JP4742758B2 - 薄膜抵抗体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
前記クロム(Cr)−アルミニウム(Al)−ケイ素(Si)系三元合金中の各元素の組成割合は、Cr−Al−Si三元系組成図上において、下記に示す組成点(A)、(B)及び(C)を頂点とする三角形の内部に相当する数値範囲を有し、かつ、薄膜抵抗体の比抵抗は、500μΩ・cm以上、抵抗温度係数の絶対値は、50ppm/℃以下、さらに155℃で1000時間保持後の抵抗変化率は、0.05%以下であることを特徴とする薄膜抵抗体が提供される。
組成点(A):Cr、Al及びSiの組成は各々55、40、及び5重量%
組成点(B):Cr、Al及びSiの組成は各々50、10、及び40重量%
組成点(C):Cr、Al及びSiの組成は各々75、5、及び20重量%
組成点(A):Cr、Al及びSiの組成は各々55、40、及び5重量%
組成点(B):Cr、Al及びSiの組成は各々50、10、及び40重量%
組成点(C):Cr、Al及びSiの組成は各々75、5、及び20重量%
組成点(A):Cr、Al及びSiの組成は各々55、40、及び5重量%
組成点(B):Cr、Al及びSiの組成は各々50、10、及び40重量%
組成点(C):Cr、Al及びSiの組成は各々75、5、及び20重量%
組成点(A):Cr、Al及びSiの組成は各々55、40、及び5重量%
組成点(B):Cr、Al及びSiの組成は各々50、10、及び40重量%
組成点(C):Cr、Al及びSiの組成は各々75、5、及び20重量%
上記薄膜抵抗体の詳細な相構造及びそれらの相構造が形成される機構は、まだ不明な部分が多いが、熱処理後の薄膜抵抗体のX線回折結果は、わずかにCrSi2のブロードなピークが観察されたのみで実質的にアモルファス相と見られ、以下のよう推論される。すなわち、その組成割合が、Cr−Al−Si三元系組成図上において、組成点(A)、(B)及び(C)を頂点とする三角形の内部に相当する数値範囲を有する三元合金薄膜においては、その組成が金属間化合物の化学量論組成からはずれており、かつ比較的多くのアルミニウムを含有しているため、上記熱処理に際して、一部結晶化が進行しようとするが結局は高抵抗性を示すアモルファス構造が安定化され、適切な熱処理により、高比抵抗で低抵抗温度係数を有し、かつ使用時の加熱による抵抗変化率が小さい高耐熱性の薄膜抵抗体が得られる。
なお、スパッタ法は一般に薄膜抵抗体の製造に用いられている手法であり、マグネトロンスパッタリングなど通常の方法及び装置を用いることができる。
(イ)クロム、アルミニウム及びケイ素からなる合金のターゲットであって、上記三元合金薄膜に相当する組成割合を有するターゲットを単独又は複数個用いる。ここで、合金ターゲットは組成均一性がよく得られる薄膜抵抗体の特性が安定しているが、ターゲットの抵抗が高いのでRFスパッタ法を用いるのが望ましい。
(ロ)クロム、アルミニウム及びケイ素からなる混合物のターゲットであって、上記三元合金薄膜に相当する組成割合を有するターゲットを単独又は複数個用いる。ここで、混合ターゲットはターゲット抵抗が低いので、直流スパッタも容易であるが、製造方法によっては特性のばらつきを生じやすい。
(ハ)クロム、アルミニウム又はケイ素の各金属からなるターゲットを上記三元合金薄膜に相当する組成割合になるように複数個組合せて用いる。このようなターゲットは、組成の変更が簡便に行える。
(ニ)クロム−アルミニウム合金ターゲットとケイ素ターゲットを上記三元合金薄膜に相当する組成割合になるように複数の区分に分けた複合物ターゲットを用いる。
(ホ)クロム−アルミニウム合金ターゲットとケイ素ターゲットを用いて、上記三元合金薄膜に相当する組成割合になるように同時スパッタリングを行なう。
アルバック製のマグネトロンスパッタリング装置に市販の純度96%のアルミナ基板を取り付け、系内を2.0×10−3Pa以下の真空度にした後、アルゴンガス(純度:99.999%)を2.5sccmの流量で導入した。本発明の薄膜抵抗体の組成範囲である合金ターゲット(55重量%Cr−21重量%Al−24重量%Si)を用いて、出力90Wで20分成膜し、130nmの厚みの膜を得た。ただし、基板上に薄膜をスパッタリングで成膜する前に、シャッターを閉じた状態で10分以上プレスパッタした。所定の時間スパッタしたらシャッターを閉じ、30分以上冷却してチャンバー内から成膜した基板を取り出した。
(1)金属の分析:ICP発光分析法で行った。
(2)比抵抗の測定:試料の膜厚、長さ、線幅、及び直流四端子法により抵抗R(Ω)を測定し、比抵抗を求めた。
(3)抵抗温度係数(TCR)の測定:試料を恒温槽に入れ、25℃での抵抗値R25(Ω)と125℃での抵抗値R125(Ω)を測定し、抵抗温度係数を求めた。
(4)抵抗変化率の測定:155℃に制御された恒温槽中に1000時間保持した後、取り出して室温での抵抗値を測定し抵抗変化率を求めた。
[ターゲットの作製]
純度99.99%以上の金属原料を用い、プラズマ溶解により作製したインゴットからワイヤカットで直径75mm、厚さ5mmの円板を切り出し、表面を研削してターゲットとした。
[成膜方法]
市販の純度96%のアルミナ基板を用いた。アルバック製のマグネトロンスパッタリング装置に基板を取り付け、系内を2.0×10−3Pa以下の真空度にした後、アルゴンガス(純度:99.999%)を2.5mL/min(標準状態)の流量で導入して、それぞれのターゲットに適した電源を用いて、基板上にスパッタリングにより薄膜を成膜した。
[熱処理方法]
成膜した基板をを管状炉にいれ、大気中、200〜600℃の温度範囲で各温度で3時間の熱処理を行った。昇温速度は各熱処理温度の10℃手前まで10℃/分として、その温度から、熱処理する温度まで1℃/分とした。
上記方法で作製した三元合金ターゲット(55重量%Cr−21重量%Al−24重量%Si)を用いて上記成膜方法により成膜した基板を、上記方法に従って50℃刻みに熱処理し、最もTCRの絶対値が小さくなる温度を最適熱処理温度とし、そのときの膜組成と抵抗特性を評価した。結果を各々表2、表3に示す。
上記方法で作製したクロム、アルミニウム及びケイ素の各ターゲットを用いて上記成膜方法により3元同時スパッタリングを行ない、種々の組成の薄膜抵抗体を作製した。得られた成膜した基板を、上記方法に従って50℃刻みに熱処理し、最もTCRの絶対値が小さくなる温度を最適熱処理温度とし、そのときの膜組成と抵抗特性を評価した。結果を各々表2、表3に示す。なお、実施例2〜6では、表2の膜組成に示すように、その組成割合が、Cr−Al−Si三元系組成図上において、組成点(A)、(B)及び(C)を頂点とする三角形の内部に相当する数値範囲を有する三元合金薄膜が形成されている。一方、表2の膜組成に示すように、比較例1、4、7では、その組成割合が上記三角形の各辺の近傍外側に相当する数値であり、また、比較例2、3では、その組成割合が組成点(A)の近傍外側に相当する数値であり、また、比較例5、6では、その組成割合が組成点(C)の近傍外側に相当する数値であり、また、比較例8、9では、その組成割合が組成点(B)の近傍外側に相当する数値である三元合金薄膜が形成されている。また、比較例10では、ケイ素品位が47〜57重量%に相当する数値である三元合金薄膜が形成されている。
上記方法で作製したクロム−アルミニウム合金ターゲット(80重量%Cr−20重量%Al)とケイ素ターゲットを用いて上記成膜方法により同時スパッタリングを行ない、得られた成膜した基板を、上記方法に従って50℃刻みに熱処理し、最もTCRの絶対値が小さくなる温度を最適熱処理温度とし、そのときの膜組成と抵抗特性を評価した。結果を各々表2、表3に示す。
Claims (9)
- 電気的絶縁性を有する素材からなる基板、又は電気的絶縁性を有する素材を表面に備えた基板の表面上に形成された、クロム(Cr)−アルミニウム(Al)−ケイ素(Si)系三元合金からなる薄膜抵抗体であって、
前記クロム(Cr)−アルミニウム(Al)−ケイ素(Si)系三元合金中の各元素の組成割合は、Cr−Al−Si三元系組成図上において、下記に示す組成点(A)、(B)及び(C)を頂点とする三角形の内部に相当する数値範囲を有し、かつ、薄膜抵抗体の比抵抗は、500μΩ・cm以上、抵抗温度係数の絶対値は、50ppm/℃以下、さらに155℃で1000時間保持後の抵抗変化率は、0.05%以下であることを特徴とする薄膜抵抗体。
組成点(A):Cr、Al及びSiの組成は各々55、40、及び5重量%
組成点(B):Cr、Al及びSiの組成は各々50、10、及び40重量%
組成点(C):Cr、Al及びSiの組成は各々75、5、及び20重量% - 電気的絶縁性を有する素材からなる基板、又は電気的絶縁性を有する素材を表面に備えた基板の表面上に、ターゲットを用いてアルゴンガス雰囲気下にスパッタリングすることにより、各元素の組成割合が、Cr−Al−Si三元系組成図上において、下記に示す組成点(A)、(B)及び(C)を頂点とする三角形の内部に相当する数値範囲を有する三元合金薄膜を形成し、その後、酸素を含む雰囲気下、400〜530℃の温度で1分〜10時間熱処理を行なうことを特徴とする請求項1に記載の薄膜抵抗体の製造方法。
組成点(A):Cr、Al及びSiの組成は各々55、40、及び5重量%
組成点(B):Cr、Al及びSiの組成は各々50、10、及び40重量%
組成点(C):Cr、Al及びSiの組成は各々75、5、及び20重量% - 前記ターゲットは、クロム、アルミニウム及びケイ素からなる合金であって、前記三元合金薄膜に相当する組成割合を有することを特徴とする請求項2に記載の薄膜抵抗体の製造方法。
- 前記ターゲットは、クロム、アルミニウム及びケイ素からなる混合物であって、前記三元合金薄膜に相当する組成割合を有することを特徴とする請求項2に記載の薄膜抵抗体の製造方法。
- クロム、アルミニウム又はケイ素の各金属からなるターゲットを前記三元合金薄膜に相当する組成割合になるように複数個組合せて用いることを特徴とする請求項2記載の薄膜抵抗体の製造方法。
- 前記ターゲットは、クロム−アルミニウム合金とケイ素を前記三元合金薄膜に相当する組成割合になるように複数の区分に分けた複合物であることを特徴とする請求項2記載の薄膜抵抗体の製造方法。
- 前記ターゲットは、クロム−アルミニウム合金ターゲットとケイ素ターゲットであり、これらを用いて同時スパッタリングすることを特徴とする請求項2記載の薄膜抵抗体の製造方法。
- 前記熱処理に先だって、三元合金薄膜の表面に電極を形成することを特徴とする請求項2に記載の薄膜抵抗体の製造方法。
- 前記電極は、パラジウム、白金、ロジウム、又はルテニウムから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項8に記載の薄膜抵抗体の製造方法。
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