JP4736241B2 - 多次元マトリックス経営システムおよびその方法 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、経営システムに関するものであり、特に多次元マトリックス経営システム及びその方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
販売目標金額およびその実績を比較して管理する経営システムが、種々運用されてきたが、主なものは、製品、市場分野、得意先、或いは営業部員ごとの販売目標金額の達成度を管理する経営管理システムである。従って、従来の経営管理システムでは、売り上げ金額などの数字の評価しかできないものである。また、最近では、経済のグローバル化が進み、得意先の営業活動も１ヶ国に限らず、ワールドワイドに展開される場合が多くなりつつあり、従って、地域（即ち、国、アジア地区、ヨーロッパ地区など）ごとに目標および実績を管理する経営管理システムも開発されつつある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の経営管理システムでは、製品、市場分野、得意先、地域などの単独の戦略軸に従って管理するものであり、各軸を同時にかつフレキシブルに、しかも限られた時間の中で管理することができなかった。例えば、ある多国籍企業の得意先は、複数の国に拠点を有し、かつ、複数の国で多数の製品を購買している場合には、従来のシステムでは、国ごとの管理、或いは、製品ごとの管理しかできないため、製品と地域の両方、或いは、製品、市場分野、得意先、地域の４つの戦略軸を考慮した適切な販売目標管理や経営管理を行うことができなかった。
【０００４】
また、従来の経営管理システムでは、販売金額や数量の目標という数字で管理できるものだけを管理対象としており、具体的な営業活動のアクションプラン（行動計画）を管理することができなかった。例えば、電子部品などの営業活動においては、例えば、「技術者との打ち合わせ」、「第１試作品の出荷」、「第１次試作品の評価のフィードバック」「第２次試作品の出荷」、「第２次試作品の評価のフィードバック」、「購買担当者との打ち合わせ」、「購入決定」、「購買価格決定」、「契約」、「出荷」という流れをそれぞれの各段階において適切に管理することは、極めて重要であるが、従来の経営管理システムは、このような行動計画と販売目標とを同時にフレキシブルに管理することはできなかった。
また、従来の経営管理システムは、アクションプラン並びに販売目標、および、その実績を同時にフレキシブルに管理することもできなかった。
【０００５】
また、従来の経営管理システムでは、管理者は集計された数字から判断して経営方針、即ち営業活動の方針を判断したり、営業部員は管理者が決定した販売目標を目的として営業活動を行い販売実績を入力したりするというものであるため、販売実績に表れない個々の営業部員などの活動の進捗状況を把握して、これに基づく経営管理ができなかった。従って、営業部員に個々の営業活動の進捗状況、さらに、援助が必要な場合には具体的な援助要求を入力させ、これを管理者に伝達して、管理者のコメントなどを営業部員にフィードバックするようなコミュニケーションシステムが求められている。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明による多次元マトリックス経営システムは、リモート或いはローカルの端末と通信して該端末を利用する利用者の業務実績を管理するコンピュータとして構成される多次元マトリックス経営システムであって、
管理者が利用する管理者端末から指定された少なくとも販売目標およびアクションプランを含む初期目標を、製品、地域、市場分野、得意先の４軸の多次元マトリックス形式の情報としてそれぞれ同時に優先度を表すランクを付して設定して、利用者が利用する利用者端末も通信可能なデータベースに格納する初期目標格納手段と、
前記利用者端末の利用者に対して、前記初期目標に対応する、所定の期間に亘る実際の販売金額或いは数量および実際の営業活動を含む実績を入力するよう、所定の周期で前記利用者端末に指示を送出する実績入力手段と、
前記利用者端末から、前記初期目標に対応する前記実績の情報を受信する実績受信手段と、
前記利用者端末から受信した実績の情報を前記４軸の多次元マトリックス形式の情報に関連付けて前記データベースに格納する実績格納手段と、
前記管理者端末又は前記利用者端末からの要求に応じて、前記データベースから前記４軸の多次元マトリックス形式の情報のうちの１つ以上の情報を読み出し、当該指定された軸の情報についての前記初期目標および実績の情報から達成率を算出して該達成率の順に当該要求された軸の情報をソートするか、又は前記ランクに基づいて前記初期目標の情報をソートして、当該要求を行った管理者端末又は利用者端末上に表示する目標達成管理手段と、
を具えることを特徴とするものである。
本構成によれば、製品、市場分野、得意先、地域の４つの戦略軸を考慮した適切な販売目標管理や経営管理を行うことができるようになる。例えば、地域に重点を置いて現状分析を実施したい場合は、軸として地域を選択して、各地域の営業状況などを管理することができるようになる。また、製品の場合も、同様に製品を軸として選択できる。なお、軸は複数選択することができ、例えば、地域を第１の軸、製品を第２の軸として選択すれば、大きくは地域ごとに表示され、さらに各地域内における各製品の状況などを容易かつ簡便に把握して適切な経営管理を行うことができるようになる。
【０００７】
本構成によれば、例えば、比較した結果を何段階かの所定の幾つかの閾値（例えば１００％達成、８０％達成、５０％達成など）によってソートすることにより、各軸毎に容易に営業成績を把握することが可能となる。例えば、ある地域で営業成績の良い得意先を順次表示させたり、ある製品の営業成績の良い得意先を順次表示させたりすることが容易かつ簡単に実行できるようになる。
【０００９】
本発明の多次元マトリックス経営システムにおいて、前記実績の情報が、進捗状況を表わす、少なくとも、スケジュール通り、スケジュールから遅れている、完了、からなる進捗コードをも含み、
前記目標達成管理手段は、当該指定された軸の情報を前記進捗コードとともに表示する進捗管理手段をさらに具えることを特徴とするものである。本構成によれば、各軸毎の進捗状況を容易に把握して、適切な経営判断をタイムリーにすることができるようになる。
【００１０】
本発明の多次元マトリックス経営システムにおいて、前記管理者端末からの指示に基づいて前記初期目標を修正する目標修正手段をさらに具えることを特徴とするものである。本構成によれば、進捗コード、実際の営業活動の状況などの実績、或いはGNP成長率、インフレ率、為替などの様々な経済状況の最新情報に応じて、速やかに適切な目標値に修正してより適切かつスピーディな経営判断が可能となる。
【００１１】
本発明の多次元マトリックス経営システムにおいて、前記実績入力手段が、前記利用者端末の利用者が前記初期目標の達成が困難な場合に、問題点が記述された援助要求コメントとともに、前記初期目標に対応する実績の情報を入力するよう、前記利用者端末に指示を送出する手段を具え、
前記実績受信手段が、前記利用者端末から前記援助コメント付きの実績の情報を受信する手段を具え、
前記援助要求コメントを前記管理者端末に電子メールで送信する手段と、
当該管理者に対して、前記援助要求コメントに記述された問題点を解決し得る新たなアクションプランを、所定の期限までに入力するよう前記管理者端末に指示を送出する手段と、
前記管理者端末から前記新たなアクションプランを受信する手段と、
前記新たなアクションプランを前記初期目標に対して更新して前記データベースに格納する手段と、
を具えることを特徴とするものである。
本構成によれば、各担当者と管理者との双方向コミュニケーションを強制的に取らせることによって、問題点を適切かつ効率的に処理させることが可能となる。
【００１２】
本発明の多次元マトリックス経営システムの処理方法は、リモート或いはローカルの端末と通信して該端末を利用する利用者の業務実績を管理するコンピュータとして構成される多次元マトリックス経営システムの処理方法であって、
前記多次元マトリックス経営システムは、初期目標格納手段、実績入力手段、実績受信手段、実績格納手段及び目標達成管理手段を備えており、
前記初期目標格納手段によって、管理者が利用する管理者端末から指定された少なくとも販売目標およびアクションプランを含む初期目標を、製品、地域、市場分野、得意先の４軸の多次元マトリックス形式の情報としてそれぞれ同時に優先度を表すランクを付して設定して、利用者が利用する利用者端末も通信可能なデータベースに格納するステップと、
前記実績入力手段によって、前記利用者端末の利用者に対して、前記初期目標に対応する、所定の期間に亘る実際の販売金額或いは数量および実際の営業活動を含む実績を入力するよう、所定の周期で前記利用者端末に指示を送出するステップと、
前記実績受信手段によって、前記利用者端末から、前記初期目標に対応する前記実績の情報を受信するステップと、
前記実績格納手段によって、前記利用者端末から受信した実績の情報を前記４軸の多次元マトリックス形式の情報に関連付けて前記データベースに格納するステップと、
前記目標達成管理手段によって、前記管理者端末又は前記利用者端末からの要求に応じて、前記データベースから前記４軸の多次元マトリックス形式の情報のうちの１つ以上の情報を読み出し、当該要求された軸の情報についての前記初期目標および実績の情報から達成率を算出して該達成率の順に当該指定された軸の情報をソートするか、又は前記ランクに基づいて前記初期目標の情報をソートして、当該要求を行った管理者端末又は利用者端末上に表示するステップと、
を含むことを特徴とするものである。
【００１３】
また、説明の便宜上、本発明を主として装置（システム）の態様で説明したが、本発明の範囲には、これらの装置に対応する方法、その方法を実現するプログラム、およびそのプログラムを記録する記憶媒体、およびこれらと均等なもの、なども含まれるものと理解されたい。
【００１４】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施態様を詳細に説明する。
図１は、本発明の多次元マトリックス経営システムを稼動させることができるコンピュータシステムの基本構成を説明するブロック図である。
図に示すように、本発明の実施態様において使用されるコンピュータシステム１０は、プロセッサ１１、ＲＡＭ１２、ROM１３、外部インターフェイス１４、外部記憶装置コントローラ１５、システムバス１６を具えるものである。コンピュータシステム１０の各要素はシステムバス１６を介して相互に接続されている。コンピュータシステム１０は、外部記憶装置コントローラ１５を介してハードディスクなどの外部記憶装置１７に接続する。外部記憶装置１７或いはRＯM１３内には、本発明の多次元マトリックス経営システムを実現するためのプログラムを格納する。実行時に、本プログラムをRAM１２内にロードして、プロセッサ１１が、本プログラムのインストラクションを実行する。コンピュータシステム１０は、外部インターフェイス１４を介してインターネットなどのネットワーク１８、さらにはこのネットワーク１８に接続するリモート端末１９に接続されている。また、コンピュータシステム１０は、外部インターフェイス１４を介してローカル端末２０に接続する。
【００１５】
図２は、本発明の多次元マトリックス経営システムの基本構成を説明するブロック図である。
図に示すように、この多次元マトリックス経営システム２１は、初期目標格納手段２２、実績入力手段２３、実績受信手段２４、実績格納手段２５、目標達成管理手段２６を具えるものである。また、これらの各手段は、実際には、RAM１２内にロードされた本発明を実現するプログラムによって提供されるものである。
初期目標格納手段２２は、製品、地域、市場分野、得意先の４軸の多次元マトリックス形式で、少なくとも、販売目標およびアクションプランを含む初期目標を、データベースに格納する機能を有する。
実績入力手段２３は、リモート或いはローカルの端末によって、前記初期目標に対応する、実際の販売金額や数量および実際の営業活動を含む実績を、それぞれ入力させる機能を有する。
実績受信手段２４は、ネットワークを介して前記実績を受信する機能を有する。
実績格納手段２５は、前記の受信した実績を前記データベースに格納する機能を有する。
目標達成管理手段２６は、前記データベースから、前記初期目標および実績を読み出し、前記４軸のいずれか１つ、或いは複数を選択し、この選択された軸に沿って、前記初期目標、および／または、前記実績を所定の順序（例えば、あいうえお順、降順、昇順）で、ソートして、前記リモート或いはローカルの端末上に表示する機能を有する。
【００１６】
本発明の多次元マトリックス経営システムにおける４つの軸とは、製品、地域、市場分野（即ちセット）、得意先のことである。ビジネスにおいて重要なことは、関連するこれら４つの軸の目標値を同時に設定し、統一された１つの戦略の下に目標の達成のために営業活動を行うことである。これらの目標値については、４つの軸を同時に管理すること、ITを利用して時間および距離の差を越えてオンタイム或いはリアルタイムで情報を扱うこと、国、言語、文化、通貨、人種などの違いを乗り越えた目標設定を行うこと、ビジネス上の様々な障害を乗り越えて目標を完遂することである。
【００１７】
以降、本発明による多次元マトリックス経営システムを利用するプロセスを具体的に説明する。
はじめに、各軸について責任を負う管理者が、初期目標（即ち彼等の目標（販売金額、数量など）や戦略（アクションプランなど））を４つの軸に沿って設定し、多次元マトリックス経営システム２０の初期目標格納手段２１を使用して入力する。管理者は、これらの目標および戦略を、過去のデータ（前記の実績など）、経済状況、本部の方針、経営や財務状況などに基づき決定する。この設定された目標の根幹は、数字評価のできる販売目標値（数量や金額など）であり、戦略はその目標達成のための明確で具体的なアクションプランなどである。一般的に、これらの目標や戦略を決定するために、管理者は、営業部員、関係スタッフ、トップマネージメントなども交えた会議を開催して最終的な目標および戦略の決定を行う。即ち、営業各位がクリアーで達成可能な目標値を設定することが重要である。
【００１８】
目標は、例えば、第１０５期の販売目標金額は、ヨーロッパ地区で９８億円、全世界で１１０億円などと設定する。また、さらに詳細に製品（例えばコンデンサなど）、地域（例えばアジア地区など）、市場分野（例えばTV、ビデオなど）、得意先（例えばA社、B社などの会社名、或いは企業グループ名など）の４軸に沿って、目標を設定する。例えば、製品：コンデンサA、地域：アジア地区、得意先：A社に対する当期目標を、数量１０万個、販売金額２億円などと設定する。しかしながら、この４軸全てを設定するのが好適であるが、必ずしも全ての軸を入力する必要はない。例えば、軸：市場分野を入力しないで、システム上にどの部品がどの市場分野に対応するのかを記述した別のデータベースを用意しておき、コンデンサAが、市場分野：ビデオに該当する場合、このコンデンサAの目標数値を自動的に市場分野：ビデオに算入させるような処理も可能である。アクションプランとしては、例えば、製品Aに関して、アジア地区のB社のC市場分野向けに「１／０１まで技術者との打ち合わせ」、「２／０１まで第１試作品の出荷」、「３／０１まで第１次試作品の評価のフィードバック」「４／０１まで第２次試作品の出荷」、「５／０１まで第２次試作品の評価のフィードバック」「６／０１まで契約」、「７／０１まで出荷」などと具体的な行動とそのスケジュールとを入力する。
【００１９】
次に、各営業部員が、リモート或いはローカルの端末を用いて本システムにアクセスすると、本システムの実績入力手段２３は、上述した初期の目標に対応する、所定の期間に亘る実際の販売金額や数量および実際の営業活動を含む実績を、所定の周期（例えば日時、週次、月次などの期限までに）に従って、それぞれ入力させるように指示を出す。この指示に促されて、営業部員は、リモート或いはローカルの端末を用いて実績を入力する。入力された前記実績は、実績受信手段２４により、ネットワークなどを介して受信される。その後、前記の受信した実績は、実績格納手段２５により、ハードディスク上などに構築されたデータベースに格納される。
実際には、例えば、営業部員は、製品：コンデンサA、販売地：香港、得意先：A社、数量：１万個、金額：１００万円と入力する。また、実際の営業活動、即ち進捗状況に関しては、営業部員がコメント欄に、例えば「製品Aのサンプルを提供した。製品Bの価格を提示した。」などと入力する。関係者は、このコメント欄を参照して、適切な対応策やアドバイスなどをこのコメント欄に追加記入することができる。例えば、販売地がどの地域に対応するのかを記載した別のデータベースを用意しておき、販売地：香港の場合は、地域：アジア地区というような情報を自動的に付加して格納することもできる。他の入力データに関しても、同様の手法で再編成された形式でデータベースに格納することが可能である。
【００２０】
また、各目標には、重要度や優先度を表わすランクを付けることができる。例えば、ランクA：最優先事項、ランクB：重要事項、ランクC：目標数値のない目標（即ち直接ビジネス成長に関係しない計画）のようなランク付けをすることができる。
【００２１】
その後、営業部員や管理者が、リモート或いはローカルの端末を用いて所望の軸を選択すると、目標達成管理手段２６は、データベースから、初期目標および実績を読み出し、この選択された軸に沿って、初期目標および実績を、リモート或いはローカルの端末上に表示する。例えば、地域が選択された場合、下記のような表の形式で表示される。
【００２２】
【表１】
【００２３】
または、例えば、地域を第１の軸として選択し、さらに得意先を第２の軸として選択した場合には、下記のような表の形式で表示させることもできる。
【００２４】
【表２】
Ａ地区
ａａ社 目標50万円 前記実績25万円 当期実績50万円 達成率100%
ｂｂ社 目標40万円 前記実績15万円 当期実績20万円 達成率50%
ｃｃ社 目標30万円 前記実績10万円 当期実績10万円 達成率33%
Ｂ地区
ｘｘ社-------------------------------------------
ｙｙ社------------------------------
ｚｚ社-------------------
【００２５】
上の表のように、達成率でソートして表示させれば、各地区において営業状態の悪い得意先が簡単に見分けることが可能となり、これにより、管理者や営業部員は、容易に問題のある箇所を判断することができるようになる。各軸の選択は任意であり、上述したように４つの軸から複数の軸を選択することも可能である。また、達成率以外でも、所望の任意の項目に関して、所定の順序（昇順或いは降順など）でソートすることも可能である。
【００２６】
或いは、例えば軸として得意先が選択された場合に、図３のような特定の得意先のサマリーを表示させる画面インターフェイスを提供することもできる。図に示すように、初期目標の他に所定の期間の経過後に、実績や社会情勢などを勘案して見直しとして「修正」欄に修正目標値を設定することもできる。期の終わりに「最終」欄に結果（当期の販売実績および来期の期首計画値）を入力することもできる。
【００２７】
図４は、ある重点的な目標に対するアクションプラン即ち戦術およびその期限を設定した形式の表で管理するための画面インターフェイスである。図には、重点目標およびそれに関連する戦術（即ちアクションプラン）が示されている。なお、本インターフェイスは、内容を入力、参照、修正することが可能である。ヘッダ部分では、重点目標に関する背景情報と共に、目標に関する重要なデータを参照することができる。図に示すように、この場合は、第１０５期において新規得意先の開拓を行うことが目的であり、２００１年３月までに１０５期の売り上げを９８億円にすることを目的とするものである。「評価可能な目標」欄は、図のように「部品Aの承認を得る」でもよいが、できるなら、シュアか販売数、販売額などの数値目標を記述するのが好適である。戦術欄には、全ての関連する施策、およびその期限と責任担当者が示されている。従って、本画面インターフェイスを用いれば、期限に遅れている行動計画およびその担当者を容易に見つけ出すことができるようになる。
【００２８】
また、計画の状況を表わすコードとして、「＝」：初期計画、「−」：修正スケジュール、「ｘ」：キャンセルを使用する。さらに、進捗管理コードとして、「A」：スケジュール通り、「Ｂ」スケジュールから遅れているが、当期中に達成可能、「C」：スケジュールから遅れていて、当期中の達成は困難、「D」：得意先のプロジェクトが喪失、「G」弊社がギブアップ、「Z」：完了を使用する。これらのコードによって、計画状況や進捗状況を容易に把握することができるようになる。これらのコードでソートして表示させれば、より容易に問題箇所や成績のよい箇所を把握して経営管理に役立てることが可能となる。
【００２９】
図５は、マトリックス管理者の月度進捗管理コメントを管理するための画面インターフェイスである。図に示すように、本システムは、マトリックス管理者に毎月重点目標のそれぞれに関して簡単な近況報告を入力させ、これを表示させる。この近況報告には、簡潔な状況説明と共に毎月の進捗の更新とが含まれる。また、本システムは、マトリックス管理者による進捗更新に加えて、上級管理者に、４半期ベースなどの所定の周期で全ての重点目標をチェックさせ、全体に関するコメントを入力させる。同様に、実際の営業活動に対する進捗管理コメントを各営業部員に入力させることも可能であることに留意されたい。
【００３０】
このようなコミュニケーションは、目標管理する上での成功の鍵である。さらに、本システムでは、個々の重点目標やその進捗状況などの内容を各社員が参照することが可能であり、これらの目標に直接関係する面白いニュースなどを有する者は、プロジェクトコメント欄に自由に書き込むことができる。このコメントは、自動的に関係者にｅ−ｍａｉｌで送信したり、関係者が本システムにアクセスした際に端末上に表示させたり、或いは重点目標の添付としてデータベースに格納することができる。このことは、誰でも何時でもコミュニケーションの如何なる部分をも容易に遡ることができ、しかも、全体の経緯が損なわないことを保証するものである。
【００３１】
進捗状況などに問題がある場合は、マトリックス管理者や営業部員は、問題点を記述した援助要求コメントを入力することができる。これは、基本的にはプロジェクトコメントと同じ原理であり、入力された援助要求コメントは、自動的にｅ−ｍａｉｌで関係者に送付したり、関係者が本システムにアクセスした際に端末上に表示させたり、或いは重点目標の添付としてデータベースに格納することができる。このコメントを受け取った者は、回答をｅ−ｍａｉｌで送付するか、直接システムにアクセスして回答を書き込むかによって援助要求に対して応答することができる。
【００３２】
マトリックス管理者と同様、個々の営業部員もまた、重点目標即ち初期目標を設定することができる。この営業部員ごとの重点目標は、マトリックス管理者の初期目標と調和したものとしなければならない。マトリックス管理者の重点目標と、個々の営業部員の重点目標とは、基本的には同様のものである。
【００３３】
来期の推定販売額は、下記の式で計算する。
来期の推定販売額＝当期の販売予算＋攻撃的目標による増加分−防御的目標による減少分
ここで、「攻撃的目標」とは新市場開拓や既存分野でのシェアアップなどの攻撃的な目標のことであり、「防御的目標」とは市場の強い圧力にさらされた継続ビジネスを守る目標のことである。なお、殆どの攻撃的目標の当期中の販売目標はごく僅かあるか、殆どないかである。初期目標金額に基づき、ネットのビジネス増加分を計算する。その際、攻撃的目標と防御的目標とでは異なる打率を適用する。経験から、攻撃的目標の合計額の約３０％は増加することがわかった。一方、防御的目標の約２０％が実際に失われることがわかった。従って、上述した式のように、増加分から減少分を差し引くことにより、ネットのビジネス増加分およびビジネス合計額が来期にどうなるのかを、より現実に近い数値で把握することが可能となる。
【００３４】
この打率を、各目標の進捗状況（即ち進捗コード）に基づき、設定することもできる。例えば、進捗コードA：打率５０％、進捗コードB：打率２０％、進捗コードC：打率０％、進捗コードD：打率０％、進捗コードG：打率０％、進捗コードＺ：打率１００％などのように設定することによって、より現実に近い数値を導き出すことが可能となる。
【００３５】
各初期目標には、優先度を表わすランクを付けることも可能である。例えば、Aランク：最優先事項、Bランク：重要事項、Cランク：数値目標のない目標（即ち、直接ビジネス成長に関係しない計画）などのように設定して、このランクに基づき目標をソートして問題を把握したりすることが可能となる。
【００３６】
本発明を実施態様や諸図面に基づき説明してきたが、本発明の範囲は、これらによって何ら限定されるものではなく、様々な修正、変形を行うことができることを理解されたい。例えば、当業者であれば、本発明の開示に基づき、ロータス社のノーツやこれに相当するようなツール、或いは、表計算ソフトなどを補助的に使用して本発明を実現することが容易にできるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の多次元マトリックス経営システムを稼動させることができるコンピュータシステムの基本構成を説明するブロック図である。
【図２】 本発明の多次元マトリックス経営システムの基本構成を説明するブロック図である。
【図３】 特定の得意先のサマリーを表示させる画面インターフェイスである。
【図４】 重点的な目標に対するアクションプラン即ち戦術およびその期限を設定した形式の表で管理するための画面インターフェイスである。
【図５】 マトリックス管理者の月度進捗管理コメントを管理するための画面インターフェイスである。
【符号の説明】
１０ コンピュータシステム
１１ プロセッサ
１２ ＲＡＭ
１３ ROM
１４ 外部インターフェイス
１５ 外部記憶装置コントローラ
１６ システムバス
１７ 外部記憶装置
１８ ネットワーク
１９ リモート端末
２０ ローカル端末
２１ 多次元マトリックス経営システム
２２ 初期目標格納手段
２３ 実績入力手段
２４ 実績受信手段
２５ 実績格納手段
２６ 目標達成管理手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、経営システムに関するものであり、特に多次元マトリックス経営システム及びその方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
販売目標金額およびその実績を比較して管理する経営システムが、種々運用されてきたが、主なものは、製品、市場分野、得意先、或いは営業部員ごとの販売目標金額の達成度を管理する経営管理システムである。従って、従来の経営管理システムでは、売り上げ金額などの数字の評価しかできないものである。また、最近では、経済のグローバル化が進み、得意先の営業活動も１ヶ国に限らず、ワールドワイドに展開される場合が多くなりつつあり、従って、地域（即ち、国、アジア地区、ヨーロッパ地区など）ごとに目標および実績を管理する経営管理システムも開発されつつある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の経営管理システムでは、製品、市場分野、得意先、地域などの単独の戦略軸に従って管理するものであり、各軸を同時にかつフレキシブルに、しかも限られた時間の中で管理することができなかった。例えば、ある多国籍企業の得意先は、複数の国に拠点を有し、かつ、複数の国で多数の製品を購買している場合には、従来のシステムでは、国ごとの管理、或いは、製品ごとの管理しかできないため、製品と地域の両方、或いは、製品、市場分野、得意先、地域の４つの戦略軸を考慮した適切な販売目標管理や経営管理を行うことができなかった。
【０００４】
また、従来の経営管理システムでは、販売金額や数量の目標という数字で管理できるものだけを管理対象としており、具体的な営業活動のアクションプラン（行動計画）を管理することができなかった。例えば、電子部品などの営業活動においては、例えば、「技術者との打ち合わせ」、「第１試作品の出荷」、「第１次試作品の評価のフィードバック」「第２次試作品の出荷」、「第２次試作品の評価のフィードバック」、「購買担当者との打ち合わせ」、「購入決定」、「購買価格決定」、「契約」、「出荷」という流れをそれぞれの各段階において適切に管理することは、極めて重要であるが、従来の経営管理システムは、このような行動計画と販売目標とを同時にフレキシブルに管理することはできなかった。
また、従来の経営管理システムは、アクションプラン並びに販売目標、および、その実績を同時にフレキシブルに管理することもできなかった。
【０００５】
また、従来の経営管理システムでは、管理者は集計された数字から判断して経営方針、即ち営業活動の方針を判断したり、営業部員は管理者が決定した販売目標を目的として営業活動を行い販売実績を入力したりするというものであるため、販売実績に表れない個々の営業部員などの活動の進捗状況を把握して、これに基づく経営管理ができなかった。従って、営業部員に個々の営業活動の進捗状況、さらに、援助が必要な場合には具体的な援助要求を入力させ、これを管理者に伝達して、管理者のコメントなどを営業部員にフィードバックするようなコミュニケーションシステムが求められている。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明による多次元マトリックス経営システムは、リモート或いはローカルの端末と通信して該端末を利用する利用者の業務実績を管理するコンピュータとして構成される多次元マトリックス経営システムであって、
管理者が利用する管理者端末から指定された少なくとも販売目標およびアクションプランを含む初期目標を、製品、地域、市場分野、得意先の４軸の多次元マトリックス形式の情報としてそれぞれ同時に優先度を表すランクを付して設定して、利用者が利用する利用者端末も通信可能なデータベースに格納する初期目標格納手段と、
前記利用者端末の利用者に対して、前記初期目標に対応する、所定の期間に亘る実際の販売金額或いは数量および実際の営業活動を含む実績を入力するよう、所定の周期で前記利用者端末に指示を送出する実績入力手段と、
前記利用者端末から、前記初期目標に対応する前記実績の情報を受信する実績受信手段と、
前記利用者端末から受信した実績の情報を前記４軸の多次元マトリックス形式の情報に関連付けて前記データベースに格納する実績格納手段と、
前記管理者端末又は前記利用者端末からの要求に応じて、前記データベースから前記４軸の多次元マトリックス形式の情報のうちの１つ以上の情報を読み出し、当該指定された軸の情報についての前記初期目標および実績の情報から達成率を算出して該達成率の順に当該要求された軸の情報をソートするか、又は前記ランクに基づいて前記初期目標の情報をソートして、当該要求を行った管理者端末又は利用者端末上に表示する目標達成管理手段と、
を具えることを特徴とするものである。
本構成によれば、製品、市場分野、得意先、地域の４つの戦略軸を考慮した適切な販売目標管理や経営管理を行うことができるようになる。例えば、地域に重点を置いて現状分析を実施したい場合は、軸として地域を選択して、各地域の営業状況などを管理することができるようになる。また、製品の場合も、同様に製品を軸として選択できる。なお、軸は複数選択することができ、例えば、地域を第１の軸、製品を第２の軸として選択すれば、大きくは地域ごとに表示され、さらに各地域内における各製品の状況などを容易かつ簡便に把握して適切な経営管理を行うことができるようになる。
【０００７】
本構成によれば、例えば、比較した結果を何段階かの所定の幾つかの閾値（例えば１００％達成、８０％達成、５０％達成など）によってソートすることにより、各軸毎に容易に営業成績を把握することが可能となる。例えば、ある地域で営業成績の良い得意先を順次表示させたり、ある製品の営業成績の良い得意先を順次表示させたりすることが容易かつ簡単に実行できるようになる。
【０００９】
本発明の多次元マトリックス経営システムにおいて、前記実績の情報が、進捗状況を表わす、少なくとも、スケジュール通り、スケジュールから遅れている、完了、からなる進捗コードをも含み、
前記目標達成管理手段は、当該指定された軸の情報を前記進捗コードとともに表示する進捗管理手段をさらに具えることを特徴とするものである。本構成によれば、各軸毎の進捗状況を容易に把握して、適切な経営判断をタイムリーにすることができるようになる。
【００１０】
本発明の多次元マトリックス経営システムにおいて、前記管理者端末からの指示に基づいて前記初期目標を修正する目標修正手段をさらに具えることを特徴とするものである。本構成によれば、進捗コード、実際の営業活動の状況などの実績、或いはGNP成長率、インフレ率、為替などの様々な経済状況の最新情報に応じて、速やかに適切な目標値に修正してより適切かつスピーディな経営判断が可能となる。
【００１１】
本発明の多次元マトリックス経営システムにおいて、前記実績入力手段が、前記利用者端末の利用者が前記初期目標の達成が困難な場合に、問題点が記述された援助要求コメントとともに、前記初期目標に対応する実績の情報を入力するよう、前記利用者端末に指示を送出する手段を具え、
前記実績受信手段が、前記利用者端末から前記援助コメント付きの実績の情報を受信する手段を具え、
前記援助要求コメントを前記管理者端末に電子メールで送信する手段と、
当該管理者に対して、前記援助要求コメントに記述された問題点を解決し得る新たなアクションプランを、所定の期限までに入力するよう前記管理者端末に指示を送出する手段と、
前記管理者端末から前記新たなアクションプランを受信する手段と、
前記新たなアクションプランを前記初期目標に対して更新して前記データベースに格納する手段と、
を具えることを特徴とするものである。
本構成によれば、各担当者と管理者との双方向コミュニケーションを強制的に取らせることによって、問題点を適切かつ効率的に処理させることが可能となる。
【００１２】
本発明の多次元マトリックス経営システムの処理方法は、リモート或いはローカルの端末と通信して該端末を利用する利用者の業務実績を管理するコンピュータとして構成される多次元マトリックス経営システムの処理方法であって、
前記多次元マトリックス経営システムは、初期目標格納手段、実績入力手段、実績受信手段、実績格納手段及び目標達成管理手段を備えており、
前記初期目標格納手段によって、管理者が利用する管理者端末から指定された少なくとも販売目標およびアクションプランを含む初期目標を、製品、地域、市場分野、得意先の４軸の多次元マトリックス形式の情報としてそれぞれ同時に優先度を表すランクを付して設定して、利用者が利用する利用者端末も通信可能なデータベースに格納するステップと、
前記実績入力手段によって、前記利用者端末の利用者に対して、前記初期目標に対応する、所定の期間に亘る実際の販売金額或いは数量および実際の営業活動を含む実績を入力するよう、所定の周期で前記利用者端末に指示を送出するステップと、
前記実績受信手段によって、前記利用者端末から、前記初期目標に対応する前記実績の情報を受信するステップと、
前記実績格納手段によって、前記利用者端末から受信した実績の情報を前記４軸の多次元マトリックス形式の情報に関連付けて前記データベースに格納するステップと、
前記目標達成管理手段によって、前記管理者端末又は前記利用者端末からの要求に応じて、前記データベースから前記４軸の多次元マトリックス形式の情報のうちの１つ以上の情報を読み出し、当該要求された軸の情報についての前記初期目標および実績の情報から達成率を算出して該達成率の順に当該指定された軸の情報をソートするか、又は前記ランクに基づいて前記初期目標の情報をソートして、当該要求を行った管理者端末又は利用者端末上に表示するステップと、
を含むことを特徴とするものである。
【００１３】
また、説明の便宜上、本発明を主として装置（システム）の態様で説明したが、本発明の範囲には、これらの装置に対応する方法、その方法を実現するプログラム、およびそのプログラムを記録する記憶媒体、およびこれらと均等なもの、なども含まれるものと理解されたい。
【００１４】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施態様を詳細に説明する。
図１は、本発明の多次元マトリックス経営システムを稼動させることができるコンピュータシステムの基本構成を説明するブロック図である。
図に示すように、本発明の実施態様において使用されるコンピュータシステム１０は、プロセッサ１１、ＲＡＭ１２、ROM１３、外部インターフェイス１４、外部記憶装置コントローラ１５、システムバス１６を具えるものである。コンピュータシステム１０の各要素はシステムバス１６を介して相互に接続されている。コンピュータシステム１０は、外部記憶装置コントローラ１５を介してハードディスクなどの外部記憶装置１７に接続する。外部記憶装置１７或いはRＯM１３内には、本発明の多次元マトリックス経営システムを実現するためのプログラムを格納する。実行時に、本プログラムをRAM１２内にロードして、プロセッサ１１が、本プログラムのインストラクションを実行する。コンピュータシステム１０は、外部インターフェイス１４を介してインターネットなどのネットワーク１８、さらにはこのネットワーク１８に接続するリモート端末１９に接続されている。また、コンピュータシステム１０は、外部インターフェイス１４を介してローカル端末２０に接続する。
【００１５】
図２は、本発明の多次元マトリックス経営システムの基本構成を説明するブロック図である。
図に示すように、この多次元マトリックス経営システム２１は、初期目標格納手段２２、実績入力手段２３、実績受信手段２４、実績格納手段２５、目標達成管理手段２６を具えるものである。また、これらの各手段は、実際には、RAM１２内にロードされた本発明を実現するプログラムによって提供されるものである。
初期目標格納手段２２は、製品、地域、市場分野、得意先の４軸の多次元マトリックス形式で、少なくとも、販売目標およびアクションプランを含む初期目標を、データベースに格納する機能を有する。
実績入力手段２３は、リモート或いはローカルの端末によって、前記初期目標に対応する、実際の販売金額や数量および実際の営業活動を含む実績を、それぞれ入力させる機能を有する。
実績受信手段２４は、ネットワークを介して前記実績を受信する機能を有する。
実績格納手段２５は、前記の受信した実績を前記データベースに格納する機能を有する。
目標達成管理手段２６は、前記データベースから、前記初期目標および実績を読み出し、前記４軸のいずれか１つ、或いは複数を選択し、この選択された軸に沿って、前記初期目標、および／または、前記実績を所定の順序（例えば、あいうえお順、降順、昇順）で、ソートして、前記リモート或いはローカルの端末上に表示する機能を有する。
【００１６】
本発明の多次元マトリックス経営システムにおける４つの軸とは、製品、地域、市場分野（即ちセット）、得意先のことである。ビジネスにおいて重要なことは、関連するこれら４つの軸の目標値を同時に設定し、統一された１つの戦略の下に目標の達成のために営業活動を行うことである。これらの目標値については、４つの軸を同時に管理すること、ITを利用して時間および距離の差を越えてオンタイム或いはリアルタイムで情報を扱うこと、国、言語、文化、通貨、人種などの違いを乗り越えた目標設定を行うこと、ビジネス上の様々な障害を乗り越えて目標を完遂することである。
【００１７】
以降、本発明による多次元マトリックス経営システムを利用するプロセスを具体的に説明する。
はじめに、各軸について責任を負う管理者が、初期目標（即ち彼等の目標（販売金額、数量など）や戦略（アクションプランなど））を４つの軸に沿って設定し、多次元マトリックス経営システム２０の初期目標格納手段２１を使用して入力する。管理者は、これらの目標および戦略を、過去のデータ（前記の実績など）、経済状況、本部の方針、経営や財務状況などに基づき決定する。この設定された目標の根幹は、数字評価のできる販売目標値（数量や金額など）であり、戦略はその目標達成のための明確で具体的なアクションプランなどである。一般的に、これらの目標や戦略を決定するために、管理者は、営業部員、関係スタッフ、トップマネージメントなども交えた会議を開催して最終的な目標および戦略の決定を行う。即ち、営業各位がクリアーで達成可能な目標値を設定することが重要である。
【００１８】
目標は、例えば、第１０５期の販売目標金額は、ヨーロッパ地区で９８億円、全世界で１１０億円などと設定する。また、さらに詳細に製品（例えばコンデンサなど）、地域（例えばアジア地区など）、市場分野（例えばTV、ビデオなど）、得意先（例えばA社、B社などの会社名、或いは企業グループ名など）の４軸に沿って、目標を設定する。例えば、製品：コンデンサA、地域：アジア地区、得意先：A社に対する当期目標を、数量１０万個、販売金額２億円などと設定する。しかしながら、この４軸全てを設定するのが好適であるが、必ずしも全ての軸を入力する必要はない。例えば、軸：市場分野を入力しないで、システム上にどの部品がどの市場分野に対応するのかを記述した別のデータベースを用意しておき、コンデンサAが、市場分野：ビデオに該当する場合、このコンデンサAの目標数値を自動的に市場分野：ビデオに算入させるような処理も可能である。アクションプランとしては、例えば、製品Aに関して、アジア地区のB社のC市場分野向けに「１／０１まで技術者との打ち合わせ」、「２／０１まで第１試作品の出荷」、「３／０１まで第１次試作品の評価のフィードバック」「４／０１まで第２次試作品の出荷」、「５／０１まで第２次試作品の評価のフィードバック」「６／０１まで契約」、「７／０１まで出荷」などと具体的な行動とそのスケジュールとを入力する。
【００１９】
次に、各営業部員が、リモート或いはローカルの端末を用いて本システムにアクセスすると、本システムの実績入力手段２３は、上述した初期の目標に対応する、所定の期間に亘る実際の販売金額や数量および実際の営業活動を含む実績を、所定の周期（例えば日時、週次、月次などの期限までに）に従って、それぞれ入力させるように指示を出す。この指示に促されて、営業部員は、リモート或いはローカルの端末を用いて実績を入力する。入力された前記実績は、実績受信手段２４により、ネットワークなどを介して受信される。その後、前記の受信した実績は、実績格納手段２５により、ハードディスク上などに構築されたデータベースに格納される。
実際には、例えば、営業部員は、製品：コンデンサA、販売地：香港、得意先：A社、数量：１万個、金額：１００万円と入力する。また、実際の営業活動、即ち進捗状況に関しては、営業部員がコメント欄に、例えば「製品Aのサンプルを提供した。製品Bの価格を提示した。」などと入力する。関係者は、このコメント欄を参照して、適切な対応策やアドバイスなどをこのコメント欄に追加記入することができる。例えば、販売地がどの地域に対応するのかを記載した別のデータベースを用意しておき、販売地：香港の場合は、地域：アジア地区というような情報を自動的に付加して格納することもできる。他の入力データに関しても、同様の手法で再編成された形式でデータベースに格納することが可能である。
【００２０】
また、各目標には、重要度や優先度を表わすランクを付けることができる。例えば、ランクA：最優先事項、ランクB：重要事項、ランクC：目標数値のない目標（即ち直接ビジネス成長に関係しない計画）のようなランク付けをすることができる。
【００２１】
その後、営業部員や管理者が、リモート或いはローカルの端末を用いて所望の軸を選択すると、目標達成管理手段２６は、データベースから、初期目標および実績を読み出し、この選択された軸に沿って、初期目標および実績を、リモート或いはローカルの端末上に表示する。例えば、地域が選択された場合、下記のような表の形式で表示される。
【００２２】
【表１】
または、例えば、地域を第１の軸として選択し、さらに得意先を第２の軸として選択した場合には、下記のような表の形式で表示させることもできる。
【００２４】
【表２】
Ａ地区
ａａ社 目標50万円 前記実績25万円 当期実績50万円 達成率100%
ｂｂ社 目標40万円 前記実績15万円 当期実績20万円 達成率50%
ｃｃ社 目標30万円 前記実績10万円 当期実績10万円 達成率33%
Ｂ地区
ｘｘ社-------------------------------------------
ｙｙ社------------------------------
ｚｚ社-------------------
【００２５】
上の表のように、達成率でソートして表示させれば、各地区において営業状態の悪い得意先が簡単に見分けることが可能となり、これにより、管理者や営業部員は、容易に問題のある箇所を判断することができるようになる。各軸の選択は任意であり、上述したように４つの軸から複数の軸を選択することも可能である。また、達成率以外でも、所望の任意の項目に関して、所定の順序（昇順或いは降順など）でソートすることも可能である。
【００２６】
或いは、例えば軸として得意先が選択された場合に、図３のような特定の得意先のサマリーを表示させる画面インターフェイスを提供することもできる。図に示すように、初期目標の他に所定の期間の経過後に、実績や社会情勢などを勘案して見直しとして「修正」欄に修正目標値を設定することもできる。期の終わりに「最終」欄に結果（当期の販売実績および来期の期首計画値）を入力することもできる。
【００２７】
図４は、ある重点的な目標に対するアクションプラン即ち戦術およびその期限を設定した形式の表で管理するための画面インターフェイスである。図には、重点目標およびそれに関連する戦術（即ちアクションプラン）が示されている。なお、本インターフェイスは、内容を入力、参照、修正することが可能である。ヘッダ部分では、重点目標に関する背景情報と共に、目標に関する重要なデータを参照することができる。図に示すように、この場合は、第１０５期において新規得意先の開拓を行うことが目的であり、２００１年３月までに１０５期の売り上げを９８億円にすることを目的とするものである。「評価可能な目標」欄は、図のように「部品Aの承認を得る」でもよいが、できるなら、シュアか販売数、販売額などの数値目標を記述するのが好適である。戦術欄には、全ての関連する施策、およびその期限と責任担当者が示されている。従って、本画面インターフェイスを用いれば、期限に遅れている行動計画およびその担当者を容易に見つけ出すことができるようになる。
【００２８】
また、計画の状況を表わすコードとして、「＝」：初期計画、「−」：修正スケジュール、「ｘ」：キャンセルを使用する。さらに、進捗管理コードとして、「A」：スケジュール通り、「Ｂ」スケジュールから遅れているが、当期中に達成可能、「C」：スケジュールから遅れていて、当期中の達成は困難、「D」：得意先のプロジェクトが喪失、「G」弊社がギブアップ、「Z」：完了を使用する。これらのコードによって、計画状況や進捗状況を容易に把握することができるようになる。これらのコードでソートして表示させれば、より容易に問題箇所や成績のよい箇所を把握して経営管理に役立てることが可能となる。
【００２９】
図５は、マトリックス管理者の月度進捗管理コメントを管理するための画面インターフェイスである。図に示すように、本システムは、マトリックス管理者に毎月重点目標のそれぞれに関して簡単な近況報告を入力させ、これを表示させる。この近況報告には、簡潔な状況説明と共に毎月の進捗の更新とが含まれる。また、本システムは、マトリックス管理者による進捗更新に加えて、上級管理者に、４半期ベースなどの所定の周期で全ての重点目標をチェックさせ、全体に関するコメントを入力させる。同様に、実際の営業活動に対する進捗管理コメントを各営業部員に入力させることも可能であることに留意されたい。
【００３０】
このようなコミュニケーションは、目標管理する上での成功の鍵である。さらに、本システムでは、個々の重点目標やその進捗状況などの内容を各社員が参照することが可能であり、これらの目標に直接関係する面白いニュースなどを有する者は、プロジェクトコメント欄に自由に書き込むことができる。このコメントは、自動的に関係者にｅ−ｍａｉｌで送信したり、関係者が本システムにアクセスした際に端末上に表示させたり、或いは重点目標の添付としてデータベースに格納することができる。このことは、誰でも何時でもコミュニケーションの如何なる部分をも容易に遡ることができ、しかも、全体の経緯が損なわないことを保証するものである。
【００３１】
進捗状況などに問題がある場合は、マトリックス管理者や営業部員は、問題点を記述した援助要求コメントを入力することができる。これは、基本的にはプロジェクトコメントと同じ原理であり、入力された援助要求コメントは、自動的にｅ−ｍａｉｌで関係者に送付したり、関係者が本システムにアクセスした際に端末上に表示させたり、或いは重点目標の添付としてデータベースに格納することができる。このコメントを受け取った者は、回答をｅ−ｍａｉｌで送付するか、直接システムにアクセスして回答を書き込むかによって援助要求に対して応答することができる。
【００３２】
マトリックス管理者と同様、個々の営業部員もまた、重点目標即ち初期目標を設定することができる。この営業部員ごとの重点目標は、マトリックス管理者の初期目標と調和したものとしなければならない。マトリックス管理者の重点目標と、個々の営業部員の重点目標とは、基本的には同様のものである。
【００３３】
来期の推定販売額は、下記の式で計算する。
来期の推定販売額＝当期の販売予算＋攻撃的目標による増加分−防御的目標による減少分
ここで、「攻撃的目標」とは新市場開拓や既存分野でのシェアアップなどの攻撃的な目標のことであり、「防御的目標」とは市場の強い圧力にさらされた継続ビジネスを守る目標のことである。なお、殆どの攻撃的目標の当期中の販売目標はごく僅かあるか、殆どないかである。初期目標金額に基づき、ネットのビジネス増加分を計算する。その際、攻撃的目標と防御的目標とでは異なる打率を適用する。経験から、攻撃的目標の合計額の約３０％は増加することがわかった。一方、防御的目標の約２０％が実際に失われることがわかった。従って、上述した式のように、増加分から減少分を差し引くことにより、ネットのビジネス増加分およびビジネス合計額が来期にどうなるのかを、より現実に近い数値で把握することが可能となる。
【００３４】
この打率を、各目標の進捗状況（即ち進捗コード）に基づき、設定することもできる。例えば、進捗コードA：打率５０％、進捗コードB：打率２０％、進捗コードC：打率０％、進捗コードD：打率０％、進捗コードG：打率０％、進捗コードＺ：打率１００％などのように設定することによって、より現実に近い数値を導き出すことが可能となる。
【００３５】
各初期目標には、優先度を表わすランクを付けることも可能である。例えば、Aランク：最優先事項、Bランク：重要事項、Cランク：数値目標のない目標（即ち、直接ビジネス成長に関係しない計画）などのように設定して、このランクに基づき目標をソートして問題を把握したりすることが可能となる。
【００３６】
本発明を実施態様や諸図面に基づき説明してきたが、本発明の範囲は、これらによって何ら限定されるものではなく、様々な修正、変形を行うことができることを理解されたい。例えば、当業者であれば、本発明の開示に基づき、ロータス社のノーツやこれに相当するようなツール、或いは、表計算ソフトなどを補助的に使用して本発明を実現することが容易にできるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の多次元マトリックス経営システムを稼動させることができるコンピュータシステムの基本構成を説明するブロック図である。
【図２】 本発明の多次元マトリックス経営システムの基本構成を説明するブロック図である。
【図３】 特定の得意先のサマリーを表示させる画面インターフェイスである。
【図４】 重点的な目標に対するアクションプラン即ち戦術およびその期限を設定した形式の表で管理するための画面インターフェイスである。
【図５】 マトリックス管理者の月度進捗管理コメントを管理するための画面インターフェイスである。
【符号の説明】
１０ コンピュータシステム
１１ プロセッサ
１２ ＲＡＭ
１３ ROM
１４ 外部インターフェイス
１５ 外部記憶装置コントローラ
１６ システムバス
１７ 外部記憶装置
１８ ネットワーク
１９ リモート端末
２０ ローカル端末
２１ 多次元マトリックス経営システム
２２ 初期目標格納手段
２３ 実績入力手段
２４ 実績受信手段
２５ 実績格納手段
２６ 目標達成管理手段
Claims (8)
- リモート或いはローカルの端末と通信して該端末を利用する利用者の業務実績を管理するコンピュータとして構成される多次元マトリックス経営システムであって、
管理者が利用する管理者端末から指定された少なくとも販売目標およびアクションプランを含む初期目標を、製品、地域、市場分野、得意先の４軸の多次元マトリックス形式の情報としてそれぞれ同時に優先度を表すランクを付して設定して、利用者が利用する利用者端末も通信可能なデータベースに格納する初期目標格納手段と、
前記利用者端末の利用者に対して、前記初期目標に対応する、所定の期間に亘る実際の販売金額或いは数量および実際の営業活動を含む実績を入力するよう、所定の周期で前記利用者端末に指示を送出する実績入力手段と、
前記利用者端末から、前記初期目標に対応する前記実績の情報を受信する実績受信手段と、
前記利用者端末から受信した実績の情報を前記４軸の多次元マトリックス形式の情報に関連付けて前記データベースに格納する実績格納手段と、
前記管理者端末又は前記利用者端末からの要求に応じて、前記データベースから前記４軸の多次元マトリックス形式の情報のうちの１つ以上の情報を読み出し、当該要求された軸の情報についての前記初期目標および実績の情報から達成率を算出して該達成率の順に当該指定された軸の情報をソートするか、又は前記ランクに基づいて前記初期目標の情報をソートして、当該要求を行った管理者端末又は利用者端末上に表示する目標達成管理手段と、
を具えることを特徴とする多次元マトリックス経営システム。 - 請求項１に記載の多次元マトリックス経営システムにおいて、
前記実績の情報が、進捗状況を表わす、少なくとも、スケジュール通り、スケジュールから遅れている、完了、からなる進捗コードをも含み、
前記目標達成管理手段は、当該指定された軸の情報を前記進捗コードとともに表示する進捗管理手段をさらに具えることを特徴とする多次元マトリックス経営システム。 - 請求項１または２に記載の多次元マトリックス経営システムにおいて、
前記管理者端末からの指示に基づいて前記初期目標を修正する目標修正手段をさらに具えることを特徴とする多次元マトリックス経営システム。 - 請求項１〜３のいずれか一項に記載の多次元マトリックス経営システムにおいて、
前記実績入力手段が、前記利用者端末の利用者が前記初期目標の達成が困難な場合に、問題点が記述された援助要求コメントとともに、前記初期目標に対応する実績の情報を入力するよう、他の利用者端末に指示を送出する手段を具え、
前記実績受信手段が、前記利用者端末から前記援助コメント付きの実績の情報を受信する手段を具え、
前記援助要求コメントを前記管理者端末に電子メールで送信する手段と、
当該管理者に対して、前記援助要求コメントに記述された問題点を解決し得る新たなアクションプランを、所定の期限までに入力するよう前記管理者端末に指示を送出する手段と、
前記管理者端末から前記新たなアクションプランを受信する手段と、
前記新たなアクションプランを前記初期目標に対して更新して前記データベースに格納する手段と、
を具えることを特徴とする多次元マトリックス経営システム。 - リモート或いはローカルの端末と通信して該端末を利用する利用者の業務実績を管理するコンピュータとして構成される多次元マトリックス経営システムの処理方法であって、
前記多次元マトリックス経営システムは、初期目標格納手段、実績入力手段、実績受信手段、実績格納手段及び目標達成管理手段を備えており、
前記初期目標格納手段によって、管理者が利用する管理者端末から指定された少なくとも販売目標およびアクションプランを含む初期目標を、製品、地域、市場分野、得意先の４軸の多次元マトリックス形式の情報としてそれぞれ同時に優先度を表すランクを付して設定して、利用者が利用する利用者端末も通信可能なデータベースに格納するステップと、
前記実績入力手段によって、前記利用者端末の利用者に対して、前記初期目標に対応する、所定の期間に亘る実際の販売金額或いは数量および実際の営業活動を含む実績を入力するよう、所定の周期で前記利用者端末に指示を送出するステップと、
前記実績受信手段によって、前記利用者端末から、前記初期目標に対応する前記実績の情報を受信するステップと、
前記実績格納手段によって、前記利用者端末から受信した実績の情報を前記４軸の多次元マトリックス形式の情報に関連付けて前記データベースに格納するステップと、
前記目標達成管理手段によって、前記管理者端末又は前記利用者端末からの要求に応じて、前記データベースから前記４軸の多次元マトリックス形式の情報のうちの１つ以上の情報を読み出し、当該要求された軸の情報についての前記初期目標および実績の情報から達成率を算出して該達成率の順に当該指定された軸の情報をソートするか、又は前記ランクに基づいて前記初期目標の情報をソートして、当該要求を行った管理者端末又は利用者端末上に表示するステップと、
を含むことを特徴とする多次元マトリックス経営システムの処理方法。 - 請求項５に記載の多次元マトリックス経営システムの処理方法において、
前記実績の情報が、進捗状況を表わす、少なくとも、スケジュール通り、スケジュールから遅れている、完了、からなる進捗コードをも含み、
前記目標達成管理手段の処理は、当該指定された軸の情報を前記進捗コードとともに表示するステップをさらに含むことを特徴とする多次元マトリックス経営システムの処理方法。 - 請求項５または６に記載の多次元マトリックス経営システムの処理方法において、
前記多次元マトリックス経営システムは、目標修正手段をさらに具え、
前記目標修正手段によって、前記管理者端末からの指示に基づいて前記初期目標を修正するステップをさらに含むことを特徴とする多次元マトリックス経営システムの処理方法。 - 請求項５〜７のいずれか一項に記載の多次元マトリックス経営システムの処理方法において、
前記実績入力手段の処理は、前記利用者端末の利用者が前記初期目標の達成が困難な場合に、問題点が記述された援助要求コメントとともに、前記初期目標に対応する実績の情報を入力するよう、他の利用者端末に指示を送出するステップを含み、
前記実績受信手段の処理は、前記利用者端末から前記援助コメント付きの実績の情報を受信するステップを含み、
多次元マトリックス経営システムの処理手順は、
前記援助要求コメントを前記管理者端末に電子メールで送信するステップと、
当該管理者に対して、前記援助要求コメントに記述された問題点を解決し得る新たなアクションプランを、所定の期限までに入力するよう前記管理者端末に指示を送出するステップと、
前記管理者端末から前記新たなアクションプランを受信するステップと、
前記新たなアクションプランを前記初期目標に対して更新して前記データベースに格納するステップと、
含むことを特徴とする多次元マトリックス経営システムの処理方法。
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