次に、本発明の第1実施形態に係る遊技機について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態では本発明を弾球遊技機の一例であるパチンコ機に適用した構成を説明する。
(1)パチンコ機の前面側の全体構造
図1及び図2に示すように、パチンコ機(遊技機)10は、外枠12と、この外枠12に装着された遊技機本体14と、を備えている。この外枠12は、図3に示すように、パチンコホールの島設備Sに設けられた設置部位S1に固定されるとともに、遊技機本体14を支持するためのものである。
図1及び図2に示すように、外枠12は、略矩形状の枠状体によって構成される外枠本体16と、外枠本体16の前面下部を覆う前板部18と、を備えている。このうち外枠本体16は、上下に一対の水平板16Aと、左右に一対の立設板16Bと、を備えている。そして、両水平板16Aは、上下に所定の間隔をおいて立設配置されるとともに、左右方向に長尺とされている。また、両立設板16Bは、左右に所定の間隔をおいて立設配置されるとともに、上下方向に長尺とされている。
遊技機本体14は、外枠12の左側上下のヒンジH1、H2を用いて、外枠12の左端側に回動自在に組み付けられている。この遊技機本体14は、パチンコ機10のうち外枠12を除く部分であって、図1に示すように、中枠20と、前面枠(ガラス扉枠、ガラス扉)22と、上皿部材24と、下皿部材26と、前側遊技盤28(第1遊技盤)と、後側遊技盤30(第2遊技盤)と、裏機構盤31(図3参照)等をその主要部としている。
中枠20は、外枠12の内側に嵌めこまれ、外枠12に対して開閉可能に軸支されている。なお、中枠20の右端側には、施錠装置32が装着されている。この施錠装置32は、中枠20を外枠12に施錠したり、前面枠22や上皿部材を中枠20に施錠するために用いられる。
中枠20は、全体がプラスチック製であり、図3に示すように、枠状体によって構成されている。この中枠20は、上半部に窓部20Aを備える枠本体部20Bと、枠本体部20Bの裏面部から略矩形枠状に突出する突出部20Cと、を備えている。そして、中枠20は、この突出部20Cを用いて前側遊技盤28及び後側遊技盤30を保持するための保持部を構成している。この突出部20Cは、枠本体部20Bの裏面部のうちで、枠本体部20Bの周縁部よりも内側であって、窓部20Aよりも外側の部位から突出している。そして、突出部20Cの内側の壁面部20Dと、枠本体部20Bの裏面部のうちの窓部20A周辺に位置するとともに壁面部20Dよりも内側に位置する部位である窓部周辺部20Eとが、略直交する状態とされる。なお、前側遊技盤28と後側遊技盤30との間にはスペーサ部材34が介在しており、前側遊技盤28と後側遊技盤30との間の離間距離が任意の離間距離で維持できるように設定されている。
また、突出部20Cの突端面であって、窓部20Aの左方側の上下と、窓部20Aの右方側の上下には、保持具21が装着されている。この保持具21は、突出部20Cの突端面に回動可能な状態で装着され、その回動軸心回りに回動すると、その突端部21A側を窓部周辺部20Eの後方に配置させる保持状態(図3参照)と、突端部21A側を窓部周辺部20Eの後方から退避させる解除状態と、を実現することができる。そして、保持具21を解除状態としつつ、各遊技盤28、30の前面部を前方に向けつつ、突出部20Cに嵌合するとともに、前側遊技盤28の前面部の周縁側を窓部周辺部20Eに当接させる。この後、保持具21を保持状態とし、この保持状態とされた保持具21を、後側遊技盤30の後面部に当接させ、各遊技盤28、30が中枠20により保持された状態となっている。
このように、中枠20が各遊技盤28、30を保持したとき、「前側遊技盤28の前面部に構成される前側遊技領域46」を、窓部20Aによって、中枠20の前方から視認することができる。また、詳細は後述するが、前側遊技盤28の背面側(後方側)には、後側遊技盤30が配置されており、前側遊技盤28は透過性部材(無職透明なものが好ましい)で構成されているため、中枠20の前方から前側遊技盤28を介して後側遊技盤30を視認することもできる。
前面枠22は、ガラス扉枠の具体例を構成するものであり、図1に示すように、中枠20の前面側に配置され、中枠20の左端に開閉可能に支持されている。この前面枠22は、扉枠本体36と、ガラス板38と、ガラス板38を扉枠本体36に保持させる(取り付ける)ための保持部材(図示省略)と、を備えている。
扉枠本体36は、レンズ状のプラスチックを主体に構成され、円形状の開口部36Aを有している。この開口部36Aは、扉枠本体36の前面部及び後面部を貫通する状態に設けられている。そして、前面枠22を閉じた状態としたときに、前面枠22の奥側(後方側)に配置される前側遊技盤28の盤面(前側遊技領域46)を、前方(遊技者の側)から視認可能とするためのものである。つまり、この開口部36Aは、前側遊技盤28に形成された前側遊技領域(図4参照)46の形状に対応して、略円周状に形成されている。
ここで、前側遊技盤28は透過性部材で構成されているため、前側遊技盤28の背後に配置される後側遊技盤30についても、開口部36Aの前方側から視認することができる。すなわち、後側遊技盤30は、開口部36Aの前方側(遊技者の側)から、ガラス板38及び前側遊技盤28を介して(透過させて)視認することが可能になる。
図2に示すように、前面枠22において、開口部36Aの周縁の部位には、各種のLED基板22B、22C、22D、22E、22F、22G、22Hが内蔵されている。また、何れのLED基板22B〜22Hも、プリント配線基板と、プリント配線基板に搭載された複数のLEDランプと、を備えている。そして、これらのLED基板22B〜22Hを構成するLEDランプは、目的(遊技効果を高める目的、賞球を報知する目的、パチンコ機10にエラーが生じたことを報知する目的)に応じて、点灯及び消灯したり、点滅する。
図1及び図2に示すように、前面枠22の上端部側の左右には、各々、スピーカSP1、SP2が内蔵されている。また、本パチンコ機10においては、前板部18の左右両端にも、スピーカSP3、SP4が内蔵されている。
遊技機本体22の前面部のうちで、前面枠22の下方の部位が、上皿部材24と下皿部材26とを備える構成とされている。つまり、上皿部材24は、前面枠22の下方に配置され、下皿部材26は上皿部材24の下方に配置されている。また、上皿部材24は、パチンコ機10の内部の遊技球を、上皿部材24には移出するための排出口24B等を備えている。
また、上皿部材24の上面部には、球貸操作部24Cと、操作スイッチSWが配置されている。また、上皿部材24の外郭部分も、レンズ状のプラスチックを主体に構成され、上皿部材24の内部にも、LED基板22Iが内蔵されている(図2参照)。
図1及び図2に示すように、下皿部材26の略中央には、パチンコ機10の内部から遊技球を排出するための排出口26Aが設けられている。また、下皿部材26の左端には灰皿26Bが設けられ、下皿部材26の右端には発射ハンドル40が設けられている。また、下皿部材26の底面には球抜き孔(図示省略)が形成されている。この球抜き孔は、通常時には、閉鎖されているが、下皿部材26に貯留された遊技球をパチンコ機10から排出する際に開放状態とされる。
発射ハンドル40は、発射装置ユニット(図示省略)に接続されている。この発射ハンドル40には、遊技者がハンドルに触れていることを検出するタッチスイッチ40Aが装着されており、その近傍には、遊技球の発射を一時的に停止するための発射停止スイッチ40Bが装着されている。また、前述の施錠装置32は、正面視すると鍵穴を備えた略長方形状を呈し、前面枠22を閉鎖した場合に施錠するためのものである。
(2)遊技盤の構成
次に、パチンコ機10に装着される遊技盤について説明する。
図4乃至図6に示すように、本実施形態では、前側遊技盤(第1遊技盤)28と、前側遊技盤28の後方に所定の離間距離を維持して配置された後側遊技盤(第2遊技盤)30と、の2つの遊技盤で構成されている。各遊技盤28、30は、上記した中枠20に保持された構造となっている。
先ず、前側遊技盤28について説明する。
図4に示すように、前側遊技盤(第1遊技盤)28の前面部には、ともに帯状の金属板を用いて構成される外側レール42と、内側レール44とが配置されている。そして、前側遊技盤28の前面部において、外側レール42と内側レール44とで形成される略円形の周壁によって構成される部位が、前側遊技領域(第1遊技領域)46となる。換言すれば、前側遊技領域46は、ガラス扉枠である前面枠22と前側遊技盤28との間に形成されるものである。なお、本実施形態では、2本のレール(外側レール42、内側レール44)を用いて、前側遊技領域46の外縁部を構成する態様を例示したが、例えば、1本のレール(C字状に配設された1本のレール)を用いて前側遊技領域46の外縁部を構成することもできる。
前側遊技盤28は、透過性部材で構成されている。具体的には、前側遊技盤28は、無色透明の合成樹脂、プラスチック樹脂で構成されていることが好ましい。なお、前側遊技盤28の材質は、後方に配置されている後側遊技盤30を透過できるものであれば、他の材質でもよい。
前側遊技盤28の前側遊技領域46の上側部位であってその略中央の部位には、入球した遊技球を後側遊技盤30に誘導するための誘導入賞口48が設けられている。誘導入賞口48は、前側遊技盤28の前面部から前側に突出するように設けられた箱状本体部48Aと、箱状本体部48Aの上面に形成された開口部48Bを開閉動作により入球可能な程度に開放又は入球不可能な程度に閉塞する羽根部材48Cと、を備えている。
詳細には、図6に示すように、箱状本体部48Aは、前側遊技盤28の前面部から前側に突出するように延在した誘導底面部48Dと、誘導底面部48Dの先端部から鉛直上方に向かって前側遊技盤28の前面部との一定の離間距離を維持するように延在した鉛直壁部48Eと、鉛直壁部48E及び誘導底面部48Dの左右側両端部に接続され鉛直壁部48E及び誘導底面部48Dを前側遊技盤28に支持する支持部48Fと、を有している。
また、箱状本体部48Aの上面部には、遊技球が入球可能な開口部48Bが形成されている。この開口部48Bの近傍には、上述したように、開口部48Bを、開閉動作により入球可能な程度に開放又は入球不可能な程度に閉塞する羽根部材48Cが設けられている。この羽根部材48Cは、一対の翼片部で構成されており、各翼片部を駆動する駆動部材(図示省略)と機械的に接続されている。すなわち、各翼片部は、駆動部材により駆動可能になり、各翼片部の先端部同士が相互に近接してその離間距離が小さくなることにより開口部48Bを閉塞する。本実施形態では、各翼片部の先端部同士が相互に離間してその離間距離が大きくなることにより開口部48Bを開放する。各翼片部の先端部同士が相互に近接又は離間する動作が、上述した羽根部材48Cの開閉動作になる。なお、羽根部材48Cの開閉動作は、一般電動役物ソレノイド122などにより実現可能になる。また、各翼片部に回転軸(図示省略)を取り付け、回転軸をモータ(逗図示省略)などの駆動源により回転駆動して、羽根部材48Cの開閉動作を実現するようにしてもよい。なお、羽根部材48Cの開閉動作の原理は、従来のパチンコ機に用いられている普通電動役物を構成する電動チューリップの開閉動作の原理と同様である。
また、箱状本体部48Aで覆われた前側遊技盤28の一部には、前側遊技盤28を厚み方向に貫通した連通口50が形成されている。すなわち、この連通口50は、正面視にて帯状に開口して開口部のように構成されており、遊技球が通過可能となる大きさに設定されている。なお、この連通口50の前方には、箱状本体部48Aが配置されているため、遊技者側から連通口50を視認することはできない。
なお、本実施形態では、誘導入賞口48が、前側遊技盤28に形成される前側遊技領域46の上方部位に設けられた構成を示したが、遊技球を後側遊技盤30に誘導できるものであれば、例えば、前側遊技領域46の中央部位など、他の部位に設けられていてもよい。ただし、誘導入賞口48が設けられる位置は、遊技球が転動する後側遊技領域72の面積を広くするために、遊技球を後側遊技領域72の上方部位に誘導できる位置が好ましい。誘導入賞口48を前側遊技盤28の上方部位に設けることにより、遊技球を後側遊技盤30の上方部位に誘導することができる。なお、誘導入賞口48を前側遊技盤28の下方部位に設けた構成でも、遊技球を後側遊技盤30の上方部位に移送する遊技球移送手段(磁性ベルト、スクリューネジなど)を設けることにより、遊技球を後側遊技盤30の上方部位に移送してもよい。
また、前側遊技盤28上の前側遊技領域46の誘導入賞口48の下方に位置する部位には、特別始動口52が設けられている。特別始動口52は、前側遊技盤28の前面部から前側に突出するように設けられた特別始動口本体部52Aと、特別始動口本体部52Aの上面に形成された特別始動口用開口部52Bと、を備えている。なお、特別始動口52は、誘導入賞口48のように羽根部材48Cが設けられた構成ではなく、特別始動口用開口部52Bが常に開放している構造のものである。
詳細には、図6に示すように、特別始動口本体部52Aは、前側遊技盤28の前面部から前側に突出するように延在した特別始動口底面部52Cと、特別始動口底面部52Cの先端部から鉛直上方に向かって前側遊技盤30の前面部との一定の離間距離を維持するように延在した特別始動口壁部52Dと、特別始動口壁部52D及び特別始動口底面部52Cの左右側両端部に接続され特別始動口壁部52D及び特別始動口底面部52Cを前側遊技盤28に支持する特別始動口支持部52Eと、を有している。
また、特別始動口本体部52Aで覆われた前側遊技盤28の一部には、接続口54が形成されている。すなわち、この接続口54は、遊技球が通過可能となる大きさに設定されている。なお、この接続口54の前方には、特別始動口本体部52Aが配置されているため、遊技者側から接続口54を視認することはできない。
また、接続口54には、遊技球を後側遊技盤30ではなくパチンコ機10の遊技球貯留部(図示省略)に導くための特別入賞通路56が接続されている。このため、特別始動口52に入球した遊技球は、特別始動口底面部52Cを通過して接続口54から特別入賞通路56を経て遊技球貯留部(図示省略)に導かれる。
ここで、特別入賞通路56の経路途中あるいは経路末端には、特別入賞検出用スイッチ112(図7参照)が設けられている。このため、特別始動口52の内部に遊技球が入球して特別入賞通路56を通過すると、遊技球が特別入賞検出用スイッチ112により検出され、遊技球検出コマンドが主制御基板102(図7参照)に出力される。また、特別始動口52の内部に遊技球が入球し、遊技球検出コマンドが主制御基板102(図7参照)に出力されると、抽選処理を経て特別小当り遊技が発生し、一般電動役物ソレノイド122が制御される。そして、一般電動役物ソレノイド122により誘導入賞口48の羽根部材48Cが駆動制御され、複数回(例えば、2回)だけ開閉動作する。これにより、誘導入賞口48の開口部48Bは、羽根部材48Cの開閉動作に伴い、複数回(2回)開放され、開放動作が行われている間(例えば1秒間×2回の間)、遊技球が入球可能になる。
また、図4に示すように、前側遊技盤28上の前側遊技領域46の左側部位及び右側部位には、普通始動口58がそれぞれ設けられている。各普通始動口58は、前側遊技盤28の前面部から前側に突出するように設けられた普通始動口本体部58Aと、普通始動口本体部58Aの上面に形成された普通始動口用開口部58Bと、を備えている。なお、各普通始動口58は、誘導入賞口48のように羽根部材48Cが設けられた構成ではなく、普通始動口用開口部58Bが常に開放している構造のものである。
また、各普通始動口58の構造及び形状は、特別始動口52と同様に形成されている。各普通始動口58は、前側遊技盤28の前面部から前側に突出するように設けられた普通始動口本体部58Aと、普通始動口本体部58Aの上面に形成された普通始動口用開口部58Bと、を備えている。
前側遊技盤28の各普通始動口58の後方の位置には、接続口(図示省略)がそれぞれ設けられている。各接続口には、遊技球を後側遊技盤30ではなくパチンコ機10の遊技球貯留部(図示省略)に導くための通常入賞通路(図示省略)が接続されている。このため、通常始動口58に入球した遊技球は、通常入賞通路(図示省略)を経て遊技球貯留部(図示省略)に導かれる。
ここで、各普通入賞通路の経路途中あるいは経路末端には、普通入賞検出用スイッチ114(図7参照)が設けられている。このため、普通始動口48の内部に遊技球が入球して通常入賞通路を通過すると、遊技球が普通入賞検出用スイッチ114により検出され、遊技球検出コマンドが主制御基板102(図7参照)に出力される。また、普通始動口58の内部に遊技球が入球して、遊技球検出コマンドが主制御基板102(図7参照)に出力されると、抽選処理を経て普通小当り遊技が発生し、一般電動役物ソレノイド122が制御される。そして、一般電動役物ソレノイド122により誘導入賞口48の羽根部材48Cが駆動制御され、単数回(例えば、1回)だけ開閉動作する。これにより、誘導入賞口48の開口部48Bは、羽根部材48Cの開閉動作に伴い、単数回(1回)開放される。この場合も、誘導入賞口48の開口部48Bは、羽根部材48Cの開放動作が行われている間(例えば1秒間)、遊技球が入球可能になる。
また、図4に示すように、前側遊技盤28上の前側遊技領域46の下側部位であって普通始動口58の下方の部位には、大入賞装置60が設けられている。大入賞装置60は、前側遊技盤28の前面部に装着された取付板部60Aを備えている。取付板部60Aは、略中央部において平面形状が略帯状の開口部の表裏を貫通する状態に取り付けられ、この開口部によって大入賞口60Bが構成されている。また、取付板部60Aの後方には、大入賞口60Bから入賞する遊技球を通過させるための大入賞口入賞通路(図示省略)が設けられている。
大入賞装置60は、大入賞口60Bを開放・閉鎖するための開閉板60Cと、この開閉板60Cを駆動するための大入賞口ソレノイド124と、大入賞口入賞通路62の経路途中あるいは経路末端に設けられた大入賞口スイッチ124と、検出した入賞球をカウントするカウントスイッチ118と、を備えている。大入賞装置60は、開閉板60Cが起立姿勢となると、この開閉板60Cが大入賞口60Bを閉鎖するため、大入賞口60Bへの遊技球の入賞が不可能になる。一方、開閉板60Cが、その下端部を支点に前方に傾動して前傾姿勢となると、大入賞口60Bが開放され、大入賞口60Bへの遊技球の入賞が可能になる。大入賞口60Bに入賞した遊技球は、大入賞口スイッチ116により検出され、遊技球検出コマンドが主制御基板102(図7参照)に出力される。また、大入賞口60Bに入賞した遊技球は、カウントスイッチ118によりカウントされ、遊技球カウントコマンドが主制御基板102(図7参照)に出力される。なお、主制御基板102は、大入賞口スイッチ116からの遊技球検出コマンドとカウントスイッチ118からの遊技球カウントコマンドとに基づいて、大入賞口ソレノイド124を制御し、ひいては開閉板60Cの開閉動作を制御する。
また、図4に示すように、前側遊技盤28上の前側遊技領域46の最下部位であって大入賞装置60の下方の部位には、アウト口64が設けられている。また、このアウト口64の下部には、バック球防止部材66が設けられている。このバック球防止部材66は、前側遊技領域46に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止している。さらに、内レール44の先端部には、ファール球防止部材68が取り付けられている。
また、前側遊技領域46の全領域に亘って、障害釘70が取り付けられている。このため、前側遊技領域46を流下する遊技球は、障害釘70と接触し、その転動軌跡を変更しながら、前側遊技領域46を落下していくことになる。この結果、遊技者は、遊技球が大入賞口60Bに入賞するか否かを予測し難くなり、興奮と期待をもってパチンコ遊技に臨むことになるため、遊技性が一層向上する。また、前側遊技領域46の全領域に亘って、風車やワープ口を設けてもよい。これにより、前側遊技領域46の遊技球の転動軌跡を複雑にすることができ、遊技性を向上させることができる。
なお、前側遊技領域46に設けられている障害釘70の本数を減らしたり、あるいは前側遊技領域46に障害釘70を設けない構成を採用してもよい。この場合には、前側遊技領域46を流下する遊技球の転動軌跡が変化し難くなり、あるいは転動軌跡が変化しなくなるが、遊技者にとって後側遊技盤30を明確に視認することができるため、後側遊技盤30を流下する遊技球を一層確認し易くすることができる。
(後側遊技盤の構成)
次に、後側遊技盤30について説明する。
図5に示すように、後側遊技盤(第2遊技盤)30は、前側遊技盤28の後方に配置されている。後側遊技盤30と前側遊技盤28とは、所定の離間距離をあけて略平行となるように配置されている。なお、図3に示すように、後側遊技盤30と前側遊技盤28との間には、所定長さのスペーサ部材34が介在しており、後側遊技盤30と前側遊技盤28との離間距離が常に一定に維持されるように構成されている。
また、後側遊技盤30の大きさは、前側遊技盤28の大きさと同じに設定されていることが好ましいが、後側遊技盤30が前側遊技盤28と比較して小さく形成されていてもよい。このとき、前者の場合には、前側遊技盤28の前側遊技領域46の面積と後側遊技盤30の後側遊技領域72の面積とは同一に設定することが可能になる。後者の場合には、後側遊技盤30の後側遊技領域72の面積が前側遊技盤28の前側遊技領域46の面積よりも小さくなり、後側遊技領域30が前側遊技領域46に隠れてしまうことになるが、前側遊技盤28が透過性部材で構成されているため、遊技者からは前側遊技盤28を介して後側遊技領域72を視認することができる。
なお、後側遊技盤30が前側遊技盤28と比較して大きくなるように形成されていてもよい。この場合には、後側遊技盤30の一部は前側遊技盤28に遮られることがないため、遊技者から視認可能になる。この結果、前側遊技盤28を透過性部材で構成する必要がなく、木材や金属板で構成することができる。また、この場合には、前側遊技盤28が後側遊技盤30を透過させる必要がないため、前側遊技盤28に液晶表示装置(図示省略)を設けることができる。この液晶表示装置で任意の図柄からを演出表示させることにより、遊技の面白さを向上させることができる。
また、前側遊技盤28と後側遊技盤30との離間距離については、両者の間に介在させているスペーサ部材34(図3参照)の軸方向長さを変更することにより、容易に調整することができる。例えば、スペーサ部材34(図3参照)の軸方向長さを長くすることにより、前側遊技盤28と後側遊技盤30との離間距離が大きくなるが、この場合には、後側遊技盤30にセンター役物などの大型の役物(図示省略)を設けることができる。前側遊技盤28を透過性部材で構成すると、後側遊技盤30に設けられたセンター役物などの大型の役物も前側遊技盤28を透過することになり、遊技者は後側遊技盤30に設けられたセンター役物などの大型の役物を視認することができる。
さらに、後側遊技盤30も透過性部材で構成してもよい。後側遊技盤30を透過性部材で構成すると、その背後(後方)に配置された基板類などのパチンコ機構成部品が後側遊技盤30及び前側遊技盤28を透過することになり、遊技者から視認可能になる。この結果、斬新なデザインを実現することができ、パチンコ機10の意匠性を向上させることができる。
後側遊技盤(第2遊技盤)30の前面部には、帯状の金属板を用いて構成されるレール74が円形を描くように配置されている。そして、後側遊技盤30の前面部において、レール74で囲まれる部位が、後側遊技領域(第2遊技領域)72となる。換言すれば、この後側遊技領域72は、前側遊技盤28と後側遊技盤30との間に形成されるものである。
後側遊技盤30は、後側遊技盤30の後方(背後)に設けられている基板類が透過しない材質で構成されている。具体的には、後側遊技盤30は、木材や金属板、デザインの施された樹脂製基盤などで構成されていることが好ましい。
また、後側遊技盤30上の後側遊技領域72の下側部位には、V入賞口(特別入球口)76が設けられている。ここで、特別始動口52とV入賞口76との関係では、高さ方向において、V入賞口76は、特別始動口52のやや下方の位置に設けられている。このため、前側遊技盤28の誘導入賞口48及び特別始動口52と、後側遊技盤30のV入賞口76との位置関係では、高さ方向において誘導入賞口48が最も高い位置にあり、次に、特別始動口52が高い位置にあり、最後に、V入賞口76が位置することになる(高さ方向の位置関係:誘導入賞口48>特別始動口52>V入賞口76)。
図6に示すように、V入賞口76は、後側遊技盤30の前面部から前側に突出するように設けられたV入賞口本体部76Aと、V入賞口本体部76Aの上面に形成されたV入賞口用開口部76Bと、を備えている。なお、V入賞口76は、誘導入賞口48のように羽根部材48Cが設けられた構成ではなく、V入賞口用開口部76Bが常に開放している構造のものである。
詳細には、V入賞口本体部76Aは、後側遊技盤30の前面部から前側に突出するように延在したV入賞口底面部76Cと、V入賞口底面部76Cの先端部から鉛直上方に向かって後側遊技盤30の前面部との一定の離間距離を維持するように延在したV入賞口壁部76Dと、V入賞口壁部76D及びV入賞口底面部76Cの左右側両端部に接続されV入賞口壁部76D及びV入賞口底面部76Cを後側遊技盤30に支持するV入賞口支持部76Eと、を有している。
また、図6に示すように、V入賞口本体部76Aで覆われた後側遊技盤30の一部には、接続口78が形成されている。すなわち、この接続口78は、遊技球が通過可能となる大きさに設定されている。なお、この接続口78の前方には、V入賞口本体部76Aが配置されているため、遊技者側から接続口78を視認することはできない。
また、接続口78には、遊技球をパチンコ機10の遊技球貯留部(図示省略)に導くためのV入賞通路80が接続されている。このため、V入賞口76に入球した遊技球は、V入賞口底面部76Cを通過して接続口78からV入賞通路80を経て遊技球貯留部(図示省略)に導かれる。
ここで、V入賞通路80の経路途中あるいは経路末端には、V入賞検出用スイッチ180(図7参照)が設けられている。このため、V入賞口76の内部に遊技球が入球してV入賞通路80を通過すると、遊技球がV入賞検出用スイッチ180により検出され、遊技球検出コマンドが主制御基板102(図7参照)に出力される。また、V入賞口76の内部に遊技球が入球し、遊技球検出コマンドが主制御基板102(図7参照)に出力されると、大当り遊技(特別遊技)が発生し、大入賞口60Bの開閉板60Cが駆動され、複数回(例えば、3回以上)だけ開閉動作する。これにより、大入賞口60Bは、開閉板60Cの開閉動作に伴い、所定の時間だけ複数回開放される。この大当り遊技は、大入賞口60Bが所定時間開放した場合、あるいは大入賞口60Bに所定数の遊技球が入賞した場合に終了する。大入賞口60Bに遊技球が入賞すると、所定数(例えば、100個以上)の遊技球が上皿部材24に払い出されるため、大当り遊技は遊技者にとって有利な遊技状態となる。
また、図5に示すように、後側遊技盤30上の後側遊技領域72の最下部位であってV入賞口76の下方の部位には、アウト口82が設けられている。V入賞口76に入賞しなかった遊技球は、最終的に、アウト口82に入球してパチンコ機10に回収される。
さらに、後側遊技領域72の全領域に亘って、障害釘(誘導部材)84が取り付けられている。このため、後側遊技領域72を流下する遊技球は、障害釘84と接触し、その転動軌跡を変更しながら、後側遊技領域72を落下していくことになる。
また、図5に示すように、後側遊技領域72には、誘導入賞口対応部位V1の下方近傍には、遊技球の進路を変更するとともに遊技球を任意の方向に誘導する第1誘導板(誘導部材)200が設けられている。第1誘導板200は、第1左側誘導板202と、第1右側誘導板204と、で構成されており、正面視にて「ハ」の字状となるように配置されている。なお、第1右側誘導板204は、第1左側誘導板202と比較して、軸方向長さが長くなるように設定されている。
また、後側遊技領域72上であって第1左側誘導板202の下側端部の延長上の部位には、第1左側クルーン部(誘導部材)206が設けられている。この第1左側クルーン部206には、3つの貫通孔206A、206B、206Cが形成されている。第1左側誘導板202上を転動してきた遊技球は、第1左側クルーン部206に導かれて3つの貫通孔206A、206B、206Cのうち、いずれかの貫通孔に進入する。また、後側遊技領域72上であって第1左側クルーン部206の下方には、第2左側クルーン部(誘導部材)208が設けられている。第2左側クルーン部208と第1左側クルーン部206は、相互の一部が高さ方向において重なる位置関係になっている。また、この第2左側クルーン部208には、3つの貫通孔208A、208B、208Cが形成されている。ここで、第1左側クルーン部206の3つの貫通孔206A、206B、206Cのうち一の貫通孔206Cの真下には、第2左側クルーン部208の3つの貫通孔208A、208B、208Cのうち一の貫通孔208Aが位置するように設定されている。このため、第1左側クルーン部206の貫通孔206Cから落下した遊技球は、第2左側クルーン部208に導かれて第2左側クルーン部208の貫通孔208Aに進入し易くなる。なお、第1左側クルーン部206の他の貫通孔206A、206Bから落下した遊技球は、第2左側クルーン部208以外である後側遊技領域72上の他の部位に導かれ易くなる。
また、後側遊技領域72上であって第1右側誘導板204の下側端部の延長上の部位には、第1右側クルーン部(誘導部材)210が設けられている。この第1右側クルーン部210には、3つの貫通孔210A、210B、210Cが形成されている。
また、後側遊技領域72上であって第2左側クルーン部208の下方には、第2左側誘導板214が設けられている。第2左側誘導板214の上側端部は、第2左側クルーン部208の貫通孔208Bの真下に位置しており、第2左側クルーン部208の貫通孔208Bを落下した遊技球が第2左側誘導板214上を介してV入賞口76に導かれ易くなっている。
また、後側遊技領域72上であって第1右側クルーン部210の下方には、第2右側誘導板216が設けられている。第2右側誘導板216の上側端部は、第1右側クルーン部210の貫通孔210Cの真下に位置しており、第1右側クルーン部210の貫通孔210Cを落下した遊技球が第2右側誘導板216上を介してV入賞口76に導かれ易くなっている。
なお、第2左側誘導板214と第2右側誘導板216とで、第2誘導板(誘導部材)212が構成されており、正面視にて「逆ハ」の字状となるように配置されている。なお、第2右側誘導板216は、第2左側誘導板214と比較して、軸方向長さが長くなるように設定されている。
上記後側遊技盤30の構成によれば、後側遊技盤30に誘導された遊技球が第1左側誘導板202上を転動すると、第1左側クルーン部206側に誘導される。そして、第1左側クルーン部206側に誘導された遊技球が第1左側クルーン部206の3つの貫通孔206A、206B、206Cのうち一の貫通孔206Cに進入すると、第2左側クルーン部208側に誘導される。第2左側クルーン部208側に誘導された遊技球が第2左側クルーン部208の3つの貫通孔208A、208B、208Cのうち一の貫通孔208Cに進入すると、第2左側誘導板214上に落下する。そして、遊技球は、第2左側誘導板214上を転動することにより、V入賞口76に導かれる。この場合には、遊技球は、V入賞口76に略入賞する。なお、第1左側クルーン部206に誘導された遊技球が他の2つの貫通孔206A、206Bに進入すると、遊技球は、第2左側クルーン部208側ではなく、後側遊技領域72の他の部位に導かれ易くなり、障害釘84に接触しながら落下していくことになる。そして、この場合には、遊技球は、V入賞口76に入賞し難くなる。
一方、後側遊技盤30に誘導された遊技球が第1右側誘導板204上を転動すると、第1右側クルーン部210に誘導される。そして、第1右側クルーン部210に誘導された遊技球が3つの貫通孔210A、210B、210Cのうち一の貫通孔210Cに進入すると、第2右側誘導板216に落下する。そして、遊技球は、第2右側誘導板216上を転動することにより、V入賞口76に導かれる。この場合には、遊技球は、V入賞口76に略入賞する。なお、第1右側クルーン部210に誘導された遊技球が他の2つの貫通孔210A、210Bに進入すると、遊技球は、第2右側誘導板216ではなく、後側遊技領域72の他の部位に導かれ易くなり、障害釘84に接触しながら落下していくことになる。そして、この場合には、遊技球は、V入賞口76に入賞し難くなる。
以上のように、本実施形態では、後側遊技盤30全体が所謂誘導部材になっており、従来のハネモノタイプのパチンコ機と比較して、誘導部材が遊技盤(本実施形態では前側遊技盤28に相当)から離れた構成になっている。このため、誘導部材を設けるために前側遊技盤28のスペースを犠牲にすることがなく、前側遊技盤28のスペース全体を遊技球が転動し得る領域にすることができる。また、後側遊技盤30全体を誘導部材とすることにより、始動口当の配設位置に関わらず誘導部材を大型化することができるため、クルーン部、誘導板、障害釘を多く設けることができる。これにより、後側遊技盤30を転動する遊技球の進路予測がますます困難になり、後側遊技盤30における遊技性を高めることができる。
ここで、後側遊技盤30の後側遊技領域72に設けられる各クルーン部206、208、210、各誘導板200、212、障害釘84は、後側遊技領域72全体に設けられていることが好ましく、特に、後側遊技盤30の後側遊技領域72上であって前側遊技盤28の特別始動口52と対応する部位とV入賞口76との間の領域に多くの各クルーン部、各誘導板、障害釘を設けることが好ましい。これにより、後側遊技領域72全体に誘導部材を配置させることができ、後側遊技領域72全体を転動領域として利用することができる。この結果、遊技者は、遊技球の進路を予測することがますます困難になり、遊技に対する集中や興味が一層高まることになる。
なお、本実施形態では、V入賞口76が後側遊技領域72の下側部位に設けられている構成を示したが、この構成に限られることはない。例えば、V入賞口76が後側遊技領域72の高さ方向中央部位に設けられていてもよく、あるいは、V入賞口76が後側遊技領域72の左側部位又は右側部位に設けられていてもよい。特に、前側遊技領域46の連通口50から後側遊技領域72に進入する遊技球の誘導入賞口対応部位V1とV入賞口76との距離が大きいほど、後側遊技領域72の全領域に亘って遊技球が転動することが可能になり、遊技球が転動可能な遊技領域を拡大することができる。
(3)制御回路の構成
次に、パチンコ機10を構成する電子制御装置について説明する。
図7乃至図10に示すように、電子制御装置100は、主制御基板102と、払出制御基板104と、サブ制御基板106と、発射制御基板108と、を備えている。
図7に示すように、主制御基板102は、CPU102Aと、ROM102Bと、を備えている。このCPU102Aは、ROM102Bに記憶されたデータに基づいて、一般電動役物ソレノイド122、大入賞口ソレノイド124、サブ制御基板106をそれぞれ制御する。また、主制御基板102のCPU102Aは、遊技全体を司り主として遊技状態を判断するものであり、この判断した遊技状態に沿った遊技環境(演出態様)を実現させるように制御するサブ制御基板106及び払出制御基板104を直接的に制御する。また、主制御基板102のCPU102Aは、アンプ基板156、装飾駆動基板158をサブ制御基板106を介して間接的に制御する。また、主制御基板102のROM102Bには、CPU102Aにより実行される遊技全体の制御を実現するためのプログラムが記憶されている。
また、主制御基板102は、中継端子板110を介して、特別入賞検出用スイッチ112と、普通入賞検出用スイッチ114と、大入賞口スイッチ116と、カウントスイッチ118と、にそれぞれ電気的に接続されている。
また、主制御基板102は、中継端子板120を介して、一般電動役物ソレノイド122と、大入賞口ソレノイド124と、にそれぞれ電気的に接続されている。
払出制御基板104は、中継端子板126を介して、ガラス枠スイッチ128と、外部タンクスイッチ130と、タンクスイッチ132と、にそれぞれ電気的に接続されている。また、払出制御基板104は、中継端子板134を介して、エラーLED22G、22Hに電気的に接続されている。また、払出制御基板104は、下皿満タンスイッチ138に電気的に接続されている。また、払出制御基板104は、中継端子板140を介して、球貸表示基板142と、球貸装置(CRユニット)144と、にそれぞれ電気的に接続されている。
なお、球貸表示基板142には、球貸スイッチ146と、返却スイッチ148と、がそれぞれ電気的に接続されている。また、払出制御基板104は、中継端子板150を介して、払出モータ152と払出スイッチ154とにそれぞれ電気的に接続されている。さらに、払出制御基板104は、主制御基板102と発射制御基板108とにそれぞれ電気的に接続されている。
図7及び図8に示すように、サブ制御基板106は、アンプ基板156と、装飾駆動基板158と、演出ボタン基板160と、にそれぞれ電気的に接続されている。
また、サブ制御基板106は、主制御基板102からの制御信号に基づいて遊技の演出の制御を司るものである。また、サブ制御基板106は、CPU106Aと、ROM106Bと、を備えている。サブ制御基板106のCPU106Aは、主制御基板102からの制御信号を受けてアンプ基板156、装飾駆動基板158及び演出ボタン基板160などの各基板を制御する。また、ROM106Bには、各基板の制御に必要なデータ(特に遊技の装飾に関する情報)が記憶されている。
また、図8に示すように、アンプ基板156には、所定の効果音を出力する各種スピーカSP1〜SP4が電気的に接続されている。また、装飾駆動基板158には、各種LED・ランプ22B〜22Fが電気的に接続されている。また、装飾駆動基板158は、サブ制御基板106からのコマンドを受けて遊技の装飾に関する制御を行うものである。また、演出ボタン基板160には、操作スイッチSWが電気的に接続されている。
また、図9に示すように、主制御基板102、サブ制御基板106、払出制御基板104及び発射制御基板108には、各基板102、104、106、108に電力をそれぞれ供給するための電源基板168が接続されている。
また、図10に示すように、発射制御基板108には、発射駆動基板170を介して、発射モータ172と、発射停止スイッチ40Bと、タッチスイッチ40Aと、がそれぞれ電気的に接続されている。また、発射制御基板108には、球送りソレノイド178が電気的に接続されている。
(4)遊技制御処理
次に、本実施形態のパチンコ機による遊技制御処理について説明する。
図21に示すように、主制御基板102のCPU102Aにより前側遊技盤28の前側遊技領域46に打ち出された遊技球が特別始動口52又は普通始動口58に入球したか否かが判断される(S100)。遊技球が特別始動口52又は普通始動口58に入球したと判断されると(S100:YES)、CPU102Aにより小当り遊技に関する抽選処理が実行される(S110)。この抽選処理は、CPU102Aにより実行され、CPU102Aが取得した乱数が当りの乱数か否かが判断される(S120)。ここで、本実施形態では、CPU102Aが取得するほとんどの乱数が当りの乱数であり、当選率は96%以上となるように設定されている(残り4%はハズレとなる)。なお、本実施形態では、入球した始動口に応じて、当選後に発生する小当り遊技が異なる構成となっており、後述するように、遊技球が特別始動口52に入球して当選すると、特別小当り遊技が発生し、遊技球が普通始動口58に入球して当選すると、普通小当り遊技が発生する。
小当り遊技に当選すると(S120:YES)、小当り遊技を実行する小当り遊技処理が開始される(S130)。ここで、本実施形態の小当り遊技処理として、遊技球が特別始動口52に入球して当選すると、特別小当り遊技が発生し、一対の翼片部の開閉動作が複数回(2回)継続され、誘導入賞口48の開口部48Bが2回だけ開放する。一方、遊技球が普通始動口58に入球して当選すると、普通小当り遊技が発生し、一対の翼片部の開閉動作が単数回(1回)継続され、誘導入賞口48の開口部48Bが1回だけ開放する。そして、遊技球が誘導入賞口48の開口部48Bに入球すると、遊技球は後側遊技盤30に誘導され、後述するような後側遊技盤30における遊技が可能になる。
次に、主制御基板102のCPU102Aにより大当り遊技か否かが判断される(S140)。ここで、大当り遊技は、後側遊技盤30のV入賞口76に遊技球が入賞するか否かにより判断される。後側遊技盤30のV入賞口76に遊技球が入賞した場合には、CPU102Aは大当り遊技と判断して(S140:YES)、大当り遊技処理が開始される(S150)。大当り遊技では、主制御基板102により大入賞口ソレノイド124が駆動制御されて、大入賞装置60の開閉板60Cの開閉動作が開始される。そして、開閉板60Cの開閉動作に伴って、大入賞口60Bが開放され、遊技球が大入賞口60Bに入賞すると、大量の賞球が払い出される。一方、後側遊技盤30のV入賞口76に遊技球が入賞しない場合には、大当り遊技処理は開始されず(S140:NO)、大入賞口60Bが開放されることはない。
(5)遊技の概説
次に、本実施形態のパチンコ機10における遊技について概説する。
(前側遊技盤における遊技内容)
図4に示すように、発射ハンドル40を回転させると、遊技球が発射されて外側レール42と内側レール44とで区画された領域Sから前側遊技盤28の前側遊技領域46に進入する。前側遊技領域46に進入した遊技球は、前側遊技領域46を下方向に向かって転動していくことになるが、遊技球が特別始動口52又は普通始動口58に入球するまでは、誘導入賞口48の開口部48Bが一対の翼片部により閉じられており、遊技球が誘導入賞口48の開口部48Bに入賞することはない。なお、前側遊技領域46を転動する遊技球は、障害釘70に衝突しながら、その転動軌跡が変化していくことになる。
一方、遊技球が特別始動口52又は普通始動口58に入球すると、主制御基板102により一般電動役物ソレノイド122が駆動制御されて、誘導入賞口48に設けられた一対の翼片部の開閉動作が所定回数(1回または2回)実行される。
なお、遊技球が特別始動口52又は普通始動口58のいずれの始動口にも入球しない場合には、遊技球は最終的にアウト口64に導かれてパチンコ機10に回収される。
(後側遊技盤における遊技内容)
図4及び図5に示すように、遊技球が誘導入賞口48の開口部48Bに入球すると、先ず、遊技球は誘導底面部48Dに落下して、そこから後方の連通口50に向かう。そして、遊技球が連通口50を通過すると、遊技球は後側遊技盤30に進入する。
後側遊技盤30に進入する遊技球は、誘導入賞口48の連通口50に対応する誘導入賞口対応部位V1に導かれる。誘導入賞口対応部位V1に導かれた遊技球は、後側遊技盤30を下方に向かって転動していくことになる。このとき、上述した通り、遊技球は、各誘導板200、212や各クルーン部206、208、210により後側遊技領域72上の任意の方向に導かれるとともに、後側遊技盤30に設けられた多数の障害釘84に衝突してその転動軌跡を変化させながら、落下していくことになる。これにより、転動する遊技球の行方が遊技者に予測できず、V入賞口76に入賞するか否かについて遊技者は期待と興奮を持って遊技に熱中することになる。
遊技球がV入賞口76に入賞すると大当りとなり、前述した大当り遊技が発生する。このように、本実施形態のパチンコ機10では、後側遊技盤30自体が2種入賞装置に相当するものになり、かつ広い遊技領域を確保できる。
なお、遊技球がV入賞口76に入賞しない場合には、遊技球は最終的にアウト口82に導かれてパチンコ機10に回収される。
(6)第1実施形態のパチンコ機の作用及び効果
次に、本実施形態のパチンコ機の作用及び効果について説明する。
図4乃至図6に示すように、2つの遊技盤28、30が前後に設けられているため、前側遊技領域46と後側遊技領域72を形成することができる。そして、遊技球を前側遊技領域46から後側遊技領域72に誘導可能にして、後側遊技領域72にV入賞口76と各種誘導部材を設けることで、後側遊技領域72全体を従来のハネモノタイプの遊技機の可動入賞装置における誘導部材として利用することができる。
特に、遊技球は誘導入賞口48により後側遊技領域72の上側部位に誘導されるので、遊技球は後側遊技盤30上の後側遊技領域72を上から下まで転動してV入賞口76に入球することになる。このため、後側遊技領域72を転動する遊技球の転動領域を、後側遊技盤30の後側遊技領域72の全遊技領域とすることができるため、後側遊技領域72の全領域を遊技領域として最大限に利用することができる。
また、前側遊技領域46に設ける役物、釘、風車などは、大型の可変入球装置に制限されること無く自由に配置可能になるので、発射された遊技球が始動口(普通始動口および特別始動口)に到達するまでの転動経路を多様なものにすることができるとともに、遊技性が低下することを防止できる。
また、大当りを発生させるV入賞口76が後側遊技盤30に設けられているため、遊技者から見れば、V入賞口76が前側遊技盤28の後方に位置することになる。前側遊技盤28は透過性部材で構成されているが、V入賞口76の前方(遊技者側)に前側遊技盤28という物体が存在するため、遊技機前面側からは、ガラス扉枠を開放したとしても、直接V入賞口76にアクセスすることができなくなる。このように、V入賞口76は大当りを発生させる特別役物に該当するため、ゴト行為など不正行為の対象に成り易くなるが、遊技機前面側からV入賞口76に直接アクセスし難くい構成としたことにより、不正行為を抑制するとともに防止することができる。
(7)第2実施形態のパチンコ機
次に、本発明の第2実施形態のパチンコ機について説明する。
なお、第1実施形態のパチンコ機と重複する構成については同符号を付し、その説明を適宜省略する。
第2実施形態のパチンコ機は、第1実施形態のパチンコ機10の前側遊技盤28の構成を変更したものである。第1実施形態のパチンコ機の構成と同様の構成については同符号を付し、その説明を省略する。
図11乃至図13に示すように、第2実施形態のパチンコ機の前側遊技盤28に設けられている誘導入賞口48の誘導底面部48Dが可動式になっている。すなわち、可動式誘導底面部(振分部材)86の奥側端部には、回転軸(振分部材)88が取り付けられている、この回転軸88は、モータや歯車などの周知の駆動機構182により回転駆動されるものである。図14に示すように、駆動機構182は、サブ制御基板106と電気的に接続されており、主制御基板102からのコマンドに基づいてサブ制御基板106により制御される。
また、図11に示すように、誘導入賞口48の底部には、ワープ通路部材90が接続されている。ワープ通路部材90は、前側遊技盤28上を上下方向に延在した中空状の箱状部材で構成されている。このワープ通路部材90は、プラスチック樹脂などの無色透明な部材で構成されていることが好ましい。ワープ通路部材90がプラスチック樹脂などの無色透明な部材で構成されていると、ワープ通路部材90を落下していく遊技球を遊技者から視認することができるため、遊技に対する期待度が高まり、遊技に熱中することになる。
図12及び図13に示すように、ワープ通路部材90の上側端部は、ワープ通路部材90と誘導入賞口48の底部を接続する連通接続口として機能している。このため、誘導入賞口48の底部を構成する可動式誘導底面部86が前側遊技盤28の前面部から前方に垂直に延在することで連通接続口を閉塞する。そして、この場合には、誘導入賞口48に入球した遊技球は、ワープ通路部材90に進入することなく、可動式誘導底面部86から連通口50を経て後述の通常進入部位V1に導かれることになる。
一方、誘導入賞口48の底部を構成する可動式誘導底面部86が垂れ下がり、前側遊技盤28の前面部と略平行に位置することで、連通接続口を開放する。そして、この場合には、誘導入賞口48に入球した遊技球は、ワープ通路部材90に進入して、ワープ底面部90Bから後述の連通口92を経て後述の特別進入部位V2に導かれることになる。
ワープ通路部材90は、前側遊技盤28の前面部から前方に突出するように設けられており、前面遊技盤28の前面部から前方(遊技者側)に向かって延在したワープ底面部90Bと、ワープ底面部90Bの前方端部から鉛直上方に延在したワープ通路部材本体90Aと、で構成されている。
ここで、図11に示すように、ワープ底面部90Bと、誘導入賞口48と、特別始動口52と、V入賞口76の位置関係については、ワープ底面部90Bは、誘導入賞口48と特別始動口52との略中間の部位に設けられている。また、高さ方向について、誘導入賞口48>ワープ底面部90B>特別始動口52>V入賞口76、という高さ関係(位置関係)が成立し、上記した4つの構成部材の中では、誘導入賞口48が最も高い位置にあり、V入賞口76が最も低い位置にある。
また、図13に示すように、前側遊技盤28の前面部であってワープ底面部90Bに対応する部位には、前側遊技盤28を厚み方向に貫通した連通口92が形成されている。この連通口29は、帯状に開口して構成されており、遊技球の通過可能な程度の大きさに設定されている。なお、ワープ底面部90Bは、連通口92に向かって若干下り傾斜しており、ワープ底面部90Bに落下した遊技球は、そのまま連通口92に導かれることになる。
ここで、図12に示すように、誘導入賞口48の可動式誘導底面部86を経て後側遊技盤30に進入する遊技球の進入部位V1(適宜、「通常進入部位V1」と称する)と、ワープ底面部90Bを経て連通口92から後側遊技盤30に進入する遊技球の進入部位V2(適宜、「特別進入部位V2」と称する)との位置関係について説明する。
通常進入部位V1は、後側遊技盤30の後側遊技領域72上の上側部位に形成されている。特別進入部位V2は、後側遊技盤30の後側遊技領域72上であって通常進入部位V1とV入賞口76との略中間の部位に形成されている。このため、誘導入賞口48から通常進入部位V1に導かれた遊技球は、各クルーン部206、208、210や誘導板200、212、あるいは多数の障害釘84によりその進路が妨害されることから、後側遊技盤30を転動する遊技球の転動軌跡が頻繁に変化して、V入賞口76に入賞する確率が大幅に低下することになる。
一方、誘導入賞口48から特別進入部位V2に導かれた遊技球は、特別進入部位V2とV入賞口76との離間距離が短くなる分だけ、後側遊技盤30を転動する遊技球に衝突する障害釘84の数も少なくなる。特に、特別進入部位V2に導かれた遊技球は、特別進入部位V2が第2誘導板212寄りに位置している関係から、第2誘導板212に捕捉される確率が高くなり、V入賞口76に導かれて入賞する確率が格段に上昇する。このように、遊技球が通常進入部位V1に導かれるか、あるいは特別進入部位V2に導かれるかで、V入賞口76に入賞する確率が大きく異なることになる。
以上のように、本実施形態のパチンコ機によれば、遊技球が通常進入部位V1に導かれるか、あるいは特別進入部位V2に導かれるかで、V入賞口76に入賞する確率が大きく異なることから、誘導入賞口48の開口部48Bから可動式誘導底面部86を経て連通口50に至る通路をノーマルルート(第1通路)NRとなり、誘導入賞口48の開口部48Bからワープ通路部材90のワープ底面部90Bを経て連通口92に至る通路をスペシャルルート(第2通路)SRとなる。そして、誘導入賞口48の可動式誘導底面部86は、誘導入賞口48の開口部48Bから入球した遊技球を、ノーマルルートNR、あるいはスペシャルルートSRのいずれかに振り分けるための振分部材として機能している。
(8)振分部材としての可動式誘導底面部86の動作制御
ここで、遊技球の振分部材として機能する可動式誘導底面部86の動作制御について説明する。
図14に示すように、可動式誘導底面部86の回転軸88の駆動制御は、主制御基板102からのコマンドに基づきサブ制御基板106により直接制御される駆動機構182によって実現される。
具体的には、図7及び図14に示すように、主制御基板106のROM106Bに、ノーマルルートNRを実現するための任意の乱数(ノーマル数字)と、スペシャルルートSRを実現するための任意の乱数(スペシャル数字)と、を記憶させておき、主制御基板102が取得した乱数に基づいて、可動式誘導底面部86の回転動作を制御する。また、誘導入賞口48の開口部48Bの近傍には、遊技球を検出するための誘導入賞口スイッチ(遊技球検出センサ)184が設けられている。そして、誘導入賞口スイッチ184により遊技球を検出した場合には、誘導入賞口スイッチ184から主制御基板102に対して乱数取得トリガーコマンドが出力される。乱数取得トリガーコマンドを受信した主制御基板102は、乱数取得トリガーコマンドを受信した時の乱数を取得することになる。
これによれば、主制御基板102がノーマル数字となる乱数を取得すれば、主制御基板102からサブ制御基板106に対してノーマルコマンドが出力される。サブ制御基板106は、ノーマルコマンドを受け取ると、駆動機構182を制御して回転軸88を回転駆動し、可動式誘導底面部86が連通接続口を閉塞するように制御する。これにより、図13に示すように、連通接続口が可動式誘導底面部86により閉塞された状態になるので、誘導入賞口48に入球した遊技球は、可動式誘導底面部86に衝突してから連通口50を通って後側遊技盤30の通常進入部位V1(図12参照)に進入する。
一方、主制御基板102がスペシャル数字となる乱数を取得すれば、主制御基板102からサブ制御基板106に対してスペシャルコマンドが出力される。サブ制御基板106は、スペシャルコマンドを受け取ると、駆動機構182を制御して回転軸88を回転駆動し、可動式誘導底面部86が連通接続口を開放するように制御する。これにより、連通接続口が開放された状態になるので、誘導入賞口48に入球した遊技球は、ワープ底面部90Bに衝突してから連通口92を通って後側遊技盤30の特別進入部位V2に進入する。
なお、遊技球の振り分けの基準として乱数を用いた構成に限られることはなく、例えば、遊技球が前側遊技盤28の普通始動口58に入球すると、遊技球が普通入賞検出用スイッチ114(図7参照)により検出され、この普通入賞検出用スイッチ114から主制御基板102に対してノーマルコマンドが出力される。そして、ノーマルコマンドを受信した主制御基板102は、駆動機構182を制御して回転軸88を回転駆動し、可動式誘導底面部86が連通接続口を閉塞するように制御してもよい。この場合には、遊技球が前側遊技盤28の普通始動口58に入球すると、誘導入賞口48の開口部48Bが1回のみにしか開放せず、さらに誘導入賞口48の開口部48Bに入球した遊技球は、必ず後側遊技盤30の通常進入部位V1に導かれることになり、V入賞口76に入賞する確率が低下する。
また、例えば、遊技球が前側遊技盤28の特別始動口52に入球すると、遊技球が特別入賞検出用スイッチ112(図7参照)により検出され、この特別入賞検出用スイッチ112から主制御基板102に対してスペシャルコマンドが出力される。そして、スペシャルコマンドを受信した主制御基板102は、駆動機構182を制御して回転軸88を回転駆動し、可動式誘導底面部86が連通接続口を開放するように制御してもよい。この場合には、遊技球が前側遊技盤28の特別始動口52に入球すると、誘導入賞口48の開口部48Bが2回も開放するばかりか、誘導入賞口48の開口部48Bに入球した遊技球は、必ずワープ通路部材90を落下してワープ底面部90Bから後側遊技盤30の特別進入部位V2に導かれることになるため、V入賞口76に入賞する確率が大幅に向上することになる。
なお、遊技球の振り分けの基準としては、上述したものに限られず、遊技機の主電源投入時から一定時間(例えば10秒)毎に、可動式誘導底面部86を所定時間(例えば2秒間)開放させるように制御してもよい。また、羽根部材48が開放されている期間の所定期間(例えば羽根部材開放時から0.2秒経過後まで)だけ可動式誘導底面部86を開放させるように制御してもよい。このようにすることで、遊技球が誘導入賞口48に入球したタイミングによって、ワープ通路部材90を落下するか否かが決定される。したがって、遊技球がワープ通路部材90を落下するか否かをランダムにすることができ、遊技球が誘導入賞口48に入球した瞬間の遊技興趣を高めることができる。
(9)第2実施形態のパチンコ機の作用及び効果
第2実施形態のパチンコ機によれば、遊技者は、遊技球がノーマルルートNR、あるいはスペシャルルートSRのどちらに振り分けられるかを期待と興奮を持って見守ることになる。この結果、遊技に対する集中力が高まり、遊技性を向上させることができる。
また、図13に示すように、遊技球を後側遊技領域72に導く通路(ノーマルルートNRとスペシャルルートSR)を2つ設けた構成でも、ノーマルルートNR、スペシャルルートSRの各通路と振分部材としての可動式誘導底面部86が前側遊技盤28側に設けられているので、後側遊技盤30側の後側遊技領域72が狭くなる(犠牲になる)ことを防止できる。
(10)パチンコ機の変形例
次に、本発明のパチンコ機の変形例について説明する。
(変形例1)
図15乃至図18に示すように、変形例1となるパチンコ機は、第2実施形態のパチンコ機の前側遊技盤28のワープ通路部材90の構造を変更したものである。なお、第2実施形態のパチンコ機の構成と重複する構成については同符号を付し、その説明を省略する。
図15に示すように、変形例1のパチンコ機のワープ通路部材90は、上下方向の長さが長く設定されており、その下端部が特別始動口52の近傍に位置している。換言すれば、高さ方向において、ワープ通路部材90の下端部は、後側遊技盤30のV入賞口76の近傍部位に位置している。
図17に示すように、このワープ通路部材90は、第2実施形態のワープ通路部材90の下端部であるワープ底面部90Bを可動式にしたものである。すなわち、ワープ通路部材90の上下方向において略中間の部位に、第1ワープ誘導部202が設けられている。第1ワープ誘導部202の奥側端部には、回転軸204が取り付けられている、この回転軸204は、モータや歯車などの周知のワープ駆動機構186により回転駆動されるものである。図18に示すように、ワープ駆動機構186は、サブ制御基板106と電気的に接続されており、主制御基板102からのコマンドに基づいてサブ制御基板106により制御される。
第1ワープ誘導部202は、前側遊技盤28の前面部から前方に垂直に延在することでワープ通路部材90の内部空間を上下に区画する。この場合には、ワープ通路部材90に入球した遊技球は、第1ワープ誘導部202に落下し、後方にある連通口92を経て特別進入部位V2(図18参照)に導かれることになる。
一方、第1ワープ誘導部202が垂れ下がり、前側遊技盤28の前面部と略平行に位置することで、ワープ通路部材90の内部空間の区画を解除する。この場合には、遊技球はワープ通路部材90をさらに下方まで落下する。そして、ワープ通路部材90の下端部である第2ワープ誘導部206に落下した遊技球は、後方にある連通口208を経て後述のミラクル特別進入部位V3に導かれることになる。
ここで、図15及び図17に示すように、第1ワープ誘導部202と、第2ワープ誘導部206と、誘導入賞口48と、特別始動口52と、V入賞口76の位置関係については、第1ワープ誘導部202は、誘導入賞口48と特別始動口52との略中間の部位に設けられている。また、高さ方向について、誘導入賞口48>第1ワープ誘導部202>第2ワープ誘導部206>特別始動口52>V入賞口76、という高さ関係(位置関係)が成立し、上記した4つの構成部材の中では、誘導入賞口48が最も高い位置にあり、V入賞口76が最も低い位置にある。
また、前側遊技盤28の前面部であって第2ワープ誘導部206に対応する部位には、前側遊技盤28を厚み方向に貫通した連通口208が形成されている。この連通口208は、帯状に開口して構成されており、遊技球の通過可能な程度の大きさに設定されている。なお、第2ワープ誘導部206は、連通口208に向かって若干下り傾斜しており、第2ワープ誘導部206に落下した遊技球は、そのまま連通口208に導かれることになる。
ここで、図16に示すように、誘導入賞口48の可動式誘導底面部86を経て後側遊技盤30に進入する遊技球の進入部位V1(適宜、「通常進入部位V1」と称する)と、第1ワープ誘導部202を経て連通口92から後側遊技盤30に進入する遊技球の進入部位V2(適宜、「特別進入部位V2」と称する)と、第2ワープ誘導部206を経て連通口208から後側遊技盤30に進入する遊技球の進入部位V3(適宜、「ミラクル特別進入部位V3」と称する)と、の位置関係について説明する。
図16に示すように、通常進入部位V1は、後側遊技盤30の後側遊技領域72上の上側部位に形成されている。特別進入部位V2は、後側遊技盤30の後側遊技領域72上であって通常進入部位V1とV入賞口76との略中間の部位に形成されている。さらに、ミラクル特別進入部位V3は、特別進入部位V2とV入賞口76との略中間の部位(V入賞口76の上側近傍部位)に形成されている。
このため、図16及び図17に示すように、第2ワープ誘導部206からミラクル特別進入部位V3に導かれた遊技球は、ミラクル特別進入部位V3がV入賞口76の上部近傍に位置し、ミラクル特別進入部位V3とV入賞口76との離間距離が極めて短くなる分だけ、後側遊技盤30を転動する遊技球に衝突する障害釘84の数も極めて少なくなる。特に、ミラクル特別進入部位V3に導かれた遊技球は、後側遊技盤30を転動するものの、第2誘導板212に略確実に捕捉され、V入賞口76に導かれる。このため、後側遊技盤30を転動する遊技球の転動軌跡の変化が極めて少なくなるとともに、V入賞口76に略入賞することになる。このように、遊技球が通常進入部位V1に導かれるか、あるいは特別進入部位V2に導かれるか、はたまたミラクル特別進入部位V3に導かれるかで、V入賞口76に入賞する確率が大きく異なることになる。
以上のように、本変形例1のパチンコ機によれば、遊技球が通常進入部位V1に導かれるか、あるいは特別進入部位V2、さらにミラクル特別進入部位V3に導かれるかで、V入賞口76に入賞する確率が極めて大きく異なることから、誘導入賞口48の開口部48Bから可動式誘導底面部86を経て連通口50に至る通路をノーマルルート(第1通路)NRとなり、誘導入賞口48の開口部48Bからワープ通路部材90の第1ワープ誘導部202を経て連通口92に至る通路をスペシャルルート(第2通路)SRとなり、誘導入賞口48の開口部48Bからワープ通路部材90の第2ワープ誘導部206を経て連通口208に至る通路をスーパースペシャルルート(第3通路)SSRとなる。そして、誘導入賞口48の可動式誘導底面部86は、誘導入賞口48の開口部48Bから入球した遊技球を、ノーマルルートNR、あるいはスペシャルルートSRのいずれかに振り分けるための振分部材として機能している。また、第1ワープ誘導部202は、誘導入賞口48の開口部48Bから入球した遊技球を、スペシャルルートSR、あるいはスーパースペシャルルートSSRのいずれかに振り分けるための振分部材として機能している。
ここで、遊技球の振分部材として機能する可動式誘導底面部86及び第1ワープ誘導部202の動作制御について説明する。
図18に示すように、可動式誘導底面部86及び第1ワープ誘導部202の回転軸88、204の駆動制御は、主制御基板102からのコマンドに基づきサブ制御基板106により直接制御される駆動機構182及びワープ駆動機構186によって実現される。
具体的には、図7に示すように、主制御基板102のROM102Bに、ノーマルルートNRを実現するための任意の乱数(ノーマル数字)と、スペシャルルートSRを実現するための任意の乱数(スペシャル数字)と、スーパースペシャルルートSSRを実現するための任意の乱数(スーパースペシャル数字)と、を記憶させておき、主制御基板102が取得した乱数に基づいて、可動式誘導底面部86及び第1ワープ誘導部90の回転動作を制御する。また、図18に示すように、誘導入賞口48の開口部48Bの近傍には、遊技球を検出するための誘導入賞口スイッチ(遊技球検出センサ)184が設けられている。そして、誘導入賞口スイッチ184により遊技球を検出した場合には、誘導入賞口スイッチ184から主制御基板102に対して乱数取得トリガーコマンドが出力される。乱数取得トリガーコマンドを受信した主制御基板102は、乱数取得トリガーコマンドを受信した時の乱数を取得することになる。
これによれば、主制御基板102がノーマル数字となる乱数を取得すれば、主制御基板102からサブ制御基板106に対してノーマルコマンドが出力される。サブ制御基板106は、ノーマルコマンドを受け取ると、駆動機構182を制御して回転軸88を回転駆動し、可動式誘導底面部86が連通接続口を閉塞するように制御する。これにより、連通接続口が可動式誘導底面部86により閉塞された状態になるので、誘導入賞口48に入球した遊技球は、可動式誘導底面部86に衝突してから連通口50を通って後側遊技盤30の通常進入部位V1に進入する。
一方、主制御基板102がスペシャル数字となる乱数を取得すれば、主制御基板102からサブ制御基板106に対してスペシャルコマンドが出力される。サブ制御基板106は、スペシャルコマンドを受け取ると、駆動機構182を制御して回転軸88を回転駆動し、可動式誘導底面部86が連通接続口を開放するように制御する。また、同時に、サブ制御基板106は、スペシャルコマンドを受け取ると、ワープ駆動機構186を制御して回転軸204を回転駆動し、第1ワープ誘導部202がワープ通路部材90の内部空間を区画するように制御する。これにより、連通接続口が開放され、かつ第1ワープ誘導部202でワープ通路部材90の内部空間が区画された状態になるので、誘導入賞口48に入球した遊技球は、第1ワープ誘導部202に衝突してから後方にある連通口92を通って後側遊技盤30の特別進入部位V2に進入する。
さらに、主制御基板102がスーパースペシャル数字となる乱数を取得すれば、主制御基板102からサブ制御基板106に対してスーパースペシャルコマンドが出力される。サブ制御基板106は、スーパースペシャルコマンドを受け取ると、駆動機構182を制御して回転軸88を回転駆動し、可動式誘導底面部86が連通接続口を開放するように制御する。また、同時に、サブ制御基板106は、スーパースペシャルコマンドを受け取ると、ワープ駆動機構186を制御して回転軸204を回転駆動し、第1ワープ誘導部202がワープ通路部材90の内部空間の区画を解除するように制御する。これにより、誘導入賞口48に入球した遊技球は、ワープ通路部材90の第2ワープ誘導部206まで落下する。そして、第2ワープ誘導部206から後方にある連通口208を通って後側遊技盤30のミラクル特別進入部位V3に進入する。
なお、遊技球の振り分けの基準として乱数を用いた構成に限られることはなく、例えば、図15に示すように、遊技球が前側遊技盤28の普通始動口58に入球すると、遊技球が普通入賞検出用スイッチ114により検出され、この普通入賞検出用スイッチ114から主制御基板102に対してノーマルコマンドが出力される。そして、ノーマルコマンドを受信した主制御基板102は、駆動機構182を制御して回転軸88を回転駆動し、可動式誘導底面部86が連通接続口を閉塞するように制御してもよい。この場合には、遊技球が前側遊技盤28の普通始動口58に入球すると、誘導入賞口48の開口部48Bが1回のみにしか開放せず、さらに誘導入賞口48の開口部48Bに入球した遊技球は、必ず後側遊技盤30の通常進入部位V1に導かれることになり、V入賞口76に入賞する確率が低下する。
一方、例えば、1個の遊技球が前側遊技盤28の特別始動口52に入球すると、遊技球が特別入賞検出用スイッチ112により検出され、この特別入賞検出用スイッチ112から主制御基板102に対してスペシャルコマンドが出力される。そして、スペシャルコマンドを受信した主制御基板102は、駆動機構182及びワープ駆動機構186を制御して回転軸88、204を回転駆動し、可動式誘導底面部86が連通接続口を開放し、同時に、第1ワープ誘導部202がワープ通路部材90の内部空間を区画するように制御してもよい。この場合には、遊技球が前側遊技盤28の特別始動口52に入球すると、誘導入賞口48の開口部48Bが3回も開放するばかりか、誘導入賞口48の開口部48Bに入球した遊技球は、必ずワープ通路部材90を落下して第1ワープ誘導部202から後側遊技盤30の特別進入部位V2に導かれることになるため、V入賞口76に入賞する確率が大幅に向上することになる。
さらに、例えば、2個以上の遊技球が前側遊技盤28の特別始動口52に連続して入球すると、遊技球が特別入賞検出用スイッチ112により検出され、この特別入賞検出用スイッチ112から主制御基板102に対してスーパースペシャルコマンドが出力される。そして、スーパースペシャルコマンドを受信した主制御基板102は、駆動機構182及びワープ駆動機構186を制御して回転軸88、204を回転駆動し、可動式誘導底面部86が連通接続口を開放し、同時に、第1ワープ誘導部202がワープ通路部材90の内部空間の区画を解除するように制御してもよい。この場合には、2個以上の遊技球が前側遊技盤28の特別始動口52に入球すると、誘導入賞口48の開口部48Bが3回も開放するばかりか、誘導入賞口48の開口部48Bに入球した遊技球は、必ずワープ通路部材90を落下して第2ワープ誘導部206から後側遊技盤30のミラクル特別進入部位V3に導かれることになるため、V入賞口76に略入賞することになる。
(変形例2)
図19及び図20に示すように、変形例2となるパチンコ機は、後側遊技盤30の後側遊技領域72上であって通常進入部位V1と特別進入部位V2とV入賞口76を結ぶ軸上に、振分部材として機能する回転体を設けたものである。なお、各実施形態のパチンコ機の構成と重複する構成については説明を省略する。
図19及び図20に示すように、変形例2となるパチンコ機の後側遊技盤30には、2つの回転体210、212が設けられている。すなわち、後側遊技領域72上であって通常進入部位V1と特別進入部位V2との間には、第1回転体210が軸回りに回転に設けられている。第1回転体210には、第1回転体210を上下方向に貫通する3つの貫通孔210Aが形成されている。また、第1回転体210には第1回転駆動機構188が接続されており、第1回転駆動機構188により第1回転体210の回転が可能になる。
第1回転体210が軸回りに回転すると、第1回転体210の上面に落下した遊技球は、落下したタイミングでいずれかの貫通孔210Aに進入する。このときも、第1回転体210は回転しているが、貫通孔210Aから落下すると、第1回転体210と第2回転体212との間にある第1特別領域T1には障害釘が設けられていないので、後述の第2回転体212の上面に落下するようになっている。
後側遊技領域72上であって通常進入部位V1と特別進入部位V2との間には、第2回転体212が軸回りに回転に設けられている。第2回転体212には、第2回転体212を上下方向に貫通する3つの貫通孔212Aが形成されている。また、第2回転体212には第2回転駆動機構190が接続されており、第2回転駆動機構190により第2回転体212の回転が可能になる。
第2回転体212が軸回りに回転すると、第2回転体212の上面に落下した遊技球は、落下したタイミングでいずれかの貫通孔212Aに進入する。このときも、第2回転体212は回転しているが、貫通孔212Aから落下すると、第2回転体212とV入賞口76との間にある第2特別領域T2には障害釘が設けられていないので、V入賞口76の真上の位置にきた第2回転体212の貫通孔212Aから遊技球が落下すると、V入賞口76に入賞し易くなる。
以上のように、本変形例2のパチンコ機によれば、通常進入部位V1と特別進入部位V2とV入賞口76を結ぶ軸上というV入賞口76に入賞し易いルートに、後側遊技領域72に遊技球を振り分ける回転体210、212がそれぞれ設けられているため、回転体210、212の回転動作との関係でV入賞口76に入賞する確率が大きく異なることになる。このため、後側遊技盤30における遊技についても、遊技者は期待と興奮を持って遊技球の行方を見守ることになり、遊技性の興趣を高めることができる。
なお、後側遊技盤30に回転体210、212などの大型役物を設ける場合には、前側遊技盤28と後側遊技盤30との間に介在するスペーサ部材(図3参照)34の軸方向長さを長くすることが好ましい。スペーサ部材(図3参照)34の軸方向長さを長くすると、前側遊技盤28と後側遊技盤30との離間距離が大きくなるため、後側遊技盤30に比較的大型の役物を配置することができる。
また、その他の変形例として、各実施形態では、2つの遊技盤28、30が前後方向に配置された構成を示したが、3つ以上の遊技盤を前後方向に所定の間隔をあけて配置してもよい。複数の遊技盤に連絡する手段を設ければ、その分だけ、遊技領域を拡大することができるため、遊技性を高めることができる。
また、前述した実施形態および変形例では、V入賞口76が後側遊技盤30に固定されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、V入賞口76を後側遊技領域72内で移動可能に構成しても良い。例えば、後側遊技領域72の左側端部から右側端部まで水平に連続して形成されるレール部材を設け、モータやソレノイド等の駆動手段によってV入賞口76をレール部材に沿って水平移動するように構成する。また、V入賞口76は、遊技機の電源投入時から常時水平移動させておく構成とする。このような構成にすることで、上述した実施形態におけるクルーン等の誘導部材によって、遊技球が後側遊技領域72の左右端部方向に誘導されてしまった遊技球にも、V入賞口76への入賞のチャンスを持たせることができる。また、V入賞口76までの遊技球の転動経路として、後側遊技領域72の隅々までを使用することができる。したがって、従来のハネモノタイプの遊技機における可動入賞装置と比べて、より広範囲の遊技球の転動領域を確保することができ、遊技者の興趣を高めることができる。