JP4748693B2 - 高耐電圧性アルミナ基焼結体及びその製造方法 - Google Patents

高耐電圧性アルミナ基焼結体及びその製造方法 Download PDF

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、セラミック製品の材料として好適な、高い絶縁性、耐電圧性を有するアルミナ基焼結体およびその製造方法に関するものである。特には、スパークプラグ等に用いる絶縁碍子のように、室温から700℃付近の高温下での耐電圧性を要求されるアルミナ基焼結体として好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
アルミナセラミックスは、耐電圧性、耐熱性及び機械的特性等に優れ、安価であるため、スパークプラグ用の絶縁碍子やICパッケージの多層配線基板などのセラミック製品の材料として用いられている。特に、スパークプラグの絶縁碍子に於いては室温から700℃付近の高温まで高い絶縁性が要求される。
【0003】
従来より、スパークプラグなどの絶縁体材料として、SiO−CaO−MgOからなる三成分系を焼結助剤として用いたアルミナ基焼結体が用いられてきた。
しかし、この三成分系焼結助剤が焼結後にアルミナの粒界に低融点ガラスとして存在するため、高電圧印加時に粒界相を通じて絶縁破壊を起こしやすくなる。粒界の低融点ガラス相を減らす目的で三成分系焼結助剤の添加量を低減すると、アルミナ粒界に多数の気孔が発生し、耐電圧特性を低下させてしまう。したがって、アルミナ基焼結体の耐電圧性を向上させるには、焼結体組織をより緻密にして、粒界ガラス相の耐熱性を向上させることが必要である。
【0004】
アルミナ基焼結体の緻密化を目的として、種々の方法が検討されている。例えば、特公昭63−1262号公報においては、高耐電圧性を向上させる目的で、従来から用いられているSiO−CaO−MgO三成分系焼結助剤の配合比を限定する方法が開示されている。特開昭62−100474号公報では造粒子の粒径を制御することにより、また、特開昭62−143866号公報では、粒径の異なる2種類のアルミナ原料を使用することにより、焼結体中の残留気孔を減少させ耐電圧性を向上させる術が開示されている。
【0005】
また、アルミナ基焼結体の粒界ガラス相の耐熱性向上を目的として、種々の方法が検討されている。例えば、特公平7−17436号公報では、YO、La及びZrOといった焼結助剤を用いることにより、粒界ガラスの融点を向上させている。特許第2564842号公報では、有機金属化合物を原料として用いて焼結助剤を均一に分散し、粒界にYAl結晶相を生成させることにより粒界の耐熱性を向上させて、材料の高耐電圧化を達成している。特許第2035965号公報では、YO、Laといった希土類やZrO等を含む焼結助剤を用い、また、焼結体の空孔率を6%以下にして高耐電圧化を達成している。
【0006】
しかしながら、近年のエンジンの小型化やバルブの大型化に伴い、スパークプラグは小径化され、それに伴い絶縁碍子の肉厚を薄くする必要がでできた。この為、上記のような従来技術を用いたアルミナ絶縁材料では、700℃付近の高温下で使用した場合に十分な耐電圧性は得られなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術で得られるアルミナ基焼結体では、アルミナ絶縁層の肉厚を薄くし、更に700℃付近の高温下で使用した場合に従来と同等の耐電圧性を得難いという問題がある。本発明は、アルミナ絶縁層の肉厚を薄くしても700℃付近の高温下で十分な耐電圧性が得られる高耐電圧性アルミナ基焼結体を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、RE.成分とNa成分とを少なくとも含むアルミナ基焼結体であって、該アルミナ基焼結体100重量部に含まれるNa成分の含有量が酸化物換算で0.05重量部以下で、且つ、該アルミナ基焼結体の理論密度比が95%以上であり、前記アルミナ基焼結体100重量部に含まれる上記RE.成分の含有量が酸化物換算で0.01〜18重量部の範囲であり、Si(ケイ素)成分と、Ca(カルシウム)成分若しくはMg(マグネシウム)成分のうち少なくとも1種とを含むと共に、該アルミナ基焼結体100重量部に含まれるSi成分、Ca成分及びMg成分の各含有量を酸化物換算でそれぞれ、S(単位:重量部)、C(単位:重量部)及びM(単位:重量部)とした場合において、上記三成分の各含有量がS/(S+C+M)≧0.73の関係式を満たし、さらに、前記アルミナ基焼結体に含まれるアルミナ成分及び前記Si成分、前記Ca成分、前記Mg成分の酸化物換算値の合計含有量に対する該アルミナ成分の割合が、92〜98%であり、前記RE.成分は、La(ランタン)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)から選ばれる1種または2種以上からなり、結晶相として、RE.−β−アルミナ(組成式:RE.Al 11 18 )構造の結晶相を少なくとも含むことを要旨とする。
【0014】
Na成分の含有量を酸化物換算で0.05重量部以下に規定した理由は、Na成分がこれ以上増えるとNaイオンによるイオン伝導性が発生し、その結果、耐電圧性が低下するからである。Na成分の含有量のより好ましい範囲としては0.02重量部以下が好ましい。Na成分の含有量を適切に調整することにより、イオン伝導性の発生を抑えるとともに、耐電圧性と耐熱性を両立したアルミナ基焼結体が得られる。
【0015】
尚、Na成分はNa化合物として添加してもよいが、製造プロセスの便宜上、あらかじめアルミナ原料粉末に含有させておくことが望ましい。アルミナ素地中におけるNa成分の分散状態によって、得られる焼結体の耐電圧性にばらつきが発生しやすいからである。例えば、アルミナ中にナノオーダーのNa成分が分散しているのが好ましい。また、工業的に得られるアルミナ原料には、Na成分を不可避不純物として含むものが多いので、所定のNa含有量のアルミナ原料粉末を選択するのが工業上好ましい。
【0016】
アルミナ基焼結体の理論密度比を95%以上とした理由は、これより理論密度比が低いと高温下での耐電圧性が低下するからである。ここにいう「理論密度」とは、焼結体に含まれる各元素の含有量を酸化物に換算し、各酸化物の含有量から混合則によって計算される密度である。ここにいう「理論密度比」とは、アルキメデス法によって測定された焼結体密度の上記理論密度に対する割合を示すものである。理論密度比の数値が大きい程、焼結体がより緻密となり耐電圧性が高くなる。
RE.成分の含有量を0.01〜18重量部の範囲に規定した理由は以下のようである。すなわち、RE.成分の含有量が0.01重量部未満では高温下(例えば、700℃)での耐電圧性の向上の効果が十分に得られず、RE.成分の含有量が18重量部を越えても同じく耐電圧性の向上の効果が十分に得られないからである。また、RE.成分を多く用いることによる製造コストの増加も問題となる。
また、請求項1の発明では、アルミナ基焼結体に含まれるSi成分(S:単位は重量部)、Ca成分(C:単位は重量部)、Mg成分(M:単位は重量部)の総計に対するSi成分の割合を重量基準で所定の範囲に規定している。Si成分の割合を本発明に規定する範囲に調整しておけば、RE.成分の添加等と相俟ってアルミナ基焼結体の高温下(例えば、700℃)における耐電圧性を効果的に向上できる。
前記三成分の割合が関係式(S/(S+C+M)≧0.73)の範囲を外れる場合においては、前記三成分はアルミナ基焼結体の緻密化を促進する通常の焼結助剤としての機能しか発揮しないため、アルミナ基焼結体の高温下(例えば、700℃)における耐電圧性を向上させる効果を奏することができない。
更に、請求項1の発明では、アルミナ基焼結体に含まれるRE.成分及び結晶相の好ましい種類を規定している。高温下での耐電圧性を得るには、アルミナ基焼結体中にRE.−β−アルミナ構造の結晶相を析出させるのが効果的である。
RE.成分を限定列挙した理由は以下のようである。すなわち、これ以外のRE.元素では3価のイオンのイオン半径が小さくなり、RE.−β−アルミナ構造の結晶相が析出しないからである。RE.−β−アルミナ結晶相が析出することで高温下(例えば、700℃)での耐電圧性が効果的に向上できる。RE.−β−アルミナ結晶相の存在箇所は特には限定されるものではないが、700℃の高温下における耐電圧性をより効果的に向上させるためには、アルミナの二粒子粒界及び/又は三重点に存在するのが好ましい。また、特に耐電圧性が要求される箇所にのみ選択的にRE.−β−アルミナ結晶相を析出させてもよい。
尚、Pr及びNdに関しては、RE.−β−アルミナのJCPDSカードが存在しないため、X線回折による同定は直接的には不可能である。しかし、Pr 3+ 及びNd 3+ のイオン半径がLa 3+ とほぼ同等であるため、La−β−アルミナのJCPDSカード(No.33−699)と類似したX線回折スペクトルを示す。尚、RE.−β−アルミナ結晶相は、RE.−β−アルミナを原料粉末として予め添加することもできるが、焼成時にRE.−β−アルミナ粒成長の異方成長が著しいため、アルミナ基焼結体の緻密化が阻害されるおそれがある。したがって、RE.−β−アルミナ結晶相は焼成過程において析出生成させることが好ましい。
【0017】
かかる構成要件を具備するアルミナ基焼結体を用いれば、700℃付近の高温下でも十分な耐電圧性を発揮することが可能となる。
【0024】
請求項の発明は、請求項1に記載の高耐電圧性アルミナ基焼結体の好ましい構成を例示したものである。具体的には、アルミナ基焼結体に含まれるSi成分(S:単位は重量部)、Ca成分(C:単位は重量部)、Mg成分(M:単位は重量部)の総計に対するSi成分の割合を重量基準で所定の範囲に規定するとともに、アルミナ基焼結体に含まれる結晶相の好ましい種類を規定したものである。Si成分の割合を本発明に規定する範囲に調整するとともに、結晶相としてムライト(AlSi13)結晶相を少なくとも有することで、RE.成分の添加等と相俟ってアルミナ基焼結体の高温下(例えば、700℃)における耐電圧性を効果的に向上できる。
【0025】
アルミナ基焼結体の高温下(例えば、700℃)での耐電圧性を向上するには、本発明のようにムライト結晶相を析出させることも効果的である。ムライト結晶相の析出により、より一層耐電圧性を高めることができる。ムライト結晶相の存在箇所は特には限定されるものではないが、700℃の高温下における耐電圧性をより効果的に向上させるためには、アルミナの二粒子粒界及び/又は三重点に存在するのが好ましい。また、特に耐電圧性が要求される箇所にのみ選択的にムライト結晶相を析出させてもよい。
【0026】
前記三成分の割合が関係式(0.95≧S/(S+C+M)≧0.75)の範囲にあれば、ムライト結晶相を効率良く生成できるため、アルミナ基焼結体の高温下(例えば、700℃)における耐電圧性を効果的に向上できる。特には、0.78以上0.92以下の範囲にすれば、アルミナ基焼結体の高温下(例えば、700℃)における耐電圧性をより効果的に向上できる。一方、前記三成分の割合が関係式の範囲を外れる場合においては、ムライト結晶相の生成がほとんどない。
【0027】
請求項の発明は、請求項または請求項に記載のアルミナ基焼結体の製造に少なくとも必要な要件を規定したものである。第1の要件は、用いるアルミナ原料粉末の規定であり、具体的には、平均粒径とNa成分の含有量を所定の範囲にすることである。第2の要件は、焼成工程の条件を、1450〜1650℃で1〜8時間保持することである。第3の要件は、焼成工程において、RE.−β−アルミナまたはムライトから選ばれる少なくとも1種の結晶相を析出させることである。
【0028】
第1の要件として、平均粒径を2μm以下にした理由は、これより粗い粉末を使用すると焼結体の緻密化が図れず、耐電圧性を低下させるからである。また、Na成分の含有量を酸化物換算で0.07重量部以下にした理由は、これより多い粉末を用いると焼成後のアルミナ基焼結体に含まれるNa成分含有量が酸化物換算で0.05%を越える可能性があり耐電圧性を低下させる恐れがあるからである。
【0029】
第2の要件として、焼成工程の条件を規定した理由は以下のようである。すなわち、焼成温度については1450℃よりも低い温度では上記結晶相が得られず、一方、1650℃よりも高い温度ではアルミナ粒子が異常粒成長して機械的強度が低下するとともに、緻密化を阻害し耐電圧性を低下させる恐れがあるからである。また、保持時間についても、1時間よりも短いと十分な緻密化が得られないと同時に上記結晶相が得られず、一方、8時間よりも長いと焼成温度が1650℃よりも高い温度である場合と同様に、機械的強度と耐電圧性を低下させるからである。尚、焼成条件のより好ましい範囲としては、1500〜1600℃の温度範囲で2〜6時間保持するのが望ましい。安定した耐電圧性を有するアルミナ基焼結体を再現性良く量産できる条件だからである。
【0030】
第3の要件として、焼成工程中に上記結晶相を析出・生成させた理由は以下のようである。RE.−β−アルミナを原料粉末として添加すると、粒成長の異方性が大きいためアルミナ基焼結体の緻密化を阻害し、耐電圧性を低下させるからである。また、ムライトを原料粉末として添加すると、アルミナ基焼結体中のムライト粒子の周囲に気孔が生成し、耐電圧性が低下するからである。尚、RE.成分の供給源としては、酸化物に限定されるものではなく、RE.成分を含む化合物でも可能である。上記焼成工程において、RE.−β−アルミナ結晶相を析出・生成するものであればよい。
【0031】
【実施例】
(実施例1)
表1に示すアルミナ原料粉末のうちの▲1▼〜▲7▼(平均粒径0.1〜2.2μm)、焼結助剤として平均粒径0.6μmのSiO粉末、平均粒径0.8μmのCaCO粉末、平均粒径0.3μmのMgO粉末及び表2に示す平均粒径1.0〜19.0μmの各種RE.酸化物を、表3に示す量比となるように秤量し配合した粉末を製造した。ここで、各種RE.酸化物は、アルミナ、SiO、MgO及びCaCOのCaO換算の合計添加量に対して外配合で添加した。
【0032】
これらの配合粉末をそれぞれボールミルにて、20mmφのアルミナボールを使用しエタノール中16時間混合した後、湯煎にて乾燥し混合粉末を得た。これらの混合粉末をそれぞれ150MPaの静水圧プレスで50×50×20mmの成形体に成形し、次に大気雰囲気下において表3に示す焼成温度(1450℃から1600℃)で2時間保持して焼成した。
【0033】
得られた焼結体の理論密度比、S/(S+C+M)比の値、焼結体中のRE.の酸化物換算値、焼結体中のNa含有量の酸化物換算値、RE.−β−アルミナ結晶相の有無、ムライト結晶相の有無及び700℃における耐電圧値を測定した。各結果を表4に併記した。
【0034】
焼結体中のRE.の酸化物換算値は、アルミナ基焼結体を蛍光X線にて分析し、検出されたRE.の量を酸化物換算値で示した。ここで、La、Nd、Dy、Er及びScに関しては、それぞれLa23、Nd23、Dy23、Er23及びSc23として換算し、Prに関しては、Pr611として換算した。
【0035】
焼結体中のNa成分の酸化物換算値は、アルミナ基焼結体を化学分析して得られた値を酸化物(Na2O)換算して示した。また、S/(S+C+M)比の値も同様に、アルミナ基焼結体を化学分析して得られた焼結体中のSi成分、Ca成分及びMg成分の酸化物換算値から求めた。
【0036】
RE.−β−アルミナ結晶相及びムライト結晶相の有無は、アルミナ基焼結体のX線回折を行い、JCPDSカードNo.33−699、No.15−776に相当するスペクトルが存在するか否かにより判断した。図1には、Nd−β−アルミナ結晶相(Al11NdO18)を有する実施例である試料番号10のX線回折チャートを示した。図2には、ムライト結晶相(Si2Al613)を有する実施例である試料番号8のX線回折チャートを示した。
【0037】
700℃における耐電圧値は、アルミナ基焼結体を16mm×16mm×0.65mmに加工した試験片1を用いて、図3に示す構成の装置により測定した。具体的な方法は以下のようである。まず、試験片1をアルミナ製碍筒2aとアルミナ製碍筒2bとではさんだ状態で、SiO系の封着ガラス3を用いて1400℃に加熱溶融し、ガラス接合体7を作製した。加熱用ヒータ5を有する加熱用ボックス8中にガラス接合体7をセットした後、高電圧発生装置6に接続された電極4aと接地された電極4bとで試験片1をはさんだ。その後、加熱用ヒータ5で700℃まで加熱した状態で高電圧を印加し、絶縁破壊が発生したときの値を「耐電圧値」として計測した。
【0038】
【表1】
Figure 0004748693
【0039】
【表2】
Figure 0004748693
【0040】
【表3】
Figure 0004748693
【0041】
【表4】
Figure 0004748693
【0042】
表4の結果より、絶縁体中のNa成分の酸化物換算での含有量(Na2O含有量)が0.05重量%以下で、S/(S+C+M)の関係式が0.73以上を満たし、RE.成分であるLa、Pr、Nd0.01〜18重量%の範囲で含有され、理論密度比が95%以上であり、さらにRE.−β−アルミナ結晶相を含む試料番号9、10、13、15及び16のものにおいて、700℃の耐電圧値は、それぞれ75kV/mm、78kV/mm、80kV/mm、80kV/mm及び78kV/mmと非常に良好な耐電圧値を示した。
【0044】
一方、絶縁体中にRE.成分を含有しない比較例である試料番号18のものでは、700℃の耐電圧値が47kV/mmと劣る結果であった。また、絶縁体中のNa成分の酸化物換算での含有量が0.25重量%以上と多い比較例である試料番号19及び20は、700℃の耐電圧値がそれぞれ36kV/mm及び41kV/mmと劣る結果であった。
【0045】
また、RE.成分の酸化物換算での含有量が所定の範囲内で、かつ、Na成分の含有量が所定量以下に設定し、理論密度比を93.0%として比較例である試料番号21では、700℃の耐電圧値が32kV/mmと本実施例中で最も劣る結果となった。これにより、理論密度比が95.0%より低い場合では耐電圧値の向上の効果が得られないことがわかる。
【0046】
(実施例2)
表1に示すアルミナ原料粉末のうち、平均粒径0.6〜8.0μmであるアルミナ原料粉末番号▲1▼、▲2▼、▲4▼及び▲7▼の中からそれぞれ1種類を選択し、焼結助剤として平均粒径0.6μmのSiO粉末を4.0重量部、平均粒径0.8μmのCaCO粉末をCaO換算で0.5重量部、平均粒径0.3μmのMgO粉末を0.5重量部、及び表2に示す平均粒径1.0μmのLa23、Pr611及びNd23酸化物を、表5に示す量比となるように秤量し配合した粉末を製造した。ここで、各種RE.酸化物は、アルミナ、SiO、MgO及びCaCOのCaO換算の合計添加量に対して外配合で添加した。
【0047】
これらの配合粉末をそれぞれボールミルにて、20mmφのアルミナボールを使用しエタノール中16時間混合した後、湯煎にて乾燥し混合粉末を得た。これらの混合粉末をそれぞれ150MPaの静水圧プレスで50×50×20mmの成形体に成形し、次に大気雰囲気下において表5に示す焼成温度(1425℃から1675℃)及び時間(0.5時間から8時間)で保持して焼成した。
【0048】
得られた焼結体の理論密度比、S/(S+C+M)比の値、焼結体中のRE.の酸化物換算値、焼結体中のNa含有量の酸化物換算値、RE.−β−アルミナ結晶相の有無、ムライト結晶相の有無及び700℃における耐電圧値を測定した。各結果を表6に併記した。
【0049】
焼結体中のRE.の酸化物換算値は、アルミナ基焼結体を蛍光X線にて分析し、検出されたRE.の量を酸化物換算値で示した。ここで、La、Ndに関しては、それぞれLa23、Nd23として換算し、Prに関しては、Pr611として換算した。
【0050】
焼結体中のNa成分の酸化物換算値は、アルミナ基焼結体を化学分析して得られた値を酸化物換算して示した。また、S/(S+C+M)比の値も同様に、アルミナ基焼結体を化学分析して得られた焼結体中のSi成分、Ca成分及びMg成分の酸化物換算値から求めた。
【0051】
RE.−β−アルミナ結晶相及びムライト結晶相の有無は、アルミナ基焼結体のX線回折を行い、JCPDSカードNo.33−699、No.15−776に相当するスペクトルが存在するか否かにより判断した。
【0052】
700℃における耐電圧値は、アルミナ基焼結体を16mm×16mm×0.65mmに加工した試験片1を用いて、図3に示す構成の装置により測定した。具体的な方法は以下のようである。まず、試験片1をアルミナ製碍筒2aとアルミナ製碍筒2bとではさんだ状態で、SiO系の封着ガラス3を用いて1400℃に加熱溶融し、ガラス接合体7を作製した。加熱用ヒータ5を有する加熱用ボックス8中にガラス接合体7をセットした後、高電圧発生装置6に接続された電極4aと接地された電極4bとで試験片1をはさんだ。その後、加熱用ヒータ5で700℃まで加熱した状態で高電圧を印加し、絶縁破壊が発生したときの値を「耐電圧値」として計測した。
【0053】
【表5】
Figure 0004748693
【0054】
【表6】
Figure 0004748693
【0055】
表6の結果より、アルミナ基焼結体中に含まれるNa成分の酸化物換算での含有量が0.05重量部以下で、S/(S+C+M)が0.73以上で、RE.成分であるLa、Pr、Ndの酸化物換算での含有量が0.01〜18重量部の範囲であり、該アルミナ基焼結体の理論密度比が95%以上で、且つ、RE.−β−アルミナ結晶相を含む実施例である試料番号23及び試料番号26の耐電圧値は74〜76kV/mmと最も良好な結果を示した
【0058】
これに対して、Na成分の酸化物換算値での含有量が0.05%以上(0.27%)の比較例である試料番号27では、焼結体中にNa成分が多量に残留しており、また、RE.−β−アルミナ相も生成していないため、耐電圧値が36kV/mmと大幅に低下している。
【0059】
また、アルミナ原料粉末の平均粒径が2μm以上(8.0μm)の比較例である試料番号28では、焼結体の理論密度比が93.8%と低いため、耐電圧値が41kV/mmと大幅に低下している。
【0060】
また、焼成保持時間が1時間以下(0.5時間)の比較例である試料番号29と、焼成温度が1450℃以下(1425℃)の比較例であるでは試料番号30では、焼結体の理論密度比は96.0%以上になっているものの、耐電圧値がそれぞれ55kV/mm、52kV/mmと低下している。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、高い絶縁性、耐電圧性を有するアルミナ基焼結体およびその製造方法を提供することができる。特には、スパークプラグ等のように高温下で使用される絶縁碍子に用いるアルミナ基焼結体として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】Nd−β−アルミナ結晶相(Al11NdO18)を有する実施例である試料番号10のX線回折チャートである。
【図2】ムライト結晶相(Si2Al613)を有する実施例である試料番号8のX線回折チャートである。
【図3】本発明に使用した評価方法の模式図である。
【符号の説明】
1 アルミナ基焼結体からなる試験片
2a アルミナ製碍筒
2b アルミナ製碍筒
3 封着ガラス
4a 電極
4b 電極
5 加熱用ヒータ
6 高電圧発生装置
7 ガラス接合体
8 加熱用ボックス

Claims (3)

  1. 希土類元素(以下、RE.と表す)成分と、Na(ナトリウム)成分とを少なくとも含むアルミナ基焼結体であって、
    該アルミナ基焼結体100重量部に含まれるNa成分の含有量が酸化物換算で0.05重量部以下で、且つ、該アルミナ基焼結体の理論密度比が95%以上であり、
    前記アルミナ基焼結体100重量部に含まれる上記RE.成分の含有量が酸化物換算で0.01〜18重量部の範囲であり、
    Si(ケイ素)成分と、Ca(カルシウム)成分若しくはMg(マグネシウム)成分のうち少なくとも1種とを含むと共に、該アルミナ基焼結体100重量部に含まれるSi成分、Ca成分及びMg成分の各含有量を酸化物換算でそれぞれ、S(単位:重量部)、C(単位:重量部)及びM(単位:重量部)とした場合において、上記三成分の各含有量が
    S/(S+C+M)≧0.73
    の関係式を満たし、さらに、
    前記アルミナ基焼結体に含まれるアルミナ成分及び前記Si成分、前記Ca成分、前記Mg成分の酸化物換算値の合計含有量に対する該アルミナ成分の割合が、92〜98%であり、
    前記RE.成分は、La(ランタン)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)から選ばれる1種または2種以上からなり、
    結晶相として、RE.−β−アルミナ(組成式:RE.Al 11 18 )構造の結晶相を少なくとも含むことを特徴とする高耐電圧性アルミナ基焼結体。
  2. 上記三成分の各含有量が
    0.95≧S/(S+C+M)≧0.75
    の関係式を満たすとともに、
    結晶相としてムライト(Al Si 13 )結晶相を少なくとも有することを特徴とする請求項1に記載の高耐電圧性アルミナ基焼結体。
  3. 請求項1または請求項2に記載のアルミナ基焼結体の製造方法であって、
    平均粒径が2μm以下で、且つ、Na成分の含有量が酸化物換算で0.07重量部以下のアルミナ原料粉末を含むアルミナ質成形体を形成する工程と、
    該アルミナ質成形体の焼成工程において1450〜1650℃の範囲の温度で1〜8時間保持する工程と、
    該アルミナ質成形体の焼成工程においてRE.−β−アルミナまたはムライトから選ばれる少なくとも1種の結晶相を析出させる工程とを含むことを特徴とする高耐電圧性アルミナ基焼結体の製造方法。
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