以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。
図1〜図10を参照して、この発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明の実施の形態おける画像処理装置の構成を示すブロック図である。図1において、画像処理装置は、読取り装置1、画像データ処理装置2,4、バス制御装置3、HDD5、CPU6、メモリ7、プロッタI/F装置8、プロッタ装置9、操作表示装置10、回線I/F装置11、外部I/F装置12、サウスブリッジ装置13、およびROM14を備えており、FAX15およびパーソナルコンピュータ(以下、PCとする)16と接続される。
読取り装置1は、CCD光電変換素子からなるラインセンサとA/Dコンバータと、それらの駆動回路を備えており、原稿をスキャンして得られる原稿の濃淡情報からデジタルの入力画像データを生成する。入力画像データには、原稿(画像)の各画素毎の赤(R)、緑(G)、青(B)の画像データと当該画像データの付帯情報とが含まれる。付帯情報は、画像データの属性を示す情報であり、ここでは、付帯情報は、絵柄領域の画素であるのか、文字領域の画素であるのかを示す像域分離信号とするが、付帯情報はこれに限るものではない。たとえば、付帯情報として、パーソナルコンピュータなどで作成されたグラフィック文書であるのか、スキャナなどで読み取った写真原稿であるのかを示す入力カラー画像の特性を示す信号を用いるようにしてもよい。以下、R、G、Bのそれぞれの画像データをR画像データ、G画像データ、B画像データと呼び、R画像データ、G画像データ、B画像データを合わせてRGB画像データと呼ぶことがある。
画像データ処理装置2は、読取り装置1によって生成された入力画像データのRGB画像データを予め定められた特性に統一し、特性を統一した統一RGB画像データと統一RGB画像データに対応する付帯情報を含む統一画像データを生成する。図2は、画像データ処理装置2の構成を示すブロック図である。図2において、画像データ処理装置2は、γ変換部20、フィルタ処理部21、色変換部22、および変倍処理部23を備えている。
γ変換部20は、読取り装置1によって生成された入力画像データのRGB画像データの明るさを、予め定められた特性に統一する。フィルタ処理部21は、γ変換部20によって明るさの特性が統一されたRGB画像データの鮮鋭性を、予め定められた特性に統一する。色変換部22は、フィルタ処理部21によって鮮鋭性が統一されたRGB画像データの色を、予め定められた特性に統一する。変倍処理部23は、色変換部22によって色が統一されたRGB画像データのサイズ(解像度)を、予め定められた特性に統一する。また、変倍処理部23は、サイズを統一したRGB画像データの画素に対応付けた像域分離信号を生成し、サイズを統一したRGB画像データとこのRGB画像データの像域分離信号を含む統一画像データを生成する。
図1に戻って、バス制御装置3は、複数主のバス規格間のブリッジ機能を有し、画像処理装置内で必要な画像データ(像息分離信号を含む)や制御コマンドなどの各種データをやり取りするデータバスを制御する。図1においては、画像データ処理装置2,4とCPU6とはPCI−Expressバスによって接続され、HDD5とはATAバスによって接続されており、ASIC化されている。
画像データ処理装置4は、画像データ処理装置2によって特性が統一された統一画像データを、ユーザーから指定される出力先に適した出力画像データに変換する。図3は、画像データ処理装置4の構成を示すブロック図である。図3において、画像データ処理装置4は、フィルタ処理部40、色変換部41、変倍処理部42、および階調処理部43を備えている。フィルタ処理部40は、統一RGB画像データの鮮鋭性を補正するとともに、画像の特徴量(エッジ量の情報)を抽出する。
色変換部41は、フィルタ処理部40によって鮮鋭性が補正された統一RGB画像データに対して、RGBからCMYKやR’G’B’へのカラーマッチングや、色の変換を行う。また、色変換部41は、フィルタ処理部40によって抽出された特徴量に応じて墨を適応的に生成するとともに、像域分離信号に基づいて絵柄・文字に適した下色除去(UCR:Under Color Removal)および下色加色(UCA)を行って効果的な墨処理を行う。さらに、色変換部41は、必要に応じてアンダーカラー処理を行う。
図4は、図3に示した色変換部41の構成を示すブロック図である。図4において、色変換部41は、線形マスキング処理部411、三次元LUT変換部412、GCR処理部413、UCR処理部414、および、UCA処理部415を備えている。
線形マスキング処理部411は、フィルタ処理部40によって鮮鋭性が補正された統一RGB画像データIN(IN_R,IN_G,IN_Bを示す)に線形マスキング処理を施したマスキングRGB画像データmsk(msk_R,msk_G,msk_Bを示す)およびマスキングK画像データmsk_kを生成する。
三次元LUT変換部412は、線形マスキング処理部411によって生成されたマスキングRGB画像データmskに対して3次元LUTによる色変換を行ってCMYK画像データlut(lut_c,lut_m,lut_y,lut_kを示す)を生成する。
図5は、三次元LUT変換部412の構成を示すブロック図である。図5において、三次元LUT変換部412は、三次元LUT色変換部(以下、3DLUT色変換部とする)4121と、mink算出部4122と、セレクタ4123とを備えている。
3DLUT色変換部4121は、絵柄領域用LUT4121aおよび文字領域用LUT4121bの2種類の三次元LUTを有し、像域分離信号sepiによって絵柄領域用LUT4121aまたは文字領域用LUT4121bを選択する。3DLUT色変換部4121は、選択したLUTを用いて画素毎にマスキングRGB画像データmskに対する3次元メモリマップ補間によってRGBからCMYKへの変換を行って、C画像データlut_c、M画像データlut_m、およびY画像データlut_y生成する。
mink算出部4122は、3DLUT色変換部4121によって生成されたCMY画像データlut_cmy(lut_c,lut_m,lut_yを示す)の最小値minkを算出する。セレクタ4123は、像域分離信号sepiに基づいてmink算出部4122によって算出された最小値mink、または線形マスキング処理部411によって生成されたマスキングK画像データmsk_kを選択してK画像データlut_kとして出力する。
図4に戻って、GCR処理部413は、GCRモード信号gcr_mode、像域分離信号sepiおよび特徴量gcr_edgeiに基づいて三次元LUT変換部412によって生成されたK画像データlut_kに対して墨生成を行ったK画像データgcr_bkを生成する。また、GCR処理部413は、GCRモード信号gcr_modeと像域分離信号sepiとに基づいて、生成したK画像データgcr_bkからUCR処理に用いるUCR用の墨量を示すUCR用K画像データucr_bkを生成する。
UCR処理部414は、UCRモード信号ucr_modeとGCR処理部413によって生成されたK画像データucr_bkとに基づいて、三次元LUT変換部412によって生成されたCMY画像データlut_cmyに対してUCR処理を行なってCMY画像データlut_cmyを補正したCMY画像データucr_cmy(ucr_c,ucr_m,ucr_yを示す)を生成する。
UCA処理部415は、UCAモード信号uca_modeおよびGCR処理部413によって生成されたK画像データgcr_bkに基づいて、UCR処理部414によって生成されたCMY画像データucr_cmyに対してUCR処理を行ってCMY画像データucr_cmyを補正したCMY画像データuca(uca_c,uca_m,uca_yを示す)を生成する。
図3に戻って、変倍処理部42は、色変換部41によって変換されたCMYK画像データのサイズ(解像度)を変換する。階調処理部43は、変倍処理部42によってサイズが変換されたCMYK画像データの階調数を変換する。
図1に戻って、HDD5は、IDE(Integrated Drive Electronics)を拡張して規格化されているATA(AT Attachment)バス接続の大容量のハードディスク記憶装置で、主に画像データおよび画像データの付帯情報(この場合は像域分離信号)を蓄積する。
CPU6は、画像処理装置の制御を司るマイクロプロセッサである。たとえば、PMC社のRM11100など、CPUコア単体に汎用規格I/Fとの接続機能や、クロスバースイッチを使ったこれらバス接続機能を追加したCPUを使用する。
メモリ7は、複数種のバス間をブリッジする際の速度差や、接続された部品自体の処理速度差を吸収するために、一時的にやりとりするデータを記憶するとともに、CPU6が画像処理装置の制御を行う際に、プログラムや中間処理データを一時的に記憶する揮発性メモリである。CPU6は、高速処理が求められるため、通常起動時にROM14に記憶されたブートプログラムによってシステムを起動し、起動後は高速アクセス可能なメモリ7に展開されたプログラムによって処理を行なう。よって、メモリ7は、高速アクセス可能なデバイス、たとえば、規格化されたパーソナルコンピュータに用いられるDIMMなどを使用する。
プロッタI/F装置8は、CPU6とプロッタ装置9との間のバスブリッジ処理を行う。バスブリッジ処理とは、CPU6にインテグレートされた汎用規格I/F(たとえば、PCI−Expressバス)経由で送られてくるCMYKのデジタル画像データを、プロッタ装置9の専用I/Fに出力する処理である。
プロッタ装置9は、プロッタI/F装置8から入力されるCMYKのデジタル画像データを転写紙に印刷する。印刷には、たとえば、レーザービームを用いた電子写真プロセスなどを用いる。
操作表示装置10は、LCD(液晶表示装置)とキースイッチから構成され、PCI−Expressバスを介してCPU6と接続されており、画像処理装置とユーザーのインターフェースを行う部分である。操作表示装置10は、画像処理装置の各種状態や操作方法などをLCDに表示するとともに、キースイッチ入力を検知することでユーザーからの入力を認識する。
回線I/F装置11は、PCI−Expressバスと電話回線を接続する。外部I/F装置12は、PCI−Expressバスと外部装置を接続する。外部I/F装置12により、画像処理装置は外部装置と各種データのやり取りを行う。その接続インターフェースに、たとえば、LAN(Local Area Network)を使用する。すなわち、画像処理装置は、外部I/F装置12を介してネットワークに接続している。
サウスブリッジ装置13は、パーソナルコンピュータに使用されるチップセットのひとつで、South Bridgeと呼ばれる汎用の電子デバイスである。主にPCI−ExpressとISAブリッジ含むCPUシステムを構築する際によく使用されるバスのブリッジ機能を汎用回路化したもので、ROM14との間をブリッジしている。ROM14は、CPU6が画像処理装置の制御を行う際のプログラム(ブートプログラムを含む)が格納されるメモリである。
FAX15は、通常のファクシミリで、電話回線を介して画像処理装置と画像データの授受を行う。PC16は、いわゆるパーソナルコンピュータである。パーソナルコンピュータにインストールされたアプリケーションソフトやドライバを介して、ユーザーは画像処理装置に対して各種制御や画像データの入出力を行う。
つぎに、この発明の実施の形態の画像処理装置の動作を説明する。まず、図1を参照して、画像処理装置の概略動作について説明する。読取り装置1は、セットされた原稿をスキャンし、スキャンして得られた原稿の濃淡情報から、RGB各8ビットの入力画像データを生成する。読取り装置1は、生成した入力画像データを画像データ処理装置2に出力する。
画像データ処理装置2は、読取り装置1から入力された入力画像データに対して、予め定めた特性に統一する特性統一処理を施す。予め定めた特性とは、入力画像データを画像処理装置内部に蓄積し、その後再利用する場合に、出力先の変更に適する特性であり、具体的には、明るさ、鮮鋭性、色、解像度の特性である。なお、特性統一処理の詳細に付いては後述する。
画像データ処理装置2と画像データ処理装置4とCPU6は、PCI−Expressバスで接続されている。HDD5とはATAバスで接続されている。CPU6は高速処理を求められるため、通常起動時にROM14に記憶されたブートプログラムにてシステムを起動し、その後は高速にアクセス可能なメモリ7に展開されたプログラムによって処理を行う。
画像データ処理装置4は、画像データ処理装置2によって特性統一処理が施されたデジタル画像データに対して、操作表示装置10を介してユーザーから指定された出力先に応じて鮮鋭性の補正や、RGBからCMYKへの変換、解像度の変換、階調数の変換などの変換処理を施す。なお、変換処理の詳細については後述する。
プロッタI/F装置8は、CPU6に内蔵された汎用規格I/F(この場合は、PCI−Expressバス)経由で送られてくるCMYKの画像データが入力されると、プロッタ装置9の専用I/Fに出力するバスブリッジ処理を行う。プロッタ装置9は、CMYKの画像データが入力されると、レーザービームを用いた電子写真プロセスを使って、受け取った画像データを転写紙に出力する。操作表示装置10は、画像処理装置の各種状態や操作方法をLCDに表示し、ユーザーからのキースイッチ入力を検知する。画像処理装置は、回線I/F装置11により、電話回線を介して各種データのやり取りを行う。FAX15は、通常のファクシミリで、電話回線を介してデジタル画像処理装置と画像データの授受を行う。
つぎに、図1を参照して、この実施の形態の画像処理装置のコピー動作に付いて説明する。ユーザーは、原稿を読取り装置1にセットし、操作表示装置10を用いて、所望するモード等を設定してコピー開始の指示を入力する。操作表示装置10は、ユーザーから入力された情報を、機器内部の制御コマンドデータに変換して、制御コマンドを発行する。制御コマンドは、PCI−Expressバスを介してCPU6に通知される。CPU6は、コピー開始の制御コマンドデータにしたがって、コピー動作プロセスのプログラムを実行し、コピー動作に必要な設定や動作を順に行う。
読取り装置1は、原稿をスキャンして得られたRGB各8ビットの入力画像データ(RGB画像データおよび付帯情報)を画像データ処理装置2に出力する。画像データ処理装置2は、読取り装置1から入力されたRGB画像データに特性統一処理を施してバス制御装置3に出力する。バス制御装置3は、画像データ処理装置2から入力された統一RGB画像データおよび付帯情報をCPU6に出力し、CPU6は統一RGB画像データおよび付帯情報をメモリ7に蓄積させる。
CPU6は、メモリ7に蓄積された統一RGB画像データおよび付帯情報を読み出し、読み出した統一RGB画像データおよび付帯情報バス制御装置3を介して画像データ処理装置4に出力する。画像データ処理装置4は、入力された統一RGB画像データに変換処理を施してCMYKの画像データを生成し、生成したCMYKの画像データをバス制御装置3に出力する。
バス制御装置3は、画像データ処理装置4から入力されたCMYKの画像データを、CPU6を介してメモリ7に蓄積する。メモリ7に蓄積されたCMYKの画像データは、CPU6およびプロッタI/F装置8を介して、プロッタ装置9に出力される。プロッタ装置9は、入力されたCMYKの画像データを転写紙に出力する。これにより、読取り装置1にセットされた原稿のコピーが生成される。
つぎに、図1を参照して、この実施の形態の画像処理装置のファックス送信動作について説明する。なお、原稿セットから制御コマンド発行までは、コピー動作と同じであるので、ここではその説明を省略する。CPU6は、ファックス送信開始の制御コマンドデータにしたがって、ファックス送信動作プロセスのプログラムを実行し、ファックス送信動作に必要な設定や動作を順に行う。以下にファックス送信動作プロセスを説明する。なお、上述したコピー動作プロセスと同じ動作については、その詳細な説明を省略する。
読取り装置1は、原稿をスキャンして得られたRGB画像データおよび付帯情報を画像データ処理装置2に出力し、画像データ処理装置2は、RGB画像データに特性統一処理を施し、バス制御装置3およびCPU6を介して特性統一処理を施した統一RGB画像データおよび付帯情報をメモリ7に蓄積する。CPU6は、メモリ7に蓄積された統一RGB画像データおよび付帯情報をバス制御装置3を介して画像データ処理装置4に出力する。
画像データ処理装置4は、統一RGB画像データに変換処理を施してファックス送信用のモノクロ2値の画像データを生成する。画像データ処理装置4は、生成したモノクロ2値の画像データをバス制御装置3に出力する。バス制御装置3は、モノクロ2値の画像データをCPU6を介してメモリ7に蓄積する。メモリ7に蓄積されたモノクロ2値の画像データはCPU6を介して回線I/F装置11に出力される。回線I/F装置11は、モノクロ2値の画像データを電話回線を介して接続されたFAX15に送信する。
つぎに、図1を参照して、この実施の形態の画像処理装置のスキャナ配信動作を説明する。なお、原稿セットから制御コマンド発行までは、コピー動作と同じであるので、ここではその説明を省略する。CPU6は、スキャナ配信開始の制御コマンドデータに従って、スキャナ配信動作プロセスのプログラムを実行し、スキャナは配信動作に必要な設定や動作を順に行う。以下にスキャナ配信動作プロセスを説明する。なお、上述したコピー動作プロセスと同じ動作については、その詳細な説明を省略する。
読取り装置1は、原稿をスキャンして得られたRGB画像データおよび付帯情報を画像データ処理装置2に出力し、画像データ処理装置2は、RGB画像データに特性統一処理を施し、バス制御装置3およびCPU6を介して特性統一処理を施した統一RGB画像データおよび付帯情報をメモリ7に蓄積する。CPU6は、メモリ7に蓄積された統一RGB画像データおよび付帯情報をバス制御装置3を介して画像データ処理装置4に出力する。
画像データ処理装置4は、統一RGB画像データに変換処理を施してRGB多値、グレースケール、モノクロ2値等のスキャナ配信用の画像データを生成する。画像データ処理装置4は、生成したスキャナ配信用の画像データをバス制御装置3に出力する。バス制御装置3は、スキャナ配信用の画像データをCPU6を解してメモリ7に蓄積する。メモリ7に蓄積されたスキャナ配信用の画像データは、CPU6を介して外部I/F装置12に出力される。外部I/F装置12は、入力されたスキャナ配信用の画像データを、ネットワークを介して接続されたPC16に送信する。
つぎに、図1〜図3を参照して、この実施の形態の画像処理装置の蓄積データの再利用動作(原稿をスキャンして得られたRGB画像データに特性統一処理を施した画像データを蓄積・保存し、その後、蓄積/保存した画像データを再利用する動作)について説明する。なお、原稿セットから特性統一までの動作は、コピー動作と同じであるのでここではその説明を省略する。
読取り装置1は、原稿をスキャンして得られたRGB画像データおよび付帯情報を画像データ処理装置2に出力する。画像データ処理装置2のγ変換部20は、読取り装置1から入力されたRGB画像データの明るさを、予め定めた特性に統一する。ここでは、γ変換部20は、RGB画像データの明るさを明度リニアな特性に変換する。γ変換部20は、RGB画像データの明るさを明度リニアな特性に変換したRGB画像データをフィルタ処理部21に出力する。
フィルタ処理部21は、γ変換部20から入力されたRGB画像データの鮮鋭性を、予め定めた特性に統一する。具体的には、フィルタ処理部21は、γ変換部20から入力されたRGB画像データの新鋭性を、基準チャートをスキャンしたときに線数毎に予め定めたMTF特性値になるように変換する。フィルタ処理部21は、RGB画像データの新鋭性を基準チャートをスキャンしたときに線数毎に予め定めたMTF特性値になるように変換したRGB画像データを色変換部22に出力する。
色変換部22は、フィルタ処理部21から入力されたRGB画像データの色を予め定めた特性に統一する。具体的には、色変換部22は、フィルタ処理部21から入力されたRGB画像データの色空間がAdobe−RGBのような色空間になるように変換する。色変換部22は、RGB画像データの色空間がAdobe−RGBのような色空間になるように変換したRGB画像データを変倍処理部23に出力する。
変倍処理部23は、色変換部22から入力されたRGB画像データのサイズ(解像度)を予め定めた特性に統一する。ここでは、変倍処理部23は、色変換部22から入力されたRGB画像データのサイズ(解像度)を600dpiに変換する。RGB画像データのサイズ(解像度)を600dpiに変換する際に、画素数が異なることがある。この場合、変倍処理部42は、変換前のRGB画像データの付帯情報を変換後のRGB画像データの画素に対応する付帯情報に変換する。変倍処理部23は、RGB画像データのサイズ(解像度)を600dpiに変換した統一RGB画像データおよび付帯情報をバス制御装置3を介してメモリ7に蓄積する。メモリ7に蓄積された統一RGB画像データおよび付帯情報は、HDD5に蓄積・保存される。メモリ7の統一RGB画像データは、画像データ処理装置4を介してプロッタ装置9に出力され、原稿のコピーが生成される。
画像データ処理装置4のフィルタ処理部40は、メモリ7に蓄積された統一RGB画像データの鮮鋭性をプロッタ装置9に出力する場合の再現性がよくなるように補正する。具体的には、フィルタ処理部40は、所望のモード情報にしたがって、メモリ7に蓄積された統一RGB画像データに鮮鋭化/平滑化処理を施す。たとえば、文字モードでは、文字をハッキリ/クッキリとするために鮮鋭化処理を施し、写真モードでは、滑らかに階調性を表現するために平滑化処理を施す。フィルタ処理部40は、鮮鋭化/平滑化処理を施したRGB画像データを色変換部41に出力する。
色変換部41は、付帯情報およびモード指定(ユーザーからの指定またはユーザーが指定から生成する各種モードの指定信号)に基づいて、フィルタ処理部40から入力されたRGB画像データをプロッタ装置用の色空間であるCMYK画像データに変換する。このときに、色変換部41は、ユーザー所望のモード情報にしたがって彩度もあわせて調整する。色変換部41は、CMYK画像データを変倍処理部42に出力する。
変倍処理部42は、色変換部41から入力されたCMYK画像データのサイズ(解像度)を、プロッタ装置9の再現性能にしたがって変換する。ここでは、プロッタ装置9の性能が600dpi出力であり、メモリ7に蓄積されたRGB画像データのサイズ(解像度)は上述したように画像データ処理装置2の変倍処理部23によって600dpiに変換されている。よって、色変換部41から入力されたCMYK画像データのサイズ(解像度)は600dpiであるため、変倍処理部42は特に変換は行わない。変倍処理部42は、プロッタ装置9の再現性能に従ったサイズ(解像度)のCMYK画像データを階調処理部43に出力する。
階調処理部43は、変倍処理部42から入力されたCMYK画像データに、プロッタ装置9の階調処理能力にしたがった階調数変換処理を施す。ここでは、疑似中間調処理の一つである誤差拡散法を用いて、CMYK各8ビットのCMYK画像データをCMYK各2ビットのCMYK画像データに変換する。階調処理部43は、プロッタ装置9の階調処理能力にしたがって階調数を変換したCMYK画像データをバス制御装置3を介してプロッタ装置9に出力し、プロッタ装置9は原稿のコピーを生成する。
つぎに、HDD5に蓄積・保存した統一RGB画像データを再利用してファックスを送信する場合の動作について説明する。ユーザーは、操作表示装置10を用いて、コピー時にHDD5に蓄積した統一RGB画像データについて、モード設定とファックス送信開始の指示を入力する。操作表示装置10は、ユーザーから入力された情報を、機器内部の制御コマンドデータに変換して、制御コマンドを発行する。制御コマンドは、PCI−Expressバスを介してCPU6に通知される。CPU6は、ファックス送信開始の制御コマンドデータにしたがって、ファックス送信開始プロセスのプログラムを実行し、ファックス送信動作に必要な設定や動作を順に行う。
CPU6は、バス制御装置3を介してHDD5に蓄積されている統一RGB画像データをメモリ7に蓄積させる。CPU6は、メモリ7に蓄積された統一RGB画像データを読み出し、読み出した統一RGB画像データをバス制御装置3を解して画像データ処理装置4に出力する。
画像データ処理装置4のフィルタ処理部40は、メモリ7に蓄積された統一RGB画像データ、すなわちコピー時にHDD5に蓄積された統一RGB画像データの鮮鋭性をFAX送信する場合の再現性がよくなるように補正する。具体的には、フィルタ処理部40は、所望のモード情報にしたがって、メモリ7に蓄積されたRGB画像データに鮮鋭化/平滑化処理を施す。たとえば、文字モードでは、文字をハッキリ/クッキリとするために鮮鋭化処理を施し、写真モードでは、滑らかに階調性を表現するために平滑化処理を施す。フィルタ処理部40は、鮮鋭化/平滑化処理を施したRGB画像データを色変換部41に出力する。
色変換部41は、付帯情報およびモード指定に基づいて、フィルタ処理部40から入力されたRGB画像データをFAX15で一般的な単色(モノクロ)に変換する。色変換部41は、モノクロ画像データを変倍処理部42に出力する。
変倍処理部42は、色変換部41から入力されたモノクロ画像データのサイズ(解像度)を、FAX15と送受するサイズ(解像度)に変換する。たとえば、変倍処理部42は、色変換部41から入力されたモノクロ画像データのサイズ(解像度)を200dpi(主走査)×100dpi(副走査)に変換する。変倍処理部42は、FAX15と送受するサイズ(解像度)に変換したモノクロ画像データを階調処理部43に出力する。
階調処理部43は、変倍処理部42から入力されたモノクロ画像データ(モノクロ8ビットデータ)に、FAX15で送受される階調処理能力にしたがった階調数変換処理を施す。階調処理部43は、FAX15で送受される階調処理能力にしたがった階調数に変換したモノクロ画像データをバス制御装置3を介して回線I/F装置11に出力し、回線I/F装置11は、モノクロ画像データを回線を介してFAX15に送信する。
つぎに、HDD5に蓄積・保存した統一RGB画像データを再利用してスキャナ配信する動作について説明する。ユーザーは、操作表示装置10を用いて、コピー時にHDD5に蓄積した統一RGB画像データについて、モード設定とスキャナ配信開始の指示を入力する。操作表示装置10は、ユーザーから入力された情報を、機器内部の制御コマンドデータに変換して、制御コマンドを発行する。制御コマンドは、PCI−Expressバスを介してCPU6に通知される。CPU6は、スキャナ配信開始の制御コマンドデータにしたがって、スキャナ配信開始プロセスのプログラムを実行し、スキャナ配信動作に必要な設定や動作を順に行う。
CPU6は、バス制御装置3を介してHDD5に蓄積されている統一RGB画像データおよび付帯情報をメモリ7に蓄積させる。CPU6は、メモリ7に蓄積された統一RGB画像データおよび付帯情報を読み出し、読み出したRGB画像データをバス制御装置3を解して画像データ処理装置4に出力する。
画像データ処理装置4のフィルタ処理部40は、統一RGB画像データの鮮鋭性を、スキャナ配信する場合の再現性が良くなるように補正する。具体的には、フィルタ処理部40は、所望のモード情報にしたがって、メモリ7に蓄積されたRGB画像データに鮮鋭化/平滑化処理を施す。たとえば、文字モードでは、文字をハッキリ/クッキリとするために鮮鋭化処理を施し、写真モードでは、滑らかに階調性を表現するために平滑化処理を施す。フィルタ処理部40は、鮮鋭化/平滑化処理を施したRGB画像データを色変換部41に出力する。
色変換部41は、フィルタ処理部40から入力されたRGB画像データ(RGB各8ビットのデータ)を指定された色空間に変換する。色変換部41は、モノクロ画像データ(モノクロ8ビットのデータ)を変倍処理部42に出力する。ここでは、色変換部41は、フィルタ処理部40から入力されたRGB各8ビットのデータをスキャナ配信で一般的なsRGB色空間のRGB各8ビットのデータ(sRGB画像データ)に変換する。色変換部41は、sRGB色空間のデータに変換したsRGB画像データを変倍処理部42に出力する。
変倍処理部42は、色変換部41から入力されたsRGB画像データのサイズ(解像度)を、指定されたスキャナ配信で送受されるサイズ(解像度)に変換する。ここでは、変倍処理部42は、色変換部41から入力されたsRGB画像データのサイズ(解像度)を200dpi(主走査)×200dpi(副走査)に変換する。変倍処理部42は、指定されたスキャナ配信で送受されるサイズ(解像度)に変換したsRGB画像データを階調処理部43に出力する。
階調処理部43は、変倍処理部42から入力されたsRGB画像データに、指定されたスキャナ配信で送受される階調処理能力にしたがった階調数変換処理を施す。ここでは、階調処理部43は、RGB各8ビットの16万色が指定されるものとし、階調処理は特に実施しない。画像処理装置内に蓄積・保存したデータに対して、入力時と異なる出力を指定した場合でも、最初から出力先を指定した時の通常動作時とはなんら画像品質が変わらない。したがって、出力先の変更が容易に、著しく再利用性が向上する。
つぎに、図4〜図10を参照して、色変換部41の詳細な動作について説明する。線形マスキング処理部411は、フィルタ処理部40によって鮮鋭性が補正された各8ビットの統一RGB画像データINに線形マスキング処理を施して、各8ビットのマスキングRGB画像データmsk(msk_R,msk_G,msk_Bを示す)およびマスキングK画像データmsk_kを生成する。線形マスキング処理部411は、生成したマスキングRGB画像データmskおよびマスキングK画像データmsk_kを三次元LUT変換部412の3DLUT色変換部4121に出力する。
3DLUT色変換部4121は、線形マスキング処理部411から入力されたマスキングRGB画像データmskおよびマスキングK画像データmsk_kの画素に対応する2ビットの像域分離信号sepiが絵柄領域を示す場合には絵柄領域用LUT4121aを選択し、像域分離信号sepiが文字領域を示す場合には文字領域用LUT4121bを選択する。3DLUT色変換部4121は、選択したLUTを用いて当該画素のマスキングRGB画像データmskに対する3次元メモリマップ補間を行って、各9ビットのCMY画像データlut_cmyを生成する。
メモリマップ補間法は、三次元入力色空間を複数の単位立方体に分割し、さらに分割した各単位立方体を対称軸を共有している6個の四面体に分割し、単位立方体毎に線形演算によって出力値を求めるものであり、線型演算には分割境界の点(格子点)のデータをパラメータ(以下、格子点パラメータと呼ぶ)として用いる。
具体的には、図6に示すように、X方向、Y方向、Z方向からなる三次元入力色空間を各方向に分割(ここでは、8分割)し、三次元入力色空間を複数(ここでは、512個)の単位立方体に分割する。マスキングR画像データmsk_Rをx、マスキングR画像データmsk_Gをy、マスキングR画像データmsk_Bをzとし、マスキングRGB画像データmskの三次元入力色空間における座標をAとすると、マスキングRGB画像データmskは座標A(x,y,z)で表すことができる。3DLUT色変換部4121は、この座標Aを内包する単位立方体を選択する。
図7は、選択した単位立方体を示す図である。図7においては、格子点の座標を座標A0〜A7とし、座標A0〜A7の格子点パラメータをP0〜P7とし、入力データであるマスキングRGB画像データmskが示す座標Aの出力値をPとしている。単位立方体は、座標A0、座標A4、座標A7、座標A6からなる四面体T0(図8−1参照)、座標A0、座標A4、座標A5、座標A7からなる四面体T1(図8−2参照)、座標A0、座標A1、座標A5、座標A7からなる四面体T2(図8−3参照)、座標A0、座標A1、座標A7、座標A3からなる四面体T3(図8−4参照)、座標A0、座標A2、座標A7、座標A3からなる四面体T4(図8−5参照)、および座標A0、座標A2、座標A6、座標A7からなる四面体T5(図8−6参照)の6個の四面体に分割されている。
3DLUT色変換部4121は、座標A0を原点とした場合の座標Aの座標(下位座標)を求める。座標A0を(x0,y0,z0)とすると座標A(x,y、z)の下位座標は、(x−x0,y−y0,z−z0)で求めることができる。ここで、x−x0をΔxとし、y−y0をΔyとし、z−z0をΔzとすると、座標Aの下位座標は(Δx,Δy,Δz)となる。
3DLUT色変換部4121は、求めた下位座標の大小比較によって四面体T0〜T5を選択し、選択した四面体T0〜T5の格子点パラメータP0〜P7を補間係数として選択する。図9は、座標Aの下位座標の大小比較結果によって選択される四面体と補間係数の関係を示す図である。図9において、下位座標の大小関係として「Δx<Δy<Δz」が成り立つ場合には、四面体T0が選択され、補間係数K0として「P7−P6」の値が選択され、補間係数K1として「P6−P4」が選択され、補間係数K3として「P0」が選択される。下位座標の大小関係として「Δy≦Δx<Δz」が成り立つ場合には、四面体T1が選択され、補間係数K0として「P5−P4」の値が選択され、補間係数K1として「P7−P5」が選択され、補間係数K3として「P0」が選択される。下位座標の大小関係として「Δy<Δz≦Δx」が成り立つ場合には、四面体T2が選択され、補間係数K0として「P1−P0」の値が選択され、補間係数K1として「P7−P5」が選択され、補間係数K3として「P0」が選択される。下位座標の大小関係として「Δz≦Δy≦Δx」が成り立つ場合には、四面体T3が選択され、補間係数K0として「P1−P0」の値が選択され、補間係数K1として「P3−P1」が選択され、補間係数K3として「P0」が選択される。下位座標の大小関係として「Δz≦Δx<Δy」が成り立つ場合には、四面体T4が選択され、補間係数K0として「P3−P2」の値が選択され、補間係数K1として「P2−P0」が選択され、補間係数K3として「P0」が選択される。下位座標の大小関係として「Δx<Δz≦Δy」が成り立つ場合には、四面体T5が選択され、補間係数K0として「P7−P6」の値が選択され、補間係数K1として「P2−P0」が選択され、補間係数K3として「P0」が選択される。
絵柄領域用LUT4121aには、絵柄領域に用いる各単位立方体における四面体T0〜T5の格子点パラメータP0〜P7および後述する各種パラメータが登録され、文字領域用LUT4121bには、文字領域に用いる各単位立方体における四面体T0〜T5の格子点パラメータP0〜P7および後述する各種パラメータが登録されている。また、格子点パラメータP0〜P7および各種パラメータは、それぞれC,M,Y毎にそれぞれの値が登録されている。
3DLUT色変換部4121は、像域分離信号sepiが絵柄領域を示す場合には絵柄領域用LUT4121aの単位立方体における四面体T0〜T5の格子点パラメータP0〜P7を選択し、像域分離信号sepiが文字領域を示す場合には文字領域用LUT4121bの単位立方体における四面体T0〜T5の格子点パラメータP0〜P7を選択して、下記の式1−1〜1−3を用いて座標Aに対する線形補間の出力pout(pout_c、pout_m、pout_yを示す)を求める。
pout_c=
K0_C×Δx+K1_C×Δy+K2_C×Δz+K3_C …式1−1
pout_m=
K0_M×Δx+K1_M×Δy+K2_M×Δz+K3_M …式1−2
pout_y=
K0_Y×Δx+K1_Y×Δy+K2_Y×Δz+K3_Y …式1−3
なお、K0_C〜K3_Cは、Cに対する補間係数K0〜K3であり、K0_M〜K3_Mは、Mに対する補間係数K0〜K3であり、K0_Y〜K3_Yは、Yに対する補間係数K0〜K3である。
絵柄領域用LUT4121aおよび文字領域用LUT4121bには、入力in(RGB画像データが示す座標)によって選択された単位立方体の四面体の格子点パラメータを用いて上記式1(式1−1〜式1−3を示す)によって求められる出力poutと入力inとの関係から求められる図10に示すような傾きlutslopeおよび切片lintcが登録されている。3DLUT色変換部4121は、傾きlutslopeおよび切片lintcを用いて上記式1によって求めた出力poutを、下記の式2−1〜式2−3によって正規化してCMY画像データlut_cmyを求める。
lut_c=(pout_c*lutslope)−limtc …式2−1
lut_m=(pout_m*lutslope)−limtc …式2−2
lut_y=(pout_y*lutslope)−limtc …式2−3
なお、式2(式2−1〜式2−3を示す)において、*はべき乗を示す。また、3DLUT色変換部4121は、像域分離信号sepiが絵柄領域を示す場合には絵柄領域用LUT4121aに登録されている傾きlutslopeおよび切片lintcを用い、像域分離信号sepiが文字領域を示す場合には文字領域用LUT4121bに登録されている傾きlutslopeおよび切片lintcを用いる。
なお、三次元LUTの出力プレーン毎(CMY毎)に拡張する範囲を変更するようにしてもよい。この場合には、傾きlutslopeおよび切片lintcを出力プレーン毎に設定しておき、下記の式3−1〜式3−3を用いて正規化すればよい。
lut_c=(pout_c*lutslope_c)−limtc_c …式3−1
lut_m=(pout_m*lutslope_m)−limtc_m …式3−2
lut_y=(pout_y*lutslope_y)−limtc_y …式3−3
なお、式3(式3−1〜式3−3を示す)において、*はべき乗を示す。
このように出力プレーン毎に拡張する範囲を変更した場合、色再現域が広い拡張RGB空間とカラー画像出力装置の色再現範囲(ガマット)の形状が大きく異なる場合でも、色変換テーブルの規模を増大させることなく、カラー画像出力装置の色に高精度に変換することが可能となる。
3DLUT色変換部4121は、求めたCMY画像データlut_cmyが負の場合にはCMY画像データを「0」にクリップする。3DLUT色変換部4121は、9ビットのCMY画像データlut_cmyをUCR処理部414とmink算出部4122とに出力する。
mink算出部4122は、3DLUT色変換部4121によって生成されたCMY画像データlut_cmyの最小値minkを算出する。mink算出部4122は、算出した最小値minkが256以上の場合には255にクリップして最小値minkを255以下の値にする。mink算出部4122は、8ビットの最小値minkをセレクタ4123に出力する。
セレクタ4123は、像域分離信号sepiが絵柄領域を示す場合にはmink算出部4122から入力された最小値minkを選択し、像域分離信号sepiが文字領域を示す場合には線形マスキング処理部411から入力されたマスキングK画像データmsk_kを選択する。セレクタ4123は、選択した最小値minkまたはマスキングK画像データmsk_kをK画像データlut_kとしてGCR処理部413に出力する。
GCR処理部413は、GCRモード信号gcr_mode、像域分離信号sepiおよび特徴量gcr_edgeiに基づいて三次元LUT変換部412のセレクタ4123から入力されたK画像データlut_kに対して墨生成を行う。
GCRモード信号gcr_modeは、像域分離信号sepiを有効にするか否かを示す信号であって、ユーザーからの直接のモード指定、またはユーザーが入力したモードからCPUが生成する。ここでは、GCRモード信号gcr_modeは2ビットの信号であって、絵柄領域を有効とするか否かおよび文字領域を有効とするか否かを示している。
像域分離信号sepiが絵柄領域を示しておりかつGCRモード信号gcr_modeが絵柄領域を有効にすることを示している場合、または像域分離信号sepiが文字領域を示しておりかつGCRモード信号gcr_modeが文字領域を無効にすることを示している場合、GCR処理部413は、フィルタ処理部40から入力される特徴量gcr_edgeiが示すエッジの情報に応じてGCR処理を行なう。
具体的には、特徴量gcr_edgeiの大きさに応じてGCR処理に用いるパラメータgslopepおよびパラメータgintpを変化させ、特徴量gcr_edgeiが小さいほどパラメータgslopepおよびパラメータgintpを低墨の値とし、特徴量gcr_edgeiが大きいほどパラメータgslopepおよびパラメータgintpを高墨の値とする。
GCR処理部413は、三次元LUT変換部412のセレクタ4123から入力されたK画像データlut_kと、特徴量gcr_edgeiに応じたパラメータgslopepおよびパラメータgintpを用いて、下記の式4を用いてGCR処理後の絵柄領域用のK画像データadpkを求める。
adpk=(gslopep*lut_k)−gintp …式4
なお、式4において*はべき乗を示す。
また、GCR処理部413は、GCR処理後の絵柄領域用のK画像データadpkと、フィルタ処理部40から入力される特徴量gcr_edgeiが示すエッジの情報に応じたパラメータuslopepおよびパラメータuintpを用いて、UCR処理部414で用いるK画像データadpucrkを求める。具体的には、特徴量gcr_edgeiの大きさに応じてパラメータuslopepおよびパラメータuintpを変化させ、特徴量gcr_edgeiが小さいほどパラメータgslopepおよびパラメータgintpを低墨の値とし、特徴量gcr_edgeiが大きいほどパラメータgslopepおよびパラメータgintpを高墨の値とする。
GCR処理部413は、上記式4によって求めたK画像データadpkと、特徴量gcr_edgeiに応じたパラメータuslopepおよびパラメータuintpを用いて、下記の式5からUCR処理部414で用いるK画像データadpucrkを求める。
adpucrk=(uslopep*adpk)−uintp …式5
なお、式5において*はべき乗を示す。
一方、像域分離信号sepiが文字領域を示しておりかつGCRモード信号gcr_modeが文字領域を有効にすることを示している場合、または像域分離信号sepiが絵柄領域を示しておりかつGCRモード信号gcr_modeが絵柄領域を無効にすることを示している場合、GCR処理部413は、フィルタ処理部40から入力される特徴量gcr_edgeiが示すエッジの情報に依存することなく予め定められた文字領域用のパラメータgslopecおよびパラメータgintcを用いてGCR処理を行なう。
具体的には、GCR処理部413は、三次元LUT変換部412のセレクタ4123から入力されたK画像データlut_kと、パラメータgslopecおよびパラメータgintcを用いて、下記の式6を用いてGCR処理後の文字領域用のK画像データfixkを求める。
fixk=(gslopec*lut_k)−gintc …式6
なお、式6において*はべき乗を示す。
また、GCR処理部413は、上記式6によって求めた文字領域用のK画像データfixkと、予め定められたパラメータuslopecおよびパラメータuintcを用いて、下記式7から、UCR処理部414で用いるK画像データfixucrkを求める。
fixucrk=(uslopec*fixk)−uintc …式7
なお、式7において*はべき乗を示す。
GCR処理部413は、上記式4によって求めたK画像データadpk、または式6によって求めたK画像データfixkが負の場合には0にクリップし、K画像データadpkまたはK画像データfixkが256以上の場合には255にクリップして、8ビットのGCR処理後のK画像データgcr_bkとして変倍処理部42に出力する。
また、GCR処理部413は、上記式5によって求めたK画像データadpucrk、または式7によって求めたK画像データfixucrkが負の場合には0にクリップし、K画像データadpucrkまたはK画像データfixucrkが256以上の場合には255にクリップして、8ビットのucr処理用のK画像データucr_bkとしてUCR処理部414に出力する。
UCR処理部414は、UCRモード信号ucr_modeとGCR処理部413によって生成されたK画像データucr_bkとに基づいて、三次元LUT変換部412によって生成されたCMY画像データlut_cmyに対してUCR処理を行なってCMY画像データlut_cmyを補正する。
UCRモード信号ucr_modeは、濃度ノッチの変更等による高濃度つぶれを防止する過分補正処理を行なうか否かを示す信号であり、ユーザーからの直接の指定、またはユーザーが入力したモードからCPUが生成する。ここでは、UCRモード信号ucr_modeは2ビットの信号であって、絵柄領域に対して過分補正処理を行なうか否か、文字領域に対して過分補正処理を行なうか否かを示している。
像域分離信号sepiが絵柄領域を示しており、かつUCRモード信号ucr_modeが絵柄領域の過分補正処理を行なうことを示している場合、または像域分離信号sepiが文字領域を示しており、かつUCRモード信号ucr_modeが文字領域の過分補正処理を行なうことを示している場合、UCR処理部414は、C画像データlut_cが256以上の場合には下記の式8−1を用い、C画像データlut_cが256より小さい場合には下記の式9−1を用いて補正後のC画像データhlut_cを求め、M画像データlut_mが256以上の場合には下記の式8−2を用い、M画像データlut_mが256より小さい場合には下記の式9−2を用いて補正後のM画像データhlut_mを求め、Y画像データlut_yが256以上の場合には下記の式8−3を用い、Y画像データlut_yが256より小さい場合には下記の式9−3を用いて補正後のY画像データhlut_yを求める。
hlut_c=(256+(lut_c&0x00ff))/2 …式8−1
hlut_m=(256+(lut_m&0x00ff))/2 …式8−2
hlut_y=(256+(lut_y&0x00ff))/2 …式8−3
hlut_c=lut_c …式9−1
hlut_m=lut_m …式9−2
hlut_y=lut_y …式9−3
一方、像域分離信号sepiが絵柄領域を示しており、かつUCRモード信号ucr_modeが絵柄領域の過分補正処理を行なわないことを示している場合、または像域分離信号sepiが文字領域を示しており、かつUCRモード信号ucr_modeが文字領域の過分補正処理を行なわないことを示している場合、UCR処理部414は、C画像データlut_cが256以上の場合には下記の式10−1を用い、C画像データlut_cが256より小さい場合には下記の式11−1を用いて補正後のC画像データhlut_cを求め、M画像データlut_mが256以上の場合には下記の式10−2を用い、M画像データlut_mが256より小さい場合には下記の式11−2を用いて補正後のM画像データhlut_mを求め、Y画像データlut_yが256以上の場合には下記の式10−3を用い、Y画像データlut_yが256より小さい場合には下記の式11−3を用いて補正後のY画像データhlut_yを求める。
hlut_c=255 …式10−1
hlut_m=255 …式10−2
hlut_y=255 …式10−3
hlut_c=lut_c …式11−1
hlut_m=lut_m …式11−2
hlut_y=lut_y …式11−3
すなわち、過分補正処理を行う場合には過分に応じた補正を行い、過分補正処理を行わない場合には過分量に依存することなく最大値255にクリップし、過分補正処理を行う場合でも行わない場合でも、CMY画像データlut_cmyが最大値255以下である場合にはその画像データの値をそのまま用いる。
UCR処理部414は、補正処理後のCMY画像データhlut_cmyそれぞれからGCR処理部413から入力されるK画像データucr_bkを減算する。UCR処理部414は、CMY画像データhlut_cmyそれぞれからGCR処理部413から入力されるK画像データucr_bkを減算した値が負の場合には0にクリップし、減算した値が256以上の場合には255にクリップして、8ビットのCMY画像データucr_cmy(ucr_c,ucr_m,ucr_yを示す)としてUCA処理部415に出力する。
UCA処理部415は、UCAモード信号uca_modeおよびGCR処理部413によって生成されたK画像データgcr_bkに基づいて、UCR処理部414によって生成されたCMY画像データucr_cmyに対してUCR処理を行ってCMY画像データucr_cmyを補正する。
UCR処理部414では、補正後のCMY画像データhlut_cmyからUCR処理用のK画像データucr_bkを減算してCMY画像データucr_cmyを生成している。しかし、このUCR処理では墨量を引きすぎてしまうため、GCR処理部413によって生成した墨量であるK画像データgcr_bkによってUCR処理部414で引きすぎた値を補正することがある。UCAモード信号uca_modeは、この補正を行うか否かを示す信号であり、ユーザーからの直接の指定、またはユーザーが入力したモードからCPUが生成する。ここでは、UCAモード信号uca_modeは2ビットの信号であって、絵柄領域に対して補正処理を行なうか否か、文字領域に対して補正処理を行なうか否かを示している。
像域分離信号sepiが絵柄領域を示しておりかつUCAモード信号uca_modeが絵柄領域の補正処理を行なうことを示している場合、または像域分離信号sepiが文字領域を示しておりかつUCAモード信号uca_modeが文字領域の補正処理を行なうことを示している場合、UCA処理部415は、下記の式12−1〜式12−3を用いてCMY画像データucr_cmyを補正したCMY画像データuca_cmyを求める。
uca_c=(ucr_c × (256+ucr_bk))/256 …式12−1
uca_m=(ucr_m × (256+ucr_bk))/256 …式12−2
uca_y=(ucr_y × (256+ucr_bk))/256 …式12−3
UCA処理部415は、上記式12(式12−1〜式12ー3を示す)によって補正したCMY画像データuca_cmyが負の場合には0でクリップし、補正したCMY画像データuca_cmyが256以上の場合には255にクリップして8ビットのCMY画像データuca_cmyを変倍処理部42に出力する。
一方、像域分離信号sepiが絵柄領域を示しておりかつUCAモード信号uca_modeが絵柄領域の補正処理を行なわないことを示している場合、または像域分離信号sepiが文字領域を示しておりかつUCAモード信号uca_modeが文字領域の補正処理を行なわないことを示している場合、UCA処理部415は、CMY画像データucr_cmyをそのままCMY画像データuca_cmyとして変倍処理部42に出力する。
このように、この実施の形態においては、原稿を読み取って3次元の色空間で表現されるRGBの色信号の入力画像データおよび入力画像データの属性を示す付帯情報を生成する読取り装置1と、読取り装置1によって生成された入力画像データを所定の特性に統一した統一画像データを生成する画像データ処理装置2(特許請求の範囲でいうところの第1の画像データ処理装置)と、画像データ処理装置2によって生成された統一画像データおよび付帯情報を記憶するメモリ7と、メモリ7に記憶された統一画像データとは異なるCMYKの色信号の出力画像データを生成する画像データ処理装置4(特許請求の範囲でいうところの第2の画像データ処理装置)と、画像データ処理装置4によって生成された出力画像データを印字するプロッタ装置9(特許請求の範囲でいうところの画像書込み装置)と、FAX15(特許請求の範囲でいうところの外部出力装置)と接続するインターフェース機能を有し、画像データ処理装置4によって生成された出力画像データをFAX15に出力する回線I/F装置11(特許請求の範囲でいうところのインターフェース装置)と、PC16(特許請求の範囲でいうところの外部出力装置)と接続するインターフェース機能を有し、画像データ処理装置4によって生成された出力画像データをPC16に出力する外部I/F装置12(特許請求の範囲でいうところのインターフェース装置)とを備え、画像データ処理装置2が、読取り装置1によって生成された入力画像データをプロッタ装置9、FAX15、およびPC16に対応する特性に統一し、画像データ処理装置4が、3次元ルックアップテーブルを用いてメモリ7に記憶された統一画像データをRGBからCMYKに色変換し、色変換によって得られたCMYK画像データの値域をプロッタ装置9、FAX15、およびPC16が再現できる色域よりも大きな色域まで仮想的に拡張した後に、拡張した画像データの値域を出力画像データの出力先となるプロッタ装置9、FAX15、またはPC16が再現できる色域の値域にクリップし、クリップした画像データを出力画像データとして出力するようにしているため、読取り装置1によって原稿から生成したRGBの入力画像データを、プロッタ装置9、FAX15、およびPC16に再利用することを可能とするとともに、色変換テーブルの規模を増大させることなく、色再現範囲(ガマット)が制限されたカラー画像出力装置の色に高精度に変換できる。具体的には、画像処理を実施する共通の色空間として、たとえば、標準モニタを想定したsRGB空間より色再現域が広い拡張RGBが設定された場合でも、補間併用系の色変換テーブルの規模を増大させることなく、色再現範囲(ガマット)が制限されたカラー画像出力装置の色に高精度に補正することができる。
また、この実施の形態によれば、拡張した画像データの値域をクリップした画像データに対してUCR処理部414が像域分離信号sepiおよびユーザーからのモード指定によるUCRモード信号ucr_modeに基づいて下色除去の墨処理を施し、UCR処理部414が、像域分離信号sepiおよびユーザーからのモード指定によるUCAモード信号uca_modeに基づいて下色加色の墨処理を施した画像データを出力画像データとして出力するようにしているため、入力カラー画像の特性に応じて、色変換テーブルの規模を増大させることなく、カラー画像出力装置の色再現範囲(ガマット)を最大限に活用しながら、効果的な墨処理を行なうともに、文字・絵柄等に適したカラーマッチング処理することができる。
さらに、この実施の形態によれば、像域分離信号sepiに基づいて絵柄領域と文字領域の画像データに対して拡張する範囲を変更するようにしているため、入力カラー画像の特性に応じて、PC16で作成されたグラフィック文書で頻繁に使われる飽和色の色再現の制御と、色再現域境界部での高精度な色再現とを両立することができる。
なお、この実施の形態の画像データ処理装置2のγ変換部20、フィルタ処理部21、色変換部22、および変倍処理部23によって実現される前述した各機能と、画像データ処理装置2のフィルタ処理部40、色変換部41、変倍処理部42、および階調処理部43によって実現される前述した各機能とを、汎用のコンピュータに実行させるための画像処理プログラムとして提供してもよい。この場合、画像処理プログラムは、コンピュータにインストール可能な形式、またはコンピュータが実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フロッピー(登録商標)ディスク、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供する。記録媒体に記録された画像処理プログラムは、記録媒体から読み出されてコンピュータ上で実現される。
この発明にかかる画像処理プログラムを実行するコンピュータは、少なくとも制御装置と、記憶装置とを備えている。制御装置は、コンピュータ全体を制御するCPUなどの演算処理装置と、ROMとを備えている。記憶装置は、一般的なRAMで構成され、処理に必要なデータを記憶するとともに、処理のワークメモリとして用いられる。制御装置は、画像処理プログラムが記録されている記録媒体から画像処理プログラムを読み出して実行することで、画像データ処理装置2のγ変換部20、フィルタ処理部21、色変換部22、および変倍処理部23によって実現される前述した各機能と、画像データ処理装置2のフィルタ処理部40、色変換部41、変倍処理部42、および階調処理部43によって実現される前述した各機能としてコンピュータを動作させる。
また、画像処理プログラムをネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワークを介してダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、画像処理プログラムをネットワークを介して提供または配布するように構成してもよい。