JP4744504B2 - 被覆加熱装置 - Google Patents

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本発明は、被加熱体の外周面を被覆して加熱する場合に用いられる、被覆加熱装置に関する。
従来、被加熱体の外周面を被覆して加熱する場合には、線状、帯状または面状のヒータを被加熱体に沿わせたり巻き付けたりした状態で被加熱体に固定し、被加熱体を加熱している。
特に被加熱体が水道管等の配管である場合、特許文献1では、予め管の形状に合わせて外表面に全長に渡って管と一体的にヒータを形成しているが、管からヒータを着脱したり管を所望の形状に調節するのが困難であり、その上、安価に製造できるものではない。
また、特許文献2では、ヒータは、管の外表面に密着した状態で巻き付けられ、そのヒータの外周面を断熱材で覆うことにより固定されている(図1および4参照)が、配管の清掃や点検などで上記のヒータを着脱する際には、その都度ヒータを巻き付け、再度固定する必要があるため、時間、経費の面から効率の悪いものである。
特開2002−146858号公報 特開平10−60959号公報
本発明は、上記問題点に鑑み、簡単な構成で安価に成形でき、被加熱体への着脱が容易な被覆加熱装置を提供することを目的とする。
本発明の被覆加熱装置は、曲率中心側に位置する内側曲面と遠心側に位置する外側曲面とからなる外周曲面をもつ曲部を有する管状の被加熱体の外周面を覆う被覆加熱装置であって、
少なくとも一部が、互いに背向する両周辺部から中央部に向かう少なくとも一対のV字状の切り込みをもち、該切り込みを区画する2つの辺が接合されて前記外周曲面に沿った形状となる曲面被覆部をもつ柔軟で断熱性を有する被覆本体と、
該被覆本体の内周面あるいは該内周面に沿った内部に固定された発熱体と、
前記曲面被覆部の前記中央部で前記曲部の前記外側曲面を覆うとともに前記切り込みが接合されて幅が狭まった前記周辺部同士をそれぞれ前記内側曲面側で近接させて固定して、該被覆本体を該被加熱体に固定する固定手段と、
備え、
前記発熱体は、少なくとも一対のV字状の切り込みをもち該切り込みを区画する2つの辺が接するように前記被覆本体に固定されて前記曲部の前記外周曲面に沿った形状となる面状発熱体からなり、該発熱体の該切り込みは、前記曲部の中心軸方向に沿うように形成され、
前記固定手段は、帯状で前記被覆本体に形成された前記切り込みに沿って延び、かつ、前記被覆本体の前記切り込みの接合部を覆った状態で前記被覆本体に固定されることを特徴とする。
本発明の被覆加熱装置は、被覆本体と発熱体と固定手段とからなる簡単な構成のため、簡単かつ安価に成形できる。また、発熱体が被覆本体に固定されているため、被加熱体への着脱が容易にできる。さらに、被加熱体は断熱性を有する被覆本体により被覆され加熱されるため、外側から触れても安全である。
本発明の被覆加熱装置の被覆本体は、ゴムシートで形成されているのが好ましく、また、前記被覆本体は、複数個の所定形状に形成されたゴムシートを一体的に接合したものであるのが好ましい。前記ゴムシートは多孔質体であるのが好ましい。さらに、前記ゴムシートはシリコンゴム製であるのが好ましい。ゴムシートからなる被覆本体は、柔軟性、断熱性を有すると共に、外部からの被加熱体への衝撃が緩和される。
本発明の被覆加熱装置の発熱体は、通電により発熱するヒータ線を持つのが望ましい。また、前記発熱体は面状発熱体であるのが望ましい。
本発明の被覆加熱装置の固定手段は、その両端部に着脱自在の係止部を持つ帯であるのが好ましい。また、前記帯は前記被覆本体の外周面側に固定されているのが好ましい。
また、前記被加熱体は、前記曲部から該被加熱体の軸方向に延出する直部を有し、前記被覆本体の一部は、互いに背向する両端部が近接されることにより筒状となり該直部の外周直面を覆う柔軟で断熱性を有する方形状の直面被覆部をもつのが好ましい。このとき、前記発熱体は一枚の面状発熱体からなり、該面状発熱体に前記曲面被覆部と前記直面被覆部とが一体的に固定されるとよい。さらに、前記曲面被覆部は、前記中央部よりも前記周辺部が短い略楕円形状であるのが好ましい。
本発明の被覆加熱装置は、被加熱体の三次元外周面に沿って展開された柔軟で断熱性を有する被覆本体と、該被覆本体の内周面あるいは該内周面に沿った内部に固定された発熱体と、該被覆本体が該被加熱体の該三次元外周面を覆う状態で該被覆本体を該被加熱体に固定する固定手段と、を有することを特徴とする。
本発明の被覆加熱装置は、被覆本体と発熱体と固定手段とからなる簡単な構成のため、簡単かつ安価に成形できる。また、発熱体が被覆本体に固定されているため、被加熱体への着脱が容易にできる。さらに、被加熱体は断熱性を有する被覆本体により被覆され加熱されるため、外側から触れても安全である。
本発明の被覆加熱装置は、被覆本体と発熱体と固定手段とからなる。
被覆本体は、被加熱体の三次元外周面に沿って展開された形状を有し、柔軟で断熱性を有する。被加熱体の三次元外周面に沿って展開された形状とは、例えば、被加熱体が筒状であれば方形状、被加熱体が曲部を有するものであれば楕円形状となる。また、方形状、楕円形状などの基本形状に切れ目を入れることにより、突起や曲面などを有する被加熱体にも合うようにできる。被覆本体の大きさに特に限定はなく、被加熱体の形状に合ったものであればよい。被加熱体が複雑な形状であれば、一部分ごとに所定形状に形成された複数の被覆本体を一体的に接合して用いても良い。
被覆本体は、ゴムシートなどの柔軟で断熱性を有するものが好ましく、より好ましくは多孔質体のゴムシートである。例えば、シリコンゴム、クロロプレンゴム等を用いることができる。また、被覆本体は、被覆加熱装置の使用温度に耐えうる耐熱性を有する素材からなるのが好ましい。
発熱体は、被覆本体の内周面、あるいは被覆本体の内周面に沿った内部に固定される。発熱体は、通電により発熱するヒータ線をもつものが望ましく、ヒータ線は、従来より用いられているニクロム線などの一般的なヒータ線でよい。また、発熱体は、面状発熱体である。面状発熱体の種類に特に限定はなく、一般的に知られている面状発熱体でよいが、被覆加熱装置の着脱に支障がない程度の柔軟性を有するものがよい。さらに、発熱体と温度センサーやサーモスタット等を組み合わせることにより、所望の温度での加熱が可能となる。
固定手段は、被加熱体の三次元外周面を覆う状態で、被覆本体を被加熱体に固定する。固定手段は、被覆本体が被加熱体に固定できれば、その素材や形状に特に限定はない。固定手段は、帯状でその両端部を互いに係止できるものが好ましく、被覆本体の外周面側に固定されていても良い。また、被覆本体に一体的に形成された係止部を、同じく被覆本体に一体的に形成された被係止部に係止するような固定手段でも良い。さらに、固定手段は、被覆加熱装置の使用温度に耐えうる耐熱性を有するのが好ましく、金属、セラミックス、樹脂や耐熱性を有する繊維からなる織布などを用いることができる。
なお、被加熱体は、その形状や大きさに限定はない。たとえば、給水/給湯、排水/下水などの配管や、各種工場で使用される粉体、樹脂、ガス等を輸送するための輸送管の他、管状の物体以外でも良く、特に限定はない。
以上の形態の被覆加熱装置は、簡単な構成で安価に成形でき、被加熱体への着脱が容易である。
以下に、本発明の被覆加熱装置の実施例を参考例とともに説明する。
<参考例>
本発明の被覆加熱装置の参考例を図1〜4を用いて説明する。図1は被加熱体であるT字管10の平面図および側面図、図2はT字管10を被覆し加熱する被覆加熱装置20の斜視図、図3は被覆加熱装置20を内側から見た展開図、図4は被覆加熱装置20をT字管10に装着した斜視図である。
図1のT字管10は、厚さ0.3cmのステンレス製で、直径8.91cm、高さ17.14cmの円筒部11と、円筒部11から分岐した直径8.91cmの円筒部12とからなる(それぞれの寸法は、図1のt,D,Hに相当)。円筒部12は、円筒部11の側面中央部から垂直に突設されており、図1のWで示される長さは、13.025cmである。
被覆加熱装置20は、被覆本体21と発熱体22と固定手段23とからなる。
被覆本体21は、厚さ1cmのシリコンゴムからなる。被覆本体21は、図3に示す32cm×17cmの長方形で、長辺側は円筒部11の円周、短辺側は円筒部11の高さにほぼ等しい。被覆本体21は、長辺側から5cmに位置する4か所に、長さ5cmの切れ目211が短辺側から垂直に入れられている。
発熱体22は、被覆加熱装置20の使用時に被加熱体であるT字管10と接する面である被覆本体21の内側面に固定される。発熱体22は、図3に示すように被覆本体21の形状に合わせた形状をもつ面状ヒータである。なお、面状ヒータには、ヒータ線がシリコンラバーに挟み込まれた一般的な面状ヒータを用い、221はリード線である。面状ヒータは、シリコン系の接着剤により被覆本体21の内側面に固定されている。
固定手段23は、帯231と、被覆本体21の外側面に固定された帯231の一部を収納するカバー232とからなる。帯231は、長さ41.5cm、幅2.5cmで、表裏をそれぞれフック面、ループ面とした面ファスナーとなっている。カバー232は厚さ2mmのシリコンゴムからなり、長さ36.5cm、幅4cmの帯状シートaと長さ31.5cm、幅4cmの帯状シートbの一端をそろえて縁部を2枚縫い合わせた筒状である。帯231の両端部は、帯状シートbの端部から5cm延出した状態でカバー232へ挿入されており、シリコン系の接着剤で固定される。カバー232は、被覆本体21の長辺方向に沿って、カバー232の両端が被覆本体21の短辺にほぼ揃う状態で両縁部に1本ずつシリコン系の接着剤により固定される。この際、接着されるのは、カバー232の帯状シートaの面である。
上記の構成をもつ被覆加熱装置20は、図4に示すように被加熱体であるT字管10に装着される。被覆加熱装置20は、その内周面がT字管10に接するようにT字管10を被覆する。固定手段23は、T字管10の円筒部11の両端部に帯231を被覆本体21を介して巻き付け、帯231の両端部同士をフック面とループ面とで係止させ固定する。被覆本体21には切れ目211があるため、被覆本体21の短辺側の中央部分は、T字管10の円筒部12の側面に沿う。
被覆加熱装置20を用いてT字管10を加熱するには、リード線221より所定電圧を印加することにより発熱体22の面状ヒータのヒータ線に電流が流れ、ヒータ線の電気抵抗発熱によりヒータ線が加熱され、この熱が面状ヒータ(発熱体22)からT字管10に伝熱してT字管10が加熱される。
また、T字管10から被覆加熱装置20を取り外す際は、発熱体22と固定手段23とが被覆本体21に固定されているため、帯231の両端部の係合を解くだけで、簡単に取り外すことができる。
(実施例)
本発明の被覆加熱装置の実施例を図5〜10を用いて説明する。図5は被加熱体である曲管30の平面図および側面図、図6は曲管30を被覆し加熱する被覆加熱装置40の一部を示す斜視図、図7は図6のIにおける断面図、図8および図9は被覆本体および発熱体の展開図である。また図10は、被覆加熱装置40を曲管30に装着した斜視図である。
図5の曲管30は、厚さ0.3cmのステンレス製で、直径8.91cm、高さ20cmのまっすぐに延びる円筒部31と、円筒部31の一端部から延出した直径8.91cmの曲部32とからなる(それぞれの寸法は図5のt,D,Lに相当)。曲部32は、90°に曲がっており、図5のRで示される曲げ半径(管の中心部分の曲率半径)は7.62cmである。
被覆加熱装置40は、被覆本体41と発熱体42と固定手段43とからなる。
被覆本体41は、厚さ1.5cmのシリコンゴムからなる。被覆本体41は、シート411とシート412の2つの部分からなる。曲管30の曲部32を覆うシート411は、最大径が32cm、最小径が19cmの楕円形シートを図8に示す形状に切り取ったものである。シート411は、2つの扁平な(ひしゃげた)六角形状の411aが、長方形の411bの向かい合う長辺の中央に一体的に組み合わされた形状となる。シート411は、切り取った部分の隣り合う辺415がそれぞれ接するように固定することにより、図7の断面図に示すように内側へ曲がった立体的な形状となる。シート412は、32cm×20cmの長方形で、長辺側は円筒部31の円周、短辺側は円筒部31の高さにほぼ等しい。
発熱体42は、被覆加熱装置40の使用時に被加熱体である曲管30と接する面である被覆本体41の内側面に、シリコン系の接着剤により固定される。発熱体42は、被覆本体41の形状に合った図9に示す形状をもつ1枚の面状ヒータからなる。発熱体42は、隣り合う辺425がそれぞれ接するように固定することにより、図7の断面図に示すように内側へ曲がった立体的な形状となる。そして、同じく内側へ曲がった立体的な形状をもつ被覆本体41は、発熱体42により、その内周面全面を覆われる。
面状ヒータには、ヒータ線がシリコンラバーに挟み込まれた一般的な面状ヒータを用いる。なお、本実施例の発熱体42は図9に示す形状を採用したが、被覆本体の形状に合わせて適宜選択すべきである。
固定手段43は、帯431と、被覆本体41の外側面に固定された帯431の一部を収納するカバー432とからなる。なお、本実施例の固定手段43は、参考例の固定手段21と同様である。カバー432は、被覆本体41のシート411の最大径方向と、シート412の長辺方向に沿って固定される。カバー432は、その両端を被覆本体41の縁にほぼ揃う状態でシート411の中央部とシート412の両縁部と中央部の4か所に1本ずつ固定される。
上記の構成をもつ被覆加熱装置40は、図10に示すように被加熱体である曲管30に装着される。被覆加熱装置40は、その内周面が曲管30に接するように曲管30を被覆する。固定手段43は、曲管30の円筒部31の円周と曲部32の曲部に帯231を被覆本体41を介して巻き付け、帯431の両端部同士を係止させて、被加熱体に被覆加熱装置を固定する。
被覆加熱装置40を用いて曲管30を加熱するには、リード線421より所定電圧を印加することにより発熱体42の面状ヒータのヒータ線に電流が流れ、ヒータ線の電気抵抗発熱によりヒータ線が加熱され、この熱が面状ヒータから曲管30に伝熱して曲管30が加熱される。
また、曲管30から被覆加熱装置40を取り外す際は、発熱体42と固定手段43とが被覆本体41に固定されているため、帯431の両端部の係合を解くだけで、簡単に取り外すことができる。
なお、上記の実施例は、本発明の一実施例を示したのみであり、被加熱体、また、被覆本体、発熱体、固定手段などの形状、寸法等はこの限りではない。
参考例の被覆加熱装置の被加熱体であるT字管の平面図および側面図である。 参考例の被覆加熱装置の斜視図である。 参考例の被覆加熱装置を内側から見た展開図である。 参考例の被覆加熱装置を被加熱体に装着した斜視図である。 実施例の被覆加熱装置の被加熱体である曲管の平面図および側面図である。 実施例の被覆加熱装置の斜視図である。 図6のIにおける断面図である。 実施例の被覆加熱装置の被覆本体の展開図である。 実施例の被覆加熱装置の発熱体の展開図である。 実施例の被覆加熱装置を被加熱体に装着した斜視図である。
符号の説明
20,40:被覆加熱装置
10,30:被加熱体
21,41:被覆本体
22,42:発熱体
23,43:固定手段

Claims (8)

  1. 曲率中心側に位置する内側曲面と遠心側に位置する外側曲面とからなる外周曲面をもつ曲部を有する管状の被加熱体の外周面を覆う被覆加熱装置であって、
    少なくとも一部が、互いに背向する両周辺部から中央部に向かう少なくとも一対のV字状の切り込みをもち、該切り込みを区画する2つの辺が接合されて前記外周曲面に沿った形状となる曲面被覆部をもつ柔軟で断熱性を有する被覆本体と、
    該被覆本体の内周面あるいは該内周面に沿った内部に固定された発熱体と、
    前記曲面被覆部の前記中央部で前記曲部の前記外側曲面を覆うとともに前記切り込みが接合されて幅が狭まった前記周辺部同士をそれぞれ前記内側曲面側で近接させて固定して、該被覆本体を該被加熱体に固定する固定手段と、
    備え、
    前記発熱体は、少なくとも一対のV字状の切り込みをもち該切り込みを区画する2つの辺が接するように前記被覆本体に固定されて前記曲部の前記外周曲面に沿った形状となる面状発熱体からなり、該発熱体の該切り込みは、前記曲部の中心軸方向に沿うように形成され、
    前記固定手段は、帯状で前記被覆本体に形成された前記切り込みに沿って延び、かつ、前記被覆本体の前記切り込みの接合部を覆った状態で前記被覆本体に固定されることを特徴とする被覆加熱装置。
  2. 前記曲面被覆部は、前記中央部よりも前記周辺部が短い略楕円形状である請求項1記載の被覆加熱装置。
  3. 前記被覆本体は、長手方向の両端部が前記両周辺部となって前記被加熱体の前記内側曲面側で近接される長方形部分と、長手方向の両端に鋭角をもち一辺が該長方形部分の向かい合う2つの長辺の中央でそれぞれ一体的に組み合わされた2つの扁平な六角形部分と、からなり、該六角形部分の他辺と該他辺に対向する前記長辺とが接合されてなる請求項に記載の被覆加熱装置。
  4. 前記被加熱体は、前記曲部から該被加熱体の軸方向に延出する直部を有し、
    前記被覆本体の一部は、互いに背向する両端部が近接されることにより筒状となり該直部の外周直面を覆う柔軟で断熱性を有する方形状の直面被覆部をもつ請求項1記載の被覆加熱装置。
  5. 前記発熱体は一枚の面状発熱体からなり、該面状発熱体に前記曲面被覆部と前記直面被覆部とが一体的に固定される請求項記載の被覆加熱装置。
  6. 前記被覆本体はゴムシートで形成されている請求項1記載の被覆加熱装置。
  7. 前記発熱体は通電により発熱するヒータ線を持つ請求項1記載の被覆加熱装置。
  8. 前記固定手段はその両端部に着脱自在の係止部を持つ帯である請求項1記載の被覆加熱装置。
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