以下、本発明に係る遊技機の実施形態として、遊技場等に設置されるパチンコ機1の概略を図面に沿って説明する。図1は本発明に係る実施の形態におけるパチンコ機1の外部構造を示す正面図、図2は本パチンコ機1の遊技球誘導ユニット20を拡大して示す正面図である。
なお、本実施の形態では、本発明の遊技機を所謂第2種特別電動役物を使用したパチンコ機として述べるが、本発明はこれに限らず、所謂第1種特別電動役物や所謂第3種特別電動役物等を使用したパチンコ機、或いはこれらが適宜組み合わされた機能を有するパチンコ機にも適用可能であることは勿論である。
すなわち、本パチンコ機(遊技機)1は、図1に示すように、発射ハンドル9の操作による球発射装置72(図5に後述する)の作動で遊技球(いわゆるパチンコ玉)を遊技盤11の遊技領域11aに向かって打ち出しつつ遊技を行うもので、打ち出された遊技球は遊技球導入部である入賞口13(以下、可変入賞口13ともいう)、入賞口14(以下、第1入賞口14ともいう)、入賞口15(以下、第2入賞口15ともいう)、入賞口16,17(以下、一般入賞口16,17ともいう)、又はアウト口18に収容される構成をなしている。
図1に示すように、本実施形態におけるパチンコ機1は、開口を有する枠体状の筐体2と、この筐体2に開閉可能に装着された前扉3とを有しており、前扉3の前面には、透明ガラス6を有するガラス枠5が開閉可能に取り付けられている。透明ガラス6の奥側には、遊技盤11が配設されている。前扉3における遊技盤11の左右及び上部には演出用照明装置23が配設されており、前扉3における上部左右には夫々スピーカ(図示せず)を有する放音装置8が配設されている。また、ガラス枠5における右側部には、前扉3を筐体2側に施錠又は解放するための施錠装置4が配設されている。
そして、前扉3における下部中央には皿ユニット6が設けられており、皿ユニット6における右上部には、賞球及び貸球を含む遊技球が供給される球供給口76が設けられ、皿ユニット6における右上部には、球貸ボタン7a及びプリペイドカード返却ボタン7bが設けられている。皿ユニット6の中央部には、該皿ユニット6上の遊技球を皿ユニット6下部の球排出口(図示せず)を通して下方に排出するための第1球抜きボタン21aと、皿ユニット6上の遊技球を球供給口76付近から上記球排出口を通して下方に排出するための第2球抜きボタン21bとが配置されている。
また、前扉3における皿ユニット6の右側下方には、球発射装置72を操作して遊技球を遊技盤11に向けて打ち出すための発射ハンドル9が設けられ、皿ユニット6の左側下方には灰皿25が配設されている。なお、図1中の符号12は、発射ハンドル9の操作で発射された遊技球を遊技領域11aに導くガイドレールを示し、符号18はアウト口を示している。また、本パチンコ機1には、遊技中に遊技領域11aにて入賞することなく落下してアウト口18に入り込んだ遊技球をパチンコ機背面側に導くアウト球通路(図示せず)が設けられている。
一方、遊技領域11a内に配設された入賞口13,〜,17は全て、遊技球が入賞した場合に所定数の遊技球を賞球するように機能するが、単に遊技球の賞球のみを行うものと、賞球以外の他の機能を有するものとが存在している。具体的には、遊技領域11aの中央左右に設けられた入賞口16と、遊技領域11aの左右下方に設けられた、後述する遊技球誘導ユニット20に配設された入賞口17とが、前者に示した賞球のみ行う入賞口となる。また、遊技領域11aの中央に設けられたセンター飾り(ユニット役物)22の上部左右に配設される入賞口13と、遊技領域11aの中央下部に縦に整列されて配設される入賞口14、15とが、後者に示した賞球以外の他の機能を有する入賞口となる。なお、上記したセンター飾り22については、図3を用いて後に詳述する。
図2に示すように、上記第1入賞口14及び第2入賞口15の左右方向には、遊技球誘導ユニット20が配設されている(図2にて左方向の遊技球誘導ユニット20は省略)。この遊技球誘導ユニット20は、遊技領域11aに打ち出されて落下してきた遊技球を誘導する誘導部材40と、該誘導部材40を延長させる可動部材42とにより構成されている。誘導部材40は、可動部材42と該可動部材42を駆動するソレノイド43とを収容した状態で、遊技盤11の各取付穴50にネジ留めされて取り付けられている。この可動部材42は、奥行き方向(図2の紙面奥側)に向かう略々三角柱形状を呈しており、可動部材42の最下部頂点に設けられた連結点48を軸として回動(揺動)するように誘導部材40と枢着されている。
誘導部材40が遊技盤11に取り付けられた際には、上方に向けて開口する遊技球入賞口17が形成される。この入賞口17は、遊技球の入賞をもって所定数の遊技球を賞球する機能を有している。そして、誘導部材40の上部には、遊技領域11aの中央部に向かって下降するように傾斜する遊技球誘導路44が形成されているので、遊技領域11aに打ち出されて落下してくる遊技球が、誘導部材40(すなわち、遊技球誘導ユニット20)の上面側に落下した際には、該誘導路44上を遊技領域11aの中央部に向かって転動することとなる。
可動部材42は、ソレノイド43により駆動され、該ソレノイド43の非駆動時には図3に示した位置(符号42を付与した位置)に配置されており、駆動時には連結点48を中心として左方向に回転し、先端部51´で示した位置までその先端が移動する。ソレノイド43は、誘導部材40の内部で固定されており、滑動部材46を矢印Dに示す横方向に滑動される。可動部材42は、この滑動部材46に連結点48よりも上方の位置で連結されている。従って、ソレノイド43が駆動された際には、滑動部材46の横方向の滑動に伴い、可動部材42が連結点48を中心に矢印Wで示す方向に揺動されることとなる。このように可動部材42が駆動された際には、可動部材42の先端部51´が、誘導部材40、すなわち遊技球誘導ユニット20の外部に突出されるものとなる。
一方、前述したセンター飾り22が有する可変入賞口13は、通常時において羽根部材24によって閉鎖されている。しかし、遊技球が、第1入賞口14もしくは第2入賞口15に入賞した際には、羽根部材24が後述する開閉ソレノイド70によって開閉駆動されることによって、一定時間(約0.5秒/回)だけ開放状態となる。
すなわち、第1入賞口14及び第2入賞口15への入賞は、通常の賞球のみならず、センター飾り22の可変入賞口13を開放させる条件ともなっている。具体的には、第1入賞口14に遊技球が入賞した際には、羽根部材24が駆動されることによって、可変入賞口13が1回だけ開放状態となる。また、第2入賞口15に遊技球が入賞した際には、第1入賞口14に入賞したときと同様な可変入賞口13の開放が2回実行される。これにより、第1入賞口14へ入賞したときよりも第2入賞口15に入賞したときの方が、可変入賞口13への遊技球の入賞可能性は高まるものとなっている。
ところで、遊技領域11aには、センター飾り22の左右下方に風車86が配設されている。また、遊技領域11aにおけるセンター飾り22の周囲には、発射されてからセンター飾り22に関与せずに落下してくる遊技球を適宜散らし、第1入賞口14、第2入賞口15等に対し、入球に導くようにするための複数の障害釘が打ち込まれている。なお、本実施の形態においては、上記風車86がセンター飾り22の左右下方に配設されるものとして説明するが、これは1つの例であり、配設させる位置や数については遊技領域11a内において特に限定されるものではない。また、障害釘及び各種入賞口にあっても、配設させる位置や数について遊技領域11a内において特に限定されるものではない。
次に、センター飾り22について、図3および図4を参照して説明する。図3はセンター飾り22を拡大して示す正面図、図4は板部材34a,34bとその駆動機構を示す概略斜視図である。
すなわち、図3に示すように、センター飾り22の上部には、センター飾り22の有する略々矩形形状の開口部27から露出されるように図柄表示装置31が配設され、該図柄表示装置31の左右下部には、可変入賞口13を開閉する前述した羽根部材24が配設されている。該羽根部材24は、後述する開閉ソレノイド70によって矢印Aの向きに回動駆動されることで可変入賞口13を開閉動作させ、図3では可変入賞口13の開状態における羽根部材24の状態が示されている。
上記した可変入賞口13内側のそれぞれの直下方には、書籍である本の形状を呈した振り分け装置(振り分け部材)26が、やや前方に向けて下降するように傾斜した遊技球ステージ(誘導路)S上に略々垂直をなすように配設されている。該振り分け装置26はそれぞれ、回動軸(軸部材)32と7枚の板部材(板状部材)34a,〜,34gとを有し、該板部材34a,〜,34gが回動軸32を中心として矢印B1,B2に示す方向に回動自在となるように支持されている。
ついで、図4に示すように、振り分け装置26における板部材34aは、その先端下部から延在する棒状部材77が、遊技球ステージSの床下側に配設された円板部材78の外周端に溝79(図3参照)を通して固着されている。この円板部材78における回転軸80は、回動軸32と同心をなして回動するように設置される。そして、この円板部材78は、遊技球ステージSの床下側に配設された回動モータ(回動駆動手段)74に、減速機構81と、減速機構81から突出する駆動軸82と、該駆動軸82に嵌着されたギヤ83a及び回転軸80に嵌着されたギヤ83bとを介して連動連結されている。そして、円板部材78は、上記モータ74が遊技制御装置60によって駆動制御される際、その回転が上記減速機構81等を介して伝達されることによって、円板部材78胴体の中央部に位置する回転軸80を中心として矢印B1,B2(図3参照)の向きに交互に一定周期(例えば、4〜5秒で1往復運動)で回動動作されるように構成されている。
また、図4に示すように、板部材34bは、遊技球ステージSの床下側において、板部材34aからナイロンやポリエステル等からなる耐久性の高い紐87で連結されていることにより、板部材34aが矢印B2方向(図3参照)に回動した際にはその方向に引き寄せられる。この板部材34bは、その先端下部に棒状部材88を有し、この棒状部材88の先端には遊技球ステージSの床下に配設されたレール89を両側部から狭持して滑動する例えばガイドローラ(不図示)を有している。これにより、板部材34bは、板部材34aが背面76側に回動した際に引き寄せられ、該レール89に沿って円滑に移動するものとなる。また、板部材34aが矢印B1方向(図3参照)に回動した際には、該板部材34aが板部材34bを押圧していくことで矢印B1方向(図3参照)に移動される。図4では図示を省略しているが、他の板部材34c,〜,34gについても、板部材34bに続いて紐87と同様の紐(不図示)で順次連結させることにより、板部材34aが回動した際には上記した板部材34bと同様に矢印B1,B2方向への動作をすることとなる。
このように、板部材34aが、回動モータ74によって矢印B1側の内側面75に引き寄せられた際には、他の板部材34b,〜,34gは板部材34aと内側面75とに挟み込まれるように折り重なり、振り分け装置26は全体として厚みが薄い閉じた状態となる。また、板部材34aが、矢印B2側の背面76側に回動された際には、他の板部材34b,〜,34gは、図3に示すように回動軸32から放射状に等角度(約10°)で配列され、振り分け装置26は全体として本が見開かれたような状態となる。加えて、この状態における各板部材は放射状を呈しているため、その外周側での間隔が最大長の約8mmとなり、一般的な遊技球の直径(約11mm)より狭いものとなっている。
一方、遊技球ステージSおよび左右の振り分け装置26の中央部で、かつその前面側には、遊技球が入賞することによって、いわゆる大当たりとなるV入賞が決定される特定入賞口(特定通過領域)84が配設されている。また、該特定入賞口84の左右には、遊技球が入賞することで所定の賞球が得られる一般入賞口85,85が配設されている。遊技球ステージSは、前面側に下降するように傾斜していることにより、可変入賞口13から遊技球が導入された際には、該遊技球は上記特定入賞口84や一般入賞口85,85の方向に転動することとなる。そして、上面(誘導路)24aと振り分け装置26の板部材34a,〜,34gの上辺(辺)35a,〜,35gと遊技球ステージSとにより、本発明における誘導路が構成される。
次に、本実施形態におけるパチンコ機1の制御系を図5に沿って説明する。図5は本パチンコ機1の全体の制御系を示すブロック図である。すなわち、本制御系は、大きく分けて、遊技制御装置(制御手段)60と、排出制御装置61を初めとするその他の周辺装置等とによって構成されている。
遊技制御装置60は、遊技盤11の裏面に取り付けられた役物制御ユニット(図示略)により実現されている。図5に示すように、遊技制御装置60は、パチンコ遊技等に必要な役物制御を行うワンチップマイコンからなる遊技用マイクロコンピュータ62と、水晶の発振周波数を分周して所定のクロックを得るクロック生成回路(CLK)63と、各種信号の入出力を行う入出力I/F(インターフェース)64とを有している。遊技用マイクロコンピュータ62は、CPU62a、ROM62b、RAM62cを内蔵する、いわゆるアミューズチップ用のICとして製造されている。
この遊技制御装置60の入出力I/F64には、第1入賞口センサ65、第2入賞口センサ66、及び入賞口センサSE1,〜,SE4からの検出信号が入力される。ここで、第1入賞口センサ65は、第1入賞口14への入賞を検出するセンサであり、第2入賞口センサ66は、第2入賞口15への入賞を検出するセンサである。更に、入賞口センサSE,〜,SE4は、一般入賞口16,17、一般入賞口85、特定入賞口84への入賞をそれぞれ検出するセンサである。
一方、入出力I/F64からは、放音装置8を放音駆動して効果音などの出力制御を行う音声出力制御装置68、演出用照明装置23や図柄表示装置31等の制御を行う演出制御装置69、センター飾り22の羽根部材24を駆動する開閉ソレノイド70、球発射装置72を制御する発射制御装置71、板部材34aをはじめとする振り分け装置26の有する各板部材を回動駆動する回動モータ74に信号が出力される。
また、この入出力I/F64からは、排出制御装置61にも賞球制御情報の信号が出力される。なお、賞球制御情報の内容としては、賞球数情報や排出条件等の情報が出力される。排出制御装置61は、遊技制御装置60から入力される賞球制御情報に基づいて、排出ユニット(不図示)を駆動して遊技球を排出する制御を行うものである。すなわち、遊技制御装置60は、遊技領域11aの各入賞口に設けられた第1入賞口センサ65、第2入賞口センサ66、入賞口センサSE1,〜,SE3によって入賞が検出されると、各入賞口の入賞価値に対応して予め設定された賞球数情報を、排出制御装置61へ送信する。そして、排出制御装置61では、この賞球数情報を受信して、それに応じた賞球排出制御を行う。
次に、本パチンコ機1による作用について図6ないし図7を参照して説明する。図6は遊技領域11aにおける遊技球の進路の例を示す概略図で、(a)は遊技球誘導ユニット20の非作動状態における概略正面図、(b)は遊技球誘導ユニット20の作動状態における概略正面図、図7は振り分け装置26の開閉状態を示す概略図で、(a)は最も閉じた状態を示す概略平面図、(b)は約半分開いた状態を示す概略平面図、(c)は最も開いた状態を示す概略平面図である。
すなわち、本パチンコ機1に対面して着座した遊技者が発射ハンドル9を握り、適宜の角度に回動操作した際には、発射制御装置71がその回転角に基づいて球発射装置72を制御し、それにより、該球発射装置72の作動で遊技球を所定の時間間隔で遊技領域11aに向けて連続的に発射させる。すると、遊技領域11aに打ち出されて転動落下する多数の遊技球は、入賞口16,17等に適時入賞し、或いは、これらに関与せずに転動落下して、遊技領域11a最下部のアウト口18から遊技盤11背面側に排出される。
このような遊技中、遊技球誘導ユニット20において、可動部材42が揺動されていない通常の状態にあっては、可動部材42は誘導部材40内に収容されており、該可動部材42の側面52(図2参照)が誘導部材42の遊技球誘導路44から延長された状態となっていない。このとき、遊技領域11aに打ち出された遊技球が、誘導部材40の上部に落下した際には、遊技球は遊技球誘導路44に沿って転動し、該遊技球誘導路44の終端44aに到達した後で下方に落下する。このときの経路は、図6(a)の矢印Yに示すものとなる。
また、可動部材42が揺動されていない通常の状態にあって、遊技領域11aに打ち出された遊技球が、遊技球誘導路44の終端44aよりも中心部側、すなわち該終端44aと入賞口14、15との間に落下した際には、図6(a)の矢印Zに示す経路で下方に落下する。この場合の遊技球は、遊技領域11aに配設された障害釘に適宜に当接するなどし、多くの場合はそのまま下方へと落下することになる。従って、上記矢印Y,Zに示した経路を辿った遊技球が、第1及び第2入賞口14、15、特に第2入賞口15に入賞する可能性は非常に低いものとなる。また、第2入賞口15は、第1入賞口14の直下方に配置されているため、他の進路からの遊技球が入賞する可能性も極めて低いものとなる。
一方、図6(b)に示すように、可動部材42が揺動された特別な状態にある場合には、該可動部材42の側面52は誘導部材42の遊技球誘導路44から延長された状態となる。このとき、誘導部材40の上部に遊技球が落下すると、該遊技球は誘導路44に沿って転動し、引き続き可動部材42の側面52(図2参照)へ移動して、第2入賞口15に向かって落下することとなる。このときの経路は、図6(b)の矢印Y´に示すものである。また、遊技領域11aに打ち出されて落下した遊技球が、遊技球誘導路44の該終端44aと入賞口14、15との間に落下した際には、図6(b)の矢印Z´に示す経路で下方に落下する。上述したように、可動部材42が揺動された状態にある場合には、遊技球は矢印Y´,Z´に示す経路のいずれかを辿って第2入賞口15方向に案内されることとなる。
上記した各経路を辿った遊技球が、第1入賞口14へと入賞した際には、センター飾り22の有する羽根部材24が、開閉ソレノイド70によって1回の開閉動作(約0.5秒間)を行う。また、遊技球が第2入賞口15へと入賞した際には、センター飾り22の有する羽根部材24は、開閉ソレノイド70によって2回の開閉動作(それぞれ約0.5秒間ずつ)を行う。このようにして羽根部材24が開状態となった際に、遊技領域11aに打ち出された遊技球の中には、可変入賞口13からセンター飾り22内へと導入されるものがある。
ついで、遊技球が可変入賞口13からセンター飾り22内へ導入された際の動作について、図7を参照して説明する。
すなわち、図7の各図に示すように、可変入賞口13(図3参照)からセンター飾り22(図3参照)内へと導入される遊技球Baは、上面24a上を矢印Cに示す方向にそれぞれ転動し、内側面75及び振り分け装置26の方向に落下する。このとき、振り分け装置26が開いた状態にない場合、つまり図7(a)に示すような、該板部材34a,〜,34gが内側面75側に閉じた状態にある場合には、上面24aから落下した遊技球Baは、略々遊技球ステージS上の位置P1に示す場所に着地する。位置P1に着地した遊技球Baは、その際の速度や回転等によって左右されながらも、その多くは遊技球ステージSの中央部側には向かわず、内側面75に沿うように矢印Jに示す辺りを遊技球ステージSの前面側に向かって転動する。遊技球が、矢印Jに示す位置を転動した際には、遊技球ステージS前面の端部へと向かうこととなり、特定入賞口84の左右に配設された一般入賞口85へと略々入賞する。
また、図7(b)に示すような、振り分け装置26が約半分開いた状態の場合には、上面24aからの遊技球Baは、開きかけた板部材34a,34b,34c上の略々位置P2に示す場所に向けて落下する。ここで、遊技球Baが振り分け装置26上の、例えば、板部材34a,34bの上部に着地した際には、それぞれの上辺35aと上辺35bとで2点支持されることとなる。そして、この2点支持された遊技球Baは、板部材34a,34bの幅が回動軸32を中心として放射状に広がっていることと、振り分け装置26が配設されている遊技球ステージSが前面側に向かって下降するように傾斜していることから、回動軸32から放射状をなす外側に向かって転動を始める。
そして、例えば、位置P2に落下した遊技球Baが、その際の速度や回転等の影響を受け、矢印K1,K2に示す経路を転動した際には、比較的内側面75に近い側を沿うこととなる。このような遊技球Baが、遊技球ステージS上に落下した場合には、遊技球ステージSの中央部へと向かうことは無く、したがって特定入賞口84には入賞せず、その左右に配設された一般入賞口85へと入賞する確率が高くなる。
また、矢印K3に示すような、内側面75から比較的遠い(約20°の角度をなす)側の経路に沿って遊技球Baが転動した際には、矢印K1,K2の場合に比して遊技球ステージSの中央部へと向かうものとなり、特定入賞口84へと入賞する確率はやや上昇する。さらに、矢印K4に示すような、遊技球Baが振り分け装置26の向こう側に落下した際には、図7(b)に示した経路のうちで最も遊技球ステージSの中央部に近づくこととなり、特定入賞口84へと入賞する確率は矢印K3に示した経路より一層高まるものとなる。
ついで、図7(c)に示すような、振り分け装置26が最も開いた状態(約60°)の場合には、上面24aからの遊技球Baは、開いた板部材34a,〜,34g上の略々位置P3に示す場所に向けて落下する。位置P3に落下した遊技球Baが、振り分け装置26上に着地した際には、図7(b)の場合と同様、回動軸32から放射状をなす外側に向かって転動を始める。振り分け装置26上に着地した遊技球Baは、その際の速度や回転等によって、内側面75に近い側の経路(例えば矢印L1)から、背面76(図3参照)に近い側の経路(例えば矢印L7)までのいずれかの経路に沿って転動することとなる。
例えば、遊技球Baが矢印L1,L2に示す経路に沿って転動した際には、遊技球ステージSの中央部に向かうことは無く、特定入賞口84には入賞せず、その左右に配設された一般入賞口85へと入賞する確率が高いものとなる。また、遊技球Baが矢印L3,L4に示す経路に沿って転動した際には、矢印L1,L2のときに比して遊技球ステージSの中央寄りには向かうが、相応な勢い等を有さない場合には特定入賞口84に高確率で入賞するものとはならない。
また、遊技球Baが矢印L5,L6に示す経路に沿って転動した際には、図7(c)に示した総ての経路のうちで最も遊技球ステージSの中央部に近づくこととなり、特定入賞口84へと入賞する確率は矢印L3,L4に示した経路より一層高まるものとなる。さらに、矢印L7に示すような、遊技球Baが振り分け装置26の外側に落下した際には、遊技球Baは、遊技球ステージSの中央より少し遠く(当該振り分け装置26と反対側にある振り分け装置26の側)へ向かうため、転動の際の勢いが相応でない場合には特定入賞口84への入賞確率は前述した矢印L3,L4の経路の場合に比して低いものとなる。
一方、羽根部材24の開閉動作した際のタイミングによっては、複数の遊技球が可変入賞口13からセンター飾り22内へと導入される。このような場合には、遊技球同士が当接し合う等することによって、上記図7(a)〜(c)に示した遊技球の動作以上にさらに複雑な動きを示し、特定入賞口84への入賞確率がより一層分散され、遊技者の期待感やどきどき感が刺激されるものとなる。
そして、遊技球Baが特定入賞口84へと入賞すると、入賞口センサSE4からの信号を契機として、遊技制御装置60が開閉ソレノイド70を駆動制御することで羽根部材24を開閉させ、可変入賞口13から遊技球を入賞させる大当り遊技の演出動作を実施させる。加えて、遊技制御装置60は、演出制御装置69に対して、上記大当り遊技に応じた所定の演出動作、例えば、「Vゾーン入賞」の文字を図柄表示装置31に表示制御させたり、演出用照明装置23に点滅制御をさせたりする。
なお、以上説明した本実施の形態においては、第2種特別電動役物を使用したパチンコ機1において、振り分け装置26が可変入賞口13から特定入賞口84までの間の遊技球ステージSに配設されるとして説明したが、第1種特別電動役物を使用したパチンコ機におけるセンター飾り内で、ワープ導入口から始動チャッカーに高確率で遊技球を導く導入口や導入路等までの間にある遊技球ステージ上に、同様な振り分け装置を配設させるようにしてもよいことは勿論である。ここで、上記「ワープ導入」という語句は、遊技領域に打ち出された遊技球を、当該遊技領域の比較的下側に位置する道釘等を経ることなく、始動チャッカーの上に導くことを意味する概念である。また、上記「道釘」とは、遊技領域において始動チャッカー左右に打ち込まれた複数本の障害釘の列を意味するもので、上方から転動落下してきた遊技球を始動チャッカー方向に導く役割を担っている。
また、本実施の形態においては、可変入賞口13から導入された遊技球Baは、振り分け装置26上部の上辺35a,〜,35g等に沿って転動するとして説明しているが、遊技球Baの転動する幅を確保した場合には、振り分け装置26に落下した後に、板部材34a,〜,34gの間を転動させるように誘導路を形成させてよいことは勿論である。
以上説明した本実施の形態では、パチンコ機1におけるセンター飾り22内に、遊技球Baの誘導路である遊技球ステージSに垂設される回動軸32と、該回動軸32を軸として本の頁状に回動可能となる板部材34a,〜,34gとを有する振り分け装置26を備えさせる。また、該振り分け装置26における板部材34a,〜,34gに、これらを回動動作させるための回動モータ74を設ける。そして、上記振り分け装置26が、板部材34a,〜,34gの回動動作時に回動軸32を中心に放射状をなすことで特定入賞口84へと導く遊技球ステージSの一部を形成することとなり、該遊技球ステージSの一部が、センター飾り22に導入された遊技球Baの特定入賞口84における通過可能性を変化させるように振り分けるものとなる。上記した板部材34a,〜,34gが、回動軸32を中心とした放射状に広がる新奇な誘導路、つまり遊技球ステージSの一部を形成することにより、遊技球Baの取り得る進路領域に広がりを持たせることができるようになる。これにより、遊技者の視覚を楽しませるような、装飾性の高いパチンコ機1を提供することができるようになる。
また、センター飾り22内に導入された遊技球Baは、上記した放射状に形成される誘導路(つまり遊技球ステージSの一部)によってその進路が多様化され、特定入賞口84を通過する可能性に変化が与えられるものとなる。これにより、遊技者の注目を集めると共に、特定入賞口84に遊技球Baが通過するか否かの期待感やどきどき感等の高度な遊技感覚を遊技者に提供することができるようになる。
また、回動モータ74が、板部材34a,〜,34gを周期的に回動動作させてなるので、振り分け装置26が周期的に回動動作され、板部材34a,〜,34gが形成する放射形状が経過時間ごとで変化することにより、誘導される遊技球Baの進路も一層多様なものとなる。これにより、遊技球Baが特定入賞口84を通過するまでの進路態様の種類が増し、遊技者に飽きの来させない遊技性の高いパチンコ機1を提供することができるようになる。
また、振り分け装置26が、回動軸32を本の背状に模り、板部材34a,〜,34gを本の頁状に模った本形状を呈する立体造形物からなるので、従来の可動役物には見受けられなかった、一般的な本の形状を模った立体造形物が回動動作する新奇かつ独特な演出を施すことができるようになり、遊技者の興趣を誘うものとすることができる。
また、振り分け装置26により遊技球ステージS上に形成される誘導路が、板部材34a,〜,34gにおける上部の上辺35a,〜,35g等に沿うようにして形成されるので、板状部材と板状部材との間に形成されるそれぞれの空間ではなく、板状部材の上部の辺、つまり振り分け装置26の上部で遊技球Baを転動させることによって、遊技球Baが誘導される際の態様を遊技者から見易くさせることができる。
以上、本発明をその好適な実施の形態に基づいて説明したが、本発明の遊技機は、上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施した遊技機も、本発明の範囲に含まれる。