JP4739739B2 - 固定式ベルトテンショナ - Google Patents

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Description

この発明は、カム軸駆動用のタイミングベルトやオルタネータ等の自動車補機を駆動する補機用ベルトの張力を所定の張力に調整する固定式ベルトテンショナに関するものである。
一般に、自動車のベルト伝動装置においては、固定式のベルトテンショナによってベルトの張力を調整するようにしている。
図６は、従来から知られている固定式ベルトテンショナのプーリユニットを示す。このプーリユニットは、ベルトを案内するテンションプーリ４０と、そのテンションプーリ４０を回転自在に支持する軸受４１と、その軸受４１の内輪４１ａ内径面に圧入された鍔付のスリーブ４２と、そのスリーブ４２の鍔４２ａと上記内輪４１ａの側面とで一端部が挟持されたブラケット４３とから成り、上記ブラケット４３の他端部にテンションプーリ４０の径方向に延びるねじ孔４４を設けている。
上記プーリユニットは、ねじ孔４４にねじ係合される位置調整ボルトをエンジン側ブラケットで回転自在に支持することによりベルト伝動装置への組付けとされ、その組付け状態で位置調整ボルトを回動操作し、テンションプーリ４０を径方向に移動させてベルトの張力を調整するようにしている。
また、ベルトの張力調整後は、スリーブ４２の内側に挿入されて先端部がテンショナ取付け対象を貫通する固定ボルトとその固定ボルトにねじ係合されるナットの締付けによってテンションプーリ４０を調整位置で固定するようにしている。
ところで、上記固定式ベルトテンショナにおいては、軸受４１の内輪４１ａ内径面に対する鍔付スリーブ４２の圧入に際し、図６に示すように、台座５０で内輪４１ａの一側面を支持し、内輪４１ａの他側面に位置させたスリーブ４２を内輪４１ａと同軸上に保持して治具５１で鍔４２ａを押し込むようにしているが、従来は、上記治具５１によって鍔４２ａの内周部を押し込むようにしているため、スリーブ４２の圧入により鍔４２ａが外方に変形し易く、図７に示すように、鍔４２ａとブラケット４３との間に隙間４５が形成されることが多くあった。
この場合、スリーブ４２の鍔４２ａとブラケット４３の接触面積が小さくなって摩擦力が低減する。このため、ベルトテンショナを実車に組付けた使用状態でベルトからテンションプーリ４０に押圧力が負荷されると、軸受４１とスリーブ４２に曲げモーメントが加わってブラケット４３と鍔４２ａの相互間にガタが生じ、ブラケット４３が変形し、あるいは破損し易くなり、耐久性に問題が生じる。
この発明の課題は、ブラケットとスリーブの鍔間に隙間が形成されることのない耐久性に優れた固定式ベルトテンショナを提供することである。
上記の課題を解決するために、ブラケットの一端部に形成されたスリーブ挿入孔に鍔付スリーブを挿入し、このスリーブの鍔を押し込むことにより、そのスリーブをベルトの張力調整用のテンションプーリを回転自在に支持する軸受の内輪内径面に圧入し、そのスリーブの鍔と前記内輪の側面とで張力調整用のブラケットの一端部を両側から挟持し、上記ブラケットの他端部にテンションプーリの径方向に延びるねじ孔を設け、そのねじ孔にねじ係合した位置調整ボルトの回動によりテンションプーリを径方向に位置調整し、上記スリーブの内側に挿入されて先端部がテンショナ取付け対象を貫通する固定用ボルトおよびそのボルトにねじ係合されたナットの締付けによってテンショナ取付け対象にテンションプーリを固定する固定式ベルトテンショナにおいて、前記スリーブの圧入前の自然状態で鍔の前記ブラケットと対向する側面のスリーブ中心線に対する角度を９０°未満とし、前記鍔の外周部を押圧して前記軸受の内輪内径面にスリーブを圧入した構成を採用したのである。
ここで、スリーブの鍔と対向する側面にスリーブの中心線を中心とする環状の凹部を形成すると、鍔の角度を安定して９０°未満に加工することができる。
また、スリーブの外径面と鍔の側面とが交差するコーナ部に斜め内方向に向くぬすみを設けると、鍔の剛性が低下するため、スリーブの圧入後に、鍔が外方に反り返るのを防止することができ、鍔の側面全体がブラケットに面接触する安定した組立て状態を得ることができる。
上記のように、スリーブの中心線に対する鍔の角度を９０°未満とすることによって、軸受の内輪内径面に対するスリーブの圧入により、鍔の側面全体がブラケットに面接触して、上記鍔とブラケット間に隙間が形成されることがなく、耐久性に優れた固定式ベルトテンショナを得ることができる。
以下、この発明の実施の形態を図１乃至図５に基づいて説明する。図１および図２に示すように、固定式ベルトテンショナは、プーリユニット１と、そのプーリユニット１を支持するエンジン側ブラケット１０と、そのエンジン側ブラケット１０にプーリユニット１を固定する固定用ボルト２０およびナット２１を有している。
プーリユニット１は、テンションプーリ２と、そのテンションプーリ２を回転自在に支持する軸受３と、その軸受３の内輪３ａの内径面に圧入された鍔付きのスリーブ４と、そのスリーブ４の鍔４ａと内輪３ａの一側面とで一端部が挟持されたブラケット５とから成っている。
ブラケット５はスリーブ挿入孔６を一端部に有し、他端部にはテンションプーリ２の径方向に延びるねじ孔７が形成され、そのねじ孔７に調整ボルト８がねじ係合されている。
調整ボルト８はエンジン側ブラケット１０に設けられた支持片１１によって回転自在に支持されている。このため、調整ボルト８を回転すると、プーリユニット１がテンションプーリ２の径方向に移動し、上記テンションプーリ２に案内されるベルトＡの張力を調整することができる。
軸受３の内輪３ａの他側面とエンジン側ブラケット１０の表面間には円筒形の間隔ピース１２が組込まれている。
固定用ボルト２０はスリーブ４および上記間隔ピース１２の内側に挿通され、さらにエンジン側ブラケット１０に形成されたガイド孔１３内に挿通されて先端部がエンジン側ブラケット１０の背面側に臨み、その固定用ボルト２０の先端部にナット２１がねじ係合され、上記固定用ボルト２０とナット２１の締付けによってテンションプーリ２は調整位置で固定される。
ここで、エンジン側ブラケット１０に形成されたガイド孔１３はテンションプーリ２の径方向に長く延びる長孔とされ、テンションプーリ２の径方向への位置調整時に、固定用ボルト２０がガイド孔１３に沿って移動するようになっている。
上記の構成からベルトテンショナにおいて、プーリユニット１の組立てに際しては、テンションプーリ２の内径面に圧入された軸受３の内輪３ａの一側面側にブラケット５およびスリーブ４を配置し、そのブラケット５のスリーブ挿入孔６内にスリーブ４を挿入し、このスリーブ４を軸受３と同軸上に保持して、軸受３の内輪３ａ他側面を台座３０で支持する状態でスリーブ４の鍔４ａの外周部全体を治具３１で押し込むようにする。
ここで、スリーブ４の圧入前の自然状態では、鍔４ａのスリーブ中心線に対する角度は９０°未満とされている。図３のαは鍔４ａの角度を示している。
上記のようなスリーブ４の鍔４ａの外周部全体を治具３１で押圧して内輪３ａの内径面に圧入することにより、図３に示すように、鍔４ａの側面全体がブラケット５に面接触する安定した組立て状態を得ることができる。
このため、図１および図２に示すベルトテンショナの使用において、ベルトＡからテンションプーリ２に押圧力が負荷されてスリーブ４および内輪３ａに回転モーメントが作用しても、ブラケット５とスリーブ４の鍔４ａ間にガタが生じることはない。
このため、ブラケット５の変形や破損を防止し、耐久性に優れたベルトテンショナを得ることができる。
ここで、図５に示すように、スリーブ４に形成された鍔４ａのブラケット５と対向する側面に環状の凹部９ａを形成し、その凹部９ａより外側の外周面を研磨加工することによって、鍔４ａの角度αを安定して９０°未満に加工することができる。
また、スリーブ４の外径面と鍔４ａの側面とが交差するコーナ部に斜め方向に向くぬすみ９ｂを形成すると、鍔４ａの剛性が低下するため、スリーブ４の圧入後に鍔４ａが外方向に反り返って傾斜するのを防止することができ、鍔４ａの側面がブラケット５の表面に密着する安定した組立て状態をより確実に確保することができる。
この発明に係るベルトテンショナの正面図 図１のII−II線に沿った断面図 ブラケットの連結部を示す拡大断面図 スリーブの圧入状態を示す断面図 スリーブの他の連結部を示す拡大断面図 従来のベルトテンショナを示す縦断側面図 図６のブラケット連結部を示す拡大断面図
符号の説明
１ プーリユニット
２ テンションプーリ
３ 軸受
３ａ 内輪
４ スリーブ
５ ブラケット
７ ねじ孔
８ 調整ボルト
１０ エンジン側ブラケット
２０ 固定用ボルト
２１ ナット

Claims (3)

  1. ブラケットの一端部に形成されたスリーブ挿入孔に鍔付スリーブを挿入し、このスリーブの鍔を押し込むことにより、そのスリーブをベルトの張力調整用のテンションプーリを回転自在に支持する軸受の内輪内径面に圧入し、そのスリーブの鍔と前記内輪の側面とで張力調整用のブラケットの一端部を両側から挟持し、上記ブラケットの他端部にテンションプーリの径方向に延びるねじ孔を設け、そのねじ孔にねじ係合した位置調整ボルトの回動によりテンションプーリを径方向に位置調整し、上記スリーブの内側に挿入されて先端部がテンショナ取付け対象を貫通する固定用ボルトおよびそのボルトにねじ係合されたナットの締付けによってテンショナ取付け対象にテンションプーリを固定する固定式ベルトテンショナにおいて、
    前記スリーブの圧入前の自然状態で鍔の前記ブラケットと対向する側面のスリーブ中心線に対する角度を９０°未満とし、前記鍔の外周部を押圧して前記軸受の内輪内径面にスリーブを圧入したことを特徴とする固定式ベルトテンショナ。
  2. 前記スリーブの鍔のブラケットと対向する側面に、スリーブ中心線を中心とする環状の凹部を形成した請求項１に記載の固定式ベルトテンショナ。
  3. 前記スリーブの外径面と鍔の側面とが交差するコーナ部に斜め内方向に向くぬすみを設けた請求項１又は２に記載の固定式ベルトテンショナ。
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