以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。本実施例では、遊技機の一例として弾球遊技機の一種であるパチンコ機、特に、第1種パチンコ遊技機を用いて説明する。なお、本発明を第3種パチンコ遊技機や他の遊技機に用いることは、当然に可能である。
図1は、本発明の実施例におけるパチンコ機1の正面図である。パチンコ機1の前面には前面枠51が配設されており、その略中央部分には略矩形状の開口51aが穿設され、かかる開口51aの内周には金枠52が周設されている。この金枠52の内側の上方には、2枚のガラス板が装着されたガラス扉枠53が開閉可能に配設されており、ガラス扉枠53の後方に遊技盤2が配置されている。遊技盤2の前面には略円弧状の外レール2aが植立され、その外レール2aの内側位置には円弧状の内レール2bが植立されている。遊技盤2の前面には、内レール2bと外レール2aとにより囲まれた領域によって球が投入される、略円形の遊技領域2cが形成される。内レール2bは、遊技領域2cの左側上部まで延設されており、その内レール2bの先端部に遊技領域2cの入口2dが形成される。入口2dには、遊技領域2cへ投入された球のレール2a,2b間への戻りを防止する薄板状の可動片が設けられている。
遊技盤2の中央には、複数種類の識別情報としての図柄などを表示する液晶ディスプレイ(以下単に「LCD」と略す)3が設けられている。このLCD3の表示画面には横方向に3つの図柄が並んで表示されており、各図柄が、それぞれ上から下へ縦方向にスクロールしながら更新されて図柄の変動表示が行われる(図5(a)参照)。また、LCD3では、人や動物を模したキャラクタが動作する変動表示も行われる。詳細については図5から図8を参照して後述する。
LCD3の下方には、上側に向けて開口した図柄作動口(第1種始動口)4aを形成する可変入賞装置4が設けられ、球が図柄作動口4aへ入賞(通過)することにより、5個の球が賞球として払い出されると共に、始動条件が成立して前記したLCD3の変動表示が開始される。LCD3の変動表示の最中に、球が新たに図柄作動口4aを通過した場合、その通過による変動表示を即座に開始することはできないので、実行中の変動表示が終了するまで、その変動表示が保留される。変動表示は最大4回保留可能となっており、LCD3の上方に配設された4つの保留ランプ5が、保留回数に対応する個数分だけ左側から順に点灯する。
図柄作動口4aの下方には、特定入賞口(大入賞口)6aを開閉する扉板を動作させる可動式の特別入賞装置6が設けられている。特定入賞口6aは、LCD3の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、大当たりとなって、球が入賞しやすいように所定時間(例えば30秒間経過するまで、あるいは、例えば球が10個入賞するまで)開放される。この特定入賞口6a内には、Vゾーン6bが設けられており、特定入賞口6aの開放中に、球がVゾーン6b内を通過すると、継続権が成立して、特定入賞口6aの閉鎖後、再度、その特定入賞口6aが所定時間(又は、特定入賞口6aに球が10個入賞するまで)開放される。この特定入賞口6aの開閉動作は、最高で16回(16ラウンド)繰り返し可能にされており、開閉動作の行われ得る状態が、いわゆる所定の遊技価値が付与された状態(特別遊技状態)である。
なお、第3種パチンコ遊技機において所定の遊技価値が付与された状態(特別遊技状態)とは、LCD3の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、特定入賞口が所定時間開放されることをいう。この特定入賞口の開放中に、球がその特定入賞口内へ入賞すると、特定入賞口とは別に設けられた大入賞口が所定時間、所定回数開放される。
図柄作動口4aの周囲には、球が入賞することにより5個から15個の球が払い出される複数の入賞口(入賞装置)7が設けられている。LCD3の左側には、普通図柄作動口(普通図柄作動装置)8が設けられ、球がこの普通図柄作動口8を通過することにより普通図柄表示装置9の変動表示が開始される。
普通図柄表示装置9は、LCD3の上方に配設されており、「○」の図柄が表示された左図柄LED9aと、「×」の図柄が表示された右図柄LED9bとから構成されている。この普通図柄表示装置9の変動表示は、上述したように、球が普通図柄作動口8を通過することにより開始され、その変動表示が左図柄LED9aの点灯状態(普通図柄当たり状態)で終了すると、球が入賞し易いように図柄作動口4aの両脇に設けられた開閉弁が所定時間(例えば、略0.3秒または1.9秒)経過するまで所定回数(例えば、1回)開放される。
LCD3の手前側周囲には、上述した保留ランプ5や普通図柄表示装置9が配設されたセンターフレーム10が周設されている。センターフレーム10は、透明及び半透明の樹脂材料で略中空状体に形成されると共に、複数のランプを内蔵しており、これにより、LCD3の周囲が装飾されている。
このセンターフレーム10は、遊技領域2cの左右両側に弾球遊技を行うための球の流下経路を残して中央部に配設され、遊技領域2cの左右両側に分岐した2つの経路(領域)を形成する。遊技領域2cに投入された球は、経路を分岐する分岐部としてのセンターフレーム10の最頂部を境にセンターフレーム10の左側の経路(図1の矢印X方向側の経路、以下、盤面左側と略す)と、センターフレーム10の右側の経路(図1の矢印Y方向側の経路、以下、盤面右側と略す)とに振り分けられて下方へ流下する。遊技領域2cへ球が投入された場合に、遊技領域2cの右側から流下を開始させた球の大部分は盤面右側を流下し、左側から流下を開始させた球の大部分は盤面左側を流下する。
センターフレーム10の下部両側には、球が通過可能に形成された2つの移送経路10a,10fが設けられている。これらの移送経路10a,10fは、球の外径分の幅を持たせて略矩形状に形成されており、左右両側に向けて開口する球流入口10b,10gと、センターフレーム10の中央下部に形成されたステージ10cとを連通する。球流入口10b,10gに球が流入すると、その球は移送経路10a,10fを経由してステージ10c上に導かれる。
ステージ10cは、2つの移送経路10a,10fを経由して導かれた球をセンターフレーム10の中央に案内するための部材である。ステージ10cは、その中央に向けて両側から下降傾斜した略平面状に形成され、球が左右方向に転動するように球の外形よりステージ10cの前後方向に幅広く形成されている。ステージ10cの前面側(図1紙面手前側)には、その前面側へ球が流出するのを防止するために、ガイド板10dが設けられている。ガイド板10dは、中央部が分断されつつ上方に突出したリブ状に形成されている。
ガイド板10dが分断された中央部分には、ステージ10cの中央部と、遊技盤2の前面であって図柄作動口4aの上部とを連絡する出口レール10eが設けられている。移送経路10a,10fを通ってステージ10c上に導かれた球は、ステージ10c上を2,3回左右に往復移動した後、出口レール10eを経由して遊技盤2の前面に放出され、出口レール10eの出口のほぼ真下に位置する図柄作動口4aへほぼ全て入賞する。このため、センターフレーム10の両側に形成される2つの球流入口10b,10gへ流入した球は、移送経路10a,10f、ステージ10c及び出口レール10eを経て、図柄作動口4aへほぼ確実に入賞する。
センターフレーム10の右方には、弾球遊技において図柄作動口4aへ球が入賞(入球)し易いように球を誘導するための役物装置11が設けられている。役物装置11は、その中央にマンモスを模して形成された可動部材12と、その可動部材12に駆動力を付与するソレノイド13と、可動部材12の周囲に配設されるカバー部材14とを備えている。
可動部材12は、正面視においてマンモスを模した外形に合成樹脂を成形して形成されている。また、可動部材12には、マンモスの頭部を模してセンターフレーム10側に向けて下降する傾斜面を形成する案内部12aが設けられている。この可動部材12は、遊技盤2前面を覆うガラスから遊技盤2までの隙間と略同一幅の厚みを持たせて形成されており、可動部材12の案内部12a上に流下した球を案内部12aに沿ってセンターフレーム10側へと案内する。なお、役物装置11の詳細については、図2を参照して後述する。
役物装置11の下側には、役物装置11の一部及びセンターフレーム10の右下側を覆う不透明な緑色の合成樹脂の薄板シートで形成されたプレート15が配設されている。プレート15の上部は、可動部材12の下側に重なりつつ配置され、遊技を行う遊技者からはマンモスの鼻を模した部位が見えないようになっている。このプレート15は、遊技盤2前面から球の直径より大きい隙間を隔てて配設されており、役物装置11とセンターフレーム10との間を球が流下するよう構成されている。変動表示中には、LCD3にマンモスの鼻を表示したアニメーションによる演出が行われる場合があり(図7(c)参照)、遊技者から視認できないマンモスの鼻をLCD3上で可動させることで、可動部材12の一部(マンモスの鼻)をわざわざ可動式にすることなく、マンモスの鼻が可動する演出動作を行うことができ、演出動作に必要なコストを低減することができる。なお、プレート15は、遊技盤2の前面を覆う2枚のガラス板の遊技盤2側(内側)、ガラス板の間、及び、外側のいずれに配設されても良い。
役物装置11の上方には、球の流下を一定時間停留させるための停留装置16が設けられている。停留装置16は、内部で球を一定時間略水平に周回させることで球の流下を停留する、いわゆるクルーンと呼ばれる装置である。停留装置16の内部に流入した球は、装置の内部で複数回周回した後に下方の役物装置11側へ排出され、複数回の周回をする時間分、球の流下が停留させられる。パチンコ機1においては、盤面右側(図1の矢印Y方向側の経路)を流下する球は、停留装置16に対して流下経路上流側に配置される多数の釘によって停留装置16の上に導かれ、停留装置16の中で球を平均3秒間停留した後に下側の役物装置11側に排出される。
遊技盤2には、多数の釘が打設されており、この多数の釘の配置及び向きによって、遊技領域2cに投入された球が図柄作動口4aを含む入賞口4a,7へ入賞する割合が調整される。盤面左側(図1の矢印X方向側の経路)を流下する球は、ほぼ10個から20個に1個の割合でいずれかの入賞口4a,7へ入賞する。一方、盤面右側(図1の矢印Y方向側の経路)を流下する球は、可動部材12の後退状態(図1の状態)においては、約100個の球に対して1個以下の割合で入賞口4a,7に入賞する。つまり、可動部材12が後退した状態においては、盤面左側は、流下した球の数に対して賞球の払い出しにより獲得する利益が盤面右側より多い、有利な経路となっている。
遊技盤2の下側には、金枠52に開閉可能に取着された前面扉板(腰板)54が配設されている。この前面扉板54の前面(図1の紙面手前側)には、球を貯留し、発射装置(図示せず)へ球を供給するための上皿55が配設されている。
上皿55の下方であって、前面枠51の下側部分には上皿55に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿56が配設され、下皿56の右側には、球を遊技領域2cへ投入するために遊技者によって操作される操作ハンドル57が配設されている。
操作ハンドル57は、球を弾く図示しない弾球ハンマにバネを介して接続されており、操作ハンドル57の回動量に応じた弾球力で弾球ハンマによって球が弾かれる。弾球ハンマに弾かれた球は、外レール2aに沿って上昇し、弾球力に応じた距離分飛ばされて遊技領域2cへ投入される。遊技者は、操作ハンドル57を操作して、球が流下を開始する流下開始位置を調整し、センターフレーム10の右側と左側とに形成される各経路に球を流下させる割合を自ら選択する。また、操作ハンドル57には、遊技者による回動操作が行われた場合にオンオフが切り替わるスイッチが内蔵され、そのスイッチのオン時に図示しないモータ(発射用モータ27、図3参照)が駆動されて上述した弾球ハンマが作動する。
次に、図2を参照して、役物装置11の詳細について説明する。図2は、遊技盤2の一部分を示した正面図であり、図2(a)は、可動部材12が後退した状態を示し、図2(b)は、可動部材12が前進した状態を示している。なお、図2においては、遊技盤2に配設される構成部品のうち、可動部材12の動作に影響する図柄作動口4a、センターフレーム10、役物装置11、停留装置16、釘等の主要部材のみを示し、他の部材を省略して示している。
役物装置11は、上述したように、可動部材12と、ソレノイド13と、カバー部材14とを備えている。ソレノイド13は、可動部材12に駆動力を付与して可動部材12を左右方向に沿ってスライド移動させるものである。このソレノイド13がオフされた状態は、通常の遊技状態であり、図2(a)に示すように、可動部材12が後退した状態を形成する。この後退状態においては、球流入口10bに球がほとんど流入しない状態(例えば、球流入口10bの前を通過する約100個の球に対して1個以下の割合でしか流入しない状態)となっている。
なお、可動部材12が後退した状態において、必ずしも球流入口10bに球がほとんど流入しない状態とする必要はなく、球流入口10bにまったく球が入らない状態としても良いし、球が球流入口10bにときどき流入する状態(例えば、球流入口10bの前を通過する約20個の球に対して1個以下の割合で流入する状態)としても良い。この球の流入する割合は、球流入口10bの周辺に打設される釘の配置や向きによって調整することができる。
一方、ソレノイド13がオンされた状態は、遊技者にとって有利な遊技状態であり、図2(b)に示すように、可動部材12がセンターフレーム10側に向けて前進し、可動部材12とセンターフレーム10との間の経路が閉鎖された状態となる。可動部材12の前進中に盤面右側(図2(b)の矢印Y方向側の経路)を流下する球は、球の流下経路上に突出した可動部材12の案内部12aによって球流入口10bへ誘導されて、移送経路10a、ステージ10c、及び、出口レール10eを経て図柄作動口4aへほぼ確実に入賞する。
ソレノイド13がオンして可動部材12が前進している間に盤面右側を流下して可動部材12の配置位置に達した球は、ほぼ確実に図柄作動口4aへ誘導されるので、遊技者にとって有利な遊技状態となる。また、可動部材12が後退した状態においては盤面左側(図2(b)の矢印X方向側の経路)の方が、盤面右側よりも獲得する利益が多い有利な経路であったが、可動部材12が前進した状態では、有利な経路が逆転し、盤面左側よりも盤面右側の方が有利な経路となる。
カバー部材14は、球の流下方向に沿った上流側から流下する球から可動部材12を保護するための部材であり、可動部材12の上下及び右側を囲うように配設されている。このカバー部材14は、遊技盤2前面を覆うガラスに近接する位置まで突出した板状の合成樹脂によって形成されると共に、その上面が左側に向けて下方に傾斜して形成されている。遊技盤2に打ち込まれた球が可動部材12に向けて流下する場合には、まずカバー部材14の上面に当接し、その上面の傾斜に沿って左側へと案内された後、可動部材12の後退時に可動部材12に当接しない経路である、可動部材12とセンターフレーム10との間を流下する。よって、可動部材12の後退時に可動部材12へ当接する球数を低減することができ、可動部材12の変形や破損を防止することができる。
次に、図1及び図2を参照して、パチンコ機1に対して遊技者が行う遊技について説明する。遊技を行う遊技者は、パチンコ機1の操作ハンドル57を回動操作して遊技領域2cへ球を投入する。遊技の開始時には、可動部材12は、後退した状態となっており、盤面右側(図1の矢印Y方向側の経路)より盤面左側(図1の矢印X方向側の経路)の方が獲得する利益が多い有利な経路である。遊技者は、図柄作動口4aや、入賞口7へ、より多くの球を入賞させるために盤面左側に球が多く流下するように操作ハンドル57を操作して遊技領域2cに球を投入する。
遊技領域2cに投入された球が図柄作動口4aへ入賞すると、LCD3の変動表示が行われ、変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に大当たりとなって、特別入賞装置6が作動し、特別遊技状態としての特定入賞口6aの開閉動作が行われる。
ここで、図柄作動口4への球の入賞によって行われる変動表示の途中で、表示演出の1つであるマンモスリーチが行われる場合には、盤面右側に配設された可動部材12が前進する。マンモスリーチは、リーチ表示の現出後にマンモスが原人を追いかける演出を示すものである。原人はLCD3に表示される一方、可動部材12によって模されたマンモスがソレノイド13のオンによって前進することにより、マンモスが原人を追いかける演出が行われる。
なお、リーチ表示とは、LCD3において図柄の変動表示が開始された後、先に停留する図柄の組み合わせが大当たりの条件を満たしており、変動表示が続いている図柄の表示結果如何によっては大当たりとなることを遊技者に示唆して大当たりの図柄の組み合わせを遊技者に期待させる表示である。興趣演出とは、変動表示の途中でLCD3の表示画面に所定の図柄を現出させたり、スピーカ44から特定の効果音を出力したり、或いは、操作ハンドル57を振動させる等の演出であって変動後の表示結果が大当たりとなることを遊技者に期待させる演出である。
マンモスリーチの実行時には、LCD3の表示を主として制御する表示用制御基板D(図3参照)の制御によってソレノイド13がオンされ、可動部材12が前進した状態(図2(b)の状態)となる。この可動部材12の前進によって盤面右側(図1の矢印Y方向側の経路)を流下した球が図柄作動口4aへ入賞し易いように誘導されるので、盤面右側を流下する球に対して利益が付与される確率は高くなる。遊技者は、盤面左側に球を継続して流下させるか、それとも盤面右側に球が多く流下するように調整するかを選択する。
盤面右側を流下する球の割合を増やして利益を得ようとする遊技者は、操作ハンドル57を操作して盤面右側を流下する球の割合を増加させる。その操作後、球が可動部材12に達した時にも可動部材12が前進した状態(図2(b)の状態)であれば、図柄作動口4aに球が誘導されて遊技者は利益を得る。一方、盤面右側を流下する球の割合を増加させても、球が可動部材12に達する前に可動部材12が後退すると(図2(a)の状態)、図柄作動口4aには球が誘導されず、遊技者は利益を得ることができない。
このように、遊技者は、盤面右側を流下する球の割合を、可動部材12の状態に応じて自らの意志で増減させることにより、自ら決定した球の割合に応じた利益を得ることができる。よって、弾球遊技に対する遊技者の意識を高めることができ、積極的な操作によって大きな利益を得る弾球遊技の興趣を遊技者に付与することができる。
また、可動部材12が後退した状態から前進した状態に切り替わる動作は、表示用制御基板Dの制御によって変動表示の中で行われるマンモスリーチの実行時に行われるので、マンモスリーチの実行によって可動部材12の切り替え動作の実行が遊技者に示される。このため、遊技者は、所定の利益を効率良く得るために操作ハンドル57の操作を行う契機を、変動表示の中で確認することができる。よって、弾球遊技と変動表示に関連性を持たせることができ、両遊技による一体的な興趣を遊技者に付与することができる。しかも、マンモスリーチは、変動表示が表示結果を現出する前である変動表示の途中で開始されるので、遊技者の利益に直接的には関与しなかった変動表示の途中経過を遊技者に強く意識させて、変動表示の表示演出に対する遊技者の意識を高めることができる。
更に、遊技盤2に打設された多数の釘は、可動部材12が後退した状態(図2(a)の状態)においては、盤面左側より盤面右側を不利な経路とする一方、可動部材12が前進した状態(図2(b)の状態)においては盤面左側より盤面右側を有利な経路とする。このため、可動部材12の状態に応じて盤面左側と盤面右側との利益状態が逆転し、遊技者には、有利な経路に多くの球を流下させるために操作ハンドル57を積極的に操作させることができ、弾球遊技を一層意識させることができる。また、操作ハンドル57の操作時期をいち早く認識して、有利な経路へより長く球を流下させるために、変動表示(マンモスリーチの開始)を集中して見守る遊技性を遊技者に付与して弾球遊技と変動表示との融合による一体的な興趣を生み出すことができる。
また、可動部材12の上方には、停留装置16が設けられており、盤面右側を流下する球は、停留装置16の中で平均3秒間停留する。このため、遊技者が操作ハンドル57を操作して球の流下開始位置を調節し、盤面右側に球を流下させようとしても、球が可動部材12に達するまでには停留装置16によって停留される時間分が上乗せされる。つまり、可動部材12が前進したことを視認して、盤面右側を流下する球の割合が多くなるように操作ハンドル57を操作してから可動部材12に達するまでの時間を長くすることができる。よって、可動部材12が前進した後に操作ハンドル57を操作して盤面右側を流下する球の割合を増やした場合に有利な経路によって得られるロスを大きくし、より多くの利益を得ようとする遊技者には、可動部材12が前進する前にマンモスリーチの実行を予測し、積極的に盤面右側を狙うことにより大きな利益を得る弾球遊技の興趣を付与することができる。
更に、可動部材12は、大当たりの発生時に特別入賞口6の開閉動作を行う特別入賞装置6とは別に設けられており、可動部材12が前進した状態で遊技者に付与される利益は、大当たりの発生時とは別の部材によるものとなる。よって、弾球遊技の遊技性が多様になり、弾球遊技に対する興趣を高めることができる。
また、可動部材12が配設される盤面右側は、盤面左側に対して球が投入される遊技領域2cの入口2dから離間した側に形成されている。一般に、遊技領域2cの入口2dから近い側は、少ない弾発力で飛び量が安定するので、遊技者の狙いが定まり易い。一方、遊技領域2cの入口2dから離間した側(盤面右側)は、球の飛び量がばらつきやすいため、弾球遊技にあまり使用されていない。
パチンコ機1には、弾球遊技における使用頻度が低い盤面右側に可動部材12が配設されており、盤面右側を流下する球の割合を遊技者の操作によって増減して所定の利益を得る遊技性が付加される。よって、弾球遊技によって意識されることが少なかった盤面右側を遊技者に強く意識させることにより、新たな弾球遊技の興趣を遊技者に付与することができる。
次に、図3を参照して、パチンコ機1の電気的構成について説明する。図3は、パチンコ機1の電気的構成を示したブロック図である。パチンコ機1の主制御基板Cには、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU21が搭載されている。このMPU21には、MPU21により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM22と、そのROM22内に記憶される制御プログラムの実行に当たって各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM23と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。図4に示す第1テーブル22a及び第2テーブル22bは固定値データの一部としてROM22に記憶されており、これら各テーブルの詳細については図4を参照して後述する。また、図9から図13に示すフローチャートのプログラムは、制御プログラムの一部としてROM22内に記憶されている。
RAM23は、保留球カウンタ23aと、内部乱数カウンタ23bと、リーチ乱数カウンタ23cと、大当たり図柄カウンタ23dと、ハズレ図柄カウンタ23eと、変動パターンカウンタ23fと、演出実行エリア23gと、演出実行1〜4メモリ23h〜23kと、カウンタ用バッファ23lと、確変状態フラグ23mと、特別状態フラグ23nとを備えている。
保留球カウンタ23aは、変動表示の保留回数を記憶するカウンタである。保留球カウンタ23aの値は、LCD3で変動表示が行われていない場合または変動表示が行われているが保留中の変動表示がない場合には「0」、保留中の変動表示が1回の場合には「1」、・・・、保留中の変動表示が4回の場合には「4」となる。本実施例のパチンコ機1では、変動表示の最大保留回数は4回であるので、保留球カウンタ23aの値は「0〜4」の範囲で変化する。保留球カウンタ23aの値のカウントアップは、図柄作動口4aへ入賞した球が第1種始動口スイッチ24で検出された場合に行われ(図10、S23参照)、カウントダウンは、変動表示の開始時に行われる(図10、S28参照)。
ここで、MPU21には、電源断時においてもバックアップ電圧が供給されており、停電などの発生によって電源がオフされても、RAM23のデータは保持(バックアップ)される。このため、停電の解消後に残りの保留回数分の変動表示を行うことができる。また、RAM23には、賞球の払い出し残数も記憶されており、停電解消後に残りの賞球の払い出しも行うことができる。
内部乱数カウンタ23bは、大当たりの発生を決定するためのカウンタであり、後述するカウンタ更新処理(図9、S14参照)によって、「0〜599」の範囲内で順に1ずつ加算されて更新され、最大値(つまり599)に達した後に再び「0」に戻される。この内部乱数カウンタ23bの値は、遊技領域2cに投入された球が図柄作動口4aへ入賞して後述する第1種始動口スイッチ24で検出されたとき(始動入賞時)に取得され、通常時には、このとき取得された内部乱数カウンタ23bの値が「7」または「307」であった場合に大当たりの発生が確定する。また、大当たりの発生確率が通常時より高確率とされる確率変動状態時には、「7」及び「307」を含めて「0〜599」の範囲内でほぼ均等の間隔に定められた10個の値に内部乱数カウンタ23bの値が一致する場合に大当たりが発生する。即ち、確率変動状態時に大当たりの数は2個から10個に増加され、大当たりとなる確率が通常時の5倍とされるのである。
大当たりの発生が確定すると、主制御基板Cから後述する表示用制御基板Dへ大当たりとなる図柄の組み合わせ(大当たり図柄)を示す停止図柄コマンドが送信され、表示用制御基板Dは、LCD3の変動後の表示結果を大当たりとなる図柄の組み合わせとする。なお、遊技者に所定の遊技価値(特別遊技状態)を付与するか否かの抽選は、内部乱数カウンタ23bの値に基づいて後述する表示コマンド決定処理(図11参照)のS41の処理で行われる。始動入賞時に取得された内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値であれば、所定の遊技価値を付与する抽選結果の導出(当選)となる。
リーチ乱数カウンタ23cは、ハズレリーチの発生を決定するためのカウンタである。変動表示の途中でリーチ表示を現出させてからハズレとなるハズレリーチとするか、リーチ表示を現出させない通常のハズレとするかは、リーチ乱数カウンタ23cの値に基づいて決定される。リーチ乱数カウンタ23cの値は、後述するカウンタ更新処理(図9、S14参照)によって、「0〜11」の範囲内で順に1ずつ加算されて更新され、最大値(つまり11)に達した後に再び「0」に戻される。
このリーチ乱数カウンタ23cの値は、前記した内部乱数カウンタ23bの値と同様に始動入賞時に取得され、前記した内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値でなく、且つ、取得されたリーチ乱数カウンタ23cの値が「7」である場合にハズレリーチの発生が確定する。このハズレリーチの発生時には、後述するカウンタ用バッファ23lに記憶されるハズレリーチ図柄(ハズレリーチを構成する図柄の組み合わせ)が停止図柄コマンドに設定され(図11、S46参照)、そのハズレリーチ図柄が変動後の表示結果として現出する。
大当たり図柄カウンタ23dは、大当たりのときにLCD3に停止表示される大当たり図柄(特別図柄)を決定するためのカウンタである。本実施例のパチンコ機1においては、「0」から「9」までの数字で構成された10種の図柄によってLCD3で変動表示が行われ、LCD3の表示領域に表示される3つの図柄が同一の図柄で停止表示された場合に大当たりが発生する。大当たり図柄カウンタ23dの値は、後述するカウンタ更新処理(図9、S14参照)によって、大当たりを発生させる10種の図柄に対応した「0〜9」の範囲内で順に1ずつ加算されて更新され、最大値(つまり9)に達した後に再び「0」に戻される。
この大当たり図柄カウンタ23dの値は、前記した内部乱数カウンタ23b及びリーチ乱数カウンタ23cと共に始動入賞時に取得され、同時に取得された内部乱数カウンタ23bの値に基づいて大当たりの発生が確定すると、その大当たりを発生させる変動表示に対して停止表示される大当たり図柄として、大当たり図柄カウンタ23dの値が使用される。つまり、大当たり図柄カウンタ23dの値と同一の数字を3つ並べて組み合わせた図柄が停止図柄コマンドとして設定されるのである(図11、S42参照)。
ここで、本実施例のパチンコ機1においては、遷移する遊技状態が異なる2種類の大当たりが定められており、大当たり時に停止表示された図柄に基づいて、いずれか一方の大当たりが選択される。具体的には、大当たり時に停止表示された図柄が「0」又は偶数図柄(通常図柄)である場合には普通大当たりとなって、特別遊技状態の終了後、通常状態に遷移する。一方、大当たり時に停止表示された図柄が奇数図柄(確変図柄)である場合には確率変動大当たりとなって、特別遊技状態の終了後、次の大当たりまで大当たりの発生確率が通常状態時の5倍とされる確率変動状態に遷移する。
ハズレ図柄カウンタ23eは、ハズレ時にLCD3に停止表示される図柄の組み合わせ(ハズレ図柄)を決定するためのカウンタである。このハズレ図柄カウンタ23eは、各カウンタがLCD3の左側、中央、右側の3つの表示領域に表示される図柄に対応づけられた3つの図柄カウンタで構成されている。ハズレ図柄カウンタ23eは、後述するハズレ図柄カウンタ更新処理(図9、S16参照)によって「0」から「9」まで1ずつ加算されて更新され、「9」に達した後に再び「0」に戻される。また、右側の図柄の図柄カウンタが最大値に達した場合に中央の図柄の図柄カウンタが1加算されて更新され、中央の図柄の図柄カウンタが最大値に達した場合に左側の図柄の図柄カウンタが1加算されるようになっている。前記した内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値でなく、且つ、リーチ乱数カウンタ23cの値がハズレリーチを発生させる値でない場合における変動表示の停止図柄は、ハズレ図柄カウンタ23eの値に従ってLCD3に表示されるものであり、ハズレ図柄カウンタ23eの値が停止図柄コマンドに設定されることにより行われる(図11、S49参照)。
変動パターンカウンタ23fは、LCD3を変動表示させるパターン(変動パターン)の決定に使用するカウンタである。この変動パターンカウンタ23fは、「0〜99」まで順に1ずつ加算されて更新され、最大値(つまり99)に達した後再び「0」に戻される。かかる変動パターンカウンタ23fの値は、変動表示の開始時に実行される表示コマンド決定処理(図10、S31参照)において参照される場合がある。参照された変動パターンカウンタ23fの値に応じたデータ(パターン)が図4に示す第1,第2テーブル22a,22bのいずれかから読み出され、表示用制御基板Dに送信される変動パターンコマンドとして設定される(図11、S43及びS47参照)。
演出実行エリア23gは、LCD3で実行中の変動表示に対する内部乱数カウンタ23b、リーチ乱数カウンタ23c、大当たり図柄カウンタ23d、及び、ハズレ図柄カウンタ23eの値を変動表示のデータ(変動表示情報)として記憶するためのエリアである。この演出実行エリア23gには、LCD3で変動表示が実行中でなく、且つ、保留球カウンタ23aの値が「1」以上で保留中の変動表示がある場合に、保留中の変動表示のうち最初に書き込みが行われた演出実行1メモリ23hに記憶されている変動表示のデータが書き込まれる(図10、S29参照)。この演出実行エリア23gに記憶された各カウンタ23b〜23eの値に基づいて、変動表示の変動パターン及び停止図柄が選定される(図11参照)。
演出実行1〜4メモリ23h〜23kは、保留中の変動表示に対する内部乱数カウンタ23b、リーチ乱数カウンタ23c、大当たり図柄カウンタ23d、及び、ハズレ図柄カウンタ23eの値を変動表示のデータとして記憶するメモリである。この演出実行1〜4メモリ23h〜23kへの変動表示のデータの書き込みは、始動入賞時に実行される。また、本実施例における変動表示の保留回数は最大4回であるので、4つの演出実行1〜4メモリ23h〜23kが設けられている。これら4つの演出実行1〜4メモリ23h〜23kに保留中のデータがある場合には、1回の変動表示毎に1つずつ演出実行エリア23gにデータが書き込まれて使用される。
また、演出実行1〜4メモリ23h〜23kへの変動表示のデータの書き込みは、保留球カウンタ23aの値が示す演出実行1〜4メモリ23h〜23kに対して行われる。即ち、保留球カウンタ23aの値が「1」の場合には演出実行1メモリ23hへ、保留球カウンタ23aの値が「2」の場合には演出実行2メモリ23iへ、・・・、保留球カウンタ23aの値が「4」の場合には演出実行4メモリ23kへ変動表示のデータが書き込まれる(図10、S25参照)。
カウンタ用バッファ23lは、更新中のカウンタ値を一時的に記憶するための領域であり、上記した各カウンタ23b〜23fの値は、更新される毎にカウンタ用バッファ23lに書き込まれて記憶される。また、後述するハズレ図柄カウンタ更新処理(図9、S16参照)によってハズレ図柄カウンタ23eの値が更新された場合に、ハズレリーチを構成する図柄の組み合わせを示す値(カウント値)となったとき、そのカウント値をハズレリーチの発生時に使用する値として記憶する。具体的には、ハズレ図柄カウンタ23eを構成する左側の図柄の図柄カウンタと右側の図柄の図柄カウンタとが同一図柄で、且つ、その図柄とは異なる図柄を中央の図柄の図柄カウンタが示したカウント値(例えば、左側、中央、右側の図柄の組み合わせが「767」や「151」などとなる値)が、ハズレリーチを示す値としてカウンタ用バッファ23lに記憶される。
確変状態フラグ23mは、大当たりの抽選時に確率変動状態であるか否かを認識するためのフラグである。この確変状態フラグ23mは、内部乱数カウンタ23bの値に基づいて大当たりの発生が確認された場合に更新される。具体的には、内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを示す場合に取得された大当たり図柄カウンタ23dの値が通常図柄(偶数図柄)であるときにオフされ、確変図柄(奇数図柄)であればオンされる。確変状態フラグ23mの状態の更新は、主制御基板Cの当たり時状態設定処理(図12参照)によって行われる。この確変状態フラグ23mの状態に基づいて大当たりの抽選条件が変更され、大当たりを発生させる内部乱数カウンタ23bの値が2個(通常状態時)或いは10個(確率変動状態時)のいずれかに切り替えられる。変動パターンカウンタ23fの値に基づいて選定される演出も確変状態フラグ23mの値に応じて異なる選定条件に基づくテーブル22a,22bから選定される。
特別状態フラグ23nは、遊技者に有利な遊技状態が付与されるマンモスリーチが高確率で選定される特別状態(マンモスチャンス)中であるか否かを示すためのフラグである。マンモスリーチは、可動部材12が前進して図柄作動口4aへの入賞率が高められるものであるが、このマンモスリーチの選定条件は、特別状態フラグ23nの状態に応じて変更される。特別状態フラグ23nがオフである場合に行われる変動表示には、第1,第2テーブル22a,22bのうちマンモスリーチが選定され難いテーブルを使用して変動パターンが選定される。特別状態フラグ23nがオンである場合に行われる変動表示は、遊技者に有利な期間であるマンモスチャンス中におけるものとなり、第1,第2テーブル22a,22bのうちマンモスリーチが高確率で選定されるテーブルが変動パターンの選定に使用される。マンモスチャンスは、変動表示の開始時の抽選によって設定されるものであり、抽選条件については図12及び図13を参照して後述する。また、マンモスリーチの選定に使用するテーブルの詳細については、図4を参照して後述する。
かかるROM22およびRAM23を内蔵したMPU21は入出力ポート25と接続されており、入出力ポート25は、払出用モータ26による賞球や貸球の払出制御を行う払出制御基板Hと、前記した図柄の変動表示等の制御を行う表示用制御基板Dと、第1種始動口スイッチ24と、そのほか、他の入出力装置28とにそれぞれ接続されている。
払出制御基板Hには、遊技盤2の前面に球を発射するための発射用モータ27について駆動の許可と禁止とを制御するための発射制御基板Bが接続されている。遊技者が操作ハンドル57を操作しており、且つ、遊技者が図示しないストップスイッチを押下していない場合には、発射制御基板Bは、発射用モータ27の駆動を許可して球の発射を行わせる。発射用モータ27は、ステッピングモータによって構成されており、発射制御基板Bから出力されるパルス信号に応じてロータを回動する。このロータの回動トルクは、カムを介して球を弾球するための弾球ハンマに伝達され(図示せず)、球の発射が行われる。
表示用制御基板Dは、MPU31、ビデオRAM34、キャラクタROM35、画像コントローラ36、入出力ポート39、出力ポート37等を備えている。入出力ポート39の一方には、主制御基板Cの入出力ポート25と、役物装置11(図1参照)に設けられるソレノイド13と、音声ランプ制御基板Lとが接続され、入出力ポート39の他方には、バスラインを介してMPU31が接続されている。また、出力ポート37の入力には画像コントローラ36が接続され、出力ポート37の出力にはLCD3が接続されている。
表示用制御基板DのMPU31は、主制御基板Cから送信される制御用コマンドに基づいて、LCD3の(変動)表示を制御するためのものであり、ROM32とRAM33とを備えている。ROM32には、MPU31により実行される各種の制御プログラムや固定値データが記憶されている。図14に示すフローチャートのプログラムは、制御プログラムの一部としてROM32に記憶されている。
RAM33は、MPU31による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグが記憶されるメモリであり、演出実行エリア33aと、特別演出フラグ33bと、タイマカウンタ33cとを備えている。
演出実行エリア33aは、主制御基板Cから送信される表示コマンドを受信した場合に、その表示コマンドに付加される変動パターン及び停止図柄に関するデータを記憶するためのものである。表示用制御基板Dが表示コマンドを受信すると、その表示コマンドに付加される変動パターン及び停止図柄に関するデータが演出実行エリア33aに書き込まれ(図14、S72参照)、その書き込まれたデータに従って変動表示が行われる。
特別演出フラグ33bは、マンモスリーチの実行を伴う変動表示の実行中であることを認識するために設けられたフラグである。特別演出フラグ33bは、主制御基板Cから表示コマンドが送信された場合に、その表示コマンドの示す変動パターンがマンモスリーチの実行を伴う変動表示の実行を示すものである場合にオンされる(図14、S74参照)。この特別演出フラグ33bがオンである間は、ソレノイド13を制御して可動部材12を駆動する処理が行われ、5秒間、又は、180秒間のいずれかの一定時間、可動部材12を前進させる(図14、S85参照)。可動部材12の前進状態が一定時間継続し、ソレノイド13がオフされて可動部材12が後退すると、特別演出フラグ33bはオフされる(図14、S92参照)。
タイマカウンタ33cは、ソレノイド13をオンして可動部材12を前進させた場合の残余時間を計時するためのカウンタである。このタイマカウンタ33cの値は、通常「0」となっており、変動表示の途中で可動部材12を前進させるためにソレノイド13をオンしたタイミングで「2500」か「90000」のいずれかが書き込まれる(図14、S87及びS88参照)。このタイマカウンタ33cの値は、タイマカウンタ33cの値が「1」以上である場合に図14に示す演出設定実行処理が行われる毎に「1」ずつ減算される(図14、S89参照)。タイマカウンタ33cの値が「0」に達すると、ソレノイド13がオフされて可動部材12が後退する(図14、S91参照)。
ここで、表示用制御基板Dによって実行される演出設定実行処理(図14参照)は、表示用制御基板Dのメイン処理で行われるタイマ割込処理の一部として実行されるものであり、2ms毎に繰り返して行われる。このため、「2500」が書き込まれたタイマカウンタ33cの値が「0」に達するまでに、5秒(2msに2500を乗じた時間)経過する。同様に、「90000」が書き込まれたタイマカウンタ33cの値が「0」に達するまでには、180秒(2msに90000を乗じた時間)、即ち、3分が経過する。本実施例のパチンコ機1は、主制御基板Cによって選定された変動パターンに対応づけて、ソレノイド13を5秒間又は3分間オンして、遊技者に有利な遊技状態を付与するものである。このソレノイド13のオンを継続する時間の計時を表示用制御基板Dのタイマカウンタ33cで正確に行うことができる。なお、タイマカウンタ33cは、減算することにより残余時間を計時するものに限定されず、経過時間に応じてタイマカウンタ33cの値を加算してソレノイド13のオン時間を計時するものであっても良い。
ビデオRAM34は、LCD3に表示される表示データが記憶されるメモリであり、このビデオRAM34の内容を書き換えることにより、LCD3の表示内容が変更される。キャラクタROM35は、LCD3に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するためのメモリである。画像コントローラ36は、MPU31、ビデオRAM34、出力ポート37のそれぞれのタイミングを調整して、データの読み書きを介在するとともに、ビデオRAM34に記憶される表示データをキャラクタROM35を参照して所定のタイミングでLCD3に表示させるものである。
ソレノイド13は、自己保持型のキープソレノイドであり、従来のオープンフレームソレノイドに永久磁石を組み合わせて構成されている。このソレノイド13は、内蔵するコイルへの瞬時通電により、一部分が本体から突出して形成されたシャフトが更に外方へと突出してオン状態を形成し、その突出したオン位置において永久磁石によりシャフトが吸着保持される。一方、ソレノイド13をオフする場合には、シャフトが外方へと突出した状態で逆電力の瞬時通電を行ってシャフトの突出量が縮められたオフ状態を形成し、その縮められたオフ位置で永久磁石にシャフトが吸着保持される。このシャフトには可動部材12が連結されており、シャフトの突出量に応じて可動部材12の前進状態(図2(b)参照)と後退状態(図2(a)参照)とが選択的に形成される。よって、一時的にソレノイド13を通電して可動部材12を前進させることができるので、ソレノイド13の発熱等による破損を考慮することなく可動部材12の前進状態を長く維持することができる。
なお、可動部材12の位置を検出するためにシャフトの突出状態を検出するスイッチをソレノイド13に内蔵させたり、ソレノイド13とは別に可動部材12の一部に当接して可動部材12が前進状態か否かを検出するスイッチを設けることが好ましい。ソレノイド13をキープソレノイドとする場合には、ソレノイド13がオンの状態が継続する故障の発生時に遊技場が多大な不利益を被ることとなるが、スイッチの状態によって表示用制御基板Dに可動部材12の位置を検出させることにより、可動部材12が表示用制御基板Dによる制御に従って正確に動作しているか否かを確認して、エラー時にはスピーカ44やランプ45を介して外部に状態を的確に告知することができる。
音声ランプ制御基板Lは、スピーカ44から出力される効果音の音声制御とLEDや保留ランプ5等の各種ランプ45の点灯制御を行うものである。音声ランプ制御基板Lは、表示用制御基板Dから送信されるコマンドによって制御されるものであり、表示用制御基板Dによって制御されるLCD3と、音声ランプ制御基板Lによって制御されるスピーカ44と各種ランプ45とが同期して変動表示や各種の演出が実行される。
第1種始動口スイッチ24は、図柄作動口(第1種始動口)4aに入賞した球を検出するためのスイッチであり、図柄作動口4aの近傍に設けられている。第1種始動口スイッチ24によって球が検出されると、図示しない払出装置によって5個の賞球が払い出されると共に、内部乱数カウンタ23b等の値が取得され、その取得された値に従った変動表示が実行される。
次に、図4を参照して、変動パターンカウンタ23fの値に応じたデータが設定された第1,第2テーブル22a,22bについて説明する。図4は、変動パターンの選定に使用する第1,第2テーブル22a,22bの構成を模式的に示した図である。
各テーブル22a,22bには、興趣演出を伴う変動パターンとして「パターンB」から「パターンE」までの4種類の変動パターンが設定されている。この4種類の変動パターンの他に、リーチ表示を伴わないハズレの変動表示に対する変動パターンとして「パターンA」が設定され、パチンコ機1には、計5種類の変動パターンが設定されている。
ここで、図5から図8を参照してパチンコ機1に設定された各変動パターンについて順に説明する。図5から図8は、始動入賞時にLCD3で行われる変動表示の表示画面を例示した図である。なお、図7及び図8においては、図面の理解の容易のためにLCD3の表示画面と共に、可動部材12及びプレート15の一部を併せて示している。
各パターンについて順に説明すると、「パターンA」は、リーチ表示を伴わないハズレ図柄を表示するパターンである。「パターンA」では、LCD3の上側に水平に並んで表示される3つの図柄リールの変動を開始した後(図5(a)の状態)、7秒後に左側の図柄リールの変動を停止し、8秒後に右側の図柄リールの変動を停止し、9秒後に中央の図柄リールの変動を停止する。LCD3の下側には、ジャングルを模した背景画が変動表示の間中に継続して表示されている。なお、図柄リールとは、LCD3に表示される「0〜9」の図柄が縦方向に順に並べられた仮想的なリールである。
「パターンB」は、いわゆるノーマルリーチのパターンであり、変動表示の開始後、7秒後に左側の図柄リールの変動を停止し、8秒後に右側の図柄リールの変動を停止してリーチ表示を現出させ(図5(b)の状態)、その後中央の図柄リールを特別な変化を加えることなく低速度で7秒間(即ち、変動開始後15秒経過するまで)スクロールさせて停止する。
「パターンC」は、ライオンリーチと称したパターンであり、パターンBにおける中央の図柄リールを停止するタイミングで図柄リールを停止することなく高速度で更に7秒間(即ち、変動開始後22秒経過するまで)変動表示した後に変動を停止するパターンとして設定されている。この中央の図柄リールの変動中には、まず、LCD3の表示画面に原人を模したキャラクタが登場し(図5(c)参照)、その原人が草むらに向けて槍を投げるアニメーションを表示する(図5(d)参照)。変動開始から17秒が経過した場合には、草むらからライオンを模したキャラクタがLCD3の表示画面右側から出現し(図6(a)参照)、ライオンが原人を追いかけるアニメーションを表示し、中央の図柄リールの変動は継続する(図6(b)参照)。その後、中央の図柄リールを停止して停止図柄を表示する。この停止図柄が、先に停止した左右の図柄と異なり、ハズレである場合には、原人がライオンに踏みつけられるアニメーションを表示する(図6(c)参照)。一方、先に停止した左右の停止図柄と中央の停止図柄が同一であって、大当たりを表示するときには、原人が家に辿り着くアニメーションを表示する(図6(d)参照)。
「パターンD」は、マンモススーパーリーチと称したパターンであって、遊技者に有利な遊技状態が付与されるマンモスリーチを伴う変動表示の1パターンである。この「パターンD」は、パターンBにおける中央の図柄リールを停止するタイミングで図柄リールを停止することなく高速度で更に7秒間(即ち、変動開始後22秒経過するまで)変動表示した後に変動を停止するパターンであって、パターンCと同一の変動時間(22秒)に設定されている。また、中央の図柄リールが高速度で変動している間には、パターンCと同じく原人が登場して草むらに槍を投げるアニメーションを表示する(図5(c)及び図5(d)参照)。ここまでのアニメーションは、パターンCとパターンDとで同一であり、遊技者は、いずれの変動パターンによる変動表示が行われているかを判別できない。
変動開始から17秒が経過した場合には、LCD3の右側を見て原人が驚いた後(図7(a)参照)、原人がLCD3の左側に向けて走るアニメーションを表示する(図7(b)参照)。このLCD3の左側に向けて原人が走るアニメーションの開始と同時に役物装置11の可動部材12が前進するようにソレノイド13がオンされ(図2(b)参照)、マンモスリーチの状態となる。図7(b)に示す原人が走るアニメーションがマンモスリーチ表示であって、遊技者に可動部材12の前進が示される。遊技者にとって、マンモスを模した可動部材12があたかも表示画面上の原人を追いかけているかのような演出とする。可動部材12の前進中には、盤面右側(センターフレーム10の右側の経路、図2(b)参照)を流下する球が図柄作動口4aへ入賞し易くなる。
マンモスリーチ表示の現出から5秒経過すると、中央の図柄リールを停止するタイミングとなり、中央の図柄リールを停止して停止図柄を表示する。この停止図柄が、ハズレを示す場合には、原人がマンモスの鼻によって叩き飛ばされるアニメーションを表示した後に(図7(c)参照)、ソレノイド13をオフして可動部材12を後退させる(図2(a)参照)。可動部材12におけるマンモスの鼻は、プレート15によって遊技者から見えなくなっているので、遊技者には、可動部材12とLCD3とによる一体的な演出を愉しませることができる。一方、停止図柄が大当たりを示すときには、原人が家に辿り着くアニメーションを表示すると共に(図7(d)参照)、可動部材12を後退させる。
この「パターンD」においては、可動部材12が5秒間前進状態を継続するので、変動表示の開始前から盤面右側を球が流下するように操作ハンドル57を操作していた遊技者は、約8,9個の球を図柄作動口4aへ入賞させて40個又は45個のまとまった賞球を獲得することができる。また、「パターンD」においては、可動部材12が前進してから盤面右側を球が流下するように操作ハンドル57を操作した場合、可動部材12の位置に球が到達する前に可動部材12が後退し、遊技者がほとんど利益を得られない設定となっている。
「パターンE」は、遊技者にとって最も有利なマンモススペシャルリーチと称したパターンであり、マンモスリーチを伴う変動表示の1パターンである。パターンDにおける中央の図柄リールを停止するタイミングで図柄リールを停止することなく、マンモスリーチ表示を3分間継続させた後、図柄リールの変動を停止するパターンとして設定されている。「パターンE」の実行時には、パターンDと同様にマンモスリーチ表示としての原人が走るアニメーションの開始と同時に可動部材12が前進する(図7(b)参照)。その開始から5秒が経過するまでは、パターンDとパターンEとで同一の態様であり、遊技者は、いずれの変動パターンによる変動表示が行われているかを判別できない。
マンモスリーチ表示の開始から5秒が経過してパターンDにおける中央の図柄リールを停止するタイミングで、LCD3の表示を切り替えて、原人がマンモスに対して岩陰に隠れるアニメーションを表示する(図8(a)参照)。この原人が岩陰に隠れるアニメーションも、マンモスリーチ表示の1形態であって、遊技者に遊技領域2cの右側に球の投入を促す「右打」の文字と右側へ向いた矢印とを表示し、その表示中には、可動部材12が前進状態を維持する。
マンモスリーチ表示の開始から180秒(3分)が経過すると、中央の図柄リールを停止するタイミングとなり、中央の図柄リールを停止して停止図柄を表示する。この停止図柄が、ハズレを示す場合には、原人とマンモスとの間の岩がマンモスの鼻によって壊されて原人が叩き飛ばされるアニメーションを表示した後に(図8(b)参照)、ソレノイド13をオフして可動部材12を後退させる(図2(a)参照)。一方、停止図柄が大当たりを示すときには、可動部材12を後退させた後に原人が安心したアニメーションを表示した後(図8(c)参照)、原人が家に辿り着くアニメーションを表示する(図8(d)参照)。「パターンE」においては、可動部材12が前進した状態であって遊技者に有利な遊技状態がパターンDより長く継続するため、パターンDに比べてより多量の球が図柄作動口4aへ入賞する遊技性が付与される。遊技者は、可動部材12が前進する180秒間に遊技領域2cに打ち込まれる約300個の球をほぼ全て図柄作動口4aへ入賞させることで最大約1500個のまとまった賞球を獲得することができる。
このように、マンモスリーチを伴う変動表示の実行時には、表示用制御基板Dは、原人のキャラクタのアニメーションに対する特定のタイミング(例えば、原人が走るアニメーションの開始時など)でソレノイド13のオンオフを切り替える制御を行う。この表示用制御基板Dの制御によって、可動部材12は、LCD3の表示画面に表示される原人のキャラクタのアニメーションに連動する。このため、変動表示の実行中には、可動部材12によって模されたマンモスと原人のキャラクタのアニメーションとが連動して両者による一体的な演出動作が行われ、その演出動作が、変動表示が表示結果を現出する前の変動表示の一演出として遊技者に示される。可動部材12は、弾球遊技において有利な遊技状態を遊技者に付与する部材であるので、有利な遊技状態への切り替わりを、変動表示の演出を担う可動部材12の動作で遊技者に直接的に示すことができる。よって、変動表示の演出に対する注目度が高められ、弾球遊技と変動表示との一体的な興趣を遊技者に付与することができる。
また、可動部材12は、マンモスを模した外観を有して形成されているので、LCD3の表示画面に表示するアニメーションに関連づけた演出の材料とすることができ、両者の連動による演出動作を行わせることができる。また、可動部材12によって模されたマンモスがLCD3の表示画面に表示される原人のキャラクタに近付くように前進すると原人のキャラクタが驚くアニメーションが表示されたり、原人のキャラクタが家に辿り着くアニメーションが表示されると可動部材12(マンモス)が後退する。このため、球の流下経路に直接的に影響する実体のある可動部材12と、LCD3の表示画面に表示される実体のないアニメーションとが、相互に関連して動く様子を動的表示の一演出として遊技者に示すことができ、可動部材12の前進状態と後退状態との切り替え動作と原人のキャラクタのアニメーションとによる一体感を更に強めて、弾球遊技と変動表示とによる一体的な興趣を強調して遊技者に付与することができる。
更に、可動部材12が前進する変動表示、即ち、「パターンD」又は「パターンE」の変動パターンによる変動表示が行われる場合には、可動部材12が前進する前に必ずリーチ表示と、原人のキャラクタによるアニメーションとが表示されるので、それらの表示によって可動部材12が高確率で前進することが遊技者に示唆され、可動部材12が前進することを遊技者に期待させることができる。よって、遊技者の期待感が高められた中で可動部材12を前進させることができ、遊技者により大きな興趣を付与することができる。特に、リーチ表示は、変動後の表示結果が大当たりとなることを遊技者に期待させることができるので、リーチ表示の実行によって遊技者の意識を変動表示に傾注させた状態で、可動部材12とLCD3の表示画面に表示されるアニメーションとによる一体的な演出動作を遊技者に視認させることができ、弾球遊技と変動表示との一体的な興趣を強調して付与することができる。
また、リーチ表示及び原人のキャラクタによるアニメーションは、可動部材12が前進しない、「パターンC」のライオンリーチの変動パターンによる変動表示の実行時にも表示されるので、リーチ表示などが表示された変動表示の実行時であっても必ずしも可動部材12が前進するとは限らない。よって、遊技者には、可動部材12の前進を予測して弾球遊技を行う遊技性を付与することができる。更に、可動部材12が前進する変動表示には、原人のキャラクタによるアニメーションが表示された後の可動部材12の前進時間が5秒である「パターンD」と、前進時間が180秒である「パターンE」との2種類の変動パターンによる変動表示が設定されている。よって、遊技者には、原人のキャラクタによるアニメーションが表示された後も遊技者に有利な「パターンE」の変動パターンによる変動表示の実行であることを期待させ、その後に展開する遊技に対する期待感と緊張感とを強く持たせることができる。
次に、可動部材12の前進に関して遊技者によって行われる遊技方法について説明する。上記した変動パターンのうち、「パターンD」又は「パターンE」の変動パターンによる変動表示が行われる場合には、可動部材12が一定時間前進した状態となる。この前進状態中に、遊技者は、弾球遊技によって盤面右側を流下する球の割合を増減させることで球の割合に応じた利益を得ることができる。可動部材12の前進時における遊技方法としては、大別すると以下に示す3つの方法がある。
第1の遊技方法として、可動部材12が後退した状態においては、獲得する利益が多い盤面左側(図1の矢印X方向側の経路)に球を多く流下させる左打ち遊技を行い、可動部材12が前進したことを確認した時点で盤面右側に球を多く流下させる右打ち遊技に切り替える方法がある。この方法では、可動部材12の前進状態が3分間継続するマンモススペシャルリーチ(パターンE)の実行時には、遊技者は、右打ち遊技に切り替えてから3分に近い時間中に図柄作動口4aに球を入賞させることにより、大きな利益を得る。なお、右打ち遊技を開始してから可動部材12の配設位置に球が到達するまでには、停留装置16(図1参照)による3秒間の球の停留なども含めた一定の時間を要するので、その時間分は、可動部材12の前進による図柄作動口4aへの球の入賞は生じない。
一方、可動部材12の前進状態が5秒間しか継続されないマンモススーパーリーチ(パターンD)の実行時には、可動部材12の前進を確認してから右打ち遊技に切り替えても、可動部材12の配設位置に球が達する頃に可動部材12が後退する時期となる。このため、遊技者が得られる利益はほとんどない。
第2の遊技方法として、可動部材12が前進する前に可動部材12が前進することを予測して、盤面左側から盤面右側に球を多く流下させる右打ち遊技に切り替える方法がある。特に、変動表示にリーチ表示が現出すれば(図5(b)参照)、遊技者は、「パターンA」以外の変動パターンが設定されたことを認識し、LCD3に原人が表示されると(図5(c)参照)、「パターンC」、「パターンD」又は「パターンE」のいずれかであることを認識する。よって、変動表示が進行するにつれて、遊技者は、後にマンモスリーチが実行されるか否かを高い確実性を持って予測することができる。遊技者は、積極的に右打ち遊技に切り替えた場合にマンモスリーチが実行されると第1の遊技方法より大きな利益を得る一方、マンモスリーチが実行されなければ、無駄な球を費やすこととなる。この第2の遊技方法によって、遊技者は、第1の遊技方法より危険性を伴って大きな利益を得る遊技性を愉しむことができる。
第3の遊技方法として、可動部材12が前進しても左打ち遊技を継続し、マンモスリーチの開始後に5秒経過した後、前進状態が長く続くマンモススペシャルリーチ(パターンE)の実行であることをLCD3(又は可動部材12の状態)で確認してから右打ち遊技に切り替える方法がある。球の流下経路の切り替えによる手間はなく、また、盤面右側への無駄な球の流下も少ない量で済む利点があるが、その分、マンモススペシャルリーチ(パターンE)によって得られる利益は、第1の遊技方法よりも少なくなる。この第3の遊技方法によって、遊技者は、第1及び第2の遊技方法より危険性と収益性とが共に低い堅実な遊技性を愉しむことができる。
以上説明した3つの遊技方法の中から、遊技者は、自らが選択した遊技方法に従って遊技を行うことができる。各遊技方法はそれぞれリスクとリターンとのバランスが異なるものであるので、遊技者は、LCD3で行われるマンモスリーチの実行を確認しつつ自らが最適と考えるタイミングで右打ち遊技と左打ち遊技とを適宜切り替えることにより、そのタイミングに応じた利益を得ることができる。よって、弾球遊技による遊技の興趣が高められると共に、弾球遊技と表示演出とが絡み合った興趣が生まれる。
図4に戻って第1,第2テーブル22a,22bについて説明する。図4(a)は、大当たりを発生させる変動表示の変動パターンの選定に使用される第1テーブル22aの構成を模式的に示した図である。第1テーブル22aには、3つの状態に対応した3つのテーブルが設けられており、そのいずれを使用するかは、上述した確変状態フラグ23mと特別状態フラグ23nの状態に応じて切り替えられる。具体的には、特別状態フラグ23nがオンである特別状態(マンモスチャンス)中には、確変状態フラグ23mの状態に拘わらず、特別状態時に参照されるテーブルが選択される。特別状態フラグ23nがオフである場合には、確変状態フラグ23mの状態が確認され、その状態に基づいて通常状態、或いは、確率変動状態時に参照されるテーブルが選択される。なお、このテーブルの選択は、ハズレの変動表示に対する変動パターンの選定時に第2テーブル22bを参照する場合についても同一であり、その説明を省略する。
第1テーブル22aには、図4(a)に示すように、通常状態、確率変動状態、及び、特別状態の3つの状態に対応して、4種類の変動パターンに対する変動パターンカウンタ23fの値が区分けされている。具体的には「0〜99」の範囲内で更新される変動パターンカウンタ23fの値は、通常状態に対応するテーブルには、ノーマルリーチの「パターンB」に対して「0〜9」、ライオンリーチの「パターンC」に対して「10〜49」、マンモススーパーリーチの「パターンD」に対して「50〜89」、マンモススペシャルリーチの「パターンE」に対して「90〜99」の4つの範囲に区分けされ、「パターンB」、「パターンC」、「パターンD」及び「パターンE」の変動パターンが10:40:40:10の比率に区分けされている。確率変動状態に対応するテーブルには、「パターンB」、「パターンC」、「パターンD」及び「パターンE」の変動パターンが20:50:20:10の比率に区分けされている。特別状態に対応するテーブルには、「パターンB」、「パターンC」、「パターンD」及び「パターンE」の変動パターンが0:40:20:40の比率に区分けされており、特別状態においては、ノーマルリーチが選択されない設定となっている。
図4(b)は、ハズレリーチを発生させる変動表示の変動パターンの設定に使用される第2テーブル22bの構成を模式的に示した図である。第2テーブル22bには、4種類の変動パターンに対する変動パターンカウンタ23fの値は、第1テーブル22bと同様に3つの状態に対応してそれぞれ区分けされている。具体的には変動パターンカウンタ23fの値は、「パターンB」、「パターンC」、「パターンD」及び「パターンE」に対して50:20:20:10の比率に区分けされている。また、確率変動状態に対応するテーブルには、「パターンB」、「パターンC」、「パターンD」及び「パターンE」の変動パターンが0:70:20:10の比率に区分けされ、ノーマルリーチが選択されない設定となっている。特別状態に対応するテーブルには、「パターンB」、「パターンC」、「パターンD」及び「パターンE」の変動パターンが0:10:40:50の比率に区分けされており、特別状態においても、ノーマルリーチが選択されない設定となっている。
変動パターンを選定するための第1,第2テーブル22a,22bに基づいて変動パターンが決定されると、各変動パターン毎に対応させた「B〜E」のデータが表示コマンドを構成する1つのコマンド(変動パターンコマンド)として表示用制御基板Dに出力される。表示用制御基板Dは、変動パターンコマンドを受信した場合に、各変動パターンのデータに対応して設定された時間分の演出を実行する。なお、変動パターンカウンタ23fの値は、必ずしも第1,第2テーブル22a,22bにて設定した比率に区分けする必要はなく、各状態毎に選定される変動パターンの比率は別の比率に区分けしても良い。また、変動パターンは、必ずしも4種類に限るものでなく、更に多くの変動パターンを設けて演出の種類を増やしても良い。
このように、マンモスリーチを伴う変動表示である「パターンD」及び「パターンE」は、大当たり時の変動パターンを選定する第1テーブル22aと、ハズレリーチ時の変動パターンを選定する第2テーブル22bとに共に設定されている。このため、始動入賞時に内部乱数カウンタ23bの値に基づいて大当たりを発生させるか否かに拘わらず、変動パターンカウンタ23fの値に基づいた抽選によってマンモスリーチを伴う変動表示が設定され、可動部材12を前進させる抽選結果が導出される。即ち、1の始動入賞によって、大当たりの発生と、可動部材12の前進による有利な遊技状態とが付与され得る。よって、始動入賞時に行われる抽選に対して遊技者に抱かせる期待感を高めて、遊技の興趣を高めることができる。
次に、上記のように構成されたパチンコ機1で実行される各処理を、図9から図14の各フローチャートを参照して説明する。図9は、パチンコ機1の主制御基板Cにおいて実行されるメイン処理のフローチャートである。メイン処理では、バックアップデータがある場合の復元や、RAMやI/O等の各値の初期化、及び、タイマ割込等の各割込の設定を行う等の初期化処理(S11)を実行し、その後に、S12からS17の各処理を所定時間毎(例えば、2ms毎)に繰り返し実行して、遊技の制御を行う。
始動入賞変動開始処理(S12)では、球が図柄作動口(第1種始動口)4aへ入賞したか否かを確認して変動表示の内容を設定すると共に、変動開始のタイミングであれば、変動表示を開始させる表示コマンドを表示用制御基板Dへ送信する。この始動入賞変動開始処理(S12)の詳細については、図10を参照して後述する。
変動停止処理(S13)では、まず、大当たり中であるか否かを判定する。ここで、大当たり中には、大当たりの際にLCD3で表示される特別遊技の最中と特別遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。特別遊技終了後の所定時間は、例えばパチンコ機1の各状態を整えるのに要する時間などとして設定される。大当たり中ではないと判定されると、変動パターンにおける変動時間が終了しているか否かを判定する。この処理は、各変動パターン毎に設定された時間を経過したかを判定することにより行われる。変動時間が終了していれば、変動の停止と確認のために制御用コマンドの1つである確定コマンドを表示用制御基板Dへ出力し、この処理を終了する。表示用制御基板Dは、確定コマンドを入力すると、LCD3の変動表示を停止表示(確定)させる(図14、S94参照)。
カウンタ更新処理(S14)では、内部乱数カウンタ23b、リーチ乱数カウンタ23c、大当たり図柄カウンタ23d、変動パターンカウンタ23fの各カウンタの値を更新する。大当たり処理(S15)では、大当たりか否かを判定し、大当たりである場合には特定入賞口6a(図1参照)の開放処理を行う。一方、大当たりでない場合には、該処理をスキップしてこの処理を終了する。特定入賞口6aの開放処理では、球が入賞しやすいように特定入賞口6aを所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放する。特定入賞口6aの開放中に、球がVゾーン6aを通過すると、継続権を成立させて、特定入賞口6aの閉鎖後、再度、その特定入賞口6aを所定時間(又は、球が10個入賞するまで)開放する。この特定入賞口6aの開閉動作を、最高で16回(16ラウンド)繰り返す。
ハズレ図柄カウンタ更新処理(S16)では、ハズレ図柄カウンタ23eの値を更新する。その後、次のS12の処理の実行タイミングが到来するまでの残余時間の間、ハズレ図柄カウンタ更新処理(S16)を繰り返し実行する。S12〜S15の各処理は定期的に実行する必要があるので、S17の処理において、前回のS12の処理の実行からの経過時間をチェックする(S17)。チェックの結果、前回のS12の処理の実行から所定時間(例えば2ms)経過していれば(S17:Yes)、処理をS12へ移行する。一方、所定時間経過していなければ(S17:No)、処理をS16へ移行して、ハズレ図柄カウンタ更新処理(S16)を繰り返す。ここで、S12〜S15の各処理の実行時間は、遊技の状態に応じて変化するので、次のS12の処理の実行タイミングが到来するまでの残余時間は、一定の時間ではない。よって、かかる残余時間を使用してハズレ図柄カウンタ更新処理(S16)を繰り返し実行することにより、ハズレ図柄カウンタ23eの値をランダムに更新することができる。
図10は、主制御基板Cのメイン処理(図9参照)の中で実行される始動入賞変動開始処理(S12)のフローチャートである。この始動入賞変動開始処理(S12)は、第1種始動口スイッチ24が球を検出して始動入賞が成立したとき、その始動入賞時における内部乱数カウンタ23bなどの値を変動表示のデータとして取得し、保留球カウンタ23aの値が示す演出実行1〜4メモリ23h〜23kに記憶させる処理である。また、始動入賞変動開始処理(S12)は、変動表示を開始するタイミングで、保留球カウンタ23aの値を「1」減算して保留中の変動表示のデータを演出実行エリア23gに書き込んで変動表示を実行させ、一方、変動表示の実行中には保留中の変動表示の実行を保留(待機)させる処理である。
この始動入賞変動開始処理(S12)では、まず、第1種始動口スイッチ24が球を検出したか否かを確認する(S21)。球を検出していれば(S21:Yes)、保留球カウンタ23aの値が「4」以上であるか否かを確認する(S22)。その値が「4」未満であれば(S22:No)、変動表示のデータが最大の保留回数分記憶されていないので、保留球カウンタ23aの値に「1」を加算した後(S23)、保留ランプ5を1つ点灯させるコマンドを表示用制御基板Dへ送信して(S24)、変動表示の保留回数を示す保留ランプ5を1つ点灯させる。更に、内部乱数カウンタ23b、リーチ乱数カウンタ23c、大当たり図柄カウンタ23d、及び、ハズレ図柄カウンタ23eの各値を変動表示のデータとして保留球カウンタ23aの値が示す演出実行1〜4メモリ23h〜23kに書き込んで記憶し(S25)、処理をS26へ移行する。
一方、S21の処理において、第1種始動口スイッチ24が球を検出していなければ(S21:No)、始動入賞の成立時でなく、また、S22の処理において保留球カウンタ23aの値が「4」以上であれば(S22:Yes)、最大保留回数分の変動表示のデータが記憶されているので、S23〜S25の処理をスキップして処理をS26へ移行する。
S26からの処理では、まず、保留球カウンタ23aの値が「1」以上であるか否かを確認する(S26)。「1」以上であれば(S26:Yes)、変動表示中か又は大当たり中(所定の遊技価値が付与される特別遊技状態中)であるか否かを確認する(S27)。変動表示中でなく且つ大当たり中でもなければ(S27:No)、保留球カウンタ23aの値から「1」を減算して(S28)、演出実行1メモリ23hに記憶されている変動表示のデータを演出実行エリア23gに書き込む(S29)。
次に、演出実行2〜4メモリ23i〜23kに記憶されている変動表示のデータを演出実行1〜3メモリ23h〜23jへそれぞれ1つずつシフトし(S30)、変動パターンと停止図柄とを設定する表示コマンド決定処理を行い(S31、図11参照)、その表示コマンド決定処理(S31)により決定された表示コマンドを表示用制御基板Dに送信して(S32)、この始動入賞変動開始処理(S21)を終了する。一方、S26の処理において保留球カウンタ23aの値が「1」未満、即ち、「0」であることが確認された場合(S26:No)、及び、S27の処理において変動表示中か又は大当たり中であることが確認された場合には(S27:Yes)、S28からS32の処理をスキップして始動入賞変動開始処理(S12)を終了する。
図11は、図10に示す始動入賞変動開始処理(S12)の中で実行される表示コマンド決定処理(S31)のフローチャートである。表示コマンドは、主制御基板Cから表示用制御基板Dに送信されるものであり、変動表示後の停止図柄を指定するための停止図柄コマンドと、変動表示の変動パターンを指定するための変動パターンコマンドとから構成されている。表示コマンド決定処理(S31)では、始動入賞時に取得された変動表示のデータに基づいて、表示コマンドを構成する停止図柄コマンド及び変動パターンコマンドを決定する。
この表示コマンド決定処理(S31)では、まず、演出実行エリア23gに記憶された内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値であるか否かを確認する(S41)。その値が大当たりを発生させる値であれば(S41:Yes)、演出実行エリア23gに記憶された大当たり図柄カウンタ23dの値に対応した図柄の組み合わせを示す値を停止図柄コマンドに設定し(S42)、更に、第1テーブル22aにおける状態フラグ(確変状態フラグ23m及び特別状態フラグ23n)が示す状態に対応するテーブルから変動パターンカウンタ23fの値が示すデータ(パターン)を読み出して変動パターンコマンドに設定する(S43)。その後、大当たりの後の状態フラグ23m,23nの設定を更新するための当たり時状態設定処理を実行し(S44)、この表示コマンド決定処理(S31)を終了する。S44の当たり時状態設定処理の詳細については、図12を参照して後述する。
S41の処理において内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値でない場合には(S41:No)、演出実行エリア23gに記憶されたリーチ乱数カウンタ23cの値がハズレリーチを発生させる値であるか確認する(S45)。その値がハズレリーチを発生させる値であれば(S45:Yes)、カウンタ用バッファ23lに記憶されたハズレリーチを構成する図柄の組み合わせを示す値を停止図柄コマンドに設定し(S46)、更に、第2テーブル22bにおける状態フラグ23m,23nが示す状態に対応するテーブルから変動パターンカウンタ23fの値が示すデータ(パターン)を読み出して変動パターンコマンドに設定する(S47)。その後、ハズレ時における状態フラグ23m,23nの設定を更新するためのハズレ時状態設定処理を実行し(S48)、この表示コマンド決定処理(S31)を終了する。S48のハズレ時状態設定処理の詳細については、図13を参照して後述する。
S45の処理において演出実行エリア23gに記憶されたリーチ乱数カウンタ23cの値がハズレリーチを発生させる値でない場合には(S45:No)、演出実行エリア23gに記憶されたハズレ図柄カウンタ23eの値を停止図柄コマンドに設定し(S49)、更にリーチ表示を伴わないハズレの変動表示である「パターンA」の変動パターンを示す「A」のデータを変動パターンコマンドのデータとして設定して(S50)、この表示コマンド決定処理(S31)を終了する。
このように、図10に示す表示コマンド決定処理においては、S43及びS47の処理において状態フラグ23m,23nが示す状態に対応するテーブルが変動パターンコマンドのデータとして使用されるので、状態フラグ23m,23nの状態に応じて変動パターンの選定条件が変更され、例えば、特別状態フラグ23nがオンである特別状態中には、マンモスリーチが頻繁に設定される。よって、遊技者にとっては、特別状態以外においてはほとんど設定されないマンモスリーチがより多く設定されて多量の球が払い出される特別状態の遊技性と、特別状態以外の状態であってマンモスリーチが設定され難い状態の遊技性という複数種類の遊技を切り替えて提供し、飽きにくい遊技性を付与することができる。また、多量の球が払い出される期間が特別状態中に限定されるので、遊技場に多大な損失を被らせることなく、遊技者には短期間で高利益を獲得する大きな期待感を持たせることができる。
図12は、主制御基板Cの表示コマンド決定処理(S31)の中で実行される当たり時状態設定処理(S44)のフローチャートである。この当たり時状態設定処理(S44)は、大当たりの発生後に実行されるものであり、変動パターンのデータの読み出しに使用される第1テーブル22aの選定に使用する2つの状態フラグ23m,23nの設定を更新する。
当たり時状態設定処理(S44)では、まず、演出実行エリア23gに記憶された大当たり図柄カウンタ23dの値が通常図柄(偶数図柄)であるか確認する(S51)。その値が通常図柄であれば(S51:Yes)、普通大当たりの発生であるので確変状態フラグ23mをオフし(S52)、変動パターンコマンドとして設定されたデータが「E」であってマンモススペシャルリーチが設定されたか否かを確認する(S53)。変動パターンコマンドとして設定されたデータが「E」であれば(S53:Yes)、特別状態フラグ23nをオンして(S54)、次回以降の変動表示を特別状態におけるものに設定し、この当たり時状態設定処理(S44)を終了する。
S51の処理において演出実行エリア23gに記憶された大当たり図柄カウンタ23dの値が通常図柄でなければ(S51:No)、確率変動大当たりの発生であるので、確率状態フラグ23mをオンして(S55)、次回以降の変動表示が確率変動中におけるものであることを確率状態フラグ23mに記憶させる。その後、変動パターンコマンドとして設定されたデータが「C」であるか確認し(S56)、そのデータが「C」であれば(S56:Yes)、処理をS54に移行して特別状態フラグ23nをオンし(S54)、当たり時状態設定処理(S44)を終了する。
S53の処理において変動パターンコマンドとして設定されたデータが「E」でない場合(S53:No)、及び、S56の処理において変動パターンコマンドとして設定されたデータが「C」でない場合(S56:No)には、特別状態フラグ23nをオフして(S57)、次回以降の変動表示を特別状態中でないものとし、この当たり時状態設定処理(S44)を終了する。
このように、大当たりの発生時に行われる当たり時状態設定処理(S44)の中で、特別状態フラグ23nのオンとオフとが切り替えられるので、遊技者には、大当たりの発生によって付与される満足感と共に、大当たり後に特別状態が設定されるか否かの期待感を持たせて遊技に対する興趣を増大することができる。また、大当たり後の特別状態が設定されるか否かは、S53とS56の処理によって普通大当たりであるか確率変動大当たりであるか否かに基づいて異なる抽選条件で設定される。よって、遊技者には、大当たりの種類によって大当たり後に設定される特別状態への期待感を異ならせることができ、遊技性を一層広げて飽き難いものとすることができる。
図13は、主制御基板Cの表示コマンド決定処理(S31)の中で実行されるハズレ時状態設定処理(S48)のフローチャートである。このハズレ時状態設定処理(S48)では、大当たりでない通常の遊技中に、一定条件の成立に基づいて遊技者の利益に大きく影響する特別状態フラグ23nの状態を切り替える。
このハズレ時状態設定処理(S48)では、まず、変動が開始される変動表示の変動パターンコマンドとして設定されたデータが「D」であるか確認する(S61)。そのデータが「D」であれば(S61:Yes)、演出実行エリア23gに記憶された内部乱数カウンタ23bの値の末尾が「7」か確認する(S62)。その値の末尾が「7」である場合には(S62:Yes)、特別状態フラグ23nの状態を切り替えるための抽選に当選したとして、特別状態フラグ23nがオンであるか確認し(S63)、オンであれば(S63:Yes)特別状態フラグ23nをオフして(S64)、このハズレ時状態設定処理(S48)を終了する。
S63の処理において特別状態フラグがオフであれば(S63:No)、特別状態フラグ23nをオンして(S65)、このハズレ時状態設定処理(S48)を終了する。S61の処理において変動パターンコマンドとして設定されたデータが「D」でない場合(S61:No)、及び、S62の処理において演出実行エリア23dに記憶された内部乱数カウンタ23bの値の末尾が「7」でない場合には(S62:No)、特別状態フラグ23nの状態を切り替えるための抽選に落選したとして、特別状態フラグ23nの切り替えを行うS63からS65の処理をスキップして、このハズレ時状態設定処理(S48)を終了する。
このように、特別状態フラグ23nのオンとオフとの切り替えが大当たりの発生時のみならず、大当たり以外の変動表示の開始時にも抽選されるので、遊技者には、大当たりの発生がない場合であっても、特別状態が設定されるか否かを期待させることができ、遊技者の遊技に対する興趣を増大することができる。
また、特別状態フラグ23nのオンとオフとの切り替えを同一の抽選条件であるS61とS62の処理に基づいて行わせるので、抽選条件に当選したか否かを判断する処理を簡略化して単純な制御プログラムとすることができ、開発コストを低減することができる。
なお、ハズレ時状態設定処理(S48)においては、特別状態フラグ23nのオンオフの切り替えを同一の抽選条件に基づいて行わせたが、必ずしも同一の抽選条件とする必要はなく、特別状態フラグ23nのオンからオフと、オフからオンとを異なる条件にして切り替えを行わせても良い。また、特別状態フラグ23nのオンオフの切り替えを大当たりの発生時とハズレ時との両方で行わせたが、いずれか一方で行わせても良い。更に、特別状態フラグ23nのオンオフを切り替える条件は、上記条件に限定されず、別の変動パターンのデータや、カウンタの値等を使用して特別状態フラグ23nのオンオフを切り替える条件としても良い。
図14は、表示用制御基板Dで実行される演出設定実行処理のフローチャートである。この演出設定実行処理は、表示用制御基板Dにおいて所定時間毎(例えば2ms毎)に繰り返して実行される処理である。かかる演出設定実行処理は、主制御基板Cから送信される変動パターンのデータに基づいてLCD3に変動表示を行わせると共に、ソレノイド13を駆動して役物装置11に設けられる可動部材12の前進状態と後退状態との切り替え動作を制御させる処理である。
この演出設定実行処理では、まず、主制御基板Cから表示コマンドを受信したタイミングか確認し(S71)、表示コマンドを受信したタイミングであれば(S71:Yes)、表示コマンドに付加された変動パターン及び停止図柄に関するデータを演出実行エリア33aに書き込み、図柄の変動表示を開始する(S72)。その後、演出実行エリア33aに記憶された変動パターンのデータがマンモススーパーリーチを示す「D」、又は、マンモススペシャルリーチを示す「E」であるか確認し(S73)、その変動パターンのデータが「D」又は「E」であれば(S73:Yes)、マンモスリーチによって遊技者に有利な遊技状態を付与する変動表示の開始であるので特別演出フラグ33bをオンして(S74)、処理をS81に移行する。
一方、S73の処理において変動パターンのデータが「D」又は「E」でなければ(S73:No)、特別演出フラグ33bをオンすることなく、処理をS81に移行する。また、S71の処理において主制御基板Cから表示コマンドを受信したタイミングでなければ(S71:No)、S72からS74の処理をスキップして処理をS81に移行する。表示コマンドを受信したタイミングでない場合とは、変動表示の実行中や変動表示の開始待ちの状態、或いは、表示コマンド以外のコマンドである確定コマンドや保留ランプ5を点灯させるコマンドの受信時等である。
S81の処理では、変動表示中であるか確認し(S81)、変動表示中でなければ(S81:No)、LCD3の表示領域に機種名やキャラクタなどのデモ画面を表示させるなど、他の処理を行って(S95)、演出設定実行処理を終了する。このS95の他の処理によって、図柄の変動表示や、LCD3の表示画面に表示される原人のキャラクタのアニメーションなど変動パターン毎に設定された各表示が制御される。
一方、S81の処理において変動表示中であることが確認された場合には(S81:Yes)、特別演出フラグ33bがオンか確認する(S82)。特別演出フラグ33bがオンでなければ(S82:No)、マンモスリーチを実行する変動表示ではないので、可動部材12の駆動に関するS83からS92の処理をスキップして、処理をS93に移行する。S82の処理において特別演出フラグ33bがオンであれば(S82:Yes)、マンモスリーチを実行する変動表示であるので、タイマカウンタ33cの値が「1」以上か確認する(S83)。
タイマカウンタ33cの値が「1」以上でなければ(S83:No)、マンモスを模した可動部材12を前進させる前段階であるので、変動表示にマンモスリーチ表示が現出したか確認する(S84)。マンモスリーチ表示が現出していなければ(S84:No)、特別演出フラグ33bがオンであって可動部材12を前進させるマンモスリーチを実行する変動表示中であるものの、マンモスリーチ表示(図7(b)参照)が現出する前であってマンモス(可動部材12)を前進させるタイミングではない。このため、ソレノイド13を駆動する等のS85からS88の処理をスキップして処理をS93へ移行する。
ここで、マンモスリーチ表示は変動表示の開始から17秒が経過した場合にLCD3に表示されるものであり、その表示は表示用制御基板DにおけるS95のその他の処理の1つとして行われる。このため、表示用制御基板Dは、マンモスリーチ表示が現出したか否かを、他の基板からコマンドを受信することなく簡易に確認することができる。
S84の処理において変動表示にマンモスリーチ表示が現出した場合(変動表示の開始後に17秒が経過した場合)には(S84:Yes)、LCD3の表示に可動部材12(マンモス)が連動するようにソレノイド13を駆動して可動部材12を前進させ(S85、図7(b)参照)、マンモスリーチの実行を開始する。
その後、演出実行エリア33aに記憶された変動パターンのデータが「D」であるか確認し(S86)、そのデータが「D」であれば(S86:Yes)、マンモススーパーリーチの実行時であって可動部材12を5秒間前進させておく必要があるので、2ms毎に減算されるタイマカウンタ33cの値に「2500」を書き込み(S87)、処理をS93へ移行する。S86の処理において演出実行エリア33aに記憶された変動パターンのデータが「D」でなければ(S86:No)、演出実行エリア33aに記憶された変動パターンのデータは「E」であってマンモススペシャルリーチの実行時であって可動部材12を3分間前進させておく必要があるので、タイマカウンタ33cの値に「90000」を書き込み(S88)、処理をS93へ移行する。
S83の処理においてタイマカウンタ33cの値が「1」以上であることが確認された場合には(S83:Yes)、変動表示にマンモスリーチ表示が現出して可動部材12が前進した状態(図2(b)参照)であるので、可動部材12を前進させる残余時間を示すタイマカウンタ33cの値を「1」減算し(S89)、再度、タイマカウンタ33cの値が「1」以上であるか確認する(S90)。タイマカウンタ33cの値が「1」以上であれば(S90:Yes)、マンモスリーチの継続中であるので、可動部材12を後退させることなく処理をS93に移行する。一方、S90の処理においてタイマカウンタ33cの値が「0」となっている場合には(S90:No)、可動部材12の前進状態がマンモススーパーリーチであれば5秒間、マンモススペシャルリーチであれば3分間継続した時期であるので、ソレノイド13を駆動して可動部材12(マンモス)を後退させる(S91)。その後、特別演出フラグ33bをオフして(S92)、処理をS93に移行する。
S93の処理では、主制御基板Cから確定コマンドを受信したか確認する(S93)。確定コマンドを受信していれば(S93:Yes)、変動表示を停止させるタイミングであるので、変動表示を停止表示(確定)させて(S94)、処理をS95に移行する。S93の処理において確定コマンドを受信していなければ(S93:No)、変動を継続させる必要があるので、変動表示を停止させることなく処理をS95へ移行する。
このように、表示用制御基板Dの制御によって行われる演出設定実行処理では、S84の処理によってマンモスリーチ表示が現出してマンモスリーチが実行されたと判断された場合には、S85の処理によってソレノイド13がオンされ、可動部材12が後退状態から前進状態(図2(a)の状態)に切り替えられる。このため、遊技者は、盤面右側を流下させる球の割合を、可動部材12の状態に応じて自らの意志で選択して増減させることにより、自ら決定した球の割合に応じた利益を得ることができる。
また、可動部材12の切り替え動作は、LCD3の表示画面に表示される原人のキャラクタのアニメーションに連動するように制御される。このため、変動表示の実行中には、可動部材12によって模されたマンモスと原人のキャラクタのアニメーションとが連動して両者による一体的な演出動作が行われ、その演出動作が、変動表示が表示結果を現出する前の変動表示の一演出として遊技者に示される。可動部材12は、弾球遊技において有利な遊技状態を遊技者に付与する部材であるので、有利な遊技状態への切り替わりを、変動表示の演出を担う可動部材12の動作で遊技者に直接的に示すことができる。よって、変動表示の演出に対する注目度が高められ、弾球遊技と変動表示との一体的な興趣を遊技者に付与することができる。
また、可動部材12が後退した状態から前進した状態に切り替わる場合には、可動部材12が前進する前に必ずリーチ表示と、原人のキャラクタによるアニメーションとが表示されるので、それらの表示によって可動部材12が前進することを遊技者に期待させることができる。よって、遊技者の期待感が高められた中で可動部材12を前進させることができ、遊技者により大きな興趣を付与することができる。
更に、表示用制御基板Dは、演出実行エリア33aに記憶された変動パターンのデータに基づいてマンモススーパーリーチの実行中であると判断した場合に(S86:Yes)、タイマカウンタ33cに「2500」を書き込んで(S87)可動部材12を後退状態から前進状態に5秒間切り替える一方、マンモススペシャルリーチの実行中であると判断した場合に(S86:No)、タイマカウンタ33cに「90000」を書き込んで(S88)可動部材12を後退状態から前進状態に180秒間切り替える。よって、遊技者には、マンモスリーチ表示が表示された後も遊技者に有利なマンモススペシャルリーチの変動パターンによる変動表示の実行であることを期待させ、その後に展開する遊技に対する期待感と緊張感とを強く持たせることができる。
なお、請求項1記載の遊技機における「識別情報表示部」としては、LCD3の表示画面が該当する。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施例では、表示用制御基板Dによってソレノイド13を駆動して可動部材12の前進及び後退を制御させたが、必ずしも表示用制御基板Dの制御によってソレノイド13の駆動を制御させる必要はなく、主制御基板Cでソレノイド13を制御させても良い。遊技の制御を主制御基板Cでより集中して管理させることができる。また、主制御基板Cや表示制御基板Dとは別に専用の基板を設けて、主制御基板Cや表示用制御基板Dからの指示に基づいてソレノイド13を制御させても良い。
また、上記実施例では、センターフレーム10の球流入口10bからセンターフレーム10内に流入した球は、ほぼ確実に図柄作動口4aへ入賞するように構成したが、必ずしも図柄作動口4aへほぼ全て入賞するように構成する必要はない。可動部材12がセンターフレーム10側に向けて前進した場合に遊技者に有利な遊技状態、即ち、多くの球が賞球として払い出されるように構成されていれば良く、センターフレーム10内に複数個の球が流入した場合に1球の割合で図柄作動口4aへ入賞するように構成しても良い。この場合には、センターフレーム10のガイド板10dの中央部分において分断された部位の幅を正面視において球の外形より幅広くする(例えば、略3倍程度にする)と共に、出口レール10eの幅を広げ、センターフレーム10から放出された球が図柄作動口4aの中央位置から左右のいずれかにずれている場合に図柄作動口4aの上に設けられた釘によって球を外側へ弾いて下方へと流下させるようにしても良い。
また、上記実施例においては、可動部材12は、遊技盤2の正面視左右方向に沿ってスライド移動するように構成したが、必ずしも遊技盤2の左右方向にスライド移動するように構成する必要はない。ソレノイド13によって駆動された場合にいずれかの入賞口へ球が入賞し易い状態と、入賞し難い状態とを切り替えることができるものであれば良く、遊技盤2の前面より奥側に埋もれて配設された可動部材を遊技盤2の前面に突出させて球を入賞口へ入賞し易いように誘導する構成としても良く、又は、可動部材を上下方向や斜め方向にスライド移動させたり、或いは、可動部材を回動させたりして球を入賞口へ誘導するように構成しても良い。
また、可動部材によって球が入賞し易いように誘導される入賞口は、必ずしも図柄作動口4aとする必要はなく、他の入賞口7であっても良い。また、可動部材12は、必ずしもセンターフレーム10などの他の部品を介して間接的に図柄作動口4a等の入賞口へ球を誘導するものとする必要はなく、図柄作動口4a等の入賞口の片側又は両側、或いは、上方に可動部材を配設し、可動部材によって入賞口からずれた経路を流下する球を入賞口側へ案内する構成としても良い。更に、可動部材に駆動力を付与するのは、ソレノイドに限定されるものでなく、モータなど他の駆動装置を使用しても良い。
また、上記実施例においては、マンモススーパーリーチとマンモススペシャルリーチとの2つの変動パターンによって可動部材12の前進する時間を異ならせるように構成したが、例えば、マンモススペシャルリーチなどの特定の1の変動パターンの実行時にのみ可動部材12を前進させても良く、逆に、ライオンリーチの実行時にも1秒間可動部材12を前進させるなど、3つ以上の変動パターンの実行時に可動部材12を前進させるものとしても良い。また、可動部材12の外観や各変動パターン毎に行われる表示演出の内容は、本実施例における表示演出に限定されるものでなく、他の対象物(例えば、ボールや自動車)を模して可動部材を形成したり、別の表示演出(例えば、球技による演出や自動車のレースによる演出)によって変動パターンを構成しても良い。この場合には、可動部材の外観に関連する表示を伴う表示演出とすることが好ましい。
更に、上記実施例においては、原人のキャラクタによるアニメーションは、変動パターンが「パターンD」又は「パターンE」であって可動部材12を前進させる場合に表示されると共に、可動部材12が前進しない「パターンC」のライオンリーチによる変動表示の実行時にも表示される設定としたが、必ずしも可動部材12が前進する場合としない場合との両方で表示されるようにする必要はなく、可動部材12を前進させる場合にのみ表示させても良い。変動表示の実行中に原人のキャラクタによるアニメーションが表示された時点で、可動部材12が前進することを遊技者に示すことができる。また、「パターンD」と「パターンE」との変動表示は、変動表示の途中まで同一の態様で実施される設定としたが、必ずしも同一の態様で実施される設定とする必要はなく、各変動パターン毎にそれぞれ異なる態様で進行する変動パターンとしても良い。
また、上記実施例において、可動部材12によって模されたキャラクタ(マンモス)と、LCD3の表示画面に表示されるキャラクタ(原人)とによる演出動作は、上記実施例に限定されず、表示用制御基板Dによっていずれか一方が他方に作用を及ぼしたと見える演出であれば他のキャラクタを使用したり、別の内容による演出を行わせても良い。例えば、ボールを模した形状に可動部材を形成し、LCD3の表示画面にボールを打つ打者のキャラクターを表示して、ボールを模した可動部材がLCD3に近付いた後に打者のキャラクターにスイングをさせるアニメーションを表示し、打者がボールを打ったアニメーションを表示した時に可動部材をLCD3から離間させるように表示用制御基板Dによってソレノイドのオンオフを制御しても良い。
また、上記実施例に示すように、動的表示の一種である変動表示は、LCD3上で識別情報としての図柄を縦方向にスクロールさせるものに限定されず、横方向あるいはL字形等の所定経路に沿って図柄を移動表示して行うものであっても良い。また、識別情報の動的表示としては、図柄の変動表示に限られるものではなく、例えば、1又は複数のキャラクタを図柄と共に、若しくは、図柄とは別に多種多様に動作表示または変化表示させて行われる表示演出なども含まれるのである。この場合、1又は複数のキャラクタが、図柄と共に或いは図柄とは別に、識別情報として用いられる。
本発明を上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球など別の弾球式の遊技機で本発明を実施するようにしても良い。
以下に変形例を示す。請求項1記載の遊技機において、前記動作制御手段は、前記利得動作部材と前記特定の表示画像とのいずれか一方が他方に作用を及ぼしたと見えるように、前記利得動作部材の切り替え動作を制御するものであることを特徴とする遊技機1。
請求項1記載の遊技機または遊技機1において、前記表示装置の画像表示部に表示される画像の表示を制御する表示用制御手段を備え、その表示用制御手段は、前記利得動作部材と前記特定の表示画像とのいずれか一方が他方に作用を及ぼしたと見えるように、前記特定の表示画像の表示を制御するものであることを特徴とする遊技機2。
遊技機1(又は遊技機2)によれば、利得動作部材の切り替え動作は、動作制御手段(又は表示用制御手段)によって利得動作部材と特定の表示画像とのいずれか一方が他方に作用を及ぼしたと見えるように制御される。このため、遊技球の流下経路に影響する実体のある利得動作部材と、画像表示部に表示される実体のない表示画像とが、相互に関連して動く様子を動的表示の一演出として遊技者に示すことができ、利得動作部材の切り替え動作と特定の表示画像とによる一体的な演出動作によって動的表示に対する注目度を高めると共に、弾球遊技と動的表示との一体的な興趣を強調して遊技者に付与することができる。
なお、いずれか一方が他方に作用を及ぼすとは、いずれか一方の動きに反応して他方が動くことを意味しており、例えば、一方を構成する対象物(利得動作部材にあっては実体のある対象物、特定の表示画像にあっては視覚的に視認し得る画像で構成された対象物)が、他方を構成する対象物を見たり、他方の対象物に対して押す、引く、叩く等の動作を行った場合に、その動作に他方の対象物が反応して動作することを意味している。
請求項1記載の遊技機または遊技機1若しくは2において、前記動的表示には、動的表示の実行中であって前記利得動作部材の切り替え動作の実行前にその切り替え動作の実行を期待させるための期待表示を伴う第1動的表示と、その期待表示を伴わない第2動的表示とが少なくとも設定されており、前記制御手段は、始動条件が成立した場合に前記第1動的表示と前記第2動的表示とのうちいずれの動的表示を実行するかを選定する動的表示選定手段を備えていることを特徴とする遊技機3。
遊技機3によれば、始動条件が成立した場合に、動的表示選定手段によって第1動的表示の実行が選定されると、その動的表示の実行中には利得動作部材の切り替え動作の実行前に期待表示が表示される。遊技者は、期待表示に基づいて利得動作部材の切り替え動作の実行前にその実行を期待することができ、切り替え動作の実行時には、期待感が高められた中での切り替え動作の実行によって興趣を持たせることができる。また、利得動作部材の状態に応じて弾球遊技の操作を積極的に行って利益を得ようとする遊技者には、弾球遊技の操作の準備や、その操作の開始時期を決定するための情報として期待表示を使用させることができ、弾球遊技と動的表示との一体感を高めることができる。
なお、切り替え動作の実行を期待させるための期待表示とは、切り替え動作の実行を遊技者に示唆する表示であることを意味しており、利得動作部材の切り替え動作が実行される動的表示の実行中に所定の設定確率に従って表示され、利得動作部材の切り替え動作が実行されない動的表示に対しては、その切り替え動作が実行される動的表示に対する設定確率より低確率で表示されるか、或いは、表示されないものである。また、期待表示は、特定の表示画像を表示する画像表示部以外の別の部位に表示されるものであっても良いが、画像表示部を構成する1の表示画面に表示されることが好ましい。また、期待表示は、動的表示の開始後に1回だけ表示して遊技者に1回の期待を持たせても良いし、複数回にわたって段階的に期待の程度を変化させるように表示して遊技者の期待感を徐々に高めるようにしても良い。期待表示としては、上記実施例において可動部材12の切り替え動作が行われるマンモスリーチの実行前にLCD3に必ず表示されるリーチ表示や原人のアニメーションが例示される。また、動的表示選定手段としては、主制御基板CのRAM23に設けられる内部乱数カウンタ23b,リーチ乱数カウンタ23c及び変動パターンカウンタ23fと、主制御基板CのROM22に設けられる第1,第2テーブル22a,22bと、リーチ乱数カウンタ23c、変動パターンカウンタ23f、及び、第1,第2テーブル22a,22bとによって変動パターンを決定する表示コマンド決定処理(図11の処理)とが該当する。
遊技機3において、前記期待表示は、前記利得動作部材の切り替え動作を伴う動的表示の実行時に表示されると共に、前記利得動作部材の切り替え動作を伴わない動的表示の実行時にも表示されるものであることを特徴とする遊技機4。弾球遊技においては、遊技者が遊技球の発射位置(流下開始位置)を調整してから、遊技領域の所定位置に配設される入球領域に調整後の遊技球が達するまでには相当量の時間を要する。このため、弾球遊技の操作を行って積極的に利益を得ようとする遊技者は、期待表示が表示された場合には、利得動作部材の状態が遊技者に有利な第2状態に切り替わる前にその切り替え動作を見込んで積極的に操作を行うことで多くの利益を得る。
遊技機4によれば、期待表示は、利得動作部材の切り替え動作を伴う動的表示の実行時だけでなく、その切り替え動作を伴わない動的表示の実行時にも表示されるので、期待表示が表示された動的表示の実行時であっても必ずしも利得動作部材の切り替え動作が行われるとは限らない。よって、遊技者は、期待表示が表示された場合に利得動作部材の切り替え動作が行われるか否かを動的表示の中で予測して弾球遊技を行うことができ、弾球遊技と動的表示との一体的な興趣を強めることができる。
遊技機3または4において、前記第1動的表示には、同一の期待表示の表示後における前記利得動作部材が前記第2状態を形成する時間長さが異なる少なくとも2種以上の態様で実行される動的表示が設定されており、前記動的表示選定手段は、始動条件が成立した場合に前記少なくとも2種以上の態様で実行される動的表示を含む前記第1動的表示と前記第2動的表示とのうちいずれの動的表示を実行するかを選定するものであることを特徴とする遊技機5。
遊技機5によれば、同一の期待表示の表示後に利得動作部材が第2状態を形成する時間長さが異なる少なくとも2種以上の態様で実行される動的表示が第1動的表示に設定されているので、遊技者には、期待表示が表示された後にも、遊技者に有利な第2状態の形成時間が長い動的表示の実行であることを期待させ、その後に展開する遊技に対する期待感と緊張感とを強く持たせることができる。なお、利得動作部材が第2状態を形成する時間長さが異なるとは、一回当たりの第2状態を形成する時間長さが異なるものであっても良く、一定時間で構成された第2状態を形成する回数を増減させることにより第2状態を形成する時間長さが異なるものであっても良い。
遊技機5において、前記少なくとも2種以上の態様で実行される動的表示は、同一の期待表示の表示後における前記利得動作部材が前記第2状態を形成する時間長さが異なると共に、動的表示の開始から前記利得動作部材が前記第2状態に切り替えられた後の一定期間が経過するまで略同一の態様で実行されるものであることを特徴とする遊技機6。
遊技機6によれば、少なくとも2種以上の態様で実行される動的表示は、動的表示の開始から利得動作部材が第2状態に切り替えられた後の一定期間が経過するまで略同一の態様で実行されるので、利得動作部材が第2状態に切り替えられた後も一定期間が経過するまで第2状態の形成時間の長さを遊技者が判別できない。よって、例えば、利得動作部材が第2状態に切り替えられる時間が長い態様で実行される動的表示の実行時にのみ、利得動作部材の配設された経路を流下する遊技球の割合を増加させて利益を得ようとする遊技者は、実行中の動的表示がいずれの動的表示であるかが判らず、遊技球の割合を増減させるタイミングを、動的表示の展開を予測して選択する新たな遊技性を付与することができる。
なお、動的表示が略同一の態様で実行されるとは、完全に同一の態様で実行される場合はもちろん、遊技者が感覚的に同一と認識し得る程度に同一の態様で実行されるものをも含む趣旨である。略同一の態様としては、例えば、遊技者が遊技を行う上で認識し得ない程度の大きさや色の違いで表示される態様や、動的な画像の一部を瞬間的に異ならせた態様などが例示される。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から6のいずれかにおいて、前記制御手段は、始動条件が成立した動的表示に対して前記所定の遊技価値の付与を遊技者に期待させる興趣演出を実行させるか否かを抽選する演出実行抽選手段を備え、前記動作制御手段は、前記演出実行抽選手段による抽選結果に基づいて実行される前記興趣演出の開始後に、前記利得動作部材を前記特定の表示画像に連動するように動作させるものであることを特徴とする遊技機7。興趣演出が開始されると、遊技者は、所定の遊技価値の付与を期待して動的表示に意識を傾注するものである。
遊技機7によれば、動作制御手段は、興趣演出の開始後に利得動作部材を特定の表示画像に連動するように動作させるので、遊技者の意識を動的表示に傾注させた状態で利得動作部材と特定の表示画像とによる一体的な演出動作を遊技者に視認させることができ、弾球遊技と動的表示との一体的な興趣を強調して遊技者に付与することができる。なお、興趣演出とは、所定の遊技価値の付与を遊技者に示唆する演出を意味しており、始動条件が成立して所定の遊技価値の付与が確定した動的表示に対して所定の設定確率に従って設定され、始動条件が成立して所定の遊技価値が付与されないことが確定した動的表示に対しては、所定の遊技価値の付与が確定した動的表示に対する設定確率より低確率で設定されるものである。興趣演出としては、上記実施例におけるリーチ表示による演出が例示され、演出実行抽選手段としては、主制御基板CのRAM23に設けられるリーチ乱数カウンタ23cと、そのリーチ乱数カウンタ23cの値に基づいてハズレリーチを発生させるか否かを判断する処理(図11のS45の処理)とが該当する。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から7のいずれかにおいて、前記制御手段は、始動条件が成立した動的表示に対して前記所定の遊技価値を付与するか否かを抽選する第1抽選手段と、その第1抽選手段によって抽選が行われた動的表示の実行中に前記動作制御手段の制御によって前記利得動作部材に前記第2状態を形成させるか否かを抽選する第2抽選手段とを備え、前記第2抽選手段は、前記第1抽選手段によって前記所定の遊技価値を付与する抽選結果が導出されるか否かに拘わらず、前記利得動作部材に前記第2状態を形成させる抽選結果を導出するものであることを特徴とする遊技機8。
遊技機8によれば、始動条件が成立した場合には、第1抽選手段によって所定の遊技価値を付与するか否かが抽選されると共に、第2抽選手段によって利得動作部材に第2状態を形成させるか否かが抽選される。ここで、第2抽選手段は、第1抽選手段によって所定の遊技価値を付与する抽選結果が導出されるか否かに拘わらず、利得動作部材に第2状態を形成させる抽選結果を導出するので、1の動的表示の実行によって、所定の遊技価値が付与されると共に、利得動作部材が第2状態を形成することによる遊技価値も付与され得る。よって、始動条件の成立時に行われる抽選に対して遊技者に抱かせる期待感を高めて、遊技の興趣を高めることができる。
なお、第1抽選手段としては、上記実施例における主制御基板CのRAM23に設けられる内部乱数カウンタ23bと、その内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値か否かを判断する処理(図11のS41の処理)とが該当し、第2抽選手段としては、主制御基板CのRAM23に設けられる内部乱数カウンタ23b,リーチ乱数カウンタ23c及び変動パターンカウンタ23fと、主制御基板CのROM22に設けられる第1,第2テーブル22a,22bと、リーチ乱数カウンタ23c、変動パターンカウンタ23f、及び、第1,第2テーブル22a,22bとによって変動パターンを決定する表示コマンド決定処理(図11の処理)とが該当する。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から8のいずれかにおいて、前記利得動作部材は、特定の対象物を模した外観を有して形成されていることを特徴とする遊技機9。特定の対象物を模した外観に利得動作部材が形成されているので、利得動作部材を、特定の表示画像に関連づけた演出の材料とすることができ、両者の連動による一体的な演出動作を行わせることができる。なお、特定の対象物とは、人、動物、乗物、道具その他の対象物であり、動的表示の一部の演出を構成し得るものである。また、対象物を模した外観とは、対象物を模して形成された利得動作部材の外形形状であっても、対象物を模して利得動作部材の外面に表示された画像であっても良い。
遊技機9において、前記利得動作部材より遊技機の前面側に配設された不透明なシート状の部材であって前記利得動作部材が前記第1状態又は第2状態のうち少なくとも一方の状態を形成する場合に前記利得動作部材によって模された対象物の外観の一部に重なりつつ配置される隠蔽部材を備え、前記特定の表示画像には、その隠蔽部材に重なりつつ配置される前記対象物の外観の一部が動的に表示されることを特徴とする遊技機10。
遊技機10によれば、利得動作部材によって模された対象物の外観の一部には、利得動作部材より遊技機の前面側に配設された隠蔽部材が重なりつつ配置されるので、遊技者からは、利得動作部材によって模された対象物の外観の一部が隠蔽部材に重なって見えない。一方、利得動作部材によって模された対象物の外観の一部は、特定の表示画像に動的に表示されるので、利得動作部材によって模された実体のある対象物の外観の一部をわざわざ可動式にすることなく、利得動作部材によって模される対象物の外観の一部が可動する演出動作を低コストで遊技者に示すことができる。なお、隠蔽部材としては、上記実施例における可動部材12に対してパチンコ機1の前面側に配設されたプレート15が例示される。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から10のいずれかにおいて、遊技領域に投入される遊技球の流下開始位置を遊技者の操作に応じて調整する調整手段と、その調整手段によって調整された流下開始位置に応じて遊技球が振り分けられて流下する第1経路と第2経路とを形成する球振分部材とを備え、前記入球部材は、その球振分部材によって形成される前記第1経路と前記第2経路との分岐部より流下方向下流側に前記入球領域を形成し、前記利得動作部材は、前記球振分部材によって形成される前記第2経路に配設されていることを特徴とする遊技機11。
遊技機11によれば、遊技者は、調整手段によって遊技球の流下開始位置を調整することにより、球振分部材によって形成される第1経路と第2経路とに振り分けられて流下する遊技球の割合を調整しつつ、遊技球を遊技領域に投入する。第2経路には、利益を付与する入球領域への入球率を変化させる利得動作部材が配設されているので、遊技者は、第1経路と第2経路とのいずれが有利な経路であるかを利得動作部材の状態に応じて別々に比較し、自らが有利であると考えた遊技球の割合に従って遊技球の流下開始位置を調整することでその調整した遊技球の割合に応じた利益を得ることができる。よって、遊技者には、調整手段を積極的に操作して積極的に所定の利益を得る遊技性を感じさせることができ、弾球遊技に対する興趣を高めることができる。
遊技機11において、遊技球が入球した場合に遊技者に所定の利益を付与する有利領域に前記遊技領域を流下する遊技球を誘導すると共に、前記利得動作部材が前記第1状態を形成する場合に前記第1経路より前記第2経路を不利な経路とし、前記利得動作部材が前記第2状態を形成する場合に前記第1経路より前記第2経路を有利な経路とする障害部材を備えていることを特徴とする遊技機12。
遊技機12によれば、有利領域に遊技球を誘導する障害部材は、利得動作部材が第1状態を形成する場合に第1経路より第2経路を不利な経路とする一方、利得動作部材が第2状態を形成する場合に第1経路より第2経路を有利な経路とする。このため、利得動作部材の状態に応じて第1経路と第2経路との利益状態が逆転し、遊技者には、有利な経路に多くの遊技球を流下させるために調整手段の調整によって各経路を流下する遊技球の割合を積極的に切り替えさせることができ、弾球遊技に対する意識を一層高めることができる。また、弾球遊技を効率よく行うために、利得動作部材の動作に連動する特定の表示画像が表示される動的表示を集中して見守ることとなり、弾球遊技と動的表示との一体的な興趣を強めることができる。
なお、所定の利益としては、例えば、有利領域への入球により払い出される一定数個の遊技球(賞球)や、磁気カードなどの記憶媒体に書き込まれるデータなどが例示される。有利領域とは、請求項1に記載の入球領域を含むものであり、遊技球が誘導された場合に所定の利益が遊技者に付与されるものである。有利領域としては、上記実施例における図柄作動口4aや入賞口7が例示される。また、障害部材としては、例えば、遊技領域に設けられて流下する遊技球を寄せたり、散らしたりする釘や風車が例示される。障害部材には、遊技球を誘導する方向及び割合を調整可能に構成されるものであって、その調整に応じて、利得動作部材が第1状態を形成する場合に第1経路より第2経路を不利な経路とし、第2状態を形成する場合に第1経路より第2経路を有利な経路とし得るものをも含むものとする。不利(又は有利)な経路とは、流下した遊技球の数に対して獲得する利益が少ない(又は多い)経路をいう。
遊技機11または12において、前記調整手段は、遊技者によって操作される操作部を有しその操作部の操作量に応じて遊技球の弾発力を調整して前記遊技領域に投入される遊技球の流下開始位置を調整するものであり、前記第2経路は、前記第1経路より前記遊技領域の入口から離間した側に形成されていることを特徴とする遊技機13。一般に、遊技領域の入口から離間した側は、遊技球の流下開始位置がばらつき易く、弾球遊技にあまり使用されていない。
遊技機13によれば、第2経路は、第1経路に対して遊技球が投入される遊技領域の入口から離間した側に形成されているので、弾球遊技における使用頻度が低い経路を流下する遊技球の割合を増減して所定の利益を得る遊技性が遊技機に付加される。よって、遊技領域の中で遊技者にあまり注目されなかった領域を遊技者に注目させることができ、弾球遊技による遊技の興趣を高めることができる。なお、遊技者によって操作される操作部としては、遊技者によって回動操作される操作ハンドル57が例示される。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から13のいずれかにおいて、遊技球の流下経路から分岐して形成されると共に他の経路を遊技球が流下する場合に比べて高確率で前記入球領域へ遊技球を誘導させる誘導経路を形成する誘導部材を備え、前記利得動作部材は、前記第1状態より前記誘導部材の誘導経路に遊技球が流入し易い状態を前記第2状態として形成するものであることを特徴とする遊技機14。
遊技機14によれば、利得動作部材が第2状態を形成する場合には、第1状態の形成時より誘導部材の誘導経路に遊技球が流入し易い状態とすることができ、誘導経路に遊技球を多く流入させて高確率で入球領域へ遊技球が誘導される状態とすることができる。なお、誘導部材の誘導経路は、利得動作部材が第1状態を形成する場合にほぼ遊技球が流入しない経路としても良い。ほぼ遊技球が流入しない経路としては、経路の入口の前を通過する約20個の遊技球に対して1個以下の割合でしか流入しないようにすることが好ましく、更には約100個の遊技球に対して1個以下の割合でしか流入しないようにすることが好適である。誘導部材の誘導経路を、利得動作部材が第1状態を形成する場合にほとんど遊技球が流入しない経路とすることにより、遊技者にとっては、第2状態の形成時における遊技の優位性をより強調して示すことができ、その第2状態の形成時に遊技者に付与される興趣を際立たせることができる。ここで、誘導部材としては、例えば、上記実施例におけるセンターフレーム10が例示され、誘導経路としては、センターフレーム10によって形成される移送経路10a、ステージ10c、及び、出口レール10eが例示される。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から14のいずれかにおいて、前記所定の遊技価値が付与される場合に所定動作を行う遊技価値付与部材を備え、前記利得動作部材は、その遊技価値付与部材とは別に設けられていることを特徴とする遊技機15。利得動作部材は、所定の遊技価値が付与される場合に所定動作を行う遊技価値付与部材とは別に設けられているので、遊技者には、所定の遊技価値が付与される場合とは別の部材によって所定の利益が付与される。よって、弾球遊技の遊技性が多様になるので、弾球遊技に対する興趣を高めることができる。なお、遊技価値付与部材としては、上記実施例において、特定入賞口(大入賞口)6aを開閉する扉板を動作させる特別入賞装置6が例示される。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から15のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機であることを特徴とする遊技機16。中でも、パチンコ機の基本構成としては操作部としての操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて遊技球を所定の遊技領域へ発射し、遊技球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動領域に入球(作動口に入賞又は作動ゲートを通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、所定の遊技価値の付与として特別遊技状態が発生する時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて遊技球を入賞可能とし、その入賞個数に応じて利益としての有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。