JP4748409B2 - 木材からの工業用原料製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、木材を用いてメタノール、ギ酸メチル、エタノール、メタン、乳酸、プロパンジオール等の工業用基礎化学品および炭素材を製造すると同時に所内動力を差し引いた電力、蒸気および温水を供給する、木材のゼロエミッション型有効利用方法に関するものである。メタノールはC1化学における出発原料(化成品原料)として、メタノール、エタノールおよびメタンは石油に代替えする新たなエネルギー源として利用されている。ギ酸メチルはギ酸、ホルムアミド、各種カルボン酸エステル類、有機化合物の合成原料および溶剤等に利用される工業上重要な有機化学品の一つとして安価に製造され、液体で輸送できることから、高価な設備を用いることなしに、比較的低温で容易にメタノールと一酸化炭素が得られる原料として注目されている(ギ酸メチルの標準沸点32℃)。乳酸は生分解性プラスチック原料等、プロパンジオールはポリエステル樹脂原料等として利用されている。また、木質起源の炭素材は軽量で吸着能を持ち、通気性、透水性がよくさらなる用途開発が期待されている。
木材などを水熱処理し抽出する方法としては、バイオマスを原料としたものとして特許文献1、セルロースを原料としたものとして特許文献2、パルプスラッジを原料としたものとして特許文献3があるが、木材の主成分であるセルロース、ヘミセルロース、リグニンについての記載がない。
木材などを原料とした発電方法は樹皮を原料とした特許文献4、バイオマスを原料とした特許文献5、6などあるが、主にリグニンを用いた発電方法は見当たらない。
木材などを出発原料とし炭化する方法としては、活性炭を得る方法として特許文献7、8、9、10など多数あるが、炭素繊維を得る方法は見当たらない。また、木材にピッチを加えて炭素繊維を得る方法として特許文献11があるが、主にリグニンを主成分とする原料から炭素繊維を得る方法は見当たらない。
木材などを酵素糖化する方法としては特許文献12、13、14、15など多数あるが、木材などを原料とし前処理として水熱処理し酵素糖化する方法は見当たらない。
木材等を出発原料とし、グルコース等の六炭糖を経由して醗酵法によりエタノールを得る方法としては、嫌気性条件下での醗酵法として特許文献16、17、18、19など、また好気性条件下での醗酵法として特許文献20、21、22など多数あるが、木材由来のグルコース等の六炭糖を用いた醗酵法によるエタノール、乳酸およびプロパンジオールを併産する方法は見当たらない。
キシロース等の五炭糖を経由して醗酵法によりエタノールを得る方法としては、特許文献23、24などがあるが、木材を原料とし前処理として水熱処理し酵素糖化を行った後、キシロース等の五炭糖を経由してエタノールを得る方法は見当たらない。
木材以外のものを出発原料とし、グルコース等の六炭糖を経由して醗酵法により乳酸を得る方法としては特許文献25、26、27、28、29など多数あるが、出発原料として木材を用いた醗酵法による乳酸を得る方法は見当たらない。
木材以外のものを出発原料とし、グルコース等の六炭糖を経由して醗酵法によりプロパンジオールを得る方法としては特許文献30、31、32など多数あるが、出発原料として木材を用いた醗酵法によるプロパンジオールを得る方法は見当たらない。
木材を水蒸気改質反応する方法としては、特許文献33、34、35、36などあるが、前処理として水熱処理を行い、おもにリグニンを多く含む画分を用いて水蒸気改質反応を行ったものは見当たらない。
木材を出発原料としてメタノールを得る方法は、木材、蒸気および酸素を原料にして部分酸化後メタノール合成を行う方法(特許文献37、38、39、40、41、42参照)、木材、蒸気および水素を原料にして部分酸化または水蒸気改質後メタノール合成を行う方式(特許文献43参照)など多数あるが、メタノールとギ酸メチルを併産する方法は見あたらない。
メタノールのカルボニル化反応によるギ酸メチルを得る方法は、欧米で古くから実施されておりギ酸メチルを得る単独の方法としては特許文献44、45など多数あるが、出発原料として木材を用いたギ酸メチルを製造する方法は見当たらない。
特許文献46では、未利用バイオマスとして植物体を想定し加熱水蒸気で処理し、未利用バイオマスを工業原料化するシステムが提示されているが、具体的な実施例および利用上の課題については何ら記載がなく実用的ではない。
木材はおもにセルロース、ヘミセルロース、リグニンから構成されており、その成分割合はセルロース30〜60wt%、ヘミセルロース10〜30wt%、リグニン20〜30wt%、木材の代表的な元素組成はCαβγ(α=1.0〜1.5、β=1.5〜2.5、γ=0.7〜1.1)となっている。木材の水蒸気改質反応は(1)式と表示され、反応生成ガスの一酸化炭素/水素比は1/(1.1〜1.6)となる。
αβγ+(α−γ)H2O→αCO+(α+β/2−γ)H2 (1)
メタノールの一酸化炭素/水素比は1/2であり、メタノール製造には一酸化炭素過剰または水素不足となる。従来の木材よりメタノールを製造する方法では、(i)過剰分の一酸化炭素と空気由来の酸素との部分酸化反応を経て、メタノール製造を行っている(特許文献47、48、49、50、51、52参照)。この場合供給する空気中の窒素分を除去するために、システムにPSA(Pressure Swing Absorption)装置を組み込でおり、メタノール製造単価および装置コストの増加となる。(ii)不足分の水素を補給するために、太陽光エネルギー、風力エネルギー、潮力エネルギー、水力エネルギー等の自然エネルギー発電手段による水の電気分解で得られた水素を供給し木材、蒸気および水素を原料にして部分酸化または水蒸気改質を経てメタノール製造を行っている(特許文献53参照)が、自然エネルギーを採用することによるメタノール製造単価および装置コストの増加となり、木材の水蒸気改質反応による反応生成ガスの一酸化炭素/水素比1/(1.1〜1.6)に適合した、木材の有効利用が望まれる。
特開2002−59118号公報(特許請求の範囲その他) 特開平10−327900号公報(特許請求の範囲その他) 特開2001−79595号公報(特許請求の範囲その他) 特開2004−11578号公報(特許請求の範囲その他) 特開2000−274214号公報(特許請求の範囲その他) 特開2004−51718号公報(特許請求の範囲その他) 特開2002−285168号公報(特許請求の範囲その他) 特開2000−53467号公報(特許請求の範囲その他) 特開2003−95628号公報(特許請求の範囲その他) 特開2000−198983号公報(特許請求の範囲その他) 特開平11−158738号公報(特許請求の範囲その他) 特開2004−171799号公報(特許請求の範囲その他) 特許第3041539号公報(特許請求の範囲その他) 特開2002−186938号公報(特許請求の範囲その他) 特開2002−238590号公報(特許請求の範囲その他) 特開2003−289893号公報(特許請求の範囲その他) 特表2002−537848号公報(特許請求の範囲その他) 特開2003−310246号公報(特許請求の範囲その他) 特開平10−290698号公報(特許請求の範囲その他) 特開平08−256682号公報(特許請求の範囲その他) 特表昭63−503200号公報(特許請求の範囲その他) 特開昭56−137892号公報(特許請求の範囲その他) 特表2001−516584号(特許請求の範囲その他) 米国特許6582944号明細書(特許請求の範囲その他) 特開2003−61695号公報(特許請求の範囲その他) 特開2002−51793号公報(特許請求の範囲その他) 特開2002−51792号公報(特許請求の範囲その他) 特開平10−313887号公報(特許請求の範囲その他) 特開昭62−96091号公報(特許請求の範囲その他) 特表平10−507082号公報(特許請求の範囲その他) 特表平11−502718号公報(特許請求の範囲その他) 特開2002−173828号公報(特許請求の範囲その他) 特開2004−75852号公報(特許請求の範囲その他) 特開2003−113380号公報(特許請求の範囲その他) 特開2004−51718号公報(特許請求の範囲その他) 特開2004−182501号公報(特許請求の範囲その他) 特開2001−240878号公報(特許請求の範囲その他) 特開2002−121571号公報(特許請求の範囲その他) 特開2002−212574号公報(特許請求の範囲その他) 特開2002−235090号公報(特許請求の範囲その他) 特開2002−235091号公報(特許請求の範囲その他) 特開2002−285171号公報(特許請求の範囲その他) 特開2002−193858号公報(特許請求の範囲その他) 特公昭43−29732号公報(特許請求の範囲その他) 特開昭61−141601号公報(特許請求の範囲その他) 特開2003−275732号公報(特許請求の範囲その他) 特開2001−240878号公報(特許請求の範囲その他) 特開2002−121571号公報(特許請求の範囲その他) 特開2002−212574号公報(特許請求の範囲その他) 特開2002−235090号公報(特許請求の範囲その他) 特開2002−235091号公報(特許請求の範囲その他) 特開2002−285171号公報(特許請求の範囲その他) 特開2002−193858号公報(特許請求の範囲その他)
本発明の目的は、木材を用いてメタノール、ギ酸メチル、エタノール、乳酸、プロパンジオール等の工業用基礎化学品および炭素材を製造すると同時に熱回収の有効利用を図り、所内動力を差し引いた電力、蒸気および温水を供給し、装置コストおよび操業費等の点から熱利用性の高い、木材のゼロエミッション型有効利用方法を提供することである。
発明者等は上記の如き課題を有する木材の利用方法について鋭意検討した結果、(1)式に示す木材の水蒸気改質反応後の一酸化炭素/水素比が1/(1.1〜1.6)となる反応生成ガスを用い、一酸化炭素/水素比が1/2のメタノールと一酸化炭素/水素比が1/1のギ酸メチルを併産するために、木材の粉砕処理、水熱処理、固液分離・爆砕処理、クロマト分離処理、水蒸気改質反応、メタノール合成反応、メタノールのカルボニル化反応、酵素糖化反応、醗酵工程および炭化反応を組み込みメタノール、ギ酸メチル、エタノール、乳酸、プロパンジオール等の工業用基礎化学品および炭素材を製造すると同時に、熱回収の有効利用を図り所内動力を差し引いた電力、蒸気および温水を供給することを極めて有利に行うことができることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、木材を水蒸気改質して、一酸化炭素及び水素を含む反応混合物を生成させ、この中から分離した一酸化炭素と水素とを反応させてメタノールを生成させ、さらにこのようにして得たメタノールをカルボニル化してギ酸メチルを生成させることを特徴とする木材からの工業用原料製造方法、木材を糖化酵素で処理して、その中のヘミセルロース及びセルロースを五炭糖及び六炭糖に変換し、次いでこれらの糖類をエタノール発酵、乳酸発酵又はプロパンジオール発酵させて、それぞれエタノール、乳酸又はプロパンジオールを得るとともに副生物として二酸化炭素を回収する木材からの工業用原料製造方法、木材を水熱処理してリグニンを含む反応混合物を生成させ、次いでこの中のリグニンを燃焼、炭化させて炭素材を得るとともに、メタン及び水からなる副生物を回収する木材からの工業用原料製造方法、及び木材の水蒸気改質工程とメタノール合成反応とメタノールのカルボニル化工程と、酵素糖化工程と、エタノール発酵、乳酸発酵及びプロパンジオール発酵の少なくとも1つを行う工程と、炭化工程とを含む方法において、熱排気ガスを発生する工程に熱交換手段を設け、熱回収を行い、上記の工程で必要な熱エネルギー源として利用することを特徴とする木材からの工業用原料製造方法を提供するものである。
次に、これらの方法を詳細に説明する。
本発明においては、以下の(1)ないし(11)式で示される反応が行われる。なお、これらの式において、Gは気相、Lは液相、Sは固相を示し、反応熱は25℃基準の値で反応熱のプラス(+)は発熱反応、マイナス(−)は吸熱反応を意味する。
木材[Cαβγ(S)]+(α−γ)H2O(G)→αC(G)O+(α+β/2−γ)H2(G) (1)
但し、α=3.8、β=5.9、γ=2.9の場合の反応熱は−674.28kJ
CO(G)+2H2(G)→CH3OH(L)+128.91kJ (2)
CH3OH(L)+CO(G)→HCOOCH3(L)+34.74kJ (3)
584(S)+H2O(L)→C5105(S)−431.94kJ (4)
但し、C584はヘミセルロースの一例、C5105は五炭糖
6105(S)+H2O(L)→C6126(S)−516.49kJ (5)
但し、C6105はセルロースの一例、C6126は六炭糖
5105(S)→(5/3)C25OH(L)+(5/3)CO2(G)+68.22kJ (6)
6126(S)→2C25OH(L)+2CO2(G)+67.39kJ (7)
6126(S)→2CH3CH(OH)COOH(S)+114.68kJ(8)
6126(S)→(3/2)(CH23(OH)2(L)+(3/2)CO2(G)+11.3kJ (9)
リグニン[Cδεζ(S)]→ζH2O(G)+(ε−2ζ)/4CH4(G)+
(δ−ε/4+ζ/2)C(S) (10)
但し、δ=18、ε=24、ζ=11の場合の反応熱は−172.86kJ
リグニン[Cδεζ(S)]+(2δ+ε/2−ζ)/2O2(G)→
δCO2(G)+ε/2H2O(G) (11)
但し、δ=18、ε=24、ζ=11の場合の反応熱は+7155.53kJ
本発明では、上記(1)〜(11)式の反応を行う前処理として木材の粉砕処理、水熱処理、固液分離・爆砕処理、およびクロマト分離を適宜行う。
本発明の木材とは、木質由来のバイオマスである。すなわち、木質の主要成分であるセルロース、ヘミセルロースおよびリグニンを含む木質バイオマスであり、上記木質バイオマスは、森林バイオマス、製材残材、建築廃材、ダム・河川の流木、街路樹剪定枝および造園業・果樹園等から発生する剪定枝林、林地残材、間伐材、未利用樹、短周期伐採木材、伐根材等を含む。このうち製材残材、建築廃材とは、素材を加工する過程で発生した廃材である。製材業、木材加工業で発生する木質バイオマスが製材残材であり、チップ、背板、端材、おがくずおよびバーク等などがある。建築業、建設業、家屋解体業等で発生する木質バイオマスが建築廃材であり、建築物の建設時に発生する建設時廃材と、建築物の解体時に発生する解体時廃材とがある。林地残材とは、主伐、間伐、除伐等に伴って発生する素材(丸太)以外の材であり、末木、枝条等を含む。間伐材とは、人工林において林分の混み具合に応じて、目的とする樹種の個体密度を調整する作業(間伐)に伴って発生する材(素材)等である。未利用樹とは、例えば、かつて薪炭林として利用されていたが現在は利用されていない広葉樹林等が含まれる。
粉砕処理で粉砕するのは前記木質バイオマスであり、その形状や性状等との関係で、そのまま粉砕処理することもできるが、予め公知の破砕機で破砕した短径が5mm程度以内で長径が50mm程度以内のチップ状物としたものを粉砕処理するのが好ましい。木質バイオマスをこのように微粉砕するのは、全体としての木質バイオマスの表面積を大きくし、次の水熱処理において木質バイオマスの表面と熱水とがより多く接触し得るようにして水熱処理の処理効率を向上させるためであり、水熱処理の均一化および迅速化を図ることができる。
水熱処理では、原料となる木質バイオマスの粉砕物を、高温高圧の熱水で水熱処理することにより可溶化させる。通常は耐圧容器内に水と木質バイオマスの粉砕物を供給し浸漬して水熱処理を行い、その温度、圧力、時間などの条件は、温度は150〜300℃程度、好ましくは200〜230℃であり、圧力は処理温度の飽和蒸気圧力、処理時間は通常1分間〜10時間、好ましくは1〜4時間である。なお、水熱処理した後、固液分離・爆砕処理することにより、さらに粉砕された原料を得ることができる。
固液分離では、濾過、圧搾分離、遠心分離などの公知の方法を任意に適用することができ、回分式または連続式のいずれでもよい。消費電力が少ないベルトフィルター、フィルタープレスなどの濾過、圧搾分離による連続式のスクリュープレスやステンレスメッシュを用いた篩分け等は好ましい方法である。固液分離した固形物は乾燥等をすることも出来るが、そのまま用いても良い。
爆砕処理では、加圧下で水熱処理および固液分離処理した固体木質バイオマスを0.1〜3秒程度の時間で常圧近辺に戻すことにより、木質バイオマスをさらに粉砕する。具体的には、木質バイオマスを耐圧容器等に入れ、水熱処理および固液分離後、急激に大気圧に開放する。
クロマト分離は、充填カラムによるバッチ方式が一般的であるが疑似移動床技術を用いた擬似連続方式もある。クロマト分離処理の展開液としては水またはアルコール等を用い、充填剤としては特に制約されるものではないが、ゲルろ過用充填剤が好ましい。展開液のカラム線速度は0.1〜100cm/hr程度、好ましくは1〜30cm/hrであり、展開温度は20〜120℃程度、好ましくは30〜80℃である。
本発明では、(1)式の木材の水蒸気改質反応(吸熱反応)、(2)式のメタノール合成反応(発熱反応)、(3)式のメタノールのカルボニル化反応(発熱反応)、(4)式の五炭糖酵素糖化反応(吸熱反応)、(5)式の六炭糖酵素糖化反応(吸熱反応)、(6)〜(9)式のエタノール、乳酸およびプロパンジオール製造反応(すべて発熱反応)、(10)式の炭化反応(吸熱反応)および(11)式の燃焼反応(発熱反応)を行う。(1)式の反応は触媒の存在下または無触媒で反応を行い、(2)式および(3)式の反応は触媒の存在下で反応を行い、(4)式および(5)式の反応は酵素の存在下で反応を行い、(6)式〜(9)式の反応は微生物の存在下で反応を行い、(10)式および(11)式の反応は無触媒で反応を行う。
(2)式のメタノール合成反応、(3)式のメタノールのカルボニル化反応、(6)〜(9)式のエタノール、乳酸およびプロパンジオール製造反応および(11)式の燃焼反応は発熱反応であるから熱回収に用いられる。(1)式の木材の水蒸気改質反応、(4)式の五炭糖酵素糖化反応、(5)式の六炭糖酵素糖化反応および(10)式の炭化反応は吸熱反応であるから熱利用に用いられる。
(1)式の木材の水蒸気改質反応において、一般的な反応温度としては600℃〜1200℃であり、実用的には700〜1100℃の範囲が好ましい。反応圧力は常圧〜7.0MPaであり、実用的には0.5〜3.0MPaの範囲が好ましい。(1)式の一般的な反応方法としては、例えば、固定床、流動床、噴流床など従来より提案されている工業的又は実験研究的な公知の方法を用いることができ、その方法は木材の種類、粉砕方法などに応じて適宜選択することができる。このような方法としては、例えば、触媒の存在下で、水蒸気を改質剤として、外から熱を加えて水蒸気改質反応を行う方法を用いることができる。(1)式の触媒としては、通常の工業用のニッケル、コバルト、鉄等の水素活性化用の各種の金属触媒を用いることができる。また、触媒を用いずに、800℃程度の高温で原料バイオマスの水蒸気改質反応を行うことができる。
(2)式のメタノール合成反応において反応温度と反応圧力およびガス空間速度は触媒の仕込量、更には目標の反応率によって広い範囲で選び得るが、一般的な反応温度としては50℃〜300℃であり、実用的には100〜250℃の範囲が好ましい。反応温度が低過ぎる場合には実用的な反応速度が得られず、反応温度が高過ぎる場合には副反応や触媒の失活を招きやすい。
反応圧力は常圧〜7.0MPaであり、実用的には0.5〜3.0MPaの範囲が好ましい。
ガス空間速度は100〜10000(M3−[一酸化炭素+水素]/hr/M3−触媒)の範囲、特に300〜5000(M3−[一酸化炭素+水素]/hr/M3−触媒)が一般的である。
(2)式の触媒としては、気相法では銅−亜鉛−アルミニウム系の混合触媒、希土類酸化物を坦体としたパラジウム系触媒、酸化ジルコニウム坦持の金触媒、酸化セリウム坦持パラジウム触媒およびラネー型貴金属触媒(ルテニウム、パラジウム、ロジウムおよび白金)等各種の触媒を用いることができる。液相法ではニッケル系化合物(またはパラジウム系、コバルト系)とともにアルコキシドを使用した触媒、ニッケル系化合物と金属アルコキシド(リチウム、ナトリウム、カリウム)を用いた触媒等各種の触媒を用いることができる。
(3)式のメタノールのカルボニル化反応によるギ酸メチル液相合成反応において反応温度と反応圧力および液空間速度は触媒の種類と触媒量、更には目標の反応率によって広い範囲で選び得るが、一般的な反応温度としては0℃から235℃であり、実用的には20〜200℃の範囲が好ましい。反応温度が低過ぎる場合には実用的な反応速度が得られず、反応温度が高過ぎる場合には副反応の併発や触媒の失活を招きやすい。反応温度20〜200℃で使用するメタノールの蒸気圧よりも高い反応圧力が好ましく、圧力は0.01〜6.06MPaの範囲が好ましい。
一酸化炭素とメタノールの比はメタノールの反応を考慮して理論値よりも一酸化炭素が多い方が好ましく、モル比は1〜100(一酸化炭素/メタノール)であり、実用的には1.2〜50(一酸化炭素/メタノール)の範囲が好ましい。
液空間速度は0.1〜10(M3−メタノール/hr/M3−触媒)の範囲、特に0.2〜3(M3−メタノール/hr/M3−触媒)が一般的である。
(3)式の触媒としては、液相系が主体で、アルカリ(土類)金属アルコラートが最も一般的に用いられている触媒であるが、陰イオン交換樹脂、(フッ化カリウム+酸化亜鉛)触媒および炭酸セシウム触媒等各種の触媒を用いることができる。
(2)および(3)式の一般的な反応方法としては、懸濁床、或いは固定床、回分式、半回分式、流通式等の通常知られているあらゆる方法を用いることができる。触媒は均一触媒、不均一触媒何れも使用することができる。(3)式の反応で原料として使用するメタノールは、炭酸ガスの副生等を回避するため、および触媒への負担を軽減する目的で、使用に先だって乾燥剤等によりメタノール中の水分を少なくすることが好ましい。また、溶媒を使用する反応では該溶媒中の水分についても原料と同等の配慮が必要である。
(4)および(5)式の酵素糖化反応では、酵素を用いてセルロースおよびヘミセルロースの糖化を行い、糖化液を固液分離することにより糖を含む水溶液を得ることができる。酵素としては、セルラーゼ、ヘミセルラーゼがあり、これらを単独で、あるいは組み合わせて用いる。これら酵素は、精製した酵素剤のみならずセルラーゼ、ヘミセルラーゼなどの酵素を含有する菌体培養液を用いても良い。また、市販のセルラーゼ、ヘミセルラーゼを用いても良い。一般的な反応温度としては20℃〜100℃であり、実用的には50〜70℃の範囲が好ましい。反応液中の酵素濃度は0.01〜30wt%に調整され、実用的には0.1〜5.0wt%の範囲が好ましい。また、反応pHは通常pH3〜10に調整され、実用的にはpH5〜7の範囲が好ましい。反応は回分式で行われ、反応時間については通常1〜200時間、好ましくは20〜80時間である。
(6)式の五炭糖からエタノールを得る醗酵において、培地組成は何ら格別ではなく、木材から得られた1〜50wt%五炭糖水溶液に適当な栄養分や無機塩を加えることによって調整され、実用的には10〜25wt%五炭糖水溶液が好ましい。使用される微生物にも特に制限はなく、エタノールを生成しうるあらゆる微生物が用いられる。エタノール醗酵用の微生物としてはピチャー スチピチス(Pichia stipitis)、パシソレン タノフィラス(Pachysolen tannophilus)などを代表とする酵母、大腸菌(Escherichia coli)、クレビッシェラ オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、クロストディウム サーモセラム(Clostridium thermocellum)などの細菌、チモモナス モビルス(Zymomonas mobilis)などのカビ類があげられる。培養条件は用いる微生物の種類に依存して適宜設定される。培養温度は、例えば30〜60℃が適切であり、培養温度が高すぎると菌体の酵素活性が失われるおそれがある。培養液のpHは、培養期間を通じて菌体に最適な、例えば、pH6.0〜8.0に維持される。pHの調整には、例えば、水酸化ナトリウムや硫酸などが用いられる。
(7)式の六炭糖からエタノールを得る醗酵において、培地組成は何ら格別ではなく、木材から得られた1〜50wt%六炭糖水溶液に適当な栄養分や無機塩を加えることによって調整され、実用的には10〜25wt%六炭糖水溶液が好ましい。使用される微生物にも特に制限はなく、エタノールを生成しうるあらゆる微生物が用いられる。エタノール醗酵用の微生物としてはサッカロマイセス(Sacharomyces)属のサッカロマイセス セレビシエ(S.cerevisiae)、サッカロマイセス ウバラム(S.ubarum)などを代表とする酵母、チモモナス モビルス(Zymomonas mobilis)、クロストリディウム サーモハイドロサルフリカム(Clostridium thermohydrosulfuricum)などのカビ類があげられる。培養条件は用いる微生物の種類に依存して適宜設定される。培養温度は、例えば30〜60℃が適切であり、培養温度が高すぎると菌体の酵素活性が失われるおそれがある。培養液のpHは、培養期間を通じて菌体に最適な、例えば、pH3.0〜6.0に維持される。pHの調整には、例えば、水酸化ナトリウムや硫酸などが用いられる。
(8)式の六炭糖から乳酸を得る醗酵において、培地組成は何ら格別ではなく、木材から得られた1〜50wt%六炭糖水溶液に適当な栄養分や無機塩を加えることによって調整され、実用的には10〜25wt%六炭糖水溶液が好ましい。使用される微生物にも特に制限はなく、乳酸を生成しうるあらゆる微生物が用いられる。乳酸醗酵用の微生物としてはラクトバチルス(Lactobacillus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ペディオコッカス(Pediococcus)属、ロイコノストック(Leuconostoc)属などの微生物があげられる。培養条件は用いる微生物の種類に依存して適宜設定される。培養温度は、例えば20〜80℃であり、実用的には30〜50℃が好ましい。培養温度が高すぎると菌体の酵素活性が失われるおそれがある。培養液のpHは、培養期間を通じて菌体に最適な、例えば、pH4.0〜9.0であり、実用的にはpH5〜7が好ましい。pHの調整には、例えば、水酸化ナトリウムや硫酸などが用いられる。
(9)式の六炭糖からプロパンジオールを得る醗酵において、培地組成は何ら格別ではなく、木材から得られた1〜50wt%六炭糖水溶液に適当な栄養分や無機塩を加えることによって調整され、実用的には10〜25wt%六炭糖水溶液が好ましい。使用される微生物にも特に制限はなく、プロパンジオールを生成しうるあらゆる微生物が用いられる。プロパンジオール醗酵用の微生物としてはアスペルギルス(Aspergillus)属、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、ピヒア(Pichia)属、クリベロミセス(Kluyveromyces)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、クレプシエラ(Klebsiella)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、エンテロバクター(Enterobacter)属、およびクロストリジウム(Clostridium)属などの微生物があげられる。培養条件は用いる微生物の種類に依存して適宜設定される。培養温度は、例えば30〜60℃が適切であり、培養温度が高すぎると菌体の酵素活性が失われるおそれがある。培養液のpHは、培養期間を通じて菌体に最適な、例えば、pH3.0〜7.0に維持される。pHの調整には、例えば、水酸化ナトリウムや硫酸などが用いられる。
(6)〜(9)式の一般的な醗酵方法としては、回分式、或いは半回分式、流通式等の通常知られているあらゆる方法を用いることができる。醗酵は一般的には嫌気性条件下で行われ、培地中の菌体濃度は0.1〜30wt%に調整され、実用的には0.5〜10wt%が好ましい。菌体は、懸濁法、固定化法いずれも使用することが出来る。醗酵装置は嫌気性条件下での機械撹拌式、或いはポンプ循環方式、反応副生ガスである炭酸ガスを利用した気泡塔型炭酸ガス撹拌式等の醗酵装置を使用することが出来る。また、回分醗酵における醗酵時間については、通常1〜10日間、好ましくは2〜5日間である。
(10)式の炭化反応では、本発明の装置が処理対象とする木質系バイオマスから得たおもにリグニンを原料とするもので、一般的な炭素材製造装置などを用いて実施することができる。炭化反応の条件は、通常300〜800℃、好ましくは350〜600℃の温度で、10分〜3時間、好ましくは30分〜2時間が適当である。また、炭化反応生成物に水蒸気を加えて賦活処理を行うこともできる。この賦活処理方法として、炭化反応容器の上側内壁に沿って軸方向に延在し、かつ周壁に軸方向に並ぶ複数の孔が設けられた管体で構成されている装置を用いて行うことができるが、必ずしもこの形式の装置による必要はない。
本発明において熱利用効率を高めるために、(1)式〜(3)式の水蒸気改質反応、メタノール合成反応、メタノールのカルボニル化反応反応器、(4)式〜(9)式の酵素糖化反応、エタノール、乳酸、プロパンジオール製造醗酵器、(10)式の炭化反応器、第1〜3熱交換器、水熱処理器、第2燃焼器に1個以上の熱交換器を取り付けることで、余剰の回収した熱エネルギーを効率よく系内部へ熱交換ができる。熱交換器の数は(1)式〜(10)式の反応の条件および/または第1〜2燃焼器の燃焼反応条件によって決まるが、実用的には1〜20個が好ましい。
以下の実施例より明らかなように本発明による木材を用いる有効利用の方法では、木材を用いてメタノール、ギ酸メチル、エタノール、メタン、乳酸、プロパンジオール等の工業用基礎化学品および炭素材を製造すると同時に所内動力を差し引いた電力、蒸気および温水を高効率で供給することができるので、木材を用いる有効利用として極めて優れた方法である。
次に実施例により本発明を更に詳しく説明する。但し本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
参考例1(水熱処理および固液分離・爆砕処理)
遊星ボールミルP4型(フレッチュ社製)を用いて1分間粉砕した杉130g(セルロース39wt%、ヘミセルロース15wt%、リグニン21wt%、灰分2wt%、水分23wt%)を使用し、水10gを加え、水熱処理装置にて200℃、1.61MPaで2時間水熱処理し、生成したスラリーを加圧下で固液分離して液体30gを得た。分離した液体の成分濃度はリグニン8.4wt%、ヘミセルロース6.2wt%であった。また分離した固形物は大気圧に開放することにより爆砕処理を行った。セルロース、ヘミセルロース、リグニン、灰分及び水分の分析はASTM(American Society for Testing and Materials) D1104−56(1972)、D1103−60(1968)、D1106−56(1966)、D1102−56(1772)、D2016−74の方法により行った。
参考例2(第1クロマト分離)
参考例1により得られた液体1gを分取用シェファーデックスG−10(アマシャムバイオサイエンス社製)50mlが充填されたガラス製カラム(内径0.9cm、長さ100cm)に供給し、展開液として水を用いて温度60℃、液流速15ml/hrでクロマト分離を行った。溶出開始後2時間までの画分とそれ以降の画分とをそれぞれ分取、分析したところ、前者はおもにリグニン及びヘミセルロースを多く含み、後者はおもにセルロースを多く含む画分であった。
参考例3((10)式の炭化反応)
参考例2と同様の操作を数回行うことにより得られたリグニンを多く含む画分10gを500℃、1時間で炭化し、炭素繊維製造の原料3gを得た。オートソーブ全自動ガス吸着量測定装置(Autosorb社製)により、比表面積及び細孔容積を測定したところ、550m2/gおよび0.25ml/gであった。
参考例4((5)式の酵素糖化反応)
参考例1により得られた爆砕処理物20gを、遊星ボールミルP4型(フレッチュ社製)により1時間粉砕処理して得られた固形物を糖化槽に入れ、水を180g加えた後、pHを6に調整しセルラーゼGODO−TCL(合同酒精製)を1.0wt%になるように添加し、60℃で72時間酵素糖化を行った。糖化液を固液分離し、液体成分を分析したところ、液体中のグルコース濃度は3.0wt%であった。
参考例5((4)式の酵素糖化反応)
参考例4から得られたセルラーゼによる酵素糖化後の残渣10gに水を90g加えた後、pHを6に調整し、ヘミセルラーゼ・エンチロンLQ((洛東化成工業製)を1.0wt%になるように添加し、60℃で72時間酵素糖化を行った。糖化液を固液分離し、液体成分を分析したところ、液体中のキシロース濃度は2.0wt%であった。
参考例6(第2クロマト分離)
参考例4及び参考例5で得られた液体成分を合わせたもの1.0mlを用い、ガラス製カラム(内径14mm、長さ100cm)に充填剤としてシェファーデックスG−15(アマシャムバイオサイエンス社製)を120ml充填し、展開液として水を用いて温度45℃、流速6.0ml/hrでクロマト分離を行った。溶出開始後90分までの画分にはおもにグルコースを多く含む溶液が、それ以降の画分にはおもにキシロースを多く含む溶液がそれぞれ得られた。
参考例7((6)式の五炭糖エタノール醗酵)
内容積500mlの三角フラスコに培地100ml(組成:キシロース50g、NH4NO31.5g、NH4Cl21.5g、KH2PO41.0g、K2HPO41.0g、MgSO4・7H2O0.3g、FeSO4・7H2O0.01g、ZnSO4・7H2O0.01g、MnSO4・7H2O0.001g、酵母エキス0.2g、水1000ml、pH6.8)を入れ、オートクレーブにて120℃、10分間加熱滅菌した。土壌中より分離したクロストリディウム(Clostridium)類縁菌を培地中での濃度が1.0wt%になるように加え、系内に高純度窒素ガスを充填した後、排気する操作を数回繰り返し、系内のガス置換を行った。ついで、30℃の恒温槽中で48時間嫌気醗酵を行った後の醗酵液中のエタノール濃度は1.0wt%であった。
参考例8((7)式の六炭糖エタノール醗酵)
内容積500mlの三角フラスコに培地100ml(組成:グルコース200g、KH2PO41.0g、Mg2SO40.5g、ポリペプトン5.0g、酵母エキス2.0g、水1000ml、pH4.0)を入れ、オートクレーブにて120℃、10分間加熱滅菌した。サッカロマイセス セレビシエ(Sacharomyces cerevisiae、オリエンタル酵母工業製)を系内に高純度窒素ガスを充填した後、排気する操作を数回繰り返し、系内のガス置換を行った。ついで、30℃の恒温槽中で48時間嫌気醗酵を行った後の醗酵液中のエタノール濃度は3.0wt%であった。
参考例9((8)式の乳酸醗酵)
50mlの遠心管に培地30ml(組成:グルコース200g、(NH42SO43.0g、KH2PO40.3g、MgSO4・7H2O0.2g、ZnSO4・7H2O0.04g、水1000ml、pH6)を入れ、オートクレーブにて120℃、10分間加熱滅菌した。ラクトバチルス デルブルエキー(Lactobacillus delbreueckii)を培地中での濃度が0.1wt%になるように加え、37℃の恒温槽中で醗酵させた。初期pHを6.0とし、醗酵72時間後に遠心管を遠心し、固形分を沈殿させた後、液相部分を回収し、液相部分の乳酸濃度を酵素法(F−キットD/L乳酸、J.K.インターナショナル)にて測定したところ、2.5wt%であった。
参考例10((9)式のプロパンジオール醗酵)
内容積500mlの三角フラスコに培地100ml(組成:グルコース50g、NH4NO31.5g、NH4Cl21.5g、KH2PO41.0g、K2HPO41.0g、MgSO4・7H2O0.3g、FeSO4・7H2O0.01g、ZnSO4・7H2O0.01g、MnSO4・7H2O0.001g、酵母エキス0.2g、水1000ml、pH6.8)を入れ、オートクレーブにて120℃、10分間加熱滅菌した。土壌中より分離したコリネバクテリウム ハイドロカルボクラスタス(Corynebacterrium hydrocarboclastus)類縁菌を培地中での濃度が1.0wt%になるように加え、系内に高純度窒素ガスを充填した後、排気する操作を数回繰り返し、系内のガス置換を行った。ついで、30℃の恒温槽中で嫌気醗酵を行った。48時間醗酵させた後、醗酵液の分析を行った結果、醗酵液のプロパンジオール濃度は1.0wt%であった。
参考例11((1)式の水蒸気改質反応)
参考例1と同様に粉砕した杉130gを使用し、水10gを加え、水熱処理装置にて200℃、1.61MPaで2時間水熱処理し、大気開放したサンプルを、内容積1000mlのオートクレーブに仕込み、無触媒下で800℃,2.02MPaに保持して1時間水蒸気改質を行った。生成ガス中の水素と一酸化炭素のモル組成は一酸化炭素/水素=1.0/1.1であった。
参考例12((2)式の液相法メタノール合成反応)
内容積500mlの攪拌機付き槽型ステンレス反応器に溶媒として100mlのメタキシレン、アルカリ水溶液で展開した日興リカ(株)製ラネー銅触媒40.4gおよび28wt%のナトリウムメトキシドメタノール溶液15gを仕込み、反応器を組み立てた。系内に窒素ガスを充填した後、排気する操作を数回繰り返し、系内のガス置換を行った。続いて水素/一酸化炭素の比が2である混合ガスを3.00MPa充填した。攪拌速度を1000rpmとし、反応器を温度110℃に加熱した。この温度で1時間維持し反応させた。その後、反応器を冷却した。気相部を徐徐に抜き出し、ガス量を計量するとともに分析した。その結果、一酸化炭素の反応率は78.6%、メタノールの選択率は88.9%であった。
参考例13((2)式の気相法メタノール合成反応)
ステンレス製内径9mmの反応管を取り付けた固定床流通式反応装置を用い、共沈法で調製した酸化セリウム担持パラジウム触媒(パラジウム含有量15wt%)1.0gを反応前に10%水素(窒素希釈)で300℃、1時間還元後、反応温度210℃、圧力1.01MPa、ガス流量1800ml/hrでメタノール合成を行った。24時間経過後の反応転化率21.4%、選択率95.3%、反応ガスの水素と一酸化炭素のモル組成は一酸化炭素/水素=1/2であった。
参考例14((3)式の液相法メタノールのカルボニル化反応)
内容積100mlの攪拌機付き槽型ステンレス反応器にイオン交換樹脂(バイエル(株)製)15mlとメタノール50gを充填した。反応条件を触媒層温度60℃、反応圧力5.1MPaとして5時間反応させた。なお、反応圧力が一定圧力になるように一酸化炭素を供給した。その結果、メタノール反応率は82.1%、ギ酸メチル収率は76.9%であった。
参考例15((3)式の液相法メタノールのカルボニル化反応)
内容積100mlのステンレス製オートクレイブに触媒としてフッ化カリウム0.32gと酸化亜鉛0.27gとメタノール10gを充填した。オートクレイブの内部を窒素により充分置換した後、一酸化炭素を4.9MPaまで充填した。これを振盪しながら120℃に加熱した。2時間振盪反応の後、オートクレイブを水中で冷却した。オートクレイブのバルブを開いて内部ガスを徐々にパージし、ガス量を計量するとともに組成を分析した。オートクレイブ圧力が大気圧になってから内容物を取り出し、秤量した後分析した。その結果、メタノール反応率は27.3%、ギ酸メチル収率は22.5%であった。
以上の参考例のデータを用い、図1のフローに基づき本発明による木材を用いる有効利用の方法の計算を行った。
(主にヘミセルロースおよびリグニンに関わる系)
図1において、原料となる木材は流路10を経て、約8割が流路20より第1粉砕機A10に、約2割が流路30より第2燃焼器D20にそれぞれ供給される。第1粉砕機A10により粉砕された木材(木粉)は流路40を経て、また水熱処理に必要な水は流路50を経て、それぞれ第1熱交換器B10に供給される。第1熱交換器B10において、系内部熱交換により予熱された木粉および水は流路60を経て水熱処理器C10に供給される。水熱処理器C10では参考例1に記載したように、温度200℃、圧力1.61MPaで水熱処理が行われる。水熱処理された固液相は流路70を経て、第1熱交換器B10に入り、系内部熱交換により熱を供給して、流路80を経て、また固液分離のリンスに必要な水は流路90を経て、それぞれ固液分離・爆砕器G10に供給される。固液分離・爆砕器G10より分離された液相(大部分のヘミセルロースおよびリグニンと一部のセルロース)は流路100を経て、第1クロマト分離器H10に供給される。第1クロマト分離器H10は参考例2に記載したように、充填剤シェファーデックスG−10が充填されており、ヘミセルロースおよびセルロースを含む画分とリグニンを含む画分とに分離する。第1クロマト分離器H10より分離された主にヘミセルロースを含む画分は流路110を経て、第3熱交換器B30に供給され、主にリグニンを含む画分は流路120を経て、第1貯蔵器I10に供給される。第1貯蔵器I10から抜き出された約8割の主にリグニンを含む区分は流路150を経て、また燃焼に必要な空気は流路180より空気圧縮機F10を経て、圧力が1.01MPaにまで昇圧され、流路190より、それぞれ第1燃焼器D10に供給される。第1燃焼器D10は温度1000℃、圧力1.01MPaで燃焼反応が行われ、燃焼反応生成物である1000℃高温ガス(炭酸ガス、蒸気および未反応窒素)は流路200を経て発電機E10に供給される。発電機E10より排出された822℃高温ガス(炭酸ガス、蒸気および未反応窒素)は流路210を経て第2熱交換器B20に供給される。流路800より供給された水は第2熱交換器B20により系内部熱交換され、95℃温水および3KG(0.39MPa)蒸気としてそれぞれ流路810および流路820を経て系外に排出され熱利用される。第2熱交換器B20より排出された30℃低温ガス(炭酸ガス、蒸気および未反応窒素)は流路220を経て、系外に排出される。第1貯蔵器I10から抜き出された約1割の主にリグニンを含む区分は流路140を経て炭化反応器J10に供給される。炭化反応器J10は参考例3に記載したように、無酸素状態の下、温度500℃、圧力0.404MPaで主にリグニンの炭化反応が行われ、炭化反応生成物である炭素材は流路170を経て、また炭化反応副生成物であるメタンおよび水は流路160を経て、それぞれ系外に排出される。第1貯蔵器I10から抜き出された約1割の主にリグニンを含む区分は流路130を経て、第3熱交換器B30に供給される。
(主にセルロースに関わる系)
固液分離・爆砕器G10に残留した固相(大部分のセルロースと一部のヘミセルロースおよびリグニン)は大気圧への開放により爆砕され流路300を経て、第2粉砕機A20に供給され、常温、常圧で粉砕される。第2粉砕機A20から排出された粉砕混合物は流路310を経て、また酵素糖化反応に必要な水は流路320を経て、それぞれ第1酵素糖化反応器K10に供給される。第1酵素糖化反応器K10は参考例5に記載したように、セルラーゼ(GODO−TCL)により、温度45℃、pH6.0でセルロースの酵素糖化反応を行う。第1酵素糖化反応器K10より排出された六炭糖を含む水溶液は、流路330を経て、第2酵素糖化反応器K20に供給される。第2酵素糖化反応器K20は参考例4に記載したように、ヘミセルラーゼ(エンチロンLQ)により、温度45℃、pH6でヘミセルロースの酵素糖化反応を行う。第2酵素糖化反応器K20に残った主にリグニンを含む未糖化反応固形物は流路340を経て、第3熱交換器B30に供給される。セルロースおよびヘミセルロースの酵素糖化反応により生成した六炭糖および五炭糖を含む糖水溶液は流路350を経て、第2クロマト分離器H20に供給される。第2クロマト分離器H20は参考例6に記載したように、充填剤シェファーデックスG−15が充填されており、温度45℃で六炭糖水溶液と五炭糖水溶液とに分離する。第2クロマト分離器H20により分離されたリグニンおよび未分離の六炭糖と五炭糖は流路360を経て、第3熱交換器B30に供給される。第2クロマト分離器H20より分離された大部分の五炭糖水溶液は流路370を経て、第1醗酵器L10に供給される。第1醗酵器L10は参考例7に記載したように、クロストリディウム類縁菌により、温度30、pH6.8で五炭糖のエタノール醗酵を行い、醗酵により生成したエタノールを含む醗酵液は流路380より、また醗酵により副成した炭酸ガスは流路390より、それぞれ系外に排出される。第2クロマト分離器H20より分離された大部分の六炭糖水溶液は流路400を経て、第2貯蔵器I20に供給される。第2貯蔵器I20から抜き出された約4割の六炭糖水溶液は流路410を経て、第2醗酵器L20に供給される。第2醗酵器L20は参考例8に記載したように、サッカロマイセス セレビシエにより、温度30℃、pH4.0で六炭糖のエタノール醗酵を行い、醗酵により生成したエタノールを含む醗酵液は流路420より、また醗酵により副成した炭酸ガスは流路430より、それぞれ系外に排出される。第2貯蔵器I20から抜き出された約3割の六炭糖水溶液は流路440を経て、第3醗酵器L30に供給される。第3醗酵器L30は参考例9に記載したように、ラクトバチルス デルブルエキーにより、温度37℃、pH6で乳酸醗酵を行い、醗酵により生成した乳酸を含む醗酵液は流路450より系外に排出される。第2貯蔵器I20から抜き出された約3割の六炭糖水溶液は流路460を経て、第4醗酵器L40に供給される。第4醗酵器L40は参考例10に記載したように、コリネバクテリウム ハイドロカルボクラスタスにより、温度30℃、pH6.8でプロパンジオール醗酵を行い、醗酵により生成したプロパンジオールを含む醗酵液は流路470より、また醗酵により副成した炭酸ガスは流路480より、それぞれ系外に排出される。
(メタノール合成反応およびメタノールのカルボニル化反応に関わる系)
流路110、130、340および360を経て熱交換器B30に収集されたセルロース、ヘミセルロースおよびリグニンを含む成分は水を過剰に含んでいるため水蒸気改質反応には不必要な水は蒸発により流路500を経て3KG蒸気として系外に排出し熱利用される。セルロース、ヘミセルロースおよびリグニンを含む成分は流路510を経て水蒸気改質反応器M10に供給される。水蒸気改質反応器M10は参考例11に記載したように、温度800℃、圧力2.02MPaで水蒸気改質反応を行う。水蒸気改質反応により生成したガス(一酸化炭素および水素)は流路520を経て、脱塵器N10に供給される。脱塵器N10より分離された灰分は流路530を経て系外に排出され、脱塵器N10により脱塵されたガス(一酸化炭素および水素)は流路540を経てメタノール合成反応器O10に供給される。メタノール合成反応器O10は参考例13に記載したように、酸化セリウム担持パラジウム触媒が充填されており、温度210℃、圧力1.01MPaでメタノール合成反応を行う。メタノール合成反応により生成したメタノールおよび未反応一酸化炭素は流路550を経て、メタノールのカルボニル化反応器P10に供給される。メタノールのカルボニル化反応器P10は参考例14に記載したように、イオン交換樹脂触媒が充填されており、温度60℃、圧力2.02MPaでメタノールのカルボニル化反応を行う。メタノールのカルボニル化反応により生成したギ酸メチルおよび未反応メタノールは流路560を経て系外に排出される。
(熱交換に関わる系)
水熱処理器C10、第3熱交換器B30、水蒸気改質反応器M10および炭化反応器J10に必要な熱を賄うための木材は流路30を経て、また該木材の燃焼に必要な空気は流路230を経てそれぞれ第2燃焼器D20に供給される。第2燃焼器D20は木材の燃焼反応を行い、反応生成物である炭酸ガス、水および未反応窒素は流路240を経て系外に排出される。燃焼反応の結果得られた熱の一部は流路600を経て水熱処理器C10に供給され、流路610を経て再び第2燃焼器D20に返る。燃焼反応の結果得られた熱の一部は流路620を経て第3熱交換器B30に供給され、系内部熱交換により水の蒸発のための熱を供給した後、流路630を経て再び第2燃焼器D20に返る。燃焼反応の結果得られた熱の一部は流路640を経て水蒸気改質反応器M10に供給され、水蒸気改質反応に必要な熱を供給した後、流路650を経て再び第2燃焼器D20に返る。燃焼反応の結果得られた熱の一部は流路660を経て炭化反応器J10に供給され、炭化反応に必要な熱を供給した後、流路670を経て再び第2燃焼器D20に返る。メタノールのカルボニル化反応器P10の反応液は流路680を経てメタノール合成反応器O10に入り、系内部熱交換によりメタノール合成反応熱を回収し、流路690を経て第1酵素糖化反応器K10の吸熱反応に利用し、さらに流路700を経て第2酵素糖化反応器K20の吸熱反応に利用した後、流路710を経て再びメタノールのカルボニル化反応反応器P10に返されメタノールのカルボニル化反応熱を回収する。
各流路における温度、圧力、各成分組成を表1〜8に記載する。なお以下の表において、各成分組成の欄の「S」は固体、「L」は液体、「G」は気体、「M」は固気液混合状態を示す。
Figure 0004748409
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また水熱処理器、燃焼器、熱交換器および各反応器の熱交換量は以下の通りである。
水熱処理器(C10):11.01MJ
第2燃焼器(D20):409.84MJ
第1熱交換器(B10):49.93MJ
第2熱交換器(B20):温水用(16.62MJ)、蒸気用(59.18MJ)
第3熱交換器(B30):48.64MJ
水蒸気改質反応器(M10):342.50MJ
メタノール合成反応器(O10):146.87MJ
メタノールのカルボニル化反応反応器(P10):53.62MJ
第1酵素糖化反応器(K10)+第2酵素糖化反応器(K20):200.49MJ
粉砕器、発電機、空気圧縮機の仕様は以下の通りにした。
第1粉砕機
A10:消費動力 0.72kWh
第2粉砕機
A20:消費動力 2.88kWh
空気圧縮機(断熱効率70%)
F10:消費動力 5.78kWh
発電機(発電効率20%)
E10:発生動力 23.89kWh
発電量(発生動力と消費動力の差)=23.89−(0.72+2.88+5.78)=14.51kWh
以上のシステムにおいて、木材127.1kgを処理し、ギ酸メチル41.8kg、エタノール12.9kg、乳酸12.0kg、プロパンジオール7.6kg、炭素材0.7kg、メタノール1.2kg、メタン0.1kg、六炭糖4.5kg、五炭糖1.0kgおよび電力14.51kWh、0.39MPa(142℃)蒸気27.67kg、95℃温水56.71kgを得ることになる。従って、本システムでは木材の有効利用と発電と0.39MPa(142℃)の蒸気利用および95℃の温水利用を極めて高効率に行うことができることが分かる。
本発明は、木材から工業用原料として有用な種々の物質を製造することができる。
本発明の木材を用いる有効利用の方法を示すフロー図の一例である。
符号の説明
A10、A20 粉砕機
B10、B20、B30 熱交換器
C10 水熱処理器
D10、D20 燃焼器
E10 発電機
F10 空気圧縮機
G10 固液分離・爆砕器
H10、H20 クロマト分離器
I10、I20 貯蔵器
J10 炭化反応器
K10、K20 酵素糖化反応器
L10、L20、L30、L40 醗酵器
M10 水蒸気改質反応器
N10 脱塵器
O10 メタノール合成反応器
P10 メタノールのカルボニル化反応器

Claims (4)

  1. 木材を粉砕し、150〜300℃で、かつ、処理温度の飽和蒸気圧力下で水熱処理を行い、固液分離して、固形分をさらに爆砕・粉砕処理した後に糖化酵素で処理して、その中のヘミセルロース及びセルロースを糖化酵素反応により五炭糖及び六炭糖に変換し、次いでこれらの糖類をエタノール発酵、乳酸発酵又はプロパンジオール発酵させて、それぞれエタノール、乳酸又はプロパンジオールを得るとともに副生物として二酸化炭素を回収し、
    前記固液分離における液相分をクロマトグラフィーに供してリグニンを含む画分を分離し、該画分に含まれるリグニンを燃焼、炭化させて炭素材を得るとともに、メタン及び水からなる副生物を回収する木材からの工業用原料製造方法。
  2. リグニンの燃焼により発生する熱エネルギーを電気エネルギーに変換し、製造工程において必要な動力源として利用する請求項記載の木材からの工業用原料製造方法。
  3. 木材の水蒸気改質工程とメタノール合成反応とメタノールのカルボニル化工程と、
    木材を粉砕し、150〜300℃で、かつ、処理温度の飽和蒸気圧力下で水熱処理を行い、固液分離して、固形分をさらに爆砕・粉砕処理した後に糖化酵素で処理して、その中のヘミセルロース及びセルロースを糖化酵素反応により五炭糖及び六炭糖に変換し、次いでこれらの糖類をエタノール発酵、乳酸発酵又はプロパンジオール発酵させて、それぞれエタノール、乳酸又はプロパンジオールを得るとともに副生物として二酸化炭素を回収する工程と、
    前記固液分離における液相分をクロマトグラフィーに供してリグニンを含む画分を分離し、該画分に含まれるリグニンを燃焼、炭化させて炭素材を得るとともに、メタン及び水からなる副生物を回収する工程と、
    を含む方法において、
    熱排気ガスを発生する工程に熱交換手段を設け、熱回収を行い、上記の工程で必要な熱エネルギー源として利用することを特徴とする木材からの工業用原料製造方法。
  4. 木材に対し水及び空気を供給してメタノール、エタノール、ギ酸メチル、プロパンジオール、乳酸、五炭糖、六炭糖、炭素材及びメタンを含む有用物質をゼロエミッション方式により製造する請求項記載の木材からの工業用原料製造方法。
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