JP2004113669A - 遊技機 - Google Patents
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Abstract
【課題】遊技者に弾球遊技による興趣を付与することができる遊技機を提供する。
【解決手段】主制御基板によって役物駆動ソレノイド13を介して可動部材12の前進と後退との切り替え動作を制御させ、LCD3でカラス駆動リーチを実行する時には、役物駆動ソレノイド13をオンして可動部材12を前進させる。可動部材12の前進時には、センターフレーム10の左側を流下する球が可動部材12の案内部12aによって移送経路10aの球流入口10bへ流入し易い状態となり、後退時に比べて多くの球が移送経路10aを介して図柄作動口4へ誘導される。遊技者は、可動部材12の前進時には多くの球が図柄作動口4aに入賞することを期待する。従って、可動部材12の状態に応じて遊技者に異なる期待感を持たせる弾球遊技によって興趣を付与することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】主制御基板によって役物駆動ソレノイド13を介して可動部材12の前進と後退との切り替え動作を制御させ、LCD3でカラス駆動リーチを実行する時には、役物駆動ソレノイド13をオンして可動部材12を前進させる。可動部材12の前進時には、センターフレーム10の左側を流下する球が可動部材12の案内部12aによって移送経路10aの球流入口10bへ流入し易い状態となり、後退時に比べて多くの球が移送経路10aを介して図柄作動口4へ誘導される。遊技者は、可動部材12の前進時には多くの球が図柄作動口4aに入賞することを期待する。従って、可動部材12の状態に応じて遊技者に異なる期待感を持たせる弾球遊技によって興趣を付与することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パチンコ機等に代表される弾球式の遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、パチンコ機等の遊技機においては、遊技の興趣を向上させるために液晶表示装置を用いたものが主流となっている。この液晶表示装置へ表示させる画像をどのように変化させて遊技者を満足させるかが各社の競争になっており、その為、液晶表示装置に表示させる画像に様々なバリエーションを持たせる等の工夫がなされている。一般的には、この液晶表示装置では変動表示ゲームが行われ、遊技の興趣が高められている。
【0003】
変動表示ゲームは、例えば、有効表示領域に横又は縦に3個、或いは3×3の升目に9個の図柄等を表示し、球(遊技球)が打ち込まれる遊技領域に設けられた作動領域への入球(作動口への入賞または作動ゲートの通過)を必要条件として、表示される図柄等をスクロールして変動表示させるものである。この変動表示が予め定めた大当たりを示す表示結果を現出すると、所定の遊技価値として遊技領域に設けられる可変入賞装置が球を入賞し易い状態となり、遊技者が弾球遊技によって可変入賞装置へ球を入賞させて所定の利益をまとめて獲得し得る状態が付与される。また、図柄のスクロール中には、時として通常時とは異なるリーチ表示による演出や実体のある可動体の動作による演出を伴う変動表示が行われて、大当たりに対する期待感を遊技者に持たせる工夫もなされている。遊技を行う遊技者は、表示装置で行われる変動表示と、その変動表示を始動させる作動領域への入球とを注意しつつ遊技を行っている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−137461号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、球の移動をランダムにしたり、所定の方向に誘導したりするための部材(例えば、釘や風車など)は予め定められた位置に配置されており、この配置によって、作動領域へ入球するまでの球の経路やそれぞれの経路を球が通過する割合が概ね定められている。遊技者が球を打ち込む位置を固定しておくと、略一定の割合で複数の経路を経由した球が略一定の確率に従って作動領域周辺へと導かれるため、遊技中の遊技者が球の経路を確認する必要はほとんどなく、弾球遊技による興趣を遊技者が感じ難いという問題点があった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、遊技者に弾球遊技による興趣を付与することができる遊技機を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために請求項1記載の遊技機は、識別情報を表示する表示装置と、遊技球が投入される遊技領域に設けられる作動領域への遊技球の入球を検出する検出手段と、その検出手段によって前記作動領域への遊技球の入球が検出された場合に、遊技者に所定の遊技価値を付与するか否かを抽選すると共に前記表示装置に前記識別情報の動的表示を行わせる制御手段とを備え、その制御手段によって前記所定の遊技価値を付与する抽選結果が導出されると、前記動的表示に予め定めた表示結果を現出させると共に前記所定の遊技価値を付与するものであり、前記作動領域へ遊技球を誘導する誘導経路を形成する誘導手段と、第1状態とその第1状態より前記誘導手段によって形成される誘導経路の入口に遊技球が流入し易い第2状態とを切り替えて形成する利得動作部材と、その利得動作部材の切り替え動作を制御する動作制御手段とを備え、前記誘導手段は、前記誘導経路とは別の経路であってその誘導経路の入口から分岐して前記作動領域に繋がる分岐経路とは異なる態様で前記作動領域へ遊技球を誘導する誘導経路を形成するものである。
【0008】
この請求項1記載の遊技機によれば、動作制御手段によって利得動作部材の状態が第1状態から第2状態に切り替えられると、利得動作部材が第1状態を形成する場合に比べて誘導経路の入口へ遊技球が流入し易い状態となる。誘導経路の入口付近を流下する遊技球は、利得動作部材が第1状態を形成する場合に比べて誘導経路の入口へ多く流入し、より多くの遊技球が誘導経路を経て作動領域へと誘導される。ここで、誘導手段によって形成される誘導経路は、誘導経路の入口から分岐して前記作動領域に繋がる分岐経路が作動領域に遊技球を誘導する場合とは異なる態様で前記作動領域に遊技球を誘導する。
【0009】
【発明の効果】本発明の遊技機によれば、動作制御手段によって利得動作部材の状態が第1状態から第2状態に切り替えられると、利得動作部材によって遊技球が誘導経路の入口へ流入し易い状態となるので、遊技者は、誘導経路によって作動領域に誘導される遊技球の数を増加させることができる。誘導経路に誘導された遊技球は、誘導経路とは別の分岐経路を遊技球が流下する場合とは異なる態様で作動領域に誘導されるので、誘導経路と分岐経路とのうちいずれかの態様で作動領域に誘導されることを期待して弾球遊技を行う遊技者には、利得動作部材の状態に応じて期待感に抑揚を持たせることができる。よって、利得動作部材の状態に応じて遊技者に弾球遊技を意識させることができ、弾球遊技による興趣を遊技者に付与することができるという効果がある。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。本実施例では、遊技機の一例として弾球遊技機の一種であるパチンコ機、特に、第1種パチンコ遊技機を用いて説明する。なお、本発明を第3種パチンコ遊技機や他の遊技機に用いることは、当然に可能である。
【0011】
図1は、本発明の実施例におけるパチンコ機1の正面図である。パチンコ機1の前面には前面枠51が配設されており、その略中央部分には略矩形状の開口51aが穿設され、かかる開口51aの内周には金枠52が周設されている。この金枠52の内側の上方には、2枚のガラス板が装着されたガラス扉枠53が開閉可能に配設されており、ガラス扉枠53の後方に遊技盤2が配置されている。遊技盤2の前面には略円弧状の外レール2aが植立され、その外レール2aの内側位置には円弧状の内レール2bが植立されている。遊技盤2の前面には、内レール2bと外レール2aとにより囲まれた領域によって球が打ち込まれる、略円形の遊技領域2cが形成されている。
【0012】
遊技盤2の中央には、複数種類の識別情報としての図柄などを表示する液晶ディスプレイ(以下単に「LCD」と略す)3が設けられている。このLCD3の表示画面は、上下2段に2分割されると共に上段の表示領域3aが横方向に3分割されており(図6(a)参照)、3分割された各表示領域において、それぞれ上から下へ縦方向にスクロールしながら図柄の変動表示が行われる。
【0013】
LCD3の下方には、上側に向けて開口した図柄作動口(第1種始動口)4aを形成する可変入賞装置4が設けられている。球(遊技球)が図柄作動口4aへ入賞(入球)することにより、5個の球が賞球として払い出されると共に、前記したLCD3の変動表示が開始される。LCD3の変動表示の最中に、球が新たに図柄作動口4aへ入球した場合、その入球による変動表示を即座に開始することはできないので、実行中の変動表示が終了するまで、その変動表示が保留される。本実施例におけるパチンコ機1では、この変動表示の保留回数が最大4回に設定されており、この変動表示の保留回数を表示する4つの保留ランプ5が、LCD3の上方に配設されている。保留回数の表示は、これら4つの保留ランプ5が保留回数に対応する個数分だけ左側から順に点灯することにより行われる。
【0014】
図柄作動口4aの下方には、特定入賞口(大入賞口)6が設けられている。この特定入賞口6は、LCD3の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、大当たりとなって、球が入賞しやすいように所定時間(例えば30秒間経過するまで、あるいは、例えば球が10個入賞するまで)開放される。この特定入賞口6内には、Vゾーン6aが設けられており、特定入賞口6の開放中に、球がVゾーン6a内を通過すると、継続権が成立して、特定入賞口6の閉鎖後、再度、その特定入賞口6が所定時間(又は、特定入賞口6に球が10個入賞するまで)開放される。この特定入賞口6の開閉動作は、最高で16回(16ラウンド)繰り返し可能にされており、開閉動作の行われ得る状態が、いわゆる所定の遊技価値の付与された状態(特別遊技状態)である。
【0015】
なお、第3種パチンコ遊技機において所定の遊技価値が付与された状態(特別遊技状態)とは、LCD3の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、特定入賞口が所定時間開放されることをいう。この特定入賞口の開放中に、球がその特定入賞口内へ入賞すると、特定入賞口とは別に設けられた大入賞口が所定時間、所定回数開放される。
【0016】
図柄作動口4aの周囲には、球が入賞することにより5個から15個の球が払い出される複数の入賞口7が設けられている。LCD3の左右両側には、2つの普通図柄作動口8が設けられており、球がこの普通図柄作動口8を通過することにより、普通図柄表示装置9の変動表示が開始される。
【0017】
普通図柄表示装置9は、LCD3の上方に配設されており、「○」の図柄が表示された左図柄LED9aと、「×」の図柄が表示された右図柄LED9bとから構成されている。この普通図柄表示装置9の変動表示は、上述したように、球が普通図柄作動口8のいずれかを通過することにより開始され、その変動表示が左図柄LED9aの点灯状態(普通図柄当たり状態)で終了すると、球が入賞し易いように図柄作動口4aの両脇に設けられた開閉弁が所定時間(例えば、略0.3秒または1.9秒)経過するまで所定回数(例えば、1回または3回)開放される。
【0018】
LCD3の手前側周囲には、上述した保留ランプ5や普通図柄表示装置9が配設されたセンターフレーム10が周設されている。このセンターフレーム10には、透明及び半透明の樹脂材料で略中空状体に構成されると共に、複数のランプが内蔵されており、これにより、LCD3の周囲が装飾されている。
【0019】
センターフレーム10には、その左側に、球が通過可能にトンネル状に形成された移送経路10aが設けられている。この移送経路10aは、球の外径分の幅を持たせて略矩形状に形成されており、センターフレーム10の左側上部に開口する球流入口10bと、センターフレーム10の下部に形成されたステージ10cとを連通するものである。球流入口10bから流入した球は、移送経路10aを経由してステージ10c上に導かれる。なお、球流入口10bは、必ずしもセンターフレーム10の側方に向けて開口するものである必要はなく、その上方に向けて開口するものであっても良い。また、センターフレーム10に設けられる球流入口10bの数は、1つに限定されるものでなく、左右両側などに複数個の球流入口が設けられても良い。
【0020】
センターフレーム10の下部には、ステージ10cが設けられている。ステージ10cは、移送経路10aを経由して導かれた球をセンターフレーム10の中央に案内するための部材である。ステージ10cは、その中央に向けて両側から下降傾斜した略平面状に形成されると共に、ステージ10cの左右から案内された球が中央で停止するように中央部(出口レール10eの部分)が低く窪んで形成されている。ステージ10cの前面側(図1紙面手前側)には、その前面側へ球が流出するのを防止するために、ガイド板10dが設けられている。ガイド板10dは、中央部が分断された状態で上方に突出したリブ状の部材であり、左右方向に沿って延設されている。
【0021】
ガイド板10dが分断された中央部分には、ステージ10cの中央部から、遊技盤2の前面であって図柄作動口4aの真上に向けて下降傾斜して形成された出口レール10eが設けられている。この出口レール10eには、前方への傾斜によって球が出口レール10eの手前側へ転がるのを防止するように上方に突出した突起10fが設けられており、出口レール10eに案内された球は、自重によって突起10fを乗り越えられず、一旦停止して貯留された状態(貯留状態)となる。
【0022】
この貯留状態は、パチンコ機1の上皿55に配設された上皿ボタン56が押下された場合に解除されるものであり、ステージ10cの中央奥側に設けられる球放出ソレノイド15(図3(b)参照)が上皿ボタン56の押下操作に連動して球を前方に押し出し、球の貯留が解除される。貯留が解除された球は、中央の出口レール10eを経由して出口レール10eの出口のほぼ真下に位置する図柄作動口4aへ向けて落下し、図柄作動口4aへほぼ全て入賞する。即ち、球流入口10bへ流入した球は、移送経路10a、ステージ10c及び出口レール10eを経て、図柄作動口4aへほぼ確実に入賞する。
【0023】
センターフレーム10の左方には、図柄作動口4aへ入賞し易いように球を誘導するための役物装置11が設けられている。役物装置11は、その下側にカラスのキャラクタを模して形成された可動部材12と、その可動部材12に駆動力を付与する役物駆動ソレノイド13と、可動部材12の周囲に配設されるカバー部材14とを備えている。
【0024】
可動部材12は、カラスを模した外形に合成樹脂を成形して形成されている。可動部材12には、センターフレーム10側に向けて下降する傾斜面をカラスの頭部を模して形成する案内部12aが設けられている。この可動部材12は、遊技盤2から遊技領域2cを覆うガラスまでの隙間と略同一幅の厚みを持たせて形成されており、可動部材12の案内部12aの上に球が流下した場合に、球の流下経路に作用して、その球を案内部12aに沿ってセンターフレーム10側へと案内する。
【0025】
可動部材12が配設される遊技盤2の下側には、金枠3に開閉可能に取着された前面扉板(腰板)54が配設されている。この前面扉板54の前面(図1の紙面手前側)には、球を貯留すると共に、球発射装置(図示せず)へ球を供給するための上皿55が配設されている。
【0026】
上皿55の左側端部には、正面視略矩形状に形成された上皿ボタン56が設けられている。この上皿ボタン56は、遊技者の操作によってセンターフレーム10の内部に設けられる球放出ソレノイド15(図3参照)を遊技者の意図するタイミングで作動させるためのものである。この上皿ボタン56の奥側(図1の紙面奥側)には、上皿ボタン56に連動してオンオフが切り替わるスイッチ(球放出スイッチ17、図4参照)が内蔵されており、上皿ボタン56が押下された場合に球放出スイッチ17はオンとなってオン信号が後述する主制御基板Cに入力される。主制御基板Cは、球放出スイッチ17のオン信号を入力すると、センターフレーム10の内部の球放出ソレノイド15を駆動し、センターフレーム10の出口レール10eに球が貯留されている場合にその貯留を解除する。
【0027】
上皿55の下方であって、前面枠51の下側部分には上皿55に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿57が配設され、下皿57の右側には、球を遊技領域2cへ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル58が配設されている。この操作ハンドル58が遊技者によって操作されると、図示しないモータ(発射用モータ27、図4参照)が駆動され、遊技領域2cへ球が打ち込まれる。
【0028】
次に、図2を参照して、役物装置11の詳細について役物駆動ソレノイド13による可動部材12の動作と共に説明する。図2は、遊技盤2の一部分を示した正面図であり、図2(a)は、可動部材12が後退した状態を示し、図2(b)は、可動部材12が右斜め上方へ前進した状態を示している。なお、図2においては、遊技盤2に配設される構成部品のうち、可動部材12の動作によって影響する図柄作動口4a、センターフレーム10、及び、役物装置11等の主要部材のみを示して他の部材を省略して示している。
【0029】
役物駆動ソレノイド13は、可動部材12に駆動力を付与して可動部材12を斜め上方にスライド移動させるものである。この役物駆動ソレノイド13がオフされた状態は、通常の遊技状態であり、図2(a)に示すように、可動部材12が後退した状態を形成する。可動部材12の後退時に可動部材12とセンターフレーム10との間を流下する球は、センターフレーム10の移送経路10aの球流入口10bに流入しないでセンターフレーム10の左側を流下する。流下した球は、図示しない釘によって種々の方向へ誘導され、ほぼ10球から20球に1球の確率(入賞率)で図柄作動口4aを含むいずれかの入賞口4a,7へ入賞する。
【0030】
一方、役物駆動ソレノイド13がオンされた状態は、遊技者にとって有利な遊技状態であり、図2(b)に示すように、可動部材12がセンターフレーム10側に向けて前進し、可動部材12とセンターフレーム10との間の経路を閉鎖した状態となる。可動部材12の前進時にセンターフレーム10の左側を流下する球は、球の流下経路上に突出した可動部材12の案内部12aによって球流入口10bへ誘導されて、移送経路10a、ステージ10c、及び、出口レール10eを経て図柄作動口4aへほぼ確実に入賞する。
【0031】
また、可動部材12の前進は、LCD3で行われる変動表示のパターンの1つであるカラス駆動リーチの実行時に行われる。カラス駆動リーチとは、LCD3においてリーチ表示が現出し、その後に3つの図柄が停止した後にカラスのキャラクタが飛来する変動パターンを示すものである。カラスのキャラクタはLCD3の右側から左側の役物装置11側に向けて飛んでいき、そのカラスのキャラクタがLCD3の画面左側に達するのとほぼ同時に、可動部材12によって模されたカラスが役物駆動ソレノイド13のオンによって前進する演出が行われる。カラス駆動リーチの実行時には、後述する主制御基板Cの制御によって役物駆動ソレノイド13が3秒間オンされて可動部材12が前進した状態(図2(b)の状態)となり、可動部材12によって球が図柄作動口4aへ入賞し易いように誘導される。このため、遊技者には、カラス駆動リーチの実行時に図柄作動口4aへ球を誘導する移送経路10aに球が流入し易い遊技状態が付与される。
【0032】
このように、主制御基板Cの制御によって可動部材12が後退した状態から前進状態に切り替えられると、可動部材12によって球が移送経路10aの球流入口10bへ流入し易い状態となるので、遊技者は、移送経路10aを経由して図柄作動口4aに誘導される球の数を増加させることができる。移送経路10aの球流入口10bに流入した球は、センターフレーム10の左側の経路を流下する場合より高確率で、図柄作動口4aにほぼ確実に誘導されるので、遊技者は、可動部材12が前進状態になっているときにはより多くの球が図柄作動口4aに入賞することを期待することができる。よって、可動部材12の状態に応じて遊技者に異なる期待感を持たせつつ弾球遊技を意識させることができ、弾球遊技による興趣を付与することができる。
【0033】
また、センターフレーム10の左側の経路を流下する球は、図示しない釘によって複数の方向に分散させられ、ほぼ10球から20球に1球の確率で図柄作動口4aの上部へ誘導されてから図柄作動口4aに入球する一方、移送経路10aに流入した球は、移送経路10a、ステージ10c、及び、出口レール10eを経由して図柄作動口4aの上部へ誘導されてから図柄作動口4aにほぼ確実に入賞する。よって、遊技者には、可動部材12の状態に応じて一定の経路を経由する固定的な態様で球が流下して図柄作動口4aへ入賞するか、それとも複数の方向に分散させられつつ球が様々な態様で流下して図柄作動口4aへ入賞するかを、可動部材12の状態に応じて変化させて遊技者に視認させることができ、弾球遊技に変化を持たせて弾球遊技を視認する興趣を高めることができる。
【0034】
また、遊技者は、所定の遊技価値が付与される場合に予め定めた表示結果を現出する変動表示に注目して遊技を行うものであり、主制御基板Cは、その変動表示に対応づけて可動部材12の前進及び後退の切り替え動作を制御する。よって、遊技者が注目する変動表示に可動部材12が連動し、遊技中に可動部材12を視認していない遊技者にも可動部材12の切り替え動作を判り易く示すことができる。
【0035】
また、可動部材12の状態の切り替えに対応づけられたカラス駆動リーチがLCD3によって行われる場合には、可動部材12によって球がセンターフレーム10の移送経路10aの球流入口10bへ流入し易い状態となる。このため、遊技者は、球を移送経路10aの球流入口10bを狙って球を遊技領域8へ打ち込むことにより、可動部材12が通常の状態(図2(a)の状態)を形成する場合に比べて多くの球を移送経路10aを介して図柄作動口4aへ誘導することができる。よって、遊技者の意識を可動部材12によって一時的に球が流入し易くなった移送経路10aの球流入口10bへ向けさせ、遊技者が遊技領域8の中で弾球遊技を意識する領域を、変動表示を始動させる図柄作動口4a周辺のみでなく拡大し、弾球遊技による遊技の興趣を遊技者により多く付与することができる。
【0036】
なお、リーチ表示とは、LCD3において図柄の変動表示が開始された後、先に停留する図柄の組み合わせが大当たりの条件を満たしており、変動表示が続いている図柄の表示結果如何によっては大当たりとなることを遊技者に示唆する表示である。示唆演出とは、変動表示の途中でLCD3の表示画面に所定の図柄を現出させたり、スピーカ39から特定の効果音を出力したり、或いは、操作ハンドルを振動させる等の演出であって変動後の表示結果が大当たりとなって所定の遊技価値が付与されることを遊技者に前もって示唆するものである。この示唆演出は、所定の遊技価値の付与を前もって遊技者に気付かせるために行われるだけでなく、所定の遊技価値が付与されない場合に遊技者を暗にそそのかすためにも行われる。
【0037】
カバー部材14は、球の流下方向に沿った上流側から流下する球から可動部材12を保護するための部材であり、可動部材12の上下及び左側を囲うように配設されている。このカバー部材14は、遊技領域2cを覆うガラスに近接する位置まで突出した板状の合成樹脂によって形成されると共に、その上面が右側に向けて下方に傾斜して形成されている。可動部材12に向けて流下する球は、まずカバー部材14の上面に当接する。カバー部材14の上面に当接した球は、その上面の傾斜に沿って右側へと案内され、可動部材12とセンターフレーム10との間を流下する。よって、可動部材12の後退時に可動部材12へ当接する球数を低減することができ、可動部材12の変形や破損を防止することができる。
【0038】
また、可動部材12は、カラス駆動リーチの実行時に前進した状態となった場合にのみ球の流下経路上に突出して球の経路を変更する一方、カラス駆動リーチが行われていない通常状態においては、可動部材12が後退することにより流下経路から外れて球に当接しない位置に配置されているので、球の流下経路に影響を及ぼすことがない。よって、カラス駆動リーチの実行時以外の状態においては、球の流下経路に可動部材が影響を及ぼすことがなく、球がスムースに流下する遊技性を確保することができる。なお、カバー部材14は、必ずしも合成樹脂によって形成する必要はなく、可動部材12の上側に複数の釘を並べて打設することにより球を可動部材12に当接しないように案内するものであっても良い。
【0039】
次に、図3を参照してセンターフレーム10のステージ10c中央に配設された球放出ソレノイド15の動作について説明する。図3(a)は図1の矢印IIIa方向から見たセンターフレーム10を示した図であり、図3(b)は図1のIIIb−IIIb線でセンターフレーム10を断面視して示した図である。なお、図3(a)及び図3(b)においては、センターフレーム10と共に、図柄作動口4aと球放出ソレノイド15と貯留球検出スイッチ16とを併せて示している。また、図面の理解の容易のために、図3(a)及び図3(b)においては球放出ソレノイド15を断面視しないで示すと共に、図3(b)においてはステージ10c上に球が貯留された状態を示している。
【0040】
センターフレーム10のステージ10cは、図3(a)に示すように、上面視において左右対称に形成されており、その中央部に設けられる出口レール10eに向けて下降して形成されている。ステージ10cに案内された球は、出口レール10eに達した後、球を貯留するための突起10fによって出口レール10eの奥側(図3(a)の上側)に貯留され、その貯留された球の後にステージ10c上に導かれた球は、図3(a)に鎖線で示すように、出口レール10eに向けてステージ10c上にほぼ一列に並んで貯留される。出口レール10eの奥方(図3(a)の上側)には、突起10fによって出口レール10e上に貯留された球を図柄作動口4aへ向けて放出するための球放出ソレノイド15が配設されている。
【0041】
球放出ソレノイド15は、出口レール10e上に貯留された球の貯留を解除して球を放出するための部材であり、一般的な電磁ソレノイドで構成されたものである。この球放出ソレノイド15は、図3(b)に示すように、球を出口レール10eの前方に押圧するアーム15aと、アーム15aをステージ10cの前後にスライド移動可能に支持する本体15bと、アーム15aをステージ10cの後方(図3(b)の右側)に付勢するためのスプリング15cとを備えている。この球放出ソレノイド15は、本体15bがセンターフレーム10の一部に図示しないビスで固定されている。球放出ソレノイド15が非通電の状態では、スプリング15cの作用により本体15bに対してアーム15aがステージ10cの後方側に最大に移動した状態となっており、図3(a)に示すように、突起10fとアーム15aとの間に1個の球を貯留可能な隙間を形成する。このため、球放出ソレノイド15が非通電の状態では、ステージ10c上に導かれた球は、突起10fによって出口レール10e上に貯留される。
【0042】
球放出ソレノイド15が通電されて駆動されると、本体15bに対してステージ10cの前方(突起10f側)へアーム15aが移動し、出口レール10e上の突起10fとアーム15aとの間の隙間が縮められる。球放出ソレノイド15が非通電の状態においてアーム15aと突起10fとの間に球が貯留されている場合には、その貯留球は、アーム15aの押圧によって突起10fを乗り越え、出口レール10eの傾斜に沿って出口レール10eの前側(図3(a)の下側)に設けられる図柄作動口4aへ入賞する。図柄作動口4aへ入賞した球は、図柄作動口4aの奥側(図3(b)の右側)に設けられた通路を経由して遊技盤2の裏面側へと案内される。
【0043】
貯留球検出スイッチ16は、投光部と受光部とを有し、投光部から発光された光の反射光を受光部で受光してオンオフが切り替えられる一般的なフォトセンサによって構成されている。この貯留球検出スイッチ16は、図3(b)に示すように、出口レール10eの突起10f奥側の床下に配設されており、突起10fによって球が出口レール10eに貯留されている場合にオンされ、出口レール10eに球の貯留が無い場合にオフされる。この貯留球検出スイッチ16がオンすると、オン信号が後述する主制御基板Cに入力され、主制御基板Cは、そのオン信号が入力された場合に遊技者に球の貯留を示唆する演出を表示用制御基板Dに実行させると共に上皿ボタン56の操作を有効にし、その操作が行われた場合に出口レール10eに貯留された球の貯留を解除する。
【0044】
このように、センターフレーム10の移送経路10aに流入した球は、出口レール10e上の突起10fによって出口レール10eの奥側に貯留され、その球の貯留は、上皿ボタン56が操作されて球放出ソレノイド15が作動すると解除される。このため、遊技者は、自らの操作によって球放出ソレノイド15を作動させることにより、自らの意図するタイミングで球の貯留を解除するという、球の流下に遊技者が直接的に関与する遊技を行わせることができ、移送経路10aの球流入口10bへより多くの球が流入することを期待して遊技を行わせることができる。よって、可動部材12の状態に応じて移送経路10aの球流入口10bに流入する球の数が増減することで、球の流下に遊技者が直接的に関与する遊技の機会を一時的に高めることができ、弾球遊技に対する注目と興趣とを高めることができる。
【0045】
なお、貯留球検出スイッチ16は、必ずしも投光部と受光部とを有するフォトセンサによって構成する必要はない。出口レール10eの突起10fによって球が貯留されているか否かによってオンオフを切り替えるものであれば良く、例えば、機械的に可動する可動片の動作によってオンオフが切り替えられるいわゆるマイクロスイッチによって貯留球検出スイッチを構成し、出口レール10eの床面から可動片を突出させて球の貯留の有無を検出しても良い。
【0046】
図4は、パチンコ機1の電気的構成を示したブロック図である。パチンコ機1の主制御基板Cには、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU21が搭載されている。このMPU21には、MPU21により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM22と、そのROM22内に記憶される制御プログラムの実行に当たって各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM23と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。図5に示す演出選定テーブル22aは固定値データの一部としてROM22に記憶されており、これら各テーブルの詳細については図5を参照して後述する。また、図9から図14に示すフローチャートのプログラムは、制御プログラムの一部としてROM22内に記憶されている。
【0047】
RAM23は、保留球カウンタ23aと、内部乱数カウンタ23bと、リーチ乱数カウンタ23cと、大当たり図柄カウンタ23dと、ハズレ図柄カウンタ23eと、変動パターンカウンタ23fと、演出実行エリア23gと、演出実行1〜4メモリ23h〜23kと、カウンタ用バッファ23lと、放出実行フラグ23mとを備えている。
【0048】
保留球カウンタ23aは、変動表示の保留回数を記憶するカウンタである。保留球カウンタ23aの値は、LCD3で変動表示が行われていない場合または変動表示が行われているが保留中の変動表示がない場合には「0」、保留中の変動表示が1回の場合には「1」、・・・、保留中の変動表示が4回の場合には「4」となる。本実施例のパチンコ機1では、変動表示の最大保留回数は4回であるので、保留球カウンタ23aの値は「0」から「4」の範囲で変化する。保留球カウンタ23aの値のカウントアップは、図柄作動口4aへ入賞した球が第1種始動口スイッチ24で検出された場合に行われ(図10、S23参照)、カウントダウンは、変動表示の開始時に行われる(図10、S28参照)。
【0049】
ここで、MPU21には、電源断時においてもバックアップ電圧が供給されている。よって、停電などの発生によって電源がオフされても、MPU21のRAM23のデータは保持(バックアップ)される。従って、RAM23に設けられた保留球数カウンタ23aの値(変動表示の保留回数)は停電時においても保持され続けて、停電の解消後に残りの保留回数分の変動表示を行うことができる。また、RAM23には、賞球の払い出し残数も記憶されており、停電解消後に残りの賞球の払い出しも行うことができる。
【0050】
内部乱数カウンタ23bは、大当たりの発生を決定するためのカウンタであり、後述するカウンタ更新処理(図9、S14参照)によって、「0〜599」の範囲内で順に1ずつ加算されて更新され、最大値(つまり599)に達した後に再び「0」に戻される。この内部乱数カウンタ23bの値は、遊技盤2の前面に打ち込まれた球が図柄作動口4aへ入賞して後述する第1種始動口スイッチ24で検出されたとき(始動入賞時)に取得され、通常時には、このとき取得された内部乱数カウンタ23bの値が「7」または「307」であった場合に大当たりの発生が確定する。
【0051】
大当たりの発生が確定すると、主制御基板Cから後述する表示用制御基板Dへ大当たりとなる図柄の組み合わせ(大当たり図柄)を示す停止図柄コマンドが送信され、表示用制御基板Dは、その停止図柄コマンドに基づいてLCD3の変動後の表示結果を大当たりとなる図柄の組み合わせとする。なお、遊技者に所定の遊技価値(特別遊技状態)を付与するか否かの抽選は、この内部乱数カウンタ23bの値に基づいて後述する通常表示コマンド決定処理のS41の処理(図11参照)及び特別表示コマンド決定処理のS51の処理(図12参照)で行われる。始動入賞時に取得された内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値であれば、所定の遊技価値を付与する抽選結果の導出(当選)となる。
【0052】
リーチ乱数カウンタ23cは、ハズレリーチの発生を決定するためのカウンタである。変動表示の途中でリーチ表示を現出させてからハズレとなるハズレリーチとするか、リーチ表示を現出させない通常のハズレとするかは、リーチ乱数カウンタ23cの値に基づいて決定される。リーチ乱数カウンタ23cの値は、後述するカウンタ更新処理(図9、S14参照)によって、「0〜11」の範囲内で順に1ずつ加算されて更新され、最大値(つまり11)に達した後に再び「0」に戻される。
【0053】
このリーチ乱数カウンタ23cの値は、前記した内部乱数カウンタ23bの値と同様に始動入賞時に取得され、前記した内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値でなく、且つ、取得されたリーチ乱数カウンタ23cの値が「7」である場合にハズレリーチの発生が確定する。このハズレリーチの発生時には、後述するカウンタ用バッファ23lに記憶されるハズレリーチ図柄(ハズレリーチを構成する図柄の組み合わせ)が停止図柄コマンドに設定され(図11、S45及び図12、S55参照)、そのハズレリーチ図柄が変動後の表示結果として現出する。なお、始動入賞時に取得されたリーチ乱数カウンタ23cの値は、前記した内部乱数カウンタ23bの値と共に、保留球カウンタ23aの値が示す演出実行1〜4メモリ23h〜23kに書き込まれて記憶される(図10、S25参照)。
【0054】
大当たり図柄カウンタ23dは、大当たりのときにLCD3に停止表示される大当たり図柄(特別図柄)を決定するためのカウンタである。本実施例のパチンコ機1においては、「0」から「9」までの数字で構成された10種の図柄によってLCD3で変動表示が行われ、LCD3の表示領域に表示される3つの図柄が同一の図柄で停止表示された場合に大当たりが発生する。大当たり図柄カウンタ23dの値は、後述するカウンタ更新処理(図9、S14参照)によって、大当たりを発生させる10種の図柄に対応した「0〜9」の範囲内で順に1ずつ加算されて更新され、最大値(つまり9)に達した後に再び「0」に戻される。
【0055】
この大当たり図柄カウンタ23dの値は、前記した内部乱数カウンタ23b及びリーチ乱数カウンタ23cと共に始動入賞時に取得され、同時に取得された内部乱数カウンタ23bの値に基づいて大当たりの発生が確定すると、その大当たりを発生させる変動表示に対して停止表示される大当たり図柄として、大当たり図柄カウンタ23dの値が使用される。即ち、大当たり図柄カウンタ23dの値と同一の数字を3つ並べて組み合わせた図柄が停止図柄コマンドとして設定される(図11、S42及び図12、S52参照)。なお、始動入賞時に取得された大当たり図柄カウンタ23dの値は、前記した内部乱数カウンタ23b及びリーチ乱数カウンタ23cの値と共に、保留球カウンタ23aの値が示す演出実行1〜4メモリ23h〜23kに書き込まれて記憶される(図10、S25参照)。
【0056】
ハズレ図柄カウンタ23eは、ハズレ時にLCD3に停止表示される図柄の組み合わせ(ハズレ図柄)を決定するためのカウンタである。このハズレ図柄カウンタ23eは、各カウンタがLCD3の左側、中央、右側の3つの表示領域に表示される図柄に対応づけられた3つの図柄カウンタで構成されている。ハズレ図柄カウンタ23eは、後述するハズレ図柄カウンタ更新処理(図9、S17参照)によって「0」から「9」まで1ずつ加算されて更新され、「9」に達した後に再び「0」に戻される。また、右側の図柄の図柄カウンタが最大値に達した場合に中央の図柄の図柄カウンタが1加算されて更新され、中央の図柄の図柄カウンタが最大値に達した場合に左側の図柄の図柄カウンタが1加算されるようになっている。前記した内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値でなく、且つ、リーチ乱数カウンタ23cの値がハズレリーチを発生させる値でない場合における変動表示の停止図柄は、ハズレ図柄カウンタ23eの値に従ってLCD3に表示されるものであり、ハズレ図柄カウンタ23eの値が停止図柄コマンドに設定されることにより行われる(図11、S47参照)。
【0057】
変動パターンカウンタ23fは、LCD3を変動表示させるパターン(変動パターン)の決定に使用するカウンタであり、本実施例では「0〜99」まで順に1ずつ加算されて更新され、最大値(つまり99)に達した後再び「0」に戻される。この変動パターンカウンタ23fの値は、変動表示の開始時に実行される通常表示コマンド決定処理(図10、S32参照)において参照される場合があり、この場合には、参照された変動パターンカウンタ23fの値に応じたデータ(パターン)が図4に示す演出選定テーブル22aから読み出され、表示用制御基板Dに送信される変動パターンコマンドとして設定される(図11、S46参照)。
【0058】
演出実行エリア23gは、LCD3で実行中の変動表示に対する内部乱数カウンタ23b、リーチ乱数カウンタ23c、大当たり図柄カウンタ23d、及び、ハズレ図柄カウンタ23eの値を変動表示のデータ(変動表示情報)として記憶するためのエリアである。この演出実行エリア23gには、LCD3で変動表示が実行中でなく、且つ、保留球カウンタ23aの値が「1」以上で保留中の変動表示がある場合に、保留中の変動表示のうち最初に書き込みが行われた演出実行1メモリ23hに記憶されている変動表示のデータが書き込まれる(図10、S29参照)。
【0059】
演出実行1〜4メモリ23h〜23kは、保留中の変動表示に対する内部乱数カウンタ23b、リーチ乱数カウンタ23c、大当たり図柄カウンタ23d、及び、ハズレ図柄カウンタ23eの値を変動表示のデータとして記憶するメモリである。この演出実行1〜4メモリ23h〜23kへの変動表示のデータの書き込みは、始動入賞時に実行される。また、本実施例における変動表示の保留回数は最大4回であるので、4つの演出実行1〜4メモリ23h〜23kが設けられている。これら4つの演出実行1〜4メモリ23h〜23kに保留中のデータがある場合には、1回の変動表示毎に1つずつ演出実行エリア23gにデータが書き込まれて使用される。
【0060】
カウンタ用バッファ23lは、更新中のカウンタ値を一時的に記憶するための領域であり、上記した各カウンタ23b〜23fの値は、更新される毎にカウンタ用バッファ23lに書き込まれて記憶される。また、後述するハズレ図柄カウンタ更新処理(図9、S17参照)によってハズレ図柄カウンタ23eの値が更新された場合に、ハズレリーチを構成する図柄の組み合わせを示す値(カウント値)となったとき、そのカウント値をハズレリーチの発生時に使用する値として記憶する。具体的には、ハズレ図柄カウンタ23eを構成する左側の図柄の図柄カウンタと右側の図柄の図柄カウンタとが同一図柄を停止表示させるカウント値の組み合わせとなり、且つ、その図柄とは異なる図柄を中央の図柄の図柄カウンタが示している場合(例えば、左側、中央、右側の図柄の組み合わせが「767」や「151」などとなっている場合)に、ハズレ図柄カウンタ23eのカウント値がハズレリーチを構成する図柄の組み合わせを示す値としてカウンタ用バッファ23lに記憶される。
【0061】
放出実行フラグ23mは、センターフレーム10のステージ10c上に貯留された球の貯留を解除する放出操作が遊技者によって行われたことを認識するためのフラグである。この放出実行フラグ23mは、遊技者が上皿ボタン56を押下して球放出スイッチ17がオンとなった場合にオンされる(図13、S66参照)。放出実行フラグ23mがオン状態である場合における始動入賞は、遊技者の放出操作によるものと判断され(図10、S31参照)、変動パターンとして遊技者の放出操作に連動した特別な変動パターン(後述する「パターンF」から「パターンI」のいずれか)が設定される。この放出実行フラグ23mは、放出実行フラグ23mがオン状態である場合に始動入賞が成立するとオフされて、オフ状態における始動入賞は、遊技者の放出操作によるものでないと判断され、通常の始動入賞時に選定される変動パターン(後述する「パターンA」から「パターンE」のいずれか)が設定される。
【0062】
かかるROM22およびRAM23を内蔵したMPU21は入出力ポート25と接続されており、入出力ポート25は、払出用モータ26によって賞球や貸球の払出制御を行う払出制御基板Hと、前記した図柄の変動表示等の制御を行う表示用制御基板Dと、第1種始動口スイッチ24と、役物駆動ソレノイド13と、球放出ソレノイド15と、貯留球検出スイッチ16と、球放出スイッチ17と、そのほか、他の入出力装置28とにそれぞれ接続されている。
【0063】
払出制御基板Hには、遊技盤2の前面に球を発射するための発射用モータ27について駆動の許可と禁止とを制御するための発射制御基板Bが接続されている。遊技者が操作ハンドル58を操作しており、且つ、遊技者が図示しないストップスイッチを押下していない場合には、発射制御基板Bは、発射用モータ27の駆動を許可して球の発射を行わせる。
【0064】
表示用制御基板Dは、MPU31、ビデオRAM34、キャラクタROM35、画像コントローラ36、入出力ポート38、出力ポート37等を備えている。入出力ポート38の一方には、主制御基板Cの入出力ポート25と、音声ランプ制御基板Lとが接続され、入出力ポート38の他方には、バスラインを介してMPU31が接続されている。また、出力ポート37の入力には画像コントローラ36が接続され、出力ポート37の出力にはLCD3が接続されている。
【0065】
表示用制御基板DのMPU31は、主制御基板Cから送信される制御用コマンドに基づいて、LCD3の(変動)表示を制御するためのものであり、ROM32とRAM33とを備えている。ROM32には、MPU31により実行される各種の制御プログラムや固定値データが記憶されている。RAM33は、MPU31による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグが記憶されるメモリであり、このRAM33には、演出実行エリア33aが設けられている。
【0066】
演出実行エリア33aは、主制御基板Cから送信される表示コマンドを受信した場合に、その表示コマンドに付加される変動パターン及び停止図柄に関するデータを記憶するためのものである。表示用制御基板Dが表示コマンドを受信すると、その表示コマンドに付加される変動パターン及び停止図柄に関するデータが演出実行エリア33aに書き込まれ、その書き込まれたデータに従って表示用制御基板Dは変動表示を実行する。
【0067】
ビデオRAM34は、LCD3に表示される表示データが記憶されるメモリであり、このビデオRAM34の内容を書き換えることにより、LCD3の表示内容が変更される。キャラクタROM35は、LCD3に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するためのメモリである。画像コントローラ36は、MPU31、ビデオRAM34、出力ポート37のそれぞれのタイミングを調整して、データの読み書きを介在するとともに、ビデオRAM34に記憶される表示データをキャラクタROM35を参照して所定のタイミングでLCD3に表示させるものである。
【0068】
音声ランプ制御基板Lは、スピーカ39から出力される効果音の音声制御とLEDや保留ランプ5等の各種ランプ40の点灯制御を行うものである。音声ランプ制御基板Lは、表示用制御基板Dから送信されるコマンドによって制御されるものであり、表示用制御基板Dによって制御されるLCD3と、音声ランプ制御基板Lによって制御されるスピーカ39と各種ランプ40とが同期して各種の演出が実行される。
【0069】
第1種始動口スイッチ24は、図柄作動口(第1種始動口)4に入賞した球を検出するためのスイッチであり、図柄作動口4aの近傍に設けられている。第1種始動口スイッチ24によって球が検出されると、図示しない払出装置によって5個の賞球が払い出される。また、第1種始動口スイッチ24によって球が検出された場合には、内部乱数カウンタ23b等の値が取得され、その取得された値に従った変動表示が実行される。
【0070】
役物駆動ソレノイド13は、自己保持型のキープソレノイドであり、従来のオープンフレームソレノイドに永久磁石を組み合わせて構成されている。役物駆動ソレノイド13は、内蔵するコイルへの瞬時通電により、一部分が本体から突出して形成されたシャフトが更に外方へと突出してオン状態を形成し、その突出したオン位置において永久磁石によりシャフトが吸着保持される。一方、役物駆動ソレノイド13をオフする場合には、シャフトが外方へと突出した状態で逆電力の瞬時通電を行ってシャフトの突出量が縮められたオフ状態を形成し、その縮められたオフ位置で永久磁石にシャフトが吸着保持される。このシャフトには可動部材12が連結されており、シャフトの突出量に応じて可動部材12の前進状態(図2(b)参照)と後退状態(図2(a)参照)とが選択的に形成される。よって、一時的に役物駆動ソレノイド13を通電して可動部材12を前進させることができるので、役物駆動ソレノイド13の発熱等による破損を考慮することなく可動部材12の前進状態を長く維持することができる。
【0071】
なお、可動部材12の位置を検出するためにシャフトの突出状態を検出するスイッチを役物駆動ソレノイド13に内蔵させたり、役物駆動ソレノイド13とは別に可動部材12の一部に当接して可動部材12が前進状態か否かを検出するスイッチを設けることが好ましい。役物駆動ソレノイド13をキープソレノイドとする場合には、そのオン状態が継続する故障の発生時に遊技場が多大な不利益を被ることとなるが、スイッチの状態によって表示用制御基板Dに可動部材12の位置を検出させることにより、可動部材12が表示用制御基板Dによる制御に従って正確に動作しているか否かを確認して、エラー時にはスピーカ39やランプ40を介して外部に状態を的確に告知することができる。
【0072】
球放出ソレノイド15は、上述したように、センターフレーム10の出口レール10e上に貯留された球の貯留を解除するためのソレノイドであり、貯留球検出スイッチ16は、出口レール10e上に球が貯留された状態であることを検出するスイッチである。球放出スイッチ17は、上皿ボタン56が押下された場合にオンする押しボタンタイプのスイッチである。この球放出スイッチ17は、貯留球検出スイッチ16がオンであって出口レール10e上に球が貯留された状態でオンされた場合には、主制御基板Cの制御によって球放出ソレノイド15が駆動される。これにより、球の貯留状態が解除され、貯留されていた球が図柄作動口4aへ向けて放出される。
【0073】
次に、図5を参照して、変動パターンカウンタ23fの値に応じたデータが設定された演出選定テーブル22aについて説明する。図5は、変動パターンの選定に使用する演出選定テーブル22aの構成を模式的に示した図である。
【0074】
演出選定テーブル22aは、ハズレリーチ時に実行する変動パターンの選定に使用するテーブルである。この演出選定テーブル22aには、リーチ表示を伴うハズレリーチを発生する変動パターンとして「パターンB」から「パターンE」までの4種類の変動パターンが設定されている。
【0075】
ここで、図6から図8を参照してパチンコ機1に設定された各変動パターンについて説明する。図6及び図7は、通常の始動入賞時にLCD3で行われる変動表示の表示画面を例示した図である。図8は、遊技者の放出操作による始動入賞時におけるLCD3の表示画面を示した図である。なお、図8においては、図面の理解の容易のためにLCD3と共に図柄作動口4aとセンターフレーム10とを併せて示している。
【0076】
パチンコ機1には、変動パターンとして、ハズレリーチを発生する4種類の変動パターンと、別の5種類の変動パターンとが設定されており、「パターンA」から「パターンI」まで計9種類が設定されている。
【0077】
「パターンA」は、リーチ表示を伴わないハズレ図柄を表示するパターンである。「パターンA」では、LCD3の上段の表示領域3aに表示される3つの図柄リールの変動を開始した後(図6(a)の状態)、7秒後に左側の図柄リールの変動を停止し、8秒後に右側の図柄リールの変動を停止し(図6(b)の状態)、9秒後に中央の図柄リールの変動を停止する。「パターンA」では、LCD3の下段の表示領域3bに、ゴルフのプレーヤーを模したキャラクタのアニメーションを表示する。具体的には、変動表示の開始から徐々にゴルフクラブのスイングを開始し、右側の図柄リールの変動停止と同時にゴルフプレーヤーが空振りするアニメーションを表示する。なお、図柄リールとは、LCD3に表示される「0〜9」の図柄が縦方向に順に並べられた仮想的なリールである。
【0078】
「パターンB」は、グリーンリーチと称したパターンである。「パターンB」では、上段の表示領域3aで変動表示を開始した後(図6(a)の状態)、7秒後に左側の図柄リールの変動を停止し、8秒後に右側の図柄リールの変動を停止してリーチ表示を現出させる(図6(c)の状態)。このとき、下段の表示領域3bには、ゴルフプレーヤーがボールを打って、ボールが飛んで行くアニメーションを表示する。
【0079】
右側の図柄リールの変動停止後、中央の図柄リールを4秒間(即ち、変動開始後12秒経過するまで)スクロールさせて停止する。下段の表示領域3bには、グリーンにボールが落ちてグリーンのカップに向かって転がって行くアニメーションを表示し、中央の停止図柄が、先に停止した左右の図柄と同一であって、大当たりを表示するときには、ボールがグリーン上の穴(カップ)に入る(カップインする)アニメーションを表示する(図6(d)参照)。一方、中央の停止図柄が、先に停止した左右の図柄と異なり、ハズレである場合には、ボールがカップからずれた位置で停止するアニメーションを表示する。
【0080】
「パターンC」は、池ハズレリーチと称したパターンであり、「パターンB」に対して右側の図柄リールの変動停止後に、下段の表示領域3bに表示されるアニメーションのみが異なるものである。右側の図柄リールの変動停止後に、下段の表示領域3bには、池にボールが落ちるアニメーションを表示する(図7(a)参照)。
【0081】
「パターンD」は、草むらリーチと称したパターンであり、「パターンB」に対して右側の図柄リールの変動停止後に下段の表示領域3bに表示されるアニメーションが異なるものである。右側の図柄リールの変動停止後、下段の表示領域3bには、草むらにボールが落ちるアニメーションを表示する(図7(b)参照)。
【0082】
「パターンE」は、カラス駆動リーチと称したパターンであり、「パターンD」に対して中央の図柄リールの変動停止後も演出が継続して行われるものである。中央の図柄リールの変動停止後(変動開始から12秒経過した後)、下段の表示領域3bには、カラスが草むらのボールを拾い上げて左側に飛んでいくアニメーション(図7(c)参照)が3秒間表示される(以下、この表示をカラスチャンス表示と称す)。このカラスチャンス表示の現出中には、カラスを模した可動部材12が斜め上方に前進するように役物駆動ソレノイド13がオンされ、可動部材12によってセンターフレーム10の移送経路10aへ球が流入し易い状態(以下、この状態をカラスチャンスと称す)が維持される(図2(b)参照)。
【0083】
カラスチャンス表示が現出してから3秒経過すると役物駆動ソレノイド13がオフされて可動部材12が後退する(図2(a)参照)。役物駆動ソレノイド13がオンされて可動部材12が前進した状態においては、球がセンターフレーム10の移送経路10aに流入し易く、移送経路10aを経由してステージ10c中央の出口レール10e上に貯留され易い。遊技者は、3秒間のカラスチャンス中には、センターフレーム10の左側に球が流下するように操作ハンドル58を操作し、ほぼ全て移送経路10aに流入させることにより、約5,6個の球が出口レール10eからステージ10cにかけて貯留される。
【0084】
なお、パチンコ機1においては、リーチ表示を伴う「パターンB」から「パターンE」までの4種類の変動パターンのうち大当たり時に設定される変動パターンは、「パターンB」のみとなっている。「パターンC」から「パターンE」までは、変動後の表示結果がハズレである場合にのみ実行される変動パターンであり、始動入賞時に取得された内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させるものでない場合に限って選定される。また、上述した「パターンA」から「パターンE」は、通常の始動入賞時に選定される変動パターンである。
【0085】
「パターンF」から「パターンI」は、遊技者の放出操作による始動入賞時に選定される特別な変動パターンである。カラスチャンス時にセンターフレーム10の出口レール10e上に貯留した球を、遊技者が上皿ボタン56を押下して図柄作動口4aに入賞させた場合には、「パターンF」から「パターンI」のちいずれかが変動パターンとして選定される。この「パターンF」から「パターンI」は、変動表示の開始を待機するデモ画面のうち、貯留球検出スイッチ16がオンであって出口レール10e上の球の貯留を検出している場合に実行される特別デモ画面の表示後に実行されるものであり、特別デモ画面による演出に始動入賞後の演出が継続するように設定された変動パターンである。
【0086】
特別デモ画面の表示中には、LCD3の上段の表示領域3aに「よく狙え!」の表示と、「3」、「2」、「1」、「0」の4つの数字が表示され、下段の表示領域3bには、あたかも出口レール10e上に貯留された球を叩くかのようにゴルフクラブの先端側を出口レール10e側に向けてゴルフクラブを握っているゴルフプレーヤーが表示され、出口レール10e上に貯留される球を、下段の表示領域3bの表示に関連づけて演出が行われる。
【0087】
特別デモ画面の表示中に遊技者が上皿ボタン56を押下する放出操作を行って球放出スイッチ17がオンされた場合には、遊技者の操作に連動するように下段の表示領域3bにゴルフプレーヤーがスイングして球を打った状態を表示すると共に(図8(b)参照)、出口レール10e上の球の貯留を解除して図柄作動口4aに向けて球を放出する。その後、図柄作動口4aに球が入賞すると、始動入賞となって特別デモ画面に連続して、「パターンF」から「パターンI」のいずれかの変動表示を開始する。
【0088】
「パターンF」は、遊技者による球の放出操作によって大当たりが発生したときに設定されるパターンである。この「パターンF」では、上段の表示領域3aには、変動開始時に左右の図柄リールが停止してリーチ表示を現出させる(図6(c)参照)。変動開始後、中央の図柄リールを3秒間スクロールさせてから、中央の停止図柄を、先に停止した左右の図柄と同一の図柄で停止し、大当たりを表示する。下段の表示領域3bには、グリーンに乗ったボールがカップに向かって転がった後にカップインするアニメーションを3秒間で表示する。
【0089】
「パターンG」は、遊技者による球の放出操作が行われた場合におけるハズレ時に設定されるパターンの1つである。この「パターンG」は、「パターンF」に対して中央の停止図柄を、先に停止した左右の図柄と異なる図柄で停止するものである。下段の表示領域3bには、グリーンに乗ったボールがカップに向かって転がった後、カップの手前で停止するアニメーションを3秒間で表示する。
【0090】
「パターンH」は、「パターンG」と同様、遊技者による球の放出操作が行われた場合におけるハズレ時に設定されるパターンの1つである。この「パターンH」は、「パターンG」に対して下段の表示領域3bに表示されるアニメーションのみが異なるものである。下段の表示領域3bには、グリーンに乗ったボールがカップに向かって転がった後、カップの奥側で停止するアニメーションを3秒間で表示する。
【0091】
「パターンI」は、「パターンG」及び「パターンH」と同様、遊技者による球の放出操作が行われた場合におけるハズレ時に設定されるパターンの1つである。この「パターンI」も、「パターンG」に対して下段の表示領域3bに表示されるアニメーションのみが異なるものである。変動開始後、下段の表示領域3bには、林の中にボールが落ちていく状態(OB)を表示するアニメーションを3秒間で表示する。
【0092】
ここで、特別デモ画面において、上段の表示領域3aに表示される4つの数字は、遊技者に大当たりの発生を決定づける内部乱数カウンタ23bの値を示すためのものであり、内部乱数カウンタ23bの1周期に相当する1.2秒間隔で「0」から「3」までの数字が降順に1つずつ点滅する。また、「0」の数字が点滅した後には、「3」の数字が再度点滅し、「3」から「0」の数字の点滅が繰り返して行われる。なお、内部乱数カウンタ23bは、「0〜599」の範囲内で計600個の値を取り得るカウンタであるので、後述するカウンタ更新処理によって2ms毎に1ずつ加算される。このため、内部乱数カウンタ23bの1周期は、600に2msを乗じた時間(即ち、1.2秒)となる。
【0093】
上段の表示領域3aに表示される数字の点滅が切り替わるタイミングは、大当たりを発生させる内部乱数カウンタ23bの値「7」を遊技者に示すものであり、「7」のカウント値に達するより一定時間(0.5秒)前に、点滅する数字を切り替えて表示する。パチンコ機1は、遊技者によって出口レール10e上の球の貯留を解除する放出操作が行われた後、貯留が解除された球が第1種始動口スイッチに検出されるまでには、毎回ほぼ0.5秒の時間を必要とするものであり、この時間分だけ、内部乱数カウンタ23bの値が「7」に達する前に点滅する数字を切り替える。点滅する数字を切り替えるときのカウント値としては、250回カウント値を更新した後に「7」に達する値である「357」となっている。よって、遊技者は、出口レール10e上の球の貯留を解除する放出操作のタイミングを、数字の点滅が切り替わるタイミングに一致させて行った場合に球の貯留解除後に図柄作動口4aへ入賞するタイミングを「7」の付近とすることができ、「3」から「0」まで放出操作を実行するタイミングをとりつつ大当たりを狙う遊技の興趣を遊技者に付与することができる。
【0094】
図5に戻って演出選定テーブル22aについて説明する。演出選定テーブル22aには、上述した「パターンB」から「パターンE」までの4種類の変動パターンに対する変動パターンカウンタ23fの値が区分けされている。具体的には「0〜99」の範囲内で更新される変動パターンカウンタ23fの値は、グリーンリーチの「パターンB」に対して「0〜39」、池ハズレリーチの「パターンC」に対して「40〜69」、草むらハズレリーチの「パターンD」に対して「70〜89」、カラス駆動リーチの「パターンE」に対して「90〜99」の4つの範囲に区分けされている。つまり、「パターンB」、「パターンC」、「パターンD」及び「パターンE」の変動パターンが40:30:20:10の比率に区分けされている。この演出選定テーブル22aでは、グリーンリーチと池ハズレリーチと草むらハズレリーチに比べ、カラス駆動リーチが最も少ない設定となっている。この演出選定テーブル22aには、グリーンリーチと池ハズレリーチと草むらハズレリーチとに比べて、カラス駆動リーチが最も少ない設定となっている。よって、カラス駆動リーチが設定された後のカラスチャンス表示中に可動部材12が3秒間前進し、球が移送経路10aの入口(球流入口10b)に流入し易い状態(カラスチャンス)を遊技者にとって限定されたものとして、カラスチャンスを期待する遊技の興趣を強調して遊技者に付与することができる。
【0095】
なお、変動パターンカウンタ23fの値は必ずしも演出選定テーブル22aにて設定した比率に区分けする必要はなく、各変動パターンの比率は別の比率に区分けしても良い。また、演出選定テーブル22aに設定する変動パターンは、必ずしも4種類に限るものでなく、2種類か3種類としても良く、又は、5種類以上としても良い。なお、変動パターンカウンタ23fの値は必ずしも演出選定テーブル22aにて設定した比率に区分けする必要はなく、各変動パターンの比率は別の比率に区分けしても良い。
【0096】
変動パターンを選定するための演出選定テーブル22aに基づいて変動パターンが決定されると、各変動パターン毎に対応させた「B〜D」のデータが表示コマンドを構成する1つのコマンド(変動パターンコマンド)として表示用制御基板Dに出力される。表示用制御基板Dは、変動パターンコマンドを受信した場合に、各変動パターンのデータに対応して設定された時間分の演出を実行する。
【0097】
次に、上記のように構成されたパチンコ機1で実行される各処理を、図9から図14の各フローチャートを参照して説明する。図9は、パチンコ機1の主制御基板Cにおいて実行されるメイン処理のフローチャートである。メイン処理では、バックアップデータがある場合の復元や、RAMやI/O等の各値の初期化、及び、タイマ割込等の各割込の設定を行う等の初期化処理(S11)を実行し、その後に、S12からS17の各処理を所定時間毎(本実施例においては、2ms毎)に繰り返し実行して、遊技の制御を行う。
【0098】
始動入賞変動開始処理(S12)では、球が図柄作動口(第1種始動口)4へ入賞したか否かを確認して変動表示の内容を設定すると共に、変動開始のタイミングであれば、変動表示を開始させる表示コマンドを表示用制御基板Dへ送信する。この始動入賞変動開始処理(S12)の詳細については、図10を参照して後述する。
【0099】
変動停止処理(S13)では、まず、大当たり中であるか否かを判定する。ここで、大当たり中には、大当たりの際にLCD3で表示される特別遊技の最中と特別遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。特別遊技終了後の所定時間は、例えばパチンコ機1の各状態を整えるのに要する時間などとして設定される。大当たり中ではないと判定されると、変動パターンにおける変動時間が終了しているか否かを判定する。この処理は、各変動パターン毎に設定された時間を経過したかを判定することにより行われる。変動時間が終了していれば、変動の停止と確認のために制御用コマンドの1つである確定コマンドを表示用制御基板Dへ出力し、この処理を終了する。表示用制御基板Dは、確定コマンドを入力すると、LCD3の変動表示を停止表示させる。
【0100】
カウンタ更新処理(S14)では、内部乱数カウンタ23b、リーチ乱数カウンタ23c、大当たり図柄カウンタ23d、変動パターンカウンタ23fの各カウンタの値を更新する。大当たり処理(S15)では、大当たりか否かを判定し、大当たりである場合には特定入賞口6(図1参照)の開放処理を行う。一方、大当たりでない場合には、該処理をスキップしてこの処理を終了する。特定入賞口6の開放処理では、球が入賞しやすいように特定入賞口6を所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放する。特定入賞口6の開放中に、球がVゾーン6aを通過すると、継続権を成立させて、特定入賞口6の閉鎖後、再度、その特定入賞口6を所定時間(又は、球が10個入賞するまで)開放する。この特定入賞口6の開閉動作を、最高で16回(16ラウンド)繰り返す。その他の処理(S16)では、賞球の払い出しを指示するコマンドを送信する等の他の処理を実行する。図14に示す役物駆動ソレノイド13を駆動させる役物ソレノイド駆動処理は、S16の処理の中で行われる。
【0101】
ハズレ図柄カウンタ更新処理(S17)では、ハズレ図柄カウンタ23eの値を更新する。その後、次のS12の処理の実行タイミングが到来するまでの残余時間の間、ハズレ図柄カウンタ更新処理(S17)を繰り返し実行する。S12〜S16の各処理は定期的に実行する必要があるので、S18の処理において、前回のS12の処理の実行からの経過時間をチェックする(S18)。チェックの結果、前回のS12の処理の実行から所定時間(2ms)経過していれば(S18:Yes)、処理をS12へ移行する。一方、所定時間経過していなければ(S18:No)、処理をS17へ移行して、ハズレ図柄カウンタ更新処理(S17)を繰り返す。ここで、S12〜S16の各処理の実行時間は、遊技の状態に応じて変化するので、次のS12の処理の実行タイミングが到来するまでの残余時間は、一定の時間ではない。よって、かかる残余時間を使用してハズレ図柄カウンタ更新処理(S17)を繰り返し実行することにより、ハズレ図柄カウンタ23eの値をランダムに更新することができる。
【0102】
図10は、主制御基板Cのメイン処理(図9参照)の中で実行される始動入賞変動開始処理(S12)のフローチャートである。この始動入賞変動開始処理(S12)は、保留球カウンタ23aの値が「3」以下であって演出実行1〜4メモリ23h〜23kに変動表示のデータを記憶可能な状態である場合に第1種始動口スイッチ24が球を検出して始動入賞が成立したとき、その始動入賞時における内部乱数カウンタ23bなどの値を変動表示のデータとして取得し、保留球カウンタ23aの値が示す演出実行1〜4メモリ23h〜23kに記憶させる処理である。また、始動入賞変動開始処理(S12)は、保留球カウンタ23aの値が「1」以上であるとき、LCD3において変動表示が行われていなく、且つ、大当たり中でなければ保留球カウンタ23aの値を「1」減算して保留中の変動表示のデータを演出実行エリア23gに書き込んで変動表示を実行させ、一方、変動表示が行われていれば保留中の変動表示の実行を保留(待機)させる処理である。
【0103】
この始動入賞変動開始処理(S12)では、まず、第1種始動口スイッチ24が球を検出したか否かを確認する(S21)。第1種始動口スイッチ24が球を検出していれば(S21:Yes)、次に、保留球カウンタ23aの値が「4」以上であるか否かを確認する(S22)。保留球カウンタ23aの値が「4」未満であれば(S22:No)、変動表示のデータが最大の保留回数分記憶されていないので、保留球カウンタ23aの値に「1」を加算する(S23)。その後、保留ランプ5を1つ点灯させるコマンドを表示用制御基板Dへ送信し(S24)、変動表示の保留回数を示す保留ランプ5を1つ点灯させる。更に、内部乱数カウンタ23b、リーチ乱数カウンタ23c、大当たり図柄カウンタ23d、及び、ハズレ図柄カウンタ23eの各値を変動表示のデータとして保留球カウンタ23aの値が示す演出実行1〜4メモリ23h〜23kに書き込み(S25)、処理をS26へ移行する。
【0104】
一方、S21の処理において、第1種始動口スイッチ24が球を検出していなければ(S21:No)、始動入賞の成立時でなく、また、S22の処理において保留球カウンタ23aの値が「4」以上であれば(S22:Yes)、変動表示の保留回数分設けられた演出実行1〜4メモリ23h〜23kの全てに変動表示のデータが書き込まれているので、S23〜S25の処理をスキップして処理をS26へ移行する。
【0105】
S26からの処理では、まず、変動表示中か又は大当たり中(所定の遊技価値が付与される特別遊技状態中)であるか否かを確認する(S26)。変動表示中でなく且つ大当たり中でなければ(S26:No)、保留球カウンタ23aの値が「1」以上であるか否かを確認する(S27)。「1」以上であれば(S27:Yes)、保留球カウンタ23aの値から「1」を減算して(S28)、演出実行1メモリ23hに記憶されている変動表示のデータを演出実行エリア23gに書き込む(S29)。
【0106】
次に、演出実行2〜4メモリ23i〜23kに記憶されている変動表示のデータを演出実行1〜3メモリ23h〜23jへそれぞれ1つずつシフトし(S30)、放出実行フラグ23mがオンか確認する(S31)。放出実行フラグ23mがオンでなければ(S31:No)、センターフレーム10の出口レール10eに貯留された球が遊技者により放出されて実行される変動表示でないので、変動パターンとして「パターンA」から「パターンE」のいずれかを選定する処理を行って変動パターンと停止図柄とを設定する通常表示コマンド決定処理を行い(S32、図11参照)、その通常表示コマンド決定処理(S32)により決定された表示コマンドを表示用制御基板Dに送信して(S33)、この始動入賞変動開始処理(S21)を終了する。一方、S31の処理において放出実行フラグ23mがオンでなければ(S31:No)、遊技者により放出された球が図柄作動口4aに入賞して開始される変動表示であるので、変動パターンとして「パターンF」から「パターンI」のいずれかを選定する処理を行って変動パターンと停止図柄とを設定する特別表示コマンド決定処理を行い(S34、図12参照)、処理をS33へ移行する。
【0107】
また、S27の処理において保留球カウンタ23aの値が「1」未満、即ち、「0」であることが確認された場合には(S26:No)、変動待機中に表示するデモ画面として遊技者に上皿ボタン56を操作するタイミングを示す特別デモ画面を表示用制御基板Dに表示させる変動待機時処理(S35、図13参照)を行い、この始動入賞変動開始処理(S21)を終了する。S26の処理において変動表示中か又は大当たり中であることが確認された場合には(S26:Yes)、S27からS35の処理をスキップして始動入賞変動開始処理(S12)を終了する。
【0108】
図11は、図10に示す始動入賞変動開始処理(S12)の中で実行される通常表示コマンド決定処理(S32)のフローチャートである。表示コマンドは、主制御基板Cから表示用制御基板Dに送信されるものであり、LCD3に表示される3つの図柄リールを下方に変動表示させた後の停止時の図柄を指定するための停止図柄コマンドと、変動表示の変動パターンを指定するための変動パターンコマンドとから構成されている。通常表示コマンド決定処理(S32)では、センターフレーム10の出口レール10eから放出された球ではなく、遊技者の放出操作による始動入賞時に取得された変動表示のデータに基づいて、表示コマンドを構成する停止図柄コマンド及び変動パターンコマンドを決定する。
【0109】
この通常表示コマンド決定処理(S32)では、まず、演出実行エリア23gに記憶された内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値であるか否かを確認する(S41)。その値が大当たりを発生させる値であれば(S41:Yes)、演出実行エリア23gに記憶された大当たり図柄カウンタ23dの値に対応した図柄の組み合わせを示す値を停止図柄コマンドに設定し(S42)、更に、変動パターンコマンドのデータとしてグリーンリーチからカップインの表示が行われる「B」を設定し(S43)、この通常表示コマンド決定処理(S32)を終了する。
【0110】
S41の処理において内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値でない場合には(S41:No)、演出実行エリア23gに記憶されたリーチ乱数カウンタ23cの値がハズレリーチを発生させる値であるか確認する(S44)。その値がハズレリーチを発生させる値であれば(S44:Yes)、カウンタ用バッファ23lに記憶されたハズレリーチを構成する図柄の組み合わせを示す値を停止図柄コマンドに設定し(S45)、更に、変動パターンカウンタ23fの値が示すデータ(パターン)を演出選定テーブル22aから読み出して変動パターンコマンドに設定し(S47)、この表示コマンド決定処理(S32)を終了する。
【0111】
S44の処理において演出実行エリア23gに記憶されたリーチ乱数カウンタ23cの値がハズレリーチを発生させる値でない場合には(S44:No)、演出実行エリア23gに記憶されたハズレ図柄カウンタ23eの値を停止図柄コマンドに設定し(S47)、リーチ表示を伴わないハズレの変動表示であるので、「パターンA」の変動パターンを示す「A」のデータを変動パターンコマンドのデータとして設定して(S48)、この表示コマンド決定処理(S32)を終了する。
【0112】
図12は、図10に示す始動入賞変動開始処理(S12)の中で実行される特別表示コマンド決定処理(S34)のフローチャートである。この特別表示コマンド決定処理(S34)では、遊技者の放出操作による始動入賞時に取得された変動表示のデータに基づいて、表示コマンドを構成する停止図柄コマンド及び変動パターンコマンドを決定する。
【0113】
この特別表示コマンド決定処理(S34)では、まず、演出実行エリア23gに記憶された内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値であるか否かを確認する(S51)。その値が大当たりを発生させる値であれば(S51:Yes)、演出実行エリア23gに記憶された大当たり図柄カウンタ23dの値に対応した図柄の組み合わせを示す値を停止図柄コマンドに設定する(S52)。その後、変動開始と同時にリーチ表示が現出した後にカップインの表示が行われる「F」を変動パターンコマンドのデータとして設定し(S53)、放出実行フラグ23mをオフして、特別表示コマンド決定処理(S34)を終了する。
【0114】
S51の処理において内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値でない場合には(S51:No)、カウンタ用バッファ23lに記憶されたハズレリーチを構成する図柄の組み合わせを示す値を停止図柄コマンドに設定し(S55)、演出実行エリア23gに記憶された内部乱数カウンタ23bの値が「0〜6」の範囲内であるか確認する(S56)。「0〜6」の範囲内であれば(S56:Yes)、大当たりを発生させる内部乱数カウンタ23bの値「7」より少し早いタイミングで遊技者によって上皿ボタン56による球の放出操作が行われている。この場合には、変動開始と同時にリーチ表示が現出した後にカップの手前でボールが停止する表示が行われる「G」を変動パターンコマンドのデータとして設定して(S57)、処理をS54へ移行する。
【0115】
S56の処理において確認した内部乱数カウンタ23bの値が「0〜6」の範囲内でなければ(S56:No)、その内部乱数カウンタ23bの値が「8〜15」の範囲内であるか確認する(S58)。「8〜15」の範囲内であれば(S58:Yes)、大当たりを発生させる内部乱数カウンタ23bの値「7」より少し遅れたタイミングで遊技者によって上皿ボタン56による球の放出操作が行われている。この場合には、変動開始と同時にリーチ表示が現出した後にカップの奥側でボールが停止する表示が行われる「H」を変動パターンコマンドのデータとして設定して(S59)、この特別表示コマンド決定処理(S34)を終了する。S58の処理において確認した内部乱数カウンタ23bの値が「0〜6」の範囲内でなければ(S56:No)、変動開始と同時にリーチ表示が現出した後に林の中に球が落ちて「OB」となる表示が行われる「I」を変動パターンコマンドのデータとして設定して(S60)、処理をS54へ移行する。
【0116】
このように、図12の特別表示コマンド決定処理(S34)では、遊技者の放出操作による始動入賞時に取得された変動表示のデータに基づいて、表示コマンドを構成する停止図柄コマンド及び変動パターンコマンドを決定することができ、遊技者の放出操作が行われた後には、特別デモ画面に連続した変動パターンである「パターンF」から「パターンI」のいずれかの変動パターンを設定することができる。
【0117】
図13は、始動入賞変動開始処理(図10参照)の中で実行される変動待機時処理(S35)のフローチャートである。変動待機時処理(S35)では、変動待機中に表示するデモ画面として、遊技者に上皿ボタン56を操作するタイミングを示す特別デモ画面を表示用制御基板Dに表示させると共に、遊技者によって上皿ボタン56に対する放出操作が行われたタイミングで出口レール10e上に貯留された。球の貯留を解除させる処理である。
【0118】
この変動待機時処理(S35)では、貯留球検出スイッチ16がオンか確認する(S61)。貯留球検出スイッチ16がオンであれば(S61:Yes)、センターフレーム10の出口レール10e上に球が貯留された状態であって、遊技者に上皿ボタン56を押下させて放出操作を行わせる必要があるので、内部乱数カウンタ23bの値に基づいて特別デモ表示コマンドを表示用制御基板Dへ送信する(S62)。表示用制御基板Dに特別デモ表示コマンドが送信されると、表示用制御基板Dの制御によって「3」から「0」の数字の点滅を繰り返して行う特別デモ画面が表示される(図8(a)参照)。
【0119】
その後、球放出スイッチ17がオンされたか確認する(S63)。球放出スイッチ17がオンされていれば(S63、Yes)、遊技者が放出操作として上皿ボタン56を押下したタイミングであるので、球放出ソレノイド15を駆動して(S64)出口レール10e上に貯留された球を図柄作動口4aへ向けて放出し、更に球放出実行コマンドを表示用制御基板Dへ送信する(S65)。表示用制御基板Dに球放出実行コマンドが送信されると、表示用制御基板Dの制御によってLCD3の下段の表示領域3bにゴルフプレーヤーが球を打った状態が表示される(図8(b)参照)。
【0120】
S65の処理後、放出実行フラグ23mをオンし(S66)、この変動待機時処理(S35)を終了する。S66の処理によって、遊技者の放出操作により球が放出されたことが主制御基板Cに記憶されるので、次に行われる変動表示が遊技者の放出操作による始動入賞に基づくものであることを主制御基板Cに記憶させることができる。よって、次回に開始される変動表示に対しては、特別デモ画面に連続した変動表示を実行する「パターンF」から「パターンI」のいずれかの変動パターンを特別表示コマンド決定処理(図10、S34参照)で選定することができる。
【0121】
一方、S63の処理において球放出スイッチ17がオフであれば(S63:No)、遊技者が未だ上皿ボタン56を操作していないので、S64からS66の処理をスキップして、変動待機時処理(S35)を終了する。また、S61の処理において貯留球検出スイッチ16がオフであれば(S61:No)、センターフレーム10の出口レール10e上に球が貯留されていないので、パチンコ機1のタイトルやメーカー名、或いは、アニメーションなどを表示する特別デモ画面以外の通常のデモ画面を表示させるための通常デモ表示コマンドを表示用制御基板Dへ送信して(S67)、この変動待機時処理(S35)を終了する。
【0122】
このように、変動待機時処理(S35)では、S65の処理によって、表示用制御基板Dに球放出実行コマンドが送信されると、表示用制御基板Dの制御によってLCD3の下段の表示領域3bにゴルフプレーヤーが球を打った状態が表示される。よって、遊技者には、上皿ボタン56を操作したタイミングであたかもLCD3の下段の表示領域3bに表示されるゴルフプレーヤーが、弾球遊技に使用する遊技媒体である球を打ったような印象を持たせることができ、弾球遊技による遊技の興趣を際立たせることができる。
【0123】
図14は、主制御基板Cで実行される役物ソレノイド駆動処理のフローチャートである。この役物ソレノイド駆動処理は、ハズレリーチの変動パターンを選定する処理(図11のS46の処理)によって「パターンE」のカラス駆動リーチが選定された場合に役物駆動ソレノイド13を駆動してカラスを模した可動部材12を駆動させる処理である。
【0124】
この役物ソレノイド駆動処理では、まず、「パターンE」のカラス駆動リーチの変動表示を実行中か確認し(S71)、カラス駆動リーチの変動表示を実行中であれば(S71:Yes)、変動開始後12秒経過した時か確認する(S72)。変動開始後12秒経過した時であれば(S72:Yes)、役物駆動ソレノイド13をオンして(S73)、カラスを模した可動部材12を前進させて、この役物ソレノイド駆動処理を終了する。S72の処理において変動開始後12秒経過する前か、12秒以上経過した後であれば(S72:No)、変動開始後15秒経過した時か確認する(S74)。変動開始後15秒経過した時であれば(S74:Yes)、オンされている役物駆動ソレノイド13をオフする時であるので、役物駆動ソレノイド13をオフして(S75)この役物ソレノイド駆動処理を終了する。
【0125】
S74の処理において変動開始後15秒経過する前か、15秒を経過した後であれば(S74:No)、S75の処理をスキップして役物ソレノイド駆動処理を終了する。S71の処理においてカラス駆動リーチの変動表示を実行中でないことが確認された場合には(S71:No)、役物駆動ソレノイド13を駆動する必要がないので、S72からS75の処理をスキップして役物ソレノイド駆動処理を終了する。
【0126】
このように、役物ソレノイド駆動処理では、ハズレリーチの変動パターンを選定する処理(図11のS46の処理)によって「パターンE」のカラス駆動リーチが選定された場合に役物駆動ソレノイド13を駆動してカラスを模した可動部材12を変動開始後の一定時間駆動させることができ、可動部材12の前進及び後退の切り替え動作を変動表示に対応づけて制御することができる。
【0127】
なお、請求項1記載の分岐経路としては、上記実施例におけるセンターフレーム10と可動部材12との間から下方に続く経路が該当する。
【0128】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
【0129】
例えば、上記実施例では、主制御基板Cによって役物駆動ソレノイド13を駆動して可動部材12の前進及び後退を制御させたが、必ずしも主制御基板Cの制御によって役物駆動ソレノイド13の駆動を制御する必要はなく、主制御基板Cから可動部材12を動作させるコマンドを、表示用制御基板Dなどの他の基板に送信し、その基板によって役物駆動ソレノイド13の駆動を制御しても良い。
【0130】
また、上記実施例では、センターフレーム10の球流入口10bからセンターフレーム10内に流入した球は、ほぼ確実に図柄作動口4aへ入賞するように構成したが、必ずしも図柄作動口4aへほぼ全て入賞するように構成する必要はない。可動部材12がセンターフレーム10側に向けて前進した場合に図柄作動口4aへ球を誘導する移送経路10aに流入し易い状態を形成するように構成されていれば良く、センターフレーム10内に複数個の球が流入した場合に1球の割合で図柄作動口4aへ入賞するように構成しても良い。この場合には、センターフレーム10のガイド板10dの中央部分において分断された部位の幅を正面視において球の外形より幅広くする(例えば、略3倍程度にする)と共に、出口レール10eの幅を広げ、センターフレーム10から放出された球が図柄作動口4aの中央位置から左右のいずれかにずれている場合に図柄作動口4aの上に設けられた釘によって球を外側へ弾いて下方へと流下させるようにしても良い。
【0131】
また、上記実施例においては、可動部材12は、遊技盤2の斜め上方に沿ってスライド移動するように構成したが、可動部材12をスライド移動する方向は上記実施例に限定されるものでない。遊技盤2の前面より奥側に埋もれて配設された可動部材を遊技盤2の前面に突出させて球をセンターフレーム10の移送経路10a(球流入口10b)へ誘導する構成としても良く、又は、可動部材を上下方向や左右方向にスライド移動させたり、或いは、可動部材を回動させたりして球を移送経路10aへ誘導するように構成しても良い。また、可動部材12に駆動力を付与するのは、通電によって駆動するソレノイドに限定されるものでなく、モータなど他の駆動装置を使用しても良い。
【0132】
また、上記実施例に示すように、図柄作動口4aを含む入賞口4a,7へ球が入賞(入球)した場合に必ずしも一定数個の球を賞球として払い出すことにより遊技者に利益を付与する必要はなく、入賞口4a,7への球の入賞に応じたデータを磁気カードへ書き込むことにより、遊技者に利益を付与しても良い。また、遊技盤2前面の所定位置に球が通過可能な通過口を形成するゲートを設けて、その通過口を球が通過した場合に賞球の払い出しや磁気カードへのデータの書き込みを行って遊技者に利益を付与しても良い。
【0133】
また、上記実施例に示すように、動的表示の一種である変動表示は、LCD3上で識別情報としての図柄を縦方向にスクロールさせるものに限定されず、横方向あるいはL字形等の所定経路に沿って図柄を移動表示して行うものであっても良い。また、識別情報の動的表示としては、図柄の変動表示に限られるものではなく、例えば、1又は複数のキャラクタを図柄と共に、若しくは、図柄とは別に多種多様に動作表示または変化表示させて行われる演出表示なども含まれるのである。この場合、1又は複数のキャラクタが、図柄と共に或いは図柄とは別に、識別情報として用いられる。
【0134】
本発明を上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球など別の弾球式の遊技機で本発明を実施するようにしても良い。
【0135】
以下に変形例を示す。請求項1記載の遊技機において、前記分岐経路は、その分岐経路に流入した遊技球を略一定の確率で前記作動領域に誘導するものであり、前記誘導手段は、前記分岐経路より高確率で前記作動領域へ遊技球を誘導する態様で、前記作動領域へ遊技球を誘導する誘導経路を形成するものであることを特徴とする遊技機1。遊技者は、作動領域への遊技球の入球に基づく抽選によって所定の遊技価値が付与されることを期待して遊技を行うものである。
【0136】
遊技機1によれば、誘導経路によって作動領域に誘導される遊技球は、分岐経路に流入した遊技球が作動領域へ誘導される確率より高確率で作動領域へ誘導されるので、利得動作部材が第2状態を形成した場合に、作動領域へ遊技球が高確率で入球する有利な遊技状態を弾球遊技に対して生じさせることができる。よって、誘導経路によって遊技球が作動領域に誘導されることを期待して弾球遊技を行う遊技者には、利得動作部材の状態に応じて作動領域への入球に対する期待感に抑揚を持たせることができ、弾球遊技の意識を高めて弾球遊技による興趣を付与することができる。
【0137】
遊技機1において、前記分岐経路の少なくとも一部を形成すると共に、その分岐経路に流入した遊技球を複数の方向に分散させつつ前記作動領域へ誘導する分散部材を備え、前記誘導手段は、前記誘導経路の入口と前記作動領域の上部とを接続する一筋の経路を前記誘導経路として形成し、前記入口に流入した遊技球を前記作動領域の上部へ固定的に誘導する態様で前記作動領域へ遊技球を誘導する誘導経路を形成するものであることを特徴とする遊技機2。
【0138】
遊技機2によれば、分岐経路に流入した遊技球は、分散部材によって複数の方向に分散させられ、流入した遊技球の一部が作動領域の上部へ誘導される態様で作動領域に入球する一方、誘導経路に流入した遊技球は、一筋の経路を経由して作動領域の上部へ固定的に誘導される態様で作動領域に入球する。よって、遊技者には、利得動作部材の状態に応じて各態様で作動領域へ入球する遊技球の割合が増減し、作動領域へ入球するまでの過程を複数の態様に変化させて視認させることができるので、弾球遊技に変化を持たせて弾球遊技を視認する興趣を高めることができる。
【0139】
なお、分散部材としては、遊技球の移動方向をランダムにしたり、所定の方向に誘導したりするために一般に使用される釘や風車が例示される。また、一筋の経路としては、作動領域の上部から外れた位置に遊技球が誘導される別の経路への分岐を有しない経路を意味しており、センターフレーム10によって形成される移送経路10aとステージ10cと出口レール10eとを接続して形成された経路が例示される。また、入口に流入した遊技球を作動領域の上部へ固定的に誘導する態様とは、入口に流入した遊技球が作動領域の上部に設けた出口に必ず誘導される態様を意味している。
【0140】
請求項1記載の遊技機または遊技機1若しくは2において、前記誘導手段は、前記誘導経路の入口から流入した遊技球を前記誘導経路上に貯留する貯留手段と、その貯留手段によって貯留された遊技球の貯留を遊技者の操作に応じて解除する貯留解除手段とを備え、前記誘導経路の入口から流入した遊技球を前記誘導経路上に一時的に貯留することにより、前記分岐経路とは異なる態様で前記作動領域へ遊技球を誘導する誘導経路を形成するものであることを特徴とする遊技機3。誘導経路に誘導された遊技球は、貯留手段によって誘導経路上に一旦貯留され、その遊技球の貯留は、貯留解除手段によって遊技者の操作に応じて解除される。このため、遊技者は、自らの操作によって貯留解除手段を作動させることにより、自らの意図するタイミングで遊技球の貯留を解除することができ、誘導経路へより多くの球が誘導されることを期待して遊技を行わせることができる。よって、利得動作部材の状態に応じて誘導経路に流入する遊技球の数が増減することで、遊技球の流下に遊技者が直接的に関与する遊技の機会を一時的に高めることができ、弾球遊技に対する注目と興趣とを高めることができる。
【0141】
なお、貯留手段としては、上記実施例においては、センターフレーム10の出口レール10e上に設けられる突起10fが例示され、貯留解除手段としては球放出ソレノイド15が例示される。遊技者の操作としては、例えば、上記実施例における遊技者が上皿ボタン56を押下する操作が例示される。また、遊技者の操作情報を入力する操作手段を備え、貯留解除手段は、その操作手段によって入力された操作情報に応じて貯留手段によって貯留された遊技球の貯留を解除するものとしても良く、操作手段としては、上皿ボタン56と球放出スイッチ17とが例示される。
【0142】
遊技機3において、前記貯留手段が遊技球を貯留しているか否かを検出する球貯留検出手段を備え、前記制御手段は、その球貯留検出手段によって前記貯留手段が遊技球を貯留していることを検出した場合に前記表示装置に予め定めた貯留表示を行わせる貯留表示実行手段を備えていることを特徴とする遊技機4。貯留手段が遊技球の貯留を検出した場合には、貯留表示実行手段によって予め定めた貯留表示が表示装置に表示されるので、遊技球が貯留されていることを遊技者に判り易く示し、遊技球の貯留を解除する操作の実行を促すことができる。なお、球貯留検出手段としては、上記実施例における貯留球検出スイッチ16が例示され、貯留表示実行手段としては、上記実施例における図13のS62の処理が例示され、貯留表示としては、特別デモ表示コマンドによって表示される特別デモ画面の表示が例示される。
【0143】
遊技機4において、前記制御手段は、前記貯留表示実行手段によって前記貯留表示が行われている状態で前記貯留解除手段によって遊技球の貯留を解除する場合に前記表示装置に予め定めた貯留解除表示を行わせる解除表示実行手段を備えていることを特徴とする遊技機5。貯留表示が行われている状態で貯留解除手段によって遊技球の貯留を解除する場合には、解除表示実行手段によって表示装置に貯留解除表示が行われる。よって、遊技者には、貯留表示から貯留解除表示へと連続した表示による演出であって、遊技者の操作に連動した演出を視認させることができ、自由度の高い演出によって弾球遊技と表示演出とによる一体的な興趣を遊技者に付与することができる。なお、解除表示実行手段としては、上記実施例における図13のS65の処理が例示される。
【0144】
請求項1記載の遊技機または遊技機1から5のいずれかにおいて、前記動作制御手段は、前記利得動作部材の切り替え動作を、前記表示装置によって行われる前記動的表示に対応づけて制御するものであることを特徴とする遊技機6。遊技者は、所定の遊技価値が付与される場合に予め定めた表示結果を現出する動的表示に注目して遊技を行うものであり、動作制御手段は、その動的表示に対応づけて利得動作部材の切り替え動作を制御する。よって、遊技者が注目する動的表示に対応づけられて利得動作部材が動作し、遊技中に利得動作部材を視認していない遊技者にも利得動作部材の切り替え動作の実行を判り易く示して、弾球遊技に遊技者の意識を向けさせる契機を提供することができる。
【0145】
遊技機6において、前記動作制御手段は、前記利得動作部材の作動を示唆する特別表示が前記動的表示に表示される場合に前記利得動作部材を第1状態から第2状態に一定期間切り替える動作を行わせるものであることを特徴とする遊技機7。遊技機7によれば、動作制御手段によって利得動作部材が第1状態から第2状態に切り替えられる場合に動的表示に表示されるのは、利得動作部材の作動を示唆する特別表示である。よって、遊技者には、特別表示によって利得動作部材の切り替え動作が行われたことを判り易く認識させることができる。また、動作制御手段は、特別表示が表示される場合に利得動作部材を第2状態に一定期間切り替える動作を行わせるので、第2状態における遊技を遊技者にとって限定されたものとして、第2状態への切り替えを期待する遊技の興趣を強調して遊技者に付与することができる。
【0146】
なお、特別表示としては、利得動作部材に関連する表示であって、利得動作部材の外観と同一の対象物又は利得動作部材に関連する対象物を示す表示や、利得動作部材の位置を示す表示等が例示される。上記実施例における特別表示としては、カラスを模した可動部材12と同一の対象物であるカラスのキャラクタを表示するカラスリーチ表示が該当する。また、上記実施例における第2状態としては、センターフレーム10と可動部材12との間の経路が閉鎖されて両部材の間に流下した遊技球が移送経路10aの入口に誘導される状態が例示される。
【0147】
遊技機6または7において、前記利得動作部材は、前記表示装置と前記作動領域との間からずれた位置に配設されていることを特徴とする遊技機8。
【0148】
遊技機8において、前記作動領域は、前記表示装置の下側に設けられ、前記誘導部材の誘導経路は、その表示装置の上方又は側方に入口を形成すると共に前記表示装置の外周に沿ってその表示装置の下側であって前記作動領域の上部に出口を形成するものであり、前記利得動作部材は、前記表示装置の上方又は側方に配設されていることを特徴とする遊技機9。
【0149】
遊技者は、一般に、動的表示が行われる表示装置と、遊技球の入球によって所定の遊技価値を付与する抽選が行われる作動領域とを注視して遊技を行うものであるので、表示装置と作動領域との間に利得動作部材があると遊技者の視点の移動があまり行われず、遊技領域の広範囲にわたって遊技者の意識を向けることが難しい。遊技機8及び9によれば、利得動作部材が遊技領域における表示装置と作動領域との間からずれた位置に配設されているので、利得動作部材の切り替え動作が行われる場合に、遊技者の視点をより大きく移動させることができ、遊技者が弾球遊技を意識する領域を拡大することができ、弾球遊技に遊技者の意識を向けさせることができる。
【0150】
請求項1記載の遊技機または遊技機1から9のいずれかにおいて、前記表示装置は、その左右両側に遊技球が流下する流下経路を形成して配設されており、前記利得動作部材は、前記第2状態の形成時に前記表示装置の左右両側に形成される流下経路のうちいずれか一方の流下経路を流下する遊技球を、前記第1状態より前記誘導経路の入口に流入し易い状態を形成することを特徴とする遊技機10。遊技機10によれば、表示装置の左右両側に形成される流下経路のうちいずれか一方の流下経路を流下する遊技球が、第2状態を形成する利得動作部材によって誘導経路の入口に誘導される。よって、表示装置の左右両側に形成される流下経路のうちいずれが有利な経路であるかを、利得動作部材の状態に応じて別々に比較し、遊技者が有利と考えた一方の流下経路を狙う弾球遊技の遊技性を遊技者に付与することができ、弾球遊技による興趣を高めることができる。
【0151】
請求項1記載の遊技機または遊技機1から10のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機であることを特徴とする遊技機11。中でも、パチンコ機の基本構成としては操作部としての操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて遊技球を所定の遊技領域へ発射し、遊技球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動領域に入球(作動口へ入賞又は作動ゲートを通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、所定の遊技価値の付与として特別遊技状態が発生する時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて遊技球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例におけるパチンコ機の正面図である。
【図2】遊技盤の正面図であり、(a)は可動部材が後退した状態を示し、(b)は可動部材が前進した状態を示している。
【図3】(a)は、図1の矢印IIIa方向から見たセンターフレームを示した図であり、図3(b)は、図1のIIIb−IIIb線でセンターフレームを断面視して示した図である。
【図4】パチンコ機の電気的構成を示したブロック図である。
【図5】ハズレリーチ時の変動パターンの選定に使用する演出選定テーブルの構成を示した図である。
【図6】通常の始動入賞時にLCDで行われる変動表示の表示画面を例示した図である。
【図7】通常の始動入賞時にLCDで行われる変動表示の表示画面を例示した図である。
【図8】遊技者の放出操作による始動入賞時にLCDで行われる変動表示の表示画面を例示した図である。
【図9】主制御基板で実行されるメイン処理のフローチャートである。
【図10】主制御基板のメイン処理の中で実行される始動入賞変動開始処理のフローチャートである。
【図11】図10の始動入賞変動開始処理の中で実行される通常表示コマンド決定処理のフローチャートである。
【図12】図10の始動入賞変動開始処理の中で実行される特別表示コマンド決定処理のフローチャートである。
【図13】図10の始動入賞変動開始処理の中で実行される変動待機時処理のフローチャートである。
【図14】主制御基板で実行される役物ソレノイド駆動処理のフローチャートである。
【符号の説明】
1 パチンコ機(遊技機)
2 遊技盤
2c 遊技領域
3 LCD(表示装置)
4a 図柄作動口(作動領域)
10 センターフレーム(誘導部材)
10a 移送経路(誘導経路の一部)
10b 球流入口(入口)
10c ステージ(誘導経路の一部)
10e 出口レール(誘導経路の一部)
12 可動部材(利得動作部材)
24 第1種始動口スイッチ(検出手段)
C 主制御基板(制御手段の一部、動作制御手段)
D 表示用制御基板(制御手段の一部)
【発明の属する技術分野】本発明は、パチンコ機等に代表される弾球式の遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、パチンコ機等の遊技機においては、遊技の興趣を向上させるために液晶表示装置を用いたものが主流となっている。この液晶表示装置へ表示させる画像をどのように変化させて遊技者を満足させるかが各社の競争になっており、その為、液晶表示装置に表示させる画像に様々なバリエーションを持たせる等の工夫がなされている。一般的には、この液晶表示装置では変動表示ゲームが行われ、遊技の興趣が高められている。
【0003】
変動表示ゲームは、例えば、有効表示領域に横又は縦に3個、或いは3×3の升目に9個の図柄等を表示し、球(遊技球)が打ち込まれる遊技領域に設けられた作動領域への入球(作動口への入賞または作動ゲートの通過)を必要条件として、表示される図柄等をスクロールして変動表示させるものである。この変動表示が予め定めた大当たりを示す表示結果を現出すると、所定の遊技価値として遊技領域に設けられる可変入賞装置が球を入賞し易い状態となり、遊技者が弾球遊技によって可変入賞装置へ球を入賞させて所定の利益をまとめて獲得し得る状態が付与される。また、図柄のスクロール中には、時として通常時とは異なるリーチ表示による演出や実体のある可動体の動作による演出を伴う変動表示が行われて、大当たりに対する期待感を遊技者に持たせる工夫もなされている。遊技を行う遊技者は、表示装置で行われる変動表示と、その変動表示を始動させる作動領域への入球とを注意しつつ遊技を行っている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−137461号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、球の移動をランダムにしたり、所定の方向に誘導したりするための部材(例えば、釘や風車など)は予め定められた位置に配置されており、この配置によって、作動領域へ入球するまでの球の経路やそれぞれの経路を球が通過する割合が概ね定められている。遊技者が球を打ち込む位置を固定しておくと、略一定の割合で複数の経路を経由した球が略一定の確率に従って作動領域周辺へと導かれるため、遊技中の遊技者が球の経路を確認する必要はほとんどなく、弾球遊技による興趣を遊技者が感じ難いという問題点があった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、遊技者に弾球遊技による興趣を付与することができる遊技機を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために請求項1記載の遊技機は、識別情報を表示する表示装置と、遊技球が投入される遊技領域に設けられる作動領域への遊技球の入球を検出する検出手段と、その検出手段によって前記作動領域への遊技球の入球が検出された場合に、遊技者に所定の遊技価値を付与するか否かを抽選すると共に前記表示装置に前記識別情報の動的表示を行わせる制御手段とを備え、その制御手段によって前記所定の遊技価値を付与する抽選結果が導出されると、前記動的表示に予め定めた表示結果を現出させると共に前記所定の遊技価値を付与するものであり、前記作動領域へ遊技球を誘導する誘導経路を形成する誘導手段と、第1状態とその第1状態より前記誘導手段によって形成される誘導経路の入口に遊技球が流入し易い第2状態とを切り替えて形成する利得動作部材と、その利得動作部材の切り替え動作を制御する動作制御手段とを備え、前記誘導手段は、前記誘導経路とは別の経路であってその誘導経路の入口から分岐して前記作動領域に繋がる分岐経路とは異なる態様で前記作動領域へ遊技球を誘導する誘導経路を形成するものである。
【0008】
この請求項1記載の遊技機によれば、動作制御手段によって利得動作部材の状態が第1状態から第2状態に切り替えられると、利得動作部材が第1状態を形成する場合に比べて誘導経路の入口へ遊技球が流入し易い状態となる。誘導経路の入口付近を流下する遊技球は、利得動作部材が第1状態を形成する場合に比べて誘導経路の入口へ多く流入し、より多くの遊技球が誘導経路を経て作動領域へと誘導される。ここで、誘導手段によって形成される誘導経路は、誘導経路の入口から分岐して前記作動領域に繋がる分岐経路が作動領域に遊技球を誘導する場合とは異なる態様で前記作動領域に遊技球を誘導する。
【0009】
【発明の効果】本発明の遊技機によれば、動作制御手段によって利得動作部材の状態が第1状態から第2状態に切り替えられると、利得動作部材によって遊技球が誘導経路の入口へ流入し易い状態となるので、遊技者は、誘導経路によって作動領域に誘導される遊技球の数を増加させることができる。誘導経路に誘導された遊技球は、誘導経路とは別の分岐経路を遊技球が流下する場合とは異なる態様で作動領域に誘導されるので、誘導経路と分岐経路とのうちいずれかの態様で作動領域に誘導されることを期待して弾球遊技を行う遊技者には、利得動作部材の状態に応じて期待感に抑揚を持たせることができる。よって、利得動作部材の状態に応じて遊技者に弾球遊技を意識させることができ、弾球遊技による興趣を遊技者に付与することができるという効果がある。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。本実施例では、遊技機の一例として弾球遊技機の一種であるパチンコ機、特に、第1種パチンコ遊技機を用いて説明する。なお、本発明を第3種パチンコ遊技機や他の遊技機に用いることは、当然に可能である。
【0011】
図1は、本発明の実施例におけるパチンコ機1の正面図である。パチンコ機1の前面には前面枠51が配設されており、その略中央部分には略矩形状の開口51aが穿設され、かかる開口51aの内周には金枠52が周設されている。この金枠52の内側の上方には、2枚のガラス板が装着されたガラス扉枠53が開閉可能に配設されており、ガラス扉枠53の後方に遊技盤2が配置されている。遊技盤2の前面には略円弧状の外レール2aが植立され、その外レール2aの内側位置には円弧状の内レール2bが植立されている。遊技盤2の前面には、内レール2bと外レール2aとにより囲まれた領域によって球が打ち込まれる、略円形の遊技領域2cが形成されている。
【0012】
遊技盤2の中央には、複数種類の識別情報としての図柄などを表示する液晶ディスプレイ(以下単に「LCD」と略す)3が設けられている。このLCD3の表示画面は、上下2段に2分割されると共に上段の表示領域3aが横方向に3分割されており(図6(a)参照)、3分割された各表示領域において、それぞれ上から下へ縦方向にスクロールしながら図柄の変動表示が行われる。
【0013】
LCD3の下方には、上側に向けて開口した図柄作動口(第1種始動口)4aを形成する可変入賞装置4が設けられている。球(遊技球)が図柄作動口4aへ入賞(入球)することにより、5個の球が賞球として払い出されると共に、前記したLCD3の変動表示が開始される。LCD3の変動表示の最中に、球が新たに図柄作動口4aへ入球した場合、その入球による変動表示を即座に開始することはできないので、実行中の変動表示が終了するまで、その変動表示が保留される。本実施例におけるパチンコ機1では、この変動表示の保留回数が最大4回に設定されており、この変動表示の保留回数を表示する4つの保留ランプ5が、LCD3の上方に配設されている。保留回数の表示は、これら4つの保留ランプ5が保留回数に対応する個数分だけ左側から順に点灯することにより行われる。
【0014】
図柄作動口4aの下方には、特定入賞口(大入賞口)6が設けられている。この特定入賞口6は、LCD3の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、大当たりとなって、球が入賞しやすいように所定時間(例えば30秒間経過するまで、あるいは、例えば球が10個入賞するまで)開放される。この特定入賞口6内には、Vゾーン6aが設けられており、特定入賞口6の開放中に、球がVゾーン6a内を通過すると、継続権が成立して、特定入賞口6の閉鎖後、再度、その特定入賞口6が所定時間(又は、特定入賞口6に球が10個入賞するまで)開放される。この特定入賞口6の開閉動作は、最高で16回(16ラウンド)繰り返し可能にされており、開閉動作の行われ得る状態が、いわゆる所定の遊技価値の付与された状態(特別遊技状態)である。
【0015】
なお、第3種パチンコ遊技機において所定の遊技価値が付与された状態(特別遊技状態)とは、LCD3の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、特定入賞口が所定時間開放されることをいう。この特定入賞口の開放中に、球がその特定入賞口内へ入賞すると、特定入賞口とは別に設けられた大入賞口が所定時間、所定回数開放される。
【0016】
図柄作動口4aの周囲には、球が入賞することにより5個から15個の球が払い出される複数の入賞口7が設けられている。LCD3の左右両側には、2つの普通図柄作動口8が設けられており、球がこの普通図柄作動口8を通過することにより、普通図柄表示装置9の変動表示が開始される。
【0017】
普通図柄表示装置9は、LCD3の上方に配設されており、「○」の図柄が表示された左図柄LED9aと、「×」の図柄が表示された右図柄LED9bとから構成されている。この普通図柄表示装置9の変動表示は、上述したように、球が普通図柄作動口8のいずれかを通過することにより開始され、その変動表示が左図柄LED9aの点灯状態(普通図柄当たり状態)で終了すると、球が入賞し易いように図柄作動口4aの両脇に設けられた開閉弁が所定時間(例えば、略0.3秒または1.9秒)経過するまで所定回数(例えば、1回または3回)開放される。
【0018】
LCD3の手前側周囲には、上述した保留ランプ5や普通図柄表示装置9が配設されたセンターフレーム10が周設されている。このセンターフレーム10には、透明及び半透明の樹脂材料で略中空状体に構成されると共に、複数のランプが内蔵されており、これにより、LCD3の周囲が装飾されている。
【0019】
センターフレーム10には、その左側に、球が通過可能にトンネル状に形成された移送経路10aが設けられている。この移送経路10aは、球の外径分の幅を持たせて略矩形状に形成されており、センターフレーム10の左側上部に開口する球流入口10bと、センターフレーム10の下部に形成されたステージ10cとを連通するものである。球流入口10bから流入した球は、移送経路10aを経由してステージ10c上に導かれる。なお、球流入口10bは、必ずしもセンターフレーム10の側方に向けて開口するものである必要はなく、その上方に向けて開口するものであっても良い。また、センターフレーム10に設けられる球流入口10bの数は、1つに限定されるものでなく、左右両側などに複数個の球流入口が設けられても良い。
【0020】
センターフレーム10の下部には、ステージ10cが設けられている。ステージ10cは、移送経路10aを経由して導かれた球をセンターフレーム10の中央に案内するための部材である。ステージ10cは、その中央に向けて両側から下降傾斜した略平面状に形成されると共に、ステージ10cの左右から案内された球が中央で停止するように中央部(出口レール10eの部分)が低く窪んで形成されている。ステージ10cの前面側(図1紙面手前側)には、その前面側へ球が流出するのを防止するために、ガイド板10dが設けられている。ガイド板10dは、中央部が分断された状態で上方に突出したリブ状の部材であり、左右方向に沿って延設されている。
【0021】
ガイド板10dが分断された中央部分には、ステージ10cの中央部から、遊技盤2の前面であって図柄作動口4aの真上に向けて下降傾斜して形成された出口レール10eが設けられている。この出口レール10eには、前方への傾斜によって球が出口レール10eの手前側へ転がるのを防止するように上方に突出した突起10fが設けられており、出口レール10eに案内された球は、自重によって突起10fを乗り越えられず、一旦停止して貯留された状態(貯留状態)となる。
【0022】
この貯留状態は、パチンコ機1の上皿55に配設された上皿ボタン56が押下された場合に解除されるものであり、ステージ10cの中央奥側に設けられる球放出ソレノイド15(図3(b)参照)が上皿ボタン56の押下操作に連動して球を前方に押し出し、球の貯留が解除される。貯留が解除された球は、中央の出口レール10eを経由して出口レール10eの出口のほぼ真下に位置する図柄作動口4aへ向けて落下し、図柄作動口4aへほぼ全て入賞する。即ち、球流入口10bへ流入した球は、移送経路10a、ステージ10c及び出口レール10eを経て、図柄作動口4aへほぼ確実に入賞する。
【0023】
センターフレーム10の左方には、図柄作動口4aへ入賞し易いように球を誘導するための役物装置11が設けられている。役物装置11は、その下側にカラスのキャラクタを模して形成された可動部材12と、その可動部材12に駆動力を付与する役物駆動ソレノイド13と、可動部材12の周囲に配設されるカバー部材14とを備えている。
【0024】
可動部材12は、カラスを模した外形に合成樹脂を成形して形成されている。可動部材12には、センターフレーム10側に向けて下降する傾斜面をカラスの頭部を模して形成する案内部12aが設けられている。この可動部材12は、遊技盤2から遊技領域2cを覆うガラスまでの隙間と略同一幅の厚みを持たせて形成されており、可動部材12の案内部12aの上に球が流下した場合に、球の流下経路に作用して、その球を案内部12aに沿ってセンターフレーム10側へと案内する。
【0025】
可動部材12が配設される遊技盤2の下側には、金枠3に開閉可能に取着された前面扉板(腰板)54が配設されている。この前面扉板54の前面(図1の紙面手前側)には、球を貯留すると共に、球発射装置(図示せず)へ球を供給するための上皿55が配設されている。
【0026】
上皿55の左側端部には、正面視略矩形状に形成された上皿ボタン56が設けられている。この上皿ボタン56は、遊技者の操作によってセンターフレーム10の内部に設けられる球放出ソレノイド15(図3参照)を遊技者の意図するタイミングで作動させるためのものである。この上皿ボタン56の奥側(図1の紙面奥側)には、上皿ボタン56に連動してオンオフが切り替わるスイッチ(球放出スイッチ17、図4参照)が内蔵されており、上皿ボタン56が押下された場合に球放出スイッチ17はオンとなってオン信号が後述する主制御基板Cに入力される。主制御基板Cは、球放出スイッチ17のオン信号を入力すると、センターフレーム10の内部の球放出ソレノイド15を駆動し、センターフレーム10の出口レール10eに球が貯留されている場合にその貯留を解除する。
【0027】
上皿55の下方であって、前面枠51の下側部分には上皿55に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿57が配設され、下皿57の右側には、球を遊技領域2cへ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル58が配設されている。この操作ハンドル58が遊技者によって操作されると、図示しないモータ(発射用モータ27、図4参照)が駆動され、遊技領域2cへ球が打ち込まれる。
【0028】
次に、図2を参照して、役物装置11の詳細について役物駆動ソレノイド13による可動部材12の動作と共に説明する。図2は、遊技盤2の一部分を示した正面図であり、図2(a)は、可動部材12が後退した状態を示し、図2(b)は、可動部材12が右斜め上方へ前進した状態を示している。なお、図2においては、遊技盤2に配設される構成部品のうち、可動部材12の動作によって影響する図柄作動口4a、センターフレーム10、及び、役物装置11等の主要部材のみを示して他の部材を省略して示している。
【0029】
役物駆動ソレノイド13は、可動部材12に駆動力を付与して可動部材12を斜め上方にスライド移動させるものである。この役物駆動ソレノイド13がオフされた状態は、通常の遊技状態であり、図2(a)に示すように、可動部材12が後退した状態を形成する。可動部材12の後退時に可動部材12とセンターフレーム10との間を流下する球は、センターフレーム10の移送経路10aの球流入口10bに流入しないでセンターフレーム10の左側を流下する。流下した球は、図示しない釘によって種々の方向へ誘導され、ほぼ10球から20球に1球の確率(入賞率)で図柄作動口4aを含むいずれかの入賞口4a,7へ入賞する。
【0030】
一方、役物駆動ソレノイド13がオンされた状態は、遊技者にとって有利な遊技状態であり、図2(b)に示すように、可動部材12がセンターフレーム10側に向けて前進し、可動部材12とセンターフレーム10との間の経路を閉鎖した状態となる。可動部材12の前進時にセンターフレーム10の左側を流下する球は、球の流下経路上に突出した可動部材12の案内部12aによって球流入口10bへ誘導されて、移送経路10a、ステージ10c、及び、出口レール10eを経て図柄作動口4aへほぼ確実に入賞する。
【0031】
また、可動部材12の前進は、LCD3で行われる変動表示のパターンの1つであるカラス駆動リーチの実行時に行われる。カラス駆動リーチとは、LCD3においてリーチ表示が現出し、その後に3つの図柄が停止した後にカラスのキャラクタが飛来する変動パターンを示すものである。カラスのキャラクタはLCD3の右側から左側の役物装置11側に向けて飛んでいき、そのカラスのキャラクタがLCD3の画面左側に達するのとほぼ同時に、可動部材12によって模されたカラスが役物駆動ソレノイド13のオンによって前進する演出が行われる。カラス駆動リーチの実行時には、後述する主制御基板Cの制御によって役物駆動ソレノイド13が3秒間オンされて可動部材12が前進した状態(図2(b)の状態)となり、可動部材12によって球が図柄作動口4aへ入賞し易いように誘導される。このため、遊技者には、カラス駆動リーチの実行時に図柄作動口4aへ球を誘導する移送経路10aに球が流入し易い遊技状態が付与される。
【0032】
このように、主制御基板Cの制御によって可動部材12が後退した状態から前進状態に切り替えられると、可動部材12によって球が移送経路10aの球流入口10bへ流入し易い状態となるので、遊技者は、移送経路10aを経由して図柄作動口4aに誘導される球の数を増加させることができる。移送経路10aの球流入口10bに流入した球は、センターフレーム10の左側の経路を流下する場合より高確率で、図柄作動口4aにほぼ確実に誘導されるので、遊技者は、可動部材12が前進状態になっているときにはより多くの球が図柄作動口4aに入賞することを期待することができる。よって、可動部材12の状態に応じて遊技者に異なる期待感を持たせつつ弾球遊技を意識させることができ、弾球遊技による興趣を付与することができる。
【0033】
また、センターフレーム10の左側の経路を流下する球は、図示しない釘によって複数の方向に分散させられ、ほぼ10球から20球に1球の確率で図柄作動口4aの上部へ誘導されてから図柄作動口4aに入球する一方、移送経路10aに流入した球は、移送経路10a、ステージ10c、及び、出口レール10eを経由して図柄作動口4aの上部へ誘導されてから図柄作動口4aにほぼ確実に入賞する。よって、遊技者には、可動部材12の状態に応じて一定の経路を経由する固定的な態様で球が流下して図柄作動口4aへ入賞するか、それとも複数の方向に分散させられつつ球が様々な態様で流下して図柄作動口4aへ入賞するかを、可動部材12の状態に応じて変化させて遊技者に視認させることができ、弾球遊技に変化を持たせて弾球遊技を視認する興趣を高めることができる。
【0034】
また、遊技者は、所定の遊技価値が付与される場合に予め定めた表示結果を現出する変動表示に注目して遊技を行うものであり、主制御基板Cは、その変動表示に対応づけて可動部材12の前進及び後退の切り替え動作を制御する。よって、遊技者が注目する変動表示に可動部材12が連動し、遊技中に可動部材12を視認していない遊技者にも可動部材12の切り替え動作を判り易く示すことができる。
【0035】
また、可動部材12の状態の切り替えに対応づけられたカラス駆動リーチがLCD3によって行われる場合には、可動部材12によって球がセンターフレーム10の移送経路10aの球流入口10bへ流入し易い状態となる。このため、遊技者は、球を移送経路10aの球流入口10bを狙って球を遊技領域8へ打ち込むことにより、可動部材12が通常の状態(図2(a)の状態)を形成する場合に比べて多くの球を移送経路10aを介して図柄作動口4aへ誘導することができる。よって、遊技者の意識を可動部材12によって一時的に球が流入し易くなった移送経路10aの球流入口10bへ向けさせ、遊技者が遊技領域8の中で弾球遊技を意識する領域を、変動表示を始動させる図柄作動口4a周辺のみでなく拡大し、弾球遊技による遊技の興趣を遊技者により多く付与することができる。
【0036】
なお、リーチ表示とは、LCD3において図柄の変動表示が開始された後、先に停留する図柄の組み合わせが大当たりの条件を満たしており、変動表示が続いている図柄の表示結果如何によっては大当たりとなることを遊技者に示唆する表示である。示唆演出とは、変動表示の途中でLCD3の表示画面に所定の図柄を現出させたり、スピーカ39から特定の効果音を出力したり、或いは、操作ハンドルを振動させる等の演出であって変動後の表示結果が大当たりとなって所定の遊技価値が付与されることを遊技者に前もって示唆するものである。この示唆演出は、所定の遊技価値の付与を前もって遊技者に気付かせるために行われるだけでなく、所定の遊技価値が付与されない場合に遊技者を暗にそそのかすためにも行われる。
【0037】
カバー部材14は、球の流下方向に沿った上流側から流下する球から可動部材12を保護するための部材であり、可動部材12の上下及び左側を囲うように配設されている。このカバー部材14は、遊技領域2cを覆うガラスに近接する位置まで突出した板状の合成樹脂によって形成されると共に、その上面が右側に向けて下方に傾斜して形成されている。可動部材12に向けて流下する球は、まずカバー部材14の上面に当接する。カバー部材14の上面に当接した球は、その上面の傾斜に沿って右側へと案内され、可動部材12とセンターフレーム10との間を流下する。よって、可動部材12の後退時に可動部材12へ当接する球数を低減することができ、可動部材12の変形や破損を防止することができる。
【0038】
また、可動部材12は、カラス駆動リーチの実行時に前進した状態となった場合にのみ球の流下経路上に突出して球の経路を変更する一方、カラス駆動リーチが行われていない通常状態においては、可動部材12が後退することにより流下経路から外れて球に当接しない位置に配置されているので、球の流下経路に影響を及ぼすことがない。よって、カラス駆動リーチの実行時以外の状態においては、球の流下経路に可動部材が影響を及ぼすことがなく、球がスムースに流下する遊技性を確保することができる。なお、カバー部材14は、必ずしも合成樹脂によって形成する必要はなく、可動部材12の上側に複数の釘を並べて打設することにより球を可動部材12に当接しないように案内するものであっても良い。
【0039】
次に、図3を参照してセンターフレーム10のステージ10c中央に配設された球放出ソレノイド15の動作について説明する。図3(a)は図1の矢印IIIa方向から見たセンターフレーム10を示した図であり、図3(b)は図1のIIIb−IIIb線でセンターフレーム10を断面視して示した図である。なお、図3(a)及び図3(b)においては、センターフレーム10と共に、図柄作動口4aと球放出ソレノイド15と貯留球検出スイッチ16とを併せて示している。また、図面の理解の容易のために、図3(a)及び図3(b)においては球放出ソレノイド15を断面視しないで示すと共に、図3(b)においてはステージ10c上に球が貯留された状態を示している。
【0040】
センターフレーム10のステージ10cは、図3(a)に示すように、上面視において左右対称に形成されており、その中央部に設けられる出口レール10eに向けて下降して形成されている。ステージ10cに案内された球は、出口レール10eに達した後、球を貯留するための突起10fによって出口レール10eの奥側(図3(a)の上側)に貯留され、その貯留された球の後にステージ10c上に導かれた球は、図3(a)に鎖線で示すように、出口レール10eに向けてステージ10c上にほぼ一列に並んで貯留される。出口レール10eの奥方(図3(a)の上側)には、突起10fによって出口レール10e上に貯留された球を図柄作動口4aへ向けて放出するための球放出ソレノイド15が配設されている。
【0041】
球放出ソレノイド15は、出口レール10e上に貯留された球の貯留を解除して球を放出するための部材であり、一般的な電磁ソレノイドで構成されたものである。この球放出ソレノイド15は、図3(b)に示すように、球を出口レール10eの前方に押圧するアーム15aと、アーム15aをステージ10cの前後にスライド移動可能に支持する本体15bと、アーム15aをステージ10cの後方(図3(b)の右側)に付勢するためのスプリング15cとを備えている。この球放出ソレノイド15は、本体15bがセンターフレーム10の一部に図示しないビスで固定されている。球放出ソレノイド15が非通電の状態では、スプリング15cの作用により本体15bに対してアーム15aがステージ10cの後方側に最大に移動した状態となっており、図3(a)に示すように、突起10fとアーム15aとの間に1個の球を貯留可能な隙間を形成する。このため、球放出ソレノイド15が非通電の状態では、ステージ10c上に導かれた球は、突起10fによって出口レール10e上に貯留される。
【0042】
球放出ソレノイド15が通電されて駆動されると、本体15bに対してステージ10cの前方(突起10f側)へアーム15aが移動し、出口レール10e上の突起10fとアーム15aとの間の隙間が縮められる。球放出ソレノイド15が非通電の状態においてアーム15aと突起10fとの間に球が貯留されている場合には、その貯留球は、アーム15aの押圧によって突起10fを乗り越え、出口レール10eの傾斜に沿って出口レール10eの前側(図3(a)の下側)に設けられる図柄作動口4aへ入賞する。図柄作動口4aへ入賞した球は、図柄作動口4aの奥側(図3(b)の右側)に設けられた通路を経由して遊技盤2の裏面側へと案内される。
【0043】
貯留球検出スイッチ16は、投光部と受光部とを有し、投光部から発光された光の反射光を受光部で受光してオンオフが切り替えられる一般的なフォトセンサによって構成されている。この貯留球検出スイッチ16は、図3(b)に示すように、出口レール10eの突起10f奥側の床下に配設されており、突起10fによって球が出口レール10eに貯留されている場合にオンされ、出口レール10eに球の貯留が無い場合にオフされる。この貯留球検出スイッチ16がオンすると、オン信号が後述する主制御基板Cに入力され、主制御基板Cは、そのオン信号が入力された場合に遊技者に球の貯留を示唆する演出を表示用制御基板Dに実行させると共に上皿ボタン56の操作を有効にし、その操作が行われた場合に出口レール10eに貯留された球の貯留を解除する。
【0044】
このように、センターフレーム10の移送経路10aに流入した球は、出口レール10e上の突起10fによって出口レール10eの奥側に貯留され、その球の貯留は、上皿ボタン56が操作されて球放出ソレノイド15が作動すると解除される。このため、遊技者は、自らの操作によって球放出ソレノイド15を作動させることにより、自らの意図するタイミングで球の貯留を解除するという、球の流下に遊技者が直接的に関与する遊技を行わせることができ、移送経路10aの球流入口10bへより多くの球が流入することを期待して遊技を行わせることができる。よって、可動部材12の状態に応じて移送経路10aの球流入口10bに流入する球の数が増減することで、球の流下に遊技者が直接的に関与する遊技の機会を一時的に高めることができ、弾球遊技に対する注目と興趣とを高めることができる。
【0045】
なお、貯留球検出スイッチ16は、必ずしも投光部と受光部とを有するフォトセンサによって構成する必要はない。出口レール10eの突起10fによって球が貯留されているか否かによってオンオフを切り替えるものであれば良く、例えば、機械的に可動する可動片の動作によってオンオフが切り替えられるいわゆるマイクロスイッチによって貯留球検出スイッチを構成し、出口レール10eの床面から可動片を突出させて球の貯留の有無を検出しても良い。
【0046】
図4は、パチンコ機1の電気的構成を示したブロック図である。パチンコ機1の主制御基板Cには、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU21が搭載されている。このMPU21には、MPU21により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM22と、そのROM22内に記憶される制御プログラムの実行に当たって各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM23と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。図5に示す演出選定テーブル22aは固定値データの一部としてROM22に記憶されており、これら各テーブルの詳細については図5を参照して後述する。また、図9から図14に示すフローチャートのプログラムは、制御プログラムの一部としてROM22内に記憶されている。
【0047】
RAM23は、保留球カウンタ23aと、内部乱数カウンタ23bと、リーチ乱数カウンタ23cと、大当たり図柄カウンタ23dと、ハズレ図柄カウンタ23eと、変動パターンカウンタ23fと、演出実行エリア23gと、演出実行1〜4メモリ23h〜23kと、カウンタ用バッファ23lと、放出実行フラグ23mとを備えている。
【0048】
保留球カウンタ23aは、変動表示の保留回数を記憶するカウンタである。保留球カウンタ23aの値は、LCD3で変動表示が行われていない場合または変動表示が行われているが保留中の変動表示がない場合には「0」、保留中の変動表示が1回の場合には「1」、・・・、保留中の変動表示が4回の場合には「4」となる。本実施例のパチンコ機1では、変動表示の最大保留回数は4回であるので、保留球カウンタ23aの値は「0」から「4」の範囲で変化する。保留球カウンタ23aの値のカウントアップは、図柄作動口4aへ入賞した球が第1種始動口スイッチ24で検出された場合に行われ(図10、S23参照)、カウントダウンは、変動表示の開始時に行われる(図10、S28参照)。
【0049】
ここで、MPU21には、電源断時においてもバックアップ電圧が供給されている。よって、停電などの発生によって電源がオフされても、MPU21のRAM23のデータは保持(バックアップ)される。従って、RAM23に設けられた保留球数カウンタ23aの値(変動表示の保留回数)は停電時においても保持され続けて、停電の解消後に残りの保留回数分の変動表示を行うことができる。また、RAM23には、賞球の払い出し残数も記憶されており、停電解消後に残りの賞球の払い出しも行うことができる。
【0050】
内部乱数カウンタ23bは、大当たりの発生を決定するためのカウンタであり、後述するカウンタ更新処理(図9、S14参照)によって、「0〜599」の範囲内で順に1ずつ加算されて更新され、最大値(つまり599)に達した後に再び「0」に戻される。この内部乱数カウンタ23bの値は、遊技盤2の前面に打ち込まれた球が図柄作動口4aへ入賞して後述する第1種始動口スイッチ24で検出されたとき(始動入賞時)に取得され、通常時には、このとき取得された内部乱数カウンタ23bの値が「7」または「307」であった場合に大当たりの発生が確定する。
【0051】
大当たりの発生が確定すると、主制御基板Cから後述する表示用制御基板Dへ大当たりとなる図柄の組み合わせ(大当たり図柄)を示す停止図柄コマンドが送信され、表示用制御基板Dは、その停止図柄コマンドに基づいてLCD3の変動後の表示結果を大当たりとなる図柄の組み合わせとする。なお、遊技者に所定の遊技価値(特別遊技状態)を付与するか否かの抽選は、この内部乱数カウンタ23bの値に基づいて後述する通常表示コマンド決定処理のS41の処理(図11参照)及び特別表示コマンド決定処理のS51の処理(図12参照)で行われる。始動入賞時に取得された内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値であれば、所定の遊技価値を付与する抽選結果の導出(当選)となる。
【0052】
リーチ乱数カウンタ23cは、ハズレリーチの発生を決定するためのカウンタである。変動表示の途中でリーチ表示を現出させてからハズレとなるハズレリーチとするか、リーチ表示を現出させない通常のハズレとするかは、リーチ乱数カウンタ23cの値に基づいて決定される。リーチ乱数カウンタ23cの値は、後述するカウンタ更新処理(図9、S14参照)によって、「0〜11」の範囲内で順に1ずつ加算されて更新され、最大値(つまり11)に達した後に再び「0」に戻される。
【0053】
このリーチ乱数カウンタ23cの値は、前記した内部乱数カウンタ23bの値と同様に始動入賞時に取得され、前記した内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値でなく、且つ、取得されたリーチ乱数カウンタ23cの値が「7」である場合にハズレリーチの発生が確定する。このハズレリーチの発生時には、後述するカウンタ用バッファ23lに記憶されるハズレリーチ図柄(ハズレリーチを構成する図柄の組み合わせ)が停止図柄コマンドに設定され(図11、S45及び図12、S55参照)、そのハズレリーチ図柄が変動後の表示結果として現出する。なお、始動入賞時に取得されたリーチ乱数カウンタ23cの値は、前記した内部乱数カウンタ23bの値と共に、保留球カウンタ23aの値が示す演出実行1〜4メモリ23h〜23kに書き込まれて記憶される(図10、S25参照)。
【0054】
大当たり図柄カウンタ23dは、大当たりのときにLCD3に停止表示される大当たり図柄(特別図柄)を決定するためのカウンタである。本実施例のパチンコ機1においては、「0」から「9」までの数字で構成された10種の図柄によってLCD3で変動表示が行われ、LCD3の表示領域に表示される3つの図柄が同一の図柄で停止表示された場合に大当たりが発生する。大当たり図柄カウンタ23dの値は、後述するカウンタ更新処理(図9、S14参照)によって、大当たりを発生させる10種の図柄に対応した「0〜9」の範囲内で順に1ずつ加算されて更新され、最大値(つまり9)に達した後に再び「0」に戻される。
【0055】
この大当たり図柄カウンタ23dの値は、前記した内部乱数カウンタ23b及びリーチ乱数カウンタ23cと共に始動入賞時に取得され、同時に取得された内部乱数カウンタ23bの値に基づいて大当たりの発生が確定すると、その大当たりを発生させる変動表示に対して停止表示される大当たり図柄として、大当たり図柄カウンタ23dの値が使用される。即ち、大当たり図柄カウンタ23dの値と同一の数字を3つ並べて組み合わせた図柄が停止図柄コマンドとして設定される(図11、S42及び図12、S52参照)。なお、始動入賞時に取得された大当たり図柄カウンタ23dの値は、前記した内部乱数カウンタ23b及びリーチ乱数カウンタ23cの値と共に、保留球カウンタ23aの値が示す演出実行1〜4メモリ23h〜23kに書き込まれて記憶される(図10、S25参照)。
【0056】
ハズレ図柄カウンタ23eは、ハズレ時にLCD3に停止表示される図柄の組み合わせ(ハズレ図柄)を決定するためのカウンタである。このハズレ図柄カウンタ23eは、各カウンタがLCD3の左側、中央、右側の3つの表示領域に表示される図柄に対応づけられた3つの図柄カウンタで構成されている。ハズレ図柄カウンタ23eは、後述するハズレ図柄カウンタ更新処理(図9、S17参照)によって「0」から「9」まで1ずつ加算されて更新され、「9」に達した後に再び「0」に戻される。また、右側の図柄の図柄カウンタが最大値に達した場合に中央の図柄の図柄カウンタが1加算されて更新され、中央の図柄の図柄カウンタが最大値に達した場合に左側の図柄の図柄カウンタが1加算されるようになっている。前記した内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値でなく、且つ、リーチ乱数カウンタ23cの値がハズレリーチを発生させる値でない場合における変動表示の停止図柄は、ハズレ図柄カウンタ23eの値に従ってLCD3に表示されるものであり、ハズレ図柄カウンタ23eの値が停止図柄コマンドに設定されることにより行われる(図11、S47参照)。
【0057】
変動パターンカウンタ23fは、LCD3を変動表示させるパターン(変動パターン)の決定に使用するカウンタであり、本実施例では「0〜99」まで順に1ずつ加算されて更新され、最大値(つまり99)に達した後再び「0」に戻される。この変動パターンカウンタ23fの値は、変動表示の開始時に実行される通常表示コマンド決定処理(図10、S32参照)において参照される場合があり、この場合には、参照された変動パターンカウンタ23fの値に応じたデータ(パターン)が図4に示す演出選定テーブル22aから読み出され、表示用制御基板Dに送信される変動パターンコマンドとして設定される(図11、S46参照)。
【0058】
演出実行エリア23gは、LCD3で実行中の変動表示に対する内部乱数カウンタ23b、リーチ乱数カウンタ23c、大当たり図柄カウンタ23d、及び、ハズレ図柄カウンタ23eの値を変動表示のデータ(変動表示情報)として記憶するためのエリアである。この演出実行エリア23gには、LCD3で変動表示が実行中でなく、且つ、保留球カウンタ23aの値が「1」以上で保留中の変動表示がある場合に、保留中の変動表示のうち最初に書き込みが行われた演出実行1メモリ23hに記憶されている変動表示のデータが書き込まれる(図10、S29参照)。
【0059】
演出実行1〜4メモリ23h〜23kは、保留中の変動表示に対する内部乱数カウンタ23b、リーチ乱数カウンタ23c、大当たり図柄カウンタ23d、及び、ハズレ図柄カウンタ23eの値を変動表示のデータとして記憶するメモリである。この演出実行1〜4メモリ23h〜23kへの変動表示のデータの書き込みは、始動入賞時に実行される。また、本実施例における変動表示の保留回数は最大4回であるので、4つの演出実行1〜4メモリ23h〜23kが設けられている。これら4つの演出実行1〜4メモリ23h〜23kに保留中のデータがある場合には、1回の変動表示毎に1つずつ演出実行エリア23gにデータが書き込まれて使用される。
【0060】
カウンタ用バッファ23lは、更新中のカウンタ値を一時的に記憶するための領域であり、上記した各カウンタ23b〜23fの値は、更新される毎にカウンタ用バッファ23lに書き込まれて記憶される。また、後述するハズレ図柄カウンタ更新処理(図9、S17参照)によってハズレ図柄カウンタ23eの値が更新された場合に、ハズレリーチを構成する図柄の組み合わせを示す値(カウント値)となったとき、そのカウント値をハズレリーチの発生時に使用する値として記憶する。具体的には、ハズレ図柄カウンタ23eを構成する左側の図柄の図柄カウンタと右側の図柄の図柄カウンタとが同一図柄を停止表示させるカウント値の組み合わせとなり、且つ、その図柄とは異なる図柄を中央の図柄の図柄カウンタが示している場合(例えば、左側、中央、右側の図柄の組み合わせが「767」や「151」などとなっている場合)に、ハズレ図柄カウンタ23eのカウント値がハズレリーチを構成する図柄の組み合わせを示す値としてカウンタ用バッファ23lに記憶される。
【0061】
放出実行フラグ23mは、センターフレーム10のステージ10c上に貯留された球の貯留を解除する放出操作が遊技者によって行われたことを認識するためのフラグである。この放出実行フラグ23mは、遊技者が上皿ボタン56を押下して球放出スイッチ17がオンとなった場合にオンされる(図13、S66参照)。放出実行フラグ23mがオン状態である場合における始動入賞は、遊技者の放出操作によるものと判断され(図10、S31参照)、変動パターンとして遊技者の放出操作に連動した特別な変動パターン(後述する「パターンF」から「パターンI」のいずれか)が設定される。この放出実行フラグ23mは、放出実行フラグ23mがオン状態である場合に始動入賞が成立するとオフされて、オフ状態における始動入賞は、遊技者の放出操作によるものでないと判断され、通常の始動入賞時に選定される変動パターン(後述する「パターンA」から「パターンE」のいずれか)が設定される。
【0062】
かかるROM22およびRAM23を内蔵したMPU21は入出力ポート25と接続されており、入出力ポート25は、払出用モータ26によって賞球や貸球の払出制御を行う払出制御基板Hと、前記した図柄の変動表示等の制御を行う表示用制御基板Dと、第1種始動口スイッチ24と、役物駆動ソレノイド13と、球放出ソレノイド15と、貯留球検出スイッチ16と、球放出スイッチ17と、そのほか、他の入出力装置28とにそれぞれ接続されている。
【0063】
払出制御基板Hには、遊技盤2の前面に球を発射するための発射用モータ27について駆動の許可と禁止とを制御するための発射制御基板Bが接続されている。遊技者が操作ハンドル58を操作しており、且つ、遊技者が図示しないストップスイッチを押下していない場合には、発射制御基板Bは、発射用モータ27の駆動を許可して球の発射を行わせる。
【0064】
表示用制御基板Dは、MPU31、ビデオRAM34、キャラクタROM35、画像コントローラ36、入出力ポート38、出力ポート37等を備えている。入出力ポート38の一方には、主制御基板Cの入出力ポート25と、音声ランプ制御基板Lとが接続され、入出力ポート38の他方には、バスラインを介してMPU31が接続されている。また、出力ポート37の入力には画像コントローラ36が接続され、出力ポート37の出力にはLCD3が接続されている。
【0065】
表示用制御基板DのMPU31は、主制御基板Cから送信される制御用コマンドに基づいて、LCD3の(変動)表示を制御するためのものであり、ROM32とRAM33とを備えている。ROM32には、MPU31により実行される各種の制御プログラムや固定値データが記憶されている。RAM33は、MPU31による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグが記憶されるメモリであり、このRAM33には、演出実行エリア33aが設けられている。
【0066】
演出実行エリア33aは、主制御基板Cから送信される表示コマンドを受信した場合に、その表示コマンドに付加される変動パターン及び停止図柄に関するデータを記憶するためのものである。表示用制御基板Dが表示コマンドを受信すると、その表示コマンドに付加される変動パターン及び停止図柄に関するデータが演出実行エリア33aに書き込まれ、その書き込まれたデータに従って表示用制御基板Dは変動表示を実行する。
【0067】
ビデオRAM34は、LCD3に表示される表示データが記憶されるメモリであり、このビデオRAM34の内容を書き換えることにより、LCD3の表示内容が変更される。キャラクタROM35は、LCD3に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するためのメモリである。画像コントローラ36は、MPU31、ビデオRAM34、出力ポート37のそれぞれのタイミングを調整して、データの読み書きを介在するとともに、ビデオRAM34に記憶される表示データをキャラクタROM35を参照して所定のタイミングでLCD3に表示させるものである。
【0068】
音声ランプ制御基板Lは、スピーカ39から出力される効果音の音声制御とLEDや保留ランプ5等の各種ランプ40の点灯制御を行うものである。音声ランプ制御基板Lは、表示用制御基板Dから送信されるコマンドによって制御されるものであり、表示用制御基板Dによって制御されるLCD3と、音声ランプ制御基板Lによって制御されるスピーカ39と各種ランプ40とが同期して各種の演出が実行される。
【0069】
第1種始動口スイッチ24は、図柄作動口(第1種始動口)4に入賞した球を検出するためのスイッチであり、図柄作動口4aの近傍に設けられている。第1種始動口スイッチ24によって球が検出されると、図示しない払出装置によって5個の賞球が払い出される。また、第1種始動口スイッチ24によって球が検出された場合には、内部乱数カウンタ23b等の値が取得され、その取得された値に従った変動表示が実行される。
【0070】
役物駆動ソレノイド13は、自己保持型のキープソレノイドであり、従来のオープンフレームソレノイドに永久磁石を組み合わせて構成されている。役物駆動ソレノイド13は、内蔵するコイルへの瞬時通電により、一部分が本体から突出して形成されたシャフトが更に外方へと突出してオン状態を形成し、その突出したオン位置において永久磁石によりシャフトが吸着保持される。一方、役物駆動ソレノイド13をオフする場合には、シャフトが外方へと突出した状態で逆電力の瞬時通電を行ってシャフトの突出量が縮められたオフ状態を形成し、その縮められたオフ位置で永久磁石にシャフトが吸着保持される。このシャフトには可動部材12が連結されており、シャフトの突出量に応じて可動部材12の前進状態(図2(b)参照)と後退状態(図2(a)参照)とが選択的に形成される。よって、一時的に役物駆動ソレノイド13を通電して可動部材12を前進させることができるので、役物駆動ソレノイド13の発熱等による破損を考慮することなく可動部材12の前進状態を長く維持することができる。
【0071】
なお、可動部材12の位置を検出するためにシャフトの突出状態を検出するスイッチを役物駆動ソレノイド13に内蔵させたり、役物駆動ソレノイド13とは別に可動部材12の一部に当接して可動部材12が前進状態か否かを検出するスイッチを設けることが好ましい。役物駆動ソレノイド13をキープソレノイドとする場合には、そのオン状態が継続する故障の発生時に遊技場が多大な不利益を被ることとなるが、スイッチの状態によって表示用制御基板Dに可動部材12の位置を検出させることにより、可動部材12が表示用制御基板Dによる制御に従って正確に動作しているか否かを確認して、エラー時にはスピーカ39やランプ40を介して外部に状態を的確に告知することができる。
【0072】
球放出ソレノイド15は、上述したように、センターフレーム10の出口レール10e上に貯留された球の貯留を解除するためのソレノイドであり、貯留球検出スイッチ16は、出口レール10e上に球が貯留された状態であることを検出するスイッチである。球放出スイッチ17は、上皿ボタン56が押下された場合にオンする押しボタンタイプのスイッチである。この球放出スイッチ17は、貯留球検出スイッチ16がオンであって出口レール10e上に球が貯留された状態でオンされた場合には、主制御基板Cの制御によって球放出ソレノイド15が駆動される。これにより、球の貯留状態が解除され、貯留されていた球が図柄作動口4aへ向けて放出される。
【0073】
次に、図5を参照して、変動パターンカウンタ23fの値に応じたデータが設定された演出選定テーブル22aについて説明する。図5は、変動パターンの選定に使用する演出選定テーブル22aの構成を模式的に示した図である。
【0074】
演出選定テーブル22aは、ハズレリーチ時に実行する変動パターンの選定に使用するテーブルである。この演出選定テーブル22aには、リーチ表示を伴うハズレリーチを発生する変動パターンとして「パターンB」から「パターンE」までの4種類の変動パターンが設定されている。
【0075】
ここで、図6から図8を参照してパチンコ機1に設定された各変動パターンについて説明する。図6及び図7は、通常の始動入賞時にLCD3で行われる変動表示の表示画面を例示した図である。図8は、遊技者の放出操作による始動入賞時におけるLCD3の表示画面を示した図である。なお、図8においては、図面の理解の容易のためにLCD3と共に図柄作動口4aとセンターフレーム10とを併せて示している。
【0076】
パチンコ機1には、変動パターンとして、ハズレリーチを発生する4種類の変動パターンと、別の5種類の変動パターンとが設定されており、「パターンA」から「パターンI」まで計9種類が設定されている。
【0077】
「パターンA」は、リーチ表示を伴わないハズレ図柄を表示するパターンである。「パターンA」では、LCD3の上段の表示領域3aに表示される3つの図柄リールの変動を開始した後(図6(a)の状態)、7秒後に左側の図柄リールの変動を停止し、8秒後に右側の図柄リールの変動を停止し(図6(b)の状態)、9秒後に中央の図柄リールの変動を停止する。「パターンA」では、LCD3の下段の表示領域3bに、ゴルフのプレーヤーを模したキャラクタのアニメーションを表示する。具体的には、変動表示の開始から徐々にゴルフクラブのスイングを開始し、右側の図柄リールの変動停止と同時にゴルフプレーヤーが空振りするアニメーションを表示する。なお、図柄リールとは、LCD3に表示される「0〜9」の図柄が縦方向に順に並べられた仮想的なリールである。
【0078】
「パターンB」は、グリーンリーチと称したパターンである。「パターンB」では、上段の表示領域3aで変動表示を開始した後(図6(a)の状態)、7秒後に左側の図柄リールの変動を停止し、8秒後に右側の図柄リールの変動を停止してリーチ表示を現出させる(図6(c)の状態)。このとき、下段の表示領域3bには、ゴルフプレーヤーがボールを打って、ボールが飛んで行くアニメーションを表示する。
【0079】
右側の図柄リールの変動停止後、中央の図柄リールを4秒間(即ち、変動開始後12秒経過するまで)スクロールさせて停止する。下段の表示領域3bには、グリーンにボールが落ちてグリーンのカップに向かって転がって行くアニメーションを表示し、中央の停止図柄が、先に停止した左右の図柄と同一であって、大当たりを表示するときには、ボールがグリーン上の穴(カップ)に入る(カップインする)アニメーションを表示する(図6(d)参照)。一方、中央の停止図柄が、先に停止した左右の図柄と異なり、ハズレである場合には、ボールがカップからずれた位置で停止するアニメーションを表示する。
【0080】
「パターンC」は、池ハズレリーチと称したパターンであり、「パターンB」に対して右側の図柄リールの変動停止後に、下段の表示領域3bに表示されるアニメーションのみが異なるものである。右側の図柄リールの変動停止後に、下段の表示領域3bには、池にボールが落ちるアニメーションを表示する(図7(a)参照)。
【0081】
「パターンD」は、草むらリーチと称したパターンであり、「パターンB」に対して右側の図柄リールの変動停止後に下段の表示領域3bに表示されるアニメーションが異なるものである。右側の図柄リールの変動停止後、下段の表示領域3bには、草むらにボールが落ちるアニメーションを表示する(図7(b)参照)。
【0082】
「パターンE」は、カラス駆動リーチと称したパターンであり、「パターンD」に対して中央の図柄リールの変動停止後も演出が継続して行われるものである。中央の図柄リールの変動停止後(変動開始から12秒経過した後)、下段の表示領域3bには、カラスが草むらのボールを拾い上げて左側に飛んでいくアニメーション(図7(c)参照)が3秒間表示される(以下、この表示をカラスチャンス表示と称す)。このカラスチャンス表示の現出中には、カラスを模した可動部材12が斜め上方に前進するように役物駆動ソレノイド13がオンされ、可動部材12によってセンターフレーム10の移送経路10aへ球が流入し易い状態(以下、この状態をカラスチャンスと称す)が維持される(図2(b)参照)。
【0083】
カラスチャンス表示が現出してから3秒経過すると役物駆動ソレノイド13がオフされて可動部材12が後退する(図2(a)参照)。役物駆動ソレノイド13がオンされて可動部材12が前進した状態においては、球がセンターフレーム10の移送経路10aに流入し易く、移送経路10aを経由してステージ10c中央の出口レール10e上に貯留され易い。遊技者は、3秒間のカラスチャンス中には、センターフレーム10の左側に球が流下するように操作ハンドル58を操作し、ほぼ全て移送経路10aに流入させることにより、約5,6個の球が出口レール10eからステージ10cにかけて貯留される。
【0084】
なお、パチンコ機1においては、リーチ表示を伴う「パターンB」から「パターンE」までの4種類の変動パターンのうち大当たり時に設定される変動パターンは、「パターンB」のみとなっている。「パターンC」から「パターンE」までは、変動後の表示結果がハズレである場合にのみ実行される変動パターンであり、始動入賞時に取得された内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させるものでない場合に限って選定される。また、上述した「パターンA」から「パターンE」は、通常の始動入賞時に選定される変動パターンである。
【0085】
「パターンF」から「パターンI」は、遊技者の放出操作による始動入賞時に選定される特別な変動パターンである。カラスチャンス時にセンターフレーム10の出口レール10e上に貯留した球を、遊技者が上皿ボタン56を押下して図柄作動口4aに入賞させた場合には、「パターンF」から「パターンI」のちいずれかが変動パターンとして選定される。この「パターンF」から「パターンI」は、変動表示の開始を待機するデモ画面のうち、貯留球検出スイッチ16がオンであって出口レール10e上の球の貯留を検出している場合に実行される特別デモ画面の表示後に実行されるものであり、特別デモ画面による演出に始動入賞後の演出が継続するように設定された変動パターンである。
【0086】
特別デモ画面の表示中には、LCD3の上段の表示領域3aに「よく狙え!」の表示と、「3」、「2」、「1」、「0」の4つの数字が表示され、下段の表示領域3bには、あたかも出口レール10e上に貯留された球を叩くかのようにゴルフクラブの先端側を出口レール10e側に向けてゴルフクラブを握っているゴルフプレーヤーが表示され、出口レール10e上に貯留される球を、下段の表示領域3bの表示に関連づけて演出が行われる。
【0087】
特別デモ画面の表示中に遊技者が上皿ボタン56を押下する放出操作を行って球放出スイッチ17がオンされた場合には、遊技者の操作に連動するように下段の表示領域3bにゴルフプレーヤーがスイングして球を打った状態を表示すると共に(図8(b)参照)、出口レール10e上の球の貯留を解除して図柄作動口4aに向けて球を放出する。その後、図柄作動口4aに球が入賞すると、始動入賞となって特別デモ画面に連続して、「パターンF」から「パターンI」のいずれかの変動表示を開始する。
【0088】
「パターンF」は、遊技者による球の放出操作によって大当たりが発生したときに設定されるパターンである。この「パターンF」では、上段の表示領域3aには、変動開始時に左右の図柄リールが停止してリーチ表示を現出させる(図6(c)参照)。変動開始後、中央の図柄リールを3秒間スクロールさせてから、中央の停止図柄を、先に停止した左右の図柄と同一の図柄で停止し、大当たりを表示する。下段の表示領域3bには、グリーンに乗ったボールがカップに向かって転がった後にカップインするアニメーションを3秒間で表示する。
【0089】
「パターンG」は、遊技者による球の放出操作が行われた場合におけるハズレ時に設定されるパターンの1つである。この「パターンG」は、「パターンF」に対して中央の停止図柄を、先に停止した左右の図柄と異なる図柄で停止するものである。下段の表示領域3bには、グリーンに乗ったボールがカップに向かって転がった後、カップの手前で停止するアニメーションを3秒間で表示する。
【0090】
「パターンH」は、「パターンG」と同様、遊技者による球の放出操作が行われた場合におけるハズレ時に設定されるパターンの1つである。この「パターンH」は、「パターンG」に対して下段の表示領域3bに表示されるアニメーションのみが異なるものである。下段の表示領域3bには、グリーンに乗ったボールがカップに向かって転がった後、カップの奥側で停止するアニメーションを3秒間で表示する。
【0091】
「パターンI」は、「パターンG」及び「パターンH」と同様、遊技者による球の放出操作が行われた場合におけるハズレ時に設定されるパターンの1つである。この「パターンI」も、「パターンG」に対して下段の表示領域3bに表示されるアニメーションのみが異なるものである。変動開始後、下段の表示領域3bには、林の中にボールが落ちていく状態(OB)を表示するアニメーションを3秒間で表示する。
【0092】
ここで、特別デモ画面において、上段の表示領域3aに表示される4つの数字は、遊技者に大当たりの発生を決定づける内部乱数カウンタ23bの値を示すためのものであり、内部乱数カウンタ23bの1周期に相当する1.2秒間隔で「0」から「3」までの数字が降順に1つずつ点滅する。また、「0」の数字が点滅した後には、「3」の数字が再度点滅し、「3」から「0」の数字の点滅が繰り返して行われる。なお、内部乱数カウンタ23bは、「0〜599」の範囲内で計600個の値を取り得るカウンタであるので、後述するカウンタ更新処理によって2ms毎に1ずつ加算される。このため、内部乱数カウンタ23bの1周期は、600に2msを乗じた時間(即ち、1.2秒)となる。
【0093】
上段の表示領域3aに表示される数字の点滅が切り替わるタイミングは、大当たりを発生させる内部乱数カウンタ23bの値「7」を遊技者に示すものであり、「7」のカウント値に達するより一定時間(0.5秒)前に、点滅する数字を切り替えて表示する。パチンコ機1は、遊技者によって出口レール10e上の球の貯留を解除する放出操作が行われた後、貯留が解除された球が第1種始動口スイッチに検出されるまでには、毎回ほぼ0.5秒の時間を必要とするものであり、この時間分だけ、内部乱数カウンタ23bの値が「7」に達する前に点滅する数字を切り替える。点滅する数字を切り替えるときのカウント値としては、250回カウント値を更新した後に「7」に達する値である「357」となっている。よって、遊技者は、出口レール10e上の球の貯留を解除する放出操作のタイミングを、数字の点滅が切り替わるタイミングに一致させて行った場合に球の貯留解除後に図柄作動口4aへ入賞するタイミングを「7」の付近とすることができ、「3」から「0」まで放出操作を実行するタイミングをとりつつ大当たりを狙う遊技の興趣を遊技者に付与することができる。
【0094】
図5に戻って演出選定テーブル22aについて説明する。演出選定テーブル22aには、上述した「パターンB」から「パターンE」までの4種類の変動パターンに対する変動パターンカウンタ23fの値が区分けされている。具体的には「0〜99」の範囲内で更新される変動パターンカウンタ23fの値は、グリーンリーチの「パターンB」に対して「0〜39」、池ハズレリーチの「パターンC」に対して「40〜69」、草むらハズレリーチの「パターンD」に対して「70〜89」、カラス駆動リーチの「パターンE」に対して「90〜99」の4つの範囲に区分けされている。つまり、「パターンB」、「パターンC」、「パターンD」及び「パターンE」の変動パターンが40:30:20:10の比率に区分けされている。この演出選定テーブル22aでは、グリーンリーチと池ハズレリーチと草むらハズレリーチに比べ、カラス駆動リーチが最も少ない設定となっている。この演出選定テーブル22aには、グリーンリーチと池ハズレリーチと草むらハズレリーチとに比べて、カラス駆動リーチが最も少ない設定となっている。よって、カラス駆動リーチが設定された後のカラスチャンス表示中に可動部材12が3秒間前進し、球が移送経路10aの入口(球流入口10b)に流入し易い状態(カラスチャンス)を遊技者にとって限定されたものとして、カラスチャンスを期待する遊技の興趣を強調して遊技者に付与することができる。
【0095】
なお、変動パターンカウンタ23fの値は必ずしも演出選定テーブル22aにて設定した比率に区分けする必要はなく、各変動パターンの比率は別の比率に区分けしても良い。また、演出選定テーブル22aに設定する変動パターンは、必ずしも4種類に限るものでなく、2種類か3種類としても良く、又は、5種類以上としても良い。なお、変動パターンカウンタ23fの値は必ずしも演出選定テーブル22aにて設定した比率に区分けする必要はなく、各変動パターンの比率は別の比率に区分けしても良い。
【0096】
変動パターンを選定するための演出選定テーブル22aに基づいて変動パターンが決定されると、各変動パターン毎に対応させた「B〜D」のデータが表示コマンドを構成する1つのコマンド(変動パターンコマンド)として表示用制御基板Dに出力される。表示用制御基板Dは、変動パターンコマンドを受信した場合に、各変動パターンのデータに対応して設定された時間分の演出を実行する。
【0097】
次に、上記のように構成されたパチンコ機1で実行される各処理を、図9から図14の各フローチャートを参照して説明する。図9は、パチンコ機1の主制御基板Cにおいて実行されるメイン処理のフローチャートである。メイン処理では、バックアップデータがある場合の復元や、RAMやI/O等の各値の初期化、及び、タイマ割込等の各割込の設定を行う等の初期化処理(S11)を実行し、その後に、S12からS17の各処理を所定時間毎(本実施例においては、2ms毎)に繰り返し実行して、遊技の制御を行う。
【0098】
始動入賞変動開始処理(S12)では、球が図柄作動口(第1種始動口)4へ入賞したか否かを確認して変動表示の内容を設定すると共に、変動開始のタイミングであれば、変動表示を開始させる表示コマンドを表示用制御基板Dへ送信する。この始動入賞変動開始処理(S12)の詳細については、図10を参照して後述する。
【0099】
変動停止処理(S13)では、まず、大当たり中であるか否かを判定する。ここで、大当たり中には、大当たりの際にLCD3で表示される特別遊技の最中と特別遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。特別遊技終了後の所定時間は、例えばパチンコ機1の各状態を整えるのに要する時間などとして設定される。大当たり中ではないと判定されると、変動パターンにおける変動時間が終了しているか否かを判定する。この処理は、各変動パターン毎に設定された時間を経過したかを判定することにより行われる。変動時間が終了していれば、変動の停止と確認のために制御用コマンドの1つである確定コマンドを表示用制御基板Dへ出力し、この処理を終了する。表示用制御基板Dは、確定コマンドを入力すると、LCD3の変動表示を停止表示させる。
【0100】
カウンタ更新処理(S14)では、内部乱数カウンタ23b、リーチ乱数カウンタ23c、大当たり図柄カウンタ23d、変動パターンカウンタ23fの各カウンタの値を更新する。大当たり処理(S15)では、大当たりか否かを判定し、大当たりである場合には特定入賞口6(図1参照)の開放処理を行う。一方、大当たりでない場合には、該処理をスキップしてこの処理を終了する。特定入賞口6の開放処理では、球が入賞しやすいように特定入賞口6を所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放する。特定入賞口6の開放中に、球がVゾーン6aを通過すると、継続権を成立させて、特定入賞口6の閉鎖後、再度、その特定入賞口6を所定時間(又は、球が10個入賞するまで)開放する。この特定入賞口6の開閉動作を、最高で16回(16ラウンド)繰り返す。その他の処理(S16)では、賞球の払い出しを指示するコマンドを送信する等の他の処理を実行する。図14に示す役物駆動ソレノイド13を駆動させる役物ソレノイド駆動処理は、S16の処理の中で行われる。
【0101】
ハズレ図柄カウンタ更新処理(S17)では、ハズレ図柄カウンタ23eの値を更新する。その後、次のS12の処理の実行タイミングが到来するまでの残余時間の間、ハズレ図柄カウンタ更新処理(S17)を繰り返し実行する。S12〜S16の各処理は定期的に実行する必要があるので、S18の処理において、前回のS12の処理の実行からの経過時間をチェックする(S18)。チェックの結果、前回のS12の処理の実行から所定時間(2ms)経過していれば(S18:Yes)、処理をS12へ移行する。一方、所定時間経過していなければ(S18:No)、処理をS17へ移行して、ハズレ図柄カウンタ更新処理(S17)を繰り返す。ここで、S12〜S16の各処理の実行時間は、遊技の状態に応じて変化するので、次のS12の処理の実行タイミングが到来するまでの残余時間は、一定の時間ではない。よって、かかる残余時間を使用してハズレ図柄カウンタ更新処理(S17)を繰り返し実行することにより、ハズレ図柄カウンタ23eの値をランダムに更新することができる。
【0102】
図10は、主制御基板Cのメイン処理(図9参照)の中で実行される始動入賞変動開始処理(S12)のフローチャートである。この始動入賞変動開始処理(S12)は、保留球カウンタ23aの値が「3」以下であって演出実行1〜4メモリ23h〜23kに変動表示のデータを記憶可能な状態である場合に第1種始動口スイッチ24が球を検出して始動入賞が成立したとき、その始動入賞時における内部乱数カウンタ23bなどの値を変動表示のデータとして取得し、保留球カウンタ23aの値が示す演出実行1〜4メモリ23h〜23kに記憶させる処理である。また、始動入賞変動開始処理(S12)は、保留球カウンタ23aの値が「1」以上であるとき、LCD3において変動表示が行われていなく、且つ、大当たり中でなければ保留球カウンタ23aの値を「1」減算して保留中の変動表示のデータを演出実行エリア23gに書き込んで変動表示を実行させ、一方、変動表示が行われていれば保留中の変動表示の実行を保留(待機)させる処理である。
【0103】
この始動入賞変動開始処理(S12)では、まず、第1種始動口スイッチ24が球を検出したか否かを確認する(S21)。第1種始動口スイッチ24が球を検出していれば(S21:Yes)、次に、保留球カウンタ23aの値が「4」以上であるか否かを確認する(S22)。保留球カウンタ23aの値が「4」未満であれば(S22:No)、変動表示のデータが最大の保留回数分記憶されていないので、保留球カウンタ23aの値に「1」を加算する(S23)。その後、保留ランプ5を1つ点灯させるコマンドを表示用制御基板Dへ送信し(S24)、変動表示の保留回数を示す保留ランプ5を1つ点灯させる。更に、内部乱数カウンタ23b、リーチ乱数カウンタ23c、大当たり図柄カウンタ23d、及び、ハズレ図柄カウンタ23eの各値を変動表示のデータとして保留球カウンタ23aの値が示す演出実行1〜4メモリ23h〜23kに書き込み(S25)、処理をS26へ移行する。
【0104】
一方、S21の処理において、第1種始動口スイッチ24が球を検出していなければ(S21:No)、始動入賞の成立時でなく、また、S22の処理において保留球カウンタ23aの値が「4」以上であれば(S22:Yes)、変動表示の保留回数分設けられた演出実行1〜4メモリ23h〜23kの全てに変動表示のデータが書き込まれているので、S23〜S25の処理をスキップして処理をS26へ移行する。
【0105】
S26からの処理では、まず、変動表示中か又は大当たり中(所定の遊技価値が付与される特別遊技状態中)であるか否かを確認する(S26)。変動表示中でなく且つ大当たり中でなければ(S26:No)、保留球カウンタ23aの値が「1」以上であるか否かを確認する(S27)。「1」以上であれば(S27:Yes)、保留球カウンタ23aの値から「1」を減算して(S28)、演出実行1メモリ23hに記憶されている変動表示のデータを演出実行エリア23gに書き込む(S29)。
【0106】
次に、演出実行2〜4メモリ23i〜23kに記憶されている変動表示のデータを演出実行1〜3メモリ23h〜23jへそれぞれ1つずつシフトし(S30)、放出実行フラグ23mがオンか確認する(S31)。放出実行フラグ23mがオンでなければ(S31:No)、センターフレーム10の出口レール10eに貯留された球が遊技者により放出されて実行される変動表示でないので、変動パターンとして「パターンA」から「パターンE」のいずれかを選定する処理を行って変動パターンと停止図柄とを設定する通常表示コマンド決定処理を行い(S32、図11参照)、その通常表示コマンド決定処理(S32)により決定された表示コマンドを表示用制御基板Dに送信して(S33)、この始動入賞変動開始処理(S21)を終了する。一方、S31の処理において放出実行フラグ23mがオンでなければ(S31:No)、遊技者により放出された球が図柄作動口4aに入賞して開始される変動表示であるので、変動パターンとして「パターンF」から「パターンI」のいずれかを選定する処理を行って変動パターンと停止図柄とを設定する特別表示コマンド決定処理を行い(S34、図12参照)、処理をS33へ移行する。
【0107】
また、S27の処理において保留球カウンタ23aの値が「1」未満、即ち、「0」であることが確認された場合には(S26:No)、変動待機中に表示するデモ画面として遊技者に上皿ボタン56を操作するタイミングを示す特別デモ画面を表示用制御基板Dに表示させる変動待機時処理(S35、図13参照)を行い、この始動入賞変動開始処理(S21)を終了する。S26の処理において変動表示中か又は大当たり中であることが確認された場合には(S26:Yes)、S27からS35の処理をスキップして始動入賞変動開始処理(S12)を終了する。
【0108】
図11は、図10に示す始動入賞変動開始処理(S12)の中で実行される通常表示コマンド決定処理(S32)のフローチャートである。表示コマンドは、主制御基板Cから表示用制御基板Dに送信されるものであり、LCD3に表示される3つの図柄リールを下方に変動表示させた後の停止時の図柄を指定するための停止図柄コマンドと、変動表示の変動パターンを指定するための変動パターンコマンドとから構成されている。通常表示コマンド決定処理(S32)では、センターフレーム10の出口レール10eから放出された球ではなく、遊技者の放出操作による始動入賞時に取得された変動表示のデータに基づいて、表示コマンドを構成する停止図柄コマンド及び変動パターンコマンドを決定する。
【0109】
この通常表示コマンド決定処理(S32)では、まず、演出実行エリア23gに記憶された内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値であるか否かを確認する(S41)。その値が大当たりを発生させる値であれば(S41:Yes)、演出実行エリア23gに記憶された大当たり図柄カウンタ23dの値に対応した図柄の組み合わせを示す値を停止図柄コマンドに設定し(S42)、更に、変動パターンコマンドのデータとしてグリーンリーチからカップインの表示が行われる「B」を設定し(S43)、この通常表示コマンド決定処理(S32)を終了する。
【0110】
S41の処理において内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値でない場合には(S41:No)、演出実行エリア23gに記憶されたリーチ乱数カウンタ23cの値がハズレリーチを発生させる値であるか確認する(S44)。その値がハズレリーチを発生させる値であれば(S44:Yes)、カウンタ用バッファ23lに記憶されたハズレリーチを構成する図柄の組み合わせを示す値を停止図柄コマンドに設定し(S45)、更に、変動パターンカウンタ23fの値が示すデータ(パターン)を演出選定テーブル22aから読み出して変動パターンコマンドに設定し(S47)、この表示コマンド決定処理(S32)を終了する。
【0111】
S44の処理において演出実行エリア23gに記憶されたリーチ乱数カウンタ23cの値がハズレリーチを発生させる値でない場合には(S44:No)、演出実行エリア23gに記憶されたハズレ図柄カウンタ23eの値を停止図柄コマンドに設定し(S47)、リーチ表示を伴わないハズレの変動表示であるので、「パターンA」の変動パターンを示す「A」のデータを変動パターンコマンドのデータとして設定して(S48)、この表示コマンド決定処理(S32)を終了する。
【0112】
図12は、図10に示す始動入賞変動開始処理(S12)の中で実行される特別表示コマンド決定処理(S34)のフローチャートである。この特別表示コマンド決定処理(S34)では、遊技者の放出操作による始動入賞時に取得された変動表示のデータに基づいて、表示コマンドを構成する停止図柄コマンド及び変動パターンコマンドを決定する。
【0113】
この特別表示コマンド決定処理(S34)では、まず、演出実行エリア23gに記憶された内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値であるか否かを確認する(S51)。その値が大当たりを発生させる値であれば(S51:Yes)、演出実行エリア23gに記憶された大当たり図柄カウンタ23dの値に対応した図柄の組み合わせを示す値を停止図柄コマンドに設定する(S52)。その後、変動開始と同時にリーチ表示が現出した後にカップインの表示が行われる「F」を変動パターンコマンドのデータとして設定し(S53)、放出実行フラグ23mをオフして、特別表示コマンド決定処理(S34)を終了する。
【0114】
S51の処理において内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値でない場合には(S51:No)、カウンタ用バッファ23lに記憶されたハズレリーチを構成する図柄の組み合わせを示す値を停止図柄コマンドに設定し(S55)、演出実行エリア23gに記憶された内部乱数カウンタ23bの値が「0〜6」の範囲内であるか確認する(S56)。「0〜6」の範囲内であれば(S56:Yes)、大当たりを発生させる内部乱数カウンタ23bの値「7」より少し早いタイミングで遊技者によって上皿ボタン56による球の放出操作が行われている。この場合には、変動開始と同時にリーチ表示が現出した後にカップの手前でボールが停止する表示が行われる「G」を変動パターンコマンドのデータとして設定して(S57)、処理をS54へ移行する。
【0115】
S56の処理において確認した内部乱数カウンタ23bの値が「0〜6」の範囲内でなければ(S56:No)、その内部乱数カウンタ23bの値が「8〜15」の範囲内であるか確認する(S58)。「8〜15」の範囲内であれば(S58:Yes)、大当たりを発生させる内部乱数カウンタ23bの値「7」より少し遅れたタイミングで遊技者によって上皿ボタン56による球の放出操作が行われている。この場合には、変動開始と同時にリーチ表示が現出した後にカップの奥側でボールが停止する表示が行われる「H」を変動パターンコマンドのデータとして設定して(S59)、この特別表示コマンド決定処理(S34)を終了する。S58の処理において確認した内部乱数カウンタ23bの値が「0〜6」の範囲内でなければ(S56:No)、変動開始と同時にリーチ表示が現出した後に林の中に球が落ちて「OB」となる表示が行われる「I」を変動パターンコマンドのデータとして設定して(S60)、処理をS54へ移行する。
【0116】
このように、図12の特別表示コマンド決定処理(S34)では、遊技者の放出操作による始動入賞時に取得された変動表示のデータに基づいて、表示コマンドを構成する停止図柄コマンド及び変動パターンコマンドを決定することができ、遊技者の放出操作が行われた後には、特別デモ画面に連続した変動パターンである「パターンF」から「パターンI」のいずれかの変動パターンを設定することができる。
【0117】
図13は、始動入賞変動開始処理(図10参照)の中で実行される変動待機時処理(S35)のフローチャートである。変動待機時処理(S35)では、変動待機中に表示するデモ画面として、遊技者に上皿ボタン56を操作するタイミングを示す特別デモ画面を表示用制御基板Dに表示させると共に、遊技者によって上皿ボタン56に対する放出操作が行われたタイミングで出口レール10e上に貯留された。球の貯留を解除させる処理である。
【0118】
この変動待機時処理(S35)では、貯留球検出スイッチ16がオンか確認する(S61)。貯留球検出スイッチ16がオンであれば(S61:Yes)、センターフレーム10の出口レール10e上に球が貯留された状態であって、遊技者に上皿ボタン56を押下させて放出操作を行わせる必要があるので、内部乱数カウンタ23bの値に基づいて特別デモ表示コマンドを表示用制御基板Dへ送信する(S62)。表示用制御基板Dに特別デモ表示コマンドが送信されると、表示用制御基板Dの制御によって「3」から「0」の数字の点滅を繰り返して行う特別デモ画面が表示される(図8(a)参照)。
【0119】
その後、球放出スイッチ17がオンされたか確認する(S63)。球放出スイッチ17がオンされていれば(S63、Yes)、遊技者が放出操作として上皿ボタン56を押下したタイミングであるので、球放出ソレノイド15を駆動して(S64)出口レール10e上に貯留された球を図柄作動口4aへ向けて放出し、更に球放出実行コマンドを表示用制御基板Dへ送信する(S65)。表示用制御基板Dに球放出実行コマンドが送信されると、表示用制御基板Dの制御によってLCD3の下段の表示領域3bにゴルフプレーヤーが球を打った状態が表示される(図8(b)参照)。
【0120】
S65の処理後、放出実行フラグ23mをオンし(S66)、この変動待機時処理(S35)を終了する。S66の処理によって、遊技者の放出操作により球が放出されたことが主制御基板Cに記憶されるので、次に行われる変動表示が遊技者の放出操作による始動入賞に基づくものであることを主制御基板Cに記憶させることができる。よって、次回に開始される変動表示に対しては、特別デモ画面に連続した変動表示を実行する「パターンF」から「パターンI」のいずれかの変動パターンを特別表示コマンド決定処理(図10、S34参照)で選定することができる。
【0121】
一方、S63の処理において球放出スイッチ17がオフであれば(S63:No)、遊技者が未だ上皿ボタン56を操作していないので、S64からS66の処理をスキップして、変動待機時処理(S35)を終了する。また、S61の処理において貯留球検出スイッチ16がオフであれば(S61:No)、センターフレーム10の出口レール10e上に球が貯留されていないので、パチンコ機1のタイトルやメーカー名、或いは、アニメーションなどを表示する特別デモ画面以外の通常のデモ画面を表示させるための通常デモ表示コマンドを表示用制御基板Dへ送信して(S67)、この変動待機時処理(S35)を終了する。
【0122】
このように、変動待機時処理(S35)では、S65の処理によって、表示用制御基板Dに球放出実行コマンドが送信されると、表示用制御基板Dの制御によってLCD3の下段の表示領域3bにゴルフプレーヤーが球を打った状態が表示される。よって、遊技者には、上皿ボタン56を操作したタイミングであたかもLCD3の下段の表示領域3bに表示されるゴルフプレーヤーが、弾球遊技に使用する遊技媒体である球を打ったような印象を持たせることができ、弾球遊技による遊技の興趣を際立たせることができる。
【0123】
図14は、主制御基板Cで実行される役物ソレノイド駆動処理のフローチャートである。この役物ソレノイド駆動処理は、ハズレリーチの変動パターンを選定する処理(図11のS46の処理)によって「パターンE」のカラス駆動リーチが選定された場合に役物駆動ソレノイド13を駆動してカラスを模した可動部材12を駆動させる処理である。
【0124】
この役物ソレノイド駆動処理では、まず、「パターンE」のカラス駆動リーチの変動表示を実行中か確認し(S71)、カラス駆動リーチの変動表示を実行中であれば(S71:Yes)、変動開始後12秒経過した時か確認する(S72)。変動開始後12秒経過した時であれば(S72:Yes)、役物駆動ソレノイド13をオンして(S73)、カラスを模した可動部材12を前進させて、この役物ソレノイド駆動処理を終了する。S72の処理において変動開始後12秒経過する前か、12秒以上経過した後であれば(S72:No)、変動開始後15秒経過した時か確認する(S74)。変動開始後15秒経過した時であれば(S74:Yes)、オンされている役物駆動ソレノイド13をオフする時であるので、役物駆動ソレノイド13をオフして(S75)この役物ソレノイド駆動処理を終了する。
【0125】
S74の処理において変動開始後15秒経過する前か、15秒を経過した後であれば(S74:No)、S75の処理をスキップして役物ソレノイド駆動処理を終了する。S71の処理においてカラス駆動リーチの変動表示を実行中でないことが確認された場合には(S71:No)、役物駆動ソレノイド13を駆動する必要がないので、S72からS75の処理をスキップして役物ソレノイド駆動処理を終了する。
【0126】
このように、役物ソレノイド駆動処理では、ハズレリーチの変動パターンを選定する処理(図11のS46の処理)によって「パターンE」のカラス駆動リーチが選定された場合に役物駆動ソレノイド13を駆動してカラスを模した可動部材12を変動開始後の一定時間駆動させることができ、可動部材12の前進及び後退の切り替え動作を変動表示に対応づけて制御することができる。
【0127】
なお、請求項1記載の分岐経路としては、上記実施例におけるセンターフレーム10と可動部材12との間から下方に続く経路が該当する。
【0128】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
【0129】
例えば、上記実施例では、主制御基板Cによって役物駆動ソレノイド13を駆動して可動部材12の前進及び後退を制御させたが、必ずしも主制御基板Cの制御によって役物駆動ソレノイド13の駆動を制御する必要はなく、主制御基板Cから可動部材12を動作させるコマンドを、表示用制御基板Dなどの他の基板に送信し、その基板によって役物駆動ソレノイド13の駆動を制御しても良い。
【0130】
また、上記実施例では、センターフレーム10の球流入口10bからセンターフレーム10内に流入した球は、ほぼ確実に図柄作動口4aへ入賞するように構成したが、必ずしも図柄作動口4aへほぼ全て入賞するように構成する必要はない。可動部材12がセンターフレーム10側に向けて前進した場合に図柄作動口4aへ球を誘導する移送経路10aに流入し易い状態を形成するように構成されていれば良く、センターフレーム10内に複数個の球が流入した場合に1球の割合で図柄作動口4aへ入賞するように構成しても良い。この場合には、センターフレーム10のガイド板10dの中央部分において分断された部位の幅を正面視において球の外形より幅広くする(例えば、略3倍程度にする)と共に、出口レール10eの幅を広げ、センターフレーム10から放出された球が図柄作動口4aの中央位置から左右のいずれかにずれている場合に図柄作動口4aの上に設けられた釘によって球を外側へ弾いて下方へと流下させるようにしても良い。
【0131】
また、上記実施例においては、可動部材12は、遊技盤2の斜め上方に沿ってスライド移動するように構成したが、可動部材12をスライド移動する方向は上記実施例に限定されるものでない。遊技盤2の前面より奥側に埋もれて配設された可動部材を遊技盤2の前面に突出させて球をセンターフレーム10の移送経路10a(球流入口10b)へ誘導する構成としても良く、又は、可動部材を上下方向や左右方向にスライド移動させたり、或いは、可動部材を回動させたりして球を移送経路10aへ誘導するように構成しても良い。また、可動部材12に駆動力を付与するのは、通電によって駆動するソレノイドに限定されるものでなく、モータなど他の駆動装置を使用しても良い。
【0132】
また、上記実施例に示すように、図柄作動口4aを含む入賞口4a,7へ球が入賞(入球)した場合に必ずしも一定数個の球を賞球として払い出すことにより遊技者に利益を付与する必要はなく、入賞口4a,7への球の入賞に応じたデータを磁気カードへ書き込むことにより、遊技者に利益を付与しても良い。また、遊技盤2前面の所定位置に球が通過可能な通過口を形成するゲートを設けて、その通過口を球が通過した場合に賞球の払い出しや磁気カードへのデータの書き込みを行って遊技者に利益を付与しても良い。
【0133】
また、上記実施例に示すように、動的表示の一種である変動表示は、LCD3上で識別情報としての図柄を縦方向にスクロールさせるものに限定されず、横方向あるいはL字形等の所定経路に沿って図柄を移動表示して行うものであっても良い。また、識別情報の動的表示としては、図柄の変動表示に限られるものではなく、例えば、1又は複数のキャラクタを図柄と共に、若しくは、図柄とは別に多種多様に動作表示または変化表示させて行われる演出表示なども含まれるのである。この場合、1又は複数のキャラクタが、図柄と共に或いは図柄とは別に、識別情報として用いられる。
【0134】
本発明を上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球など別の弾球式の遊技機で本発明を実施するようにしても良い。
【0135】
以下に変形例を示す。請求項1記載の遊技機において、前記分岐経路は、その分岐経路に流入した遊技球を略一定の確率で前記作動領域に誘導するものであり、前記誘導手段は、前記分岐経路より高確率で前記作動領域へ遊技球を誘導する態様で、前記作動領域へ遊技球を誘導する誘導経路を形成するものであることを特徴とする遊技機1。遊技者は、作動領域への遊技球の入球に基づく抽選によって所定の遊技価値が付与されることを期待して遊技を行うものである。
【0136】
遊技機1によれば、誘導経路によって作動領域に誘導される遊技球は、分岐経路に流入した遊技球が作動領域へ誘導される確率より高確率で作動領域へ誘導されるので、利得動作部材が第2状態を形成した場合に、作動領域へ遊技球が高確率で入球する有利な遊技状態を弾球遊技に対して生じさせることができる。よって、誘導経路によって遊技球が作動領域に誘導されることを期待して弾球遊技を行う遊技者には、利得動作部材の状態に応じて作動領域への入球に対する期待感に抑揚を持たせることができ、弾球遊技の意識を高めて弾球遊技による興趣を付与することができる。
【0137】
遊技機1において、前記分岐経路の少なくとも一部を形成すると共に、その分岐経路に流入した遊技球を複数の方向に分散させつつ前記作動領域へ誘導する分散部材を備え、前記誘導手段は、前記誘導経路の入口と前記作動領域の上部とを接続する一筋の経路を前記誘導経路として形成し、前記入口に流入した遊技球を前記作動領域の上部へ固定的に誘導する態様で前記作動領域へ遊技球を誘導する誘導経路を形成するものであることを特徴とする遊技機2。
【0138】
遊技機2によれば、分岐経路に流入した遊技球は、分散部材によって複数の方向に分散させられ、流入した遊技球の一部が作動領域の上部へ誘導される態様で作動領域に入球する一方、誘導経路に流入した遊技球は、一筋の経路を経由して作動領域の上部へ固定的に誘導される態様で作動領域に入球する。よって、遊技者には、利得動作部材の状態に応じて各態様で作動領域へ入球する遊技球の割合が増減し、作動領域へ入球するまでの過程を複数の態様に変化させて視認させることができるので、弾球遊技に変化を持たせて弾球遊技を視認する興趣を高めることができる。
【0139】
なお、分散部材としては、遊技球の移動方向をランダムにしたり、所定の方向に誘導したりするために一般に使用される釘や風車が例示される。また、一筋の経路としては、作動領域の上部から外れた位置に遊技球が誘導される別の経路への分岐を有しない経路を意味しており、センターフレーム10によって形成される移送経路10aとステージ10cと出口レール10eとを接続して形成された経路が例示される。また、入口に流入した遊技球を作動領域の上部へ固定的に誘導する態様とは、入口に流入した遊技球が作動領域の上部に設けた出口に必ず誘導される態様を意味している。
【0140】
請求項1記載の遊技機または遊技機1若しくは2において、前記誘導手段は、前記誘導経路の入口から流入した遊技球を前記誘導経路上に貯留する貯留手段と、その貯留手段によって貯留された遊技球の貯留を遊技者の操作に応じて解除する貯留解除手段とを備え、前記誘導経路の入口から流入した遊技球を前記誘導経路上に一時的に貯留することにより、前記分岐経路とは異なる態様で前記作動領域へ遊技球を誘導する誘導経路を形成するものであることを特徴とする遊技機3。誘導経路に誘導された遊技球は、貯留手段によって誘導経路上に一旦貯留され、その遊技球の貯留は、貯留解除手段によって遊技者の操作に応じて解除される。このため、遊技者は、自らの操作によって貯留解除手段を作動させることにより、自らの意図するタイミングで遊技球の貯留を解除することができ、誘導経路へより多くの球が誘導されることを期待して遊技を行わせることができる。よって、利得動作部材の状態に応じて誘導経路に流入する遊技球の数が増減することで、遊技球の流下に遊技者が直接的に関与する遊技の機会を一時的に高めることができ、弾球遊技に対する注目と興趣とを高めることができる。
【0141】
なお、貯留手段としては、上記実施例においては、センターフレーム10の出口レール10e上に設けられる突起10fが例示され、貯留解除手段としては球放出ソレノイド15が例示される。遊技者の操作としては、例えば、上記実施例における遊技者が上皿ボタン56を押下する操作が例示される。また、遊技者の操作情報を入力する操作手段を備え、貯留解除手段は、その操作手段によって入力された操作情報に応じて貯留手段によって貯留された遊技球の貯留を解除するものとしても良く、操作手段としては、上皿ボタン56と球放出スイッチ17とが例示される。
【0142】
遊技機3において、前記貯留手段が遊技球を貯留しているか否かを検出する球貯留検出手段を備え、前記制御手段は、その球貯留検出手段によって前記貯留手段が遊技球を貯留していることを検出した場合に前記表示装置に予め定めた貯留表示を行わせる貯留表示実行手段を備えていることを特徴とする遊技機4。貯留手段が遊技球の貯留を検出した場合には、貯留表示実行手段によって予め定めた貯留表示が表示装置に表示されるので、遊技球が貯留されていることを遊技者に判り易く示し、遊技球の貯留を解除する操作の実行を促すことができる。なお、球貯留検出手段としては、上記実施例における貯留球検出スイッチ16が例示され、貯留表示実行手段としては、上記実施例における図13のS62の処理が例示され、貯留表示としては、特別デモ表示コマンドによって表示される特別デモ画面の表示が例示される。
【0143】
遊技機4において、前記制御手段は、前記貯留表示実行手段によって前記貯留表示が行われている状態で前記貯留解除手段によって遊技球の貯留を解除する場合に前記表示装置に予め定めた貯留解除表示を行わせる解除表示実行手段を備えていることを特徴とする遊技機5。貯留表示が行われている状態で貯留解除手段によって遊技球の貯留を解除する場合には、解除表示実行手段によって表示装置に貯留解除表示が行われる。よって、遊技者には、貯留表示から貯留解除表示へと連続した表示による演出であって、遊技者の操作に連動した演出を視認させることができ、自由度の高い演出によって弾球遊技と表示演出とによる一体的な興趣を遊技者に付与することができる。なお、解除表示実行手段としては、上記実施例における図13のS65の処理が例示される。
【0144】
請求項1記載の遊技機または遊技機1から5のいずれかにおいて、前記動作制御手段は、前記利得動作部材の切り替え動作を、前記表示装置によって行われる前記動的表示に対応づけて制御するものであることを特徴とする遊技機6。遊技者は、所定の遊技価値が付与される場合に予め定めた表示結果を現出する動的表示に注目して遊技を行うものであり、動作制御手段は、その動的表示に対応づけて利得動作部材の切り替え動作を制御する。よって、遊技者が注目する動的表示に対応づけられて利得動作部材が動作し、遊技中に利得動作部材を視認していない遊技者にも利得動作部材の切り替え動作の実行を判り易く示して、弾球遊技に遊技者の意識を向けさせる契機を提供することができる。
【0145】
遊技機6において、前記動作制御手段は、前記利得動作部材の作動を示唆する特別表示が前記動的表示に表示される場合に前記利得動作部材を第1状態から第2状態に一定期間切り替える動作を行わせるものであることを特徴とする遊技機7。遊技機7によれば、動作制御手段によって利得動作部材が第1状態から第2状態に切り替えられる場合に動的表示に表示されるのは、利得動作部材の作動を示唆する特別表示である。よって、遊技者には、特別表示によって利得動作部材の切り替え動作が行われたことを判り易く認識させることができる。また、動作制御手段は、特別表示が表示される場合に利得動作部材を第2状態に一定期間切り替える動作を行わせるので、第2状態における遊技を遊技者にとって限定されたものとして、第2状態への切り替えを期待する遊技の興趣を強調して遊技者に付与することができる。
【0146】
なお、特別表示としては、利得動作部材に関連する表示であって、利得動作部材の外観と同一の対象物又は利得動作部材に関連する対象物を示す表示や、利得動作部材の位置を示す表示等が例示される。上記実施例における特別表示としては、カラスを模した可動部材12と同一の対象物であるカラスのキャラクタを表示するカラスリーチ表示が該当する。また、上記実施例における第2状態としては、センターフレーム10と可動部材12との間の経路が閉鎖されて両部材の間に流下した遊技球が移送経路10aの入口に誘導される状態が例示される。
【0147】
遊技機6または7において、前記利得動作部材は、前記表示装置と前記作動領域との間からずれた位置に配設されていることを特徴とする遊技機8。
【0148】
遊技機8において、前記作動領域は、前記表示装置の下側に設けられ、前記誘導部材の誘導経路は、その表示装置の上方又は側方に入口を形成すると共に前記表示装置の外周に沿ってその表示装置の下側であって前記作動領域の上部に出口を形成するものであり、前記利得動作部材は、前記表示装置の上方又は側方に配設されていることを特徴とする遊技機9。
【0149】
遊技者は、一般に、動的表示が行われる表示装置と、遊技球の入球によって所定の遊技価値を付与する抽選が行われる作動領域とを注視して遊技を行うものであるので、表示装置と作動領域との間に利得動作部材があると遊技者の視点の移動があまり行われず、遊技領域の広範囲にわたって遊技者の意識を向けることが難しい。遊技機8及び9によれば、利得動作部材が遊技領域における表示装置と作動領域との間からずれた位置に配設されているので、利得動作部材の切り替え動作が行われる場合に、遊技者の視点をより大きく移動させることができ、遊技者が弾球遊技を意識する領域を拡大することができ、弾球遊技に遊技者の意識を向けさせることができる。
【0150】
請求項1記載の遊技機または遊技機1から9のいずれかにおいて、前記表示装置は、その左右両側に遊技球が流下する流下経路を形成して配設されており、前記利得動作部材は、前記第2状態の形成時に前記表示装置の左右両側に形成される流下経路のうちいずれか一方の流下経路を流下する遊技球を、前記第1状態より前記誘導経路の入口に流入し易い状態を形成することを特徴とする遊技機10。遊技機10によれば、表示装置の左右両側に形成される流下経路のうちいずれか一方の流下経路を流下する遊技球が、第2状態を形成する利得動作部材によって誘導経路の入口に誘導される。よって、表示装置の左右両側に形成される流下経路のうちいずれが有利な経路であるかを、利得動作部材の状態に応じて別々に比較し、遊技者が有利と考えた一方の流下経路を狙う弾球遊技の遊技性を遊技者に付与することができ、弾球遊技による興趣を高めることができる。
【0151】
請求項1記載の遊技機または遊技機1から10のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機であることを特徴とする遊技機11。中でも、パチンコ機の基本構成としては操作部としての操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて遊技球を所定の遊技領域へ発射し、遊技球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動領域に入球(作動口へ入賞又は作動ゲートを通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、所定の遊技価値の付与として特別遊技状態が発生する時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて遊技球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例におけるパチンコ機の正面図である。
【図2】遊技盤の正面図であり、(a)は可動部材が後退した状態を示し、(b)は可動部材が前進した状態を示している。
【図3】(a)は、図1の矢印IIIa方向から見たセンターフレームを示した図であり、図3(b)は、図1のIIIb−IIIb線でセンターフレームを断面視して示した図である。
【図4】パチンコ機の電気的構成を示したブロック図である。
【図5】ハズレリーチ時の変動パターンの選定に使用する演出選定テーブルの構成を示した図である。
【図6】通常の始動入賞時にLCDで行われる変動表示の表示画面を例示した図である。
【図7】通常の始動入賞時にLCDで行われる変動表示の表示画面を例示した図である。
【図8】遊技者の放出操作による始動入賞時にLCDで行われる変動表示の表示画面を例示した図である。
【図9】主制御基板で実行されるメイン処理のフローチャートである。
【図10】主制御基板のメイン処理の中で実行される始動入賞変動開始処理のフローチャートである。
【図11】図10の始動入賞変動開始処理の中で実行される通常表示コマンド決定処理のフローチャートである。
【図12】図10の始動入賞変動開始処理の中で実行される特別表示コマンド決定処理のフローチャートである。
【図13】図10の始動入賞変動開始処理の中で実行される変動待機時処理のフローチャートである。
【図14】主制御基板で実行される役物ソレノイド駆動処理のフローチャートである。
【符号の説明】
1 パチンコ機(遊技機)
2 遊技盤
2c 遊技領域
3 LCD(表示装置)
4a 図柄作動口(作動領域)
10 センターフレーム(誘導部材)
10a 移送経路(誘導経路の一部)
10b 球流入口(入口)
10c ステージ(誘導経路の一部)
10e 出口レール(誘導経路の一部)
12 可動部材(利得動作部材)
24 第1種始動口スイッチ(検出手段)
C 主制御基板(制御手段の一部、動作制御手段)
D 表示用制御基板(制御手段の一部)
Claims (1)
- 識別情報を表示する表示装置と、遊技球が投入される遊技領域に設けられる作動領域への遊技球の入球を検出する検出手段と、その検出手段によって前記作動領域への遊技球の入球が検出された場合に、遊技者に所定の遊技価値を付与するか否かを抽選すると共に前記表示装置に前記識別情報の動的表示を行わせる制御手段とを備え、その制御手段によって前記所定の遊技価値を付与する抽選結果が導出されると、前記動的表示に予め定めた表示結果を現出させると共に前記所定の遊技価値を付与する遊技機において、
前記作動領域へ遊技球を誘導する誘導経路を形成する誘導手段と、
第1状態とその第1状態より前記誘導手段によって形成される誘導経路の入口に遊技球が流入し易い第2状態とを切り替えて形成する利得動作部材と、
その利得動作部材の切り替え動作を制御する動作制御手段とを備え、
前記誘導手段は、前記誘導経路とは別の経路であってその誘導経路の入口から分岐して前記作動領域に繋がる分岐経路とは異なる態様で前記作動領域へ遊技球を誘導する誘導経路を形成するものであることを特徴とする遊技機。
Priority Applications (1)
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-
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