以下、図面に基づき、本発明の実施の形態を説明する。本実施形態では、記憶制御装置の電源装置を例に挙げて説明する。図1は、本実施形態に係る電源装置の全体概要を示す説明図である。
記憶制御装置は、複数のディスクドライブ1を備えている。ディスクドライブ1は、「記憶デバイス」に該当する。記憶デバイスとしては、例えば、ハードディスクドライブ、半導体メモリデバイス、フラッシュメモリデバイス、光ディスクドライブ、光磁気ディスクドライブ、磁気テープデバイス等を用いることができる。
複数のディスクドライブ1は、一つのドライブグループ6を構成している。ドライブグループ6とは、例えば、同一の筐体内に設けられる複数のディスクドライブ1のグループであり、ドライブグループ毎に電源供給が行われる。ドライブグループ6は、「負荷グループ」に該当し、論理的なグループであるパリティグループとは異なる。
一つのドライブグループ6は、複数のサブグループ7A,7Bに分割されている。図1では、各サブグループ7A,7Bに属するディスクドライブ1の数が同数となるように、サブグループ7A,7Bは設定される。しかし、後述の実施例から明らかとなるように、各サブグループ7A,7Bを構成するディスクドライブ1の数は、必ずしも同数である必要はない。
図1に示す例では、一方のサブグループ7Aは、複数のディスクドライブ1(#1,#2)から構成されている。他方のサブグループ7Bは、別の複数のディスクドライブ1(#3,#4)から構成されている。
電源装置は、例えば、複数のDC/DCコンバータ2と、複数のAC/DCコンバータ3と、複数の電源制御部4と、少なくとも一つの管理部5を備えて構成される。電源装置は、各ディスクドライブ1に、例えば直流5ボルトや12ボルト等のような直流電源をそれぞれ供給する。なお、電源装置は、記憶制御装置の他の部分にも直流電源を供給する。他の部分としては、記憶制御装置の全体動作を制御するためのコントローラが挙げられる。記憶制御装置の全体構成については、後述の実施例で明らかにされる。
各DC/DCコンバータ2は、ハードディスクドライブ1の外部に設けられている。各DC/DCコンバータ2は、AC/DCコンバータ3から入力された直流電源(例えば、直流12ボルト)を低電圧の直流電源(例えば、直流5ボルト)に変換して、対応するディスクドライブ1にそれぞれ供給するものである。
DC/DCコンバータ2は、図1中上側に示す第1DC/DCコンバータ2(A1,A2)と、図1中下側に示す第2DC/DCコンバータ2(B1,B2)とに大別される。第1DC/DCコンバータ2(A1,A2)は「第1直流電源部」に、第2DC/DCコンバータ2(B1,B2)は「第2直流電源部」に、それぞれ対応する。
第1DC/DCコンバータ2(A1,A2)は、それぞれ一つずつのサブグループ7A,7Bにそれぞれ対応付けられている。即ち、一つの第1DC/DCコンバータ2(A1)は一方のサブグループ7Aに、他の一つの第1DC/DCコンバータ2(A2)は他方のサブグループ7Bに、それぞれ対応付けられている。
そして、一つの第1DC/DCコンバータ2(A1)の出力端子は、サブグループ7Aを構成する各ディスクドライブ1(#1,#2)の電源入力端子にそれぞれ接続されており、例えば、直流5ボルト程度の直流電源をそれぞれ供給する。同様に、他の一つの第1DC/DCコンバータ2(A2)の出力端子は、サブグループ7Bを構成する各ディスクドライブ1(#3,#4)の電源入力端子にそれぞれ接続されており、例えば、直流5ボルト程度の直流電源をそれぞれ供給する。
第2DC/DCコンバータ2(B1,B2)は、各サブグループ7A,7Bの全てに対してそれぞれ対応付けられている。即ち、一つの第2DC/DCコンバータ2(B1)は各サブグループ7A,7Bに、他の一つの第2DC/DCコンバータ2(B2)も各サブグループ7A,7Bに、それぞれ対応付けられている。
そして、各第2DC/DCコンバータ2(B1,B2)は、各サブグループ7A,7B内の各ディスクドライブ1のうち、いずれか一つのディスクドライブ1に直流電源をそれぞれ供給するようになっている。即ち、一つの第2DC/DCコンバータ2(B1)は、サブグループ7A内のディスクドライブ1(#1)及びサブグループ7B内のディスクドライブ1(#3)にそれぞれ接続されている。他の一つの第2DC/DCコンバータ2(B2)は、サブグループ7A内のディスクドライブ1(#2)及びサブグループ7B内のディスクドライブ1(#4)にそれぞれ接続されている。
換言すれば、各第2DC/DCコンバータ2(B1,B2)は、各サブグループ7A,7B内の同一順位のディスクドライブ1にそれぞれ接続されている。即ち、サブグループ7Aでは、ディスクドライブ1(#1)が第1順位、ディスクドライブ1(#2)が第2順位である。サブグループ7Bでは、ディスクドライブ1(#3)が第1順位、ディスクドライブ(#4)が第2順位である。
サブグループ内の順位という観点からは、一つの第2DC/DCコンバータ2(B1)の出力端子は、各サブグループ7A,7B内の第1順位のディスクドライブ1(#1,#3)の電源入力端子にそれぞれ接続されており、他の一つの第2DC/DCコンバータ2(B2)の出力端子は、各サブグループ7A,7B内の第2順位のディスクドライブ1(#2,#4)の電源入力端子にそれぞれ接続されている。
このように、各サブグループ7A,7B内の各ディスクドライブ1は、それぞれ複数のDC/DCコンバータに接続されている。即ち、ディスクドライブ1(#1)は第1DC/DCコンバータ2(A1)及び第2DC/DCコンバータ2(B1)に、ディスクドライブ1(#2)は第1DC/DCコンバータ2(A1)及び第2DC/DCコンバータ2(B2)に、ディスクドライブ1(#3)は第1DC/DCコンバータ2(A2)及び第2DC/DCコンバータ2(B1)に、ディスクドライブ1(#4)は第1DC/DCコンバータ2(A2)及び第2DC/DCコンバータ2(B2)に、それぞれ接続されている。
各AC/DCコンバータ3は、各DC/DCコンバータ2にそれぞれ接続されており、直流12ボルト程度の直流電源をそれぞれ供給する。また、各AC/DCコンバータ3は、各ディスクドライブ1にも、直流12ボルト程度の直流電源をそれぞれ供給する。各AC/DCコンバータ3は、OR接続されている。即ち、いずれか一方のAC/DCコンバータ3の作動が停止した場合でも、他方のAC/DCコンバータ3から各DC/DCコンバータ2及び各ディスクドライブ1に直流電源がそれぞれ供給される。
各電源制御部4は、各DC/DCコンバータ2の動作をそれぞれ制御する電子回路として構成される。第1DC/DCコンバータ2(A1,A2)及び第2DC/DCコンバータ2(B1,B2)のそれぞれについて、電源制御部4が設けられている。即ち、図1中の上側に示す第1電源制御部4は、各第1DC/DCコンバータ2(A1,A2)の制御を担当しており、図1中の下側に示す第2電源制御部4は、各第2DC/DCコンバータ2(B1,B2)の制御を担当している。
各電源制御部4は、管理部5を介して入力された指示に基づいて、各DC/DCコンバータ2から直流電源を出力させたり、あるいは、各DC/DCコンバータ2からの出力を停止させる。また、各電源制御部4は、それぞれの制御下にある各DC/DCコンバータ2の状態を取得し、この取得した状態を管理部5に通知する。例えば、各DC/DCコンバータ2は、自分自身が正常に作動しているか否かを示す信号を電源制御部4に出力する。電源制御部4は、各DC/DCコンバータ2からの信号を読み取ることにより、各DC/DCコンバータ2が正常に作動しているか否かを検出することができる。
管理部5は、各電源制御部4にそれぞれ接続されている。管理部5は、各電源制御部4をそれぞれ管理するためのものである。
本実施形態の電源装置は、上述の構成を備える。従って、ディスクドライブ1のいずれかに電源障害が発生した場合でも、その電源障害による影響が他のディスクドライブ1に及ぶのを防止することができ、信頼性が向上する。
例を挙げて説明する。例えば、ディスクドライブ1(#1)内で、直流5ボルトの流れるラインがショートしたと仮定する。この場合、内部でショートしたディスクドライブ1(#1)に接続されている各DC/DCコンバータ2(A1,B1)では、過電流保護回路または低電圧検出回路等のような保護回路が作動する。従って、各DC/DCコンバータ2(A1,B1)は、それぞれ作動を停止する。
第1DC/DCコンバータ2(A1)の作動が停止することにより、第1DC/DCコンバータ2(A1)からディスクドライブ1(#1,#2)への直流電源の供給が停止する。しかし、ディスクドライブ1(#2)には、第2DC/DCコンバータ2(B2)から直流電源が供給される。従って、ディスクドライブ1(#2)は、動作を継続する。
第2DC/DCコンバータ2(B1)の作動が停止することにより、第2DC/DCコンバータ2(B1)からディスクドライブ1(#1,#3)への直流電源の供給も停止する。しかし、ディスクドライブ1(#3)には、第1DC/DCコンバータ2(A2)から直流電源が供給される。従って、ディスクドライブ1(#3)は、動作を継続する。
他のディスクドライブ1のいずれかに電源障害が生じた場合も同様である。電源障害の発生したディスクドライブ1に接続されているDC/DCコンバータ2は、それぞれ作動を停止する。しかし、正常な他のディスクドライブ1には、少なくとも一台以上のDC/DCコンバータ2から直流電源が供給される。つまり、本実施形態の電源装置では、ディスクドライブ1の外部に設けたDC/DCコンバータ2を冗長構成としているため、いずれか一つのディスクドライブ1で電源障害が生じた場合でも、この電源障害の影響が他の正常なディスクドライブ1に波及するのを防止することができる。
上述のように、本実施形態では、第1DC/DCコンバータ2(A1,A2)を、対応するサブグループ7A,7B内の各ディスクドライブ1にそれぞれ対応付け、第2DC/DCコンバータ2(B1,B2)を、全てのサブグループ7A,7B内のいずれか一つずつのディスクドライブ1にそれぞれ対応付け、各ディスクドライブ1が第1DC/DCコンバータ2及び第2DC/DCコンバータ2の両方からそれぞれ給電される構成としている。
従って、各ディスクドライブ1毎に電源供給を個別に制御することができる。例えば、上記の例で言えば、第1DC/DCコンバータ2(A1)及び第2DC/DCコンバータ(B1)の作動をそれぞれ停止させることにより、ディスクドライブ1(#1)への電源供給のみを停止させることができる。この場合、他のディスクドライブ1(#2〜#4)には、別のDC/DCコンバータ2から直流電源が供給されるため、他のディスクドライブ1(#2〜#4)の動作に影響を与えない。
このように、本実施形態では、ディスクドライブ1の外部に設けられたDC/DCコンバータ2によって、各ディスクドライブ1への直流電源の供給をそれぞれ個別に制御することができる。従って、保守作業のためにディスクドライブ1を交換等する場合は、交換対象のディスクドライブ1への電源供給のみを停止させて、新品のディスクドライブ1に交換することができる。そして、新品のディスクドライブ1に直流電源を供給して作動可能な状態にすることができる。
これにより、本実施形態では、活線挿抜のための電気回路をディスクドライブ1に設ける必要がない。電源供給を完全に停止させてからディスクドライブ1を取り外すことができ、そして、新品のディスクドライブ1を取り付けた後で電源供給を再開させることができるためである。従って、ディスクドライブ1内にDC/DCコンバータを設ける必要がなく、さらに、活線挿抜を可能にするための電気回路も設ける必要がないため、ディスクドライブ1の製造コストを低減することができる。
また、本実施形態では、ディスクドライブ1とDC/DCコンバータ2とを分離して設け、複数のDC/DCコンバータ2によって複数のディスクドライブ1をグループ管理する構成である。従って、DC/DCコンバータ2の数を従来技術よりも大幅に少なくすることができ、電源装置の製造コストを低減することができる。
さらに、本実施形態では、上述のように、各ディスクドライブ1への電源供給を個別に制御することができるため、電源障害の発生箇所を特定できる場合もある。即ち、あるディスクドライブ1の動作が停止した場合、その動作の停止したディスクドライブ1に直流電源を供給しているDC/DCコンバータ2が作動を停止しているか否かを確認する。もしも、DC/DCコンバータ2がいずれも停止していた場合は、ディスクドライブ1内で電源障害が発生したものと判断することができる。以下、本実施形態の電源装置について、詳細に説明する。
図2は、記憶制御装置10の構成を模式的に示す説明図である。図2は、正面図に似せて表現しているが、実際の正面図とは相違する。
記憶制御装置10は、例えば、基本筐体11と増設筐体12とをケーブル70で接続することにより、構成することができる。基本筐体11のみから記憶制御装置10を構成してもよい。
基本筐体11は、記憶制御装置10の基本構成を備えており、基本筐体11のみで記憶制御装置10としての基本的な機能を実現可能である。基本筐体11は、例えば、複数のハードディスクボックス(以下「HDDボックス」)20と、コントローラ30と、AC/DC電源部40と、バッテリ部50とを備えて構成される。基本筐体11には、上位装置としてのホスト13が通信ネットワークを介して接続される。
増設筐体12は、オプション品として用意されており、記憶制御装置10の記憶容量を増強するために使用される。増設筐体12は、例えば、複数のHDDボックス20と、AC/DC電源部40及びバッテリ部50を備えている。各筐体11,12は、それぞれ独立した電源構成を備える。なお、記憶制御装置10の構成は、図2に示すものに限らない。例えば、基本筐体11からHDDボックスを除き、制御機能だけを設ける構成でもよい。
各HDDボックス20は、複数のディスクドライブ210(図3参照)を備えている。各HDDボックス20の構成は、後述する。コントローラ30は、記憶制御装置10の制御機能を担当するものである。コントローラ30の構成は、図4と共に後述する。
AC/DC電源部40は、外部から供給される交流電源を例えば12ボルト程度の直流電源に変換するものである。なお、以下の説明でも同様であるが、電圧値は一例に過ぎず、本発明は実施例に記載された電圧値に制限されない。
バッテリ部50は、例えば、停電等によって外部からの交流電源が停止した場合に、非常用の直流電力を供給するものである。これにより、停電等が発生した場合、キャッシュメモリ130(図4参照)に記憶されているライトデータは、バッテリ部50からの電源を利用して、ディスクドライブ210に書き込まれる。
図3は、増設筐体12の外観図である。増設筐体12は、例えば、その前面に4個のHDDボックス20を備えている。各HDDボックス20には、それぞれ上下に15個ずつのディスクドライブ210が取り付けられている。上段の15個のディスクドライブ210は一つのドライブグループ214(図5参照)を構成し、下段の15個のディスクドライブ210も別の一つのドライブグループ214を構成する。即ち、各HDDボックス20には、複数のドライブグループ214が設けられている。
上段のディスクドライブ210の列と下段のディスクドライブ210の列との間には、複数のDC/DCコンバータ310(図4参照)をそれぞれ搭載したDC/DC基板310が2個設けられている。DC/DC基板311等の構成は後述する。
また、各HDDボックス20の後側には、バックボード60を介して、複数のAC/DCコンバータ40が設けられている。即ち、ディスクドライブ210とAC/DCコンバータ40との間には、各部を電気的に接続するためのバックボード60が設けられている。
HDDボックス20毎に、後述する直流電源の供給に関する冗長構成がそれぞれ実現されている。なお、HDDボックス20内には、各ディスクドライブ210とコントローラ30(図4参照)とを接続するためのファイバ接続制御部(図11中のインターフェース回路340)も設けられている。
本実施例のディスクドライブ210は、例えば、ATA(AT Attachment)ディスク、SCSI(Small Computer System Interface)ディスク、FC(Fibre Channel)ディスク等のようなハードディスクドライブとして構成される。これに限らず、例えば、半導体メモリドライブ(フラッシュメモリデバイスを含む)、光ディスクドライブ、光磁気ディスクドライブ等の他の記憶デバイスを用いてもよい。ディスクドライブ210は、図1中のディスクドライブ1に対応する。
なお、詳細は後述するが、例えば、4個1組、8個1組等のような所定数のディスクドライブ210によって、RAIDグループ212(図4参照)が構成される。RAIDグループ212は、それぞれ異なるドライブグループ214に跨るようにして構成される。即ち、それぞれ別々のドライブグループ214内から選択された複数のディスクドライブ210によって、RAIDグループ212が構成される。
図4は、記憶制御装置10のブロック図である。まず、記憶制御装置10を含むストレージシステムの全体を説明し、次に、コントローラ30の詳細を説明する。
記憶制御装置10は、通信ネットワークCN1を介して、複数のホスト13と接続可能である。ホスト13は、例えば、図外のクライアント端末からの要求に応じて、記憶制御装置10にアクセスし、データの読み書きを行う。ホスト13としては、例えば、メインフレームコンピュータやサーバコンピュータ等を挙げることができる。通信ネットワークCN1としては、例えば、LAN(Local Area Network)、SAN(Storage Area Network)、インターネットあるいは専用回線等を挙げることができる。
LANを用いる場合、ホストコンピュータ13と記憶制御装置10とは、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)に従って通信を行う。SANを用いる場合、ホストコンピュータ13と記憶制御装置10とは、ファイバチャネルプロトコルに従って通信を行う。また、ホストコンピュータ13がメインフレームコンピュータである場合、例えば、FICON(Fibre Connection:登録商標)、ESCON(Enterprise System Connection:登録商標)、ACONARC(Advanced Connection Architecture:登録商標)、FIBARC(Fibre Connection Architecture:登録商標)等の通信プロトコルに従ってデータ転送が行われる。
記憶制御装置10には、管理用の通信ネットワークCN2を介して、管理端末14を接続することもできる。管理端末14は、記憶制御装置10の各種設定等を行うためのコンピュータ端末である。管理端末14は、通信ネットワークCN5を介して、管理サーバ15に接続することができる。管理サーバ15は、複数の記憶制御装置10を一括して管理可能なコンピュータ装置である。通信ネットワークCN2,CN5としては、例えば、LANやインターネット等を挙げることができる。
次に、コントローラ30の構成を説明する。コントローラ30は、例えば、チャネルアダプタ(以下、CHA)110と、ディスクアダプタ(以下、DKA)120と、キャッシュメモリ130と、共有メモリ140と、接続制御部150と、サービスプロセッサ(以下、SVP)160とを備えて構成可能である。
各CHA110は、各ホスト13との間のデータ転送を制御するもので、複数の通信ポート111を備えている。記憶制御装置10には、複数のCHA110を設けることができる。CHA110は、例えば、オープン系サーバ用CHA、メインフレーム系用CHA等のように、ホスト13の種類に応じて用意される。各CHA110は、それぞれに接続されたホスト13から、データの読み書きを要求するコマンドを受信し、ホスト13から受信したコマンドに従って動作する。
各DKA120は、記憶制御装置10内に複数個設けることができる。各DKA120は、各ディスクドライブ210との間のデータ通信を制御する。各DKA120と各ディスクドライブ210とは、例えば、SAN等の通信ネットワークCN4を介して接続されており、ファイバチャネルプロトコルに従ってブロック単位のデータ転送を行う。各DKA120は、ディスクドライブ210の状態を随時監視しており、この監視結果は、内部ネットワークCN3を介して、SVP160に送信される。
なお、各CHA110及び各DKA120をそれぞれ別々の制御回路基板として構成することもできるし、一つの制御回路基板にCHA機能及びDKA機能をそれぞれ設けることもできる。
キャッシュメモリ130は、例えば、ユーザデータ等を記憶する。キャッシュメモリ130は、例えば、不揮発メモリから構成可能であるが、揮発メモリから構成することもできる。キャッシュメモリ130が揮発メモリから構成される場合、キャッシュメモリ130はバッテリ部50によってバックアップされる。
共有メモリ(あるいは制御メモリ)140は、記憶制御装置10の作動を制御するための各種制御情報や管理情報等が記憶される。共有メモリ140は、例えば、不揮発メモリから構成される。制御情報等は、複数の共有メモリ140によって多重管理することができる。
なお、キャッシュメモリ130と共有メモリ140とを別々のメモリ回路基板として構成してもよいし、一つのメモリ回路基板内にキャッシュメモリ130及び共有メモリ140を実装してもよい。また、キャッシュメモリの一部を制御情報を格納するための制御領域として使用し、他の部分をデータを記憶するためのキャッシュ領域として使用する構成でもよい。
接続制御部150は、各CHA110と、各DKA120と、キャッシュメモリ130と、共有メモリ140とをそれぞれ接続するものである。これにより、全てのCHA110,DKA120は、キャッシュメモリ130及び共有メモリ140にそれぞれアクセス可能である。接続制御部150は、例えば、クロスバスイッチ等から構成される。
SVP160は、LAN等の内部ネットワークCN3を介して、各CHA110及び各DKA120とそれぞれ接続されている。さらに、SVP160は、電源装置300にも接続されている。SVP160は、通信ネットワークCN2を介して、管理端末14に接続されており、記憶制御装置10内の各種状態を収集して、管理端末14に提供する。また、管理端末14あるいは管理サーバ15は、SVP160を介して、記憶制御装置10の構成等を変更することもできる。
以上のように、コントローラ30は、複数種類の基板(CHA110,DKA120等)をコントローラ筐体に実装することにより、構成することができる。これに限らず、単一の制御基板上に、上述した各機能(ホスト13との通信機能、ディスクドライブ210との通信機能、データ処理機能等)を設ける構成でもよい。この場合、複数の制御基板を設けて冗長構成とするのが、記憶制御装置10の信頼性向上の観点からは好ましい。
コントローラ30によるデータ入出力処理を先に説明する。CHA110は、ホスト13から受信したリードコマンドを共有メモリ140に記憶させる。DKA120は、共有メモリ140を随時参照しており、リードコマンドを発見すると、ディスクドライブ210からデータを読み出して、キャッシュメモリ130に記憶させる。CHA110は、キャッシュメモリ130にコピーされたデータを読み出し、ホスト13に送信する。
CHA110は、ホスト13からライトコマンドを受信すると、このライトコマンドを共有メモリ140に記憶させる。CHA110は、受信したライトデータをキャッシュメモリ130に記憶させる。CHA110は、キャッシュメモリ130にライトデータを記憶した後、ホスト13に書込み完了を報告する。DKA120は、共有メモリ140に記憶されたライトコマンドに従って、キャッシュメモリ130に記憶されたライトデータを読出し、所定のディスクドライブ210に記憶させる。なお、ライトデータをディスクドライブ210に書き込んだ後で、ホスト13に書込み完了を報告する構成でもよい。
ここで、キャッシュメモリ130にのみ記憶されているユーザデータは、ダーティデータと呼ばれ、キャッシュメモリ130及びディスクドライブ210の両方に記憶されているデータはクリーンデータと呼ばれる。クリーンデータは消去可能であり、例えば、キャッシュメモリ130の空き領域が不足した場合には、消去される。記憶制御装置10の電源供給系統に何らかの障害が発生した場合、バッテリ部50によって維持される作動時間内に、キャッシュメモリ130に記憶されているダーティデータは、ディスクドライブ210に格納される。
図4の下側に示すように、所定数のディスクドライブ210によってRAIDグループ212が構成される。RAID5等のようなパリティを用いるRAIDグループ212は、パリティグループと呼ばれることもある。RAIDグループ212は、各ディスクドライブ210の有する物理的記憶領域に基づいて、冗長記憶領域を構成する。このRAIDグループ212の提供する物理的な記憶領域には、一つまたは複数の論理的な記憶領域(LU)213を設定することができる。この論理的な記憶領域213は、論理ボリュームまたは論理的記憶デバイスと呼ばれる。
図4のさらに下側に示すように、記憶制御装置10には、電源装置300も設けられている。電源装置300は、各ディスクドライブ210及びコントローラ30にそれぞれ所定の直流電源を供給する。
電源装置300の詳細はさらに後述するが、先に簡単に説明する。電源装置300は、例えば、複数のDC/DCコンバータ310と、複数の電源制御部320と、複数のAC/DCコンバータ40と、一つの障害監視部330とを含んで構成される。電源装置300と各ディスクドライブ210とは、バックボード60に形成された配線を介して、接続されている。
図5は、一つのドライブグループ214を構成する各ディスクドライブ210への電源供給構造を模式的に示す回路図である。図5では、本発明の理解のために、電源供給構造の一部を抜き出して示してある。より詳細な構造は、図9に示される。
上述のように、本実施例のドライブグループ214は、15個のディスクドライブ210から構成される。図中では、各ディスクドライブ210を識別するための番号を付してある。
そして、#1〜#4の4個のディスクドライブ210、#5〜#8までの4個のディスクドライブ210、#9〜#12までの4個のディスクドライブ210、#13〜#15までの3個のディスクドライブ210は、それぞれサブグループを構成する。
即ち、合計15個のディスクドライブ210からなる一つのドライブグループ214は、それぞれ4個または3個のディスクドライブ210を含んだ複数のサブグループから構成されている。換言すれば、電源供給に関して、ドライブグループ214は、複数のサブグループに分割されている。
DC/DC基板311には、複数のDC/DCコンバータ310が搭載されている。ここで、図5中の上側に示すDC/DCコンバータ310(1−1,1−2,1−3,1−4)を第1DC/DCコンバータと呼び、図5中の下側に示すDC/DCコンバータ310(2−1,2−2,2−3,2−4)を第2DC/DCコンバータと呼ぶ。場合によっては、第1DC/DCコンバータ(1−1〜1−4)を主DC/DCコンバータと、第2DC/DCコンバータ310(2−1〜2−4)を副DC/DCコンバータと呼ぶこともできる。
第1DC/DCコンバータ310(1−1〜1−4)は、それぞれ一つずつのサブグループにそれぞれ対応付けられている。即ち、第1DC/DCコンバータ310(1−1)は#1〜#4のディスクドライブ210からなるサブグループに、第1DC/DCコンバータ310(1−2)は#5〜#8のディスクドライブ210からなるサブグループに、第1DC/DCコンバータ310(1−3)は#9〜#12のディスクドライブ210からなるサブグループに、第1DC/DCコンバータ310(1−4)は#13〜#15のディスクドライブ210からなるサブグループに、それぞれ対応付けられている。
第1DC/DCコンバータ310(1−1)からの4個の直流出力(例えば5ボルト)は、ダイオード312のような逆流防止素子を介して、#1〜#4の各ディスクドライブ210にそれぞれ入力されている。同様に、他の第1DC/DCコンバータ310(1−2),310(1−3)からの4個の直流出力も、ダイオード312を介して、#5〜#8,#9〜#12の各ディスクドライブ210にそれぞれ入力されている。最後の第1DC/DCコンバータ310(1−4)からの3個の直流出力も、前記同様に、ダイオード312を介して、#13〜#15の各ディスクドライブ210にそれぞれ入力されている。
即ち、各第1DC/DCコンバータ310(1−1〜1−4)は、それぞれ一つずつのサブグループに対応付けられており、対応付けられたサブグループ内の各ディスクドライブ210にそれぞれ直流電源を供給する。
第2DC/DCコンバータ310(2−1〜2−4)は、全てのサブグループにそれぞれ対応付けられている。即ち、第2DC/DCコンバータ310(2−1)は、#1〜#4のディスクドライブ210からなるサブグループと、#5〜#8のディスクドライブ210からなるサブグループと、#9〜#12のディスクドライブ210からなるサブグループと、#13〜#15のディスクドライブ210からなるサブグループとの全てにそれぞれ対応付けられている。他の第2DC/DCコンバータ310(2−2,2−3,2−4)も同様である。
各第2DC/DCコンバータ310(2−1〜2−4)は、各サブグループを構成する各ディスクドライブ210のうち、いずれか一つずつのディスクドライブ210に対応付けられている。即ち、各第2DC/DCコンバータ310は、各サブグループ内から1つずつ選択されたディスクドライブ210とそれぞれ対応付けられている。
第2DC/DCコンバータ310(2−1)は、第1のサブグループ内の#1のディスクドライブ210と、第2のサブグループ内の#5のディスクドライブ210と、第3のサブグループ内の#9のディスクドライブ210と、第4のサブグループ内の#13のディスクドライブ210と、それぞれ対応付けられている。同様に、第2DC/DCコンバータ310(2−2)は#2,#6,#10,#14の各ディスクドライブ210と、第2DC/DCコンバータ310(2−3)は#3,#7,#11,#15の各ディスクドライブ210と、第2DC/DCコンバータ310(2−4)は#4,#8,#12の各ディスクドライブ210と、それぞれ対応付けられる。
各サブグループを構成するディスクドライブ210のうち、番号の若い順に順位付けすると、1番目の第2DC/DCコンバータ310(2−1)は各サブグループ内の第1順位のディスクドライブ210(#1,#5,#9,#13)に、2番目の第2DC/DCコンバータ310(2−2)は各サブグループ内の第2順位のディスクドライブ210(#2,#6,#10,#14)に、3番目の第2DC/DCコンバータ310(2−3)は各サブグループ内の第3順位のディスクドライブ210(#3,#7,#11,#15)に、4番目の第2DC/DCコンバータ310(2−4)は各サブグループ内の第4順位のディスクドライブ210(#4,#8,#12)に、それぞれ対応付けられている。
上述の通り、ドライブグループ214を構成する複数のディスクドライブ210(#1〜#15)は、複数のサブグループにグループ化されており、かつ、それぞれ複数のDC/DCコンバータ310から直流電源が供給されるようになっている。
本実施例では、各ディスクドライブ210へ直流電源を供給する構造を、上述の通り冗長化している。つまり、各サブグループ内の各ディスクドライブ210には、そのサブグループ内の全てのディスクドライブ210に対応付けられている第1DC/DCコンバータ310(1−1〜1−4)と、そのサブグループ内で一つのみのディスクドライブ210に対応付けられる第2DC/DCコンバータ310(2−1〜2−4)との2つの経路から、直流電源が供給される。
従って、サブグループ内のいずれか一つのディスクドライブ210内で、例えば、回路がショートした場合でも、この電源障害が他のディスクドライブ210に悪影響を及ぼすことはない。ディスクドライブ210内で回路ショートが生じた場合、そのディスクドライブ210が属するサブグループを担当する第1DC/DCコンバータ310は、直流電源の供給を停止するが、そのサブグループ内の他のディスクドライブ210には、第2DC/DCコンバータ310から直流電源が供給されるためである。
例えば、#1のディスクドライブ210内で回路ショートが発生した場合を例に挙げて説明する。この場合、第1DC/DCコンバータ310(1−1)内の保護回路が作動し、第1DC/DCコンバータ310(1−1)は、各出力端子からの直流電源の供給を直ちに停止させる。この結果、#1,#2,#3,#4の各ディスクドライブ210には、第1DC/DCコンバータ310(1−1)から直流電源が供給されなくなる。
同様に、#1のディスクドライブ210に接続されている第2DC/DCコンバータ310(2−1)も、保護回路が作動することにより、各出力端子からの直流電源の供給を直ちに停止させる。この結果、#1,#5,#9,#13の各ディスクドライブ210には、第2DC/DCコンバータ310(2−1)から直流電源が供給されなくなる。
従って、回路ショートを生じた#1のディスクドライブ210には、第1DC/DCコンバータ310(1−1)及び第2DC/DCコンバータ310(2−1)のいずれからも直流電源が供給されない。
しかし、電源障害の生じたサブグループ内の他のディスクドライブ210(#2,#3,#4)には、それぞれ別々の第2DC/DCコンバータ310(2−2,2−3,2−4)から直流電源が供給される。従って、電源障害の生じたサブグループ内では、電源障害の生じたディスクドライブ210(#1)のみが完全に機能を停止し、他のディスクドライブ210(#2,#3,#4)は正常動作を続行する。また、第2DC/DCコンバータ310(2−1)の停止に関連する他のサブグループ内のディスクドライブ210(#5,#9,#13)には、それぞれのサブグループを担当する第1DC/DCコンバータ310(1−2,1−3,1−4)から直流電源が供給される。従って、これらの各ディスクドライブ210(#5,#9,#13)も、正常に動作を継続する。
各電源制御部320は、障害監視部330からの指示に基づいてDC/DCコンバータ310の作動を制御し、かつ、DC/DCコンバータ310の状態を検出して障害監視部330に通知するものである。各電源制御部320は、例えば、ハードウェア回路として構成することができる。
本実施例では、各第1DC/DCコンバータ310(1−1〜1−4)と、各第2DC/DCコンバータ(2−1〜2−4)のそれぞれについて、別々の電源制御部320を対応付けている。即ち、図5中の上側に示す一つの電源制御部320は、各第1DC/DCコンバータ310(1−1〜1−4)をそれぞれ制御している。図5中の下側に示す他の一つの電源制御部320は、各第2DC/DCコンバータ310(2−1〜2−4)をそれぞれ制御している。各DC/DCコンバータ310は、電源制御部320からの指示に応じて、直流電源の供給動作を開始したり、または停止させる。また、各DC/DCコンバータ310は、自分自身が正常に作動しているか否かについての信号を、電源制御部320に出力するようになっている。従って、電源制御部320は、その制御下にある各DC/DCコンバータ310からの警報信号が入力されるポートを調べることにより、DC/DCコンバータ310に障害が生じているか否かを検出することができる。
本実施例では、上述のように、各第1DC/DCコンバータ310(1−1〜1−4)と、各第2DC/DCコンバータ310(2−1〜2−4)とのそれぞれについて、別々の電源制御部320を対応付けている。即ち、電源制御部320を冗長化している。従って、いずれか一つの電源制御部320に何らかの障害が発生した場合でも、他の一つの電源制御部320によって各ディスクドライブ210への電源供給を制御できる。
なお、各DC/DCコンバータ40の出力には、コンデンサ314がそれぞれ並列に接続されている。図中では、便宜上、DC/DCコンバータ310(1−1)についてのみ、コンデンサ314を示している。DC/DCコンバータ310の各出力に並列接続されたコンデンサ314により、蓄積された余剰電荷で出力電流を補うことができる。従って、DC/DCコンバータ310の最大出力値を、各ディスクドライブ210でそれぞれ消費される最大電流値の総和に設定する必要はない。DC/DCコンバータ310は、実効電流を出力できるだけの出力容量を備えていれば足りる。これにより、DC/DCコンバータ310の出力容量を小さくすることができる。なお、コンデンサ314により、各ディスクドライブ210に供給される電流は、平滑化される。
図6は、各ディスクドライブ210を管理するためのテーブルT1の一例を示す説明図である。このテーブルT1は、例えば、共有メモリ140に記憶される。各DKA120やSVP160は、ドライブ管理テーブルT1を参照することができる。
ドライブ管理テーブルT1は、例えば、ドライブグループ番号I11と、サブグループ番号I12と、ドライブ番号I13と、RAIDグループ番号I14との項目を対応付けて管理する。ドライブグループ番号I11は、各ドライブグループ214をそれぞれ識別するための情報である。サブグループ番号I12は、各ドライブグループ内のサブグループをそれぞれ識別するための情報である。ドライブ番号I13は、各サブグループに含まれるディスクドライブ210をそれぞれ特定するための情報である。RAIDグループ番号I14は、ディスクドライブ210が属するRAIDグループ212を特定するための情報である。
このように構成されるドライブ管理テーブルT1を用いることにより、ディスクドライブ210がどのドライブグループ215及びRAIDグループ212に参加しているか等を把握することができる。なお、上述した項目I11〜I14以外の他の項目をテーブルT1に含めてもよい。例えば、ディスクドライブ210の種別(FCディスクかATAディスクか等)や、RAIDグループ212のRAIDレベル、ディスクドライブ210の作動状態等の項目をテーブルT1に含めることもできる。
図7は、各第1DC/DCコンバータ310を管理するためのテーブルT2の一例を示す説明図である。このテーブルT2は、例えば、共有メモリ140に記憶される。このテーブルT2は、例えば、電源制御部番号I21と、DC/DCコンバータ番号I22と、端子番号I23と、ドライブ番号I24とを対応付けて管理する。
電源制御部番号I21は、各電源制御部320を識別するための情報である。DC/DCコンバータ番号I22は、各DC/DCコンバータ310を識別するための情報である。端子番号I23は、DC/DCコンバータ310に設けられている各出力端子を識別するための情報である。ドライブ番号I24は、各ディスクドライブ210を識別するための情報である。
このように構成される第1DC/DCコンバータ管理テーブルT2を用いることにより、各第1DC/DCコンバータ310がどのディスクドライブ210に接続されているか等を把握することができる。
図8は、各第2DC/DCコンバータ310を管理するためのテーブルT3の一例を示す説明図である。このテーブルT3も、例えば、共有メモリ140に記憶される。このテーブルT3は、上述したテーブルT2と同様に、例えば、電源制御部番号I31と、DC/DCコンバータ番号I32と、端子番号I33と、ドライブ番号I34とを対応付けて管理する。テーブルT1とテーブルT2との相違点は、DC/DCコンバータに接続されるディスクドライブ210の番号である。
図9は、一つのHDDボックス20内の電源供給構造を示す回路図である。各HDDボックス20には、その上段及び下段にそれぞれ15個ずつのディスクドライブ210が設けられている。上段の各ディスクドライブ210と、下段の各ディスクドライブ210とはそれぞれ別々のドライブグループ214を構成する。
図9中の上側に示すDC/DCコンバータ310(1−1〜1−4)は、図中右側に位置する第1ドライブグループ214に対応する第1DC/DCコンバータである。DC/DCコンバータ310(1−5〜1−8)は、図中左側に位置する第2ドライブグループ214に対応する第1DC/DCコンバータである。
同様に、図9中の下側に示すDC/DCコンバータ310(2−1〜2−4)は、第1ドライブグループ214に対応する第2DC/DCコンバータであり、DC/DCコンバータ310(2−5〜2−8)は、第2ドライブグループ214に対応する第2DC/DCコンバータである。
図5と共に述べた通り、各ドライブグループ214内の各ディスクドライブ210は、複数のサブグループにグループ化されており、第1DC/DCコンバータ310及び第2DC/DCコンバータ310の両方から直流電源がそれぞれ供給される。
AC/DCコンバータ40は、入力された交流電源を、例えば12ボルト程度の直流電源に変換し、各DC/DCコンバータ310及び各ディスクドライブ210にそれぞれ供給するものである。
詳しくは図10に示されているが、各AC/DCコンバータ40は、例えば、定電圧化回路41と、抵抗44等を備えている。図9に示される#1〜#4の4個のAC/DCコンバータ40のうち、#1及び#2のAC/DCコンバータ40は、図中右側に示す第1ドライブグループ214に対応付けられている。#3及び#4のAC/DCコンバータ40は、図中左側に示す第2ドライブグループ214に対応付けられている。
図10にも示すように、各AC/DCコンバータ40(#1,#2)からの出力42は、ラインL1を介して、第1ドライブグループ214に対応付けられている各第1DC/DCコンバータ310(1−1〜1−4)及び各第2DC/DCコンバータ(2−1〜2−4)に、それぞれ接続されている。各ラインL1には、ダイオード313がそれぞれ設けられている。
また、各AC/DCコンバータ40(#1,#2)からの出力42は、ラインL3を介して、第1ドライブグループ214内の各ディスクドライブ210にもそれぞれ接続されている。
さらに、AC/DCコンバータ40(#1,#2)は、抵抗44を介した予備の直流電源を複数出力することもできる。複数の予備出力43のうちの一つは、ラインL2を介して、 第1DC/DCコンバータ310(1−1〜1−4)及び各第2DC/DCコンバータ(2−1〜2−4)にそれぞれ接続されている。第1DC/DCコンバータ310(1−1〜1−4)及び各第2DC/DCコンバータ(2−1〜2−4)には、AC/DCコンバータ40(#1,#2)からの予備出力が、ダイオード313を介して入力される。従って、ラインL1の方がラインL2よりもインピーダンスが低くなるため、通常の場合は、ラインL1を介して、各AC/DCコンバータ40(#1,#2)から直流電源が供給される。ラインL1からの電源供給に問題が生じた場合は、ラインL2から直流電源が第1DC/DCコンバータ310(1−1〜1−4)及び各第2DC/DCコンバータ(2−1〜2−4)にそれぞれ供給される。
また、AC/DCコンバータ40(#1,#2)の有する他の予備出力43は、ラインL4を介して、第1ドライブグループ214内の各ディスクドライブ210にそれぞれ接続される。AC/DCコンバータ40(#1)とAC/DCコンバータ40(#2)の通常出力42及び予備出力43は、それぞれOR接続されている。従って、いずれか一方のAC/DCコンバータ40に障害が生じた場合でも、他方のAC/DCコンバータ40を用いて、直流12ボルト程度の電源を各DC/DCコンバータ310(1−1〜1−4,2−1〜2−4)及び各ディスクドライブ210に、それぞれ供給することができる。
第2ドライブグループ214に対応する各AC/DCコンバータ40(#3,#4)も、AC/DCコンバータ40(#1,#2)と同様に、各DC/DCコンバータ310(1−5〜1−8,2−5〜2−8)及び第2ドライブグループ214内のディスクドライブ210にそれぞれ接続されている。従って、重複した説明は省略する。
図11は、ドライブグループ214とRAIDグループ212との関係を模式的に示す説明図である。図11では、ドライブグループ214とRAIDグループ212との関係を主として示しているため、電源供給系統の構成は簡略化されている。
ドライブグループ214内の各ディスクドライブ210は、インターフェース回路(図中、I/F回路)340を介して、DKA120に接続されている。このインターフェース回路340は、DKA120と各ディスクドライブ210との間のデータの受け渡しを制御する。
RAIDグループ212は、それぞれ異なるドライブグループ214に属するディスクドライブ210から構成されるのが好ましい。即ち、RAIDグループ212を構成する各ディスクドライブ210は、それぞれ異なる電源供給系統を使用する。これにより、いずれかの電源供給系統で障害が生じた場合でも、同一のRAIDグループ212内の他のディスクドライブ210に影響が及ぶのを防止することができる。
図12は、ディスクドライブ210毎に直流電源の供給を個別に停止させる場合の処理を示すフローチャートである。以下に述べる各フローチャートは、処理の概要を示しており、実際のプログラムとは相違する場合がある。また、必要に応じて、ステップを入れ替えたり、ステップを削除したり、別のステップを追加できる場合がある。図中、ステップを「S」と略記する。
なお、以下の説明では、電源制御部320を主体として説明するが、例えば、DKA120や障害監視部330が以下に述べる電源制御を行う構成でもよい。
ユーザは、管理端末14及びSVP160を用いて、電源供給を停止させるディスクドライブ210を選択する(S10)。SVP160は、選択されたディスクドライブ210への直流電源の供給停止を電源制御部320に指示する(S11)。この停止指示は、障害監視部330を介して、選択されたディスクドライブ210を担当する電源制御部320に通知される。
電源制御部320は、前記停止指示を受領すると、選択されたディスクドライブ210に接続されている第1DC/DCコンバータ310を特定する(S12)。さらに、電源制御部320は、選択されたディスクドライブ210に接続されている第2DC/DCコンバータ310を特定する(S13)。
電源制御部320は、S12で特定された第1DC/DCコンバータ310の直流電源出力を停止させる(S14)。電源制御部320は、その第1DC/DCコンバータ310からの直流電源の出力が停止された後も、各ディスクドライブ210が正常に動作しているか否かを判定する(S15)。
各ディスクドライブ210が正常に動作していると判定された場合(S15:YES)、電源制御部320は、S13で特定された第2DC/DCコンバータ310からの直流電源の出力を停止させる(S16)。第1DC/DCコンバータ310と第2DC/DCコンバータ310の停止時期を異ならせることにより、信頼性をより高めることができる。これに代えて、第1DC/DCコンバータ310及び第2DC/DCコンバータ310を同時に停止させる構成としてもよい。
電源制御部320は、SVP160から指示されたディスクドライブ210以外の他のディスクドライブ210に直流電源が供給されているか否かを判定する(S17)。指示されたディスクドライブ210のみが停止しており、それ以外の各ディスクドライブ210が作動可能な場合(S17:YES)、電源制御部320は、指示されたディスクドライブ210への電源供給が停止された旨を、障害監視部330を介して、SVP160に通知する(S18)。
SVP160は、管理端末14から指示されたディスクドライブ210への給電が停止した旨を、管理端末14に通知する(S19)。管理端末14の画面には、ユーザにより指定されたディスクドライブ210への電源供給が停止された旨が表示される。これにより、ユーザは、所望のディスクドライブ210をHDDボックス20から取り外すことができる。そして、ユーザは、新たなディスクドライブ210をHDDボックス20に取り付ける。
図13は、ディスクドライブ210毎に直流電源の供給を個別に開始させる場合の処理を示すフローチャートである。ユーザは、管理端末14及びSVP160を用いて、直流電源の供給を開始させるディスクドライブ210の番号を選択する(S30)。SVP160は、ユーザから選択されたディスクドライブ210への電源供給の開始を電源制御部320に指示する(S31)。
電源制御部320は、SVP160から指示されたディスクドライブ210に接続されている第1DC/DCコンバータ310及び第2DC/DCコンバータ310をそれぞれ特定する(S32,S33)。
電源制御部320は、先に、S32で特定された第1DC/DCコンバータ310からの直流電源の供給を再開させる(S33)。電源制御部320は、所定時間が経過するのを待ってから(S34)、S33で特定された第2DC/DCコンバータ310からの直流電源の供給を再開させる(S35)。
ここで、所定時間とは、ユーザまたは工場出荷時等に予め設定された時間である。所定時間としては、例えば、ディスクドライブ210に直流電源が投入されてから、動作が安定するまでの時間として設定可能である。即ち、新品のディスクドライブ210に直流電源を供給しても、この新品のディスクドライブ210が利用可能な状態になるまでには、多少の時間を必要とする。そこで、電源制御部320は、ディスクドライブ210の立ち上がりに必要な時間が経過するのをS35で待つ。
所定時間が経過すると(S35:YES)、電源制御部320は、S33で特定された第2DC/DCコンバータ310からの直流電源の供給を再開させる(S36)。そして、電源制御部320は、各ディスクドライブ210がそれぞれ正常に動作しているか否かを確認する(S37)。
電源制御部320は、各ディスクドライブ210の正常動作を確認した後(S37:YES)、SVP160から指示されたディスクドライブ210への電源供給が開始された旨を、障害監視部330を介して、SVP160に通知する(S38)。
SVP160は、管理端末14から指示されたディスクドライブ210への電源供給が開始された旨を、管理端末14に通知する(S39)。これにより、管理端末14の画面には、ユーザにより選択されたディスクドライブ210への電源供給が正常に完了した旨が表示される。
このように、本実施例では、各ディスクドライブ210毎に、それぞれ個別に電源供給のオンオフを制御することができる。従って、例えば、保守作業等により、特定のディスクドライブ210を交換等する場合、ユーザは、特定のディスクドライブ210への電源供給を停止させてから、その特定のディスクドライブ210を筐体から取り外すことができる。そして、ユーザが新品のディスクドライブ210に交換した後で、その新品のディスクドライブ210への給電を再開させることができる。
従って、本実施例では、電源を供給したままの状態でディスクドライブ210を取り外したり、または、取り付けたりするという、いわゆる活線挿抜のための電気回路を備える必要がない。これにより、ディスクドライブ210の回路構造を簡素化することができ、ディスクドライブ210の製造コストを低減させることができる。
図14は、各電源制御部320によるDC/DCコンバータの監視処理を示すフローチャートである。第1電源制御部320は、各第1DC/DCコンバータ310からの警報信号の信号レベルをそれぞれ確認し、各第1DC/DCコンバータ310の状態をそれぞれ取得する(S50)。
第1電源制御部320は、各第1DC/DCコンバータ310のいずれか一つに異常が生じているか否かを判定する(S51)。いずれか一つ以上の第1DC/DCコンバータ310から警報信号が入力されていた場合(S51:YES)、第1電源制御部320は、異常の検出された第1DC/DCコンバータ310に関する障害情報を、障害監視部330に通知する(S52)。第1DC/DCコンバータに関する障害情報には、例えば、異常の検出された第1DC/DCコンバータ310を特定するためのDC/DCコンバータ番号や、異常の検出された時刻、異常の種類等を含めることができる。
上記同様に、第2電源制御部320も、各第2DC/DCコンバータ310からの警報信号を確認し(S60)、いずれかの第2DC/DCコンバータ310で異常が検出された場合(S61:YES)、障害情報を障害監視部330に通知する(S62)。障害監視部330は、各電源制御部320からの通知に基づいて、図15と共に後述する障害監視処理(S70)を実行する。
図15は、図14中にS70で示す障害監視処理のフローチャートである。この障害監視処理は、障害監視部330により実行される。これに代えて、例えば、DKA120が障害監視処理を実行する構成としてもよい。
障害監視部330は、第1DC/DCコンバータ310に関する障害情報を取得し(S71)、異常が生じているか否かを判定する(S72)。各第1DC/DCコンバータ310に異常が発生していない場合(S72:NO)、障害監視部330は、第2DC/DCコンバータ310に関する障害情報を取得する(S73)。
第2DC/DCコンバータ310にも異常が生じていない場合(S74:NO)、S71に戻って監視が繰り返される。各第2DC/DCコンバータ310のいずれかに障害(異常)が発生していると判定された場合(S74:YES)、障害監視部330は、障害の検出された第2DC/DCコンバータ310について警報信号を出力する(S75)。
この警報信号に基づいて、SVP160は、管理端末14に警告メッセージを送信することができる。管理端末14は、SVP160から受領した警告メッセージに基づいて、管理サーバ15に警告することができる。管理サーバ15は、管理端末14から受信した警告に基づき、例えば、電子メールや電話等の連絡手段を用いて、保守要員やユーザに記憶制御装置10の障害を通知することができる。
一方、第1DC/DCコンバータ310のいずれかに障害が発生していると判定された場合(S72:YES)、障害監視部330は、各第2DC/DCコンバータ310に関する障害情報を取得する(S76)。障害監視部330は、各第2DC/DCコンバータ310のいずれかに障害が発生しているか否かを判定する(S77)。
各第1DC/DCコンバータ310のいずれかに異常状態が検出された場合(S77:YES)、障害監視部330は、この異常の検出された第1DC/DCコンバータ310に関する警報信号を出力する(S78)。
S77で「YES」と判定された場合は、第1DC/DCコンバータ310及び第2DC/DCコンバータ310の両方で、障害の発生が検出された場合である。そこで、障害監視部330は、各ディスクドライブ210に関する障害情報をそれぞれ取得し(S79)、各ディスクドライブ210のいずれかに異常が生じているか否かを判定する(S80)。障害監視部330は、例えば、各ディスクドライブ210とインターフェース回路340との通信状態等に基づいて、ディスクドライブ210の異常の有無を検出できる。
各ディスクドライブ210のいずれかに異常が認められた場合(S80:YES)、障害監視部330は、S80で異常の検出されたディスクドライブ210と、S72及びS77で異常の検出された第1DC/DCコンバータ310及び第2DC/DCコンバータ310とが、対応しているか否かを判定する(S82)。即ち、障害監視部330は、異常の検出されたディスクドライブ210にそれぞれ接続されている第1DC/DCコンバータ310及び第2DC/DCコンバータ310に異常が検出されたか否かを確認する。
異常の検出されたディスクドライブ210に接続されている第1DC/DCコンバータ310及び第2DC/DCコンバータ310に異常状態が発生していると判定された場合(S82:YES)、障害監視部330は、S80で異常状態が検出されたディスクドライブ210について、警報を出力する(S83)。異常の検出されたディスクドライブ210と異常の検出された第1DC/DCコンバータ310及び第2DC/DCコンバータ310とが対応していない場合(S80:NO)、障害監視部330は、S72及びS77で異常の検出された第1DC/DCコンバータ310及び第2DC/DCコンバータ310とについて、警報を出力する(S81)。
例えば、ディスクドライブ210へのデータ入出力に応答遅れ等の何らかの異常が認められ、かつ、そのディスクドライブ210に接続されている各DC/DCコンバータ310の両方にも異常が検出された場合は、ディスクドライブ210内で電源障害が発生していると考えることができる。上述の通り、ディスクドライブ210の内部で回路ショート等の電源障害が発生した場合、そのディスクドライブ210に接続されている各DC/DCコンバータ310の保護回路が作動して、これら各DC/DCコンバータ310の作動が停止するためである。
このように、本実施例では、各DC/DCコンバータ310及び各ディスクドライブ210の異常の有無に基づいて、電源障害の発生している可能性が高いディスクドライブ210を特定することができる。従って、ユーザは、障害発生箇所や原因を容易に特定することができ、保守作業の作業性等を向上させることができる。
本実施例による記憶制御装置10の電源装置300は、上述の構成を備える。従って、既に述べた通り、各ディスクドライブ210への電源供給構造を冗長化して信頼性を高めることができると共に、ディスクドライブ210や電源装置300の製造コストを低減させることができ、かつ、生産性を高めることができる。
また、本実施例では、冗長化された電源供給構造によって、各ディスクドライブ210毎にそれぞれ個別に電源供給の開始及び停止を制御できる構成とした。従って、目的のディスクドライブ210への直流電源の供給を停止させてから、目的のディスクドライブ210を取り外すことができる。そして、取り外したディスクドライブ210または新たなディスクドライブ210を取り付けた後で、直流電源を供給させることができる。従って、例えば、ディスクドライブ210単体の設定変更を行う場合や、新品のディスクドライブ210に交換する場合の作業性が向上する。目的とするディスクドライブ210のみの電源供給を個別に制御することができ、他のディスクドライブ210への電源供給に全く影響を与えないためである。また、個別に電源制御を行うことができるため、ディスクドライブ210内に活線挿抜を可能とするための仕組みを備える必要もない。従って、本実施例のディスクドライブ210は、活線挿抜のための電気回路及びDC/DCコンバータを内蔵しないため、従来のディスクドライブよりも構成を簡素化して製造コスト等を低減することができる。
1…ディスクドライブ、2…DC/DCコンバータ、3…AC/DCコンバータ、4…電源制御部、5…管理部、6…ドライブグループ、7A,7B…サブグループ、10…記憶制御装置、11…基本筐体、12…増設筐体、13…ホスト、14…管理端末、15…管理サーバ、20…HDDボックス、30…コントローラ、40…AC/DCコンバータ、41…定電圧化回路、42…通常出力、43,43B…予備出力、44…抵抗、50…バッテリ部、60…バックボード、70…バックボード、110…チャネルアダプタ、111…通信ポート、120…ディスクアダプタ、130…キャッシュメモリ、140…共有メモリ、150…接続制御部、210…ディスクドライブ、212…RAIDグループ、213…論理ボリューム、214…ドライブグループ、220…ドライブ本体、230…プロトコル変換回路、300…電源装置、310…DC/DCコンバータ、311…DC/DCコンバータ基板、312,313,313A,313B…ダイオード、314…コンデンサ、320…電源制御部、330…障害監視部、340…インターフェース回路、AC1,AC2…交流電源、CN2…通信ネットワーク