以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。本実施例では、遊技機の一例として弾球遊技機の一種であるパチンコ機を用いて説明する。なお、本発明を他の遊技機に用いることは、当然に可能である。
図1は、本発明の実施例におけるパチンコ機Pの正面図である。パチンコ機Pの前面には前面枠51が配設されており、その略中央部分には略円形状の開口51aが穿設され、かかる開口51aの内側上方には、2枚のガラス板が装着されている。前面枠51の後方には遊技盤1が配置されている。遊技盤1の前面には略円弧状の外レール1aが植立され、その外レール1aの内側位置には円弧状の内レール1bが植立されている。遊技盤1の前面には、内レール1bと外レール1aとにより囲まれた領域によって球が投入される、略円形の遊技領域が形成される。内レール1bは、その下側が前面枠51の開口51aに沿った半円状になって遊技領域を形成し、その上側が遊技領域の左側上部まで延設されて内レール1bの先端部に遊技領域の入口1cを形成する。この入口1cより右側(内レールの先端を越えた右側)が遊技領域であり、この遊技領域内を球が流下して遊技領域内に配設された多数の釘や入賞口2に当接することによりパチンコ遊技が行われる。
遊技領域の入口1cには、遊技領域内へ投入される球の投入を検出するための打球検出スイッチ20が設けられている。打球検出スイッチ20は、非接触式のフォトセンサで構成されており、遊技盤1の前面側に投光部を向けて設置されたものである。遊技領域内へ球が投入されるときには、打球検出スイッチ20上を球が通過し、その通過が行われる毎に打球検出スイッチ20は1回ずつオンされる。この打球検出スイッチ20のオン回数を計数して遊技領域内へ投入された球の投入数が計数される。なお、遊技領域内へ投入される球の投入を検出するのは、必ずしも非接触式のセンサで構成する必要はなく、オンオフの切替動作が行われる可動片を有したいわゆるリミットスイッチを遊技領域の入口に設けて球の投入に応じて可動片を動作させることによりその投入を検出しても良い。
遊技盤1の周囲には、球が入賞することにより5個から15個の球が払い出される複数の入賞口2が設けられている。また、遊技盤1の中央には、複数種類の識別情報としての図柄などを表示する液晶ディスプレイ(以下単に「LCD」と略す。)3を有する中央表示装置10が設けられている。
中央表示装置10には、LCD3と、LCD3の上方に配設された普通図柄表示装置6と、LCD3と普通図柄表示装置6との間に配設された保留表示装置8とが設けられている。
LCD3の表示画面3aは、通常は保留表示装置8に上側の一部分が遮蔽された(覆い隠された)通常状態となっており、下側の表示領域だけがパチンコ機Pの正面側より視認可能とされている。この表示画面3aは、通常は左右方向に3分割されており、各表示領域においてそれぞれ上から下方向に複数の変動図柄Zがスクロールして変動表示が行われる(図5(a)参照)。変動図柄Zは、「イカ」や「トビウオ」などの生物を模したキャラクタと各キャラクタ毎に定められた「0」から「9」の数字とから構成される。変動表示中には、変動図柄Zが左、中、右の各表示領域に数字の小さい順に表示され、各領域のそれぞれに一連の変動図柄Zによる図柄リールが仮想的に形成される。変動表示は、その開始後に一定時間が経過すると、左、右、中の順に停止し、LCD3の表示画面3aに3つの変動図柄Zが停止表示される。この停止時に、表示画面3aのほぼ上下中央に水平に位置する1の有効ラインL上に、例えば、「1,1,1」や「5,5,5」などのように同じ数字が付された変動図柄Zが3つ揃うと(予め定めた組み合わせとなると)、大当たりとなる。
また、パチンコ機Pにおいては、保留表示装置8が動作して上方へ移動するように構成されており、保留表示装置8の動作によりLCD3の表示画面3aは、上側の一部分が広げられた状態(特別状態)となる。この特別状態中には、上記した通常状態とは変動表示の態様が異なり、LCD3の表示画面3aは上下方向に3分割される。この3分割された各表示領域において、それぞれ右から左へ水平方向に複数の変動図柄Zがスクロールして変動表示が行われる。変動図柄Zとしては、生物を模したキャラクタに数字が付された図柄(主図柄)に加えて丸印で表示される副図柄が表示される(図5(b)参照)。変動表示中には、変動図柄Z(主図柄)が上中下段の各表示領域に数字の大きさ順に表示されると共に、主図柄と副図柄とが交互に1つずつ順に表示される。変動表示は、その開始後に一定時間が経過すると、上段、下段、中段の順に変動が停止し、LCD3の表示画面3aの各段に3つずつ合計9個の変動図柄Zが停止表示される。この停止時に、左、中、右の各縦ラインと対角線とで示される合計5本の有効ラインL上に、例えば、「6,6,6」や「9,9,9」などのように同じ数字が付された変動図柄Z(主図柄)が3つ揃うと、大当たりとなる。なお、有効ラインLの数が1本と、5本とに切り替わるタイミング等については、図4以降のパチンコ機Pの制御の内容を参照して後述する。
LCD3の上方には、表面に「○」と「×」との普通図柄が表示された2つの発光ダイオード(以下、「LED」と略す。)6a,6bで構成された普通図柄表示装置6が配設されている。この普通図柄表示装置6では、遊技領域に打ち込まれた球がLCD3の両側に配設されたゲート7を通過した場合に、「○」と「×」とのLED6a,6bを交互に点灯させる変動表示が行われる。かかる変動表示が「○」のLED6aで終了した場合に当たりとなって普通電動役物4が所定時間(例えば0.5秒)開放される。
LCD3の下方には、図柄作動口(始動口、普通電動役物)4が設けられており、球がこの図柄作動口4へ入賞することにより、始動条件が成立して前記したLCD3の変動表示が開始される。また、LCD3の変動表示の最中に、球が新たに図柄作動口4へ入賞した場合、その入賞により取得された変動表示を即座に開始することはできないので、実行中の変動表示が終了するまで待機(保留)される。この待機された変動表示は、実行中の変動表示終了後に引き続いて行われる。待機され得る変動表示の最大回数は、パチンコ機Pの機種毎に決められるが、本実施例のパチンコ機Pでは、変動表示の待機回数(保留球数)が最大4回に設定されている。
LCD3の上側であって普通図柄表示装置6の下側には、待機回数表示手段としての保留表示装置8が設けられており、保留球数は、その保留表示装置8の回数表示部8a〜8dに表示される。保留表示装置8には、各回数表示部8a〜8dに対応して4つのランプが内蔵され、内蔵されたランプ28が後述する音声ランプ制御基板Lにより保留球数に応じた数分だけ左側から順に点灯して回数表示部8a〜8dの態様が各保留球数に対応した態様に更新される。例えば、保留球数が「1」であれば一番左の回数表示部8aのみが点灯して他の回数表示部8b〜8dは消灯し、保留球数が「3」であれば左側から数えて3つの回数表示部8a〜8cが点灯し一番右の回数表示部8dのみが消灯した状態となる。
図柄作動口4の下方には、特定入賞口5(大入賞口)の開放状態と閉鎖状態とを形成する板とその板を前後に駆動して特定入賞口5を開閉させるソレノイド(図示せず)とを備える変動入賞装置が設けられている。この特定入賞口5は、LCD3の変動後の表示結果が、上記した予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、大当たりとなって、球が入賞しやすいように所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される入賞口である。
この特定入賞口5内には、Vゾーン5aが設けられており、特定入賞口5の開放中に、球がVゾーン5a内を通過すると、継続権が成立して、特定入賞口5の閉鎖後、再度、その特定入賞口5が所定時間(又は、特定入賞口5に球が所定個数入賞するまで)開放される。この特定入賞口5の開閉動作は、最高で16回(16ラウンド)繰り返し可能にされており、開閉動作の行われ得る状態が、いわゆる所定の遊技価値が付与された状態(特別遊技状態)である。
なお、LCD3の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、特定入賞口が所定時間開放され、その特定入賞口の開放中に、球がその特定入賞口内へ入賞すると、特定入賞口とは別に設けられた大入賞口が所定時間、所定回数開放されるパチンコ遊技機(いわゆる第3種パチンコ遊技機)においては、所定の遊技価値が付与された状態(特別遊技状態)とは、特定入賞口が所定時間開放されることをいう。
前面枠51の下側前面(図1の紙面手前側)には、球を貯留すると共に、球発射装置(図示せず)へ球を供給するための上皿52が配設されている。上皿52の下方には、上皿52に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿53が配設され、下皿53の右側には、球を遊技領域へ投入するために遊技者によって操作される操作ハンドル54が配設されている。
次に、図2及び図3を参照して中央表示装置10の構成について説明する。図2は、中央表示装置10の分解斜視図である。図3は、保留球数の表示状態を異ならせて示した中央表示装置10の正面図であり、図3(a)は、保留表示装置8が下降して保留球数が表示された通常状態を示し、図3(b)は、保留表示装置8が上昇して保留球数が隠された特別状態を示している。なお、図2及び図3においては、図面を判り易くするために、保留表示装置8を構成する各部品の固定部や結線等、一部を省略して示している。
中央表示装置10は、図2に示すように、LCD3と、普通図柄表示装置6と、保留表示装置8とを備えると共に、更に、保留表示装置8を上下に回動可能に支持する上フレーム13と、保留表示装置8に駆動力を付与する遮蔽用ソレノイド12と、上フレーム13と共に各部材を支持する下フレーム14とを備えている。
保留表示装置8は、横長略矩形上に形成されると共に、その前面側に円筒状に突出した4つの部位にそれぞれ対応してランプ28(図4参照)が内蔵され、正面視横長楕円形の4つの回数表示部8a〜8dを形成する。この保留表示装置8は、上フレーム13により上下に回動可能に支持されており、保留球数が表示される4つの回数表示部8a〜8dの表示面(図3(a)の紙面手前側)がパチンコ機Pの正面側を向いた通常状態と、保留表示装置8を上昇させて回数表示部8a〜8dの表示面を上向きにし、更に回数表示部8a〜8dを上フレーム13により覆って回数表示部8a〜8dを隠した特別状態とが切り替えられる。
保留表示装置8の上側には、その上端部から左右方向に突出した回転軸8eが形成されている。回転軸8eは、上フレーム13の嵌合穴13aより小径に形成されている。保留表示装置8の回転軸8eが上フレーム13の嵌合穴13a内に嵌め込まれることにより、保留表示装置8は、上フレーム13に左右の回転軸8eを中心に上下(前後)に回動可能に支持されるので、保留表示装置8を動作させて回数表示部8a〜8dの表示面(図3(a)の紙面手前側)がパチンコ機Pの正面側を向いた通常状態と、回数表示部8a〜8dの表示面側が上フレーム13により遮蔽された特別状態(図3(a)の状態)とを切り替えることができる。
保留表示装置8の上端部には、回転軸8eからずれた位置で回転軸8eと平行に突出した係合突起8fが形成されている。この係合突起8fは、遮蔽用ソレノイド12の係合穴12aに係合して、遮蔽用ソレノイド12の駆動力を保留表示装置8に伝達する。
遮蔽用ソレノイド12は、保留表示装置8を回動させるための部材であり、一般的な電磁ソレノイドで構成されている。この遮蔽用ソレノイド12には、コイルが内蔵された本体12bと、コイルの通電状態により本体12b内に対して前後にスライド移動可能に支持されるアーム12cとが設けられる。本体12bは、上フレーム13に固定される一方、アーム12c先端の係合穴12aは保留表示装置8の係合突起8fに係合される。また、遮蔽用ソレノイド12には、アーム12cを本体12bより押し出す側へ付勢するスプリングが内蔵され、遮蔽用ソレノイド12が非通電のオフ状態においてスプリングの作用によりアーム12cが本体12bより外側へ押し出された状態となる(図2の実線)。遮蔽用ソレノイド12が通電されてオン状態となると、内蔵されるコイルの磁力でアーム12cが本体12bの内部へ引き込められる(図2の2点鎖線)。このアーム12cの出入動作により、アーム12cの係合穴12aに係合した保留表示装置8が回転軸8eを中心に回動し、保留表示装置8の通電状態と特別状態とが切り替えられる。
次に、図3を参照して保留表示装置8による回数表示部8a〜8dの遮蔽動作について説明する。遮蔽用ソレノイド12が非通電の状態では、図3(a)に示すように、回数表示部8a〜8dの表示面(図3(a)の紙面手前側)がパチンコ機Pの正面側を向いた通常状態となる。このとき、LCD3の上側には4つの回数表示部8a〜8dが視認可能となっており、回数表示部8a〜8dの点灯個数によって遊技者が保留球数を視認し得る状態となる。
後述する表示用制御基板Dの制御により遮蔽用ソレノイド12gが通電状態とされると、図3(b)に示すように、保留表示装置8は回転軸8eを中心に上昇して回数表示部8a〜8dの表示面側が上フレーム13に遮蔽された特別状態となる。回数表示部8a〜8dが遮蔽された特別状態では、遊技者は、回数表示部8a〜8dの点灯個数を視認し得ず、保留球数を視認し得ない。つまり、表示用制御基板Dが遮蔽用ソレノイド12を動作させることにより保留表示装置8が回動して、遊技者が保留球数を視認し得る状態と視認し得ない状態とを切り替えることができる。
ここで、従来の遊技機においては保留球数を表示する回数表示部等は、変動表示の待機回数、その開始と終了、その進行状況等を確認するために必要不可欠なものと位置づけられ、常時表示されるものであった。これに対し、本実施例のパチンコ機Pは、表示用制御基板Dにより遮蔽用ソレノイド12が動作させられて保留表示装置8が動作し、回数表示部8a〜8dに表示される保留球数を視認し得ない。保留球数が視認し得ない状態では残り何回の変動表示が行われるかを遊技者が知り得ず、その状態における遊技は、状況の一部が判り難いものとなる。よって、変動停止時には変動表示が未だ継続すると思っていたのに保留球数が「0」となって変動表示が途絶えたり、逆に、変動停止後に変動表示が途絶えると思っていたのに変動表示が更に継続される等、変動表示の実行に意外性を付与することができる。
また、従来の遊技機では、変動表示の待機回数以上に変動表示を行おうと1回の始動入賞に対して複数回の変動表示を擬似的に行っても遊技者は待機回数を視認してその実行が1回分の始動入賞に対応するものであると悟ってしまう。本発明のパチンコ機Pにおいては、保留表示装置8が動作して回数表示部8a〜8dに表示される保留球数が視認し得ないようにすることができるので、変動表示の実行が何回分の始動入賞に対応するものであるかを悟られにくくすることができる。よって、変動終了の時期を遊技者にとって判り難いものとすることができ、変動表示の実行に対する意外性を付与することができる。
更に、保留表示装置8は、通常状態においてLCD3が変動図柄Zを表示する表示画面3aの前面側に重なる位置に配置されており、遮蔽用ソレノイド12は、保留表示装置8に駆動力を付与して、特別状態においては通常状態よりパチンコ機Pの正面視における表示画面3aと保留表示装置8とが重なる量を少なくして表示画面3aの前面側を開放する。よって、保留球数の視認し易さが異なる通常状態と特別状態との切り替えに伴って、遊技者が視認可能なLCD3の表示画面3aの大きさに変化を生じさせることができる。本実施例のパチンコ機Pは、通常状態と特別状態とにおいて変動図柄Zの態様を異ならせてLCD3の表示画面3aに表示するものであり、保留球数の視認性の変化が伴うことでLCD3の表示画面3aに表示される変動図柄Zの態様の変化をより強調して遊技者に示すことができる。
なお、パチンコ機Pにおいては、回数表示部8a〜8dの表示面側を上フレーム13により遮蔽して保留球数が視認し得ない特別状態としたが、必ずしも上フレーム13により回数表示部8a〜8dの表示面側を遮蔽して特別状態とする必要はない。回数表示部8a〜8dを遮蔽しなくても、回数表示部8a〜8dがパチンコ機Pの上側を越えてパチンコ機Pの裏面側を向くように保留表示装置8の回動量を増やすことで、回数表示部8a〜8dがパチンコ機Pの正面側へ向く場合より保留球数を視認困難にすることができ、変動表示の実行に対する意外性をパチンコ機に付与することができる。
図4は、パチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図であり、特に、パチンコ機Pの遊技内容の制御を行う主制御基板Cと、その主制御基板Cの指令に基づいてLCD3等の演出制御を行う表示用制御基板D及び音声ランプ制御基板Lとの電気的構成を示したブロック図である。
パチンコ機Pの主制御基板Cには、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU21が搭載されている。このMPU21には、MPU21により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM22と、そのROM22内に記憶される制御プログラムの実行に当たって各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM23と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
ROM22には、LCD3に表示される図柄を用いた変動表示のパターン(変動パターン)の決定に使用する変動パターン決定テーブル22aが固定値データの一部として記憶されており、詳細については図6を参照して後述する。また、図7から図12に示すフローチャートのプログラムは制御プログラムの一部として、ROM22内に記憶されている。
ここで、変動パターンとは、変動表示の特徴が共通するものを区分した場合における各形態を意味している。共通する特徴としては、図柄の変動時間、特定の図柄を伴わせるか否か等が例示される。変動表示中には、同一の変動パターンであっても表示用制御基板Dの制御によって前回の変動表示の表示結果(停止図柄)と、変動後の停止図柄とに応じて各変動表示毎にそれぞれ異なる図柄がLCD3の表示画面3aに表示される。
RAM23は、保留球カウンタ23aと、内部乱数カウンタ23bと、リーチ乱数カウンタ23cと、遮蔽抽選カウンタ23dと、大当たり図柄カウンタ23eと、ハズレ図柄カウンタ23fと、変動パターンカウンタ23gと、演出実行エリア23hと、演出実行1〜4メモリ23i〜23lと、カウンタ用バッファ23mと、遮蔽回数カウンタ23nと、打球カウンタ23oと、入賞回数カウンタ23pと、入賞球数少フラグ23qとを備えている。
保留球カウンタ23aは、変動表示の待機回数(保留球数)に対応した値を回数情報として記憶するカウンタである。保留球カウンタ23aの値は、LCD3で変動表示が行われていない場合または変動表示が行われているが保留中の変動表示がない場合には「0」、保留中の変動表示が1回の場合には「1」、・・・、保留中の変動表示が4回の場合には「4」となる。本実施例のパチンコ機Pでは、変動表示の最大待機回数は4回であるので、保留球カウンタ23aの値は「0」から「4」の範囲で変化する。
ここで、MPU21には、電源断時においてもバックアップ電圧が供給されている。よって、停電などの発生によって電源がオフされても、MPU21のRAM23のデータは保持(バックアップ)される。従って、RAM23に設けられた保留球カウンタ23aの値(保留球数)は停電時においても保持され続けて、停電の解消後に残りの保留球数分の変動表示を引き続き行うことができる。また、RAM23には、賞球の払い出し残数も記憶されており、停電解消後に残りの賞球の払い出しも行うことができる。
内部乱数カウンタ23bは、大当たりの発生を決定するためのカウンタであり、後述するカウンタ更新処理(図7、S16参照)によって、「0〜599」の範囲内で順に1ずつ加算されて更新され、最大値(つまり599)に達した後に再び「0」に戻される。この内部乱数カウンタ23bの値は、遊技盤1の前面に打ち込まれた球が図柄作動口4へ入賞して後述する始動口スイッチ27で検出されたとき(始動入賞時)に取得され、このとき取得された内部乱数カウンタ23bの値が「7」または「315」であった場合に大当たりの発生が確定する。
大当たりの発生が確定すると、主制御基板Cから後述する表示用制御基板Dへ大当たりとなる図柄の組み合わせ(大当たり図柄)を示す停止図柄コマンドが送信され、表示用制御基板Dは、その停止図柄コマンドに基づいてLCD3の変動後の表示結果を大当たりとなる図柄の組み合わせとする。なお、遊技者に所定の遊技価値(特別遊技状態)を付与するか否かの抽選は、内部乱数カウンタ23bの値を取得する始動入賞のタイミングで行われ、抽選結果の確認は、変動開始時に行われる後述する通常変動選定処理及び連継演出選定処理の中で行われる(図11のS51の処理)。その確認において始動入賞時に取得された内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値であれば、所定の遊技価値を付与する抽選結果の導出(当選)となる。
リーチ乱数カウンタ23cは、ハズレリーチの発生を決定するためのカウンタである。変動表示の途中でリーチ表示を現出させてからハズレとなるハズレリーチとするか、リーチ表示を現出させない通常のハズレとするかは、リーチ乱数カウンタ23cの値に基づいて決定される。リーチ乱数カウンタ23cの値は、後述するカウンタ更新処理(図7、S16参照)によって、「0〜15」の範囲内で順に1ずつ加算されて更新され、最大値(つまり15)に達した後に再び「0」に戻される。
このリーチ乱数カウンタ23cの値は、前記した内部乱数カウンタ23bの値と同様に始動入賞時に取得され、前記した内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値でなく、且つ、取得されたリーチ乱数カウンタ23cの値が「7」である場合にハズレリーチ抽選の当選となってハズレリーチの発生が確定する。ハズレリーチの発生時には、後述するカウンタ用バッファ23mに記憶されるハズレリーチ図柄(ハズレリーチを構成する図柄の組み合わせ)が停止図柄コマンドに設定され(図11、S56参照)、そのハズレリーチ図柄が変動後の表示結果として現出する。
ここで、リーチ表示とは、LCD3の表示画面3aに表示される変動図柄Zが変動表示を開始した後、先に停留する左右の表示領域に表示される変動図柄Zの組み合わせがいずれかの有効ラインL上で同一図柄であって大当たりの条件を満たしており、変動表示が続いている中央の変動図柄Zの表示結果如何によっては大当たりとなることを遊技者に示唆して大当たりの図柄の組み合わせを遊技者に期待させる表示であり、興趣演出の一種である。興趣演出とは、変動表示の途中でLCD3の表示画面3aにリーチ表示に代表される所定の図柄を現出させたり、スピーカ29から特定の音声を出力したり、或いは、操作ハンドル54を振動させる等、通常とは異なる態様を変動表示に伴わせて変動表示後の表示結果が大当たりとなることを遊技者に期待させる演出である。この興趣演出の一形態として、遊技者の期待感を段階的に盛り上げるために、大当たりが発生する前の複数回の変動表示にリーチ表示等の特定の表示を連続して(繰り返して)現出させる連継演出がある。
遮蔽抽選カウンタ23dは、保留球数を表示する保留表示装置8の回数表示部8a〜8dが上フレーム13により遮蔽された状態(特別状態)を連継演出として発生させるか否かを抽選するためのカウンタである。本実施例の連継演出は、大当たりの発生前に連続して行われる複数回の変動表示を保留球数が視認し得ない状態で行われる特別の変動表示とし、その特別の変動表示を大当たりを発生させる変動表示より前の変動表示から継続させることにより大当たりの発生を前もって示唆するものである。
ここで、図5を参照して、パチンコ機Pに設定された変動表示の各変動パターンについて説明する。図5は、LCD3の表示画面3aに表示される各種の変動表示を例示した図であり、図5(a)は連継演出中でない通常の変動表示を示し、図5(b)は連継演出を構成する特別の変動表示を示し、図5(c)は特別の変動表示でリーチ表示を伴うものを示した図である。
通常の変動表示に対する変動パターンでは、上述したように、LCD3の表示画面3aが左右方向に3分割され、各表示領域において上から下方向に複数の変動図柄Zがスクロール(縦スクロール)して変動表示が行われる(図5(a)参照)。通常の変動表示においては、表示画面3aのほぼ中央に水平に位置する1の有効ラインL上に同じ数字が付された同一の変動図柄Zが3つ揃うと大当たりとなる。また、通常の変動表示中には、LCD3の上側には保留表示装置8によって保留球数が表示されており、保留球数に応じた数分だけ左側から順に点灯して表示される。図5(a)に示すように、左側から2つの回数表示部8a,8bが点灯した状態は、保留球数が「2」であって、実行中の変動表示が終了(停止表示)した後に2回の変動表示が継続して行われることを示している。
連継演出を構成する特別の変動表示に対する変動パターンでは、図5(b)及び図5(c)に示すように、LCD3の表示画面3aが上下方向に3分割され、各表示領域において右から左へ水平方向に変動図柄Zがスクロール(横スクロール)して変動表示が行われる。また、特別の変動表示においては、左、中、右の各縦ラインと対角線とで示される合計5本の有効ラインL上に、同じ数字が付された変動図柄Zが3つ揃うと大当たりとなる。また、特別の変動表示中には、保留表示装置8が動作して上方へ移動し、保留球数が視認し得ない状態になると共にLCD3の表示画面3aの上側が広げられた特別状態となる。
このように、保留球数が表示されて遊技者が視認可能な通常状態とされた期間中に行われる変動表示であると判断された場合に1の有効ラインLを有する通常の変動表示が実行され、保留球数を視認し得ない特別状態とされた期間中に行われる変動表示に対しては通常の変動表示より有効ラインLを多数にした5本の有効ラインLを有する特別の動的表示が実行される。よって、特別状態中の変動表示と、通常状態中の変動表示とを区分することができ、遊技者には複数種類の遊技性を提供することができる。
また、特別状態においては、通常状態よりLCD3の表示画面3aと保留表示装置8とが重なる量が少ないので、LCD3の前面にはより大きな表示領域が確保され、この表示領域が確保されたときに有効ラインLを多数にした特別の変動表示が実行される。よって、有効ラインLを可変しつつ、変動図柄Zをより見易い大きなサイズで遊技者に示すことができる。
更に、特別の変動表示は、横スクロールにより行われる一方、通常の変動表示は縦スクロールにより行われる。即ち、特別の変動表示による変動パターンは、通常の変動表示とは変動図柄Zの変動方向を異ならせたものである。単純にLCD3の表示画面3aの上側が広げられて有効ラインLが増加すると、有効ラインLの数が増加したことを遊技者が気づかないこともあり得るが、変動図柄Zの変動方向の変化によって、遊技者には、特別の変動表示と通常の変動表示とが異なるものであることを明確に示すことができ、変動表示の有効ラインLの数に変化が生じたことも視覚的に判り易く認識させることができる。
図5(c)は、特別の変動表示でリーチ表示を伴うものを示した図である。LCD3の表示画面3aにおける上段と下段の表示領域には、右上がりの対角線で示す有効ラインL上に「6」の数字が付された「カメ」の変動図柄Zが停止表示され、中段の表示領域における変動図柄Zが変動を継続している状態を示している。また、LCD3の表示画面3aには、変動図柄Zの背景に複数の泡が現出して下から上へ上昇している。この複数の泡は、リーチ表示が現出した後に時として現出する興趣演出の1つであり、この泡による演出がリーチ表示に伴う場合には、その演出がリーチ表示に伴わない場合に比べて大当たりへ遷移する頻度が高く、遊技者に大当たりを期待させる。
図4に戻って、連継演出の実行条件等について説明する。遮蔽抽選カウンタ23dは、カウンタ更新処理(図7、S16参照)によって「0」から「255」の範囲内で順に1ずつ加算されて更新され、最大値(つまり255)に達した後に再び「0」に戻される。この遮蔽抽選カウンタ23dの値は、始動入賞時において内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる「7」でない場合に参照され、このとき参照された遮蔽抽選カウンタ23dの値が「1」である場合に連継演出の実行となる。
大当たり図柄カウンタ23eは、大当たりのときにLCD3に停止表示される大当たり図柄(特別図柄)を決定するためのカウンタである。この大当たり図柄カウンタ23eは、後述するカウンタ更新処理(図7、S16参照)によって、「0〜9」の範囲内で順に1ずつ加算されて更新され、最大値(つまり9)に達した後に再び「0」に戻される。この大当たり図柄カウンタ23eの値は、前記した内部乱数カウンタ23b及びリーチ乱数カウンタ23cと共に始動入賞時に取得され、同時に取得された内部乱数カウンタ23bの値に基づいて大当たりの発生が確定すると、その大当たりを発生させる変動表示に対して停止表示される変動図柄Zの組み合わせが大当たり図柄カウンタ23eの値と同一のものとなる。即ち、大当たり図柄カウンタ23eの値が3つ並んだ変動図柄Zの組み合わせを示す値が停止図柄コマンドに設定される(図11のS53参照)。
ハズレ図柄カウンタ23fは、ハズレ時にLCD3に停止表示される図柄の組み合わせ(ハズレ図柄)を決定するためのカウンタである。このハズレ図柄カウンタ23fは、各カウンタがLCD3の左、中、右に停止表示される各変動図柄Zに対応づけられた3つの図柄カウンタで構成されている。ハズレ図柄カウンタ23fは、後述するハズレ図柄カウンタ更新処理(図7、S18参照)によって「0」から「9」まで1ずつ加算されて更新され、最大値に達した後に再び「0」に戻される。また、右の図柄カウンタが最大値に達した場合に中の図柄カウンタが1加算されて更新され、中の図柄カウンタが最大値に達した場合に左の図柄カウンタが1加算される。前記した内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値でない場合における変動表示の停止図柄は、ハズレ図柄カウンタ23fの値に従ってLCD3に表示される。なお、本実施例においては、左、中、右の変動図柄Zの決定の制御を代表して記載し、特別の変動表示中における変動図柄Zの決定の制御を省略しているが、変動図柄Zの決定の制御としては種々の公知の制御を使用することができる。
変動パターンカウンタ23gは、変動パターンの決定に使用するカウンタであり、本実施例では「0〜255」まで順に1ずつ加算されて更新され、最大値(つまり255)に達した後再び「0」に戻される。この変動パターンカウンタ23gの値は、変動表示の開始時に実行される表示コマンド決定処理(図10、S46参照)において参照される場合があり、この場合には、参照された変動パターンカウンタ23gの値に応じた変動パターンコマンドが図6に示す変動パターン決定テーブル22aから読み出され(抽出され)、表示用制御基板Dに送信される変動パターンコマンドの一部として設定される(図11のS52及びS55の処理、並びに、図12のS74の処理参照)。
演出実行エリア23hは、LCD3で実行中の変動表示に対する内部乱数カウンタ23b、リーチ乱数カウンタ23c、大当たり図柄カウンタ23e、及び、ハズレ図柄カウンタ23fの値を変動表示のデータ(変動表示情報)として記憶するためのエリアである。この演出実行エリア23hには、LCD3で変動表示が実行中でなく、且つ、保留球カウンタ23aの値が「1」以上で保留中の変動表示がある場合に、保留中の変動表示のうち最初に書き込みが行われた演出実行1メモリ23iに記憶されている変動表示のデータが書き込まれる(図10、S44参照)。
演出実行1〜4メモリ23i〜23lは、保留中の変動表示に対する内部乱数カウンタ23b、リーチ乱数カウンタ23c、大当たり図柄カウンタ23e、及び、ハズレ図柄カウンタ23fの値を変動表示のデータとして記憶するメモリである。この演出実行1〜4メモリ23i〜23lへの変動表示のデータの書き込みは、始動入賞時に実行される。また、本実施例における変動表示の待機回数は最大4回であるので、4つの演出実行1〜4メモリ23i〜23lが設けられている。これら4つの演出実行1〜4メモリ23i〜23lに保留中のデータがある場合には、1回の変動表示毎に1つずつ演出実行エリア23hにデータが書き込まれて使用される。
また、演出実行1〜4メモリ23i〜23lへの変動表示のデータの書き込みは、保留球カウンタ23aの値が示す演出実行1〜4メモリ23i〜23lに対して行われる。即ち、保留球カウンタ23aの値が「1」の場合には演出実行1メモリ23iへ、保留球カウンタ23aの値が「2」の場合には演出実行2メモリ23jへ、・・・、保留球カウンタ23aの値が「4」の場合には演出実行4メモリ23lへ変動表示のデータが書き込まれる(図8、S26参照)。
カウンタ用バッファ23mは、更新中のカウンタの値を一時的に記憶するための領域であり、上記した各カウンタ23b〜23gの値は、更新される毎にカウンタ用バッファ23mに書き込まれて記憶される。また、後述するハズレ図柄カウンタ更新処理(図7、S18参照)によってハズレ図柄カウンタ23fの値が更新された場合に、ハズレリーチを構成する図柄の組み合わせを示す値(カウント値)となったとき、そのカウント値をハズレリーチの発生時に使用する値として記憶する。具体的には、ハズレ図柄カウンタ23fを構成する左の図柄カウンタと右の図柄カウンタとが同一のカウント値の組み合わせとなり、且つ、そのカウント値とは異なる値を中段の図柄カウンタが示している場合(例えば、左、中、右の変動図柄Zの組み合わせが「7,6,7」や「1,5,1」などとなっている場合)に、ハズレ図柄カウンタ23fのカウント値がハズレリーチを構成する図柄の組み合わせを示す値としてカウンタ用バッファ23mに記憶される。
遮蔽回数カウンタ23nは、保留球数を表示する保留表示装置8の回数表示部8a〜8dが遮蔽された特別状態における変動表示の残り回数を記憶するためのカウンタである。この遮蔽回数カウンタ23nの値が「1」以上である場合に開始される変動表示が、保留球数が視認し得ない特別状態の中で横スクロールで行われる特別の変動表示とされ、この特別の変動表示が1回開始される毎に「1」ずつ遮蔽回数カウンタ23nの値が減算される。このため、遮蔽回数カウンタ23nの数分だけ特別状態の中で行われる特別の変動表示が継続し、その継続後に保留球数が視認可能な通常状態の中で行われる通常の変動表示に復帰する。
打球カウンタ23oは、遊技領域内へ投入された球の投入数を計数するためのカウンタである。この打球カウンタ23oは、上述した打球検出スイッチ20によって打球検出スイッチ20が球を検出する毎に「1」ずつ加算して更新される。入賞回数カウンタ23pは、図柄作動口4(図1参照)へ入賞(入球)した球の入賞数(入球数)を計数するためのカウンタであり、図柄作動口4への入賞を検出する始動口スイッチ27が入球を検出する毎に「1」ずつ加算して更新される。
入賞球数少フラグ23qは、遊技領域内への投入数に対する図柄作動口4への入賞数(入賞率)が少なすぎることを示すフラグである。パチンコ機Pにおいては、図柄作動口4への入賞数が多すぎると遊技者に有利となる一方で遊技場が利益を上げにくく、逆に図柄作動口4への入賞数が少ないと遊技者に不利になって遊技場への来客数が減少する。このため、図柄作動口4への入賞率は、遊技場の経営において重要な役割を有し、一般のパチンコ機Pにおいては、遊技領域へ100球投入するのに対して5〜6回図柄作動口4への入賞となるように釘調整をすることで、遊技場にとっての利益を出しつつ遊技者も十分に楽しめる設定となる。
しかし、多数の釘等の障害物に当接しつつ図柄作動口4へ入賞する球の割合は、狙った値とすることが難しく、思いがけず入賞球数が少ない設定となったパチンコ機Pも出てしまう。また、遊技場の経営上の理由により図柄作動口への入賞数が少なく入賞率を低下させたパチンコ機Pを設置する必要性も生じることがある。これらの場合には、遊技者に不満感が募り易く遊技場への来客数を減少させてしまう。
本実施例のパチンコ機Pにおいては、遊技領域内への投入数に対する図柄作動口4への入賞数(入賞率)が少なすぎることを示す入賞球数少フラグ23qを設けている。打球カウンタ23oにより1000球の投入が検出されると入賞回数カウンタ23pの値が確認され(図9、S34参照)、そのとき確認された入賞回数カウンタ23pの値が「30」以上であるか否かの判断に対応して入賞球数少フラグ23qのオンオフが切り替えられる(図9、S35及びS37参照)。この入賞球数少フラグ23qがオンである場合に限って前述した遮蔽回数カウンタ23nに「5」又は「10」の値が書き込まれ、この遮蔽回数カウンタ23nが「1」以上である場合には、1回の始動入賞に基づいて擬似的に2回の変動表示を実行する増殖形態としての変動パターンが選定され得るものとなっている。これにより、図柄作動口4への入賞数が少なく、入賞率が低すぎる場合には、増殖変動が実行されることによって遊技者にはより多くの変動表示の実行を示すことができ、遊技者への不満感が募り難くなる。
かかるROM22およびRAM23を内蔵したMPU21はバスラインを介して入出力ポート25と接続されており、入出力ポート25は、払出用モータ26によって賞球や貸球の払出制御を行う払出制御基板Hと、前記した図柄の変動表示等の制御を行う表示用制御基板Dと、始動口スイッチ27と、打球検出スイッチ20と、そのほか、他の入出力装置30とにそれぞれ接続されている。
始動口スイッチ27は、図柄作動口(始動口)4に入賞した球を検出するためのスイッチであり、図柄作動口4の近傍に設けられている。始動口スイッチ27によって球が検出されると、払出制御基板Hの制御によって払出用モータ26が駆動され、5個の賞球が払い出される。また、始動口スイッチ27によって球が検出された場合には、内部乱数カウンタ23b等の値が取得され、その取得された値が変動表示のデータとして保留球カウンタ23aの値が示す演出実行1〜4メモリ23i〜23lに書き込まれて記憶される。
表示用制御基板Dは、1チップマイコンとしてのMPU31、ビデオRAM34、キャラクタROM35、画像コントローラ36、入出力ポート37、出力ポート38等を備えている。入出力ポート37の一方には、主制御基板Cの入出力ポート25と、音声ランプ制御基板Lと、遮蔽用ソレノイド12とが接続され、入出力ポート37の他方には、バスラインを介してMPU31が接続されている。また、出力ポート38の入力には画像コントローラ36が接続され、出力ポート37の出力にはLCD3が接続されている。
表示用制御基板DのMPU31は、主制御基板Cから送信される制御用コマンドに基づいて、LCD3の(変動)表示を制御するためのものであり、ROM32とRAM33とを備えている。ROM32には、MPU31により実行される各種の制御プログラムや固定値データが記憶されている。図13のフローチャートのプログラムは、制御プログラムの一部としてROM32に記憶されている。
RAM33は、MPU31による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグが記憶されるメモリであり、保留球カウンタ33aと、遮蔽フラグ33bと、演出実行エリア33cとを備えている。
保留球カウンタ33aは、変動表示の待機回数(保留球数)を記憶して音声ランプ制御基板Lを介して回数表示部8a〜8dの態様(ランプの点灯状態)を制御するためのカウンタである。この保留球カウンタ33aは、始動入賞時に主制御基板Cから送信される始動入賞コマンドを表示用制御基板Dが受信した場合に「1」ずつ加算され(図13、S82参照)、変動表示の開始時に「1」ずつ減算される(図13、S86参照)。保留球カウンタ33aの値が更新されるときには、表示用制御基板Dは、音声ランプ制御基板Lへ保留球カウンタ33aの値を付加した点灯コマンドを送信し、音声ランプ制御基板Lは、その点灯コマンドの指示に従って保留表示装置8の点灯状態を更新し、回数表示部8a〜8dの点灯個数を保留球数に一致させる。なお、表示用制御基板Dの保留球カウンタ33aの値は、主制御基板Cの保留球カウンタ23aと同期して「0」から「4」の範囲で変化するものであるので、必ずしも表示用制御基板Dに設ける必要はなく、主制御基板Cの保留球カウンタ23aの値を始動入賞時および変動開始時に毎回受信する構成としても良い。
遮蔽フラグ33bは、保留表示装置8の回数表示部8a〜8dが上フレーム13により遮蔽された特別状態であることを記憶するためのフラグである。この遮蔽フラグ33bは、主制御基板Cから回数表示部8a〜8dの遮蔽を示す表示コマンドを受信した場合にオンされる(図13、S90参照)。この遮蔽フラグ33bがオンされた場合には、遮蔽用ソレノイド12がオンされて保留表示装置8が上昇し、保留球数を表示する回数表示部8a〜8dが上フレーム13により遮蔽される。この遮蔽フラグ33bがオンである間、即ち、遮蔽フラグ33bのオン状態で、受信した表示コマンドが回数表示部8a〜8dの遮蔽を示すコマンドである間は、回数表示部8a〜8dが上フレーム13により遮蔽された特別状態が継続される。
遮蔽フラグ33bのオン状態で主制御基板Cから受信した表示コマンドが回数表示部8a〜8dの遮蔽を示すコマンドでなければ、遮蔽フラグ33bはオフされる(図13、S93参照)。遮蔽フラグ33bがオフされると遮蔽用ソレノイド12がオフされて回数表示部8a〜8dがLCD3の前面側に位置して保留球数が視認可能な状態となる。
遮蔽フラグ33bのオン状態で変動が停止し、保留球カウンタ33aの値が「0」となっているときには、変動停止後に引き続き行われる変動表示がなく、変動表示が継続されない。この場合には、遮蔽フラグ33bがオフされると共に(図13、S100参照)、遮蔽用ソレノイド12がオフされて保留球数が視認可能な状態となる。
演出実行エリア33cは、主制御基板Cから送信される表示コマンドを受信した場合に、その表示コマンドによって示される変動パターン及び停止図柄に関するデータを記憶するためのものである。表示用制御基板Dが表示コマンドを受信すると、その表示コマンドを構成する変動パターンコマンドと停止図柄コマンドとが演出実行エリア33cに書き込まれ(図13、S85参照)、その書き込まれたデータに従って変動表示が行われる。
ビデオRAM34は、LCD3に表示される表示データが記憶されるメモリであり、このビデオRAM34の内容を書き換えることにより、LCD3の表示画面3aの態様が変更される。キャラクタROM35は、LCD3の表示画面3aに表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するためのメモリであり、このキャラクタROM35には、各変動図柄Z、興趣演出を構成する「泡」の図柄等の画像データ、及び、各変動パターンの画像データその他のLCD3に表示される全画像に使用するデータが記憶される。表示用制御基板Dは、キャラクタROM35に記憶された画像データを使用して主制御基板Cから送信される表示コマンドに対応した変動表示をLCD3の表示画面3aに表示する。
画像コントローラ36は、MPU31、ビデオRAM34、出力ポート37のそれぞれのタイミングを調整して、データの読み書きを介在するとともに、ビデオRAM34に記憶される表示データをキャラクタROM35を参照して所定のタイミングでLCD3に表示させるものである。
音声ランプ制御基板Lは、スピーカ29から出力される効果音の音声制御と、回数表示部8a〜8dに内蔵されたランプを含む各種ランプ28の点灯制御とを行うものである。音声ランプ制御基板Lは、表示用制御基板Dから送信されるコマンドによって制御されるので、表示用制御基板Dによって制御されるLCD3と、音声ランプ制御基板Lによって制御されるランプ28やスピーカ29等とは同期して制御され、変動表示や各種の演出が実行される。
次に、図6を参照して変動パターンの選定に使用する変動パターン決定テーブル22aについて説明する。図6は、変動パターン決定テーブル22aの構成を模式的に示した図である。パチンコ機Pには、変動パターンとして16種類の「ノーマルリーチ」と、16種類の「スーパーリーチ」と、2種類の「ハズレ変動」との合計34種類の変動パターンが設定されている。まず、これら各変動パターンについて順に説明する。
ハズレ変動は、リーチ表示を伴わずにハズレの表示結果を現出するパターンであり、変動開始から停止までに要する変動時間が2種類に設定された「ハズレ変動1」と「ハズレ変動2」とにより構成されている。「ハズレ変動1」は、11秒の変動時間で行われるハズレ変動であり、この「ハズレ変動1」が変動パターンとして選定されると、LCD3に表示される変動図柄Zが変動を開始した後、9秒後に左側(又は上段)の変動図柄Zの変動を停止し、その1秒後(変動開始の10秒後)に右側(又は下段)の変動図柄Zの変動を停止し、更に1秒後(変動開始の11秒後)に中央(又は中段)の変動図柄Zの変動を停止して変動表示の表示結果の現出となる。
「ハズレ変動2」は、上記した「ハズレ変動1」を2回連ねたパターン、即ち、「ハズレ変動1」による2回分の変動表示に対応する変動パターンであり、変動表示が変動表示の途中で一旦変動表示を停止して擬似的に停止図柄を現出し、変動表示の最後に変動表示の表示結果としての停止図柄を現出する。このため、遊技者にとっては変動表示の途中と最後との計2回、表示結果が表示されることとなる。「ハズレ変動2」の変動時間は、「ハズレ変動1」の2回分であるので、22秒となる。この「ハズレ変動2」が変動パターンとして選定されると、1の始動入賞に基づいて表示結果が2回表示されるため、遊技者には、変動表示を視認しただけでは、変動表示が2回行われたかの印象が付与される。
ここで、「ハズレ変動2」に対する1回目の表示結果(停止図柄)は、表示用制御基板Dの制御によって決定され、2回目の表示結果が主制御基板Cのハズレ図柄カウンタ23fによって決定されたものとなる。表示用制御基板Dによる1回目の表示結果の決定は、主制御基板Cによって決定された停止図柄に対して所定数のカウンタ値を加算、若しくは、減算して行っても良く、主制御基板Cにおいてハズレ図柄を決定するためのハズレ図柄カウンタ23fと同一のカウンタとそのカウンタの値に基づいてハズレ図柄を決定する各処理とを表示用制御基板Dに設けて行っても良い。
「ノーマルリーチ1」から「ノーマルリーチ16」(以下、適宜「ノーマルリーチ」と略す。)は、リーチ表示を伴ういわゆるノーマルリーチのパターンであり、変動表示の開始後、左側(又は上段)の変動図柄Zの変動を停止し、その1秒後(変動開始の10秒後)に右側(又は下段)の変動図柄Zの変動を停止してリーチ表示を現出させ、その後中央(又は中段)の変動図柄Zを各パターン毎の変動時間に達するまでスクロールさせて停止する。リーチ表示現出後に中央(又は中段)の変動図柄Zがスクロールを停止するまでの態様は、各パターン毎に異なるものであり、特別な変化を加えることなく低速度で一定時間変動してから停止するパターンと、途中で1段階、又は、2段階に変動速度が段階的に減速された後に、変動を停止するパターンとされている。
「スーパーリーチ1」から「スーパーリーチ16」(以下、適宜「スーパーリーチ」と略す。)は、ノーマルリーチより演出時間が長く「泡」や「魚群」などをLCD3に表示させるいわゆるスーパーリーチのパターンである。これらのパターンにおいては、リーチ表示を現出させた後中央(又は中段)の変動図柄Zを各パターン毎の変動時間に達するまでの時間を、上述した「ノーマルリーチ」により長い時間にしてスクロールさせて停止する。このスクロール中には、各パターン毎に設定されたキャラクタ(例えば、魚の群れや泡等)や背景表示(例えば、通常時には青色の背景を虹色に変化させる等)等の特定の表示を伴わせる。このスーパーリーチを構成するキャラクタ等が現出した後には高比率で大当たりへ遷移し、遊技者は、キャラクタ等の現出により大当たりの発生に期待感を抱くこととなる。
上記した各変動パターンの選定に使用する変動パターン決定テーブル22aは、内部乱数カウンタ23bの値に基づいて大当たりを発生させる変動表示の変動パターンを決定するための大当たりテーブル22a1と、大当たりを発生させない変動表示の変動パターンを決定するためのハズレリーチテーブル22a2およびハズレ変動テーブル22a3とから構成されている。ハズレリーチテーブル22a2は、ハズレリーチの実行抽選に当選した変動表示の変動パターンを決定するためのものであり、ハズレ変動テーブル22a3は、保留球数が視認し得ない特別状態の期間中に行われる特別の変動表示に対して、リーチ表示を伴わないハズレの変動表示の変動パターンを決定するためのものである。
大当たりテーブル22a1とハズレリーチテーブル22a2とには、リーチ表示を伴う「ノーマルリーチ」と「スーパーリーチ」との変動パターンに対して変動パターンカウンタ23gの値が区分けされている。「ノーマルリーチ」と「スーパーリーチ」とは、いずれもリーチ表示を伴う変動パターンであって、大当たりテーブル22a1又はハズレリーチテーブル22a2のいずれかが変動パターンの選定に使用された場合に限って実行される。両テーブル22a1,22a2は、大当たり抽選、又は、ハズレリーチの抽選に当選した場合に限って使用されるため、リーチ表示を伴う変動パターンが選定された場合には大当たりへの遷移を期待させる変動表示(期待変動)が行われるので、遊技者には、リーチ表示の現出によって大当たりの発生を期待させることができる。
一方、リーチ表示を伴わない変動表示(不利変動)においては大当たりは生じ得ず、遊技者は大当たりへの期待感を抱くことができない。なお、リーチ表示を伴わない変動パターンで大当たりを発生させるパターンを設けても良い。例えば、リーチ表示を伴わず上中下段に別々の図柄が停止した後に、再度図柄の変動が行われてから大当たりの表示結果を現出させる変動パターンを設けても良い。不利変動とは、大当たりへの遷移を期待させる特定の表示を伴わない変動を意味しており、不利変動が大当たりの表示結果を現出させるものであっても良い。
また、「ノーマルリーチ」は、ハズレリーチテーブル22a2の方が大当たりテーブル22a1より高比率で選定される一方、「スーパーリーチ」は、大当たりテーブル22a1の方がハズレリーチテーブル22a2より高比率で選定される。このため、変動パターンとして「スーパーリーチ」が選定された場合の方が、「ノーマルリーチ」より高比率で大当たりへ遷移することとなり、遊技者には、スーパーリーチを構成するキャラクタ等の現出により大当たりの発生に期待感を抱かせることができる。
ハズレ変動テーブル22a3には、図5に示すように、34種類の変動パターンのうちリーチ表示を伴わないハズレ変動に対する変動パターンカウンタ23gの値が区分けされている。変動パターンカウンタ23gの値は、「ハズレ変動1」に対して「0〜63」、「ハズレ変動2」に対して「64〜255」に区分けされ、各変動パターンが1:3の比率に区分けされている。このため、保留球数が視認し得ない状態であって、且つ、リーチ表示を伴わないハズレの変動表示に対しては、「ハズレ変動1」と「ハズレ変動2」とがそれぞれ1:3の比率でランダムに選定される。
上記した各テーブル22a1〜22a3には、各変動パターン毎に「01h」から「22h」までの34の変動パターンを示す1バイトの値が設定されており、これら35の値が変動パターンカウンタ23gの値に対応して各テーブル22a1〜22a3に記憶されている。変動開始時には、変動パターンカウンタ23gの値に基づいて各テーブル22a1〜22a3における変動パターンを示す値が取得され、変動パターンを指定するための変動パターンコマンドの下位バイトとしてセットされる。なお、各テーブル22a1〜22a3には、「ノーマルリーチ」と「スーパーリーチ」とにおける各変動パターンを示す1バイトの値毎に変動パターンカウンタ23gの値が割り当てられるが、図6においては理解の容易のためにリーチの種類毎に大別して変動パターンカウンタ23gの値をまとめて示している。
ここで、変動表示の制御のために主制御基板Cから表示用制御基板Dへ送信される制御用コマンドについて説明する。変動表示用の制御用コマンドは、変動パターンコマンドと、停止図柄コマンドと、確定コマンドとによって構成される。各制御用コマンドはそれぞれ2バイトで構成され、1バイト目の上位4ビットが各コマンドを識別するためのビットとして使用される。変動開始時には、変動表示の開始から終了までの一連の変動パターンを指定するための変動パターンコマンドと、停止図柄を示す停止図柄コマンドとが、変動表示の内容を指示する表示コマンドとして表示用制御基板Dへ送信される(図10、S47参照)。また、変動停止時には、確定コマンドが表示用制御基板Dへ送信され(図7、S15参照)、変動表示の表示結果としてLCD3の表示画面3aに表示された変動図柄Zが確定停止する。
なお、変動パターンカウンタ23gの値は、必ずしも上記した変動パターン決定テーブル22aに設定した比率に区分けする必要はなく、別の比率に区分けしても良い。また、変動パターンは、必ずしも上記した種類に限らず、上記したよりも少ないパターンとし、或いは、更に多くのパターンとして設定しても良い。
次に、上記のように構成されたパチンコ機Pで実行される各処理を、図7から図13の各フローチャートを参照して説明する。図7は、パチンコ機Pの主制御基板Cにおいて実行されるメイン処理のフローチャートである。メイン処理では、バックアップデータがある場合の復元や、RAMやI/O等の各値の初期化、及び、タイマ割込等の各割込の設定を行う等の初期化処理(S11)を実行し、その後に、S12からS18の各処理を所定時間毎(例えば、2ms毎)に繰り返し実行して、遊技の制御を行う。
始動入賞処理(S12)では、球が図柄作動口(始動口)4へ入賞したか否かを確認して変動表示の内容を設定する。打球検出処理(S13)では、遊技領域への球の投入数と図柄作動口4への入賞数との割合に応じて別々の条件に従って変動パターンが選定されるように入賞球数少フラグ23qのオンオフを切り替える。変動開始処理(S14)では、変動開始のタイミングであれば、変動表示を開始させる表示コマンドを表示用制御基板Dへ送信する。この始動入賞処理(S12)、打球検出処理(S13)及び変動開始処理(S14)の詳細については図8から図12を参照して後述する。
変動停止処理(S15)では、まず、大当たり中であるか否かを判定する。ここで、大当たり中には、大当たりの際にLCD3で表示される特別遊技の最中と特別遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。特別遊技終了後の所定時間は、例えばパチンコ機Pの各状態を整えるのに要する時間などとして設定される。大当たり中ではないと判定されると、リーチ表示の有無など変動表示の内容に応じて区分けした種別を表す変動パターンにおける変動時間が終了しているか否かを判定する。この処理は、各変動パターン毎に設定された変動時間が経過したかを判定することにより行われる。変動時間が終了していれば、変動の停止と確認のために制御用コマンドの1つである確定コマンドを表示用制御基板Dへ出力し、この処理を終了する。表示用制御基板Dは、確定コマンドを入力すると、LCD3の変動表示を停止表示(確定)させる。
カウンタ更新処理(S16)では、内部乱数カウンタ23b、リーチ乱数カウンタ23c、遮蔽抽選カウンタ23d、大当たり図柄カウンタ23e、及び、変動パターンカウンタ23gの各カウンタの値を更新する。大当たり処理(S17)では、大当たりか否かを判定し、大当たりである場合には特定入賞口5(図1参照)の開放処理を行う。一方、大当たりでない場合には、該処理をスキップしてこの処理を終了する。特定入賞口5の開放処理では、球が入賞しやすいように特定入賞口5を所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放する。特定入賞口5の開放中に、球がVゾーン5aを通過すると、継続権を成立させて、特定入賞口5の閉鎖後、再度、その特定入賞口5を所定時間(又は、球が10個入賞するまで)開放する。この特定入賞口5の開閉動作を、最高で16回(16ラウンド)繰り返す。
ハズレ図柄カウンタ更新処理(S18)では、ハズレ図柄カウンタ23fの値を更新する。その後、次のS12の処理の実行タイミングが到来するまでの残余時間の間、ハズレ図柄カウンタ更新処理(S18)を繰り返し実行する。S12〜S17の各処理は定期的に実行する必要があるので、S19の処理において、前回のS12の処理の実行からの経過時間をチェックする(S19)。チェックの結果、前回のS12の処理の実行から所定時間(例えば2ms)経過していれば(S19:Yes)、処理をS12へ移行する。一方、所定時間経過していなければ(S19:No)、処理をS18へ移行して、ハズレ図柄カウンタ更新処理(S18)を繰り返す。ここで、S12〜S17の各処理の実行時間は、遊技の状態に応じて変化するので、次のS12の処理の実行タイミングが到来するまでの残余時間は、一定の時間ではない。よって、かかる残余時間を使用してハズレ図柄カウンタ更新処理(S18)を繰り返し実行することにより、ハズレ図柄カウンタ23fの値をランダムに更新することができる。
図8は、主制御基板Cのメイン処理(図7参照)の中で実行される始動入賞処理(S12)のフローチャートである。この始動入賞処理(S12)は、始動入賞の有無を確認し、始動入賞があった場合には、そのタイミングで変動表示の内容としての変動パターンや停止図柄等の態様を選定する処理である。
この始動入賞処理(S12)では、まず、始動口スイッチ27が球を検出したか否かを確認する(S21)。球を検出していれば(S21:Yes)、入賞回数カウンタ23pの値に「1」を加算し(S22)、保留球カウンタ23aの値が「4」以上であるか否かを確認する(S23)。その値が「4」未満であれば(S23:No)、変動表示のデータが最大の待機回数分記憶されていないので、保留球カウンタ23aの値に「1」を加算した後(S24)、加算後の保留球カウンタ23aの値を付加した始動入賞コマンドを表示用制御基板Dへ送信する(S25)。
始動入賞コマンドは、2バイトのデータで構成され、始動入賞の発生を示す1バイト目のデータと、「1」から「4」の保留球カウンタ23aの値を示す2バイト目のデータとにより構成される。主制御基板Cからの制御用コマンドの送信は、図示しない主制御基板CのRAM23に設けられる送信バッファにコマンドが一旦書き込まれ、その書き込み順に表示用制御基板Dへ1バイトずつ送信される。
S25の処理後、内部乱数カウンタ23b、リーチ乱数カウンタ23c、大当たり図柄カウンタ23e、及び、ハズレ図柄カウンタ23fの各値を変動表示のデータとして保留球カウンタ23aの値が示す演出実行1〜4メモリ23i〜23lに書き込んで記憶し(S26)、内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値の1つである「7」であるか否かを確認する(S27)。
S27の処理において内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値「7」であれば(S27:Yes)、連継演出の実行条件の成立となり、遮蔽回数カウンタ23nに保留球カウンタ23aの値を書き込み(S29)、この始動入賞処理を終了する。遮蔽回数カウンタ23nの値が「1」以上である場合には、遮蔽回数カウンタ23nの数分だけ保留球数を視認し得ない特別状態の中で行われる特別の変動表示が継続されるので、大当たりを発生させる変動表示が実行されるまで保留球数を視認し得ない特別状態を継続することができる。これにより、大当たりを発生させる変動表示とその時点で待機中の変動表示との複数回の変動表示にわたって特別状態が継続する連継演出を実行して大当たりの発生を遊技者に示唆することができる。
ここで、内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値としては、「7」と「315」との2種類があり、S27の処理においては「7」である場合に限ってS29の処理に移行して遮蔽回数カウンタ23nに保留球カウンタ23aの値を書き込み、大当たりを発生させる変動表示とその時点で待機中の変動表示とによる連継演出を実行させる。よって、大当たりが発生する場合に必ずしも連継演出が実行されるとは限らないので、遊技者には、連継演出を構成する変動表示以外の変動表示に対しても大当たりの発生を期待させることができる。
S27の処理において内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値「7」でなければ(S28:No)、遮蔽抽選カウンタ23dの値が「1」であるか否かを確認し、その値が「1」であれば(S28:Yes)、S29の処理に移行して今回の始動入賞に基づいて実行される変動表示と、その時点で待機中の変動表示とに対して保留球数を視認し得ない特別状態の継続による連継演出を実行する。これにより、内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値でない場合にも、特別状態の継続による連継演出が実行される。遊技者には、連継演出の実行により大当たりの発生を期待させるものの、必ずしも大当たりには遷移しない遊技性を付与して、連継演出の実行により大当たりへの遷移に対する期待感と緊張感とを併せて付与することができる。
S28の処理で、遮蔽抽選カウンタ23dの値が「1」でなければ(S28:No)、連継演出の実行条件が成立していないので、S29の処理をスキップして始動入賞処理(S12)を終了する。また、S21の処理において、始動口スイッチ27が球を検出していなければ(S21:No)、始動入賞の成立時でなく、また、S23の処理において保留球カウンタ23aの値が「4」以上であれば(S23:Yes)、最大待機回数分の変動表示のデータが記憶されているので、S24〜S27の処理をスキップして始動入賞処理(S12)を終了する。
図9は、主制御基板Cのメイン処理(図7参照)の中で実行される打球検出処理(S13)のフローチャートである。この打球検出処理(S13)は、遊技領域への球の投入数と図柄作動口4への入賞数との割合に応じて別々の条件に従って変動パターンが選定されるように、入賞球数少フラグ23qのオンオフを切り替えると共に遮蔽回数カウンタ23nの値を更新する処理である。
まず、打球検出スイッチ20が球を検出したか否かを確認し(S31)、球を検出していなければ、S32以降の処理をスキップして打球検出処理(S13)を終了する。S31の処理において打球検出スイッチ20が球を検出していれば(S31:Yes)、打球カウンタ23oの値に「1」を加算し(S32)、処理をS33へ移行する。打球検出スイッチ20は、遊技領域の入口1c(図1参照)であって遊技領域へ球が投入される場合に通過する経路に向けて設けられているので、遊技領域へ球が投入される投入数に対応して打球カウンタ23oの値を更新し、遊技領域への球の投入数を計数することができる。
S33の処理では、打球カウンタ23oの値が「1000」以上か確認し(S33)、「1000」以上でなければ(S33:No)打球検出処理(S13)を終了する。打球カウンタ23oの値が「1000」以上であれば(S33:Yes)、入賞回数カウンタ23pの値を確認し(S34)、その値が「30」以上であれば(S34:Yes)、入賞球数少フラグ23qをオフし(S35)、更に、打球カウンタ23oと入賞回数カウンタ23pとを「0」クリアして(S36)、打球検出処理(S13)を終了する。
S34の処理において入賞回数カウンタ23pの値が「30」未満であることが確認されると(S34:No)、入賞球数少フラグ23qをオンして(S37)、遊技領域内への投入数に対する図柄作動口4への入賞数が少ないことを主制御基板CのRAM23に記憶する。即ち、1000球の投入数に対して図柄作動口4へは30球未満の入賞数であり、入賞率が3%未満である場合に図柄作動口4への入賞数が少ないとして主制御基板CのRAM23に記憶するのである。
更に、遮蔽抽選カウンタ23mの値が奇数か偶数かを確認し(S38)、奇数であれば(S38:「奇数」)遮蔽回数カウンタ23nに「5」を書き込む一方(S39)、偶数であれば(S38:「偶数」)遮蔽回数カウンタ23nに「10」を書き込み(S40)、処理をS36へ移行する。S38の処理において遮蔽抽選カウンタ23nの値に応じて複数種類の値を遮蔽回数カウンタ23nに書き込むことにより、図柄作動口4への入賞数が少ないことを契機として開始される遊技が固定的にならず、遊技に幅を持たせることができる。
ここで、S33の処理において打球カウンタ23oの値が「1000」以上に達した場合に(S33:Yes)、S36の処理において打球カウンタ23oと入賞回数カウンタ23pとを「0」クリアするので、遊技領域へ遊技球が1000球投入される毎に、図柄作動口4への入賞数が少ないか否かを確認することができる。打球カウンタ23oの値を「0」クリアしないで、パチンコ機Pの製造時点から継続して遊技領域への投入数に対する図柄作動口4への入賞数を確認するようにすると、毎日、或いは、数日おきに行われるパチンコ機Pの釘等の調整に対応した入賞数の変化、或いは、遊技者毎に異なったパチンコ機Pの操作ハンドルの操作に伴う図柄作動口4への入賞数の変化等に対して適切に入賞球数少フラグ23qのオンオフを切り替えることができない。
本実施例のパチンコ機Pにおいては、所定期間(本実施例においては、1000球の投入)毎に遊技領域への投入数に対する図柄作動口4への入賞数を計数し直すので、パチンコ機Pの調整や遊技者の入れ替わりに適切に対応して入賞球数少フラグ23qのオンオフを切り替えることができる。
なお、遊技領域内への球の投入を必ずしも遊技領域の入口1cで検出する必要はなく、球を発射する球発射装置により発射された球の発射数を計数して遊技領域内への球の投入数としても良いし、球発射装置が稼働した時間を計時しその時間に基づいて遊技領域内への球の投入数を概算で算出して遊技領域内への球の投入数としても良く、或いは、遊技領域の下端部に位置する排出口(アウト口)への入球数を遊技領域内への球の投入数としても良い。即ち、遊技領域内への球の投入数に概ね比例する種々の数を遊技領域内への球の投入数としても良く、これにより、遊技領域への球の投入数を概算で割り出すことができる。
図10は、主制御基板Cのメイン処理(図7参照)の中で実行される変動開始処理(S14)のフローチャートである。この変動開始処理(S14)は、始動入賞処理(S12)で選定された態様に従って表示用制御基板Dに送信する表示コマンドを決定して、始動入賞のタイミングで選定された態様による変動表示を表示用制御基板Dを介してLCD3に行わせる処理である。
変動開始処理(S14)では、まず、保留球カウンタ23aの値が「1」以上であるか否かを確認する(S41)。「1」以上であれば(S41:Yes)、変動表示中か又は大当たり中(所定の遊技価値が付与される特別遊技状態中)であるか否かを確認する(S42)。変動表示中でなく且つ大当たり中でもなければ(S42:No)、保留球カウンタ23aの値から「1」を減算して(S43)、演出実行1メモリ23iに記憶されて演出を実行するための変動表示のデータを演出実行エリア23hに書き込む(S44)。更に、演出実行2〜4メモリ23j〜23lに演出実行用のデータとして記憶されている変動表示のデータを、演出実行1〜3メモリ23i〜23kへそれぞれ1つずつシフトする(S45)。
その後、演出実行エリア23hに書き込まれたデータに基づいて変動パターンや停止図柄等の変動表示の内容を選定し、表示コマンドの内容を決定する表示コマンド決定処理を行い(S46、図11及び図12参照)、その表示コマンド決定処理(S46)により決定された表示コマンドを表示用制御基板Dに送信して(S47)、この始動入賞変動開始処理(S12)を終了する。表示用制御基板Dは、S47の処理に基づいて送信される表示コマンドを、図13に示すコマンド受信処理で受信するとLCD3の表示を制御する各処理を実行する。
図11は、図10に示す変動開始処理(S14)の中で実行される表示コマンド決定処理(S46)のフローチャートである。表示コマンド決定処理(S46)では、始動入賞時に取得された変動表示のデータに基づいて変動表示の内容を示す表示コマンドを決定する。
この表示コマンド決定処理(S46)では、まず、演出実行エリア23hに記憶された内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値であるか否かを判断する(S51)。その値が大当たりを発生させる値であれば(S51:Yes)、大当たりを発生させる変動表示に対する変動パターンを選定するときであるので、大当たりテーブル22a1(図6参照)より変動パターンカウンタ23gの値に対応する変動パターンコマンドを選定する(S52)。更に、演出実行エリア23hに記憶された大当たり図柄カウンタ23eの値に対応した変動図柄Zの組み合わせを示す値を停止図柄コマンドに設定して(S53)、処理をS58へ移行する。
S51の処理において内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値でない場合には(S51:No)、演出実行エリア23hに記憶されたリーチ乱数カウンタ23cの値がハズレリーチを発生させる値であるか否かを判断する(S54)。その値がハズレリーチを発生させる値であれば(S54:Yes)、ハズレリーチテーブル22a2(図6参照)より変動パターンカウンタ23gの値に対応する変動パターンコマンドを選定する(S55)。更に、カウンタ用バッファ23mに記憶されたハズレリーチを構成する変動図柄Zの組み合わせを示す値を停止図柄コマンドに設定し(S56)、処理をS58へ移行する。
S54の処理において演出実行エリア23hに記憶されたリーチ乱数カウンタ23cの値がハズレリーチを発生させる値でない場合には(S54:No)、リーチ表示を伴わないハズレ変動に対する変動表示の内容を設定するためのハズレ変動設定処理(S57)を実行した後、処理をS58へ移行する。
S58以降の処理では、まず、遮蔽回数カウンタ23nの値を確認し(S58)、その値が「0」であれば(S58:「0」)、保留球数を視認可能な通常状態を示すコマンド「C0h」を変動パターンコマンドの上位バイトに設定してから(S59)、表示コマンド決定処理(S46)を終了し、図10の変動開始処理(S14)に処理を戻す。
S58の処理において遮蔽回数カウンタ23nの値が「1」であれば(S58:「1」)、S51からS57の処理で決定された変動パターンコマンドをスーパーリーチに対応する変動パターンコマンドに更新する(S60)。遮蔽回数カウンタ23nの値が「1」である場合に行われる変動表示は、保留球数を視認し得ない特別状態とされた期間中の最後を構成するものであり、この変動表示をS60の処理においてスーパーリーチにすることにより、遊技者に対しては、大当たりへの期待感をより一層高めることができ、特別状態とされた期間中の遊技を面白みのあるものとすることができる。
S60の処理後、保留球数を視認し得ない特別状態を示すコマンド「C1h」を変動パターンコマンドの上位バイトに設定し(S61)、遮蔽回数カウンタ23nの値から「1」を減算して(S62)、この表示コマンド決定処理(S46)を終了する。S58の処理において遮蔽回数カウンタ23nの値が「2以上」であれば(S58:「2以上」)、処理をS61へ移行する。
ここで、パチンコ機Pにおいては、表示コマンドを構成する変動パターンコマンドの上位バイトのうち、下位4ビットは、連継表示の現出を示すためのものであり、その下位4ビットの末尾(最下位ビット)をオンする(即ち、下位4ビットの値を「1」とする)ことにより特別状態とされた期間中に行われる特別の変動表示の実行を示し、その末尾がオフの場合(即ち、下位4ビットの値を「0」とした場合)に通常状態とされた期間中に行われる通常の変動表示の実行を示す。表示用制御基板Dは、表示コマンドを受信した場合に、そのコマンドが保留球数を視認し得ない特別状態を示すものか否かを変動パターンコマンドのうち上位バイトの最下位ビットによって認識し、保留球数を視認し得ない特別状態とされた期間中の変動表示に対しては、横スクロールであって5本の有効ラインLを表示して行われる変動表示(図5参照)を実行する。
次に、図12を参照してハズレ変動設定処理(S65)について説明する。図12は、主制御基板Cの表示コマンド決定処理(S46)の中で実行されるハズレ変動設定処理(S65)のフローチャートである。このハズレ変動設定処理(S65)では、リーチ表示を伴わないハズレ変動に対する変動表示の内容を設定する。
まず、保留球カウンタ23aの値が「1」以上であるか確認し(S71)、その値が「1」以上であれば(S71:Yes)、遮蔽回数カウンタ23nが「1」以上であるか確認する(S72)。遮蔽回数カウンタ23nの値が「1」以上であることが確認され(S72:Yes)、更に、上述した入賞球数少フラグ23qのオフが確認されると(S73:Yes)、「ハズレ変動1(11秒)」と「ハズレ変動2(22秒)」との2種類のハズレ変動のいずれかが選定されるハズレ変動テーブル22a3より変動パターンカウンタ23gの値に対応する変動パターンコマンドを選定し(S74)、処理をS75へ移行する。
一方、保留球カウンタ23aの値が「0」である場合(S71:No)、遮蔽回数カウンタ23nの値が「0」である場合(S72:No)、又は、入賞球数少フラグ23qがオフである場合(S73:No)のうちいずれか1つでも条件を満たす場合には、11秒の変動時間で行われる「ハズレ変動1」を示す変動パターンコマンドを設定し(S76)、処理をS75へ移行する。
S75の処理では、演出実行エリア23hに記憶されたハズレ図柄カウンタ23fの値を停止図柄コマンドに設定し(S66)、その後、ハズレ変動設定処理(S60)を終了し、処理を図11に示す表示コマンド決定処理(S46)へ戻す。
図13は、表示用制御基板Dで実行されるコマンド受信処理のフローチャートである。このコマンド受信処理は、表示用制御基板Dにおいて主制御基板Cからコマンドを受信した場合に実行される割込処理であり、この処理によって主制御基板Cから送信されたコマンドに予め対応付けされた処理が表示用制御基板Dで行われる。
このコマンド受信処理では、まず、始動入賞コマンドを受信したか確認する(S81)。始動入賞コマンドを受信していれば(S81:Yes)、図柄作動口4へ球が入賞したタイミングであるので、保留球カウンタ33aの値を「1」加算する(S82)。更に、保留球カウンタ33aの値を付加した点灯コマンドを音声ランプ制御基板Lへ送信し(S83)、音声ランプ制御基板Lの制御により回数表示部8a〜8dの点灯状態を更新させる。S71の処理において始動入賞コマンドを受信していなければ(S81:No)、始動入賞コマンド以外のコマンドを受信しているので、S82およびS83の処理をスキップして処理をS84へ移行する。
S84の処理では、表示コマンドを受信したか確認する(S84)。表示コマンドの受信でなければ(S84:No)、表示コマンドの受信時に実行する各処理をスキップして処理をS96へ移行する。表示コマンドの受信が確認されると(S84:Yes)、表示コマンドを構成する変動パターンコマンドと停止図柄コマンドとを演出実行エリア33cに書き込む(S85)。また、表示コマンドを受信した場合には変動表示を開始するタイミングであるので、保留球カウンタ33aの値を「1」減算すると共に(S86)、減算した保留球カウンタ33aの値を付加した点灯コマンドを音声ランプ制御基板Lへ送信し(S87)、音声ランプ制御基板Lに保留表示装置8の回数表示部8a〜8dの点灯状態を更新させる。
S87の処理後、受信した表示コマンドが回数表示部8a〜8dを遮蔽して保留球数を視認し得ない特別状態で行われる特別の変動表示を示すものか確認する(S88)。回数表示部8a〜8dを遮蔽した特別状態を示す表示コマンドとは、変動パターンコマンドの上位バイトが「C1h」であるものである。受信した表示コマンドが回数表示部8a〜8dの遮蔽を示すものであれば(S88:Yes)、遮蔽フラグ33bがオンであるか確認する(S89)。遮蔽フラグ33bがオンでなければ(S89:No)、遮蔽フラグ33bをオンし(S90)、回数表示部8a〜8dを遮蔽した特別状態が開始されることを記憶する。更に、遮蔽用ソレノイド12をオンして保留表示装置8を上昇させて回数表示部8a〜8dの表示面側が上フレーム13により遮蔽された状態にし(S91、図3(b)参照)、遊技者が保留球数を視認し得ないようにすると共に、LCD3の表示を制御して変動表示を開始させる(S95)。このS95の処理によって、主制御基板Cが選定した変動パターンおよび停止図柄に基づいて変動表示が開始され、各変動パターンの変動時間が経過するまで図示しない処理によってLCD3の表示制御、ランプ28の点灯制御、スピーカ29の音声出力制御等が行われるが、一般的な処理であるのでその説明を省略する。
S89の処理において遮蔽フラグ33bがオンであれば(S89:Yes)、特別状態の継続中であるので、S90及びS91の処理をスキップして処理をS95へ移行する。また、S88の処理において、受信した表示コマンドが回数表示部8a〜8dの遮蔽を示すものでなければ(S88:No)、遮蔽フラグ33bがオンであるか確認し(S92)、遮蔽フラグ33bがオンであれば(S92:Yes)、前回までの変動表示では保留球数を視認し得ない特別状態が継続されており、今回の変動表示から保留球数を視認可能な通常状態に復帰させるタイミングである。この場合には、遮蔽フラグ33bをオフすると共に(S93)、遮蔽用ソレノイド12オフして保留表示装置8を下降させて回数表示部8a〜8dの表示面がパチンコ機Pの正面側を向け、保留球数を視認可能な通常状態にし(S94、図3(a)参照)、処理をS95へ移行する。S92の処理において遮蔽フラグ33bがオフであれば(S92:No)、S93及びS94の処理をスキップして処理をS95へ移行する。
S96の処理では、確定コマンドを受信したか確認する(S96)。確定コマンドの受信が確認されると(S96:Yes)、変動表示を停止表示させて確定させ(S97)、遮蔽フラグ33bがオンか確認する(S98)。遮蔽フラグ33bがオンであれば(S98:Yes)、更に、保留球カウンタ33aの値が「0」か確認する(S99)。遮蔽フラグ33bがオンであって、且つ、保留球カウンタ33aの値が「0」である場合には(S99:Yes)、保留球数を視認し得ない特別状態の継続中であるものの、その後に継続して実行される変動表示がない場合であるので、遮蔽フラグ33bをオフすると共に(S100)、遮蔽用ソレノイド12をオフして保留球数を視認可能な通常状態に復帰させる(S101)。
S96の処理において確定コマンドの受信でない場合(S96:No)、S98の処理において遮蔽フラグ33bがオフである場合(S98:No)、及び、S99の処理で保留球カウンタ33aの値が「0」でなく「1」以上であることが確認された場合には(S99:No)、上記したコマンド以外の他のコマンド受信に対応するその他処理を行い(S102)、コマンド受信処理を終了する。
ここで、回数表示部8a〜8dを遮蔽するタイミングは、連継演出の実行条件が成立したタイミングとしても良い。図7の始動入賞処理で遮蔽回数カウンタ23nに保留球カウンタ23aの値を書き込むタイミングで遮蔽用ソレノイド12をオンさせるためのコマンドを主制御基板Cから送信し、そのコマンドを受信したタイミングで表示用制御基板Dは、遮蔽用ソレノイド12をオンするようにしても良い。回数表示部8a〜8dを遮蔽して保留球数を視認し得なくした特別状態をより長く継続することができる。
次に、上記した第1実施例のパチンコ機Pにおける遊技性について図5を主に参照して説明する。遊技の開始時には、待機中の変動表示が全くなく、保留球数が「0」の状態である。この場合には、保留表示装置8の回数表示部8a〜8dは、すべて消灯状態となっている。遊技者が遊技を行うことにより、図柄作動口4(図1参照)へ球が入賞して始動入賞となると、通常の変動表示が開始され(図5(a)参照)、その変動表示の実行中に更に始動入賞があると、保留球数が増加する。
保留球数が増加すると、音声ランプ制御基板Lの制御により、その増加に応じた個数分だけ回数表示部8a〜8dが点灯状態となる。一方、回数表示部8a〜8dが1つ以上点灯した状態で変動表示が終了すると、点灯中の回数表示部のうち一番右側の回数表示部が1個消灯され、1回分の保留球数の消化となり変動表示が引き続いて行われる。図5(a)の状態は保留球数が「2」であり、実行中の変動表示の後に2回の変動表示が引き続き行われることを示している。
始動入賞のタイミングで連継演出の実行条件が成立すると、その後に開始される変動表示が連継演出を構成する特別の変動表示となる。この特別の変動表示では、保留表示装置8が上昇して表示画面3aの表示領域が拡大されると共に有効ラインLが5本になって変動表示が行われる(図5(b)参照)。また、特別の変動表示中には、保留表示装置8が上昇して回数表示部8a〜8dの表示面側が上フレーム13により遮蔽される(図3(b)参照)。遊技者にとっては、連継演出の実行期間中には継続して保留球数の視認をし得なくなる。よって、状況の一部が判り難い意外性のある遊技を実現することができる。
ここで、連継演出の実行条件は、始動入賞時に取得された内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値「7」であると判定された場合(図8、S27:Yes)に成立する。連継演出の実行条件が成立すると、表示用制御基板Dには、回数表示部8a〜8dの遮蔽を示す表示コマンドが送信され、表示用制御基板Dは、遮蔽用ソレノイド12をオンし(図13、S91参照)、回数表示部8a〜8dが遮蔽された特別状態とする。つまり、図8のS27の処理によって始動入賞時に取得された内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させて特別遊技状態へ遷移させると判定された場合には、保留表示装置8が動作して回数表示部8a〜8dが遮蔽された特別状態となるのである。よって、保留表示装置8が動作して保留球数を視認し得なくする動作(遮蔽動作)と、特別遊技状態の発生とを関連づけることができ、保留表示装置8の動作に対応して特定の遊技状態への遷移を示唆することができる。従って、保留球数が視認し得ない特別状態において特別遊技状態への遷移を遊技者に強く期待させることができ、新たな遊技性を遊技者に提供することができる。
また、図8のS27の処理により特別遊技状態へ遊技状態を遷移させるか否かの判定を始動入賞時に行って連継演出の実行条件を成立させる。よって、回数表示部8a〜8dが遮蔽された特別状態を、その契機となった始動入賞のタイミングに近い早い段階で発生させることができ、保留球数が視認困難にされた状態をより長く継続することができる。
更に、回数表示部8a〜8dが遮蔽された後に、図13のS94の処理によって遮蔽用ソレノイド12がオフされるのは、連継フラグ33bがオンされた状態で表示用制御基板Dが特別の変動表示以外の通常の変動表示を示す表示コマンドを受信した場合である。特別の変動表示は、大当たりを発生させる変動表示とその時点で待機中の変動表示との複数回の変動表示にわたって継続する。このため、連継演出の実行条件の成立があった始動入賞時に待機中の変動表示が「1」以上ある場合には、保留表示装置8が上昇して回数表示部8a〜8dが遮蔽された特別状態が複数回の変動表示にわたって継続された後に、保留表示装置8が下降して保留球数を視認し得る通常状態に復帰される。よって、保留球数を視認困難にした特別状態における変動表示が複数回にわたって行われる連継演出の後に、特別遊技状態へ遷移する遊技性を遊技者に付与することができる。
また、本実施例のパチンコ機Pにおけるハズレ変動には、前述したように表示結果を1回だけ現出する「ハズレ変動1」と、表示結果を2回現出する「ハズレ変動2」との2種類が設定されており、S74の処理によってハズレ変動テーブル22a3より変動パターンコマンドが選定される場合に限って「ハズレ変動2」は一定確率で選定され、表示用制御基板Dにより「ハズレ変動2」が実行される。S74の処理は、遮蔽回数カウンタ23nの値が「1」である場合(S72:Yes)に限って実行されるものであり、遮蔽回数カウンタ23nが「1」以上である場合に開始される変動表示は、保留球数を視認し得ない特別状態中のものであるので、「ハズレ変動2」を特別状態中にのみ実行することができる。保留回数が視認可能な通常状態の期間中に表示結果を擬似的に複数回現出する動的表示が頻繁に行われると、遊技者にとっては保留球数が減少しないで表示結果が表示されることとなり違和感を抱かせやすいが、本実施例のパチンコ機Pにおいては、保留球数が視認し得ない特別状態の期間中に行われる動的表示に限って「ハズレ変動2」が実行されるので、遊技者に抱かせる違和感を軽減することができる。
また、「ハズレ変動2」が一定確率で選定されるS74の処理は、入賞球数少フラグ23qがオンである場合(S73:Yes)に限って実行されるものであり、入賞球数少フラグ23qは、1000球の投入数に対して入賞率が3%未満である場合にオンされる。このため、「ハズレ変動2」は、入賞率が3%未満である場合に限って実行することができる。よって、入賞率が予め設定した値(本実施例においては3%)より低かった場合には、その値より入賞率が高い場合に比べて「ハズレ変動2」の実行比率を増やすことができる。従って、図柄作動口4へ入賞し難く設定されたパチンコ機Pであっても、遊技者には、図柄作動口4への入賞数以上に(擬似的に)表示結果を視認させて遊技に対する不満感を軽減することができる。
更に、「ハズレ変動2」が一定確率で選定されるS74の処理は、保留球カウンタ23aの値が「1」である場合(S71:Yes)に限って実行されるものである。保留球数が少ないときに「ハズレ変動2」が実行されると、遊技者が擬似的な表示結果の現出を伴う変動表示の実行を察知し易く、保留球数が減少しないで表示結果が表示される違和感を抱かせやすいが、保留球数が所定数(本実施例においては「1」)以上である場合に限って「ハズレ変動2」が実行されることにより、保留球数が「0」となる状態においては「ハズレ変動2」を全く実行せずに、保留球数が「1」以上である場合に限って「ハズレ変動2」を実行することができる。よって、遊技者に抱かせる違和感を一層軽減しつつ、特別状態の期間中における「ハズレ変動2」の実行によって遊技者が抱く不満感を軽減することができる。
また、従来の遊技機において始動入賞時に大当たりの発生が確定した場合に、その確定以前に待機中の変動表示にハズレリーチを毎回現出させたり、特定のキャラクタ(例えば、「恐竜」)の表示を毎回現出させる制御を行って連継演出を実行するものがある。しかし、かかる遊技機において、連継演出を構成する特定のキャラクタ等が大当たりの発生が確定する以前に待機中の変動表示の回数分を限度に行われることを遊技者が知ってしまうことがある。遊技者は、連継演出を構成する特定のキャラクタがLCDに表示された場合に、回数表示部で変動表示の待機回数を確認し、その時点で待機中の変動表示のうち最後の変動表示にのみ期待して遊技を行うことがあり、この場合、最後の変動表示に到達するまでの途中の変動表示が遊技者にとって消化的なものとなり、大当たりの発生を期待する対象となる変動表示が少なくなってしまうという問題点があった。
これに対し、本実施例のパチンコ機Pにおいては、連継演出を構成する変動表示の実行中には、回数表示部8a〜8dが遮蔽されて遊技者が保留球数を視認困難な状態となるので、遊技者は、連継演出を構成する変動表示(図5(b)参照)の開始を視認してから保留球数を簡単には確認できない。よって、遊技者は、実行中の変動表示が連継演出を構成する最後の変動表示かもしれないという期待をもって変動表示を視認することとなる。従って、連継演出の開始以降の各回の変動表示に期待を持って遊技を行うことができると共に、連継演出を構成する変動表示が積み重なるにつれて、より大きな期待感を抱くことができる。即ち、連継演出中に回数表示部8a〜8dを視認困難にすることで、連継演出の発生の契機となった変動表示が察知され難くなり、連継演出の実行中における変動表示毎に遊技者に特定の遊技状態への遷移を期待させることができ、連継演出によって有利な遊技状態への遷移を期待させる変動表示の対象を増大することができるのである。従って、連継演出を構成する途中の動的表示の内容を選定する処理が無駄にならず、複数回の動的表示にわたって有利な遊技へ近づく連継演出を活用することができる。
また、パチンコ機Pの表示用制御基板Dは、キャラクタROM34に記憶された画像データに基づいて変動表示を行わせるものであり、キャラクタROM34には、回数表示部8a〜8dが遮蔽された特別状態とされた期間中にのみLCD3の表示画面3aに表示される専用の画像データが記憶されている。このため、保留球数を視認困難にした期間中には、表示用制御基板Dにより、キャラクタROM34に記憶された専用の画像データに基づいて特別の変動表示を行わせることができる。よって、回数表示部8a〜8dが遮蔽された期間中における遊技性を特別なものとすることができ、回数表示部8a〜8dが遮蔽される遊技の面白みを高めることができる。
更に、図1に示すように、回数表示部8a〜8dは、変動図柄Zが表示されるLCD3の表示画面3aと、始動口スイッチ27によって球の入球が検出される図柄作動口4との間からずれた位置に配設されている。図柄作動口4は、遊技者が始動入賞を確認するために注目する部位であり、変動図柄Zが表示されるLCD3の表示画面3aは、大当たりの表示結果の現出を期待して遊技を行う遊技者にとって当然に注目される部位である。このため、図柄作動口4とLCD3の表示画面3aとの間は、遊技者が視点を移動する上で通過する領域となり、この領域に保留球数が表示されると、待機回数の表示が遊技者に確認され易い。保留表示装置8が動作して回数表示部8a〜8dを覆い隠しても、それ以前の待機回数が遊技者に知られ易い。本実施例のパチンコ機Pでは、回数表示部8a〜8dが、図柄作動口4とLCD3の表示画面3aとの間からずれた位置に配設されているので、それらの間で遊技者が視点を往来させても、回数表示部8a〜8dにより表示される保留球数が確認され難くなる。よって、保留表示装置8の動作により回数表示部8a〜8dが遮蔽された場合にそれ以前の保留球数を遊技者に知られ難くすることができる。
特に、パチンコ機Pでは、回数表示部8a〜8dが、LCD3の表示画面3aに対して図柄作動口4の反対側となる上側に配設されている。図柄作動口4への入球がある度にわざわざLCD3の表示画面3aを通り越して回数表示部8a〜8dの態様を確認することは面倒なものであるので、遊技を行う遊技者にとって回数表示部8a〜8dにより表示される保留球数を確認し難いものとすることができ、保留表示装置8の動作により回数表示部8a〜8dが遮蔽された場合にそれ以前の保留球数を一層判り難くすることができる。
なお、本実施例のパチンコ機Pにおいては、開始される変動表示が保留球数を視認し得ない特別状態中のものであるか否かをS72の処理によって判断し、その判断により特別状態とされた期間中の変動表示に限って「ハズレ変動2」の実行を選定したが、逆に、変動パターンを予め選定し、その選定された変動パターンが「ハズレ変動2」であると判断された場合に限って開始される変動表示を特別状態中のものとするようにしても良い。
次に、図14を参照して、第2実施例について説明する。上記した第1実施例では、LCD3の上側に配設された保留表示装置8の回数表示部8a〜8dの点灯状態によって保留球数を表示し、その保留表示装置8をソレノイド12によって回動させて回数表示部8a〜8dを上昇させることにより、遊技者が保留球数を視認困難にした。これに対し、第2実施例では、保留球数を表示する保留表示装置202をモータ203によってスライドさせて上フレーム204の前面に回数表示部202bが重なるようにして保留球数を覆い隠すものである。以下、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる部分のみについて説明する。
図14は、第2実施例における中央表示装置200の正面図であり、(a)は保留球数が表示された状態を示し、(b)は保留球数が覆い隠された状態を示している。LCD3の表示画面3aには、その中央部に変動図柄201aが表示される表示領域が設けらている。表示画面3aの右側上部には、左右方向に沿って4つの白抜きの丸印が並べて表示された回数表示部202bを有する保留表示装置202が設けられる。この回数表示部202bの丸印が保留球数に対応した個数分だけ赤色の丸印の表示に変化して保留球数が表示される。
保留表示装置202には、図14(a)に示すように、保留球数を表示する回数表示部202bが上フレーム204の前面(図14(a)の紙面手前側の壁面)に重なるように保留表示装置202に駆動力を付与して上下方向に動作させるモータ203が接続されている。保留表示装置202は、複数の歯形面を一辺に有する棒状のラック202aを備え、そのラック202aの一端側に保留球数を表示する回数表示部202bが設けられる。また、モータ203には、保留表示装置202のラック202aに噛み合って保留表示装置202を上下に移動させるためのギヤ203aが設けられている。
保留表示装置202は、図14(a)に示すように、下側に配置された状態においては回数表示部202bの前面側に上フレーム204の前面が重ならない位置に配置されており、モータ203が正方向(図14(a)の時計回り方向)に駆動されてその軸に固着されたギヤ203aが回動すると、ギヤ203aに噛み合わされた保留表示装置202のラック202aが上方にスライド移動する。モータ203が略半回転回動すると、保留表示装置202の回数表示部202bが上フレーム204の前面に重なり、保留球数が視認し得ない状態となる(図14(b)の状態)。
このモータ203は、表示用制御基板Dの入出力ポート45に接続されており(図示せず)、表示用制御基板Dの制御によって、第1実施例における遮蔽用ソレノイド12がオンされるタイミングでモータ203を正方向に駆動して保留表示装置202の回数表示部202bが視認し得ない特別状態となるように移動する。一方、第1実施例における遮蔽用ソレノイド12をオフするタイミングで、モータ203を逆方向に駆動して保留表示装置202を下降させ、保留球数が視認可能な通常状態に復帰させる。
このように、第2実施例のパチンコ機Pにおいては、保留表示装置202を回数表示領域202bに重なるようにスライド移動するので、回数表示部202bの態様に基づいては保留球数が視認し得ない状態を、スライド移動する保留表示装置202と、その保留表示装置202をスライド移動させるモータ203と、保留表示装置202が上昇した場合にその回数表示部202bに重なる上フレーム204とにより実現することができる。
なお、第2実施例におけるLCD3の表示画面3aには、第1実施例におけるLCD3の表示画面3aと同様、保留球数が視認し得る通常状態と、保留球数が視認し得ない特別状態とに応じて有効ラインの数を変化させつつ変動表示が行われるように、主制御基板C等に制御を行わせても良い。
ここで、請求項1記載の遊技機および後述する遊技機1における検出手段としては、上記実施例における始動口スイッチ27および主制御基板Cの処理であって始動口スイッチ27が球を検出したか否かを確認する処理(図8のS21の処理)が該当し、抽選手段としては上記実施例における主制御基板Cが該当する。抽選手段による所定の抽選結果の導出としては、始動入賞時に取得して演出実行1〜4メモリ23i〜23lに書き込まれた内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる「7」又は「315」の値であるときが該当する。
請求項1記載の遊技機および後述する遊技機1における変動実行手段としては、上記実施例における表示用制御基板Dが該当し、変動入賞手段としては、特定入賞口5(大入賞口)を閉鎖させた状態から、遊技者にとって有利な開放させた状態に切り替わる変動入賞装置が該当する。また、請求項1記載の遊技機および遊技機1における回数表示切替手段としては、上記実施例における音声ランプ制御基板Lが該当する。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記第1実施例においては、保留表示装置8が動作して回数表示部8a〜8dに表示される保留球数を視認し得ない特別状態としたが、特別状態としたときには回数表示部8a〜8dを強制的にすべて消灯状態にしても良い。保留表示装置8のと回数表示部8a〜8dと上フレーム13,204との隙間から回数表示部8a〜8dが覗かれて保留球数が確認されることを確実に防止することができる。
また、上記各実施例においては、始動入賞時に取得された内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値「7」である場合に連継演出の実行条件の成立とし、保留表示装置8の動作により回数表示部8a〜8dを覆い隠して大当たりの発生に基づく特別遊技状態への遷移を遊技者に示唆した。しかし、保留表示装置8の動作によって遷移を示唆する遊技状態を、必ずしも上記実施例における特別遊技状態とする必要はない。遷移を示唆する特別遊技状態としては、大当たりの発生確率が通常状態より高確率とされる確率変動状態、普通図柄による変動表示が高確率で当たりとなると共に普通電動役物4が通常状態時より長時間(例えば、通常状態時に0.5秒開放するのに対して3秒)開放されて図柄作動口4への入賞が通常状態より容易となり、更に1回の変動表示に要する時間が短縮されて特別遊技状態が短期間で付与され易い時間短縮状態、又は、上記した遊技状態の組み合わせなどとしても良い。また、保留表示装置8の動作によって直接的には遊技者に遊技価値が付与されない他の遊技状態への遷移を示唆しても良い。例えば、リーチ表示を現出させる場合、即ち、大当たりを発生させる場合に加えて始動入賞時に取得されたリーチ乱数カウンタ23cの値がハズレリーチを発生させる値「7」である場合に連継演出の実行条件の成立として、遮蔽回数カウンタ23nの値を更新する処理(図8のS29の処理)を実行し、リーチ表示が現出して特別遊技状態の発生が期待できる遊技状態への遷移を保留表示装置8の動作によって示唆しても良い。
更に、上記実施例に示すように、動的表示の一種である変動表示は、LCD3上で識別情報としての図柄を縦或いは横方向にスクロールさせるものに限定されず、斜め方向やL字形等の所定経路に沿って図柄を移動表示して行うものであっても良い。また、識別情報の動的表示としては、図柄の変動表示に限られるものではなく、例えば、1又は複数のキャラクタを図柄と共に、若しくは、図柄とは別に多種多様に動作表示または変化表示させて行われる演出表示なども含まれるのである。この場合、1又は複数のキャラクタが、図柄と共に或いは図柄とは別に、識別情報として用いられる。
本発明を上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に有利な大当たり状態が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。
以下に本発明の遊技機および変形例を示す。識別情報を表示する表示装置と、所定の始動条件の成立を検出する検出手段と、その検出手段によって前記始動条件の成立が検出された場合に抽選を行う抽選手段と、前記表示装置に前記識別情報の動的表示を行わせると共に前記抽選手段による抽選結果に対応した前記動的表示の表示結果を現出させる変動実行手段と、前記抽選手段による所定の抽選結果の導出を条件として第1状態から遊技者にとって有利な第2状態に切り替わる変動入賞手段とを備え、前記所定の抽選結果が導出されると、前記動的表示に予め定めた表示結果を現出させると共に前記変動入賞手段によって遊技者に所定の遊技価値を付与する遊技機において、前記表示装置による動的表示の待機回数に対応した回数情報を記憶する待機回数記憶手段と、その待機回数記憶手段に記憶された回数情報を前記動的表示の待機回数に対応した回数情報に更新する待機回数更新手段と、前記待機回数記憶手段によって記憶された回数情報に対応して更新され、前記待機回数を各回数毎に設定された複数種類の態様で表示する回数表示部を有する待機回数表示部材と、その待機回数表示部材の回数表示部の態様を前記待機回数記憶手段に記憶された回数情報に対応した態様に更新する回数表示更新手段と、前記待機回数表示部材を可動可能に支持する支持部材と、前記待機回数表示部材に駆動力を付与する駆動手段と、前記駆動手段を動作させて前記待機回数表示部材の動作を制御する駆動制御手段とを備え、前記待機回数表示部材は、前記回数表示部に待機回数を表示する通常状態と、その通常状態より前記回数表示部に表示される待機回数を視認困難にした特別状態とを、前記駆動制御手段により切替可能に構成されていることを特徴とする遊技機1。
遊技機1において、前記変動実行手段は、前記動的表示の表示結果と同一又は類似の態様で示される擬似表示結果を前記動的表示の途中で現出する増殖形態による動的表示を前記表示装置に行わせるものであり、前記特別状態の期間中には前記通常状態の期間中より前記増殖形態による動的表示を高比率で実行するものであることを特徴とする遊技機2。
遊技機2によれば、増殖形態による動的表示が変動実行手段により実行されると、動的表示の待機回数が1回減るのに対して擬似表示結果と表示結果とが現出する。擬似表示結果は、動的表示の表示結果と同一又は類似の態様で示されるので、遊技者に対しては動的表示の待機回数以上に表示結果を擬似的に視認させることができ、表示結果の現出回数からは待機回数の進行(消化)状況を視認し難くすることができる。よって、待機回数が視認困難な特別状態の期間中に遊技者が始動条件の成立回数を数えて動的表示の待機回数を認識していたとしても、増殖形態による動的表示が行われることにより待機中の動的表示の進行状況が推測し難くなって、動的表示の実行に意外性を付与することができる。
また、待機回数が視認可能な通常状態の期間中に増殖形態による動的表示が頻繁に行われると、遊技者にとっては回数表示部に表示された待機回数が減少しないで表示結果が表示されることとなり違和感を抱かせやすい。これに対し、遊技機2によれば、増殖形態による動的表示は、待機回数が視認困難な特別状態の期間中に行われる動的表示に偏って高比率で実行される。よって、遊技者に抱かせる違和感を軽減しつつ、特別状態の期間中における増殖形態による動的表示によって遊技者に意外性を付与することができる。
遊技機2において、前記駆動制御手段により前記通常状態又は前記特別状態とされた期間中の動的表示であるかを判断する状態判断手段と、その判断手段により前記特別状態とされた期間中の動的表示には、前記通常状態とされた期間中の動的表示より前記増殖形態による動的表示の実行を高比率で選定する表示選定手段とを備えていることを特徴とする遊技機3。
遊技機2において、前記変動実行手段に前記増殖形態による動的表示を実行させるか否かを判断する表示判断手段を備え、前記駆動制御手段は、その表示判断手段により前記増殖形態による動的表示を実行させると判断された場合には前記増殖形態による動的表示を実行させないと判断された場合より高比率で前記特別状態となるように前記待機回数表示部材の動作を制御するものであることを特徴とする遊技機4。
遊技機3又は4によれば、特別状態の期間中には通常状態の期間中より増殖形態による動的表示が高比率で実行される。よって、遊技者に抱かせる違和感を軽減しつつ、待機中の動的表示の進行状況を推測し難くして動的表示の実行に意外性を付与することができる。なお、遊技機3における状態判断手段としては、上記実施例における遮蔽回数カウンタ23nの値が「1」以上であるかを判断する図12のS72の処理が例示される。
遊技機2から4のいずれかにおいて、前記検出手段は、球が流下して遊技が行われる遊技領域に形成される始動領域への球の入球を検出する検出スイッチを有し、その検出スイッチによって前記始動領域への球の入球が検出された場合に前記始動条件の成立とするものであり、前記遊技領域へ向けて発射された消費球数を計数する第1計数手段と、前記始動領域へ入球した球の入球数を計数する第2計数手段とを備え、前記変動実行手段は、前記第1計数手段により計数される消費球数と前記第2計数手段により計数される入球数との割合に応じて前記増殖形態による動的表示を異なる比率で実行するものであることを特徴とする遊技機5。所定の始動領域への入球を動的表示の始動条件としている遊技機に対しては、釘や風車等を遊技場側が調整して始動領域への入球確率を遊技機毎に変化させるものであり、始動領域へ入球し難い設定となった遊技機も生じてしまう。かかる遊技機は動的表示が途絶えやすく、遊技者にとっては動的表示が行われず大当たり等の遊技価値の付与が期待できない期間が長くなりがちで不満感を募らせ易い。また動的表示が行われない期間が長いからといって、始動領域への入球も無く、保留ランプ等により表示された保留球数が全く無いのに擬似的に動的表示を実行するのは、擬似的な動的表示であって遊技価値が付与されないものであることを遊技者に気付かれて不満感を一層募らせ兼ねない。
遊技機5によれば、増殖形態による動的表示が、遊技領域へ向けて発射された消費球数と始動領域への球の入球数との割合に応じて異なる比率で実行されるので、消費球数に対する入球数の比で表した入球率(又は入賞率)に対応させて増殖形態による動的表示を実行することができる。よって、入球率が予め設定した値より低かった場合に増殖形態による動的表示の実行比率を増やすことができ、始動領域へ入球し難く設定された遊技機であっても、遊技者には、始動領域への球の入球数以上に(擬似的に)表示結果を視認させて遊技に対する不満感を軽減することができる。また、前記したように増殖形態による動的表示は、待機回数を視認困難な特別状態の期間中に高比率で実行されるので、擬似的な動的表示の実行であることが遊技者に気付かれ難く、始動領域へ入球し難い設定となった遊技機に対して遊技者が抱く不満感を軽減することができるのである。
なお、遊技領域へ向けて発射された消費球数とは、遊技領域へ向けて発射された球の総数又は遊技領域へ向けて発射された球のうち所定条件を満たした球数を意味しており、球を発射する発射装置により遊技領域へ向けて発射された球の総数はもちろん、遊技領域へ向けて発射された球のうち遊技領域へ投入された球の投入数や、遊技領域へ向けて発射された球のうち遊技領域の下端部に位置する排出口(アウト口)への入球数等、遊技領域へ向けて発射された球のうち遊技領域内へ投入された球の投入数に対応して増加する球数をも意味している。また、第1計数手段としては、上記実施例における遊技領域の入口1cに設けられた打球検出スイッチ20と、遊技領域へ投入された球の投入数を記憶する主制御基板CのRAM23(打球カウンタ23o)と、打球カウンタ23nの値を更新する打球検出処理(図9のS13の処理)が例示され、第2計数手段としては、始動口スイッチ27により検出された図柄作動口4への入賞回数を記憶する主制御基板CのRAM23(入賞回数カウンタ23o)と、入賞回数カウンタ23nの値を更新する図8のS22の処理が例示される。
遊技機2から5のいずれかにおいて、前記変動実行手段は、前記待機回数記憶手段に記憶される回数情報に応じて前記増殖形態による動的表示を異なる比率で実行するものであることを特徴とする遊技機6。動的表示が待機されにくい遊技機においては、遊技者は、始動条件の成立(例えば、始動口への入賞)に注意を向けて遊技を行うものである。かかる遊技機において、待機回数が「0」の状態から「1」になった場合など待機回数が少ないときに増殖形態による動的表示が実行されると、遊技者が増殖形態による動的表示の実行を察知し易く、待機回数が減少しないで表示結果が表示される違和感を抱かせやすい。
遊技機6によれば、増殖形態による動的表示が、待機回数記憶手段に記憶される回数情報に応じて異なる比率で実行されるので、動的表示の待機回数に対応して増殖形態による動的表示が実行される。よって、待機回数が少ない場合には増殖形態による動的表示の実行を抑えつつ、待機回数が多い場合にその実行を多くすることができ、遊技者に抱かせる違和感を一層軽減しつつ、特別状態の期間中における増殖形態による動的表示によって遊技者が抱く不満感を軽減することができる。
遊技機1から6のいずれかにおいて、前記待機回数表示部材は、前記通常状態において前記表示装置の前面側に重なる位置に配置されており、前記駆動手段は、前記待機回数表示部材に駆動力を付与して、前記特別状態においては前記通常状態より前記表示装置と前記待機回数表示部材とが重なる量を少なくして前記情報表示装置の前面側を開拡するものであることを特徴とする遊技機7。
遊技機7によれば、識別情報を表示する情報表示部は、特別状態においては通常状態より識別情報を表示する情報表示部と待機回数表示部材とが重なる量を少なくされ、その前面側が開拡される。よって、待機回数の視認し易さが異なる通常状態と特別状態との切り替えに伴い情報表示部の大きさに変化を生じさせることができ、待機回数の視認し易さに対応して情報表示部に表示される識別情報の態様の変化を強調して飽き難い遊技性を実現することができる。なお、「表示装置の前面側を開拡する」とは、表示装置の前面側を開放すること、及び、表示装置の前面側において待機回数表示部材が重ならない領域(非重複領域)を拡大することを意味するものである。
遊技機7において、前記変動実行手段は、少なくとも2以上の識別情報を所定位置に配置して前記動的表示の表示結果を形成する有効表示部(又は有効ライン)を少なくとも1以上有する第1形態の動的表示を前記表示装置に行わせると共に、その第1形態より前記有効表示部を多数にした第2形態の動的表示を前記表示装置に行わせるものであり、前記駆動制御手段により前記通常状態又は前記特別状態とされた期間中の動的表示であるかを判断する状態判断手段を備え、前記変動実行手段は、その状態判断手段により前記通常状態とされた期間中の動的表示であると判断された場合に前記第1形態による動的表示を実行し、前記状態判断手段により前記特別状態とされた期間中の動的表示であると判断された場合に前記第2形態による動的表示を実行するものであることを特徴とする遊技機8。
遊技機8によれば、駆動制御手段により通常状態とされた期間中に行われる動的表示に対しては第1形態による動的表示が実行され、特別状態とされた期間中の動的表示に対しては第1形態より有効表示部を多数にした第2形態による動的表示が実行される。よって、特別状態中の動的表示と、通常状態中の動的表示とを区分して、遊技者には複数種類の遊技性を提供することができる。
また、特別状態においては、通常状態より情報表示部と待機回数表示部材とが重なる量が少ないので、より大きな情報表示部が確保され、この情報表示部が確保されたときに有効表示部を多数にした第2形態による動的表示の実行が選定される。よって、有効表示部を可変しつつ、識別情報をより見易い大きなサイズで遊技者に示すことができる。なお、遊技機8における状態判断手段としては、上記実施例における遮蔽回数カウンタ23nの値を判断する図11のS58の処理が例示される。
遊技機8において、前記第2形態は、前記第1形態の動的表示とは前記識別情報の変動方向を異ならせたものであることを特徴とする遊技機9。遊技者には、識別情報の変動方向の変化によって、第1形態による動的表示と第2形態による動的表示とが異なるものであることをより明確に示すことができ、動的表示の有効表示部に変化が生じたことも視覚的に判り易く認識させることができる。
遊技機1から9のいずれかにおいて、前記支持部材は、前記待機回数表示部材を回動可能に支持するものであり、前記駆動手段は、前記待機回数表示部材に駆動力を付与して前記回数表示部の表示面側の向きを変化させることにより前記通常状態と前記特別状態とを切り替えるものであることを特徴とする遊技機10。
遊技機10によれば、支持部材は、前記待機回数表示部材を回動可能に支持するので、駆動手段によって待機回数表示部材に駆動力を付与して回数表示部の表示面側の向きを変化させることができる。一般に遊技者は遊技機の正面に位置して遊技を行うので、回数表示部の表示面側の向きを変化させることにより遊技者に対する待機回数の視認性が変化する。この視認性の変化により、通常状態と、通常状態より回数表示部に表示される待機回数を視認困難にした特別状態とを切り替えることができ、動的表示の実行に意外性を付与することができる。
遊技機1から9のいずれかにおいて、前記支持部材は、前記待機回数表示部材をスライド移動可能に支持するものであり、前記待機回数表示部材が前記特別状態とされる特別位置において前記待機回数表示部材の回数表示部に重なりつつ対向する前面側部材を備え、前記駆動手段は、前記待機回数表示部材に駆動力を付与して前記回数表示部と前記前面側部材とが重なる量を変化させることにより前記通常状態と前記特別状態とを切り替えるものであることを特徴とする遊技機11。
遊技機11によれば、待機回数表示部材の回数表示部には、特別位置において前面側部材が重なりつつ対向するので、待機回数が遊技者より視認困難な特別状態となる。また、待機回数表示部材は、支持部材によりスライド移動可能に支持されているので、駆動手段によって待機回数表示部材に駆動力を付与して回数表示部と前面側部材とが重なる量を変化させることができ、特別状態より回数表示部と前面側部材とが重なる量を低下させて回数表示分の表示面側を視認可能にした通常状態を発生させることができる。よって、通常状態と、通常状態より回数表示部に表示される待機回数を視認困難にした特別状態とを切り替えることができ、動的表示の実行に意外性を付与することができる。
遊技機1から11のいずれかにおいて、前記検出手段は、所定の始動領域への球の入球を検出する検出スイッチを有し、その検出スイッチによって前記始動領域への球の入球が検出された場合に前記始動条件の成立とするものであり、前記待機回数表示手段の回数表示部は、前記表示装置が前記識別情報を表示する情報表示部と前記始動領域との間からずれた位置に配設されていることを特徴とする遊技機12。
遊技機12によれば、回数表示部は、情報表示部と始動領域との間からずれた位置に配設されているので、情報表示部と始動領域との間で視点を往来させても、回数表示部に表示される待機回数が確認され難くなる。よって、待機回数表示手段を動作させて待機回数を視認困難にした場合にそれ以前の待機回数を遊技者に知られ難くして、待機回数が視認困難にされた状態における遊技性をより確実に遊技者に付与することができる。なお、回数表示部は、情報表示部に対して始動領域の反対側に配設されていることが好ましい。
遊技機1から12のいずれかにおいて、前記検出手段によって検出された始動条件の成立に基づいて遊技者にとって有利な特定の遊技状態へ遊技状態を遷移させるか否かを判定する遊技状態判定手段を備え、前記駆動制御手段は、その遊技状態判定手段の判定に基づいて前記駆動手段を動作させ、前記待機回数表示部材を前記通常状態から前記特別状態に切り替える駆動実行手段を備えていることを特徴とする遊技機13。
遊技機13によれば、遊技状態判定手段によって特定の遊技状態へ遷移させるか否かの判定に応じて駆動手段が動作して待機回数表示部材が特別状態に切り替えられるので、待機回数表示部材の動作と、遷移する遊技状態とを関連づけることができ、待機回数表示部材の動作によって特定の遊技状態への遷移を示唆することができる。よって、待機回数表示部材の動作によって待機回数を視認困難にした状態において特定の遊技状態への遷移を遊技者に期待させることができ、新たな遊技性を遊技者に提供することができる。
なお、遊技状態判定手段としては、上記実施例における始動入賞時に取得して演出実行1〜4メモリ23i〜23lに書き込まれた内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値「7」か確認する処理(図8のS27の処理)が該当する。また、駆動実行手段としては、表示用制御基板Dが遮蔽用ソレノイド12をオンして保留表示装置8が上昇した特別状態にする処理(図13のS91の処理)が該当する。
遊技機13において、前記駆動制御手段は、前記駆動実行手段によって前記通常状態から前記特別状態に切り替えられた待機回数表示部材に対して、待機中の動的表示を少なくととも1つ含めて前記特定の遊技状態への遷移以前に連続して行われる複数回の動的表示にわたって前記特別状態を継続した後に前記通常状態に復帰させる復帰手段を備えていることを特徴とする遊技機14。
従来、有利な遊技状態への遷移を示唆する興趣演出として、複数回の動的表示にわたって特定の演出を連続的に実行する連継演出を行う遊技機が知られている。連継演出は、一般に、始動条件の成立時に有利な遊技状態への遷移が確定することを契機としてその確定以前に待機されていた動的表示に特定の演出を伴わせることにより行われる。この連継演出によって、遊技者には、1回の動的表示でなく、複数回の動的表示にわたって段階的に有利な遊技へ近づく興趣が付与される。
しかしながら、有利な遊技状態への遷移確定以前に待機していた動的表示を対象に連継演出が行われる場合、連継演出を構成する動的表示の最大回数は、始動条件の成立時における動的表示の待機回数に制限される。動的表示の待機回数は、一般に遊技者から視認可能な位置に設けられた複数のランプ等により常に表示されており、その表示された待機回数から連継演出発生の契機となった始動条件の成立に対する動的表示が何回後に行われるか遊技者に特定されることがある。この場合、遊技者が後から開始される連継演出の最後に相当する動的表示に対して有利な遊技状態への遷移を強く期待してしまい、その動的表示に比べてその前に行われる途中の動的表示に対する期待が希薄になる。このため、連継演出を構成する途中の変動表示に対しては、変動表示の内容にバリエーションを持たせても遊技者に期待を持たせられず、表示内容を選定する処理等が無駄になり易いという問題点があった。
遊技機14によれば、駆動実行手段によって待機回数表示部材が通常状態から特別状態に切り替えられた場合、待機中の動的表示を少なくとも1つ含めて特定の遊技状態への遷移以前に実行される複数回の動的表示にわたって待機回数表示部材に対して特別状態を継続させた後、復帰手段により通常状態に復帰させられる。遊技者には、駆動実行手段によって待機回数が視認困難な状態とされた動的表示が複数回にわたって行われる連継演出の後に特定の遊技状態へ遷移する遊技性が付与される。即ち、待機回数を視認困難にした状態における動的表示による連継演出によって有利な遊技状態への遷移を期待させることができる。
また、待機回数表示部材は、復帰手段によって特定の遊技状態への遷移以前に連続して行われる複数回の動的表示にわたって特別状態を継続させられ、遊技者が待機回数を視認困難な状態とする。この状態になると、遊技者は、連継演出の開始を認識する一方、その連継演出の開始時に待機中であった動的表示の待機回数は視認困難になる。よって、連継演出の発生の契機となった動的表示がその待機回数に基づいては察知され難くなるので、待機回数を視認困難にした状態が継続している動的表示毎に遊技者に特定の遊技状態への遷移を期待させることができ、遷移を期待させる動的表示の対象を増大することができる。従って、連継演出を構成する途中の動的表示の内容を選定する処理が無駄にならず、複数回の動的表示にわたって有利な遊技へ近づく連継演出を活用することができる。なお、復帰手段としては、表示用制御基板Dが遮蔽用ソレノイド12をオフして保留表示装置8が下降した通常状態に復帰させる処理(図13のS94の処理)が該当する。
遊技機14において、前記遊技状態判定手段は、前記検出手段によって始動条件の成立が検出されたタイミングで前記特定の遊技状態へ遊技状態を遷移させるか否かを判定するものであることを特徴とする遊技機15。
遊技機15によれば、検出手段によって始動条件の成立が検出されたタイミングで遊技状態判定手段が特定の遊技状態へ遊技状態を遷移させるか否かを判定するので、検出手段によって始動条件の成立が検出されて動的表示の実行が待機されたタイミングより後には、駆動制御手段に駆動手段を動作させて待機回数表示部材を特別状態にすることができる。よって、駆動制御手段によって待機回数を視認困難にした特別状態を始動条件の成立したタイミングに近い早い段階で発生させることができ、動的表示の待機回数が視認困難な状態をより長く継続することができる。
遊技機14又は15において、前記駆動実行手段は、前記遊技状態判定手段の判定に基づいて前記駆動手段を動作させる場合に、当該判定が行われた後における最初の動的表示の実行期間中に前記駆動手段を動作させて前記待機回数表示部材を前記通常状態から前記特別状態へ切り替えるものであることを特徴とする遊技機16。
遊技機16によれば、駆動実行手段は、遊技状態判定手段による判定が行われた後における最初の動的表示の実行期間中に駆動手段を動作させて待機回数表示部材を通常状態から特別状態へ切り替える。このため、当該判定が行われる前に待機されていた全ての動的表示が実行される期間中に継続して待機回数表示部材を特別状態にし、待機回数が視認困難な状態を継続することができる。よって、動的表示の待機回数が視認困難な状態における動的表示の実行回数を多量にすることができ、特定の遊技状態への遷移を期待する動的表示の対象を増大することができる。
なお、駆動実行手段が最初の動的表示の実行期間中に駆動手段を動作させるタイミングとして、動的表示が開始されるタイミングとすることは好ましい。動的表示の途中で駆動手段を動作させて待機回数表示部材を特別状態に切り替える場合に比べて、動的表示の待機回数が視認困難な状態における動的表示の実行期間が長くなるので、連継演出の開始前に遊技者が動的表示の待機回数を確認する機会を少なくして、特定の遊技状態への遷移を期待する動的表示の対象をより確実に増大することができる。
遊技機14又は15において、前記駆動実行手段は、前記遊技状態判定手段の判定に基づいて前記駆動手段を動作させる場合に、当該判定が行われたタイミングで前記駆動手段を動作させて前記待機回数表示部材を前記通常状態から前記特別状態へ切り替えるものであることを特徴とする遊技機17。
遊技機17によれば、駆動実行手段は、遊技状態判定手段による判定が行われたタイミングで駆動手段を動作させて待機回数表示部材を通常状態から特別状態へ切り替えるので、動的表示の待機回数が視認困難にした期間をより長く設けることができる。よって、連継演出の開始前に遊技者が動的表示の待機回数を確認する機会を少なくして、特定の遊技状態への遷移を期待する動的表示の対象をより確実に増大することができる。
遊技機1から17のいずれかにおいて、前記特定の遊技状態は、前記所定の遊技価値を遊技者に付与する特別遊技状態であることを特徴とする遊技機18。
遊技機18によれば、待機回数表示部材を動作させて待機回数を視認困難にすることにより特別遊技状態への遷移を示唆することができ、遊技者に所定の遊技価値の付与を期待させて遊技の興趣を高めることができる。なお、特別遊技状態とは、遊技者に所定の遊技価値を付与する遊技状態であり、例えば、球等の有価価値を有する遊技媒体が遊技者に付与される大当たり状態、大当たり状態の発生確率が通常状態より高確率とされる確率変動状態、又は、始動条件の成立が通常状態より容易にされると共に1の動的表示に要する時間が短縮されて特別遊技状態が付与され易い時間短縮状態等が例示される。
遊技機1から18のいずれかにおいて、前記特定の遊技状態は、前記動的表示の実行途中であって前記所定の遊技価値の付与を遊技者に期待させる期待態様の現出後における遊技状態であることを特徴とする遊技機19。
遊技機19によれば、待機回数表示部材を動作させて待機回数を視認困難にすることによって期待態様の現出後における遊技状態(例えば、リーチ表示が表示された後であって動的表示の表示結果が表示されるまでの遊技状態)への遷移を示唆することができ、遊技者には、所定の遊技価値の付与を、期待態様の現出を介して間接的に期待させることができる。また、期待態様は、所定の遊技価値の付与とは異なり、直接的に遊技者に利益が付与されるものではないので、所定の遊技価値が付与される場合に限定して特定の遊技状態を構成する場合に比較して、遊技場の損害を抑えつつ待機回数表示部材の動作により待機回数を視認困難にした状態における遊技の興趣を頻繁に付与することができる。
遊技機1から19のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機であることを特徴とする遊技機20。中でも、パチンコ機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動ゲートを通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
遊技機1から19のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機21。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機1から19のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機22。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。