以下、図面に基づき、本発明の実施の形態を説明する。本実施形態では、記憶制御装置の電源装置を例に挙げて説明する。図1は、本実施形態に係る電源装置の全体概要を示す説明図である。
記憶制御装置は、複数のディスクドライブ1を備えている。ディスクドライブ1は、「負荷」または「記憶デバイス」に該当する。記憶デバイスとしては、例えば、ハードディスクドライブ、半導体メモリデバイス、フラッシュメモリデバイス、光ディスクドライブ、光磁気ディスクドライブ、磁気テープデバイス等を用いることができる。
複数のディスクドライブ1によって、一つのドライブグループDGが構成される。ドライブグループDGとは、例えば、同一の筐体内に設けられる複数のディスクドライブ1のグループであり、各ドライブグループ毎に電源供給が行われる。
ドライブグループDGは、「負荷グループ」または「デバイスグループ」に該当し、論理的なグループであるパリティグループとは異なる。一つのドライブグループDGは、複数のサブグループSGに分割されている。即ち、各ドライブグループDGは、それぞれ複数ずつのサブグループSGを備えている。本実施形態では、各ドライブグループDGの有するサブグループSGの数は、同一となっている。
図1では、各サブグループSGに属するディスクドライブ1の数が同数となるように、サブグループSGは設定される。しかし、後述の実施例から明らかなように、各サブグループSGを構成するディスクドライブ1の数は、必ずしも同数である必要はない。
図1に示す例では、各サブグループSGは、それぞれ2個ずつのディスクドライブ1から構成されている。そして、各ドライブグループDGは、それぞれ2個ずつのサブグループSGを備えている。
換言すれば、図1に示す例では、#0〜#3の合計4個のディスクドライブ1によって、一つのドライブグループDGが構成されており、同様に、#4〜#7の合計4個のディスクドライブ1によって、別の一つのドライブグループDGが構成されている。そして、各ドライブグループDG内では、それぞれ2個のディスクドライブ1によって一つのサブグループSGが構成されている。図1に示す構成は、本発明の理解のために簡略化されたものであり、本発明は図1に示す構成に限定されない。
電源装置は、例えば、複数の通常電源基板2Aと、少なくとも一つの冗長電源基板2Bと、少なくとも一つの電源制御部5と、を備えて構成することができる。電源装置は、各ディスクドライブ1に、例えば、直流5ボルトや直流12ボルト等のような電源をそれぞれ供給する。電源装置は、記憶制御装置の他の部分にも電源を供給可能である。他の部分としては、例えば、記憶制御装置の全体動作を制御するためのコントローラ、冷却ファン等を挙げることができる。記憶制御装置の構成は、後述の実施例で明らかにされる。
通常電源基板2Aは、「第1電源ユニット」に相当する。冗長電源基板2Bは、「第2電源ユニット」に相当する。通常電源基板2A及び冗長電源基板2Bは、それぞれディスクドライブ1の外部に設けられている。
各通常電源基板2A及び一つの冗長電源基板2Bは、同一構成を備える電源基板として構成することができる。通常電源基板2A及び冗長電源基板2Bを同一構成とすることにより、電源基板の製造コストや管理コストを低減することができる。後述の実施例から明らかとなるように、通常電源基板2Aの出力電圧値と冗長電源基板2Bの出力電圧値とは、異なるように設定することができる。
図1に示すように、2個の通常電源基板2Aと1個の冗長電源基板2Bとによって、一つのペアが構成される。このペアは、各ディスクドライブ1へ給電するための管理上の単位となる。記憶制御装置は、このペアを複数備えることができる。従って、後述の実施例で述べるように、記憶制御装置には、複数の通常電源基板2A及び複数の冗長電源基板2Bが設けられる。換言すれば、電源供給上の一つの単位において、複数の通常電源基板2Aに対して一つの冗長電源基板2Bが対応付けられる。つまり、一つの冗長電源基板2Bが、複数の通常電源基板2Aをサポートするようになっている。
通常電源基板2Aは、各ドライブグループDGにそれぞれ対応して設けられる。各ドライブグループDGには、一つの通常電源基板2Aがそれぞれ対応付けられる。冗長電源基板2Bは、一つの管理単位において、全ドライブグループDGに対応付けられる。
各通常電源基板2Aは、第1経路Laを介して、対応するドライブグループDG内の各ディスクドライブ1に、所定の電源をそれぞれ供給する。冗長電源基板2Bは、第2経路Lb(図中に示すLb1及びLb2を合わせて、第2経路Lbと呼ぶことにする)を介して、全てのドライブグループDG内の各ディスクドライブ1に、電源をそれぞれ供給するようになっている。
但し、後述の実施例から明らかとなるように、通常時では、通常電源基板2Aからのみ各ディスクドライブ1に所定の電源を供給するようになっており、冗長電源基板2Bから各ディスクドライブ1に電源は供給されない。障害が生じた場合に、冗長電源基板2Bから電源が供給される。
各電源基板2A,2Bは、それぞれ複数のDC/DCコンバータ3を備えている。各DC/DCコンバータ3は、AC/DC電源部4から入力された直流電源を他の電圧値の直流電源(例えば、直流5ボルト)に変換して、対応するディスクドライブ1にそれぞれ供給するものである。
通常電源基板2Aの備えるDC/DCコンバータ3は、「第1電源出力部」に相当する。冗長電源基板2Bの備えるDC/DCコンバータ3は、「第2電源出力部」に相当する。図1に示す例では、各電源基板2A,2Bは、一つのドライブグループDG内に含まれるサブグループSGの数と等しい数だけ、DC/DCコンバータ3をそれぞれ備えている。図示の例では、サブグループSGの数は2であるから、各電源基板2A,2Bは、それぞれ2個ずつのDC/DCコンバータ3を備える。
通常電源基板2A内の各DC/DCコンバータ3は、対応するドライブグループDG内の各サブグループSGにそれぞれ対応付けられており、この対応付けられたサブグループSG内の各ディスクドライブ1に、第1経路Laを介して、電源を供給する。
例えば、DC/DCコンバータ3(#1)は、対応するサブグループSG内のディスクドライブ1(#0,#1)に電源を供給し、DC/DCコンバータ3(#2)は、対応するサブグループSG内のディスクドライブ1(#2,#3)に電源を供給する。同様に、DC/DCコンバータ3(#3)は、対応するサブグループSG内のディスクドライブ1(#4,#5)に電源を供給し、DC/DCコンバータ3(#4)は、対応するサブグループSG内のディスクドライブ1(#6,#7)に電源を供給する。つまり、通常電源基板2A内の各DC/DCコンバータ3は、通常電源基板2Aの対応するドライブグループDG内の各サブグループSGに、それぞれ一対一で対応付けられている。
冗長電源基板2B内の各DC/DCコンバータ3は、各サブグループSGの全てにそれぞれ対応付けられており、各サブグループSG毎に、各サブグループSG内の各ディスクドライブ1のうち所定の一つのディスクドライブ1にそれぞれ電源を供給可能である。
例えば、冗長電源基板2B内の一方のDC/DCコンバータ3(#5)は、各ドライブグループDG内の各サブグループSGのそれぞれに対応付けられている。同様に、冗長電源基板2B内の他方のDC/DCコンバータ3(#6)は、各ドライブグループDG内の各サブグループSGのそれぞれに対応付けられている。
冗長電源基板2B内の各DC/DCコンバータ3は、各サブグループSG内の各ディスクドライブ1のうち、いずれか一つのディスクドライブ1に直流電源を供給する。即ち、一方のDC/DCコンバータ3(#5)は、経路Lb1を介して、ディスクドライブ1(#0,#2,#4,#6)にそれぞれ接続されている。他方のDC/DCコンバータ3(#6)は、経路Lb2を介して、ディスクドライブ1(#1,#3,#5,#7)にそれぞれ接続されている。
換言すれば、冗長電源基板2B内の各DC/DCコンバータ3(#5,#6)は、各サブグループSG内の同一順位のディスクドライブ1にそれぞれ接続されている。即ち、図中最も左側のサブグループSGでは、ディスクドライブ1(#0)が第1順位、ディスクドライブ1(#1)が第2順位である。隣のサブグループSGでは、ディスクドライブ1(#2)が第1順位、ディスクドライブ1(#3)が第2順位である。さらに隣のサブグループSGでは、ディスクドライブ1(#4)が第1順位、ディスクドライブ1(#5)が第2順位である。最も右側のサブグループSGでは、ディスクドライブ1(#6)が第1順位、ディスクドライブ1(#7)が第2順位である。
サブグループ内の順位という観点に着目すると、一方のDC/DCコンバータ3(#5)は、各サブグループSG内の第1順位のディスクドライブ1(#0,#2,#4,#6)にそれぞれ接続されており、他方のDC/DCコンバータ3(#6)は、各サブグループSG内の第2順位のディスクドライブ1(#1,#3,#5,#7)にそれぞれ接続されている。
このように、各サブグループSG内の各ディスクドライブ1は、それぞれ複数のDC/DCコンバータ3に接続されている。例えば、ディスクドライブ1(#0)は、通常電源基板2A内のDC/DCコンバータ3(#1)及び冗長電源基板2B内のDC/DCコンバータ3(#5)に、ディスクドライブ1(#1)は通常電源基板2A内のDC/DCコンバータ3(#1)及び冗長電源基板2B内のDC/DCコンバータ3(#6)に、ディスクドライブ1(#2)は通常電源基板2A内のDC/DCコンバータ3(#2)及び冗長電源基板2B内のDC/DCコンバータ3(#5)に、ディスクドライブ1(#3)は、通常電源基板2A内のDC/DCコンバータ3(#2)及び冗長電源基板2B内のDC/DCコンバータ3(#6)に、それぞれ接続されている。他の各ディスクドライブ1(#4〜#7)についても、同様である。従って、詳細はさらに後述するが、いずれか一方のDC/DCコンバータ3の作動が停止した場合でも、ディスクドライブ1には、他方のDC/DCコンバータ3から電源が供給される。
AC/DC電源部4は、各DC/DCコンバータ3にそれぞれ接続されており、直流電源をそれぞれ供給する。各AC/DC電源部4は、OR接続されている。即ち、いずれか一方のAC/DC電源部4の作動が停止した場合でも、他方のAC/DC電源部4から各DC/DCコンバータ3に直流電源がそれぞれ供給される。
各電源制御部5は、各通常電源基板2A及び冗長電源基板2Bの動作を制御するための電子回路として構成される。各基板2A,2B内の各DC/DCコンバータ3は、それぞれ電源制御部5に接続されている。各DC/DCコンバータ3は、電源制御部5からの指示に応じて、電源供給を開始したり、または、電源供給を停止させる。各DC/DCコンバータ3は、自分自身の作動状態を電源制御部5に通知する。
図1中では、複数の電源制御部5を設けている。本実施形態では、図中上側の電源制御部5が、各通常電源基板2A内の各DC/DCコンバータ3の制御を担当し、図中下側の電源制御部5が、冗長電源基板2B内の各DC/DCコンバータ3の制御を担当する。これに限らず、一つの電源制御部5が、各通常電源基板2A及び冗長電源基板2B内の各DC/DCコンバータ3を制御する構成としてもよい。
各電源制御部5は、管理部6を介して入力された指示に基づいて、各DC/DCコンバータ3から直流電源を出力させたり、あるいは、各DC/DCコンバータ3からの電源出力を停止させる。また、各電源制御部5は、それぞれの制御下にある各DC/DCコンバータ3の状態を取得し、この取得した状態を管理部6に通知する。例えば、各DC/DCコンバータ3は、自分自身が正常に作動しているか否かを示す信号を電源制御部5に出力する。電源制御部5は、各DC/DCコンバータ3からの信号を読み取ることにより、各DC/DCコンバータ3が正常に作動しているか否かを検出することができる。
管理部6は、各電源制御部5にそれぞれ接続されている。管理部6は、各電源制御部5をそれぞれ管理するためのものである。管理部6は、例えば、記憶制御装置の外部に存在する管理端末に接続することができる。
本実施形態の電源装置は、上述の構成を備える。従って、ディスクドライブ1のいずれかに電源障害が発生した場合でも、その電源障害による影響が他のディスクドライブ1に及ぶのを防止することができ、信頼性が向上する。
例を挙げて説明する。例えば、ディスクドライブ1(#1)の内部回路において、直流5ボルトの流れるラインがショートしたと仮定する。この場合、ディスクドライブ1(#1)に接続されている各DC/DCコンバータ3(#1,#6)では、過電流保護回路または低電圧検出回路等のような保護回路がそれぞれ作動する。従って、各DC/DCコンバータ3(#1,#6)は、それぞれ作動を停止する。
通常電源基板2A内のDC/DCコンバータ3(#1)の作動が停止すると、このDC/DCコンバータ3(#1)に接続されている各ディスクドライブ1(#0,#1)への電源供給も停止する。しかし、ディスクドライブ1(#0)には、冗長電源基板2B内のDC/DCコンバータ3(#5)から直流電源が供給される。従って、ディスクドライブ1(#0)は、動作を継続する。
他方、冗長電源基板2B内のDC/DCコンバータ3(#6)の作動が停止すると、このDC/DCコンバータ3(#6)に接続されているディスクドライブ1(#1,#3,#5,#7)に関する、直流電源供給の冗長構成は失われる。
しかし、ディスクドライブ1(#3)には、通常電源基板2A内のDC/DCコンバータ3(#2)から直流電源が供給される。ディスクドライブ1(#5)には、通常電源基板2A内のDC/DCコンバータ3(#3)から直流電源が供給される。ディスクドライブ1(#7)には、通常電源基板2A内のDC/DCコンバータ3(#4)から直流電源が供給される。従って、停止したDC/DCコンバータ3(#6)に接続されている各ディスクドライブ1(#3,#5,#7)は、それぞれ動作を継続する。
他のディスクドライブ1のいずれかに電源障害が生じた場合も同様である。いずれかのディスクドライブ1内で電源障害が発生した場合、このディスクドライブ1に接続されている複数のDC/DCコンバータ3は、それぞれ作動を停止する。しかし、正常な他のディスクドライブ1には、通常電源基板2A内のDC/DCコンバータ3または冗長電源基板2B内のDC/DCコンバータ3のいずれか一つから、直流電源が供給される。
つまり、本実施形態の電源装置では、ディスクドライブ1の外部に設けたDC/DCコンバータ3を冗長構成としているため、いずれか一つのディスクドライブ1で電源障害が生じた場合でも、この電源障害の影響が他の正常なディスクドライブ1に波及するのを防止することができる。
また、本実施形態では、通常電源基板2A内のDC/DCコンバータ3を、対応するサブグループSG内の各ディスクドライブ1にそれぞれ対応付け、冗長電源基板2B内のDC/DCコンバータ3を、全てのサブグループSG内のいずれか一つずつのディスクドライブ1にそれぞれ対応付ける構成とする。これにより、本実施形態では、各ディスクドライブ1は、通常電源基板2A内のDC/DCコンバータ3及び冗長電源基板2B内のDC/DCコンバータ3の両方からそれぞれ給電可能な構成としている。
このような構成により、本実施形態では、各ディスクドライブ1毎に、電源供給を個別に制御することができる。例えば、上記の例で言えば、DC/DCコンバータ3(#1)及びDC/DCコンバータ(#6)の作動をそれぞれ停止させることにより、ディスクドライブ1(#1)への電源供給のみを停止させることができる。この場合、他のディスクドライブ1(#0,#2〜#7)には、別のDC/DCコンバータ3から直流電源が供給されるため、他のディスクドライブ1(#0,#2〜#7)の動作に影響を与えない。従って、ディスクドライブ1(#1)のみへの電源供給を停止させてから、ディスクドライブ1(#1)を取り外して、新品のディスクドライブ1に交換することができる。
このように、本実施形態では、ディスクドライブ1の外部に設けられたDC/DCコンバータ3によって、各ディスクドライブ1への直流電源の供給をそれぞれ個別に制御することができる。従って、保守作業のためにディスクドライブ1を交換等する場合は、交換対象のディスクドライブ1への電源供給のみを停止させて、新品のディスクドライブ1に交換することができる。そして、新品のディスクドライブ1に直流電源を供給して作動可能な状態にすることができる。
これにより、本実施形態では、活線挿抜のための電気回路をディスクドライブ1に設ける必要がない。電源供給を完全に停止させてからディスクドライブ1を取り外すことができ、そして、新品のディスクドライブ1を取り付けた後で電源供給を再開させることができるためである。従って、ディスクドライブ1内にDC/DCコンバータを設ける必要がなく、さらに、活線挿抜を可能にするための電気回路も設ける必要がないため、ディスクドライブ1の製造コストを低減することができる。
また、本実施形態では、ディスクドライブ1とDC/DCコンバータ3とを分離して設け、複数のDC/DCコンバータ3によって複数のディスクドライブ1をグループ管理する構成である。従って、DC/DCコンバータ3の数を第1従来技術よりも大幅に少なくすることができ、電源装置の製造コストを低減することができる。
さらに、本実施形態では、上述のように、各ディスクドライブ1への電源供給を個別に制御することができるため、電源障害の発生箇所を特定できる場合もある。即ち、あるディスクドライブ1の動作が停止した場合、その動作の停止したディスクドライブ1に直流電源を供給しているDC/DCコンバータ3が作動を停止しているか否かを確認する。もしも、DC/DCコンバータ3がいずれも停止していた場合は、ディスクドライブ1内で電源障害が発生したものと判断することができる。
さらに、本実施形態では、複数の通常電源基板2Aに対して、一つの冗長電源基板2Bを対応付ける構成とした。従って、第2従来技術に比べて、冗長電源基板2Bの数を少なくすることができる。これにより、電源装置の構成を簡素化かつ小型化することができ、記憶制御装置の空間を有効に使用することができる。以下、本実施形態の電源装置について、詳細に説明する。
図2は、記憶制御装置10の構成を模式的に示す説明図である。図2は、正面図に似せて表現しているが、実際の正面図とは相違する。
記憶制御装置10は、例えば、基本筐体11と増設筐体12とをケーブル60で接続することにより、構成することができる。基本筐体11のみから記憶制御装置10を構成してもよい。
基本筐体11は、記憶制御装置10の基本構成を備えており、基本筐体11のみで記憶制御装置10としての基本的な機能を実現可能である。基本筐体11は、例えば、複数のハードディスクボックス(以下「HDDボックス」)20と、コントローラ30と、AC/DC電源部40と、バッテリ部50とを備えて構成される。基本筐体11には、上位装置としてのホスト13が通信ネットワークを介して接続される。
増設筐体12は、オプション品として用意されており、記憶制御装置10の記憶容量を増強するために使用される。増設筐体12は、例えば、複数のHDDボックス20と、AC/DC電源部40及びバッテリ部50を備えている。各筐体11,12は、それぞれ独立した電源構成を備える。なお、記憶制御装置10の構成は、図2に示すものに限らない。例えば、基本筐体11からHDDボックスを除き、制御機能だけを設ける構成でもよい。
各HDDボックス20は、複数のディスクドライブ210(図3参照)を備える。各HDDボックス20の構成は、後述する。コントローラ30は、記憶制御装置10の制御機能を担当するものである。コントローラ30の構成は、図4と共に後述する。
AC/DC電源部40は、外部から供給される交流電源を、例えば、十数ボルト〜数十ボルトの直流電源に変換するものである。なお、以下の説明でも同様であるが、電圧値は一例に過ぎず、本発明は実施例に記載された電圧値に制限されない。
バッテリ部50は、例えば、停電等によって外部からの交流電源が停止した場合に、非常用の直流電力を供給するものである。これにより、停電等が発生した場合、キャッシュメモリ130(図4参照)に記憶されているライトデータは、バッテリ部50からの電源を利用して、ディスクドライブ210に書き込まれる。
図3は、増設筐体12の正面から見た場合の模式図であり、正確な正面図ではない。増設筐体12は、例えば、その前面に4個のHDDボックス20を備えている。各HDDボックス20には、例えば、それぞれ上下に16個ずつのディスクドライブ210が取り付けられている。8個のディスクドライブ210によって、一つのドライブグループDG(図5参照)が構成される。即ち、各HDDボックス20には、複数の(4個の)ドライブグループDGが設けられている。各段のディスクドライブ210の列の下側には、各ドライブグループDGに対応して、通常電源基板310が設けられている。
2番目のHDDボックス20(2)に着目すると、このHDDボックス20(2)内には、複数のディスクドライブ210及び複数の通常電源基板310に加えて、冗長電源基板320が設けられている。同様に、4番目のHDDボックス20(4)内にも冗長電源基板320が設けられている。1番目のHDDボックス20(1)及び3番目のHDDボックス20(3)は、冗長電源基板320を備えていない。つまり、本実施例では、2個のHDDボックス20に対して一つの冗長電源基板320を設けている。上述のように、1個のHDDボックス20内には、4個のドライブグループDGが設けられている。従って、本実施例では、8個のドライブグループDGについて一つの冗長電源基板320を割り当てるようになっている。なお、一つの冗長電源基板320がサポートするドライブグループDGの数(即ち、通常電源基板310の数に等しい)は、8に限られない。通常電源基板310及び冗長電源基板320の構成については、後述する。
各HDDボックス20には、バックボード60(図4参照)を介して、複数のAC/DC電源部40が設けられている。各ディスクドライブ210と各AC/DC電源部40との間には、各部を電気的に接続するためのバックボード60が設けられている。図3では、便宜上、AC/DC電源部40を増設筐体12の正面下側に配置しているが、上述の通り、AC/DC電源部40は、増設筐体12の背面側に設けることができる。
本実施例では、所定数の(2個の)HDDボックス20を一つの管理単位として、直流電源の供給に関する冗長構成を形成している。なお、2個に限らず、例えば、4個や8個のHDDボックス20を一つの管理単位として、直流電源の供給に関する構成を冗長化してもよい。
本実施例のディスクドライブ210は、例えば、ATA(AT Attachment)ディスク、SCSI(Small Computer System Interface)ディスク、FC(Fibre Channel)ディスク等のようなハードディスクドライブとして構成される。これに限らず、例えば、半導体メモリドライブ(フラッシュメモリデバイスを含む)、光ディスクドライブ、光磁気ディスクドライブ等の他の記憶デバイスを用いてもよい。ディスクドライブ210は、図1中のディスクドライブ1に対応する。
詳細は後述するが、例えば、4個1組、8個1組等のような所定数のディスクドライブ210によって、RAIDグループ212(図4参照)が構成される。RAIDグループ212は、それぞれ異なるドライブグループDGに跨るようにして構成される。即ち、それぞれ別々のドライブグループDG内から選択された複数のディスクドライブ210によって、RAIDグループ212が構成される。
図4は、記憶制御装置10のブロック図である。まず、記憶制御装置10を含むストレージシステムの全体を説明し、次に、コントローラ30の詳細を説明する。
記憶制御装置10は、通信ネットワークCN1を介して、複数のホスト13と接続可能である。ホスト13は、例えば、図外のクライアント端末からの要求に応じて、記憶制御装置10にアクセスし、データの読み書きを行う。ホスト13としては、例えば、メインフレームコンピュータやサーバコンピュータ等を挙げることができる。通信ネットワークCN1としては、例えば、LAN(Local Area Network)、SAN(Storage Area Network)、インターネットあるいは専用回線等を挙げることができる。
LANを用いる場合、ホストコンピュータ13と記憶制御装置10とは、例えば、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)に従って通信を行う。SANを用いる場合、ホストコンピュータ13と記憶制御装置10とは、例えば、ファイバチャネルプロトコルに従って通信を行う。また、ホストコンピュータ13がメインフレームコンピュータである場合、例えば、FICON(Fibre Connection:登録商標)、ESCON(Enterprise System Connection:登録商標)、ACONARC(Advanced Connection Architecture:登録商標)、FIBARC(Fibre Connection Architecture:登録商標)等の通信プロトコルに従ってデータ転送が行われる。
記憶制御装置10には、管理用の通信ネットワークCN2を介して、管理端末14を接続することもできる。管理端末14は、記憶制御装置10の各種設定等を行うためのコンピュータ端末である。管理端末14は、通信ネットワークCN5を介して、管理サーバ15に接続することができる。管理サーバ15は、複数の記憶制御装置10を一括して管理可能なコンピュータ装置である。通信ネットワークCN2,CN5としては、例えば、LANやインターネット等を挙げることができる。
次に、コントローラ30の構成を説明する。コントローラ30は、例えば、チャネルアダプタ(以下、CHA)110と、ディスクアダプタ(以下、DKA)120と、キャッシュメモリ130と、共有メモリ140と、接続制御部150と、サービスプロセッサ(以下、SVP)160とを備えて構成可能である。
各CHA110は、各ホスト13との間のデータ転送を制御するもので、複数の通信ポート111を備えている。記憶制御装置10には、複数のCHA110を設けることができる。CHA110は、例えば、オープン系サーバ用CHA、メインフレーム系用CHA等のように、ホスト13の種類に応じて用意される。各CHA110は、それぞれに接続されたホスト13から、データの読み書きを要求するコマンドを受信し、ホスト13から受信したコマンドに従って動作する。
各DKA120は、記憶制御装置10内に複数個設けることができる。各DKA120は、各ディスクドライブ210との間のデータ通信を制御する。各DKA120と各ディスクドライブ210とは、例えば、SAN等の通信ネットワークCN4を介して接続されており、ファイバチャネルプロトコルに従ってブロック単位のデータ転送を行う。各DKA120は、ディスクドライブ210の状態を随時監視しており、この監視結果は、内部ネットワークCN3を介して、SVP160に送信される。
なお、各CHA110及び各DKA120をそれぞれ別々の制御回路基板として構成することもできるし、一つの制御回路基板にCHA機能及びDKA機能をそれぞれ設けることもできる。
キャッシュメモリ130は、例えば、ユーザデータ等を記憶する。キャッシュメモリ130は、例えば、不揮発メモリから構成可能であるが、揮発メモリから構成することもできる。キャッシュメモリ130が揮発メモリから構成される場合、キャッシュメモリ130はバッテリ部50によってバックアップされる。
共有メモリ(あるいは制御メモリ)140は、記憶制御装置10の作動を制御するための各種制御情報や管理情報等が記憶される。共有メモリ140は、例えば、不揮発メモリから構成される。制御情報等は、複数の共有メモリ140によって多重管理することができる。
なお、キャッシュメモリ130と共有メモリ140とを別々のメモリ回路基板として構成してもよいし、一つのメモリ回路基板内にキャッシュメモリ130及び共有メモリ140を実装してもよい。また、キャッシュメモリの一部を制御情報を格納するための制御領域として使用し、他の部分をデータを記憶するためのキャッシュ領域として使用する構成でもよい。
接続制御部150は、各CHA110と、各DKA120と、キャッシュメモリ130と、共有メモリ140とをそれぞれ接続するものである。これにより、全てのCHA110,DKA120は、キャッシュメモリ130及び共有メモリ140にそれぞれアクセス可能である。接続制御部150は、例えば、クロスバスイッチ等から構成される。
SVP160は、LAN等の内部ネットワークCN3を介して、各CHA110及び各DKA120とそれぞれ接続されている。さらに、SVP160は、電源装置300にも接続されている。SVP160は、通信ネットワークCN2を介して、管理端末14に接続されており、記憶制御装置10内の各種状態を収集して、管理端末14に提供する。また、管理端末14あるいは管理サーバ15は、SVP160を介して、記憶制御装置10の構成等を変更することもできる。
以上のように、コントローラ30は、複数種類の基板(CHA110,DKA120等)をコントローラ筐体に実装することにより、構成することができる。これに限らず、単一の制御基板上に、上述した各機能(ホスト13との通信機能、ディスクドライブ210との通信機能、データ処理機能等)を設ける構成でもよい。この場合、複数の制御基板を設けて冗長構成とするのが、記憶制御装置10の信頼性向上の観点からは好ましい。
コントローラ30によるデータ入出力処理を先に説明する。CHA110は、ホスト13から受信したリードコマンドを共有メモリ140に記憶させる。DKA120は、共有メモリ140を随時参照しており、リードコマンドを発見すると、ディスクドライブ210からデータを読み出して、キャッシュメモリ130に記憶させる。CHA110は、キャッシュメモリ130にコピーされたデータを読み出し、ホスト13に送信する。
CHA110は、ホスト13からライトコマンドを受信すると、このライトコマンドを共有メモリ140に記憶させる。CHA110は、受信したライトデータをキャッシュメモリ130に記憶させる。CHA110は、キャッシュメモリ130にライトデータを記憶した後、ホスト13に書込み完了を報告する。DKA120は、共有メモリ140に記憶されたライトコマンドに従って、キャッシュメモリ130に記憶されたライトデータを読出し、所定のディスクドライブ210に記憶させる。なお、ライトデータをディスクドライブ210に書き込んだ後で、ホスト13に書込み完了を報告する構成でもよい。
ここで、キャッシュメモリ130にのみ記憶されているユーザデータは、ダーティデータと呼ばれ、キャッシュメモリ130及びディスクドライブ210の両方に記憶されているデータはクリーンデータと呼ばれる。クリーンデータは消去可能であり、例えば、キャッシュメモリ130の空き領域が不足した場合には、消去される。記憶制御装置10の電源供給系統に何らかの障害が発生した場合、バッテリ部50によって維持される作動時間内に、キャッシュメモリ130に記憶されているダーティデータは、ディスクドライブ210に格納される。
図4の下側に示すように、所定数のディスクドライブ210によってRAIDグループ212が構成される。RAID5等のようなパリティを用いるRAIDグループ212は、パリティグループと呼ばれることもある。RAIDグループ212は、各ディスクドライブ210の有する物理的記憶領域に基づいて、冗長記憶領域を構成する。このRAIDグループ212の提供する物理的な記憶領域には、一つまたは複数の論理的な記憶領域(LU)213を設定することができる。この論理的な記憶領域213は、論理ボリュームまたは論理的記憶デバイスと呼ばれる。
図4のさらに下側に示すように、記憶制御装置10には、電源装置300も設けられている。電源装置300は、各ディスクドライブ210及びコントローラ30にそれぞれ所定の直流電源を供給する。
電源装置300の詳細はさらに後述するが、先に簡単に説明する。電源装置300は、例えば、通常電源基板310と、冗長電源基板320と、複数の電源制御部330と、複数のAC/DC電源部40と、一つの障害監視部340とを含んで構成される。電源装置300と各ディスクドライブ210とは、バックボード60に形成された配線を介して、接続されている。なお、図4では、紙面の都合上、各電源基板310,320を「DC/DC」と表現している。
図5は、電源装置300内の接続関係を模式的に示す説明図である。本実施例では、上述のように、8個のドライブグループDGに対して一つの冗長電源基板320を割り当てる構成となっている。紙面の都合上、以下に参照する各図では、8個のドライブグループDGのうちの一部のドライブグループDGに着目して示す。
各ドライブグループDGには、それぞれ一つずつの通常電源基板310が割り当てられている。各通常電源基板310は、第1経路L1を介して、対応するドライブグループDG内の各ディスクドライブ210に直流電源をそれぞれ供給する。
各通常電源基板310は、DC/DCコンバータ311,312をそれぞれ備える。一方のDC/DCコンバータ311は、例えば、直流5ボルト程度の電源を出力する。DC/DCコンバータ311は、図6等に示すように複数設けられる。図5では、紙面の都合上、1個のDC/DCコンバータ311を示す。他方のDC/DCコンバータ312は、例えば、直流12ボルト程度の電源を出力する。
中継回路315は、冗長電源基板320から供給される直流電源を、他の所定の通常電源基板310から出力される直流電源に伝えるための回路である。本実施例では、2個の通常電源基板310によって一つの冗長ペアが構成されている。冗長ペアを構成する各通常電源基板310の中継回路315は、互いに相手方の通常電源基板310に接続される第1経路L1の途中に、第2経路L2を介してOR接続されている。
図5に示す例では、通常電源基板310(1)と通常電源基板310(2)、通常電源基板(n−2)と通常電源基板310(n−1)とは、それぞれ冗長ペアを構成する。通常電源基板310(1)の中継回路315は、第2経路L2を介して、通常電源基板310(2)の第1経路L1に接続されている。同様に、通常電源基板310(2)の中継回路315は、第2経路L2を介して、通常電源基板310(1)の第1経路L1に接続されている。通常電源基板310(n−2)及び310(n−1)についても、同様に構成されている。
つまり、本実施例では、冗長ペアを構成する複数の通常電源基板310同士が、互いに相手方の直流電源供給をサポートするための経路(中継回路315)を提供している。換言すれば、各通常電源基板310から供給される直流電源は、冗長ペアを構成する他の通常電源基板310及び冗長電源基板320によって、サポートされている。
冗長電源基板320は、通常電源基板310と同様に、DC/DCコンバータ311,312と中継回路315とを備えて構成される。但し、本実施例では、冗長電源基板320の中継回路315は、使用されない。冗長電源基板320から出力される直流電源は、経路L3を介して、各中継回路315にそれぞれ供給される。各通常電源基板310内の中継回路315は、経路L3から入力された直流電源を、経路L2上に出力する。経路L2は、経路L1の途中でOR接続されている。
ここで、経路L1上の電圧値よりも、経路L2上の電圧値の方が低くなるように、本実施例では予め設定されている。バックアップ経路L2の電圧値を主経路L1の電圧値よりも低く設定することにより、通常時においては、経路L1からのみ、各ディスクドライブ210に直流電源が供給される。経路L1に直流電源が供給されない異常時には、この経路L1に接続された経路L2を介して、冗長電源基板320からの直流電源が各ディスクドライブ210に供給される。
経路L2の電圧値を経路L1の電圧値よりも低下させる方法としては、種々のものを採用することができる。一つの方法として、経路L1に設けるダイオードの数よりも、経路L2に設けるダイオードの数を多くする方法を挙げることができる。例えば、中継回路315にダイオードを設けることにより、経路L1と経路L2のダイオード数を変えて、電圧値を異ならせることができる。他の方法として、冗長電源基板320から出力される直流電源の電圧値を低下させる方法を挙げることができる。
図6はドライブグループDGを構成する各ディスクドライブ210への電源供給構造を模式的に示す回路図である。図6では、本発明の理解のために、電源供給構造を模式的に示す。より詳細な構造は、図8,図9に示される。
各ドライブグループDGは、それぞれ8個のディスクドライブ210を含む。図中、各ディスクドライブ210を識別するための番号(#0〜#F)を付す。#0〜#7の8個のディスクドライブ210は、一つのドライブグループDGを構成し、#8〜#Fの8個のディスクドライブ210は、別の一つのドライブグループDGを構成する。
そして、各ドライブグループDGには、それぞれ3個ずつのサブグループが設けられている。サブグループは、3個または2個のディスクドライブ210から構成される。図示の例では、左側に示すドライブグループDG内において、#0〜#2のディスクドライブ210、#3〜#5のディスクドライブ210、#6,#7のディスクドライブ210が、それぞれサブグループを構成する。同様に、右側に示すドライブグループDG内において、#8〜#Aのディスクドライブ210、#B〜#Dのディスクドライブ210、#E,#Fのディスクドライブ210は、それぞれサブグループを構成する。
各通常電源基板310及び冗長電源基板320には、複数のDC/DCコンバータ311がそれぞれ搭載されている。ここで、図6中の上側に示す各通常電源基板310内のDC/DCコンバータ311(A1−1,A1−2,A1−3,A2−1,A2−2,A2−3)を、主DC/DCコンバータと呼ぶことができる。図6中の下側に示す冗長電源基板320内のDC/DCコンバータ311(AN1,AN2,AN3)を副DC/DCコンバータと呼ぶことができる。
上述の通り、各通常電源基板310は、それぞれ一つずつのドライブグループDGに対応付けられている。主DC/DCコンバータ311(A1−1,A1−2,A1−3,A2−1,A2−2,A2−3)は、対応するドライブグループDG内のサブグループに、それぞれ対応付けられている。つまり、各主DC/DCコンバータ311は、それぞれ一つずつのサブグループにそれぞれ対応付けられている。
例えば、DC/DCコンバータ311(A1−1)は#0〜#2の3個のディスクドライブ210からなるサブグループに、DC/DCコンバータ311(A1−2)は#3〜#5の3個のディスクドライブ210からなるサブグループに、DC/DCコンバータ311(A1−3)は#6,#7の2個のディスクドライブ210からなるサブグループに、それぞれ対応付けられており、経路L11によって接続されている。
同様に、DC/DCコンバータ311(A2−1)は#8〜#Aの3個のディスクドライブ210からなるサブグループに、DC/DCコンバータ311(A2−2)は#B〜#Dの3個のディスクドライブ210からなるサブグループに、DC/DCコンバータ311(A2−3)は#E,#Fの2個のディスクドライブ210からなるサブグループに、それぞれ対応付けられており、経路L12によって接続されている。
ここで、図6中では、第1経路L1を、L11及びL12に分けて示す。各経路L11,L12は、各主DC/DCコンバータ311(A1−1〜A1−3,A2−1〜A2−3)に対応するディスクドライブ210の数に等しい線路を備えている。
図6中では、第2経路L2を、L211〜L213及びL221〜L223に分けて示してある。実線で示すL211,L221は、第1の副DC/DCコンバータ(AN1)に接続されている線路である。点線で示すL212,L222は、第2の副DC/DCコンバータ(AN2)に接続されている線路である。一点鎖線で示すL213,L223は、第3の副DC/DCコンバータ(AN3)に接続されている線路である。
各主DC/DCコンバータ311(A1−1〜A1−3,A2−1〜A2−3)からの直流出力(例えば5ボルト)は、ダイオードD1(図7参照)のような逆流防止素子を介して、対応するサブグループ内の各ディスクドライブ210にそれぞれ入力される。
副DC/DCコンバータ311(AN1〜AN3)は、全てのサブグループにそれぞれ対応付けられている。即ち、各副DC/DCコンバータ311は、#0〜#2のディスクドライブ210、#3〜#5のディスクドライブ210、#6,#7のディスクドライブ210、#8〜#Aのディスクドライブ210、#B〜#Dのディスクドライブ210、#E,#Fのディスクドライブ210、の各サブグループにそれぞれ対応付けられる。
各副DC/DCコンバータ311(AN1〜AN3)は、各サブグループを構成する各ディスクドライブ210のうち、いずれか一つずつのディスクドライブ210に対応付けられて、接続されている。即ち、冗長電源基板320内の各DC/DCコンバータ311は、各サブグループ内から1つずつ選択されたディスクドライブ210とそれぞれ対応付けられている。
例えば、図6中に実線L211,L222で示すように、副DC/DCコンバータ311(AN1)は、#0〜#2のディスクドライブ210からなるサブグループ内の#0のディスクドライブ210と、#3〜#5のディスクドライブ210からなるサブグループ内の#3のディスクドライブ210と、#6,#7のディスクドライブ210からなるサブグループ内の#6のディスクドライブ210と、#8〜#Aのディスクドライブ210からなるサブグループ内の#8のディスクドライブ210と、#B〜#Dのディスクドライブ210からなるサブグループ内の#Bのディスクドライブ210と、#E,#Fのディスクドライブ210からなるサブグループ内の#Eのディスクドライブ210と、それぞれ対応付けられて接続されている。
同様に、図6中点線L212,L222で示すように、副DC/DCコンバータ311(AN2)は、#0〜#2のディスクドライブ210からなるサブグループ内の#1のディスクドライブ210と、#3〜#5のディスクドライブ210からなるサブグループ内の#4のディスクドライブ210と、#6,#7のディスクドライブ210からなるサブグループ内の#7のディスクドライブ210と、#8〜#Aのディスクドライブ210からなるサブグループ内の#9のディスクドライブ210と、#B〜#Dのディスクドライブ210からなるサブグループ内の#Cのディスクドライブ210と、#E,#Fのディスクドライブ210からなるサブグループ内の#Fのディスクドライブ210と、それぞれ対応付けられて接続されている。
同様に、図6中一点鎖線L213,L223で示すように、副DC/DCコンバータ311(AN3)は、#0〜#2のディスクドライブ210からなるサブグループ内の#2のディスクドライブ210と、#3〜#5のディスクドライブ210からなるサブグループ内の#5のディスクドライブ210と、#8〜#Aのディスクドライブ210からなるサブグループ内の#Aのディスクドライブ210と、#B〜#Dのディスクドライブ210からなるサブグループ内の#Dのディスクドライブ210と、それぞれ対応付けられて接続されている。
各サブグループを構成するディスクドライブ210のうち、番号の若い順に順位付けすると、副DC/DCコンバータ311(AN1)は、各サブグループ内の第1順位のディスクドライブ210(#0,#3,#6,#8,#B,#E)に、副DC/DCコンバータ311(AN2)は、各サブグループ内の第2順位のディスクドライブ210(#1,#4,#7,#9,#C,#F)に、副DC/DCコンバータ311(AN3)は、各サブグループ内の第3順位のディスクドライブ210(#2,#5,#A,#D)に、それぞれ対応付けられている。
上述の通り、ドライブグループDGを構成する複数のディスクドライブ210は、複数のサブグループにグループ化されており、かつ、それぞれ複数のDC/DCコンバータ311(主DC/DCコンバータ及び副DC/DCコンバータ)に接続されている。
本実施例では、各ディスクドライブ210へ直流電源を供給する構造を、上述の通り冗長化している。つまり、各サブグループ内の各ディスクドライブ210には、そのサブグループ内の全てのディスクドライブ210に対応付けられている主DC/DCコンバータ311と、そのサブグループ内で一つのみのディスクドライブ210に対応付けられる副DC/DCコンバータ311との2つの系統から、直流電源がそれぞれ供給され得る。
従って、サブグループ内のいずれか一つのディスクドライブ210内で、例えば、回路がショートした場合でも、この電源障害が他のディスクドライブ210に悪影響を及ぼすことはない。ある一つのディスクドライブ210内で回路ショートが生じた場合、そのディスクドライブ210が属するサブグループを担当する主DC/DCコンバータ311は、直流電源の供給を停止するが、そのサブグループ内の他のディスクドライブ210には、副DC/DCコンバータ311から直流電源が供給されるためである。
例えば、#1のディスクドライブ210内で回路ショートが発生した場合を例に挙げて説明する。この場合、主DC/DCコンバータ311(A1−1)内の保護回路が作動し、主DC/DCコンバータ311(A1−1)は、各出力端子からの直流電源の供給を直ちに停止させる。この結果、#0,#1,#2の各ディスクドライブ210には、主DC/DCコンバータ311(A1−1)から直流電源が供給されなくなる。
同様に、#1のディスクドライブ210に接続されている副DC/DCコンバータ311(AN2)も、保護回路が作動することにより、各出力端子からの直流電源の供給を直ちに停止させる。この結果、#1,#4,#7,#9,#C,#Fの各ディスクドライブ210には、副DC/DCコンバータ311(AN2)から直流電源が供給されない。
従って、回路ショートを生じた#1のディスクドライブ210には、主DC/DCコンバータ311(A1−1)及び副DC/DCコンバータ311(AN2)のいずれからも直流電源が供給されない。
しかし、電源障害の生じたサブグループ内の他のディスクドライブ210(#0,#2)には、それぞれ別々の副DC/DCコンバータ311(AN1,AN3)から直流電源が供給される。従って、電源障害の生じたサブグループ内では、電源障害の生じたディスクドライブ210(#1)のみが完全に機能を停止し、他のディスクドライブ210(#0,#2)は正常動作を続行する。
副DC/DCコンバータ311(AN2)の停止に関連する他のサブグループ内のディスクドライブ210(#1,#4,#7,#9,#C,#F)には、それぞれのサブグループを担当する主DC/DCコンバータ311(A1−2,A1−3,A2−1,A2−2,A2−3)から直流電源が供給される。従って、これらの各ディスクドライブ210(#1,#4,#7,#9,#C,#F)も、正常に動作を継続する。
電源制御部330は、障害監視部340からの指示に基づいて、各DC/DCコンバータ311の作動を制御する。また、電源制御部330は、各DC/DCコンバータ311の状態を検出して、障害監視部340に通知する。電源制御部330は、例えば、ハードウェア回路として構成することができる。
各主DC/DCコンバータ311(A1−1〜A1−3,A2−1〜A2−3)と、各副DC/DCコンバータ(AN1〜AN3)のそれぞれについて、別々の電源制御部330を対応付ける構成でもよいし、あるいは、一つの電源制御部330によって、全てのDC/DCコンバータ311を制御する構成でもよい。各主DC/DCコンバータ311(A1−1〜A1−3,A2−1〜A2−3)と、各副DC/DCコンバータ311(AN1〜AN3)とのそれぞれについて、別々の電源制御部330を対応付ける構成とすれば、電源の制御構造を冗長化することができる。
各DC/DCコンバータ311は、電源制御部330からの指示(図中「ON/OFF」)に応じて、直流電源の供給動作を開始したり、または停止させる。また、各DC/DCコンバータ311は、自分自身が正常に作動しているか否かについての信号(図中「Warning」)を、電源制御部330に出力する。各DC/DCコンバータ311の動作を制御するための信号は、信号経路L4を介して、各DC/DCコンバータ311に伝達される。各DC/DCコンバータ311の状態を示す信号は、信号経路L5を介して、電源制御部330に伝達される。電源制御部330は、その制御下にある各DC/DCコンバータ311からの警報信号が入力されるポートを調べることにより、DC/DCコンバータ311に障害が生じているか否かを検出することができる。
なお、各DC/DCコンバータ311の出力には、コンデンサC1(図7参照)がそれぞれ並列に接続されている。図7中では、便宜上、DC/DCコンバータ311(A1−1)についてのみ、コンデンサC1を示している。DC/DCコンバータ311の各出力に並列にコンデンサC1を接続することにより、コンデンサC1に蓄積された余剰電荷で出力電流を補うことができる。従って、DC/DCコンバータ311の最大出力値を、各ディスクドライブ210でそれぞれ消費される最大電流値の総和に設定する必要はない。DC/DCコンバータ311は、実効電流を出力できるだけの出力容量を備えていれば足りる。これにより、DC/DCコンバータ311の出力容量を小さくすることができる。なお、コンデンサC1により、各ディスクドライブ210に供給される電流は、平滑化される。
図7は、一つの通常電源基板310に着目した回路図である。各通常電源基板310及び冗長電源基板320は、それぞれ同一の回路構成を備える。そこで、一つの通常電源基板310に着目して、図7に示す。図7で明らかにされた構成を中心に説明する。なお、紙面の都合上、一部の構成要素にのみ符号を付している。
複数のAC/DC電源部40からそれぞれ出力される直流電源は、各DC/DCコンバータ311及びDC/DCコンバータ312にそれぞれ入力される。第1AC/DC電源部40(1)からの出力は、直列に接続されたダイオードD2及びヒューズF1を介して、各DC/DCコンバータ311,312にそれぞれ入力される。この入力経路を、ここでは第1入力経路を呼ぶ。
また、第1AC/DC電源部40(1)からの出力は、直列に接続された抵抗R2及びダイオードD2を介して、第1入力経路のダイオードD2とヒューズF1との間に入力されている。この入力経路を第2入力経路と呼ぶ。
第2AC/DC電源部40(2)からの出力は、ダイオードD2を介して、第1入力経路のダイオードD2とヒューズF1との間に入力される。この入力経路を第3入力経路と呼ぶことにする。第1入力経路と第3入力経路とは、それぞれ独立しており、いずれか一方の入力経路に障害が生じた場合でも、他方の入力経路からの直流電源を各DC/DCコンバータ311,312に供給することができる。
上述の回路構成により、各AC/DC電源部40からの出力は、全て、ダイオードD2及びヒューズF1を介して、各DC/DCコンバータ311,312に分配される。ヒューズF1が溶断することにより、各AC/DC電源部40と通常電源基板310とは電気的に切り離され、過電流から回路を保護することができる。
また、本実施例では、各AC/DC電源部40と通常電源基板310とを接続する際に、第2入力経路は、第1入力経路及び第3入力経路よりも先に、回路が確立されるようになっている。例えば、コネクタのピン長を変えることにより、第2入力経路を第1入力経路及び第3入力経路よりも先に確立させることができる。これにより、第1AC/DC電源部40(1)からの出力は、まず最初に、第2入力経路を介して、各DC/DCコンバータ311,312にそれぞれ入力される。つまり、第2入力経路は、プリチャージ用の経路であり、通常電源基板310を活線挿入する際の突入電流を抑制する。図8に示すように、奇数番号の通常電源基板310では、第1AC/DC電源部40(1)と第2入力経路とを接続し、偶数番号の通常電源基板310では、第2AC/DC電源部40(2)と第2入力経路とを接続する。即ち、プリチャージ用の経路は、第1AC/DC電源部40(1)と第2AC/DC電源部40(2)とを交互に使用することにより、形成される。
なお、図示は省略するが、通常電源基板310は、各AC/DC電源部40から入力される電圧が瞬間的に低下した場合でも、正常な動作を継続できるように、例えば、コンデンサ等の瞬間停電防止用素子を備えることができる。
DC/DCコンバータ312は、AC/DC電源部40から入力された直流電源を直流12ボルトに変換する回路である。DC/DCコンバータ312の直流12ボルト出力は、ダイオードD1を介して、各ディスクドライブ210にそれぞれ供給される。また、DC/DCコンバータ312の直流12ボルト出力は、直列に接続された抵抗R1及びダイオードD1を介して、各ディスクドライブ210にそれぞれ供給される。この抵抗R1及びダイオードD1を介する出力は、プリチャージ用出力である。図中では、便宜上、ディスクドライブ210(0)へのプリチャージ用出力のみを示すが、直流12ボルトのプリチャージ出力は、各ディスクドライブ210にそれぞれ供給される。これにより、直流12ボルトを各ディスクドライブ210に供給する際の突入電流が抑制される。
DC/DCコンバータ312は、各DC/DCコンバータ311と同様に、電源制御部330と接続されている。DC/DCコンバータ312は、電源制御部330からの指示に応じて、電源供給動作を開始したり、または電源供給動作を停止する。DC/DCコンバータ312は、自分自身の状態(異常状態)を電源制御部330に通知することもできる。
各DC/DCコンバータ311は、AC/DC電源部(40)から入力された直流電源を直流5ボルトに変換する回路である。各DC/DCコンバータ311の出力は、3つまたは2つに分岐している。この分岐した出力は、それぞれ逆流防止用のダイオードD1を介して、所定のディスクドライブ210に接続される。都合上、DC/DCコンバータ311(A1−1)についてのみ図示するが、各DC/DCコンバータ311からの出力には、コンデンサC1がそれぞれ並列に接続される。
上述したDC/DCコンバータ311,312等から構成される回路は、出力回路314を構成する。この出力回路314のほかに、通常電源基板310は、中継回路315を備えている。
中継回路315は、冗長電源基板320から入力された直流5ボルト及び直流12ボルトの電源を、ダイオードD1を介して出力するための回路である。図8に示すように、各通常電源基板310と冗長電源基板320とは、基本的に同一の回路構成を備える。冗長電源基板320内の各DC/DCコンバータ311(AN1〜AN3)の出力は、冗長電源基板320内のダイオードD1を介して、中継回路315に入力される。
従って、各通常電源基板310から各ディスクドライブ210に直接接続される第1経路と、冗長電源基板320から中継回路315を介して第1経路にOR接続される第2経路とでは、ダイオードD1の数が異なる。第1経路上のダイオードD1の数は「1」であり、第2経路上のダイオードD1の数は「2」となる。冗長電源基板320内の一つのダイオードD1と中継回路315内の一つのダイオードD1とで、合計2個となる。
経路上に存在するダイオードD1の数が相違するため、通常時は、通常電源基板310から各ディスクドライブ210に直流電源(DC5V及びDC12V)がそれぞれ供給され、冗長電源基板320は直流電源を供給しない。ディスクドライブ210から見た場合、ダイオードD1の数の少ない経路の方が、インピーダンスが低いためである。即ち、通常時には、冗長電源基板320は、動作せずに待機している。冗長電源基板320は、障害が発生した場合に、直流電源を出力させる。
なお、図9と共に後述するように、EXT端子313を接地することによって、冗長電源基板320内の各DC/DCコンバータ311,312から出力される電圧値を、通常電源基板310内の各DC/DCコンバータ311,312から出力される電圧値よりも低下させることができる。
このように、本実施例では、冗長電源基板320の作動時間を通常電源基板310の作動時間よりも短縮することができ、冗長電源基板320の寿命を各通常電源基板310の寿命よりも長くすることができる。この結果、冗長電源基板320の信頼性を高めることができる。特に、本実施例では、一つの冗長電源基板320によって、複数の(例えば8個の)通常電源基板310を支援する構成のため、もしも冗長電源基板320に障害が生じると、複数の通常電源基板310に関する冗長構成が失われることになる。しかし、本実施例では、上述の通り、冗長電源基板320の作動時間をできるだけ短くすることができるため、冗長電源基板320の寿命を長くして信頼性を維持することができる。
図8は、より詳しい回路図である。図8に示すように、複数の通常電源基板310及び一つの冗長電源基板320によって、複数のドライブグループDG内の各ディスクドライブ210に直流電源がそれぞれ供給される。なお、紙面の都合上、図8では、2個の通常電源基板310及び一つの冗長電源基板320を示しているが、実際には、8個の通常電源基板310に対して一つの冗長電源基板320を設けることにより、直流電源の供給に関する冗長構成を得ることができる。なお、8個というのは例示であって、本発明はこれに限定されない。8個よりも少ない数、または、8個よりも多い数の通常電源基板310を一つの冗長電源基板320によって支援することもできる。一つの冗長電源基板320によって支援する通常電源基板310の数が増加するほど、1台のディスクドライブ210に必要なDC/DCコンバータ311の数は低下し、電源装置300の製造コストが低減される。
図9は、冗長電源基板320から出力される電圧値と通常電源基板310から出力される電圧値との関係を示すグラフである。ここで、図7に戻る。図7に示すように、各DC/DCコンバータ311,312には、EXT端子313がそれぞれ設けられている。このEXT端子313は、出力電圧の値を低下させるために使用される。EXT端子313を接地した場合、DC/DCコンバータ311,312の出力電圧の値V2は、通常時の出力電圧値V1よりもΔV1だけ低下するように、各DC/DCコンバータ311,312は予め構成されている。なお、図9では、直流12ボルトと直流5ボルトとを区別せずに示しているが、直流12ボルト及び直流5ボルトのいずれの場合も、EXT端子313が接地されると、出力電圧は低下するようになっている。
図8に示すように、冗長電源基板320内では、EXT端子313は接地されており、各通常電源基板310内では、EXT端子313は接地されない。従って、冗長電源基板320内の各DC/DCコンバータ311,312から出力される電圧の値のみが低下する。
従って、本実施例では、(1)通常電源基板310からディスクドライブ210に直接入力される経路上のダイオード数と、冗長電源基板320から中継回路315を介してディスクドライブ210に入力されるダイオード数とを変える構成に加えて、(2)冗長電源基板320から出力される電圧の値そのものも低下させる。これにより、通常時において、冗長電源基板320が使用される可能性を可能な限り低減させることができ、冗長電源基板320の寿命を延ばして、電源装置300の信頼性を高めることができる。
図10は、各ディスクドライブ210を管理するためのテーブルT1の一例を示す説明図である。このテーブルT1は、例えば、共有メモリ140に記憶される。各DKA120やSVP160は、ドライブ管理テーブルT1を参照することができる。
ドライブ管理テーブルT1は、例えば、ドライブグループ番号I11と、サブグループ番号I12と、ドライブ番号I13との項目を対応付けて管理する。さらに、テーブルT1は、RAIDグループを管理するための項目等を備えてもよい。
ドライブグループ番号I11は、各ドライブグループDGをそれぞれ識別するための情報である。サブグループ番号I12は、各ドライブグループ内のサブグループをそれぞれ識別するための情報である。ドライブ番号I13は、各サブグループに含まれるディスクドライブ210をそれぞれ特定するための情報である。
このように構成されるドライブ管理テーブルT1を用いることにより、ディスクドライブ210がどのドライブグループDG及びサブグループSGに属しているか等を把握することができる。なお、上述した項目以外の他の項目をテーブルT1に含めてもよい。例えば、ディスクドライブ210の種別(FCディスクかATAディスクか等)や、RAIDグループ212のRAIDレベル、ディスクドライブ210の作動状態等の項目をテーブルT1に含めることもできる。
図11は、各通常電源基板310内の各DC/DCコンバータ311を管理するためのテーブルT2の一例を示す説明図である。つまり、主DC/DCコンバータを管理するためのテーブルである。このテーブルT2は、例えば、共有メモリ140に記憶される。このテーブルT2は、例えば、DC/DCコンバータ番号I21と、出力端子番号I22と、ドライブ番号I23とを対応付けて管理する。
DC/DCコンバータ番号I21は、各主DC/DCコンバータ311を識別するための情報である。端子番号I22は、主DC/DCコンバータ311に設けられている各出力端子を識別するための情報である。ドライブ番号I23は、各ディスクドライブ210を識別するための情報である。
このように構成される主DC/DCコンバータ管理テーブルT2を用いることにより、各主DC/DCコンバータ311がどのディスクドライブ210に接続されているか等を把握することができる。
図12は、冗長電源基板320内の各DC/DCコンバータ311を管理するためのテーブルT2の一例を示す説明図である。即ち、副DC/DCコンバータ311を管理するためのテーブルである。このテーブルT3も、例えば、共有メモリ140に記憶される。このテーブルT3は、上述したテーブルT2と同様に、例えば、DC/DCコンバータ番号I31と、端子番号I32と、ドライブ番号I34とを対応付けて管理する。さらに、テーブルT3は、中継基板番号I33を前記各項目I31〜I33に対応付けて管理する。中継基板番号I33とは、冗長電源基板320の出力端子と接続先のディスクドライブ210との間に存在する中継回路315を有する通常電源基板310の番号である。即ち、中継基板番号は、冗長電源基板320の各出力端子が接続される中継回路315の所在を特定するための識別情報である。
図13は、ディスクドライブ210毎に直流電源の供給を個別に停止させる場合の処理を示すフローチャートである。以下に述べる各フローチャートは、処理の概要を示しており、実際のプログラムとは相違する場合がある。また、必要に応じて、ステップを入れ替えたり、ステップを削除したり、別のステップを追加できる場合がある。図中、ステップを「S」と略記する。
なお、以下の説明では、電源制御部330を主体として説明するが、例えば、DKA120や障害監視部340が以下に述べる電源制御を行う構成でもよい。
ユーザは、管理端末14及びSVP160を用いて、電源供給を停止させるディスクドライブ210を選択する(S10)。SVP160は、選択されたディスクドライブ210への直流電源の供給停止を電源制御部330に指示する(S11)。この停止指示は、障害監視部340を介して、選択されたディスクドライブ210を担当する電源制御部330に通知される。
電源制御部330は、停止指示を受領すると、選択されたディスクドライブ210に接続されている主DC/DCコンバータ311を特定する(S12)。さらに、電源制御部330は、選択されたディスクドライブ210に接続されている副DC/DCコンバータ311を特定する(S13)。
電源制御部330は、S12で特定された主DC/DCコンバータ311の直流電源出力を停止させる(S14)。電源制御部330は、その主DC/DCコンバータ311からの直流電源の出力が停止された後も、各ディスクドライブ210が正常に動作しているか否かを判定する(S15)。
各ディスクドライブ210が正常に動作していると判定された場合(S15:YES)、電源制御部330は、次に、S13で特定された副DC/DCコンバータ311をオフさせる(S16)。主DC/DCコンバータ311と副DC/DCコンバータ311とを同時に停止させる構成でもよい。
電源制御部330は、SVP160から指示されたディスクドライブ210以外の他のディスクドライブ210に直流電源が供給されているか否かを判定する(S17)。指示されたディスクドライブ210のみが停止しており、それ以外の各ディスクドライブ210が作動可能な場合(S17:YES)、電源制御部330は、指示されたディスクドライブ210への電源供給が停止された旨を、障害監視部340を介して、SVP160に通知する(S18)。
SVP160は、管理端末14から指示されたディスクドライブ210への給電が停止した旨を、管理端末14に通知する(S19)。管理端末14の画面には、ユーザにより指定されたディスクドライブ210への電源供給が停止された旨が表示される。これにより、ユーザは、所望のディスクドライブ210をHDDボックス20から取り外すことができる。そして、ユーザは、新たなディスクドライブ210をHDDボックス20に取り付ける。
図14は、ディスクドライブ210毎に直流電源の供給を個別に開始させる場合の処理を示すフローチャートである。ユーザは、管理端末14及びSVP160を用いて、直流電源の供給を開始させるディスクドライブ210の番号を選択する(S30)。SVP160は、ユーザから選択されたディスクドライブ210への電源供給の開始を電源制御部330に指示する(S31)。
電源制御部330は、SVP160から指示されたディスクドライブ210に接続されている主DC/DCコンバータ311及び副DC/DCコンバータ311をそれぞれ特定する(S32,S33)。
電源制御部330は、先に、S32で特定された主DC/DCコンバータ311からの直流電源の供給を再開させる(S33)。電源制御部330は、所定時間が経過するのを待ってから(S34)、S33で特定された副DC/DCコンバータ311からの直流電源の供給を再開させる(S35)。
ここで、所定時間とは、ユーザまたは工場出荷時等に予め設定された時間である。所定時間としては、例えば、ディスクドライブ210に直流電源が投入されてから、動作が安定するまでの時間として設定可能である。即ち、新品のディスクドライブ210に直流電源を供給しても、この新品のディスクドライブ210が利用可能な状態になるまでには、多少の時間を必要とする。そこで、電源制御部330は、ディスクドライブ210の立ち上がりに必要な時間が経過するのをS35で待つ。
所定時間が経過すると(S35:YES)、電源制御部330は、S33で特定された副DC/DCコンバータ311をオンさせる(S36)。上述の通り、副DC/DCコンバータ311は、その出力電圧の値が低く、かつ、経路上に存在するダイオードD1の数も多いため、副DC/DCコンバータ311からディスクドライブ210に直流電源は供給されない。そして、電源制御部330は、各ディスクドライブ210がそれぞれ正常に動作しているか否かを確認する(S37)。
電源制御部330は、各ディスクドライブ210の正常動作を確認した後(S37:YES)、SVP160から指示されたディスクドライブ210への電源供給が開始された旨を、障害監視部340を介して、SVP160に通知する(S38)。
SVP160は、管理端末14から指示されたディスクドライブ210への電源供給が開始された旨を、管理端末14に通知する(S39)。これにより、管理端末14の画面には、ユーザにより選択されたディスクドライブ210への電源供給が正常に完了した旨が表示される。
このように、本実施例では、各ディスクドライブ210毎に、それぞれ個別に電源供給のオンオフを制御することができる。従って、例えば、保守作業等により、特定のディスクドライブ210を交換等する場合、ユーザは、特定のディスクドライブ210への電源供給を停止させてから、その特定のディスクドライブ210を筐体から取り外すことができる。そして、ユーザが新品のディスクドライブ210に交換した後で、その新品のディスクドライブ210への給電を再開させることができる。
従って、本実施例では、電源を供給したままの状態でディスクドライブ210を取り外したり、または、取り付けたりするという、いわゆる活線挿抜のための電気回路を各ディスクドライブ210内に設ける必要がない。これにより、ディスクドライブ210の回路構造を簡素化することができ、ディスクドライブ210の製造コストを低減させることができる。
図15は、電源制御部330によるDC/DCコンバータ311の監視処理を示すフローチャートである。電源制御部330は、各主DC/DCコンバータ311からの警報信号の信号レベルをそれぞれ確認し、各主DC/DCコンバータ311の状態をそれぞれ取得する(S50)。
電源制御部330は、各主DC/DCコンバータ311のいずれか一つに異常が生じているか否かを判定する(S51)。いずれか一つ以上の主DC/DCコンバータ311から警報信号が入力されていた場合(S51:YES)、電源制御部330は、異常の検出された主DC/DCコンバータ311に関する障害情報を、障害監視部340に通知する(S52)。主DC/DCコンバータに関する障害情報には、例えば、異常の検出された主DC/DCコンバータ311を特定するためのDC/DCコンバータ番号や、異常の検出された時刻、異常の種類等を含めることができる。
また、S50〜S52のステップを実行する電源制御部330と同一または異なる電源制御部330は、各副DC/DCコンバータ311からの警報信号を確認し(S60)、いずれかの副DC/DCコンバータ311で異常が検出された場合(S61:YES)、障害情報を障害監視部340に通知する(S62)。障害監視部340は、電源制御部330からの通知に基づいて、図15と共に後述する障害監視処理(S70)を実行する。
図16は、図15中にS70で示す障害監視処理のフローチャートである。この障害監視処理は、障害監視部340により実行される。これに代えて、例えば、DKA120が障害監視処理を実行する構成としてもよい。
障害監視部340は、主DC/DCコンバータ311に関する障害情報を取得し(S71)、異常が生じているか否かを判定する(S72)。各主DC/DCコンバータ311に異常が発生していない場合(S72:NO)、障害監視部340は、副DC/DCコンバータ311に関する障害情報を取得する(S73)。
副DC/DCコンバータ311にも異常が生じていない場合(S74:NO)、S71に戻って監視が繰り返される。各副DC/DCコンバータ311のいずれかに障害(異常)が発生していると判定された場合(S74:YES)、障害監視部340は、障害の検出された副DC/DCコンバータ311について警報信号を出力する(S75)。
この警報信号に基づいて、SVP160は、管理端末14に警告メッセージを送信することができる。管理端末14は、SVP160から受領した警告メッセージに基づいて、管理サーバ15に警告することができる。管理サーバ15は、管理端末14から受信した警告に基づき、例えば、電子メールや電話等の連絡手段を用いて、保守要員やユーザに記憶制御装置10の障害を通知することができる。
一方、主DC/DCコンバータ311のいずれかに障害が発生していると判定された場合(S72:YES)、障害監視部340は、各副DC/DCコンバータ311に関する障害情報を取得する(S76)。障害監視部340は、各副DC/DCコンバータ311のいずれかに障害が発生しているか否かを判定する(S77)。
各主DC/DCコンバータ311のいずれかに異常状態が検出された場合(S77:YES)、障害監視部340は、この異常の検出された主DC/DCコンバータ311に関する警報信号を出力する(S78)。
S77で「YES」と判定された場合は、主DC/DCコンバータ311及び副DC/DCコンバータ311の両方で、障害の発生が検出された場合である。そこで、障害監視部340は、各ディスクドライブ210に関する障害情報をそれぞれ取得し(S79)、各ディスクドライブ210のいずれかに異常が生じているか否かを判定する(S80)。障害監視部340は、例えば、各ディスクドライブ210とインターフェース回路との通信状態等に基づいて、ディスクドライブ210の異常の有無を検出できる。
各ディスクドライブ210のいずれかに異常が認められた場合(S80:YES)、障害監視部340は、S80で異常の検出されたディスクドライブ210と、S72及びS77で異常の検出された主DC/DCコンバータ311及び副DC/DCコンバータ311とが、対応しているか否かを判定する(S82)。即ち、障害監視部340は、異常の検出されたディスクドライブ210にそれぞれ接続されている主DC/DCコンバータ311及び副DC/DCコンバータ311に異常が検出されたか否かを確認する。
異常の検出されたディスクドライブ210に接続されている主DC/DCコンバータ311及び副DC/DCコンバータ311に異常状態が発生していると判定された場合(S82:YES)、障害監視部340は、S80で異常状態が検出されたディスクドライブ210について、警報を出力する(S83)。
異常の検出されたディスクドライブ210と異常の検出された主DC/DCコンバータ311及び副DC/DCコンバータ311とが対応していない場合(S80:NO)、障害監視部340は、S72及びS77で異常の検出された主DC/DCコンバータ311及び副DC/DCコンバータ311とについて、警報を出力する(S81)。
例えば、ディスクドライブ210へのデータ入出力に応答遅れ等の何らかの異常が認められ、かつ、そのディスクドライブ210に接続されている各DC/DCコンバータ311の両方にも異常が検出された場合は、ディスクドライブ210内で電源障害が発生していると考えることができる。上述の通り、ディスクドライブ210の内部で回路ショート等の電源障害が発生した場合、そのディスクドライブ210に接続されている主DC/DCコンバータ311及び副DC/DCコンバータ311の保護回路がそれぞれ作動して、これら主及び副の各DC/DCコンバータ311の作動が停止するためである。
このように、本実施例では、主及び副の各DC/DCコンバータ311及び各ディスクドライブ210の異常の有無に基づいて、電源障害の発生している可能性が高いディスクドライブ210を特定することができる。従って、ユーザは、障害発生箇所や原因を容易に特定することができ、保守作業の作業性等を向上させることができる。
本実施例による記憶制御装置10の電源装置300は、上述の構成を備える。従って、既に述べた通り、各ディスクドライブ210への電源供給構造を冗長化して信頼性を高めることができると共に、ディスクドライブ210や電源装置300の製造コストを低減させることができ、かつ、生産性を高めることができる。
また、本実施例では、複数の通常電源基板310に対して一つの冗長電源基板320を設け、電源供給構造を冗長化する構成とした。従って、冗長構成を実現するためのDC/DCコンバータ311,312の数をより一層少なくすることができ、電源装置300の製造コストを低減させることができる。
さらに、本実施例では、ダイオード数や出力電圧の値を変えることにより、通常電源基板310に異常が生じた場合にのみ、冗長電源基板320を作動させる構成とした。従って、冗長電源基板320の作動時間を短くして、その寿命を延ばすことができ、電源供給に関する冗長構成の信頼性を高めることができる。
また、本実施例では、冗長化された電源供給構造によって、各ディスクドライブ210毎にそれぞれ個別に電源供給の開始及び停止を制御できる構成とした。従って、目的のディスクドライブ210への直流電源の供給を停止させてから、目的のディスクドライブ210を取り外すことができる。そして、取り外したディスクドライブ210または新たなディスクドライブ210を取り付けた後で、直流電源を供給させることができる。従って、例えば、ディスクドライブ210単体の設定変更を行う場合や、新品のディスクドライブ210に交換する場合の作業性が向上する。目的とするディスクドライブ210のみの電源供給を個別に制御することができ、他のディスクドライブ210への電源供給に全く影響を与えないためである。また、個別に電源制御を行うことができるため、ディスクドライブ210内に活線挿抜を可能とするための仕組みを備える必要もない。従って、本実施例のディスクドライブ210は、活線挿抜のための電気回路及びDC/DCコンバータを内蔵しないため、従来のディスクドライブよりも構成を簡素化して製造コスト等を低減することができる。
1…ディスクドライブ、2A…通常電源基板、2B…冗長電源基板、3…DC/DCコンバータ、4…AC/DC電源部、5…電源制御部、6…管理部、10…記憶制御装置、11…基本筐体、12…増設筐体、13…ホストコンピュータ、14…管理端末、15…管理サーバ、20…HDDボックス、30…コントローラ、40…AC/DC電源部、50…バッテリ部、60…ケーブル、60…バックボード、110…チャネルアダプタ(CHA)、111…通信ポート、120…ディスクアダプタ(DKA)、130…キャッシュメモリ、140…共有メモリ、150…接続制御部、210…ディスクドライブ、212…RAIDグループ、213…論理ボリューム、DG…ドライブグループ、SG…サブグループ、300…電源装置、310…通常電源基板、320…冗長電源基板、311,312,317…DC/DCコンバータ、313…EXT端子、314…出力回路、315…中継回路、330…電源制御部、340…障害監視部、CN1〜CN5…通信ネットワーク。