JP4745541B2 - プロピレンブロック共重合体の製造方法 - Google Patents

プロピレンブロック共重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、メタロセン触媒を使用したプロピレンブロック共重合体の製造方法に関するものである。更に詳しくは、前段重合が終了した後で後段重合の開始前または、後段重合の途中に特定の化合物を特定量の範囲で添加することにより、ポリマーの粉体性状がよく、しかも成形後の製品の機械的強度が優れ、かつゲルが低減し、製品外観にも優れるプロピレンブロック共重合体を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プロピレン系ブロック共重合体は、プロピレン又はプロピレンと少量のα−オレフィンの混合物を前段で重合し、ついで先の工程で得られた重合体の存在下にプロピレンとα−オレフィンの混合物を後段重合することによって得られるが、この場合、チーグラー・ナッタ触媒を使用して連続的にプロピレン系ブロック共重合体を製造する方法は公知であり(特開昭61−69821、特開平7−25960、特開平10−168142など)、また、その際添加剤を加えることによって重合体の物性を改良する試みも知られている。。
【0003】
例えば、特開平10−168142公報には、チーグラー触媒を使用した重合において、2段目重合でプロピレン・エチレンランダム共重合体(いわゆるゴム重合体)を製造する前に、活性水素化合物(いわゆるキラー化合物)を添加することが開示されており、好ましい供給量として、第2段階重合工程に供給される有機アルミニウム化合物中のアルミニウムに対して、1.0モル比を超え、3.0モル比未満であることが開示されている。
【0004】
しかしながら、これらの方法では、活性が充分でなかったり、得られるポリマーの粉体性状が必ずしも満足できるレベルではないといった問題がある。ポリマーの粉体性状が悪いのは、2段目重合でプロピレン・エチレンランダム共重合体(いわゆるゴム重合体)を製造する前に、作用させる活性水素化合物の働きが充分でないため、ゴム成分がポリマー表面に滲出するためと考えられている。
【0005】
この結果、ポリマーがべとつきやすく、重合中においても粒子同士の凝集、あるいは反応器壁面への付着や抜き出し配管の閉塞といった問題が生じていた。
【0006】
一方、プロピレン系ブロック共重合体を製造する際に、メタロセン触媒を使用することは公知である(特開平11−228648、特開平11−240929など)。
【0007】
しかしながら、これらの報文では具体的な開示はすべて小規模の「バッチ式の重合」を行なったものばかりであり、工業的な生産を考えた場合に使用される「連続式重合」における重合データの開示はない。このため、メタロセン触媒を使用して連続重合を行なった際に、どのような問題が発生するかさえ明らかになっていなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、メタロセン触媒の特徴である高活性を維持しながら、ポリマー粒子同士の凝集を防止すること、および反応器内壁面への付着や抜き出し配管の閉塞を防止することを達成できるようなブロック共重合体の製造方法を提供することにある。さらには、得られたポリマーを成形して得られる成形体の各種機械物性の低下を防止すること、重合体中のゲルの発生を防止して表面外観に優れた成形体を得ることのできるプロピレンブロック共重合体の製造方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らが検討をおこなった結果、メタロセン触媒を使用した場合に、特定の化合物を特定量添加した場合、上記課題を解決できることを見出し本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、下記の成分(A)、(B)及び(C)を接触して得られるオレフィン重合用触媒の存在下に、下記の前段重合工程と後段重合工程を行うプロピレンブロック共重合体の製造方法において、電子供与性化合物を、後段の重合系に存在する有機アルミニウム化合物中のアルミニウム原子に対して、モル比で0.001〜3.0の範囲となるように、前段重合工程以降に供給することを特徴とするプロピレンブロック共重合体の製造方法を提供するものである。
【0011】
[触媒]
(A)下記一般式[1]で表される遷移金属化合物。
(B)下記(b−1)〜(b−4)から選ばれた一種以上を含有する固体成分、
(b−1)アルミニウムオキシ化合物が担持された微粒子状担体、
(b−2)成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸が担持された微粒子状担体、
(b−3)固体酸微粒子、
(b−4)イオン交換性層状珪酸塩、
(C)有機アルミニウム化合物。
【0012】
【化2】
Figure 0004745541
【0013】
ここで、式[1]中、A及びA’は共役五員環配位子を示し、Qは2つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を示し、Mは周期律表4〜6族から選ばれる金属原子を示し、X及びYは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、リン含有炭化水素基又はケイ素含有炭化水素基を示す。なお、A及びA’は同一化合物内において相互に同一であっても異なっていてもよい。
【0014】
[重合工程]
前段重合工程:プロピレン単独またはプロピレンとエチレンとの混合物を1段または多段で重合させて、結晶性のプロピレン重合体を製造する工程後段重合工程:前段重合工程における触媒および前段重合工程で形成された重合体の存在下、プロピレン・エチレン混合物を一段または多段に重合させて、ゴム状共重合体を生成させる工程
また、本発明は、電子供与性化合物を、後段に送給される有機アルミニウム化合物中のアルミニウム原子に対してモル比で0.001〜1.0の範囲となるように供給する上記のプロピレンブロック共重合体の製造方法、電子供与性化合物を前段重合工程で得られた重合体を後段重合工程に移行させる過程で添加する上記のプロピレンブロック共重合体の製造方法、及び、電子供与性化合物を後段重合工程で添加する上記のプロピレンブロック共重合体の製造方法を提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明においては、プロピレンブロック共重合体が製造される。なお、電子供与性化合物/有機アルミニウム化合物中のアルミ原子のモル比を以下、キラー値Kと呼ぶことにする。
【0016】
[触媒]
本発明で使用される触媒は、次の必須成分(A)及び(B)と任意成分(C)を含有することを特徴とするα−オレフィン重合用触媒である。
(A)下記の一般式[1]で表される遷移金属化合物。
(B)下記(b−1)〜(b−4)から選ばれた一種以上を含有する固体成分、
(b−1)アルミニウムオキシ化合物が担持された微粒子状担体、
(b−2)成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸が担持された微粒子状担体、
(b−3)固体酸微粒子、
(b−4)イオン交換性層状珪酸塩、
(C)有機アルミニウム化合物。
【0017】
【化3】
Figure 0004745541
【0018】
ここで、式[1]中、A及びA’は共役五員環配位子を示し、Qは2つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を示し、Mは周期律表4〜6族から選ばれる金属原子を示し、X及びYは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、リン含有炭化水素基又はケイ素含有炭化水素基を示す。なお、A及びA’は同一化合物内において相互に同一であっても異なっていてもよい。
【0019】
<成分(A)>
上記一般式[1]で表される遷移金属化合物における共役五員環配位子(A及びA’)の具体例としては、共役炭素五員環配位子、即ちシクロペンタジエニル基を挙げることができる。シクロペンタジエニル基は水素原子を4個有するもの(架橋部の炭素原子を除く全ての炭素原子の結合部位に水素原子を有するもの:C54−)であってもよく、また、その誘導体、すなわち前記水素原子のいくつかが置換基で置換されているものであってもよい。
【0020】
この置換基の例としては、炭素数1〜20、好ましくは1〜12の炭化水素基が挙げられる。この炭化水素基は一価の基としてシクロペンタジエニル基と結合していても、またこれが複数存在するときにそのうちの2個がそれぞれ他端(ω−端)で結合してシクロペンタジエニル基の一部と共に5〜12員環を形成していてもよい。すなわち、A及びA’で示される共役五員環配位子の具体例としては、置換又は非置換のシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基、アズレニル基等が挙げられる。
【0021】
シクロペンタジエニル基等の共役五員環配位子上の置換基としては、ハロゲン原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子、窒素原子、ホウ素原子を含有していてもよい炭素数1〜20、好ましくは1〜12の炭化水素基、が挙げられる。
【0022】
これらの置換基が複数ある場合、それぞれの置換基は同一であっても異なっていてもよい。また、上述のR1〜R3は同一でも異なっていてもよく、水素原子、あるいはC1〜C20のアルキル基、アルケニル基、アリール基等を示す。またこれらは連結して環状置換基を形成していても良い。
【0023】
Qは二つの共役五員配位子間を任意の位置で架橋する結合性基を表す。Qの具体例としては、
(イ)メチレン基、エチレン基等のアルキレン基類、(ロ)シリレン基、ジメチルシリレン基、フェニルメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、ジシリレン基、テトラメチルジシリレン基等のシリレン基類、(ハ)ゲルマニウム、リン、窒素、ホウ素あるいはアルミニウムを含む炭化水素基等である。このうち、好ましいものはアルキレン基類、シリレン基類、及びゲルミレン基類である。
【0024】
Mは、周期律表4〜6族から選ばれる金属原子、好ましくは周期律表4族金属原子、具体的にはチタン、ジルコニウム及びハフニウム等である。特にはジルコニウム及びハフニウムが好ましい。
【0025】
X及びYは、各々水素、ハロゲン原子、炭素数1〜20、好ましくは1〜10の炭化水素基、炭素数1〜20、好ましくは1〜10のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜20、好ましくは1〜10を含有する窒素含有炭化水素基、ジフェニルホスフィン基等の炭素数1〜20、好ましくは1〜12のリン含有炭化水素基、又はトリメチルシリル基、ビス(トリメチルシリル)メチル基等の炭素数1〜20、好ましくは1〜12のケイ素含有炭化水素基である。XとYとは同一でも異なってもよい。これらのうちハロゲン原子、炭素数1〜8の炭化水素基、及び炭素数1〜12の窒素含有炭化水素基が好ましい。
【0026】
本発明によるオレフィン重合用触媒において、成分(A)として一般式[1]で表される化合物のうち、好ましいものは以下の置換基を有するものである。
【0027】
A、A’=シクロペンタジエニル、n−ブチル−シクロペンタジエニル、インデニル、2−メチル−インデニル、2−メチル−4−フェニルインデニル、2−メチル−4−ナフチルインデニル、2−メチル−4−ベンゾインデニル、テトラヒドロインデニル、2−メチル−テトラヒドロインデニル、2−エチル−インデニル、2−エチル−4−フェニルインデニル、2−エチル−4−ナフチルインデニル、2−エチル−4−ベンゾインデニル、2−エチル−テトラヒドロインデニル、2−n−プロピル−インデニル、2−n−プロピル−4−フェニルインデニル、2−n−プロピル−4−ナフチルインデニル、2−n−プロピル−4−ベンゾインデニル、2−n−プロピル−テトラヒドロインデニル、2−メチル−4−フェニルアズレニル、2−メチル−4−ナフチルアズレニル、2−メチル−4−(4ークロロフェニル)アズレニル、2−エチル−4−ナフチルアズレニル、2−エチル−4−フェニルアズレニル、2−エチル−4−(4−クロロフェニル)アズレニル、2−エチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−アズレニル、2−エチル−4−(4−tブチル−3−クロロ−フェニル)−アズレニル、2−エチル−4−(−2−フルオロ−4−ビフェニル)−アズレニル、
Q=エチレン、ジメチルシリレン、イソプロピリデン、
X、Y=塩素、メチル、フェニル、ベンジル、ジエチルアミノ。
【0028】
遷移金属化合物の具体例としては、以下のものが挙げられる。
Q=シリレン基のものとしては、例えば、
(1)ジメチルシリレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(2)ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(3)ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(4)ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(5)ジメチルシリレンビス(2,4−ジメチルアズレニル)ジルコニウムジクロリド、
(6)ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,フェニル、4、5,6,7−8ペンタヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、
(7)ジメチルシリレン(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,5’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(8)ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−フェニル、4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、
(9)ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,4−ジメチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−4−シラインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(10)ジメチルシリレンビス〔4−(2−フェニルインデニル)〕ジルコニウムジクロリド、
(11)ジメチルシリレンビス〔4−(2−tert−ブチルインデニル)〕ジルコニウムジクロリド、
(12)ジメチルシリレンビス〔4−(1−フェニル−3−メチルインデニル)〕ジルコニウムジクロリド、
(13)ジメチルシリレンビス〔4−(2−フェニル−3−メチルインデニル)〕ジルコニウムジクロリド、
(14)フェニルメチルシリレンビス(2−メチル4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、
(15)フェニルメチルシリレンビス(2−メチル−4フェニル−4、5,6,7−8ペンタヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、
(16)フェニルメチルシリレン(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,5’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(17)ジフェニルシリレンビス(2−メチル4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、
(18)テトラメチルジシリレンビス(2−メチル4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、
(19)ジメチルシリレンビス〔1,1’−(2−イソプロピル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)〕ジルコニウムジクロリド
(20)ジメチルシリレンビス〔1,1´−(2−エチル−4−ナフチル−4−ヒドロアズレニル)〕ジルコニウムジクロリド。
(21)ジメチルシリレンビス〔1,1´−{2−メチル−4ー(4ークロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}〕ジルコニウムジクロリド
(22)ジメチルシリレンビス(9−ビシクロ[8.3.0]トリデカ−2−メチルペンタエニル)ジルコニウムジクロリド、
(23)(メチル)(フェニル)シリレンビス{1,1’−(2−メチル−4−ヒドロアズレニル)}ジルコニウムジクロリド、
(24)ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)ハフニウムジクロリド、
(25)ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−フェニル−4H−アズレニル)ハフニウムジクロリド、
(26)ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−フェニル−4H−アズレニル)ハフニウムジクロリド、
(27)ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)ハフニウムジクロリド、
(28)ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−ビフェニル−4H−アズレニル)ハフニウムジクロリド、
(29)ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニル)−4H−アズレニル)ハフニウムジクロリド、
(30)ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル−4H−アズレニル))ハフニウムジクロリド、
(31)ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(4−クロロ−2−テトラヒドロナフチル−4H−テトラヒドロアズレニル))ハフニウムジクロリド等が挙げられる。
【0029】
また、前述の化合物の塩素を臭素、ヨウ素、ヒドリド、メチル、フェニル等に置きかえたものも使用可能である。さらに、本発明では、成分(A)として上記に例示したジルコニウム化合物の中心金属をチタン、ハフニウム、ニオブ、モリブデン又はタングステン等に換えた化合物も用いることができる。
【0030】
これらのうちで好ましいものは、ジルコニウム化合物、ハフニウム化合物及びチタン化合物である。さらに好ましいのは、ジルコニウム化合物、ハフニウム化合物である。これら成分(A)は2種以上組み合わせて用いてもよい。また、重合の第1段階終了時や第2段階の重合開始前に、新たに成分(A)を追加してもよい。
【0031】
<成分(B)>
本発明において、成分(B)としては、次の(b−1)〜(b−4)から選ばれた成分が望ましい。
【0032】
(b−1)アルミニウムオキシ化合物が担持された微粒子状担体、
(b−2)成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸が担持された微粒子状担体、
(b−3)固体酸微粒子、
(b−4)イオン交換性層状珪酸塩。
(b−1)アルミニウムオキシ化合物が担持された微粒子状担体:
まず、アルミニウムオキシ化合物について説明する(微粒子状担体については後述)。アルミニウムオキシ化合物をシリカなどの金属酸化物に担持した担体は公知であり、例えば特開昭61−108610号、特開昭63−280703号、特開昭63−51405号、特開昭63−61010号、特開昭63−248803号、特開平3−709号、特開平4−100808号、特開平4−7306号、特開平7−188253、特開平7−278220等に記載がある。
【0033】
上記のアルミニウムオキシ化合物としては、具体的には次の一般式[2]、[3]又は[4]で表される化合物が挙げられる。
【0034】
【化4】
Figure 0004745541
【0035】
上記各一般式中、R1は、水素原子または炭化水素残基、好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6の炭化水素残基を示す。また、複数のR1はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。また、pは0〜40、好ましくは2〜30の整数を示す。
【0036】
一般式[2]及び一般式[3]で表される化合物は、アルモキサンとも呼ばれる化合物であって、これらの中では、メチルアルモキサン又はメチルイソブチルアルモキサンが好ましい。上記のアルモキサンは、各群内および各群間で複数種併用することも可能である。そして、上記のアルモキサンは、公知の様々な条件下に調製することができる。
【0037】
一般式[4]で表される化合物は、一種類のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと次の一般式[5]で表されるアルキルボロン酸との10:1〜1:1(モル比)の反応により得ることができる。一般式[5]中、R2は、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素残基またはハロゲン化炭化水素基を示す。
【0038】
2B(OH)2 一般式[5]
(b−2)成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸が担持された微粒子担体:
成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどの陽イオンと、トリフェニルホウ素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素等の有機ホウ素化合物のカチオンとの錯化物等が挙げられる。
【0039】
また、ルイス酸、特に成分(A)をカチオンに変換可能なルイス酸としては、種々の有機ホウ素化合物、例えばトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などが例示される。あるいは、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム等の金属ハロゲン化合物などが例示される。なお、上記のルイス酸のある種のものは、成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物として把握することもできる。従って、上記のルイス酸およびイオン性化合物の両者に属する化合物は、何れか一方に属するものとする。微粒子担体については後述する。上述した非配位性のホウ素化合物と反応させたカチオン型のメタロセン化合物をシリカなどの無機金属化合物に担持した触媒を用いる方法としては、特開平3−234709号、特開平5−247128号、特開平5−239138号、特開平5−148316号、特開平5−148316号、特開平3−234709号、特開平5−155926号、特開平5−502906号、特開平8−113604号公報等に開示されている。
【0040】
(b−3)固体酸
固体酸としては、アルミナ、シリカ−アルミナ等の固体酸が挙げられる。
【0041】
ここで、前述した(b−1)および(b−2)における微粒子状担体について説明する。
【0042】
本発明の微粒子状担体は、その元素組成、化合物組成についてはとくに限定されない。例えば、無機または有機の化合物から成る微粒子状担体が例示できる。無機担体としては、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ塩化マグネシウム、活性炭、無機珪酸塩等が挙げられる。あるいは、これらの混合物であってもよい。
【0043】
有機担体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素数2〜14のα−オレフィンの重合体、スチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族不飽和炭化水素の重合体などから成る多孔質ポリマーの微粒子担体が挙げられる。あるいはこれらの混合物であってもよい。
【0044】
これらの微粒子担体は、通常1μm〜5mm、好ましくは5μm〜1mm、更に好ましくは10μm〜200μmの平均粒径を有する。
【0045】
(b−4)イオン交換性層状珪酸塩
本発明において、原料として使用するイオン交換性層状珪酸塩(以下、単に珪酸塩と略記する)は、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、かつ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライト等)が含まれることが多いが、それらを含んでもよい。珪酸塩の具体例としては、例えば、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のような層状珪酸塩が挙げられる。
【0046】
すなわち、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群等である。
【0047】
本発明で原料として使用する珪酸塩は、主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であることが好ましく、スメクタイト族であることが更に好ましく、モンモリロナイトが特に好ましい。層間カチオンの種類は、特に限定されないが、工業原料として比較的容易に且つ安価に入手し得る観点から、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属を層間カチオンの主成分とする珪酸塩が好ましい。
【0048】
(化学処理)
本発明で使用する珪酸塩は、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を施すことが好ましい。ここで化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と粘土の構造に影響を与える処理のいずれをも用いることができる。具体的には、特開平5−301917、特開平7−224106、特開平8−127613等に開示した公知の酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が使用できる。
【0049】
上述の成分(B)の中で、特に好ましいものは、(b−4)イオン交換性層状珪酸塩である。
【0050】
本発明のα−オレフィン重合用触媒において、(b−1)アルミニウムオキシ化合物が担持された微粒子状担体、(b−2)成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸が担持された微粒子状担体、(b−3)固体酸微粒子、あるいは、(b−4)イオン交換性層状珪酸塩微粒子は、それぞれ単独に成分(B)として使用される他、これらの4成分を適宜組み合わせて使用することができる。
【0051】
<成分(C)>
成分(C)は有機アルミニウム化合物であり、本発明で成分(C)として用いられる有機アルミニウム化合物は、一般式AlR7 p3-pで示される化合物が適当である。
【0052】
この式中、R7は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Xは、ハロゲン、水素、アルコキシ基、アミノ基を示す。pは0より大きくかつ3までの数であり、qは3未満である。R7としてはアルキル基が好ましく、またXは、それがハロゲンの場合には塩素が、アルコキシ基の場合には炭素数1〜8のアルコキシ基が、アミノ基の場合には炭素数1〜8のアミノ基が、好ましい。
【0053】
したがって、好ましい化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリノルマルプロピルアルミニウム、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、トリノルマルデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムジメチルアミド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムクロライド等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、p=3、q=1のトリアルキルアルミニウムおよびジアルキルアルミニウムヒドリドである。さらに好ましくは、R5が炭素数1〜8であるトリアルキルアルミニウムである。
【0054】
(触媒の形成・予備重合)
本発明による触媒は、上記の各成分を(予備)重合槽内で、同時にもしくは連続的に、あるいは一度にもしくは複数回にわたって、接触させることによって形成させることができる。これらの接触方法は、種々の公知の方法が使用できる。また、本発明で使用する成分(A)、(B)および(C)の使用量は任意であり、種々の公知の方法が利用できる。
【0055】
本発明の触媒は、これにオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合処理に付されることが好ましい。使用するオレフィンは、特に限定はないが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレン等を例示することができる。オレフィンのフィード方法は、オレフィンを反応槽に定速的にあるいは定圧状態になるように維持するフィード方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせる等、任意の方法が可能である。予備重合温度、時間は、特に限定されないが、各々−20℃〜100℃、5分〜24時間の範囲であることが好ましい。また、予備重合量は、予備重合ポリマー量が成分(B)に対し、好ましくは0.01〜100、さらに好ましくは0.1〜50である。また、予備重合時に成分(C)を添加、又は追加することもできる。
【0056】
上記の各成分の接触の際もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体、シリカ、チタニア等の無機酸化物の固体を共存させる等の方法も可能である。
【0057】
[重合]
(前段の重合工程)
前段重合工程はプロピレン単独かプロピレン/α−オレフィン混合物を、有機アルミニウム化合物の存在下、前述の触媒成分(A)、成分(B)、および必要に応じて使用する成分(C)からなるメタロセン触媒と接触させて、プロピレンの結晶性単独重合体、もしくは少量のα−オレフィンを含有するプロピレン/α−オレフィン共重合体を生成させる工程である。なお、本発明においてα−オレフィンとは、エチレンを含むものとする。
【0058】
この際、α−オレフィン含有量としては、7重量%以下、好ましくは1.0重量%以下であり、プロピレンとα−オレフィンの共重合体を一段もしくは多段に全重合量の50〜95重量%、好ましくは60〜90重量%、に相当するように形成させる工程である。
【0059】
第一の重合工程でプロピレン/α−オレフィン共重合体のα−オレフィン含有量が7重量%超過であると、最終共重合体のかさ密度が低下し、低結晶性重合体の副生成量が大幅に増加する。また重合割合が上記範囲未満であっても、やはりプロピレン/α−オレフィンの共重合体中のα−オレフィン含有量が多い場合と同様な現象が起こる。一方、この重合工程で生成される共重合体の重合割合が上記範囲を超すと低結晶性重合体の副生成量が減少する方向になるけれども、ブロック共重合体の目的である耐衝撃性が低下するので、好ましくない。
【0060】
第一の重合工程での重合温度は、30〜120℃、好ましくは50〜80℃、程度である。重合圧力は1〜40kg/cm2程度である。
【0061】
この第一の重合工程では最終重合体が流動性の適当なものとなるように分子量調整剤を使用することが好ましく、分子量調整剤としては水素が好ましい。
【0062】
(後段重合工程)
後段の重合工程は、プロピレンとエチレンとの含有モル比が、一般に、10/90〜80/20であるエチレン・プロピレン共重合体を生成させる工程である。この工程では、一般に、全重合量の5〜80重量%、好ましくは10〜60重量%、に相当する量を形成させる。
【0063】
また、後段の重合工程中において活性水素含有化合物または含窒素化合物、含酸素化合物等の電子供与性化合物を存在させることを特徴とする。
【0064】
また、後段重合工程の重合割合及びプロピレン/エチレン混合物の組成が上記範囲未満では耐衝撃性が悪くなる。また上記範囲を超すと剛性が低下しすぎるなどの問題が起こる場合がある。
【0065】
後段重合工程はプロピレンのゴム状共重合体を製造する工程であるから、この工程では少量の他のコモノマーを共存させてもよい。そのようなコモノマーとしては、たとえば1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等のα−オレフィンを例示することができる。後段重合工程の重合温度は30〜120℃、好ましくは50〜80℃、程度である。重合圧力は1〜40kg/cm2程度、好ましくは1〜30kg/cm2である。
【0066】
前段重合工程から後段重合工程に移る際に、前段重合工程由来のプロピレンガスまたはプロピレン/エチレン混合ガスと水素ガスとをパージして第二の重合工程に移ることが好ましい。
【0067】
後段の重合工程では分子量調整剤を目的に応じて用いても用いなくても良い。すなわち最終重合体の耐衝撃性を上昇させたいときには分子量調整剤の実質的不存在下にこの工程を実施することが好ましい。なお、後段重合工程は多段重合であってもよい。
【0068】
(前段重合工程において存在する有機アルミニウム化合物)
種類は、成分(C)と同様の化合物を使用することができる。存在のさせかたは、触媒からの持ち込みでもよいし、新たに添加してもよい。
【0069】
[電子供与性化合物]
後段重合において存在させる電子供与性化合物は、製品ポリマーの粉体性状の改良、ゲルの削減などを目的とする。電子供与性化合物としては、活性水素含有化合物、含窒素化合物および含酸素化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物が使用できる。
【0070】
活性水素含有化合物:
本発明で使用する活性水素含有化合物としては、具体的には、水、アルコール類、フェノール類、アルデヒド類、カルボン酸類、スルホン酸類、酸アミド類、アンモニア、アミン類などを挙げることができる。
【0071】
具体的には、アルコールとしては、炭素数1〜12程度の脂肪族アルコール、例えば、アルコール類としてはメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、n−ドデカノール、2−エチルヘキシルアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、クミルアルコール、イソプロピルベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどを、官能基を有するアルコール、例えば、メトキシエタノール、エトキシエタノール、ジエチレングリコール,プロピル1.3ジアルコールなどを挙げることができる。
【0072】
フェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、クミルフェノール、ノニルフェノール、t−ブチルフェノール、2,6−ジメチル−4−t−ブチルフェノール、ナフトール、1,1’ビ2−ナフトール、などを挙げることができる。
【0073】
アルデヒド類としては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、オクチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、トルアルデヒド、ナフトルアルデヒドなどを挙げることができる。
【0074】
カルボン酸類としては、炭素数1〜12程度のもの、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ステアリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、安息香酸、サリチル酸、吉草酸、カプリル酸、ピバル酸、モノクロ酪酸などを挙げることができる。
【0075】
スルホン酸類としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、4−エチルベンゼンスルホン酸などを挙げることができる。
【0076】
酸アミド類としては、酢酸アミド、安息香酸アミド、トルイル酸アミド、などを上げることができる。
【0077】
含窒素化合物類として、活性水素を持つものとしては、第1,2級アミン類であり、第1,2級アミン類としては、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、i−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−オクチルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、ベンジルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−i−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジフェニルアミン、ジベンジルアミン、アニリン、ピリジン、ピコリン、テトラメチルエチレンジアミンなどを挙げることができる。
【0078】
活性水素を持たないものとしては、第3級アミン類であり、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジエチルメチルアミン等をあげることができる。
【0079】
含酸素化合物:
含酸素化合物としてはエーテル類、ケトン類、一酸化炭素、二酸化炭素、COS、アルコキシアルミニウム化合物、アルコキシシラン化合物を挙げることができ、一般式AlR1X(OR23-X、X=0〜2、アルコキシシラン類、一般式SiRX(OR)1-X、X=0〜3をあげることができる。
【0080】
具体的にはエーテル類としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、フェニルメチルエーテルフェニルエチルエーテル、1,3ジメチルプロピルエーテル、1,3ジメチル2,2ジメチルプロピルエーテル、1,3ジメチル2イソプロピル,2’ジメチルプロピルエーテル、1,3ジメチル−2−tブチル,−2’−ジメチルプロピルエーテル、1,1’ビ2−ナフチルジメチルエーテル等を挙げることができる。
【0081】
ケトン類としては、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン等を挙げることができる。
【0082】
アルコキシアルミニウム類としては、ジメチルメトキシアルミニウム、ジエチルメトキシアルミニウム、ジイソブチルメトキシアルミニウム、ジメチルエトキシアルミニウム、ジエチルエトキシアルミニウム、ジイソブチルエトキシアルミニウム、メチルジメトキシアルミニウム、エチルジメトキシアルミニウム、イソブチルジメトキシアルミニウム、メチルジエトキシアルミニウム、エチルジエトキシアルミニウム、イソブチルジエトキシアルミニウムを挙げることができる。
【0083】
アルコキシシラン類としては、ジメチルメトキシラン、ジエチルメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジエチルエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、エチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、エチルジエトキシシラン等を挙げることができる。
【0084】
なお、これらの電子供与性化合物は、単独で用いてもよいし、混合物を用いてもよい。これらの活性水素化合物または含酸素化合物のうち、好ましいものは、比較的沸点が低く、かつ臭いがあまり強くないものである。とりわけ、比較的低炭素数のアルコールが好ましく、なかでも、エタノール又はイソプロピルアルコールが最も好ましい。
【0085】
電子供与性化合物を供給させる場合、後段重合工程に供給される有機アルミニウム化合物中のアルミニウムに対して、キラー値Kの値が0.001を越え、3.0未満であること、好ましくは、0.001を超え、1.0未満であること、さらに好ましくは、0.001を超え、0.7以下であることを特徴とする。後段重合工程に送られる有機アルミニウム化合物の量を特定する方法としては、例えば前段重合工程が終了後のパウダーの一部を抜き出して、元素分析をおこなう方法、前段重合工程に存在する有機アルミニウム化合物の量からパージガスに同伴して反応系外に放出される有機アルミニウム化合物の量を差し引いた量を計算によって求めることもできる。
【0086】
該電子供与性化合物の使用量がこの範囲であると、パウダー表面付近に存在する触媒活性点のみを失活させることができ、後段重合において生成するゴム成分が表面付近に存在せず、結果として粒子同士の凝集を抑制することが可能となるため、得られるポリマー粒子のかさ密度が高くなる。
【0087】
ポリマー粒子のかさ密度が高くなることは、個々のポリマー粒子がべたつかないことを反映しており、すなわち粒子性状がよくなることを意味する。パウダー粒子性状がよくなると粒子同士の凝集が起こりにくくなり、また、重合反応器の内壁面に付着することがなくなるため、安定して長期間プロピレンブロック共重合体を製造することができる。
【0088】
また、かさ密度が高いことは、直接的には、同一槽において、ポリマーの保持量が大きくなることを意味し、単位時間当たりのポリマー生産重量が大きくなり、結果的には生産性の向上に寄与する。キラー値Kの値が、0.001よりも少ない供給量の場合、かさ密度、粒子性状の改良効果が、小さくなり、本発明の効果が得られない。逆に、かさ密度、粒子性状を改良する観点からは、キラー値Kは高い方が良いが、高すぎると、後段重合工程におけるゴム質成分の製造時の重合活性が大きく低下し、経済性の点から好ましくない。なお、AL/キラー比の計算は、後段全体でみる。
【0089】
[電子供与体の供給方法]
電子供与体の供給方法は任意である。n−ヘキサン、トルエンなどの溶媒に溶解させて供給してもよいし、溶媒を使用することなく直接供給してもよい。また、供給位置は、後段重合工程におけるプロピレン・α−オレフィン共重合を電子供与体の存在下で行うという目的が達成されるものであれば、前段重合工程のあと任意の位置で供給することが可能である。
【0090】
[電子供与体の供給場所]
具体的には、後段重合工程における気相重合槽の分散板下部より供給する方法、気相重合槽の循環ガスラインに供給する方法、気相重合槽内の重合粒子からなるベッド層に供給する方法、該ベッド層の上部から供給する方法、前段重合工程と後段重合工程の間の脱ガス槽に供給する方法、該脱ガス槽と後段重合工程における気相重合槽との間の移送配管内に供給する方法などを挙げることができる。
【0091】
供給位置は、1ケ所でもよいし、必要に応じて、2ケ所以上の供給位置を設定してもよい。これらのうち、活性水素化合物(電子供与性化合物)の効果的な分散を考慮すると、気相重合槽分散板の下部から供給する方法が好ましい。
【0092】
(重合方式)
本発明による共重合の製造法は、回分式、連続式、半回分式のいずれの方法によっても実施可能である。この際にヘプタンなどの不活性炭化水素溶媒中で重合を行う方法、使用する単量体自体を媒質として利用する方法、媒質を使用せずにガス状の単量体中で重合を行う方法、さらにこれらを組み合わせた方法を採用することができる。前段重合工程と後段重合工程を同一の重合槽で行うこともできるし、両重合工程を別個の重合槽で行うこともできる。好ましくは前者である。
【0093】
【実施例】
下記の実施例は、本発明をさらに具体的に説明するためのものである。本発明はその要旨を逸脱しないかぎりこれら実施例によって制約を受けるものではない。
【0094】
なお、以下の触媒合成工程および重合工程は、すべて精製窒素雰囲気下で行った。また溶媒は、モレキュラーシーブMS−4Aで脱水したものを用いた。以下本発明における各物性値の測定方法および装置を以下に示す。
(1)GPC
重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnは以下の方法により決定した。ウォ−タ−ズ製GPC150C型の装置と昭和電工製AD80M/Sのカラムを3本使用し、溶媒にオルトジクロロベンゼンを用い、測定温度140℃で行った。
(2)MFR
装置 タカラ社製 メルトインデクサー
測定方法 JIS−K6758(230℃、2.16Kg荷重)に準拠した
(3)EPR
重合体中のゴム含量の定量には、TREFにおける40℃以下可溶成分重量分率を測定した。
(4)曲げ弾性率(FM) (単位:Mpa)
JIS−K7203に準拠して23℃下で測定した。
【0095】
成形品の寸法は90×10×3mmを用いた。
(5)アイゾット(IZOD)衝撃強度 (単位:kJ/m2
JIS−K7110に準拠して23℃下で測定した。
(6)荷重たわみ温度(単位:℃)
JIS−K7207に準拠して、4.6kgf/cm2と18.5kgf/cm2の条件で測定した。
【0096】
実施例1
[錯体合成]
(1)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス[2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]}ハフニウムの合成:
(a)ラセミ・メソ混合物の合成;
2−フルオロ−4−ブロモビフェニル(4.63g,18.5mmol)をジエチルエーテル(40mL)とヘキサン(40mL)の混合溶媒に溶かし、t−ブチルリチウムのペンタン溶液(22.8mL,36.9mmol,1.62N)を−78℃で滴下し、−5℃で2時間撹拌した。この溶液に2−メチルアズレン(2.36g,16.6mmol)を加え室温で1.5時間撹拌した。0℃に冷却しテトラヒドロフラン(40mL)を加えた。N−メチルイミダゾール(40μL)とジメチルジクロロシラン(1.0mL,8.30mmol)を加え、室温まで昇温し、室温で1時間撹拌した。この後、希塩酸を加え、分液した後有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去すると、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−1,4−ジヒドロアズレン)の粗精製物(6.3g)が得られた。
【0097】
次に、上記で得られた粗精製物をジエチルエーテル(23mL)に溶かし、−78℃でn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(10.3mL,16.6mmol,1.56mol/L)を滴下し、徐々に昇温して室温で2時間撹拌した。さらに、トルエン(185mL)を加え、−78℃に冷却し、四塩化ハフニウム(2.65g,8.3mmol)を加え、徐々に昇温し室温で一夜撹拌した。得られたスラリー溶液から減圧下大部分の溶媒を留去し、濾過したのち、トルエン(4mL)、ヘキサン(9mL)、エタノール(20mL)、ヘキサン(10mL)で洗浄すると、ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス[2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]}ハフニウムのラセミ・メソ混合物(1.22mg,収率16%)が得られた。
(b)ラセミ体の精製;
上記で得られたラセミ・メソ混合物(1.1g)をジクロロメタン(30mL)に懸濁し、高圧水銀灯(100W)を用いて30分光照射した。この溶液を減圧下溶媒を留去した。得られた固体にジクロロメタン(40mL)を加え懸濁させ、濾過した。ヘキサン(3mL)で洗浄し、減圧下乾燥するとラセミ体(577mg,52%)が得られた。
1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ1.02(s,6H,SiMe2),1.08(t,J=8Hz,6H,CH3CH2),2.54(sept,J=8Hz,2H,CH3CH2),2.70(sept,J=8Hz,2H,CH3CH2),5.07(brs,2H,4−H),5.85−6.10(m,8H),6.83(d,J=12Hz,2H),7.30−7.6(m,16H,arom).
[イオン交換性層状珪酸塩の化学処理]
攪拌翼、還流装置を取り付けた5Lセパラブルフラスコに、イオン交換水500gを投入し、更に水酸化リチウム1水和物249g(5.93mol)を投入して攪拌する。
【0098】
別に、硫酸581g(5.93mol)をイオン交換水500gで希釈し、滴下ロートを用いて上記水酸化リチウム水溶液に滴下する。このとき硫酸の一部は中和反応に消費され系中で硫酸リチウム塩が生成し、さらに硫酸過剰になることにより酸性溶液となる。
【0099】
そこへ、更に市販の造粒モンモリロナイト(水澤化学社製、ベンクレイSL、平均粒径:28.0μm)を350g添加後攪拌する。その後30minかけて108℃まで昇温し150min維持する。その後、1時間かけて50℃まで冷却した。このスラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて、減圧ろ過を実施した。ケーキを回収し、純水を5.0L加え再スラリー化し、ろ過を行った。この操作をさらに4回繰り返した。ろ過は、いずれも数分かからずに終了した。最終の洗浄液(ろ液)のpHは、5であった。
【0100】
回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。その結果、275gの化学処理体を得た。蛍光X線により組成分析を行ったところ、主成分であるケイ素に対する構成元素のモル比は、Al/Si=0.21、Mg/Si=0.046、Fe/Si=0.022であった。
【0101】
[触媒の調製/予備重合]
以下の操作は、不活性ガス下、脱酸素、脱水処理された溶媒、モノマーを使用して実施した。先に製造した化学処理されたイオン交換性層状珪酸塩造粒体を減圧下、200℃、4時間乾燥した。
【0102】
内容積10Lのオートクレーブに上記で得た化学処理モンモリロナイト200gを導入し、ヘプタン1160ml、さらにトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.6mmol/ml)840ml(0.5mol)を30minかけて投入し、25℃で1時間攪拌した。その後、スラリーを静止沈降させ、上澄み1300mlを抜き出した後に2600mlのヘプタンにて2回洗浄し最終的にヘプタン全量が1200mlになるようにヘプタンを足して調整した。
【0103】
次に、2Lフラスコにジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニル)−4H−アズレニル)ハフニウムジクロリド 5.93g(6mol)とヘプタン516mlを投入し、よく攪拌した後に、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(140mg/ml)を84ml(11.8g)を室温にて加え、60min攪拌した。
【0104】
続いて、先にオートクレーブ中に調製したモンモリロナイトスラリーに上記溶液を導入し、60min攪拌し、更にヘプタンを全容積が5Lになるまで導入して、30℃に保持した。
【0105】
そこにプロピレンを100g/hrの定速で、40℃で4時間導入し、引き続き50℃で2時間維持した。サイホンにて予備重合触媒スラリーを回収し、上澄み除去後、40℃にて減圧下乾燥した。この操作により触媒1g当たりポリプロピレンが2.0gを含む予備重合触媒が得られた。
【0106】
[重合]
図に示したように、内容積0.4m3の攪拌装置付き液相重合槽1、0.5m3の攪拌式気相重合槽11の間に、沈降液力分級器3、濃縮器4(液体サイクロン)、および向流ポンプ5からなる分級システム、および、二重管式熱交換器8と流動フラッシュ槽7からなる脱ガスシステムを組み込んだプロセスにより、プロピレン・エチレンブロック共重合体の連続製造を実施した。
【0107】
液相重合槽1には、液化プロピレン、水素、TIBAを連続的にフィードした。なお、液化プロピレン、TIBAのフィード量は、それぞれ、90kg/hr、21.2g/hrであり、水素は、モル濃度[H2]が300ppmになるようにフィードした。
【0108】
さらに、上記で得られた固体触媒成分(A)を、(A)中に含まれる固体成分として、2.21g/hrとなるようにフィードした。また、重合温度が65℃となるように、重合槽1を冷却した。
【0109】
この重合槽1で重合したスラリーは、スラリーポンプ2を用いて液力分級器3に約12m3/hrの体積流量でフィードした。液力分級器3の下部からは、大粒径粒子を比較的多く含むスラリーを抜き出し、残りのスラリーは、液力分級器3の上部から、濃縮器4に供給した。濃縮器4の上部からは、固体粒子がほとんど存在しない上澄液を取り出し、これをポンプ5を用いて、液力分級器下部に向流として供給した。一方、濃縮器4下部から抜き出した小粒径粒子を比較的多く含むスラリーは、液相重合槽1に循環させた。液力分級器3の下部から抜き出したスラリーの抜き出しレートは、該スラリーに含まれるポリプロピレン粒子として、約17.4kg/hrであった。該ポリプロピレン粒子の液相重合槽1ならび循環ラインにおける平均滞留時間は1.25時間であった。
【0110】
また、該ポリプロピレン粒子の平均粒径Dp50は564m、平均CEは7900g/g、重合体MFRは59.5g/10min、CXSは0.37重量%であった。なお、触媒効率CEは、固体触媒成分(A)中に含まれる固体成分1gあたりのポリプロピレン収量(g)で定義するものである。
【0111】
前述の液力分級器3下部より抜き出されたスラリーは、後流の二重管式熱交換器8を経て、流動フラッシュ槽7にフィードされた。流動フラッシュ槽7においては、下部より加熱したプロピレンガスをフィードしながら、槽内温度を65℃に維持した。ここで得られた固体状ポリプロピレン粒子を、気相重合槽11に送り、プロピレンとエチレンの共重合(EPR重合)を行った。
【0112】
混合効果を高めるため、補助的に撹拌翼を設けた気相重合槽11では、ガス・ブロアー9によって、エチレン、プロピレン、水素の混合ガスを循環させた。エチレンとプロピレンは、エチレンとプロピレンの分圧の和が1.4MPaG、かつ、プロピレンのモル分率が40mol%で一定になるようにフィードした。
【0113】
ここで得られた固体状ポリプロピレン粒子を置換システム10へ送った。置換システム10では一定量のポリマーとモノマーガスを受け入れた後ガスを0MpaG、までパージし、さらに窒素で1.9MPaGまで上昇した後、ポリマーを気相重合槽11へ送りだした。
【0114】
また、重合により発生する水素によるの水素濃度が30ppmを維持するように、パージガス量をとり、そこで上記重合圧力ガス組成となるようにプロピレン、エチレンをフィードした。
【0115】
さらに、活性水素化合物としてエタノールをフィードした。エタノールのフィード量は、気相重合槽11に供給される重合体粒子に随伴して供給されるTIBA中のアルミニウムに対して、0.46m.r.となるようにした。
【0116】
重合温度は65℃で、気相重合槽11から抜き出したプロピレン・エチレンブロック共重合体の抜き出しレートが、約20kg/hrになるように調節した。気相重合槽8における平均滞留時間は、1.5hrであった。
【0117】
気相重合槽8から抜き出された重合体粒子を分析したところ、MFRは35.0g/10min、かさ密度(BD)は0.484g/cc、EPR含量は16.2重量%であった。なお、プロピレン・エチレンブロック共重合体の平均CEは、9300g/gであった。
【0118】
これらのプロピレン系樹脂と配合成分とを、IRGANOX1010(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)0.10wt%、IRGAFOS168(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)0.10wt%、カルシウムステアレート0.05wt%の配合割合(重量%)で配合し、単軸押出機にて混練・造粒してペレット状の樹脂組成物を得た。
【0119】
得られた組成物を金型温度40℃、シリンダー温度220℃にて加熱した射出成形機に導入し、射出成形により試験片を成形した。得られた射出成形片について、上述した方法で曲げ弾性率、IZOD衝撃強度、及び荷重たわみ温度を測定した。
【0120】
比較例1
実施例1において、エタノールを使用しないこと以外は同様の実験をおこなった。
【0121】
実施例2
実施例1において、気相重合槽8の平均滞留時間を3.0hrにすること以外は同様の実験をおこなった。
【0122】
比較例2
(1)固体触媒成分(A)の製造
バキューム・スターラ、温度計を備えた3L−丸底四つ口フラスコに、Mg(OEt)2:2.0molを仕込み、ついでTi(OBu)4を、仕込んだMg(OEt)2中のマグネシウムに対して、Ti(OBu)4/Mg=0.6(モル比)になるように仕込み、200rpmで攪拌しながら昇温した。
【0123】
150℃で2.0時間反応させた後、120℃に降温して、Si(OPh)4のトルエン溶液を、仕込んだMg(OEt)2中のマグネシウムに対して、Si(OPh)4/Mg=0.5(モル比)になるように添加した。添加終了後、同温度1.0時間反応させた。反応終了後、室温に降温した後、Si(OEt)4を、仕込んだMg(OEt)2中のマグネシウムに対して、Si(OEt)4/Mg=0.2(モル比)になるように添加し、接触生成物(a*)のスラリーを得た。
【0124】
ここで得られたスラリーの全量を、冷却・加熱用ジャケットを備えた誘導攪拌式10L−オートクレーブに移送した後、[Mg]=0.486mol/L・トルエンになるように、トルエンで希釈した。このスラリーを、300rpmで攪拌しながら、−10℃に冷却し、フタル酸ジエチルを、仕込んだMg(OEt)2中のマグネシウムに対して、フタル酸ジエチル/Mg=0.1(モル比)になるように添加した。引き続き、TiCl4を、仕込んだMg(OEt)2中のマグネシウムに対して、TiCl4/Mg=4.0(モル比)になるように、1.0時間かけて滴下し、均一溶液を得た。この時、液の粘度が上昇してゲル状になるという現象は、起こらなかった。
【0125】
得られた均一溶液を0.5℃/minで15℃まで昇温し、同温度で1時間保持した。ついで、再び0.5℃/minで50℃まで昇温し、50℃で1時間保持した。さらに、1.0℃/minで117℃まで昇温し、同温度で1時間処理を行った。処理終了後、加熱・攪拌を停止し、上澄み液を除去した後、トルエンで、残液率=1/50となるように洗浄し、固体スラリーを得た。
【0126】
次に、得られた固体スラリーのトルエン量を、TiCl4濃度=2.0mol/L・トルエンとなるように調整し、室温でTiCl4を、はじめに仕込んだMg(OEt)2中のマグネシウムに対して、TiCl4/Mg=5.0(モル比)となるように添加した。このスラリーを、300rpmで攪拌しながら昇温し、117℃で、1時間反応を行った。
【0127】
反応終了後、加熱・攪拌を停止し、上澄み液を除去した後、トルエンで、残液率=1/150となるように洗浄し、(A*)のトルエン・スラリーを得た。ここで得られた固体スラリーの全量を、内径660mm、直胴部770mmの三方後退翼を有する反応槽に移送し、n−ヘキサンで希釈して、(A*)の濃度として3g/Lとなるようにした。このスラリーを300rpmで攪拌しながら、25℃で、トリエチルアルミニウムを、トリエチルアルミニウム/(A*)=3.44mmol/gとなるように添加し、さらに、t−ブチルエチルジメトキシシシランを、t−ブチルエチルジメトキシシラン/(A*)=1.44mmol/gとなるように添加した。添加終了後、引き続き攪拌しながら、25℃で30分間保持した。
【0128】
次いで、プロピレンガスを液相に、72分かけて定速フィードした。プロピレンガスのフィードを停止した後、沈降洗浄法にて、n−ヘキサンで洗浄を行い、残液率=1/12として、固体触媒成分(A)のスラリーを得た。得られた固体触媒成分(A)は、(A*)成分1gあたり、2.7gのプロピレン重合体を含有していた。
【0129】
[重合]
図に示したように、内容積0.4m3の攪拌装置付き液相重合槽1、0.5m3の攪拌式気相重合槽11の間に、沈降液力分級器3、濃縮器4(液体サイクロン)、および向流ポンプ5からなる分級システム、および、二重管式熱交換器8と流動フラッシュ槽7からなる脱ガスシステムを組み込んだプロセスにより、プロピレン・エチレンブロック共重合体の連続製造を実施した。
【0130】
液相重合槽1には、液化プロピレン、水素、TEAを連続的にフィードした。なお、液化プロピレン、TEAのフィード量は、それぞれ、115kg/hr、30.6g/hrであり、水素は、モル濃度[H2]が8.5mol%になるようにフィードした。
【0131】
さらに、上記で得られた固体触媒成分(A)を、(A)中に含まれる固体成分として、0.8g/hrとなるようにフィードした。また、重合温度が70℃となるように、重合槽1を冷却した。
【0132】
この重合槽で重合したスラリーは、スラリーポンプ2を用いて液力分級器3に約12m3/hrの体積流量でフィードした。液力分級器3の下部からは、大粒径粒子を比較的多く含むスラリーを抜き出し、残りのスラリーは、液力分級器3の上部から、濃縮器4に供給した。濃縮器4の上部からは、固体粒子がほとんど存在しない上澄液を取り出し、これをポンプ5を用いて、液力分級器下部に向流として供給した。一方、濃縮器4下部から抜き出した小粒径粒子を比較的多く含むスラリーは、液相重合槽1に循環させた。液力分級器3の下部から抜き出したスラリーの抜き出しレートは、該スラリーに含まれるポリプロピレン粒子として、約36kg/hrであった。
【0133】
該ポリプロピレン粒子の液相重合槽1ならび循環ラインにおける平均滞留時間は1.9時間であった。
【0134】
また、該ポリプロピレン粒子の平均粒径Dp50は640m、平均CEは46000g/g、重合体MFRは59.5g/10min、CXSは1.5重量%であった。
【0135】
また、触媒効率CEは、固体触媒成分(A)中に含まれる固体成分1gあたりのポリプロピレン収量(g)で定義する。
【0136】
先述の液力分級器3下部より抜き出されたスラリーは、後流の二重管式熱交換器8を経て、流動フラッシュ槽7にフィードされた。流動フラッシュ槽7においては、下部より加熱したプロピレンガスをフィードしながら、槽内温度を75°Cに維持した。ここで得られた固体状ポリプロピレン粒子を、気相重合槽11に送り、プロピレンとエチレンの共重合(EPR重合)を行った。
【0137】
混合効果を高めるため、補助的に撹拌翼を設けた気相重合槽11では、ガス・ブロアー9によって、エチレン、プロピレン、水素の混合ガスを循環させた。エチレンとプロピレンは、エチレンとプロピレンの分圧の和が1.0Mpa、かつ、プロピレンのモル分率が55 mol%で一定になるようにフィードした。
【0138】
また、重合槽内の水素濃度が2mol%を維持するように、水素をフィードした。
【0139】
さらに、活性水素化合物としてエタノールをフィードした。エタノールのフィード量は、気相重合槽11に供給される重合体粒子に随伴して供給されるTEA中のアルミニウムに対して、1.3m.r.となるようにした。
【0140】
重合温度は70℃で、気相重合槽11から抜き出したプロピレン・エチレンブロック共重合体の抜き出しレートが、約45kg/hrになるように調節した。気相重合槽11における平均滞留時間は、1.0hrであった。
【0141】
気相重合槽11から抜き出された重合体粒子を分析したところ、MFRは30.0g/10min、かさ密度は0.44g/cc、EPR含量は15.5重量%であった。なお、プロピレン・エチレンブロック共重合体の平均CEは、54000g/gであった。
【0142】
これらのプロピレン系樹脂を実施例1と同様にして、物性評価を行なった
【0143】
【表1】
Figure 0004745541

【図面の簡単な説明】
【図1】
【符号の説明】
1.液相重合槽
2.スラリー循環ポンプ
3.液力分級器
4.濃縮器
5.向流ポンプ
6.二重管式熱交換器
7.流動フラッシュ槽
8.熱交換器
9.ガスブロアー
10.置換システム
11.気相重合槽
12.サイクロン
13.循環ガスクーラー
14.ガスブロアー
15.サイクロン
16.ホッパー
17.スクリューフィーダー
18.乾燥器
19.ホッパー
20.ガスブロアー

Claims (3)

  1. 下記の成分(A)、(B)及び(C)を接触して得られるオレフィン重合用触媒の存在下に、下記の前段重合工程と後段重合工程を行うプロピレンブロック共重合体の製造方法において、電子供与性化合物としてアルコールを、後段の重合系に存在する有機アルミニウム化合物中のアルミニウム原子に対して、モル比で0.001を超え1.0未満の範囲となるように、前段重合工程の後に供給することを特徴とするプロピレンブロック共重合体の製造方法。
    [触媒]
    (A)下記一般式[1]で表される遷移金属化合物
    (B)下記(b−4)から選ばれた一種以上を含有する固体成分、(b−4)イオン交換性層状珪酸塩
    (C)有機アルミニウム化合物
    Figure 0004745541
    ここで、式[1]中、A及びA'は、置換のシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基及びアズレニル基から選ばれた共役五員環配位子を示し、Qは、アルキレン基、シリレン基及びゲルミレン基から選ばれた2つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を示し、Mはジルコニウム又はハフニウムから選ばれる金属原子を示し、X及びYは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、リン含有炭化水素基又はケイ素含有炭化水素基を示す。なお、A及びA'は同一化合物内において相互に同一であっても異なっていてもよい。
    [重合工程]
    前段重合工程:プロピレン単独またはプロピレンとエチレンとの混合物を1段または多段で重合させて、結晶性のプロピレン重合体を製造する工程
    後段重合工程:前段重合工程における触媒および前段重合工程で形成された重合体の存在下、プロピレン・エチレン混合物を一段または多段に重合させて、ゴム状共重合体を生成させる工程
  2. 電子供与性化合物を、前段重合工程で得られた重合体を後段重合工程に移行させる過程で添加する請求項に記載のプロピレンブロック共重合体の製造方法。
  3. 電子供与性化合物を、後段重合工程で添加する請求項1又は2に記載のプロピレンブロック共重合体の製造方法。
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