セクタ番号又はECCブロック数として記録される。詳細には、この態様に係る相対的なずれとは、第1記録層及び第2記録層におけるプリフォーマットアドレスとしてLPP(Land Pre Pit)をレーザカッティング等の手法によって夫々作成する場合、L0層及びL1層のLPPの開始位置の違いによって生じるアドレスのずれを含むようにしてもよい。
この場合、後述される情報記録装置において、アドレスオフセット値への変換処理が不要となるので、このオフセット情報に基づいて、第2記録層におけるより迅速な記録動作を実現することが可能となる。
本発明の情報記録媒体に係る実施形態の他の態様では、前記管理エリアには、前記オフセット情報として、前記オフセット量が、所定線形(1次)関数(y=87x-29等)によって変換されたアドレスオフセット値で示された情報が記録される。
この態様によれば、例えば、情報記録媒体の製造メーカーによって、オフセット量が、高精度に測定される。このオフセット量が、例えば「y=87x−29」等の所定線形(1次)関数によって、アドレスオフセット値へ変換される。この変換されたアドレスオフセット値が、前記管理エリアに記録され、後述される情報記録装置によって取得される。情報記録装置は、この取得したアドレスオフセット値に基づいてより的確且つ迅速に記録動作を行なうことが可能となる。尚、この変換は、情報記録装置によって行われるように構成してもよい。
本発明の情報記録媒体に係る実施形態の他の態様では、前記管理エリアには、前記オフセット情報として、前記オフセット量が、所定ステップ関数(Range#1から#3等)によって変換されたアドレスオフセット値で示された情報が記録される。
この態様によれば、例えば、情報記録媒体の製造メーカーが、情報記録媒体に、オフセット量(ずれ量)に関するオフセット情報を記録する際の、オフセット量(ずれ量)の検出の精度に対して、ある程度の許容範囲を与えることが可能となる。
本発明の情報記録媒体に係る実施形態の他の態様では、前記管理エリアには、前記オフセット情報として、前記オフセット量が、前記第1記録層の偏芯、前記第2記録層の偏芯、及び、前記第1記録層と前記第2記録層との貼り合わせ誤差によって生じる相対的ずれ量の最小値、最大値、及び平均値のうち少なくとも一つで示された情報が記録される。
この態様によれば、管理エリアには、オフセット量が、相対的ずれ量の最小値、最大値、及び平均値のうち少なくとも一つで示された情報が記録される。ここに、相対的ずれ量とは、第1記録層の製造時に生じる偏芯、第2記録層の製造時に生じる偏芯、及び、第1記録層と第2記録層とを貼り合わせる工程において生じる誤差である。より具体的には、貼り合わせ構造をもつ2層型光ディスクの製造時における、貼りあわせ装置の精度により、第1記録層と第2記録層が少しずれて貼りあわされることによって生じる。
この結果、後述される情報記録装置によって、例えば、相対的ずれ量の最大値で示されたオフセット量に基づいて、オフセット情報が取得され、参照される。従って、このオフセット情報に基づいて、第2記録層において、適切な記録動作が行われることが可能となる。
本発明の情報記録媒体に係る実施形態の他の態様では、前記相対的なずれは、前記第1記録トラックにおける第1トラックピッチと、前記第2記録トラックにおける第2トラックピッチとの誤差に起因し、前記管理エリアには、前記オフセット情報として、前記オフセット量が、前記第1記録層の前記第1所定位置と異なる第4所定位置と、該第4所定位置に対応される前記第2記録層の第5所定位置との差で示された情報が更に記録される。
この態様によれば、管理エリアには、相対的なずれに基づいて、オフセット情報が記録される。ここに、この態様に係る相対的なずれとは、例えば、2層型情報記録媒体の第1記録トラックにおける第1トラックピッチと、第2記録トラックにおける第2トラックピッチとの誤差に起因する。尚、オフセット量を求める際、第1所定位置は、最内周位置及び最外周位置のうちいずれか一方であることが望ましく、第3所定位置は、最内周位置及び最外周位置のうちいずれか他方であることが望ましい。
このように、第1及び第2記録層において、少なくとも2組の所定位置において、オフセット量が求められる。
この結果、このオフセット量に基づいての後述される情報記録装置によって、より的確な記録動作を実現することが可能となる。
本発明の情報記録媒体に係る実施形態の他の態様では、前記相対的なずれは、前記第1記録層(L0層)の直径と、前記第2記録層(L1層)の直径との誤差に起因し、
前記管理エリアには、前記オフセット情報として、前記オフセット量が、前記第1記録層の前記第1所定位置と異なる第4所定位置と、該第4所定位置に対応される前記第2記録層の第5所定位置との差で示された情報が更に記録される。
この態様によれば、管理エリアには、相対的なずれに基づいて、オフセット情報が記録される。ここに、この態様に係る相対的なずれとは、例えば、第1記録層と第2記録層との中心を同じにした場合の直径誤差である。より詳細には、異なった射出成型器内の金型の大きさの誤差に起因するように構成してもよい。
この結果、後述される情報記録装置によって、この態様に係る相対的なずれに起因する、オフセット情報が取得され、参照される。従って、このオフセット情報に基づいて、第2記録層において、適切な記録動作が行われることが可能となる。
本発明の情報記録媒体に係る実施形態の他の態様では、前記第1所定位置は、前記第1記録層のデータ記録領域の最外周位置であり、前記第2所定位置は、前記第2記録層のデータ記録領域の最外周位置である。
この態様によれば、例えば、オポジット方式における第1記録層の記録領域の最外周位置と、この最外周位置に対応される第2記録層の記録領域の最外周位置とのオフセット量が、例えば、製造メーカー等によって、より的確に測定されることが可能となる。
本発明の情報記録媒体に係る実施形態の他の態様では、前記第2記録トラックは、前記第1記録トラックと反対の記録方向である。
この態様によれば、第1記録層における一の位置のセクタ番号と、第2記録層における他の位置のセクタ番号とが補数の関係にあるので、後述される情報記録装置によって、より的確且つ迅速に、記録動作が行われることが可能となる。特に、第2記録層の記録終了位置を制御することが可能となる。
(情報記録装置に係る実施形態)
以下、本発明の第1及び第2実施形態に係る情報記録装置について説明する。
本発明の情報記録装置に係る第1実施形態は、請求項1から10のいずれか一項に記載の情報記録媒体に対して、前記記録情報を記録するための情報記録装置であって、前記記録情報を前記第1記録層及び前記第2記録層に書込可能な書込手段と、前記オフセット情報を取得する取得手段と、前記取得されたオフセット情報に基づいて、前記第2記録層において、前記記録情報を記録可能な開始位置の開始アドレス及び終了位置の終了アドレスを算出する算出手段と、前記記録情報を、(i)前記第1記録層に、前記第1記録トラックに沿って書き込み、(ii)前記第2記録層に、前記算出された開始アドレスから前記算出された終了アドレスまで前記第2記録トラックに沿って書き込むように、前記書込手段を制御する制御手段とを備える。
本発明の情報記録装置に係る第1実施形態によれば、例えば、ドライブ又はホストコンピュータのCPU(Central Processing Unit)等の制御手段の制御下で、光ピックアップ等の書込手段は、記録情報のうち少なくとも一部を第1記録トラックに沿って第1記録層に書き込む。
と同時に又は相前後して、算出手段は、取得手段によって取得されているオフセット情報に基づいて、記録情報のうち少なくとも他部を第2記録トラックに沿って書き込む際の、第2記録層における記録可能な開始位置の開始アドレスを算出する。
次に、制御手段の制御下で、書込手段は、算出された開始アドレスから、記録情報のうち少なくとも他部を第2記録トラックに沿って書き込む。
特に、本発明の情報記録装置に係る第1実施形態によれば、オフセット情報に基づいて、第1及び第2記録層において、適切な記録動作が行われることが可能となる。即ち、オフセット量(ずれ量)に影響されることなく、記録情報が記録済み状態の第1記録層を介して照射されるレーザ光により第2記録層に記録情報を適切に記録することができる。具体的には、情報記録装置によって、例えば、第1記録層及び第2記録層に交互に記録情報の記録が行われる場合、先ず、第1記録層において記録情報が記録される。次に、この第1記録層において記録情報が記録された記録領域に対応する第2記録層の記録情報が記録される記録領域の最外周位置、又は、第2記録層の記録情報が記録された記録領域の最内周位置の付近において、記録情報が記録される。この際に、記録用のレーザ光が、2層型光ディスクの層間の相対的なずれに起因される位置の誤差、即ち、オフセット量(ずれ量)に影響されることなく、例えば、所定マージンを確保しつつ記録済み状態の第1記録層を透過するように、記録動作が制御されることが可能である。
よって、記録済み状態の第1記録層を介して第2記録層に記録情報を記録する場合における最適な記録レーザパワーによって、第2記録層の記録領域の最内周位置又は最外周位置の付近を含む全ての記録領域において、適切な記録を行うことが可能となる。
その結果、第2記録層の全ての記録領域において記録された記録情報を再生する場合にも、再生特性(例えば、アシンメトリ値、ジッタ値、変調度や再生エラーレート等)を安定させ、良好な再生特性を得ることが可能である。
加えて、第2記録層における記録動作において、記録レーザパワーが切り換えられる必要もなく、2層型光ディスクの1枚1枚において固有なオフセット量(ずれ量)に基づいて決定されたアドレスオフセット値を加減したアドレス体系下で記録情報を記録していけばよいため、記録動作自体も簡略化されるという利点も有する。
更に加えて、本実施形態によれば、例えば、2層型光ディスク等の情報記録媒体の1枚1枚において固有なオフセット量(ずれ量)に関するオフセット情報を把握できる。よって、情報記録媒体の属性に依存することなく、第2記録層等の記録領域をより有効に使用することが可能となる。特に、例えば第2記録層の内周側に配置されるRMA(Recording Management Area)等の記録領域の配置が制限されることもなくなるという利点も有する。
本発明の情報記録装置に係る第1実施形態の一態様では、前記情報記録媒体は、前記第1記録層及び前記第2記録層の少なくとも一方において、記録用レーザ光の最適記録パワーを求めるために、前記記録情報の少なくとも一部である試し書き用データを記録可能な較正用エリア(例えばPCA:Power Calibration Area)と、前記試し書き用データが記録された位置を示すポインタ情報を記録可能な記録管理エリア(例えばRMA:Recording Management Area)とを更に備えており、前記算出手段は、前記第2記録層に加えて前記第1記録層において、前記取得されたオフセット量に基づいて、前記開始アドレス及び前記終了アドレスとして、第1開始アドレス及び第1終了アドレスを算出し、前記制御手段は、前記試し書き用データが記録された場合、前記ポインタ情報を、前記第1開始アドレスから前記第1終了アドレスまで前記第1又は第2記録トラックに沿って書き込むように、前記書込手段を制御する。
この態様によれば、取得されたオフセット量に基づくことで、例えば第2記録層の内周側に配置されるRMA(Recording Management Area)等の記録領域の配置が制限されることもなくなるという利点も有する。
本発明の情報記録装置に係る第1実施形態の他の態様では、前記算出手段は、前記取得されたオフセット情報を変換する変換手段を有し、前記変換手段は、前記取得されたオフセット情報を、所定線形(例えば1次)関数によってアドレスオフセット値に変換し、前記算出手段は、前記アドレスオフセット値に基づいて前記開始アドレス及び前記終了アドレスを算出する。
この態様によれば、変換手段の制御下で、例えば、情報記録媒体の製造メーカーによって、高精度に測定されたオフセット量が、例えば「y=87x−29」等の所定線形(1次)関数によって、アドレスオフセット値へ高精度を維持したまま変換することが可能となる。
情報記録装置は、この変換したアドレスオフセット値に基づいてより的確且つ迅速に記録動作を行なうことが可能となる。
本発明の情報記録装置に係る第1実施形態の他の態様では、前記算出手段は、前記取得されたオフセット情報を変換する変換手段を有し、前記変換手段は、前記取得されたオフセット情報を、所定ステップ関数(例えばRange#1から#3等)によってアドレスオフセット値に変換し、前記算出手段は、前記アドレスオフセット値に基づいて前記開始アドレス及び前記終了アドレスを算出する。
この態様によれば、変換手段によって行われる、オフセット量(ずれ量)からアドレスオフセット値への変換処理をより簡便にすることが可能となる。
情報記録装置は、この変換したアドレスオフセット値に基づいてより的確且つ迅速に記録動作を行なうことが可能となる。
本発明の情報記録装置に係る第2実施形態は、請求項1から10のいずれか一項に記載の情報記録媒体に対して、前記記録情報を記録するための情報記録装置であって、前記記録情報を前記第1記録層及び前記第2記録層に書込可能な書込手段と、前記オフセット量を検出する検出手段と、前記検出されたオフセット量に関するオフセット情報を、前記管理エリアに、前記第1又は第2記録トラックに沿って書き込むように、前記書込手段を制御する制御手段とを備える。
本発明の情報記録装置に係る第2実施形態によれば、先ず、例えばCPU等の制御手段の制御下で、光ピックアップ等の検出手段は、オフセット量を検出する。
次に、例えばCPU等の制御手段の制御下で、記録情報を第1及び第2記録層に書き込む光ピックアップ等の書込手段は、検出されたオフセット量に関する情報を、第1記録層及び第2記録層のうち少なくとも一方における、管理エリアに、第1又は第2記録トラックに沿って書き込む。
従って、例えば、2層型の情報記録媒体に固有のオフセット量が、各情報記録媒体の管理エリアに記録されていることで、情報記録装置によって、この記録されたオフセット量に関する情報が、読み出され、取得されることによって、第2記録層における開始位置の開始アドレスが算出され、この開始アドレスから記録動作がより簡便に行われることが可能となる。加えて、情報記録装置によって、別手順によって、検出されたオフセット量との比較を行うことで、情報記録媒体に記録されているオフセット量の信頼性を向上させることが可能となる。
本発明の情報記録装置に係る第2実施形態の一態様では、前記検出されたオフセット量に基づいて、前記第2記録層において、前記記録情報を記録可能な開始位置の開始アドレス及び終了位置の終了アドレスを算出する算出手段を更に備え、前記制御手段は、前記記録情報を、(i)前記第1記録層の前記第1記録トラックに沿って書き込み、(ii)前記算出された開始アドレスから前記算出された終了アドレスまで、前記第2記録層の前記第2記録トラックに沿って書き込むように、前記書込手段を制御する。
この態様によれば、検出されたオフセット量に基づくことで、前述した本発明の情報記録装置に係る第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
本発明の情報記録装置に係る第2実施形態の他の態様では、前記情報記録媒体は、前記第1記録層及び前記第2記録層の少なくとも一方において、記録用レーザ光の最適記録パワーを求めるために、前記記録情報の少なくとも一部である試し書き用データを記録可能な較正用エリア(PCA)と、前記試し書き用データが記録された位置を示すポインタ情報を記録可能な記録管理エリア(RMA)とを更に備えており、前記算出手段は、前記第2記録層に加えて前記第1記録層において、前記検出されたオフセット量に基づいて、前記開始アドレス及び前記終了アドレスとして、第1開始アドレス及び第1終了アドレスを算出し、前記制御手段は、前記試し書き用データが記録された場合、前記第1開始アドレスから前記第1終了アドレスまでにおいて、前記ポインタ情報を、前記第1又は第2記録トラックに沿って書き込むように、前記書込手段を制御する。
この態様によれば、検出されたオフセット量に基づくことで、例えば第2記録層の内周側に配置されるRMA(Recording Management Area)等の記録領域の配置が制限されることもなくなるという利点も有する。
本発明の情報記録装置に係る第1及び第2実施形態の他の態様では、前記算出手段は、前記第2記録層において記録が行われる又は行われた記録領域が、前記第1記録層において記録が行われた記録領域よりも半径方向に所定マージン(例えばクリアランス:80μm)だけ小さくなるように前記開始アドレス及び前記終了アドレスを算出する。
この態様によれば、第2記録層の記録領域において、記録データが記録される際に、記録用のレーザ光は、第1記録層及び第2記録層の相対的なずれに起因されるオフセット量(ずれ量)に影響されることなく、所定マージンを確保しつつ記録済み状態の第1記録層を透過するように記録動作を制御することが可能である。
この算出手段に係る態様では、前記算出手段は、前記所定マージン(例えばクリアランス:80μm)を確保するために、(i)前記所定マージン及び(ii)前記記録が行われる又は行われた記録領域の半径位置をパラメータとして所定関数によって決定されるマージンオフセット値を、前記アドレスオフセット値に加減算することによって前記開始アドレス及び前記終了アドレスを算出するように構成してもよい。
このように構成すれば、情報記録装置によって、所定マージンを確保するための、より的確且つ迅速な記録動作を実現することが可能となる。尚、半径位置の代わりに、この半径位置に対応されるセクタ番号によって、マージンオフセット値が決定されるように構成してもよい。
(情報記録方法に係る実施形態)
以下、本発明の実施形態に係る情報記録方法について説明する。
本発明の情報記録方法に係る第1実施形態は、請求項1から10のいずれか一項に記載の情報記録媒体に対して、前記記録情報を前記第1記録層及び前記第2記録層に書込可能な書込手段を備えた情報記録装置における情報記録方法であって、前記オフセット情報を取得する取得工程と、前記取得されたオフセット情報に基づいて、前記第2記録層において、前記記録情報を記録可能な開始位置の開始アドレス及び終了位置の終了アドレスを算出する算出工程と、前記記録情報を、(i)前記第1記録層に、前記第1記録トラックに沿って書き込み、(ii)前記第2記録層に、前記算出された開始アドレスから前記算出された終了アドレスまで前記第2記録トラックに沿って書き込むように、前記書込手段を制御する制御工程とを備える。
本発明の情報記録方法に係る第1実施形態によれば、上述した本発明の情報記録装置に係る第1実施形態が有する各種利益を享受することが可能となる。
尚、上述した本発明の情報記録装置に係る第1実施形態が有する各種態様に対応して、本発明の情報記録方法に係る第1実施形態も各種態様を採ることが可能である。
本発明の情報記録方法に係る第2実施形態は、請求項1から10のいずれか一項に記載の情報記録媒体に対して、前記記録情報を前記第1記録層及び前記第2記録層に書込可能な書込手段を備えた情報記録装置における情報記録方法であって、前記オフセット量を検出する検出工程と、前記検出されたオフセット量に関するオフセット情報を、前記管理エリアに、前記第1又は第2記録トラックに沿って書き込むように、前記書込手段を制御する制御工程とを備える。
本発明の情報記録方法に係る第2実施形態によれば、上述した本発明の情報記録装置に係る第2実施形態が有する各種利益を享受することが可能となる。
尚、上述した本発明の情報記録装置に係る第2実施形態が有する各種態様に対応して、本発明の情報記録方法に係る第2実施形態も各種態様を採ることが可能である。
(コンピュータプログラムの実施形態)
本発明の記録制御用の第1のコンピュータプログラムは、上述した本発明の情報記録装置に係る第1実施形態(但し、その各種態様を含む)に備えられたコンピュータを制御する記録制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記書込手段、前記取得手段、前記算出手段、及び、前記制御手段のうち少なくとも一部として機能させる。
本発明の記録制御用の第2のコンピュータプログラムは、上述した本発明の情報記録装置に係る第2実施形態(但し、その各種態様を含む)に備えられたコンピュータを制御する記録制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記書込手段、前記検出手段、及び、前記制御手段のうち少なくとも一部として機能させる。
本発明に係るコンピュータプログラムの第1及び第2実施形態によれば、当該コンピュータプログラムを格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを、通信手段を介してコンピュータにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明の情報記録装置に係る第1及び第2実施形態を比較的簡単に実現できる。
尚、上述した本発明の情報記録装置に係る第1及び第2実施形態における各種態様に対応して、本発明のコンピュータプログラムに係る各実施形態も各種態様を採ることが可能である。
本実施形態のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から明らかにされる。
以上説明したように、本発明の情報記録媒体に係る実施形態によれば、第1記録層と、第2記録層と、オフセット情報が記録される管理エリアとを備える。従って、後述される情報記録装置によって、このオフセット情報に基づいて、第1記録層及び第2記録層において、適切な記録動作が行われることが可能となる。
本発明の情報記録装置及び方法に係る第1実施形態によれば、書込手段、取得手段及び工程、算出手段及び工程、並びに、制御手段及び工程を備える。従って、オフセット情報に基づいて、第1及び第2記録層において、適切な記録動作が行われることが可能となる。即ち、オフセット量(ずれ量)に影響されることなく、記録情報が記録済み状態の第1記録層を介して照射されるレーザ光により第2記録層に記録情報を適切に記録することができる。
或いは、本発明の情報記録装置及び方法に係る第2実施形態によれば、書込手段、検出手段及び工程、並びに、制御手段及び工程を備えるので、オフセット情報を、記録することが可能である。
(1)情報記録媒体の実施例
先ず、図1から図3を参照して、本発明の情報記録媒体の実施例について詳細に説明する。尚、本実施例に係る光ディスクにおいては、本願発明に係る「第1記録トラック」の一例を構成するL0層のトラックパスと、本願発明に係る「第2記録トラック」の一例を構成するL1層のトラックパスとが反対の記録方向であるオポジット方式が記録方式の一具体例として採用されている。
(1−1)基本構成
先ず図1を参照して、本発明の情報記録媒体の実施例に係る光ディスクの基本構造について説明する。ここに、図1(a)は、本発明の情報記録媒体の実施例に係る複数の記録領域を有する光ディスクの基本構造を示した概略平面図であり、図1(b)は、該光ディスクの概略断面図と、これに対応付けられた、その半径方向における記録領域構造の図式的概念図である。
図1(a)及び図1(b)に示されるように、光ディスク100は、例えば、DVDと同じく直径12cm程度のディスク本体上の記録面に、センターホール1を中心として本実施例に係るリードインエリア101又はリードアウトエリア103、データエリア102、並びに、ミドルエリア104が設けられている。そして、光ディスク100の例えば、透明基板106に、L0層及びL1層等の記録層が積層されている。そして、この記録層の各記録領域には、例えば、センターホール1を中心にスパイラル状或いは同心円状に、例えば、グルーブトラック及びランドトラック等のトラック10が交互に設けられている。また、このトラック10上には、データがECCブロック11という単位で分割されて記録される。ECCブロック11は、記録情報がエラー訂正可能なデータ管理単位である。
尚、本発明は、このような三つのエリアを有する光ディスクには特に限定されない。例えば、リードインエリア101又はリードアウトエリア103、並びにミドルエリア104が存在せずとも、以下に説明するデータ構造等の構築は可能である。また、後述するように、リードインエリア101又はリードアウト103、並びにミドルエリア104は更に細分化された構成であってもよい。
本実施例に係る光ディスク100は、図1(b)に示されるように、例えば、透明基板106に、後述される本発明に係る第1及び第2記録層の一例を構成するL0層及びL1層が積層された構造をしている。このような二層型の光ディスク100の記録再生時には、図1(b)中、下側から上側に向かって照射されるレーザ光LBの集光位置をいずれの記録層に合わせるかに応じて、L0層における記録再生が行なわれるか又はL1層における記録再生が行われる。また、本実施例に係る光ディスク100は、2層片面、即ち、デュアルレイヤに限定されるものではなく、2層両面、即ちデュアルレイヤーダブルサイドであってもよい。更に、上述の如く2層の記録層を有する光ディスクに限られることなく、3層以上の多層型の光ディスクであってもよい。
尚、2層型光ディスクにおけるオポジット方式による記録又は再生手順、並びに、各層におけるデータ構造については、後述される。
(1−2)詳細構成
次に、図2及び図3を参照して、本発明の情報記録媒体の実施例に係る2層型光ディスクの詳細構成について説明する。より具体的には、図2及び図3を参照して、2層型光ディスクのデータ構造、該光ディスクの記録領域におけるECCブロックを構成する物理的セクタ番号(以下、適宜「セクタ番号」と称す)、並びに、該光ディスクのオポジット方式による記録又は再生手順について説明する。ここに、図2は、本発明の情報記録媒体の実施例に係る2層型光ディスクのデータ構造及び該光ディスクの記録領域におけるECCブロックを構成する物理的セクタ番号並びに該光ディスクのオポジット方式による記録又は再生方法を示した概念的グラフである。図3は、本発明の情報記録媒体の実施例に係る2層型光ディスクのデータ構造、該光ディスクの記録領域におけるセクタ番号、並びに、ECCブロック単位で示されるランドプリピットアドレス、並びに、該光ディスクのオポジット方式による記録又は再生方法を示した概念的グラフである。尚、図2及び図3中の縦軸は、16進数で表現されたセクタ番号に加えてランドプリピットアドレスを示し、横軸は、光ディスクの半径方向の相対的な位置を示す。
図2に示されるように、本発明の情報記録媒体の実施例に係る2層型光ディスク100は、図示しない透明基板に積層された2層の記録層、即ち、L0層とL1層とを備えて構成されている。
具体的には、L0層には、内周側から外周側にかけて、最適記録パワーを検出するためのパワーキャリブレーションエリア105−0(以下適宜「PCA:Power Calibration Area」と称す)、レコーディングマネージメントエリア106−0(以下適宜「RMA:Recording Management Area」と称す)、リードインエリア101−0、データエリア102−0及びミドルエリア104−0が設けられている。尚、PCA105−0内の矢印は、較正処理のために記録領域が消費されていく方向を示している。
リードインエリア101−0には、前述した本願発明に係る「管理エリア」の一例を構成するコントロールデータゾーンCDZが設けられている。このコントロールデータゾーンCDZには、本発明に係る「オフセット量(ずれ量)」が、例えば、レーザ光等によってプリ記録される。このオフセット量(ずれ量)については詳細に後述される。
ミドルエリア104−0は、L0層及びL1層に対する記録又は再生位置が基板外へ外れることを防止する基本機能を有するが、層間ジャンプの際に記録又は再生位置が基板外に外れることを防止する、言わば”ジャンプ緩衝用エリア”としての機能も有する。
他方、L1層には、外周側から内周側にかけて、ミドルエリア104−1、データエリア102−1、リードアウトエリア103−1、RMA106−1、及び、PCA105−1が設けられている。
以上のように2層型光ディスク100は構成されているので、該光ディスク100の記録又は再生の際には、後述される本発明の情報記録装置の一具体例に係る情報記録再生装置の光ピックアップ等によって、レーザ光LBは、図示しない基板の側から、即ち、図2中の下側から上側に向けて照射され、その焦点距離等が制御されると共に、光ディスク100の半径方向における移動距離及び方向が制御される。これにより、夫々の記録層にデータが記録され、又は、記録されたデータが再生される。
本発明の情報記録媒体の実施例に係る2層型光ディスクの記録又は再生手順として、オポジット方式が採用されている。ここに、オポジット方式とは、より詳細には、2層型光ディスクの記録又は再生手順として、後述される情報記録再生装置の光ピックアップが、L0層において、内周側から外周側へ向かって、即ち、図2中の矢印の右方向へ移動するのとは逆に、L1層においては、光ピックアップが外周側から内周側へ向かって、即ち、図2中の矢印の左方向へ移動することによって、2層型光ディスクにおける記録又は再生が行われる方式である。このオポジット方式では、L0層における記録又は再生が終了されると、L1層における記録又は再生が開始される時に、光ディスクの最外周にある光ピックアップが再度、最内周へ向かって移動する必要はなく、L0層からL1層への焦点距離だけを切り替えればよいため、L0層からL1層への切り替え時間がパラレル方式と比較して短いという利点があるため大容量のコンテンツ情報の記録には採用されている。
具体的には、先ず、L0層において、光ピックアップがリードインエリア101−0、データエリア102−0及びミドルエリア104−0を内周側から外周側へ移動するにつれて光ディスク100の記録領域におけるセクタ番号は増加していく。より具体的には、光ピックアップが、セクタ番号が”02FFFFh”のリードインエリア101−0の終了位置(図2中のA地点を参照)、セクタ番号が”030000h”のデータエリア102−0の開始位置(図2中のB地点を参照)、セクタ番号が”1AFFFFh”のデータエリア102−0の終了位置(以下、適宜、L0層の「折り返し点」と称す:図2中のC地点を参照)に順次アクセスして、緩衝の役目を果たすミドルエリア104−0へと移動されることによって、L0層における記録又は再生が行われる。尚、本実施例において、”30000h”等の末尾の”h”とは16進数で表現されていることを示す。他方、L1層において、具体的には、光ピックアップがミドルエリア104−1、データエリア102−1及びリードアウトエリア103−1を外周側から内周側へ移動するにつれて光ディスク100の記録領域におけるセクタ番号は増加していく。より具体的には、光ピックアップが、緩衝の役目を果たすミドルエリア104−1、セクタ番号が”E50000h”のデータエリア102−1の開始位置(以下、適宜、L1層の「折り返し点」と称す:図2中のD地点を参照)、セクタ番号が”FCFFEFh”のデータエリア102−1の終了位置(図2中のE地点を参照)に順次アクセスして、リードアウトエリア103−1へと移動されることによって、L1層における記録又は再生が行われる。
以上説明したL0層とL1層とにおけるセクタ番号はすべて、16進数における15の補数の関係にある。より具体的には、例えば、L0層における折り返し点(セクタ番号”1AFFFFh”)とL1層における折り返し点(セクタ番号”E50000h”)は15の補数の関係にある。形式的には、”1AFFFFh”の補数は、16進数のセクタ番号”1AFFFFh”を2進数”000110101111111111111111”に変換してからビット反転(インバート:invert)”111001010000000000000000”させ、16進数”E50000h”に再変換させることによって求められる。
よって、コンテンツ等の記録情報は、例えば、L0層のデータエリア102−0のセクタ番号”030000h”から”1AFFFFh”及びL1層のデータエリア102−1のセクタ番号”E50000h”から”FCFFEFh”において、光ピックアップが連続して移動されると同時に記録又は再生される。
以上説明した物理的セクタ番号に対して、論理ブロックアドレス(LBA:Logical Block Address)が、1対1に割り付けられている。より具体的には、例えば、セクタ番号”030000h”には”000000”LBAが対応し、セクタ番号”1AFFFFh”には、”17FFFF”LBAが対応する。また、セクタ番号”E50000h”には、”180000”LBAが対応し、セクタ番号”FCFFEFh”には、”2FFFEF”LBAが対応する。よって、例えば、ホストコンピュータは、物理的セクタ番号に意識することなく、例えば、ファイルシステムによって管理された論理ブロックアドレスに従って記録及び再生動作を行うことが可能となる。
ここで、図3を参照して、本発明の情報記録媒体の実施例に係る2層型光ディスクのオポジット方式におけるセクタ番号と、本願発明の「プリフォーマットアドレス」の一具体例であるランドプリピット(以下適宜「LPP:Land Pre Pit」と称す)アドレスとの関係について説明する。
図3に示されるように、L0層及びL1層のセクタ番号と、L0層及びL1層のLPPアドレスとは、一義的に対応付けることが可能である。より具体的には、16進数のセクタ番号”0030000h”を2進数”0000000000110000000000000000”に変換してから、右から5ビット目から24ビット目までをビット反転(インバート:invert)”111111111100111111111111”させ、16進数”FFCFFFh”に再変換させることによって求められる。従って、L0層とL1層とにおけるLPPアドレスはすべて、セクタ番号と同様に、16進数における15の補数の関係にある。
尚、データエリア102−0(102−1)の記録終了位置を記録層ごとに設定するようにしてもよい。
(2)情報記録装置の実施例
次に、図4を参照して、本発明の情報記録装置の実施例の構成及び動作について詳細に説明する。特に、本実施例は、本発明に係る情報記録装置を光ディスク用の情報記録再生装置に適用した例である。
(2−1)基本構成
先ず、図4を参照して、本発明の情報記録装置に係る実施例における情報記録再生装置300及び、ホストコンピュータ400の基本構成について説明する。ここに、図4は、本発明の情報記録装置に係る実施例における情報記録再生装置及び、ホストコンピュータの基本構成を示したブロック図である。尚、情報記録再生装置300は、光ディスク100に記録データを記録する機能と、光ディスク100に記録された記録データを再生する機能とを備える。
図4を参照して情報記録再生装置300の内部構成を説明する。情報記録再生装置300は、ドライブ用のCPU(Central Processing Unit)354の制御下で、光ディスク100に情報を記録すると共に、光ディスク100に記録された情報を読み取る装置である。
情報記録再生装置300は、光ディスク100、スピンドルモータ351、光ピックアップ352、信号記録再生手段353、CPU(ドライブ制御手段)354、メモリ355、オフセット量検出器356、データ入出力制御手段306、及びバス357を備えて構成されている。また、ホストコンピュータ400は、CPU359、メモリ360、操作制御手段307、操作ボタン310、表示パネル311、及びデータ入出力制御手段308を備えて構成される。
特に、情報記録再生装置300と、ホストコンピュータ400を同一筐体内に収めることにより、或いは、CPU(ドライブ制御手段)354、データ入出力制御手段306、及びバス357によって、本発明に係る通信手段が構成されていてもよい。
スピンドルモータ351は光ディスク100を回転及び停止させるもので、光ディスクへのアクセス時に動作する。より詳細には、スピンドルモータ351は、図示しないサーボユニット等によりスピンドルサーボを受けつつ所定速度で光ディスク100を回転及び停止させるように構成されている。
光ピックアップ352は光ディスク100への記録再生を行うもので、半導体レーザ装置とレンズから構成される。より詳細には、光ピックアップ352は、光ディスク100に対してレーザービーム等の光ビームを、再生時には読み取り光として第1のパワーで照射し、記録時には書き込み光として第2のパワーで且つ変調させながら照射する。
信号記録再生手段353は、スピンドルモータ351と光ピックアップ352を制御することで光ディスク100に対して記録再生を行う。より具体的には、信号記録再生手段353は、例えば、レーザダイオード(LD)ドライバ及びヘッドアンプ等によって構成されている。レーザダイオードドライバ(LDドライバ)は、光ピックアップ352内に設けられた図示しない半導体レーザを駆動する。ヘッドアンプは、光ピックアップ352の出力信号、即ち、光ビームの反射光を増幅し、該増幅した信号を出力する。より詳細には、信号記録再生手段353は、OPC(Optimum Power Control)処理時には、CPU354の制御下で、図示しないタイミング生成器等と共に、OPCパターンの記録及び再生処理により最適なレーザパワーの決定が行えるように、光ピックアップ352内に設けられた図示しない半導体レーザを駆動する。特に、信号記録再生手段353は、光ピックアップ352と共に、本発明に係る「書込手段」の一例を構成する。
メモリ355は、記録再生データのバッファ領域や、信号記録再生手段353で使用出来るデータに変換する時の中間バッファとして使用される領域など情報記録再生装置300におけるデータ処理全般及びOPC処理において使用される。また、メモリ355はこれらレコーダ機器としての動作を行うためのプログラム、即ちファームウェアが格納されるROM領域と、記録再生データの一時格納用バッファや、ファームウェアプログラム等の動作に必要な変数が格納されるRAM領域などから構成される。
CPU(ドライブ制御手段)354は、信号記録再生手段353及びメモリ355と、バス357を介して接続され、各種制御手段に指示を行うことで、情報記録再生装置300全体の制御を行う。通常、CPU354が動作するためのソフトウェア又はファームウェアは、メモリ355に格納されている。特に、CPU354は、本発明に係る「制御手段」及び「算出手段」の一例を構成する。
オフセット量検出器356は、2層型の光ディスク100におけるオフセット量を検出可能に構成されている。特に、オフセット量検出器356は、本発明に係る「検出手段」の一例を構成する。
データ入出力制御手段306は、情報記録再生装置300に対する外部からのデータ入出力を制御し、メモリ355上のデータバッファへの格納及び取り出しを行う。情報記録再生装置300とSCSIや、ATAPIなどのインターフェースを介して接続されている外部のホストコンピュータ400(以下、適宜ホストと称す)から発行されるドライブ制御命令は、データ入出力制御手段306を介してCPU354に伝達される。また、記録再生データも同様にデータ入出力制御手段306を介して、ホストコンピュータ400とやり取りされる。
操作制御手段307はホストコンピュータ400に対する動作指示受付と表示を行うもので、例えば記録又は再生といった操作ボタン310による指示をCPU359に伝える。CPU359は、操作制御手段307からの指示情報を元に、データ入出力手段308を介して、情報記録再生装置300に対して制御命令(コマンド)を送信し、情報記録再生装置300全体を制御する。同様に、CPU359は、情報記録再生装置300に対して、動作状態をホストに送信するように要求するコマンドを送信することができる。これにより、記録中や再生中といった情報記録再生装置300の動作状態が把握できるためCPU359は、操作制御手段307を介して蛍光管やLCDなどの表示パネル311に情報記録再生装置300の動作状態を出力することができる。
以上説明した、情報記録再生装置300とホストコンピュータ400を組み合わせて使用する一具体例は、映像を記録再生するレコーダ機器等の家庭用機器である。このレコーダ機器は放送受信チューナや外部接続端子からの映像信号をディスクに記録し、テレビなど外部表示機器にディスクから再生した映像信号を出力する機器である。メモリ360に格納されたプログラムをCPU359で実行させることでレコーダ機器としての動作を行っている。また、別の具体例では、情報記録再生装置300はディスクドライブ(以下、適宜ドライブと称す)であり、ホストコンピュータ400はパーソナルコンピュータやワークステーションである。パーソナルコンピュータ等のホストコンピュータとドライブはSCSIやATAPIといったデータ入出力制御手段306及び308を介して接続されており、ホストコンピュータにインストールされているライティングソフトウェア等のアプリケーションが、ディスクドライブを制御する。
(2−2)オフセット量に基づいた記録動作
次に、図5から図8を参照して、本実施例に係る2層型光ディスクにおいて発生する本発明に係るオフセット量(ずれ量)、及び、本実施例に係る情報記録再生装置による、このオフセット量(ずれ量)に基づいた記録動作について説明する。
ここに、図5は、本発明の情報記録媒体の実施例に係る2層型光ディスクにおいて固有なオフセット量(ずれ量)を示した記録領域の図式的な断面図(図5(a))、本実施例に係る情報記録再生装置によって、このオフセット量(ずれ量)に基づいて算出された適切な記録開始位置を示した記録領域の図式的な断面図(図5(b))、並びに、本実施例に係る情報記録再生装置によって、このオフセット量(ずれ量)に基づいて算出された適切な記録終了位置を示した記録領域の図式的な断面図(図5(c))である。図6は、本発明の情報記録媒体の実施例に係る2層型光ディスクの1枚1枚において固有なオフセット量(ずれ量)と、本発明に係る「アドレスオフセット値」との相関関係を示したグラフである。尚、図6において、横軸は、オフセット量(ずれ量)を「μm」を単位として示し、縦軸は、アドレスオフセット値を10進数で表現されたセクタ番号として示している。図7は、本発明の情報記録媒体の実施例に係る2層型光ディスクのL1層において、例えば、80μmの所定マージンを確保するための半径位置と、マージンオフセット値との相関関係を示したグラフ(図7(a))、及び、この半径位置に対応するL0層のセクタ番号と、マージンオフセット値との相関関係を示したグラフ(図7(b))である。尚、図7における「マージンオフセット値」は、ECCブロックで示されている。図8は、本実施例に係る情報記録再生装置による層間ジャンプの動作原理を図式的に示した模式図である。
図5(a)に示されるように、L0層の記録領域は、前述したオポジット方式の下で、「F」点から「G」点まである。具体的には、「F」点における、セクタ番号は「030000h」、LPPアドレスは「FFCFFFh」、及び、半径位置は「24mm」である。「G」点における、セクタ番号は「22E890h」、LPPアドレスは「FDD176h」、及び、半径位置は変数「R0」μmである。尚、このL0層のデータエリアの最外周位置「G」点によって、本願発明に係る「第1所定位置」の一例が構成されている。
他方、L1層の記録領域は、前述したオポジット方式の下で、「H」点から「I」点まである。具体的には、「H」点は、オポジット方式において、「G」点に対応され、そのセクタ番号は「DD176Fh」、LPPアドレスは「022E89h」、及び、半径位置は変数「R1」μmである。尚、このL1層のデータエリアの最外周位置「H」点によって、本願発明に係る「第2所定位置」の一例が構成されている。「I」点は、本願発明に係る「所定マージン(例えば80μm)」だけL1層の記録領域が小さくなるように半径位置は「24.08mm」に設定される。この半径位置の設定によってセクタ番号は「FCD99Fh」、及び、LPPアドレスは「003266h」である。尚、「I」点はL1層のデータエリアの最終端としてメディアメーカーによって、設定されるように構成してもよい。
特に、本実施例に係る2層型光ディスクにおいては、L0層のデータエリアの最外周位置「G」点と、L1層のデータエリアの最外周位置「H」点との半径位置における差を示すオフセット量(ずれ量)に関するオフセット情報が、前述したコントロールデータゾーンCDZにプリ記録される。ここに、本実施例に係る「オフセット情報」とは、詳細には、オフセット量(ずれ量)に対応して一義的に決定されるように所定線形関数によって変換されたアドレスオフセット値である。より詳細には、図6に示されるように、オフセット量(ずれ量)(変数「x」)と、アドレスオフセット値(変数「y」)との相関関係が、所定線形関数である次式(1)によって、示されている。
Z=87.092x−29.658 ……… (1)
尚、式(1)で示された所定線形関数は、例えば、実験的、経験的又は理論的若しくはシミュレーション等により求めることが可能である。詳細には、この所定線形関数の式(1)によって、前述したL0層の最外周位置である「G」点(第1所定位置)とL1層の最外周位置である「H」点(第2所定位置)とのオフセット量(ずれ量)に基づいて求められた一のアドレスオフセット値と、例えばL0層の最内周位置である「F」点(本願発明の第4所定位置の一例)と、「F」点に対応するL1層「K’」点(本願発明の第5所定位置の一例)とのオフセット量(ずれ量)に基づいて求められた他のアドレスオフセット値との平均値を採用するように構成してもよく、或いは、その二つの値より求められる一次式を用いて、内周から外周までのアドレスオフセット値を算出してもよい。より詳細には、この所定線形関数は、前述したL0層の最外周位置である「G」点(第1所定位置)とL1層の最外周位置である「H」点(第2所定位置)とのオフセット量(ずれ量)に基づくだけではなく、例えばL0層の最内周位置である「F」点(第4所定位置)と、「F」点に対応するL1層の「K’」点(第5所定位置)とのオフセット量(ずれ量)に基づいて、シミュレーション等により求めるように構成してもよい。以上の結果、情報記録装置において、より的確な記録動作を実現することが可能となる。
再び、図5(a)に戻る。
従って、前述した「G」点と「H」点との半径位置の差である「R0−R1」μmが、変数「x」に代入され、計算結果を示す変数「Z」によって、アドレスオフセット値が示される。この計算されたアドレスオフセット値が、後述される情報記録装置によって取得され、このアドレスオフセット値に基づいて、L1層における記録開始位置、及び、記録終了位置の適切なアドレスが算出される。尚、このアドレスオフセット値は、セクタ数の単位で示されてもよいし、1ECCブロック(=16セクタ)の単位で示されてもよい。より具体的には、オフセット量(ずれ量)が、80μmの場合、式(1)に「x=80」を代入すると「Z=6937(セクタ)」となり、1ECCブロック(16セクタ)の単位では「Z=434(ECCブロック)」となり、16進数では「Z=1B2h」となる。尚、このアドレスオフセット値は、「G」点と、「G」点の真上に位置する第2記録層における所定点とのアドレスオフセット(アドレスの差)と等価であるようにしてもよい。更に、このアドレスオフセット値は、半径位置に依存しなく、内周から外周において同じ半径位置における第1記録層のアドレスと第2記録層のアドレスとの間のアドレスオフセット(アドレスの差)は一定であるようにしてもよい。或いは、内周から外周までの一次式で表す場合は一定の割合となるようにしてもよい。
以上より、情報記録媒体の製造メーカーが、2層型光ディスクにおいてオフセット量(ずれ量)を生じさせても、このオフセット量(ずれ量)に関するオフセット情報が、コントロールデータゾーンCDZにプリ記録される。よって、情報記録再生装置による記録動作が、このオフセット情報に基づいて適切に行われることが可能となる。尚、この記録動作の詳細は、後述される。
加えて、オフセット量(ずれ量)と、アドレスオフセット値との相関関係が、所定線形関数である1次関数でなくてもステップ関数で示されるようにしてもよい。より具体的には、オフセット量(ずれ量)が、0から100μmの場合、アドレスオフセット値を4325セクタとする。オフセット量(ずれ量)が、101から200μmの場合、アドレスオフセット値を13034セクタとする。201から300μmの場合、アドレスオフセット値を21743セクタとする。このようにアドレスオフセット値が示されてもよい。従って、情報記録媒体の製造メーカーが、2層型光ディスクに、オフセット量(ずれ量)に関するオフセット情報を記録する際の、オフセット量(ずれ量)の検出の精度に対して、ある程度の許容範囲を与えることが可能となる。
再び、図5(a)に戻る。以上のように、オフセット量(ずれ量)、即ち、「R0−R1」μmが所定線形関数によって変換されたアドレスオフセット値「Z」に基づいて、後述される情報記録装置によって、L1層における記録開始位置、及び、記録終了位置の適切なアドレスが算出される。
より具体的には、図5(b)に示されるように、L0層における任意の「J0」点まで記録した後、L1層において、例えば、80μmの所定マージンだけ内周側に位置する「Js」点から記録を開始したい場合、記録開始位置である「Js」点の適切なアドレスは、次式(2)によって、算出可能である。
inv(X−Y+Z) ……… (2)
ここで、「inv」は、前述した補数を示す関数である。「X」は「J0」点のセクタ番号である。「Y」は所定マージンを確保するためのマージンオフセット値である。「Z」は前述したようにオフセット量(ずれ量)に対応して一義的に決定されたアドレスオフセット値である。尚、マージンオフセット値である「Y」は、図7(a)及び図7(b)に示されるように、所定マージン並びに、「J0」点の半径位置又はこの半径位置に対応するセクタ番号によって一義的に決定される。尚、図7(a)及び図7(b)で示された所定線形又は非線形関数は、例えば、実験的、経験的又は理論的若しくはシミュレーション等により求めることが可能である。より具体的には、図7(a)に示されるように、80μmの所定マージンを確保するためには、例えば、52mmの半径位置においては、「Y=384(ECCブロック)」を適用すればよい。
他方、図5(c)に示されるように、L0層における任意の「J0」点から記録した後、L1層において、例えば、80μmの所定マージンだけ外周側に位置する「Je」点までに記録を終了したい場合、記録終了位置である「Je」点の適切なアドレスは、次式(3)によって、算出可能である。
inv(X+Y+Z) ……… (3)
より詳細には、本実施例に係る情報記録再生装置においては、図8で示されるように、2層型光ディスクの1枚1枚において層間の相対的な位置の誤差、即ち、オフセット量(ずれ量)に対応するアドレスオフセット値を算出する。L0層のアドレス体系において、仮想的にこのアドレスオフセット値を加減する。即ち、L0層においては、アドレスオフセット値に基づいた記録は行なわれない。他方、L1層においては、このアドレスオフセット値が加減されたL0層のアドレス体系に対応したアドレスへ層間ジャンプが行なわれる。より詳細には、L1層への層間ジャンプ前に、L0層のアドレス体系において仮想的にこのアドレスオフセット値を加減するので、L1層へ層間ジャンプする際にアドレスオフセット値を加減する場合と比較して、より簡便な制御を実現することが可能となる。
以上のように、本実施例に係る情報記録再生装置によれば、例えば、アドレスオフセット値等のオフセット情報に基づいて、L0層及びL1層において、適切な記録動作が行われることが可能となる。即ち、オフセット量(ずれ量)に影響されることなく、記録情報が記録済み状態のL0層を介して照射されるレーザ光によりL1層に記録情報を記録することができる。具体的には、情報記録再生装置によって、L0層及びL1層に交互に記録情報の記録が行われる場合、先ず、L0層において記録情報が記録される。次に、このL0層において記録情報が記録された記録領域に対応するL1層の記録情報が記録される記録領域の最外周位置、又は、L1層の記録情報が記録された記録領域の最内周位置の付近において、記録情報が記録される。この際に、記録用のレーザ光LBが、2層型光ディスクの1枚1枚において層間の相対的な位置の誤差、即ち、オフセット量(ずれ量)に影響されることなく、所定マージンを確保しつつ記録済み状態のL0層を透過するように、記録動作が制御されることが可能である。
よって、記録済み状態のL0層を介してL1層に記録情報を記録する場合における最適な記録レーザパワーによって、L1層の記録領域の最内周位置又は最外周位置の付近を含む全てのデータエリア102−1において、適切な記録を行うことが可能となる。
その結果、L1層のデータエリア102−1の全ての記録領域において記録された記録情報を再生する場合にも、再生特性(例えば、アシンメトリ値、ジッタ値、変調度や再生エラーレート等)を安定させ、良好な再生特性を得ることが可能である。
加えて、L1層の記録において、記録レーザパワーが切り換えられる必要もなく、2層型光ディスクの1枚1枚において固有なオフセット量(ずれ量)に基づいて決定されたアドレスオフセット値を加減したアドレス体系下で記録情報を記録していけばよいため、記録動作自体も簡略化されるという利点も有する。
(3)本発明に係る情報記録媒体及び情報記録装置の作用効果の検討
次に、図9から図13に加えて前述した図2、図6及び図7を適宜参照して、本発明に係る情報記録媒体及び情報記録装置の作用効果について検討を加える。ここに、図9は、比較例に係る2層型光ディスクにおいて固有なオフセット量(ずれ量)の一具体例を示した記録領域の図式的な断面図(図9(a))、比較例に係る2層型光ディスクにおいて固有なオフセット量(ずれ量)の他の具体例を示した記録領域の図式的な断面図(図9(b))、比較例に係る情報記録再生装置によって、オフセット量(ずれ量)を一具体例の値として算出した場合の、他の具体例における記録開始位置を示した記録領域の図式的な断面図(図9(c))、並びに、比較例に係る情報記録再生装置によって、オフセット量(ずれ量)を一具体例の値として算出した場合の、他の具体例における記録終了位置を示した記録領域の図式的な断面図(図9(d))である。尚、図9において、前述した図5における地点と、同じ半径位置であり且つ同じセクタ番号の地点には、同じ地点の符号を付し、それらの説明は適宜省略する。図10は、一般論として、一定の間隔のアドレス値が、半径位置における幅にどのように影響するかを示したグラフである。尚、図10において、横軸は、半径位置を示し、縦軸は、半径幅を示す。図11は、比較例に係る情報記録再生装置による層間ジャンプの動作原理を図式的に示した模式図である。
比較例においては、情報記録再生装置によって、2層型光ディスクにおいて固有なオフセット量(ずれ量)に対するアドレスオフセット値が固定されて記録動作が行われる。言い換えると、いずれか一の光ディスクにおいては、適切なアドレスオフセット値が得られたとしても、いずれか他の光ディスクにおいては必ずしも適切なアドレスオフセット値が得られるとは限らないという技術的な問題点が生じてしまう。
具体的には、図9(a)に示されるように、前述したように、仮に、オフセット量(ずれ量)が、80μmの場合、前述した図6において説明した式(1)に「x=80」を代入すると「Z=6937(セクタ)」となり、1ECCブロック(16セクタ)の単位では「Z=434(ECCブロック)」となり、16進数では「Z=1B2h」となる。
従って、L0層における任意の「J0」点まで記録した後、L1層において、前述した図7において決定される所定マージンを確保するための他のオフセットアドレス「Y」だけ内周側に位置する「Js’」」点から記録を開始したい場合、記録開始位置である「Js’」点の適切なアドレスは、次式(4)によって、算出される。
inv(X−Y+1B2h) ……… (4)
より詳細には、比較例に係る情報記録再生装置においては、図11で示されるように、L1層のアドレス体系において、固定されたアドレスオフセット値を加減し、この固定されたアドレスオフセット値が加減されたアドレスへ層間ジャンプを行う。
他方、L0層における任意の「J0」点から記録した後、L1層において、前述した所定マージンだけ外周側に位置する「Je’」点までに記録を終了したい場合、記録終了位置である「Je’」点の適切なアドレスは、次式(5)によって、算出可能である。
inv(X+Y+1B2h) ……… (5)
しかしながら、比較例に係る情報記録再生装置においては、図9(b)に示されるようにオフセット量(ずれ量)が120μmの場合、前述のようにアドレスオフセット値が固定されているので、次の2つの不具合が生じてしまう。
1つ目として、図9(c)に示されるように、L0層における任意の「J0」点まで記録した後、L1層において、前述した式(4)によって記録開始位置のアドレスを算出した場合、このアドレスで指定される「Ls」点は、前述した80μmの所定マージンより大きく内周側に位置してしまう。従って、L1層において斑点で示された領域は記録可能であるにも関わらず、記録しないので、L1層の記録領域を無駄にしてしまう。特に、前述した図2で示されるL1層の内周側に配置されるRMA106−1においては、図10に示されるように、より大きく影響してしまう。その結果、RMA106−1が、正規のL1層のPCA105−1の記録位置に配置されてしまい、L0層のPCA105−0において行われる記録パワーの試し書きの影響を受けて、記録管理情報が破壊されてしまう可能性がある。
2つ目として、図9(d)に示されるように、L0層における任意の「J0」点から記録した後、L1層において、前述した式(5)によって記録終了位置のアドレスを算出した場合、このアドレスで指定される「Le」点は、前述した80μmの所定マージンを確保することができなくなってしまう。従って、記録情報が記録済み状態のL0層を介して照射されるレーザ光LBによりL1層に記録情報を記録することができなくなってしまう。
ここで、図12及び図13を参照して、L1層に記録情報を記録するに際して、記録情報が記録済み状態のL0層を介してレーザ光LBが照射されることが必要な理由について説明する。ここに、図12は、比較例に係るL0層が未記録状態である場合、及び、記録済み状態である場合のL1層に記録された記録情報の品質が異なることを示した図式的な概念図である。図13は、比較例に係るL0層が未記録状態である場合、及び、記録済み状態である場合の光透過率が変わることを示した図式的な概念図である。
仮に、L1層に記録情報を記録するに際して、記録情報が記録済み状態のL0層を介してレーザ光LBが照射されない場合について考察する。この場合、L0層が未記録状態、又は、記録済み状態でL1層への光透過率が変わるため、この2つの状態の夫々において、同一の条件で照射されたレーザ光により記録情報を記録する際に、いずれか一方は良好な記録特性を得られたとしても、いずれか他方においては必ずしも良好な記録特性が得られるとは限らないという技術的な問題点が生じてしまう。具体的には、一般に、図12で示されるように、2層型光ディスクにおいては、記録情報が記録済みの状態であるL0層を介して照射されるレーザ光によりL1層に記録情報を記録する場合と、記録情報が未記録状態であるL0層を介して照射されるレーザ光によりL1層に記録情報を記録する場合とでは、L1層に記録された記録情報の品質が異なることが知られている。より具体的には、記録済み状態のL0層を介してL1層に記録情報が記録された場合、記録レーザパワーは一般に大きくなる。よって、この記録された記録情報を再生する時に、一定の再生レーザパワーに対する再生信号は大きくなる傾向がある。他方、未記録状態のL0層を介してL1層に記録情報が記録された場合、記録レーザパワーは一般に小さくなる。よって、この記録された記録情報を再生する時に、一定の再生レーザパワーに対する再生信号も小さくなる傾向がある。このことは、特に、記録パワーにマージンがある程度許容されている低速記録(例えば、1倍速又は2倍速)と比較して、高速記録(例えば、8倍速又は16倍速)において、L1層に記録された記録情報の品質に大きく影響する。これは、図13で示されるように、L0層が未記録状態、又は、記録済み状態でL1層への光透過率が変わるためである。本願発明者の研究によれば、L0層における光透過率は、L0層が未記録状態の場合はL0層が記録済み状態の場合と比べて約2〜3%低下することが判明している。従って、この2つの場合の夫々において、同一の条件で照射されたレーザ光により記録情報を記録する場合、いずれか一方は良好な記録特性を得られたとしても、いずれか他方においては必ずしも良好な記録特性が得られるとは限らないという技術的な問題点を有している。
これに対して、本実施例に係る情報記録再生装置によれば、例えば、アドレスオフセット値等のオフセット情報に基づいて、L0層及びL1層において、適切な記録動作が行われることが可能となる。即ち、オフセット量(ずれ量)に影響されることなく、記録情報が記録済み状態のL0層を介して照射されるレーザ光によりL1層に記録情報を記録することができる。具体的には、情報記録再生装置によって、L0層及びL1層に交互に記録情報の記録が行われる場合、先ず、L0層において記録情報が記録される。次に、このL0層において記録情報が記録された記録領域に対応するL1層の記録情報が記録される記録領域の最外周位置、又は、L1層の記録情報が記録された記録領域の最内周位置の付近において、記録情報が記録される。この際に、記録用のレーザ光LBが、2層型光ディスクの1枚1枚において層間の相対的な位置の誤差、即ち、オフセット量(ずれ量)に影響されることなく、所定マージンを確保しつつ記録済み状態のL0層を透過するように、記録動作が制御されることが可能である。
よって、記録済み状態のL0層を介してL1層に記録情報を記録する場合における最適な記録レーザパワーによって、L1層の記録領域の最内周位置又は最外周位置の付近を含む全てのデータエリア102−1において、適切な記録を行うことが可能となる。
その結果、L1層のデータエリア102−1の全ての記録領域において記録された記録情報を再生する場合にも、再生特性(例えば、アシンメトリ値、ジッタ値、変調度や再生エラーレート等)を安定させ、良好な再生特性を得ることが可能である。
加えて、L1層の記録において、記録レーザパワーが切り換えられる必要もなく、2層型光ディスクの1枚1枚において固有なオフセット量(ずれ量)に基づいて決定されたアドレスオフセット値を加減したアドレス体系下で記録情報を記録していけばよいため、記録動作自体も簡略化されるという利点も有する。
(オフセット量を発生させる要因)
次に、図14を参照して、本発明の情報記録媒体の実施例に係る2層型光ディスクにおけるオフセット量(ずれ量)を発生させる要因について説明する。ここに、図14は、本発明の情報記録媒体の実施例に係る2層型光ディスクにおけるオフセット量(ずれ量)を発生させる一要因を示した概略平面図である。
オフセット量(ずれ量)を発生させる主な要因を、例えば4つ挙げることができる。
(i)単一のカッティング装置(レーザカッティング装置)がスタンパを作成する場合の、プリフォーマットアドレスに対する半径位置の誤差、(ii)カッティング装置(レーザカッティング装置)の個体差による半径位置のばらつき、(iii)単一の射出成型機が基板を作成する場合の、基盤(金型)の収縮の誤差、(iv)射出成型機の個体差による基盤(金型)の収縮割合のばらつき。
より詳細には、(i)単一のカッティング装置(レーザカッティング装置)がスタンパを作成する場合のプリフォーマットアドレスに対する半径位置の誤差については、図14に示されるように、例えばL0層の物理セクタアドレスの「30000h」の半径位置とL1層の物理セクタアドレスの「FCFFFFh」の半径位置)とは、夫々23.8mmから24.0mmの間にある。よって、この一要因によって生じるオフセット量(ずれ量)の最大値は、約0.1mmであるようにしてもよい。
本実施例では、情報記録媒体の一具体例として、例えば、2層型のDVD−R又はDVD+R、或いは、DVD−RW又はDVD+RW等の追記型又は書き換え型光ディスクについて説明したが、本発明は、例えば、3層型等のマルチプルレイヤ型の光ディスクにも適用可能である。更に、ブルーレーザーを記録再生に用いるディスク等の大容量記録媒体にも適用可能である。
また、本実施例では、情報記録装置の一具体例として、例えば、DVD−Rレコーダー又はDVD+Rレコーダー等の追記用の情報記録再生装置について説明したが、本発明は、例えば、DVD−RWレコーダー又はDVD+RWレコーダー等の書き換え用の情報記録再生装置に適用可能である。更に、ブルーレーザーを記録再生に用いる大容量記録用の情報記録再生装置にも適用可能である。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う情報記録媒体、情報記録装置及び方法、並びにコンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明の情報記録媒体の実施例に係る複数の記録領域を有する光ディスクの基本構造を示した概略平面図(図1(a))、及び、該光ディスクの概略断面図と、これに対応付けられた、その半径方向における記録領域構造の図式的概念図(図1(b))である。
本発明の情報記録媒体の実施例に係る2層型光ディスクのデータ構造及び該光ディスクの記録領域におけるECCブロックを構成する物理的セクタ番号並びに該光ディスクのオポジット方式による記録又は再生方法を示した概念的グラフである。
本発明の情報記録媒体の実施例に係る2層型光ディスクのデータ構造、該光ディスクの記録領域におけるECCブロックを構成するセクタ番号、並びに、ランドプリピットアドレス、並びに、該光ディスクのオポジット方式による記録又は再生方法を示した概念的グラフである。
本発明の情報記録装置に係る実施例における情報記録再生装置及び、ホストコンピュータの基本構成を示したブロック図である。
本発明の情報記録媒体の実施例に係る2層型光ディスクにおいて固有なオフセット量(ずれ量)を示した記録領域の図式的な断面図(図5(a))等である。
本発明の情報記録媒体の実施例に係る2層型光ディスクの1枚1枚において固有なオフセット量(ずれ量)と、本発明に係る「アドレスオフセット値」との相関関係を示したグラフである。
本発明の情報記録媒体の実施例に係る2層型光ディスクのL1層において、例えば、80μmの所定マージンを確保するための半径位置と、マージンオフセット値との相関関係を示したグラフ(図7(a))等である。
本発明の情報記録装置の実施例に係る情報記録再生装置による層間ジャンプの動作原理を図式的に示した模式図である。
比較例に係る2層型光ディスクにおいて固有なオフセット量(ずれ量)の一具体例を示した記録領域の図式的な断面図(図9(a))等である。
一般論として、一定の間隔のアドレス値が、半径位置における幅にどのように影響するかを示したグラフである。
比較例に係る情報記録再生装置による層間ジャンプの動作原理を図式的に示した模式図である。
比較例に係るL0層が未記録状態である場合、及び、記録済み状態である場合のL1層に記録された記録情報の品質が異なることを示した図式的な概念図である。
比較例に係るL0層が未記録状態である場合、及び、記録済み状態である場合の光透過率が変わることを示した図式的な概念図である。
本発明の情報記録媒体の実施例に係る2層型光ディスクにおけるオフセット量(ずれ量)を発生させる一要因を示した概略平面図である。
符号の説明
100…光ディスク、101−0(101−1)…リードインエリア、102−0(102−1)…データエリア、103−0(103−1)…リードアウトエリア、104−0(104−1)…ミドルエリア、300…情報記録再生装置、306(308)…データ入出力制御手段、307…操作制御手段、310…操作ボタン、311…表示パネル、351…スピンドルモータ、352…光ピックアップ、353…信号記録再生手段、354…CPU(ドライブ制御手段)、355(360)…メモリ、356…オフセット量検出器、359…CPU(ホスト用)、400…ホストコンピュータ、LB…レーザ光